西垣「イケナイ生徒会」(165)
ガラッ
西垣「おーい松本ー」
りせ「……」
西垣「ちょっといいか?」
りせ「……」
西垣「答えは聞いてないけどな」ヒョイッ
りせ「Σ ……」
西垣「まぁそう言うな。いざゆかん、私達の愛の巣へ!」
綾乃「……ちょっと」
西垣「ん?」
千歳「……」ジー
櫻子「……」ジー
向日葵「……」ジー
りせ「……」ブラーン
綾乃「何やってんですか先生」
西垣「なんだ杉浦じゃないか。いつからそこに?」
綾乃「ずっといましたよ! 会議に乱入してきたのは先生でしょう!?」
西垣「なんだ会議中だったのか。それは気付かなかったな」
綾乃「気付いてくださいよ……それより、また会長を連れ去るつもりですか?」
りせ「……」ブラーン
西垣「何か問題でも?」
綾乃「大アリアリゾナです! 会長がいないと会議が進められないんですから」
西垣「会議しゅーりょー」
綾乃「まだ始まったばかりなんですけど!?」
西垣「いいじゃないか。松本もそう言ってるぞ?」
綾乃「えっ本当ですか?」
西垣「本当だとも。な?」
りせ「……」フルフル
西垣「ホラ」
綾乃「首振ってるんですけど」
西垣「いやいや、これはアレだ。身体は嫌がっても口は正直だなゲッヘッヘみたいな」
綾乃「普通は逆じゃ?」
西垣「ちなみに『はにゃ~ん☆ りせも奈々にゃんに賛成ナリ~☆』と言っているぞ」
りせ「」ブンブンブンブンブンブン
綾乃「絶対言ってませんよね!?」
綾乃「ところで奈々にゃんって?」
奈々「ああ、それは二人きりの時だけの秘密の」
りせ「///」ポカポカポカ
奈々「お? はっはっは、痛いじゃないか松本」
綾乃「(それは本当なのかしら……)」
りせ「///」ポカポカポカポカ
西垣「よしわかった!」
綾乃「なんですか突然」ビクッ
西垣「松本を連れて行くのは止めよう」
りせ「……」ピク
綾乃「ほ、本当ですか先生!」
西垣「ああ、会議があるなら仕方ない」
りせ「……」
綾乃「」ウンウン
西垣「今日はここで実験しようと思う」
綾乃「なにもわかってない!!!」ガーン
りせ「……」ポワ
西垣「まあ聞け杉浦」
綾乃「今度はなんですか……」
西垣「実は今、私と松本についてイケナイ噂が広まっているようなんだ」
綾乃「い、イケナイ噂?」
西垣「うむ。どうやら、二人きりの理科室で不道徳な行為に明け暮れていると思われているらしい」
綾乃「それは本当にいけませんね。いや冗談抜きで」
西垣「そこでだ。私が人前で普段通り実験して見せれば、あらぬ疑いも晴れると思ったわけだ」
綾乃「なる……ほど……?」ウムム
奈々にゃんってカワイイな
西垣「松本も協力してくれるだろ?」
りせ「……」
西垣「ん?」
りせ「……」モジモジ
西垣「おいおい、私達の名誉の為なんだぞ? 少しは我慢してくれよ」
りせ「……」
西垣「胸を張るんだ松本。私達は健全だ、やましいことはしてない、ってな」
りせ「……」
西垣「そうだとも。むしろ見せつけてやればいいんだ」
りせ「……?」
西垣「実験中の、可愛い松本の姿を……な?」クスッ
りせ「……っ///」カァッ
西垣「ふふ……こんなに顔を赤くして、可愛いやつめ」
りせ「///」プシュー
綾乃「……本当にナニもしてないんですよね!?」
どんな実験か気になる
千歳「んー、別にええんちゃう?」
綾乃「千歳!?」
千歳「急ぎの案件もあらへんし、たまには息抜きせなー」
綾乃「でも……」
櫻子「はいはーい! 私も池田先輩に賛成です! 大賛成!!」
向日葵「櫻子は自分がサボりたいだけでしょう」ジトッ
櫻子「ち、ちげーし! ねーちゃんが言ってたんだもん、『テキ屋の急須で農作業も上々、佐世保。』って!」
向日葵「佐世保!?」
りせ「……」
西垣「『適度な休息は作業能率を向上させる』じゃないかと松本が言ってるが」
櫻子「あ、そーそーそんな感じです! さすが会長!」
向日葵「あなた撫子さんの言ってることの一割も伝わってませんわよ」
りせ「……」
西垣「さて、じゃあ賛成多数で決まりでいいな?」ニヤリ
綾乃「ちょっ!? 待ってくださいったら!」
西垣「……杉浦……お前は本当にしょうがないなぁ……」フー
綾乃「えっ……何故か私の方が聞き分けないみたいなこの風潮……!?」
千歳「綾乃ちゃん」
綾乃「ち、千歳……」
櫻子「せんぱ~い」
向日葵「杉浦先輩」
綾乃「うぅ……」
テキ屋ってww
さすが櫻子
りせ「……」スッ
綾乃「か、会長?」
りせ「……」ジー
綾乃「え、と。そんなにジッと見られると……」
りせ「……」ジーー
綾乃「ぅぅぅぅぅぅ……!」
りせ「……」ジーーー
綾乃「わ……わかりました! 今回だけ、今回だけ許可しますからぁ!!」ヒャー
西垣「今の言葉、しかと聞いたぞ」ニヤニヤリ
綾乃「もう好きにしてください……」ハァハァ
りせ「……」
西垣「人間、諦めが肝心。いい勉強になったな杉浦」ワハハ
綾乃「先生にだけは言われたくありませんっ!!」
……
…………
………………
櫻子「水あめうまい!」テーレッテレー
千歳「ねればねるほど味に深みが出るなぁ~」ネルネルネルネ
綾乃「なんで水あめ……?」ペロペロ
向日葵「紙芝居……?」ペロペロ
西垣「全員揃ったら座れー始めるぞー」
りせ「……」チョコン
綾乃「あ、会長は観客側じゃないんですね」
西垣「無論だ。松本は私専属の助手兼被験者兼弁当係兼抱き枕だからな」
綾乃「先生はまず大人としての自覚が足りなすぎると思います」
向日葵「(あら……最後……あら……?)」
西垣「それでは皆の衆、この西垣奈々の健全すぎる発明品の数々をとくとご覧あれ」
りせ「……」パチパチ
パチ...パチパチ...ペチ...パチ...
