恒一「三組の女子たちにブサイクって言って反応を見てみる」(112)

見崎「え」

恒一「いつもはさ、女子にちょっかいかけても最後には美味しい目に遭ってるじゃない」

恒一「だから今回はちょっと女子たちを罵ってみようと思うんだ」

恒一「本人の前で『ブサイク』ってストレートに言ってやってね」

恒一「ああ、どんな反応するのか楽しみだなぁ」

恒一「あ、一つ注意しておくけど僕は決して三組の女子たちが嫌いなわけじゃないよ?」

恒一「ただ困ったり泣きそうになったり、そんな弱った女子たちの顔がみたいだけなんだ」

恒一「どうかな?」

見崎「」

見崎「もしかして榊原君ってS?」

恒一「かもしれないね。あ、でも心配しないで。間違っても見崎にはブサイクなんて言わないからさ」

恒一「だって一番好きな人からそんなこと言われたら死にたくなるだろ?うん、僕なら絶対死にたくなるね」

恒一「きっと見崎は僕のことが好きだから、そんな酷いことはしないよ」

見崎「あ、そう」

恒一「で、どうだろ?早速トライしてみたいんだけど」

見崎「…好きにすれば?」

恒一「よし!そうと決まれば実行だ!」

恒一「まずはそうだな…」

恒一「赤沢さんだ!!」

恒一「やぁ赤沢さん、ちょっといいかな?」

赤沢「あらどうしたの恒一君?何か用かしら?」

恒一「うん。実はさ、前から赤沢さんに言いたいことがあったんだ」

赤沢「え!?な、何かしら?」ドキドキ

恒一「赤沢さんってさ…」

赤沢「う、うん!」ワクワク

恒一「超ブサイクだよね!」

赤沢「」

恒一「そんなブサイクな顔してよく生きてられるね」

赤沢「こ、恒一君?冗談で言ってるのよね?もしかして私、何か悪いことした?」

恒一「いや別に何も。ただ赤沢さんがブサイクだったから言ってみただけ」

赤沢「…そ、そう…」フラフラ

赤沢「…ありがとう指摘してくれて」フラフラ

恒一「お安いご用だよ」

杉浦「ちょっと泉美、どうかしたの?」

赤沢「欝だ死のう」バターン

杉浦「え?」

イ、イズミィ!? ナンダナンダ!? アカザワガタオレタゾ!! ジンコウコキュウハマカセロー!!

恒一「なんか思ったより大変なことになったな」

恒一「でもブサイクって言われた瞬間の赤沢さんのあの顔!くぅ~!!癖になるなぁ!!」ゾクゾク

恒一「さ、次に行こう」

見崎「付き合ってられないわ。後は一人でやって」

恒一「綾野さん」

綾野「ん?どうしたのこういっちゃん?何かお悩み事?」

恒一「綾野さんって恋人ほしいとか思ったことある?」

綾野「え、何々急に?そりゃぁ一度ぐらいそんなこと夢見たことはあるけどさ」

恒一「実は僕もそろそろ彼女がほしいって思ってたところなんだよね」

綾野「へぇ!そうなんだ?」

恒一「誰か可愛い子とかいないかな?」

綾野「それならほら!すぐ近くにいるじゃない?」ウリウリ

恒一「んー?誰のこと?」

綾野「もう~こういっちゃんってばいけずぅ!あたしだよ、あ・た・し♪」

恒一「は?綾野さん?」

綾野「うんうん!」

恒一「いや有り得ないよwwwwwwwだって綾野さんってブッサイクじゃんwwwwwwwww」

綾野「え…」

綾野「あ、あはは~、冗談きっついなーこういっちゃんってば!ダメだよ、冗談でも女の子にブサイクなんて言ったら!」

恒一「だって冗談抜きでブサイクじゃん」

綾野「え…あ…」

恒一「ジャイコが泣いて謝るレベル」

綾野「………」

恒一「………」

綾野「そ、そうだよねー!あたしってば本当ブサイクなんだから!」

恒一「まったくだよ!救いようのないほどのブッスァイクだよ!!」

綾野「…ごめんこういっちゃん、ちょっと一人にしてくれないかな?」

恒一「いいけど」

綾野「…ごめんね」トボトボ

恒一「行っちゃった」

恒一「あーやっぱりいいなぁ!!あの落ち込んだ顔!!あの顔だけでご飯三杯は食べられるよ!!」

恒一「…にしても赤沢さんも綾野さんも予想以上の落ち込みようだな。何でだろ?」

恒一「ま、そんなことどうでもいいか!さ、次行ってみよう!」



恒一(だ・れ・に・し・よ・う・か・な・て・ん・の・か・み・さ・ま・の・い・う・と…)

