八幡「星宮いちご?」いちご「久しぶりだね、八幡」 (214)
私の名前は鶴見留美。
スターライト学園に通う3年生だ。
小学6年生の頃、ぼっちだった私は、目の腐った高校生と彼の同級生たちによって救われ、自ら変わることを決意した。
そして、新しくできた親友のあおいに誘われ、私はアイドルの道へ足を踏み入れる。
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アイドルたちが通うアイドル専門学校・スターライト学園の門を叩いた私たちは、その日からアイドルとして様々なカツドウに励むことに。
スターライト学園に隠された不思議な最新技術・人生カード化改変マシーンによって、新しい人生、新しい未来を僅か3ヶ月で経験した私たちは、不思議世界でたくさんの仲間を作り、現実世界に帰ってきた。
生まれ変わった私、星宮いちごとして。
千葉村のキャンプから数ヶ月。
私を変えてくれた八幡への恩返しのため。
過去を改変し、この時代でトップアイドルとなった私は、八幡へ会うために総武高校へとやってきた。
いちご「待っててね、八幡」
芸能人はカードが命
私の熱いアイドルカツドウ、アイカツ
始まるよ!うふふ
蘭「これが総武高校か。まあ普通だな」
いちご「スターライト学園と比べたらねぇ~」
あおい「穏やかじゃないわね。ここにいちごの想い人がいるなんて」
蘭「想い人て……」
いちご「違うってばぁ~あおいー!そんなんじゃないよぉ~」
あおい「はいはい」
蘭「別にいんじゃん?好きな人くらいいたって」
あおい「アイドルに恋人は御法度ですぞぉ~?うりうり」
いちご「やめてよぉっ、八幡は恩人なんだから」
蘭「恩人か……。いいよね、そういうの」
あおい「ちょっと嫉妬しちゃうけどね」
いちご「あおい、蘭、今日は付き合ってくれてありがとね」
あおい「いいっていいって。いちごの頼みなら私は何でも聞いちゃうぞっ」
蘭「私は頼まれなくてもついてくけどな。いちごひとりじゃ不安だ」
いちご「も~っ、それどーゆー意味~?」
あおい「保護者としてほっとけないのよ、蘭は」
蘭「そうだな。なんかもうそれでいいわ」
いちご「保護者なんていらないもん」
蘭「だな」クスクス
戸部「あれ~?あれあれ~?隼人くん隼人く~んあれ見てよ~。あれ今をときめくアイドルの星宮いちごちゃんじゃね?あおいちゃんに蘭ちゃんもいるわぁ。いや絶対そうだからぁっ!」
葉山「アイドル?すまない、俺はあまり詳しくないんだが」
戸部「隼人くんノーチェック系?」
葉山「てかお前詳しいな」
戸部「いやいや常識っしょ」
三浦「戸部~、あんたマジキモいんだけど。てかさ、アイドルって何よアイドルって」
戸部「えっ?アイドルも知らない系?」
三浦「違うわよ。戸部、あんたバカじゃないの?アイドルがこんなつまんない進学校来るかってーの」
葉山「それはまあ……言えてるな」
姫菜「学内に入っていくね」
戸部「やっぱさ、ここは追いかけちゃう系?」
三浦「あーし興味ないからパス」
葉山「俺は部活」
姫菜「百合は守備範囲外かな」
戸部「うーわ、これ行ける雰囲気じゃないわー。……部活行こ……」
葉山「テンション低いなおい」
奉仕部
いちご「聞いてた話だとここに八幡が」
あおい「感動の再会ね」
いちご「緊張するよー」
コンコン
雪乃「どうぞ」
蘭「失礼します」ガラガラ
いちご「あっ!勝手に」アセアセ
雪乃「あら、見かけない顔にどうやら私服のようね。うちの生徒かしら?」
蘭「いえ、違います」
雪乃「来客の方ね。それで?ここを訪ねたということは奉仕部への依頼かしら?」
蘭「私の名前は紫吹蘭。一応アイドルをやってる」
結衣「ふぇ!?紫吹蘭!?」
蘭「私を知っているのか?」
結衣「知ってます知ってます!超有名人じゃないですか!」
八幡「紫吹蘭……だと……」ガタッ
雪乃「由比ヶ浜さんは知っているの?」
結衣「ゆきのん!知ってるもなにもアイドルだよアイドル!トップアイドル!」
蘭「はは、なんか恥ずかしいな」
雪乃「アイドル……そう。それで、紫吹さんはどういった用件で奉仕部に?」
蘭「ここに比企谷八幡って男子がいるって聞いてな」
結衣「うぇ?ヒッキー!?」
雪乃「……比企谷くん、早めの自首を推奨するわ。訴えられてからでは遅いのよ?」
八幡「なんでだよ!何もしてないよ!してないよね?え?」
蘭「え?ちょっと待ってくれ!一体何の話だ」
雪乃「この男が紫吹さんにセクハラを行ったので、貴女自ら断罪をしに来たのではなくて?」
八幡「そんな歪んだ憶測は折り畳んで捨てちまえ」
雪乃「あら、今日の比企谷くんは威勢がいいのね。それとも本当にセクハラに至ったのかしら?セクハラ谷くんは」
結衣「ヒッキー最低……」
八幡「俺は無実だ。断固抗議する!あ、紫吹蘭さん、サイン貰えます?妹が大ファンでして」
蘭「あ、はい……」
結衣「小町ちゃんがダシに使われてる!?」
雪乃「由比ヶ浜さん、貴女が言うと字面的にお味噌汁のようね」
結衣「何気に酷いし!」
雪乃「ごめんなさい、由比ヶ浜さん。失言だったわ」
八幡「ここに『小町ちゃんへ』って。はい、そうです。ついでに『八幡愛してる』って書いて貰えます?あ、他意はありませんので」デレデレ
結衣「ヒッキー普通にキモいし!」
蘭「『八幡愛してる』っと。恥ずかしいなこれは……」
八幡「ありがとうございます!家宝にします我が家の」
蘭「い……妹さんによろしく……」
結衣「次、あたしもサインお願いできます?『結衣へ』って書いて欲しいです」
蘭「あー、もうわかった!わかったから!」サラサラ
蘭「ほら」
結衣「ありがとうございます!」
あおい「あの美しき刃と呼ばれた蘭が一方的に戸惑ってるなんて……」 乱入
雪乃「貴女は?見たところ紫吹さんの関係者のようだけれど」
あおい「あ、私は…」
結衣「霧矢あおいちゃんだぁ!」ダキッ
あおい「うぇぇぇ!?なになに!?なんなの!?」
結衣「あたし、大ファンなんです!」
あおい「あ、あ、あ……ありがと」
結衣「本物のあおいちゃんも可愛いー」
あおい「はーなーしーてー」
結衣「サインお願いします!『結衣へ』って!」
あおい「穏やかじゃなーい!」
いちご「……八幡」
八幡「ん?」
いちご「久しぶり」
8巻読んで心中穏やかじゃないのでアイカツとクロスさせた
ルミルミは天使
問題。
明らかに初対面の女子から、しかも今をときめくトップアイドルから、「久しぶり」なんて言われた男子は一体どんな反応をするでしょう。
八幡「お……おう。久しぶりだな」
正解。
動揺してとりあえず話を合わせる。
それは俺だけか。テヘペロ
ドッキリですか?ドッキリですよね?カメラはどこにあるんです?
肖像権の侵害だ。実にけしからん
いちご「会いたかった」ダキッ
八幡「」
なになになんなのこれ?ちょっと待って欲しい、いや待ってください。おかしいでしょこの状況!なんで抱きつかれてんの俺?セクハラ谷くんなの?
普段の俺帰ってきてー!
そうだ素数を数えよう。ぼっちが一人ぼっちが二人……二人いたらぼっちじゃねーよ!
冷静さ仕事しろ!
