恒一「母の日?」(97)
赤沢「明後日は母の日ね!」
杉浦「何よいきなり…」
赤沢「母の日よ!」
杉浦「…さっき聞いたわ」
綾野「泉美はなに贈るのー?」
赤沢「カーネーションよ!」
杉浦「普通ね」
赤沢「普通が一番よ!」
綾野「多佳子は?」
杉浦「私はケーキとかお菓子作るわ」
綾野「お菓子?すごいなあ、私も食べたい!」
杉浦「いつかね」
綾野「うん!!」
綾野「由美はどうするの?」
小椋「んー泉美と一緒かな?」
小椋「彩は?」
綾野「んー…アタシもお菓子でいいかなあって思ってるよ!
小椋「…作るの?」
綾野「まさか!」
赤沢「それじゃあ帰りは買い物ね!」
綾野「さんせーい!」
小椋「あたしもいくー」
杉浦「私はもう買い物したんだけど…」
赤沢「そんな事気にしない気にしない!」
見崎「……」
――
―
勅使河原「なあ…サカキ」
恒一「どうしたの?なんか深刻そうだね」
望月「なにかあったの?」
勅使河原「いや、あのな?明後日何かあるか知ってるか?」
恒一「明後日?んー…」
望月「あっ母の日だね!」
恒一「母の日?」
恒一「ああ…そっか…うん、そうだね…」
勅使河原「さっき風見と話してたんだけどさ」
勅使河原「今まで特に何もしてなかったって言ったら怒られたんだよ」
望月「そうなの?」
勅使河原「…ああ」
勅使河原「『親には感謝しろ』とか『特に母親はな!!』って…」
望月「まぁ…そうだね」
勅使河原「周りもなんかその話ししてるしよ…」
勅使河原「な、なあ、サカキ、母の日って何したらいいんだ!?」
望月「て、勅使河原君!!」
勅使河原「ああ…すまんサカキ」
恒一「いや、二人が気にすることないよ」
恒一「それで?なんだっけ?」
勅使河原「ああ…母の日に何したらいいのかって…」
恒一「カーネーション贈るとかが一般的かな?」
勅使河原「カーネーション?なんだそれ」
望月「花だよ」
勅使河原「花?そんなもんもらって嬉しいのか?」
望月「まあカーネーションを贈るっていう日になってるからね」
勅使河原「へぇそうなのか」
恒一「花じゃなくても何かもらえるなら嬉しいもんなんじゃない?」
勅使河原「そうと決まれば帰り買いに行こうぜ!」
恒一「…僕も?」
勅使河原「おう!何買えばいいかよくわからんからな!」
――ダイエー
勅使河原「母の日フェアってなんだこれ…」
勅使河原「それより望月は何あげるんだ?」
望月「僕は時計かなあ?」
勅使河原「時計!?そんな高いのあげんのか?」
望月「最近壊れたって言ってたからね」
勅使河原「へぇ、俺は何にしようかなあ」
恒一「……」
勅使河原「んー…何にすっかなあ…」
望月「今まで何もあげてなかったんなら花でいいんじゃない?」
勅使河原「でもなあ…」
望月「きっと喜ぶと思うよ」
勅使河原「だといいけどなあ」
望月「あっこれなんかいいんじゃない?」
勅使河原「おっどれどれ」
――
―
赤沢「ダイエーよ!!」
杉浦「ええ、そうね」
綾野「なんかテンション高いなあ」
小椋「ねー」
赤沢「さあ行きましょ!」
赤沢「ほら、もたもたしない!」
赤沢「んーこれなんか綺麗じゃない?」
杉浦「そうね」
赤沢「あっこっちのもいいわね」
赤沢「そっちのも良い感じだわ!」
綾野「ねぇねぇ由美は決めた?」
小椋「んー…もうちょっと考える!」
綾野「これでいいんじゃない?」
小椋「えぇ…それはちょっと…」
小椋「彩は決まった?」
綾野「いっぱいあって悩むねえ」
綾野「あっこのカステラ美味しそう~」
綾野「こっちのどら焼きもいいな…」
綾野「あ~このようかんも美味しそ~」
小椋「ただ食べたいだけじゃないの?」
綾野「そんなことないよ~?」
