勇者「欝だ……死のう……」(239)
プラーン
勇者「」
戦士「いよう!勇者!朝だぜー」バターン
戦士「って!うおい!勇者何やってんだ!」
戦士「うおりゃああ!」ズバッ
ドターン
勇者「げほっ……げほっ……」
戦士「おい!大丈夫か!?勇者、おい」ユサユサ
勇者「くっ……」ボタボタ
戦士「お、おい、鼻血でてるぞ?」
僧侶「何かあったんですかー?」
魔法使い「朝からうるさいわねー。うわっ、勇者何、鼻血だしてんの?きもっ」
戦士「何があったんだ?」
勇者「いや……別に……ちょっとランプの調整を……」
戦士「なんだ……気をつけろよなぁー」
魔法使い「そんなこといって覗きかなんかしてたんでしょー。超きもいんですけどー?」
勇者「くっ……」ブルブルッ
僧侶「まぁまぁ」
魔法使い「さ、行きましょ。ほらっ、勇者!あたしたちの荷物もって!」
勇者「くそぅ……なんで俺が……」ドサッ
魔法使い「一番力あるんだから当然でしょー」
戦士「わりぃな勇者、さあ!朝飯食いに行こうぜー」スタスタ
僧侶「あ、待って下さい」タッ
魔法使い「ほらっ、勇者、さっさと歩きなさいよ」スタスタ
戦士「今日も暑いなー」スタスタ
僧侶「ですねー」スタスタ
勇者「うううー」ズシズシ
勇者(死にたい……くそぅ。まず魔法使いだ……あの女俺が憎いのか……なんで仲間になったんだよ、ちくしょう)
魔法使い「あ、魔物が出たわよ。ほらっ、勇者」
「グルルルルルル」
勇者「ま、待て」ズシズシ
魔法使い「さっさとしなさいよ!勇者じゃないの?馬鹿なの?死ぬの?」
勇者「うりゃ!」ズバッ
「ギャオオオオオオン」バタッ
勇者「ふぅ、片付いた……」
ガチャン
勇者「ん?」
魔法使い「あー!何やってんのよ!」
勇者「え?何?」
魔法使い「荷物!見せなさい!」カチャカチャ
僧侶「あ……」
魔法使い「見てよ!割れちゃってるじゃない!あんな荷物派手に動かすから!」
僧侶「私の聖水……」
魔法使い「どーすんのよ!」
勇者「いや、だって魔物倒せって……」
魔法使い「荷物置いてから倒せばいいでしょ!そんなことも言わなきゃわかんないの!?」
勇者「くっ……」
僧侶「聖水が……」
戦士「あー、まー今のはお前が悪い」
勇者「でも……」
魔法使い「まだ言い訳する気?キモいんですけどー?」
戦士「ほらっ、勇者。謝っとけ。なっ」
僧侶「ううっ……」
魔法使い「僧侶が泣いちゃうでしょ!土下座よ、土下座」
勇者「土下座……」
魔法使い「ほらっ!はやく!」
勇者「く、くそぅ……」ザッ
勇者「す、すんませんでした!」ガバッ
勇者(死にてえええええええええええええええ!)
―――魔王城
水晶「く、くそぅ……」
水晶「す、すんませんでした!」
魔王「ふははははははは!見ろ!土下座したぞ。土下座」
側近「しちゃいましたねー」
魔王「効いてるwww効いてるwww」
側近「しかし、魔王様もえげつないですねー」
魔王「そうか?」
側近「勇者に自殺させようだなんて」
魔王「私が直接戦うよりずっといいだろう」
側近「まさか勇者パーティーの私たちの手先が紛れているなんて思っても見ないでしょうね」
魔王「まだまだこれから追い詰めてやるぞ、ふははははははははー」
―――宿屋
ギシギシ
勇者「うるさいなー、今日もか。くそぅ」
勇者「壁薄いんだよ!」
「あっ……あっ……戦士、もっとぉ……」
「はぁはぁ……こうか、魔法使い」
「んっ……ああっ……」
「ふーっふーっ……」
ギシギシッ
勇者「毎晩毎晩さかってんじゃねーよ……」
勇者「なんでパーティー組んでカップルになっちまうんだよ……ちくしょう……」
勇者「うらやま……いや……けしからん……」
「あ……あんっ」
勇者「魔法使いの嬌声……はぁはぁ」
勇者「隣の部屋であんなことが……はぁはぁ……」
勇者「うっ……」
勇者「ふぅ……」
僧侶「あのー……勇者様?話したいことが……入りますよ」
ガチャ
勇者「……」
僧侶「……」
勇者「あ、あの……これは……ね……」
