雪歩「オゥ、兄さん」P「!?」(91)
雪歩「兄さんが、うちの娘のプロデューサーさんか?」
P「どうしたんだ雪歩?……芝居の、練習か?」
雪歩「オゥ、お前ら」パチン
ガチャッ
強面ABC「「「お嬢!如何なさいました!!」」」ザザザザザッ
P「」
雪歩「一人で良い。この兄さんに、事情を説明してやれ」
強面A「ウス」
P「えぇっと?……朝起きたら、雪歩と」
P「その、お父さんが……入れ替わっていた、と」
雪歩「……うん?」ギロッ
P「ひっ!?」
雪歩「兄さんに、お義父さんと呼ばれる筋合いはないんだが……」
強面A「こいつ……お嬢を、呼び捨てだと?」
P「萩原さん本っ当にすみませんでした命だけはお助け下さい」ガタガタ
雪歩「まぁ、この話はその辺にして、だ」
雪歩「娘が、今日はどうしてもここに来ないといけないと言ってなぁ……」
雪歩「代わりに俺が行くと言い出したら、途端に嫌がってしまってね」
P「あ、あはは……そ、そうだったんですか」
強面B「何がおかしい?」
P「おかしくないです何も全くおかしくないです」ガタガタ
雪歩「娘に聞いても教えてくれんし、仕方がないから勤め先の兄さんにでも聞こうと思ってな」
P「そうですねぇ。今日は萩原さんはオフのはずですけど、特には……」
P「というか、仕事が入ってても今日はちょっと無理、みたいな?」
雪歩「ハハッ……いや、確かにそうだな」
雪歩「ま、兄さんが知らないのなら、他の子に聞いて回るだけだ」
P「あ、あの!ちょっと、いいですか」
雪歩「……うん?」
P「今はここに誰もいないから良いんですけど、その……萩原さんの部下さん達は、ちょっと」
雪歩「あぁ、こいつらか……お前ら、外で待機しとけ」パチン
強面ABC「「「へい、お嬢!」」」ザザザザザッ
雪歩「これでいいか?」
P「はい、それと……できるだけ他の子の前では、いつもの萩原さんでお願いできますか」
雪歩「ん……そうだな。娘のメンツに関わるのなら、まぁ仕方ないな」
P「あ、ありがとうございます……」
ガチャッ
伊織「あー、喉渇いたー」
美希「ただいまーなのー」
P「おー、おかえりー」
伊織「雪歩ー!お茶ー!」
美希「ミキはお疲れなの」
雪歩「……は?」
P「は、萩原さんはですね、いつも皆にお茶を配ってるんです……」ヒソヒソ
雪歩「……うちの娘に給仕みたいな事をさせているのか、君は?」ヒソヒソ
P「お、おお俺はそんな事させてません!お、主に伊織達がですね……」ヒソヒソ
伊織「早くお茶ー!」
美希「お茶ー!」
雪歩「………」
雪歩「ほら、お茶だ」コトッ
伊織「ホントあんたはノロマなんだから、まったく」スッ
美希「!……デコちゃん、これ……」
伊織「あつっ!……ちょっと雪歩!何よこれ!」
雪歩「お茶が欲しいと言ったから、熱いお茶を入れてあげたんだよ」
伊織「熱過ぎるわよ!もっとヌルくしなさいよ!」
美希「これじゃすぐ飲めないの」
雪歩「………」
雪歩「……これでどうだ」コトッ
伊織「ふん……ホント使えないわねあんた………」ゴクッ
伊織「!……ちょっと、雪歩!ヌルすぎるわよこれ!」
美希「あんまりおいしくないの……うぇー」ダバー
雪歩「……ヌルくしろと言ったから、氷を入れてやったんだろう」
伊織「誰もここまでヌルくしろだなんて言ってないわよ、バカッ!」
伊織「……はぁ、もうお茶はいいわ」
雪歩「そうか」
伊織「買ってきて」
雪歩「……ん?」
伊織「100%オレンジジュース、買ってきなさいって言ってるの。すぐに」
