橘「裡沙ちゃんと美也」(276)


【兄の彼女の】


裡沙「とりあえずカレーを作ってみました」

美也「こういうのって作る人によって味が変わるよね」

裡沙「そうだね。……ってなんであたしが美也ちゃんのご飯を作ってるんだろう」

美也「にしし、文句ならなかなか帰ってこないにぃにに言ってみればいいよ」

裡沙「ううー、本当は橘君にたべてほしいのにー」

美也「みゃーの舌を唸らせないと、裡沙ちゃんはみゃーの真のねぇねにはなれないのだ」

裡沙「美也ちゃん小姑みたいだよ」

裡沙「……あと、あたしと橘君が結婚したら自動的にねぇねだよ」

裡沙「あっ、結婚とか言っちゃった……で、でもでもやっぱりいずれはそうなって……きゃー」てれてれ

美也「裡沙ちゃんは最近いつも幸せそうだね」

裡沙「ふふふ、やっぱり新婚旅行は……」

美也「……人の話も聞かなくなるよね」


【暴走思考】


美也「裡沙ちゃん料理上手だよねー」ぱくっ

裡沙「あの人にたべてもらいたくてて練習したからねっ」えっへん

美也「ふーん、じゃあこれも裡沙ちゃんの味なんだー」

裡沙「……えっ……」

裡沙「……それは……つまり裡沙味」ぼそっ

美也「え?」

裡沙「橘君に食べてもらって、裡沙ちゃんの味だね、なんてささやかれた日には……」ポッ

美也「みゃーにはよくわかんないけど食べるのか照れるのかどっちかにしなよ……」

【橘味】


裡沙「じゃ、じゃあ、逆にあの人がつくったら橘君味、なんて……」

美也「みゃーが作っても橘味だよ!!」

裡沙「……美也ちゃんはひっこんでてよー!」

美也「な、なにをー」

美也・裡沙「ふぅ~っ」


【料理スキル】

裡沙「……そもそも美也ちゃん料理できないよね」

美也「……み、みゃーだってやろうと思えばできるよっ」

裡沙「食べる人はいないけどね……」

美也「…………」

美也「……」

美也「……」

裡沙「み、美也ちゃん。ご、ごめんね……いいすぎたよね」

美也「……」

裡沙「おー、よしよし」なでなで


【眠気】

美也「ふぁ~……ご飯を食べた後にコタツの中にいると……眠くなってくるね~」


裡沙「う、うん……そうだね……」

美也「……なんで裡沙ちゃんはそんなに目をパッチリ開いて、眠気を我慢してるの?」

裡沙「……橘君が帰ってきたら『おかえりなさい』っていってあげないと……なんだけど」ウトウト

美也「へぇ~」ウトウト

裡沙「えへへ……あと『ご飯にする、お風呂にする、それとも……』なんて言っちゃったり……」ウトウト

美也「……ふ~ん……もう、夢の、、、、中で、、、、やれば……よ」

裡沙「…………うんそう……かも……」

美也「……」

裡沙「……」

美也・裡沙「zzz」


【猫はこたつで】

裡沙「明日は雪が降るかもしれないって、天気予報がいってたよ」

美也「……みゃーの明日の予定は決まったー」

裡沙「え?」

美也「コタツで丸くなるのだ」

裡沙「……それって今日と変わらないんじゃ」


【雪の日】

裡沙「本当に雪だよー」

美也「ゆきだーーーーーっ」

裡沙「あんなこと言ってたわりに元気だねー」

美也「にしし、そんな昔の記憶はみゃーにはもうないよ」

裡沙「………って、美也ちゃんなにしてるの」

美也「にしし、いまにわかるよ………これをこうして」てきぱき

裡沙「?」

美也「……えいっ」ポイッ

裡沙「きゃっ、つめたっ」

美也「みゃー特製の雪玉はすでに量産耐性にあるよっ」どっさり

裡沙「……いつのまにそんなに」

美也「ていっ」

裡沙「きゃっ……美也ちゃん……あたしを怒らせたね……」

裡沙「もう許してあげないんだからっ」にぎりにぎり

裡沙「てぃ」

美也「ふみゃっ!?」

裡沙「ふふふ、たとえ美也ちゃん相手でも……仕方ないよね」ポイッ

美也「ふみゃっ!」


【彼女の暇の潰し方】

美也「うだー」

裡沙「…あ、今週は橘君最高の運勢だ……」ペラ

美也「……」

美也「ねぇ、裡沙ちゃん」

裡沙「?」

美也「暇だよー」

裡沙「えぇー、美也ちゃんはさっきまで漫画を読んでたじゃない」

美也「もうとっくに読み終わったのだ」

裡沙「あ、そうだ。暇を潰せるいい方法があるよー。ふふ、仕方ないから美也ちゃんにも教えてあげる!」

美也「えっ、なになに」


裡沙「えっとね、まず目を閉じてー」

美也「うん……」コクコク

裡沙「それで深呼吸して……」

美也「すーはー」

裡沙「橘君のことを思い浮かべるの!!」

美也「…………えっ?」

裡沙「え?」

美也「……それでおわり?」

裡沙「うん」

美也「………………えっ?」


【楽し】

美也「…………」

裡沙「………♪」

美也「……」

裡沙「……あ、そこはまだ駄目だよ橘君…………」

美也「……」

美也「……ねぇ、裡沙ちゃん」

裡沙「……うん?」

美也「これ楽しい?」

裡沙「うん」


【だめ】

美也「みゃーはつまんない!」

裡沙「えっー、せっかく教えてあげたのにー」

美也「つまんないものはつまんないー!」

裡沙「うー」

美也「……ていうかさ、裡沙ちゃん……」

裡沙「うん」

美也「その……た、例えばだよ……あ、先にいっておくと別ににぃにとかはどうでもいいんだけど……」

裡沙「?」

美也「……妄想の中でとはいい、……裡沙ちゃんが妄想してるようなことを……
    みゃーがにぃにで妄想してても怒らないの」

裡沙「……」

美也「……」

裡沙「……やっぱりこれは駄目ーっ!!」アタフタ


【端からみれば……】

美也「そもそもそれで時間を潰せる裡沙ちゃんがちょっと信じられないよ」

裡沙「えー、なんでよー」

美也「というか、いつこんな時間のつぶしかたしてるの?」

裡沙「えっと、橘君とデートの待ち合わせをしてるときとか」

美也「うん」

裡沙「電車の待ち時間とか」

裡沙「あっ、橘君を見守ってたときとかも」

美也「……とりあえず外とかではやらないほうがいいよ」

裡沙「? ……なんで?」

美也「裡沙ちゃん暴走しすぎると少しおかしくなるから」

裡沙「……」


【カメラ越しに】


裡沙「そういえばこの前散歩した時梅の花が咲いてたよー」

美也「あ、そういえばこの前にぃにも同じこと言ってたよ」

美也「もう梅の花が咲いてるんだなぁ ってしみじみしてた」

裡沙「ふふ、橘君と同じものを見たのかな。そうだと嬉しいなぁ……」

美也「……」

美也「(にぃにが見てたのはテレビでだからそれはないって言わないほうがいいよね……)」


【女の子の日】

裡沙「今日は女の子の日だよ」

美也「えっ?」

裡沙「うん?」

美也「……裡沙ちゃん……あんまりそういうことは大きな声でいわないほうが」

裡沙「……?」

美也「その……重いの?」

裡沙「……」

美也「……」

裡沙「……!!」

裡沙「あのね美也ちゃん……桃の節句のことだよっ!?」


【惚気】

裡沙「ふふ♪」

美也「(……なぜか妙に裡沙ちゃんの機嫌がいいよ……)」

美也「(どうしt……いや十中八九にぃにが関係してるんだろうけど……)」

裡沙「……」チラッ

美也「(……聞いてほしそうな顔してるよ~……)」

美也「あ、あの裡沙ちゃん?」

裡沙「えっ!なに!」

美也「(うわぁっ、凄く嬉しそうな顔)」

美也「(……めんどくさそうな惚気になりそう……みゃーはそんな気がするよ……)」

美也「やっぱりなんでもないよー」

裡沙「えーっ、なんでー! そこは聞く流れだよー」


【二人だけの秘密】

裡沙「ふふっ、ホワイトデーだから橘君にバレンタインデーのお返しもらっちゃった……」

美也「あー、なるほど~。だからかー」

美也「ところで、なにをもらったの?」

裡沙「えへへ、ひみつ~」

美也「……」

裡沙「……」

美也「裡沙ちゃんさっき聞いて欲しそうにしたよね!! なのになんでそうなるのさ!」