~発明品その①~
西垣「まずはジャブだな。松本、例のモノを」
りせ「……」コクリ
ゴソゴソ...
綾乃「何が出てくるのかしら」ヒソヒソ
千歳「どーやろ……」ヒソヒソ
櫻子「あ、会長が何か手に取った」ヒソヒソ
向日葵「……え? あれって……」ヒソヒソ
りせ「」つ【爆弾】
綾乃「ちょっとおおおおおおおおおおおおお!!?」ガターンッッッ
西垣「お、いいリアクションじゃないか杉浦。ギャラリーの鑑だな」ハッハッハ
綾乃「いや笑い事ですか! ジャブとか言って名実共に爆弾投下しないでくださいよ!!」
西垣「うまい! 松本、杉浦に座布団1枚」
綾乃「やかましい!!」クワッ
向日葵「あんなあからさまな爆弾、○゛ンバーマンでしか見たことありませんわ……」
櫻子「私ちょっと欲しい」キラキラ
向日葵「お待ちなさい」
千歳「先生、流石にホンマモンの爆弾はあかんですよー」
西垣「爆弾? 何を言っているんだ池田」
千歳「?」
西垣「これは爆弾型のボトルだ。中に薬品が入ってる」キュポンッ
綾乃「まぎらわしいことしないでください!」キィッ
書き溜め終了のお報せ
あからさまの爆弾www
西垣「とにかく、今日は例のアレをやってもう終わりにしよう」
綾乃「アレ……? アレってなんですか」
西垣「アレと言ったらアレしかないだろう。生徒会お馴染みのアレだ」
綾乃「???」
西垣「さあ、池田達もこっちにこい」
千歳「うちらもですかー?」
櫻子「なんかおいしいものでもくれるんですか!?」ガタッ
向日葵「今の流れでどうしてそうなりますのよ……」
西垣「よし、揃ったら横一列に並ぶんだ。カメラを意識するのを忘れずにな」
綾乃「カメラて」
西垣「準備はいいな? せーの――『本日の生徒会、終了☆』!」ビシィ
綾乃「メディアどころか作品が違う!?」
りせ「……」ビシィ
西垣「じゃあ気を取り直して……松本、グイッといけ。グイッと」
りせ「……」スッ
綾乃「だ、大丈夫ですか会長?」
りせ「……」グッ
綾乃「なんて堂々としたサムズアップ……」
西垣「ちなみに、『私、この薬を飲み干したら奈々にゃんと結婚するんだにゃん……☆』と言ってい」
りせ「」ギロリ
西垣「ない」ガタガタ
綾乃「あからさまな死亡フラグ!?」
千歳「(てゆうか今……)」
向日葵「(会長、先生を睨みつけたような……!?)」
櫻子「向日葵ー水あめなくなったから向日葵の分もちょーだい~」グイグイ
りせ「……」コクコク
綾乃「の、飲んでる……」ゴクリ
向日葵「ドクロマークの薬品を躊躇いなく……」ゴクリ
りせ「……」ケプッ
櫻子「おぉー、会長いい飲みっぷり!」
千歳「平気ですかー?」
りせ「……」ブイ
綾乃「よ、余裕のVサイン……?」
千歳「先生ー、これはどんな薬なん?」
西垣「まあ待て。直に効果が――ふむ、来たな」
櫻子「来た?」
向日葵「ちょっ……会長が小刻みに震えてますわ!?」
綾乃「えっ!?」バッ
りせ「……」ガタガタガタガタ
綾乃「か、会長!」
りせ「」ガタガタガタガタガタ
千歳「ほんまに平気ですか……?」
りせ「」ガタガタガタガタガタガタ
櫻子「お腹が痛いんなら向日葵のおっぱいを叩くと治りますよ!」
りせ「」ガタガタガタガタガタガタガタ
向日葵「こんな時に下らない嘘言ってんじゃねーですわ!!」
りせ「」ガタガタガタガタガタガタガタガタ
西垣「3……2……1――」
りせ「」モゾッ...
――ブワッサアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
「「「「ぎにゃあああああああああああああ!!?」」」」
綾乃「な、なな、なによこれええええええええええ!?」ギャー
千歳「これは髪やな~」ウフフー
綾乃「そんなことは言われなくても分かってるアムステルダムよ!」
向日葵「わぷっ……!? か、髪に溺れてしまいますわー!?」アーレー
櫻子「あははははははは! たのしー! 髪さらっさらー!」ジャブジャブ
向日葵「この子髪の海を泳いでますわ!?」
西垣「はっはっは。実験は無事成功したようだな」チャプチャプ
綾乃「先生も! 浮き輪で遊んでる暇があったら説明してください!」
西垣「説明もなにも、これはこういう薬だ。増毛剤」
綾乃「増毛剤ぃ!?」
西垣「運が良ければ爆発的に髪が伸びる。運が悪いと爆発する。そんな薬だ」
綾乃「究極の二択ですね!?」
千歳「でも凄い効き目やな~」
西垣「そうだろうそうだろう。これが完成した暁には、いくら理科室を爆破しようと校長に怒られる心配もなくなるってもんだ」
向日葵「賄賂目的!?」
櫻子「向日葵ー! 見て見て、シンクロナイズドボボボボボボ」ブクブク
向日葵「いやあああああ櫻子ー!?」
綾乃「せ、先生! 大室さんが溺れてます!」
西垣「安心しろ。まだ未完成なだけあって、しばらくすれば伸びた分の髪は自動的に消滅する」
千歳「秘密のメッセージ映像みたいやなー」
西垣「わざと爆発させてアフロを作るのもアリだと思ってるんだが、どっちがいいかな?」
綾乃「どっちでもいいわ!!」
タモリ「増毛剤だと」
きみまろ「俺たちにもそれをくれ!」
山本浩之「私にも作ってくれ」
温水洋一「フサフサ♪ フサフサ♪」
パンチョ「その薬、天国まで送ってくれませんでしょうか?」
アルシンド「ブラジルにも送ってくださーい!」
オヅラ「これでもう暑苦しいカツラが必要無くなる。だからください」
シュワアアアア...
