穏乃「玄さんが心臓麻痺で死んだ……」(132)
玄「」
宥「玄ちゃん、玄ちゃん!」
灼「玄……」
穏乃「こんなことって!」
レジェンド「全国決勝という大舞台でハコにされたことが、余程ショックだったんだろう……」
憧「あたし白糸台の控え室に行ってくる」
灼「行って何するつもり?」
憧「何って、その、文句を……、つけることなんてできないか、ルールの上でのことだし……」
穏乃「くそっ! 3校そろって玄さんばっか狙い撃ちにして、酷すぎる!」
灼「試合終了時の結果が158000、131200、120800、-10000はあまりに異常」
宥「ぐすっ、うう、玄ちゃん……」
穏乃「玄さん、いい人だったよね……」
憧「うん……。そういえば、玄が本気で怒ってるところって見たことがなかったかも」
灼「玄は勝負事をするには気が優しすぎたのかもしれない」
宥「玄ちゃんがいてくれれば点棒なんかいらないのに……」
レジェンド「惜しい奴を失くしたな……」
憧「ねえハルエ。もし玄が生きてたら、きっと将来凄い打ち手になれてたよね?」
レジェンド「ああ。ひょっとするとトッププロ級の雀士に化けていたかもしれないな」
憧「だってさ、玄。ハルエのお墨付き」
憧「だからほら、またあたし達と一緒に麻雀しようよ」
玄「」
憧「眠ってないでなんとか言ってよぉ……」
宥「ありがとう憧ちゃん」
憧「宥姉……?」
宥「玄ちゃんのために……、ぐすっ、泣いて、くれ、て……、ありが、とう」
憧「そんなの、当たり、前……、うっ、うっ、うああああああああああ……」
穏乃「玄さん」
穏乃「玄さんがいなくなってから、部室にほこりが目立つようになったんです」
穏乃「あっ。もちろん、掃除当番はちゃんと守ってるよ?」
穏乃「でも……、うん……」
穏乃「やっぱり玄さんの掃除が、一番上手だったんだなって」
穏乃「そんなことに、玄さんがいなくなって初めて気が付いたのが……、無性に悔しくて」
穏乃「せめて生前、一言でもお礼を言えていたらって、後悔し通しで……!」
穏乃「玄さん……、本当に、ありがとうございました!」
灼「玄」
灼「教室に1つ空いた席を見ると、心にまで穴が空いたような気がするよ」
灼「玄の席だった場所」
灼「……」
灼「そういえばこの前、アルバムをめくっていたらこんな写真が出てきた」
灼「私と玄がまだ小さかった頃、松実館で麻雀をうっている最中に撮られた写真みたい」
灼「あの頃はよかったね」
灼「私は……、あの頃と同じぐらいに、阿知賀麻雀部での日々が好きだった」
灼「また玄と一緒に麻雀がうててよかった」
灼「けっきょく口にすることはなかったけど、玄のこと、大切な友達だと思ってたよ」
宥「玄ちゃん……」
宥「お空の上は、寒いのかなぁ……?」
宥「あったかい格好、ちゃんとしてるかな?」
宥「玄ちゃん、時々ポワッとしてるから、風邪をひいていないか少しだけ心配です」
宥「……あのね」
宥「お姉ちゃんね。玄ちゃんのお姉ちゃんで、幸せだった」
宥「だってね。玄ちゃんのこと、大好きだから」
宥「お姉ちゃん、玄ちゃんに心配かけないよう、少しずつ頑張ってるんだ」
宥「マスクをしないでも登校できるようになったよ」
宥「マフラーも、一本だけで我慢してるよ」
宥「玄ちゃんが生きていてくれたら……、褒めて、くれたかなぁ?」
宥「……なんて、ダメなお姉ちゃんだね」
宥「妹から褒めてもらうことを期待しちゃうだなんて……」
宥「普通は反対だよね」
憧「ったくさ、玄も馬鹿だよねー」
憧「ハコにされたからって、何もショック死することなんかないのに!」
憧「だってたかがインハイ決勝だよ、インハイ決勝」
憧「んなもん玄の命と比べれば無価値もいいところだよ」
憧「そりゃね。玄がテンパりやすい性格だってのは知ってたけどさ」
憧「責任感……、強すぎだっつの。バカ」
憧「本当にバカなんだから……」
憧「……」
憧「ごめん、玄」
憧「ごめんね。ごめんなさい」
憧「あたしが阿知賀に入学しなければ……」