【大事なのはお返しする気持ち】

美也「ちなみにみゃーにはまんま肉まんだった」

裡沙「……」

美也「……」

裡沙「……えっと……」

美也「なっ!? まんま肉まんおいしいじゃん!」

美也「みゃーはまんま肉まんさえあれば生きていけるから、これでいいのー!」

裡沙「う、うん」


【だめにぃに】

裡沙「あれ、ってことは……」

美也「?」

裡沙「美也ちゃんもあげたんだねー」

美也「はぁ……にぃにが貰えないとかわいそうだからねー」

裡沙「……」

美也「……」

裡沙「くすっ、美也ちゃんも素直になればいいのにね」

美也「ふみゃ!? なんでそうなるの」

裡沙「(だって……あたしがあげることを知ってたのに、そんな心配するわけないよね)」

裡沙「ふふっ」

美也「み、みゃーは本当にダメダメなにぃにが一つも貰えないとかわいそうだなーって思ったから……」

裡沙「ふふっ♪」


【義理はあれど】

裡沙「ところでどうしてホワイトデーってホワイトっていうんだろう」

美也「なんでも白っていうのは、幸福とか祝福の意味があるらしいよ」

裡沙「あ、だからおめでたいときに紅白が使われるんだね」

美也「まぁ、でもバレンタインデーやホワイトデーがおめでたいこと、とは限らないけどね」

裡沙「?」

美也「…………去年までのにぃにとかうめちゃんとか」

裡沙「……なるほど」

【バレバレの嘘】

裡沙「エイプリルフールって1年に1回嘘をついていい日なんだよね」

美也「あ、裡沙ちゃん」

裡沙「え?」

美也「そういえばにぃにがデートしようって言ってたよ。学校の校門のところで待ってるだって」

裡沙「……」





裡沙「……ぜぇ……はぁ……」

美也「おかえり、それとごめんなさい」

裡沙「……」

美也「(……なんでエイプリルフールの話をした直後に引っかかるんだろう)」


【脳内お花見】

裡沙「桜はもう満開だって」

美也「お花見したいね~」

裡沙「橘君と夜のライトアップされた桜並木の下で過ごしたいなぁ」

美也「みゃーは?」

裡沙「それであたしたちの頬も桜みたいに薄赤に染まって……二人の顔は近づいていって……」

美也「だからみゃーはー?」

裡沙「もう、美也ちゃんは一人でまんま肉まんでお花見してればいいでしょー」

美也「裡沙ちゃんこそ、一人で桜の下で妄想してるといいよ!」

裡沙「なによー!」

美也「ふーっ!」

裡沙「ふーっ!」


【桜】

美也「桜って綺麗なイメージばかりだけど、そうでもないよね」

裡沙「どういうこと?」

美也「ほら、緑葉の季節になると毛虫とか……」

裡沙「うわぁ」

美也「それに桜って、本当に痛みやすい樹木みたい」

裡沙「……」

美也「人が枝を折ったその部分から死んでいくこともあるんだって」

裡沙「散るイメージもあるし……なんだか儚いね」


【儚】

裡沙「桜ってよく恋に結び付けられたりするよね」

美也「桜の木の下で告白とか?」

裡沙「歌とかでもそんな風潮があるかも。失恋ソングだったりもすることもあるけど……」

美也「やっぱり桜の色調とか散る様がどこか恋とかに重なるのかもね」

裡沙「……あたしは……」

美也「?」

裡沙「もし橘君に受け入れられなかったら……恋が散っちゃってたら……」

美也「……」

裡沙「桜みたいに、散った後も花を咲かすことができたのかな……」

美也「……どうだろうね……でも裡沙ちゃん次第だと思うよ」


【スタート】

裡沙「桜は新生活の象徴でもあるよ!」

美也「へぇ~」

裡沙「新スタートの象徴だよ」

美也「学校とか社会とか……他には……」

裡沙「中学生は高校生になり、高校生は社会人や大学生に……ステップアップの季節でもあるんだよ」

美也「……妙にテンションが高いね裡沙ちゃん」

裡沙「つまり恋人もステップアップの季節。つまり夫婦への」

美也「……裡沙ちゃん」

裡沙「ねぇねだよ」

美也「……」

裡沙「ねぇね」

美也「……裡沙ちゃん」

裡沙「……」

美也「色々言いたいことがあるけど、にぃにはまだ17だよ……」

裡沙「!!」

美也「それににぃにと裡沙ちゃん付き合って1年も経ってないよね」

裡沙「ぐぬぬ……」


【一年を決める日】

美也「……なんだか裡沙ちゃんソワソワしてない?」

美也「春休みも終わって明日から学校だから?」

美也「え?違うの?」

美也「じゃぁ、なんでそんなに……あぁ」

美也「(……なるほどね~、新学期のクラスわけかあ)」


【満面の笑みか半泣きか】

美也「にしし、今年も紗江ちゃんと逢とも同じクラスだったのだ~」

美也「あ、裡沙ちゃんだ」

美也「そういえばクラスわけどうだったんだろう」

美也「帰ってからにぃにに聞くって手もあるけど……」

美也「……」

美也「……裡沙ちゃんの顔見てたらなんとなく分かっちゃった」

美也「裡沙ちゃんはわかりやすいなぁ~」

みゃーは七咲を呼び捨てにしない

>>63
ごめん、いつのまにか「ちゃん」消えてた……


【満面の笑みか半泣きか】

美也「にしし、今年も紗江ちゃんと逢ちゃんとも同じクラスだったのだ~」

美也「あ、裡沙ちゃんだ」

美也「そういえばクラスわけどうだったんだろう」

美也「帰ってからにぃにに聞くって手もあるけど……」

美也「……」

美也「……裡沙ちゃんの顔見てたらなんとなく分かっちゃった」

美也「裡沙ちゃんはわかりやすいなぁ~」


【ベタ】

裡沙「うぅ~、どうしよう」

美也「なにを悩んでるの?」

裡沙「これ……」

美也「進路調査票……?」

裡沙「再提出って言われちゃった……」

美也「……ちなみになんて書いて出したの?」

裡沙「……橘くんのおy」

美也「あ、やっぱり想像つくからいいや」


【別の観点】

美也「それにしても本当にそんな漫画みたいなこと書いちゃう人がいたんだね~」

裡沙「うぅ~」

美也「にぃにもきっと悩んでると思うよ」

裡沙「……はっ!!」ピコーン

美也「……なにか思いついたの?」

裡沙「うん……美也ちゃんのねぇね、っと」かきかき

美也「みゃーを巻き込まないでよ!」


【甘えていいよ?】

美也「そっか……裡沙ちゃんもにぃにももう最上級生だから、もう1年で卒業しちゃうんだよね」

裡沙「寂しいの?」

美也「さ、さびしくなんかないよ!」

裡沙「美也ちゃん……」ガシッ

美也「ふぇ?」

裡沙「いつでもあたしのことはねぇねって呼んで甘えてくれてもいいよ!」

美也「…………よばないよ」

裡沙「ぐぬぬ」


【年下の言葉】

美也「にしても、はやいね~」

裡沙「なにがー?」

美也「ついこの間ににぃにが高校に入学したと思ったら、もう卒業だよ」

裡沙「……」

美也「どんどん周りが変わっていくよね」

裡沙「……」

美也「あれ、どうしたの裡沙ちゃん」

裡沙「そのセリフどっちかと言うと橘君のほうが言う言葉だと思う。それになんだか美也ちゃんおじさんくさいよ」

美也「うみゃー!?」


【感謝】

美也「変わることと変わらないでいること、どっちが難しいんだろう」

裡沙「……」

裡沙「それは……わからないけど……」

美也「けど?」

裡沙「でも変われてよかったって思っている人は、今美也ちゃんの目の前にいるよ?」


【へたれ】

裡沙「もうすぐゴールデンウィークだよ」

美也「裡沙ちゃんの予定は?」

裡沙「橘君とデートしたいなぁ」

美也「……したい?」

裡沙「……まだ誘えてないよぉ……」

美也「……はぁ……前から思ってたけど裡沙ちゃん妙なところでヘタレになるよね」

裡沙「うぐっ……」

美也「変な行動力は発揮するのに、妙なところで奥手になるというか……」

裡沙「ぐぬぬ……」

まだ希望を捨ててはいけない(涙目)

俺はまだ諦めてないぞ!!裡沙ちゃん編!