綾乃「きゃっ!?」ドサッ
千歳「わー、ほんまに跡形もなく消えよった」キョロキョロ
櫻子「うぅ゛……びばばび……」グッタリ
向日葵「さ、櫻子ー!?」ガタッ
西垣「ふぅむ、これもあと一息で完成だな」
りせ「……」
西垣「おう松本、お疲れさん」
りせ「……」
西垣「ん? 投薬前より髪が長いな。消えそこねたか」クシャッ
りせ「……」
西垣「実験が全部終わったらまた切ってやるから、少しだけ我慢してくれな」クシャクシャ
りせ「……」ポワワ
~発明品その②~
西垣「よーし、この調子でガンガン健全ぶりをアピールしていくぞ」
綾乃「……はあ……」ジトッ
西垣「むっ、まるで信用していない目」
綾乃「そりゃあ、いきなり髪の海で溺れかけたら……」ジトー
西垣「疑り深い奴め、次はもう少し大人しい薬だから安心してくれ」
綾乃「へー。じゃあ千歳、消化器の準備お願い」
千歳「あ、綾乃ちゃん……」
西垣「ぐぬぬ……松本、私の発明の素晴らしさを証明してやってくれ!」
りせ「……」コクリ
グビグビ...
向日葵「やっぱりノータイムで飲みますのね……」
櫻子「向日葵ー私も喉かわいたー」グイグイ
向日葵「自分のツバでも飲んでなさい」
櫻子「ひでえ」ガーン
りせ「」プハッ
西垣「よし、残さず飲んだな。じゃあ始めるか」
りせ「……」コクリ
綾乃「始める?」
西垣「ああ、ここからが実験開始だ」
綾乃「?」ハテナ
西垣「えー、それでは全員、私と松本に注目するように」
綾乃「はあ……」ジー
千歳「……」ジー
櫻子「……」ジー
向日葵「……」ジー
りせ「……」
西垣「……」
りせ「奈々さん」
西垣「おう」
りせ「……」
西垣「……」
りせ「ストッキング」
西垣「うん?」
りせ「……」
西垣「……」
りせ「伝線してます」
西垣「えっマジで? いつから?」
あっセリフ修正してなかった!
りせ「……」
西垣「……」
りせ「……」
西垣「おう」
りせ「……」
西垣「……」
りせ「……」
西垣「うん?」
りせ「……」
西垣「……」
りせ「……」
西垣「えっマジで? いつから?」
りせ「……」
西垣「……」
りせ「……」
西垣「なんだよ早く言ってくれよー、恥ずかしいじゃないか」
りせ「……」
西垣「……」
りせ「……」
西垣「いやいや、気付かなかった私も悪いしな」
りせ「……」
西垣「……」
りせ「……」
西垣「ははは、すまんすまん」
りせ「……」
西垣「……」
りせ「……」
西垣「……」
りせ「……」
西垣「おお、そうか」
りせ「……」コクリ
西垣「よし、実験は成功だ!」
綾乃「何があ!!?」
西垣「なんだ杉浦そんな大声で」
綾乃「いや叫びもしますよ!! 今の流れのどこが実験だったんですか!?」
西垣「どこがって、最初から最後までだが」
綾乃「え!?」
西垣「まあ杉浦達には分かりづらかったかもしれないな」
綾乃「え? え?」
西垣「じゃあ次は私の通訳を付けてやろう」
綾乃「さッ」モガッ
千歳「最初からそうしたらよかったんと違いますー?」
綾乃「」モガモガ
西垣「それはそうなんだが」
千歳「だが?」
西垣「杉浦のツッコミを期待して敢えて黙ってた」キリッ
綾乃「……!!!」ガタッッッ
千歳「あ、綾乃ちゃんどーどー! どーどー!!」
西垣「では実験の答えを発表する。全員ちゅうもーく」
「「「「……」」」」ジー
西垣「松本、今度は口を動かしてみてくれ」
りせ「……」コクリ
綾乃「くち?」
りせ「……」パクパク
西垣「……」
りせ「……」
西垣「『あれ?』と言っていたぞ」
綾乃「!?」
りせ「……」パクパク
西垣「……」
りせ「……」
西垣「『声が』と言っていたぞ」
綾乃「…………」
りせ「……」パクパク
西垣「……」
りせ「……」
西垣「『遅れて』と言っていたぞ」
綾乃「………………」
りせ「……」パクパク
西垣「……」
りせ「……」
西垣「『聞こえてくる』と言っていたぞ」
綾乃「」チーン
西垣「というわけで、正解は声が遅れて聞こえる薬でしたー」ジャジャーン
綾乃「分かるかあああああああああああああああああああああああ!!!!!」
~発明品その③~
西垣「これ以上さっきの薬を引っ張ると杉浦がキレるので次だ」
綾乃「……次こそは、真っ当で、健全な、わかりやすい、発明を、お願いします、ね……!」
西垣「言われるまでもなく私の発明は真っ当で健全で単純明快だとも」キリッッッ
綾乃「<○><○>」
西垣「以前にも増して人を信じられなくなった目!」ビクーッ
綾乃「……いいですよ、早く実験を始めてください……」
西垣「あ、ああ。じゃあ遠慮無く。松も」
綾乃「待って!」
西垣「!?」
綾乃「……その前に、実験が成功した場合の結果を教えて下さい……」
西垣「なん……だと……?」
綾乃「教えて下さい」
西垣「おいおい、手品のオチを先に言う手品師がどこに」
綾乃「千歳、職員室までお遣いを頼まれてくれるかしら」
西垣「あーわかった! わかったよ……この薬だけだからな?」
