モバP「えっ?僕の入社2年目を?」マス「祝おう」 (69)

※アイドルマスターシンデレラガールズのSSです

※名称は一部略称を用いていますのでご注意ください

マスタートレーナー → マス
ベテラントレーナー → ベテ
トレーナー → トレ
ルーキートレーナー → ルキ

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1385740728

P「それはありがたいんですが、どうしてまた?」

マス「P殿には色々と我々姉妹のことで迷惑をかけたからな。それに対して労いの場を設けるだけだ」

http://i.imgur.com/4RipGtT.jpg
マスタートレーナー(28)

P「本当ですか? それは嬉しいですね」

マス「慣れない環境でさぞ疲れたであろう。我々でもてなしてやる」

P「どんなことをしてくれるんですか?」

マス「細かいことは秘密だが、大雑把に言うなら……」

P「はい」


マス「今回に限り、君を我々の家族として迎え入れよう」

P「」


マス「どうした? 嬉しさのあまり声も出ないか?」

P「え、えっと……」

マス「ただ、残念なことにこれは一日限定だ。そこはわきまえるように」

マス「詳細が決まり次第、また後日連絡するので日を開けておくようにな」

P「は、はい……」



P(どうなってしまうんだろう……不安だ……)

――――――――――――その夜、トレ姉妹の家


マス「よし、全員揃ったな。それでは会議を始める」

ベテ「うむ」

http://i.imgur.com/oqnpywY.jpg
ベテラントレーナー(26)

ルキ「りょうかーい」

http://i.imgur.com/Btz2XVG.jpg
ルーキートレーナー(19)

トレ「……」

http://i.imgur.com/HVo5u8f.jpg
トレーナー(23)