【B級】

裡沙「ゴールデンウィークって映画業界からできた言葉なんだって」

美也「へぇそうなんだ~」

裡沙「そっか映画かぁ……橘君と映画デートもいいよね~」

美也「……」

裡沙「映画館には特別な個室もあるっていうし」

裡沙「真っ暗な中いい感じになった二人は、目の前の映画の主人公とヒロインと重なるようにいいムードになって……

   やがてキスを……」ウットリ

美也「しようと思ったら、座っているソファーの中からゾンビが出てくるんだね」

美也「それで密室で逃げ場のない二人は襲われて共にゾンビに……」

裡沙「……」

美也「……どうしたの裡沙ちゃん?」

裡沙「なんでホラー映画なのよー!!」


【はっぴーらいふ】

裡沙「恋愛は人生を豊かにしてくれるなにかを得られるんだって」

美也「ふ~ん」

裡沙「美也ちゃんは誰か気になる男の子はいないの?」

美也「……うーん、とくに……」

裡沙「そ、その、なにかあるなら……ね、ねぇねが相談にのってもいいよ?」

美也「…………裡沙ちゃんは恋愛でなにを得られたの?」

裡沙「えっ」

裡沙「そ、そんな急に言われても……えっと」アタフタ

美也「さ~ん、にー、い~ち」

裡沙「あわわっ」

美也「はいタイムアップ」

裡沙「うわあ、えっと、あ、ちゃんとあるよ!!」

美也「?」

裡沙「……気配を消す方法とか?」

美也「……それは人生を豊かにするの?」

裡沙「うぅ……」


【一番近い男】

美也「あ、でも気になる男子ならいるよ」

裡沙「え!! 誰? クラスメイト?」

美也「ううん、にぃに」

裡沙「…………えっ?」

美也「にぃに」

裡沙「……えええぇー!!」

美也「まったくにぃにったらこの時期になっても進路先が曖昧で、みゃーも心配になっちゃうよ」

裡沙「(なんだ、そういう意味か)」ホッ


【暴走思考2】

裡沙「でも結構、人にとっては些細なことでも、恋に落ちることってあると思うよ」

美也「ふーん、たとえば~?」

裡沙「例えば、その……嫌いなものを食べたり飲んでくれたり、とか……」てれっ

美也「えー、そんなのないよー」

裡沙「あるのー!」

美也「えー、でも小学生じゃないんだから」

裡沙「あの時は小学生だもん!」

美也「……」

美也「……えっと、裡沙ちゃん話ずれてきてない?」

裡沙「あっ」


【食】

裡沙「とにかく、そういうこともあるのー!」

美也「そんなもんかなぁ」

裡沙「……ちなみに、美也ちゃんの嫌いなものは?」

美也「うーん……あっ」

裡沙「なになに!」

美也「だらしない顔したにぃに」

裡沙「……」

美也「……食べるの?」


【暴走思考3】

裡沙「たべる…………」ぽっ

美也「裡沙ちゃん顔赤くして、停止しちゃったけどどうしたの? おーい」

裡沙「でもでも食べるというより……食べられるほうが……きゃー」

美也「……」

裡沙「……はっ!!」


【仮に】

裡沙「食べるのもありだと思う!」

美也「もう裡沙ちゃん自分でなに言ってるか理解できてないよね」

美也「それになにかよく分からないけど、仮に裡沙ちゃんがだらしない顔したにぃにを食べちゃったとしたら」

裡沙「えへへ」てれてれ

美也「……それみゃーが裡沙ちゃん恋に落ちることになっちゃうよー」

裡沙「……」

美也「……」

裡沙「ごめんね、美也ちゃん。あたしには橘君がいるから……」

美也「仮にの話だよっ!?」


【相手をするのがめんどくさくなった】

裡沙「でも、ねぇねにはなれるよ」

美也「……なんかもういいや」

裡沙「今から、ね…ねぇねって呼んでもいいよ?」

美也「……」

裡沙「あ、逃げちゃった」


【雇用主】

美也「そういえば、にぃにがアルバイトしようかなって言ってた」

裡沙「え……」

美也「あっ……」

美也「(これは言ったらダメなやつだった……にぃにに口止めされてるの忘れてた)」

裡沙「……あたしそんなの聞いてないよっ!?」

美也「(……そりゃあ裡沙ちゃんに言えるわけがないよね)」

美也「(……どうしよう)」

裡沙「……ねぇ美也ちゃん」

美也「えっ、あ、うん。なに?」

裡沙「橘君時給いくらなのかな」

美也「裡沙ちゃんが雇う気!?」


【橘君のためなら///】

美也「とりあえず裡沙ちゃん落ち着こう、ね?」

裡沙「うぅ……橘君なにか悩んでるならあたしにも相談してほしかったよ~……」

美也「いや、裡沙ちゃんだからこそ相談できないというか……」

裡沙「どういうこと?」

美也「うーん……」

美也「(なんて誤魔化そう……あっ、そうだ)」

美也「裡沙ちゃん……にぃにもその…男の子だから、ね」

裡沙「?」

美也「そのえっちな本とか買うのにもお金がかかるでしょ。でもそんなことは裡沙ちゃんには相談できない、から」

裡沙「え」

美也「(ムリがあったかなぁ……)」

裡沙「……」

美也「(……)」

裡沙「それならあたしに言ってくれればよかったのに、えへへ。その、恥ずかしいけど橘君のためなら……」パァ

美也「(……なんか後から裡沙ちゃんが暴走したりしてにぃにが大変なことになりそうだけど、みゃーはしーらないっと)」

【守備範囲】

裡沙「あれ……?……でも橘君今まではアルバイトしてなくても大丈夫だったのに」

美也「あ、あれじゃないかな。その、ほら、えっと……
    裡沙ちゃんと付き合ったことによって範囲がさらに広まって、買いたい本が増えた……とか……」

裡沙「えっ? …………えへへ」

美也「(……なんかにぃにがとんでもないえっちな本のマニアになっていってる気がするよ)」


【5月中旬】

美也「(にしても、裡沙ちゃんは本当に盲目だね~)」

美也「(もうすぐなにがあるのかわからないなんて)」

美也「(みゃーなんて一ヶ月前からにぃにに通知してるのになぁ~)」

美也「(なんで自分のことに思い至らないかなぁ……」


【すれ違う恋人達】

裡沙「ねぇねぇ、美也ちゃん」

美也「どうしたの?」

裡沙「じゃーん、今週の占い、あたしが1位なんだ~」

美也「ふ~ん、あ、ほんとだ」

裡沙「しかも恋愛運は最高で、週末はデート日和になるでしょう。だってー♪」

美也「よかったね、裡沙ちゃん……ってあれ?」

裡沙「え?」

美也「この星占い、にぃに最下位だよ……」

美也「しかも、恋愛運は最悪で、今週は女性に関わらないで過ごそう、だって」

裡沙「……」

美也「……」


【藁にもすがる】

裡沙「週末から雨だって」

美也「えぇー」

裡沙「もう梅雨の季節だから仕方ないね」

美也「嫌だなぁー、なんとかしてよ裡沙ちゃん」

裡沙「あたしに言われても……あ、てるてるぼうずでも作る?」

美也「さすがのみゃーもそんな子供騙し……」

美也「……」

美也「……」さっ

裡沙「(……ティッシュを手元に引き寄せて?……あっ、あんなこと言っても一応作るんだ……)」じっー


【読心】

美也「本格的に雨だねー」

裡沙「梅雨だもん」

美也「傘忘れないようにしないとね」

裡沙「そうだね……あっ!」

美也「雨の日にわざと忘れていって、にぃにと相合傘して帰ろうとするのはやめたほうがいいよ。
    にぃにも忘れていくことあるから、どっちももってないなんてことになるかもしれないし」