憧「そしたら麻雀部は結成されていなかったかもで……」
憧「麻雀部さえ再結成されなければ、きっと今でも玄は、呑気に笑顔を浮かべていられたんだよね」
憧「結果論とはいえ、あたしのせいでごめんなさい……」
憧「ごめんなさい、玄……」
レジェンド「よっす、玄」
レジェンド「今日は酒を持ってきたよー」
レジェンド「何? まだ二十歳になっていないって?」
レジェンド「大丈夫大丈夫。ちょっとぐらいなら、かえって健康にいいから」
レジェンド「実はさ……、特異な体質を持つ玄には、ひそかに期待してたんだ」
レジェンド「その、なんていうか……、いつか麻雀で私を、超えてくれるんじゃないかって」
レジェンド「もちろんそんなことになったら、悔しかったとは思う」
レジェンド「私だって自分なりに強くなるための努力はしてるしね」
レジェンド「だけどきっと同時に、それ以上の嬉しさを得られたんだろうな」
レジェンド「ふふ。こんなこと言われても困っちゃうよね」
レジェンド「悪い。たられば話はもう止めだ」
レジェンド「……それじゃ、また。酒はここに置いておくから気が向いたら飲んでよ」
穏乃「あれからもうじき1年」
穏乃「玄さんの存在って、本当に大きかったんだなって思います」
穏乃「貴女が亡くなってから、周りの人が、色々とどこか変わって」
穏乃「特に変わったのは宥さんかな?」
穏乃「宥さんはね」
穏乃「きっとこれ聞いたら玄さん驚くよー?」
穏乃「なんと冬以外ならマフラーを巻かずに生活できるようになりましたー!」
穏乃「それから……、誰にも心配かけないぐらい強い人になるんだって、人一倍麻雀を頑張ってる」
穏乃「近々プロ試験に挑戦するみたい」
憧「しーず!」
穏乃「お、憧」
憧「あんたも玄に会いにきてたんだ」
穏乃「おうよ。ここでちょうどお前と会うなんてなー」
憧「そうだね。……さってと、たまにはきちんと玄を掃除してあげますか」
穏乃「あ。確かに軽くほこりが積もってるね」
憧「でしょ? だからほら。家からバケツとふきん持ってきたんだ」
憧「よかったらシズも一緒に掃除しよ?」
穏乃「おっけー。他でもない玄さんのためだしね」
憧「……」
穏乃「憧」
憧「……ん?」
穏乃「掃除してるのにくっつき過ぎ」
憧「いいじゃん。別にくっついたままでも綺麗にはできるんだし」
穏乃「できないこたないけどやりにくい」
憧「ごめん。でも……」
憧「あたしとシズだっていつ会えなくなるのかなんて分からないから」
憧「玄の時みたいに後悔しないよう、シズには日頃から目一杯気持ちを伝えたいの」
穏乃「気持ちを伝えることと、こうして私に密着することと、どう関係があるのさ」
憧「……いい加減、ニブいっての」
穏乃「……? 何か言った?」
憧「なんでも。それよりほら、さっさと綺麗にしてあげよ」
灼「玄! 玄! 大ニュース!」
灼「ハルちゃんが世界ランクベスト1000入りしたよ!」
灼「たくさん頑張ってたからね!」
灼「さすがハルちゃんだね!」
灼「……」
灼「……」
灼「ふう。落ち着いた」
灼「最近あまり来てあげられなくてごめんね、玄」
灼「それと、これからもっと頻度が減るかも」
灼「というのも実は私、阿知賀を出て行こうと思うんだ」
灼「鷺森レーンはラウンドワンに吸収されて、今はもうない」
灼「だから私も店の手伝いをする必要はなくなった」
灼「それでね。これを機にハルちゃんのマネージャーになることにしたんだ」
灼「ハルちゃん、メンタル面に弱さがあるから、私が支えてあげなきゃ」
灼「良かったら見守っててね、玄」
灼「阿知賀のレジェンドが再び紡ぎ出されるところを」
灼「……」
灼「ごめん、今のセリフなし。臭すぎる」
灼「後から恥ずかしくなってきた……、うわあ……」
灼「あ。また阿知賀に戻る機会には、必ず玄に会いにくるから」
灼「しばらくの間さようなら」
宥「玄ちゃん……、あれから5年が経つんだね」
宥「お姉ちゃんね、今マスコミからなんて呼ばれてるか知ってる?」