マス「先ほども話した通り、今回はP殿を我々の家族として迎え入れようと思う」

ルキ「たのしみー」

マス「ただし、家族の中で彼をどのような位置に置くかはまだ決めていない」

ベテ「というと?」

マス「彼自身を誰の兄に置き、誰の弟にするかということだ」

ベテ「つまり何番目の兄妹にするかということだな」

マス「そうだ。そこでお前たちから意見をもらおうと思ってな」

トレ「……い、いいんでしょうか?」

マス「聞けば彼はしばらく親元を離れて生活しているため、家族の暖かさに触れる機会は少ない」

マス「その寂しさを我々が癒してやるのだよ」

トレ「……なるほど」

マス「誰か提案はないか?」

ルキ「はいはーい!」

マス「よし、ルキ。言ってみろ」

ルキ「私の弟がいいと思いまーす!」

マス「却下だな」

ベテ「ありえない」

トレ「ええと……」

ルキ「どうしてー?! 私もお姉ちゃんって呼ばれたいもん!」

マス「リアリティに欠ける」

ベテ「ただでさえロリコン疑惑の多い彼だ。新たなモノに目覚められては困る」

トレ「ちょっと……想像できないかな……って」

ルキ「ぶー! だったら聞かないでよー!!」

ベテ「姉さんは考えはあるのか?」

マス「私か?……そうだな……私の一つくらい上の兄なんt」

ルキ「はい、だめー!」

ベテ「どこのファンタジー映画だ?」

トレ「それもちょっと……」

マス「何故だ!? 何も5つも6つも上にしろとは言ってない!」

ルキ「無理がありすぎるでしょー」

ベテ「さすがに彼を四十歳以上に見ろというのは無理だ」

マス「私はまだ二十代だ!」

トレ「ね、姉さん、落ち着いて!」

ベテ「二人ともダメだな。やむを得ん、ここは」

マス「不可」

ルキ「そこだけは無いよね」

ベテ「まだ何も言ってないだろう!!」

マス「お前はP殿に苦役を強いるだろう?」

ルキ「癒やしなのに、トラウマ与えてどうすんのー?」

ベテ「言いたい放題言ってくれるな……」

マス「ならば、ここに彼がいると思って『お兄ちゃん』と言ってみろ」

ルキ「ちゃんと表情も作ってよね」

ベテ「お安いご用だ………んー、ごほん」


ベテ「……『お兄ちゃん』……♪」テヘ


マス「」

ルキ「」

トレ「ひぃっ!」



ベテ「……私のほうが心にダメージを負ったぞ」

マス「あと残っているのは……」



マス

ベテ
     ←ここか
トレ
     ←ここだな
ルキ



トレ「……」

ルキ「お姉ちゃんはどう思うの?」

トレ「わ、私は……」

ベテ「言ってみろ」


トレ「私は……Pさんを……自分の上とか、下とか考えられなくて……」

トレ「常に同じ立場で……対等でありたいというか……その……」


マス「つまり、自分の旦那ポジションにしろと」

トレ「そそ、そ、そんなこと言ってませんっ!!」

ベテ「調子に乗るな」

ルキ「気が早すぎー」

トレ「ひどいっ!!」

――――――――――――一時間後

マス「では、トレとルキの間でいいな?」

ベテ「無難だな」

ルキ「異議なーし」

トレ「……はい」

マス「では、そのようにP殿には伝えておく」

ルキ「でも、具体的に何するのー?」

マス「先程も言ったように彼を家族として迎え入れる」

ベテ「だが、それが彼の労いになるのか?」

マス「まさか。それは別に考えてある」

ルキ「さっすがー」

マス「サプライズというやつだ。フフフ……」

トレ「……嫌な予感がします」

――――――――――――当日、玄関前


P「言われるがままに来てしまった……」

P「マスさんが自信満々だったのが余計に不安なんだけど……」

P「まあ、トレさんがいるなら安心だな」


ぴんぽーん


P「こんにちは、Pです」

マス『よく来たな。上がってきたまえ』


P(緊張するな……)



がちゃ


P「ど、どうも……」

マス「待っていたぞ」

ルキ「Pさんだー」

ベテ「遅いぞ」

トレ「え、えと……」

P「お、遅くなってすいません……そ、それじゃあ……お邪魔します」

マス「待ちたまえ、P殿」

P「は、はいっ!」

マス「そうじゃないだろう?」

P「へ?」

マス「君は今から私達の家族だ。家に帰ってくるのにお邪魔しますというかね?」

P「あ……そっか……えっと」


P「た、ただいま……」

マス・ベテ・トレ・ルキ『おかえりなさい』


P(て、照れるな……)

――――――――――――居間

P「えっと…僕は何をすればいいのですか?」

マス「特に何かをする必要はない」

P「は、はぁ……」

マス「君は今から我々の家族なのだ。普段の我らの生活に見て馴染めばいい」

P「と、言われましても……」

マス「そうだな……まずは我らの生活を観察すればいい」

P「観察……ですか?」

マス「我ら四人それぞれの部屋に行き、それぞれ見てくるといい」

P「つまり、僕がトレさんたちの部屋にお邪魔しろということですか?」

マス「そうなるな」

P「二人きり……ということですか?」

マス「そうだ。ただし、時間は30分だ」



P(間が持つかな……?)

ルキ「まずは私からだよ!」

P「う、うん……」

ルキ「行こっ、お兄ちゃん!」

P「お兄ちゃん!?」

ルキ「そだよー。Pさんは今日はお兄ちゃんなんだからね」

P「わ、わかったよ。ルキちゃん」

ルキ「ちがーう! ちゃん付けやだー!」

P「あっ……え、えっと……わかったよ。る、ルキ……」

ルキ「えへへへへ」

――――――――――――ルキの部屋


ルキ「ここが私の部屋だよー」

P「おお、意外に普通の女の子の部屋だね」

ルキ「意外ってなによー? こう見えても19歳の女の子なんですから」

P「19才?」

ルキ「そうだよ」

P「涼や拓海より?」

http://i.imgur.com/gm5BKNN.jpg
松永涼(18)

http://i.imgur.com/1q4vQHz.jpg
向井拓海(18)


ルキ「一つお姉さん」

P「若葉より?」

http://imgur.com/xFqKvbD
日下部若葉(20)


ルキ「一つ下だねー」

P「菜々とは?」

http://i.imgur.com/9bPU0Yt.jpg
安部菜々(じゅうなな)


ルキ「もーっ! 何が言いたいのよ!!」

P「ご、ごめん……」



P(解せぬ)

ルキ「じゃあ、そこの座椅子に座って」

P「うん……何をすればいいのかな?」

ルキ「へへへ、これ」

P「携帯ゲーム機?」

ルキ「そ。紗南ちゃんに借りたの」

P「つまり一緒にゲームをやれってこと?」

ルキ「そう。レースゲームが面白そうだったんで……やったことある?」

P「ああ、これなら昔のゲーム機にもあったやつだから、だいたい操作わかるかな?」

ルキ「へへへっ、じゃあやろう!」


ルキ(ふふふっ、別にゲームなんかどうでもいいもんね)

