不思議図書館
みゆき「みんな、おはよー!」
キャンディ「おはようクルー」
あかね「おー、おはよーさんみーゆき、キャンディ。遅かったやん」
みゆき「ごめんねー、キャンディと勉強道具をどこにしまったか探してたら、時間かかっちゃって」
あかね「夏休み二日目で勉強道具行方不明てなんやねん!?しょーもないなぁ理由が」
やよい「あ、あはは。私もテレビ見てたら遅くなっちゃったから、みゆきちゃんのこと言えないや」
あかね「日曜朝はテレビの前で正座なんやっけ?」
なお「ははは。今日はみんなで勉強会にしよう、っていうれいかの案に乗っかったのは、正解だったかな?」
れいか「プリキュアの指名を担う私たちは、計画的に課題もこなしていかなくてはいけないものね。みゆきさん?それで、『夏休みの友』は見つかりましたか?」
みゆき「うん、れいかちゃん!昨日読んでた『長靴をはいた猫』の下に……ってあれ!?こ、これ絵本の『希望の友』だった……はっぷっぷー」
みゆき「読書感想文って、絵本は駄目かなぁ」
あかね「あかんと思うで。自分、赤毛のアンも好っきゃーゆうとったやん。あれは?」
みゆき「小学校三年生からずっと、夏と冬の読書感想文でアンシリーズは完走しちゃったから……」
あかね「感想文だけにか、うまないわ。っちゅーか、アンてそないなあんのかい」
やよい「うーん、私も迷っちゃうなぁ……れいかちゃんはどうする?」
れいか「私は、いい機会ですので高村光太郎の『道程』を」
なお「言うと思ったけどね、れいか。あれって詩集じゃなかったっけ……詩集が駄目とは書いてないけどさ」
みゆき「それならきっと絵本もありだよね」
あかね「話戻すなや」
キャンディ「みゆきー、キャンディが描いてる絵本の感想を書けばいいクルー♪」カキカキ
みゆき「ふふっ、ありがとキャンディ」
キャンディ「クルぅ!」
あかね「なーんや、黙りこくって勉強勉強ー、ゆうんもうちららしくないし。適当にみんなで喋りつつやろうやー」
れいか「そうですね。私も、せっかくみなさんと集まったのですから、楽しく進められたらと思います」
やよい「うん、そうだよね。それじゃ、歴代ライダーのカッコいいところとかを熱く……」
あかね「やよい、それやよいで止まってまうから。熱くなる前にお通夜やから」
みゆき「それじゃ、みんなの好きな絵本とか……」
あかね「まぁギリついていける話題やけども、それもやっぱりみゆきの趣味やんか、もう。なんやほら、梅雨でんな~!みたいにやな!」
なお「あかね、それ漫才したいだけでしょ。ネタ作ってないで宿題進めなよ」
あかね「商工会のお祭りがあんねや……なんや、じゃぁなおが適当に話題出してーな」
なお「えー……あー、じゃあ一昨日の話なんだけど、さ。私お父ちゃんと、オールスターゲームを見てたんだけどね?」
やよい「オールスター?なんだかステキな響き!ゴールデンタイムにそんなわくわくするものをやってるの!?」
あかね「やよいごめん、野球の話や。目ぇキラキラ輝かせてるところほんまごめん」
みゆき「へー、なおちゃん野球好きなんだ!」
れいか「なおは昔から、お父様の晩酌に付き合いがてら一緒に野球を観戦するのが恒例なんです」
なお「するのはサッカーの方が好きだけどね。それでさ、セが勝ったでしょ?確か、昨日もだったっけ。あかね、嬉しかったんじゃない?」
あかね「んー?あー、せやな!昨日はなんや、表彰もされよったし万々歳や!」
なお「……うん?一昨日でしょ?」
あかね「うん?なんでや、敢闘選手賞とったんは、昨日の第二戦やん」
なお「?? あかね、何か間違ってない?能見が敢闘取ったのは、一昨日の第一戦だったってば」
あかね「……いや、そないな言われても。うち、ジャイアンツファンやし」
みゆき「えっ」
やよい「えっ」
なお「えっ」
れいか「あら……」
あかね「?」
みゆき「あれ?えっと、あかねちゃん?あんまり野球に詳しくない私でも、今のあかねちゃんの発言がおかしいのは分かるよ?」
やよい「私も」
