京子「キンモクセイの咲く季節に」(191)

幼馴染という、微妙すぎる関係――



小学校低学年の頃、泣いてばっかりの私に声をかけてくれた日。
あの時から始まった「幼馴染」という関係。ずっと変わらずに今もなお続いている。

ずっと「幼馴染」であり続けると思っていた。

高校生、大学生になっても、おばさん、おばあちゃんになっても。
私がふざけて、結衣がツッコミを入れて。
鬱陶しそうな素振りを見せながら結局は私のわがままを聞いてくれて……

そんな毎日は「幼馴染」の枠に嵌っていることが前提なのかもしれない 。
ずっと不変で揺るがないものだと思っていたこの関係。
自ら変えてしまいたいと思う自分がいる。

「変えたい」と言うより「超えたい」が適切かもしれない。

結衣のことはずっと昔から好きだった。でも、それは友達として。
いつの間にか,その「好き」が一人の女の子としての「好き」になっていた。

このことに気づかなければよかったのに――

時々そんな事を思った。「幼馴染」という関係では無くなってしまうことが怖い。

何よりも私たちは女同士、恋人になるなんて許されない。
私が思いを伝えたところで、結衣はどう思うのだろうか。
気持ち悪がったり、軽蔑したりするかもしれない。

だから私は「幼馴染」にしがみついて、今まで築いてきたものを守るんだ――

☆★

起立、気をつけ、礼――



「終わったーっ!」

今日の視聴覚室での特別講座も終えて、後は家に帰るだけ。
帰ってもどうせ受験勉強なんだけど、この解放感はなんなんだろう。
思いっきり伸びをすると凝り固まった筋肉がほぐれて気持ち良かった。

「京子、お前、後半寝てただろ?」

隣の席の結衣が溜息をついた。

結衣は私の幼馴染で、小学校から去年――中学二年生まで、ずっとクラスが同じだ。
抱いた恋心の所為で、一時期意識してしまった時もあったが、今はそんなことは無い。
いや、はっきり無いとは言いきれないけれども。

いつの間にか芽生えた恋心は、いつの間にか薄れていった。

関係を壊さないために、自己暗示をかけるように「結衣は幼馴染、恋なんてありえない」と自分に言い聞かせ続けたのが功を奏したのかもしれない。
これは本当に諦めれたのか、抑制しているだけなのかよく解らない。
でも結衣とは友達で、幼馴染でいるって決めたから。

「ハッ!どうりで板書のノートが少ないと思った」

「全く……」

ちらりと結衣の机の上のノートを見ると、結衣のノートは綺麗に整理されていた。

「結衣っ!頼む、ノートみせてっ」

「自業自得だろ」

結衣はノートを掴むと、ひょいと背中の後ろに隠した。

「ああっ!結衣頼むよ!」

私はなんとか結衣のノートを取ろうと、結衣の背中に手を回り込ませようとした。

「ダーメ。寝てた京子が悪い」

結衣は手を挙げて、背中にあったノートを上へと避難させた。

「ちょっ結衣っ昨日は遅くなって寝るのが遅くなっただけだからっ!」

結衣の手に掴まれたノートをとろうとぴょんぴょんとジャンプした。
しかし結衣のノートはひらり、ひらりと私の手をかわしてゆく。

「最近寝てるの多くない?」

「……うっ」

志望校がレベルの高い学校なので、最近私は真面目に頑張っている。
……つもりなのだが、どうもこの時間は集中力が散漫になる。
毎日授業と家での受験勉強をこなしているのだ。
この放課後特別講座の中のせめて20分くらい睡眠タイムにしてくれませんかね、先生。

「今度はちゃんと起きてるからっ。頼むっ!」

私は結衣からノートを奪うのを諦めて、手を合わせて拝むように頼んだ。

「はぁ……しょーがないなぁ京子は」

結衣はヤレヤレ、とノートを渡してくれた。

「ありがと!神様、仏様、結衣様っ!愛してる!」

結衣に恋愛感情を抱く前からよく使っていた私なりの冗談。
一時、冗談でも言うのが恥ずかしかった時があったけれども、最近は普通に言えるようになった。

徐々に「幼馴染」だから、と割り切れるようになってきたのかも知れない。

「はいはい」

結衣は私の冗談を軽く流すと、帰りの支度を始めた。

「私も家で勉強するから、ここで済ませてくれ」

「あいよー」

三々五々とクラスメイトが帰っていく中、私はシャーペンを走らせる。

やがて私と結衣の二人だけになった。
廊下から聞こえる笑い声や、運動部の掛け声を聞きながら、文字の羅列を写していった。

☆★

茜色に染まった公園。
小さい子供たちがサッカーをしているのを遠目で見やりながら、ふうっと息をついた。

6時間目を終え、更にその後の特別講座を終えて、そして結衣のノートを写し終えて。
家への帰り道の途中、結衣が「話があるから」と深刻な表情で言った。
あまりに急だったので驚いたのと同時に、なんとなく何か嫌な予感がした。



「で、話って何なのさ?」

結衣は俯いてただ地面を見ているだけだったので私はわざと明るい調子で訊いた。

しばらくの沈黙の後、結衣が口を開いた。

「……京子」

「……実は私、七森高校には行かないんだ。」

結衣は視線を下に向けたまま、呟くように言った。

「…………えっ?」

七森高校は私と結衣の第一志望校。一緒に頑張って同じ高校へ、という約束だった。
間の抜けた、精根の無い声が私の口から漏れた。結衣の言葉が信じられなかった。


私の隣に結衣がいて、呆れながらも笑ってくれたり、守ってくれたり――

それが当たり前で、心地よくて、大好きで。

だからこそ、結衣がいない毎日なんて絶対嫌だ。
私と結衣の関係がどうであるにしても、結衣と離れる事だけは考えたくもなかった。
細かい理屈無しに、私の一番落ち着く場所、それが結衣の隣なのだから。

「……どうして」

ようやく搾り出すことが出来た消えそうな声。
私ってこんなに弱弱しい声してたかな、と自分でも疑いたくなるような声だった。

「……父さんが県外に転勤するから、それに付いていかなきゃいけないんだ。
今は実家から割と近いけど、引っ越したら遠くなるから、一人暮らしはさせてやれないって」

「県外…………」

県外に行くって事は、卒業したら会えなくなるのかもしれない。

結衣はいつも私の一番側で笑ってくれる。だけど二人の距離は解らないままで。


近いのか、遠いのか。

近づいていいのか、遠ざかればいいのか。


昔の距離を保っていれば良かったのかな。だけど昔の距離なんか、もう解らなくて。
解らないから、私たちは離れなければいけないの?