綾乃「……はい。じゃあ、教えて下さい」
西垣「……」
りせ「……」ゴクリ
綾乃「……」
西垣「………………、声が異様にカン高くなる薬」ボソッ
綾乃「」ブヂッ
――しばらくお待ち下さい――
西垣「ぶっちゃけ悪ふざけが過ぎました」ゲザァ
綾乃「もうっ! 私達は先生の為に協力してるんですからね!」プンプン
西垣「ああ、反省した」
千歳「頼むでー先生ー」
向日葵「それで、その薬はどうしますの?」
西垣「ん? そうだな……松本に飲んでもらってもさっきと同じことになるし……」
櫻子「じゃあ先生が飲めばいいんじゃないですか?」
西垣「え、私か?」
千歳「せやなぁ。それが一番妥当やわ」
西垣「私か……その発想はなかったな」
向日葵「教え子を被験者にする発想はあるのに……?」
西垣「はっはっは。それは言わない約束だ、古谷」
綾乃「飲んで自爆とかやめてくださいね……?」
西垣「いやいや、流石に体内から爆発したら死ぬしな」
りせ「……」キュッ
西垣「お? なんだ松本、心配してくれるのか?」
りせ「……」コクコク
西垣「いじらしいやつめ。これは効き目もすぐ切れるタイプだし、何も心配することはないぞ」ナデナデ
りせ「……」ポワワワ
西垣「それじゃあ飲むぞー」
櫻子「わーい! イッキ! イッキ!」
向日葵「飲み会ですの……」
西垣「んぐっ……んぐっ……」ゴキュゴキュ
りせ「……」ハラハラ
西垣「」ブハーッ
綾乃「おっさんだわ」
千歳「おっさんや」
向日葵「おっさんですわ」
櫻子「おっさんだ」
りせ「……」
西垣「……」
綾乃「……」
千歳「……」
櫻子「……」
向日葵「……」
りせ「……」
西垣「ダレガオッサンダ!」カンダカイコエ
「「「「ブふーっ!」」」」 プフッ
櫻子「あっははははは! 先生なにその変な声ー!」キャッキャ
向日葵「こ、こら櫻子っ……笑ったら、しつれ、ぐフっ!」プフォー
千歳「あ、あかん、つぼった、つぼってもーた……っ!」ピクピク
綾乃「こ、効果覿面じゃないですか先生っ……、――?」
『「「「「ブふーっ!」」」」 プフッ』
綾乃「……ん!? 今、笑い声が五つ聞こえたような……?」チラッ
千歳「へ?」チラッ
櫻子「いつつ?」チラッ
向日葵「と、言うことは……?」チラッ
西垣「ム?」カンダカイコエ
りせ「……」プルプル
綾乃「か、会長……まさか西垣先生の変声で!?」
りせ「」フルフル
櫻子「じゃあこっち向いてくださいよー」
りせ「」ブンブンッ
「「「「……」」」」ジー
りせ「……///」ピタッ
チョイチョイ
りせ「……?」クルッ
西垣「バクトモボシュウチュウ☆」カンダカイコエ
りせ「プふっ! ……!!」
千歳「わろた! 今会長が間違いなくわろたで!!」クワッ
向日葵「か、カメラ! カメラに残しましょう!」
櫻子「すいません目線こっちくださーい!」パシャッパシャッ
りせ「///」フルフルフルフル
綾乃「……なにこれ?」
~発明品その④~
西垣「次で用意した分は最後になる」
綾乃「え、もうですか?」
千歳「意外と早かったなー」
西垣「元々は人前でやるつもりもなかったしな。物足りないなら、理科準備室に眠る試作品の数々を……」
向日葵「い、いえ! 結構です、結構ですから!」
櫻子「水あめおかわりください!」
西垣「ならまあサクッといくか。ほい松本」
りせ「……」コクリ
クピクピ...
櫻子「水あめー……」グスン
向日葵「……それぐらいなら、うちで作って差し上げますけど?」
櫻子「え、ほんとっ!?」
向日葵「それくらいで櫻子を静かに出来るなら安いものですわっ///」
りせ「」プハー
西垣「一年生コンビのノロケを肴に松本が最後の薬を飲み干したぞー」
向日葵「の、ノロケてませんわ!」
櫻子「今ドロケイの話してない!」
千歳「うちの地元ではケイドロって言うてたでー」
綾乃「ちょ、千歳本当に今その話してないから」
りせ「……」スッ
ポスッ
西垣「む?」
綾乃「え?」
りせ「……///」ポッ
西垣「松本……?」
綾乃「えっと……先生、どうして会長に抱きつかれてるんですか?」
西垣「どうして私は松本に抱きつかれているんだ?」
綾乃「いや知りませんけど」
りせ「///」スリスリ
西垣「おふん」ゾクゾク
綾乃「な、なにヘンな声あげてるんですかっ!?」
西垣「いや、だって松本が身体を擦り付けてくるから……」
りせ「///」サワサワ
西垣「ヌヒャイ!」
綾乃「せ、先生の声にまったく色気がないのが不幸中の幸いですけど……本当にどうしちゃったんですか会長!?」
りせ「……///」ハァハァ
西垣「な、なんだと!?」
綾乃「何て言ってるんですか!?」
西垣「い、いや……流石にこの場ではちょっと」
綾乃「言えないような!?」
何言ってるんだ会長
西垣「ま、松本……どうしてこんなことになってしまったんだ」
りせ「///」ギューッ
綾乃「先生でも分からないんですか!?」