八幡「……星宮いちご?」
いちご「久しぶりだね、八幡」ニコッ
結衣「あーっ!ヒッキーが星宮いちごちゃんに抱きついてる!」
雪乃「ええと……警察は何十番だったかしら……」
あおい「奉仕部……穏やかじゃないわね」
蘭「……頭が痛くなってきた。なあ、もう帰っていいか?」
30分後
雪乃「……みっともないところを見せてしまったようね。騒がせてしまったことを謝罪します」
いちご「この紅茶美味し~」
あおい「ほんとだ美味しい」
蘭「ああ、美味いな」
雪乃「あなたたちの分、紙コップで大変申し訳ないのだけれど」
あおい「あ、気にしないでください」
蘭「突然押し掛けた私たちの方がもっと失礼だしな」
結衣「それで?いちごちゃんが実はキャンプの時に知り合った鶴見留美ちゃんで、八幡に恩返しをするためにアイドルになってやってきたと」
八幡「あのぼっちのガキが星宮いちごちゃんだと……。ありえん、別人すぎる……人格まで整形してんじゃねーか……プリキュアなの?変身しちゃうの?」
いちご「八幡うるさい」
結衣「ヒッキーだってぼっちじゃん」ボソッ
雪乃「荒唐無稽すぎるわね……。その話を信じるのは到底不可能なのだけれど、それが真実であるという証拠、例えば鶴見さんが星宮さんであるという証明は可能なのかしら?」
いちご「スタライに入学すれば理解できると思います」
雪乃「スタライ?……ああ、スターライト学園のことね?度々耳にする、衣服をカード化するというSF紛いの余多話は、果たして真実なのかしら」
結衣「あれ凄いよねー」
八幡「アイカツカードは偉大な発明だからな」
雪乃「……なぜあなたが誇らしげなのか理解できないのだけれど、比企谷くん」
八幡「ほっとけ」
いちご「八幡はキラキラッターやってる?」
八幡「やってるぞ」
八幡「紫吹蘭の情報収集はライフワークのひとつだからな。霧矢あおいのフォローも日常茶飯事だ」
蘭「は?私?」
結衣「うわぁ……」ドンビキ
雪乃「由比ヶ浜さん、キラキラッターとは何かしら」
結衣「あ、ゆきのんアイカツフォン持ってないもんね。キラキラッターってのはねー、アイカツフォン版Twitterみたいなものだよ」
雪乃「Twitterは触れたことがないので実感はないのだけれど。人様の目に触れる場所で好き勝手に心情を吐露して、それの一体何処が楽しいのかしら。理解に苦しむわね」
八幡「『蘭ちゃん可愛いなう』とか」
結衣「やめてヒッキー!今日のヒッキーほんとキモいし……」
あおい「あはは……」
いちご「はい、八幡へのサイン」
八幡「おっ、サンキュー……」
これがあのルミルミだと……バカな……
八幡「ひとつ言っておくぞ?俺は恩を返されるようなことはしていない。何もしていない。結果的にお前たちに怖い思いをさせただけだ」
いちご「あれは最悪だった。死んじゃえって思ったもん」
いちご「でも私が変わろうと思えたのは八幡のお陰だから。八幡がいなかったら、私はきっと暗い女の子のままだったと思う」
どうやら事の顛末、俺たちの真意を見抜いていたようだ。
疑って疑って疑って疑って本質を見抜く。
俺との会話を思い出し、そして推理したのだろう。
ぼっちには時間がある。
生き方としては賢いが、他人からは嫌われる。
空気が読めない。
そんな“賢くない生き方”
八幡「人はそうそう変わらないからな」
いちご「だから、八幡にその気はなくても、私は八幡に救われたんだよ」ニコッ
雪乃『報われないわね』
報われたさ。
世界は変わらない
今でもそう思う。
それでも、『もしかしたら』という幻想は、立ち向かおうとする意志は、きっと世界を変えうるのだろう。
この少女が勝手に救われたように。
あの日、背中を押したことは間違いではないと。
彼女の瞳が強く語りかけてくるようで。
八幡「そうか」
俺は珍しく、捻くれるのをやめた。
雪乃「…………」
八幡「また会えてよかった。もうぼっちは卒業したんだ。元気でやれよ」
いちご「まだあるの……最後に一つやり残したこと…………」
薄々気づいていたのかもしれない。
会話を打ち切ろうとしたのは失敗だった。
これが騒動の始まりだと。
いちご「八幡、大好きだよ」
その日、少女は奉仕部に爆弾を落とした。
今回は結論を言う気分ではない。
第一話:きっと彼女の選択はまちがっている
了?
いちご「私と付き合って下さい」
電光石火の先制攻撃。
いやポケモンは関係ないけどな。
告白されて冷静さを取り戻すなんて、つくづく自分が嫌になる。
あおい「いちご……」
でも俺は自分が大好きだ。
蘭「…………」
そうでなければ俺は……
八幡「……悪いな星宮。……いや鶴見か」
アイドルに告白されるという一生に一度あるかないか、いや普通ないだろうそんな機会を
八幡「お前のそれは幻想だ。鶴見、お前の恋愛の対象は俺じゃない。……背伸び、いや……恋愛へのただの憧れだ」
あっさり手放すなんてバカだ。そう思うだろう?俺もそう思う。
いちご「八幡……?」
受け入れるのは容易だ。
だが、きっといつか自覚する。
これからもトップアイドルとして経験を積んでいく鶴見留美。
冷静さ、落ち着きを得ていくであろう少女。
その瞬間、彼女は目覚めるのだ。
なんでこの人を好きになったのだろう、と。
それは互いの不幸でしかない。
そんなの俺が耐えられない。
愛した結果傷つくのなら、愛する前に終わらせるべきなのだ。
それが一番ダメージを減らせる堅実な手段。
八幡「……悪いな。俺はお前の気持ちに応えるつもりは……ない」
これはあれですかね?アイドル振るとか何様だよお前!的な空気
いちご「……そう」
悪いな、俺は保身に生きる人間なんだ。
あおい「っ……!」
蘭「……よかったじゃん、いちご」
あおい「え……?」
蘭「あんた、比企谷八幡だっけ?」
八幡「ああ」
蘭「いちご、あんた愛されてんだよ。ひき……八幡にさ」
いちご「どういう……?」
蘭「なあ、あんた彼女っているか?」
八幡「いるように見えるか?」
蘭「あはは……」
あおい「蘭、どういうこと?」
蘭「彼女もいない餓えた男子高校生がさ、自分で言うのもなんだけど……私達トップアイドルから告白されて、それを即答で振るなんて、そんなん考えられないじゃん」
蘭「この人はね、いちご。自分の幸せより、あんたの幸せを取ったんだよ……たぶん」
あおい「あ……」
蘭「いちごのことを想ってないなら、告白した瞬間すぐに食いついていただろうさ、逆にね。私はこの男は信頼できると思った。ちょっと歪んでるみたいだけど」
八幡「…………」
蘭「あんたの考えなんてお見通しだよ?芸能人舐めんな」
八幡「あ、はい」
蘭「あんた、酷い奴だけどいい奴だね」ニコッ
言葉を一瞬失ったのは、紫吹蘭カッコイイなーとか思っていたからなんて言えるはずもなく
あおい「諦めたらそこで試合終了だよ、いちご!」
いちご「うん!」
雪乃「なんだか意識を失っていたような気分ね」
結衣「(なんか何も言えなかったけどまたライバルが増えたし……)」
いちご「八幡、私諦めないから」
蘭「いちごがダメなら私でもいいぞ」ニコッ
八幡「……勝手にしろ」
なぜか雪ノ下の氷点下のような不機嫌さをひしひしと感じる。
紫吹蘭可愛いなーおい!!というテンションは、急激に醒めていった。
今度こそ今回の結論。
女は勝手に会話を始め、勝手にまくし立て、勝手に納得し、勝手に結論付ける生き物だ。
だから、面倒事を避けたいのなら、男は黙って話を聞けばいい。
それで事態が悪化しても、きっとそれ以外に選択肢はないのだろう。
1話:やはり俺の青春ラブコメは間違い続けていく。
了
キリがいいので今日の投下は終了です。
これ万が一アイカツ勢とくっついたら怒られそうだから雪ノ下エンドか由比ヶ浜エンドになるかも
よし、雪ノ下&由比ヶ浜エンドはもちろん
ルミルミ、蘭、あおい、相模&〇〇、めぐりエンドなどなかなか見れない組み合わせカプをやりたいと思います
メイン3人以外のアイカツ勢はモブクラスだけどいいよね。
これ以上増えたら回し切れない
俺は紫吹蘭が好きだ。
当然アイドルとしてだが。
これはあれだ。
小町へ向ける愛情や、戸塚への愛情に近い。
あ、最後のはヤバいか……
LIKEじゃないよLOVEだよみたいな
LOVEなのかよ……
星宮ことルミルミの告白から二日。
未だに雪ノ下と由比ヶ浜の視線が冷たい。
なんなの?断ったからおこなの?