「どうして…………一緒に七森合格しようって、約束したじゃんか!」

「……ごめん」

「謝らないでよっ!結衣がいなくちゃ意味ないんだよっ!……
受験勉強も、残りの中学生活も、春からの高校生活も!」

視界が涙でぼやけ、堰を切ったように溢れ出す。
やっぱり結衣と離れたくない。
近くに居たい。どこまで近づけば良いか解らないけど。

このままだと結衣が見えなくなりそうで。

「どうして…………一緒に七森合格しようって、約束したじゃんか!」

「……ごめん」

「謝らないでよっ!結衣がいなくちゃ意味ないんだよっ!
……受験勉強も、残りの中学生活も、春からの高校生活も!」

視界が涙でぼやけ、堰を切ったように溢れ出す。
やっぱり結衣と離れたくない。
近くに居たい。どこまで近づけば良いか解らないけど。

このままだと結衣が見えなくなりそうで。

結衣はただ、ごめん、と謝った。

「ゴメンじゃないよ……バカ……バカ結衣……」

言葉が消えるように弱弱しくなると共に、私の身体は結衣のほうへ崩れ落ちた。

「京子、泣くなって」

ふんわりと結衣は私を包み込んで受け止めた。

結衣の前で泣いたのは何年ぶりだろう。
昔はいじめっ子に意地悪された時、よく結衣に抱き着いて泣いていた。
その度に結衣は私を優しく抱きしめてくれた。守ってくれた。

結衣の温かさは日だまりみたいで。優しくて、心地好くて、ずっと甘えていたい。
だからこそ温かさも今は辛いだけだった。

私の心に押し込めたものが、スポンが水を吸うようにムクムクと膨れ上がる。
やっぱり完全に割り切れてないじゃん、私。

胸が辛いのに、苦しいのに、結衣をギュッとせずにはいられなかった。

☆★

「……京子?落ち着いた?」

私が泣き止んだ頃には、既に日はとっぷりと暮れていた。
数メートル先の時計台の光がぼんやりと私達を照らしている。

「うん。なんか、泣きつかれたかな?ごめんね、制服グチャグチャになっちゃったよね」 

結衣の胸元を見ると、制服は皺くちゃになって、私の涙の後がついていた。

「ううん、大丈夫」

結衣はにっこり笑って、そっと髪を撫でた。

「……ねえ京子」

私の心臓がドクン、と跳ねる。

「な、なに?」

「ありがとう。いつも私の側で笑ってくれて」 

清らかな水面(みなも)のような瞳。その真剣な眼差しと結衣の温もり。
それが私を狂わせたというのに。

頬がボッと熱くなる。熱は顔から前進へと広がり、心臓は早鐘を打つ。

「……うんっ」

結衣の瞳を直視出来なくて、目を逸らして俯いた。

「久しぶりだな、晴香がこんなに甘えてくるのは」

結衣は私の頭を撫でながら言った。

「……いいじゃん、今くらいはさ……」

「まぁ私は構わない……かな」

いつもなら結衣は「鬱陶しい」、「離れろ」などと文句を言うはずだ。
いつもと違う結衣の態度が何だかこそばゆい。

「久しぶりだな、京子がこんなに甘えてくるのは」

結衣は私の頭を撫でながら言った。

「……いいじゃん、今くらいはさ」

「まぁ私は構わない……かな」

いつもなら結衣は「鬱陶しい」、「離れろ」などと文句を言うはずだ。
いつもと違う結衣の態度が何だかこそばゆい。

「京子」

「……ん?」

「向こう行って落ち着いたら、手紙、書こうと思う」

「え?そんなのメールですればいいんじゃ?」

「……違うんだ。ボタン打って書いたメールよりも、手書きの手紙の方が、伝わるかなぁ、って」 

手紙のなんて、年賀状くらいしか書く機会が無かった。
だからきっと拙い文をつらつらと綴る事になるだろう。

でも、拙くても気持ちを込めて手紙を書こう。
そして結衣からの手紙を大切に保存しよう。 

手紙のやり取りなんて殆どしたことが無いけれども、とても素敵なことに思えた。

「……分かった。届いたらすぐに、返事書くから」

「サボるなよ」 

結衣はくすりと笑った。

「サボる訳ないじゃん。……そういう結衣も、サボらないでよ」

「当たり前だ。サボらないよ」

「結衣、また会えるよね?」

「あぁ。会えるさ、絶対」 

それは幼馴染だから?私が想いを伝えたら、そうはいかないのかな?
 
この熱を冷ますために暫く離れた方がいい、そういうことなの?神様……

だけどやっぱり嫌だ。離れたくない。
結衣が居なくなったら、日常が色を失って、無味乾燥な日々になってしまいそうで……

「……なんかお別れの日の会話みたいだな、コレ」

「……うん、確かに」

「まだ時間が残されてるんだから、……な?」

「……うん」

「それと、いつまでこうしてるつもりなんだ?」 

結衣の肩に頭を傾けたままなので、結衣は少し疲れてきたのかもしれない。
でも……

「もう少しだけ……」 

今は甘えたい。結衣から離れたくない。
だから、結衣に触れていたい。

ずっと我が儘ばっかりでごめんね、結衣。

「しょうがないな、京子は」 

ありがとう。いつも我が儘を聞いてくれて。 

秋の虫が寂しげに鳴いている。ひんやりと鎮まった空気が冴え渡る。
自分の命の短さを知っているから、このような殊勝な音色を奏でるのだろうか。
私も鳴いている虫のようになりたい。 


