伊織「馬鹿プロデューサーとジャイアント・キリング」(197)




P「まー見てなって」




P「今年のIU、俺が面白くしてやるよ」






  ザワ……ザワ……

   「おい、今何か言ってた?」

  「よく聞こえなかったけど、喧嘩売ってたぞ」

      「961プロ相手に何言ってるんだか………」

  「765プロ?どこの事務所だよ」


律子「…ぷ、プロデューサー……」

黒井「………」

黒井「……面白い」

P「ん?」

黒井「その自信がいつまで持つか見物だな」


黒井「では、お互い全力を尽くしましょうか。765プロさん」

黒井「お宅のような弱小事務所だと色々大変だとは思うがね」

P「………」

黒井「失礼」スタスタ


  ザワ…ザワ…


P「………変なの」

真「………へーぇ……」

やよい「す、すごいですねー…プロデューサー」

雪歩「うぅ、怖かった……」

律子「…………」



小鳥「プロデューサーさんたち、一体どこのトイレまで行ってるのかしら……」

小鳥「そろそろ帰らないと……みんな待ってますよー…」

小鳥「………ここにもいない…」

小鳥「社長も事務所で、楽しみに待ってますよー……」


小鳥「…はぁ」




  「あら、小鳥じゃない。何してるの?」



小鳥「えっ?そ、その声は──」


律子「頭が痛い……まさかそこまでビッグマウスだったなんて…」

P「あのおっさんが変なこと言ってくるんだもん」

律子「周りを見て言って下さいってことです!他の事務所や記者の方もいるんですよ!?」

律子「変なネタにでもされたら………」

P「ネタじゃなくせばいいんじゃないかな」

律子「ちょっと黙っててください!」

律子「……とにかく、皆のところに…あら?」


小鳥「………さーん…プロデューサーさん!律子さん!」

P「……ん?」

小鳥「よかった……ここにいたんですね。探しました」


P「何してんの?そんな急いで」

律子「小鳥さん、すいません。ちょっと取り込んでて……すぐ戻りますから」

小鳥「い、いえ…それはいいんですけど」

小鳥「実は、私の知り合いがプロデューサーさんと話をしたいらしくて……」

律子「知り合い………?」



  「案内ありがとう、小鳥」

P「?」

律子「!!!」


小鳥「しょ、紹介しますね……私の昔の先輩で」

小鳥「今年から東豪寺プロダクションのプロデューサーを務めることになった………」



舞「日高舞です。始めまして、765のプロデューサーさん」


律子「日高舞……!?」

P「(東豪寺……魔王エンジェルの…)」


小鳥「あの、こっちがさっき話してたプロデューサーさんで、こっちはもう一人のプロデューサーの秋月律子さん」

律子「どうしてあなたが東豪寺に…確か魔王エンジェルのリーダーがプロデューサーを兼業していたはずじゃ」

舞「大した理由はないわ。たまたま私のところに1年契約でオファーが来たってわけ」

舞「私の娘や当のリーダーさんはちょっぴり不満そうにしてたけど……」

舞「なんだか今回のIUに力を入れるみたいだし、面白そうだと思ったの」

律子「………」

舞「765プロさんも今日の予選、受かったんですって?おめでとう」

P「どーも」


舞「なかなか面白いものを見せてもらったわ。良いステージだった」

P「………」

舞「そんなわけで今年はウチの魔王エンジェルも、せっかくだから参加させてもらってるの」

P「へー」

舞「とりあえず今日はどちらも無事勝ち進めて安心といったところかしら」

舞「おまけに私たちはそろって新任プロデューサー同士ですものね?」

舞「シーズンは始まったばかりですけど、お互い頑張りましょう」スッ

P「…はいはい。どーもよろしく」スッ



P「」ニヤリ…



舞「!」


P「悪いね、初めて会ったのに。コイツが早く帰るぞってうるさいから」

律子「ちょっと!」

P「つーわけで…また会ったらよろしくね。じゃ」スタスタ

律子「……失礼しました、プロデューサーには後できつく言っておきますので…」

律子「プロデューサー!楽屋の場所分かってるんですか!」スタスタ




小鳥「すみません……私もそろそろ戻らないと……」

舞「………小鳥」

小鳥「…はい……?」


舞「……彼、とっても面白そうなプロデューサーね」

小鳥「えっ?」



舞「…気に入ったわ」


──────




  『弱小事務所、大手社長に堂々宣言』


律子「『765プロダクションの新任プロデューサー:IUに波乱を引き起こすか』………ですって」


律子「プロデューサー。聞いてます?」

P「……んー……?」

律子「ソファで寝てないで……ほら、この記事ですよ!先週のアレが載ってますよ」ペラ

律子「偉大なプロデューサー殿のことが、ドーンとでっかく見開きで紹介されてます」

P「……『961プロダクションへの大胆な挑戦状』……ねえ。随分とまあ」

P「あることないこと書かれてるもんだ」


律子「どうするんです?」

P「いいじゃん、言わせとけば。こっちにとっちゃむしろ都合がいい」

P「なるべくたくさんの人間に見てもらったほうが面白いもんな」

律子「…あなたのその図太さ……見習いたいもんですよ、全く」

高木「はっはっはっ、あの黒井に自ら宣戦布告するとは……君の器の大きさを侮っていたようだ」

