三尋木「針生さーん、一緒にご飯食べねー?」針生「え、えぇ?」(86)

たまには大人な百合もいいと思う

三尋木「おお針生さん、おっかれさーん」フリフリ

針生「ああ、三尋木プロ。お疲れ様です」ペコッ

三尋木「おやや? 針生さんはまだ終わりじゃないの?」パチクリ

針生「ええ、今日の対局レポートや試合後の選手たちについての報告があるので」

三尋木「あそう。アナウンサーって大変だねー」ケラケラ

針生「」イラッ



こんな感じ?

針生「……失礼します」

三尋木「あーもう待ってよー。まだ話したかったのにー」バサッ

針生「仕事があるので」

三尋木「それどれくらいかかんのー?」

針生「さぁ? さっき言ったのと明日の打ち合わせもあるので……夜まではかかりますよ」

三尋木「マジでー?」フリフリ

針生(早くと帰ったらいいのに……)

三尋木「ま、いっか」

針生「……いいですか? じゃあ失礼しますよ」スタスタ

三尋木「ああそうだ針生さん」バシッ

針生「何ですかもうっ! 用があるなら早く──」

三尋木「仕事終わったら一緒にご飯食べねー?」ニコニコ

針生「言ってくだ……はい?」キョトン

三尋木「ご飯」ニコニコ

針生「……えぇ?」

──

針生「な、何で来たんだろ私……」

三尋木「んー? 何か言ったー?」パタパタ

針生「いえ別に。ところで三尋木プロ」

三尋木「うんー?」

針生「プライベートでもそういう衣服を着てらっしゃるんですね」

三尋木「ふふーん、まぁねー」ヒラヒラ

針生(何でドヤ顔?)

三尋木「いやねー? 昔はなんつーか、勝負服ー! って感じのつもりで着てたんだけどさー」

針生(何か語り始めた)

三尋木「タイトル戦って今テレビ中継されるじゃん?」

三尋木「あれで何か私のキャラ固定されちゃったみたいでさー。脱ぐに脱げねーの」ケラケラ

針生「はぁ、なら別にプライベートじゃ構わないんじゃ……?」

三尋木「えー? だって最近針生さんと仕事多いし」ケロッ

針生「……? どういう──」

三尋木「あっ、着いたよー。ここここ!」パタパタ

針生「あっ、ちょっと三尋木プロ!? 待って──」ダッ

針生(最近一緒の仕事多いって……だからそれは仕事でしょう?)イラッ

針生「って、ここ……ですか?」

三尋木「そだよー。あ、もしかして針生さん中華苦手だった?」ハッ

針生「いえ、それは大丈夫ですけど──」

三尋木「そっか! 良かったー!」ニコニコ

針生「すごい高そうなんですけど……」

キラキラー

三尋木「えー? そうでもないよ?」キョトン

三尋木「っていうか、そもそも私から誘ったんだから私が奢るよー?」フリフリ

針生(……初めてこの人が普通のこと言った気がする……)

針生(でも)

針生「……いえ、お気持ちはありがたいですけど、悪いですよ」

三尋木「えー」

針生(あなたにあまり借りを作りたくないのよ)

食事中

三尋木「やー、針生さんって固いねー。払いなんて気にしないでいいのに」モグモグ

針生「そういうわけにはいきません。あまりこの世界で……」モグ

針生「……あ、美味し」パチクリ

三尋木「んーはっはっ! そりゃ良かった! どんどん食べてねー」パタパタ

針生「いや、だからワリカンですってば!」イラッ

三尋木「あー楽しかったー! 針生さんも気に入ったみたいで良かったよ!」ニコニコ

針生「……ええ、お料理は美味しかったですよ──」

針生(……流石に高かった。やっぱ普通に高級店だったじゃないの……)

針生(これで普通とか、金銭感覚おかしいわよこの人──っ)イラッ

針生「……ま、また機会があったら誘ってください」ニコッ

三尋木「!! お、おほうっ! また一緒に行こっかー!」パァッ

針生(二度と誘わないで欲しいなー……)

────

「お疲れ様でーす」

「様でーす」

三尋木「~~♪」フンフン

三尋木「あっ!」

針生「──」

三尋木「針生さ」

針生「はい……申し訳ありません……」ボソボソッ

三尋木「?」キョトン

針生「はい……はい……」ボソボソ

三尋木(電話?)