小椋「ちょっと榊原君、聞いていい?」

恒一(来た!小椋さん!)

恒一「何だい?」

小椋「彩の奴、榊原君と話してからずっと元気ないんだけど何かあったの?」

恒一「え?そうなの?いや僕は知らないなぁ。普通に会話してただけだし」

小椋「そう…分かったわ。ありがとう」

恒一「あ、ちょっと待って小椋さん」

小椋「ん?」

恒一「もしかして小椋さん、今日は化粧してないの?」

小椋「は?普段からしてないけど」

恒一「そうなんだ。随分とブッサイクな顔してるもんだから今日は化粧忘れたと思ったんだけど、すっぴんだったんだね」

小椋「…榊原君それどういう意味?」

恒一「にしても酷いなぁ、小椋さんのすっぴん。みぎわさんもドン引きするレベル」

小椋「……」

恒一「これからは化粧してきた方がいいよ。みんなの目が腐る前に」

小椋「…何のつもりか知らないけど、榊原君って意外と幼稚な人だったのね。まるで小学生みたい」

恒一「うわ、みぎわさん以下が何か怒ってるし」

小椋「下らない。いつまでもそうやってればいいんじゃない?」

小椋「ていうか死ねよもう」

恒一「うはっww死ねとか言われちゃったwww」

小椋「粗チン野郎が」

恒一「」



恒一「参ったな。粗チンだなんて…まさか気にしてること言われるとは思わなかった。小椋さんはいまいちダメージなかったし、要注意だな」

恒一「あー誰かもっと、人生終わり!ってほどに絶望してくれるような女の子はいないかなぁ?」

恒一「ん?」

佐藤「……」スタスタスタ

恒一(佐藤さん!ちょうどいいや!)

恒一「ねぇ佐藤さん」

佐藤「?」

佐藤「榊原君…何?」

恒一「佐藤さんってさ、ブサイクだよね!」

佐藤「?」

恒一(あれ?)

恒一「将来旦那さんになる人が可哀想だよ。どうしてそんなに佐藤さんってブサイクなの?」

佐藤「?」

恒一(あ、あれ?)

恒一「ブサイク」

佐藤「…?」

恒一「おいブサイク」

佐藤「??」

恒一「ブ佐藤」

佐藤「………」

恒一「………」

佐藤「あ」

恒一(お?)

佐藤「今日の晩御飯、肉じゃがにしよう」

佐藤「帰りにスーパー寄らなきゃ」スタスタスタ

恒一「……………」

恒一(おい何だよコレ)

恒一(ハァ…小椋さんには粗チンって言われるし、佐藤さんにはナチュラルに流されたし、つまんないな)

恒一(誰かおいしい反応してくれる女の子は…あ!いたいた!)

