リビング
シンジ「アスカー」
アスカ「んー」ポイッ
シンジ「ありがとう」
アスカ「あ、シンジー?」
シンジ「もう終わったよ」
アスカ「あっそ」
ミサト「……」
アスカ「シンジー」
シンジ「大丈夫」
アスカ「じゃ、おさきー」
シンジ「うん」
ミサト(ああ、お風呂か)
シンジ「……テレビでもみよっと」
ペンペン「くぁ」
シンジ「一緒に見る?」
ペンペン「くぉ!」
ミサト「……」
ミサト「シンジくーん」
シンジ「はい?」
ミサト「あれ、欲しいなぁ」
シンジ「あれってなんですか?」
ミサト「……」
シンジ「あれじゃわからないんですけど」
ミサト「……ビール」
シンジ「自分でとればいいじゃないですか……もう……」スタスタ
ミサト「……」
シンジ「はい。飲みすぎには注意してくださいね」
ミサト「うん」
シンジ「さ、テレビテレビ」
アスカ「シンジー」
シンジ「オレンジジュースならもう冷えてるよ」
アスカ「そう」
シンジ「じゃ、次は僕が入ろうかな」
アスカ「あ」
シンジ「石鹸なら僕が出しておくから」
アスカ「んー」
ミサト「……」
アスカ「ごくごく……ぷはぁ」
ミサト「ねえ、アスカ。あれ、欲しいなぁ」
アスカ「あれって?」
ミサト「……」
アスカ「あれじゃ分からないわよ」
ミサト「……おつまみ」
アスカ「なら、初めからそういいなさいよね。ズボラなんだから」
アスカ「はい」
ミサト「ありがとう」
アスカ「さ、テレビテレビ。お、私の好きな番組じゃないの」
ミサト「……ねえ?」
アスカ「なに?」
ミサト「最近、シンジくんとアスカ、仲いいわよね?」
アスカ「はぁ?何いってんの?」
ミサト「え?」
アスカ「あんなヤツ、だいっきらいよ!!」
ミサト「いや、でも……なんか通じ合ってるっていうか」
アスカ「うぇー、気持ちの悪いこと言わないでよ、ミサト」
ミサト「……」
アスカ「あんなヤツと一緒にしないで。私は天才のアスカ、なんだから」
ミサト「そう……」
このID見たな
まあそりゃ年代違うしな
シンジ「あー、さっぱりした」
アスカ「……」
シンジ「アスカ」
アスカ「はいはい。分かってるわよ」
シンジ「ならいいんだ」
ミサト「え?シンジくん、なんのこと?」
シンジ「ああ、学校の課題。最近のアスカ、いつもギリギリで提出するんで」
アスカ「何よ、アンタは私のお父さんかっつーの」
シンジ「別にそんなつもりはないけど」
アスカ「それはそうと」
シンジ「うん。明日はいつもより早めに起こすよ」
アスカ「ふん」
ミサト「ねえ、シンジくん?アスカととんでもなく仲良くなってない?」
シンジ「え?いや、全然ですよ。アスカは僕のこと嫌ってるみたいですし」
ミサト「……」
翌日 ネルフ本部
リツコ「そこの数値なんだけど」
マヤ「はい」
ミサト「ねえ、リツコ?」
リツコ「なに?」
ミサト「あれ、欲しいな」
リツコ「アレって?」
ミサト「……やっぱダメよね」
リツコ「何を言っているの?」
ミサト「あのさ、ちょっち聞きたいんだけど。アレとってとか、「あ」だけで意思の疎通ができると思う?」
リツコ「さぁ。そういう間柄の人はいないから、わからないわ」
マヤ「先輩」
リツコ「はい、コーヒー。どうぞ」
マヤ「すいません」
ミサト「……」
そう言いながら加持さんとバッチリなミサトさん
廊下
ミサト「はぁ……」
アスカ「シンジー!!」
シンジ「今日はハンバーグ!」
アスカ「わかったー」
ミサト「……」
レイ「碇くん」
シンジ「どうしたの?」
レイ「お弁当なんだけど」
シンジ「うん。明日はどうする?」
レイ「……少し、量を減らしてくれるとうれしいわ」
シンジ「わかったよ」
ミサト(あれ?レイは流石に……そういう関係じゃないのね……)
ミサト「レイ、ちょっとちょっと」
レイ「なんでしょうか?」
ミサト「あのね。シンジくんにアレとかソレで何かお願いしてみてくれない?」
レイ「どういうことですか?」
ミサト「例えば飲み物が欲しいとき、アレとかソレで通じるか試して欲しいの」
レイ「それは……」
ミサト「軽い実験だと思って、ね?」
レイ「分かりました」
ミサト(レイで通じちゃうなら、私が異常ってことになっちゃうし……)
レイ「碇くん」タタタッ
シンジ「どうしたの?」
レイ「アレ」
シンジ「……どれ?」
レイ「……」
シンジ「え?」
おやおや
レイ「……ダメでした」
ミサト「そうよね!ありがとうー!!レイ!!感謝するわー!!」
レイ「ところで、これはどういう……?」
ミサト「ああ。最近、シンジくんとアスカがアレとかソレで意思疎通しちゃってて」
レイ「……」
ミサト「でも、通じないのが普通よねー、うんうん」
レイ「……」
ミサト「ごめんね、付き合ってもらって」
レイ「いえ」
ミサト「ふんふふーん♪」
レイ「……」
レイ「……」タタタッ
シンジ「アスカー」
アスカ「そこに置いてあるでしょ」
シンジ「あ、ホントだ」
アスカ「アンタ、目までバカなの?」
シンジ「そこまでいうことないだろ」
アスカ「シンジ」
シンジ「はいはい。ちょっと待ってて、今買うから」ピッ
アスカ「ふわぁぁ」
シンジ「はい」
アスカ「ん」
レイ「……」ジーッ
レイ(碇くん、どんな飲み物が欲しいか聞いてないのに……迷い無く買った……)
レイ(どうして……?)