裡沙「……なんでわかったの!?」

美也「それは……まぁ」


【毎日の手間<愛】

裡沙「あ、じゃあ美也ちゃんが橘君が傘を忘れていったときはあたしに電話で教えるっていうのは……」

美也「朝からそんなめんどくさいことやってられないよー!」

裡沙「うっー」

美也「そんな顔したってみゃーはやんないよ」

裡沙「あっ、そうだあたしが毎日傘を持っていけばいいんだ。そうすればいつか」

美也「……正直裡沙ちゃんがわからないよ……」


【ラブコメ】

裡沙「でも、お互いに傘を忘れて学校で雨宿りっていうのもロマンチックだよね」

美也「そうかな~?」

裡沙「雨を見ながらやまないかなぁなんて話して……でも内心ではもうちょっと降っててほしいとか思って見たり」

美也「裡沙ちゃんは乙女だねえ~」

裡沙「他にも用務員のおじさんが気づかずに鍵をしめちゃって体育倉庫に閉じ込められちゃったり……」

美也「(……ん?)」

美也「ちょっとまってなんで舞台設定が体育倉庫で雨宿りなの?」

裡沙「ドラマチック重視だよー?」

美也「それ……まず放課後に体育倉庫に行く用なんてほとんどないから心配しなくて大丈夫だよ」

裡沙「……ぐぬぬ」


【取られた】

裡沙「……」トボトボ



美也「(あ、あそこの渡り廊下を歩いてるの裡沙ちゃんだ……。今日にぃに傘を忘れて行ったし二人で帰るのかな)」

美也「おーい裡沙ちゃん」

裡沙「……」トボトボ

美也「あれ? ……一人だし……元気ないね」

裡沙「……う」

美也「裡沙ちゃん、にぃにと帰らないの? 雨だし前にいってた……」

裡沙「……とられちゃった」

美也「え?」

裡沙「うめちゃんに橘君が取られちゃった」

美也「?」

裡沙「どうやって誘おうか悩んでいるうちに、うめちゃんと橘君が一緒にかえっちゃた……」

美也「(……うめちゃん)」


【希望的観測】

美也「うぅー、晴れてたのに急に雨が降ってくるなんて~」ぐっしょり

裡沙「梅雨だから仕方ないよね」ぐっしょり

美也「とりあえず早く着替えたほうがいいね。裡沙ちゃんにはみゃーの服を貸してあげるよ」

裡沙「うん、ありがとう美也ちゃん」

美也「えっと、はいこれ」

裡沙「……」

美也「……あれ、どうしたの?」

裡沙「ううん、なんでもないよ。ただ……」

美也「?」

裡沙「(ちょっと自分の成長状況を考えて……ううん、弱気になっちゃだめ。まだまだこれから大きくなるよねっ!)」ぐっ

美也「裡沙ちゃん?」


【ばかなこと】

美也「と、とにかく裡沙ちゃんそのままじゃ風邪引いちゃうよー」

裡沙「う、うん」

美也「はい、これタオル」

裡沙「ありがt……!!」

裡沙「……このまま風邪を引いたら、橘君が看病がお見舞いにきて……それで……」

美也「そんな馬鹿なこと言ってるとほんとに風邪引いちゃうってばー」


【その時はよんでね】

美也「ふぅ、やっと落ち着いたね」

裡沙「服、ありがとうね。美也ちゃん」

美也「にしし、どういたしましてなのだ~」

美也「ほんとに急に降ってくるから困ったもんだよ~。そういえばこの前にぃにもびしょぬれになって帰ってきたっけ」

裡沙「えっ」

美也「ちゃんと傘を持って行ったのに忘れてくるんだから、にぃにもだめだめだよね~」

裡沙「……」

美也「……裡沙ちゃん?」

裡沙「美也ちゃん、橘君が風邪を引いたらあたしが看病するからね!」


【看病イベント】

裡沙「(あれ……でも、橘君にそんな苦しい思いしてほしくないし……)」

裡沙「(でも、お見舞いとか看病とかって一気に恋人同士の距離が縮まる気がするし……)」

裡沙「(やっぱり橘君には元気でいてほしいし)」

裡沙「あー、どうすればいいの~!!」

美也「へっ?」ビクッ

裡沙「あっ……」

裡沙「……そうだ、やっぱりあたしが風邪を引いて……!」

美也「なにがあったか知らないけど、馬鹿なこと考えるのはやめなよ」


【嫉妬深い神様】

裡沙「6月は結婚の月だよ」

美也「あ、みゃーも知ってる。ジューンブライドってやつだよね」

裡沙「ジューンっていうのは結婚の神様の名前からきてるからなんだって」

美也「ふーん、そうなんだ」

裡沙「結婚の女神様ってどんな女神様なんだろうね」

美也「にしし、案外裡沙ちゃんに似てたりしてね」

裡沙「え?」

美也「うーん、なんとなく思っただけだよ」


【6月24日】

美也「裡沙ちゃん昨日泣いたでしょー?」

裡沙「え?」

美也「目、はれてるよ」

裡沙「え、嘘……」アタフタ

裡沙「あはは……つい嬉しくって」

美也「にぃにが部屋から降りてくる前にもう一度鏡を見てきたほうがいいかもね」

裡沙「そうだね……でも、ようやく橘君がアルバイトをしていたわけがわかったよ。美也ちゃんは知ってたんだね」

美也「にしし、みゃーは裡沙ちゃんが泣くだろうなってことまでお見通しだったのだー」

裡沙「そうなんだー……あ、美也ちゃんちょっと洗面台借りるね」

美也「うん……あ、裡沙ちゃん」

裡沙「?」

美也「その……お誕生日おめでとう」

裡沙「……ふふ、ありがとう美也ちゃん。それと……2日遅れだけど美也ちゃんもおめでとう」


【時間】

美也「6月は祝日がなかったけど、なんだか早く感じたよー」

裡沙「……」

美也「裡沙ちゃん?」

裡沙「あたしは、ずっとはやく感じてるよ」

美也「え?」

裡沙「もっとはやくに行動しておけばよかったって思うこともあるもん」

裡沙「そうしたらもっと橘君と思い出をつくって……それで……」

美也「裡沙ちゃん……」

裡沙「何度もチャンスはあったはずなのに、結局あたしはあたしのクビをしめてたんだね」

美也「……もうすぐ夏だね」

裡沙「え?」

美也「夏になったらみゃーとにぃにと裡沙ちゃんで海に行こう」