雪乃「中三ということになっている小学生に好かれて、あなたは今どんな気分かしら、ロリガヤくん」
酷い言い掛かりである。
全国の比企谷さんに謝れ。
八幡「どうもしねえよ。あれはもう断っただろ」
雪乃「私たちの目があったから仕方なく体裁を保った、そうも考えられるのだけれど」
八幡「雪ノ下、お前何が言いたいんだよ?」
結衣「ゆきのんは嫉妬してるんだよ。蘭ちゃんにデレデレしちゃってヒッキーほんとキモかったし」
雪乃「由比ヶ浜さん、それは誤解よ。そもそもこの男に私が嫉妬する理由などないのだから」
結衣「えー、そうかなぁ……」
雪乃「……それはあれね。百歩譲って私の言動に嫉妬という醜い感情を由比ヶ浜さんが感じてしまったというなら、一応のところ奉仕部の一員である比企谷くんが、その気持ちの悪いにやけ面でいたいけな少女を蹂躙していた。その事に対する恐怖が知らず知らずの間に顔に出てしまっていたのね。怖いわ」
八幡「帰っていいですか?」
雪乃「駄目よ」
結衣「ダメに決まってるし!」
いじめはありません
奉仕部は今日も平和です。
八幡「あれから毎日メールが来るんだけど」
結衣「よかったじゃん」
雪乃「比企谷くんにもついに友達と呼べる存在ができたようね。感慨深いわ。比企谷くんはそれが仮初めの友情(仮)ではないことを祈りなさい」
前より雪ノ下が冷たい気がするんですけど。
異論反論持論を唱える気力すら削いでいく氷の魔王ですよ。勝手に魔王にランクアップ。
バレたら朝陽は拝めないぞっと。
雪ノ下雪乃と書いて辛辣と読む。
また一つキラキラネームが誕生してしまった。
雪乃(しんらつ)
結衣「ねぇヒッキー、今週の日曜暇?」
八幡「暇じゃない」
結衣「じゃあ用事って?」
八幡「部屋で優雅に読書……と言いたいところだが、遊びに誘われてな。わかれ。まああれは強制だけどさ」
雪乃「あなたのお友達のざい……中2さんだったかしら?」
八幡「材木座は関係ねえよ。てか名前くらい覚えてやれよ」
雪乃「痴呆症扱いするのはやめなさい。覚えられないのではなくて覚える気がないのよ」
結衣「ネタ振りってやつだね!」ニコッ
雪乃「……その何かを達成したかのような清々しい笑顔はやめて貰えるかしら、由比ヶ浜さん」
結衣「ごめんねゆきのん♪」
雪乃「まったく、由比ヶ浜さんときたら……」
結衣「それで、ヒッキーは留美ちゃんに誘われてるってことでいいのかな?」
八幡「霧矢と蘭ちゃんもいるらしい。むしろルミルミだけなら俺は行かん」
雪乃「ヘタレだものね」
八幡「ばっか、ちげーし!蘭ちゃん派なだけですー」
結衣「ねぇ?あたしも行っていい?日曜」
八幡「あん?俺は知らん。あいつらに訊け」
結衣「あ、返信きた。おっけ~だって、ゆきのん」
八幡「早ぇよ」
雪乃「なぜ私まで……まあ由比ヶ浜さんたちだけじゃ不安よね。日曜は偶然にも予定は入っていないようだから、私もご一緒させて頂こうかしら」
八幡「女子5人の中に男一人混ざるとかどんな拷問ですか」
結衣「さいちゃん呼ぼっか?」
八幡「よし行こう!すぐ行こう!日曜楽しみだな!」
雪乃「この変わり身の早さ、異常ね……。比企谷くん、彼と間違いだけは起こさないようにね」肩ポンポン
八幡「大丈夫だ、問題ない」キリッ
結衣「なーんか嫌な感じ……」
そして日曜の朝がやってきた。
夢(とつか)をのせて
結衣「あ、やっはろーヒッキー!さいちゃん部活で来れないってさ」
八幡「さーて帰るか」
結衣「早いし!なに自然に帰ろうとしてんの信じらんない!」
雪乃「おはよう、比企谷くん」
天使かと思ったら雪ノ下でした。
純白のワンピースだと……。
狙いはなんだ!
八幡「雪ノ下、その……似合ってるぞ……白」
雪乃「あ……ありがとう……///」
無意識にリア充のようなやり取りをしてしまった。恐るべし策士、雪ノ下雪乃。
結衣「ヒッキー!あたしは?あたしは!?」
八幡「あーはいはい可愛いよ」
結衣「投げやりだ!?」
小町「お・に・い・ちゃーーん!」ダキッ
八幡「うおぉ!びっくりしたぁ!」
小町「成功です!雪乃さん!」
八幡「なんで小町がここにいんだよ」
雪乃「私が小町さんを誘ったからよ。受験の息抜きになるかと思って」
小町「嬉しいです!お兄ちゃんが新しい女を囲ってるって結衣さんから聞いて、小町心配だなーってずっと思ってたんですよ。あ、今の小町的にポイント高い」
八幡「新しい女て……」
結衣「事実じゃん。告白されてデレデレしてさぁ。ほんと信じらんない!ヒッキーのバカ」
八幡「いや新しい女ってなんだよ。昔の女どこだよ、戸塚か?戸塚なのか?」
結衣「へ?いや、あたしとかゆきのんとか……///……ってヒッキーの変態!ありえないし!」
意味わかんねー
雪乃「…………」
なぜそこで黙る雪ノ下。
ここは饒舌に反論するとこだぞ。
鶴見留美と再会してから何かがおかしい。
俺を取り巻く環境も微妙に変わってきている気がする。
奉仕部内での自爆テロのような告白から、由比ヶ浜と雪ノ下の態度が少し変だ。
敏感な俺は何となく察するものの、自意識過剰乙と笑われるのがオチなので黙っていた。
こいつら俺のこと好きなんじゃね?なんて思ってなんかやらないぞっ。
ああっ、考えないようにしてたのに!
いちご「八幡!」
あおい「結衣ちゃん!」
蘭「よっ」
今日の主役である3人が現れた。
ただ今の時刻午前9時。
こんな早くにどこ行くのディスティニーなの?
別府「グゥゥンモーニン!ハニーたち!イェアァァ!」
なにこれ……
ジョニー別府先生と名乗る不審者がクネクネとリズムを取る。
テンション高えよ。
デップ様に訴えられても知らんぞ。
別府「ショータイムだハニーたち!今日はスター宮たちが連れてきたゲストが臨時ラン[ピザ]ーするぞ!Yeah!!!」
そう、なぜか休日なのにスターライト学園に体験入学させられた俺たち。
突然予定ねじ込むとかトップアイドルの力すげぇ。
目の前には数人の生徒。
めっちゃガン見されてますよ俺たち。
雪乃「ゆ、雪ノ下雪乃です。皆さんよろしく」
状況そのものに戸惑い気味の雪ノ下。
結衣「由比ヶ浜結衣です」
一応カースト上位なだけあっていつも通りの由比ヶ浜。
小町「比企谷小町です!よろしくお願いしまーす」
これまた普段通りの小町。
そして俺は
八幡「比企谷八幡です」
ざわ……ざわ……
いや言わなくてもわかってるよ。
だって男子俺だけだもんね。これあかんでしょ。通報しないで!
別府「緊張しなくていいハニー&ボーイ。ここにいるのはスター宮の仲間でありフレンドたちだ」
ユリカ「よろしく。藤堂ユリカよ。やる気のない子は血を吸うわよ!覚悟なさい」
なにこの子
かんぺーかよ
血吸うたろかー
かえで「ハロー!一ノ瀬かえでだよ。YES!かえで寿司!」
またか
いきなりなんだこの女。ステマか?ステマって奴なのか?
寿司食いねぇ~
いちご「かえでちゃんは帰国子女でかえで寿司の娘さんなんだよ」
普通に宣伝だった!
かえで「ワオ!小町ちゃんベリーキュート!」
小町「あ……ありがとうございます」
小町ちょっと引いてんじゃねーか
さくら「北大路さくらと申します。皆様御見知り置きを」
あおい「さくらちゃんは歌舞伎役者の家系でね、興奮すると北大路劇場という一人舞台が始まるから気をつけて」
なにそれ怖い
おとめ「おとめはおとめなのです!らぶゆ~なのですよ」
蘭「彼女は有栖川おとめ。さくらや今ここにはいないが神谷しおんって子と3人で、ぽわぽわプリリンというユニットを組んでいる」
本物きたー。小町!お兄ちゃんぽわプリに会ったぞ!
