P「これがお前達のジャイアント・キリングだ」(272)

高木「新しいプロデューサーが来る」

律子「………」

小鳥「………」




律子「………社長。毎回毎回そう言って」

律子「すぐに投げ出して辞めていくプロデューサーを、私達が何人見送ってきたと思ってるんですか?」

小鳥「去年の春に入社してきたプロデューサーさんは3ヶ月で辞めちゃって…そのあとは律子さんが引き継いでプロデュースしてましたけど」

小鳥「その結果…これですもんね」ピラッ

高木「こ、これは前年度の決算書……」

律子「定例ライブもギリギリ黒字、オーディション勝率はたった20%」

律子「アイドルについてくれるスポンサーさんも、こんな弱小事務所じゃ申し出なんてひとつもない」

律子「…確かに、私の腕が足りないってのもありましたけど」

高木「いや、律子君も音無君もよくやってくれてたよ」

律子「結果がでないと意味がないんですっ!!」バアン

高木「」ビクッ

小鳥「…そうですよ。このままじゃ倒産ですよ?」

高木「そ、それは困る……だからこそ、プロデューサーをスカウトしてきたのだよ」

律子「はぁ…一応聞いておきます。どんな人なんですか?」

高木「私の知り合いが経営してるサッカークラブの監督なんだがね」


律子「………」

小鳥「………」


  「「サッカーの監督ぅ!?」」

高木「そうなのだよ。それが腕利きの勝負師でな」

高木「昔はプロの選手だったのだが、観客を魅了するすばらしいプレーをたくさんしてくれるピッチのスターだった」

高木「監督に就任してからは、弱小クラブながらリーグ上位争いに食い込むという優れた采配能力」

高木「どうかね?ティンと来るだろう!?」



律子「……来るわけないでしょっ!!」

高木「ひぃっ」

律子「…社長。いくらウチがピンチだからって、スポーツの監督に何が分かるって言うんです!?」

小鳥「やっぱり、アイドル業界に詳しい人じゃないとどうにも……」

高木「む、無理を承知で言っとるのだ……専門知識については、サポートを君達二人で頑張ってもらいたい」

高木「私は確信したのだよ!彼ならきっと、すばらしいプロデューサーになる才能があると!」

律子「………」

小鳥「………」

律子「………その人はいつ来るんです?」

小鳥「律子さん……?」

律子「どっちにしろ、まだあってもいないうちに判断するのはよくないですからね」

小鳥「………社長。765プロの運命を、その人に預けても大丈夫ってことですか?」

高木「……ああ。私を信じて欲しい」

小鳥「………分かりました」

律子「………私も」


高木「おぉ、ありがとう二人とも……!なに、善は急げと言うからね。実はもう来てもらってるのだよ」

律子「えっ!?」

高木「おーい、君!入ってきてくれたまえ!」

ガチャ


P「ども」

律子「………わ」

小鳥「若い……監督だなんて言うから、てっきりもっとおじ様かと」

P「久しぶり、高木のおっさん。永田のおやっさんがよろしくっつってたよ」

高木「そうかそうか」

P「で、この人らは?」

高木「あぁすまないね。我が765プロの事務員、音無小鳥君と」

小鳥「はじめまして」

高木「事務員兼プロデューサーの、秋月律子君だ」

律子「よろしくお願いします」

P「……達海猛、35歳。愛称はタッツミー。よろしく」

高木「(『タッツミー』…)」

律子「(いい年こいて『タッツミー』……)」

小鳥「35……いい感じに年上だわ……!」

P「え?」

小鳥「い、いえ、なんでもないんです」

律子「……その、サッカーチームの監督だと伺ったんですが」

P「うん。ETU…イースト・トーキョー・ユナイテッドっつーんだけど」

小鳥「…名前なら聞いたことありますが…ごめんなさい、サッカーは詳しくないんで」

P「あぁいいのいいの。どうせ弱小チームだし」

P「それに知られてないほうがやりやすいから」

高木「というわけだ。彼には明日から本格的にプロデュース業を始めてもらおうと思う」

P「よろしく、二人とも」

小鳥「はい!よろしくお願いします!」

律子「(小鳥さん…ちょっと張り切ってる?)」

高木「あと、彼はここに住むことになっているから」

律子「は?」


律子「………は?」

P「監督やってるときはクラブハウスに住んでたから、家がなくて」

律子「」

──────


小鳥「本当にいいんですか、プロデューサーさん?この資料室しか空いてないんで、適当に布団しいて寝てもらうことになりますけど……」

P「大丈夫、むしろ好都合だ。…ホントはベッドがいいけど、ここには入りそうにないね」

律子「部屋は汚さないで下さいよ」

P「心配いらないって。…そういやアンタうちのクラブにいた広報に似てるな」

律子「えっ、そうなんですか?」

P「うん。いっつも口うるさくてクソまじめなんだ」

律子「なっ……」

P「それに怒るとチョー怖い」

律子「あなたねぇ……!」

P「ま、クラブのために一生懸命だってのも似てるね」

律子「っ………」

P「あー、ところでさ。明日会うアイドルたちのプロフィールとか、過去の映像とかないの?」

小鳥「えっ?ありますけど……結構な量ですよ」

P「いいよ。全部出して」

律子「でももう退社の時間ですよ……そうか、ここが家か」

P「何も知らないまま仕事も始められないからね。ちょっとは勉強してから会うことにする」

律子「……無理はしないで下さいね」

P「おう」




小鳥「これで全部です」ドサササ

律子「相変わらずすごい量ね…山積み」

P「ありがと。後は適当に見ておくよ」

律子「明日はお昼集合ですよ」

P「了解」

小鳥「では、また明日。お疲れ様でした」バタン

P「あいよ、また明日ー………」


P「…さてと。始めるか」


──────

P「現在所属しているアイドルは全員ランクD以下……約半分はランクF」


P「……合同ライブの映像がこれで、プロフィールを見る限り、所属アイドルを率いている中心人物は………」


P「それぞれの得意とするアピール分野と、流行情報が………」


P「オーディションの戦績と詳しいデータは……」


P「レッスンのスケジュールと………」



P「…………よし」


──────


      ………ください!起きて!