赤沢「……」ジー
杉浦「何してるの?」
赤沢「これにするわ!」
杉浦「…温泉旅行?」
赤沢「ええ、マ…お母さんとお父さんに」
杉浦「いいんじゃない?」
赤沢「早速手続きしてくるわ!」
――
―
赤沢「ふぅ…案外安くすんだわ」
杉浦「ねぇあれ榊原くんじゃない?」
赤沢「え!?」
綾野「あっほんとだてっしーともっちーもいるよ」
小椋「どこどこどこ??」キョロキョロ
赤沢「行くわよ!!」
綾野「うん!!」
小椋「あっ待って~」
杉浦「えっちょっと……はぁ…言わなきゃ良かった」
望月「これでいいかな」
勅使河原「…高くね?」
望月「そう?こんなもんだよ」
勅使河原「俺こんなもんで良かったのか?」
望月「それも十分高くない??まあ要は気持ちだから」
勅使河原「そうか?ならいいけどよ!」
望月「……ねぇ」
勅使河原「どうした?」
望月「…赤沢さん達が走って来てるよ」
勅使河原「うわっ本当だ」
望月「…逃げる?」
勅使河原「なんでだよ、別にいいじゃねえか」
望月「…そう」
綾野「やっほーみんなも買い物?」
望月「うん、もうすぐ母の日だからね」
綾野「勅使河原も母の日に贈るの?」
勅使河原「おう!」
綾野「へぇ偉い偉い!」
勅使河原「おっそうか?もっと褒めてくれてもいいんだぞ?」
綾野「はいはい偉いですねえ~」
赤沢「こ、恒一くん!」
恒一「あ、赤沢さん達も買い物?」
赤沢「ええ、そうよ」
恒一「そうなんだ。
あっ僕ちょっとトイレ行ってくるね」スタスタ
赤沢「えっ、ええ…」
赤沢「ねぇ…多佳子?」
杉浦「…なに?」
赤沢「私ってもしかして…嫌われてる?」オロオロ
杉浦「そんなことないでしょ」
赤沢「だって今の明らかに避けられてなかった?」
杉浦「………」
赤沢「何か言いなさいよ…」
綾野「こういっちゃんどっか行っちゃったよ?」
勅使河原「今日はずっとあんな感じだぞ?」
小椋「そうなの?」
望月「ほら榊原くんてお母さんが…」
綾野「あっ…そっか」
小椋「じゃあなんで連れてきたの?」
勅使河原「うっ…」
――
―
恒一(はぁ…)
恒一(母の日なんて僕には関係ないじゃないか…)
恒一(なのになんで…)
恒一(お母さん…)
恒一(生きてたらどんな感じだったのかな…)
恒一「あれ?見崎?」
鳴「榊原君?」
恒一「見崎も買い物?」
鳴「うん、もうすぐ母の日だから。何か贈ろうと思って」
恒一「霧果さんに?何贈るの?」
鳴「何にしようか迷ってるの」
恒一「そっか。何か見つかるといいね」
鳴「榊原くんは何してるの?」
恒一「僕は…勅使河原達の付き添いでいるだけ」
鳴「…ふーん」
恒一「僕がいる必要はなかったけどね。あはは…」
鳴「……榊原くんも何か買ったら?」
恒一「…僕には必要ないよ」
鳴「そう?」
恒一「……うん」
恒一「それじゃあね…ばいばい」
鳴「ねぇ榊原君?」
恒一「…なに?」
鳴「お母さんはいないけど、贈る相手は母親ってだけじゃないでしょ?」
恒一「……」
鳴「何か買って行ったら?」
恒一「うん、そうだね。買ってくるよ!ありがとう見崎」タッタッ
鳴「どういたしまして」
鳴「はぁ…一緒に選んでくれればいいのに…」ショボーン
勅使河原「なぁ…これどう渡せばいいんだ?」
望月「どうって普通に…」
勅使河原「なんか恥ずかしくねえか?」
望月「僕は別にそうでもないけど…」
綾野「ちゃんと感謝の言葉も忘れずにねっ!」
勅使河原「マジかよ!?急に渡しづらくなっちまった!」
小椋「あっ榊原くん戻ってきたよ」
勅使河原「おっサカキは何か買ったのか?」
恒一「うん。贈る人がいるからね」
勅使河原「そっか、じゃあそろそろ帰ろうぜ!」
綾野「あっまって!あたしまだ選んでないよ!」