セイラ「音城セイラ、ここの生徒じゃないがよろしく」
小町「マジカルタイム聴きました!よかったですよー」
セイラ「おっ、ありがとな」
結衣「本物の音城セイラちゃんだー」
セイラ「よろしくな!……残念だ。きいも来ればよかったのに」
別府「一通り紹介が済んだところでハニーたち、セイラハニーも、一日限定とはいえニューハニーたちの指導を頼むぞ。これは自分たちのレッスンにも繋がるからな」
「「はい」」
別府「今日はダンスレッスンとボイスレッスンの基礎をやってもらう」
それから地獄のような時間は過ぎ、アイドルを目指したわけでもない俺たちは
あおい「雪ノ下さん歌上手い!アイドル目指しちゃおうよ!」
蘭「結衣も小町も上手いな」
なぜかアイドル学園に勧誘されていた。
さくら「比企谷様もお上手でした」
さくらちゃんマジ天使。
成り行きで山中を遭難したり、富士山を登ったり、船が沈没したり、ヘリから降下したり、ワイヤーアクションを経験することになったわけだが、詳細を語る気力は尽きてしまった。
ハーレムタイム終了
どういった訳か休日にハードな時間を過ごしてしまった俺たちは、帰宅時にはすっかり疲れきっていた。
結衣「ねぇ……ヒッキー……。ヒッキーはさあ、遊びに誘われたわけだよね?」
八幡「ああ」
結衣「ありえなくない?超疲れたんですけど……」
雪乃「一仕事したような気分ね。実際一仕事したわけなのだけれど……はぁ……」
小町「小町もうヘトヘトだよ……。いちごさんや蘭さんたちとも全然話せなかったよ……」
八幡「こりゃ明日は筋肉痛だな……」
ヘロヘロの4人。
結局、仲間アイドルを紹介され、満身創痍にされただけで休日は終わりを迎えた。
本日の収穫はアドレス帳が増えたこと。
満面の笑みで「また来週」と告げた星宮……鶴見留美の顔がフラッシュバックする。
もう休んでもいいよね……?
パトラッシュ(カマクラ)
スターライト学園には二度と行かないと誓う俺。
アイドルカツドウなんてこりごりだよ。
第2話:やはり俺たちの楽しい休日は全てがまちがっている
了
とはいかなかった……
そして次の日曜日。
頑張ってね~と投げやりな返事で送り出す由比ヶ浜と、「あなたも物好きね……」と憐れみの視線を金曜に雪ノ下から頂戴して待ち合わせ場所にやってきた。
いちご「八幡!」
蘭「よっす」
あおい「今日は一人みたいね」
時間通り悪魔たちがやってきた。
八幡「よう」
いちご「じゃあ喫茶店でも行こっか」
蘭「変装もしてることだし普通にサイゼでよくないか?」
あおい「おっ、いいね~」
は?
いちご「ほら行くよ、八幡」右腕ダキッ
蘭「なーにしてんだ。置いていくぞ?」左腕ダキッ
八幡「……体験入学は?」
いちご「なにそれ?変な八幡」
なに言ってんのこいつ?みたいな表情をされたんですが……
謀ったな!とか言えばいいのか?
確信はないが、ルミルミにとって雪ノ下たちは邪魔な存在だったのだろう。
先週のはただの布石。
そう考えれば辻褄が合ってしまう。
いや、彼女たちにそんな思惑などないのだろう。
しかし、なんでも最初に疑うのが俺だ。
敢えて俺と絡もうともしなかったのは、放置プレイで仲間に託したのは、
この状況を作り出すため
2週連続比企谷くんご愁傷様ムードで邪魔な二人を切り離すため
そんなことを考えてしまう俺は、やはり自意識過剰になってしまったのだろうか?
ルミルミからの告白を思い出す。
他にも考えられる理由はある。
いつぞやの肝だめし
俺が……俺たちがルミルミを怖がらせたのは事実だ。
これはきっと、彼女なりの意趣返しのつもりではないだろうか。
これでチャラ。差し引き0。
同時に、体験入学を実現させるという、今彼女が持てる力の一部を見せつけることで、あの頃の自分との決別を示したのだ。
もう大丈夫と。
自分は変わったのだと。
これは気のせいではないように思う。
果たして考えすぎなのだろうか?
答えは出ないまま
俺たちはサイゼに向かった。
第2話:これから俺の強制的青春ラブコメがはじまる
了
次の投下は明日の夜になります。Year!!
いちご「八幡、あ~んして」
八幡「えー……」
いちご「あ~ん!だってば」
蘭「はいこっちも、あ~ん」
あおい「二股とは穏やかじゃないわね。この幸せ者~」
蘭「いちごには悪いけど、私もなんとなく気にいってるんだ」ツンツン
ほっぺツンツンするのやめて。
勘違いしちゃうから!
この三人に会ってからというもの、俺のぼっちライフが狂いっぱなしである。
ぼっちは悪意に敏感だ。過敏ですらある。
逆に好意を感じることも、向けられることも少ない。
なので、こうもストレートに好意を向けてくるルミルミや蘭に胸はとってもキュアハート。
なに言ってんだ俺。
あおい「修羅場ね。いいわ。いちごは絶対渡さないわよ!」ダキッ
いちご「え……ちょっ……あおい~」
蘭「はい、いちご脱落。八幡は私と関節キスしような?」
八幡「す……好きです……付き合ってくださいっ」
やべっ……咄嗟になんか口から出ちゃったんだけれども
比企谷くん、あなた何を言っているか理解できているのかしら?
ここにはいない雪ノ下ですら俺の脳内ジャックで絶好調だ。
蘭「えっ///は、はいっ?」
八幡「あ、いや……その」
死にたい。
いちご「……八幡のばか」
ですよねー。
稀に発症するぼっち病みたいなもんです。ぼっちに噛まれたと思って忘れてくださいなんて。
言えねぇ……
調子狂いっぱなし。
突き放すなんて簡単なんだがな。
それがぼっち道。
蘭「私も……なんか八幡のこといいなって……。……でもごめん。いちごからは奪えないよ……」
八幡「ですよねー……ははは……」
蘭「だからさ、いちごの許可を先に取ってくれないか?二股でも、いちごとならいいからさ」
やっぱりちょっとクレイジーだと思うこの人たち。
蘭「親友と同じ相手を好きになるってシチュエーション、身を引く私……引き留める八幡……うん、悪くないな」
いちご「普通に悪いし!どうして好きな人を親友に寝取られなきゃいけないの!?」
寝・取られではありません。
俺とルミルミ付き合ってないし
そもそもルミルミと寝てないし
なんて詭弁
ルミルミ→俺?
俺→←蘭
うん、寝取られじゃない。
八幡「……」キーン
あれ……なんか目眩が……
貧血か?
あおい「そこに私が参戦とかしちゃったりして。私といちごと蘭で八幡を奪い合い!そして三人は結ばれ、八幡は去る」
鬼か
いちご「それはない」
蘭「ないな」
雪ノ下「ないわね」
きゃああああああ
結衣「やっはろー!ヒッキー!いやあ、偶然だねぇ」
八幡「白々しいぞ、由比ヶ浜」
雪乃「てっきりスターライト学園でボロボロにされているものだと思っていたのだけれど、比企谷くん」
雪乃「奇遇ね?」ニコッ
八幡「ああ、ほんとうに“奇遇”だな。それで?二人揃ってどうかしたか?俺は見ての通り今歓談中でな」
結衣「デートしてるんだ?」
八幡「まあ、俺が休日に何をしようとお前たちには関係ないはずだが?」
雪乃「自意識過剰ね。私と由比ヶ浜さんは“偶然”サイゼリヤに食事にきただけよ。休日なのだから、私がどう過ごそうと比企谷くんには関係ないわね」
八幡「ああ」
雪乃「私たちは隣の席にいるから、比企谷くんたちは引き続き、お好きな様に盛り上がってくれて構わないのよ?」
いちご「待って下さい!……雪ノ下さんは八幡のことが好きなんですよね?」
雪乃「それが何か?」ニコッ
八幡「なっ……」
驚くほどあっさりと、あのプライドの高い雪ノ下雪乃が、俺を好きだと告げた。
掌返しをするように。
結衣「あたしもヒッキーのこと大好きだから!」
いちご「っ……!」
蘭「強敵が現れたな……」
急転直下の事態。
4人の少女からの告白。
あおい「そんな……」
あおい「穏やかじゃないわね、私だけ蚊帳の外なんて」
そっちかよ
雪乃「認めざるを得なかった。ここ数日間のドス黒い感情を。これが嫉妬なのだと、初めて理解したわ。同時に比企谷くんへの恋を…………知ってしまった……はぁ……困ったものね」
雪乃「自分が不器用なのは十分承知しているわ。だって……夢を見たのよ」
雪乃「このままきっと、永遠にすれ違うの……私たち」
雪乃「いつの日か……大人になった私が、『あの頃に戻りたい』と……比企谷くんと過ごした日々を想うのよ……。現実は残酷なものね」