あかね「な、なにがやねん。うちがジャイアンツファンやったら、なんやのん?」
なお「それだよ、それそれ。あかね、関西生まれでしょ!?」
あかね「……あー、な」
れいか「あかねさん。私、てっきり大阪から転校されてきたあかねさんは、当然タイガースファンなものかと思っていました」
あかね「そう思われがちやけどな。普通に、他の球団ファンもおんねやで。うち、プリキュアになったとき色が橙で、ごっっつテンションあがったもん」
みゆき「そんなものなんだー。ジャイアンツファンなのには、なにか理由があるの?」
あかね「お父ちゃんがジャイアンツ全盛期世代直撃やったから、その影響やな」
やよい「あー、それじゃぁあかねちゃんちはみんな?」
あかね「うん。げんきは一周回ってカープ!とかゆうとったけど」
なお「てっきりあかねは『猛虎魂やー!』とか叫んでるタイプとばっかり思ってたよ」
あかね「ない、ない。猛虎とか聞いて呆れるわ、まぁタイガースが調子悪いとこっちもおもろないんやけどな」
れいか「あかねさん、大阪にいたころは、周りはやはりタイガースファンの方が多かったのではないですか?」
あかね「あー……えぇ機会やし、話しとこか。なぁ、みんな。うち……なんでこっちに引っ越してきたと思う?」
みゆき「えー?えっと……私は、お父さんのお仕事の都合だったけど」
あかね「うちん家は自営業やん?転勤とか、ないし」
やよい「そっか……それじゃ、何かトラブル……?」
なお「……まさか」
あかね「うちらもなー、大阪に住んどるさかい、ジャイアンツファンゆうんを知られたらまずいー、ゆうんは分かっとったんや」
あかね「客商売やしな。せやから、あんま客と野球の話題になんのは避けとったんや。ふられても、なーんもボロださんように、って……せやけど」
れいか「……」
あかね「……流石のお父ちゃんも、ミスターをバカにされたらなぁ……」
みゆき「ミスター?」
あかね「…………」
なお「みゆきちゃん、謝って。すぐ謝って、多分あかねは怒るより先に泣き出すからそれは」
みゆき「えぇっ!?ご、ごめん!ごめんねあかねちゃん!!!」
あかね「いや、えぇねや……そうや、そうやな。ミスターももう過去の、っく」
キャンディ「喧嘩はダメクル!あかね、キャンディのお耳使うクルー?」
あかね「いや、喧嘩やないねんけどな。おーきに、キャンディ。耳やなくてハンカチやったらキュンッとなっとったかも」
れいか「それで、あかねさん。お客様と、口論になってしまった後は……?」
あかね「まぁ、想像通りや。タイガースファンの輩に目ぇつけられて、あることないこと」
やよい「あ、荒らされたりとかしちゃったの!?」
あかね「そこまではされへんかったけど。タイガースが負けた日は、やけに絡んでくるおっさんがぎょーさんきよったなぁ」
なお「……なんて汚いんだ!筋が通ってないよ、筋が!!」
あかね「で、商売上がったりや~ってなりよったから、心機一転しよかー、ゆうてこっちに越してきたわけ」
みゆき「そう、だったんだ……」
あかね「……あー、ごめん。こんな暗くさせる話題のつもりやなかったねん。つまり、な。なんちゅーか」
あかね「うちは今、そんなことがあったけど。こっちに来れて、良かったと思ってるってこと」
あかね「テレビつけてもタイガースの試合中継とか無くて、街歩いてても縞々の応援幕とかなくて」
あかね「それで、みんなに会えたんやし。ほら、みゆき。あんた風にゆえば……ウルトラハッピー!や。せやから、うん」
みゆき「……あっかねちゃーん!」
あかね「わわっ!?な、なんや抱きつきなや……いや続かんでえぇ!!恒例の大好き抱きしめとかえぇからやめてこっ恥ずかしいからやめーーやーーーー!!!」
あかね「満足かこら」
みゆき「うん!皆で仲良しウルトラハッピー、だね!」
キャンディ「クル!」
あかね「そーかい、こっちは熱くてかなわんわなんやあれ四人と一匹で囲みよってからに」
やよい「恥ずかしいよね、うん。経験者の私は語る」