P「…んぅ……?」

律子「プロデューサー!今何時だと思ってるんですか!!」

P「……っせーなー有里……」

律子「誰ですかそれ!!いいから早く起きろっ!」バッ

P「うげっ!」ガン

律子「あ」

P「ってぇ~っ……」

律子「ご、ごめんなさい…じゃなくて!もう皆集合してるんですよ!?」

P「…あぁそんな時間か……つい徹夜しちまった」

律子「徹夜?………もしかして」


律子「昨日渡したDVDと資料……まさかこれ全部に目を通したの?一晩で……?」

P「…今日やることももう決めてる。…ふぁぁ~っ…」

P「……と。すぐ行くから待ってな」

律子「…分かりました。しっかりしてくださいよ、プロデューサー」

律子「初日なんだから、示しのつかない真似は止めてくださいね」バタン


P「………ま、徹夜した甲斐はあったな」

P「……お陰で色々と分かった」ニヤリ


──────


伊織「律子、新しいプロデューサーが来るのって今日でしょ?まだなの?」

律子「ああー、来てるには来てるのよ。ただ準備が要るらしくて…」

伊織「…初日からいきなり遅刻?全く、先が思いやられるわね」

亜美「どんな人なのかな→」

真美「面白い兄ちゃんだといいね」

やよい「怖くない人だといいけど……」

あずさ「そうね。優しい人がいいわね~」

千早「なんでもいいわ。すぐに辞めなければ」

春香「千早ちゃん、そんなこと言わずにさ…きちんと迎えてあげないと」

雪歩「うぅ…緊張する…」

真「……あ、来たんじゃない?」

ガチャ

高木「お待たせしたね諸君。早速だが、お待ちかねの新しいプロデューサーをここで紹介しよう」




P「達海猛、35歳。今日から君らのプロデューサーをやります」

P「仲良くするように、以上」

高木「彼は小さなクラブチームをリーグのトップ争いで活躍させている、素晴らしい監督だ」

高木「きっとプロデューサーとしても、この優れた手腕を発揮してくれることだろう」

P「あんま買い被られても困るけどねー、俺サッカーが本職だし」

亜美「…兄ちゃんっていうか」

真美「おっちゃんって感じだね」

真「サッカーの監督か……すごいなぁ」

雪歩「ち、ちょっと怖そう…」

真「そう?いい人そうじゃないか」

春香「ぷ、プロデューサーさん!はじめまして!」

P「おっ?」 

春香「わ、私天海春香17歳です!これからよろしくお願いします!」

やよい「高槻やよいです!よろしくお願いしまーす!」

P「おー、よろしく」

春香「(…す、すごいあっさりだ……)」

やよい「(あ、あんまり優しくないのかも……あぅぅ)…」


伊織「……社長。大丈夫なの?こんなのがプロデューサーで」

高木「こらこら水瀬君、そんな言い方は……」

P「いいよいいよおっさん。最初はこんなもんだ」

P「ま、芸能界とかまだよくわかんないけど、これから研究していくんで」

P「お互い頑張ろう」

高木「…では、早速仕事に取りかかってもらおうか。しばらくはそこにいる律子君と音無君がサポートを務めてくれるから」

高木「頑張ってくれたまえ」

P「あいよー」

律子「では私は少しやることがあるので、それが済んだら始めていきましょう。しばらく子供達の相手をお願いします」

P「…おう」

真美「兄ちゃん!いや、おっちゃん?」

P「あ?お前は……双子のどっちだ?」

真美「んっふっふ~、私が姉の真美だよ」

亜美「私が亜美。早く覚えてよ~?」

P「…右にはねてんのが亜美、左が真美…でいいのか?」

亜美「そうそう!兄ちゃんよく見てんじゃ→ん」

真美「これからよろしくね→。兄ちゃんとおっちゃんどっちがいい?」

P「……兄ちゃんのほうがいいかもな」

真美「了解、兄ちゃん!にっしし」

やよい「あ、あの…」

伊織「………」

P「お前はさっきの…高槻か」

やよい「は、はい!」

P「そっちにいるのは?」

やよい「あ、伊織ちゃん!」

P「…水瀬だっけ?」

伊織「……アンタには特に期待してないわ。せいぜい頑張って」スタスタ

P「………」

やよい「…ご、ごめんなさい…伊織ちゃん、いつもはとっても優しい子なんですけど…」

P「ま、俺を歓迎しない人間がいることも承知だよ」

P「……で、お前ら3人が765プロの最年少組だな?」

亜美「そだよー。若さあふれるチームだよ!」

P「ちょうどいい。お前らに聞きたいことがあるんだ」

──────


亜美「最近の765プロ?」

P「そ。年少組のお前らから見て、率直にどう思う?」

やよい「そうですねー、なんていうか……」

真美「…正直、ダメダメだよNE」

やよい「ちょっと、真美…!」

P「いいよいいよ。続けて」

真美「うーん……去年いた兄ちゃんがすぐやめちゃってさ、真美達プロデューサーがいなかった時期があるんだよ」

P「そうらしいな。大変だったか?」

亜美「うんうん。んでしばらくは律っちゃんがそのままプロデューサーになって、やってたんだけど…」

亜美「そもそもこんな人数だし、もともと前の兄ちゃんと二人でやっと回せてた感じだからさ」

亜美「律っちゃんパンクしちゃって。もう皆ボロボロ」

真美「だからさっきのいおりんみたいに、プロデューサーはもう信じられないって人もいるんだ……ごめんね」

P「…なるほどね」

亜美「悪く思わないでね。いおりんもホントはあんな風にしたくないはずなんだよ」

P「大丈夫だよ」

やよい「で、でも…そんな時春香さんが、律子さんのやってる私達のプロデュースを手伝い始めたんです」

P「……天海が?」

やよい「そうなんです。春香さんもアイドルなのに、私達のレッスン見てくれたりとか…」

真美「オーディションの時だって、一緒に戦術考えてくれてたんだよ!」

P「…ほう」

亜美「うんうん。今思うと、はるるんがいなかったらウチはとっくに潰れちゃってたんじゃないかなー……」

P「あいつがそんなにプロデュースの手伝いに時間を割いていたのか?」