律子「いやいや、社長……笑い事じゃないです」

小鳥「でも、なんだかプロデューサーさんらしいとも思えてきますね」

律子「小鳥さんまで……もう」

やよい「あのときのプロデューサー、すーっごくかっこよかったです!」

真「そうですよ!あの場にいる全員を黙らせちゃったんですから!」

P「そりゃどうも。で、おっさん」

P「あそこの黒井社長?先に喧嘩売ってきたのはあっちみたいだったけど」

P「何かあんの?大手なんだからわざわざうちに目をつける理由なんてないでしょ」


高木「………黒井とはかつての知り合いでな」

P「…ふーん」

高木「どうも765プロを、というより私を目の敵にしているようだ」

小鳥「……プロデューサーさん、大丈夫なんでしょうか」

P「…なるほどねー。まあ、まだ何もされないうちに色々考えても仕方ないよ」

律子「…ですが……」

P「いずれどっかで当たるだろうよ。その時に見せつけてやればいい」

P「今やることは、次の予選に向けて実力をあげていくこと。違うか?」


真「違いません!」

やよい「プロデューサー!レッスンお願いしまーす!」ガルーン

P「あいよ」

律子「……それもそうですね。私も後から追いかけます」

P「おう」

律子「(………一部からは懐かれるようになったのね。まあ……)」チラッ

P「水瀬、お前もレッスンだぞ」

伊織「言われなくても分かってるわよ。…ふん」

律子「(あの子の理解を得るにはもう少しかかりそうだけど……)」


伊織「…………」


バタン


──────


美希「1、2、3、4、……流石だね響。ここの振り付け難しいのに」

響「えへへ、自分カンペキだからね!美希だってちゃんと出来てたじゃないか」

貴音「私はついていくだけで精一杯です……やはりダンスの才能にかけては、貴女には敵わないようですね」


ガチャ


P「何だお前達、フェアリーで練習してたのか」

響「あっ、プロデューサー。お疲れ様!差し入れか?」

P「いや、これから全員連れてきてレッスン。言ってただろ」

P「ちゃんとIUのメンバーとやれよ。はい、フェアリーは一旦解散」

響「だね、せっかくみんな来るんだし」

響「真、一緒にやろっか」

真「オッケー!」


P「ほら、星井もそうしろ」

美希「もう。プロデューサー、ミキって呼んでってずっと言ってるのに」

伊織「始めるわよ」

やよい「はーい!」

貴音「あなた様、あずさはどこに……」

P「律子が探してるから、しばらく一人でできるか?」

貴音「かしこまりました」



  「やよい、そこはもっと大きく……」

    「響、今のところのステップなんだけどさ……」

 「……………早くあずさと合わせたいものです」

       「見ててね、ここはこうするの」

    「分かりました!ありがとうございます」



P「…………」


ガチャ


律子「プロデューサー、お待たせしました。他の子も連れて来ましたよ」

P「…おう、サンキュ」

春香「こんにちは、プロデューサーさん」

雪歩「今日も頑張りますぅ…」

千早「レッスン、よろしくお願いします」

亜美真美「「はろはろ→ん、兄ちゃん」」

あずさ「すみません律子さん、また道に迷ってしまって…」

律子「いえいえ」


P「よし。全員集合」



P「次の予選までにやっていくことを話す」



P「よーく聞いとけよ………」


──────



律子「…………」ソワソワ



律子「…………」ソワソワ

小鳥「…あれ?律子さん。帰らないんですか?もう遅いですよ」

律子「あ、小鳥さん……はい、ちょっと落ち着かなくて」

小鳥「…それはまたどうして?」

律子「…ほら、明日オーディションじゃないですか」

小鳥「そうですね。次の予選に進むために、ファン数を増やさないといけませんもんね」

律子「……ちょっと不安になっちゃって」

小鳥「……私もですよ」


律子「……去年の成績のことを引きずるわけじゃありませんけど、あの子達にはもう悔し涙を流させたくありませんから」

小鳥「はい………ふふっ」

律子「な、何ですか」

小鳥「いえ、律子さんもすっかりプロデューサーが板についてきたなぁって」

律子「……まだまだですよ」

小鳥「プロデューサーさんの影響、ちょっと受けてたりします?」

律子「まさか。………いや、確かに最近は驚かされてばかりでしたけどね」


小鳥「………私たちが変わらないでどうする。ですよね」

律子「……ええ」


ガチャ


高木「…おや。二人ともまだいたのかね、ご苦労さま」

律子「お疲れ様です」

小鳥「ちょっとお話してただけですんで、すぐ帰りますよ」

高木「そうか。……何の話を?」

小鳥「事務員たちのミーティングですよ」


小鳥「我々一枚岩となって、あの人のサポートを頑張りましょうってね」

高木「…そうか」

小鳥「…さーて!社長!戦の前の景気づけ、行きますか!?」

律子「えぇ…?飲むんですか?」

小鳥「軽くですよ、軽く!」

高木「ははは、そうだね」

律子「…もう………」


律子「プロデューサーもまた部屋にこもりっきりだし」

律子「やっぱり心配事のほうが多いわよね………」



小鳥「さぁ、たるき亭へ行きましょう!」

高木「落ち着きたまえ、音無君」


バタン


