男「もし俺が女だったとしたらどうする?」幼馴染「」ガタッ (361)


男「い、いや冗談だからな?そんな本気にしてもらっても…」

幼馴染「あ…うん、そうだよね。そんな夢のような話あるわけないもんね」

男(す、凄い落ち込んでる…)

男「もしかしてお前…」

幼馴染「そ、そ、そそそそんなことないよ!至ってノーマル!最高にノーマル!」

男(分かりやすい)

幼馴染「そんな友達の脱いだ服とか見て、ちょっとときめいたり、スンスンしたりとかしてないよ!」

男「おい、ちょっと待て」

幼馴染「してないからね!?」

男「大抵そういうのは『アウト』と分類されるんだ。OK?」

幼馴染「NOだよ!」

男「……」

男(やっべぇ、どうしよう…最初の話…冗談じゃなかったつもりが…)


こんな感じでよろしいでしょうか

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男(実は女の男ですが、何だか幼馴染(女)から危ない香りがしてきました)

幼馴染「男くん、どうしたの?」

男「なんでもない」

男(変態とは程遠い存在かと思いきや、中々に染まってる説が濃厚です)

男「それで、今日は何の用でうちに来た?」

幼馴染「お泊り!」

男「…ほう?」

幼馴染「長年幼馴染やってるのにお泊りの1回もなかったからねー」

男「まぁ、そう言われてみれば…でもお泊りしない幼馴染も普通に居るだろ?」

幼馴染「家が近いからいいじゃない!」

男「分かった分かった、それじゃあ客室をちょっと整理するから…」

幼馴染「男くんの部屋で泊まりたいな?」

男「……えっ?」

幼馴染「男くんの部屋で泊まりたいな!」

男(…あれ? 俺、ピンチ?)

気分を害したならごめん。
でも、やめればいいのか続ければいいのか分からんから続ける。

男「あ、あー…分かった。部屋の整理するから家の前で待ってろ。ゴミとかで汚いもんでさ」

幼馴染「早くしてね。荷物持ちの女の子を待たせるなんて駄目だぞ?」

男「分かった分かった…」

バタン

男「……」

男(うおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?)

男(アクシデントとはこういうことを言うのか!?)

男(俺の部屋、完全に乙女一色だから!絶対ドン引きだから、あれ!)

男(かわいいぬいぐるみが一杯ある男の部屋とか、普通はねーよ!)

男(化粧水も出しっぱなしだし、女物の私服も脱ぎっぱなし…完全に女性の部屋じゃねーか!)

男(ぬいぐるみを押入れにしまうのもったいないけど止むをえん!)

男「俺の部屋に泊まるってことは…今日はこのネコちゃんを抱いて寝れないか…」

男「……」ギュゥー

男(よし、片付け開始)

ドタバタ ドタバタ

男「ふ、ふう…大体片付けたし、このぐらい殺風景具合なら…」

ガチャリ

幼馴染「片付け終わったー?」

男「うおぉぉぉぉぉっ!?」

幼馴染「?」

男「…い、家の前で待ってろって言ったよな」

幼馴染「ちょっと長かったからこの前貰った合鍵使っちゃった」

男(そ、そうだった。コイツ俺の家の合鍵持っているんだった…)

幼馴染「おー、男の子の部屋ってこういう風なんだー」

男(女性だけどね)

幼馴染「ふーん、ふーん…綺麗な部屋だねー。男の部屋って初めて見たかも」

男「そういえばそうだな…でもまぁ、さっきまでゴミがあったけどな」

男(ゴミじゃないけどね!大切な物一杯だったし!)

幼馴染「じゃあ改めて、お邪魔しまーす」

男「…どーぞ」

幼馴染「1人暮らししてるのに、しっかりしてるよね。羨ましい」

男「お前もこんなもんだろ?」

幼馴染「ぜーんぜん。服は脱ぎっぱなしだし、雑誌もそこらへんに起きっぱなしだよ?」

幼馴染「むしろ私、洗濯とかは男みたいにできないからお母さんに頼んでるし…」

男「洗濯なら結構簡単だぞ」

幼馴染「え? 全然分からないんだけど…なんかポイポイってやってもお母さんに怒られるし」

男「全部纏めてやろうとするからそうなる。まずはそのまま洗濯していい服としてない服に分けて…」

幼馴染「う、うん」

男「かくかくしかじかでまるまるうまうま…」

幼馴染「…ご、ごめん。理解できない、かも」

男「…そんなんじゃ独り立ちできないって」

幼馴染「うー…男くんがいじめるー」

男「そうやって呼び捨てとくん呼びを使い分ける理由ってなんだよ」

幼馴染「ほら、くん呼びすれば私が子供っぽく見えるでしょ?」

男「俺ら同年齢、単純にお前が小さいだけだろ」

幼馴染「う、うー…」

男(かわいい…ぎゅってしたい)

男(あーあー…我慢、我慢だ俺。ここは俺の家だが幼馴染が居る。だから我慢しろ)ゴンッゴンッ

男(そもそも俺が女だろうと男だろうといきなり抱きしめるのはどう考えても『アウト』だろ常識的に考えて)ガンッガンッ

男(っていうか幼馴染の危険な一面を一瞬見た上でそういう行動に出れるかっていうとそんな勇気も無いわけで)ガッガッガッ

幼馴染「お、男くん?机叩いてどうしたの?」

男「…な、なんでもない」

男「そ、そういや腹減ったか?」

幼馴染「うーん、今お昼の大分前だけど…朝食べないで来たからかなり空いてるかな…」

グゥー

男「…口も体も正直だな」

幼馴染「う、うう…」カァァ

男「まぁまぁ、冷蔵庫に余ってる物で軽いご飯作ってくるからさ。ちょっと待ってて」

幼馴染「え、料理もできるの!?」

男「あ、ああ。そうだが…」

幼馴染「女の子の面目丸つぶれだよ!なんで男が料理できるの!?」

男「いや、だって…頑張ったし」

幼馴染「うぅー…どーせ私は料理もできませんよーだ」

男「…とりあえず作ってくるからな」

幼馴染「うん…」

バタン

幼馴染「…凄いなぁ、料理も洗濯もできるなんて…お母さんみたい」

幼馴染「それにしても…ふふ、さてさて…」

幼馴染(幼馴染の男の子の部屋に1人…)

幼馴染(色々と漁るしか選択肢はないよねっ!)キラーン

幼馴染「まずは机の引き出し、何があるかなー」

幼馴染「…あれ、鍵がかかってる…?」

ガタッ、ガタガタッ

幼馴染「う、全段鍵が…むむむ…」

幼馴染「な、なら今度はアレの隠し場所として定番なベッドの下!」

ガラーン

幼馴染「何も…無い…?」

幼馴染「な、なら箪笥!」ガチャ

幼馴染「…普通に男性の下着と服だよね」(性別カモフラージュ用衣類)

幼馴染「ゲームは…そういうゲームは無いかぁ」

幼馴染(そういえば…私が来る時に男は『整理』で色々慌ててた…)

幼馴染(そして私が合鍵で家に入って、部屋に行くと男は凄く驚いてた)

幼馴染(この2つの条件から私の脳内が導き出した結論は…!)

幼馴染「すぐに大きなものが収納できる戸棚!そこだーっ!」

ガラガラッ

幼馴染「じょ、錠付きの箱? 大きい…」

幼馴染「見た感じ布団とそれしかないし…」

幼馴染「う、うー。男くん、ガードが硬すぎるよう」

幼馴染「この鍵、強引に開かないかな? んぐぐぐぐ…!」

ガチャ

男「できたぞー」

幼馴染「ひゃうぃ!?」

バタン!

男「どうした?」

幼馴染「な、なな、なんでもないよ?」

男「…そうか。ほら、サンドイッチ。お昼食べるならこれぐらいで丁度いいだろ?」

幼馴染「う、うん。…美味しそう」

男「パパッと作った物だから味は保障しないけどな」

幼馴染「どうかな? いただきまーす」

男「召し上がれ」

男(あんなこと言ったけど、素直に美味しいって言われたい)

幼馴染「ぱくっ。んぐんぐ…」

幼馴染「うん、美味しい!」

男(やったぁ!)

幼馴染「いいなぁ、今度料理教えてよー」

男「それだったらレシピ渡すから、それで練習しとけ」

幼馴染「…男くんのいけずー」

男(俺はそれで頑張ってきたんだよ…)

幼馴染「…それで、今日はどうしよう?」

男「出かけるのもいいんじゃないか?」

幼馴染「それもいいけど、今日は男の家でごろごろしたい」

男(…困る、が嫌とも言えない)

男「幼馴染が言うなら、それでもいいけど」

幼馴染「わーい、やったー」

男「サンドイッチを天に掲げるな」

ちょっと一区切りです。

今更だが>>13の戸棚と押入れを間違えた。酷い間違えである。

幼馴染「ごちそうさまー」

男「おそまつさまー」

幼馴染「じゃあお昼までゲームでもー?」

男「…と、言いたいところだが実は冷蔵庫の物が無くてな、買い物に行かないといかん」

幼馴染(チャンス!)

幼馴染「そうなんだ。じゃあ、行ってらっしゃい!」

男「…1人で行けってか…それはいいけどさ、せっかく片付けたんだからあんまり漁るなよ?」

幼馴染「分かってるってー」

幼馴染(ごめんね、男。それは無理かな)

男「お昼は決まってるけど、何食べたい?」

幼馴染「コロッケとか食べたい!」

男「あいあいさ、そんじゃあ今度こそ行ってくる」

幼馴染「今度こそ行ってらっしゃーい」

幼馴染(…行ったよね、行ったよね?)

幼馴染(ミッションわん!収納物の鍵を探せ!)

幼馴染(男が居ないから家中探し回れるね)

幼馴染(だけど、部屋以外に箪笥の鍵とか引き出しの鍵を置くかな?)

幼馴染(それでも、私はその鍵を絶対に見つけてみせるよ!)

幼馴染「まずは…お風呂場。そう、お風呂場。お風呂場を見に行こうかな?」

幼馴染「どうせ今日入るけど、捜し物もあるし下見がてら見るだけならいいよねいいよね」

ガラガラッ

幼馴染「おー、広いお風呂!」

幼馴染「むむ、いいシャンプーとリンス使ってる…」

幼馴染「せ、石鹸も凄い良さそうな…」

幼馴染「…これ、肌洗うスポンジだよね。予備まで一杯ある…」

幼馴染「……」

幼馴染「か、完敗だよう…」ズーン

幼馴染(お…男くん…女子力高すぎない?)

幼馴染「次はキッチン!」

幼馴染「……」

幼馴染「………」

幼馴染「………い、一杯調理器具があるねー」

幼馴染「どーせ今の私には無縁の場所だよう。…んー?」

キランッ

幼馴染「あ…鍵!」

幼馴染「これでミッションクリア!」

幼馴染「…なんでキッチンのテーブルの上にあったか分からないけど…本当になんでだろう?」

——その頃——

男「……さむさむ」

男「早く買って家に帰って…鍵あったか?」

ゴソゴソ

男「んー、家の鍵はあって。…あれ?」

男「…家の鍵があって…押入れの箱の鍵があって…机の鍵があって…」

男(箪笥の鍵…無い!?)

男「ど、どこで落とした!? 道端か…?」

男(とにかく箪笥の鍵が無いと男物の服しか着れなく…!?)

男「さ、探さなきゃ…探さなきゃ…!」

—そんなことが—

幼馴染「んー、押入れの箱じゃなさそう…大きさが違うから入らないし」

幼馴染「机の鍵…でもないねぇ。入りそうで入らない」

幼馴染「…箪笥!」

ガチャン

幼馴染「あ、開いたっ!」

幼馴染「んふふー、男の箪笥はどんな物が入ってるのかなー?」

ガラッ

幼馴染「……」ポカーン

幼馴染「…えっ?」

幼馴染「え、えっと…ワンピース? ミニスカート…?」

幼馴染「え、え? 女物ばっかり」

幼馴染「し、下着もある…?」

幼馴染「……」ポカーン

幼馴染「…女装した男…?」

幼馴染「……」妄想中...

幼馴染「……いいっ!」ビシィ!

幼馴染(男って結構髪も綺麗だし肌も綺麗だし、顔立ちもよく見れば女性っぽいしそのままでも似合うかも! い、いいよ…凄くいいよー!)ムッハー

今回はここまで。

幼馴染(それにしても男が、女装する人だったとはねー…そそる!)

幼馴染(でも…うーん、女装癖が隠してることだとすると、机の中や押入れの箱も気になる…!)

幼馴染「よーし、次の鍵探し! …の前に」

幼馴染「片付けないとバレちゃうね…これでよしっと」

幼馴染「適当に畳んだけど、大丈夫…だよね?」

幼馴染「…よーし、次はー…」

ガチャン!バタン!

幼馴染「…男?」

男「…ぜぇ…はぁ…」

幼馴染「息切れしてどうしたの?」

男「…こ、このぐらいの鍵、家に無かった…か?」

幼馴染「これ?」

男「あっ! そ、それっ!返してっ!」

幼馴染「えっ、あ、うん」

男(よ、良かった。面倒事にならなくて済んだ…)

幼馴染(よっぽど見せたくなかったんだ。…見ちゃったけどねー? ふふふー)

幼馴染「あ、お手洗い借りるねー」

男「…ああ」

男(…家に忘れてたか。それに…幼馴染がなんで持ってた?)

男(まさかっ!?)

男「鍵付きの箪笥の中身!」

ガラッ

男「……」

男(どう見ても服のたたみ方が俺のたたみ方じゃありません。本当にありがとうございました)

男「うわぁぁぁぁぁぁぁ!見られたぁぁぁぁぁぁぁ!」

男(中学から成人した年のこの日まで、幼馴染どころか友達にすら一切バレなかったのに…!)

男(うわぁぁぁぁどうしようどうしよう、今まで騙してきたことに謝るべきか!?)

男(いや、まずなんで騙してたっていう理由から話さないといけないよな…)

男(あああああ!言ったとしても絶対信じてくれねぇ!)ジタバタ

幼馴染「ただいまー…どうしたの?」

男「ハッ!?」

男「あ…あ、あの鍵の箪笥の中身…み、見たか?」

幼馴染「箪笥の中身? ああ…うん、バッチリ見たよー♪」

男「…終わった」ズーン

幼馴染「大丈夫だよ、男なら女装似合うし恥ずかしくないない」

男(えっ、女装?)

男(…そう思ってるのなら…ということはまだバレてないと。なーんだ)

男「…そ、そうか。そう言ってくれると嬉しいよ。ありがとうな」ホッ

幼馴染(えっ、なんでそこでホッとするの?)

幼馴染(期待してた反応と違う…もっと慌てふためくような感じかと思ったのに)

幼馴染「いいっていいって。本当に似合うと思うからねー」

幼馴染(むー…面白い反応期待してただけつまんない…)

男(…助かった)

幼馴染「で、着ないの?」

男「何が?」

幼馴染「あの服」

男「…なんで?」

幼馴染「私が見たいから!」

男「…断る」

幼馴染「えー? …周りのみんなにバラしちゃおうかな、男が女装してたってこと」

男「どうぞどうぞ。もう、知られたとしてもどうでもいいし」

幼馴染(ぐぬぬ…男くんめぇ…)

幼馴染「それにしても…女装にしては、コスプレとかそういうのじゃなくて結構流行物の服が多かったような」

男「」ギクッ

男「そ、それはほら、流行るやつって結構安いやつもあるだろ? 安く済むからそうしてるんだ」

幼馴染「なるほどー」

男(本当はかわいいって思って衝動買いしたよ畜生…!)

幼馴染「まぁ着てもらうのはまた今度でいいかー…よし、ゲームしようよ!」

男「いいけど、途中で昼も食べるからな」

幼馴染「はーい」

カァー カァー

男「ゲームってのは恐ろしいな」

幼馴染「もう夕方なんだね…」

男「…カレー作るか」

幼馴染「カレーなら手伝えるよね?」

男「それよりもお風呂にお湯入れてくれるかな」

幼馴染「それぐらいなら!」

—キッチン—

男「……」シャッ シャッ

幼馴染(幼馴染ですが男の調理の手際が良すぎて死にたい)

男「にんじんは終わり、次はじゃがいも…」

幼馴染(っていうか、手綺麗だし爪も整ってるし…なんか男って身だしなみが女の子顔負けなような…)

男「…どうした?」

幼馴染「なんでもないよ。お風呂にお湯入れてきたから」

男「ああ、ありがとな」

幼馴染「よーし、じゃあ私も材料切るの」

男「もう全部やってある」

幼馴染(手際良すぎない!?)

男「じゃあ後はぽいぽいっと…」

幼馴染(…今度本気で教えてもらおう)

男(カレーはもういいな。よしよし)

幼馴染「お風呂できたよ」

男「あ、先入っていいか?」

幼馴染「勿論、家主の言うことだしねー」

男「1人暮らしに家主ってどうなんだよ…」

男「んじゃ、先入るわ」

幼馴染「はーい」

幼馴染「……」

幼馴染「…ふふふっ」

幼馴染(幼馴染が家に泊まるなら、一緒にお風呂ぐらいは普通ですよね!)