真美「そだよ。おかげではるるんは去年ランク一個落としちゃってさ……」

亜美「さすがに申し訳ないと思って、しばらくアイドルのほうに集中してもらってさ」

亜美「頑張ってもっぺんランクDに上がってもらったところ」

P「それで今、ここにいる中の最高ランクってわけか」

やよい「はい……あの、プロデューサー…こんな小さな事務所だと思いませんでしたか…?」

真美「え?………うわぁーっ! どーしよ、悪いこと喋りすぎちゃったよー!!」

亜美「兄ちゃんは辞めるなんて言わないでよー!? お願いだよ~!!」

P「ははっ。安心しろ、それはない」


P「おれは765プロを強くしに来たんだ。このくらい弱小なほうが良いってもんだよ」

P「サンキュ。役に立つ情報だった」

亜美「そ、そう…?どういたしまして」



P「(天海春香……ねぇ)」

ちょっと風呂

ちなみに書き溜めはあるけどさるよけでゆっくりやっていきます


──────



律子「プロデューサー、お待たせしました。こっち終わりましたよ」

P「おう。……秋月だっけ?」

律子「律子で構いません」

P「そう?じゃあ、律子。よろしく」

律子「はい。それと…さっきはすみませんでした。あの子達あんな態度で…みんな新しいプロデューサーに期待したいんでしょう」

P「気にしてないよ。色んなやつがいるんだねえ、面白い」

P「ただ、あんまり目が笑ってなかったのが気になったかな」

律子「………!」

律子「ごめんなさい…その辺はいろいろと事情が」

P「ふーん……まあいいや」

P「んで、仕事ってさ。簡単にはレッスンと営業だろ?」

律子「はい。その他事務は私と小鳥さんで担当するんで」

P「オッケー。んじゃー…」


P「初日だし、やっぱレッスンを兼ねてミーティングをやってみたいんだよね。……全員で」

律子「え…全員ですか?」

P「というわけで、今からレッスンルームに集合って伝えといてちょうだい。俺眠いから一時間ほど昼寝してくる…」

律子「ち、ちょっと!!」

P「あ、忘れてた。俺が行くまでの間にこれやらせといて」ピラッ

P「でもって全員のコンディションを軽くメモっといてくれる?……じゃね」

律子「ま、待ってください!フェアリーの3人は遠征で今日は事務所にいませんよ!」

P「わーってるよ。また後で」


律子「…もう……」

律子「………」ピラッ

律子「……ダンスと表現力のレッスン……これだけ?」


――――――


真「…うぉぉっ、なんだかやる気が出てきたなぁっ!」

雪歩「真ちゃん、落ち着いて…もうすぐプロデューサーが来るよ?」

真「だから燃えてるんじゃないかっ!さっきのレッスンだってやる気200%だよ!」

春香「真!…はりきりすぎ!」

あずさ「あらあら、そういう春香ちゃんだって。ふふふっ。ふふふっ」

春香「……あずささんもですよ!」

伊織「そうよ。あんまり期待しないほうがいいと思うけど?」

やよい「伊織ちゃん、そんなこと言っちゃだめだよ…」

伊織「…でも、今までここに来たプロデューサーのことを考えると」

亜美「亜美たちはさっき兄ちゃんとオハナシしたから、どんな感じか分かってるもんね→」

真美「ね→」


ガチャ


P「…ふぁ~ねみー……」

律子「!」


春香「あらら……」

真「もう、プロデューサー!初レッスンですよ!頑張りましょうよ!」

律子「……プロデューサー。しっかりしてください」

P「大丈夫、大丈夫……zzz」

律子「寝るな!!」

亜美「兄ちゃんおネムみたいだね→」

真美「真美達が起こしてあげよっか?んっふっふ~」

やよい「だめだよ、二人とも。…プロデューサー、今日は何をするんですか?」

P「…まあ、といってもこっからはほぼミーティングなんだけどな」

P「よし。みんな集まってるかなー」

伊織「あとはアンタだけよ、プロデューサー」


小鳥「律子さん、大丈夫なんでしょうか…初日でいきなり全員の合同レッスンだなんて」

律子「正直心配ですけど…何か考えがあるんでしょう。大変そうなら私もサポートします」


P「それじゃーね、律子。さっきまでのやつのメモある?」

律子「はい、ここに……どうぞ」

P「ありがと。…………なるほどねー……」

伊織「……ちゃんとミーティングしてくれるんでしょうね」

雪歩「怒られないようにがんばらないと……」



P「………よし。OK」

P「じゃあぼちぼち始めようか。昨日律子に聞いたんだけどね、この事務所は……団結がモットーだそうで。そうだよな天海?」

春香「は、はい」

P「うんうん、いいと思うよ。アイドルは一人一人が戦う世界なんだろうけど、誰かと組むことで一人じゃ出来ないことが出来たりする」

P「せっかく事務所がチームプレイの方針を取ってるなら、俺も従わなきゃね」

P「つーわけで、早速ですが新ユニットの結成について考えたいと思います」

真「ユニットか……心強いね」

あずさ「楽しそうですね~」

P「この新しいユニットを、事務所の中心として据えながら全員一丸となって頑張っていきましょう」

P「やっぱ新しいことにはドンドンチャレンジしていって欲しいしな」


伊織「順当に考えれば、今の時点でランクが高い人から選ばれるのかしら?」

P「まあまあ落ち着け。まずは軽くチーム分けね」

P「名前を呼ばれた奴はこっちに来るように。……双海真美」

真美「あーい」

P「双海亜美」

亜美「はーい」

P「高槻やよい」

やよい「はい!」

P「如月千早」

千早「はい」

P「萩原雪歩」

雪歩「は、はぃ」

伊織「これ、ランク順?」

あずさ「みたいね」

真「向こうはFランク組が中心だけど…」



真美「こっちは補欠組って感じだね→」

雪歩「向こうはDの春香ちゃんと、残りみんなEランクだね」

やよい「このチームで何するんだろう…?」

千早「メニューを分けてレッスンするのかしら…」



P「……ははっ。今呼ばれたメンバー」


