橘「今週末は一人で留守番か~...」 桜井(チャンス!!) (127)

アマガミSSです。今更な感じですが、楽しんでいただければ幸いです。

登場人物 橘 桜井 絢辻 棚町 美也

※橘と桜井メインなので、他の人物の出番は少ししかないです


過去作品

七咲「好きです!!」 橘「またまたご冗談を」
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橘「な、なんで僕が女の子になってるんだ!?」
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森島・絢辻・棚町・桜井・中多・七咲・上崎「あなたを私達のものにします!!」
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橘「だって薫には彼氏がいるんだろ?」薫(...裏目にでたわ)
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木曜日 茶道部 部室


橘「は~... やっぱりコタツはいいですね~」ヌクヌク

夕月「そうだろ、そうだろ~? うちの部員になれば毎日、コタツで暖まれるぞ?」

飛羽「...入り浸り」

橘「はは、家にもコタツがあるからそれで十分ですよ」

夕月「そうかー。あんたが入部してくれたら、りほっちも喜ぶんだけどなぁ」

飛羽「...残念」

橘「と、ところで梨穂子はまだ来てないんですか?」

夕月「ああ、りほっちならお菓子の買い出しに行ってるよ」

飛羽「...ショッピング」

夕月「あの子のお菓子を見る目は確かだからね~」

飛羽「...もはや神の領域」

橘「ああ、確かに梨穂子が薦めるお菓子はいつも美味しいんですよね」

夕月「そうそう、だからついつい食べ過ぎちゃうんだよな、これが」

飛羽「...体重増加」

橘「でも、お二人共、ほっそりとしてますけど...?」

飛羽「...私が考案した特別なダイエットがある」

夕月「これが効果バツグンなんだよ」

橘「へぇ~。一体、どんなダイエットなんですか?」

飛羽「まずはオケラを...

