お嬢様「なんでもするから……お父様の会社を助けて!」 (59)

俺「じゃあこれ持って」

お嬢様「なによ、これは」

俺「鎌だよ。これで稲刈るの」

お嬢様「稲ですって?この私が?」

俺「なんでもするんだろ?」

お嬢様「言ったけど……ちょっと思っていたのと違ったわ……」

俺「?」

お嬢様「っていうか!そこに稲を狩る機械があるじゃないの!なぜ今の時代に手でかるのよ!?」

俺「基本はそうだが、コンバインの入れないところは手で刈るの。ほら口動かしてないで手動かして」

お嬢様「あなたはやらないの!?」

俺「おれはコンバインの運転あるから、あと頼んだよー」

お嬢様「ま、待ちなさいよ!!ちょっと!!」

俺「ん?」

お嬢様「何でさっきから呼んでいるのに返事をしないのよ!!」

俺「ああ悪い悪い、運転中は何も聞こえねえんだ。で、何もう終わったの?」

お嬢様「終わるわけないじゃない!この鎌不良品よ!全く切れないわ!」

俺「不良品?……ちょっとやってみ?」

お嬢様「ほらっ!ほらっ!全然切れない!」キコキコ

俺「……お前もしかして稲刈ったことねえの?」

お嬢様「あるわけないじゃないの!!」

俺「こうやってしっかり持って、勢い良くざしゅっとやんの」ザッ

お嬢様「……」

俺「できそう?」

お嬢様「ば、ばかにしないでちょうだい!!そのくらい……」ザッ

俺「だいぶよくなったけど、もうちょい思い切ってやってみて」

お嬢様「思い切って……思い切って」
ザシュ!

俺「おお、そうそう。うまいうまい」

お嬢様「と、当然よ!!?」パァァ

俺「じゃあ、このへんの刈り残した稲頼むわ」

お嬢様「任せておきなさい」

お嬢様「コツさえわかれば簡単なものじゃない」ザッ ザッ

お嬢様「リズムに乗れば早く刈れるわ」ザッ ザッ ザッ

お嬢様「あの機械より私の方が早いんじゃなくて?」ザッ ザッ ザッ


俺(意外に頑張ってるな)

お嬢様「!!」ブンブン

俺「おお、びっくりした、何それ豊作を祝う踊り?」

お嬢様「あなたが呼んでも返事をしないからでしょう!」

俺「悪い悪い。で、何だ?」

お嬢様「ちょっと来なさい!!」グイッ

俺「うお、引っ張るな危ねえ!」

俺「おお、すげー」

お嬢様「見なさい。ここからここまですべて私が刈ったのよ」

俺「頑張ったじゃん、えらいえらい」

お嬢様「当然よ!」

お嬢様「あなたの機械より私が全てやったほうが早いんじゃなくて?」オホホホ

俺「そうかも知れないが、この辺りはコンバイン入れるから君がやらなくてもよかった」

お嬢様「」

俺「あ、ごめん」

お嬢様「なんでもするから(ああゲスな男のモノをしゃぶらされたり尻に突っ込まれたりするのだわっ!)
……お父様の会社を助けて!」

>>28
そらそうよ

俺「おい、なにやってんだ」

お嬢様「はっ」

俺「お前今寝てたろ?」

お嬢様「寝ていないわよ!!」

俺「俺の軽トラの後ろで寝てたろ?」

お嬢様「うるさいわね、少し休んでいただけで寝ていないわ。今から仕事開始よ!」

俺「そうかいそうかい。やる気があって結構、俺はちょっと休ませてもらうぜ」よいせっと

お嬢様「ちょっと、何よそれは」

俺「チューペットだよ。知らねーの?」ポキッ

お嬢様「知らないわよ!そんな色のもの口にしたら叱られるもの!」

俺「食ってみる?って、お嬢様はこんなもん食わねーか」

お嬢様「……」ばっ

俺「あ」

お嬢様「……」チューチュー

俺「それ俺が食ってたやつなのに……」

近所のばあちゃん「あら、ごくろうさん」ペコ

俺「あ、どうも」ペコ

お嬢様「……」チューチュー

ばあちゃん「天気が良くてよかったねえ」

俺「ほんと、天気いい日にちょうど休みでよかったですよ。明日から荒れるんでしょ?」

ばあちゃん「そうそう。おや、この綺麗なお嬢さんは?」

俺「あーこいつは」

ばあちゃん「嫁さんかえ?」

お嬢様「!!そんなわけないでしょう!!?この汚い男と私が!!夫婦に見えて?」

ばあちゃん「!!?」

俺「おい、ばあちゃんびっくりしてるから大声出すな」

俺じゃなくて男にしろよ…なんか事故投way感じるし

おばあちゃん「げ、元気なお嬢さんだねえ」

俺「すいません、この娘は手伝いに来てくれてるんです」

お嬢様「……」チュゥー

おばあちゃん「そうかえ、じゃあ頑張って。綺麗なお嬢ちゃんも」

お嬢様「ええ、ありがとう。頑張るわ」

俺「よし、仕事再開するか」

お嬢様「……」じっ

俺「なんだよ?」

>>35
そんなこと言われても俺は俺でしかないんだが?