P「おめでとう!君達は新ユニットのメンバー候補だ!」


「「「「!!??」」」」


亜美「えっ!亜美たちが!?」

真美「兄ちゃんそれマジで言ってるの!?」

やよい「ほ、ホントですかっ!?」

千早「…どうして、またそんな……」

雪歩「えぇ……大丈夫かなぁ…?」



春香「………!?」

伊織「ちょっと!どういうこと!?」

あずさ「あらー…」

P「どうした。不満か?」

伊織「当たり前じゃない!事務所の中でもランクの低いアイドルで組んでどうするつもりよ!」

真「そうですよ。……それにどうして、よりによってDランクの春香を外すんですか!?」

春香「ちょっと二人とも……」


P「……なるほどね。ランクの高いアイドルを使った方が良いって言いたいのか?」

伊織「そうよ!オーディションも勝ちやすくなるし……」

あずさ「春香ちゃんは皆のこときちんと考えてくれるいい子だから、ユニットを組むなら必要だと思うんです…」

春香「………っ…」


P「ははは、ところがどっこい」

P「ランクが高いやつが勝つのが、アイドルの世界の全てじゃないだろ?」

真「何を言って…」

P「納得できないなら、これからしてもらう。…律子」

律子「は、はい」

P「15分後に疑似オーディションだ。まあ俺みたいな奴が何もしないうちに四の五の言っても説得力ないだろうし」

P「もしそっちが負けたら、考え直してやる。いいだろ?」

伊織「ちょっと…!」

P「律子。そっちの指揮頼むわ」

律子「…分かりました」


――――――

伊織「何なのよアイツ!律子、ホントにあんなんでいいわけ!?」

律子「落ち着きなさい。プロデューサーだって本心で言ってるんじゃないと思うわ」

律子「きっとあなた達にハッパをかけるつもりでやってるのよ。いつも通りに臨めば勝てない相手じゃない」

律子「とにかくミスを減らすこと。いいわね?」

真「心配要らないよ」

春香「…分かりました」

あずさ「頑張りましょうね」

伊織「……上等だわ…!」


――――――

P「勝つぞ」

真美「えぇっ!?で、でも」

亜美「向こうは全員亜美達よりランク高いんだよ?」

P「……確かにそうだ。お前達は」

P「弱小事務所の下っ端」

千早「…くっ」

P「要するに下の下。最低ライン。ギリギリアイドルですって感じ」

雪歩「うぅ……」


P「……このままでいいのか?」

真美「………」


P「想像してみろ。お前らはそろいもそろってランクF。だけどここで向こうのランクD、E組に勝って……」

P「事務所で一番の売れ線ユニットのメンバーになって」

真美「!」

P「そしてオーディションを勝ち進み……」

P「トップアイドルへ登りつめる」

雪歩「………」

P「そしてその時、お前達の立場は変わる」

P「面白いと思わないか?」


雪歩「…………」

亜美「…………お、思う!」

千早「…………そうですね」

やよい「……そうなったら、すごいと思います!」

P「だろ」


P「これはお前達のジャイアント・キリングの始まりだぜ」

千早「……でもプロデューサー…そんな簡単な話でもないと思うんですが…」

P「やる前からひるんでどうする?」

千早「………」

P「オーディションは常にスコア0からだろ?サッカーと同じ。有利も不利もない」

P「それにお前達は勝てる。その武器を持ってるんだ」



P「どうする?俺の作戦に乗るか?」


──────


P「準備いいかー?」

律子「こっちはいつでも」

P「オーディションのルールはSP準拠な。2チーム審査だから最下位ペナもなし」

律子「(オーディションのルールまで頭にいれてきたってわけ……)」

P「あーあと、思い出アピールだけど」

P「4回までにしてくんない?」

律子「4回?どうして…」

P「まあ特別ルールってことでさ。そっちの面子が文句なければだけど」

P「もちろんお前らが使える回数も同じだ」

伊織「いいわよ、別に。一回分増えたところで変わりゃしないわ」

律子「…だそうですので。それでいいですよ」


P「よし。決定ね」

律子「………」

伊織「(見え見えなのよ。そっちが思い出使ってくるならこっちも対応するだけなんだから)」

春香「………」

真「春香、どうしたの?」

春香「…ううん、なんでもない」

真「元気ないの?」

春香「だ、大丈夫だよ!……勝とうね!」

真「…うん!」

あずさ「私も準備OKですよ~」

伊織「律子、指示頼むわよ」

律子「ええ」


P「んじゃそろそろ始めるかー」


──────

小鳥「プロデューサーさん……勝算はあるんですか?」

P「もちろん。何ならここで見てく?」


♪~


律子「始まったわ……」


・審査第一回目


P「よーし……如月っ!」

千早「……っ!」


──千早(Vo.) 思い出アピール Failure!!──


春香「……!?」Vo.↑


律子「……千早がミスした…」

P「あちゃー」

小鳥「千早ちゃん、いきなり…もしかして緊張でもしてるのかしら……」


真美「(兄ちゃん、これホントに勝てるんだろーね…!)」Vi.↑

伊織「(なによ千早の奴、さっそくやらかしたの?)」Vi.↑

亜美「(負けたらショーチしないよっ…!)」Vi.↑

真「(よし、一安心……)」Da.↑


律子「向こうは慣れてないわ、こっちは基本に忠実に攻めるわよ!」


雪歩「(………!)」Vo.↑

春香「(千早ちゃん……)」Vo.↑

千早「(………)」Vo.↑

真「(いける…勝てる…!)」Da.↑

やよい「(………)」Vi.↑

あずさ「(…なんとかなりそうね~)」Vo.↑

雪歩「(………よし…)」Vi.↑

あずさ「(……これで4回…)」Vo.↑

亜美「(………)」Vi.↑

伊織「(絶対負けない…)」Vi.↑

千早「(………)」Vo.↑

真「(………!)」Da.↑


律子「……よし…」