あかね「参加しとった子ぉが何か言っとるし」
なお「でも、あかねにそんな事情があったなんてね。思いもしなかったよ」
あかね「うーん?別に意外でもなんでもないつもりやったねんけど。なおも、虎よりウサギのがかわええから好っきゃろ?」
なお「まぁね」
れいか「……考えたのですが」
みゆき「? どうしたの、れいかちゃん」
れいか「私達は、今のあかねさんのように『皆に話して無いとても大事なこと』が……いくつかあるのでは、ないでしょうか」
れいか「あかねさんはおっしゃいました。意外でもなんでもないつもりだった、と」
れいか「つまりは、自分の中では当然だと思っていることでも……」
やよい「実は皆が知ったら驚くようなことがあるかも、ってことなの?」
れいか「はい。そしてそれは、仲間である私達が、更に結びつきを強くするのに。とても大事なことでは、ないかしら」
あかね「あー、確かになんかみんなにうちのこと知ってもらえて少し嬉しかったかもしれん。最後のは恥ずかしかったけども」
なお「いいね、それ。隠し事があるのは、すっきりしないし」
キャンディ「? キャンディ、そりよくわかんないクル。みゆきぃ、どういうことクル?」
みゆき「えーっとね、つまり……」
みゆき「カミングアウトでウルトラハッピー!って、ことだよね!」
あかね「カミングアウト、ってほどたいしたことやないような気ぃもするけど。えぇんちゃう、おもろそうやし」
やよい「え、えぇ?あかねちゃん、自分の番が終わったからって気楽すぎー……私、なんだろう」
みゆき「やよいちゃんの秘密?なになに、知りたい!」
やよい「ふぇ!?み、みゆきちゃんそんな、期待されても困るよぉ……うーんと、えーっとね」
なお「無いなら無いでいいんだよ、やよいちゃん」
れいか「えぇ。雑談のつもりで、気楽にしてください」
あかね「やよいやし、そんな重大なこともあらへんやろうからな」
やよい「さり気に酷いよあかねちゃん!?わ、私だってその、皆には秘密の100%無敵のヒーローなんだもん」
あかね「うちらみんなやんそれ、いや、ヒーローとはちゃうけども」
なお「やよいちゃんは、分かりやすいからね。あ、バカにしてるんじゃなくって。そういうところがいいところだ、ってことだよ?」
れいか「なおは可愛いものと素直な方が大好きだものね」
やよい「そ、そう……?」
みゆき「うん、うん!やよいちゃんは絵が大好きで、頑張り屋さんで、それで……特撮ヒーローさんが大好きなんだよね!」
やよい「……あー。特撮……あー、そっか……」
みゆき「?」
やよい「……みんな!ごめんなさい!」
あかね「え、な、なんやのやよい。そないな頭下げよってからに」
やよい「……私、ずっとずっと!特撮ヒーローが大好き!てつを素敵!って言ってたんだ、けど!けど!」
なお「てつをって人のことは初めて聞いたけど……え?」
れいか「やよい、さん。まさか……」
みゆき「え……ひょ、ひょっとして」
やよい「私……私!」
やよい「電王から嵌った、にわかなの!!ごめんなさい!!!」
みゆき「……」
あかね「……」
なお「……」
れいか「……」
やよい「……幻滅した、よね。うん、分かってるの……私……」
やよい「それでも、みんなには……知ってほしかった、かr」
あかね「いや、知らんし」
やよい「ふぇ……うん、ごめんね。こ、こんなにわかの言い訳なんて……みんな、聞きたく、ないよね」
あかね「いや、せやから……で、電王って、なに……?え?そっからはまったのが、何が悪いのん?」
やよい「……え?」
みゆき「あー、私少しだけ知ってるー。赤い鬼みたいなのが、お父さんの声そっくりだったからー」
やよい「なにそれ詳しく……あ、あれ?みんな、私のこと……『糞にわか○ね!』とか『バイクに乗らないライダー()』とか……煽ったり、しないの?」
なお「そ、そんなこと言うわけないよ!?だって、やよいちゃんはそれがステキだって思って、好きになったんでしょう?どうして批判することがあるのさ」