律子「……邪魔しちゃ悪いのかしら、やっぱり」

律子「………」ハァ


律子「飲みすぎは禁物ですよ、小鳥さん。私も行きますから!」タッタッ




P「…………」



P「…………うし」


──────


伊織「………」

亜美「………」

真美「………」

やよい「………」

美希「…………あふぅ」


P「…そろそろ時間だ」


P「行くぞ」




律子「予選の後、初めての一般オーディションですね」

P「ああ」

律子「次の予選に参加するには一定以上のファン数が必要ですから、是非とも勝って安心したいところですけど……」

P「そうだな」


律子「小規模ではありますけど、なめてかかってはダメですよ。なんてったって……」

  「おや、そこにいるのは」

P「?」



  「765プロのプロデューサーさんですよね?」

律子「そうですが……あなたはこだまプロの……?」

新幹P「そうです、よくご存知で」

P「こだまプロ……」

新幹P「あなたが新しいプロデューサーさんですよね?どうもよろしく」

P「うん」

新幹P「聞きましたよ、あの黒井社長相手に大胆な発言をなさったとか」

P「………」


新幹P「実は今日のオーディション、うちの新幹少女も参加することになってまして」

P「……知ってるよ」

新幹P「いやいや、お互い全力を尽くしましょう。どうぞお手柔らかに」

P「………」

新幹P「ではこれで失礼します。また会場で」スタスタ


律子「…………」

P「……あそことは」

律子「はい?」

P「当たるならもう少し後のほうがよかった」

律子「……え?」


P「……おっさんから聞いてたが、いけすかないオヤジだな」

律子「………」

律子「………プロデューサー。新幹少女はフェアリーと同じように最近人気を上げてきている強敵ですよ」

律子「勝算は?」

P「分かんない」

律子「……はい?」


やよい「うわー、人がいっぱいです」

亜美「これはまだ少ない方らしいよ、やよいっち」

伊織「アンタたち、もう少し緊張感を持ちなさい」

真美「大丈夫だよいおりん、心配してもしゃーないっしょ?」

美希「みんな、今日も頑張るの!」

伊織「そうよ、一つ一つのオーディションが大切なんだから。確かに予選は進めたけど、ここで勝てないようじゃどの道先は厳しいわよ」

やよい「うぅ……緊張ですね…」

美希「プロデューサーが見てくれてるんだもん、きっと大丈夫なの」

伊織「……ならいいけど」


律子「分かんないって…どういうことですか?作戦はあるんですよね?」

P「もちろんあるし、うまくいけば負けない」

律子「だったら心配……」

P「俺が恐れてることが起きなければ、の話だけどな」

律子「………え?」





-IDOL VISION-

流行
①Vi.★★★★★②Vo.★★★③Da.★★


:参加ユニット:

No.1…ハローハロー RankD ImageLv.7
No.2…ルックルック  RankD ILv.7
No.3…新幹少女 RankC ILv.9
No.4…765Angels(中) RankD ILv.7
No.5…レッドサンダー RankC ILv.8
No.6…ゆんた RankC ILv.8


・第一回審査開始



美希「(プロデューサーが注意しろっていってたシンカンショージョって、あの子たち?)」Vi.appeal +67p

伊織「(言われなくても…と言いたいところだけど、あの連中を調子に乗らせると厳しそうね)」Vo.appeal +59p

真美「(……ま、気にしててもしょうがないっしょ)」Da.appeal +56p



律子「……参加してるユニット、全部ほとんど同じくらいのレベルなんですね」

P「ああ。新幹少女が若干頭1つ出てる印象だな」

P「だけどこの程度の差なら特に問題はない。混戦になるほどこっちにもチャンスは平等に巡ってくる」

律子「………頑張ってほしいですね」


やよい「(この調子で……)」Vi.appeal +57p

伊織「(……うん。結構いけるじゃない)」Vo.appeal +59p

美希「(あ。プロデューサー、ミキのことみてる)」Vi.appeal +59p

亜美「(ミキミキあんま集中してなさそうだなぁ……)」Da.appeal +56p



律子「……美希、相変わらずマイペースですね……こんな時に」

P「なるほどお前が天才肌って言うのもよく分かるな」

律子「もっと集中してやってくれれば、あんなもんじゃないんですけど……」

P「でもほら、見てみあっち。だいぶ意識させることに成功してるよ」

律子「………新幹少女がうちを警戒してるんですか?」

P「フェアリーのリーダーさんは伊達じゃないってことかね」


伊織「(……いける。いけるわ)」Vi.appeal +60p

美希「(結構いい勝負なんじゃないかな?)」Vo.appeal +62p



・第一回審査結果

Vo. 1位…ゆんた(232p) 2位…新幹少女(180p) 3位…765Angels(178p)

Da. 1位…ハローハロー(134p) 2位…新幹少女(122p) 3位…765Angels(112p)

Vi. 1位…新幹少女(260p) 2位…レッドサンダー(245p) 3位…765Angels(223p)


総合:現在2位(★×10)