宥「赤のドラゴンロード、って、呼ばれてるんだよ」
宥「クロちゃんがお空に行ってから、不思議な事が起こるようになったの」
宥「欲しいと思ったドラが、欲しいと思った時に、手元にやってきてくれるんだ」
宥「あったかい牌とドラを自在に操るから、赤のドラゴンロード、なんだって」
宥「……きっと玄ちゃんが、私に力を貸してくれてるんだよね」
宥「麻雀をしている間は、いつも玄ちゃんと2人で一緒にいるような気持ちに、なれるんだ」
宥「ねえ、玄ちゃん」
宥「私。トッププロになる」
宥「玄ちゃんと一緒に、世界で一番のプロになるよ」
「さあ。いよいよはじまります、女子チャンピオンズリーグ最終戦!」
「卓を囲むはいずれ劣らぬ強者揃いですが……」
「やはり今回の大注目は、なんといってもこの両名でしょう」
「赤い牌とドラを自在に操る、赤のドラゴンロード松実宥!」
「そして……、プロデビュー後、公式戦では全戦全勝」
「暴風の虎姫、宮永照!」
「麻雀界に燦然と輝く竜虎両星の直接対決は、果たしてどのような形で決着するのか!」
「試合前インタビューによりますと、松実宥は、宮永照のことを非常に強く意識しているようでした」
「しかし当然とも言えます」
「何せ彼女の亡き妹が最後に麻雀を打った相手が、他ならぬ宮永照なのですから」
照「松実玄」
照「奈良は遠いな。ここへたどり着くのに2週間かかってしまった」
照「……」
照「お前の将来性が、私は怖かった」
照「他の人たちがどの程度それに気がついていたのかは知らないが……」
照「松実玄が場に及ぼす支配の、純粋な強制力の高さは、私が知る他の誰よりも強かった」
照「確かに、あの時点での実力自体は、まだまだ未熟だったといえる」
照「しかしお前が成長して、場への支配力を自在にコントロールできるようになったならば」
照「ドラに好かれる麻雀を、ドラを操る麻雀にまで昇華できていたならば」
照「私も土を舐めさせられたやもしれない」
照「……そして」
照「お前は、お前の姉の心の中で確かに生きていたんだな」
照「ふふ。久しぶりに負けを見た」
レジェンド「お久しレジェンド!」
灼「ハルちゃんそれ寒い」
レジェンド「あははは、そう言わない言わない」
灼「玄だってほら、つまらないって」
レジェンド「ええー。そんなことないだろ。なー、玄」
灼「今度ハルちゃんは小鍛治プロと対局することになりました」
レジェンド「って、スルーかい」
灼「小鍛治プロ。阿知賀のレジェンドを一度は終わらせた相手」
レジェンド「ん……。そうだね」
灼「でも、今度は負けないよ。なにせハルちゃんには優秀なマネージャーがついてるから」
レジェンド「灼も言うようになったねー」
憧「3つ大きなニュースがあります」
憧「1つ目! なんと和が国会議員になりました!」
憧「しかも既存の党じゃなくて、なんか自分で新党つくってるっぽいし……」
憧「2つ目! 和の働きかけにより、日本で同性同士の結婚が合法化されました!」
憧「そして3つ目!」
憧「あたしね。シズと結婚したよ、玄」
憧「いや、まさかと思うっしょ」
憧「これがマジなんだなー。うはー」
憧「また今度シズと一緒に玄に会いにくるね」
憧「それじゃあ、あたし。お夕飯の買い出しがあるから、今日はこれで」
レジェンド「やれやれ。小鍛治プロの壁は厚かったよ、玄」
レジェンド「ん? 負けたのに清すがしそうな顔に見えるって?」
レジェンド「うん。そうかもね」
レジェンド「私に挫折をもたらした相手が、今でもとてつもない強さだったことが嬉しいのかもしれない」
レジェンド「それに高校時代よりは、ギリギリまで喰らいつけたしね」
レジェンド「……」
レジェンド「1度目は惨敗、2度目は惜敗、ならば3度目は?」
レジェンド「私は今度こそ必ず小鍛治健夜を倒してみせる」
レジェンド「そうしたら美味い酒を持ってくるから、私の自慢話を肴に、ゆっくり語り明かそうよ」
レジェンド「……っと、いけない」
レジェンド「鬼マネージャーが呼んでるから、また今度!」