西垣「皆目見当がつかん。あの薬でこんな状態になるわけが……あ」
綾乃「『あ』?」
西垣「……」ダラダラ
綾乃「……先生」
西垣「な、なんだ杉浦」
綾乃「なんですか、今の『あ』って」
西垣「いやぁ……実は、松本に渡す薬を……間違えたみたいだ」
綾乃「はあ!? な、何と間違えたんですか!?」
西垣「媚やゲフンゲフン」
綾乃「媚や!?」
西垣「え? ビアホール?」
綾乃「わざとらしい聞き間違いをしないでください! 媚薬って言いかけましたよね今!?」
西垣「杉浦! 神聖な学び舎でなんてはしたない言葉を!」
綾乃「作ったのは先生でしょうに!!」
西垣「杉浦! これは媚薬じゃない、恋する乙女を応援する薬だ!!」
綾乃「世間ではソレを媚薬と言うんです!!」
西垣「杉浦! 世間の目ばかりを気にしていると退屈な大人になってしまうぞ!!」
綾乃「やかましい!!」
西垣「杉浦! なんなら一瓶やろうか」
綾乃「やかま……えっ?」
西垣「一瓶」
綾乃「……」
西垣「……」
綾乃「……………………………………………………………………そんな誘惑には断じて乗りませんからね!!」
西垣「片足突っ込んでただろう」
綾乃www
りせ「///」ペロペロ
西垣「んあああーっ!」
綾乃「素っ頓狂な声あげてないで、どうにかしてくださいよ!」
西垣「うむ……原因が判明した今、どうとでも対策は出来る」
綾乃「えっ出来るんですか!?」
西垣「出来るとも」
綾乃「じゃあ早く……!」
西垣「ただ」
綾乃「へ?」
西垣「ただ……あー、なんだ。ここでは無理だ」
綾乃「……どういうことですか?」
西垣「どう言ったものか……まず、この状態の松本を隔離する」
綾乃「隔離って……どこにですか?」
西垣「理科準備室が最適だろう。私も一緒にだ」
綾乃「……」
西垣「そこで……私自らが、松本を、正気に……戻す」
綾乃「…………どうやって?」
西垣「…………身体を張って」
綾乃「………………比喩的な意味で?」
西垣「………………物理的な意味で」
綾乃「………………………………」
西垣「………………………………」
西垣先生、まさか・・・・・・・・・
りせ「///」ムギュー
綾乃「あの……先生」
西垣「なんだ杉浦」
綾乃「ちょっと……これは訊いていいことか分からないんですけど」
西垣「気にするな、なんでも訊くといい。先生が答えてやろう」
綾乃「ありがとうございます……会長を治すには、具体的に、どうするんですか……?」
西垣「……そうだな、道具とか使うな。治療の為に」
綾乃「ど、道具ですか」
西垣「ああ。理科準備室に常備してある。治療の為に」
綾乃「……」
西垣「……」
綾乃「……あっ! じゃあ私が理科準備室までその道具を取りに行ってきますから、会長の治療はここで」
西垣「お前は松本を嫁に行けなくする気か!!?」クワッ
綾乃「先生は自分の言ってることの意味をよく考えるべきです!!!」グワッッ
ほ
西垣「じゃあ大急ぎで発さゲフン治療してくるから杉浦達はここで待機だ一時間いや小一時間で帰ってくるからそれまで絶対に待機だいいな? よしいくぞ松本!」ダッ
ガラッ ピシャッ!
綾乃「」ポカーン
綾乃「……」
綾乃「……ぇえ……」
綾乃「……」
綾乃「」ポツーン
キャッキャッ
綾乃「……?」クルッ
櫻子「え~、私達の小学校では『グーとパーでわかれましょ』でしたよ。ね?」
向日葵「ええ」
千歳「そうなん? うちの地元じゃ『ぐーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーんあぁ!!!!!!』やったでー」
「「!!?」」
綾乃「あなたたちまだその話してたの!!?」
……
…………
………………
ガラッ
西垣「よー待たせたな」
櫻子「あれ? 先生どっか行ってたんですか?」
向日葵「会長も……って、なんかやつれてませんこと?」
りせ「……」ゲッソリ
綾乃「な、なんでもないわ二人共! 会長、ちょっと体調を悪くしちゃったみたいなの!」
向日葵「まあ、そうでしたの?」
櫻子「お腹が痛いんなら向日葵のおっぱ」
向日葵「しつこい!」バキッ
櫻子「にしりせっ!」グハッ
千歳「……」ボタボタ
綾乃「(無言で鼻血出してる……)」
櫻子「ん!? 先生、その後ろのでっかいのなんですか!?」
向日葵「え……って本当になんかありますわ!?」
西垣「お、目ざといな二人共」
千歳「普通に気付くと思うけどなぁ」
西垣「これはだな、実験を中断したお詫びに理科準備室から持ってきた開発途中の試作品。その名も……」
櫻子「その名も!?」ワクワク
綾乃「(なんだろう、嫌な予感しかしない)」
バサッ
「「「「!!!」」」」
西垣「『発破の達人』だ!!」ババーン
綾乃「予感あたったー!!」
さすが西垣先生だww
櫻子「すげー! かっこいい!」キラキラー
西垣「はははそうだろう。私オリジナルのデザインがイカすだろう」
向日葵「でもこれ、どこかで見たような」
西垣「私のオリジナルだ」