律子「……うん!いいですよ!みんなしっかり食いついてる…アピールの配分も申し分ない!」

P「…だな」


・第二回審査開始


伊織「(新幹少女相手に、私たちが通用してる……)」Vi.appeal +60p

真美「(また上手いこといって勝てちゃいそーだよ!)」Da.appeal +56p

美希「(それで、2回目で思い切って勝負に出るんだよね)」Vo.appeal +56p



P「ここで揺さぶりに成功すればウチは勝てる」

P「失敗すれば……」

律子「……?」



やよい「(…………絶対に失敗できない…)」

やよい「(考えちゃダメ、考えちゃダメ……)」

やよい「(…でも、他の人たちみんな強そうだし………!)」

伊織「(………やよい、早く!)」


やよい「(…………っ!)」


──やよい 思い出アピール failure!!──

Vo. -25p Da. -24p Vi. -30p



やよい「あっ…!」

美希「あ」

亜美「!」

真美「!」

伊織「!」



律子「やよい…!」

P「…ちっ」


──────



小鳥「はあ、はあ、はあ…」タッタッタッ

小鳥「オーディション結果、どうなったかしら……はあ、はあ」タッタッタッ

小鳥「次のIU予選のために、ファン数を増やすための大事な初戦ですものね…」タッタッタッ

小鳥「…心配してもしょうがないわ、きっとあの子達なら大丈夫。なんてったってプロデューサーさんもいるんですもの」タッタッタッ


小鳥「…はあ、はあ、……着いた…結果発表は………!?」


小鳥「………嘘…」



:総合:

1位…新幹少女(★×30)
2位…レッドサンダー(★×22)
2位…ルックルック(★×22)