シンジ「アスカ」
アスカ「もう出来てるわよ。うるさいわね」
シンジ「そう」
アスカ「あ、そうだ」
シンジ「アレなら全部洗っておいたよ」
アスカ「あ、そう。ありがと」
シンジ「……」
アスカ「……あれは?」
シンジ「冷蔵庫の左奥」
アスカ「またぁ?取り出しにくいんだけど」
シンジ「じゃあ、自分で買ってきたらいいじゃないか」
アスカ「なによ!!バカシンジのくせにぃ!!」
シンジ「関係ないだろ!!」
レイ「……あの」
シンジ「え?綾波、どうしたの?」
レイ「碇くん、アレが欲しい」
シンジ「アレ?ごめん、なにかな?」
レイ「……」
アスカ「あんたバカぁ?何が欲しいか言わないとわかるわけないでしょ?」
レイ「……ごめんなさい」
シンジ「で、なにかな?」
レイ「水……欲しかったの」
シンジ「ああ。水か。ちょっと待ってて」スタスタ
レイ「……」
アスカ「水ぐらい自分で取りにいけばいいでしょ?なんで、シンジに頼むのよ」
レイ「私も貴方みたいにできたらって思って」
アスカ「はぁ?」
レイ「碇くんと貴方、会話になっていないのに会話してたから」
アスカ「意味不明ね。何言ってるのよ」
レイ「……」
大変です!!シンジくんとアスカのシンクロ率が400%を越えています!!
シンジ「はい、綾波」
レイ「ありがとう」
アスカ「あ」
シンジ「コンビニで買えばいいだろ」
アスカ「それもそうね」
レイ「……あの」
シンジ「どうしたの?」
レイ「碇くん……どうしてあの人の考えていることが分かるの?」
シンジ「え?どういうこと?」
レイ「碇くんは何を求められているか訊ねてないのに、返答しているから」
シンジ「そうかな?意識したことないけど」
アスカ「シンジー」
シンジ「うん。すぐ行くから」
レイ「今のはなんのこと?」
シンジ「ああ。一緒に帰るよってアスカが」
レイ「彼女はそんなこと一言も言っていないわ」
シンジ「え?あー、そうだね」
レイ「どうして分かるの?」
シンジ「どうしてって言われても……」
レイ「……」
シンジ「一緒に住んでいれば自然とわかるんじゃないかな?」
レイ「そう」
シンジ「うん。じゃあ、綾波。また明日」
レイ「ええ」
シンジ「アスカー」タタタッ
アスカ「うっさいわね!!牛乳なら一緒に買うわよ!!」
レイ「……」
レイ「なに……この気持ち……」
レイ「胸がザワザワする……嫌な気分……」
シンジ「ツー」
アスカ「カー」
司令室
レイ「……」
ゲンドウ「冬月」
冬月「既に」
ゲンドウ「そうか」
冬月「それよりも」
ゲンドウ「問題ない」
冬月「ならいい」
レイ「あの。碇司令」
ゲンドウ「なんだ、レイ?」
レイ「アレが欲しいのですけど」
ゲンドウ「アレではわからないな。何が欲しい?」
レイ「……水です」
ゲンドウ「そうか。持ってこよう」
レイ「……」
葛城宅
ミサト「……シンジくーん」
シンジ「なんですか?」
ミサト「ビールとおつまみー♪」
シンジ「もう……。―――どうぞ」
ミサト「ありがとっ」
アスカ「シンジー」
シンジ「アイスぐらい自分で取ってよ」
アスカ「冷蔵庫の近くにいるのはシンジでしょー」
シンジ「はいはい」
ミサト「シンジくん。アスカがアイスを求めてたのよくわかったわね」
シンジ「え?」
ミサト「やっぱり、もう夫婦の域なわけ?」
アスカ「ミサト!!気持ち悪いこといわないで!!!」
シンジ「そうですよ。アスカと結婚なんてしたら胃がオカリナみたいになりますよ」
青葉「ツー」
日向「カー」
アスカ「ぬぁんですってぇ!?」
シンジ「お金は散財するだろうから、ストレスしか貯蓄できないね」
アスカ「むきー!!!バカシンジのくせにいうじゃない!!」
シンジ「本当のことだろ!!」
アスカ「あんたなんかアレよ!!」
シンジ「な……!!じゃあ、アスカはアレだね!」
アスカ「そこまでいう!?」
シンジ「いうよ!!」
ミサト(会話についていけないわ……)
ピリリリ……
ミサト「……ほいほーい。葛城ミサトよーん」
リツコ『もしもし?』
ミサト「リツコ?どうかしたの?」
リツコ『あなた、レイになにか吹き込んだわね?』
ミサト「はぇ?」
リツコ『レイが言葉を使わずに意思疎通がしたいって言い出したのよ』
ミサト「なんのこっちゃ?」
リツコ『こっちの台詞よ、それ』
ミサト「で、どうしたいって?」
リツコ『今後の任務においても、会話をすることなくコミュニケーションができればタイムロスがなくなるって』
ミサト「ふんふん」
リツコ『だから、そっちで一緒に住みたいそうよ?」
ミサト「だれが?」
リツコ『レイが』
ミサト「なんで?」
リツコ『コミュニケーションを円滑にするために』
ミサト「ほーん」
リツコ『いや……事の重大さ、わかってる?エヴァのパイロット全員を貴方が面倒みるってことよ?』
ミサト「マジ?」
リツコ『はぁ……ありえないわ』
ミサト「なんでまた、そんなことに」
リツコ『ミサトが何かいったんじゃないのかしら?』
ミサト「知らない知らない」
リツコ『とにかく。あのレイが碇司令にも直談判して、もう決定事項みたいになっているから』
ミサト「うそ?!」
リツコ『碇司令もミサトにならって言ってるわ』
ミサト「そんないきなり……」
リツコ『レイの部屋、用意してあげてね』
ミサト「……わかりました」
リツコ『明日、引越しだから』
ミサト「明日?!」
リツコ『よろしく』
ミサト「あ、リツコ?!もしもーし!!!」
シンジ「どうかしたんですか?」
アスカ「なによ、慌てちゃって」
シンジ「綾波が!?」
アスカ「すむぅ?!」
ミサト「よく分からないけど、そういうことになったみたい」
シンジ「なんで?!」
アスカ「そんなことになってるのよぉ!?」