橘「いや、やっぱり聞きたくないです」

夕月「あはは。冗談だっての」

飛羽「...アメリカンジョーク」

橘「飛羽先輩が言うと、冗談に聞こえないんですよ...」

夕月「まぁまぁ。あ、お茶のおかわりでもいるかい?」

橘「いえ、そろそろお暇します」

夕月「あ~ん? あたしのお茶が飲めないってのか?」

飛羽「...もうすぐ、りほっちも来る」

橘「いや、いつもなら頂くんですが、ちょっと用事がありまして」

夕月「用事?」

橘「ええ、両親が出張で週末いないから、買い出しをしておかないと」

飛羽「...両親が出張?」

橘「妹も友達のところに泊まりに行くみたいだから、僕ひとりなんですよね」

夕月「...ほほう、週末はお前ひとりだけなのか」

橘「ええ、友人達も予定があるらしくて」

飛羽「...独り寂しい週末」

橘「はは。全くその通りなんですよ」

夕月「そうかそうか。そりゃ、しょうがない」

飛羽「...行くがいい」

橘「すみません。ではそうさせていただきますね」

・・・・・
・・・・
・・・

夕月「...どう思う、愛歌?」

飛羽「...チャンス到来」

夕月「ああ。りほっちに教えてやらないとな」ニヤリ

金曜日 朝 教室


梅原「よう、大将!! 今日も寒いなぁ」

橘「おはよう、梅原。最近、ますます冷え込んでる気がするよ」

梅原「ああ、布団から出るのが億劫になるぜ...」

橘「はは、そうだな」

棚町「おっはよ~。二人とも」

田中「おはよう、梅原君、橘君」

梅原「おっす」

橘「おはよう、薫、田中さん」

棚町「あ~、寒かった!!」

田中「教室、暖かいね~」

棚町「いや~、手袋忘れたから、両手が冷えっ冷えだわ」ピト

橘「冷た!! な、何するんだ、薫!!」

棚町「何って、手を温めてるのよ?」モゾモゾ

橘「僕の背中で温めようとするな!!」

棚町「え~、いいじゃな~い。あたしとあんたの仲でしょ?」ニヤニヤ

橘「だからって、うわぁ、手を動かすな!! 脇腹をつかむな!!」

棚町「あはははは!! こら、逃げないの!!」

梅原「やれやれ、朝から見せつけてくれぜ」

田中「あはは... 本当だね」

・・・・・
・・・・
・・・

ドアの外

桜井「うう~... あんな雰囲気じゃ誘えないよ~」

伊藤「ほんっと、あのふたりは仲がいいわね...」

桜井「ど、どうしよう、香苗ちゃん?」

伊藤「任せなさい、桜井。ここは助っ人を頼みましょう」

桜井「助っ人? 誰のこと~?」

伊藤「ふふ~ん、あたしの相方よ♪」

桜井「も、もしかして、梅原君!? いつの間に~?」

伊藤「あ、あたしのことはいいから!!///」

伊藤「なんとしても週末、橘君とお泊りデートをするのよ!!」

桜井「う、うん!! 頑張るよ!!」

昼休み 教室


梅原「大将、今日の昼飯はどうすんだ?」

橘「そうだな...」

梅原「たまにはテラスでも行かないか?」

橘「ええ、こんな寒い日に!?」

梅原「ま、まぁまぁ。寒い日に外で食べるラーメンもいいもんだぜ?」

橘「そ、そうか...?」

梅原「いいじゃねぇか、俺がおごってやるからさ!!」

橘「まぁ、そう言うなら...」

梅原「よし、決まりだ!! 早く行こうぜ!!」

橘「お、おい、梅原。待ってくれよ」

・・・・・
・・・・
・・・

テラス


橘「うう、やっぱり寒いな」

梅原「ああ、尋常じゃないくらいな...」

橘「ここにいるのって僕たちだけなんじゃないか...」

梅原「そうだな...」

橘「僕、やっぱり中で食べるよ」

梅原「ああ、ちょっと待ってくれ、大将!!」

橘「だって寒すぎるよ...」

梅原「も、もうちょっと冬の季節感を味わってだな...」

梅原(香苗さん、早く来てくれ...!!)

伊藤「お~い、そこのお二人さん!!」

橘「え? あ、香苗さんと梨穂子じゃないか」

桜井「こ、こんにちは。純一」ドキドキ

伊藤「こんな寒い日にテラスでご飯食べてるの?」

桜井「風邪ひいちゃうよ~?」

橘「いや、梅原がどうしてもって言うから」

梅原「いやぁ、寒い中で食べるラーメンもいいもんかな、と思ってな」

伊藤「ふ~ん... 変わった趣味してるわね」

梅原(香苗さん... 呼び出しておいてそれはないぜ...)ガックリ

伊藤(ごめん、正吉君!! あとで埋め合わせはするから)

桜井「と、ところで純一。昨日、私が部室に来る前に帰っちゃったんだって?」

橘「ああ、ちょっと用事があったんだ」

梅原「おいおい、可愛い幼馴染を放って帰るなんて、どんな用事だったんだ?」

伊藤「あ、私も気になる!!」

橘「大した用事じゃないよ。週末、両親が出張で、僕独りだから買い出しに行っただけさ」

梅原「ああ、そういえばそう言ってたな」

伊藤「へ~、そうなんだ。でも橘君って料理できるの?」」

橘「あまり得意じゃないんだけどね。まぁ、普通かなぁ」

橘「昨日の買い出しも洗剤ばっかりで、食材は買ってないし」

橘「インストタントやレトルトで十分だよ」

梅原「だったら、桜井さんに作りに来てもらえばどうだ?」

桜井「ええっ!?」

伊藤(正吉君、グッジョブ!!)

伊藤「あ、それいいわね。桜井、あんたはどう?」

桜井「わ、私!? ええと... 週末は特に予定は無いよ~///」

橘「い、いや。それはまずいだろ... 美也もいないし」

桜井「お、お母さんには私から言っておくよ!! 家も近所だし!!」

伊藤「ついでに泊まっちゃえば?」

橘「ええっ!? それはさすがに...」

桜井「純一の家なら、お父さんも許してくれると思う...///」

桜井「ちょうど、新作のお菓子のレシピも仕入れたところだし...」

梅原(頑張れ、桜井さん!! もうひと押しだ!!)