千歳「てゆーか太○の達じ」
西垣「どう見てもオリジナルだ」
綾乃「……この古めかしい点火レバーがオリジナリティ溢れてますね」
西垣「わかってるじゃないか杉浦!!」キラキラー
向日葵「こ、この先生……精神年齢は櫻子並……!?」ワナワナ
西垣「話を戻すが、これは簡単に言うと、好きな曲を選んでリズムに合わせてレバーを押し込むゲームだ」
千歳「(やっぱり太○の達人やん……)」
西垣「さあ、曲を選ぶボム!」
向日葵「そこは先生が言うんですのね!?」
櫻子「あーっ! 向日葵向日葵すごいこれ、恋のダブルパンチが入ってるよ!」
向日葵「えっ!? 今月30日に発売する私達さくひま*ひまさくの歌う恋のダブルパンチが!?」
櫻子「そう、さくひま盤にはミュージッククリップが、ひまさく盤にはキャラカードがついてくる恋のダブルパンチだよ!!」
千歳「あーっ! 綾乃ちゃんこっちも見てみぃや! Miracle Duetが入ってるで!」
綾乃「え? あ、そう?」
千歳「リアクション薄いで綾乃ちゃん! 歳納さんと綾乃ちゃんが歌う、今のところライブ限定曲と予定されとるMiracle Duetやで!?」
綾乃「う、うん」
千歳「七森中♪うたがっせんで聴けるのが楽しみなMiracle Duetがもう収録されとるなんてなー! あなどれへんわ発破の達人!」
綾乃「(どうしよう、みんなのテンションについていけない)」
西垣「はっはっは、喜んでもらえて何よりだ。しかし最初にプレイするのは私と松本だ」
櫻子「えー!?」
何をやるのか気になる
西垣「テストプレイというやつだ。まだまだ調整中だからな」
櫻子「ちぇーっ」ブーブー
西垣「やっぱり最初は科学戦隊ダイナマンのOPだな……」ポチポチ
綾乃「(やっぱり嫌な予感しかしない)」
~♪
櫻子「はじまった!」
向日葵「ゲーム画面もオリジナリティに欠けてますわぁ……」
西垣「いいか松本、音符が画面左の○に重なったら点火スイッチを全力で押しこむんだ」
りせ「……」コクリ
~♪
西垣「来るぞ……今だ!」グッ
りせ「……!」グッ
綾乃「……やっぱり待っ――!」
カチッ
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やっぱりwwww
……
…………
………………
りせ「」パチッ
綾乃「あ、会長!」
りせ「……?」ムクッ
綾乃「大丈夫ですか? 痛い所とかありません?」
りせ「……」コクリ
綾乃「そうですか、良かったぁ……」ホッ
ほ
りせ「……」ジーッ
綾乃「……? あ、ここは保健室です。会長は爆発に巻き込まれて気絶していたんですよ」
りせ「……!」ペコリ
綾乃「ぁ、わ、か、顔を上げてください! 私は先生に頼まれて会長についてただけですから!」
りせ「?」キョロキョロ
綾乃「えっと、先生……ですか?」
りせ「……」コクコク
綾乃「先生は私に会長を任せた後、千歳達と生徒会室の片付けをしてる筈です」
りせ「……」パチクリ
綾乃「……今なら私にも会長の言ってることがわかりそうです。『信じられない』、でしょう?」クスッ
りせ「……」クスクス
~♪
綾乃「あ、メール。ちょっとごめんなさい」ポチポチ
りせ「……」
綾乃「千歳からだわ。もう片付いたから戻ってきても平気みたいです。立てますか?」
りせ「……」スッ
フラッ――
綾乃「危ない!」
ダキッ
りせ「……!」
綾乃「……会長、目が覚めたばかりなんですから。無理しないで、ゆっくり行きましょう?」
りせ「……」コクリ
テクテク...
綾乃「……」
りせ「……」
綾乃「(き、気まずい……)えーっと、会長」
りせ「?」
綾乃「今日は災難でしたね!」
りせ「……?」
綾乃「(あれ!? ピンと来てない!?)え、っと……ほら、爆発に巻き込まれて! 大変でした……よね?」
りせ「……」
綾乃「……」
りせ「……」フルフル
綾乃「……もしかして、嫌じゃ、ないんですか?」
りせ「……」コクリ
綾乃「そ、そうですか……」
りせ「……」
綾乃「(あれだけの目に遭っても嫌じゃないんだ……)」
りせ「……」ジッ
綾乃「……ん?」
りせ「……」ジー
綾乃「会長?」
りせ「……」ジー
綾乃「(私を見つめて……もしかして、『私はどう思ったか』ってこと?)」
りせ「……」ジー
綾乃「うっ……」タジッ
りせ「……」ジー
綾乃「……(私は……)」
りせ「……」ジー
綾乃「……私は」
りせ「……」
綾乃「大変でした……髪に溺れたり、爆発に巻き込まれたり。ずっとツッコミっ放しでしたし」
りせ「……」
綾乃「でも……」
りせ「!」
綾乃「……楽しくなかったかって訊かれたら……た、楽しかったって、答えると思います」
りせ「……」ポワ
綾乃「会長が先生を好きな理由が、少しだけ、分かった気がします」
りせ「……」ポワワ
綾乃「……ふふっ」ニコッ
テクテク...
ガラッ
綾乃「ただいま戻りまし」
パンッ! パンパンッ! パンッ!