小鳥「6チーム中総合……5位……?」

風呂いってきます


新幹P「……お世辞にも」

新幹P「手ごたえのある内容とはいえませんでした……765プロさん」

新幹P「フェアリーの3人が相手ならこちらも最後まで警戒のしがいがありましたけど……」

新幹P「新チームの脆さが出ましたねぇ」



律子「………そんな…」

P「………」


──────


やよい「………ごめんなさい…」

真美「き、気にすることないよやよいっち」

亜美「そうだよー、負けたのはみんなのせいだよ」

美希「残念なの……」

伊織「…………」


春香「私たちも……」

真「途中までは何とか上手くいってたんだけど……」

雪歩「うぅ…ごめんなさい、私が失敗したから……!」

響「雪歩一人のせいじゃないさー……」

千早「……後半の無様さったらないわ」


貴音「申し訳ありません、私たちも一歩及ばず」

あずさ「とっても残念です……」


律子「……全滅ですか」

小鳥「みんなどうしちゃったの……」



P「負けました」



P「非常に残念」

P「悔しい。終わり」


P「帰るぞ」

小鳥「えっ、プロデューサーさん、それだけですか?」

律子「…せめてもう少しフォローを……」

P「………」スタスタ


ブロロロロッロ……



小鳥「………」

小鳥「(……気まずい…)」

小鳥「(…帰りのバスがまさかこんな空気になるだなんて…律子さんすら無言)」


小鳥「……」

P「ピヨちゃん」

小鳥「は、はい!何でしょう」


P「ゲーム」

小鳥「……はい?」

P「何が好き?」


小鳥「あの……一体何の話を」

P「色々あるじゃん。ボウリングとかトランプとかUFOキャッチャーとか」

P「大事な質問だよ」

小鳥「………」



小鳥「そうですね……私こう見えても」

P「やっぱアレだな!アレにしよ!うん!」

小鳥「……え」

P「…………」

小鳥「………」


ブロロロロロロロ……


──────



P「今日は特別なプログラムを用意してまーす」

響「特別なプログラム?」

真「…この前みんな負けちゃったから、何かすごいメニューをやるのかも」

美希「あんまりキツいのは面倒なの…あふぅ」

伊織「バカ言わないで」

春香「それで、何をするんですか?」


P「律子。手伝って」

律子「…分かりました」


P「特別なプログラムというのは、これです」

亜美「………太鼓?」

真美「バチ?」

やよい「それにテレビ……」

律子「…これで全部ですよ」

響「しかも3セットも?一体なにするんさー」


P「んじゃ、説明頼むわ」


律子「えー……今日のメニューは」


律子「『フルコンボだドン!リズムの達人大会』………です」


「「「「…………はい?」」」」


律子「これから皆さんには、同じチーム内でこのゲームを使って個人対抗戦をやってもらいます……思いっきりゲームって言ってますけど」

P「いいから続けて」

律子「チーム内で一対一の総当たり戦により、勝敗の成績を決めます。リズムよくバチを振るってハイスコアを目指しましょう……」

律子「それでは頑張って。えいえい…おー……」

P「ちょっとちょっと、もっと張り切って読んでくんないかなぁ。せっかく書いたのに」

律子「………」


伊織「………なにアンタ、ふざけてんの?」

伊織「私はリフレッシュなんて要らないの。むしろガッチガチにレッスンしたいんだけど」

亜美「でも面白そうだよ→」

伊織「うっさい!……こんなお遊びで時間潰せる余裕があるだなんて本気で思ってんじゃないでしょうねぇ!?」

P「やりたくないの?」

伊織「だから………!」



春香「勝つためですか?これも」


律子「………」

P「………」

伊織「春香……?」


春香「勝つためにやることなんですか?」

真「…………」

雪歩「…………」

貴音「…………」


P「トーゼン」



春香「………分かりました」

春香「みんな、準備しよっか」


やよい「あ、えと……私も手伝います!」

千早「…春香がやるなら」

真「ボクたちもやろっか、雪歩」

雪歩「う、うん………」

真美「真美、線つなぐね」

美希「ミキはよく分かんないから、準備よろしくね」

あずさ「貴音ちゃん、私たちも……」

貴音「そうですね」


伊織「何よ、みんなして……バッカじゃないの…?」


 \ハイスコアだドン!/


亜美「うお~、さすがミキミキは何やらせてもすごいですなぁ」

美希「このくらいヨユーなの!もうちょっと練習すればカンペキにできるって思うな」

美希「プロデューサー、ちゃんと見ててねー!あはっ☆」

やよい「次は私の番ですかー?、美希さんより高いスコア出すのは難しそうですけど……」

真美「頑張れ→やよいっち」


 \もう少しだドン!/


千早「くっ…まあ、はじめはこんなものかしら」

真「千早、こういうゲームやったことないのにすごいね」

雪歩「リズム感があるってことなのかな……うぅ、勝てそうにないよ……」

響「次は自分だぞー!ハイスコア出してやるさー!」

春香「ファイト!響ちゃん!」


 \残念だドン…/


貴音「………」

あずさ「貴音ちゃん、こういうのは向き不向きがあるから……」

貴音「……これは…まこと楽しき余興ですね。あずさ」

あずさ「えっ?そ、そうね~…」

貴音「もう一度………次こそ……」

あずさ「あ、あの~…私の番は……?」


ワイワイ
   ガヤガヤ


P「……楽しそうだねー」

律子「……盛り上がってますけど、こんなことやってて本当に良いんですか?」

律子「今週末にもまたオーディションがあるのに…」

P「いいんだよ」

律子「……もう、どうしてそんな」

P「目先の練習なんかより大事なもんってのがあるんだ」


P「オーディションに勝てるチーム、逆にうちみたいな簡単に勝てないチーム…そこには実力差以上に決定的な違いがある」

律子「………何ですか?」

P「今に分かるさ」

P「言えるのは、今はその違いを埋めてる途中だってこと」

律子「………?」


──────


律子「周りをよく見て!テンポを保ちなさい!!」



春香「(それは分かってるけど……)」Vi.appearl +64p

千早「(ここから修正できれば……!)」Vo.appeal +69p

響「(なんかバラバラな感じだぞ……)」Da.appeal +68p

真「(ここでミスしないように…!)」Vo.appeal +59p

雪歩「(あぁ……どうしよう……)」Vi.appeal +62p



律子「このままじゃまた負けますよ…どうするんですか!」

P「…………」

律子「……プロデューサー………?」


貴音「……やはり厳しいようですね」

あずさ「せっかくのお休みの日に、春香ちゃんたちのオーディションを見に来るだなんて…貴音ちゃんは熱心なのね」

貴音「いえ。ただ、少々気になるところがありまして……」

あずさ「…? 何かしら?」

貴音「……見ていて、よく分かることですよ」

あずさ「……?」

貴音「…おや、あれは」



千早「(このっ………!)」

──Double appeal!!──Vo. +34p Da. +33p


律子「よし!ナイスよ千早!」

P「………」


貴音「…いい判断ですね」

あずさ「…ええ……でも、もう……」

貴音「…終了ですか」



:総合:

1位…うさいちご(★×25)
2位…765Angels(★×21)
3位…サン☆タメーコ(★×20)