・第一回審査結果…Pチーム

Vo.2nd Da.2nd Vi.1st★★


・第一回審査結果…律子チーム

Vo.1st★★★★★ Da.1st★★★ Vi.2nd


伊織「(ちっ、ヴィジュアル落としてるじゃないの…次は全部取りに行かなきゃ)」

律子「その調子よ!このまま行けば勝てる!」

伊織「(分かってるわよ…!)」

SP版のオーディションルールについてはとりあえずwiki参照で


完結したら補足として書いていこうと思います


P「うちのチームはね」

小鳥「?」

P「一見するとイメージレベルも低いし、全員の能力も平凡なんだ」

小鳥「はぁ……確かに、千早ちゃんはVo.が突出してますけど…他はみんな全部がそこそこって感じですもんね」

P「まあね。それに比べて向こうは…Vo.の三浦、Da.の菊地、Vi.の水瀬」

P「そしてバランス型の天海。律子もそれを理解してるんだろうな、きちんと役割を与えてアピールさせ続けてるっぽい」

P「くわえておそらくテンプレ撃ち…手堅い戦法だ」

小鳥「…だったら、こっちの対抗策は……?このままじゃ負けますよ?」

P「まあまあ落ち着きなって。勝つよ」

小鳥「…!?」


P「こっちが勝たなきゃダメなんだ。765プロのためにね」


・審査第二回目


P「如月っ!」

千早「くっ……!」


──千早(Vo.) 思い出アピール Failure!!──


P「………」


春香「(また!?)」Vo.↑


律子「(………千早、間違いない。いつもの調子が出てないわ…これは勝てる!)」


亜美「(……これ、順調なのかな…)」Vo.↑

あずさ「(……っ)」Vo.↑

真美「(……信じるしかないね)」Da.↑

真「(よっと…!)」Da.↑


雪歩「(私も頑張らなきゃ…!)」Da.↑

伊織「(……手加減なんてしないわ)」Vi.↑

やよい「(上手くいってるといいけど…)」Vo.↑

春香「(………)」Vo.↑

千早「(次の指示は……)」Da.↑

あずさ「(……なんとかなりそうね…)」Vo.↑

亜美「(………)」Vi.↑

真「(……なんか向こう…)」Da.↑

真美「(そろそろ……くる…?)」Vo.↑

真「(…なんであんなに自信ありげなんだ…?)」Da.↑

雪歩「(……もうすぐ……)」Da.↑

伊織「(………おかしいわね…)」Vi.↑


・第二回審査結果…Pチーム

Vo.2nd Da.1st★★★ Vi.2nd


・第二回審査結果…律子チーム

Vo.1st★★★★★ Da.2nd Vi.1st★★




真「(うそ!?ダンス負けたの!?)」

伊織「(何やってんのよ、落とす相手じゃないでしょ…!)」


律子「………?」



P「テンプレ撃ちが安定して強いのはね」

P「対戦相手も同じようにアピールしている上で、かつ総合力が相手より勝っているときだ」

小鳥「…そうですね……」

P「だがウチは違う」


P「一度目はVo.とVi.に、二度目はVo.とDa.にポイントを過剰に割り振ってる」

P「だから総合力では下でも、少ないながらとりあえず★を獲得できた」

P「あいつらは不思議に思ってるはずだよ。しょっぱなで如月が思い出アピールに失敗してるのに、何故?って」

P「あと、こうも考えるはずだ。格下相手だからどうせなら★全部とって勝ちたいってね」

小鳥「…確かに」

P「そうすると次のポイントの振り分け方に一瞬ではあるが迷うんだよ。Da.か、Vi.か、それとも今度はVo.…どれを多めにすればいいか」

P「もしくは多少リスクのある思い出アピールを使って大きく引き離すか」

小鳥「………」

P「そしたらね。あちらさんの判断にスキが出来るんだ」

P「まあ見てなって。こっからだよ」


P「……お前ら、準備はいいか」




P「そろそろ仕掛けるぞ」



・審査第三回目


千早「(ここは普通に…)」Vo.↑

あずさ「(思い出は使ってこないのね…)」Vo.↑


律子「………」



P「俺が律子に頼んだコンディションのデータで知りたかったのはね」

P「度胸の強さ」

小鳥「…えっ?」

P「いきなり、新しいプロデューサーが一時間後に見にくると知って臨むレッスン……」

P「誰だって多少は緊張感を持ってやるはずだ」

小鳥「……つまり、レッスンでのコンディションがいつもよりいい状態の子達を選んだってわけですか?」

P「いいや。俺が見たのはね」

P「いつもと変わらないコンディションでこなせたかどうかだよ」


やよい「(いつ…いつですか?プロデューサー)」Vi.↑

伊織「(………)」Vi.↑

真美「(くるよ…くるよ…!)」Da.↑

真「(………)」Da.↑

雪歩「(………さあ…)」Vo.↑

春香「(……?)」Vo.↑

やよい「(……!)」Vi.↑

真「(……まさか)」Da.↑

亜美「(……兄ちゃん)」Da.↑

あずさ「(………)」Vo.↑


P「モチベーションを上げようと頑張るのも結構だけどね」

P「とっさの状況で、いつもと変わらず平常心でいられる……」

P「本番に強い奴ってのはそういう奴だ」

小鳥「……!」

P「つまり、土壇場での思い出アピールも確実に成功させる人間ってわけ」


P「そういう奴らが、こっちに集まってるんだよ」



律子「!……まずい、このままじゃ…!」


P「よし。かかった」


やよい「(…プロデューサー!)」Vi.↑


律子「春香! 思い出アピールを!!」


春香「えぇっ!?え、えと、」


──春香(Vo.) 思い出アピール Failure!!──


春香「しまっ……!」


律子「あっ……!」


伊織「何やってんのよ春香…!」



P「………」スッ…

小鳥「!!」

小鳥「(プロデューサーさんが動いた……!)」



P「来たねえ、予想通りのジェノサイド。まんまと気を取られてくれたな、律子」




P「萩原!行けっ!!」