伊織「いくらドジでグズな雪歩でも、買い物くらい出来るわよね」
美希「あ、ミキはおにぎりが欲しいな!」
P「お、お前ら、もうその辺にして……」
雪歩「……いい加減にしてくれないかな」
伊織「な、何よ?」
雪歩「君達には、年上の人間に対する敬意と言うものがないのか?」
伊織「はぁ?いきなり何言い出して」
雪歩「人が話をしている時は、黙って聞きなさい」バンッ
伊織「」ビクッ
美希「」ビクッ
雪歩「水瀬んとこのお嬢ちゃん。萩原雪歩という人間とは、もう少しちゃんと仲良くしてくれないかな」
雪歩「アゴで使える動物としてじゃなくて、ね」
伊織「な、仲良くしなかったら……どうするってのよ?」
雪歩「そうだなぁ……もしそうなら、悲しいねぇ」
美希「か、悲しいの……?」
雪歩「……悲しくて、悲しいあまり、穴ぁ掘って……」
雪歩「君達を、そこに埋めてしまうかもしれないな……」ニタァ
伊織「」
美希「」
P「(め、目が笑ってない……マジでヤる気だ、萩原さん……!)」ガタガタ
雪歩「あれで少しは、娘と仲良くしてくれればいいんだがなぁ」ポリポリ
P「た、頼みますから、余計なトラブルは避けてくださいよ、萩原さぁん」
雪歩「トラブル?そんなもん起きちゃいないだろう」
雪歩「……起きる時は、外にいる連中がここに乗り込んでくる時だからな」
P「………」タラリ
ガチャッ
響「こら~!いぬ美、落ち着け~!!」
いぬ美「Bow!Wow!!OK!!!」ドドドドド
いぬ美「Geese.....!!」ハッハッハッハッ
響「あ、危ないぞー!雪歩ー!」
雪歩「………」
いぬ美「Burn knuckle!!」ピョン
フワッ
ドサッ
雪歩「……押忍」
いぬ美「」ピクピク
響「うぎゃー!い、いぬ美ー!!」
P「(……犬に真空投げを決めた……!?)」
雪歩「娘にも護身術を教えようとしてるんだが、なかなかそんな時間がなくてねぇ」
P「む、娘さんが心配なんですね」タラリ
雪歩「あぁ……そうだ、兄さん。ちょっといいか」
P「何でしょう?」
雪歩「キチクマコトって奴を、知らないか」
P「き、鬼畜?……菊地真、ですか?」
雪歩「そう、そいつだ。最近、娘と話す度にその名前が出てきてね……」
雪歩「一度どんな男か、会ってツラを拝んでみたいんだよ」ニタァ
P「た、確かに、菊地真はウチのアイドルですけども……」
雪歩「なるほどねぇ」
P「……い、いや、違うと思いますよ!?真と萩原さんは、そういう関係じゃ」
雪歩「別に変な事をする気はない。ただ……」
P「……た、ただ?」
雪歩「俺が相応しくないと思ったら……詰めるとこ、詰めてもらわないとな」ニタァ
P「」
ガチャッ
真「あ、いたいた!雪歩ー!」
P「ま、真っ……なんつータイミングの悪さで……!」
雪歩「……へぇ」
真「?」
雪歩「……私に何か、用?」
真「何言ってるんだよ。ほら、さっさと会議室に行こっ」グイッ
雪歩「あ……」
ガチャッ バタン
P「…」
P「……お、俺知ーらねっと」
雪歩「随分強引なんですね、真さん」トテトテ
真「?……いや、皆もう集まってるからさ。後は雪歩だけだよ」スタスタ
雪歩「集まってる……?」
真「そうだよ。ボク達だけの、ヒミツの集まり……」
雪歩「………」
ガチャッ
ロボ「ポパピピピピピポパポピパパピポピピ」ウィーンウィーン
春香「ぁ……あ、やぁんっ……」パンパン
真「ごめーん、遅れちゃったよー」
雪歩「……何、これ……真ちゃん、どういうこと……!?」
ロボ「ポパピピパピピポパポピパパピポピピ」シュウィーン