桜井「ね、駄目かな...?///」ドキドキ

伊藤「橘君だって、桜井の料理の上手さは知ってるでしょ?」

伊藤「この際、作りに来てもらえばいいじゃん!!」

橘「う~ん... まぁ、梨穂子がいいって言うなら...///」

橘「確かに梨穂子の料理は美味しいし、料理するの面倒だったしな」

伊藤・梅原(よっしゃ!!)

桜井「う、うん!! えへへ、お安い御用だよ~///」

伊藤「よかったね~、桜井?」

桜井「か、香苗ちゃん!! も~///」

橘(なんか、半ば強引に決まったような気がするけど...)

橘(まぁ、梨穂子が来てくれるならいいか///)

梅原「さて、じゃあそろそろ戻ろうぜ」

橘「ああ、そうだな」

放課後 教室


薫「純一、一緒に帰らない?」

橘「ごめん、今日はちょっと用事があるんだ」

薫「え~、せっかくあたしが誘ってあげてるのに~!?」

橘「なんで上から目線なんだよ」

薫「当然でしょ~。あたしのようないい女のお誘いを断るなんてさ」

薫(最近、絢辻さんの手伝いばっかりで一緒に帰れないのに...)ムスー

橘「はいはい、また今度誘ってくれよ。じゃあな」

薫「今度、純一のおごりだからねー」

・・・・・
・・・・
・・・

校門 

桜井「おーい。純一~」

橘「悪い、梨穂子。少し遅れたな」

桜井「私も来たばかりだから平気だよ~」

橘「そのわりには鼻が赤いぞ」

桜井「ええっ!?」

橘「ずっと待っててくれたんだろ? ごめんな」

桜井「えへへ...///」

橘「ほら、これ」ファサ

桜井「へ? 純一のマフラー?」

橘「これで少しは暖かいだろ?」

桜井「で、でもこれじゃ純一が...」

橘「僕は平気さ。ほら、早く行かないとお店が閉まっちゃうぞ?」

桜井「う、うん!! ありがとう、純一///」

商店街 アーケード


桜井「それで、明日、純一はどんなのが食べたいの?」

橘「う~ん... なんでもいいぞ?」

桜井「え~、それが一番困るよ~」

橘「でも、梨穂子の作る料理は本当に美味しいからなぁ」

橘「何を食べても外れがないんだよな」

桜井「そ、そうかな///」

桜井「でも本当になにかリクエストはないの?」

橘「う~ん...それじゃあ、鍋がいいかな」

桜井「お鍋?」

橘「うん、温まるし、冬の醍醐味って感じだし」

桜井「そうだね~。うん、お鍋にしようか」

橘「よし、そうと決まれば早速、食材を買いにいくか!!」

桜井「うん!!」

商店街 スーパー


桜井「えーと... お豆腐、ネギ、豚バラ肉と...」

橘「えのき茸も忘れずにな」

桜井「あ、そうだった。野菜売り場へ戻らないと~」

橘「ニラも入れたら美味しいんじゃないか?」

桜井「あ、それもいいね~♪」

桜井(えへへ~、なんだか新婚さんみたいで嬉しいな♪///)