雪歩「はい!!」



──雪歩(Da.) 思い出アピール Success!!──


小鳥「やった、雪歩ちゃん!」

律子「!」


真「(雪歩が思い出アピールを……!?)」Da.↑



P「…次!高槻っ!!」


やよい「はいっ!!!」



──やよい(Vi.) 思い出アピール Success!!──


小鳥「すごい……!…でも、雪歩ちゃんもやよいちゃんも平常心ってタイプじゃないような……?」

P「あのチビトリオとはさっき話をして割と打ち解けたから、高槻もなんとなくいけそうな気がしたんだよ」

P「如月なんて、見たとたんにマイペース型だって分かったし。データもその通りだった」

P「ま、アイツは違う方向で使ったんだけどね」


P「(……ただ、一人……俺はなんでアイツを選んだんだろうな)」

P「…ま、成功したから良いか」

小鳥「?」



伊織「(…やられたわ…っ!)」


──伊織(Vi.) 思い出アピール Success!!──


P「とっさに対応できても、もう遅い。審査は終わり」

律子「…っ……!」

P「……よし。上出来だ」



・第三回審査結果…Pチーム

×Vo.-(ジェノサイド) Da.1st★★★ Vi.1st★★


・第三回審査結果…律子チーム

×Vo.-(ジェノサイド) Da.2nd Vi.2nd



・計

Pチーム…★×10

律子チーム…★×5


亜美「……か、」

亜美「勝った……?」

やよい「…ほんとに……?」

真美「勝った!勝った!兄ちゃん!!」

亜美「作戦通りだよ!!すっげ→!!」

P「ははは、よーくやったお前ら」

雪歩「……信じられない…」

やよい「雪歩さん!すごいです!私達やりました!」


小鳥「(…………たった一晩で、ここまで思い切った作戦を立てて……)」

小鳥「(それで本当に勝っちゃうだなんて……この人……)」

小鳥「(何者なの………!?)」



春香「………」

真「……うわー、負けちゃった……」

伊織「…こっ、こんなのがどうしたっていうのよ……!無効だわこんなの…!」

あずさ「あら~…油断してしまいましたね、律子さん。残念です…」

律子「………」


千早「プロデューサー…わざと失敗するなんて、逆に難しいんですが」

P「お前ならできると思ってたよ。そのランクにしちゃ実力がずば抜けてるからな」

千早「…本当にそう思ってたんですか?」

P「ああ。勝ったのはお前の功労だ、如月」

千早「…ありがとうございます」


律子「はじめからジェノサイドを誘うつもりだったのね。だから千早は二回もミスを……」

律子「……してやられたわ」


P「かっかっかっ、痛快だね」

P「身内といえども、弱い奴が強い奴をぶっ潰した瞬間ってのは……サッカーもオーディションも一緒だ」

雪歩「…!」


P「(それにしても………あのときの思い出アピール)」

P「(何か普通じゃないオーラみたいなを感じたんだけど…)」チラッ


雪歩「………これが、」


P「萩原雪歩、か………」

P「なーんか似てるな……あいつに」



雪歩「ジャイアント・キリング…………」



伊織「……帰る」

律子「…! ちょっと伊織…」

バタン

やよい「……伊織ちゃん…」

小鳥「……どうしましょう…」

春香「………」


P「(あとは………少しずつなんとかしていくしかないな)」

P「(この事務所に残ってる問題はまだまだ山ほどある)」


P「(本当に勝てるアイドルを育てるには、もちっと改善が必要だねえ)」


――――――


春香「………はぁ……」


P「こんなところにいやがったのか。探したぞ」

春香「!!」

P「ふーん……小さいビルでも、屋上からだとそれなりの景色なんだな」

春香「ぷ、プロデューサーさん……」

P「ま、今日のところはお疲れ」

春香「………」

P「だけど俺は労いに来たんじゃない。お前と話がしたくてな」

春香「私と…?」

P「765プロの中心人物。12人のアイドルを引っ張るリーダーさんと」


春香「……そんな、私は別に……」

P「……なんで俺たちが勝てたか分かるか?」

春香「……え…?」

P「…はっきり言うぞ。俺は勝つためにお前のことを利用した」

春香「…!?」



P「色々聞いたよ」

P「お前、今まで相当苦労してきたみたいだな。前任のプロデューサーが辞めた後、律子が手に負えない時は」

P「お前がレッスンのメニューやオーディションの戦術を考えていたとか」

P「忙しいときは他のメンバーのレッスンも見てやってたらしいな?…自分のことを後回しにして」

春香「………」

P「ま、あの集団じゃ他にリーダーに向いてるやつもいなさそうだし。お前が自然とそういう役を引き受けることが多くなったのも頷ける」


P「765プロを率いなきゃいけない」

P「事務所のために、自分を犠牲にしてでも頑張らなきゃいけない……」

P「765プロの中心は自分だ。…そういう思いが、お前の中で出来上がってたんだろう」

春香「………」

P「だから今日、新ユニットのメンバーを決めようとしたとき、あえてお前や上位ランクの人間を外して」

P「ランクFばかり集めた」

春香「………」

P「見事にはまってくれたよ。お前はそのことに少なからずショックを受けた。違うか?」

春香「っ……」

P「そして、過去のデータから見る限り……」


P「低テンション時のお前は、オーディションで思い出アピールに成功したためしがない」


春香「…………そこまで調べてたんですね……」

P「悪く思わないでくれな。これは必要なことだったんだ」

P「765プロを変えるためには、どうしてもまずお前達に負けてもらわなくちゃいけなかった」


春香「……それがどういう意味なのかはよく分かりませんけど」

春香「…プロデューサーさんの言うとおりです」

春香「前のプロデューサーさんは……確かにとてもいい人でした」