有田「ふんふふん♪ふんふふん♪ふんふんふーん♪」

恒一「やぁ有田さん。機嫌良さそうだね」

有田「あ、榊原君。そう見える?ちょっとね、いいことがあったんだ」

恒一「ふーん、どんなこと?」

有田「実はね、朝学校来る時にタレント事務所の人にスカウトされたの。君なら可愛いしアイドルになれるよ、って」

恒一「それはすごいね!」

有田「えへへ、そうかな?ま、私って人前とか苦手だし受験もあるから断ったんだけどね」

恒一「それは惜しいことしたね。有田さんなら有名人になれたかもしれないのに」

有田「えーそう?照れるなもう////」

恒一「ブサイク芸人としてだけどね!」

有田「え?」

恒一「え?」

有田「ブサ…え?え?ブサイク?」

恒一「ああそうだよ!有田さん超絶ブッサイクだし、お笑い芸人としてなら成功したはずだよ!」

有田「え…あ…あれ?…えっと……」

恒一「今からでも目指しなよ。ブサイク枠なら有田さんの顔、需要ありそうだし」

有田「…そ、そうか……な?」ジワッ

恒一「タレント事務所の人は有田さんをブサドルとしてスカウトするつもりだったんだろうな(ああいい!いいよ有田さん!その反応!!)」

有田「…そ、そっか。そうだよね、私なんて…どうせブサイクだし……グスッ」

恒一「ああ!もう信じられないほどのブサイクさ!!(くぅ~たまんないねこの感覚!!)」

有田「…グスッ…ごめん…ちょっと…ヒグッ…用事あるから……」

恒一「うん。またねブサイク芸人」

有田「グスッ…ヒグッ…グスングスン」

恒一(最高だ有田さん。半泣きになって目を拭う仕草とか癖になるね!)

恒一「よし!この調子でどんどん行くぞ!!」

恒一「今んとこ有田さんが一番だな。じゃあ次は…」

藤巻「ん?」

恒一(藤巻さんだ!ふふっ、有田さん以上の反応を期待してるよ)

恒一「ねぇ藤巻さ 藤巻「おうブサイク」

恒一「え?」

藤巻「榊原ってブサイクだよな」

恒一「え?へ?いや、あの…」

藤巻「ブサイクが。とりあえず死んどけ」

恒一「…ぼ、僕じゃなくて藤巻さんの方がブサイk」

藤巻「粗チン野郎が」

恒一「」

恒一「おかしい…今のは一体なんだったんだ?僕がブサイクって言う側なのに、何故か逆に言われてしまった」

恒一「何だかモヤモヤするな。仕方がない、次で今の分を取り戻すか」

松井「……」スタスタスタ

恒一(キタコレ!!有田さんと並んで期待の星、松井さん!!)

恒一「ふふっ」チョンチョン

松井「?」クルリ

松井「あ…榊原君?どうかしたの?」

恒一「こう言っちゃあなんだけどさ、松井さんってさ、ぶっちゃけブサイクだよねぇ!」

松井「…え?」

恒一「ホント、ブサすぎ!!」

松井「…ブサイク」

恒一「そう、マジでブサイク!!!おぇぇ、ブセぇ顔こっち見せないでよ!!」

松井「ブサイク…」

恒一(さぁ、落ち込め絶望しろ慟哭しろ!!外道と罵られてもいい。僕は君が泣き叫ぶ顔が切実に見たいんだ!!)

松井「………」スッ

恒一「え?」

松井「…ブサイク?ブサイク……」ブツブツ

恒一「ちょっと、どこ行くの?」

松井「ブサイク…ブサイク」スタスタスタ

恒一「何か呟きながら行っちゃった」



恒一「松井さんの反応はいまいちだったな。ショック受けてるのかいないのか分からなかったし」

恒一「チェッ、つまんない」

杉浦「ちょっと、榊原君」トントン

恒一「ん?」

杉浦「聞いていい?あなた、泉美に何かした?」

恒一(杉浦さんか。まさか自らこっちに出向いてくれるなんてね)

杉浦「さっきから『恒一君が恒一君が』ってうわ言みたいに呟いてるんだけど」

恒一「そんなことより杉浦さんに言いたいことがあるんだ」

杉浦「? 何?」

恒一「杉浦さんって、結構ブサイクだよね!」

杉浦「は?」

恒一「いやだから杉浦さんってブサイクでしょ?」

杉浦「だから?」

恒一「え?」

杉浦「は?」

恒一(あれ?ぜ、全然ダメージ受けてないんだけど)