幼馴染(男の裸は見たことないけど、別に今更裸見てあやふやする歳でもないしねー)

幼馴染(勝手に入って驚かせちゃおうっと!)

とりあえず。眠気がマッハ。

もうちっとだけ続くんじゃ

男「…やっぱりもうちょっとかわいい服が着たいよなぁ…」ヌギヌギ

男「よっと」スポーン

男「……」ペタペタ

男(昔から一向に成長しない部分)

男(……くそう、幼馴染の胸が羨ましい)

男(身長よりも少しはこっちに行ってほしいっつーの)

男(おかげでバレにくかったけど、それとこれとは…)

男「……はぁ」

男(入ろう。なんだか虚しくなってきた)

————

男「湯加減はー……あつっ!」

男「ちょっと温度高くないか?どういう設定温度したんだあいつ」

男「むう、入れないこともないからいいか」

男(あ、そういやこのスポンジ、前買ったけど泡の出いいんだよな)

男「……」ワシャワシャ

男「あわあわー」ワシャワシャ

男「……」アワアワー

男(何やってるんだろう、俺。さっさと洗ってさっと入って出るか)ゴシゴシ

バタンバタン ガサ、ゴソ

男「…? 物音が…」

ガラガラッ

幼馴染「突撃ー!」

男「」

男「んなっ…ま、ちょ!?」

幼馴染「来ちゃった」テヘペロ

男「ば、馬鹿お前!? さっさと出ろ!」

幼馴染「えー、せっかく幼馴染が一緒にお風呂に入ってあげてるのに」

幼馴染「そもそも、もう脱いじゃったから何言ったって出ないよ」

幼馴染「…って、なんで胸のところまでバスタオルかけてるの?」

男「い、いや、これはね!? 理由があr…」

幼馴染「っていうか細っ!? 男、体細すぎない!? ちょ、ちょっと触らせて!」

男「おい待て、寄ってくるな!」

ツルッ

幼馴染「あっ」

ドンッ

男(た、倒れる…!?)

ザパーン

男「あつっ、あっつ!」ハラリ

幼馴染「あ……」

男「あっつー…あ? ……タ、タオ…ル…が…」

幼馴染「」

男「……」

幼馴染「」

男(…今度こそ終わった)

もうちっとだけ続いたんじゃ。二度寝。

バスタオルどこから出てきた。
家風呂で中にバスタオルって普通持って行かないよな……?

>>50
完全に盲点だった。家風呂でバスタオルとかねーわ…

女(『男』、改め『女』です。とうとう幼馴染に性別がバレました)

幼馴染「どういうことか説明してもらえるかな? うわっ、背中おっきーい」ゴシゴシ

幼馴染「それにしても、まさか男が女だったなんて。この前のは本気で言ってたんだ」ゴシゴシ

女「……」

幼馴染「なんで隠してたの?」ゴシゴシ

女「いや、それは…」

幼馴染「ナンデカクシテタノ」ガシガシ

女(痛い痛い)

女「家の事情です、はい」ビクビク

幼馴染「っていうか…性別隠す必要があるなんてどんな事情?」

女「……親の我侭」ボソッ

幼馴染「え、何? 聞こえない」

女「お、親の我侭だよ!全部親父の我侭と、母さんの悪ノリのせいだよ!」

幼馴染「…ま、またまたー。冗談?」

女「…本当なんだよ…」シクシク

幼馴染「なんでそんな…」

女「小学生が終わりそうな頃にな…何を考えたのか親父が急に『女の子より男の子を育てたいな』って言ってな…」

女「そしたら母さんが『じゃあ、今日から男の子として育てましょう』って、目を光らせて凄い笑顔で…」

女「親父も親父で止めてくれない上に良い笑顔でいつも見てたし、母さんは…なんかもう…」ガタガタブルブル

幼馴染「う、うわぁ…」

女「…お前との付き合いって、中1の頃からだろ?」

幼馴染「う、うん。…あ、あー!だからもう男の子としていたんだ」

幼馴染「もしかしてプールを毎回休んでたのも…」

女「……ああ、夏休みの誰も生徒が居ない時間に受けさせてもらったんだよ」

幼馴染「そんな背景が…」

女「ある意味敵が両親で、味方は先生達だったなぁ…」

幼馴染(これはひどい)

幼馴染「でも、高校は女子高に行ったよね? 性別隠して行くところだったの? 私としては一緒に行けれて嬉しかったんだけど」

女「母さん曰く『木を隠すなら森』…らしい」

幼馴染「なんとなく分かるような…」

女「…実際、着替えは別でトイレも別。水泳の授業も別に受けれたし、中学と同じで先生達はみんな味方だったからな」

女「中学と比べて快適に生活できたよ。…周りの生徒が告白してきたりしたけど」

幼馴染「それでも全部断ってたよね」

女「異性と思って告白してOK貰ったけど同姓でした…よりかは断った方がいいだろ?」

幼馴染「あー、そうだね…残酷だけど、諦めさせた方が正しいよね」

女「告白はされたけど、実際に青春時代丸つぶれだよ。おかげで俺の心の恋心、枯れてますっての…」

幼馴染「まぁまぁ…」

幼馴染「でも、そこまでする必要あったの? 我侭言えばやめれたんじゃないのかな」

女「…必要があるないの理由じゃない。やらないといけなかったんだ」

幼馴染「何で?」

女「母さんがさ、俺の男装がかなり大好きらしくて。し、しっかりやらないと後で、後でな…」ガタガタガタガタ

幼馴染(トラウマ!?)

女「まぁ、そういうわけで…色々反対されたけど、今は1人暮らししてるんだよ」

女「高校とか中学の友達にもあんまり会わないからのびのびと女性として暮らせれるしさ…」

幼馴染「ねぇ…私、結構女と会ってるんだけど、それでも黙ってたの?」

女「あ…」

幼馴染「それも訳を聞きたいなぁー」

女(この前言おうとしたら怖かったからなんて言えない)

幼馴染「…でも、嬉しいな」ボソッ

女「何か言ったか?」

幼馴染「何もー」

幼馴染(男が女性だったなんて、夢みたいな話だと思ってたけど)

女「」ヒヤッ

女(…無性に身の危険を感じる。ここは急いで逃げないと)

女「じゃあ俺は。もう洗い終わったし出るかな…」

幼馴染「あれあれ、女ちゃん。まだ湯船に入ってませんよ? 早すぎるんじゃないかなー」ガシッ

幼馴染(肌もすべすべ。羨ましくていつもなら嫉妬しちゃうけど…)

幼馴染(女の子って思うと嫉妬よりもかわいいって思っちゃうね)ジュルリ

女「そ、そうだな…あはは。分かった…」

女(…逃げられない)ズーン

深夜のテンションじゃないと書けない(本音)
車の免許取るためにちょっと勉強するのでたぶん更新が捗らなくなります、たぶん。


幼馴染「2人だと狭いね」チャプーン

女「お前のそれがでかいせいだろ」チャプーン

幼馴染「女ちゃんの身長が高いせいじゃないの? でも貧相だねぇー」

幼馴染(なるほど、AA…いや、A? ほぼ板って感じ)

女「スレンダーって言え、スレンダーって。気にしてるんだぞ」

幼馴染「へぇー…でもなんか不思議、さっきまで異性だと思ってたのに同性なんて」

幼馴染「確かに、こう見ると普通にボーイッシュな女性かな?」

女「…うっせぇ。どうせ3年間男として女子高通いしてバレなかった人だよ。着込んだだけでなんとかなったしな」

幼馴染「よくバレなかったね、本当。私も気づかなかったけど」

女「希少な異性として扱われたから触れ合いとかは少なかったし、他人に肌晒すことが殆ど無かったから逆に気づかれなかった」

女「後はこっちからしたら同性しか居ないから、精神的に楽だった」

幼馴染「その点は女子高にさせたお母さんに感謝するべき?」

女「百歩譲ってもそれは無いわ。俺が男として過ごすことになった元凶だろうが…」

女「それに告白とかの面倒事もあったから、苦労の面ではどっこいどっこいかもな…」

幼馴染「そ、そうだよね…そういえば、その口調も女ちゃんの両親のせいなの?」

女「いや、これは元からだが…」

幼馴染「えっ?」

女「なんだよ」

幼馴染「…顔からして中性的で体も着込んで男装すれば普通に騙せれるし、極めつけに素でその口調」

幼馴染「バレないのもしょうがないかも?」

女「…そうかい。…どうせ俺なんて男として生きてもあんまり不自由しねーよ、くそっ」

幼馴染(拗ね方が完全に男の子…)

幼馴染「…んー」

女「どうした?」

幼馴染「女子高なのによく男性用の制服があったね、って思って。一応そこ以外にもツッコミたいところはあるけど」

女「それか。それはな…制服は俺が入学する事になってから急遽、男物がオーダーメイドで夏冬それぞれ2着だけ作られたんだ。いいご都合だよな」

女「実はそれ母さんがお願いしたらしくて、学校側しても拒めなかったから特例としてそうしたらしい」

女(本当の事は母さんが『女の子だから何も問題無いですよね? あ、でも男の子として扱ってくださいね』とか言う無茶振りを延々とした結果だが…)

女(先生達からの同情の目線が暖かかったな。向こうからしたら完全にモンペなのに…俺の母さんがアレでごめん)

幼馴染「へぇー。でも、いいデザインだったから2着だけなんてもったいないなぁ」

女「制服…今でも家にあるけど、正直なところ普通の女物が着たい」

幼馴染「私のでいいなら、今度持ってこようか?」

女「サイズ合わないだろ」

幼馴染「いやいやそこが…」

女「…そこが?」

幼馴染「…なんでもないよ」

女「あ、ああ…」

幼馴染(胸の部分がスカスカだと女ちゃんどう思うんだろうなぁ…)

女「ってかさぁ、元はといえば…お前なんで風呂場入ってきた? 俺が本当に男だったらどうするんだよ」

幼馴染「そりゃもちろん、女ちゃんなら何もしないと確信してたし」

女「信頼されてるのかヘタレと見なされてるのか」

幼馴染「どっちも?」

女「…あっそう」

幼馴染「まぁまぁ、いいじゃない。それに、同性だったんだからもっとこう体の触れ合いを大切に」ワキワキ

女「おい、その手はなんだ」

幼馴染「今まで抑えてたけどそろそろその綺麗な桃色の地区に触れてみたいなってあだっ!?」バシッ

女「…次はグーだぞ」

幼馴染「いたた…おでこにチョップは痛いよう…」

幼馴染(だけどここで諦める私じゃない! 女ちゃんのその胸をさわさわぐらいならっ!)ガバッ

女「ちょ、どこ触って!」

幼馴染「むふふっ、触るとふくらみの小ささがよく分かるかも。いい感触だなぁー」ペタペタ

女「…嫌味かてめぇ!」

ゴンッ!

幼馴染「——!」

女「言ったからな、『グーだぞ』って。さて、あがるか…」

幼馴染「ま、待ってよ…うぅ、痛い…ヒリヒリするぅ」

女(やっぱりコイツは危険だ…)

幼馴染「このカレー美味しい!」

女「俺は普通に作って不味いカレーを食べてみたいものだな。大体美味しくできないか?」

幼馴染「そうでもないよ、近所のレストランのカレー不味いもん」

女「ああ、あそこか…確かにカレーは不味かった。デザートは美味いのにな。特にパフェが」

幼馴染「そうそう、パフェが絶品で…って知ってた?」

女「好きなんだよ、あそこのパフェ」

幼馴染「おお、意外。乙女してるねぇ」

女「悪いか」

幼馴染「全然! …あれ、いつも1人で行ってるの?」

女「そうだが?」

幼馴染「寂しくない?」

女「実は少し、な。レストランだからあまり1人で入るもんでもないし、パフェだけ頼むのも申し訳ないから大体組み合わせで…」

幼馴染「ほほう…今度一緒に行く?」

女「今度? 大丈夫なのか?」

幼馴染「時間があればってことだよ、どうせお店も近所なんだし」

女「それもそうか。じゃあ、今度行こうぜ」

幼馴染「奢ってくれる?」

女「割り勘に決まってるだろうが」

幼馴染「えー、男の子は奢るのが…って女の子だったね」

女「そーいうこった」

幼馴染「それにしても、前からそういうのも言ってくれればよかったのに。その実は女の子っていうのも私なら気にしなかったよ?」

女「あー、それはな…表面上での異性は誘いにくかった、っていうのと騙してるっていう思いが強くて悩んでたっていうこと。それから」

幼馴染「それから?」

女「風呂場みたいにお前が必要以上に触ってきそうだったからだ」

幼馴染「ちょっと、確かに私は女の子しか興味ないけど!」

女「その発言が既に間違ってる気がするぞ!?」

幼馴染「私にだって人権はあるんだから、本人の意思は尊重しないといけないよー」

女「じゃあ俺の意思も尊重してくれよ。近づくなとは言うが、あんまりベタベタするな」

幼馴染「うーん…できるかな?」

女「『できるかな?』じゃねぇよ、しろよ」

幼馴染「だって女ちゃんかわいいんだもん」

女「なっ…」カァァ

幼馴染「ほら、そういうとことか」ニヤニヤ

女「…め、面向かってかわいいって言われるのに慣れてないんだよ」カァァ

幼馴染「そういうことにしておこうかなー」

女「…チッ」プイッ

幼馴染(かわいい)

幼馴染「ごちそうさまでしたー」

女「あいよ。…俺は部屋行ってくるから、ちょっと皿でも洗ってくれ」

幼馴染「いいよ。でも、何しに行くの?」

女「…着替えだよ着替え」

幼馴染「着替え…ああ、今男物の服だもんね」

女「部屋も元通りにしてくる…ちょっと恥ずかしいけどな」

幼馴染「やっぱり色々片付けてたんだ」

女「何で知ってるんだよ」

幼馴染「探らせてもらったから、鍵付きの収納が一杯あったねぇ」

女「…探るなって言ったのに、まぁいいか…」トボトボ

幼馴染「いってらっしゃーい」

——数分後——

女「戻ったぞ」

幼馴染「おかえー…おおっ!? お、女…?」

女「俺以外に誰が居るんだよ」

幼馴染「い、いやーかわいいねって。その、猫柄の…パジャマ」

女「…変か?」

幼馴染「いや、やっぱりいつもの女の印象じゃないなーってのもあるし、ね」

女「まぁ、自覚はしてるが」

幼馴染「でも、かわいいよ?」

女「…ありがとな」

幼馴染「こうやってそりゃもう抱きしめたいぐらい…」ギュー

女「あんまりベタベタするなとは言ったよな、俺」グググ

幼馴染「あだだだだだ!? ア、アイアンクロー!?」

女(…学習しろよ)

胃腸風邪で休養中なので芋虫更新で勘弁という言い訳
吐き気と頭痛と下痢の3点コンボとか最悪だろ…

——男…改め『女』の部屋——

幼馴染「わぁー、かーわいいー!」

女「…あんまり触るなよ」

幼馴染「分かってるよー。これこの前売ってたクマのぬいぐるみだよね?」

女「ああ、買った」

幼馴染「いいなー、おっきいから買うの戸惑ってたけど、私も買えばよかったなー」サワサワ

幼馴染「この化粧水使ってたんだ、お揃いだね。あっ、これも! やっぱり使いやすいよね」

幼馴染「おー、この雑誌も買ってたんだ。ほうほう…意外と鮮やかなファッションが好きなのかな?」

幼馴染「あっ、この置物どこで買ったの? 綺麗でいいなー。いいところあったら私も知りたいな」

女「落ち着け、早すぎて答えれねぇ」

幼馴染「…ごめんごめん。なんかテンション上がっちゃって」

女「こっちは初めて家族以外の他人にそのままの俺の部屋を見せてるから、半分以上恥ずかしい思いなんだがな…」

幼馴染「じゃあ、私が初めての人なんだね」

女「その言い方はなんか嫌だな。お前が言うと特に」ジトー

幼馴染(あ、でもその視線もいいかも…)

幼馴染「そこで友達がね…あ、もうこんな時間」ジュウイチジー

女「ん…うおっ、もうこんなに経ってるのか。寝るかね」

幼馴染「そうだね。じゃあ…」

女「ああ、おやすみ」ガサゴソ

幼馴染「あれ、押入れから布団出してどうするの? 一緒のベッドじゃないの?」

女「ベッドはお前が使う、俺は床に布団敷いて寝る。お前は一応客だし当然だろ」

幼馴染「そうだけど…」

女「っていうか2人じゃベッドが狭くて安眠できん」

幼馴染「私には広いよ?」

女「俺が狭いんだよ。寝相がさほど良くないのもあるし」

幼馴染「…むう」

幼馴染(確かに女が入ると…狭いね。私だから広いだけで。…いいなぁ…身長高いのって)

幼馴染(あ、でもこれ合法的に女の香りをスンスンできる。ならこれもこれで!)