お嬢様「どうしてあなた農業なんてやっているの?」

俺「は?」

お嬢様「あなたのお父様の会社、あなたじゃなく弟さんが継いだんでしょう?
    どうして時期社長の座蹴ったりしたの?」

俺「あぁ、そりゃ弟のほうが優秀だから。俺なんか農業高校しか行けなかったし」

お嬢様「儲かるの?農業って」

俺「まさか、親父の助けが無きゃ赤字赤字で生活できねーし。ニートみたいなもんだよ」

お嬢様「……どうして儲からないのにそんなことを。理解に苦しむわ」

俺「俺もわかんねえ。でもじいちゃんの田んぼだから。俺がやらないと弟が売っちまう」

お嬢様「……」

俺「まー、俺は農業やめたとこで会社勤めなんて出来ないしな!」

お嬢様「私は弟さんに賛成ね。
    家の田畑を守っていくなんて前時代的だわ。
    やりたくも儲かりもしない農業をやる動機として、とても納得できるものじゃないわ」

俺「そうだろうなあ」

お嬢様「でも、お父様は私にいつもこう言ったわ」すっ

お嬢様「やりたくない仕事だからこそ楽しくやれる人間になりなさい!と。
   だから私、今とても楽しいのよ!」ザッ

俺「……」

お嬢様「ねえ!この1刈りお握り一つ分くらいかしら!」ザッ ザッ

俺「いや、ご飯の茶碗半分もねーな」

お嬢様「なんですって!」

お嬢様「……」ザッ ザッ

俺「……おーい」

お嬢様「はっ!?」

俺「だいぶ頑張ったな。稲が寝てるとこ大変だっただろ?」

お嬢様「余裕よ」

俺「余裕って顔してねーけど、まあいいや。ちょっと来てくれる?」

お嬢様「何よ?」

お嬢様「どうしたのよ、これ」

俺「思ったよりぬかるんでてなー。コンバインのタイヤが埋まっちまった」

お嬢様「……どうするのよ、これ」

俺「引っ張るんだよ」

お嬢様「引っ張るって……こんなもの、どうやってっ……!!」ぐいー

俺「いや、トラックで牽引…

お嬢様「!!」ずぼっ

俺「!!?」

お嬢様「ちょっと!!足が動かないわよ!!」

俺「あーあ」

お嬢様「ちょっと!!何よこれ!!ここは底なし沼なの!?」ジタバタ

俺「沼だ。動けば動くほど沈んでいくぞ」

お嬢様「……」ぴたっ

俺「ごめん嘘だから固まったまま泣くな」

お嬢様「た、助けなさいよーー!」

俺「ほれ、つかまれ」

お嬢様「ううーー」

俺「俺が掴んでるからそのまま長靴脱げばいいんだよ」

お嬢様「ぬ、脱ぐの?」ウルウル

俺「うん、大丈夫だから」

お嬢様「ぬ、脱げた……」ぎゅうう

俺「よかったなー」

お嬢様「!!」

お嬢様「ちょっと!!何抱きついているのよ!破廉恥な!!」

俺「抱きついてるのはお前だろ、ちょっと待って。ほら」すとん

お嬢様「……」

俺「長靴の中泥入っちまったなー。一回家戻るか」

お嬢様「戻るって、どうやってよ!」

俺「トラックでだよ」

お嬢様「この私に、トラックまで素足で歩けというの!?」

俺「靴下履いてるじゃん」

お嬢様「靴下で歩けというの!?」

俺「そんな距離ねーだろ……なんだよ、おぶっていけってか?」

お嬢様「……」

俺「マジですか……」

お嬢様「私をおんぶできるなんて光栄に思いなさい」

俺「……」ひょいっ

お嬢様「きゃあ!」

俺「なんだよ、おぶれって言ったのはお前だろ」

お嬢様「だってそんな簡単におぶるなんて思わないじゃない!!馬鹿力!」ぽかぽか

俺「痛い痛い」

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