雪乃「稚拙だった私の対抗心……いえ虚栄心かしら……正確には異なるのだけれど、私のちっぽけなプライドがあなたを認めなかった」
『……ならなくていいだろ。そのままで』
雪乃「姉の呪縛を解いたのは、きっとあなたなのに」
雪乃「目が醒めたら、あなたはいない。私は独り……そしてまた目覚めるの。きっと心の奥底では気づいていたわ……」
雪乃「もし、私が『変われる』機会があるとするならば、それは今しかない。この時、この瞬間、あなたの隣にしかないのよ。
雪乃「……なので」
雪乃「生涯、私と共に歩いてくれませんか?」
色々すっ飛ばしてプロポーズなんて、雪ノ下らしいな、と
そんなことを思った。
八幡「ありがとう、雪ノ下。お前に会えてよかった」
気付くと俺は泣いていた。
理由なんてどうでもいい。
そんな俺を誰も笑わない。
雪ノ下の言葉が胸に届く。
微塵も疑うことはなかった。
信頼。そうか……
そして俺は気付くのだ。
こいつが好きだ。
結衣「ゆきのんばっかじゃズルいよ」
八幡「ああ……そうだな。その通りだ」
雪ノ下の決意を見た。
雪ノ下の覚悟を知った。
俺は一度だけ逃げるのをやめた。
言葉を飾らず、捻くれもせず。
4人と対峙する。
トラウマにだって立ち向かおう。
それが一応男である自分の礼儀だ。
こんな素晴らしい女性が好きと言った男が、無価値な嫌われ者だなんて思いたくはないから。
自分のことはどうでもいい。
しかしこれ以上の卑下はできそうにない。
それは雪ノ下への冒涜だ。
結衣「ヒッキーが告白されてさ、しかも相手はアイドルじゃん?あたしじゃ敵わないよ……。取られちゃうって思ったら気が気じゃなかった。諦めようとも思ったよ?でもさ、目を逸らせない……逃げたくないって思っちゃったんだ」
結衣「ヒッキーなら大丈夫。捻くれてるからって。斜め下の解決法で、きっと全員振っちゃうの。あたしから見たヒッキーは難攻不落なんだもん。自分に言い訳してでもあたしたちを突き放すよ。ヒッキー、優しいしね」
結衣「でも、絶対なんてないじゃん……。不安だよ……。あたしはヒッキーを信じきれなかったんだ……」
結衣「あたしはゆきのんが大好き。同じ人を好きになった、いつも独りだったヒッキーを好きだと言ってくれる優しいゆきのんが。だから、どんな結果になっても、一生友達だよ?」
雪乃「ええ、誓うわ。由比ヶ……結衣は大切な親友だもの」
結衣「えへへ……ありがと。あたしさ、バカだからさ。きっと何があってもゆきのんを憎めない。二人といるのが大好き。ヒッキーは好きだけど、でも今は違うんだ。ヒッキーだけじゃなくて二人が好きなの」ニコッ
結衣「だから、あたしは前に進むよ」
結衣「あたしが言えるのはあと一言だけ。でもこの気持ちに嘘も間違いもないと誓える」
結衣「あたしは八幡が好き!比企谷八幡が大好き!!奉仕部は永遠だよ!!!」
それは一言じゃないよ……
ありがとう、由比ヶ浜
八幡「……俺は人間としてのお前が大好きだ、由比ヶ浜。優しくて気遣いができて、何より俺みたいな奴を好きだと言ってくれる。本当は気づいてたさ。ぼっち舐めんな……。弱かったのは俺だ……。誰に嫌われたっていい。だがお前と雪ノ下だけには嫌われたくなかった……。勘違いだったらどうしよう、三人の関係が崩れたら……俺がどんなに孤立しても、お前と雪ノ下は見捨てなかった……。それがありがたかった。だからこそ、変わることを恐れたんだ。俺はさ、どこかでお前たちに甘えたんだな、きっと」
結衣「そんなことない。ヒッキーは守ろうとしたよ?私たちの居場所」
八幡「ビッチなんて言って悪かった。お前はかけがえのない、優しい女の子だよ。ずっと共にありたいとも思う」
結衣「うん……」
八幡「だから、ごめん。俺の気持ちに嘘はつけないから」
お前に嘘はつきたくないから
結衣「……うん。……知ってた。頑張って……ヒッキー」
もう名前で呼ぶことはない。
八幡「雪ノ下雪乃さん」
雪乃「なにかしら?」
八幡「愛しています。俺と……」
雪乃「ええ、付き合いましょう」
『ごめんなさい、それは無理』
リフレインする。
その先を言わせない。
友達は無理
お願いしてなるようなものじゃないから。
でも、恋人にはなれる。
よく、恋愛とは告白した者の負けというが、きっと雪ノ下は俺を勝たせたのだ。
自分が先に告白したのだから、あなたはただイエスかノーで答えなさい。
こんな上から目線で。
雪ノ下らしい。
気持ちを告げた時点で、永遠の負けを認めたのかもしれない。
それが負けず嫌いのプライド。
いちご「…………」
蘭「いちご、あんたの負けだ。最初から勝ち目なんてなかったのさ」
あおい「こんなこっ恥ずかしい青春ラブコメ見せられたらね」
いちご「……八幡」
八幡「……悪い」
いちご「……謝らないで」
いちご「好きなんでしょ?その女のこと」
八幡「ああ」
いちご「……ならいい」
蘭「幸せにな」
いちご「帰ろう。あおい、蘭」
あおい「今夜は無礼講ってね」
蘭「ああ、そうだな」
いちご「八幡、私を振ったこと……必ず後悔させてやるんだから!」
八幡「期待してる」
いちご「もう……なんか締まらないな……」
いちご「私はもう、一生誰かを好きになったりしない。誰もが羨む最高アイドルとして生きるよ。孤高の華だ」
八幡「なれるさ、お前なら。でも恋愛はしたほうがいいぞ?」
いちご「いいよもう。なんか懲りた。私にはあおいと蘭もいるし」
蘭「えっ?私たちも付き合うのか!?」
あおい「当然でしょ!私たち3人揃えば無敵なんだから!」
八幡「やっぱお前ルミルミだわ」
いちご「そ……」
八幡「ああ、間違いなくな」
いちご「ふふっ」
結衣「あたしはまだ諦めないけどね!ヒッキーあたしのこと人間として好きだって、共にありたいって言ってくれたし!」
雪乃「話が違うわよ、由比ヶ浜さん」
結衣「名前戻った!?」
雪乃「あれはちょっとその……恥ずかしいのだけれど」
結衣「いちごちゃん、あおい、蘭の3人が無敵のアイドルなら、あたしたち3人は無敵の親友だね!」ドヤァ
雪乃「比企……八幡は親友ではなくて恋人、なのだけれど」
結衣「じゃあさじゃあさ!あたしの恋人でもある、みたいな?えへへ~こういうのなんて言うの、そうあれだ!ペアリングだよ!ゆきのん」
雪乃「……もしかしてなのだけれど、それはシェアリングと言いたいのかしら?」
結衣「そうそれだ!ヒッキー!今からヒッキーはあたしとゆきのんでシェアリングするから」
雪乃「頭痛が……」
八幡「由比ヶ浜…ちょ、待てよ~」
どこのキム〇クだ。
やはり俺の青春ラブコメは
ある日唐突に終わりを迎える――
番外編
素直で綺麗な雪ノ下さんとガハマさんエンド
了????
いちご「私の熱いアイドル活動」
いちご「アイカツ!始まるよ!うふふ」
雪乃「始まったわね、鶴見さんをモデルにした番組が」
八幡「ああ」
雪乃「このアニメの中では金髪なのね、星宮いちごさん」
八幡「こんな陽気なキャラじゃないけどな。あざといわルミルミ」
結衣「蘭もあおいも可愛い~。『穏やかじゃないわね』ってアニメでも言ってるんだぁ」
雪乃「あれはもう口癖のようなものだもの」
八幡「蘭ちゃん可愛ぇぇぇ」
結衣「ぅぅ……ヒッキー」ギロッ
雪乃「八幡」ギロッ
八幡「う……浮気じゃないぞ?」
雪乃「そうよね、八幡には可愛い恋人が二人もいるのだもの。浮気などできるはずがないわよね」
結衣「男子がヒッキーのこと超恨んでたよ?女子も引くレベル」
雪乃「気にする必要はないのよ?どんな時でも、あなたの傍には私たちが在るのだもの」
結衣「離れちゃ嫌だよ?大好きヒッキー」
雪乃「あら、私のほうが八幡を満足させられているわけなのだけれど」
結衣「あたしだってヒッキー満足してくれてるし!……特に胸とか」
雪乃「む……胸など飾りに過ぎないわ……大切なのは気持ち、内面なのではなくて?」
八幡「……勘弁してください」
俺はもう、奉仕部へ足を踏み入れたあのときから
ぼっちは卒業していたのかもしれない
変わらず今日も紅茶の香りが辺りを包む。
いつまでもこんな日々が続けばいいと思いながら
これが夢ではないことを祈った。
結論は必要ない。
一つ言えることは
平塚先生、早く結婚できるといいですね
了??
雪乃&結衣番外編?