雪歩「あ、ちょ……やだぁっ………!」クチュックチュッ
____________________
○
o
小鳥「――こ、これなら今年の夏コミも……」ブツブツ
P「(トイレから帰ってくるなりこれだよ……)」
ガチャッ
真「雪歩、見つけてきたよー」
亜美「あ、ゆきぴょんだ」
真美「遅いよゆきぴょ→ん」
千早「…」チクチクチクチク
やよい「ごめんなさい、先に始めちゃってましたー!」
雪歩「(ん?……何だこれは)」ヒョイ
亜美「あ、ちょっとゆきぴょん!それ触らないでよー」
雪歩「“かたたたきけん”……?」
真美「まだそれ作ってる途中なんだよー」
雪歩「こんなもの作ってどうするの?」
真「へ?……いや、亜美達にはこれ作らせようって、雪歩が言ったんじゃないか」
雪歩「……私が?」
真美「兄ちゃんやシャッチョサンにも作ってるんだよー」カキカキ
やよい「お金はないですけど、心はこめてますからねー」カキカキ
亜美「一石二鳥ですな、んっふっふ~」カキカキ
真美「実際は手間暇かかってメンドクサーだけどねー」カキカキ
真「……さてと、ボクもお守り作らないと」カチャカチャ
雪歩「お守り?」
真「交通安全のお守りさ!効くかどうか微妙だけどね……へへっ」
亜美「千早お姉ちゃんはフーフエンマン?のお守り作ってるんだよねー」
千早「……今は話しかけないで頂戴」チクチクチクチク
真「でもこの進み具合で、父の日までに間に合うかなぁ……」チクチクチクチク
やよい「間に合いますよー。皆で協力すれば、絶対!」カキカキ
亜美「せっかく学校と仕事の合間を使って作ってるんだからねー」カキカキ
真美「無駄無駄無駄無駄無駄ァ!にはできないっしょー」カキカキ
千早「……絶対に、間に合わせてみせる」チクチクチクチク
雪歩「………」
真「……?どうしたのさ、雪歩」
雪歩「……ごめんなさい、今日はちょっと用事があって……すぐ、帰らないと」
真「あ、そうだったのか……引き止めちゃって、ごめんね」
雪歩「ううん、いいの……それじゃ、また今度ね」
雪歩「………」グスッ
P「あ、萩原さん!……だ、大丈夫でしたか!?」
雪歩「……歳を取ると、涙もろくなっていけないな」
P「!?な、何があったんです?」
雪歩「……兄さんは知らないのか?」
P「小鳥さんに、この時間は絶対に会議室に行くなって言われてるもんですからね……」
P「……ま、まさか~、着替えを覗けたりなんかしちゃったり~なんかしちゃったんスか?」ゲヘヘヘ
バキィッ
P「えりこぉっ!?」
P「あたたた……そ、それで、何か分かりました?萩原さんのしなきゃいけない事って」
雪歩「いや、それはもういい」
P「えっ?」
雪歩「娘の友達も多いみたいで、安心したよ。そろそろ、帰る事にする」
P「そ、そうですか」
雪歩「……兄さん」
P「はい?」
雪歩「うちの娘、萩原雪歩を……これからも、よろしく頼みます」ペコリ
P「え……あっ、は、はい。それはもう……」
雪歩「オゥ、お前ら」パチン
強面ABC「「「へい、お嬢!!」」」ザザザザザッ
雪歩「帰るぞぉ。車、用意しろ」
強面ABC「「「へい!」」」ザザザザザッ
ブロロロロロ……
P「……何だろう、何にも解決してない気がするんだが」
貴音「いえ、恐らくもう大丈夫でしょう」
P「た、貴音!?お前いつからそこに……つーか、問題ないって?」
貴音「……女の、勘です」
~翌日~
雪歩「(朝起きたら元に戻ってた……のは、良いんだけど)」
雪歩「(お父さんのバカバカバカバカバカ!あれほど私の姿で行かないでって言ったのに!!)」