幼馴染(さっきは感触しか楽しめなかった訳だし次は匂いを…)

女「何か変なこと思ってないか?」

幼馴染「オモッテナイヨ?」

女「…そうか」

女「それじゃ、電気消すぞ」

幼馴染「はーい」

パチッ

幼馴染「…ねぇねぇ」

女「何だ?」

幼馴染「本当、女って家事とか完璧なんだね。意外すぎて今日は驚きまくりだよ?」

女「まぁ、一人暮らししたいって切に思ったしな…切に…」

幼馴染「でも、それなら絶対いいお嫁さんになれる!」

女「お嫁さん…んー?」

幼馴染「どうしたの?」

女「いや…なんか恋とか無かったし、そういう話は実感湧かないっつーか…こういう家事も誰かのためにじゃなくて、俺自身のために覚えた訳だし」

幼馴染「なるほどなるほど、納得」

女「結婚どうこう以前に、できなくて困るよりかはできた方がいいだろう?」

幼馴染「うぐ、女が眩しい…」

女「…お前もせめて洗濯ぐらいはできるようにしようぜ」

幼馴染「…うん」

女「ふわぁー…ねみぃ…すまん、先に寝るわ」

幼馴染「おやすみー」

幼馴染(…ふふふ、私はこの布団の香りでも)ガバッ

幼馴染(予想通りのいい香り…ふぅ)スンスン

幼馴染(ん、でも確かにいい香りだけど…)スンスン

幼馴染(…心地よくて暖かくて…ときめくってよりも、どこか安心できるなぁ。眠気が…)スンス…ン

幼馴染「ふわぁー……」

———

女「……」コソーリ

女(幼馴染は…)

幼馴染「zzz...」

女(寝てるな。布団に入ってくる、ぐらいしそうな予感もしたが…杞憂だったか)

女(よし、どこだっけアレ)ガサゴソ

女(…あったあった。よっ、ネコちゃん)ヌイグルミー

女(なんだかんだ言って、お前抱かないとよく眠れないなぁ…流石に、いくら幼馴染でもこればっかりは見せれないし)

女(…まぁ、小学校からの付き合いだしな…お前。あいつがいるけど、今日もよろしく)ダキッ

女「おやすみ…」

———

幼馴染「zzz... ん…むにゃ…はっ、ちょっと意識が…」

幼馴染(時間は…2時。寝てるかな? 流石に寝てるよね?)

幼馴染(危うく女の布団に潜入するのを忘れそうになりそうだった…危ない危ない)

幼馴染(起きてないと思うけど一応近づいて…)コソーリ

幼馴染「……え?」

女「zzz...」ギュー

幼馴染(ネ、ネコのお人形をガッチリホールド!? ね、寝る時持ってなかったよね?)

幼馴染(…ところどころ直してる跡がある。大切な物かな? 結構大きいし直すのも大変そう)

女「ん…」ギュゥー

幼馴染(…何このかわいい生き物。これがいつも『うっせーな』とか言ってるの? 何それありえない)

幼馴染(…あ、でも、確かに寝相はあまり良くないからちょっと服が肌蹴てお腹のところが見えて…おお…)

女「うぅん…」モゾモゾ

幼馴染(あ、寒そう。布団はちゃんとしないと)ヨソヨソ

幼馴染(…って、何このギャップ。女ちゃん私を[ピーーー]気なの? なんでいつも男らしい態度なのに寝てる時はこんなに女の子してるの?)

幼馴染(あわよくば太もも辺りも感触を確かめようとしたつもりが、隣で寝顔を楽しむことになっちゃうなんて…でも起こしたら悪いし…)

女「……」フニャッ

幼馴染(うん、これは仕方ない内容だよう…)ホッコリ

幼馴染「……」チラッ

女「zzz...」ギュー

幼馴染(うわぁ、本当にぎゅって抱きしめてる)

幼馴染(…ちょ、ちょっとだけ人形を引っ張ってみたら…?)ググッ

女「…んぅー…!」ギュゥゥゥ

幼馴染「」ズキューン

幼馴染(だ、だめだってこれ、反則だって。レットカード、レットカード。退場は絶対させないけど)

幼馴染(…これだけ寝てるし、頭撫でても大丈夫だよね)

幼馴染(うあ、サラサラ…これがアジアンビューティー…)

幼馴染(っていうか、女ちゃんのかわいさが天元突破して私の自信が地に落ちそうなんだけど…)ズーン

女「……」ニコッ

幼馴染(自信なんかどうでもいい! 眺めたい、この笑顔!)

——数十分後——

幼馴染「天国と天使はここにあったんだねー…」ホッコリ

幼馴染(…あ、2時半。もう30分も…もうちょっと弄りたいけど、寝てるの邪魔しちゃ悪いもんね…)

幼馴染(これは写メ撮っても仕方ない、仕方ないね。音はなるべく漏れないようにして…)カシャ

幼馴染(…よしっ! 起きたらこれ、女ちゃんに見ーせよっと。…ふふふ、どんな反応するかなー♪)

幼馴染(色々とごちそうさまでした)グッ

ノロさんは症状も治まってきたし大丈夫。心配してくれた人の優しさに号泣。
免疫つけるためにも睡眠時間はしっかり取るようにしないと…現在時間で矛盾してるけど。

女「んぁ、朝か…」

女(…幼馴染は寝てる。ぬいぐるみは早めにしまって)ガサゴソ

女「おーい、起きろ」

幼馴染「…むにゃ」

女「起きろ、朝だぞ」

幼馴染「ふぁー、あと5時間ー…」

女「昼じゃねぇか!」

幼馴染「いやー、だってー…この布団いい香りするし…」スンスン

女「…他人の布団って当たり前に顔を近づけさせて匂い嗅ぐ物か?」

幼馴染「違うの?」

女「…間違ってるのは俺なのか?」

幼馴染「…あ、女ちゃーん。これこれー」

女(無視か…)

女「いきなり携帯取り出して何だ?」

幼馴染「写真撮ったんだけどねー」

女「写真? くだらない物が映ってるとかじゃないよな」

幼馴染「かわいい物だよ?」

女「…へぇ。ちょっと見たいかもしれん」

幼馴染「はい、どーぞ」

女「どれど…」

『ネコ柄装着のスレンダー美人がネコのぬいぐるみをギュっと掴んで寝ている写真』

女「」

女「」

幼馴染「本当、いい感じに撮れて私大満足」

女「」カァァァァ

幼馴染「…女ちゃん、顔が沸騰してるよ? かわいいよ?」

女「っ! お、おま、お前! こ、これ…い、い、何時撮った!?」

幼馴染「午前2時ぐらい!」

女「なんで起きてるんだ!?」

幼馴染「んーと、布団に入り込みたいっていう思い…かな? 一度寝たけど」

女「やっぱりそういうこと考えてたんだなーってなんでそうなるんだよぉぉぉぉ!」ジタバタジタバタ

幼馴染(そうそう、この反応! この反応が見れれば後1年は戦える!)

女「うわぁぁぁぁ、見られた見られた見られたぁぁぁぁ!」ゴロゴロゴロゴロ

幼馴染「ごちそうさまでした♪」

女「お、幼馴染ぃー!」

幼馴染「何?」

女「絶対、絶対誰にも言うなよ? フリじゃないからな、絶対だからな!?」

幼馴染「そこまで私は鬼畜じゃないよ。…この写真は一生保存させて頂くけど」

女「その携帯をよこせェー!」

幼馴染「やだ! それに携帯のデータ消しても、既に家のパソコンのメールに画像添付して送ってるしもう手遅れだよ!」

女「……」

幼馴染「…あれ、なんで頭に手を置いて…まさか!?」

女「……」グググッ

幼馴染「あだだだだだだ、やっぱり!? し、しかも昨日より痛い!? あああああ、ちょっとまってそれ以上は圧迫できな…!」

女「……」グググッ

幼馴染「アッー!」

レットカードはただの誤字です、ごめん。

女「……」モグモグ

幼馴染「ううー、頭蓋骨ににヒビ入ってそう……って、あれ? 私の朝ごはんは……?」

女「……」プイッ

幼馴染(お、怒ってる。絶対怒ってるよ……これ)

幼馴染「えっと……うん、その……」

幼馴染「すいませんでしたァー!」

女「……誰にも教えるなよ」

幼馴染「それは勿論、あの写真データは消さないけど!」

女「分かった、目玉焼き没収な。俺が食う」

幼馴染「ああー!?」

女「トマトとキャベツのサラダとソーセージとパンだ、十分だろ」

幼馴染「卵がぁ……」

女「うん、朝は目玉焼きだよなー。美味い美味い」

幼馴染「……やっぱり怒ってる?」

女「……まぁ、こっちも浅はかな行動だったとは思ってる」

女「だがそれとこれとは別だ。どうせアレをダシに色々言って来るつもりなんだろ」

幼馴染「勿論!」

女(正直すぎて殴りたい)

幼馴染「で、なんで人形抱いて寝てたの?」

女「ああ、それは……その、なんだ」

女「あれ抱いて寝ないと安眠できないんだよ……」ボソッ

幼馴染「えっ? 何? 聞こえない、もっと大きな声で言って欲しいなー」

女「うっぜぇなオイ。っつーか全く反省してないだろお前」

幼馴染「反省してまーす」

女「絶対してないだろ……」

女「……で、アレだ。小学校の頃からあの人形抱いて寝ないと落ち着ついて寝れないんだよ。これでいいだろ」

幼馴染「へぇ、小学校……って、あっさり言っちゃったね。それにとってもかわいい属性をお持ちで」

女「属性がどうとかは意味が分からんが、今更お前に隠してもなぁ……」

幼馴染「なるほど、でもかわいいからいいんじゃない?」

女「かわいい……か?」

幼馴染「いや絶対かわいいって、ほらいつ見ても天使じゃん」パカッ

女「オラァ!」ドゴォ

幼馴染「ぐふっ!?」

幼馴染「ちょ、食後にお腹にグーは……」

女「なんで携帯の待ち受けにしてんの? お前俺の精神削るつもりなの? 外見は平然としてるけどこれでも内心凄い恥ずかしいって思ってるからな?」

幼馴染「じゃあ……あの写真私の友達全員に一斉送信か、携帯の待ち受け変えるかどっちがいい?」

女「んな理不尽な……」

幼馴染「どうする?」

女「なんかお前ならマジでやりそうだし、携帯の待ち受けぐらいなら許すか……だけど絶対に他の人に言うなよ」

幼馴染「いよっしゃー!」グッ

女(なんで喜ぶんだよ)

女「で、本日も休みで予定欄が白紙だが」

幼馴染「喫茶店行こうよ喫茶店。昨日話してたあそこ!」

女「時間潰しにはいいな、そうするか」

幼馴染「じゃあ、決まりだね。じゃあちょっと化粧して……」

女「するのか?」

幼馴染「えっ」

女「えっ、普通洗顔と化粧水ぐらいで十分だろ?」

幼馴染「……」

女「……どうした?」

幼馴染「女性の大半を敵に回しちゃったね、女……」

女「いや、お前だって見た感じそういう類なんだけど。あえてするなら……そうだな、貸してみろ」

幼馴染「あ、ちょっと」

女「どれ」

幼馴染(か、顔! 女、顔が近いよ!?)

女「ふーん……これなら頬をちょっとだけやって、睫は軽く……」

——数分後——

幼馴染「……」ポケー

女「これで十分だろ」

幼馴染「……なんで、なんで化粧も上手いの!? 女、どれだけ私の自信ぶち壊すつもりなの!?」

女「元がいいからやりやすいんだよ」

幼馴染「それって、口説いてる? 惚れちゃうよ?」

女「んなわけあるかアホ、どうやって恋愛感情持てっていうんだよ」

幼馴染「むう、友達の壁が厚い」

女「……度が外れない以外は一番の親友のつもりなんだがな」

幼馴染「えっ?」

女「なんでもない。ほら、行くんだったらさっさと行くぞ」

幼馴染「あ、うん」

幼馴染(い、一番の親友……女に言われると結構嬉しいかも)ドキドキ

スマン、年末の残業祭りで時間もモチベーションも皆無だった
一応仕事は一区切りついたから今後はぼちぼちとやっていけるかも
関係無い話だが……それにしても寒いな本当、北陸や北海道の人は凄いと思う今日この頃。

女「……」

幼馴染「……」

女「確かお前、さっき思いっきり喫茶店言ったよな」

幼馴染「……」

女「まぁ、確かに喫茶店みたいなレストランだけどさ……」

幼馴染「あー、もー。それはいいからー。確かに間違えました間違えたんですー!」

女「はいはい」ガチャリ

カランカラーン

店員「いらっしゃいませ」

女「2名で」

店員「お好きな席へどうぞ」

女「雰囲気とかは完全に喫茶店だからまぁ、しゃあない」

幼馴染「だってメニューとか完全に飲み物寄りだし」

女「そも喫茶店で何も違和感を感じなかった俺も悪い」

幼馴染「じゃあ奢って」

女「その頭の中ちょっと見たいな、どうしてそうなる」

幼馴染「あ、財布は女の家に置いてきたから♪」

女(あ、確信犯か……)

幼馴染「ふっふーん、これで嫌でも奢ってくれる——」

女「ほらよ、エプロン」

幼馴染「えっ?」

女「頼んだ分だけ手伝って来い」

幼馴染「えっ、いや、なんでエプロンがここに?」

女「……こういうネタをするためだ」

幼馴染(するんだ……)

女「で、何を頼むんだ?」

幼馴染「パフェ! それとコーヒーかなー」

女「一応聞くが、パフェは何を頼むんだ」

幼馴染「えーと、じゃあね……このジャンボストロベリーパフェ(2000¥)を!」

女「Pardon?」

幼馴染「このジャンボストロベリーパフェを」

女「Pardon?」

幼馴染「ジャンボストロベリーパフェ……」

女「dead or alive」

幼馴染「酷い!?」

女「なんで財布忘れたお前のためにパフェだけで二千円も使わないといけないんだよ」

幼馴染「そこは幼馴染のよしみってところで。それにほら、親友じゃん」

女「この様子じゃ友達にランクダウンも近いな」

幼馴染「ぐっ……流石にこれ以上はがめついよね。じゃあこのミニチョコレート……」

女「俺も食べていいんなら別にあれ頼んでもいいけど」

幼馴染「えっ?」

女「俺も食べていいんなら別に頼んでもいいけど。二人で一つってことで」

幼馴染「本当?」

女「っていうか、ジャンボパフェ食えるの? 軽く4人分の量だよアレ」

幼馴染「……女、一緒に食べようね!」

女「実は頼んだこと無いだろお前」

幼馴染「バレたか」

女「二千円もするパフェって時点で察しとけ……あ、すいません。コーヒー2つにジャンボストロベリーパフェを1つ」

店員「かしこまりました」

『ジャンボストロベリーパフェ』

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

幼馴染「」

女「改めて見て、一人で食う気はあるか?」

幼馴染「……無い」

女「ちゃんとスプーンも2つあるしな、じゃあ頂こうか」

幼馴染「うん」

——少し後——

幼馴染「やっぱり美味しいなー」

女「シロップもアイスも全部苺尽くしだもんな、ほら、これなんか苺のゼリー」

幼馴染「そんなのもあるんだ」

女「ジャンボパフェ限定だからな。食うか?」

幼馴染「ゼリーかー、どこにあるかなー」

女「ほら、これだよ」ズイッ

幼馴染「……へ?」

女「いらないのか?」

幼馴染(あれ、これってもしかして。俗に言う『あーん』……?)

女「……いらないなら俺が貰うが」

幼馴染「い、いるから! あ、あーん……」

女「よっ」

幼馴染「」パクリ モグモグ

幼馴染(な、なんかナチュラルに『あーん』してもらっちゃった……!)

女「どうだ、美味いだろ?」

幼馴染「あ、う、うん。美味しいね」

幼馴染(なんか普通の対応すぎて忘れてたけど……これ、私の立場からしたら完全にデートだよね。完全に私得だよね!?)

幼馴染(うん、なんだかんだいって女は優良物件だし、こっちの悪ふざけとかも付き合ってくれるし、私が実は百合でした、みたいなこと言ってもあまり引いた感じしてないし……)

幼馴染(物件が優良どころかサポートも最高とか最強すぎる…!)

女「お、またあった。もう1個いるか?」ズイッ

幼馴染「勿論♪」アーン

幼馴染(正に至福の一時……)


女「流石の量だったな」

幼馴染「最初来た時は結構びっくりしたよ……」

女「甘いものは別腹って言うが、こいつに関しては……」

幼馴染「でも、ここのコーヒー程よい苦さでパフェに合うし、別腹じゃなくても食べれちゃうね」

女「そうだな」

女「じゃあ、会計でも」

幼馴染「あ、待って。私が払うから」

女「財布忘れたんじゃなかったのか?」

幼馴染「あれは冗談だって。今日は色々女にやりすぎたってのもあるからね」

女「……ああ、そうだな。『アレ』は俺からしたら酷いってレベルじゃない」

幼馴染「だから謝罪の意も込めての奢りだって」

女「そうか、なら止めはしない」

幼馴染(本当は別の意味なんだけどね)チャリーン

店員「ありがとうございました」

カランカラーン

女「……で、どこ行く?」

幼馴染「……どこ行こう?」

女「また予定欄が白紙か」

幼馴染「映画とかは?」

女「映画? 今は何やってるんだっけか」

幼馴染「今のところ……ホラー系とかそういうのが——」

女「おし、映画はやめよう」

幼馴染「え、でもこれ結構面白——」

女「ほら、映画館ちょっと遠いしさ、それよりも俺の家でゲームするか? この前新作のゲーム買ったからさ、一緒にやろうぜ」アセアセ

幼馴染(……ほう)ニヤリ

幼馴染「コレ見に行こうよー、和のサイコホラーだって」

女「け、携帯の画面を押し付けるな……そんなの、また今度でいいだろ」

幼馴染「でも、私はこれ今見てみたいな」

女「じゃあ一人で行けばいいんじゃ……」

幼馴染「」ニコニコ

女「ない……っておいぃぃぃ! 準備万端な添付付きメールの一斉送信のボタンはなんだ!? いつのまに準備した!?」

幼馴染「dead or alive」ニコニコ

女「う、うう……行けばいいんだろ、行けば……クソッ」

幼馴染(なんかゾクゾクする……!)