裡沙「……うん」


【いつかは2人で……】

裡沙「うーん、いやでも、海に行くなら橘君と二人きりのほうが……」

美也「!?」

裡沙「あはは、さすがに冗談だよ」

美也「だよね。びっくりしちゃったよ」

裡沙「二人きりで行くのはまた別の機会を見計らって行くの」

美也「その時もみゃーはいくのだー! にぃにと裡沙ちゃんだけじゃなにをするか心配だからね~」

裡沙「ダメ」

美也「行く」

裡沙「だ~め~」

美也「みゃーも行く~」

裡沙「ふっー!」

美也「ふっー!」

ごめん、ちょっと席外す


【学校が嫌になるくらい嫌い】

裡沙「一年に一度しか会えないんだって」

美也「……なんのはなし?」

裡沙「織姫と彦星の話だよー」

美也「あ、そっか今日は七夕か~」

裡沙「それにしても神様もいじわるだよね」

美也「でもあれって、彦星も織姫もお仕事をさぼってたからああなっちゃったんだよね?」

裡沙「一年に一度っていうのもいじわるだけど……」

美也「?」

裡沙「だって、一年に一度会えるっていう日に天の川を渡れ、ってことだよ!?」

美也「それがどうかしたの?」

裡沙「最愛の人に会うためにミルクの川を渡らないといけないなんて……」

美也「……いろいろと突っ込みたいところはあるけど、とりあえず泳いで渡るわけじゃないと思うよ」


【年中晴れ】

美也「七夕って雨の時多いよね」

裡沙「旧暦と今の暦の違いのせいだね……」

美也「梅雨がまだあけてないときにあるんだもんね」

美也「……でも雨の時は織姫と彦星は会えないのかな?」

裡沙「あたし達に見えなくても、会えるよ」

美也「なんで?」

裡沙「だって雲の上だもん」


【子供】

美也「あれ、裡沙ちゃんその髪どうしたのー?」

裡沙「えへへ、七月七日はポニーテールの日でもあるんだって。だから……」

美也「ふ~ん、そうなんだ……」

美也「みゃーもやってみよう」

裡沙「はい、ゴムかしてあげる」

美也「ありがとう裡沙ちゃん」

裡沙「……」

美也「……じゃーん」

裡沙「……なんだかより子供っぽくなったね……」

美也「『より』ってどういうことなのさーっ!!」


【3年の夏】

美也「もうすぐ夏休みなのだー!」

裡沙「……」

美也「あれ、どうしたの裡沙ちゃん」

裡沙「……」

美也「え? 3年生は夏期講習があることを忘れてたの?」

裡沙「……」コクコク

美也「あー、それは仕方ないねー」

裡沙「うぅ……」

美也「仕方がないからみゃーとにぃにで海は行って来るよ」

裡沙「だめ~!! それに橘君も3年生だよ!?」

美也「ちぇ~」


【発想の転換】

裡沙「はぁ……」

美也「まだ裡沙ちゃんショックうけてたの?」

裡沙「だって、高校生最後の夏休みなのに~」

美也「(夏休みに入って、夏期講習に入ってもまだ言ってるんだもんなぁ……)」

美也「それじゃあ、毎日がデートって考えればいいよ」

裡沙「……どういうこと?」

美也「だって、補講がある日は毎日会えるんだよ? だから登下校をデートって考えたら……」

裡沙「!!」

裡沙「ありがとう輝日東高校!!」


【外堀を埋める】

美也「……」

美也「ねぇ、裡沙ちゃん」

裡沙「どうしたの?」

美也「将を射んと欲すればまず馬を射よ、って言葉知ってる?」

裡沙「……」

美也「目的は、まず周りからかためていけ、っていう意味なんだって」

裡沙「……とりあえず言っちゃうけど、将はもう射てしまってるし、
    まんま肉まんを売っているところをそんな目で見ていても奢らないよ?」

美也「え~」


【好み】

裡沙「新しい水着を買いに行こう」

美也「うん、いいけど」

裡沙「けど?」

美也「裡沙ちゃんと行くと、すごく長くなるからね……」

裡沙「えー」

美也「だって裡沙ちゃん、いちいちみゃーににぃにの好みを聞いてくるでしょ」

裡沙「……ぐぬぬ」


【サイズ】

美也「去年の水着を試しに着けてみて、普通にはいって……」

裡沙「……」

美也「……」

裡沙「美也ちゃん、この話はやめよう?」

美也「……うん」


【甘え上手】

美也「暑いね~」

裡沙「8月だからねー……」

美也「うだ~……」

裡沙「美也ちゃん寒さにも暑さにも弱いよね」

美也「……裡沙ちゃんが家に来るちょっと前に、にぃににアイスを買ってきてって頼んだのに帰ってこないし」

裡沙「あ、だから橘君いないんだ……」しょぼん

裡沙「……にしても美也ちゃんなかなかの妹力の高さだね……」

美也「?」


【すれ違う恋人2】

美也「あれ、裡沙ちゃんそのインスタントカメラどうしたの?」

裡沙「えへへ、あの人と一緒に写った写真がほしいなぁ、と思って」

美也「ふ~ん、あ、でもにぃに今いないよ」

裡沙「……なんだかこういうこと多いね」とほほ

美也「(約束するか、電話してから来ればいいのに……っていうのは、なしなのかな……)」


【最初の】

美也「でも、なんで急に?」

裡沙「あの人と二人きりで写った写真なんてもってなかったから……」

美也「へぇ、だからインスタントカメラか~」

裡沙「うん」

美也「へぇ……あっ」カシャ

裡沙「どうしたの?」

美也「間違えてシャッター押しちゃった」

裡沙「えー、記念すべき最初の一枚だったのにー!」


【連写しようが、ピンボケであろうが……】

美也「ごめんなさい」

裡沙「……うん、美也ちゃんも悪気があったわけじゃないししょうがないよ」ショボン

美也「……えっと、ほら現像した時にはどれが一枚目かなんてわからないよ」

裡沙「……うん」

美也「みゃーは、ほらあれだよ。そんなものにこだわらなくても毎回が記念すべき一枚だよって言いたかったんだよ」