もっと、強く―― 


私はそっと結衣の手を握って指を絡めた。

☆★

春のうららかな陽のひかりが日だまりをつくる。

その日だまりに、一人の少女がちょこんと座っていた。
真っすぐな髪は肩まで伸び、赤いリボンを付けている。


静かな放課後の教室。

ほんわかとした陽光とは対照的に、その少女は俯いて、声を忍ばせて泣いていた。
時々嗚咽とともに肩が震える。
その様子はひどく弱々しくて、簡単に壊れてしまいそうだった。

「ねぇ?どうして泣いてるの?」

いつの間にか、泣いていたリボンの少女の隣に一人の少女が立っていた。
逆光で分かり辛いが、ほっぺに絆創膏を貼っている。
やんちゃそうな、男の子みたいな女の子だった。
小学校低学年のころの結衣にとても似ている。

「う……うん」

泣いていたリボンの少女は少し顔を上げてゴシゴシと涙を拭った。
きらりと一粒の光が床へと落ちる。

陽のひかりにはっきりと照らされた顔――

それは小学生の頃の私だった。

「えっと……京子ちゃん?だよね?」

絆創膏の少女が、泣いていたリボンの少女に聞いた。

「うん、そうだよ……えっと……」

リボンの少女が気恥ずかしそうに俯いた。
顔を赤らめて、耳まで真っ赤になっている。

絆創膏の少女はリボンの少女に近づき、屈(かが)んで手を差し延べた。

「私は結衣。同じクラスだよね?ほら、泣いてばっかりじゃつまんないよ」

放課後の教室の二人の少女。
確かに私と結衣だった。



とても不思議だ。
中学生の私が、小学生の私と結衣を眺めている。

一体どういう事なんだろう……

不思議さと共に懐かしさも込み上げてくる。
私はしみじみと小さい私と結衣を眺めた。

小さい私は差し出された結衣の手を握ろうとしたが、あと数センチというところで逡巡した。
手を引っ込める訳にもいかず、曖昧な位置で私の手がふらふらと宙を彷徨う。

「ほら、ぐずぐずしてないで」

結衣は小さい私の手をギュッと握った。
小さい私はその手に引っ張られて立ち上がる。

「よし、京子ちゃん、遊びに行こっ?」

「えっ?」

私は結衣の顔をキョトンと見つめた。

「私、一緒に遊んでいいの?」

「当たり前だよ。私たち、もう友達だよ?一緒に遊ぼっ!」

結衣は小さい私の手を引っ張って走りだした。

☆★

中庭では、一人の少女がブランコを漕いでいた。
肩まである髪がブランコを漕ぐたびに靡(なび)く。頭に特徴的なお団子が二つ。



あのお団子、もしかしたらこの子……



少女は小さい私と結衣に気付くとブランコからピョンと飛び降りて、二人の方へ駆けていった。

「もうっ。結衣ちゃん遅いよっ」

その少女は頬をぷぅっと膨らませた。

「ゴメンゴメン、この子と話し込んでたら遅れちゃった。」

「……あの……ごめんね?」

小さい私はおずおずとか細い声で謝った。

「ううん、別にいいよ。結衣ちゃん、この子は?」

あかりは小さい私を指差す。

「京子だよ。私の友達の」

「ふぅん……京子ちゃんかぁ。私はあかりっていうの。よろしくね京子ちゃん!」

やっぱりあかりだった。

私と京子だけでなくあかりまでも……

私はタイムスリップでもしたのだろうか……

遠くで誰かの声がする。

「……ちゃん」

「……うこちゃん」

「京子ちゃんっ!」

だんだん声が大きくなって来る。

「もうっ!京子ちゃんっ!」

ほっぺをむにっと触られた。

「うひゃあっ!?」

驚いて思わず声を上げた。
自分の声ながら、素っ頓狂な間抜けな声だと思う。

「もうっそんなとこで寝たら風邪引くよ」

「わりぃわりぃ」

私はヘラヘラと笑ってみせた。

私が居るのは昔よく三人で遊んだ公園のベンチ。
もうあたりは既に薄暗くなっていて、秋の虫がリーリーと鳴いていた。

今、私の目の前には中学生のあかり。
あの小学生の頃の私達三人は夢だったようだ。

「すっかり寝てたわ。なんか懐かしい夢見たよ」

「どんな夢?」

「私が泣いてた時に結衣が話し掛けてきてくれて、一緒に遊ぼうって言ってくれて。
それで結衣とあかりと一緒に遊ぶ夢」

「確かに懐かしい夢だねー」



夢だったけど本当で。



あれは私達の「幼馴染」が始まった瞬間。

クラス替えがあった直後だったと思う。
前年度同じクラスだった友達は全員別のクラスだった。
一人ぼっちで寂しくって、堪えて、堪えて。
それが心の中に積もって、放課後誰もいない教室で溢れ出した。

結衣はそんな私に話し掛けてくれた。
結衣もあかりもこんな私を受け入れてくれた。
二人と出会わなければ、今の私は無かっただろう。


二人の優しさは心地好くて。あったかくて。
だから私は私でいられたんだ。

「だけど大事な時期なんだから、風邪引いちゃダメだよ」

あかりは私の顔を覗き込んで、心配そうな顔で言った。

「なんかお母さんみたいだなぁ、あかりは」

「えぇ!?あかりそんなに老けてないよ!?」

あかり、今のは今のは私のお母さんに失礼じゃないかな。
私のお母さんが老けているみたいな言い方だったよね……

いや、実際お母さんは老けてきた気がする。皺も増えてきたような……
なんだか可笑しくて、くすりと笑いが漏れた。

「そんなにあかり老けてるのぉ!?」

何処かあどけない顔立ちや、一人称が「あかり」だったりするところは、まだまだ子供っぽいな、とも思う。
「子供っぽい」なんて、私が言えた事じゃないけれど。

「いや、あかりは可愛いよ」

あかりの頭を撫でてやると、あかりはエヘヘと嬉しそうに笑った。

「そういえば京子ちゃん、こんな所で何してたの?」

最近、結衣に想いを伝えてしまうべきかずっと悩んでいる。
この悩みをいっそ忘れてしまおうと考えて勉強に打ち込もうとしても、結局結衣の事が頭から離れなかった。

今日は特に勉強する気が起きなくて、なんとなく、昔三人でよく遊んだ公園に来たのだった。

ここでぼーっとしたり、結衣の事で悩んでいた、なんて言えない。
女の子に恋しちゃって悩んでいた、なんて言えるわけがない。

「いやー、鍵を家に忘れちゃったからさー。どうしようか途方に暮れてた。父さんと母さんは帰り遅いらしいし」

「……そっかぁ」

「うん。そういうことなのだ」

なんとかごまかせたかな?