橘「締めはどうする? やっぱり雑炊だよな」

桜井「へ? うどんじゃないの?」

橘「え? うどんなのか?」

桜井「え? 違うの?」

橘「...」

桜井「...」

橘「梨穂子、明日の鍋ってもつ鍋だよな?」

桜井「ええっ!? 豆乳鍋じゃないの?」

橘「いやいや、もつ鍋だろ?」

桜井「ええ~、豆乳鍋も美味しいんだよ~?」

橘「プリプリとしたもつの食感と、ピリ辛味噌のスープが絶妙なんだぞ?」

桜井「豆乳のコクと、豚バラ肉の肉汁の組み合わせは鉄板なんだよ?」

橘・桜井「むむむ~...」

橘「じゃあ、両方組み合わせて『豆乳もつ鍋』なんてどうだ?」

桜井「あ、それ美味しそう~!!」

橘「これだったら僕も梨穂子も満足できるし」

桜井「うん、そうだね~♪ でも...」

橘「ん? どうした?」

桜井「さっき、何でもいいって言ったのは誰でしたかね~?」ニヤニヤ

橘「う... な、鍋にはこだわりがあるんだよ」

桜井「あはは、冗談だよ~」

・・・・・
・・・・
・・・

スーパー 物陰


夕月「しかしまぁ、見てるこっちが恥ずかしくなるくらいだね」

飛羽「...バカップル」

夕月「鍋の献立で、ああもイチャつけるのが羨ましいよ、まったく」

飛羽「...同感」

夕月「鍋といったらカニ鍋の一択だろーに」

飛羽「...甘い。もつ鍋こそが至高」

夕月「おいおい、愛歌。本気かい?」

飛羽「...もつの食感と、味噌ともつの旨みを吸った野菜の組み合わせ」

飛羽「まさに鍋の王様。 ...橘はわかっている」

夕月「はっ!! プリプリのカニとシャキシャキとした春菊の組み合わせ!!」

夕月「これこそが鍋の王道さ!!」

夕月・飛羽「むむむ~...」

夕月「...よし、そこまで言うなら決着をつけよう」

飛羽「...望むところ」

夕月「勝負は麻雀で!! いいかい?」

飛羽「...面子はどうする?」

夕月「あたしと愛歌、そしてりほっちと橘に決まってる!!」

飛羽「...いいだろう。ところで」

夕月「あれ、りほっち達は?」

飛羽「...とっくに店を出て行った」

・・・・・
・・・・
・・・

帰宅途中 住宅街


橘「結構、買ったな」

桜井「大丈夫。重くない?」

橘「平気だよ、これくらい」

桜井「ついつい、いっぱい買っちゃったね~」

橘「はは。そのぶん、明日が楽しみだな」

桜井「任せてよ~。腕によりをかけちゃうんだから♪」

橘「ああ、楽しみにしてるよ」

桜井「えへへ、期待していいからね」

桜井「ところで、明日は何時頃からお邪魔していいの?」

橘「ん~...そうだな。父さん達は朝からいないし...」

橘「美也も昼過ぎには中多さんの家に行くから...」

橘「午後からだったらいつでもいいぞ」

桜井「うん、わかったよ~」

橘「じゃあ、明日な」

桜井「うん、じゃあね~♪」

・・・・・
・・・・
・・・

夜 桜井家


桜井「ね、ねぇ、お母さん。週末、純一の家に行っていいかな?」

桜井母「橘さんの家に? 確かご両親が出張でいないって聞いたけど?」

桜井「うん、だから純一にご飯を作ってあげようと思ったんだけど...」

母「純一君に?」

桜井「ひとりきりだし、料理するのが面倒だって言うから...」

母「ふ~ん、それで梨穂子が作りに行ってあげるってわけね?」ニヤニヤ

母「いいんじゃない? なんならお泊りしていきなさいな、ねぇ、お父さん?」

父「ああ。とびっきり美味しい料理を作って純一君にアピールしてこい」ニヤニヤ

母「そうねぇ。梨穂子は子供っぽいから、色恋沙汰を聞かなくて心配してたけど」

母「ちゃんと青春してるのねぇ。安心したわ」

父「頑張ってこいよ、梨穂子」

桜井「お、お父さん!! お母さんも...///」

母「うふふ、ちゃんと着飾って行きなさいよ?」

桜井「もぅ~...///」

土曜日 午後 橘家


美也「じゃあ、にぃに。みゃーは紗江ちゃんの家に行ってくるからね」

橘「ああ、気をつけて行けよ」

美也「大丈夫だよ。あ、明日には帰ってくるからね」

橘「ああ、紗江ちゃんによろしく言っておいてくれ」