僧侶「きゃあああああああああああああああ!」
ダダダッ
勇者「おわた……」
プラーン
勇者「」
ドンドンドン
戦士「勇者!おい勇者!入るぞ!」バターン
戦士「ってまたランプの調整か?」ズバッ
ドターン
勇者「ぐぇ」
戦士「勇者、あのなぁ……」
魔法使い「あ、いたいた……変態」
勇者「え」
魔法使い「あんた……あたしたちのしてる声聞きながら……してたんだって?」
勇者「うわあああああああああああ!」
魔法使い「マジさいってー。キモすぎだっての」
勇者「ううっ……な、なんで……」
魔法使い「僧侶が教えてくれたのよ、ほらっ、僧侶、あんたも何かいってやんなさいよ」
僧侶「……最低」
勇者「ぷがっ!」プラーン
―――魔王城
水晶「ぷがっ!」
魔王「ぷっ……見たか、今の顔!」
側近「ええ、鼻水たらして滑稽ですね」
魔王「もう一回!もう一回今のところ見せてくれ」
側近「どうぞ」
水晶「ぷがっ!」
魔王「ぶはははははははー何と情けない」
魔王「もう死にたくてたまらないだろうなぁ」
側近「でしょうね」
魔王「これで仲間からの信用もがた落ちだ。ふふふ、さあ死ね、自ら死ぬがいい!勇者よ」
戦士「まぁ、な、元気出せ、なっ?」ポンッ
勇者(うるせー。リア充が……。お前にそういわれると余計死にたくなる)
勇者(それに……唯一の癒しだった僧侶が……)チラッ
僧侶「……」スッ
勇者(目もあわせてくれない……)
魔法使い「あーもー、こんな変態が勇者とかもう世も末よねー」
勇者(こいつは……)キッ
魔法使い「何見てんの?キモいんだけど。どうせまた変な事考えてるんでしょ」
勇者(考えてねーよ)
魔法使い「何とか行ったらどうなの?」
勇者「別に……」ボソッ
魔法使い「キモッ!」
勇者「……」
勇者(も、もう絶対死ぬ)
―――宿屋
勇者「今度こそ……ロープも頑丈にして……」
ドンドンドン
戦士「勇者、勇者」ガチャ
勇者「なんだ、こんな夜に」
戦士「暇か?暇だよな?行くぞ」グイッ
勇者「な、なんだよ。どこに」
戦士「そんな暗い顔してんなよ、いいところ連れてってやっからよ」
勇者「いいところ?」
戦士「パフパフ屋だよ」
勇者「え」
戦士「嫌な事はさっさと忘れてすっきりさせてもらって来い。なっ」
勇者「戦士……お前……」
戦士「さっ、女どもにみつかんねーうちに行くぞ」
魔法使い「どこへ行くって?」
戦士「え?いや、あの……」
魔法使い「ねぇ、どこにいくの?」ゴゴゴゴゴッ
戦士「ど、どこもいかねぇって!はははははは」
戦士(ほれっ、これ場所の地図やるから、お前だけでいってこい)コソコソ
勇者「わ、わかった」ダダダッ
魔法使い「あ、勇者!」
戦士「がんばれ、超がんばれ」
魔法使い「何をがんばるの?」
戦士「え、えーっと……こうだよ!」チュッ
魔法使い「んぅ!」
魔法使い「こ、こんなんで誤魔化され……あっ……」
勇者「戦士大丈夫かな」
勇者「で、でも……パフパフ屋か……」ドキドキ
勇者「は、初めてだけど大丈夫かな」ドキドキ
勇者「ど、どこまでさせてくれるんだろ……」
勇者「はぁはぁ……こ、ここかな?」
ガヤガヤ
勇者「随分流行ってるなぁ……」
勇者「あ、あの……」
店員「おっ、兄さん初めてかい?」
勇者「えっ、あの……どうして……」
店員「あはは、顔に書いてあるよ」
勇者「……///」カー
店員「まぁ、そんな恥ずかしがることないよ!さっ、どの子がお好みだい?」
勇者「選べるの?」
店員「今時選べないようじゃ店じまいさ」
勇者「あ、この子僧侶に似てるかも……」
店員「お兄さんお目が高いね。一番人気の子だよ」
勇者「そ、そうなんだ」ドキドキ
店員「でもちょっと順番待ちになっちゃうかなぁ、それでもいいかい」
勇者「は、はい!」
勇者「……」ドキドキ
勇者「は、初体験か……」
勇者「こ、これで俺もチェリー卒業か……」
勇者「まだかなぁ……」
店員「お待たせしました。お兄さん」
勇者「来た!」
男「ちょっと待てや」グイッ