鍵を忘れたのは真っ赤な嘘。
ポケットに手を突っ込むと確かに鍵の冷たい感触があった。

「じゃあ京子ちゃん、あかりの家に来る?」

「え?」

「だって京子ちゃん、家に帰れないんでしょ?」

こうなる事は全く考えていなかった。
あかりの気持ちは嬉しいんだけど、今は一人で居たい。正直、空元気も疲れる。

しかし鍵を忘れた、という事になっているから選択肢は一つしか無かった。

「じゃあ、あかりの家にレッツゴー」

少ししんどかったが、普段の私を演じた。あかりに気づかれないように。

いつも、自然体で冗談を言ったりふざけたりできた。
だけど最近、それが出来なくなっている。


私は明るくて、元気な女の子。
そう自分に言い聞かせて、あかりの隣を歩いた。

☆★

「ただいまー」

「京子ちゃんは『お邪魔します』だよぉ」

家の電気が点いていなかったので、中には誰も居ないみたいだった。
あかりに、おばさんは?、と聞くと、今日は一人なんだ、と答えた。

あかりの家には久しぶりに来た気がする。
去年の春、結衣が一人暮らしを始めてからは、遊ぶのはほとんど結衣の家だった。

受験ということもあって最近は結衣やあかりと遊べていない。
だから、もしかするとあかりの家は一年ぶりかもしれない。

「京子ちゃん、とりあえずあかりの部屋行こうか」

あかりに連れられて、あかりの部屋に入る。

こざっぱりと整った部屋。クマのぬいぐるみや、キャラクターものの目覚まし時計など、可愛らしい小物もちらほら置いてある。
前来た時とあんまり変わっていない。

変わった所といえば、日本史の年表のポスターが貼られている所だろうか。
あかりも勉強を頑張っているのかな。

「もぅっ、あんまりジロジロ見ないでよぉ」

「あはは、ゴメンゴメン」

きょろきょろと部屋を見回していたらあかりに怒られてしまった。
だけど、人の部屋をジロジロと見たくなるのは人の性(さが)じゃないかな。

お腹の虫もぐうぅと鳴いて返事をした。
色々考えたりして疲れたのかもしれない。

「京子ちゃん結構大きな音だったねー」

「うるさいなー。でも腹減ったよ」

「じゃあ、今からご飯作るけど何がいい?」

「じゃあ、鯨(くじら)の姿焼き!!」

「ええぇ!?鯨丸ごと一匹とか大きすぎるよ!?鯨の肉なんて売ってるの!?」

あかりは目を丸くして驚いた。
あかりは私のささやかなボケに少しオーバーなリアクションを取るから面白い。

「給食によく出てくるメニューらしいぞ」

「えー??あかりそんなの記憶に無いよ?」

「あぁ、親戚のおばさんが小学生のときそうだったらしい」

「なんだぁ昔の話かぁ。昔は鯨食べてたんだねー」

「そーだなー。でも、あんまり美味しくないっておばさん言ってた。」

おばさん曰く、給食に鯨が出たときは「また鯨か」というかんじでだったらしい。
もしかしたら、うんざりするほど食べていたから美味しくないと思ったのかもしれない。

何にせよ、今まで食べたことないから一度試してみたい。

「ふーん。今でも売ってるのかなぁ?」

「さぁ?どうかなー」

少なくとも私はスーパーで売っているのを見たことがない。
けれど何処かの店で、今でも売っているかもしれない。

「って、そんなことより!」

 あかりは何か思い出したかのように立ち上がった。

「ん?」

「京子ちゃんご飯何がいいの?」

「あぁ、そういう話だったっけ?」

「そうだよ」

あかりはぷうっと頬を膨れさせた。

「で、何がいいの?」

「うーん……何でもいいや」

「そういうのが一番困るんだけどな……」

「冷蔵庫の中身見て、適当にあるもので作ってよ」

「わかったぁ」

「じゃあ、京子ちゃんは漫画でも読んで待ってて」

「了解っ」

ビシッとあかりに敬礼すると、あかりは少し戸惑った様子で敬礼を返して部屋を出た。

私は蜜柑のベッドにごろんと寝転んだ。ほとんど自宅と同じようにだらりとくつろぐ。

蜜柑はすごい。沈んでいた気持ちがほんの少しだけ楽になった気がする。
蜜柑と一緒にといると何と言うか、楽。

蜜柑はよく気が利き、そしてほんわかとした口調とやわらかな笑顔。
冗談を言って蜜柑を弄ると、ころころと表情が変化して面白い。

一緒に居るだけで癒される気がする。
蜜柑は顔立ちがどこか犬に似ているから、もしかするとドッグテラピーのような効果があるのかもしれない。

私はあかりのベッドにごろんと寝転んだ。ほとんど自宅と同じようにだらりとくつろぐ。

あかりはすごい。 沈んでいた気持ちが少しだけ楽になった気がする。
あかりと一緒にといると何と言うか、楽。

あかりはよく気が利き、そしてほんわかとした口調とやわらかな笑顔。
冗談を言ってあかりを弄ると、ころころと表情が変化して面白い。

一緒に居るだけで癒される気がする。
あかりは顔立ちがどこか犬に似ているから、もしかするとドッグテラピーのような効果があるのかもしれない。

ごろりと寝返りを打って漫画を取って読み進める。

4.50分くらい経った頃に、居間の方からご飯できたよ、とあかりの呼ぶ声が聞こえた。

☆★

食卓にはご飯とお味噌汁、焼き魚などが並んでいた。
いかにも和食、という感じのメニュー。
魚は少し焦げている所もあるけれど、ほとんど気にならない。

お母さんが作った、と言っても誰も疑わないと思う。それくらい美味しそうだった。

ほかほかと湯気と一緒にいい匂いが漂ってきて、なんだか余計お腹がすいてきた。

「今日は少し気合を入れちゃったー」

あかりはエプロンを脱いでえへへと笑った。