春香「短い間でしたけど……皆楽しくやれてたんです」

春香「……でも、3ヶ月でやめた後は散々で」

春香「私もみんなのために頑張ったんです………でも、私にプロデューサーとしての才能はゼロみたいで」

春香「みんな私を信じてくれましたけど、結局大した結果は残せなかった……」

P「去年のウチのオーディション勝率、2割らしいな」

さる食らってた

春香「………情けないですよね」

春香「私、結局みんなの役に立てなかった……それどころか、自分のランクまで落として……」

P「………」

春香「……こんな私は、アイドル失格だって言うんですか……!?」



春香「来たばかりのプロデューサーさんに何が分かるんですかっ…!!」

春香「私はっ!ずっとこれまで、事務所のために……みんなのために……!!」

春香「色んなものを犠牲にしてまでやってきたんですっ…!!」

春香「……みんながもっと頑張れるように……!」

春香「765プロを救うために、って……!!」

春香「…なのに……なのに…っ……」

春香「……一度はアイドルの夢すら捨てかけた私の気持ちが、プロデューサーさんに分かるんですかっっ!!!」


P「うん、分かってるんだよ。お前の気持ちは」

春香「!?」


P「だから、もうリーダーなんてやめろって言ってんの」


春香「………」

P「事務所の事情……オーディションの戦術……」

P「そういうもんまで、お前が一緒になって抱える必要はねえ」

P「たかがDランクのくせして、リーダーぶるには早すぎるっつってんだよ」

春香「なっ…!」

P「俺に言わせりゃ」


P「お前も律子も…ただ、いいプロデューサーにめぐり会えなかっただけだ」

春香「!」


P「お前は、まあ紅白戦みたいなモンとはいえFランク連中にも負けたし」

P「その上Dランクの割にイメージレベルも高くない」


P「けどな、これからは……」



P「それでも勝てる自分の武器を、死ぬ気で探せ」


P「その代わり、お前が背負い込んでたもんは」


P「これから俺が命がけで背負ってやるよ」


──────

P「…アイドルアルティメイト?」

高木「君はまだこの業界に詳しくないから、説明しておこうと思ってね」

高木「律子君、頼めるかね?」

律子「社長が説明するんじゃないんですか……ゴホン。プロデューサー、よく聞いててくださいね」


律子「アイドルアルティメイト…通称IUとは、デビューして間もないアイドルたちのため年に一回行われる」

律子「その年のトップアイドルを決めるトーナメント方式の大会です」

P「…ふーん」


律子「765プロでは過去、貴音が2次予選まで進んだのが最高ですね」

P「フェアリーとかいう3人組の?」

律子「はい。今までなら出場権は一度しかなかったんですか…今年度よりルールが変わりました」

律子「まず、参加条件はデビュー3年以内」

小鳥「これは全員クリアしてますね」

律子「そして中学生・高校生・シニア(18歳以上)部門の3つに分かれるそうです。グループでの参加も認められると」

P「……へー…」

小鳥「もともと注目度は高かったですけど、急にこんな大規模な大会になるだなんて……」


高木「ここまで規模が膨らめば、当然応募者数も増える。今まで以上に厳しい戦いになるだろうね」

P「……なるほどねー。で」

P「参加するの?」

律子「もちろんそうしたいです、せっかくのチャンスですし。だけど……」

高木「負けた者には、敗者の汚名だけが残る……たいていは、そのまま引退、というケースが多いな」

P「………結構だと思うよ?」

律子「え………?」


P「だってさ、もともと芸能界の一番下の奴らが集まってるのがこの事務所だろ?」

高木「うぐ……面と向かって言われると言い返せないな……その通りだ」

P「なら話は早い。どうせ何もしなかったらくすぶったままの連中ってことじゃん」

P「やる以外に選択肢はないね」

小鳥「……そうですけど」

P「ついでにさ、目標はでっかく持つべきだと思わない?」

律子「……目標?」

P「想像してみろよ。今まで大した業績のないこんな小さな事務所出身のアイドルたちがさ……」



P「形式の変わったばっかのIU、3部門制覇するってのを」


律子「なっ……!?」

高木「君、いくらなんでもそれは……!」

小鳥「……そんなことになったら、業界の歴史に残りますよ……!」


P「残せば良いじゃん」

P「おっさん。いつまでもこんなしみったれた事務所のままでいいのか?」

高木「そ、それは…………」

律子「で、でも、ライバルたちはこれまで以上に高いレベルで勝負を仕掛けてくるんですよ!?」

律子「3部門制覇なんて……いくらなんでも勝算が……!」

P「だからいいんじゃんか」


P「アイドルのことも、オーディションのこともまだよくわかんないけどさ………」



P「弱い奴らが強い奴らをぶっ倒す………勝負事においてこんなに楽しいことが他にあるかよ」

P「……765プロはチームで団結するのが強みなんだろ?」


P「だったら、俺たちが変わらないでどうするよ」

高木「……………」



P「こっから起こしてやろうぜ」



P「ジャイアント・キリングを」




続く?

またさる食らった…

とりあえずここまで

美希王子は書いてみたいけど続きが出来るかは微妙

以下小鳥さんによるSPオーディションの補足説明です


補足説明:SP版のオーディションについて

皆さんこんにちは!765プロの事務員、音無小鳥です!
新しくやってきたプロデューサーさんの采配、まさにお見事!でしたね。
それに35歳…まさにオトナの魅力たっぷりの、しかも帰国子女ですよ、帰国子女!
はぁ~、今度頑張って食事でも誘ってみようかしら、いやいや私なんて相手にしてくれるはずないわよね……
そもそもまだ独身かどうかも聞いてないのに気が早いわ、ダメよ小鳥!
そういうあせってる感じがバレバレな女は引かれちゃうんだから……って!