レジェンド「次こそは勝利のみやげ話を持ってくるから!」
穏乃「こんにちはー。玄さーん。ワーワーギャーギャー」
憧「ちょっとシズ、子供じゃないんだからはしゃがない!」
穏乃「ふーん」
憧「何?」
穏乃「その子供っぽいところが好きとかなんとか」
憧「こっ、告白のセリフは忘れろっての!」
穏乃「無理だよ。あんなに嬉しかったんだし、忘れられるはずなんてないじゃん」
憧「……、そういう返しはズルいよ、シズ……」
宥「2人は仲がいいねぇー」
穏乃「わああああっ!?」
憧「ゆ、ゆゆ、宥姉!」
穏乃「そういえば宥さん、もうじき大切な試合ですもんね」
宥「うん。だから、試合前に玄ちゃんに会いにきたんだ」
憧「応援してるよ!」
穏乃「私も!」
宥「えへへ。ありがとう、憧ちゃん、穏乃ちゃん」
憧「……もしもハルエがこの場にいたら、すねるかな?」
穏乃「え? どうして……、って、ああ、そっか」
宥「うん……。次の試合では、赤土さんとも戦うことになるから……」
憧「大丈夫……。宥姉なら勝てるよ、きっと」
憧「もちろんハルエのことだって応援してるけど……、あたし、宥姉にも勝って欲しい」
穏乃「ファイトです宥さん!」
「日本の女流プロの中でも、段違いに強いとされる4名の選手」
「彼女たちは青龍、白虎、朱雀、玄武の四聖獣になぞらえられ、四聖と呼ばれることがあります」
「赤のドラゴンロード松実宥が青龍」
「暴風の虎姫、宮永照が白虎」
「復活した伝説、再びのレジェンド赤土晴絵が、朱雀」
「そして……、四聖の中でも最強と噂される、小鍛治健夜が玄武」
「この4名、それぞれ2名ずつがぶつかり合う対局自体は、今までにもあったのですが……」
「なんと今日、初の4名直接対決が実現します!」
「果たして四聖真の最強は誰なのか!」
宥「よ、よろしくお願いします……」
照「よろしくお願いします」
宥「……」
照「……ライバルだと、思ってる」
宥「ふぇ?」
照「松実宥……、いや、松実姉妹は、私の最大のライバルだと」
宥「宮永さん……」
宥「はい。私も……、そう思っています」
照「ありがとう」
宥「どうしてありがとうなんですか?」
照「お前は、私のことを恨んでいると思っていたから……、そう言ってもらえてとても嬉しいんだ」
宥「確かに、一時は恨みもしました……。でも……」
宥「玄ちゃんはそんなこと、望まないから……」
宥「それに宮永さん、とってもいい人ですもん」
照「べっ、別に、いい人なんかじゃ……」
照「……」
照「今日はよろしく頼む」
宥「はい!」
レジェンド「よっ。宥、久しぶり!」
宥「赤土さん。お久しぶりです」
レジェンド「今日は負けないからなー!」
宥「はい。でも私だって……、負けません!」
小鍛治「えっと、よろしくお願いします」
レジェンド「お。小鍛治プロの御到着か」
照「……? なんだか顔が変」
小鍛治「えっ? えっ? もしかして私?」
照「はい」
小鍛治「た、確かに最近化粧のりが悪いけど……、そんなに変かな……」
照「違う。そうじゃなくて、表情が。ウインクに失敗したみたいになってる」
小鍛治「表情が変?」
小鍛治「あ。それならそうかもしれないね」
小鍛治「だって私、今が人生で一番ドキドキしているから」
宥「ドキドキ?」
小鍛治「そうだよ」
小鍛治「3人は感じないかな? これから始まる対局に、胸の高鳴りを」
レジェンド「……さすがに言うねえ。こちとら緊張でいっぱいいっぱいだってのに」
照「でも……」
レジェンド「ああ。確かにこれほどの好カードは、この世に2つと存在しない」
レジェンド「私も、楽しみな気持ちが緊張を上塗りしそうだ」
小鍛治「最初から勝てる自信が半分以下って気持ちで麻雀をするのは、プロになってはじめてかな」
レジェンド「んじゃ、今日はよろしくお願いします」
照「よろしくお願いします」
宥「よろしく……、お願いします……!」
小鍛治「うん。よろしくね」
小鍛治(私、この試合に勝ったら、今度こそこーこちゃんと結婚するんだ!)