針生「はい……分かっています」

針生「申し訳ありませんでした……」ペコッ

ピッ

針生「……はぁ」

針生「……?」フイッ

三尋木「あっ」ビクッ

針生「……聞いてたんですか?」ジッ

三尋木「──! あ、いやー、ごめんごめん! 姿見えたから話しかけようとしたら、電話中だったみたいで……」フリフリ

針生「……そうですか……」プイッ

針生「…………」

三尋木「……あの、どうしたの?」

針生「三尋木プロには関係ありません」ズバッ

三尋木(……あ)シュン

三尋木「…………」

針生「……何ですか?」ジッ

三尋木「……あ、あの……っ」

針生「…………はぁ」

針生「……別に。ちょっと怒られただけですよ」

針生「『女子アナが出しゃばるな』とか、『誰もお前の意見なんか聞いてない』……ですって」

三尋木「……ま、まぁ! たまには怒られることもあるって!」パチパチ

三尋木「そうだ! もし良かったら針生さん──」

針生「三尋木プロ」

三尋木「ん?」クイッ

針生「失礼します」スタスタ

三尋木「……んんー」ガクッ

針生(こんな気分であの人の相手してたら、絶対我慢出来ないわ)スタスタ

針生(間違いなく途中でぶちギレる)スタスタ

針生(そうなったら今後の仕事に影響するし、何より彼女に悪いわ)スタスタ

針生(──ん?)ピタッ

針生(……彼女に悪い?)

針生(……私、彼女のこと嫌いだったわよね?)キョトン

『あそう。アナウンサーって大変だねー』

『えー? そうでもないよ?』

針生(……嫌い)

『おお針生さん、おっつかれさーん』

『あーもう待ってよー。まだ話したかったのにー』

針生(……)キュン

針生「……いや、いやいやいや」ブンブン

針生「まさかそんな、ねー?」

針生「あんなよく分かんない人──」

三尋木「あ、針生さーん」

針生「っ!?」ビクッ

三尋木「?」

三尋木「良かった追い付いたー」ピョンピョン

針生「何ですかもうっ! 用があったならさっき済ましてくださいよ!」イライラ

三尋木「いや、だって針生さんさっさと行っちゃうし」

針生「──っ! で? 何ですか一体っ?」

三尋木「これっ」スッ

針生「?」

針生「……これ、今度のタイトル戦のチケット?」

三尋木「そうそう。今時珍しく卓のある会場でそのまま観戦出来るタイトル戦だよー」ヒラヒラ

針生「……これが何か?」

三尋木「いや、私出るからさ」

針生「……? 頑張ってください?」

三尋木「じゃなくてっ!」

三尋木「……見に来て欲しいなって」ニコッ

針生「……えぇっ!?」

針生「なっ、何ですか?」

三尋木「うん? 針生さんには私の麻雀を近くで見てて欲しいなー」フリフリ

針生「はぁっ!?」カァ

三尋木「外野は何や言ってるかも知んないけどさー」クルクル

三尋木「私は実況中に針生さんが話してること、結構好きだよ?」ニコッ

針生「!」

三尋木「何だろうなー? 針生さん、よく選手と同じ目線に立って話するよねー」

針生「は、はぁ」ポリポリ

三尋木「それがいいのかもねー。私らはもうどうやっても、あの舞台には立てないから」フリフリ

三尋木「知らんけど」

針生「……」

三尋木「だからまぁ、そんな針生さんに」クルッ

三尋木「私と同じ視点から、一緒に対局して欲しいわけよ」ビシッ

三尋木「……駄目っ?」

針生「……あ、その──」アタフタ

針生「……まぁ、いいです……よ?」

三尋木「────っ!」ガシッ

針生「……」ポリポリ

三尋木「……ふふっ。よろしくねー?」ギュッ

針生「……は、はい──」カァッ

おしまい

へへ、こないだ書いたレイパー咲さんと感じが違いすぎて困ったぜ

決勝はすこやんか三尋木さんかどっちが来るか楽しみっすね

おやすみ

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