綾乃「きゃっ!?」ビクッ
りせ「Σ」
千歳「せーの――」スゥッ
「「「会長、お誕生日おめでとうございまーす!!」」」
綾乃「え」
りせ「……」
綾乃「え?」
りせ「……」
綾乃「えぇーーーっ!?」
おっ
千歳「あはは、綾乃ちゃんが一番驚いとる~」
綾乃「そ、そりゃ驚くわよ! えっ会長って今日が誕生日なの!?」
千歳「そやで? 5月23日」
綾乃「えええ……!?」
櫻子「私も知ってました!」
向日葵「私もですわ」
綾乃「どっ、どうして私には教えてくれなかったの!?」
西垣「それは私が説明しよう」スッ
綾乃「西垣先生!」
西垣「松本の誕生日を池田達に教え、こうしてサプライズパーティの場を作ったのは私だ」
綾乃「先生が主催者だったんですか……!?」
西垣「ああ。その為に今日はもっともらしい理由をつけて生徒会室で実験を始め、一度わざと爆破させることで会場を飾り付ける時間も稼いだ」
綾乃「で、ですから、それにどうして私だけ参加させてくれなかったんですか!?」
西垣「それはな……」
綾乃「……それは?」
西垣「……」
綾乃「……」
西垣「お前すぐ顔に出るだろ」
綾乃「∵」
千歳「」ウンウン
櫻子「」ウンウン
向日葵「」ウンウン
りせ「……」
ここでも顔出ちゃってるよ
綾乃「私だけ私だけ私だけ私だけ私だけ私だけ私だけ私だけ私だけ私だけ私だけ私だけ私だけ私だけ私だけ私だけ私だけ私だけ私だけ私だけ私だけ私だけ私だけ私だけ」イジイジイジイジ
千歳「あーあー……綾乃ちゃんいじけてもうた」
西垣「おーい杉浦ー。そんな隅にいないで、こっち来い。次はプレゼントタイムだぞー」
綾乃「プレゼント……?」
西垣「ああ」
綾乃「そんなの用意してるわけないじゃないですか……私だけ知らなかったんですから……!!」
西垣「そんなこともあろうかと!」
綾乃「え?」
西垣「ほいこれ」ポスッ
綾乃「え?」
西垣「杉浦から松本へのプレゼントを用意しておいたぞ」
綾乃「え?」
西垣「え?」
綾乃「なにそれもう意味わかんないんですけど」
西垣「細かいことは気にするな、ほら前へドーン」ドーン
綾乃「わわっ、ちょっとお!」ヨタッ
りせ「……」
綾乃「うっ」タジッ
西垣「ほら、プレゼントプレゼント」
千歳「綾乃ちゃんファイトー」
綾乃「ぅ……えと、会長。お誕生日おめでとうございます」
りせ「……」ペコリ
西垣「『ありがとうございます』だそうだ」
綾乃「これ……急だったんで私は用意できなかったんですけど、プレゼントです。どうぞ」スッ
りせ「……」
西垣「『開けてみてもいい?』だそうだ」
綾乃「ええ、どうぞ……私も何を渡したのか知りたいですし」
りせ「……」シュルシュル
パサッ
りせ「!」
綾乃「これは……!」
千歳「わー、ヘアピンやん~」
櫻子「すごーい、たくさん!」
向日葵「よくもまあこれだけ詰め込みましたわね……」
西垣「杉浦、どれか一つ松本に付けてやってくれないか」
綾乃「へっ!? ああ、はい。じゃあ、会長……」スッ
パチッ
向日葵「会長、とても可愛らしいですわ!」
櫻子「チョーかわいーです!」
千歳「爆弾型とは気が効いとるな~」
綾乃「……そうかしら!?」
りせ「……」チラッ
西垣「ああ、よく似合ってるぞ」ナデナデ
りせ「……」ポワワワワワ
綾乃「ところでなんで私から会長へのプレゼントでヘアピンなんですか?」
西垣「杉浦と言ったらヘアピンだからだ」
綾乃「? あの、私ヘアピンなんて付けてないんですけど……」
西垣「それかネギ」
綾乃「!!?」
まひるとミクかwwww
千歳「次はうちやな!」キュピーン
西垣「お、自信満々だな池田」
千歳「任しといてや先生~」フッフッフ
綾乃「……あの、千歳」
千歳「ん? なぁに綾乃ちゃん」
綾乃「………………漬物じゃないわよね?」
千歳「あはは、ちゃうから安心してええよー」
綾乃「そ、そう? いえ、別に漬物が悪いとは言ってないんだけどね」
千歳「はい会長、うちからの誕生日プレゼントですー」スッ
りせ「……」
西垣「『ありがとう』と言っているぞ」
千歳「ささ、早速開けてみてください」
りせ「……」コクン
シュルシュル...パサッ
りせ「……!」
綾乃「これ、眼鏡……?」
千歳「うん、安物やけど伊達眼鏡にしてみてん」
西垣「ほー、これはこれで池田らしいチョイスだな」
向日葵「でも、会長と眼鏡って中々イメージが繋がりませんわね」
千歳「そぉ? うち的には、会長って物静かで可愛らしい人やし、似合うかなー思ってんけど」
櫻子「じゃあ掛けてみましょーよ!」
西垣「だな。松本、掛けてみてくれるか?」
りせ「……」スチャッ
カッッッッッッッッッッッッッッッッ
「「「「「ま、眩しィー!!?」」」」」
千歳「やっぱりうちの目に狂いはなかった! 会長は船見さん以来の逸材やったんやー!!」
綾乃「言ってる場合!? 目が、目がァア~~!」
>>139
そういや、西垣先生も出ていたのを思い出した
バツイチ、ミニコン姉だったな
りせ「……」キリッ
西垣「『水金地火木土天海冥』とキメ顔で言っているぞ」
綾乃「何故……」
千歳「あ、それとはりはり漬け食べますー?」
綾乃「結局あるんかい!」
りせ「……」ハリハリハリハリ
櫻子「」ハリハリ
櫻子「次は私だー!」ハリハリ
向日葵「はりはり漬け飲み込んでから喋りなさいな……って! あなただけのプレゼントじゃありませんわよ!?」
綾乃「どういうこと?」
向日葵「私達のプレゼントは合作なんですの。と言っても、櫻子がしたことなんてタカが知れてますけど……」フゥ
櫻子「なにをぅ!? 私すげー頑張ったじゃんか!」
向日葵「まあ……つまみ食いをしなかった分、櫻子にしては上出来かしらね」フンッ
櫻子「え? ちょ、上出来とか褒めすぎじゃない……? 照れるじゃん///」ヒャー
向日葵「皮肉が通じない!?」
千歳「つまみ食いってことは、古谷さん達も食べ物なん?」
向日葵「ええ、私の得意な……」
千歳「ぬか漬け?」 向日葵「いえ」 千歳「奈良漬け?」 向日葵「いえ」
千歳「……」
向日葵「……」
千歳「……うちと被ったとか……!?」ゴゴゴ
向日葵「お……お漬物から離れてくださいます!?」