ルキ(これをきっかけにPさんと仲良くなるんだから)

P「よし、1位でゴールだ!」

ルキ「」

P「久しぶりだったけど覚えてるもんだな」

ルキ「もう一回勝負だよ!」

P「えっ……うん……いいけど」

――――――――――――30分後


ルキ「むっきー! もう一回!」

P「も、もういいだろ?」

ルキ「ダメダメ! Pさんずるいっ! そのゴリラ使用禁止!」

P「そ、そんなこと言われても……」


ぴぴぴぴぴっ ぴぴぴぴぴぴっ


P「ん? 何だ、この音?」

ルキ「うげっ! もうそんな時間?!」


がちゃ


ベテ「よし、そろそろ私の番だな」

ルキ「ま、待って! お姉ちゃん、あと五分!」

ベテ「却下だ。時間厳守だといってあるだろ?」

ルキ「だって、まだ……」

ベテ「行くぞ、P。ほら、早く立つんだ」

P「ベテさん待って! 引っ張らないで!」


ばたん


ルキ「ぐぬぬ」

――――――――――――ベテの部屋

ベテ「さあ、入れ」

P「は、はあ……お邪魔します……」

ベテ「どうした?」

P「いや……すごい量のモニターですね」

ベテ「ああ、私の趣味だからな」

P「なんか映画やアニメで出てくる司令室みたいです」

ベテ「各国の市場を監視せねばならないからな」

P「デイトレードってすごいんですね」

ベテ「あくまで趣味の範囲だがな」


P(趣味ってレベルじゃねーぞ)

ぼふっ


ベテ「ふうぅ」

P「突然、ベッドに横たわってどうしたんです?」

ベテ「私も色々と疲れているんだよ」

P「はあ……」

ベテ「……」

P「……」

ベテ「何をしている?」

P「へっ?」

ベテ「いつまでそこにボケっと立っているつもりだ?」

P「え? は、はい……失礼します」モソモソ


どかっ


P「痛いっ! 何故、蹴るんですか!?」

ベテ「ききき、君こそ!! 何故、隣に寝ようとするんだ!?」

P「添い寝して欲しいのかと思いまして」

ベテ「馬鹿かッ! そうじゃない!! 私がうつ伏せに寝ているならマッサージをしろっ!」

P「マッサージですか……」

ベテ「そうだ。君は私の弟だろう? だったら、姉のマッサージくらい当たり前だ」

P「そうなんですか?!」

ベテ「常識だ。いいから早く始めろ」

P「は、はい」

ベテ「ちなみに余計な場所を触ってみろ。さっきの蹴りではすまんぞ?」

P「わ、わかりました……」




ベテ(かかったな、Pめ)

ベテ(こいつはこう見えて、あまりスキンシップに慣れていないからな)

ベテ(ウブな奴だから、私の色気でいずれ落ちる。我ながらいいアイデアだ)

P「……」ギュ ギュ

ベテ「……そこだ…うむ…な、なかなかやるな……」

P「ありがとうございます。このへんも凝ってますね」ギュ

ベテ「あー。そこ……そこいい……もう少し……優し……く」

P「ベテさん?」

ベテ「zzz……」

P「寝ちゃったよ……でも、とりあえずマッサージは続けておかないとな」

――――――――――――30分後


ぴぴぴぴぴっ ぴぴぴぴぴぴっ


P「ん? タイマーの音? ベテさん、そろそろ……」

ベテ「zzz……」

P「起きないな……どうしよう」


がちゃ


マス「よし、そろそろ私の番だな」

P「え? でもベテさんが……」

マス「放っておけ。昨晩は楽しみで一睡もできなかったようだからな」

P「はあ……」

マス「それでは行くぞP殿。今度は私の部屋に来い」

P「わ、わかりました……」


ばたん


ベテ「zzz……」

――――――――――――マスの部屋


マス「ここだ。遠慮なく入るがいい」

P「は、はい……」

マス「どうした?」

P「いやぁ……すごい本の量だなと……」

マス「これでもまだ一部だ。大半は倉庫にしまってある」

P「マジですか……」

P(すごいな……図書館みたいだ)