裡沙「!!」

美也「だから、みゃーは小さいことに拘っている裡沙ちゃんに」

裡沙「そうだよね!」

美也「……」

美也「(……すごく罪悪感が)」

裡沙「えへへ、毎回が記念だよね~」


【目的喪失】

裡沙「ふふっ、じゃあ……」

美也「?」

裡沙「えい」カシャ

美也「な、なに!?」

裡沙「もういつ撮っても同じだし、とりあえず美也ちゃんを一枚」

美也「!!」

裡沙「あはは、完全に油断した顔した美也ちゃんが写ってるよ」

美也「ふーっ、みゃーにもかしてー!」

裡沙「あっ」

美也「えい」カシャ

裡沙「あーー!!」

美也「にしし、これで裡沙ちゃんの油断しきっただらしない顔が収められたのだ」

裡沙「……やったね、美也ちゃん」

美也「最初にやったのは、裡沙ちゃんだよ」


……



美也「ハァ……ゼェ……」

裡沙「ハァ……ハァ……」

美也「……なんでみゃー達こんなことにあつくなってるんだっけ」

裡沙「さぁ……」

美也「……そもそも裡沙ちゃんが……あっ」

裡沙「?」

美也「にぃに帰ってきたかもね。今玄関のほうで音がしたよ」

裡沙「!!」

裡沙「……あっ……」

美也「?」

裡沙「……もうフィルムがない」

美也「……その……ごめん」


【炎天下】

裡沙「ここに来るとき、地面から熱気がゆらゆらっとしてるのを見たよ」

美也「陽炎?」

裡沙「うん。あれをずっと見てると催眠術を思い出さない?」

美也「うん?どういうこと」

裡沙「こうずっと見てるとクラっとしてくる、みたいな」

美也「……それは陽炎を見てるせいじゃなくて、陽炎ができるよう炎天下の中にずっと立っているからなんじゃ……」

裡沙「あっ」


【生きてて良かった】

美也「でもそんな炎天の中、ずっと外にいることなんて……」

裡沙「あるよ」

美也「……例えば?」

裡沙「……とにかくあるのー」

美也「……まさか裡沙ちゃんいまだににぃにを……」

裡沙「し、してないよ。去年までの話だよ」

美也「……去年まではしてたんだ……」

美也「……裡沙ちゃん熱中症で死ななくて良かったね」

裡沙「……うん」


【イカの合法セクハラ】

裡沙「……」

美也「どうしたの、裡沙ちゃん。昨日はにぃにとデートだったのになんだか元気ないね」

裡沙「……」

美也「あ、もしかしてにぃにになにかされた?」

裡沙「ううん違うの」

美也「じゃあなんで……」

裡沙「昨日デートしたときたまたまイナゴマスクのショーがやっててね」

美也「うん」

裡沙「そこで……」

美也「うん」

裡沙「小学生に間違われた……」

美也「……」

裡沙「失礼だよね! ちゃんと私だって毎晩マッサージしたり我慢して豆乳飲んだりして努力してるのにーーっ!」

美也「……それだけ?」

裡沙「絶対に大きくなるんだからっー」


【あわよくば】

裡沙「夏休みもおわっちゃった……」

美也「そういえば今度、近くで縁日の出店がでるんだって」

裡沙「夏の締めだね」

美也「にしし、にぃにに連れて行ってもらうのだー」

裡沙「えー、ずるいっ!!」

美也「仕方がないから裡沙ちゃんも連れて行ってあげるよー」

裡沙「えっ?」

美也「まぁ、その……一応にぃにの彼女だしね」

裡沙「美也ちゃん……」

美也「にしし」

裡沙「その調子でねぇねって呼んでもいいんだよ」

美也「それは呼ばないよ」

裡沙「……ぐぬぬ」


【コンビニでどうぞ】

裡沙「うふふ、楽しみだなぁ……橘君とイカ焼きが食べたいなぁ」

美也「あるといいねー」

裡沙「美也ちゃんはー?」

美也「みゃーは金魚すくいとかをして、まんま肉まんとかりんごあめとかベビーカステラを食べるのだー」

裡沙「え?」

美也「うん?」

裡沙「美也ちゃん、もう一度言ってみて」

美也「金魚すくいとかをして?」

裡沙「そのあと?」

美也「りんごあめとかベビーカステラを食べる?」

裡沙「その前」

美也「まんまにk」

裡沙「さすがにまんま肉まんはないと思うよ……」


【70】

裡沙「ねぇねぇ、美也ちゃん。恋愛は人を成長させるんだって」

美也「またその話? 前も似たような話をしたよね」

美也「それに……」

裡沙「それに?」

美也「それでいうなら、裡沙ちゃんは……」

裡沙「?」

美也「成長してないよね……」

裡沙「……なんで目線を胸に落としながらいうのよー!」

裡沙「美也ちゃんだって変わってないでしょー」

美也「みゃーはこれからバインバインのふかふかになるんだよ!」

裡沙「あたしだってなるもん!」

美也「ふっー!」

裡沙「ふっー!」

美也「……なんの話だっけ?」

裡沙「あれ?」


【あるいは超ポジティブシンキング】

裡沙「乙女心は秋の空っていうよね」

裡沙「ちょっと理解できないけど……」

美也「たぶん……」

裡沙「?」

美也「……裡沙ちゃんには一生わかんないと思う」

裡沙「なっ!? なんでなのー」

美也「……だって裡沙ちゃん一直線な上に盲目だもん」


【変化の秋】

美也「秋だっていうのに、にぃにはいつもどおりで変化がないねー……」

裡沙「た、橘君だって秋を感じてるよ!」

美也「えー、例えばー?」

裡沙「読書の秋とか」

美也「みゃー、にぃにが読書しているところなんて……」

裡沙「そんなことないよ、あの人のコレクション増えてたもん!」

美也「……それはいつもどおりじゃないの?」

裡沙「……」


【暴走思考4】

裡沙「………んいち………さん……ううん、やっぱり呼び捨てのほうが……」ブツブツ

美也「裡沙ちゃん、なにをぶつぶつ言ってるの?」

裡沙「えっと……~~」

美也「にぃにの呼び方?」

裡沙「うん、その……もう付き合ってるわけだし……じゅんいちくんなんて、呼んじゃったり……」