——映画館——

幼馴染「大人2枚でお願いしますー」

販売員「丁度ですね、どうぞ」

女「……あー、来ちまった」

幼馴染(ずっと肩落としてた……そんなに嫌だったのかな)

女「……なぁ、本当にコレ見るのか? 本当にコレ見るのか?」

幼馴染「うん、どれだけ怖いか見てみたいじゃん?」

女「見たかねーよ!? なんでホラーなんて見ないといけないんだよ……」ビクビク

幼馴染(でも、震えてる女見たさに来たから嫌でも見させるけどね)

幼馴染「もうすぐ始まっちゃうよ、早く入ろ?」

女「やっぱり帰——」

幼馴染「」ニコニコ

女「……すみません。見ますから、そのボタン押すのは止めてください」

幼馴染(人の弱み握るってこういう感じなんだ……癖になりそう)

女「……」ビクビク

幼馴染「あ、始まるみたいだよ」

女「そ、そうか」

幼馴染「楽しみだねー」

女「楽しみじゃねーよ……」

—————

幼馴染(……展開がありがちなのに演出がやけに怖い。女は大丈夫かな?)

幼馴染「女ー」

女「いやだいやだ何も聞こえない何も見てない怖くない怖くない怖くない……」ブツブツ

幼馴染(...oh)

『きゃああああああああああああ!!』

女「きゃあああああああああああ!?」

幼馴染(うわっ、乙女の声だ!?)

女「怖くない怖くない怖くない怖くない」ガタガタガタガタ

幼馴染(……ここまでとは思わなかった。なんか、ごめんね。本当にごめんね)

——上映後——

幼馴染(ふ、普通に怖かった……)

幼馴染「やっと終わったね……女?」

女「……」ガクガクブルブル

幼馴染(最早携帯のマナーモード)

幼馴染「……えっと、帰ろうか」

女「……」コクコク

幼馴染(……あれ、この状態だと手繋ぐの余裕そう?)

幼馴染「じゃ、手繋いで——」スッ

女「……」ギュ

幼馴染(仕草がかわいすぎて鼻から愛が溢れそうだった)

幼馴染「というわけで女……あれ?」

女「……スゥー、ハァー……」

幼馴染「えっと、急に深呼吸って……あ、落ち着いてきた?」

女「オラァッ!」ズンッ

幼馴染「げふっ!? な、なんで……腹パン……」

女「俺、アレ見たくない言ったよな!? お前、俺じゃなかったら激怒してもおかしくないことしてたっつうの!」

幼馴染「わ、分かってるって。だからちょっと反省してたのに……うう、痛い……」

女(ちょっとかよ)

幼馴染「でも、そこまで怖いものが嫌いだなんて思っても無かったし……」

女「だが、俺が行かざるを得ない状況にしたのは誰のせいだ?」

幼馴染「はーい、私ー」

女「反省の色が全く見えねぇ!」ガツン

幼馴染「あだっ!? 脳天も痛いよっ!」

女「知るか……てかさ、お前ドSなの? なんでそういうことするの?」

幼馴染「女がドMかなって思って……ごめんなさい、手降ろしてくださいお願いしますただ泣き顔が見たいだけでした」

女「やっぱりドSじゃねぇか!? そんな性格じゃ友達少ないだろ、お前」

幼馴染「友達なら十分いるもん。大体20人ぐらい」

女「……意外といるんだな」

幼馴染「こういうことするのは女にだけだけどね」

女「なんでだ」

幼馴染「好きな人ほどちょっかい出したくなるとかそういう」

女「人のトラウマ抉るとかちょっかいってレベルじゃないんだが……それに、Love的な意味かそれは」

幼馴染「もちのろん」

女「片思い乙」

幼馴染「両思いになればいいじゃないー、いいじゃないー」ダキッ

女「なるかボケ。っていうか腕に組みついてくるな、歩き辛い」

幼馴染「歩き辛い、なら進める事はできる訳だね。じゃあこのままで」

女「……面倒臭え、早めに離れろよ」

幼馴染「はーい」

幼馴染(……こちらとしては、面倒で済まされていいのかなぁ。ま、いいかー)

幼馴染「……さっき事は本当にごめんね。ちゃんと反省するから」

女「……謝るやつを許さないほど俺は鬼じゃない。でも報復はするからな」

幼馴染「い、痛いのはやだよ?」

女「大丈夫だ、お前の嫌いなしいたけ料理作るだけだから。是非完食してくれると俺は嬉しいなぁ……」

幼馴染「し、しいたけとか無理無理無理! 絶対無理だから! あんなの食べ物じゃないって!」

女「じゃあ、お前から借りてるゲームのデータ全部消すわ」

幼馴染「食べます、食べさせてもらいます」

女(ゲームのデータで折れるのか)

女「っていうかお前がやったことよりも大分軽いだろうに、素直に食えよ?」

幼馴染「う」

女「……二度とホラー映画は見ないぞ。いいな」

幼馴染「……はーい。ところで、もう大丈夫なの?」

女「……外は明るいからな、明るいって素晴らしいな。うん」

幼馴染(ああ、そういう)

女「……」

幼馴染「……」

女「何か会話のネタねぇかな」

幼馴染「うーん、女が私にどうやったら恋愛感情持ってくれるかとか」

女「残念だがそれはない」

幼馴染「ちぇっ」

女「……何かないか?」

幼馴染「そういえば女の方はどうなの? 友達の数」

女「少ない」

幼馴染「そこ、キッパリ言うところなんだ……」

女「だって、男として学生してきた訳だろ? 学校以外で触れ合う友達とか全くと言っていいほど……あ」

幼馴染「あ、って居るの?」

女「ああ、女子高の時だけど。確か後輩で俺に告白してきたけど振ってだな……『だったらお友達でも構いません!』って言った子が」

幼馴染「Here comes a new challenger」

女「何のだよ」

幼馴染「勿論恋の」

女「……いや、ないない。だってその時は『男』で通してたから。お前のような感じじゃないだろ」

幼馴染「同性愛は割とありふれて——」

女「ないと思うが? ……ん、なんか見覚えのある人が」

後輩「……あれ、先輩?」

女「あっ」

幼馴染「あっ」

幼馴染「なるほどこの子が後輩ちゃん、と」

女「そうだな、噂をすればなんとやら」

後輩「えっと、先輩……ですよね? なんで女物の服を? しかも凄く似合ってますし……」

女「質問が多い。実はかくかくしかじかでな」

後輩「まるまるうまうまなんですか……って分かりませんよ!?」

幼馴染「甘いね、それで分からないとこの先生きのこれないよー」

後輩「そ、そうなんですか?」

女「んなわけあるか、冗談だって。しっかり話すとだな——」

——説明中——

後輩「じょ、女性だったんですね」

女「そうそう」

幼馴染「で、私が中学からの女の幼馴染だよー」

後輩「そちらも先輩だったんですね。……中学からって幼馴染ですか?」

幼馴染「幼馴染でいいの!」

女「……こいつの事に関しては、そういうこった」

幼馴染「って、簡単にバラしちゃっていいんだ。性別の事」

女「日常で男装は勘弁だし、1人バレたらなんかどうでもよくなった」

後輩「どっちの格好でも似合ってますよ?」

女「そういう問題じゃないんだけどね。ってかあんまり驚かないんだな」

後輩「いえ、十分驚いてますけど」

女「まぁ、そういう訳なんだ。何か騙しててごめんな」

後輩「い、いえっ! 事情があったのなら仕方ない事ですし……」

女「そう言ってくれると助かる」

後輩「そういえば、先輩達は何をしてたんですか?」

女「ちょっと映画行っててな」

後輩「2人でですか?」

幼馴染「そうそう、あの時の女はそれはもう——」

女「うらっしゃぁぁぁぁぁ!」ドカッ

幼馴染「かはっ!?」

後輩「ど、どうしましたか先輩!?」

女「いやなんでもない。なんでもないんだ」

後輩「そ、そうですか」

女「……今はこっちも暇でな、良かったら俺の家に来るか?」

後輩「……いいんですか?」

女「勿論」

後輩「それもですけど……幼馴染さんの方も。倒れてますよ?」

女「あと3秒ぐらいしたら復活するだろ。3……2……1……」

幼馴染「おおお……入った、今までで一番鋭いのが入った……!」

女「な?」

後輩「……でも、凄く痛そうですけど」

女「わざと痛くしたからな」

幼馴染「……ふ、ふぅ、痛みが引いて——」

女「誰が終わったと言った?」ガシッ グググッ

幼馴染「え、ちょっとまって、追撃のアイアンクローとか聞いてなあああああああ!?」

後輩「せ、先輩……幼馴染さんがかわいそうですよ。そこまでにしておいた方が」

幼馴染「」プラーン

後輩(の、のびてるー!?)

女「映画の時の仕返しだ。これぐらいしないと気が済まん」

後輩(何したんだろう……)

女「流石に倒れたのを置きっぱなしにはしないけどな。さて、俺の家に行くか……よっと」

後輩(あっ、先輩のおんぶ……幼馴染さんいいなぁ)

後輩「あの、背負ってて重くないですか?」

女「女性相手に重いってのはいいのか?」

後輩「気絶してますし、大丈夫です」

女「お前もお前でちょっと酷いな。まあ重い軽いに関しては、大丈夫だ。このまま行く」

後輩「そうですか」

後輩(……いいなー)

幼馴染「」プラーン

後輩「……幼馴染さん、良い体型してますね」

女「羨ましいな。今でもちょっと憎い物が発する感触が背中に……って、お前も十分いいだろ」

後輩「そうですか?」

女「そうですか、じゃない。なんでそう育つんだ?」

後輩「普通にしてたらこれぐらいは……あっ」

女「普通、普通……かぁ。男装してたから育たなかったのか……?」ズーン

後輩「ご、ごめんなさい」

女「いや、大丈夫。あんまり暗くならないようにっては思っているんだが、どうも胸について考えてしまうとな」

後輩「体型に関しては本当に人それぞれですからね」

女「……そうなんだよな、どうこう言ってもなんとかなる訳じゃないし」

後輩「でも、先輩も先輩で魅力的な体型ですよ?」

女「俺が?」

後輩「女性でもかっこいい人はかっこいいじゃないですか。先輩は正にそれですよ」

後輩(口調も合わさって尚更、普通にかっこいいですし)

女「自分自身ではそう思いづらいが……そう思っといた方がいいか」

後輩「そうですって」

女「でもやっぱり背中の感触を思うとなこう、なんだ、俺もこうあって欲しかったなと……」ブツブツ

後輩(ああっ、先輩がまた暗く……)

女「着いた着いた」

後輩「ここが先輩の家ですか、結構普通なんですね」

女「家ぐらい普通でいいんだよ、普通で。よっ……おぶってると鍵開け辛いな」

後輩「開けましょうか?」

女「いや、いい。……よし、あがっていいぞ」

後輩「お、お邪魔します」

幼馴染「」グッタリ

女「さて、まずはコイツを寝かすか。とりあえずそっちがトイレで、あっちが居間。んで、こっちが俺の部屋だ」

後輩「分かりました」

——女の部屋——

女「すまんな、ちょっと散らかってるかもしれない」

後輩(私の部屋に比べると余裕で綺麗です……お人形さんもあるんですね、かわいいです)

幼馴染「」バタンキュー

女「これでよし……ってもうこんな時間か。買い物に行かないとけないな。すまん、しばらくそいつ頼む」

後輩「えっ? ちょ、ちょっと先輩!?」

女「悪い、近くのスーパーがタイムセールだってことすっかり忘れてたんだ! 待つ暇は無い! すぐ戻る!」ドタドタ

後輩「ああ、ちょっと……行っちゃいました」

幼馴染「……むにゃむにゃ」

後輩(先輩のベッドで寝てるなんて羨ましいです……むう)

後輩「……えいっ」ビシッ

幼馴染「あうっ!?」

幼馴染「……はっ、ここはどこ? 私はだれ?」

後輩「先輩の家ですよ、幼馴染さん」

幼馴染「あ、後輩ちゃん。何か凄いのが入ってからあまり私の記憶が無いんだけど、何かあった?」

後輩「えっとですね……」

幼馴染「ぐぬぬぬぬぬぬ、しいたけ食べることでチャラって言ったのにー! しかもおんぶされるなんて初めてだったのに、意識が無かったなんて……!」

後輩「そうですね。おんぶされるなんて、羨ましいです」

幼馴染「えっ?」

後輩「えっ?」

幼馴染「ごめん、もう1回同じこと言ってくれるかな」

後輩「先輩におんぶされるなんて本当に羨ましいです」

幼馴染「えっ?」

後輩「えっ?」

幼馴染「……羨ましいんだ。っていうかそう言っちゃうんだ」

後輩「先輩のことは好きですし、別に先輩に知られなければ恥ずかしくないです」

幼馴染(何この子、地味なようで凄いズレてるような。そんな凄みがある)

幼馴染「えっと、ああ。後輩ちゃんって昔、女に告白して振られたんだっけ?」

後輩「……なんで、知ってるんですか」ギロリ

幼馴染「お、女が教えてくれたからだよ」ビクッ

後輩「先輩が教えてたんですか、納得しました」

幼馴染「……もし女から知ってなかったら?」

後輩「私と先輩だけの秘密だったのでちょっとアームロックしようかと思いました、分単位で」

幼馴染「それ以上はいけない!? っていうか私も先輩なんだけど!?」

後輩「幼馴染さんは幼馴染さん、先輩は先輩です!」

幼馴染「おとしやかな子だと思ったのに……しかも意外と黒いところもあるとは、侮れない子……!」

幼馴染「……で、今は友達として付き合ってるんだよね」

後輩「そうですね、私としては先輩と恋人的な意味で付き合いたかったんですけど……」

幼馴染「なるほどねぇ……けど?」

幼馴染(ああ、『先輩が女性だったなんて……』っていうことかな?)

後輩「まだ若干、諦めきれないんですよね。私は先輩が女の子でも大丈夫ですが先輩がどう思ってるのか考えると……」

幼馴染「ぶっ!? 後輩ちゃん、もしかして……あっちもそっちもいける子なの?」

後輩「違います、先輩だからいいんです。愛があれば性別は関係ありません!」

幼馴染「言い切るなんて……」

後輩「でも先輩の前では言えないんですよね……」

ガチャ

女「……」

幼馴染「あっ」

後輩「えっ」

女「……」

幼馴染「お、おかえり」

後輩「せ、先輩おかえりなさい」

女「……」ガシッ

後輩「せ、先輩? 私の肩を掴んでどうしたんですか?」

女「……ブルータス、お前もかぁぁぁぁぁぁぁ!」

後輩「」

幼馴染(聞いてたんだ……)

後輩「……変な反応されなくて喜んでいいんでしょうか。むしろ反応してもらえなくて悲しむべきでしょうか」

幼馴染「……女だもん。一応受け止めてくれるから朴念仁じゃないけど、なんか虚しいよね」

後輩「……」

幼馴染「……そういえば、女の料理凄い美味しいんだよね」

後輩「先輩の弁当ちょっと貰ったことありますから、知ってますよ」

幼馴染「わ、私貰ったこと無いなぁ」

後輩「実は私も1回しか貰ってないんですけどね……他の人がまず来ますからあまり一緒に食べれませんでしたし」

幼馴染「そっかー」

後輩「……」

幼馴染「……」

後輩「……なんで幼馴染さんは先輩が好きなんですか?」

幼馴染「あー。それはね、私って女にしか興味無くて、男だと思ってた女の事知っちゃってねー。友達関係がそりゃもうドキュンと」

後輩「は、はぁ……レズって言うんでしたっけ」

幼馴染「せめて同性愛とかもうちょっと優しい言い方がいいかなぁ。そういう後輩ちゃんは?」

後輩「え、えっと……最初会ったときに……その」

幼馴染「ははーん、一目惚れ?」

後輩「……そうです」

幼馴染「女も罪な人だねぇー」

後輩「先輩が悪いんですよ……」

幼馴染「まぁ、そんな女だからいいんだけどねー。後輩ちゃんは同性愛ってどう思ってるの?」

後輩「さっきも言いましたが、愛があれば性別なんてどうでもいいです」

幼馴染「……」ガシッ

後輩「……」ガシッ

幼馴染「うんうん。性別なんて関係無いよね、一瞬だけだけど凄く共感できたよ」

後輩「私は先輩がいいってところに共感したんですが」

幼馴染(一致していたと思った想いがズレてた。恥ずかしい)