恒一「ブサイクすぎて本気で吐き気がするよ!!」

杉浦「それで?」

恒一「夜見北の花沢さんってよく言われない?」

杉浦「何が?」

恒一「ん?」

杉浦「………」

恒一「………」

恒一「ごめんなさい、もういいです」

杉浦「あ、そう」




恒一「何だよ今の。あれじゃ僕が馬鹿みたいじゃないか。もう杉浦さんは止めとこう」

中尾「おい榊原」

恒一「誰かと思ったら中尾君か。ごめんね、男には興味ないんだ」

中尾「全部見てたぞ。お前赤沢さんと杉浦にブサイクって罵ってたろ?」

恒一「そうだけどそれがどうかした?」

中尾「ふざけんなよ!杉浦はともかくマイエンジェル赤沢さんにブサイクだなんてこの世で最も似合わない罵倒吐きやがって!」

中尾「万死に値する!」

恒一「はぁ…何を言いにきたのかと思えばそんなことか」

中尾「何だと!?」

恒一「中尾君、君は全然分かってないね。君は本質というものをまるで理解していない」

中尾「どういうことだ!」

恒一「そりゃ確かに女の子にブサイクなんて罵るのは最低なことさ。相手のことを考えるとね」

中尾「当たり前だ!お前はそれを赤沢さんにやったんだ!死ですら生温い罪だ!!」

恒一「だけどね。そうやって相手を傷つけて良心が痛む思いをしてこそ、得られるものがあるんだよ」

中尾「何を得られるってんだよ?」

恒一「女の子の泣き顔や悲しみに暮れる顔さ」

中尾「ふざけるなよ!赤沢さんの泣き顔とかこの世で最も存在しちゃいけないものだろ!」

恒一「落ち着いて。ここからが大事なところだ」

中尾「何い?」

恒一「少し想像してみなよ赤沢さんの泣いた顔を。辛いだろ?見てて可哀想になってくるだろ?でもそれと同時に全く別の感情も沸いて来ないかい?」

中尾「別の感情?」

恒一「うん。泣いてる彼女の顔がどこか可愛く思えてこない?」

中尾「!」

恒一「女の子は元来、男より弱いものさ。どうしても男に敵わない部分がある。普段は強がっていてもたまにそういう面を見せられると、グラッとくるだろ?」

中尾「た、確かに」

恒一「赤沢さんのような強気な女の子なら特にそう思わないか?守ってあげたくなるだろ?」

中尾「まさか!」

恒一「ああ、もう分かっただろ?弱った女の子の顔は最高だ。至高だ!男としてそんな顔を見られることほど幸せなことはない!」

中尾「榊原…」

恒一「それこそが女の子の真理だ。僕はそれを証明するために女の子たちにブサイクと罵ることを決めたんだ!」

中尾「おお!」ジーン

恒一「君も赤沢さんにやってみなよ。彼女の泣き顔を目にすれば、真理を垣間見れるはず」

中尾「そ、そうか…榊原お前がそこまで考えたなんて。こんな大切なことを知らなかった俺は何て愚か者なんだ」

恒一「自分を罵ってる暇があるなら、今すぐにでも赤沢さんを罵ってくるんだ。そうすれば君は真の男になれる!」

中尾「分かった。俺、やってみるよ!!」

恒一「その意気だ中尾君!!」

中尾「まかせろおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」ダッ

中尾「赤沢さんの泣いた顔赤沢さんの泣いた顔赤沢さんの泣いた顔ハァハァハァハァ」

杉浦「何か用中尾?」

中尾「赤沢さん!!」

赤沢「?」

中尾「赤沢さんってブッサイクだよな!!」

赤沢「死ね!!!!」ガスッ

中尾「何でえええええええええ??????」ドリュリュリュリュリュ