「いつの間にこんなに料理できるようになったんだーあかり?」

「最近おねえちゃんに習ってるんだぁ」

「ほー、凄いなー。お姉ちゃんも料理上手いの?」

「うん。お姉ちゃんの料理凄くおいしいよぉ。
だけど『いっぱい食べてね』とか言って食べられないくらい大量に作るのは勘弁してほしいよぉ」

「おおぅ……愛が重いね……」

「まぁあかりのこと思ってくれているのは嬉しいよー」

「そっかー」

あかりはエプロンを綺麗にたたむとよいしょ、と椅子に座った。

「それより京子ちゃん、早く食べよ?」

「おう!!いただきまーす!」

「召し上がれー」

まず味噌汁を一口。具がたくさん入っていて、鰹のだしがよく効いていた

「うめぇ!!」

「そう?よかったー」

あかりは顔を綻(ほころ)ばせて喜んだ。

「私も料理したいけど、鍋とか爆発させちゃいそうだしなー」

「そんな漫画みたいなこと起きないよ!?」

「それにしてもあかり、大人になったなー」

「へ?」

あかりは箸を止めてキョトン、とこちらを見つめた。

「そうかなー?まだまだだけどね。あかりなんかより、結衣ちゃんのほうがよっぽど上手いよ」

どきり、と心臓が跳ねる。変な汗が背中を伝っていった。

その刹那、ガシャンと音がして湯呑みが倒れた。

「うわぁっ!?京子ちゃん大丈夫?」

幸い湯呑は割れなかったが、お茶の水溜りが出来てしまった。
あかりはオロオロと心配そうにうろたえる。

「ゴメンっ。そんなことより布巾」

「あっ、ごめんね。」

あかりはパタパタと台所に行き布巾を取って戻ってきた。

あかりは落ち着きを取り戻したようすで、布巾でこぼれたお茶を拭いた。
拭きながら「結衣ちゃん、行っちゃうんだよね」と、ぽつりと言った。
俯いてたから表情はよく分からない。でもやっぱり寂しそうに感じた。

あかりは拭き終わると「ごめんね」と呟いて布巾を戻しにいった。

さっきので、結衣が居なくなっちゃうことを気にしてるのはバレてしまったかもしれない。

でも、恋心はバレてないよね、多分。

☆★

「じゃ、もう一回いただきます」

あかりが戻ってきて席に座り、手のひらを合わせた。
私も手のひらを合わせてご飯に箸をつける。少し冷めてしまって、味噌汁もぬるくなっていた。

ぽつりぽつりと言葉を交わすものの、会話は弾まなかった。
普段は苦ではない二人の沈黙も、じとりと重苦しかった。

☆★

あかりは球技大会の話や、クラスメイトの事など、色々な話をした。

特に話に熱が入ってたのは服の話だった。
あかりは、櫻子ちゃんや向日葵ちゃん、ちなつちゃんに聞いた服の好みを楽しそうに話していた。

あかりは最近おしゃれにも気を使うようになったらしい。
今まではお母さんが買ってきた服を着ていたそうだが、最近自分で買うようになったそうだ。

あかりもそういうこと気にするようになったんだな、としみじみ思った。

あかりは話が終わると、「京子ちゃんは最近どう?」と聞いた。

「……やっぱり忙しいよ。それに七森行けるかは微妙なところ……かな。
で、でもまだまだ京子ちゃんのパワーはこんなもんじゃないよ!!」

最後は取って付けたように空元気。

「そっかぁ。頑張ってね」


それを最後に会話が途切れて、沈黙。

別にこのことの他に何も無い訳じゃないはずだけど、最近いろいろといっぱいいっぱいで。
沢山のことがあったけれど最近は結衣のことばかり考えている気がする。
勿論こんなことは言えない。 




しばらくの沈黙の後、風呂のお湯が入ったことを知らせるタイマーが鳴った。

「ちょっ結衣っ!昨日は遅くなってっ!ほりゃっ!寝るのがおそくっ!ていっ!なっただけだからっ!」
「ちょっ結衣っ!昨日は遅くなってっ!ほりゃっ!寝るのがおそくっ!ていっ!なっただけだからっ!」
「ちょっ結衣っ!昨日は遅くなってっ!ほりゃっ!寝るのがおそくっ!ていっ!なっただけだからっ!」
「ちょっ結衣っ!昨日は遅くなってっ!ほりゃっ!寝るのがおそくっ!ていっ!なっただけだからっ!」
「ちょっ結衣っ!昨日は遅くなってっ!ほりゃっ!寝るのがおそくっ!ていっ!なっただけだからっ!」

気持ち悪いからやめてくれ
ゆるゆりをこんなゴミSSで穢すなしね

結衣はいつも私の一番側で笑ってくれる。だけど二人の距離は解らないままで。


近いのか、遠いのか。

近づいていいのか、遠ざかればいいのか。


解らないから、私たちは離れなければいけないの?


wwwwwwwwwww
しね^^

☆★

あかりがお風呂から出てから、しばらくあかりの話を聞いた後、布団を二組敷いた。
もう夜の11時。寝る準備は整った。
あかりは早寝早起きなのでこのくらいの時間にはもう寝ているそうだ。

「じゃあそろそろ寝ようか、あかり」

「うん」

「電気消すよ」

「うん」

「幼馴染」から「恋人」へ――







wwwwwwwwwwwwwwwwwwww
勘違いキモヲタがニヤニヤしながらこんな文章書いてると思うと・・・wwwwwww

保守マシーン現る

>>104
しね^^








しね

>>105
きめえんだよ

かちかちと蛍光灯の紐を引っ張って電気を消した。
いつ頃から降っていたのだろうか、ぽつぽつと雨が屋根を叩く音が部屋に響いた。

私は普段夜更かし気味で、この時間帯は起きていることが多いからあまり眠くなかった。
眠れそうに無かったので、ぼーっと天井を眺めた。
電気を消した直後は真っ暗で何も見えなかったけれど、次第に目が慣れてきた。