マス「音楽や芸術、映画やミュージカル関連の資料のほか医学書などが大半だがな」

P「勉強熱心なんですね」

マス「トレーナーとしては基本的な知識だ」

P「ふえええ。やっぱマスさんはすごいお方です……」

マス「ふふふ……」


マス(ルキやベテは案の定、失敗したか……)

マス(生半可な色気で落とそうなど、所詮子供の発想)

マス(私にはもっと最適な一手があるのだ)

マス「P殿、これを見たまえ」

P「この資料は?」

マス「前回のダンスレッスンでのまとめだ。それぞれの能力を指標に表してみた」

P「ああ、なるほど……これはわかりやすいですね」

マス「だろう? 今度はこのビデオカメラの映像を見るんだ」

P「あっ、はい」

マス「画面が小さいのでもう少し、近づきたまえ」

P「は、はい……」



マス(人間は心理的に2つの状況を同時に与えると混乱に陥る)

マス(仕事の話とそして……)

P「あ、あの……マスさん……?」

マス「なにかね?」

P「ち、近くないですか……?」

マス「仕方ないだろう? 画面が小さいからな」

P「そ、そうですね……」


マス(フフフ……私の色香に戸惑っているな?)

マス(これが大人のやり方というものだ)

P「なるほど……夏樹は他のメンバーと違って歌もダンスも平均以上ですね」

マス「うむ。そうだな」

P「育成方針を変更するか悩みどころですね」

マス「……待て、決断するのはP殿だが、私からいくつか提言がある」

P「おお。よければお聞かせください」

マス「うむ」

――――――――――――30分後


P「なるほど……さすがマスさんです」

マス「いや、P殿もなかなかよく考えておられる」

P「また相談に乗ってください」

マス「いつでも構わんよ」


ぴぴぴぴぴっ ぴぴぴぴぴぴっ


P「あっ、そろそろ時間ですね。では、これで」

マス「うむ」


ばたん


マス(しまった! 仕事の話で終わってしまったではないか!)