失礼しました……律子さん、今のカットでお願いします……とほほ。

というわけで、アイドルマスターSP(多分初代360版も同じなのかしら?)におけるオーディションのルールについて、説明していきますね!
プレイ経験のある方には常識なので、その場合は読まなくて結構ですよー。


まずは基本から。アイマスではその週ごとに「流行ジャンル」が存在します。
つまり、「今週はこれが人気!」っていう大まかな目安ですね。

ボーカル(Vo.)・ダンス(Da.)・ヴィジュアル(Vi.)の3種類があって、それぞれの流行の順位は少しずつ変動していきます。
ある週で流行1位がボーカル、2,3位がそれぞれダンス・ヴィジュアルだったとして、
それが来週には、1位がダンス、2位がヴィジュアルで、ボーカルが3位に転落していることもあるわけですね。
これは毎週朝に社長が報告してくださるので、しっかりチェックする必要があります。

今回はとくに明言はされていませんでしたが、1位Vo. 2位Da. 3位Vi. でした。


さてここからが本題です。
オーディションは基本的に3回の審査によって成り立っています。そしてそれぞれの審査で9回のアピールチャンスがあるのです。
この9回のアピールチャンスで、どのジャンルのアピールを何回行うかよく考えながらアピールしていかなければいけません。
そして9回のアピールを終えた後、それぞれの流行ジャンルごとに何点のアピールポイントを稼ぐことが出来たかによって★がもらえます。

通常、そのジャンルで1位から3位になったユニットが平等に★をもらえるんですが…ここで要注意。

先ほどの流行ジャンルの順位によって、もらえる★の数は大きく変わるんです!
たとえば流行1位のジャンルのポイントが3位以上だった場合、なんと5つの★をもらえるんですが、
流行2位だと★3つ、3位だと★2つしかもらえません……

当然、一種類のアピールでたくさん★をもらえる1位のジャンルを積極的に狙えばいいんですが、そこはライバルも同じ考え。みんなたくさんアピールしてきます。
流行によってどのジャンルで多くアピールするかは、プロデューサーさんの指示次第というわけですね。


さらに注意するべき点として、ジャンル毎のアピールポイントが最下位(6位)だった場合は、★をもらえないどころか1つマイナスされちゃいます…気をつけましょう。

そして1回の審査で最高★10個、3回の審査で最高30個。★の総獲得数でオーディションの勝敗が決まるというわけです!

ここまでのまとめ。

・一回の審査で9回アピールし、アピールポイントを稼いでいく
・各ジャンルごとのアピールポイントが上位3位以内の場合、★がもらえる。一回の審査で最高計10個。
・流行ジャンルの順位ごとに、もらえる星の数が違う。
・3回の審査による合計の★数で、オーディションの勝敗が決まる。

ちなみにプロデューサーさんが言っていた「テンプレ撃ち」とは、流行1位を4回、2位を3回、3位を2回アピールするという方法です。
オーディション攻略の定石とも言えるので、ぜひ覚えておいてください!


この基本以外に、しっかりと頭に入れておくべきことは2つ。
「思い出アピール」と「ジェノサイド」です。

まずはプロデューサーさんも律子さんも使った「思い出アピール」。
これはアイドルとのコミュニケーション(営業)をこなすことによって貯まっていく「思い出」を使用します。
この思い出をつかってアピールポイントを稼ぐことが「思い出アピール」です。通称「ボム」とも言いますね。
思い出アピールの成功率はアイドルのそのときのテンションによっても変動します。多少リスキーではありますが、
成功すると大量のポイントをゲットできるのです!ここぞというときに使いましょう。

逆に、千早ちゃんや春香ちゃんのように失敗してしまうと……それまでに稼いだポイントがいくらかマイナスされちゃうのと同時に、
「審査員の興味」がかなり減ってしまいます。


というわけで、このまま引き続いて「審査員の興味」について説明しましょう。
オーディション中に各ジャンルのアピールをし続けると、そのジャンルの審査員の「興味値」がどんどん減っていきます。
毎日同じおかずじゃ飽きちゃうのと一緒ですね。…そうなんですよ。毎日同じコンビニのお惣菜だとむなしいですね。
減っていく興味値を無視してはいけませんよ。なぜなら審査員の興味値がどんどん減って、ゼロになっちゃうと……
審査員は帰ってしまいます!職務放棄なんてとんでもない話ですけど、業界人はそういう人多いんです。
審査員が帰ったら、そのジャンルの審査はどうなるのか?………なくなります。
はい。なくなります。なかったことになります。こうなるとオーディションは大混乱。これが「ジェノサイド」という現象です。

たとえば、流行1位だからといって何回も何回もアピールし続けた結果、審査員が帰ってしまったら…
せっかくそのジャンルに割いたアピールポイントがすべて無駄になってしまうわけですからね!
審査員の興味はなくさない様に気をつけてください。
ですが先ほどの「思い出アピール」を成功させると、なくなりかけた興味は回復します。上手く使いましょうね。


はい、後半のまとめです。

・オーディション中は、審査員の興味値に常に気を配る
・興味値は「思い出アピール」を成功させると回復する。アピールポイントも大量ゲットなのでお得。
・逆に失敗するとやばい。
・興味がなくなった審査員は帰ってしまい、そのジャンルの審査は無効となる(ジェノサイド)。

今回プロデューサーさんは、この「ジェノサイド」を逆手にとり、「思い出アピール」を上手く使った結果、
格上の相手に対して勝利を手にすることが出来たというわけです。
よくある作戦ではあるんですが……やっぱりすてきだなぁ……

ゴホン!長くなりましたが、以上がオーディションの基本的な説明です。ご理解いただけましたか?
では、私は仕事が残っているので、これにて……律子さん、最初の部分ちゃんとカットしといてくださいよ!ホントですよ!?
以上、765プロ事務員、音無小鳥がお送りしました。失礼しまーす。

終わりです

結構がっつり書いたはずが 今までの中でも短い部類になってしまってました
続く的な感じで終わりましたけどとりあえず「俺たちの戦いはこれからだ!」みたいなものとして受け取っておいてください
話を広げる自信がない


お付き合いありがとう
ちなみに私はアイマスではやよいと雪歩
ジャイキリでは椿と石神さんが好きです



前に書いたのってなに?

改めて乙

よければ過去作も聞きたいなぁ

>>265
>>266

小鳥「春香ちゃん、一日入れ替わってみない?」
やよい「最近事務所のみんながよそよそしいかなーって」
やよい「うっうー!お金くれるおじさん大好きですーっ!」
P「膝枕なんて、今までしてもらったことなんてないんだが」
やよい「私のあしながプロデューサー」
やよい「伊織ちゃんのおでこでスケートしましょーっ!」
小鳥「お父さん、お母さん」P「はい?」春香「えっ?」

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