おれ(スマートアシスト搭載)「ほらほらどいたどいた!俺が通るよ!」 (23)

幼女「きゃー!おれさーん!抱いて!」

子供「あ、おれさんだ!マジかっけー!!」

おれ「ピタ」

子供たち「うわぁぁぁあああ!止まったすげぇぇえ!」

幼女「もうまいっちんぐ」プシャァァア!

おれ「こらこら俺で遊ぶんじゃない」

クソガキ「おれ!いつもの決め台詞言ってくれよ!」

おれ「まったく、急いでるんだがな」

おれ「恋はいつでも誤発進!(決め顔」

子供たち「かっけええええぇぇぇ!!」

おれ「俺はもう行くぜ……!ハッ!」

ブルルン…ウゥン

おれ「さて、今週のチャンピオンでも立ち読みするぜ!」

女子中学生「チラッ…チラッ」

おれ「むっ!殺気!」

女子中学生「ヒョイッヒョイ!!」

おれ「あの子、万引きしたぜ!フッ、いけない子だ!」

女子中学生「スタコラサッサ」

おれ「逃がすか!」ドヒュン!

おれ「零距離スマートアシスト!」

キキー!ドン!

女子中学生「きゃ、きゃあ!?」

おれ「おっと、大丈夫かい?」

ダキッ

女子中学生「って……かの有名なおれさん!!?///」

おれ「スマートだぜ」

おれ「ところでお嬢さん、このポケットの膨らみは何かな」

女子中学生「う!なんでもありません!」

おれ「どっこい、あるね」

ガサゴソ

おれ「こいつぁ驚いた、なんてポケットだ。想像以上の広々空間、まるでピラーレスの大窓口だぜ。
たくさん万引きしたようだな」

女子中学生「うぅ……すみません……でも、私……」ポロポロ

おれ「謝るべきは俺じゃない。自分が何をすれば、君ならもう分かるね?」

女子中学生「はい……」

おれ「フッ、万引きは立派な犯罪だ。
ダイハツタントのように100%免除とはいかない。
だが……君がもし罪を償って、もう一度日の光を浴びる時まで――」

おれ「助手席、空けとくぜ」ニコリ

女子中学生「おれさん」ぶわっ

おれ「またしてもいたいけなレディと約束事を増やしてしまった……俺の悪い癖だな」

おっさん「ほえぇ……どうしようどうしよう」オロオロ

おれ「む、反応ありだ!」

キキー!ピタ

おれ「お困りかい」

おっさん「お、おれさん!でもどうして!?」

おれ「俺のカーナビは、いつだってとあるところを指しているのさ」

おっさん「とあるところ……?」

おれ「おっと、聞かないでくれ。
それより、なんでおろおろしてたんだい?」

おっさん「実は――」

おれ「なに?娘の結婚式に行く途中?
車のタイヤがパンクしたって?」

おっさん「はい……」

おれ「しょうがねぇな」

おれ「乗りな」ニコリ

キキー!ピタ

おれ「着いたぜ」

娘「パパ!」

おっさん「娘!」

婿「お義父さん!」

ダキッ!

娘「でもパパ!なぜ間に合ったの!」

おっさん「それはおれさんが乗せてくれたからだよぅ!
いやぁ、本当に助かったよおれさ……!?」

おっさん「い、いない!」

『――新郎新婦の入場です』

娘「あ、もう行かなきゃ!ほらパパ!」

おっさん「わ、わかったいま行くよ!」

おれ「フッ……ヴァージンロードを走行した先はゴールじゃない。
始まりに過ぎないんだ。
それは道なき道を切り開くようなもの……それが人の持つ強さだ。
舗装された道しか走れない俺には、眩しいよ。
……幸せに向かってアクセル全開な二人の門出に……俺も杯を傾けようか」

ゴクゴク

おれ「今年のガソリンもいい出来だ」

おれ「さて、と。今日のパトロールはおしまいだ」

おれ「飯でも食って帰るか」

おれ「着いた……む?なにやら騒がしいな」

店員「ひ、ひぃ!やめてください!」

就活生「うるさい!世の中に……社会に復讐してやる!
へ、へへ!このスイッチを押せばお前らまとめてマジぶっとび!」

ざわ……ざわ……

ワルガキ「ヤバイよ……ヤバイよ……」

女子中学生「ガソリンスタンドで爆弾なんか爆発させたら、大惨事ですよ!」

おっさん「街が吹き飛んじゃうよぉ!」

幼女「こんなとき……こんなとき、おれさんがきてくれたら……!」

ブロロロロ!キキー――

おれ「タクシー業はしてないんだがな」

全員「おれさん!」

就活生「くっ……てめえがかの有名なおれか!ムカつく面だ」

おれ「いいデザインだろ?」プップー!

就活生「ふざけやがって!大爆発を見舞ってやるぜ!」

おれ「食べ物で遊ぶのは感心しないな」ヤレヤレ

就活生「世の中が悪いんだ……!
就職させてくれない世の中が悪いんだ!!!」

ワルガキ「あ、あいつボタン押す気だぞ!」

おっさん「ふえぇ!!」

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