やよい「あ……あの、ファンの界隈じゃ、私みたいなのはそういう扱い、だから」
れいか「やよいさん。あまり、ご自分を卑下しないでください。やよいさんはそれでも、とくさつ?が大好きになられたんですよね?」
やよい「う、うん。そっから平成ライダー全部見て、昭和も完走して、戦隊ヒーローに手を伸ばして、メタルヒーローに熱くなって、円谷にどっぷり嵌って、ゴジラ陣営とガメラ陣営の討論に加わって、そしてオダジョーが嫌いになったよ……?」
あかね「最後はわからへん、全部微妙やけど」
みゆき「やよいちゃん。やよいちゃんは、好きな物に一生懸命になれるとってもとっても素敵な子だよ?私達、そんなやよいちゃんをバカにしたりなんて、しないよ」
やよい「でも、でもね……私達の界隈じゃ、どこから嵌ったかっていうのがすっごく重要なの。いくら私が『東映不思議コメディシリーズ』の素晴らしさを説いても……」
あかね「なんやその学歴社会じみたもんは。やよい、うちらは、なんや?友達やろ?」
れいか「その通りです。やよいさんのご趣味はまだ詳しく知りませんが、そのような価値観でやよいさんを測るのは間違っていると言わせていただきます」
なお「そうだよ。まわりがどう、とか。関係無い。私達は、やよいちゃんが大好きなんだよ?」
キャンディ「キャンディも、やよい大好きクルぅ」
やよい「みん、みんなぁ……ぐすっ、よ、よかった。ほんと、ほんとは、怖かったよぅ……みんなにも、嫌われちゃったらってぇ」
みゆき「やよいちゃん!」
あかね「ほーれ、さっきの仕返しやー」
なお「あはは、やよいちゃんは泣き虫だね。ひなとおんなじだ」
れいか「やよいさん、大丈夫ですよ。私達はみんな、やよいさんの味方です」
キャンディ「ギューッ、クルー!」
やよい「みんな、ありがとう。ありがとう。これから私が、お昼ご飯にカレーばっかりもってきても、引いたりしない?」
みゆき「えへへ!私にも少し分けてね!」
あかね「全力でツッコミはするけどな。えぇやろ、それくらい」
やよい「ありがと、ありがとう……大人になって、私が大型バイク乗り回してても、引かない?」
なお「ははっ、かっこいいね。後ろにのせてよ、気持ち良さそう」
れいか「そんなやよいさんはとっても素敵だと思いますよ?」
やよい「うん、うん……みんなありがとう、大好き!」
やよい「今度みんなで、カクレンの青春激闘編見ようね!シリアステコ入れが入ったから丁度いいし!」
あかね「あかん、やよいが何を言ってるのか分からへん。それで、次は?」
なお「えーっと、私いいかな。いつまでも順番待っててもやもやするのは、いやだし」
みゆき「それじゃ、なおちゃんね!……うーん、って言ってもなおちゃんのそういうのは、想像つかないなぁ」
れいか「なお?なおは昔から、なんでも私に話してくれていたと思うのだけれど。それこそ、失敗や恥ずかしいことまで」
あかね「見せ付けてくれんのぅ自分ら。でもなおかて、何かあるからそないなこと言うんやろ?」
なお「うん……実は、実はさ」
なお「私、一度だけ。男子サッカー部の試合に……出たことが、あるんだ」
みゆき「……」
あかね「……」
やよい「……」
れいか「……」
なお「……」
みゆき「なおちゃん、かっこいいもんね!」
やよい「ありあり!全然ありだよ!」
なお「そこ!?」
あかね「茶化しなや、みゆき、やよい」
れいか「なお……一体、どうしてそんなことに?」
なお「うん……ほら、うちの男子サッカー部って、弱いでしょ?」
やよい「あー、小学生のチームに前半で5点差つけられたー、って聞いたことあるね」
あかね「女子部のなおみたくエースもおらんし、まとまりもないねんな」
なお「そうなんだ。でもね、正顧問の先生が病気でいないから仕方のない部分もあるんだよ……でも」
みゆき「でも?」
なお「他校との試合で、ね。それに負けたら、向こう一年間の町の大きなグラウンドの使用許可を、そちらにゆずるって、賭けをしちゃったんだ。男子部」