まさか俺の青春ラブコメがハーレムエンドを迎えるなんて
結衣「アイカツは毎週木曜夕方6時から放送中だよ!」
ザ―――――――
ノイズの音
世界が歪む
??「機能停止。正常に動作を確認」
??「罪悪感が凄いですね、学園長」
……………………
「…ちまん……!」
いちご「八幡!八幡ってば!」
八幡「……あれ?」
ここは?
意識が浮上する。
見慣れた場所、サイゼだ。
記憶が混濁する。
直前に見ていたのはそうだ、雪ノ下や由比ヶ浜と恋人になった夢。
はは……ありえないって……
俺の知る雪ノ下は……あんな素直な奴じゃない。
残酷な夢が夢で夢になるんだ
ほら挑戦待ってるよ
君と向かう場所はどこだろう?
眩しい希望の中へ
望む場所はどこだろう
探しに行こうよ出発だ
店内BGMによって意識はすっかり覚醒した。
なんだよ
残酷な夢が夢で夢になるって
ルミルミたちの歌
明るい曲のはずなのに気分は沈んでいく。
俺もあんな未来を望んでたりするのかね?
バカバカしい。
八幡「……帰るわ」
伝票を掴む。金額を確認することもないままレジへ向かった。
いちご「待って八幡!」
蘭「どうしたんだよ?八幡」
八幡「夢を見てたらしい。そんなんあるはずないのにな……」
最近俺はどうかしていた。
いちご「意味わかんな……」
八幡「付き合うのはこれで最後だ。じゃあな」
いちご「待ってよ!」
蘭「おい!なんなんだよ!」
あおい「……いちご、蘭」
首を横に振るあおい。
あおい「なにか事情があるんだよ。彼の目……ただ事じゃなかった」
いちご「でもっ!」
あおい「いいからやめときなさい」
あおい「今はダメだよ……きっと」
変わらないものはない。
知りたくなかった現実。
雪ノ下や由比ヶ浜との未来は、容赦なく俺の心を貫く弾丸のようで。
幻と消えた日々を振り返り、残酷な今を嘆く。
八幡「残酷な夢が夢で夢になる……か」
自覚してしまった。二人への想い。
いつかこの悪夢が俺の夢に変わる日が来るのかもしれない。
八幡「……らしくない」
第三話:そして彼は普段の自分を取り戻す。
了
嘘ハッピーエンドでしたっと
今日は終了で
明日か明後日の夜また投下します
次からルミルミエンド目指します
学園長「このたび、我が校スターライト学園とドリームアカデミーが共同開発した、国内初となる夢のマシーンをこの場を借りて発表したいと思います」
パシャパシャ
マスコミの群れが一斉にカメラを向ける。
学園長「ドリームスターです!」
「「おおおお」」
学園長「使用者の願望、一番叶えたい願いを脳波から読み取り、それらを夢と変換して使用者に“視せる”マシーンなのです」
マスコミ「凄いですね!カードシステムの先をいく最先端技術だ!」
学園長「現在、テスト稼働の最中でして。被験者は私が選び出した原石7名。いずれも周辺家族には許可を得、本人たちには一切の説明もないままの稼働となっており、被験者たちは今もなお夢の中に存在します」
マスコミ「危険はないんですか?」
マスコミ「無許可の実験だなんて非人道的ではないですか?」
学園長「問題はないと、私はそう結論付けました」
マスコミ「根拠はあるんですか?」
学園長「それをここで明かすわけにはいかないとだけ。信じて頂く他ありません。一つ補足を」
学園長「ドリームスターは、夢を失った若者たちに再び夢を与え、新たな成長を促す革新的なマシーンであると私は考えます」
学園長「アイドルに幻想を抱く。なら、逆に幻想の中からでも本物のアイドルは産み出せるのではないか?私たちはそう判断致します」
マスコミ「目覚めないという可能性は?」
学園長「ありえません」
学園長「安全は保証します」
マスコミ「本稼働はいつの予定です?」
学園長「来月。この場所で。そう!これは科学の結晶が産み出した、世界すら変えうるマシーンであると私は断言致します!」
マスコミ「さすがスターライトとドリアカだなぁ」ヒソヒソ
学園長「夢を現実へ変えましょう!歴史はもう、私たちの手の中に!!」
学園長「ここからの未来は、ドリームスターによって始まるのです!!!」
ワァアアアア
学園長室
学園長「雪ノ下雪乃、由比ヶ浜結衣。共にアイドルとしての資質はSランクね」
別府「比企谷というボーイの動向が気になります。我々の思惑から外れるスタンスを取り続けている」
学園長「しかし、彼がいなければ彼女たちは世界の矛盾に気づいてしまう。彼の存在は必要不可欠なのよ」
別府「ボーイのクラスメートやシスターハニーのようにAIで対応すれば……」
学園長「彼の思考は我々には到底理解できないもの。AIでは尚更再現など困難でしょう」
別府「夢に生き、選ばれし者だけが輝ける世界。人類アイドル化計画……そんなことが本当に可能なのですか……?」
学園長「可能にするのよ、私たちが」
学園長「資質のあるものは評価されなければならない。スポットライトは彼女たちのためにこそ存在するのだから」
別府「……ボーイの動向については、引き続き我々が監視を。学園長」
学園長「彼女たちの成長という思惑を逸脱し、これ以上我々の障害となるようなら……」
別府「過去を抹消し、人格をストレートに矯正します。あのボーイをモテモテハッピーに救済してやりますよ。フゥーハハハ」
学園長「いいわね。彼も男性アイドルにしてしまいましょう!今の性格よりは良いでしょうしね」
学園長「さあ、私たちのアイカツを始めましょう」
別府「ノリノリですね、学園長」
??「ほう、なかなか面白そうな話をしているじゃないか。さてさて、裏で手を引いたのは陽乃かな?」
学園長「何者です!」
??「なーに、私は一介の教師に過ぎない」
学園長「教師?どこの所属ですか!」
平塚「やれやれ……、三人揃って一身上の都合で欠席と聞いていたんだが、困ったものだ」
学園長「まさか、総武高校の!」
??「こ・こ・で、私の大事な生徒たちが人体実験に近い扱いを受けていると聞いてね。この『私』に無断で、奉仕部を欠席した馬鹿ものたちを連れ戻しにやってきた次第だよ」
??「返して貰おうか?私の愛する生徒たちを」
学園長「人体実験?突然何の話ですか。バカバカしい。それにドリームマシーンのことなら校長やご家族には許可を得ています」
??「許可を得る相手が足りないようだな?私は確かに一介の教師に過ぎないが、愛する生徒たちのことなら話は別だよ。私はあの三人の顧問だ、そしてあの三人のためならクビなど怖れない!私は今怒っている。君たちは無許可で繊細な子供たちに夢を押し付け、傷つけているのだ!」
平塚「わかったなら実験を今すぐ終了するか、私を三人の元へ送れ!」
平塚「これ以上比企谷や雪ノ下に夢など押し付けるな!」
別府「Oh!なんてビューティフルな師弟愛だ!Yeah!」
別府「学園長!ここはこのジョニーに免じて」
学園長「夢を押し付けている……。なるほど……そんなことは考えもしませんでした」
平塚「宝くじで3億円が当たった夢を強制的に見せられて、次の瞬間突然現実に引き戻されたらどう思う?」
別府「それは……ノーセンキューですね……」
学園長「……わかりました。しかしドリームマシーンは止められません。被験者たちが幸せを手にして納得するまでは、生まれ変わった自分に満足するまでは戻れないのです」
平塚「……よくそんなクレイジーな機械を作ったものだ……。正気か君たちは?まあいい、メンタルケアは私任せたまえ」
別府「ドリームマシーンで平塚ティーチャーを送ります」
学園長「7人のケアを頼みます」
別府「総武ボーイ&ハニーは4人だ」
平塚「あいつか……」
人が恋しい。
一度味を占めたら最後という。
恋人の存在という未知の幸せを知ってしまった俺は、心に大穴を開けたような喪失感、虚脱感に苛まれていた。
ぼっちでいることになんの苦痛も後悔も感じ無かった俺なのだが、あのおかしな幻覚のせいで、気づけば他人を求めていることが増えた。
知らなければよかった日常。
八幡「あ、雪乃」
無意識に口をついて出る名残。
怪訝そうな表情を浮かべる雪ノ下から視線を逸らす。
耐えられない。
由比ヶ浜が言うには、俺は前より優しくなったらしい。
結衣「ヒッキーなんか最近不気味だし」
八幡「優しいから不気味とか失礼すぎんだろ……」
結衣「や、ごめんて……だってヒッキーだし」
八幡「だってって何だよ。なにお前俺の奥さん?俺観察が趣味か何かなの?」
結衣「奥さんって///ヒッキー突然なに言ってんの///意味わかんないし!」
雪乃「……はぁ……なんだか調子が狂うのだけれど……」
雪乃「比企谷くん。それほど比企谷くんが私を名前で呼びたいと主張するのなら……もう別に構わないわ。好きになさい」
結衣「ゆきのんが折れた!?」
雪乃「由比ヶ浜さん、比企谷くんが私の名前を口にしたのはこれで何度目だと思っているの?私にだって諦めという感情くらい持ち合わせているわよ」
八幡「……すいやせんね」
雪乃「べつに怒ってなどいないのだけれど」
陽乃「はろはろー!来たよ、雪乃ちゃん!比企谷くんも元気してたー?」
八幡「あ、雪ノ下さん……どうも」
八幡(……?)