幼馴染「……い、いいじゃない同性愛」

後輩「否定はしませんけど、男女の付き合いが普通の世の中で公に言うことではないと思います」

幼馴染「うう、後輩ちゃん、なんかキツくない?」

後輩「幼馴染さんはどうでもいいですが、先輩には優しくしたいですし、してもらいたいです」

ガチャ

女「おーい、ちょっと手伝ってくれな——」

幼馴染「私だって女の肌とか太ももとかペタペタすりすりした……」

女「……」

後輩「……」

幼馴染「……あ」

女「ここにしいたけが1個あるんだがつまみ食いでもどうかい?」

幼馴染「何で持ってるの!? っていうか無理無理! 調理しても食べれない物を生でとかってしいたけって生で食べれる物だっけ!? さっきの発言は撤回するからごめんなさいっ!」

女「そういうのはいいからいいから。後輩、頼む」

後輩「了解です先輩!」ガシッ

幼馴染「あああ、ちょっとま……って後輩ちゃん以外と着痩せするタイプ? 見た目以上に立派なのをお持ちで」

後輩「……先輩、やっちゃってください。……先輩?」

女「それ以上あるとか……卑怯だろ、クソッ……クソッ」ズーン

後輩「先輩ー!?」

幼馴染「ふふん、でもこのサイズは私の方がちょっとだけ大きい感じかなー」

女「……そうかそうか」

後輩(……向けられたターゲットが替わったような気がします)

女「じゃ、口開けろー」グググッ

幼馴染「嫌いなもの前にして口開くとかありえな——」

女「チャンス」ガバッ

幼馴染「んー!?」モゴモゴ

女「……生のしいたけは美味いか? 俺は生で食ったことないから感想を一つ」

幼馴染「んーんー! んー!」フルフル

女「青ざめるほどダメなのか、じゃあやめよう」

幼馴染「げほっ、げほっ……うえぇー、舌で舐めちゃった……口洗お……」

後輩「先輩も先輩でえげつないですね、しかも食べ物で遊ぶのは流石に……」

女「食べ物で遊んだ分しっかり美味く作るから許せ。で、手伝ってくれるか?」

後輩「先輩の頼みなら何でも大丈夫です」

女「いや、何でもはアウトだと思うが」

後輩「何でもいいんですよ?」

女「何故そこで期待の眼差しをするのか理解できてるんだが、意識したくないってのが本音だ」

後輩「……私は先輩が好きなんですよ」

女「Loveか」

後輩「Loveです」

女「悪いな、俺はお前に対してもlikeだ」

後輩「……厳しいですね」

女「誰かと愛し合うっていうよりかは楽しく過ごしたいってのが俺だからな。後は恋愛的な感情が枯れてるし、お前の期待には答えれんだろうな」

後輩「うー、先輩ー」

女「だけど、こうやって一緒に過ごすのは歓迎だ。それでいいのなら俺はお前の思いに対して何も言わないさ」

後輩「じゃあ、同居とかは……」

女「同居? まぁ、お前が同居する余裕あるなら別に構わないが」

後輩「本当ですかっ!?」

女「本当も何もこの家主俺だし、一人暮らしだし。客室もあるから部屋だって十分だし」

後輩「先輩、これからお世話になります。よろしくお願いします」

女「早っ!? ……まぁ、そういうことだ」

後輩「先輩と同居……夢じゃないでしょうか……いたたた」ギュウゥゥ

女(頬を自分で抓りながら笑うって酷く変だな)

幼馴染「話は聞かせてもらったー! 私も同居するっ!」バーン

女「……お前もか」

女「お前も同居できる余裕があるなら別に構わんけど、だがな——」

幼馴染「いよっしゃぁ!」

女「最後まで聞け。俺の家の居間以外の部屋は客室と俺の部屋だけ。後輩に客室やるとなるとお前まで来るとなると部屋が足りん」

幼馴染「……あっ」

女「客室はベッド無くて敷布団だしお前らが同じ部屋で寝るなら」

幼馴染「む、むう、後輩ちゃんとかぁ……」

後輩「幼馴染さんとですか」

女「嫌か?」

後輩「いえ、別に私は大丈夫ですけど」

幼馴染「あれ、そうなの? いいの?」

後輩「先輩の家で暮らせるという時点で幸せなので」

女「そこまで言うか?」

後輩「そこまで言います」

女「じゃあ客室で2人が寝る。それでいいな?」

幼馴染「はーい」

後輩「分かりました」

幼馴染(あ、深夜辺りに部屋に行けば何も問題無いじゃん。そうしよう)

後輩(先輩の寝顔、見に行けるチャンスですね。深夜なら流石に先輩も寝てると思いますし、こっそりと……)

女「さ、作るぞ。しいたけ料理」

幼馴染「うえっ……そうだったぁ……」

後輩「美味しいですー♪」

女「うん、美味い美味い」

幼馴染「……ご飯と味噌汁以外鬼門だよう」

後輩「この焼き椎茸美味しいですね」

女「醤油風味でいいだろ? シンプルだけど中々」

幼馴染「……ひ、一口、一口……!」ガブッ

幼馴染「おぉうぁ……うぇぇ……!」

女「美味いか?」

後輩「あれが美味しそうに食べてるように見えますか」

女「わざとだよ」

幼馴染「……とても不味いでございます、うえっ」

女「本当に椎茸駄目なんだな」

幼馴染「人生食べれない物が一つぐらいあってもいいと思うよ」

後輩「幼馴染さんは椎茸ですけど、先輩は何か嫌いな食べ物ってあるんですか?」

女「……きゅうりだけはダメだ」

幼馴染「きゅうり?」

女「そうだ、アレだけは確定アウト、細く切ってサラダに入れてもダメだ。吐き気を催す危険な食べ物だからな」

後輩「吐き気って、アレルギーな訳では無いですし……」

女「拒絶反応起こしたように、口に入れて噛んだ瞬間に吐き気が起こる。そいつの椎茸嫌いと一緒だ」

幼馴染「そうそう、喉が押し返す勢いでね……やっぱりおかずが椎茸だけは酷くない?」

女「映画館での精神的な仕返しだ。物理的な仕返しはやったしな」

後輩(……本当に何があったんだろう)

幼馴染「……ごちそうさま」

後輩「ごちそうさまです」

女「あいよー。で、後輩はもう帰るか? 外暗いぞ」

後輩「あ、荷物とか色々ここに持って来たいですし、一度家に帰りたいですね」

女「……冗談抜きで今日から同居?」

後輩「はい!」

女「……まぁ、お前自身いいなら何も言わないけどな」

後輩「改めて、これからお世話になります。先輩」

幼馴染「私も着替えとか色々持ち出したいし、一度帰りたいな」

女「お前もか。そうだったら客室の収納とか色々片付けないとなぁ……大丈夫だっけか」

後輩(送ってもらいたいですけど、用事があるなら仕方ないですね)

幼馴染「もう暗いし、怖いから送ってほしいなー?」チラッチラッ

後輩(あざといです)

女「……あっそう、じゃあ掃除は後だ。まずは送り迎えかね」

後輩(折れた……!?)

後輩「あ、あの……先輩、私も送ってってほしいなって……その……」

女「勿論送る。記憶が確かなら後輩の家の方が遠いだろうし」

幼馴染「そうなんだ」

女「この時間だと不審者とかが問題だけど……まぁ、殺れば問題無いしな。人気無ければ尚良い」

幼馴染「そうだねー、殺れば問題無い無い! 正当防衛正当防衛」

後輩(えっ?)

女「それじゃ、皿を軽く洗ったら着込んで行くぞー」

幼馴染「おー」

後輩「……えっ?」

女「暗いな」

幼馴染「寒いね」

後輩「自転車じゃなくて徒歩で夜に外に出るのは全然無いですね」

女「冬の夜は異常に寒いが、歩くのも案外悪くない」

幼馴染「皆、白い息吐いてるねー」

後輩「うー、寒いです」

女「……手袋はどうした」

後輩「じ、実はその、忘れて……」チラッ

幼馴染「私も私も、ポケットに入れればまだ何とかなるけど」チラッ

女「そうか」

後輩「……」チラッ

幼馴染「……」チラッ

女「……」

後輩「……」

幼馴染「……」

女「……どうした?」

後輩「……手、つなぐとかしないんですね」

幼馴染「女心分かってないなぁ、女は」

女「俺女なんだけど。女心分かってないって言われても凄い困るんだが」

幼馴染「いや、どう考えても手つなぐ部分でしょ? ここは」

女「俺が知ってるライトノベルのような展開だと、どっちかを取って修羅場が展開されるっていうオチが見える」

幼馴染「そんなことならないって、たぶん」

女「そうは言うがな……それ以前に手繋ぎたいなら言えよ。つないでやるから」

後輩・幼馴染「「手、つないで(ください)!」」

女「あいあい」スッ

幼馴染「……手袋」

女「あー、もう、外せって言うんだろ。面倒くせぇな」

後輩(そう言いながら手袋を外してくれる先輩……流石です)

女「……満足か?」

後輩「先輩が手を握ってくれてる……」ポワー

幼馴染「温かーい♪」

女「お前ら手冷てぇな」

幼馴染「女が温かいんだよー。そうだよね、後輩ちゃん」

後輩「え……あ、は、はい。そうです、先輩が温かいんです」

女「あっそう。こちとら、手から体温が持ってかれるかのような感じだ。火属性が氷属性に弱いのはこういうことか……」

幼馴染「それって逆じゃないかな」

女「そこらへんゲームによって違うよな」

幼馴染「新しいRPGとかやる時勘違いしちゃうよねぇ……」

後輩「幼馴染さんも先輩もよくゲームするんですか?」

女「結構なゲーマーだな、俺もこいつも」

幼馴染「対戦ゲームだと修羅と化す!」

後輩「そうなんですか……」

幼馴染「後輩ちゃんはどうなのかな。ゲームとかってする?」

後輩「うーん……たまにするぐらい、です」

幼馴染「ふふふ、これは格ゲーで教育しがいがあるねぇ!」

女「夜だから叫ぶな。それにお前ん家見えてきたぞ」

幼馴染「あ、もう? 名残惜しいなぁ」

女「うちに居候するつもりの癖に何言ってるんだお前は」

幼馴染「せめて同居って言ってほしいな!? とりあえずまたねー」

女「人に持ってもらうような大荷物持ってくんなよ。じゃ、行くか」

後輩「は、はい」

女「……」

後輩「腕、案外細いんですね」ギュウー

女「腕に抱きつかれると歩き辛いんだが」

後輩「……ダメですか?」

女「歩き辛いだけでダメではないけどな」

後輩「じゃあ、このままでいいですよね?」

女「そうしとけ。……そうそう、後輩は俺のことが何で好きなんだ?」

後輩「そ、それは……あの時は女子高でしたから、唯一の学園の男性に憧れってのもありましたけど」

女「結局俺は女性だし、告白は断ったが。それはどうなんだ」

後輩「それでも、今日少し一緒して再確認しました。優しいですし、ちゃんと見てくれますし、それにかっこいいですし……」

女「……ちゃんと見てるっていうのか、それ」

後輩「朴念仁な方は、『期待には答えれないけど、お前の思いに対しては何も言わない』、的な言葉すら言わないと思います」

女「……そういや、漫画とか本見て思うんだが、あれだけちやほやされて返答無しもありえないよな。遠まわしに言いすぎなヒロインもそうだけど」

後輩「先輩はどうなんですか?」

女「好きですって言われたら、まぁ、諦めてくれとか言うしかないな。結局俺自身が何とも思わないし」

後輩「枯れてますね、先輩」

女「うっせぇ、これが俺だよ。それに恋愛とかってやっぱり愛とかうんぬんより行動とかも束縛されるっていうイメージが強いのもある」

後輩「そうなんですか……。私は一緒に居て迷惑ですか?」

女「極度な迷惑にならない程度なら、別に一緒に居ても。むしろそだとしたら俺から言うし」

後輩「そう、ですか。……じゃあ先輩は、優しいですね」

女「なんでだ? 遠まわしに『恋するなら別の人探せ』って言ってるようなものだろ。期待には答えれないんだぞ」

後輩「でしたら、こうやって腕に組み付いてるのを鬱陶しがらないのは何故ですか?」

女「お前は鬱陶しがられたいのか?」

後輩「質問に質問……いえ、それは嫌ですけど……」

女「じゃあ俺は何も言わないよ、極度な迷惑でもないし好きにしとけばいい」

後輩「そういうところが優しいって言うんです。やっぱり私、先輩が好きです」ギュウ

女「はいはい、やっぱよく分からないね……」

後輩「一緒に居るだけ、触れれるだけで幸せっていうのもあるんです」

女「そういうものかねぇ」

後輩「そういうものですよ♪」ギュウ

基本的にageたら今日はそこまで的な風に黙々と
こんな筆者得な内容で楽しんでもらえて、非常に嬉しいです

女「到着だ」

後輩「ありがとうございました! 用意してる間あがっていきませんか?」

女「いや、いい」

後輩「時間かかりますよ?」

女「……マジかい。じゃあ遠慮無く」

後輩「階段上がってすぐの部屋が私の部屋です」

女「後輩の家に入るのは初めてだな。案外いい家じゃないか」

後輩「でも、自分の家よりも他人の家の方がワクワクしますよね」

女「気持ちは分かる。で、お前はどこ行くんだ?」

後輩「ちょっとお母さんと話を」

女(……ああ、時間かかるってそういう)

女「分かった、待ってればいいんだな」

後輩「どうぞどうぞ。お母さーん、ちょっと話があるんだけど——」

女「おじゃましますよっと。……さて、上か」

——20分後——

女(予想と違って割と散らかっていたが、居心地はいいな)

女(後輩なら部屋は綺麗なイメージだったけど、多少散らかっても自分の部屋だしって俺も思うからなぁ……)

女(しかし……いいな、このポップな形のスタンドとか。どこで売ってるんだろうか。俺も欲しい)

女(あ、この雑誌の新刊出てたのか。ちょっと見させてもらおう)ペラリ

女「ふむ……この寒い時期に若干の薄着が流行ってるのか」

女「これで暖かい…か、ヒートテック的な何かか? けれども見た目がお洒落だな、かわいい……これも——」

後輩「先輩ー、話つけてきました!」バタンッ

女「うおっ!? びっくりした、昇ってくる音聞こえなかったぞ」

後輩「何かしてるかと思ってこっそりと」

女「……無駄にびっくりした気分だ」

後輩「あ、その雑誌先輩の家にもありましたよね」

女「ん、ああ、見たのか?」

後輩「ええ、ファッション雑誌でも見てて面白いですからね、それ」

女「俺もよく見るよ」

後輩「持って帰って見ます?」

女「正直なところ嬉しいんだが、いいのか?」

後輩「そもそも居候させてもらう身ですし……」

女「……それもそうだな。じゃあありがたく」

後輩「ではちょっと待ってくださいね、早急に準備しますから!」

女「じゃあこっちはアイツの連絡でも取ってるよ」

prrrrr...prrrrr...

女「……おっす、どうだ?」

幼馴染『おっけー! ちゃんと一人で持てる荷物だよ!』

女「よし、偉い。こっちは後輩が準備終わったら出るから、その後しばらく経ったら電話するわ」

幼馴染『後輩ちゃんの家にあがってるの?』

女「まぁ、そうなる」

幼馴染『どう?』

女「どうって……何が」

幼馴染『後輩ちゃんの部屋とかに居るんでしょ、どんな感じかなって』

女「お前の部屋よりはマシなんじゃないかね」

幼馴染『ひどっ!? ってか女って私の部屋見たことないよね!?』

女「どうせ机の上に空き缶のタワーが積み重なってるんだろ、ジュースの」

幼馴染『……バレた?』

女「マジなのかよ……いくら缶の箱買いが安いのは分かるが、ちゃんと捨てろよ。ボトルと違って使い捨てだしさ」

幼馴染『そこまでバレてる!?』

女「……予想通りすぎてこっちが怖いんだが」

幼馴染『ま、まぁいいや。じゃあ、私の家に近づいたら電話してねー!』

女「あいよ」

女(缶のタワーか……積み上げるのは楽しそうではあるが……)

女「……何考えてるんだ、俺」

後輩「お、お待たせしました!」

女「……荷物がパンパンだな、重いなら持つぞ? 流石に階段は危ないし」

後輩「い、いえ、大丈夫です。外に出ればキャスターで——きゃあっ!」ガタンッ

女「ちょ、危っ!?」ガシッ

後輩「……す、すみません」

女「……俺がお前より先に行って良かったよ、ほら、階段降りるまでは持つ」ヒョイ

後輩「あっ……か、軽々と持つんですね」

女「そんこらの奴には負けんよ」

後輩(あの細い腕のどこに力が……)

女「よっ……さ、行くか」

後輩「はいっ! ……なんかもう、色々と迷惑かけてごめんなさい」

女「気にすんな、少なくとも俺は気にしてないしな。怪我がなくて何よりってところだ」

後輩(男前……!)キュン

—————

女「寒い寒い、早く家帰ってコタツ出そうかね」

後輩「あるんですか?」

女「普段あまり使わないからしまってるけど、3人で居るとなると出した方がいいだろう」

後輩「いいものですよね、コタツ」

女「俺の家のコタツは電源点かないけどな」

後輩「えっ」

女「体温で温めるとかそんな感じ。だからあまり出さん」

後輩「修理とかは……」

女「面倒」

後輩「じゃあ、どうするんですか?」

女「適当に温まっとけば温かくなるだろ」

後輩「……先輩って実は男性ですか?」

女「おい、いくらお前でも張っ倒すぞ」

後輩「でもやっぱり、そのいい加減さは正に男の人ですし……」

女「……言い返せん」ズーン

女「そろそろだな……連絡っと」

prrrrr.... prrrrr....