ミサト「私も詳しくはわからないけど、なんでもレイが言葉を使わずにコミュニケーションをしたいって言ってるみたいね」
シンジ「言葉を?」
アスカ「使わずにぃ?」
ミサト「うん」
シンジ「どうして綾波は……」
アスカ「いきなりそんなことを……」
ミサト「まぁ、とにかく。もう決まった話みたいだから、今から部屋を用意しないと」スタスタ
シンジ「……」
アスカ「シンジ?」
シンジ「べ、別にいやらしいことなんて考えてないよ!!」
冬月「バッカモーン!」
リツコ「まあまあ教授、そのくらいにしてあげてくださいな」
ゲンドウ「ええ?シンジ君がエヴァを勝手に使ったのかい?」
ミサト「まったくシンちゃんはバカなんだから」
シンジ「僕は悪くないよ!ひどいやミサトさん」
アスカ「シンジが悪いのよ」
レイ「碇君がやったですぅ」
保守
翌日
レイ「お邪魔します」
ミサト「もうここはレイの家なんだから、ただいま。でいいわよ」
レイ「……ただいま」
ミサト「はい。おかえりなさい。―――こっちに来て、部屋まで案内するわ」
レイ「はい」
シンジ「綾波」
レイ「碇くん。今日からよろしく」
シンジ「う、うん」
アスカ「なによ」
シンジ「デレデレなんてしてないよ」
アスカ「どーだか」
レイ「……」
ミサト「レイ、こっちよ」
レイ「はい」
ミサト「まぁ、ベッドは置けないから、布団になっちゃうけど、許してね」
レイ「いえ」
ミサト「じゃあ、何かあったら言ってね」
レイ「わかりました」
レイ「……」ゴソゴソ
トントン
レイ「はい?」
シンジ「荷物の片付け、手伝おうか?」
レイ「ありがとう」
シンジ「でも、そんなに荷物ないね」
レイ「ええ」
シンジ「これは服……かな?」
レイ「そう」
シンジ「じゃあ、僕が畳んでタンスに入れていくよ」
レイ「お願い」
シンジ「よっと……これはどこに仕舞おうか?」
レイ「……ソコに」
シンジ「え?どこ?」
レイ「……上から二段目」
シンジ「ここか」
アスカ「シンジー?」
シンジ「ご飯はあとで」
アスカ「全く……」
レイ「……」
アスカ「なによ?」
レイ「別に」
シンジ「綾波、制服はどうしようか?」
アスカ「ソコでいいじゃない」
シンジ「え?椅子の背もたれは流石にダメじゃないかな?」
レイ「……」
リビング
ミサト「シンちゃん、おしょうゆとって」
シンジ「どうぞ」
アスカ「ん」
シンジ「はい」スッ
アスカ「ん」
レイ「……碇くん」
シンジ「なに?あ、口に合わなかった?」
レイ「……お茶のおかわりが欲しいんだけど」
シンジ「あ、ごめん。気が利かなくて」
レイ「ううん」
アスカ「んー」
シンジ「はいはい。すぐに注ぐから」
アスカ「ん」
レイ「……」
アスカ「シンジー?」
シンジ「今、持って行くから」
レイ「……」
シンジ「グレープジュースはこれで最後だからね、アスカ」
アスカ「んー」
レイ「碇くん」
シンジ「なに?」
レイ「……」
シンジ「綾波?えっと、どうしたの?」
レイ「いいわ。自分でするから」スタスタ
シンジ「え?どうしたんだよ、綾波?」
ミサト「シンちゃん、こっちきて」
シンジ「なんですか?」
ミサト「レイはね、アスカの真似がしたいのよ」
シンジ「ど、どういうことですか?」
ミサト「最小限の言葉でコミュニケーションを取ろうとしているのよ。レイの目的でもあるし」
シンジ「ああ、そうでしたね。でも、どうしてそれがアスカの真似になるんですか?」
ミサト「だって、アスカはシンジくんの名前しか声に出してないのよ?」
シンジ「ええ」
ミサト「なのに、シンジくんはきちんとグレープジュースをアスカに持っていったでしょ?」
シンジ「え?まあ、アスカが欲しいっていうから」
ミサト「どこで言ってたのよ、どこで」
シンジ「一昨日の夜に、グレープジュースは置いておいてって」
ミサト「……え?で、さっき渡したの?どうして?」
シンジ「え?」
ミサト(シンジくんもアスカもやっぱり、意識なんて欠片も持ってないわけか)
シンジ「ミサトさん?」
ミサト「とにかく、レイにも気を配ってあげて。ついでに私にも」
シンジ「な、なるべくやってみます」
ミサト「おねがいねっ」
レイ「……」
アスカ「よっと」
シンジ「アスカ」
アスカ「はいはい。シャンプーは詰め替えとく」
シンジ「うん」
アスカ「……」スタスタ
レイ「碇くん」
シンジ「お茶!?」
レイ「違うわ」
シンジ「ご、ごめん」
レイ「彼女が立ち上がっただけでどうしてお風呂に向かうって分かったの?」
シンジ「えーと……なんとなく」
レイ「いつもこの時間に入浴するの?」
シンジ「ううん。バラバラだけど」
レイ「そう……時間が決まっているわけでも、動作が同じでもないのね」
レイ「……」
アスカ「あーさっぱりした」
シンジ「……」スタスタ
アスカ「シンジー」
シンジ「わかった。トイレットペーパー、新しいの出しておくよ」
アスカ「んー」
レイ「……あの」
アスカ「なによ?」
レイ「どうして碇くんがトイレに向かうって分かったの?」
アスカ「え?んー……さぁ?」
レイ「え?」
アスカ「別にどうでもいいわよ、アイツのことなんて。意識したことないし」
レイ「意識してないのに碇くんの考えていることが分かるの?」
アスカ「分かるわけないでしょ?なにいってんのよ。というか、シンジのことなんてわかりたくもないし」
レイ「……」
シンジ「綾波、お風呂先にどうぞ」
レイ「碇くん」
シンジ「なに?」
レイ「……」
シンジ「あ……えーと、お風呂上りに冷たい麦茶を出しておくよ!!」
レイ「……ありがとう……」トボトボ
シンジ「あれ……違うのかな……?」
アスカ「シンジー!!」
シンジ「わかった」
ミサト「なにが?」
シンジ「明日はいつもより5分早く起こしてって」
ミサト「そ、そう……。―――シンちゃーん?」
シンジ「なんですか?」
ミサト「……ビール」
シンジ「わかりました。ちょっと待ってください」
レイ「……碇くん」
シンジ「お風呂どうだった?不便じゃなかった?」
レイ「……ええ。それよりも碇くん」
シンジ「麦茶だね。はい」
レイ「……ありがとう。あの……碇くん」
シンジ「うん!今から僕がお風呂に入るよ!」
レイ「……っ」ウルウル
シンジ「え……?!あ、綾波!?」
レイ「おやすみなさい」タタタッ
シンジ「綾波!!」
シンジ「……はぁ……わからないよ……綾波……名前だけ呼ばれても……」
アスカ「シンジー?」
シンジ「もう!アイロンぐらい一人でやってよ!!!」
アスカ「んー」
シンジ「それどころじゃないのに……綾波……」
レイの部屋
レイ「……」ゴクゴク
レイ「ぷはぁ……」
レイ(まだ1日目……結果はついてこない)
レイ「……コップ、戻してこないと」
トントン
レイ「はい?」
シンジ「綾波……あの……」
レイ「なに?」
シンジ「なんか……ごめん……」
レイ「え?」
シンジ「僕……綾波のことまだ良く知らないみたいだから……その……色々と傷つけちゃってるかもって……」
レイ「大丈夫だから、気にしないで。私が……焦っているだけだと思う」
シンジ「綾波……」
レイ「今日からだから……ゆっくりと分かっていけばいいと思うから……大丈夫」
数日後 ネルフ本部
リツコ「で、どうなの?」
ミサト「なにが?」
リツコ「レイのことよ」
ミサト「ああ、別に問題ないわね。元々、いい子だし」
リツコ「ならいいけど……」
日向「あの」
ミサト「あー、あれはあとで見とくわ」
日向「あと」
ミサト「それなら15時に会議室に持ってきて」
日向「分かりました」
リツコ「……あの子、繊細なんだから気をつけてね」
ミサト「わかってるわよ」
マヤ「先輩」
リツコ「わかったわ。じゃあ、模擬戦闘開始にしましょうか。準備はいいかしら?シンジくん、アスカ、レイ」
ミサトと日向て
アスカ『いっつでも!!』
シンジ『はい!!』
レイ『準備は出来ています』
リツコ「この作戦は15分以内で終わらせてね」
アスカ『了解!!―――シンジ!!』
シンジ『わかったよ!!』
レイ『え?』
アスカ『零号機は私のバックアップ!!』
レイ『りょ、了解』
シンジ『綾波?大丈夫?』
レイ『え、ええ。あの……碇くん』
シンジ『なに?』
レイ『……なんでもないわ。がんばりましょう』
シンジ『うん』
アスカ『作戦開始!!』
予想は無粋
使徒「……」ヒョンヒョン
アスカ「ちっ!!シンジ!!!」
シンジ「了解!!!」
レイ「……」
アスカ「このぉ!!!大人しくしなさいよね!!」ガキィィン
使徒「……」ギィィン
シンジ「綾波!!援護を!!!」
レイ「了解」ズガガガ
アスカ「これでぇぇぇ!!!ラストォォォ!!!!!」バキィィン
ドォォォォン!!!!!
アスカ「よっしゃぁ!!!」
シンジ「やったね、綾波」
レイ「え、ええ……」
リツコ『お疲れ様。上出来ね。いいデータが取れたわ』
アスカ「ま、私一人でも15分以内なんて余裕だったけどね。こんなの訓練にもならないわね」
更衣室
レイ「……」
アスカ「あー、もっとレベル上げてくれないかしらねー」
レイ「……レベル?」
アスカ「そうよ。あんなんじゃ私の腕が訛っちゃうし」
レイ「でも……あれが適正だって、博士が」
アスカ「バカシンジに合わせておいたら、私のレベルまで下がっちゃうでしょ?」
レイ「でも……二人の連携は綺麗だったわ」
アスカ「やめてよ。虫唾が走る」
レイ「……」
トントン
シンジ『アスカー?』
アスカ「アレでいいわー!」
シンジ『綾波はー?』
レイ「え?な、なんのこと?」オロオロ
アスカ「飲み物よ」
レイ「……碇くん、アレで」
シンジ『え?アレって?』
レイ「……」
シンジ『あ、えっと……み、水かな?』
レイ「そう!」
シンジ『わかったよ。用意しとく』
レイ「……♪」
アスカ「なんか嬉しそうね?どうかしたの?」
レイ「え……な、なんでもないわ」
アスカ「ふーん」
レイ(よかった……通じた……)
レイ(なんだか……ポカポカする……)
レイのはまだ通じてるとは言わないな
同じ物しか頼まない常連さんLV
休憩場
シンジ「はい」
アスカ「んー」
シンジ「はい、綾波」
レイ「ん、んー……」
シンジ「え?」
レイ「……あ、えと……ありがとう……碇くん」
シンジ「いいよ」
レイ「……」ゴクゴク
アスカ「シンジ?」
シンジ「今日はアレでいい?」
アスカ「まぁ、ソレでもいいけど」
レイ「今日のご、ご飯?」
アスカ「はぁ?」
シンジ「いや、今日買って帰るアイスの話なんだ」
レイ「そう……ご、ごめんなさい……」
アスカ「じゃあ、早く行くわよ」
シンジ「わかってるよ。綾波もいこ」
レイ「ええ」
アスカ「でも、今日はアレでもいいかもね」
シンジ「ソレは前も食べたじゃないか」
アスカ「アレは何度食べても飽きないのよ。あんた、バカ?」
シンジ「そんなの知らないよ」
レイ「……あの」
シンジ「なに?」
レイ「……私……やっぱり一人で帰ったほうがいい?」
シンジ「そんなことないよ!綾波、アイスは嫌いだった?」
レイ「……」フルフル
シンジ「じゃあ、一緒に行こう」
レイ「え、ええ……」
やさしくされればされるほど辛いという最悪のパターン
悪気が0だからなwwww
コンビニ
アスカ「これこれー♪」
シンジ「綾波はどれがいい?」
レイ「……」キョロキョロ
アスカ「はやくしてよねー」
シンジ「アスカ」
アスカ「はいはい。シンジ様はお優しいことでー」
シンジ「もう」
レイ「碇くん……」
シンジ「なに?」
レイ「……」ジーッ
シンジ「え……あの……そんなに見つめられても……」
レイ「……っ」ウルウル
シンジ「綾波!?どうしたの!?」
レイ「……このアイスでいいわ……」スッ
葛城宅
アスカ「シンジー?」
シンジ「ちゃんと入れとくよ」
アスカ「んー」
レイ「はぁ……」
シンジ「綾波は今、食べる?」
レイ「え……。いい。私もあとで食べるから」
シンジ「そう」
アスカ「さーてと」
シンジ「アスカ」
アスカ「はいはい。ちゃんと風呂掃除はしますー」
シンジ「アスカー?」
アスカ「手は抜かないわよ!!失礼ね!!!」
レイ「……碇くん」
シンジ「お茶?!」
レイ「違うわ。座ってくれる?」
シンジ「う、うん」
レイ「……」ジーッ
シンジ「え……な、なに?」
レイ「碇くん」
シンジ「うん?」
レイ「……はぁ……」
シンジ「あの……」
レイ「碇くんはいつ頃から最小限の会話でコミュニケーションが出来るようになったの?」
シンジ「え?誰と?」
レイ「あの人」
アスカ「ちょっと!!ペンペン!!邪魔!!どきなさいよ!!!」
シンジ「アスカと?」
レイ「そう」
シンジ「そういわれても……よくわからないんだけど……」
レイ「……」
シンジ「前にミサトさんにも言われたけど……僕は……多分、アスカも意識してないから」
レイ「そう」
シンジ「うん。綾波はその……」
レイ「今日の模擬訓練であの人は指示なんて出してないのに、碇くんは了解って言っていたわ」
シンジ「あ……」
レイ「どうして分かるの?」
シンジ「なんでだろう……?うーん……」
レイ「私も……」
シンジ「え?」
レイ「碇くんって言うだけで、私の気持ちを分かってほしい」
シンジ「あ、綾波……」
レイ「……ごめんなさい。勝手なことをいって」
シンジ「そ、そんなこと……ごめん……」
レイ「……ごめんなさい」
>>201
そう思うとすごい影響力だな
アスカ「シンジー?」
シンジ「洗剤なら棚のところ」
アスカ「あー、あった、あった」
レイ「……」
シンジ「僕も努力するよ。綾波のこと、もっと知りたいから」
レイ「……あの人と分かり合う努力はしたの?」
シンジ「え……」
レイ「そう……してないのね」
シンジ「……ごめん」
アスカ「シンジー?!」
シンジ「詰め替え用なら棚の奥にあるよ」
アスカ「あ、ホントだ」
レイ「……っ」ウルウル
シンジ「綾波!?」
レイ「おやすみなさいっ」タタタッ
>>206
これもすごい面白いけどスレタイがもったいないな
残酷な君のお母さんとかアスカのドイツ語とか
何ヶ月経ってもパッと出てくるからな
ミサト「たっだいまー」
シンジ「はぁ……」
ミサト「どうしたの?ごはんはー?」
シンジ「それどころじゃないですよ」
ミサト「え?なんかあった?」
シンジ「それが……」
アスカ「シンジー?」
シンジ「お疲れ様」
アスカ「なに?」
シンジ「……」
アスカ「あー、アンタ、ほんとにバカね」
ミサト「え!?」
シンジ「そんな!!どうしていいかわからないじゃないか!!」
アスカ「そういうところがバァカなのよ」
ミサト「ちょ……え?なにがあったの?!言いなさい!!シンジくん!!なんでアスカは理解したの?!ねえ!!」
レイの部屋
レイ「……ここに来ないほうがよかった」
トントン
レイ「はい?」
ミサト「えっと、ご飯できたわよー?」
レイ「わかりました」
ミサト「レイ……大丈夫?」
レイ「え……?」
ミサト「元の家に戻ってもいいのよ?」
レイ「……」
ミサト「あ、誤解しないでね!別にあなたが迷惑だからとかそういうのじゃ……!!」オロオロ
レイ「いいえ……。今のは分かりました。本当に私のことを思ってくれているのが」
ミサト「え……」
レイ「今、行きます」
ミサト「そ、そう」
リビング
シンジ「綾波……」
レイ「碇くん……大丈夫だから」
シンジ「そう……ならいいんだ」
レイ「ええ」
アスカ「シンジー!」
シンジ「はいはい」スッ
アスカ「んー」
ミサト「うわ。それに唐揚げにマヨネーズって正気?」
アスカ「美味しいじゃない」
ミサト「そう?」
シンジ「アスカは偏食だから」
アスカ「あ?」
ミサト「ふとるわよー?」
アスカ「その分動いてるわよ!!」
レイ「……」
シンジ「綾波?」
レイ「あ、お願い」
シンジ「うん」
アスカ「うまー♪」
ミサト「あらやだ……意外といけるじゃない」
シンジ「はい、綾波。お茶」
レイ「ありがとう」
レイ(あれ……)
シンジ「アスカ」
アスカ「いいでしょ?これぐらいなら」
シンジ「使いすぎ」
アスカ「減るもんじゃなし」
シンジ「減ってるよ!!!」
レイ(碇くんと……ちゃんと会話してなかった……?)
数時間後
アスカ「―――さーてと」
シンジ「アスカ」
アスカ「まだあるわよ。無くなりそうなのは……アレね」
シンジ「わかった」
レイ「碇くん」
シンジ「え?」
レイ「……」ジーッ
シンジ「あ、綾波……?」
レイ「……」ジーッ
シンジ「あの……」
ミサト「あともう少しでキスねー」
レイ「……あ、ご、ごめんなさい……碇くん……そんなつもりは……」
シンジ「う、うん……大丈夫」
ミサト「……」
ミサト「シンジくーん!!」
シンジ「なんですか?」
ミサト「……ビール」
シンジ「もう……またですか」
ミサト「そろそろ声のトーンで覚えてくれてもいいんじゃない?とか思ってたりするのよね、私」
シンジ「そんなのわかるわけありませんよ」
ミサト「傷つくわー」
シンジ「はい」
ミサト「ありがと」
レイ「あの……碇くん」
シンジ「なに?」
レイ「私も飲み物……」
シンジ「お風呂上りは水でいい?」
レイ「ええ……そう……ありがとう……碇くん……」モジモジ
シンジ「綾波、水が好きだね」
数日後 学校
レイ(あれからあまり進展がない)
レイ(私と弐号機の人にはどんな差が……?)
トウジ「おーい、いいんちょー!!」
ヒカリ「鈴原!!」
トウジ「ええやないか、別に」
ヒカリ「だめ!!」
トウジ「なんやねん!!まだなんもいってへんやろ!!」
ヒカリ「鈴原は単純だから顔を見れば何を考えてるか分かるから!」
トウジ「ほう?そこまでいうなら―――この顔で何考えてるかあててみー!!!」
ヒカリ「ぶっ……!!ちょっと!!変な顔しないで!!!」
トウジ「あははは!!いいんちょの負けやな!!じゃ、あとはたのむわー」ダダダッ
ヒカリ「もう!!鈴原ー!!!」
レイ「あの」
ヒカリ「え?なに?」
レイ「顔を見ただけでどうして考えていることがわかるの?」
ヒカリ「あー……えっと……。鈴原は単純だから」
レイ「碇くんでも分かる?」
ヒカリ「ええと……どうして?」
レイ「……なんとなく」
ヒカリ「あ、ああ!!そういうこと!!」
レイ「え?」
ヒカリ「そっか……綾波さんって碇くんのことが……」
レイ「……?」
ヒカリ「大丈夫!!きっとその思いは通じてるはずだから!!」
レイ「そう……?」
ヒカリ「うん!でも、どうしても伝わらないことってあるから……そのときはちゃんと言葉にしたほうがいいと思うよ?」
レイ「……ありがとう」
ヒカリ「いえいえ」
レイ(思いは通じているなら……一体、何が原因……?やっぱり言葉にしないと私のことは全部通じない……?)
ネルフ本部 休憩所
アスカ「シンジー」
シンジ「はい」
アスカ「ん」
レイ「……碇くん」
シンジ「はい」
レイ「ありがとう」
シンジ「今日は疲れたね」
レイ「ええ」
アスカ「ほんとねー。というか、バカシンジが変なミスするからでしょ?!」
シンジ「アスカが突っ込みすぎなんだよ」
アスカ「なんですって?!」
シンジ「本当のことじゃないか。ミサトさんだって怒ってたし」
レイ「……」
レイ(あ……私、碇くんとしか言ってないのに……水を持ってきてくれた……♪)
シンジ「アスカは毎回アレなんだもん」
アスカ「はぁ!?じゃあ、あんたのアレはどう説明するのよ!!」
シンジ「ソレは関係ないだろ!!」
アスカ「あるから言ってるのよ!!あんた、バカぁ!?」
レイ(でも、私には……この二人の会話がまだできない……)
レイ(今日の訓練でも、碇くんは彼女に対して名前しか呼んでないのに連携がとれていた……)
レイ「はぁ……」
シンジ「あ、ごめん!綾波!!」
レイ「え?」
シンジ「ほら、アスカ。変なことで喧嘩したら綾波が気を遣うだろ」
アスカ「知らないわよ。気を遣えなんて言ってないし!」
シンジ「アスカ!!」
アスカ「はいはい。ごめんなさい」
シンジ「ごめん、綾波」
レイ「……違う……」
気を使われば使われるほどに
シンジ「え……?」
レイ「私、二人に気なんて遣ってないわ」
アスカ「なによそれ?わけわかんないけど?」
レイ「どうして……分かってくれないの……」
シンジ「あ、綾波……?」
アスカ「なによ?分かるわけないでしょ、あんたのことなんて」
レイ「……っ」
シンジ「アスカ!!」
アスカ「だってそうでしょ?自分から何が好きで何が嫌いかなんて一切言わないじゃないの!!」
レイ「……それは……」
アスカ「それで自分の気持ちはわかれって?はっ。どこのお嬢様なのよ?あ、そういえばえこ贔屓にされてるんだっけ?あながち間違いでもないわね」
シンジ「アスカっ!!」
アスカ「なによ!!」
レイ「ごめんなさい……先に帰るから……」
シンジ「綾波……」
レイの部屋
レイ「……」
レイ(そういえば……私……碇くんに自分のこと……何も言ってなかった……)
レイ(弐号機の人の言うとおりかもしれない……)
レイ(まずは言葉にしないと……何も伝わらない……)
レイ(きっと二人はいつも言い争いをしているうちにお互いを知った)
レイ(言葉で自分を伝え合ったから……今では言葉が要らなくなっている)
レイ「……」ゴソゴソ
レイ「私も言葉にしないと……」
レイ「……」カキカキ
レイ「……」
レイ(好きな物も嫌いな物も……あまりない……)
レイ「どうしよう……」オロオロ
アスカ「ねえ?」
シンジ「うん」
レイ「今のは何て?」
シンジ「え?アスカが『言葉にしなきゃ通じない事もあるよね?』って言うから『そうだね』って・・・」
レイ「……」
リビング
シンジ「アスカ」
アスカ「わかってるわよ。うるさいわね」
シンジ「僕も一緒に行くから」
アスカ「はぁ?いつからあんたは私の保護者になったのよ?」
シンジ「恥ずかしいんでしょ?謝るの」
アスカ「べ、べつにー。ごめんねってするだけでしょ!なんで恥ずかしいのよ!!バッカじゃないの」
レイ「……あの」ソーッ
シンジ「綾波?!」
アスカ「おぉ!?な、なによ!!文句あるわけ?!」
レイ「碇くん……これ」
シンジ「え?」
レイ「よ、よんで……ください……」スッ
アスカ「はぁ!?」
レイ「それじゃあ……!!」タタタッ
シンジ「なんだろう……これ……手紙?」
アスカ「そ、それ……アレじゃないの……?」ガタガタ
シンジ「え?アレって?」
アスカ「アレはアレよ!!!」
シンジ「え?なに?」
アスカ「……!!知らないっ!!バカシンジー!!!」ダダダッ
シンジ「アスカ!?どうしたの!?」
シンジ「……変なアスカ」
ペンペン「くぁー!!」バサバサ
シンジ「そうだ。なんて書いてあるんだろう……?」ペラッ
『お肉はたべません。お水は好きです。好きな物も嫌いな物も考えてみたらあまりありません。ごめんなさい』
ペンペン「くぁー?」
シンジ「そっか……綾波……好き嫌いあまりないんだ」
シンジ「でも……なんて返事しよう。難しいな」
アスカとシンジのツーカーが切れた!
レイの部屋
レイ「あれでよかったかどうか分からない……」ソワソワ
レイ「どうしよう……碇くん……変に思ってなければいいけど……」オロオロ
シンジ『綾波ー』
レイ「な、なに?」
シンジ『さっきの返事なんだけど』
レイ「え?」
シンジ『好き嫌いがないってすごいね』
レイ「……」
シンジ『そ、それだけ……なんだけど……ごめん……』
レイ「ありがとう……。嬉しい」
シンジ『え?そ、そう?なら、いいんだ』
レイ「碇くん」
シンジ『うん。ご飯ができたら呼びにくるよ』
レイ「ええ。わかったわ」
シンジ「よっと……できた」
レイ「……」スタスタ
シンジ「綾波。今、呼びに行こうと思ったのに」
レイ「なんとなく、もう出来た頃かと思って」
シンジ「そう。そうだ」
レイ「私が呼んでくるわ」
シンジ「いいの?ありがとう」
レイ「……」スタスタ
シンジ「さてと盛り付けないと」
ミサト「たっだいまー!!シンジくーん!!」
シンジ「ビールなら冷蔵庫ですけど」
ミサト「いや!!違うけど!?」
シンジ「え?じゃあ、なんで名前を呼んだんですか?」
ミサト「……いや、そこにいるから」
シンジ「……なんか、すいません」
レイ「あの……」
アスカ『なによ!?』
レイ「食事が出来たって」
アスカ『あとで食べるわよ!しばらく一人にして!!』
レイ「でも、冷めると思うわ」
アスカ『あとでどうにでもなるわよ!!』
レイ「電子レンジは風味を損なうって」
アスカ『今の電子レンジはアレだから大丈夫よ!!!』
レイ「それでもちゃんと出来たての味を……」
アスカ『むきぃー!!ちょっと静かにして!!すぐいくから!!!』
レイ「何かしているの?」
アスカ『何もしてないわよ!!』
レイ「それじゃあ、待ってるから」
アスカ『はいはい!!ごめんねー!!!酷いこと言ってー!!!』
レイ「……気にしていないわ。いいえ……私がお礼をいいたいぐらいだから……。気づかせてくれて、ありがとう」
ずっと見ていたい
リビング
ミサト「あっれー?アスカはー?」
レイ「すぐに来るって言っていました」
シンジ「もう……アスカってば。じゃあ、綾波、ミサトさん。先に食べましょうか」
ミサト「いっただきまぁーす!!」
レイ「いただきます」
シンジ「綾波?」
レイ「うん、おいしい」
シンジ「そう。よかった」
ミサト「……」
レイ「碇くん。はい」スッ
シンジ「ああ、ありがとう」
レイ「碇くん、いつもそれにはお醤油使っているから」
シンジ「な、なんか恥ずかしい……」
ミサト(あれ……なんで私、泣きそうになってるのかしら……?)グスッ
数十分後
シンジ「ふんふふーん」
レイ「碇くん」
シンジ「うん。先にお風呂どーぞ。アスカはまだ出てこないみたいだし」
レイ「わかったわ。ありがとう」
シンジ「お礼なんていいよ」
レイ「そうね」
ミサト「……シンジくーん」
シンジ「なんですか?」
ミサト「……なんでわかってくれないの?」
シンジ「はい?」
アスカ「―――シ、シンジ!!」
シンジ「アスカ?ご飯なら、そこに―――」
アスカ「こ、これ!!読みなさいよ!!」スッ
シンジ「え?なにこれ?」
ミサト「まぁ」
アスカ「ど、どうせアンタのことだから、結論は出してないでしょ!!?」
シンジ「結論?」
ミサト「うはぁ……これは私でも状況は理解したわぁ……ぬふふ……シンちゃん、中々やるじゃないのー」
シンジ「どういうことですか?」
ミサト「アスカぁ、それはアレでしょ?アレ♪」
アスカ「う、うるさいわね!!そういうんじゃないから!!別に!!」
ミサト「隠すな隠すなぁ。ブフフフ」
アスカ「……っ」
シンジ「で、この手紙?かな、読んでいいの?」
アスカ「ひ、ひとりで読みなさいよ!!私はお風呂に入るから!!」タタタッ
シンジ「あ、アスカ。今は―――」
アスカ『きゃぁぁ!!!!なんでアンタが先に入ってるのよ!!!」
レイ『どうして入ってくるの?』
ミサト「ヌホホホ……えーのー、若いもんはぁ」
浴室
アスカ「もういいわ。脱いじゃったし……私も入る」
レイ「そう……」ブクブク
ペンペン「くぁー……」プカー
アスカ「……あんた、あの手紙になんて書いたの?」
レイ「え?」
アスカ「私、ああいうの書いたこと無いから……よくわからな、くて……」
レイ「私も困ったわ。好きな物とか嫌いな物があまりなかったから」
アスカ「え?」
レイ「あなたの言うとおり、何が好きで嫌いなのか碇くんに知ってもらわないと……いけないって思ったから」
アスカ「……ちょっと……じゃあ……さっきシンジに渡した手紙の内容って……ただ好き嫌い書いただけ?」
レイ「そう」
アスカ「―――きゃぁぁぁ!!!!!シンジー!!!!!よむなぁぁぁ!!!!」ダダダッ
レイ「……」ブクブク
ペンペン「くぁー♪」スイスイ
シンジ「えっと……」
ミサト「きゃー!!恥ずかしい!!最後の言葉もう一回言ってみてー」
シンジ「……シンジ、大す―――」
アスカ「だめぇぇぇ!!!!」バッ
シンジ「なにするんだよ、アス―――わぁ!?」
ミサト「おぉ……アグレッシブね」
アスカ「こんなもの!!こんなもの!!!」ビリビリ
シンジ「あ、あす……か……」
アスカ「あれは全部嘘!!分かった?!というか忘れなさい!!!」
シンジ「あの……」
アスカ「忘れるの!!いい?!」ガシッ
シンジ「う、うん……忘れた……」
アスカ「よかった……」
シンジ「それより……アスカ……その……なにか……着たほうが……」
アスカ「え……?」
浴室
レイ「……」ブクブク
ペンペン「くぉー♪」スイスイ
シンジ『ぎゃぁああああああ!?!?!?』
レイ「……?!」ビクッ
ペンペン「くぉ?!」ビクッ
アスカ「―――あぁ!!もう最低!!あのチカン!!!一度ならず二度までも!!!」
レイ「どうかしたの?」
アスカ「シンジがアレなだけよ!!!」
レイ「それは貴方の責任のような気がするけど」
アスカ「なんですって?!」
レイ「碇くんは何も悪くない」
アスカ「あいつが全部アレだから悪いのよ!!!!」
レイ「……」ブクブク
ペンペン「くぉ……」ブクブク
シンジの部屋
シンジ「うぅ……」
レイ「碇くん……大丈夫?」
シンジ「綾波……うん。まだ、ちょっと頬が痛いけど」
レイ「思い切り蹴られたって聞いたけど……」