美也「はいは~い。いってきまーす!! って、りほちゃん!?」

桜井「こんにちは、美也ちゃん」

美也「あれ、どうしたの? にぃにに用事?」

橘「よう、梨穂子。もう来たのか?」

桜井「うん/// でも、ちょっと早かったかな...?」

橘「いや、そんなことないぞ。どうぞ、上がって」

桜井「おじゃましま~す」

美也「あれ? ねぇ、にぃに。りほちゃんとどっかに行くの?」

橘「いや、ご飯を作りに来てくれたんだ」

桜井「えへへ... 週末はひとりきりだって言うからね」

美也「あ、そうなんだ。ちゃんと手伝わないとダメだよ、にぃに」

橘「わかってるよ。ほら、そろそろ行かないと間に合わないぞ?」

美也「え? わわ、もうこんな時間!? いってきまーす!!」

桜井「いってらっしゃ~い」

橘「やれやれ、慌ただしいやつだな」

桜井「あはは、美也ちゃんらしいね~」

・・・・・
・・・・
・・・

橘家 リビング


桜井「やっぱりこの時期はコタツが一番だね~」

橘「鍋料理と並ぶ、冬の醍醐味だな」

桜井「うん。そうだね~」

橘「ほら、ミカン食べるか?」

桜井「え、いいの? 食べる食べる~♪」

橘「すごく甘くて美味しいぞ」

桜井「どれどれ~。うん、本当だ!! 美味しいよ~♪」ニコニコ

橘「...っ!!///」キュン

桜井「あれ? 純一、顔赤いよ?」

橘「あ、いや... なんでもない」

桜井「ん~? 大丈夫? 風邪でもひいた?」ズイ

橘「だ、大丈夫だって!!///」ドキドキ

桜井「そう? ならいいけど~?」

橘「そ、そういえば、新しいお菓子って何なんだ?」

桜井「あ、そうだった。もう作って持ってきたんだった」

桜井「待ってて、今持ってくるから」


・・・・・・
・・・・・
・・・・

桜井「はい、これだよ~」

橘「どれどれ... お、アップルパイか?」

桜井「うん、初めて作ってみたから、自信ないんだけど...」

橘「見た目は十分、美味しそうだぞ?」

桜井「とりあえず、食べてみてよ」

橘「ああ、わかった。いただきまーす」モグモグ

桜井「ど、どうかな...?」

橘「うん、美味しい!!」

桜井「ほ、本当?」

橘「ああ、本当に美味しいぞ」

桜井「良かった~♪」

橘「甘すぎず、適度な酸味があるな。生地もサクサクしてるし」

桜井「えへへ~。そう言ってもらえると嬉しいよ~♪」

橘「また梨穂子のレパートリーが増えたな」

桜井「うん!! えへへ///」

桜井「じゃあ、私もいただこう~っと」

橘「梨穂子、もう一枚もらっていいか?」

桜井「もちろん!! どんどん食べて♪」


・・・・・・
・・・・・
・・・・

晩御飯の準備中


桜井「あ、灰汁が出てきた」

橘「やっぱり豚バラ肉がはいると出ちゃうよな」

桜井「そうなんだよね~。よいしょっと」

橘「...よく灰汁だけ上手にすくえるな」

桜井「え、簡単だよ?」

橘「僕がやると、汁も一緒にすくっちゃうんだよ」

桜井「こうやってお鍋の端っこに寄せて...」

橘「ふむふむ」

桜井「そしておたまで... ほら」ヒョイ

橘「ちょっとおたま貸してくれ」

桜井「はい、これ」

橘「え~と、お鍋の端に寄せて...」

桜井「そうそう、上手」

橘「そして... こうだ!!」ヒョイ

桜井「あはは~、残念。汁もすくっちゃったね~」

橘「う~ん、難しいな...」

桜井「じゃあ、純一。練習がてら灰汁をすくっておいて?」

橘「おう、いいぞ。梨穂子はどうするんだ?」

桜井「私はそのあいだ、もう一品作ってるから」

橘「わかった。よし、灰汁を残らずとってやる!!」

桜井「お鍋の汁は残しておいてよね~?♪」

橘「おいおい、梨穂子~」

桜井「えへへ~、冗談だよ~♪」

・・・・
・・・
・・

食後 リビング


橘「あぁ~、お腹いっぱい」

桜井「あはは。結局、うどんも雑炊も食べちゃったね~」

橘「しばらく、鍋はいいかな...」

桜井「あたしも~」

橘「で、梨穂子。このあとはどうするんだ?」

桜井「えっ!? え、え~と...」

桜井(お、お泊りするつもりだったんだけど...)