小椋「私も~!」
勅使河原「別に俺たちは帰ってもよくねーか?」
綾野「ダメ!!」
勅使河原「え~…」
赤沢「恒一くん?」
恒一「赤沢さん?どうしたの?」
赤沢「私が何かしたなら謝るわ」
恒一「…なんのこと?」
赤沢「ほら…さっき私を避けてるように感じて…」
恒一「僕が?赤沢さんを?別にそんな事してるつもりはないけど…」
赤沢「ほんと!?」
恒一「そういう風に感じたのなら謝るのは僕の方じゃない?」
赤沢「あっ謝らなくていいわ!」
恒一「そう?」
赤沢「ええ、私の勘違いよ!」
恒一「そっか、ならよかった」
恒一「あっ、赤沢さんは何買ったの?」
赤沢「ペアの温泉旅行よ!」
恒一「温泉旅行?それはすごいや」
勅使河原「おーい、もう帰ろう―ぜ―」
恒一「あっ帰るみたいだね」
赤沢「そうみたいね」
恒一「じゃあいこっか」
赤沢「うん!」
綾野「こういっちゃんこれ食べる?」
恒一「えっ?カステラ?」
綾野「美味しそうだから買っちゃった~」
小椋「それ贈るやつじゃないの?」
綾野「他にも買ったから大丈夫だよー」
恒一「じゃあ頂くね、んー美味しい!」
小椋「彩!私にも私にも!」
綾野「はいはい慌てない慌てない」
杉浦「ねぇ…あれ」
赤沢「ん?…何…あれ」
杉浦「見崎さん…だよねえ?」
赤沢「そうね…くまが歩いてるように見えたわ」
杉浦「あのでっかいの持って帰るのかしら」
赤沢「…フラフラしてるけど」
杉浦「手伝う?」
赤沢「…そうね」
勅使河原「あれ?赤沢と杉浦は?」
望月「さぁ?」
恒一「先に帰っちゃったのかな?」
綾野「わかんない」モグモグ
勅使河原「何食ってんだ?俺にもくれよー」
綾野「残念でしたーもうありませーん」
勅使河原「ぐぬぬ…」
――
―
時は過ぎて母の日、『杉浦家』
杉浦「もうちょっとでできるから少し待っててね」
母「んー…いい香り」
母「いい娘を持ったわー」
杉浦「何言ってるのよ、もう…」
杉浦「……それにしても作りすぎちゃったわね」
杉浦「彩が食べたいって言ってたし皆にあげればいっか」
杉浦「できたよー」
母「わーい」
――
―
『赤沢家』
赤沢「はい!ママ!」
母「あら、ペア温泉旅行?」
赤沢「うん!母の日だけどパパと二人で行ってね」
母「あらあら…嬉しいわねえ」
赤沢「二人の休みが合う時にでも行ってね!」
母「そうさせて貰うわね」
母「早速有給取らなくちゃっ!」
母「パパにも連絡しなくちゃね!」
赤沢「えへへ…喜んでもらえて良かったぁ」
母「次は例の男の子紹介してちょうだいね!」
赤沢「ちょっ何言ってるのよ!」
母「ふふふ」
――
―
『小椋家』
小椋「はいっこれ」
母「あら、綺麗な花ね。ありがと」
小椋「あとこれも」
母「カステラ?」
小椋「うん、美味しかったから買っちゃった」
母「ふふっ一緒に食べましょ」
小椋「うんっ!」
ガチャッ
敦志「……」
小椋「兄貴…」
母「……」
敦志「母さん、俺働くから」
小椋「!?」
母「本当?」
敦志「ああ、もう迷惑はかけない……多分」
母「そう…それが聞けただけで嬉しいわ」
小椋「兄貴…カステラ食べる?」
敦志「……おう」
母「今日は幸せな日ねー」
――
―
『勅使河原家』
勅使河原「なあ…今日何の日か知ってるか?」
母「今日?ああ、母の日?」
勅使河原「その、なんだ?あのー…」
父「どうした直哉」
母「何?」
勅使河原「い、今まで母の日とか何もしなかったけどさ」
勅使河原「カーネーションなんかもらってもどうかと思かもしんないけど」
勅使河原「…はい」
母「…あら…どうしたのよ」
勅使河原「それとこれ…」スッ
母「これ…ネックレス?高かったでしょう?」