美也「呼びたいの?」

裡沙「……」コクリ

美也「でもどんな呼び方をするか迷ってる、と?」

裡沙「……」コクリ

美也「なにか候補とかないの」

裡沙「こ、候補!? えっと、その……」

美也「うん」

裡沙「純一君……とか、他にも純一さんとかでも、あ、でも呼び捨てにしちゃったりとか」

美也「……」

裡沙「他にも、……旦那様とか……ご主人様とか……」

美也「ストップストップ、裡沙ちゃんなんか別の方向に行ってるからストップ!」


【おかしをくれないと……】

美也「トリックオアトリート」

裡沙「?」

美也「ハロウィンだよ~。おかしをくれないといたずらしちゃうぞー、ってやつ」

裡沙「あ、じゃあはい。そういえば飴をもってたんだー。はい美也ちゃん」

美也「あ、本当になにかもってたんだ。半分冗談だったんだけど……ありがとう裡沙ちゃん」

裡沙「……」

美也「?」

裡沙「ねぇね、美也ちゃん。あたしもやってみていい?」

美也「ん? うん、なんだかよくわからないけどいいよ」

裡沙「えへん、じゃあ」

美也「(なにをそんなに改まって気合入れるほどなんだろう……)」

裡沙「おかしをくれないといたずらされちゃうぞ~」

美也「…………うん?」

美也「……えっ?」

裡沙「えへへ……」

美也「誰に?……あ、ああやっぱり答えなくていいよ。聞くだけ無駄だもん」

裡沙「されちゃうぞー?」

美也「えっと……はいじゃあ、20円チョコ」

裡沙「……」

美也「裡沙ちゃん?」

裡沙「……なんで渡すの~!?」

美也「ええっ、みゃーにどうしろっていうのさ!」

【有限】

裡沙「欲張りになっていくことは悪いことなのかな?」

美也「え?」

裡沙「例えば、いつもあの人と別れるときはまたねって笑ってくれるけど、その後とても切なくなるときがあるよ」

美也「……」

裡沙「あと何度こうして過ごせるのかなっていう不安もあるよ」

裡沙「なんにせよ終わりは来るんだよ。でもそれを考えると……」

裡沙「……少し前のあたしにしてみればそれは凄く幸せなことなのにね」

美也「うーん……みゃーにはわかんないよ」

裡沙「そっか。うん、ごめんね変な話をしちゃって」

美也「うん……でも悪いことじゃないんじゃないかな、そういう気持ちも」

【兄妹】

美也「……」プイッ

裡沙「あれ、美也ちゃんどうしたの。機嫌が悪いけど……あ、なるほど」

美也「……なにがなるほどなの?」

裡沙「ふふっ、あの人と喧嘩したんでしょー?」

美也「え、なんでわかったの?」

裡沙「それは美也ちゃんのねぇねだからだよ」

美也「……」

裡沙「なにか反応をしてもいいんじゃ……」

美也「で、なんでわかったの?」

裡沙「だって、美也ちゃんの怒ってる顔してるだけじゃなく、楽しくないことがあったーって顔してるよ。それに落ち着きないしね」

美也「でも、それじゃあ喧嘩の相手はにぃにじゃないかもしれないよ?」

裡沙「そっちは、今日橘君がどこかそわそわしてたからかな」

裡沙「美也ちゃんと橘君はそういうところ似てると思うから」

美也「うぅー……」


【映えるファッション】

美也「裡沙ちゃんなにを読んでるのー? なにかの通販雑誌?」

裡沙「うん」

美也「なにこれ……なんか色々な衣装が載ってるけど、うわぁこれなんかちょっとえっちぃね」

裡沙「この前橘君とうめちゃんがね、こういうのを着た人が載ってるお宝本を貸し借りしてたの」

美也「まったく……またにぃには……」

裡沙「それで参考に」

美也「……なんの参考?」

裡沙「えへへ、こういうのを着てみたらあの人も喜ぶかなぁって」

美也「……裡沙ちゃんの行動力にちょっと呆れたよ……」

裡沙「メイドさんとかどうかなぁ」

美也「どうかなぁって言われても……うわぁ、これは……」

裡沙「どうかな」

美也「……これって胸のところが強調されてるけど、裡沙ちゃんがきたら……」

美也「…………とりあえずやめといたほうがいいよ」

裡沙「どういう意味よーっ!」


【毎日見てるよ】

裡沙「じゃ、じゃあ婦警さんとか」

美也「……微妙」

裡沙「お、女教師とか」

美也「裡沙ちゃんじゃちょっと子供っぽく見えるよー」

裡沙「美也ちゃんに言われたくないよっ! ……じゃあサンタクロース」

美也「少し時期が早いよ」

裡沙「むむむ、あ、じゃあ制服とか」

美也「……いつも着てるよね」

裡沙「……」

美也「……」

裡沙「盲点だったよ……」


【ひっかける部分】

裡沙「もうすぐ12月だよ!」

美也「はしゃぎすぎだよ、裡沙ちゃん」

裡沙「だって12月はあの人の誕生日に、記念すべきクリスマスがあるよ」

美也「(なるほどだからか~……)」

裡沙「プレゼントはなにがいいかな」

美也「気が早いってば~」

裡沙「はやくないよ!」

裡沙「そ、その定番ではあたしにリボンをかけて橘君に……」

美也「いろいろ突っ込みたいところはあるけど、体にリボンをかけるって……
    それリボンを引っ掛ける場所があってはじめてできることだと思うんだけど」

裡沙「……なにが言いたいの?」

美也「いや、裡沙ちゃんには引っ掛ける場所がな……い……んじゃあ……ってごめん。
    そこまで泣きそうになるとは思わなかったんだってばー」


【歓喜】

美也「せめて人がもらって喜ぶものを考えようよー」

美也「裡沙ちゃんがにぃにのリボン付きもらったとして、それ嬉しい?」

裡沙「……嬉しい!」

美也「もう重症だよ……」


【水鳥】

美也「うぇー、裡沙ちゃんのせいでリボンかけたにぃに想像しちゃった……」

裡沙「えー、あたしのせいじゃないでしょー。それにうぇーってどういうことなの」

