たまには大人な百合もいいと思う
三尋木「おお針生さん、おっかれさーん」フリフリ
針生「ああ、三尋木プロ。お疲れ様です」ペコッ
三尋木「おやや? 針生さんはまだ終わりじゃないの?」パチクリ
針生「ええ、今日の対局レポートや試合後の選手たちについての報告があるので」
三尋木「あそう。アナウンサーって大変だねー」ケラケラ
針生「」イラッ
こんな感じ?
針生「……失礼します」
三尋木「あーもう待ってよー。まだ話したかったのにー」バサッ
針生「仕事があるので」
三尋木「それどれくらいかかんのー?」
針生「さぁ? さっき言ったのと明日の打ち合わせもあるので……夜まではかかりますよ」
三尋木「マジでー?」フリフリ
針生(早くと帰ったらいいのに……)
三尋木「ま、いっか」
針生「……いいですか? じゃあ失礼しますよ」スタスタ
三尋木「ああそうだ針生さん」バシッ
針生「何ですかもうっ! 用があるなら早く──」
三尋木「仕事終わったら一緒にご飯食べねー?」ニコニコ
針生「言ってくだ……はい?」キョトン
三尋木「ご飯」ニコニコ
針生「……えぇ?」
──
針生「な、何で来たんだろ私……」
三尋木「んー? 何か言ったー?」パタパタ
針生「いえ別に。ところで三尋木プロ」
三尋木「うんー?」
針生「プライベートでもそういう衣服を着てらっしゃるんですね」
三尋木「ふふーん、まぁねー」ヒラヒラ
針生(何でドヤ顔?)
三尋木「いやねー? 昔はなんつーか、勝負服ー! って感じのつもりで着てたんだけどさー」
針生(何か語り始めた)
三尋木「タイトル戦って今テレビ中継されるじゃん?」
三尋木「あれで何か私のキャラ固定されちゃったみたいでさー。脱ぐに脱げねーの」ケラケラ
針生「はぁ、なら別にプライベートじゃ構わないんじゃ……?」
三尋木「えー? だって最近針生さんと仕事多いし」ケロッ
針生「……? どういう──」
三尋木「あっ、着いたよー。ここここ!」パタパタ
針生「あっ、ちょっと三尋木プロ!? 待って──」ダッ
針生(最近一緒の仕事多いって……だからそれは仕事でしょう?)イラッ
針生「って、ここ……ですか?」
三尋木「そだよー。あ、もしかして針生さん中華苦手だった?」ハッ
針生「いえ、それは大丈夫ですけど──」
三尋木「そっか! 良かったー!」ニコニコ
針生「すごい高そうなんですけど……」
キラキラー
三尋木「えー? そうでもないよ?」キョトン
三尋木「っていうか、そもそも私から誘ったんだから私が奢るよー?」フリフリ
針生(……初めてこの人が普通のこと言った気がする……)
針生(でも)
針生「……いえ、お気持ちはありがたいですけど、悪いですよ」
三尋木「えー」
針生(あなたにあまり借りを作りたくないのよ)
食事中
三尋木「やー、針生さんって固いねー。払いなんて気にしないでいいのに」モグモグ
針生「そういうわけにはいきません。あまりこの世界で……」モグ
針生「……あ、美味し」パチクリ
三尋木「んーはっはっ! そりゃ良かった! どんどん食べてねー」パタパタ
針生「いや、だからワリカンですってば!」イラッ
三尋木「あー楽しかったー! 針生さんも気に入ったみたいで良かったよ!」ニコニコ
針生「……ええ、お料理は美味しかったですよ──」
針生(……流石に高かった。やっぱ普通に高級店だったじゃないの……)
針生(これで普通とか、金銭感覚おかしいわよこの人──っ)イラッ
針生「……ま、また機会があったら誘ってください」ニコッ
三尋木「!! お、おほうっ! また一緒に行こっかー!」パァッ
針生(二度と誘わないで欲しいなー……)
────
「お疲れ様でーす」
「様でーす」
三尋木「~~♪」フンフン
三尋木「あっ!」
針生「──」
三尋木「針生さ」
針生「はい……申し訳ありません……」ボソボソッ
三尋木「?」キョトン
針生「はい……はい……」ボソボソ
三尋木(電話?)