勇者「ん?」
男「兄ちゃんこの子を指名したんかい?」
勇者「そ、そうだけど」
男「百年早いんじゃ!われぇ!」
勇者「は?」
男「常連のわしを差し置いて指名なんぞ早すぎじゃい!」
勇者「で、でも順番で」
男「やんのか?おら!?」
勇者「順番は順番だろ!」
男「知るか!われぇ!」ジャキンッ
店員「ひぃ、ナ、ナイフ……」
男「うりゃああああ!」
勇者「やめろ!」ドンッ
男「うぐっ」ドスッ
男「な、何するんじゃ……ごほっ……われぇ……」ボタボタッ
男「血?な、なんじゃあ!こりゃあ!」
男「死にたくねぇ……死にたくねぇよぉ……」バタッ
勇者「え」
店員「ひ、人殺しいいいいいいいいいいい!」
ピーポーピーポー
警官「じゃ、事情を説明してくれるかな?」
勇者「あ、あの……」
警官「名前は?」
勇者「名前はちょっと……」
警官「名前は言えない。後ろめたいことがあるわけだ」
勇者「いや、そうじゃなくて、俺がこんなだって分かったら……世間体が……」
警官「じゃ、名前は後でいいや。どこで何をしようとしてたの?」
勇者「え゛」
警官「聞こえなかった?どこで?何を?しようとしてたの?」
勇者「あ、あう……」
警官「じゃ、はいかいいえで答えてくれればいいから」
勇者「……はい」
警官「君は売春宿に行った」
勇者「……はい」
警官「女の子を買おうとした」
勇者「……はい」
警官「そこで人を殺した」
勇者「いいえ」
警官「殺してない?見た人がいるんだよ?」
勇者「でも!俺は何もやってない!」
警官「本当に?」
勇者「本当だって!」
警官「そう、分かった」
勇者「え!信じてくれるの!?」
警官「だって死体がなかったからね」
勇者「え?なかった?」
警官「ああ、証言だけじゃ逮捕できないからね」
勇者「……?」
警官「で、釈放するけど名前は?」
勇者「あ、勇者です」
警官「は!?」
勇者「え?」
警官「勇者ってあの勇者?」
勇者「えっと、たぶん」
警官「魔王を倒すために旅に出た?」
勇者「はい」
警官「世界を平和にするって言う?」
勇者「はい」
警官「女神の祝福を受けてる?」
勇者「はい!」
警官「勇者が売春宿で女の子買おうとしたの?」
勇者「くっ……/// は、はい……」ギリ
警官「最低だな、あんた……帰れよ」
勇者「ううっ……」トボトボッ
勇者「くそぅ……もう駄目だ……心が折れる……」
「ねぇ、奥さん聞いた?」
「聞いた聞いた、勇者が売春宿にかよってたってねー」
「しかも常連なんだって」
「そうそう、それでお気に入りの子取り合って相手殺しちゃったって」
「怖いわねー」
「警官も力で黙らせて釈放されたんだって」
「まー最低ね」
「あら、奥さん、あそこの大根安いわよ」
「まぁ!行きましょ行きましょ」
勇者「くそぅ!」
魔法使い「あ、いたっ」
戦士「聞いたぞ、勇者、お前……」
僧侶「……」ジトー
勇者「そ、そんな目で見るな!見るなあああああああああ!」
ダダダダッ
―――魔王城
水晶「そ、そんな目で見るな!見るなあああああああああ!」
魔王「ぶははははははははは!これは効いただろう!」
側近「効きましたね」
男「どうです?どうです?俺の演技よかったっしょ」
魔王「ああ、よくやった!ほれっ、褒美だ」
男「あざーっす。いやぁ、楽しい仕事でしたよー」
男「でも人間に化けてるのもなかなか疲れました」
側近「これで、あの町は勇者の噂で持ちきりでしょうね」
魔王「くくくっ、いや、もう世界中に噂を流す手はずは整っておる」
男「それはひどいwww」
魔王「ふはははは!魔王だからな」
側近「さて、勇者はどうするでしょうね」
魔王「さすがにこれで死ぬだろうな、楽しみだ」
ヒュオーー
勇者「もう首吊りとか時間かかるのはやめよう……」
勇者「この崖から飛び降りれば……死ねるかな」
勇者「おやじ……おふくろ……ごめん、先逝くわ」
ダダダダッ
勇者「アイ……キャン……フラアアアアアアアアアアアアアアイ!」バッ