ちらりと隣の布団のあかりを見た。目を閉じているみたいだったが、たまにモソモソと動いている。
声をかけようかと思ったがやめておいた。

「……父さんが圏外に転勤するから、それに付いていかなきゃいけないんだ。今は実家から割と近いけど、引っ越したら遠くなるから、一人暮らしはさせてやれないって」
「圏外…………」
圏外に行くって事は、卒業したら会えなくなるのかもしれない。

ごろりと90°寝返りを打ってあかりの寝顔を眺める。
子犬がすやすやと眠っているような、可愛らしい寝顔。

あかりは子供っぽい顔立ちだけれど、いつの間にか内面的に大人びてきたように思う。

側で見守る優しさと、自然と相手を元気づける温かさ。
それに加え、ゆったりと構えて、相手を受け入れることのできる寛容さ。

今日はいつもより、あかりとの距離が近い。

多分あかりは私が苦しんでるのを分かっている。
だから私の側にいてくれて安心させようとしてくれるだろう。
私は本当に良い幼馴染を持ったと思う。

しんごのアマガミSS並に気持ち悪い




今すぐやめろ

>>113
あ"あ"?

また、あかりは次期生徒会長候補と言われている。

数週間前に後期生徒会長選挙があった。
立候補者は向日葵ちゃんと櫻子ちゃん。立候補者が二人なので投票が行われた。
その結果二人は同数の票を得た。

生徒会規約にはこのケースの時にはどうするかは書いておらず、どうするか議論がなされた。
そして、異例ではあるが二人とも生徒会長になったのだった。

あかりは生徒会には入っていないが、たまに生徒会を手伝いに行っているそうだ。

あかりの人柄や仕事ぶりはちょっとした噂になっている。
あかりを来年4月からの前期生徒会長に推す声も少なくないそうだ。

>>116






wwwwwww
しね^^

>>114が見えない

あかりちゃんが生徒会長に~ってネタが書かれてるSSに良い思い出は無い

小耳に挟んだ話だが、あかりを来年4月からの前期生徒会長に推す声も少なくないそうだ。

今やあかりは、色んな生徒から頼られるような存在だ。
あかりは優しくて、頼み事を断れない性格だから、その状況にも頷ける。

私なんかとは、次元が違う。あかりが生徒会で活躍してくれるのは嬉しい。
けれども、なんだかあかりが遠くに行ってしまうようで、時々少し寂しくなる。

>>118
見えないってなんだよお前は色盲か^^?

今やあかりは、色んな生徒から頼られるような存在だ。
あかりは優しくて、頼み事を断れない性格だから、その状況にも頷ける。

私なんかとは、次元が違う。あかりが生徒会で活躍してくれるのは嬉しい。
けれども、なんだかあかりが遠くに行ってしまうようで、時々少し寂しくなる。



うおおおおおおwwwwwwwwきめえええええええええええwwwwwwwwwwww

ID:46bIAWEHi

こいつなんでこのスレにいるの?wwwwwwwwww

そういえば私と結衣が小学校を卒業するときに、あかりは私たちにしがみついて「行かないで」と泣いていた。
一年経てばまた会えるのに、と思いながら慰めたのを覚えている。

今年は私かもしれない。
私が結衣とあかりに「行かないで」と泣きつくような、そんな気がする。

前に「別のサイトにオリジナル小説として載せてるSSの登場人物をゆるゆりキャラ名に変えただけ」ってのを投下してる人がいたけど
>>32見る限りでは今回も同じなのかな

>>123
は?居たからなんだっていうの?
しね^^

高校は中学の時なんて比にならないほどに忙しいらしい。
夏休みに入っても補修や部活が入ったりしてなかなか時間が無い、と友達から聞いたことがある。

その子には七森に通う二つ上のお姉さんがいる。
お姉さんは吹奏楽部に入っており、成績も優秀で「自慢のお姉ちゃん」だそうだ。

その子はよくお姉さんのことを話題にする。
「高校生は忙しい」という情報もお姉さんから仕入れた情報のようだ。
実際、お姉さんは遅くまで部活をしてクタクタになった後、ご飯を食べて勉強、といったハードな毎日を過ごしているらしい。

そういえば私と結衣が小学校を卒業するときに、あかりは私たちにしがみついて「行かないで」と泣いていた。
一年経てばまた会えるのに、と思いながら慰めたのを覚えている。

今年は私かもしれない。
私が結衣とあかりに「行かないで」と泣きつくような、そんな気がする。
「ちょっ結衣っ!昨日は遅くなってっ!ほりゃっ!寝るのがおそくっ!ていっ!なっただけだからっ!」
「幼馴染」から「恋人」へ――


高校に言ったら私もきっと忙しくなるだろう。あかりも高校受験に専念しなくてはならない。
二年前は学校が違っていてもあかりとはよく遊んだし、勉強を見てあげたりもした。


しかし来年はきっとそうはいかない。
一年間あまりあかりに会うことが出来ないだろう。
私とあかりの関係も、時間と共に薄れていってしまわないか、今から不安だ。

そして結衣は県外の高校に行ってしまう。
もしかしたら、もう会えなくなるのかもしれない。


想いを伝えぬまま別れるなんて、耐えられそうに無い。
でも伝えてしまったら、今まで何年間にもわたって築きあげてきた全てが壊れてしまいそうで。

「幼馴染」という積み木を「恋人」の積み木に変えようとすることは全体のバランスを崩しかねない。
上手く平衡を保てばいいけれどバランスが乱れてしまったのなら、ガラガラと無残に崩れてしまうだろう。


高校に言ったら私もきっと忙しくなるだろう。あかりも高校受験に専念しなくてはならない。
二年前は学校が違っていてもあかりとはよく遊んだし、勉強を見てあげたりもした。
「ちょっ結衣っ!昨日は遅くなってっ!ほりゃっ!寝るのがおそくっ!ていっ!なっただけだからっ!」