美也「そのまんまの意味だし、裡沙ちゃんのせいだよっ!」

美也「……もうそんなこと悩むくらいなら、いっそにぃにに何が欲しいか直接聞くとか……」

裡沙「……美也ちゃん」

美也「?」

裡沙「……女の子の努力のあとは男の子には見せないものなんだよ……」

美也「う、うん……」


【愛情過多?】

裡沙「料理のコツは愛情です」えっへん

美也「みゃーだってそれくらいしってるよー」

裡沙「食べてもらいたい人のことを思いながら作るのことが最高の調味料です」

美也「だからわかってるよー」

裡沙「美也ちゃん、あたしは料理の話をしてるんだよ……」

美也「……」

裡沙「美也ちゃんのはそもそも……」

裡沙「どういう意味さー!!」


【怒るよ】

裡沙「もうすぐあれから1年なんだよね」

美也「なにか変わった」

裡沙「うん、いろんなことが」

美也「良かったね」

裡沙「良かったの、かな……」

美也「?」

裡沙「あたしは幸せだったけど、橘君は……」

美也「ストップ」

美也「それ以上言ったら、にぃにのかわりにみゃーが怒るよ」

裡沙「……うん」


【基準】

裡沙「今日も寒いねー」

美也「みゃーは寒いのだめー」

裡沙「ふふ、知ってるよ」

美也「どうせ寒いんだから雪でも降ればいいのに~、積もるくらい」

裡沙「えー、それは大変だよ~」

美也「せめてなにかいいことでもあればいいのに」

裡沙「冬だっていいことはあるよ」

美也「……そうだね」

裡沙「あれ、素直?」

美也「夏に食べるまんま肉まんもおいしいけど、やっぱり冬に食べるまんま肉まんは格別だよね」

裡沙「……そういうことじゃないと思うんだけどなぁ」


【予想通り】

美也「こたつでアイスを食べるのっておいしいよねー」

裡沙「ふふっ、なにか食べるときの状況って大切なのかもね」

美也「きっとそうだよー。裡沙ちゃんはなにかないの……あ、やっぱりいいや」

裡沙「えー、ちゃんと聞いてよー!」

美也「……じゃあ……裡沙ちゃんのそういう時って?」

裡沙「橘君と一緒の時」キッパリ

美也「ほらね、言うと思った! だからいいやっていったのに」

裡沙「本当のことなんだからいいでしょー」

美也「惚気られるこっちの身にもなってよ!」


【特別】

裡沙「と、とうとう明日はクリスマスだよ美也ちゃん……!」

美也「なんでそんな落ち着きがないの?」

裡沙「だ、だって明日は橘君とデートなんだよ」

美也「いつもしてるじゃん……」

裡沙「いつもとは違うのー! 特別な日なのー」

美也「?」

裡沙「どうしようー」

美也「なにが?」

裡沙「色々ー!! もしかしたらあんなことやこんなことになるかもしれないから……」

美也「(きっとその心配は杞憂に終わるんだろうなぁ……)」


【ねぇねの心配事】

美也「にしし、みゃーはこの時期は大好きだよ」もぐもぐ

裡沙「……」

美也「クリスマス万歳だね」もぐもぐ

裡沙「……」

裡沙「(クリスマス過ぎた後は売れ残りのケーキが安く食べられるからって……)」

裡沙「(……ねぇねは少し心配になるよ……)」


【3人生活】

裡沙「美也ちゃんは彼氏とか作らないの?」もぐもぐ

美也「?」

裡沙「2年生の橘さんは男の子に人気あるって聞いたことあるよ」もぐもぐ

美也「……うーん、まだいいや」

裡沙「(……花より団子……)」

美也「いざとなったらにぃにと裡沙ちゃんと一緒に生きていくから」

裡沙「完全に小姑だよ!それ!」

まちがえた、これじゃあ裡沙ちゃんが花より団子じゃねぇか

【3人生活】

裡沙「美也ちゃんは彼氏とか作らないの?」

美也「?」もぐもぐ

裡沙「2年生の橘さんは男の子に人気あるって聞いたことあるよ」

美也「……うーん、まだいいや」もぐもぐ

裡沙「(……花より団子……)」

美也「いざとなったらにぃにと裡沙ちゃんと一緒に生きていくから」

裡沙「完全に小姑だよ!それ!」


【寂しさ】

裡沙「こんばんわ、美也ちゃん」

美也「いらっしゃい裡沙ちゃん。外は寒かったー?」

裡沙「うん……あれ、橘君は?」

美也「にしし、台所でおそば作ってる」

裡沙「そっか、大晦日だもんね。あ、じゃああたしもお手伝いしようかなぁ……」

美也「……」





美也「……一人残されると残されるでちょっと寂しい……」

美也「仕方ないからみゃーも手伝うとしますかー」

美也「にしし、にぃにのおそばはみゃー特製のにしてあげるのだー」


【願い事】

美也「はっつもうで~♪ はっつもうで~♪」

裡沙「ご機嫌だね裡沙ちゃん」

美也「にしし、そりゃ新年だからね~」

裡沙「ふふっ、初詣か~」

美也「もうお願いすることはきまってるの~」

裡沙「うん」

美也「ふ~ん、まぁ裡沙ちゃんだしね」にしし


裡沙「2つお願い事があるんだけどね……」

美也「へっ? ふたつ?」

裡沙「うん♪」

美也「一つはにぃにとラブラブでいられることでしょう? あと一つは?」

裡沙「えへへ、秘密」

美也「……ま、いっか。あっ、やっとにぃに来たよ! おそーい」タッタッタ




裡沙「(もう一つは……)」

美也「おーい、裡沙ちゃんはやくー」

裡沙「(よーし、美也ちゃんのねぇねになれるように頑張るよー)」

裡沙「うん、今行くよー」タッタッタ

ネタつきた。終わり
前に絢辻さんとでやったから今度はラブリーとでもやろうかと思ったけど、安心安定の美也になった
支援と保守ありがとう

裡沙ちゃんまじかわいいよおおお
裡沙ちゃんがかわいすぎて世界がやばい

あ、なんか小ネタとか放出したい人がいるならあとは自由に使って、どうぞ

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