雪歩「(もう、駄目……もう絶対、アイドルなんか続けられないよぉ……)」
雪歩「い、今のうちに、皆に今生の別れのあいさつを考えて……」ブツブツ
P「萩原さん、おはようございますっ!」ビシッ
雪歩「……ぷ、プロデューサー?」
P「!……雪歩か?雪歩なのか!?」
雪歩「……お、お父さんが、お世話になりました……」
P「あ、あぁ」
雪歩「アイドルやめなくて、いいんですか……?」
P「いや、と言うか萩原さんは特に何もしなかったしな……俺を殴った以外は」
雪歩「な、殴られたんですか!?」
P「ま、まぁ大丈夫だから。うん」
P「……あ、そろそろライブ会場に行く時間だから、その準備はしておいてくれ」
P「春香と真も、その内来るだろうからさ」
雪歩「は、はいぃ……」
ガチャッ
伊織「あ……雪歩………」
雪歩「伊織ちゃん、おはよう……?」
伊織「………」ビクビク
雪歩「(私を見て、すごく怯えてる……)」
伊織「昨日は……ごめん、なざい……もうワガママ言わない、がら……」
伊織「グスッ……だがらっ……う、埋めないでぇ………!」ポロポロ
雪歩「(えええええっ!?)」
雪歩「う、埋めたりなんか、しないよ……?」
伊織「……ほ、ホントに……?」グスッ
雪歩「う、うん……」
ガチャッ
美希「………雪歩、さん」
雪歩「……美希ちゃん?」
美希「おはようございますなの」ペコリ
雪歩「(……一体何をしたの、お父さん……!?)」
ガヤガヤ ザワザワ
P「と言う訳で、会場に着いたのは良いんだが……」
真「大分混んでますねー、満席じゃないですかこれ?」
春香「会場いっぱいに人が埋まるなんて夢みたいですね、プロデューサーさん!」
P「そうだなぁ……ところで、大丈夫か雪歩?」
雪歩「ひぃぃ……」ガタガタ
P「(……すっかり緊張しちまってるな……どうしたもんか)」
「オゥ、お前ら。準備は出来てるな」
「「「へい!!」」」
雪歩「!?……こ、この声って……あっ」
P「?……どうした雪歩」
雪歩「……き、客席の、右後ろ端……」
強面A「萩原組一同!本日はお嬢を精一杯応援させていただきますっ!!」
強面ABC「「「L・O・V・E!お・嬢!!」」」
雪歩父「声が小さいっ」
強面ABC「「「L・O・V・E!!お・嬢!!!」」」
ザワザワ……
春香「いやぁ、お嬢って照れますね~」エヘヘ
真「……あれ、春香のファンなの?」
雪歩「………」プルプル
P「えぇっと……な、雪歩」
雪歩「………」プルプル
P「ゆ、雪歩のお父さんから、今日はどこでやるんだって電話があってな」
P「………答えないと、殺されそうだったんだ………す、すまん」
雪歩「っ~~~~~///」プシュー
真「……?」
P「っと、時間だ。三人とも、頑張ってこい!」
春香「ヴぁい!」
真「さっ、行こうか雪歩……雪歩?」
雪歩「………うわああああああああああああああああああっ!!!」ダッ
真「雪歩っ!?」
春香「わ、私達も雪歩に続かないと!」ダッ
真「……き、急に元気良くなったなぁ」ダッ
強面ABC「「「L・O・V・E!!お・嬢!!!」」」
強面ABC「「「L・O・V・E!!お・嬢!!!」」」
雪歩父「………」ニタァ
おわり
雪歩の父親の職業は明言されてない
だからヤーさんかも知れないし
建設業者さんかもしれないし
格闘技の師範さんかもしれない
でも萩原組の社歌はある
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