しかし来年はきっとそうはいかない。
一年間あまりあかりに会うことが出来ないだろう。
私とあかりの関係も、時間と共に薄れていってしまわないか、今から不安だ。
「……父さんが県外に転勤するから、それに付いていかなきゃいけないんだ。今は実家から割と近いけど、引っ越したら遠くなるから、一人暮らしはさせてやれないって」
「県外…………」
県外に行くって事は、卒業したら会えなくなるのかもしれない。

結衣は向こうできっと上手くやっていける。
この一年、結衣は私のあまり知らない友達に囲まれて楽しそうに笑っているところを何度か見かけたことがある。

一年前の私ならきっと笑顔でその輪に入っていくだろう。
だけど何故かそれが出来なくて。
足に鉛の錘(おもり)を付けているかのように、足が重くて動かせなかった。

結衣とは少し距離が遠くなった気もするけど、放課後と登校、そして昼休みは一緒。
だから少し寂しくはあったけれど、気に病むほどではなかった。

>>133
おいおい・・・ww

「気に病むほどでない」のは結衣が県外に行く事を聞く前の話。
今は焦りを感じる。

最近結衣は放課後は先生の添削を受けたりしている。
その所為で一緒にいる時間が更に減った。

もっと結衣と居たい。離れる前に色々しておきたい。
一緒に笑って、隣で結衣の温かさを感じて。
受験だし、一緒に遊びに行こうとは言わないから、せめて何気ない日常を出来る限り隣で過ごしたい。

だからといって私の我侭を押し付ける訳にはいかない。
結衣の迷惑になるし、自分の勉強の妨げにもなる。

解っている。解っているけど、焦るんだ。

>>76で確信したわ

マジで別のオリジナルSSコピペして名前を結衣京子あかりに変えただけだろ
道理で何か違和感あるはずだわ

愛が感じられない

解っている。解っているけど、焦るんだ。
解っている。解っているけど、焦るんだ。
解っている。解っているけど、焦るんだ。
解っている。解っているけど、焦るんだ。
解っている。解っているけど、焦るんだ。
「ちょっ結衣っ!昨日は遅くなってっ!ほりゃっ!寝るのがおそくっ!ていっ!なっただけだからっ!」

時間が無い。受験までも、卒業までも。

私が公園で悩んでいたのもこの事だった。


時間的に、地理的に私たちは三人は離れて、バラバラになる。
そうなる前に。


別れてしまうまでの後数ヶ月の間に――

時間的に、地理的にって・・・



もっとうまい言い方があるだろ^^;

「京子ちゃん起きてる?」

だんだん沈んでゆく心を引き戻すかのように隣から声がした。

「…………うん、起きてるよ」

「今何時?」

「ん……11時58分」

私は枕もとの目覚まし時計をちらりと見て答えた。
もうとっくに寝ちゃったかと思ったのに、まだ起きていたとは意外だった。

「……ねぇ、そっち行ってもいい?」

「私の布団?」

「うん」

「……いいよ」

少し横に寄ってあかりの入れるようにスペースを作ってやると、あかりはもぞもぞと布団の中に入ってきた。

エッチな展開きたあああああああああ

「京子ちゃん、あったかい」

あかりはくすぐったそうに笑った。

「うん、あかりもあったかいよ」

隣にあかりの体温を感じる。二人一緒に寝るのは何年ぶりだろう。
なんだかとても懐かしい。

「京子ちゃん、寝れないの?」

「ん……まぁね。そういうあかりは?」

「うん、あかりも同じだよ」

「そっか」

しばらく沈黙が流れる。雨が少し強くなってきた。

「京子ちゃん」

不意にあかりが真剣な顔で私の目を見つめた。
私は普段見ることの無いようなあかりの眼差しに少したじろいだ。

「な、何?」

「今日の京子ちゃん、少し変じゃない?」

「え!?そ、そんなこと無いよ?」

触れて欲しくないところにあかりは触れてきた。思わず声がどもってしまう。

「エッチして」








「え・・・」

「いや、変だよ。京子ちゃん、今日はおとなしいというか、なんというか……
なんかいつもみたいに、こう、ぱぁっとしないっていうか……」

「ぱぁっとしないって?」

「うーん……なんていうか、いつも京子ちゃんもっと明るいもん。それによく喋るし。
なんか今日の京子ちゃん、無理してるかんじ……かな」

「幼馴染」というのはこういうときに困る。
言葉にしなくても、一挙一動で相手の心を読めてしまう。
隠し事が出来ない、これが「幼馴染」の良い所であって悪いところでもある。

「やっぱりあかりには適わないな」

「何年も一緒にいるんだもん。それくらい分かるよ」 

あかりは得意げに笑った。しかし、すぐにもとの真剣な顔に戻った。
澄んだ瞳は射るように私を見つめる。
私が目を逸らそうとした刹那、あかりが口を開いた。

「結衣ちゃん」

ドクンと心臓が跳ねる。一瞬身体が凍りついたように固まった。

「…………好き、なんだよね」

あかりは追い討ちをかけるように言った。
結衣のことで悩んでいるのは恐らくバレているだろうとは思っていた。
しかし恋心までバレているとは微塵も思わなかった。

否定しようと口を動かしても声になってくれない。
頬や耳が熱くなってゆく。今の私はきっと茹蛸のように真っ赤だろう。

私はあかりに背を向け、毛布を頭までかぶって顔を隠した。
心臓はバクバクと早鐘を打ち、涙までも零(こぼ)れてきた。

あかりにバレてしまった。
気持ち悪いと思っただろうか。私たちの関係がここで終わってしまうと考えると苦しくて、寂しくて、とめどなく涙が溢れた。
失わないように隠しても、隠さずに伝えてたとしても、結果は同じだったのだ。

こんな気持ち持たなかったら、これからも一緒にいられたかもしれないのに――

「京子ちゃん」 

いつもより優しいあかりの声。
後ろからギュッと抱きしめられた。

「…………どうして……私が気持ち悪くないの?」

今年になってからゆるゆりで面白い地の文のSSあった?