勅使河原「いや…そんなに…」
母「…そう」
父「俺には?」
勅使河原「ない」
父「…そうか」
勅使河原「でもふたりには感謝してるから…じゃっ!」ダッ
母「……」ポロポロ
父「付けてやろうか?」
母「…ええお願い」ポロポロ
父「あいつも俺の子だなぁ~、肝心な時に逃げやがる」
母「ふふっそうね、今日の晩御飯は豪華にしなきゃ!」
父「そりゃあ楽しみだ!」
――
―
『見崎家』
霧果「…それは?」
鳴「くまのぬいぐるみです」
霧果「私に?」
鳴「今日は母の日だから。私からお母さんへ」
霧果「ふふ…ありがとう」
鳴「…どういたしまして」
霧果「これすごいふかふかだわー」フカフカ
霧果「こんな大きいのどうやって持ってきたの?」
鳴「…友達に手伝って貰いました」
霧果「榊原君?」
鳴「違います…赤沢さんと杉浦さん」
霧果「あら、女の子?」
鳴「…はい」
霧果「そう、良かったわね!友達できて」ナデナデ
鳴「…よかった」
霧果「今度連れてきなさいな」
鳴「…うん」
霧果「よーし今日は私が晩御飯作るわ!」
鳴「それは…やめて」
霧果「そう?じゃあ一緒に作りましょ?」
鳴「うんっ!」
――
―
『榊原家』
恒一「あっおかえりお母さん」
怜子「…え?」
恒一「もう晩御飯は出来てるよ」
怜子「恒一君?い、今なんて…」
恒一「さ、冷めないうちに食べないとね」
怜子「え?え?」
怜子「なんで私の好きな物ばかり…」
恒一「食べよう?」
怜子「ええ…」
恒一「あっそうだ、今日は何の日か知ってる?」
怜子「今日は…母の日」
恒一「うん…でも僕にお母さんはいない」
恒一「でも怜子さんがいる」
恒一「死んじゃったお母さんには悪いかもしれないけど…」
恒一「今は怜子さんが僕のお母さんなんだ」
恒一「だからお母さんって呼んでもいい?」
怜子「ぅ…ヒッ」ポロポロ
恒一「ちょっ怜子さん!?」
怜子「……」ポロポロ
恒一「怜子さん?」
怜子「……」ポロポロ
恒一「…お母さん」
怜子「…ん?どうしたの?」ポロポロ
恒一「もう…僕もすごい恥ずかしいんだから」
怜子「あはは、ごめんごめん…」
怜子「すごく嬉しくて…涙が…」ポロポロ
怜子「もうっ!年取ると涙腺ゆるくなるんだからね!」
怜子「ふー…ふふっありがとね恒一くん」
怜子「さっ食べよ食べよ!」
恒一「うん!」
怜子「あっ間違っても学校でお母さんなんて呼んじゃダメよ?」
恒一「呼ばないよ!!」
怜子「そうかしら?」
恒一「そういうこと言うとケーキあげないよ」
怜子「えっケーキもあるの?ごめんなさい!!」
恒一「…もう」
怜子「もう一回お母さんって呼んでくれる?」
恒一「…お母さん」
怜子「…うん、ありがとう」
次の日の学校で榊原君が『お母さん』っと言ってしまい
顔を真っ赤にしながら走り去っていく榊原君と三神先生を見るのも
見崎家に赤沢さん達が遊びに来るのもまた別のお話で…
おわり
/. ノ、i.|i 、、 ヽ
i | ミ.\ヾヽ、___ヾヽヾ |
| i 、ヽ_ヽ、_i , / `__,;―'彡-i |
i ,'i/ `,ニ=ミ`-、ヾ三''―-―' / .|
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'ノ .. i )) '--、_`7 (( , 'i ノノ ヽ
ノ Y `-- " )) ノ ""i ヽ
ノヽ、 ノノ _/ i \
/ヽ ヽヽ、___,;//--'";;" ,/ヽ、 ヾヽ
あ、AA間違えちった、てへっ
/. ノ、i.|i 、、 ヽ
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