――――――――――――廊下

P「えっと……最後はトレさんになるのかな?」

トレ「あっ…」

P「あっ、トレさん。ちょうどよかった。今部屋にお伺いしようと……」

トレ「えっ! あ、あの……」

P「あっ、なんかマズかったですか? すいません、図々しくて……」

トレ「い、いえ!……そんな……あの、Pさん?」

P「はい?」

トレ「良かったら……部屋じゃなく、こちらでお話しませんか?」

P「えっ?」

――――――――――――キッチン

P「ああ、なるほど。食事の準備をされていたんですね」

トレ「はい。今日はご馳走にしようと思いまして」

P「んー、いい匂いだ……今日は何を作られるんですか?」

トレ「秘密です♪……ふふっ」

P「あの……トレさん?」

トレ「はい?」

P「その……なにかお手伝いすることありませんか?」

トレ「いいんですよ。お客様なんで、ゆっくりされていてください」

P「いえいえ、何もしないというのも変な感じですし、それに」

トレ「それに?」

P「今日は僕はトレさんの弟ですよね?」

トレ「あっ……」

P「なんでもご命令ください。お姉様」

トレ「や、やだ!……Pさんったら……もう」

トレ「それじゃあ、そこのお野菜の皮を剥いてもらえますか?」

P「おまかせ下さい。このピーラーで剥けばいいんですね?」

トレ「はい。よろしくお願いします」

P「あー、ダメダメ」

トレ「??」

P「敬語禁止ですよ。僕も合わせますから」

トレ「え?……あ、じゃ、じゃあ……お願いね」

P「任せてくれ!」

トレ「なんだか……気恥ずかしいわ……」

P「でも、いつからそんなに料理が上手くなったの?」

トレ「上手くなってるのかしら? 自分ではそんな感覚ないんだけど」

P「やっぱ、経験なのかな?」

トレ「うーん……経験も必要だけど、一番大事なのは想い……なのかな?」

P「想い?」

トレ「美味しいって言ってもらいたい、食べられないものも食べられるようになってほしい」

トレ「いろんなことを考えながら作ってると、色々あれこれ試してみたりなってくるの」

トレ「そこで成功することもあれば失敗もあるし」

トレ「でも、次はもっと上手くなりたいって思えるようになるから」

トレ「だからPさ……P……も、きっと上手くなるわよ」

P「ふうん。なんかプロデュースに似てるな」

トレ「ふふふ、そうなのかもね」

P「ところで、お姉ちゃん」

トレ「な!ななな……なにかしら?」

P「お鍋吹きこぼれてるけど大丈夫?」

トレ「あっ! いけないっ!」

P「待って、僕が止めるよ」

トレ「だめっ!! 今触ったら!!」


じゅっ


P「あっちいいいいい!!!」

トレ「だ、大丈夫!?」

P「ああ、平気だよ。ちょっと手にかかっただけだから」

トレ「ダメよ! すぐ冷やさなきゃ!! 手を貸して!!」

トレ「ちゃんと氷水で冷やさないとね」

P「ありがとう。お姉ちゃん」

トレ「いえいえ。どうかしら、ちょっと見せて」

P「……」

トレ「……」


トレ(わ、わたし……Pさんの……手を握ってる)


P「どうしたの? 顔真っ赤だよ?」

トレ「Pさん……」

P「??」

トレ「わたし………あなたが……」



ぴぴぴぴぴっ ぴぴぴぴぴぴっ


マス「そこまでだ」

トレ「きゃっ!!」

ベテ「油断も隙もないな」

ルキ「お姉ちゃんってば、だいたーん」

トレ「ち、違うのっ!」

P「??」

マス「さて、P殿。君に頼みたいことがある」

P「はい、なんでしょう?」

マス「今からここに書いてある食材を買ってきてはくれないか?」

P「ええ、お安いご用です……って、聞いたことない食材ばかりですよ?」

マス「当然だ。イタリアの食材だからな」

P「近所のスーパーにはないのですか?」

マス「あるわけないだろう。専門店に行って買ってきたまえ」

P「ええー。本当ですか?」

マス「グズグズするな。姐の言うことは絶対だ。さっさと行ってくるんだ」

P「わ、わかりました……いってきます」


がちゃん


マス「さて……そろそろ」

ベテ「私達も準備するか」

トレ「……本当にやるの?」

ルキ「往生際が悪いよ、お姉ちゃん」

トレ「ううう……」


今日はここまでです。
後半部はまだ書き途中です。申し訳ない。
なるべく早めに書き上げます。

――――――――――――1時間後


P「ただいま戻りました……遠かった……」

P「あれ? 電気消えてる? 誰も居ないのかな?」

P「スイッチは……これか」パチン


ぱあんっ ぱあんっ


P「うわっ! なんだ? なんだ?」

マス・ベテ・トレ・ルキ『おかえりーっ』

P「え? えっ? みなさん、その格好は……」

マス「どうだ、P殿? 我々のバニーガール姿は?」

P「いやあの……いったい、何が……」

マス「何って、君が最も好きな衣装ではないのか?」

P「嫌いではないですが……みなさんがどうして?」

マス「最初に言ったであろう? 君を癒してやると」

P「……」

マス「ふふふ、我らの色気に声も出ないか」

P(何か勘違いしておられる……)