「嘘だっ!!」

「嘘じゃないよ」

「私は結衣のことが好きなんだよ!レズだったんだよっ!!」

「レズでも何でも京子ちゃんは京子ちゃんだよ」 

ギュッとあかりは抱きしめる力を強くした。
どうして……どうしてあかりはこんなに優しくしてくれるの?

「……あかりは誰にだって優しいよね。でもさ、本心じゃない、綺麗事なんてやめなよ。
私が気持ち悪いならそういってよ!!うわべの優しさなんてお互い辛いだけだよ!!」 

私は半ば叫ぶように言った。
気持ちは涙と鼻水のようにグシャグシャになって、もうよく解らない。
ただ、心の中のもやもやとした痛みや苦しみをあかりにぶつけた。

支援

あー

>>155
京子「あなたは私を見ていてくれた」
http://blog.livedoor.jp/kakusika767/archives/3359876.html

京あかだけどおすすめ

名前を唯澪律に変えて台詞を微調整すればけいおんSSの出来上がりになりそう

>>159
見てみる

取りあえず最後まで投下するにしても頓挫するにしてもこれだけは聞いておきたい
お前本当にゆるゆり好きなの?

>>162
好きだよ

>>161
ちなつ「今でも私を好きでいてくれますか」
http://blog.livedoor.jp/kakusika767/archives/4781539.html

ちなあかでこれもなかなか

あかりちゃんが絡むSSは地の文多い気がするなあ

この前もこのスレ立ってたからな

書くんなら「ゆるゆりのSS」を書けばいいのに
誰だよ蜜柑とか晴香って

さるってしまった

一巻の110ページに親が仲良くて自然に仲良くなった、とあるのを承知で書いています。

もともとゆるゆりで小説を書こうとしていたのですが、
ゆるゆりでやると色々と考慮することが多くて、別の小説として書いていました。
気が変わって無理やりゆるゆりに直したようなことは否めません。
すいませんでした。

それでは再開します。

別の小説として書いちゃったなら、1から書き直せばいいのに
それをしないのは「面倒臭いから」でしょ?

私はあかりを振り払おうと手足をじたばたさせた。
しかし、あかりの小さい体の何処にそんな力があるのか分からないが、がっしりと抱き締めて離さなかった。

「大丈夫だから……」

私はもう抵抗するのを諦めた。
混沌とした感情が、ただただ涙として溢れ出た。

☆★

涙が乾いて、ようやく解った。あかりは嘘をついていない。
幼馴染だから、目を見れば解る。

「よかったぁ、分かって貰えて」

 あかりは特に普段と変わらない調子で話す。

「……それにしても、あかりはどうして解ったの?私ってそんなに解りやすいのかな?」

ずっと隠していた筈なのに。どうしてバレたんだろう。
よりによって恋愛事に疎そうなあかりに。

「去年の冬にね……」

「去年!?」

驚いた。そんなに前からだとは微塵も思わなかった。

「京子ちゃんあのとき結衣ちゃんを避けてなかった?」

そういえばそんな事もあった。
あれは結衣に対する、友情を越えた気持ちに気付いた直後だった。

「まず結衣ちゃんの目を見て話さなくなったよね?……って、あれ?京子ちゃん?」

掛け布団を被って顔を隠している私を、あかりはゆさゆさと揺すった。

「……大丈夫。続けて。恥ずかしくなっただけ、だから」

「……うん、分かった」

あかりはそう言うと再び話し始めた。

「それである日、放課後に結衣ちゃんが『京子、どうして私の目を見て話さないの?』
って聞いたら、京子ちゃん、顔を真っ赤にして走って逃げたよね」

「……うん」

思い出すだけでも恥ずかしい。そんな事、忘れてほしかったな。

「それから結衣ちゃんを避けるようになったよね。あかり、結衣ちゃんから相談受けたんだよ、
『京子はどうして私を避けるのかな……私、何か悪いことしたかな?』って」

「もしかしてあかり……私が結衣を好きって結衣に……」

結衣は私の気持ちを知っているの?もしかして知った上で無理して側にいるの?

「ううん。その頃はまだ気づいてなかったよ」

「……え?」

気づいていなかったと聞いて少し安心した。

しかし、ならば何故私の恋心に気づいたか不思議に思った。

「その後あかり、お姉ちゃんに相談したんだよ。そしたら『恋じゃないかしら』って」

あかりのお姉さんは私よりも五つ上。
「亀の甲より年の功」というのは本当のようだ。
「年の功」なんて言い方は少し失礼な気もするけど。

「じゃあそれを結衣に……」

「伝えてないよ」

ほっと安堵のため息が漏れた。
結衣に想いを伝えるか伝えないかという事は慎重に考えるべき事だから。

「暫くどうしようか考えているうちに結衣ちゃんと京子ちゃん、仲直りしたから、
お姉ちゃんの言ってたこと違うのかなって思ったの」

これは結衣への恋心を否定して見ないようにしたから。

「最近京子ちゃんが、また結衣ちゃんを避けている気がして……」

隠そうとしてもやっぱり分かってしまうものだな、と感じた。

最近は封印した気持ちが膨れ上がって、結衣との距離の保ち方が解らない。
結衣に引っ越しの事を告白された時は勢いで甘えられたけれど……

「そっか……やっぱり私って分かりやすいのかな」

「どうなんだろ?あかりはお姉ちゃんに言われるまで分からなかったし」

「お姉さんはすぐ気づいたんだよね、話を聞いただけで」

「うん。やっぱりお姉ちゃんは凄いよぉ。
でも、お姉ちゃんから聞いたって事だけで京子ちゃんが結衣ちゃんを好きだって決めつけるのもいけないと思って……
ごめんね、カマをかけて……」

否定して置けばあかりには気付かれなかったのかと思うと自分が馬鹿みたいで笑いが零れた。
自嘲ではなく、何処か清々(すがすが)しい笑いだった。

「……大丈夫。泣いて、それからあかりに話して、少しスッキリした」

頭から被っていた布団をずらして顔を出し、あかりの方を向いた。

「ありがとう」

私は本当に良い幼馴染みを持ったと思う。

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