魔法使い「待ちなさいよ!」
戦士「はぁはぁ……追いついたぜ」
僧侶「……」
勇者「魔法……使い?」
魔法使い「死んで終わりにする気?マジ最低なんだけどー?」
勇者「う、うるせえ!俺はもう終ったんだよ!」
魔法使い「で、世界はどうなってもいいの?」
勇者「それは……」
魔法使い「どうなってもいいんだ。あー、わかったわ。さっさと死ねば?」
戦士「お、おい」
魔法使い「魔王を倒さない勇者なんていらないからさっさと死になさい!」
勇者「くっ……」
魔法使い「ほらっ、どうしたの?変態で最低でも仕事だけはしっかりやるかと思ってたんだけど性根まで腐ってたようね」
勇者「……ねぇ」
魔法使い「は?」」
勇者「…ってねぇ」
魔法使い「何?」
勇者「腐ってねえよ!俺は!」
勇者「魔王?倒してやらあ!」
戦士「勇者!」
魔法使い「ふんっ」
僧侶「……ちっ」
勇者「あのー、なんでみんな離れて歩くの?」
魔法使い「うるさい、話しかけないで。仲間と思われるでしょ」
戦士「まぁ、しゃあなしだな」
僧侶「ちょっとかわいそうな気がしますが……」
勇者「僧侶……」
「ねー、ママー。あの人って売春してたっていう……」
「もう!たっくんどこでそんな言葉覚えたの!見ちゃいけません!」
魔法使い「10m以内に近づいたら殺すから」
勇者「はい……」
―――宿屋
ギシギシ
勇者「今日もうるさいな……」
勇者「っていうかどこの宿もなんでこんな壁薄いんだよ……」
「お、おい、魔法使い……」
「もう!しらないわよ!戦士の馬鹿!」バタンッ
勇者「ん?なんだ?喧嘩か?」
勇者「珍しいな。いつも仲いいのに」
勇者「っていうか俺以外の3人仲いいんだけどな……」
勇者「くっそぅ、魔王倒すって啖呵切ったんだから……魔王倒してから死ぬかな……」
コンコンッ
勇者「ん?」
魔法使い「勇者……いる?」
勇者「げっ……い、いるけど……」
魔法使い「入ってもいい?」
勇者(嫌だ、あっちいけ)
勇者「どうぞ」
ガシャ
魔法使い「ふーん……今日は普通ね。いつも首つってるのに」
勇者「うるさい」
魔法使い「でさ、えっと」
勇者「なんだよ」
魔法使い「僧侶がこういうことは勇者に相談するのがいいっていうから来てあげたんだけどさ」
勇者「おお……僧侶が俺を頼りになると……」ワクテカ
魔法使い「きもっ、喜ぶなっての」
勇者「い、いいだろ、別に」
魔法使い「戦士のことでちょっと相談なんだけど、男の人の方が分かると思うし」
勇者「戦士のこと?何かあったのか?」
魔法使い「戦士の態度が何か最近おかしいなぁって……」
勇者「おかしい?」
魔法使い「何か他の女の香りがするっていうか……」
勇者(げっ、そんなことチェリーの俺に相談するなよ)
魔法使い「さっき僧侶とお茶飲みながら相談してたんだけど知らないって言うし」
勇者「僧侶とお茶……いいな」
魔法使い「だから……ふぁ……何か知らないかなぁっと……ううっ……」ウトウト
勇者「おい、どうかしたか?」
魔法使い「な、なんか急に眠くなって……ふぁ……」フラフラッ
勇者「お、おい」
魔法使い「くー」パタッ
勇者「ちょっ、こっちに倒れんな」
ドンドンドン
戦士「おーい、勇者。魔法使い知らないか?」
戦士「僧侶に聞いても知らないっていうしよ。開けるぞー」
ガチャッ
勇者「ちょっ、ちょっと待って!」
戦士「ん?」
魔法使い「くーっ」スヤスヤ
勇者「あ、あのこれは違うんだ、マジで」
戦士「おい……何してやがる……」
勇者「べ、別に抱き合ってないから!ただ倒れてきただけだから!」
戦士「事後か?あ?てめぇ……俺と魔法使いが付き合ってるって知ってるよな?」
勇者「だから違うって!」
戦士「何が違うっていうんだ!」
勇者「ちょっと話を……」
戦士「死にたがってたよな、お前。殺してやる!」ジャキンッ
勇者「にぎゃああああああああああああ!」ダダダッ
戦士「逃げんな!」
―――魔王城
水晶「にぎゃああああああああああああ!」