針生「はい……分かっています」
針生「申し訳ありませんでした……」ペコッ
ピッ
針生「……はぁ」
針生「……?」フイッ
三尋木「あっ」ビクッ
針生「……聞いてたんですか?」ジッ
三尋木「──! あ、いやー、ごめんごめん! 姿見えたから話しかけようとしたら、電話中だったみたいで……」フリフリ
針生「……そうですか……」プイッ
針生「…………」
三尋木「……あの、どうしたの?」
針生「三尋木プロには関係ありません」ズバッ
三尋木(……あ)シュン
三尋木「…………」
針生「……何ですか?」ジッ
三尋木「……あ、あの……っ」
針生「…………はぁ」
針生「……別に。ちょっと怒られただけですよ」
針生「『女子アナが出しゃばるな』とか、『誰もお前の意見なんか聞いてない』……ですって」
三尋木「……ま、まぁ! たまには怒られることもあるって!」パチパチ
三尋木「そうだ! もし良かったら針生さん──」
針生「三尋木プロ」
三尋木「ん?」クイッ
針生「失礼します」スタスタ
三尋木「……んんー」ガクッ
針生(こんな気分であの人の相手してたら、絶対我慢出来ないわ)スタスタ
針生(間違いなく途中でぶちギレる)スタスタ
針生(そうなったら今後の仕事に影響するし、何より彼女に悪いわ)スタスタ
針生(──ん?)ピタッ
針生(……彼女に悪い?)
針生(……私、彼女のこと嫌いだったわよね?)キョトン
『あそう。アナウンサーって大変だねー』
『えー? そうでもないよ?』
針生(……嫌い)
『おお針生さん、おっつかれさーん』
『あーもう待ってよー。まだ話したかったのにー』
針生(……)キュン
針生「……いや、いやいやいや」ブンブン
針生「まさかそんな、ねー?」
針生「あんなよく分かんない人──」
三尋木「あ、針生さーん」
針生「っ!?」ビクッ
三尋木「?」
三尋木「良かった追い付いたー」ピョンピョン
針生「何ですかもうっ! 用があったならさっき済ましてくださいよ!」イライラ
三尋木「いや、だって針生さんさっさと行っちゃうし」
針生「──っ! で? 何ですか一体っ?」
三尋木「これっ」スッ
針生「?」
針生「……これ、今度のタイトル戦のチケット?」
三尋木「そうそう。今時珍しく卓のある会場でそのまま観戦出来るタイトル戦だよー」ヒラヒラ
針生「……これが何か?」
三尋木「いや、私出るからさ」
針生「……? 頑張ってください?」
三尋木「じゃなくてっ!」
三尋木「……見に来て欲しいなって」ニコッ
針生「……えぇっ!?」
針生「なっ、何ですか?」
三尋木「うん? 針生さんには私の麻雀を近くで見てて欲しいなー」フリフリ
針生「はぁっ!?」カァ
三尋木「外野は何や言ってるかも知んないけどさー」クルクル
三尋木「私は実況中に針生さんが話してること、結構好きだよ?」ニコッ
針生「!」
三尋木「何だろうなー? 針生さん、よく選手と同じ目線に立って話するよねー」
針生「は、はぁ」ポリポリ
三尋木「それがいいのかもねー。私らはもうどうやっても、あの舞台には立てないから」フリフリ
三尋木「知らんけど」
針生「……」
三尋木「だからまぁ、そんな針生さんに」クルッ
三尋木「私と同じ視点から、一緒に対局して欲しいわけよ」ビシッ
三尋木「……駄目っ?」
針生「……あ、その──」アタフタ
針生「……まぁ、いいです……よ?」
三尋木「────っ!」ガシッ
針生「……」ポリポリ
三尋木「……ふふっ。よろしくねー?」ギュッ
針生「……は、はい──」カァッ
おしまい
へへ、こないだ書いたレイパー咲さんと感じが違いすぎて困ったぜ
決勝はすこやんか三尋木さんかどっちが来るか楽しみっすね
おやすみ
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません