P「さぁ、幸子！ 言ってみろ！ 世界で一番可愛いのは？」

幸子「……せかいで、いちばん？」

P「おう」

幸子「それ、は……」




幸子「ボクの赤ちゃんに決まっているでしょう！」　ﾄﾞﾔｧｰ！

P「はっはー！ その通りだぜ幸子！！」


ちひろ「あの、私帰ってもいいですか」

幸子「プロデューサーさん、お腹蹴りましたよ？ やっぱり、そうだって自分でもわかってるんですねぇ」

P「そうだなぁ。幸子似の可愛い子に違いない！」

幸子「えへへ……」


ちひろ「……で、なんなんですか」

P「え、幸子が妊娠したって報告ですけど」

ちひろ「そうですか。幸子ちゃんもまぁこんなデレデレしちゃって」

幸子「えへへ……」

ちひろ「あの、まだ業務中なので帰ってもらえますか」

P「えぇー、まだ幸子とのラブラブエピソード話してないのに」

ちひろ「うっさい！」

ちひろ「だいたいなんなんですかもう！年齢問題は！」

P「この間、櫻井さんのところの親御さんが『子供を産める年なら合法じゃね？』って言ってたので大丈夫です」

ちひろ「んもー！誰か止めないんですか！」

P「そこに水瀬さんの親御さんが現れて」

ちひろ「おぉ、765プロの！　反対されたでしょう！？」

P「『中学生だから合法なんだ』ってもめてましたねー」

ちひろ「んもう！！」

幸子「ボクは両方満たすので当然合法ですけどね！」

ちひろ「違法ですけどー！」

ちひろ「それで、なんですか？」

P「幸子に赤ちゃんができました」

幸子「きっとボクに似たカワイイ子でしょうね！」ﾄﾞﾔｧｰ

ちひろ「はいはい。なるほど」

P「それでふと思ったんですよ」

ちひろ「はい？」

P「幸子に腹パンみたいな風潮が一時期あったじゃないですか」

ちひろ「あぁ、生意気で小悪魔で、そういう過激なファン……アンチというべきなのか悩みますが、いましたね」

P「あれはあながち間違いじゃなかったのかもってね」

ちひろ「えっ！？」





P「まぁ、似合うのは腹パンよりも腹キックですがね！ＨＡＨＡＨＡ！！」

幸子「お腹の中から蹴られちゃうなんて、こまっちゃいますね！」

ちひろ「そういうことですか！えぇ、わかってましたけど！！」

ちひろ「もう、まったく……」

P「だいたいちひろさんは勘違いしてますよ？」

ちひろ「勘違いって、なにがですか」

P「俺がね、なんの考えもなく幸子に子供をはらませたとでも思うんですか？」

ちひろ「……なにか深い訳でもあるんですか？」

P「ええ！　なぁ幸子？」

幸子「はい！　ボクとプロデューサーさんは結婚するんです！」





ちひろ「は？」

ちひろ「なに言ってるんですかあなたたちは」

P「大丈夫ですよ、ご両親にも了承はいただきました！」

幸子「えへへ、いっしょに挨拶に言ったときお父さんも泣いちゃって大変でしたね……」

ちひろ「あのですねぇ……幸子ちゃん」

幸子「はい！　なんですか？　カワイイお母さんになるボクに何かお話ですか？」

ちひろ「昨日まで何歳でした？」

幸子「14歳です！」

ちひろ「今日で？」

幸子「15歳です！　ふふん、当然じゃないですか」

ちひろ「………はぁ、いいですか？」




ちひろ「……15歳は結婚できませんよ？」

幸子「！！？」

P「なん……だと……！？」

P「そんな……」

幸子「そんなのって……」

ちひろ「まったく、どうしてくれるんですか……参ったなぁもう……」


P「ちひろさんってば冗談キツいんですから！　ＨＡＨＡＨＡ！！」

幸子「大丈夫ですよ、ギャグセンスだってまだまだみがけますから！　頑張ってくださいね！」

ちひろ「あぁんもうっ！！　堪えましょうよ！！！」

P「えー、でもねぇ？」

幸子「ええ、ねー？」

ちひろ「目と目で通じ合うのやめなさいっ！」

P「だってほら」

ちひろ「なんですか？」

P「765プロの星井さんだって」

美希『ミキ、もう15歳だから結婚できるよ？』

P「って言ってましたよ？」

幸子「ボクもやっと15歳ですからね。ふふーん♪」

ちひろ「もうやだこの業界……なんなの……」

P「おっ、モノマネですか？」

幸子「なかなか似てますよ？」

ちひろ「違うのっ！」

P「そういうわけで、幸子と結婚します！」

ちひろ「あぁもう！　ファンの人は！？　アイドル活動はどうするんですか！！」

幸子「ブログで報告しました！」

ちひろ「なぁっ！？　そんなことしたら炎上──」


[ブログに寄せられたコメント]※抜粋

【やったぁ！！さっちゃんおめでとう！！！】

【あぁ、15歳だもんなぁ……くそう、うらやましいなぁ】

【15歳は合法……ひらめいた】

【↑通報した】

【マタニティカワイイアイドル……げっげっげ！新しい！】

【お前ら何言ってるんだよ！　幸子ちゃんが結婚しちゃうんだぞ！？】

【↑結婚のショックなんざ2秒で切り返したんすよ】



ちひろ「もうやだこの国」

P「そういうわけなので今日は報告までに」

幸子「プロデューサーさん、帰りましょうか」

P「ああ。ほら、足元気をつけるんだぞ？」

幸子「ええ、わかってます……ボクのカワイイ赤ちゃんのことも考えてあげないといけませんからね♪」

P「そうだとも。ふふふ、幸子は可愛いなぁ」

幸子「そんなの当然ですよ♪」

　　　ﾜｲﾜｲ　　ｷｬｯｷｬｯ……



ちひろ「………」

ちひろ「…」

ちひろ「私が間違ってるのかなぁ……？」

ちひろ「はぁ、もうお仕事お仕事……」


瑞樹「ねぇ、ちひろちゃん」

ちひろ「あ、瑞樹さん……どうしたんですか？　まさか……」

瑞樹「ええ、その……」

ちひろ（ああ、また子供かな……結婚だったらまあ、年齢的にもうまくやれば公表したって──）




瑞樹「私の担当プロデューサーくんにご飯に誘われちゃったの……いってもいいのかなって相談を……」ﾓｼﾞﾓｼﾞ…

ちひろ「応援しますからいってあげてください」


おわり