魔王「うーん……しぶとい」
側近「ですね」
魔王「まぁ、これでは自殺ではないが、仲間に殺されるというのもありかな」
側近「ありですか」
魔王「これで死ななくても勇者はまたぼっちになって死のうとするだろうしな、ふはは」
側近「そうですかねー」
魔王「あいつに任せておけば大丈夫だ、問題ない」
側近「そうだといいですね」
勇者「誤解だって言ってるだろ」バシッ
戦士「むっ……白刃取り……」ギリギリッ
勇者「俺は何もやっちゃいねぇ……」ギリギリッ
戦士「僧侶の話……俺は信じちゃいなかったが本当だったんだな」
勇者「は?何のことだ」
戦士「お前が最低の糞やろうだってことだよ!」
勇者「だ、だから何が……」
戦士「てめぇ、僧侶に色々いたづらしただろう」
勇者「は?」
戦士「僧侶……いつも泣いてたぞ」
勇者「な、何のことだ」
戦士「俺は魔法使いみたいに信じちゃいなかったけどな……」
勇者「俺が僧侶に……?」
戦士「しらばっくれてんじゃねぇ!現に俺の魔法使いに手を出してんじゃねーか!」
勇者「やってねぇ!俺は……」
戦士「お前は僧侶に……」
僧侶「戦士!言わないで!」バタンッ
戦士「僧侶!?」
僧侶「言わないでって……言ったのに」ウルウルッ
勇者「僧侶、な、何いってんの!?」
僧侶「私が我慢すれば……済むことだから」
戦士「勇者!お前に生きている資格はねえ!」ギリギリッ
勇者「僧侶……お前まで俺を……」ガクッ
戦士「覚悟は出来たか?死ねい!」
僧侶「……」ニヤリッ
―――魔王城
魔王「ふははははは。馬鹿なやつめ」
側近「ですねー」
魔王「最後まで僧侶が仲間と思い込んでいたようだな」
側近「まったくです」
魔王「身内に敵が潜んでいるとも知らずにのんきな奴だ」
側近「ほんとその通り」
魔王「自殺はさせられなかったが、仲間に殺されるとは本当に惨めな勇者だ」
側近「ははははは」
魔王「で、やったか?さっさと続きを見せろ」
側近「ええ、どうぞ見てください」ニヤリッ
魔法使い「うう~ん、うるさいわね……頭いたー」
魔法使い「!?」
魔法使い「ちょっと戦士!なにやってんのよ!」ドンッ
戦士「おわっ」ドタッ
僧侶「……ちっ」
勇者「ん?あれ?死んでない?」
魔法使い「どういうこと!?何やってんのあんたたち」
僧侶「戦士さんが……私が勇者様にされたことに怒って……」ウルウルッ
魔法使い「戦士!本当!?」
戦士「それだけじゃねえ!お前が勇者といい仲になってやがるからよ!」
魔法使い「はぁ!?あたしがこんなキモいのと仲良くなるわけないでしょ!」
勇者「酷い……」ドヨーン
戦士「じゃあなんでこんなところにいるんだ!」
勇者「こんなところ……」
魔法使い「それは……あんたが浮気してるからでしょ!」
戦士「なっ……」
魔法使い「やっぱり!誰とよ!」
戦士「それは……」チラッ
僧侶「!」サッ
魔法使い「え」
勇者「ん?なに?終った?俺もう死んでもいい?」
魔法使い「僧侶……なの?でも浮気してるかもって教えてくれたのも僧侶……」
戦士「は?僧侶、本当か!?」
僧侶「な、なんのことですか?そ、そんな怖い目しないでください」ウルウルッ
魔法使い「どういうこと?僧侶」
戦士「僧侶!」
魔法使い「浮気して威張んな!」ゲシッ
戦士「ぐぇ」
僧侶「え、えーっと……勇者様助けて!」ギュッ
勇者「!?」
僧侶「勇者様」ムニュムニュ
勇者「お、おお……胸が……ってどういうこと!?」
僧侶「ちっ、駄目か」
勇者「え?」
僧侶「あー、もう全部喋っちゃうわ!」
僧侶「そうよ!全部私がやったのよ!」
勇者「や、やったって何を……」
僧侶「私がやったこと、まずあなたの仲間に勇者が最低の人間だと思い込ませた」
勇者「は?」
僧侶「戦士はそうでもなかったけど、同性だったからかしら、魔法使いはすっかり信じたわ」
勇者「し、信じたって……」
僧侶「勇者が最低の人間だってね。どう?魔法使いの態度ひどかったでしょ?」
勇者「……」
魔法使い「なっ……全部うそだったの!?」