雪乃「……はぁ……なんだか調子が狂うのだけれど……」
雪乃「比企谷くん。それほど比企谷くんが私を名前で呼びたいと主張するのなら……もう別に構わないわ。好きになさい」
結衣「ゆきのんが折れた!?」
雪乃「由比ヶ浜さん、比企谷くんが私の名前を口にしたのはこれで何度目だと思っているの?私にだって諦めという感情くらい持ち合わせているわよ」
八幡「……すいやせんね」
雪乃「べつに怒ってなどいないのだけれど」
陽乃「はろはろー!来たよ、雪乃ちゃん!比企谷くんも元気してたー?」
八幡「あ、雪ノ下さん……どうも」
八幡(……?)
サイゼ
いちご「あおいー、どうしよう。きっと私たちが八幡を怒らせちゃったんだよ」
蘭「いや、それはないだろ。一気に距離を詰めようとしたのが原因なら、もっと早く向こうが避けるはずさ」
あおい「八幡鼻の下伸びてたもんね」
蘭「ああ、あれは私の目から見てもデレガヤくんだった」
いちご「デレガヤくんて……」
あおい「そろそろ八幡も冷静になった頃よね。もう一度アタックよ、いちご」
いちご「また避けられたら辛いよ……」
蘭「逃げてたらこのままだ。それでも、いちごがいいって言うなら私は構わない」
いちご「……もう逃げたくない」
蘭「答えは出てるんだ。相手気にして怖じけづくなんてさ、そんなん、いちごらしくないじゃん?」
あおい「うん、当たって砕けるのがいちごだ」
いちご「……砕けちゃやだ」
蘭「なら当たって砕いてでも手に入れろ」
あおい「破壊神いちごの出番よ」
いちご「なにそれ……ふふっ」
蘭「決まりだな」
あおい「決まりね」
いちご「え?え?」
蘭「行くよ、いちご」
いちご「行くってどこに?」
あおい「鈍いなぁ、いちごは」
蘭「私たちはなんだ?」
いちご「……親友?」
あおい「あ、あらっ」ガクッ
蘭「ボケはいい。……私たちはアイドルだろ?なんで言わせんだ……はぁ……」
いちご「あ!サイン会!」
あおい「ちがーう!」
蘭「ステージだよステージ!私たちが一番輝ける場所だろうが」
いちご「あ、そっか!そうだよね!なんで気づかなかったのかな、私」
あおい「いちごらしいわね」クスクス
蘭「目指す場所はただ一つ」
あおい「総武ジャックよ!」
いちご「おーっ!」
総武高校
生徒「なんだ!?あれは……ソレイユ……!」
ガヤガヤ
アイカツカード挿入
着替えBGM
チャララッ~以下略
八幡「……あれは」
雪乃「……派手な登場ね。これも演出かしら、鶴見さん」
結衣「なにあれ!ここで歌うの!?」
いちご「行くよ!」
あおい「ええ!」
蘭「私たちのステージだ」
KIRA☆Power
いちご「叶えましょう! この夢を」
蘭「叶えましょう! 君とFly high」
あおい「光るツバサ 愛の愛のツバサ」
三人「羽ばたけ空へ」
いちご「好き? 好き!」
いちご「声に出したら元気になる」
蘭「行こう? 行こう!」
蘭「先に待つのはどんな世界」
あおい&蘭「Blue sky」
いちご「君と見てるのは」
あおい&蘭「優しさ」
いちご「忘れない未来」
あおい&蘭「Blue sky」
いちご「みんなの心を」
三人「笑顔にすると決めたよ」
あおい「叶えましょう! この夢を」
蘭「叶えましょう! 君とFly high」
いちご「キレイなんだ頑張るちから」
三人「KIRA☆Power」
いちご&あおい「叶えましょう! この夢は」
三人「幸せへと続く KIRA☆Power」
あおい&蘭「光るツバサ 愛の愛のツバサ」
全員「羽ばたけ空へ」
蘭「続けていくよー!」
あおい「ダイアモンドハッピー」
ウォォォオー!!
三人のステージが続く。
光輝くスポットライトに照らされ、少女たちはただひたすら美しかった。
雪乃「…………」
胸に熱いものがこみ上げていた。
すぐ横に雪ノ下が並ぶ。
口は開かない。
八幡「……俺には眩しすぎる……この場所は」
新章:ここから彼女たちの反撃が幕を開ける
了
今日は終了です
続きは明日か明後日で。
ヒッキーたちのためなら立場を無視して目上だって平気で怒る平塚先生
ただの行き遅れじゃないんですよ!
じゃあまた
ステージ上
いちご「八幡!!」
蘭「比企谷八幡!」
あおい「呼んでるわよ、八幡くん?」
あの馬鹿
校内中の視線が突き刺さる。
いちご「ステージに」
蘭「ほら、アイカツカードのメンズバージョンだ!」ポイ
あおい「八幡ステージ開幕よ」
なん……だと……
いちご「これからゲストの方が歌ってくれます」
断れねーだろこれ。
誰かチェンジで……
気配を消して去るという秘技も封じられてしまった。
注目の的。
今からどう逃げるか。
生徒「誰だアイツ」
生徒「ほらあの悪虐非道なヒキタニくんでしょ」
生徒「あーなんかいた気がする。忘れてたわ」
悪虐非道とか言われてますけど……
まあ間違っちゃいない。
生徒「ヒキタニくん!」
生徒「ヒキタニくん!」
生徒「[ピーーー]よヒキタニくん!」
ヒキタニコール
最悪の目立ち方だ。
雪ノ下が小さく親指を立てる。
どんなテンションだよ……。
表情から感情を読み取る。
《人生諦めが肝心だ!さあ行ってこい!骨は拾ってやるよ!》
大体こんな感じかな。
ゲームオーバー
退路なし
さて、小心者の自分が憎い。
俺は雪ノ下と近くにいた由比ヶ浜の腕を掴む。
雪乃「……っ」
結衣「ふぇっ!?なに?」
こうなれば道連れよ。
雪ノ下はこちらの考えを一瞬で理解したのか青ざめている。
八幡「今行くぜ!3人でな!」
人目につく場所で親しく接するなど、二人に迷惑が掛かると一歩引いていた自分が、普段なら考えられない強気な行動に出る。
こうなればステージジャックだ。
一世一代の黒歴史、俺たち奉仕部最大の恥を曝してやろう。
二人にはあとで土下座すればいいよね?