恒一「ふぅ。これで邪魔者は追い払えたぞ。適当にそれらしいこと言っただけなのに信じてくれるのが中尾君らしいよね」

恒一「まあどうでもいいや。さ、次のターゲットは、っと」

柿沼「……」

恒一「柿沼さんか。彼女おとなしいし期待できそうだぞ」ワクワク

恒一「かっきぬっまさ~ん!」ランランララランランラン

柿沼「?」

柿沼「はい?どうかしましたか?」

恒一「ブサイk 金木「おい榊原」

恒一「へ?」

金木「あんた、亜紀にブサイクとか言ったらしいわね?」

恒一「ちょっと言ってる意味が分からないです」

金木「とぼけてんじゃないわよ!」ドンッ

柿沼「ひっ!」

恒一「はわわ」

金木「亜紀が珍しく真剣な顔して『杏ちゃん、私ってブサイクなのかな?』って尋ねてきたから事情を聞いてみれば…」

恒一「…」

金木「あんた、私の亜紀に『キングオブサイク松井亜紀顔面レベル古代の爬虫類』とか言ったらしいじゃん?」

恒一「え、ちょっと待って僕そこまで言っ 金木「黙って聞けよ!!!」ドンッ

柿沼「ひぃぃっ!」

恒一「きゃっ!」

柿沼「ひぃぃっ!」

恒一「きゃっ!」



おい

金木「おまけに『杏ちゃんのこと世界最強のブサイク女顔面レベルアウストラロピテクスって言ってた』とか聞いたんだけど」

恒一「いやいやだから僕そんな 金木「てめぇの粗チン引っこ抜くぞ!!」ドンッ

柿沼「」

恒一「」

金木「いい度胸じゃない、私たちにブサイクなんて」

恒一(これは冗談が通じる相手じゃないぞ。でもここで引き下がったら男じゃない!)

金木「何か言いたそうね?」

恒一「ブサイク…」ボソッ

金木「ごめんなさい、もう一度言ってくれる? 聞こえなかったんだけど」

恒一「や、やっぱりいいです…」

金木「いいのよ? 言いたいことは言ってくれて」

恒一「じゃ、じゃあ…」

金木「何?」

恒一「ブサ…」

金木「ブサ?」

恒一「…イク」

金木「ふふふ、そっかそっか」

恒一「あははは」

金木「フンッ!」ドコッ

恒一「ぐえっ!」

金木「おりゃ!」ガスッ

恒一「ぴぎゃっ!」

金木「とうっ!」バキッ

恒一「がはっ!」

柿沼「きゃあああああ!!」

金木「次やったら殴るからね」スタスタ

恒一「も…もう殴ってる…くせに」ピクピク

恒一「ふぅ…酷い目に遭ったな。僕そんなに悪いことしたかな?」

恒一「何かさっきから全然上手くいってないな。そろそろまた女の子の泣き顔をチャージしたいところだ」

江藤「ん?」ピタ

恒一「え?」

江藤「榊原君、何か口のとこ切れてるよ。血出てる」

恒一「本当だ(金木さんどんだけ強く殴ったんだよ)」

江藤「私、絆創膏持ってるしあげようか?」

恒一「あ、気にしな…(いや待てよ。いいこと思いついた!)」

恒一「うん。一枚でいいからちょうだい」

江藤「はい。じゃあこれね」

恒一「いやぁ助かるよ。優しいね江藤さんは」

江藤「そんな大袈裟だよ」

恒一「ブサイクだけど」

江藤「え?」

恒一「え?」

江藤「今…え?ブサイク?」

恒一「うん。ブサイクだけどね」

江藤「何を言って?え?え?」

恒一「いや、マジでブサイクじゃん江藤さんって。もう直視できないぐらい」

江藤「…冗談だよね?」

恒一「冗談でこんなこと言うわけないじゃないwwwwww」

江藤「………」

恒一「目と鼻と口に絆創膏貼って顔隠した方がいいんじゃない?」

江藤「何それくだらない」ジワッ

恒一(キタコレ!!)

恒一(恩を仇で返す。最高の女の子の泣かせ方じゃないか!)