れいか「……弱小なサッカー部は野球部その他にグラウンドの大半を使用されていて、週に何度か町のグラウンドを使わないと十分な練習が行えない」
れいか「と。生徒会の方でも、問題になっていました。ですが、まさかそんなことを……」
なお「『弱いくせに練習なんてしてなんの意味があるんだ』って、言われたらしい。それで喧嘩になったんだ、って」
なお「それを聞いて、さ。私も頭にきちゃって。だって、連中弱いけど、真面目な奴らなんだ。部員が足りなかった去年とかは、嫌な顔一つせず女子部に混ざって練習してたし」
あかね「それで、助っ人になったったー、ゆうわけか」
なお「うん。去年は髪もまだ伸ばしたてだったし、帽子に納められたから」
れいか「私がリボンをあげたのも、去年の末ほどの話しだものね」
なお「さらしも用意してたんだけど……使わなかったよ。何でかは聞いてくれるな」
あかね「そか。それで、結果はどないやったん?」
なお「10-0で勝てたよ」
あかね「相手弱っ!?!?」
なお「なんかあたし常時フリーだった……いや、そこはいいんだ。勝てたことは勝てたし、連中の力にもなれた。感謝も、された。でも、でも、さ」
なお「……あたし、ルールを破ったんだ」
みゆき「……なおちゃん、それは」
なお「理由なんて、関係ないよ。ううん、今考えれば、その理由だってあたしの感情一つだし」
やよい「で、でも……その場合は、えっと」
なお「ううん、やよいちゃん。庇わなくたって、いいんだ。あたしが一番よく分かってる。あたしは、自分が一番嫌いな」
なお「卑怯な手を使って、しまったんだ。それは変わらないよ」
れいか「……」
なお「ずっとずっと、ひっかかってた。うん、納得をしようともしたんだ」
なお「助けてあげられたし、無理難題で筋が通ってない相手の鼻をあかせてやれた」
なお「でもさ。それでよかったのか、って。もっともっと何か、手があったんじゃないか、って」
なお「れいか。あたしがれいかみたいに頭がよければ、きっと話し合いでなんとかなったんじゃないのか、って」
れいか「……なお」
なお「あたし、直球勝負って言ってるけど。違うんだ。あたしは、直球でしか。思ったようにしか考えられないし、進めないんだ。それでいつも、事が済んでから……後悔ばかりしてる」
なお「あたし、自分が恥ずかしいよ……弟たちに、けいたにゆうたにこうたに、はるとひなに顔向けできない」
なお「姉ちゃんは……っ、みんなを叱れるような、姉ちゃんじゃないんだ、って」
みゆき「……なおちゃn」
あかね「待ったり、みゆき」
やよい「あ、あかねちゃん?これは、大好き抱きしめの流れじゃ……」
あかね「いや、ここは……幼馴染の特権を、発揮してもらおうや」
れいか「……なお」
ギュッ
なお「れい、ぐすっ、れいか」
れいか「あなたは何も間違ってないわ、なお」
なお「でも、うぅ、でもぉ」
れいか「私こそ、生徒会というそのような問題に対処できる立場にありながら、何もできなくてごめんね?」
なお「! 違うよ!れいかは何も、悪くないよ!あたし、あたしが……相談しなかったのが、悪いんだ。直球直球って、向こう見ずに……」
れいか「知ってる。なお、私はあなたの幼馴染よ?だからね、なお」
れいか「私はあなたの鏡でありたいの。ずっとずっと、それは変わらないわ」
なお「れいか……」
れいか「なおがまっすぐにしか進めないなら、その結果で悩むなら。私がなおを映してあげる」
れいか「なおが求める清らかな心は、あなたの中にあるんだって。私が教えてあげる」
れいか「それが、友達でしょ?なお……もう一人で、悩まないでね?」
なお「れいか……れいかぁあぁ」
あかね「今や!」
みゆき「なおちゃーん!私もなおちゃん大好きだよぉー!」
やよい「なおちゃんかっこいいよ!ヒーローみたいだよ間違ってなんかないよぉー!」
キャンディ「クルぅ!」
なお「みんな、うぅ、うわぁあああん!みんなぁー!!」
れいか「ふふっ、なおは昔から泣き虫なのよね」