桜井(そういえば純一にはちゃんと伝えてなかった...)

橘(梅原や香苗さんが『泊まってもらえ』って言ってたけど)

橘(さすがにそれは出来ないよな...)

橘「帰るなら送っていくけど...」

桜井「あ、あの!!」

桜井「わ、私!! 今日、と、泊まっていこうかなって...///」

橘「ええっ!? と、泊まるって... 僕の家に!?」

桜井「お父さんとお母さんも許してくれたし、着替えも持ってきてるし!!///」

桜井「そ、その... 嫌、じゃなければ...だけど」

桜井「泊まっても...いいかな?///」

橘「え、えーと、その...」

橘(泊まるってことは... も、もしかして///)

橘(い、いや!! 僕たちはまだ高校生!!)

橘(さらに僕は紳士!! そんなことはまだ早い!!)

橘(で、でも梨穂子がどうしてもって言うなら...///)

桜井「あ、あの... 純一?」

橘「し、仕方がないな... そこまで言うなら///」

桜井「え!? いいの...!?」

橘「まぁ、僕も一人で寂しかったしな///」

桜井「ありがとう!! えへへ~、嬉しいなぁ///」ニコニコ

橘(...!! か、可愛い///)

・・・・
・・・
・・

リビング TVを観ながらこたつでまったり中


レポーター「今回は輝日東の名店のスイーツを紹介していきまーす!!」

桜井「あ、純一!! 輝日東のスイーツ特集だって~!!」

橘「へぇ、どんな店が出るんだろうな」

レポーター「まずはこのお店のクレープからまいりましょう!!」


桜井「あ、このお店知ってる~」

橘「ああ。この店、有名だよな」

桜井「よく香苗ちゃんと行くんだ~♪」

橘「そうなのか。僕はあまり行かないな」

桜井「あれ? 純一、クレープ苦手だったっけ?」

橘「いや、そうじゃなくて。店の雰囲気がちょっとな...」

桜井「あ~... いかにも『女の子』って雰囲気だもんね」

橘「そうそう。だからなかなか行けなくてさ」

桜井「確かに男の子だけだったら入りづらいよね~」

レポーター「続いてはこちらのエクレアを...」


桜井「あ、ここも知ってる!!」

橘「僕は初めて聞いたな」

桜井「ここのエクレアは絶品なんだよ~」

桜井「サクサクの皮の中にトロトロのクリームが入ってるんだ~♪」

桜井「そして上にかかってるチョコレートが甘さ控えめで絶妙なんだよ~」


レポーター「...そしてこの上にかかってるチョコレートが甘さ控えめで...」

橘「レポーターも梨穂子と同じことを言ってるな」

桜井「このレポーターさんはわかってるね~」

橘「...むしろ、梨穂子のほうが知り尽くしてるんじゃないか?」


レポーター「では最後にこの冬とっておきのスイーツをご紹介します!!」


桜井「あっ!! 私、このお店知らない!!」

橘「梨穂子でも知らない店があるのか」

レポーター「この冬、オープンしたばかりのこのお店の注目スイーツは...」


桜井「あ、オープンしたばかりなんだ」

橘「なになに... へぇ、チーズケーキが絶品だってさ」

桜井「うわぁ~...美味しそ~」

橘「レアチーズケーキにブルーベリーソースがかかってるのか」

桜井「この組み合わせは絶対美味しいよ~」ホワ~ン

橘(さっきあんなに食べたのに...)