女「ん?」

後輩「どうしました?」

女「アイツが電話に出んわ」

後輩「……先輩……」

女「……すまんかった。しかし、何かあったのか?」

後輩「ちょっと席でも外してるんじゃないんですか?」

女「携帯を置き忘れるとは思いがたいんだがな、せめて電源の入れ忘れか間違えて消したままか……」

幼馴染「——バァッ!」

女「うおああああぁぁぁぁ!?」

後輩「きゃああああぁぁぁぁ!?」

幼馴染「えっへへー、ドッキリ大成こ——」

女「——!! ——!!」ドカッ ゴスッ

幼馴染「あだっ!? へぶっ!?」

後輩「幼馴染さん!?」

女「——!!」

幼馴染「ま、待って! せめて日本語、日本語を!」

女「今まで、夜道暗いのを、顔にも出さずに、我慢、してたのに、お前、お前……!」

後輩「……我慢?」

幼馴染「あー、それはね……い、いいの……かな?」

女「……」ガタガタブルブル

幼馴染「うん、ごめん。えっとね、後輩ちゃん、これはね昼にホラー映画を見てね……」

—————

幼馴染「っていうことで、今の女は明るいところじゃないと……ってところかな?」

後輩「せ、先輩……」

幼馴染(この時の女見るとやっぱりゾクゾクしちゃうなぁ……)

後輩(ホラー映画が大の苦手なんて意外です……)

女「……そ、そんな目でみ、見るな。早く帰るぞ、帰るぞ……」

幼馴染「うん。手、つないであげるから、ね」

女「い、いい。それぐらい、いいから……」ビクビク

幼馴染「そういうこと言って……手震えすぎだよ?」ギュ

女「……」ビクッ

後輩「……あ、あの」

幼馴染「後輩ちゃん、早く女の家に女を連行しよう! ほら、左手もつないであげて!」

後輩「!」キラーン

後輩「分かりました幼馴染さんっ!」ギュ

女「っ……さ、さっさと……歩けよ」ビクビク

幼馴染(かわいい)

後輩(……かわいい)

後輩「こんな先輩初めてです……」

女「う、うるせぇ……怖いもんは仕方ないだろ……元はと言えば、幼馴染、がな」

幼馴染「わっ!」

女「ひうっ!? ……っ!」ギュゥゥゥ

幼馴染「ああああああ!? 手が、手がぁぁぁぁ!」

後輩「幼馴染さん、今日何度目ですか?」

幼馴染「な、何度目だったかなー? いつつ……」

女「マジでやめろって言っただろ……」ビクビク

後輩「……」

<ニャーン

女「」ビクッ

幼馴染「あ、猫だ」

女「な、なんだ猫か……」

<キャァァァァァァァ!

女「うわああぁぁぁぁぁぁ!?」

幼馴染「のわぁぁぁぁぁぁ!?」

女「いやだ怖い助けて……」ガクガクブルブル

幼馴染「え、ちょっと、今の何、ねぇ、今の何」ガタガタブルブル

後輩「……」

女「こ、後……輩?」

後輩「……ちょっと先輩を驚かそうかなーって思っちゃいまして……その、今のは私の携帯からの……絶叫音です」

女「……」

幼馴染「……」

後輩「ごめんなさい」

女「お、お前まで……覚悟、しとけ……!」

後輩「えぅっ……」

幼馴染(……後輩ちゃん、これで同じ穴のムジナだね。で、なんでやったの?)ヒソヒソ

後輩(え、えっと……あの、この状態の先輩をもうちょっと見たいと思ったり、です)ヒソヒソ

幼馴染(後輩ちゃん、私が言えたことじゃないけど、それ手遅れだよ)ヒソヒソ

後輩(いいんです、愛です!)ヒソヒソ

幼馴染「愛で済ますの!?」

女「……?」

女「な、何を言ってるか分からんが……それよりも、た、助けてくれ」

後輩「ど、どうしました?」

女「腰……抜けて、立てん……」

幼馴染「へぇ、腰が抜けるってそうなるんだ」

女「いいから、助けてくれ……」

幼馴染「私、荷物持ってるんだけど」

後輩「私はちょっと……」

幼馴染「んもう、しょうがないなぁ。後輩ちゃん、そのキャスターの上にこの荷物乗せれれるかな?」

後輩「え、それって結構重そうな感じですよね・」

幼馴染「大丈夫大丈夫」ドサッ

後輩「わっ、意外と軽いです」

幼馴染「ゲームとか色々が大半だし、着替えはまだあっちにあるしー」

後輩(そういえばお泊りしてたような……)

幼馴染「つーわけで、はい、捕まって」

女「お、おう……」

幼馴染「よっ、と」ヒョイ

後輩「軽々とおんぶ!?」

幼馴染「……予想以上に女が軽かった」

女「わ、悪いか」

幼馴染「全っ然。ただちょーっと持ちづらいかな、女って身長大きいし」

女「……お前らみたいな身長が良かったな、俺も」

幼馴染「えー、女はそれでいいよー。少し見上げるぐらいが私には丁度いいって」

後輩「私も、そう思いますよ」

女「……そうか」

幼馴染「あ、大分落ち着いてきた?」

女「まぁ、割と。……まだ怖いけど」

幼馴染「じゃあ、家までは頑張るね」

女「……は、恥ずかしいが……頼む」

後輩(先輩をおんぶ……なるほど……)

女「ふぅ、自宅が一番落ち着く……」

幼馴染「堂々っぷりが戻ったねー」

女「黙らっしゃい、元はと言えば根本的な原因はお前のせいだろうが」

後輩「でも、本当に意外です。先輩って何でも大丈夫かと思ってました……」

女「俺は完璧超人じゃないぞ」

幼馴染「私からしたら十分完璧超人だけどなぁ……時間も時間だし、お風呂?」

女「風呂か。なら、先入っとけ、コタツ出すから」

幼馴染「コタツあったんだ。じゃあ、それは女に任せてー、先入ろうか後輩ちゃん」

後輩「ええっ! お、幼馴染さんとですか!?」

後輩(入るなら先輩とが……)

幼馴染「いいからいいからー」ズリズリ

後輩「わ、分かりましたから引っ張らないでください! っていうかなんでそんなに力があるんですかー!?」

女「一緒に入るんかい……あんまし騒ぐなよー」

女「さ、コタツ出すか。あぁー……自宅って最高だなぁ、本当」

女「あ、コタツといえばアレもいるか。あったかな、最近買ったはずだが……無かったら無いでいいか」

—————

後輩「脱衣所も広いですね」

幼馴染「お風呂も結構広いよ、女と一緒に入れる分の広さだし」

後輩「えっ……幼馴染さん、先輩と一緒にお風呂入ったんですか!?」

幼馴染「そうだよー、っていうか、強引に押しかけてその時に女の性別発覚したみたいな?」

後輩「それって、男性と思っている人がお風呂に入ってる時に押しかけたということで……?」

幼馴染「そうなるね、今思えば押しかけて正解だったなぁと」

後輩「一歩間違えれば痴女確定ですよ」

幼馴染「いや、ほら……お、幼馴染ならよくあるパターン……」

後輩「痴女確定ですよ」

幼馴染「痴女じゃないよう……私は花も恥らう乙女だよ?」

後輩「……二十歳が乙女、ですか?」

幼馴染「自分で言って凄い無理言ったと思った」

後輩「ふぅ」

幼馴染「おお、直に見ると違うねぇ。私と同等かそれ以上……」

後輩「……脱ぐの早いですね。それと、目線がいやらしいです」

幼馴染「そりゃ異性に興味無いからね。女みたいにスレンダーな体もいいけど、豊満なのも……んんっ?」

後輩「何ですかその視線は」

幼馴染「……うわ、これは……このわがままボディめ!?」モニュ

後輩「ひぅっ!?」

幼馴染「これは素晴らしい感触……!」

後輩「何するんですか!」ガシィッ

幼馴染「なっ、アームロック!? あああああ、折れる、折れるぅ!」

後輩「どうせ折れても幼馴染さんなら数秒経てば治ります!」グググッ

幼馴染「そこまで人間やめてないって、あああああ!」

女「騒ぐなよっつってるだろうが! っつーか2人して裸で何やって……あ?」バーン

後輩「あ?」

幼馴染「あ?」

女「何だよそれ、そこまであるとか反則すぎるだろ。もげろ」

後輩「私っ!?」

女「……はぁ。おい、暴れて風呂場にある物壊したら弁償しろよ」

幼馴染「はいはーい」

女「アームロックかけられながら会話ってシュールだな」

幼馴染「うーん、後輩ちゃんが離してくれなくて、この痛みにも結構慣れてきたから」

後輩「……じゃあ、セクハラされましたし、あともう一押し」ギュッ

幼馴染「ちょ、それ以上は無理あばばばばば!?」

女「んじゃ、後はご自由に」

幼馴染「ぎゃぁぁぁぁぁ!」

女(セクハラなら自業自得だろ。しかし……なんでこう、後輩もあいつも大きいのか)

女(……揉めば大きくなるって本当なんだろうか?)スカスカ

女「ははは、それで大きくなったら悩まずに済むよなー……はぁ……」

幼馴染「いい技持ってるね、いたたた……」

後輩「この技だけは無性に練習してましたから」

幼馴染「へ、へぇ」

幼馴染(なんでかは聞かないでおこう……)

後輩「それにしても、先輩っていい洗剤とか使ってるんですね」

幼馴染「そうなんだよねー、普段の印象からはあまり考えられないというか。でもただの石鹸とかでアレだったら嫉妬ものだよ」

後輩「先輩も女性ですから、流石にその辺りは気を使ってるんじゃないでしょうか?」

幼馴染「かもねー。態度とかはああだけど女の子らしい部分は本当にらしいから」

—————

女「へくしゅん!」

女「んー、やっぱ電源点かないコタツは寒いな……温まるまで我慢するしかないか」

女「さ、みかんみかんーっと」ムキムキ パクリ

女「……んー♪」

—————

後輩「……」

幼馴染「……」

後輩「話題がありませんね……」

幼馴染「ちゃっちゃと温まって出る?」

後輩「そうですね、早く先輩とゆっくりしたいです」

幼馴染「私とは?」

後輩「貞操の危機を感じますのであまり……胸、触られましたし」ジトー

幼馴染「だ、大丈夫だよ、女以外には本気で手を出さないから!」

後輩「それもそれでダメです! あ、いえ、いいんでしょうか。先輩に返り討ちにされるのが見え見えですから」

幼馴染「ううー、確かに。今日は痛い目遭ってばっかりだよう」

後輩「……それは全て自業自得ですよ」

幼馴染「さっぱりさっぱりー」

後輩「いいお湯でした。先輩と一緒に入れたら最高だったんですが……」ジトー

幼馴染「反省しない!」

後輩「してください」

女「お、あがってきたか。みかんもあるぞ」

幼馴染「おー、コタツー! ……寒っ!?」

後輩「本当に電源点けていないんですね」

女「電源コードがどっかいったからな。何、3人も居ればすぐ温かくなるさ」

幼馴染「本当かなー、さむさむ」

後輩「あ、みかん。貰ってもいいですか?」

女「遠慮せず食えよ、そのために持ってきたもんだし」

後輩「箱買いですか、定番ですね」

女「みかんと言ったら箱買いだよな。一人暮らしだったけど」

幼馴染「あむ……あまーい」

後輩「……美味しいですね」

女「これは当たりの箱だな。たまにあんまし味が無いのに当たるんだ、これがな」

幼馴染「あー、味気ないみかんって虚しいよね」

女「箱だから量も多いしな、なんであんなに纏まってるんだろうか。……さ、俺も風呂入ってくるか」

幼馴染「はいってらー」

女「ふはー、あったけぇ。冬の風呂は最高だな」

女(……なんとなーく思うけど、昨日今日で言いたくも無い秘密が平然と暴露され続けているような気がする)

女(ま、いっか。後輩は後輩で口が堅そうだし、幼馴染は……前科とかそういうの無しで、原因としてでっち上げれるし)

女「しかし、同居なぁ……同居かぁ。あっさり認めたけど、いいんかねぇ」

女(思えば兄妹とかも居なかったから、両親意外と暮らすのってなんだかんだ言って楽しみだな)

女「最初ぐらいは一緒に寝るか、うん、そうしよう」

女(あの映画のせいで、今日ばっかりは一人で寝れそうにもないなぁ……)

<ガタガタッ

女「」ビクッ

女「何の音だ……?」

女「……さ、さっさと出よう、気味悪ぃ」

—————

幼馴染「これは明らかに女の部屋より広い」

後輩「……この客室、私の部屋より広いです」

幼馴染「おかしいなぁ、私ならこっち客室にしないで自分の部屋にするよ?」

後輩「割と広くて、日当たりも良好。おまけに和室……いいですね、和室」

幼馴染「この家、綺麗だし広いし、家賃っていくらなんだろう……」

後輩「高いんでしょうね」

幼馴染「なんで女はこの家で一人暮らししようとしたんだろう」

後輩「……私には分かりません」

幼馴染「押入れには何が……ん、何か引っかかってる?」ガタガタッ

幼馴染「ぐぬぬぬっ、開かない!」

後輩「本当ですか? ……あ、開きませんね、これ」ガタガタッ

幼馴染「何が入ってるんだろう」

後輩「……何でしょう」

女(風呂あがりは暖かいけどすぐ寒くなるんだよな、早くコタツのところに……)

幼馴染「あ、女ー、ちょっと来てー」

女「ん? なんだ?」

後輩「あ、先輩、かわいいパジャマですね」

女「……俺のお気に入りだ、変か?」

後輩「いえ、似合ってますよ」

女「そ、そうか?」

幼馴染「うんうん、かわいいかわいい。女なら男ものも女ものも、なんでも似合うって」

女「……それはそれで嫌だな。で、客室で何やってたんだ、荷物とかの整理か?」

幼馴染「実はこの押入れが開かなくて」

女「開かない?」

後輩「ほら、中々開かないんです」ガタッガタッ

女(あの音はその音だったのか……?)

女「開かないって、そんな訳無いだろ」ガタッガタッ

女「……なんでだ? 鍵付きの押し入れにはしたが、俺は俺の部屋ぐらいのしか使ってないはずだが」

幼馴染「鍵付きだなんて、女の家は収納スペースにどんな秘密が……何が入ってるの?」

女「記憶に無いな……何か入れたっけか?」

女「まぁ鍵付きにした理由は大切な物とか保管する時とか、触られたくない時に鍵付きは便利だろ。今までは俺一人だったんだし」

後輩「なるほど」

女「で、こいつは……鍵がかかってること違いないな。持ってくる」

幼馴染「おおっ、ついに中身が!」

後輩(何が入ってるんでしょう)

女「さて、これで開くはずだが」ガチャリ

幼馴染「では御開帳!」ガラッ

後輩「これは……上の方は布団ですが、下の方は何か色々入ってますね」

幼馴染「んー、引越しの時のようなダンボールが多いね」

女「……あー、思い出した。実家から持ち込んだけど結局使わない物とかを入れておいてたんだよ。ここの収納、全然使わないから」

幼馴染「ふむふむ、なるほど……例えば?」

女「物入れる小型の箪笥とかが大半だったかな、あんまり使わなくて保管してる。他に実用的なところと言えば、ミシンとかか」

幼馴染「ミシン?」

女「簡単な綻びとかは手でちゃっちゃとできるし、使わないんだよ」

後輩「家庭的ですね」

幼馴染「なるほど……ミシンかー。ミシン使うぐらいできるなんて羨ましいな」

後輩「女性として憧れますよねー」

女「持ち出すような状況ってあんまり無いから、裁縫はボタンを付け直せる程度でいいと思うがね」

幼馴染「それすらできない!」

女「お前、家庭科の授業何やってきた」

幼馴染「……先生に助けを」

後輩「いいんですか、それ……」

幼馴染「い、いいんだよ。料理ができれば女の子として終わってないから」

女「できて損は無いと思うんだがな、後輩はどうだ?」

後輩「わ、私、ですか?」

女「ああ、どのぐらいできるんだ? まさか、玉止めすら知らないとか——」

後輩「……そ、それってなんでしたっけ?」

女「えっ?」

幼馴染「えっ?」

後輩「……あう」

女「お、おいおい、流石に冗談……」

後輩「……うううっ」

女「じゃ、なさそうだな……お前も家庭科で何やってきたんだ」

後輩「えっと、昔の家庭科では指に絆創膏を貼った覚えしか……」

女「もういい、分かった。分かった」

幼馴染「……後輩ちゃん、流石に私もそこまで知らないのはどうかと思う」

女「はぁ、ま、やりたかったら手取り足取り教えてやるさ。できなくたってそこまで困るもんじゃないし」

後輩「すみません……」

幼馴染「頑張ろう、後輩ちゃん」

女「お前らの方が女らしいっつうのに、どいつもこいつも……」

幼馴染(いや、それは女がハイスペックすぎるからだよ……)ヒソヒソ

後輩(同意します)ヒソヒソ

幼馴染「よーし。布団の用意完了」

女「もうこんな時間か……とはいっても寝る気は無いだろ?」

幼馴染「勿論、テレビゲームで遊ぶに決まってるじゃん」

女「ゲーマーだなぁ」

後輩「ですねぇ」

幼馴染「というわけで、ゲーム機もってこーい!」

女「はいはい、3人だしレース物でいいか?」

後輩「いいですね」

幼馴染「私と女は結構強いから、後輩ちゃん頑張ってね」

後輩「ふふふ、さて、どうでしょう」

女「ぱぱっと持ってくるわ」

—————

女「なん……だと……?」

後輩「久しぶりにやったら結構操作が鈍ってますね……危なかったです」

幼馴染「私が1位で、後輩ちゃんが2位。そして女が」

女「ビリか。……たまにやるどころか、結構やってるんじゃないのか、おい」

後輩「最近はたまにですよ」

女「最近はってことだろ。はぁ、こりゃ今後は負けてられねぇな……」

幼馴染「ふふん、じゃあビリだった女は今日は私らと一緒に寝てもらおうか」

女「なんだ、丁度いい。今日は一緒に寝てもいいかって聞こうとしてたところだし」

後輩「えっ」

幼馴染「えっ」

女「ほら、アレだ……今日ばっかりは一人で寝れる気がしない。主にお前のせいで、お前のせいで」

幼馴染「ああー……うん、ごめん」

後輩「そうだったんですか」

女「今日だけだからな。今日だけ」

後輩(できれば、毎日一緒に寝たいです……)