櫻子「会長、誕生日おめでとうございまーす!」
向日葵「これが私達からのプレゼントですわ」
パカッ
綾乃「わぁっ……綺麗なケーキ!」
千歳「これ手作りなん? すごいやーん」
りせ「……!」キラキラ
西垣「良かったな松本。甘いもの好きだもんな」
りせ「」コクコクコクコク
櫻子「やったじゃん向日葵!」ニカッ
向日葵「ええ……喜んでいただけて光栄ですわ」ニコッ
櫻子「これも櫻子様の協力のおかげだね!」
向日葵「はあっ!? あなた味見しかしてないでしょう!?」
櫻子「ああん!? 私が味見してやんなきゃ向日葵がブクブク太るんだぞ!?」
ギャーギャー
りせ「……」ジュルリ
ケーキを見た後の会長の反応がカワイイ
西垣「松本」
りせ「……」
西垣「どうだ、驚いたろう?」フフン
りせ「……」
西垣「はは、それは良かった。私も根回しに駆けずり回った甲斐があったってもんだ」
りせ「……」
西垣「ん?」
りせ「……」ペコッ
西垣「おいおい、今日の主役は松本なんだぞ? もっと堂々としておけ」
りせ「……」
西垣「それにな、松本。このパーティー自体が、私からの誕生日プレゼントなんだ」
りせ「……?」
4
西垣「お前には何かと世話になりっぱなしだからなぁ……」
りせ「……」
西垣「楽しいもんだろ? 同世代の友達と一緒にはしゃぐのは」
綾乃「先生……」
西垣「いつも実験に付き合わせてるお詫びに、たまには普通の女子中学生としての幸せをプレゼントする……どうだ、粋だろう?」キリッ
りせ「……」
西垣「幸い、『ゆるゆり』はサザエさん時空だしな。これからは、私ばかりに構ってないで、杉浦達と一緒に――」
グイッ
西垣「んぉ?」
りせ「――」
チュッ
西垣「!?」
「「「!!?」」」
綾乃「Σ∵」
まさかの
ほ
りせ「……っ」チューーー
西垣「む、むぐ、むーっ」ギブギブ
綾乃「∵」
千歳「これは……これは……」ダバダバダバ
櫻子「ひ、向日葵! あれ、ちゅーって! ちゅーって!」アワワワ
向日葵「はっ!? み、見ちゃいけませんわ櫻子っ!」バッ
りせ「……」
スッ
西垣「っぷは! ま、松本、お前……!」
りせ「……」
西垣「いや、その、なんだ……ダメとかそういう話じゃなくてだな……そう、節度! 何事も節度が」
りせ「……」
西垣「は、はい」
りせ「……」
西垣「………………ああ。わかったよ、まったく」
千歳「あのー先生?」
西垣「ん? なんだ池田」
千歳「キメ顔で『ああ。わかったよ、まったく』とか言うのはええんやけど、うちらに説明とかしてくれへんの?」
西垣「してくれへん」
千歳「えー……」
向日葵「ここがクライマックスということだけ辛うじて分かりますけど……」
西垣「それだけわかればいい」
向日葵「えー……」
櫻子「ここって会長の声が私達にも聞こえる感動のシーンじゃないんですか!?」
西垣「ない」
櫻子「えー……」
西垣「この感動も、松本も、全て私の独り占めだ! 誰にも少しも、譲ってやらん!」キリッ
りせ「……」ポワ
西垣「あーなんかテンション上がってきた。景気づけにもう一爆破いっとくか!」
「「「え!!?」」」
西垣「おっ丁度いい所に発破の達人が!」
池田「ちょ、先生? それはどうかと思うけどなー……」
西垣「もう一回遊べるボム!!」
池田「ちっとも聞いてへん!?」
西垣「さて曲はー……ええい、どうせすぐ爆発するんだ、どれでもいい!」ポチポチ
池田「あ、アカン! 古谷さん大室さん、ケーキ持って退避ー!」
「「は、はいぃ!」」ダッ
りせ「……」
ススス...ピトッ
西垣「ん?」
りせ「……」
西垣「……よし、一緒にやるか!」ニヤリ
りせ「……」コクン
綾乃「あ、あら……? 私、今まで何をしてたのかしら……?」ハッ
西垣「行くぞ松本! せーのっ――」グッ
りせ「――」グッ
綾乃「へ――?」
,,-' _,,-''" "''- ,,_  ̄"''-,,__ ''--,,__
,,-''" ,, --''"ニ_―- _ ''-,,_ ゞ "-
て / ,,-",-''i|  ̄|i''-、 ヾ {
(" ./ i {;;;;;;;i| ・ .|i;;;;;;) ,ノ ii ←このへんに綾乃
,, ( l, `'-i| |i;;-' ,,-'" _,,-"
"'-,, `-,,,,-'--''::: ̄:::::::''ニ;;-==,_____ '" _,,--''"
._,,-'ニ-''ニ--''" ̄.i| ̄ |i-----,, ̄`"''-;;::''-`-,,
,,-''::::二-''" .--i| .|i "- ;;:::`、
._,-"::::/  ̄"''--- i| |i ヽ::::i
.(:::::{:(i(____ i| .|i _,,-':/:::}
`''-,_ヽ:::::''- ,,__,,,, _______i| .|i--__,,----..--'''":::::ノ,,-'
"--;;;;;;;;;;;;;;;;;""''--;;i| .|i二;;;;;::---;;;;;;;::--''"~
 ̄ ̄"..i| .|i
.i| |i
i| |i
.i| .|i
.i| |i
.i| ,,-、 、 |i
i| ノ::::i:::トiヽ、_.|i
_,, i|/"ヽ/:iヽ!::::::::ノ:::::Λ::::ヽ|i__n、ト
,,/^ヽ,-''":::i/::::::::/:::::|i/;;;;;;/::::;;;;ノ⌒ヽノ::::::::::::ヽ,_Λ
;;;;;;:::::;;;;;;;;;;:::::;;;;;;;;:::/;;;;;;:::::::::;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::;;:;;;;:::ヽ
りせ「……」
西垣「『奈々にゃん大好き☆』と言ってるぞ!!」
りせ「///」 -完-
というわけで会長お誕生日おめでとうございます
途中ミス連発したのはすまんこってした
西りせ増えろ
乙!!
そして、会長お誕生日おめでとう
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