恒一「あ、もしかしてそのために絆創膏持ってきてるの?」

江藤「はいはい、好きに言ってれば?グスッ」

恒一「顔面が非常事態。現象も逃げ出すレベル」

江藤「グスッ…」

恒一「泣かないでよwwwwwブサイクな顔が更にブサくなるwwwwwww(あーイイ!!もっと!!もっと僕を満足させてくれ!!)」

江藤「泣いてない!」スタスタ

恒一「ちょっwwwwどこ行くの?wwwww」

江藤「どこだっていいでしょ!」グスン



恒一「やーショックで泣く女の子の顔って本当に素晴らしいものですね」

恒一「強がっておきながら涙に濡れた江藤さんの顔、美味しく頂きました」

恒一「さてと、残りは誰がいるかな?」フンフーン

恒一「おーっと!いたいた!地味すぎて気づかなかったけどいるじゃないか!」

恒一「中島さんが!」

中島「…」

恒一「中島さん中島さん」

中島「あら榊原君。やけに嬉しそうだけど何かいいことあったの?」

恒一「ああ!中島さんの顔があまりにもブサイクすぎて笑いが止まらないんだ!」

中島「私がブサイク?」

恒一「そうさ!ブサイクすぎて恥ずかしいから自分から地味キャラに収まってるんだろ?」

中島「榊原君、もしかしてあなた悪いカルマでも背負ってるの?」

恒一「へ?」

中島「榊原君は同じクラスメイトの女の子にブサイクだなんて言う人じゃないわ」

中島「気胸を患って3組に入れられて辛かったのよね?だからその憂さ晴らしに誰かを罵ることにした」

中島「でもそれはきっと本音ではないはず。ちょっと悪いカルマに囚われてるだけなのよ。大丈夫それは理解してるわ」

中島「榊原君、良かったら一度駅前の『幸せの学会』へ行ってみたらどうかしら?」

中島「『幸せの学会』はね、先生が素晴らしい方なの。入信すれば悪いカルマも取れて人生ハッピーになるわよ?」

中島「ちょっとお金がかかるし、月に一度学会の集会に参加しなくちゃいけないけど入信して損はないはず」

中島「どうかしら?『幸せの学会』なら今の榊原君にちょうどいいわ。きっとこれは運命。榊原君は選ばれた人なのよ」

中島「永遠の幸福こそ人を成長させるのよ。そう思わない?榊原君」

恒一「お、おう」

中島「もし入信するなら私に言ってね。色々と教えてあげるから」

恒一「う、うん。ありがとう。考えさせてもらうよ」

中島「待ってるわ」

恒一「もう中島さんを狙うのは止めておこう。何だか彼女には近づいちゃいけない気がする」

桜木「あ、榊原君」

恒一「桜木さん!(よし桜木さんでリベンジだ!)」

桜木「はい、何でしょうか?」

恒一「前から言いたかったんだけどさ。桜木さんってブッサイクだよね!!」

桜木「え?」

桜木「…私がブサイク?」

恒一「あれ?もしかして自分で気づいてなかっ 「ゆぅぅぅかりぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」ドドドドドド

恒一「ん?」

風見「ゆかりいいいいいいいい!!!!」

桜木「あら風見君」

風見「ゆかり無事かい?怪我はないかい?酷いことされなかったかい?」

桜木「えっと…」

風見「今さっき僕のゆかりレーダーがゆかりのネガティブ波を捉えたんだ!きっとゆかりはショックを受けるようなことをされたに違いない!!」

恒一「何だこいつ」

風見「そうか!榊原君!君がゆかりを悲しませたんだな!?ゆかりを悲しませたらどうなるか、君が知らないわけないよね!?」

恒一「な、何のこと?僕は別に何も言ってないよ?」

風見「そんな出任せ、誰が信じるかぁ!!!!」

恒一「うわぁっ!?」

桜木「待ってください風見君!落ち着いて!私は何もされてませんから!」

風見「チッ、ゆかりが言うなら信じるしかないか。命拾いしたね榊原君」

風見「さ、ゆかりん。僕と一緒にあっちでお話しよう」

桜木「え…それは結構です。今の風見君、何だか気持ち悪いし」

風見「ゆかりいいいいいいいいいいいいいい!!!!」



恒一「ついてけないよ。変態の考えることはよく分からないや」

恒一「あーもう!結局振り返ってみれば失敗ばかりじゃないか。しかも残るはあと二人…」

恒一「渡辺さん…はいないな。となるともう一人は…」

多々良「~♪」

恒一「ふっふっふ。多々良さんだ!」

多々良「まあ、誰かと思えば榊原君ではないですか。私に何かご用ですか?」

恒一「用ってほどでもないんだけどね。多々良さんにどうしても言っておきたかったことがあるんだ」

多々良「私に言っておきたいこと?何でしょうか?」

恒一「ああ!ちょっと言いづらいことなんだけどさ」

多々良「え、ええ」

恒一「多々良さんって夜見山一のブサイクだよね!!」

多々良「!!!!!!」

恒一(これはいい感触!)