上げ忘れたのでここまで報告
女の子同士がほのぼのとしている空間が好きです
あずまんがとかそういう

幼馴染「いい布団だねぇー、女のベッドもそうだけど寝具にお金かけてそう」

女「じっさい良い物選んで買ってるよ。低反発系とか買ってるんだけど、嫌いか?」

幼馴染「んや、だいじょーぶ。むしろ凄く良いよコレ」

後輩「実際こんな感じなんですね、初めて寝転がりました。……ぐっすり寝れそうです」

女「なら良かった……ふわぁー、眠い」

幼馴染「こうやって誰かと一緒に寝るのって修学旅行以来だなー」

後輩「ああいう時ってなんだかワクワクしませんでしたか?」

幼馴染「あー、するする。というわけで女は中央で川の字」

女「俺は隅の方がいいんだが……おい、近くないか?」

幼馴染「普通だって普通」

後輩「そうですよ」

女(の割には圧迫感が半端じゃない)

女「寝辛いから少しは離れてくれ」

幼馴染「そういうことなら」

後輩「仕方ないですね」

女「……さ、寝る、寝るぞ。俺は寝るぞ」

幼馴染「あれ、電気は?」

女「分かってて言ってるのかお前」

後輩「電気点けたまま寝れるんですか?」

女「寝るんだよ。頼みがあるが、俺が寝たら消してくれ。暗いのはまだ怖いんだ」

後輩(……言葉がかわいいです)

幼馴染(かわいい!)

後輩「じゃあ、私が消しますね」

幼馴染「あっ、お願いー」

後輩「……」ジー

女「……なぁ、俺の顔に何かついているのか?」

後輩「いえ、見てるだけです」

女「ええい、寝辛いっつうの」ゴロン

幼馴染「……」ジー

女「……お前はどこを見ていた」

幼馴染「うなじ!」

後輩「ふむ、確かに綺麗ですね。先輩のうなじ」

女「綺麗って言われるのは嬉しいがお前も見るな!」

幼馴染「じゃあどうすればいいの!」

女「んな真剣な顔されても困るんだけど!? 普通に寝ればいいだろうが!」

幼馴染「えー」

女「……ああもう、寝る。映画のことは忘れて寝る」

女「……」

幼馴染「……」ジー

後輩「……」ジー

女(……寝辛ぇ)

女(思えば修学旅行とかも学校のおかげで特別に一人部屋だったか。俺の場合、誰かと一緒に寝るってのは両親以外無かったかもな……しかし)

女「頼むからマジで目線が痛い、寝れん。やめてくれないか」

後輩「……むう、分かりました」

幼馴染「やめろって言うなら仕方ないなぁ」

女「最初からそうしてくれ」

女「……すぅ、すぅ」

後輩「寝ましたね」

幼馴染「寝たね」

後輩「……卑怯ですよ、いつもカッコイイのに、こんなに寝顔がかわいいだなんて」

幼馴染「でしょー?」

後輩「その言葉は既に見たっていうことですか、妬ましいですね」

幼馴染「むふふ」

後輩「名残惜しいですが……私も眠いので、電気消しますね」

幼馴染「あ、ちょっと待って。……いいよ」

後輩「幼馴染さん。今、見間違いじゃなければ、携帯で写真撮ったような動きをしたように見えたんですけど」

幼馴染「ちょっと細工して音出なくしてるからね。うむうむ、いい寝顔いい寝顔」

後輩「それって犯罪利用されないためにつけられた音だったような気がしますが……あ、私にもデータください」

幼馴染「後輩ちゃんも正直だね」

後輩「隠れて撮るとかはやりたくはありませんが、画像は是非欲しいですね。もし貰えなかったらこのことバラしますよ」

幼馴染「あ、甘い蜜だけ吸うなんて後輩ちゃん、貴女……じゃあ明日、女にバレずにこっそりとあげるから、ね?」

後輩「ふふふ、ありがとうございます。では、消しますね」パチッ

—————

幼馴染「ふはー……もっふもふだー」

後輩「……本当にいい布団ですね。修学旅行の時の旅館のより良い布団なのかもしれません」

幼馴染「あー、アレって旅館自体はしっかりしてたけど、道具とかは安い物使ってたから。案外布団も安物だったよ? 後輩ちゃんと同じ旅館に行ったかどうかは分からないけど」

後輩「そうだったんですか? ……思えばそうだったのかもしれません。○○旅館でしたっけ」

幼馴染「○○旅館なら一緒だね。うーん、やっぱり経費とか安いからなのかな」

後輩「そういうところを気にしたら負けな気がしますよ?」

幼馴染「気にしちゃうんだよ。私、性格が悪いからねー」

後輩「自覚してるんですね、意外です」

幼馴染「してないほど人間腐ってないよう……」

後輩「ふわぁ……もう深夜真っ盛りですね。では、幼馴染さん、おやすみなさい」

幼馴染「おやすみー」

後輩(流石に、幼馴染さんが居ると先輩にこっそり抱きついたりとかできませんね……)

幼馴染(後輩ちゃんが居るし、抱きつくとかそういうのやるのはちょっといただけないよねぇ……)

女(やっぱりアレが無いと寝つけが悪い。あんまし疲れとれてないから今日は昼寝か……)

後輩「……すやすや」ギュウ

幼馴染「んふふー……」ギュウ

女(やっぱりこうなると思ったわ。動けん)

女(何時かわからんが、どうしたもんかな)

後輩「……せんぱーい」

女「お、起きてるのか?」

後輩「むにゃ……」

女(ね、寝言? 寝言って実際に聞くなんて初めてだな。こんなにはっきり言うものなのか?)

女「……おーい」

後輩「なんですかー……」

女(マジかよ。返事する寝言とか……)

女「って、それはどう考えても起きてるだろ。放せ」

後輩「バレましたか、しょうがないですね。もうちょっと先輩の腕の感覚を楽しみたかったのですが」

女「ナチュラルにそういう事言うな。それに、騙し通すならそこは折れずに騙し続ければいいんだよ」

後輩「なるほど」

女「で、今何時?」

後輩「ちょっと待ってくださいね。……午前4時半です」

女「4時半か、じゃあしばらくは起きてるっかね。……しかしだな」

幼馴染「くかー」

女「こいつのせいでまだ動けんのだけど」

後輩「腕が完全にロックされてますね」

女「……しかも、よだれがパジャマについててちょっと冷たい」

後輩「顔も物凄いだらしないですね、撮りましょう」ピロリン

幼馴染「……んぁ?」

女「おう、おはよう。放せコラ」

幼馴染「……ぎゅー」

女「……いや、放せよ」

後輩「あれ、殴らないんですか?」

女「流石に寝ぼけに一撃はかわいそうだろ」

後輩「先輩の寝顔撮ってましたよ」

女「起きろコラ」ゴスッ

幼馴染「みぎゃ!?」

後輩「電気点けますよー」

幼馴染「……うー、おでこがいたいよう」

女「人の寝顔撮るなよ。って言ったら後輩もさっき撮ってたな、お前の寝顔」

幼馴染「うっ。な、なんで知ってるの……って、後輩ちゃん、私の寝顔撮ってたの?」

後輩「案外かわいいですよ、ほら」

幼馴染「私は自分の顔を素でかわいいって言える人じゃないよー?」

女「ほーん、どれ……なるほど、黙ってればかわいいの典型的な例か」

幼馴染「ひどっ! それよりも撮らないでよ! しかも、私が撮ったことも言ったでしょー!?」

後輩「先輩の寝顔撮った人が言わないでください!」

幼馴染「私の寝顔撮った人に言われたくはないよ!?」

女「普通に人の寝顔を撮るようなやつがそんなこと言うなよ」

後輩「……はい」

幼馴染「……はい」

女「で、俺の寝顔のデータは消しとけ」

幼馴染「はーい……」

幼馴染(大丈夫大丈夫、こっそりデータ残しておけば)

女「……なーんてな」バッ

幼馴染「ちょ、私の携帯!?」

女「今ここで俺が消さないと不安になってきてな。っと、一応待ち受け変更はしてるのか」

幼馴染「あああ、画像フォルダは見ちゃダメー!」

女「……あ?」

後輩「……おや?」

幼馴染「て、手遅れに……終わった……」

女「何か、やけに俺の写真ばっかりだな」

後輩「これは相当ですね」

女「しかも、いつのまに撮ったんだこれ。日付が昨日のばっかりだぞ」

後輩「あ、それは——」

幼馴染「後輩ちゃんバラしちゃダメー!?」

後輩「……幼馴染さんがあまりにも必死なので言いません」

女「何を知ってるんだよ……しかしまぁ、うん、なんだ。俺の写真こんなに撮っていいのか?」

幼馴染「えっ?」

後輩「えっ?」

女「幼馴染の事だし、どうせ俺の事おちょくるとかそんな感じで撮ってるかと思ってたんだが、何かやけにどれも普通に撮っててなぁ」

幼馴染「それは……女の事、好きだし、写真とか撮りたくなっちゃうものだよ? ね、後輩ちゃん」

後輩「そ、そうですね。好きな人の写真はできる限り欲しいのは分かります」

女「ふーん、そういうものなのか。やっぱり分からんな……憧れの人的な何かか」

幼馴染「そういうものっていうか、う、うーん。何ていうか……何て説明したらいいのかなぁー!」

後輩「説明どうのこうのの問題じゃない気がしますが……」

女「まぁ、特にやらしい考えもなさそうだし写真についてはお咎め無しにしとくわ。ほれ、携帯。何も消してないから安心しろ」

後輩(写真に関してはやらしい気持ちばっかりな気がしますよ!?)

幼馴染「あ……いいの?」

女「いいの、って何がだ」

幼馴染「……な、なんでもないよ」

女「あっそう」

幼馴染(えへへ、お咎め無しー)

後輩(むぅ……)

女「……暇だな、ゲームしかないな」

後輩「やりましょう。対戦系がいいですね、ちょっと幼馴染さん20戦ぐらしません?」

幼馴染「こ、後輩ちゃん? 目が怖いよ?」

後輩「気のせいですよ気のせいです。さぁ、殺りましょう」

女(あの目は殺る目だな、何があったか知らんがご愁傷様)

女「20戦0勝……もうイジメだな、オイ」

幼馴染「うぅぅぅぅ……」

後輩「すっきりしました」

女「対戦後に満面の笑みで言う言葉じゃないだろ」

後輩「じゃあ……雑魚が、おとといきやがれ」

幼馴染「うわーん!」ドタドタドタ

女「……漫才どうも、お前も戻って来い。どうせ聞こえてるだろ」

後輩「結構ドスを利かせた声出したつもりですが」

幼馴染「うーん、嘘泣き本気でやったのに」

女「やらんでいい。ふわぁー……」

後輩「先輩、眠いんですか?」

女「眠気来るのが案外早いな。まぁ、眠り足りなかったんだよ」

幼馴染「……あっ、なるほど」

後輩(その『あっ』って何ですかね)

女「あー……すまん、部屋で寝てくるわ。朝飯は適当に食ってくれ」

後輩「あ、はい、分かりました」

幼馴染「おやすみー」

後輩「……えっと、幼馴染さん。どうしてキャラ選択してるんですか?」

幼馴染「もう1戦! もう1戦だけお願い! 負けっぱなしじゃ悔しいから!」

後輩「仕方ないですね、じゃあコレで行きます」

幼馴染「え、ちょ、それ強キャラ——」

<Raund 1...

—————

<Player 2 Win!

幼馴染「なんか後輩ちゃんと会ってから良いところないような気がするんだけど」

後輩「出会い初めてまだ1週間も経ってない人と一緒に居て良いことがある方が、あまり無いような気がしますよ」

幼馴染「……その理屈は変だよ?」

女(鍵閉めた、カーテン閉めた。……よし)

女「ネコちゃーん」ギュウ

女(ああ、やっぱこれ無いとダメだわ、ネコちゃん離れできない……)

女「……んふふー」

女(これならゆっくり寝れそうだ……とはいってもあんまり寝すぎるとアレだしな)

女(大体こんぐらいにアラームセットしてっと……おやすみ、ネコちゃん)ギュー

—————

幼馴染「やっぱりジャムはいちごジャム! サクサクうまうま!」

後輩「トースト美味しいですね」

幼馴染「だねー。それと、やけに食パン冷凍してあったね。知恵?」

後輩「食パンは冷凍すると1ヶ月ぐらいは持ちますし、そのままトーストにすれば美味しいままって聞いたことがあります」

幼馴染「へぇー、やっぱり女って色々知ってるんだ」

後輩「憧れちゃいますよね。容姿もかっこいいですし」

幼馴染「今日から同居なんて幸せだよう。お母さんお父さん、娘はこれから愛を育んで行くからね……」

後輩「まぁ、幼馴染さんは同性愛者ですから、先輩じゃなくてもいいでしょう」

幼馴染「違うよ!? っていうか、なんでそうなるの!」

後輩「先輩以上の素適な方だって居るかもしれないじゃないですか」

幼馴染「ごめん、後輩ちゃん。想像できないから聞くけど、女以上の人ってどんな人?」

後輩「う、うー……その、うーん」

幼馴染「胸が平らじゃないとか? 当然それだけじゃ無理だけど」

後輩「……幼馴染さんって懲りませんよね」

幼馴染「えっ?」

後輩「なんでもありません。それにしてもこのハチミツ、美味しいです」

幼馴染「あ、一口ちょうだい。あーん」

後輩「嫌です」パクッ

幼馴染「後輩ちゃん、冷たいよう……どうしてそうなっちゃったの……?」

後輩「幼馴染さんはまず自分の罪を数える事から初めてください」

幼馴染「後輩ちゃんは今まで食べたパンの枚数を覚えているの?」

後輩「その言葉、そっくりそのまま返しますよ」

幼馴染「……」

幼馴染「さーて、そろそろ女の部屋にでも行こうか」

後輩「……あの、先輩が寝てるのを邪魔する気ですか?」

幼馴染「私があの寝顔の前でそんなことできると思う?」

後輩「普通に思います。私はできませんけど」

幼馴染「私だってしないって!」

後輩「そうですか? 私のイメージだとニヤニヤしながら先輩の顔に落書きするような感じですけど」

幼馴染「あの綺麗でかわいい顔に落書きとかできる訳無いでしょうがー! 財宝に傷つけるのと一緒だよっ!」

後輩「わ、分かりました。そこまで言うなら、そうなんですね……」

後輩(幼馴染さんも幼馴染さんで凄いですね。いや、確かに私も先輩の寝顔はまた見たいですけれど……あっ)

後輩「幼馴染さん」

幼馴染「……何?」

後輩「例のブツをください」

幼馴染「例のブツ……あー、はいはい。約束しちゃったもんね、じゃあ……メアドは?」

後輩「はい、これです」

幼馴染「えーと、こうこう……じゃあ、メールで転送して……これでよし。私のメアドもそれで登録できると思うよ」

後輩「ありがとうございます」ニコニコ

幼馴染(……とてもいい笑顔だね、後輩ちゃん)

後輩「ところで、先輩の寝顔は見れませんよ」

幼馴染「えっ、何で?」

後輩「さっき鍵がかかってたの確認しましたから」

幼馴染(それって、私より先に行こうとしたってことだよね後輩ちゃん!?)