春香「はあ、はあ、………」

響「あー、負けちゃったぞ………」

千早「………くっ」


雪歩「ご、ごめんなさいぃ…私がダメダメなばっかりに」

真「……くそっ!」



律子「…………もう少しだったのに…」

P「帰るぞ」

律子「えっ、でも……」

P「疲れは残しちゃいけない」

律子「………分かりました」



あずさ「惜しかったわね……」

貴音「………」




伊織「……ダメダメじゃない」


──────


真「今日もゲーム大会やるんですか!?」

響「プロデューサー…ちゃんとレッスンしないとダメなんじゃないか?」

あずさ「オーディション、2回も負けちゃったものねぇ……」

真美「確かにー…楽しいから真美は好きだけどさ」

亜美「これやってて勝てるかっていったら、自信ないよね」

やよい「プロデューサー…」

伊織「…………」

春香「…………」


春香「…みんな、やるよ」

千早「…春香」


雪歩「……は、春香ちゃんがやるなら……」

貴音「…私も手伝います」

あずさ「……貴音ちゃん」

美希「ミキは何でもいいってカンジ」


伊織「やってられないわ」

律子「…伊織」

伊織「私たちは誰一人、道楽でアイドルやってるつもりじゃないはずなのに」

伊織「こんなお遊び、もうたくさんよ」スタスタ

律子「どこいくの?」

伊織「『真面目に』レッスンするの。他の空いてる部屋でね」


バタン


やよい「あ、伊織ちゃん……」

真美「あー……」

春香「………」

貴音「………」


P「………」

律子「(……最悪の展開だわ…)」



真「プロデューサー…いいんですか?行っちゃいましたよ…」

P「やりたくない奴はやんなくていいよ」

やよい「で、でも…」


P「勝ちたいと思うんなら」



P「ガキみたいに一所懸命遊ぶこと」


──────


小鳥「……はぁ…」

律子「………小鳥さん、ため息つくと幸せが逃げますよ」

小鳥「…ごめんなさい……」

律子「………はぁ…」

小鳥「…律子さん」

律子「……ごめんなさい」

高木「……ふ、二人ともどうしたんだね。元気がないね…」

律子「……やっぱりそう簡単には勝てないことを痛感して……」

小鳥「プロデューサーさん、頑張ってくれてるのは分かるんですけど……」

律子「…そうですけど」

律子「……でも、最近のレッスンがずっとあのゲーム大会なのだけは理解できません……」


高木「私もよく知らないが…きっと彼にも、なにか考えがあるはずなのだよ。だからもう少し……」

小鳥「社長。もう悠長にはしてられないんですよ」

律子「そうですよ……次の予選まであと1月」

律子「それまでに他のオーディションで何とか一勝はしておかないと、ファン数不足で全員参加権剥奪ですよ」

高木「……………」



高木「私は……彼を信じる」

小鳥「…………私だってそうですよ」

律子「もちろん…というより、あの人に頼る他ないんですから…」

小鳥「でも結果を出さないと、私たちみんなの首が……」

高木「…………分かっている」


高木「……少し出てくるよ」

小鳥「はい」


ガチャ



P「ん?よう、おっさん」

高木「…おお、君か。調子はどうだね」

P「まあまあだよ。……ちょうどよかった、聞きたいことがあるんだけど」

高木「……? 何かね」




P「俺、解任まであと何連敗できる?」


高木「!?」


──────


貴音「(やはり、厳しい戦いですね)」Da.appeal +65p

あずさ「(でも、とにかく今はやるしか……)」Vo.appeal +67p




伊織「………貴音とあずさがコンビを組んでも勝てないの?」

伊織「……あの馬鹿プロデューサー、何考えてるのよ」

伊織「…………」


真「伊織」


伊織「…真。見に来てたの」

真「うん。あの二人がどんな感じなのか気になって」

伊織「……頑張ってるけど、ダメそうね」

真「…そっか」


・第二回審査結果

Vo. 1位…魔法の笑顔(400p) 2位…DOLLS(260p) 3位…765Angels(243p)

Da. 1位…テクニシャンズ(300p) 2位…ピンキー(240p) 3位…魔法の笑顔(220p)

Vi. 1位…DOLLS(148p) 2位…魔法の笑顔(111p) 3位…765Angels(109p)


総合:現在2位(★×15)