多々良「ブサイク…」

恒一「そうだ。君のことだ」

多々良「私が…ブサイク…」

恒一「そうだよ。多々良さんはブサイクなんだ」

多々良「ブサイクって何ですか?」

恒一「え?」

恒一「は?」

多々良「ごめんなさい、ブサイクとは一体何でしょうか?」

恒一「何いいいいいいいい!?」

多々良「サイとつくほどですので動物のお仲間ですか?でも私は人間ですし」

恒一「た、多々良さん!?何を言ってるの?ブサイクだよブサイク!」

多々良「ですから、そのブサイクというのがよく分からないのです」

恒一「有り得ないでしょ!まさか今まで生きてきた中でブサイクっていう言葉一度も聞いたことない!?」

多々良「はい」

恒一「そんな馬鹿な…そんな人間がいるなんて。どんだけブサイクと縁遠い人生を生きてきたんだ!?」

多々良「?」

恒一(こ、こればかりはどうしようもないぞ!)

渡辺「ちょっと榊原君、いい?」

恒一(渡辺さん!いい所に来たぞ!)

恒一(多々良さんの前で渡辺さんをブサイク呼ばわりして渡辺さんが怒れば、多々良さんもブサイクが何かを理解してくれるはず!)

恒一「誰かと思えばブサイクに定評のある渡辺さんじゃないか!今日もなかなかのブサイクっぷりだね!」

渡辺「やっぱり」

恒一「へ?」

渡辺「松子と悠が言ってたのは本当だったか」

恒一「え?え?」

渡辺「とぼけないでよ。さっき、松子と悠が泣きながら私の所に来たのよ。『榊原君にブサイクって言われた』って」

恒一「げ」

渡辺「よくも二人を泣かせてくれたわね。それで次は私もブサイク呼ばわりしようってか?」

恒一「僕なんのことだかよく分からないなぁ」

渡辺「だってさ、二人とも」

有田「嘘つき!榊原君、私に『ブサイク芸人になれる』とか言ったじゃない!」

江藤「私には顔面が非常事態とか言ったよね?」

恒一「あ、有田さんに江藤さん!?」

金木「ほら亜紀、見てみなよ。榊原の奴、ああやって私たちをブサイク呼ばわりしてたんだ」

松井「許せない」

恒一「や、やば…金木さんと松井さんまで」

風見「榊原君、聞いたぞ!君、ゆかりいいいいいいいいいいいにブサイクって言ったらしいじゃないか!?」

恒一「あわわわわわわ」

佐藤「私なんて『死ねクソビッチ』って言われたし」

恒一「ええええっ!?」

中尾「おいこら榊原!てめぇのせいで赤沢さんに嫌われちまったじゃねぇか!どう責任取ってくれるんだ!」

恒一「まずい。これは非常にまずい展開だ」

小椋「やっぱり彩を泣かせたのはあんただったようね、粗チン野郎!」

恒一「」

綾野「こういっちゃん酷いよ!冗談でもやっていいことと悪いことがあるよ!」

赤沢「恒一君がこんな人だとは思ってもみなかったわ」

恒一「あ、綾野さん!赤沢さん!」

杉浦「よくも泉美を苛めたわね?」

恒一「ひっ!」ビクッ

杉浦「ただで済むと思わないでよ?」

恒一「み、みんな落ち着いて!こ、これはちょっとした余興なんだ!だから…」

杉浦「くぉろすぇぇえええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!」

恒一「いやあああああああああああああああああああ!!!!」

中尾「ふぅ、これぐらいにしといてやるか」

風見「次ゆかりいいいいいいいいを馬鹿にしたら君が本物の死者だからね」

杉浦「泉美に免じてこれで許してあげる」

赤沢「しばらくそこで反省してなさい」

恒一「あ…う…うえ…ああ」ピクピク



見崎「顔を馬鹿にされた恨みは恐ろしいわね。一体何発顔に貰ったのかしら?」

恒一「み、見崎…」ピクピク

見崎「榊原君」

見崎「今のあなた、最高にブサイクよ」

恒一「」





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