「試合終了!」
「1位、赤土晴絵! 2位、小鍛治健夜! 3位、宮永照! 4位、松実宥!」
「いやー。しかし凄まじい試合でしたね」
「点棒が激しく動いたにも関わらず最終的な収支の差は、トップと4位ですら8000点」
「4位の松実選手も敗れこそすれ、素晴らしい健闘を見せました」
「私、不覚にも、興奮のあまり胸が熱くなり解説を忘れそうに――」
「おっと。赤土晴絵の元へ、誰かがかけつけました!」
「あれは……、マネージャーの鷺森灼ですね」
「2人で抱き合って泣いています!」
「ここに阿知賀のレジェンドは、名実ともに、日本のレジェンドへと相成りました!」
宥「ぐすっ、ひっく、玄ちゃぁん……」
宥「ごめんね、玄ちゃん……」
宥「お姉ちゃん、負けちゃった……」
宥「1番のプロになるって言ったのに、負けちゃったよ……」
宥「玄、ちゃ……」
からんっ
宥「……?」
宥「空から、何か落ちて……」
宥「これ……、赤五筒……!」
宥「そっか」
宥「玄ちゃんは、ちゃんとお空から私のこと、見ていてくれたんだね」
宥「あったかいドラで、励まして、くれたんだね」
宥「……私、諦めない」
宥「お姉ちゃんもっと頑張るね、玄ちゃん」
照「当然だ」
宥「宮永さん……?」
照「今回私達は、上の世代に苦汁をなめさせられた」
宥「はい……」
照「だが、お前と私でなら次の時代を作れる」
照「私はそう確信している」
宥「宮永さん……」
照「それに、私達だけではない」
照「咲、天江衣、神代小蒔、津山睦月、荒川憩 、夢乃マホ」
照「私達といえど成長なくしてはすぐに追いぬかれてしまうだろう強い雀士が、まだまだたくさんいる」
照「近い世代だけでなく、これから育ってくるであろう次世代のプロも相手にしなくてはならない」
照「気を抜いている暇はない」
宥「……ふふ。そうですね」
宥「それでも私、絶対に……、1番に、なります!」
照「ふっ。その意気だ」
穏乃「皆で揃うのは久し振りだねー」
灼「なかなか全員はタイミングが合わないから」
レジェンド「レジェンドツモ!」
憧「うがー。宥姉とハルエ強すぎー。こっちゃアマなんだから、手加減してよー」
レジェンド「手加減してこれだと言ったら?」
憧「マジ!?」
レジェンド「ふっふっふ、さーてどうかなあ」
灼「わずらわし。あんまり調子に乗らない」
宥「大丈夫憧ちゃん。私、赤土さんを狙うから」
レジェンド「え?」
穏乃「じゃあ私も!」
レジェンド「ちょ」
憧「ならばあたしも!」
レジェンド「おいおいおいおいおい!!」
宥「あ。それ、ロンです」
レジェンド「な!? さっき見逃してた牌なのに!」
灼「ハルちゃんカッコ悪」
レジェンド「くっそー! こうなったら1対3でもなんでもきやがれ!」
灼「2対3だよ」
宥(みんなでわいわい囲む卓)
宥(これが本当に玄ちゃんが好きだった麻雀)
宥「あったかくて、懐かしいね……」
後年。歴代最強と呼ばれた松実宥は、
あるインタビューで妹について尋ねられ、こう答えた
宥「玄ちゃんは、私の中で生きています」
宥「ふふっ。何を言っているんだか、って顔ですね」
宥「もちろん、私だって現実は理解しています」
宥「だけど……」
宥「いつだって私の心をあったかぁーくしてくれているのは、やっぱり玄ちゃんの存在なんです」
宥「私が麻雀を続ける限り、玄ちゃんの生きた証は、卓上に刻みつけられ続けます」
宥「この赤五筒が私の元にある限り……」
宥「私達の打ち筋は、トップであり続けることでしょう」
松実玄
麻雀界の歴史の表舞台に、彼女の名が残されることは、無いのかもしれない
だが、彼女は確かに、日本女子麻雀界に影響を与えたのだ
おわり
このSSまとめへのコメント
いい話www