律子「あぁ…Da.はここで取っておきたかった…」

P「集中切らしたら一気にやられるぜ」




・第三回審査開始


あずさ「(もうすこしDa.をアピールしたほうがいいのかしら……?)」Vo.appeal +65p

貴音「(ここが正念場ですね)」Vi.appeal +63p

あずさ「(………)」Da.appeal +59p


伊織「……全部アイツのせいよ」

真「え?」

伊織「あのプロデューサーよ!ふざけたまねばっかりして事務所を引っ掻き回して……」

伊織「最初のうちは仕方なく目をつぶってあげてたけど、こっちは色々と不満がたまってんのよ!」

真「伊織……」

伊織「今日あの二人が負けたらただじゃおかないわ。パパから社長に解任請求させてやるっ!!!」

真「伊織!声が大きいよ!」

伊織「!」



  ザワ……ザワ……



伊織「……っ…!」

真「ちょっと、落ち着きなよ……ね。どうしてそこまで悪く言うのさ」


伊織「……真までアイツの味方なのね」

真「待ってよ。ボクは……」

伊織「もういいわよ。春香も千早もやよいも、律子まであんな奴のこと……」

真「…………」



真「…この前、貴音と話をしたんだよ」

伊織「……?」

真「ボクたちの今までのオーディション…」


真「昔と今、ステージの外から見ててどう見えるかをね」


──────


貴音『何か変わったところはあるか……ですか』

真『うん』

貴音『珍しいですね。いつもはその手の話題は春香とすることが多いように思えますが』

真『そうなんだけどさ……春香、最近自分のやることにすごく打ち込んでるって言うか』

貴音『…………』

真『なんだか邪魔しちゃ悪いなって感じで、話しかけづらくて』

真『それに、貴音はフェアリーの中でも一番周りを見ることができるから……』

真『何か分かることがあるんじゃないかって思って』

貴音『…何かあったのですか?』


真『………最近、なんだかみんながバラバラになってる気がして』

貴音『…………』

真『確かに、プロデューサーのやり方は色々突き抜けてるって言うか……』

真『そのせいで、反発する考えの人も出てきたり……』

貴音『……それは、伊織のことでしょうか』

真『………そりゃ、分かるよね』

貴音『伊織は我が強いですから。しかし、あの方も考えがあってああやっているのだと私は思いますよ』


真『……で、どうかな?』

貴音『……例えば、真たちのユニットですが』

貴音『雪歩、千早の二人は……まだ少々危なっかしい面は確かにあります』

貴音『やよいや亜美、真美にも同じことが言えますね』

真『…なるほど』

貴音『…ですが、何といいますか……いい演技ができているように思えるのです』

真『……へぇ』


貴音『反対に…そうですね、伊織や真たちのことなのですが……』

真『………え?』


──────

真「…迷いがある、ってさ」

伊織「…はぁ?」

真「例えば雪歩はさ……よく失敗して落ち込むけど、上手く行ったときの波がすごい」

真「千早は歌に対する自信がすごいから…これだけは負けないってシーンで思い切ってアピールできる」

伊織「………」

真「二人とも、イメージレベルは少し低めだけど…自分が成功するイメージをきちんと持って、まっすぐやってるんだ」

真「特に雪歩。予選のときは本当にすごかった……最近はちょっと調子悪いみたいだけど」

伊織「…………」

真「…逆に、ボクらには思い切りが足りないって言われたよ」

伊織「…思い切りですって?」


真「ユニットの中でも比較的イメージレベルが高くて…」

真「それに加えて、端のポジションってみんなのことがよく見えるだろ?」

伊織「………」



真「全体をよく見て、細かくコントロールしようっていう自覚が裏目に出たんじゃないかな」

伊織「………」

真「初めてのオーディションのとき……やよいが中盤で失敗しただろ?」

真「ボクが見てる限りでは……あれで伊織は腰が引けちゃったんじゃない?」

伊織「!?」

真「思い切ったパフォーマンスをして、失敗したら取り返しがつかないって考えたんだよ」


伊織「…はぁ!?そんなわけないでしょ!私はきちんと切り替えて……」

真「頭では分かっていても、体がついていかなかった」

伊織「っ………」

真「…ボクもだよ。雪歩のミスを挽回することじゃなく、これ以上のミスを防ぐことばかり考えてた」

真「そんなんじゃ、格上のライバルに勝てるわけないのにね」

伊織「…………」

真「亜美や真美、それにやよいのことも見て、確信したんだ」

真「ちょっとの失敗はして当然。気にせず何度でも攻める……」

真「そういう気持ちがボクらには足りなかった」

真「貴音とあずささんもそう。積極的にアピールを続けてる」

伊織「………」


真「あの人がプロデューサーになってから、事務所は変わったんだ」

真「みんな前を見て強気に頑張ってる」

伊織「…………」

真「……まだ変わり切れてないのはボクらだけなんだよ。変わったつもりになってただけだ」



真「このままじゃまた勝てないアイドルのままだよ。伊織」

さるが全然解除されなかった……

しばらくしたら書いていきます




P「……プロデューサーが変わったからって、アイドルが変わるわけじゃない」

律子「…はぁ……」

P「俺たちがまず戦わなきゃいけないのはね……」

P「ライバルじゃなくて、自分達自身だ」

律子「…………」

P「この事務所に根付いてる『負けグセ』……その根っこは深いよ」

P「一回ごとに切り替えができるようになれなきゃ、IUはとても勝ち進めない」

律子「…………」

律子「…………切り替えって…まさか」


律子「そのためにあんなゲーム大会を……!?」


P「言わなかったっけ?」

律子「聞いてませんよ一言も!!」

P「あれ?」

律子「どうしていつもプロデューサーはそんな大事なことを………」

P「!!」




──あずさ 思い出アピール Failure!!──

Vo. -22p Da. -19p Vi. -21p



律子「あずささん……!」


貴音「(……!)」


──貴音 思い出アピール Success!!──

Vo. +200p Da. +125p Vi. +119p



律子「…おぉ、ナイスカバー!」



あずさ「(貴音ちゃん、ありがとう……)」

貴音「(……切り替えが大切なのですよ、あずさ)」

貴音「(次成功させれば、何の問題もありません)」



P「……それでいい」


伊織「……………」

真「どうする?」



伊織「…ふざけんじゃないわよ」


伊織「……やってやるわ。こんちきしょう」


──────


P「今日もレッスンだねー………ん」

真「プロデューサー、おはようございます!」

P「…おう」

伊織「…………」

P「…………」


伊織「…全然勝てないじゃないの」

P「…………」

伊織「またあの馬鹿げたゲーム大会やるの?」



P「…………やりたくなった?」

伊織「違うわよ!!」


伊織「アンタのためじゃない、私は何であろうと負けるのが気に食わないだけよ!!」

伊織「わかった!!??」

真「伊織……必死すぎ」


P「………」

P「ユニットでステージに立つってのにはね」

伊織「?」


P「チームをひとつの方向に導く舵取りが必要なんだ」

P「どんなに個々の能力が優れていても、司令塔がいないんじゃ意味がない」

伊織「…………」

真「…………」


P「全体を見てパフォーマンスの展開を左右する役」

P「ステージの一番端にいるアイドルってのはそういう奴だ」


P「期待してるよ」




\フルコンボだドン!/


真美「いおりんすげ→!」

亜美「すげ→!」


伊織「……このくらい楽勝よ!にひひっ」


──────



美希「(ダンスの審査員の人、はげてるの。あはっ)」Vo.appeal +63p

やよい「(いつも通り、いつも通り……)」Da.appeal +58p

真美「(亜美ー、任せるよ!)」Vi.appeal +57p

亜美「(そぉい!)」


──Double appeal!!──Vo. +36p Da. +35p



伊織「(…!!)」




律子「プロデューサー、ライバルユニットがVi.のアピールに集中してますよ!」

P「大丈夫大丈夫」


伊織「(なめんじゃないわよっ……!!)」



P「きちんと見えてるよ」




──伊織 思い出アピール Success!!──

Vo. +99p Da. +102p Vi. +186p


P「うんうん」

律子「…集中を途切れさせずによく頑張ってますね、伊織」

律子「吹っ切れましたかね?」

P「かもね」


美希「(デコちゃんナイスなの!)」Da.appeal +67p

伊織「(別に焦ってないわよ!ふんっ!)」Vo.appeal +62p

やよい「(すごい、伊織ちゃん!)」Vi.appeal +66p

真美「(いおりんさっすがー)」

──Double appeal!!──Vo. +35p Da. +36p




・第一回審査結果


Vo. 1位…PIC-PAC(306p) 2位…765Angels(296p) 3位…さとる(284p)