僧侶「それから魔法使いと戦士をくっつけた」
魔法使い「え?」
戦士「は?」
僧侶「魔法使いには戦士が、戦士には魔法使いが好きだってそれとなく教えてあげてね。ふふっ、人は自分を好きになってくれる人間が好きになってしまうものよ」
魔法使い「じゃ、じゃああの手紙とかも……」
戦士「マジかよ……」
僧侶「そして、勇者はますます孤独になるってこと」
勇者「俺を孤独にしてどうしようっていうんだ!」
僧侶「ふふっ、それはね?」
勇者「それは……?」
―――魔王城
魔王「な、なんだこれは!?」
側近「何だといわれても見たままですが」
魔王「し、失敗したというのか!勇者を自殺させる作戦は」
側近「残念でしたね」
魔王「残念でしたねって人事のように言うな」ワナワナ
側近「いやぁ、人事ですから」
魔王「何?」
側近「いやぁ、残念だったな」
魔王「何だ、その言葉は!私に向かって!」
側近「まったく身内に敵を忍び込ませるなんて馬鹿のすることだよなぁ」
魔王「な、何だお前は?誰だ?」
側近「いやぁ、なかなか面白く見させてもらったよ。俺ってこんな風だったんだな。まったく滑稽だったわ、マジで」
魔王「お前……まさか」
ドローン
勇者「俺だよ、魔法で化けてたからって普通気づかないか?」
魔王「勇者!?え?あれ?でもさっきまで水晶で……あれ?」
勇者「バーカ、録画だろ。ずっと前の映像だ」
魔王「なっ……ではお前は最初から……」
勇者「いたよ、ここに」
魔王「な、なんでここが分かった」
勇者「僧侶に全部ゲロらせた」
魔王「あ、あの裏切りものめ……」ゴゴゴゴゴッ
勇者「まぁ、そんな怒るなよ」
魔王「お前はなんでこんな面倒な真似を……」
勇者「お前の反応が見たくて」
魔王「……」
魔王「お前性格悪いな」
勇者「お前が言うな」
勇者「さて、それじゃあ」ジャキンッ
魔王「わ、私を殺すのか……」ガクガクッ
勇者「お前を殺して俺も死ぬ!」
魔王「お前も死ぬのかよ!」
勇者「うるせえ!もうこの世界には俺の生きる場所なんてねーんだよ!」
魔王「できればお前だけ死んでくれないか?」
勇者「許さん……お前だけは……」
魔王「お前の分まで生きてやるぞ?」
勇者「許さん……お前だけは……」
魔王「よし!お前も一緒に生きることを許してやる」
勇者「許さん……お前だけは……」
魔王「この人怖いんだけど!」
魔王「待て待て待て。もう僧侶がお前のパーティでどうこうしてるってことはないんだろう。なんで死のうなどと思う」
勇者「あの後、結局、戦士と魔法使いはより戻してキャッキャウフフでチュッチュッしてやがるしよ」
魔王「……」
勇者「僧侶は逃がすわけにはいかないけど、可愛いから殺せないし、怒るとすぐ泣くし、それがまた可愛いしよ」
魔王「……」
勇者「もう、うっぜーんだよ!あいつら!」
魔王「それもう私は関係ないよな!?」
勇者「相変わらず道歩いてると変態って言われて石ぶつけられるしよ!」
魔王「ああ、そりゃごめん。まぁ強く生きろ」
勇者「生きられねーよ!」
魔王「何、いい仲間を持っているじゃないか!がんばれ!」
勇者「どこがいい仲間だ、もう一緒じゃねーよ」
魔王「そうなのか?」
勇者「誰があんなやつらと」
魔王「じゃあ、今はお前一人?」
勇者「そうだ」
魔王「ふふふふ……」
魔王「はははははははは」
魔王「ふははははははははは!」
勇者「どうした?頭打ったか?」
魔王「違うわ!馬鹿め!一人で私を殺すだと!?やれるものならやって……」
勇者「うおりゃああああああああ!」バゴオオン
魔王「げぶらっ!」
魔王「あ、顎が……あががが」
勇者「やってやるよ」ボタボタッ
魔王「お、お前……今殴った手の骨折れてるんじゃ……」
勇者「これから死のうってのに骨が折れようが内臓が破裂しようがしったことか!」ゴゴゴゴゴゴ
魔王「こ、こいつ体のリミッターはずしてやがる……」
勇者「さぁ、魔王……一緒に死のう……」ギラギラ
魔王「や、やばい……目がやばい」