なお「ぐすっ、ありがと、みんな。すっごいスッキリしたよ」
あかね「そら良かったわ。なお番長の意外な姿はこれが初めてやないけども」
なお「番長言うな!れいか、ありがと。あたしの幼馴染が、れいかでよかったよ」
れいか「私もよ、なお」
やよい「うーんと、それじゃ次はその流れでれいかちゃん?」
れいか「私、ですか。ついに、ですね……」
みゆき「れい、れいかちゃん顔が真剣に!」
やよい「き、気楽にじゃなかったの!?れいかちゃん真面目すぎー」
れいか「はっ。すいません、ですが私の発言は……みなさんの、その。この場でのやる気など、諸々を失わせて、しまいそうで」
あかね「な、なんやそれ……プリキュアであることを、ってことか?」
なお「れ、れいか……一体なんなのさ。話してよ」
れいか「……実は」
れいか「……」
れいか「……私、夏休みの宿題。昨日で全部、終わってるんです」
みゆき「」
あかね「」
やよい「」
なお「……」
れいか「……」
なお「……れいか、それ今年は我慢しようって言ってたじゃないか」
れいか「ごめんなさい。でも、お兄様に昨晩誘われてしまって……」
あかね「れいか!」
れいか「な、なんでしょうあかねさん……怒ります?」
あかね「映させてぇ!!」
れいか「ダメです♪」
r-‐‐= : "´: : ̄ ̄ ̄: :` : .、
/`ー─==ヘ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
{ : : : : : : : :∧ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
j/. : : : : : /: ハ : : : : : : : : : |: : : : : : \: : : : .\
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〃: : : : : : : : , ィ |: j : : : : : |: ∧: : ト、 : : : : : :\: : : :Y
〃 : : : / : : : /: :| j:∧: : : : : |/ _二._ |\: : : : :ヽ`=‐ !
〃 : : : :Y: : : : : |: :|x= \: : : { "「 三㍉、: :ヽ : : : }: : :|
Y : : : : : j|: : : : : ト〃三::', \__ゝ{ノ三:::ハ}: : :トミ: : 八: :|
{: : : : : :从 {: : : :Vヘノ三::} ヽ-( ヽ三ノ l : : |ノ.∨: : \{
、: : : :f{ ヘl\: : `、\ニノ ノ \ イ: : :|! : : : :j : : \
ヽ: : :| `ト、_ゝ / r ヘ  ̄´从 : |l: : : jノ. : : : : ヽ
\{ |l 八  ̄ `ー' ,.ィ'リノ : |l_,.∠.._ : : : : : :}\
|i: : :`アT==ァ‐‐=≦Ti7/. : /三三三ヽ: / ノ. : :)
|l: : : { :j|: : : 」__i:i i:i/イ: : ,{ィァ=‐ミ、三ニ}ィ゙ }:/
| : : : : :!ト-/ `x-r=,>'´: :/: : : |: ヽジ ′
} : : : : :リ { '"二「/. : : : : : : : : j: : :|\
あかね「この量を、れいかは一日やって……みゆき、意味わかる?」
みゆき「わかった、れいかちゃん!小人さんを呼んでちょちょいのちょいだったんだね!」
あかね「あかん、あんたのが分からん」
れいか「正確には渡された一昨日も含めてですから、二日かかっていますけどね」
やよい「で、でも凄いよ、凄すぎるよれいかちゃん……私、この計算ドリルなんて終わるまでに夏が終わっちゃってそうだよぉ」
なお「そこは、みんなで力合わせて頑張ろう、やよいちゃん。あ、あかね。だからと言ってうつすのはなしだよ?」