Da. 1位…765Angels(309p) 2位…テクニシャンズ(300p) 3位…大回転(243p)

Vi. 1位…さとる(320p) 2位…765Angels(309p) 3位…テクニシャンズ(221p)


総合:現在1位(★×10)


律子「いい調子ですよ。このまま全員が集中を維持できれば……」

律子「…とはいっても、何かあったとき心配なんですけど……」

P「俺たちはやることはやってるよ。律子」


P「あとはアイツらを信じるだけでしょ」



・第二回審査開始


亜美「(行くよ兄ちゃん………!)」

亜美「(……!?)」



──亜美 思い出アピール Failure!!──

Vo. -24p Da. -25p Vi. -21p


律子「うっ…ここでミスはしてほしくなかった……!」

P「………まだだ。見てな」



真美「(亜美!何してんの!)」Da.appeal +64p

亜美「(ごめん!みんな)」Vi.appeal +61p

伊織「いちいち気にしてんじゃないわよっ!!」

──Triple Appeal!!──Vo. +33p Da. +31p Vi. +35p



P「…うん」

律子「……トリプルアピールなんて、普段はリスクが高いからやりたがらないのに……伊織」

P「直前の亜美のミスも含めたオーディションの流れを読んで、全体の底上げが必要だって判断したんだよ。いい読みだ」

P「思い切ってやってくれたおかげで、無事成功したしな」


P「覚えてるか?予選後にやったこいつらの初めてのオーディション」

律子「……新幹少女が一緒に参加してた日ですか?」

P「あの日も同じように、高槻がボムに失敗した。するとどうなった?」

律子「……あっ…!」

P「あいつらさ、面白いくらいに一度のミスをズルズル引きずったろ」

P「そんでもって結果は5位。惨敗も惨敗だ」

律子「………」

P「でもね、今日は違う」


P「気にせず前だけ向いて集中できてる」



P「少しずつではあるけど、『負けグセ』を払拭できつつあるってことだよ」

律子「………!」


美希「(まだ持ち直せるって思うな)」Vo.appeal +70p

やよい「(今日こそ負けられませんっ!)」Vi.appeal +65p



律子「……どうなることかと思いましたけど…ミスのフォローも、切り替えもきちんとできてます」

P「いい傾向だね」



P「ようし!それでよし!!」



P「戦えるチームになってきた!!」


──────

~4月度オーディション戦績~


─IDOL VISION─

765Angels(中学生組) 総合:5位


─RHYTHMIX─

765Angels(高校生組) 総合:4位


─発掘!アイドル大辞典─

765Angels(シニア組) 総合:5位


─ルーキーズ─

765Angels(高校生組) 総合:2位


─LOVE LOVE LIVE!─

765Angels(シニア組) 総合:3位


─IDOL VISION─

765Angels(中学生組) 総合:2位





P「………」

律子「…あぁ…あと少しで勝てた……!」

P「………」



美希「……んー、惜しかったね」

伊織「………くぅ……」

真美「…………」

亜美「…………」

やよい「……あぅ……」


P「………すぅ~……っ」



P「よし!!次だ次!!」

律子「!?」ビクッ


P「みんなソッコーで頭切り替えて」

P「すぐ次のオーディションの準備かかるよ。いいね」

律子「………」

美希「………はいなの!」

真美「……よっし!次は絶対勝つYO!!」

亜美「…だね!」

やよい「はい!」

伊織「そうね。もう後はないわ、気合入れないと」


律子「……頑張りましょう」


──────

prrrr
ガチャ


小鳥「はい。こちら765プロダクションの音無です……」

小鳥「はい、はい……あ、ご連絡ありがとうございます」

小鳥「ええ。来週のオーディション………えっ?」


小鳥「……はい。…はい……いえ、わざわざありがとうございました。社長の高木に報告しておきますので……」

高木「?」


小鳥「では………」

ガチャ



小鳥「……こんな時に限って、とんでもないことになったわね………」

高木「音無君、どうしたのかね」

小鳥「あ、社長…」

小鳥「それが……こんど春香ちゃんたちのユニットが参加するオーディションなんですけど……」


──────



P「……961プロのジュピターが俺たちと同じオーディションにねぇ……」

律子「このタイミングでいきなりのエントリー……やっぱり何かあるんでしょうか…」

高木「………」

小鳥「次負けたら、ファン数不足で2次予選に進めなくなるかもしれませんよ……?」


P「…その心配はないよ」

律子「え………?」


P「ようは勝てばいい話だ」


高木「簡単に言うがね……ジュピターは予想以上に手ごわい相手だよ」

P「関係ない」

律子「………」


律子「そうですね」


小鳥「律子さん……」

律子「あの子達もプロデューサーのやり方を分かってきた頃でしょうし」

律子「それに……プロデューサーもこういうシチュエーションには燃えるでしょう?」


高木「……そうか」

高木「だったら……勝つしかないね」

小鳥「…勝つしかないですね」



P「ウチの初勝利の相手には申し分ない」


P「あのおっさんをギャフンと言わせてやんよ」


続く

今回はここまでです
お付き合いありがとう

舞さんは絶対ダルファー(大阪の監督)役がぴったりだと思いました

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