幼馴染「そ、そっか、鍵かかってるんだ」

後輩「ですから……どうしましょう?」

幼馴染「……どうしよう?」

幼馴染「うーむ、単純な鍵だねぇ、極普通の鍵だねぇ」ジロジロ

後輩「幼馴染さん、失礼とは思いませんが少し遠めに見えるストーカーか犯罪者みたいですよ」

幼馴染「……思いっきり失礼なんだけど」

後輩「真実ですからいいじゃないですか。ほら、盗撮の件もありますし」

幼馴染「その成果を嬉々と受け取ったのは誰かなー!?」

後輩「ナンノコトデショウ?」

幼馴染「……まぁ、女が寝てるから邪魔したくはないけど」

後輩「逆に見たくもあると」

幼馴染「やっぱり困難を乗り越えてこそ、じゃない? 俄然萌えてきたっ!」

後輩「それは困難じゃなくて常識の壁だと思いますよ……」

—————

後輩(先輩の幼馴染が、先輩の部屋の鍵を開けようとピッキングしている現場に出会ってしまった場合、どうすればいいのでしょうか)

幼馴染「やっぱり室内扉は単純な構造だねぇ……学校のロッカー程じゃないけど。ここをこうして……」ガチャガチャ

後輩(道具がある上にやけに手際が良いのは、やっぱり本物の前科持ちだからなんでしょうか……あれ、通報した方がいいような?)

後輩(……幼馴染さんがやけに怖く見えてきますね)

幼馴染「よしよし、開いた開いた……うへへ」

後輩(今の顔で懸賞金十万程度の指名手配いけますね、間違いないです)

幼馴染「よし、いざ行かん!」ガチャリ

パタン

後輩「……」

後輩(完全にアウトですねこれ。確かに私も見たいですけど、うむむ。まずは様子見で、場合によっては通報も考えましょう)


後輩(……物音一つしませんね)

幼馴染「……」ガチャリ

後輩「あれ、どうしたんですか? 鼻を押さえて」

幼馴染「……」ビシッ

後輩「あの、無言で部屋の中指差されても……」

幼馴染「……」

後輩(行っちゃった。洗面所? トイレ? ……一体何が)

後輩「……お、おじゃましまーす」

後輩(ベッドの方ですよね。そーっとそーっと)

女「……」

後輩(せんぱ——)

女「んふふー……」ギュウ

後輩(いっ!?)

後輩(……先輩がお人形抱いて寝てる!?)

女「……♪」ギュウ

後輩(いやいや、これは反則じゃないですか!? かっこいいのにお人形抱いて寝るんですか!?)

女「……」

後輩(とってもいい寝顔で……これは、その……幼馴染さんが鼻押さえてた理由も分かる気が……)

後輩(かわいい猫のお人形ですし、それに……)

後輩「……」ホワー

後輩(はっ、いけない。先輩に見惚れてそのままみつめ続けるところでした……とにかく早く、ゆっくりと出ましょう)

ピピピピピピピピ!

後輩「」ビクッ

女「……ん、くぁー……もうそんな時間……」

後輩「……」

女「か、あ……?」

後輩「……お、おはようございます」

女「……」

後輩「……えっと、気持ちよく寝てましたね」

女「……」カァァ

後輩「せ、先輩……?」

女「……うわあああああああ!?」

後輩「」ビクッ

女「なんで、どうして、鍵かけたはずなのに。えっ、なんで、なんで?」

女「ああああああああ、あいつだけじゃなくて後輩にも見られたああああ!」

後輩「ちょ、先輩。落ち着いてください!?」

女「うわあああああぁぁぁぁ——」ゴロゴロ

後輩「せ、先輩、ベッドから出ましょうよ」

女「もうやだ、恥ずかしくて死にたい」モゾモゾ

後輩(……かわいい)

女「っていうか、何で鍵かけたはずのドアが開いてるんだ……」

後輩「えっと、それは……」

女「……あいつか。あいつしかいないよなぁ……そうかぁ」

後輩(あ、幼馴染さん終わりましたね)

女「……」モゾモゾ

後輩「あの、そろそろ出たほうが」

女「……やだ」

後輩(……どうしよう)

幼馴染「危うく出血多量になるところだ……あれ、どうしたの?」

女「……」モゾモゾ

後輩「お、幼馴染さん!」

幼馴染「……あれ、女だよね」

後輩「たぶん幼馴染さんのせいです」

幼馴染「あー……後輩ちゃん相手なら見られても大丈夫だと思ったんだけど。うーん」

後輩(見た私も私ですが、開錠した時点で圧倒的に幼馴染さんのせいな気が……)

幼馴染「女ー、女ちゃーん」

女「……」

幼馴染「……ごめんね、鍵開けたの私なんだ。ゆ、許して欲しいなって思ったり」

女「……」

幼馴染(脳にヒビ入る気持ちで素直に言ったのに無反応!?)

後輩(ま、まずくないですか?)ヒソヒソ

幼馴染(うーん……そうだ。後輩ちゃん、ちょっと待っててね)ヒソヒソ

後輩(どこに行くんですか?)ヒソヒソ

幼馴染(近所のお店)ヒソヒソ

後輩「……へ?」

女(……?)

女「……」

後輩(……幼馴染さん、遅いなぁ)

後輩(先輩、布団から出てこないですね。人形については秘密にしていたことらしいですし、引っぺがすのは更に罪悪感が……)

幼馴染「おまたせー、じゃあ食べようか」

後輩「これ、りんごですか?」

女「」ピクッ

後輩(なんでりんご剥いてきてるんですか。しかも多いですし)ヒソヒソ

幼馴染(後で答えるから、今はちょっとだけ合わせて欲しいなって)ヒソヒソ

後輩(は、はぁ)

幼馴染「近所のスーパーで美味しそうなの買ってきたからねー。ほら、食べて食べて」

後輩「それじゃあ、一口……美味しいですねこれ、甘めな感じです」

女「……」ゴソゴソ

幼馴染(効いてる効いてる)

幼馴染「んー、美味しいなぁ。女もどう?」

女「……い、いらん」

後輩(は、反応が?)

幼馴染「そっかー。じゃあ、全部食べちゃうよ?」

女「……少し、残してくれ」

幼馴染「それじゃ味気無くなっちゃうよ? それでもいいなら残すけど」

女「……食べる」ガバッ

後輩(釣れたっ!?)

幼馴染(流石、好物)グッ

女「美味いなぁー」シャクシャク

後輩(あんな嬉しそうに食べる先輩、初めてです……しかも、人形抱いたままなんて。それにしても、かわいい人形です)

幼馴染(でも、人形抱きっぱなしなのはいいのかな……眼福だけど)

女「あのさ……俺がかわいい人形持ってて、何も思わないか?」

後輩「べ、別に何も思いませんけど。先輩もかわいい物好きなんですねっていうぐらいしか」

幼馴染「何か思うっていうなら、天使」

女「なんでそうなる」

幼馴染「天使みたいに本当にかわいいから。並の男性だったらイチコロだよ?」

女「別にイチコロにしたくはないんだが……」

幼馴染「無自覚で落としてる可能性もあるよ。通りすがりの男性とか」

女「そうだったら、ごめんなさい一択だ」

幼馴染「ブレないねぇ」

女「こればっかりは譲らん」

後輩「……大分落ち着きましたね」

女「……りんご美味いからな」

後輩(そういうものなんですか!?)

女「……んー♪」シャクシャク

後輩(そういうものに見えてきました……あれ、今の先輩ちょっと緩い? 好きな食べ物食べてると周りが見えなくなるとか)

幼馴染「本当、りんご好きだね。冷蔵庫になかったけど」

女「買ったらすぐ食べ切るから、残ることがないんだよね。あぁ……美味い」

後輩「あの、突然ですけど……その人形触ってもいいですか?」

女「人形? ……あっ」

幼馴染(今気づいたの!?)

後輩(今気づいたんですか!?)


後輩「わぁ、かわいい……もういいんですか? さっきの事は」

女「いや、なんかもう、どうでもよくなってきた」シャクシャク

幼馴染「あ、あはは」

女「お前のせいだっつうの」ゴスッ

幼馴染「へぷっ!?」

女「っていうか、どうやって鍵を開けたんだよ。壊れてないだろうな、あの鍵」

後輩「確かこれ使ってましたけど……」

幼馴染「ああっ、いつの間に!?」

女「なんだこりゃ……没収」

幼馴染「あああああ!? 数年前に苦労して手に入れたツールがぁー!?」

後輩「犯罪ですよ……」

女「刑務所にぶち込むか?」

幼馴染「そ、それは勘弁願いたいかなー」

女「いや、ぶち込もう。警察呼んでこれ見せれば一発だ」

幼馴染「ごめんなさい、許して! もう二度としないから!」

後輩「どう見ても犯罪者の発言ですよ、これ」

女「今までの態度からするとそんなこと言われてもなぁ……」

幼馴染「……好きにしていいよ」グデー

女「大の字になるな、アホ」ググッ

幼馴染(ふ、踏みつけ……ちょっと強いけど、いいかも)ニヘラ

女「この状況で笑うのか」

後輩「……手遅れですね」

女「もう開錠とかしないな?」ググッ

幼馴染「それが無いとできないからどっちみち……あぁん」

女「警察に言うのは冗談だが、本気で止めろよ。俺以外だったら一歩間違えたら通報されて豚箱確定だぞ」

幼馴染「バレなきゃ犯罪じゃないのに」

後輩「バレたから犯罪です」

幼馴染「……」

後輩「何ですか、そんなダレて」

幼馴染「いや、なんかねー。せっかく女の家で暮らす事になったっていうのに」

後輩「いうのに?」

幼馴染「ぜんっぜんときめかない! 不思議!」

後輩「でも嬉しいんでしょう?」

幼馴染「凄っく嬉しいのは確かなんだけどねー、やっぱりトキメキが」

後輩「そこは同意しますけど……」

幼馴染「とりあえず女のところ行ってこよう」

後輩「あれ、先輩ってまだ着替えてるんじゃ」

ガチャリ

女「……」

幼馴染「……おぉ、くびれがバッチリ」

女「何普通にドア開けてじぃーっと見てるんだ、着替え中だぞ」

幼馴染「これで私が男だったらラッキースケベだね」

女「ラッキーも何も今のは故意だろ」

幼馴染「そう言わずに。突然だけどちょっとそのくびれ触れていい?」

女「……後輩、頼んだ」

後輩「はい!」

幼馴染「あ、ちょま、ロックは……」

後輩「こうやってきゅっとするだけで、たちまち……」キュッ

幼馴染「ぐああああああっ!?」

女(着替えるだけでこうも騒がしいのな……まぁ、悪くはないか。この後は散歩でも行って……)


女(いい天気、心地よい風、そんな日なのに……)

不良1「よぉ、姉ちゃん達、俺らと遊ばない?」

不良2「丁度3人だし、合コンみたいな感じだな」

不良3「うおっ、でっけー」

女(散歩のはずがどうしてこうなった)

幼馴染(……邪魔臭いなぁ、あいつとか胸見てるし)

後輩(……大丈夫でしょうか、向こうの人達)

女「……悪いけど、そんな気全く無いんで」

不良1「えぇ? いいじゃねーかよ」

不良2「一緒に行こうぜー」グイッ

幼馴染「っ!」

女「あっ、そいつには触れるな!」

不良3「かっくいー、そんな事言えるんだ、姉ちゃん俺のタイプかも?」

女「そうじゃなくってだな!?」

バチッ!

不良2「ぎゃああ!?」バタリ

幼馴染「触るな、汚らわしい」

不良3「は?」

後輩「えぇ……?」

女「そいつに手出すとスタンガンとか遠慮無く食らうって……遅いか」

不良1「テメッ!」

幼馴染「触れるなっつってんだろうがっ!」ゴスッ

不良1「ぐふっ!?」

幼馴染「……」バチッ!

不良1「ぎゃぁっ!」

後輩「お、追い討ち……」

不良3「ひ、ひぃ……お助けぇ!」

幼馴染「おとといきやがれ」ペッ

女「……」

幼馴染「女ー、今日はどこ行くんだっけ?」

後輩「あの、先輩。これって」

女「……普通の男性ならいいんだけど、突っかかってくるような男性は大嫌いらしいんでな」

後輩「……怒らせると怖いんですね」

女「怖いも何も、器具とか使う分俺よりヤバいかもしれないぞ。あのスタンガンだってカスタマイズしてるっていう話しだし」

後輩「何で私達にそれを向けないんでしょう」

女「女性だからなのと、俺と後輩は例外だからかもなぁ。いつも弄ってるけど、本気にさせて敵にしたらマジで怖いからな?」

後輩「……忘れないようにしておきます」

幼馴染「どうしたの?」

女「なんでもない」

今日はここまでです
長い間放置しっぱなしで再開してもいいんだろうか……それが心配です

待ってた
別作品kwsk

>>345
ここで書かせてもらってますけど、二次創作なので堂々と宣伝はちょっと
よかったら見てやってください


幼馴染「腕組んでくれるなんて嬉しいねぇー」

女「厄介事解決してくれたお礼だ」

後輩(いいなぁ、幼馴染さん。……でも、今回は感謝するしかないですし、仕方ないですね)

ビュゥ

幼馴染「風が強くな——」

幼馴染「へぷっ!?」ガサッ

女「ん、チラシ?」ガサッ

幼馴染「……こ、こいつ、綺麗に顔面に直進してきた……!」

女「今日のじゃないか、ちょっと見ていいか?」

幼馴染「主婦だねぇ」

後輩「主婦ですね」

女「1人暮らしになると気になるんだよ。どこが安いとか見れるし」

女「卵は……今日は無いのか。……ふむ」

女「」ピクッ

女「……よし、今日はこのデパートに買い物行くぞ」

幼馴染「お、何かあったの?」

女「コレだコレ」

後輩「冬の野菜セール……野菜類が安いですね。私でも分かるぐらいですよ」

幼馴染「うわ、やっす」

女「見逃す訳には行かないからな。よし、行くぞ」スタスタスタ

後輩「ちょ、ちょっと待ってください先輩、急に早足にならないでください」

幼馴染「……んー? あっ、後輩ちゃん、これこれ」

後輩「なんですか?」

後輩「……2Fフロア、本日ぬいぐるみフェス? 世界各国から取り寄せられたぬいぐるみの販売……」

幼馴染「たぶん本当の目的はこっち。野菜はついでなんじゃないかな」

後輩「……」

幼馴染「……」

後輩「……だから早足になったんですね」

幼馴染「かわいいなぁ、もう!」


女「やっぱり混んでるな」

幼馴染「うへぇ、辛いなぁ」

女「とりあえず、俺は別方向から行くから、2人はここからでいいか?」

後輩「分かりました」

幼馴染(2階行く気だ)

後輩(行く気ですね)

女「それじゃあ、頼んだぞ」スタタタタタ

幼馴染「かなり速い早足だね」

後輩「今、曲がりましたね。もう、見えなくなりました」

幼馴染「構造的にたぶんぐるって回って階段かエスカレーターに向かってるんじゃないかな」

後輩「……なるほど」

幼馴染「……えっと、何買う?」

後輩「何買いましょう。日持ちのいい野菜とかですかね?」

幼馴染「お母さんから野菜について色々聞けばよかったなぁ……」

—————

女(で、でかい。海外にはこんなサイズの人形とか普通にあるのか)

女(このクマちゃんとかキュートで……あ、あれもいいなぁ。国旗柄の服とかも中々……)

女(ぬいぐるみ専門店でもあまり見かけないものばっかりだ……)

女「へ、へへ……♪」

女の子「おかーさん、あの人落ち着きないね?」

女性「お人形さんが好きなんでしょうね」

女の子「わたし、あそこまで変な顔しないよ?」

女性「……そういうことは言っちゃいけません」

幼馴染「なんとなーく買ったけどこれでいいのかな」

後輩「本当になんとなーくですけど、いいと思いますよ」

幼馴染「なんとなーくでカレーの具材になるのは仕方ないことだよね……」

後輩「っていうか先輩見かけませんでしたし……」

幼馴染「あそこのたこ焼き食べる?」

後輩「……いただきます」

十数分後

女「ぜぇっ……はぁっ……悪い、遅れた」

幼馴染「遅いよー?」

後輩「何してたんですか」

女「悪い悪い、ちょっと別用が……」

女(ぬいぐるみ持ってここから家まで行ってから帰るっていう全速力の往復は流石に辛かった)

女「お詫びと言っちゃなんだが、帰ったら好きな物作ってやるからさ」

幼馴染「え、本当?」

女「おう、何でもいいぞ」

後輩「……じゃあ」

—————

女「……何でもいいって言ったのに、カレーかよ」

幼馴染「いいじゃん、好きなんだもん」

後輩「先輩の作ったものならなんでもいいですよ」

女「……ピーマン」

後輩「」ピクッ

女「ピーマン入りのカレーっていうのも中々……」

後輩「せ、先輩、ピーマンだけはやめてください!」

幼馴染「あれ、後輩ちゃん、ピーマン食べれないの?」

後輩「食べれないっていうか、その、あの……」

女「大丈夫大丈夫、カレーと一緒になら食べれるって」

後輩「ダメですっ! あんな苦い食べ物食べられませんよ!」

後輩「しかも歯ごたえあって噛むたびに苦味が増して……!」

後輩「先輩だってきゅうりがカレーに入ってたらどう思いますかっ!?」

女「食えん」

後輩「でしょう!?」

女「分かった分かった。まぁ、冗談だったんだけどさ、今後の料理にピーマンは控えとくよ」

後輩「ありがとうございます……」ホッ

幼馴染「しいたけもおねがーい」

女「……しいたけは、偶にはいいよな?」

幼馴染「なんで!?」

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