あかね「わ、分かってますー、冗談ですーもー」
れいか「ふふっ。あ、そうでした。全て、とは言ったのですが。一つだけ、これが残っているんです」
キャンディ「クル?そりなぁにクル?」
みゆき「あ……そっかぁ、絵日記があるんだよね!」
れいか「はい、私にこの夏で残された宿題は、これだけです」
れいか「みなさん……最高の物が出来るようにするため。協力、していただけますか?」
なお「もちろんさ!」
あかね「ふっふっふー、せんせが笑いすぎて皺が伸びまくるくらいのもんにしたらぁー!」
やよい「みんなでいれば、きっと何から描こうか困るくらいだよね!」
みゆき「うん、うん!れいかちゃん!ウルトラハッピーな絵日記に、しようね!」
キャンディ「キャンディも描くクルぅ!」
れいか「ふふっ、ありがとうございます。今年の夏休みは、とってもとっても楽しくなりそうだわ」
あかね「そんじゃ、最後はみゆきやなー」
みゆき「わ、私かぁ……なんだか、いざ自分の番になったら緊張するね!」
やよい「分かる、分かるよみゆきちゃん」
なお「でもほら、これまでの流れで分かったでしょ?私達、何を言われても大丈夫だよ」
れいか「えぇ、ですからみゆきさん。何も心配せず、おっしゃりたいことをおっしゃってください」
みゆき「うん……そうだよね。みんな、なら。うん」
キャンディ「キャンディもいるクル?」
みゆき「ははっ、ありがと……あのね。私、絵本が大好きでしょ?」
あかね「? 知っとるけど」
やよい「えっ。もしかして、絵本の業界でも最初の一冊が、とか……?」
みゆき「ううん、そういうことじゃなくて。あのね、私のこの趣味を知ると、意地悪な男の子が言ってきたりしたんだ……」
みゆき「『おい星空ー!知ってるか?グリム童話って本当はほとんど怖いオチなんだぜー!』って」
なお「あー……き、聞いたことが、あるね」
れいか「……戒めや風刺、教訓を強烈に分からせる目的があったものも多数だったそうですから。ですが、みゆきさん?今は……」
みゆき「……私は、そんなことを言ってくる子には」
みゆき「これを、貸してあげることにしています」
エドワード・ゴーリー著『ギャシュリークラムのちびっ子たち―または 遠出のあとで』
あかね「」
やよい「」
なお「」
れいか「」
キャンディ「」
あらすじ読んだら怖すぎた
_,.. -- ''" i `、
,. :'" l ゙'、
/ / ,/ |! l ヽ >>89-90
/ ,.' /l l |.! l ヽ \
,' レ′ ./ ,! ,'| | | ト、 `、 ヽ 動画で公開されていますが、ご覧になります……?
,' / / _,∠. ,!/ | i | 」_| l、 `、 ヽヽ
| / / //,/ // ! | ! `!「`ト、 ゙、 l゙、゙、
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. ,' j ,' ./ ,:::::::::::::::::| .,' 作ミト、 `、 i. | リ
j イ l /,ィ"::::::::::::::::l/ / !::l|il:ヾi. ゙、 l | |
l !`、 l l {:::::::::::::::::::/,∠, l::!l!|l!:: /! l. ∧ !
ヽl `、 l. l | ::::::::::::::::::"厂{ ≧==<,! l ,' ./ !/
| \ ト! | ::::::::::::::::, ' ヽ二三三/!/./ ,!'
|. ,' l `ヾ:..ト、 ― 三三,.ィ .l/':イ
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| / ! `、l /´,! l、ヽ!、 | .l ! !
. l/ ! `、l′〈′ `| ヽ l ! l. |
/ ゙! ゙i、 l _ |. `| ,l ! !