魔王「え、えっと……そうだ!勇者!世界の半分をお前にやろう!どうだ!うれしいだろ!うれしいよな!生きたいよな!」
勇者「俺を変態と呼ばない世界がそこにあるのか……」
魔王「え、えっと……えーっと……」
勇者「……」
魔王「ない!」
勇者「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
魔王「ま、待て!じゃあ女の子!女の子紹介してやる」
勇者「女……女の子……」
魔王「そうだ!」
勇者「かわいいか?歳いくつ?」
魔王「えっと400歳のメデューサちゃんとかどう?石になっちゃうくらい可愛いぞ?」
勇者「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
魔王「待て、私の話も聞いてくれ」
勇者「話?」
魔王「私はどうしてもお前を殺さなくてはならないわけがあるのだ」
勇者「?」
魔王「そう、あれは数百年前のこと……」
魔王「私の両親がまだ健在であったころだ。その頃はまだ人間と魔族がまだこのような戦争をしていなかった時代だ」
魔王「幼かった私には友達や仲間と呼べるものがいなかった」
魔王「だが、あるとき、一人の友達が出来た」
魔王「友達は人間だった。仲良くなった私たちは毎日毎日遊んだよ」
魔王「しかし、時間とは残酷なものだ。人間は年老いていくが、私は若いまま」
魔王「友達は私のことを化物と呼んだよ」
魔王「人間たちは私たちを恐れた」
魔王「そして、私のいない間に私の両親を……」
魔王「私は……私は人間を許すわけにはいかんのだ!」
勇者「嘘っぽいな……」
魔王「まぁ、嘘なんだがな」
まさしくちょwwwwwおまwwwwwwって気分だ
勇者「言いたいことはそれだけか!」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
魔王「ま、待て!もうちょっといい話思い浮かべるから!」
魔王「えっと……うーん……」
魔王「ああ!もう命乞い思い浮かばないわ!」
勇者「覚悟はいいか!」
魔王「良くないけど、仕方ない!」ゴゴゴゴゴゴゴ
勇者「一緒に死ねえええええええええええええ!」
魔王「お前だけ死ねえええええい!」
カッ
戦士「勇者のやつ今頃なにやってるかな」
魔法使い「さぁ、魔王と漫才でもやってるんじゃないの」
戦士「あいつ最後まで死ぬ死ぬ言ってたけど大丈夫かな」
魔法使い「うーん……」
戦士「勇者にはちょっと悪いことしちまったよな……」
魔法使い「まーね……」
戦士「なんだ、やけに素直だな」
魔法使い「んー、結局、死ぬ死ぬ言っててあいつ最後まで折れなかったなぁって思ってさ」
戦士「まぁな」
魔法使い「結構すごいやつよね、勇者って」
戦士「やけに褒めるな、妬けるぞ」
魔法使い「ふふっ、あたし、僧侶に変な事吹き込まれなかったら勇者のこと好きになってたかもね」
戦士「ちょっ、おまっ」
魔法使い「冗談よ、冗談」
戦士「まぁ、無事だといいな」
魔法使い「そうね」
カッ
戦士「あ、北の空が光って……」
魔法使い「綺麗……」
戦士「お前のほうが綺麗だ」チュッ
魔法使い「んっ」
キャッキャウフフ
黙ってろスイーツ&勇者に白刃取りされるレベルの戦士が
カッ
僧侶「わぁ、空が光ってる……」
僧侶「魔王城の方向かな」
僧侶「綺麗……」
僧侶「じゃなくて魔王様無事かな……」
僧侶「何とか逃げて来られたけど……」
僧侶「まったく、勇者たちはエッチな罰しようとするし、まったく」
僧侶「泣いた振りでごまかしたけど」
僧侶「でも帰ったら怒られるかな」
僧侶「うーん……」
僧侶「とりあえず行って見るかな」
カッ
「ママーお空が光ってるよー」
「まぁ、綺麗ねぇ」
「ほんとだぁー」
「願い事言ったら叶うんじゃない?」
「それは流れ星でしょ」
「どっちでもいいよ」
「世界が平和になりますようにー」
「ふふっ、いい子ね」
「うん!」
―――魔王城跡