レポーター「ただいまこのお店ではオープンキャンペーンとして」

レポーター「カップルで来るとシュークリームをプレゼントするサービスも実施中です!!」

桜井「っ!!」

桜井「...///」

桜井「...あ、あの~... 純一?///」

橘「ん、どうした?」

桜井「よかったら今度、このお店に行ってみない?」

橘「梨穂子と? ああ、いいぞ」

桜井「本当!? いいの?///」

橘「いいのって... 梨穂子が誘ってきたんだろ?」

桜井「あ、そ、そうだった... えへへ///」

橘「はは。変なやつだな」

桜井「ええ~。それはひどいよ~」

桜井(えへへ♪ 純一とデート///)


・・・・
・・・
・・

リビング 風呂上り

桜井「あ~、気持ちよかった///」ホカホカ

橘「お、出てきたか。湯加減はどうだった?」

桜井「ちょうどよかった~。ごめんね、先に入っちゃって」

橘「ああ、気にしなくていいよ。じゃあ、僕も入ってくるかな」

桜井「いってらっしゃーい」

・・・・
・・・
・・

橘「あーさっぱりしたー」

桜井「もう出てきたの? ちゃんと温まった?」

橘「のぼせやすいんだよ。これでもちゃんと温まったんだぞ?」

桜井「あー、そういえばそうだったね~」

桜井「小さい頃、うちに来た時もすぐにお風呂から出てたもんね~」

橘「そんなこともあったな。でもよく覚えてるな」

桜井「忘れるわけないよ。大切な思い出だもん///」

橘「っ!! そ、そうか...///」

桜井「...///」

橘「...///」

桜井「...あ、あの」

橘「え? あ、どうした?///」

桜井「わ、私...今日、どこで寝たらいいのかな?」

橘「あ、あー... そうだな」

桜井「あ、リビングでも構わないよ?」

橘「いや、えーと...」

桜井「ん?」

橘「その... よ、よかったら僕の部屋で寝ないか?」

桜井「え、純一の部屋って... ええ!?///」

橘「その!! 変な意味じゃなくてだな!!」

橘「梨穂子ともっと色々、話したいし...

橘「いや、嫌だったら別にいいんだぞ!?」

桜井「...ううん、嫌じゃないよ?///」

橘「そ、そうか...///」

・・・・
・・・
・・

純一の部屋

橘「...」

桜井「...」

橘「...」

桜井「...」

桜井「じ、純一... もう寝ちゃった?」

橘「いや、まだ起きてるぞ」

桜井「...そっか」

桜井「ご、ごめんね? ベッド借りちゃって」

橘「いや、気にするなよ。お客さんを床には寝させられないしな」

桜井「でも...」

橘「予備の布団を使ってるから問題ないし」

桜井「ありがとう。 ...やっぱり純一は優しいね」

橘「そうか?」

桜井「うん。小さい頃から、ずっと優しかった///」

橘「...なんだか照れるな」

桜井「...純一の部屋で寝るのって久しぶり」

橘「そうだな。でも何も変わってないだろ?」

桜井「あはは。そうだね」

橘「おいおい... 笑うことないだろ?」

桜井「ごめんね~。でも本当、変わってないよね」

・・・・
・・・
・・

桜井「純一..?」

橘「...」

桜井(寝ちゃったか...)