みゆき「私ね、知ってるの。グリム童話がどんなに怖くって、恐ろしい話か、なんて」
みゆき「世の中には、ハッピーエンドだけじゃない。たくさんたくさん、バッドエンドなお話もあるんだ、ってこと」
みゆき「それでも、私はハッピーエンドが好き」
みゆき「ハッピーエンドを求める、人間の心が大好き」
みゆき「バッドエンドを作った人も、きっときっと、何か私達に伝えようとしていたはずなの」
みゆき「辛いお話から、悲しい出来事から、私達が何か学べるように、って」
みゆき「アンだって、楽しい出来事ばっかりじゃなかったよ。泣いたりしたこともたくさんあったよ」
みゆき「それで本を閉じてしまったら、そこで本当にお終いなの。私は、そんなのは嫌だ」
みゆき「絵本が大好きな私は、ハッピーエンドが大好きな私は、だからこそ、バッドエンドの重要さも知ってるの」
みゆき「人はそこから立ち直れるんだって、教えてくれるの」
みゆき「私は、どんなバッドエンドも乗り越えて。スマイルになれる、ハッピーエンドがきっとあるって。信じてる」
みゆき「だから私、バッドエンドからも逃げない……この前、キャンディを助けたいって思ったとき。ようやく、分かったの」
みゆき「……私、間違ってる、かな」
あかね「……みゆき。あんたは、凄いな」
やよい「みゆきちゃん……みゆきちゃんは、いっつも私達の思ってるよりずーっとずーっとかっこいいことをしてくれるよね」
なお「みゆきちゃん、ありがとう、みゆきちゃんのことを教えてくれて。私、思ったよ。みゆきちゃんと一緒なら、どんな戦いにでも憑いていきたいって」
れいか「みゆきさん……きっと、困難な道です。ですが、私達みんな一緒なら。平気です、そうですよね?」
キャンディ「クル!キャンディも、頑張るクル!みゆきの、ハッピーエンドのためにクルぅ!」
みゆき「みんな、ありがとう……私、私……あ!」
キャンディ「クル!?どこかで、バッドエナジー空間が展開してるクル!」
あかね「いつの間にかそないなこと出来るようになっとったけど、キャンディ便利やな自分」
やよい「よーし!みんなで心機一転!出撃だね!」
なお「うん!より一層チームになった私達に、敵なんていないよ!」
れいか「行きましょう、みゆきさん。導いてください、私達の光として」
みゆき「うん!それじゃ、行こう!」
カチッ カチッ パッ!!…………
あかね「お、なんやここ……書店?」
狼「ウーーールッフフフフ!俺様に本を売りやがらねぇ罰だぜぇ!暴露本なんていう、メチャクチャ悪そうな本をよぉ!」
狼「あぁん?おぉプリキュアども、テメェらもきやがったか、しょうこりもなく。ははぁん?テメェらも中々に、バッドな思考をしてやがんだなぁ?」
なお「どういうことさ」
狼「そうだろうが。こんな本を出しやがる奴は、暴露して誰かを貶めようとしてんだろ。そんで、その本を買いたい奴は、それを読んで笑ってやろうってはらごもりなんだろうが」
れいか「……みながみな、あなたのような外道なわけではありません!」
みゆき「狼さん……狼さんは、可哀想だね」
狼「……あぁん!?」
みゆき「人はね。秘密を喋ることで、スッキリしたいときもあるの。それがとっても怖くって、知られたら嫌われちゃうって思っていても!」
みゆき「みんなは、分かるよね。私のことも、みんなのことも。私、みんなが変わらず大好きだよ」
あかね「うちかてや」
やよい「うん!みゆきちゃん」
れいか「当然ですよ、みゆきさん」
なお「あの勘違い狼を、こらしめてやろうよ」
みゆき「うん!いくよ、みんな!」
プリキュア! スマイルチャージ!
ハッピー「キラキラ輝く、未来の光!キュアハップィー!」
サニー「太陽サンサン、熱血パワゥア!キュアサニェー!」
ピース「ピカピカぴかりん☆じゃん、けん、ぽん!キュアピース!」
マーチ「勇気凛々、直球勝負!キュアマーチッッ!」
ビューティ「深々と降り積もる、清き心。キュアビューティ!」
五つの光が導く未来!
ハッピー「ハッピーエンドに輝け!スマイル プリキュア!!!」
完
ポップ「……みなの衆は、ぶっちゃけデコルの数まだまだあるってことを知ってたことをカミングアウトしても、許してくれるでござろうか」
キャンディ「お兄ちゃん……ねぇよクル」
今度こそ、完
エドワード・ゴーリーを検索すんのは自己責任で頼むで!
みんなはもちろんボーカルアルバム買うたよな!?れいかさん曲はれいなおにしか聞こえへん最高や!
来週はスマプリおやすみ?よっしゃ!三本立てや準備せなな!
じゃあの!
ABC朝日放送 日曜朝八時半
スマイルプリキュア!
大好評放送中!
関連グッズも続々発売中!!
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