シンジ「うん……なにがあったのかよく覚えてないけど」
レイ「そう」
シンジ「……綾波?」
レイ「……」
シンジ「なんか、嬉しそうだね」
レイ「ええ。とっても」
シンジ「ここに来てよかった?」
レイ「ええ」
シンジ「綾波」
レイ「私、ずっと嫌な気分だった……でも、ここに来てから、そんな気分になることが少なくなった」
シンジ「どうして?」
レイ「碇くんと弐号機の人が仲良くしているのが、とても嫌だった」
シンジ「……」
レイ「どうしてそんな気持ちになるのかわからないけど……とにかく胸が締め付けられるようなそんな感じだったから」
シンジ「綾波……」
レイ「だけど、ここに来て、碇くんと彼女がどうしてそんなに親密なのか少しだけ分かったわ」
レイ「だから、もう嫌な気分になることはないの」
シンジ「そう」
レイ「それがすごく嬉しい」
シンジ「そっか」
レイ「でも……まだ時々、チクってするときがあるけど……」
シンジ「どんなとき?」
レイ「碇くんが私の気持ちに気づいてくれないとき」
シンジ「……」
レイ「……」ジーッ
シンジ「……お茶?」
レイ「……ええ」
シンジ「そっか。ちょっと待ってて。すぐに用意するから」
レイ「私もリビングに行くわ」
シンジ「あーそっか。そのほうがいいよね」
レイ「ええ」
シンジ「じゃあ一緒に行こうか、綾波」
レイ「うん」
アスカ「シンジー……」フラフラ
シンジ「はいはい」
アスカ「……」
レイ「私が淹れるわ、コーヒー」
アスカ「別にいいわよ」
レイ「淹れさせて」
アスカ「ふん……好きにすれば?」
リビング
アスカ「はぁ……課題めんどくさ……シンジ?」
シンジ「自分でやりなよ。僕が手伝って答え間違ったらすぐに怒るくせに」
アスカ「間違えるほうが悪いんでしょうが」
レイ「碇くん」
シンジ「うん。おやすみ」
レイ「おやすみなさい」
アスカ「おやすみー」
レイ「……」スタスタ
シンジ「ほら、アスカ」
アスカ「分かってるわよ……」
シンジ「アスカ?」
アスカ「徹夜はしないってば」
シンジ「ならいいんだけど」
ミサトの部屋
ミサト「え?」
レイ「もう十分だと判断しました」
ミサト「でも……」
レイ「これ以上は望めないと思います」
ミサト「そう……いいのね?」
レイ「はい。短い間でしたけど、お世話になりました」
ミサト「シンジくんとアスカには……言ってないわよね?」
レイ「はい」
ミサト「ずっと一緒にいても……」
レイ「それだと私は碇くんにずっと頼ってしまいそうで……それに……」
ミサト「それに?」
レイ「今度は一緒に住んでいなくても最小限の言葉で意思疎通が出来るのか調べてみます」
ミサト「まぁ……レイがそこまでいうなら……」
レイ「ありがとうございました」
翌日
レイ「碇くん、ありがとう」
シンジ「なんだか急な話でアレだけど……」
アスカ「なんでいきなり……」
ミサト「もう十分だろうってリツコが。それに碇司令も私にだけ負担をかけるわけにもーって」
シンジ「そうですか……」
レイ「碇くん。今日、また本部で会えるわ」
シンジ「うん。それじゃあ」
アスカ「……ふん」
レイ「さよなら」
ミサト「じゃ、レイを送っていくから」
シンジ「はい」
アスカ「……なによ……勝手に転がり込んできて、勝手に出て行って……何様よ、アイツ」
シンジ「アスカ」
アスカ「わかってるわよ。うるさいわね」
綾波宅
ミサト「それじゃあ、私の家に置いてあるレイの荷物は明日中に届けさせるから」
レイ「はい」
ミサト「といっても、殆どないけどね」
レイ「そうですね」
ミサト「じゃあ、またあとで」
レイ「はい」
ミサト「楽しかったわよ」
レイ「私もです」
ミサト「そう。ならよかった」
レイ「……」
ミサト「じゃね」
レイ「はい」
レイ「……また。ここに戻ってきた」
レイ「でも……今は碇くんと通じ合っているから……大丈夫……」
やだー終わっちゃいそうじゃない
レイ(一人って……こんなにも寂しかったのね……)
レイ「……」
ピリリリ……
レイ「はい。もしもし?」
シンジ『綾波、もう落ち着いた?』
レイ「碇くん……どうして?」
シンジ『えっと……なんか寂しいってアスカが』
アスカ『誰がそんなこといったのよぉ?!えぇ!?』
シンジ『いた?!なにするんだよ?!』
レイ「……碇くん。私も今、寂しいって思ってたところなの。ありがとう」
シンジ『あ、そ、そうなんだ……』
レイ「碇くん、大好き」
シンジ『え……?』
レイ「これだけは言葉にしないと伝わらないような気がして」
シンジ『あ、そうなんだ……うん……えーと……なんて言えばいいかな……』
アスカ『こらぁ!!あんた!!今、なんていったのよぉ!!!』
レイ「貴方のことも大好きだから」
アスカ『え……あ……そうなの?』
レイ「うん」
シンジ『綾波、ぼ、僕も好きだから』
レイ「ええ……」
アスカ『まあ……私は……嫌いじゃなくなった……わ……』
レイ「嬉しい」
シンジ『じゃあ、綾波。またあとでね』
アスカ『寂しかったら……また、遊びにきたら……?』
レイ「ありがとう……。さよなら」ピッ
レイ「……貴方と繋がっていることが……今は一番嬉しい……」
レイ「碇くん……」
電話の向こうで顔くっつけてんのかよ
ネルフ本部 廊下
シンジ「綾波ー」
レイ「碇くん」
シンジ「はい。水」
レイ「ありがとう。でも、どうして?」
シンジ「アスカが泣いて水分無くなってるだろうからって」
レイ「……」ジーッ
アスカ「いや、冗談で言ったらバカシンジが真に受けて……」
レイ「ありがとう」
アスカ「ふん……」
シンジ「じゃあ、いこっか」
アスカ「早く訓練終わらせて、アレを買いに行くわよ」
レイ「ええ。行きましょう。アレを買いに」
―――もう言葉にしなくても大丈夫。分かり合えているから。
『大好き』
FIN
乙ー
いいアレだった
いやこんな時間じゃなかったはずなんだ
ミサト「アレの使用許可が出たわ!」
アスカ「よしアレ使うわよ!!」
???「お姉さまアレを使うわ!!」
シンジ「アレだね!分かった!」
レイ 「アレの準備は出来てるわ」
まだアレしてたのかwww
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