P「マスさんは黒バニーですか?」

マス「うむ。ニューヨークの友人にプレイボーイで使用された本物を送ってもらった」

P「そこまでやりますか……ベテさんは赤なんですね」

ベテ「あ、あまりジロジロ見るな! この変態め!」

P「恥ずかしいならやらなきゃいいのに……」

ベテ「なにか言ったか?」

P「い、いえ……」

トレ「……」

P「トレさんは白ですね」

トレ「わ、わたしは反対したんですが……恥ずかしい」

P「お似合いですよ」

トレ「そ、そんな……」

P「前のバニーイベントの時に出て欲しかったですよ」

トレ「や、や、やめてくださいっ」

ルキ「……おほんっ!」

P「あっ、ルキちゃんもなんだね」

ルキ「えへへへ、いいでしょー? ぴょーんぴょーん♪」

P「……どこかで見覚えがあるな」

ルキ「晴ちゃんが着てたやつだよー」

P「ああ、なるほど……サイズが……」

ルキ「どうかな?」

P「……うん…………ぴったりだよ」

ルキ「なんで泣いてるの!?」

マス「さて、P殿。我々のもてなしはこれからだ」

P「は、はぁ……」

マス「まずは私からだ。ついてきたまえ」

P「え? どちらへ?」

マス「風呂場だ」

P「へ?」

マス「きっと君が喜んでくれるであろうサービスだ」

P「ま、まさか……マスさん……それって」

マス「ふふふ」

――――――――――――風呂場

マス「どうかね? P殿? 気持ちいいだろう?」

P「……はい」

マス「こんな経験無いだろう?」

P「……ええ……まあ」

マス「君のことだから喜ぶと思っていたよ」

P「あの……マスさん?」

マス「何かね?」

P「これは、いったい?」

マス「知らないのか? フェイシャルエステというやつだ」

P「……そっちか」

マス「何と思っていたのかな?」

P「い、いえ、別に……」

P(まさか脱衣場にベッドがあるとは知らなかった。マッサージ用なのかな?)

P(本物のエステ店みたいだ)

マス「顔も筋肉の集合体だ。洗顔で毛穴の汚れを取るだけでなく普段からケアが必要だ」

P「毛穴のケアが必要………ふふっ」

マス「……」

ギュッ

P「いたいいたい!! 鼻をつねらないで!」

マス「私はつまらないダジャレは嫌いだ」

P「ご、ごめんなさいっ……」


P(やっべえ……気をつけよう)

P(それにしても………)


マス「……」

P(マスさんの手がすごく気持ちいい……)

マス「…………」

P(しかもバニーコスだから目の前にマスさんの胸が……)

マス「P殿」

P「はい」

マス「まさかと思うが、邪なことは考えてはいないだろうな?」

P「ま、ま、まさか」

マス「そうか……ならばよい」

P(ほっ……)

マス「万が一そうであれば、今、君が両手で押さえている局部を切り取らねばならん」

P「ひいぃ……」


P(目がマジだ……)

――――――――――――食卓

P(怖かった……)

P(でも、すごく気持ちよかったのは確かだ)


マス「それでは食事にしようか」

P「はい」


P(しかし……)

P(バニーガールに囲まれての食卓ってのはシュールだな……)


マス「どうした? P殿?」

P「い、いえ……おお、すごくいい匂いがしますね」

トレ「今日はビーフシチューですよ」

P「すごく美味しそうです……ああ、トレさんが作ったんだから美味しいに決まってるか」

トレ「も、もうっ、Pさんったら……」

ルキ「Pさんはこっちに座ってー」

P「座席も指定されてるのか。ありがとう」

マス「じゃあ食べようか。手を合わせて」

P・トレ・ベテ・ルキ「いただきますっ」

P「美味そうだ。どれどれ……」

ルキ「まって!」

P「な、なに? どうしたの?」

ルキ「Pさんは私が食べさせてあげるー」

P「い、いや。それくらいは自分で……」

ルキ「だめーっ! はい、あーん」

P「熱い熱いっ!! 直接口に付けないでっ!!」

ベテ「某お笑いトリオみたいだな。おでんのほうが良かったか?」

P「嫌ですよ、そんなの!!」

ルキ「もうー。ふーふーして欲しいの?」

P「で、できれば……」

ルキ「ふふふっ、Pさんって甘えん坊なんだね」


P(唇がやけどじゃ済まないぞ)

ルキ「ふーっ、ふーっ……はい、あーん」

P「あーん」

ルキ「わたしも食べちゃお……うん、美味しっ♪」

P「……」

ルキ「Pさん、あーん」

P「あーん」

ルキ「私も……うんうん」

ルキ「はい、Pさん」

P「ルキちゃん」

ルキ「なあに?」

P「僕が食べてるのは、じゃがいもとかブロッコリーだよね」

ルキ「うん」

P「ルキちゃんはお肉食べてるよね」

ルキ「美味しいよ♪」

P「僕も食べたいよ……」

ルキ「好き嫌いはダメだよー。野菜も食べなきゃ」

P「ひどいっ」


マス「ルキはこの後のデザート抜きだな」

ルキ「うそうそ! ごめんなさい、お姉ちゃん!」


P(なんだったんだ……)

――――――――――――居間

P「はあぁ……美味かった! ごちそうさまでした!」

トレ「いえいえ。お粗末さまです」

P「こんなにもてなしてもらえて感激です。本当にありがとうございました」

トレ「あら? まだですよ?」

P「え?」

トレ「こちらに座ってください」

P「ソファ? トレさんの横にですか?」

トレ「そうです」

P「は、はぁ……失礼します」

トレ「じゃあ、そのまま横になってください」

P「横って……寝るということは……トレさんの膝」

トレ「ほら、早く」

P「あっ」

P(トレさんに膝枕されてる……な、なんなんだ?)