僧侶「熱っ……魔王城が……なくなってる」
僧侶「それにこの熱……魔王様と勇者とぶつかったのかな?」タタタッ
僧侶「どっちが勝ったのかしら」
僧侶「魔王様ー!」
魔王「ううっ……」ボロボロ
僧侶「魔王様!無事でしたか!」
魔王「がはっ……無事ではない……ぜぃぜぃ……」ボタボタッ
魔王「駄目だ……この肉体はもう……」
魔王「だが、私は運がいい。丁度新しい肉体が来るとはな」
僧侶「え」
魔王「ぐはぁ……僧侶、お前は失敗したが……許してやる。だから……」
僧侶「ひぃ!ま、魔王様!?」
魔王「お前の肉体……いただくぞ!」グッ
ガシッ
魔王「だ、誰だ……肩を掴むのは」
勇者「ま、まだ……死んでないぞ……俺もお前も……」ズルズルッ
僧侶「た、助かった……?」
魔王「その血まみれの体で……なぜまだ動ける……」
勇者「俺は死なん……この世界の全てを闇に染めるまでは……」
魔王「がはっ……なんかお前言ってることが変わってるぞ……」
勇者「頭がボーっとしてよく分からん……えっとお前を殺せばいいのか……」グシャア
魔王「ぎゃああああああああああああ!か、肩が……潰された」
勇者「ああ、すまん」ガシッ
魔王「そういいつつわき腹を掴むな……」
勇者「はぁ……はぁ……」グシャア
魔王「ぐおおおおおおおおお!」
勇者パネエ
というか魔王が僧侶に入ってから殺せば一石二鳥じゃ
勇者「もう……体の感覚が……ない」ガシッ
魔王「あ、頭は……頭はやめろ……」
勇者「眠い……欝だ……死のう……」ギリギリギリギリッ
魔王「や、やめ……やめ……」グシャア
魔王「」
勇者「……魔王?」
僧侶「もう魔王様は……死にましたよ」
勇者「僧侶……」
僧侶「はい」
勇者「僧侶……俺はもう死ぬ……」
僧侶「何か言い残すことがありますか?」
勇者「ああ、死ぬ前に……死ぬ前に……はぁはぁ」
勇者「胸……揉ませてくれ……」
魔王握りつぶした直後に胸もませろって無理じゃね?
>>214
お前おっぱいの弾力性知らないだろ
これだから童貞は……
僧侶「……」バシッ
勇者「……痛い」
僧侶「体の感覚ないんじゃなかったんですか?」
勇者「揉むために復活したみたいだ……がはっ」ズルズル
僧侶「どういう感覚ですか」
勇者「揉んだら安らかに逝くから……」
僧侶「なんか、助けられたしちょっとカッコイイかもとか思いましたけど勘違いでしたね」
勇者「さきっちょだけ……さきっちょだけでいいから……はぁはぁ……」
僧侶「さっさと死んでください」バシッ
勇者「」
勇者「うう……ん?こ、ここは……いてぇ!」
僧侶「まだ動かない方がいいですよ」
勇者「僧侶!?なんで、魔王は?」
僧侶「覚えてないんですか?」
勇者「魔王とぶつかってからはあんまり……」
僧侶「じゃああのセクハラ発言も?」
勇者「セクハラ?」
僧侶「いえ、思い出さなくていいです」
勇者「助けて……くれたのか?」
僧侶「別に……」
勇者「なんでお前が……お前は魔王の手下だろ」
僧侶「別にっていってるでしょう!」
勇者「ああ、まぁ、確かにどうでもいいか」
勇者「どうせ俺死ぬんだし」
僧侶「!」バシッ
勇者「いてぇ!な、なんで叩くんだよ」
僧侶「折角助けたのに……死ぬとか言うから……」
勇者「もともとお前は俺を殺しにきたんだろうが」
僧侶「そうですけど……今は違うし……」
勇者「なんだよ、はっきりしないな」
僧侶「ですからせっかく助けたのに死なれるのが気分悪いんですよ!」
勇者「……」
僧侶「せっかく作った料理を食べてもらえなかったらつまらないでしょう!」スッ
勇者「まぁ、そりゃそうだけど……ん?なにこれ、俺にくれんの?」
僧侶「食べたくないなら別に」
勇者「……」パクッ
眠い……ごめん……
勇者「うっ…うっ……」
僧侶「どうしました!?喉に詰まりましたか!?」
勇者「うう……」パタッ
完
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