桜井「あのね... さっき、純一は変わらないねって言ったけど」

桜井「実は私も、小さい頃から変わってないものがあるの」

桜井「...私の『気持ち』」

橘「...」

桜井「最近、純一と昔みたいにたくさん話すようになって」

桜井「私、すごく嬉しいの」

桜井「話してるだけで嬉しくて、想うだけで切なくて」

桜井「...一緒に居るとドキドキするの」

桜井「私ね、ドジで可愛くないから」

桜井「純一の周りにいる女の子より魅力ないかもしれないけど...」

桜井「この気持ちだけは誰にも負けないよ?」

桜井「でも、まだ伝える勇気がないから...」

桜井「こんなふうにしか言えないけど...」

桜井「必ず、伝えるから...」

桜井「待っててね///」

橘「...」

・・・・
・・・
・・

>>99
ありがとうございます!! とても励みになります。

月曜日 通学路


橘「うう~。寒い...」

橘「はぁ、今日からまた一週間が始まるのか」

桜井「お、おはよ~。純一///」

橘「お、おう。 ...おはよう、梨穂子///」

桜井「えへへ。今日も寒いね」

橘「まったくだな。ああ、改めて週末はありがとうな」

桜井「いいの。私も久しぶりに純一の家に行けて嬉しかったし///」

橘「...そっか///」

棚町「純一、おっはよ!!」バシッ

橘「痛ぇ!!」

桜井「わわ!! 純一、大丈夫!?」

橘「朝から何するんだ、薫!!」

棚町「寝ぼけ顔のあんたに喝を入れてやったのよ♪」

橘「何も思いっきり背中を叩かなくてもいいだろ!!」

棚町「なーに言ってんのよ?」

棚町「あたしが本気だったら、こんなものじゃないわよ」

橘「さらっと怖いことを言うなよ...」

桜井「あ、あはは... おはよう、棚町さん」

棚町「おはよう、桜井さん♪ 今日も寒いわねー」

桜井「本当。お布団が恋しいよ~」

棚町「あー、その気持ちわかる!!」

橘「やれやれ...」

絢辻「おはよう、橘くん、棚町さん、桜井さん」

橘「あ、絢辻さん。おはよう」

棚町「おはよう、絢辻さん」

桜井「絢辻さん、おはよう」

絢辻「ふふ、朝から賑やかね」ニコ

棚町(...あたしと純一の邪魔をしに来たわね)

絢辻(抜けがけはさせないわよ、棚町さん)

棚町「今日も寒いわね~」ゴゴゴゴ...

絢辻「ええ、そうね~」ゴゴゴゴ...

橘(なんだろう、二人から凄いオーラを感じる)

桜井(...やっぱり二人とも凄く綺麗...)ハァ

絢辻「そう言えば橘君、先週の週末はご両親が留守だったんだって?」

棚町「え!? そうだったの!?」

橘「ああ、出張でね。妹も友達の家に泊まりに行ってたし...」

絢辻「ひとりでちゃんとご飯作れた?」

棚町「出来るわけないじゃない。どうせインスタントでしょ?」

橘「そうなんだよ。だから梨穂子がわざわざ来てくれたんだ。な?」

桜井「えっ!? う、うん///」

絢辻・棚町「っ!?」

橘「すごく助かったんだよ。料理も美味しかったし」

絢辻「...つまり週末は桜井さんと過ごしたってことかしら?」

棚町「...桜井さん、本当なの?」

桜井「え~と、家が近かったし、幼馴染だから色々と心配で、その...」

橘「材料も一緒に買いに行ったしな。久々に泊まってったし」

桜井「じ、純一!! それは言ったら・・・///」

棚町「...純一」ゴゴゴゴ...

絢辻「...橘くん」ゴゴゴゴ...

橘「あ、あれ...? なんかふたりとも怒ってない...?」

絢辻・棚町「SE・I・BA・I!!」ドゴォ!!

橘「ぐはぁっ!!」

桜井「純一!? 大丈夫!?」

絢辻「棚町さん、ちょっと話があるんだけど」

棚町「わかってるわ、絢辻さん。作戦会議ね」

絢辻「迂闊だったわ...」

棚町「ええ。料理が得意で、しかも幼馴染... 強敵よ」

・・・・
・・・
・・

橘「いてて...」

桜井「だ、大丈夫?」

橘「ああ、なんとかな...」

桜井「もう、あんなこと話すから...///」

橘「なんで二人が怒ったのか、さっぱりわからないよ...」

桜井「もう、鈍感なんだから...」

橘「なんのことだ?」

桜井「なんでもないです~」

橘「あ、そういえば梨穂子」

桜井「ん? なに?」

橘「...勇気がでたらいつでも言ってくれよ?」ニヤリ

桜井「え? ...え~!?///」

桜井「お、起きてたの...?///」

橘「さぁ、どうだろうな?」

桜井「もう~!! 純一の意地悪~!!」


・・・・
・・・
・・

梅原「どうやら今回はうまくいったようだな」

伊藤「まったく世話が焼けるんだから、桜井は」


夕月「どうやらりほっちが一歩リード、ってとこかな」

飛羽「そのままトップで逃げ切り...」

夕月「ま、可愛い後輩の為だ。陰ながら応援してやるか」

・・・・
・・・
・・



これにて終了です。最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。

また機会があれば投稿するので、そのときもぜひお付き合いください。

改めて、ここまで読んでいただいてありがとうございました。

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