トレ「じゃあ、お耳の掃除しますね」

P「耳掃除?」

トレ「はい、力抜いてください……うわあ、たくさん詰まってますね」

マス「汚い耳だ。よくそんな耳で今まで生きてこれたな」

ルキ「おえーっ」

P「やめてーっ! 僕の穴を見ないでーっ!」

トレ「姉さん、ルキ。やめなさい。ねえ? Pさん?」

P「うううぅ……お婿にいけない……」

トレ「はい、それじゃあキレイにしましょうね」

P「はい…………あっ」

トレ「どうですか?」

P(き、気持ちいい……)

トレ「もうすぐ取れそうですよ……」

P(はあぁぁ……)

トレ「はいっ、取れましたー。こんなおっきいのが入ってましたよ」

P「げっ!! そんなものが……」

ルキ「きったなーい!!」

ベテ「ワインのコルクみたいだな」

P「うううぅ……」

トレ「もうっ!! そんなこと言わないのっ!!」


P(母親にいじめられっ子からかばってもらってるみたいだ)

トレ「じゃあ、反対取りますね」

P「あっ、はい……じゃあ逆に……」

トレ「あ、そのままの体勢でいいですよ」

P「えっ? だって、反対の耳は……」

トレ「ほら、こういう風にゴロンと転がれば」


ごろん


P「!!!!」

トレ「ね? 楽でしょう?」

P「は、はい……」


P(これは……)

P(目の前にトレさんのお腹が……)

P(もしかして、視線を落とせばトレさんの下腹b……)

トレ「こらっ!」

P「ひいっ!! ごめんなさいっ!」

トレ「力を抜いてください! 取りにくいでしょっ!」

P「あっ……はい……」


P(邪な考えはバレなかったか……)

P(しかし、バニーに耳掃除って……)

P(かなりマニアックだ)


トレ「はいっ。キレイになりましたねー」

P「あ、ありがとうございます……」

トレ「お風呂あがりに軽くタオルで拭くだけでも違いますからね」

P「そうなんですか?」

トレ「普段から綺麗にしておくんですよ」

P「わ、わかりました……」

トレ「ふふふっ、私も楽しかったですよ。耳掃除してあげるなんて久しぶりですし」

P「僕は女性から膝枕なんて、初めてなんで緊張しました」

トレ「えっ? 膝枕?」

P「はい」

トレ「……」

P「……」

トレ「や、や、やだっ!! わわわ、私ったら!!」

P「で、でもっ、気持ちよかったですよ。こんな美人のバニーさんにしてもらうなんて」

トレ「!!!!!」


トレ「みっ! 見ないでくださいっ!!!」ダダダッ


P(耳掃除に夢中で気づいてなかったのか……)

P(でも……すごく気持ちよかった)

P(太もも……)

――――――――――――居間

P「はあぁ、最高でした。こんな極楽経験をさせていただくなんて」

ベテ「待て、P」

P「はい?」

ベテ「次は私の番だ」

P「いえ、もう十分です。ありがとうございました」

ベテ「君は私の労いを断るのか?」

P「いえいえ、そんな……」

ベテ「だったら、私の隣に来い」

P「は、はい……」

ベテ「最後は君のために酒を作ってやろう。何がいい?」

P「あの……僕は下戸なんで……」

ベテ「なにっ! 私の酒が飲めないとでも?」

P「し、しかし……」

マス「まあ、P殿。ベテはこう見えてこの日のために、バーで特訓してきたのだ」

ベテ「姉さん!! 何故、バラすんだ!! 秘密だと言ってただろう!?」

マス「ああ、すまんすまん。高橋や柊と一緒に行ってたんだよな?」

P「礼子さんと志乃さんがここ数日、二日酔いしまくりだったのはそのせいか……」

ベテ「……その話はやめろ……奴らは悪魔だ」


P(何をしてたんだろう……?)

ベテ「……では、Pよ。何を飲む?」

P「お酒はちょっと……ノンアルコールでもいいですか?」

ベテ「まあいい。そのようなカクテルもあるからな」

P「カクテルはよく知らないんですよ」

ベテ「ならば君が決めたドリンクで作ってやろう。選べ」

P「あー、それだったら」

ベテ「よし、来い」

P「オレンジジュースと」

ベテ「うむ」

P「グレープジュースと」

ベテ「それと?」

P「パインジュースに」

ベテ「……」

P「ウーロン茶にコーラで」

ベテ「君はファミレスにいる小学生かっ!」

――――――――――――一時間後

ベテ「私だってな……ぐすっ……本当はな……」

P「あ、はい……」

ベテ「聞いてるのか! Pよ!!」

P「き、聞いてます!」


P(一人でボトル空けちゃってるよ……飲み過ぎだろ……)


トレ「すいません、Pさん。姉さんは泣き上戸なので……」

P「そ、そうなんですね……大丈夫です」


P(これは意外だったな……)

ベテ「でな、Pよ……私は悔しいのだよ……私にもう少し力があれば……」

P「で、でも、ベテさんはよくやってくれてますよ」

ベテ「ほんと?!」

P「え? ええ、まあ……それは本当です」

ベテ「ん~…………んふふ~」

P「な、なんですか?」

ベテ「だったら~……ナデナデして?」

P「」


マス「またあのスイッチが入ってしまったか……」

P「スイッチ?」

マス「うむ。酔いが限界に達すると甘えキャラになってしまうのだ」

P「それは……また……」

ベテ「ね~ぇ?」

P「あ、はい!?」

ベテ「ナデナデってばあ~」

P「わ、わかりました!」


なでなで


ベテ「えへへ~♪」


マス「我が妹ながら情けない姿だ…」

ルキ「さすがに引くわー」

トレ「姉さん……」

マス「まあ、起きたら忘れているであろう。P殿、今回の件は見なかったことにしてくれ」

P「は、はい……」


P(これはまた……ベテさんにこんな強烈なキャラが控えていたとは)

――――――――――――翌朝

P(さて……みんなリビングで眠ってしまったんだが……)

P(どうしよう)

P(このまま放ってはおけないな)

P(とりあえず、それぞれの部屋に運んであげないと)


P「まずはマスさんからだな……よいしょ」

マス「ん……」


P(マスさんも色々世話になったなぁ……最初はすごく怖い人だと思ってたんだけど)

P(厳しい人だけど、ちゃんとみんなや僕のことを考えてくれてる)

P(本当にみんなのいいお姉さんだよな)

P(次はベテさんか……)

ベテ「うーん……もう……無理……」

P(無理させちゃったかな……でも、すごく楽しそうだったし)

P(ベテさんも普段は厳しいけど、レッスンを離れるとすごく優しいんだよな)

P(アイドルにも何が必要なのかを具体的に説明して教えてくれるし)

P(みんなからの信頼も厚い)

P(もちろん、僕も)

P(ルキちゃんだな……)


ルキ「むにゃ……」


P(この子はいろいろな面でトレーナーには見えないんだよな)

P(アイドルにイジられてるってのは、どうなんだろう)

P(でも、ルキちゃんの明るさはみんなを元気にしてくれるし、とてもありがたい存在だ)

P(早く立派なトレーナーになってくれるといいな)

P(最後はトレさんか……)


トレ「……すぅ……」


P(トレさんにもたくさん迷惑かけちゃったよな)

P(優しくて、気が利いて、何でもできるし)

P(この人は本当に理想的な女性だ)

P(アイドル達の良いお手本になってくれてる)

P(返す返すもアイドルにできなかったのが悔やまれるよ)

P「こんなに祝ってもらえるなんて、僕は本当に幸せだ」

P「来年は僕が祝えるようにしよう」


P「よし! もっと頑張らないとな」

P(さて……そろそろ帰ろう)


P(一日だけど皆さんとずっといて、わかったことが一つある)


P(僕はあの人のことがずっと気になって仕方ない)


P(もしかしたら……)


P(本当に好きになってるのかも……)



P(……まさかね)



おわり

※これで終わりです。
遅くなってしまい、大変申し訳ないです。
ここまで読んでくださってありがとうございました。

最後はみなさんの好きな姉妹をイメージしてください。

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