男には稀にテンションで行動するときがあるのだ。……たぶん
いちご「彼は私の恩人、比企谷八幡です!」
蘭「面白い奴だぜ?普段は暗いけど」
ほっとけ。
あおい「二人が認めた男子!これは穏やかじゃなーい!そうだよね、みんなー?」
生徒「「ヒキタニ[ピーーー]!」」
生徒「あとで覚えてろよ!」
生徒「「クズタニ!」」
女生徒「汚い手で雪ノ下さんに触らないで!」
女生徒「雪ノ下さんに手を出したら絶対に許さないから!」
女生徒「こっちよ!雪ノ下さぁ~ん!」
生徒「由比ヶ浜さんに手を出しても[ピーーー]ぞ!!」
死刑宣告頂きました。
後悔先に立たず。
いや、後悔後の祭か。大事な事なので――
だがきっと、矛先が雪ノ下や由比ヶ浜に向けられることはない。
雪乃「……変わったわね、比企谷くん」
てっきり言葉のナイフが飛んでくるものだと思っていた雪ノ下は、少し寂しげな表情を浮かべるだけだった。
由比ヶ浜は、「しょうがないなぁ~ヒッキーは~」と満更でもない様子。
女の子たるものステージへの憧れはあるのだろう。
いちご「こちらは雪ノ下雪乃さんと由比ヶ浜結衣さん。八幡の女」
蘭「二股サイテー」
あおい「名誉毀損!名誉毀損!」
雪乃「比企谷くんは私と同じ部に所属する部員よ。由比ヶ浜さんも同じ。それ以上でもそれ以下でもないわね」
結衣「まぁ、そかな」
いちご「というわけで八幡とは関わりの薄い二人でした」
この流れを作るための計算されたフォロー。
雪乃「関わり合いが薄いとは聞き捨てならないわね。こんな甲斐性を母親の胎内に置き忘れたような男でも、私の、奉仕部の大切な部員の一人であることには変わりないのだけれど」
結衣「むしろ濃いよ」
空気読もうぜ。俺が言えた義理じゃないが。
八幡「やめとけ、由比ヶ浜」
いちご「はいはい、もうお腹いっぱい」
蘭「聞いたよ、噂。全部。アイドルの女子力舐めんな?……で、今や悪名轟く比企谷八幡くんですが、皆さんは誤解しています」
あおい「誤解?どんな?」
わざとらしくいちごにマイクを向ける。
いちご「八幡は私を助けてくれたの。八幡がいなければ私はここにはいなかった。アイドルなんて夢でしかなかった。だから恩人」
あおい「今のいちごと出会わなければ、今の私はいなかった。だからある意味私の恩人でもあるわね」
蘭「いちごやあおいに出会ってなかったら、私はこんなに楽しい毎日は過ごせていなかったよ。二人に会わせてくれた八幡は私の恩人だ」
いちご「色んな見方があると思う。嫌いとかうざいとかキモいとか死んでほしいとか。今は歪んだフィルターが掛かったまんまなんじゃないかな?」
それ全部歪んでますけど。
蘭「みんな、こいつのこと知らないならさ、もう一度見てやってくれないか?中立な立場視点からさ」
教室で寝た振りする俺を再確認してどう変わるだろうという疑問は心に押し留める。
あおい「不器用で勘違いされやすいみたいだけど、普通にイイ奴だよ」
いちご「私は私の大切な人が悪く言われるのはヤだ」
あおい「私たちの考えを押しつけるわけじゃないけどね。それでもさ、一回だけでいいから。チャンス、与えてあげてほしい」
蘭「ほんとはステージでこんなこと言うのダメなんだけどな。友達が悪く言われんのとか気分悪いじゃん」
八幡「…………」
いちご「誤解されるような行動とか、最低なことも平気でするから嫌わないでなんて言えないけど。私の友達をあまり悪く言わないで下さい。お願いします」
そう言ってルミルミは深く頭を下げた。
この3人の行動力は尊敬に値する。
こんなこと頼んではいないが。
それに、今の環境がそこまで酷いとは思わない。
八幡「俺はぼっちだ。だから独りでも気にしない。だから今の環境が不便だなんて特に思わない。無視される程度だしな。だが、まあ……サンキューな」
いちご「八幡のためじゃないから」
蘭(私の好きな男がぼっちなんてこれ以上言わせないよ)
耳元で囁く。
あおい(この幸せ者)
八幡「ははは……そっすね……」
いちご「八幡、たまには思いっきり歌ってみたらすっきりするかもよ?」
八幡「へいへい」
八幡「今の俺たちに出来る曲はアレだけだな」
雪乃「体験入学のときに歌わされた曲ね?」
結衣「問題ないよ」
あおい「これ、二人にアイカツカード」
雪乃「お借りします」
結衣「ありがとー」
由比ヶ浜はとにかく、なぜかやる気満々な雪ノ下。
着替えBGM
チャララッ…以下略
結衣「ゆきのん!」
雪乃「比企谷くん」
八幡「ああ」
八幡「聴いてくれ……ヒラリ/ヒトリ/キラリ」
八幡「ヒラリヒトリキラリと輝け♪」
雪乃「ひとりだけれど独りではない♪」
八幡&雪乃「スタート!進むためのレッスン♪」
スポットライトを浴びる。
八幡「みんな友達だった♪」
君の目はあれだな、腐った魚の目のようだな――
雪乃「みんなライバルだった♪」
……それじゃあ悩みは解決しないし、誰も救われないじゃない――
八幡&雪乃「でもね♪」
きっと彼女もやはりどこか病気なんだろうな。優しくて往々にして正しい――
八幡「絶対、表と裏で騙したままで♪」
みんながぼっちになれば争いも揉め事も起きないだろ――
雪乃「闘ったりはしなかった♪」
結衣「スターくるくると、求められるものも変わる♪」
それでもヒッキーは助けるよ――
雪乃&結衣「選ばれるチャンスを、掴み取れ!♪」
八幡「アクトレスの未来を信じて♪」
雪乃「夢をかなえるために歌い踊る♪」
同じだよ。最低辺の世界の住人だ――
三人「ヒトリヒトリキラリとテーマを超えよう♪」
八幡「自分のことを甘やかしたら、全部、見抜かれてしまうよ♪」
知ってるものを知らないっつったって、別にいいんだ。許容しないで、強要するほうがおかしい――
雪乃「ずっと努力をしたり♪」
結衣「そっと泣いていたのも知ってた♪」
雪乃&結衣「声はかけなくたって♪」
八幡&雪乃「お互いのことを高める刺激になるステージ♪」
当たり前だ。自分のことだってうまくやれねぇのに人の面倒まで見れるかよ――
結衣「立つ場所でうつりかたも移り変わる♪」
まぁまぁ、二人で歌えばいいじゃないか。雪ノ下、由比ヶ浜。派手にかましてやれ、客席の一番後ろまで届くくらいな――
三人「闇と光とを解き放て!♪」
雪乃「美しい白い鳥が羽ばたく♪」
普通、ね。……そう、それがあなたにとっての普通なのね――
八幡「泳ぐために痛めた脚も忘れ♪」
君のやり方では、本当に助けたい誰かに出会ったとき、助けることができないよ――
結衣「本物だけがあたえられる感動♪」
雪乃「あふれた今日の涙の記憶♪」
ワアァァァァァ
歓声が響く。
三人のステージ、そういえば揃って共同作業なんて無縁だったかもな俺たち。
どんなときもどこか孤立してた。
精神ぼっちが二人いるしな。
強い拍手の音
平塚「実に素晴らしいステージだったよ、比企谷。それに雪ノ下や由比ヶ浜も」
八幡「平塚先生。なんか久しぶりに会った気がしますね」
平塚「ああ、奇遇だな比企谷。私もだ」ダキッ
最近抱きつくの流行ってんの?
平塚「元気そうで何よりだ」
八幡「……?大袈裟すね」
平塚「大袈裟なものか。愛する生徒たちに会えなくて私は実に寂しかったぞ」
結衣「あたしたち完全無視なんだけど、ゆきのん」
雪乃「あー、おほん……平塚先生。全校生徒の前で特定の生徒への身体的接触はなるべく控えた方がよろしいかと……」
平塚「おーこれがAIか!リアルだなあ」
結衣「えーあい?」
雪乃「……結婚できない女性は精神的に不安定にでもなるかしら……」ブツブツ
八幡「涙が……」
平塚「聞こえてるぞ、お前たち」
結衣「なんであたしが睨まれてんの!?」
いちご「先生」
平塚「いつぞやの問題児、鶴見じゃないか。」
いちご「今は星宮いちごです。それと問題児じゃありません」
平塚「問題児だからって別に恥ずかしいことじゃない。比企谷を見ろ。大問題児だあれは」
八幡「なんか世紀の犯罪者みたいな感じなんでやめてもらえますかねそれ」
平塚「なんだ聞いてたのか」
八幡「すぐ側にいるでしょうに」
平塚「手の掛かる生徒ほど可愛いって言うじゃないか。なあ比企谷?」
八幡「俺に聞かれても」
雪乃「あら、あなた以外のどこに問題児がいるのかしら」
八幡「俺の目の前にもいますがね?」
雪乃「由比ヶ浜さん、何やら酷い悪口を言われているわよ?」
結衣「あたし!?」
雪乃「酷い話ね」
八幡「お前だよお前」
雪乃「お前?どなたかしら?」
八幡「雪ノ下雪乃」
雪乃「呼び捨てとはいい度胸ね、比企谷くん」
八幡「ヒキガエル呼ばわりはいいのかよ?」
あおい「あのー……皆の声スピーカーで筒抜けなんですけど……」
雪乃「あ……」
八幡「……死にたい」
結衣「あ……あはは……」
平塚「これも青春だ、比企谷。10年後に笑い話ができて良かったじゃないか」
雪乃「恥です」
八幡「恥だな」
結衣「10年後かぁ……あたしとヒッキーどうしてるかなぁ……」
いちご「八幡は私と結婚して専業主夫よね」
八幡「いちごたん、らぶゆ~なのですよ」
蘭「きもっ……」
あおい「あー、これはないわ」
蘭「八幡は私が養ってやるから安心しろ」
八幡「ヒモはちょっと……」
蘭「私のために毎日味噌汁を作ってくれないか?」
八幡「蘭様に一生ついていきます」
平塚「現金な奴だな……。食わせるくらいなら構わんぞ、比企谷」
八幡「なにこの理想の展開。俺もしかしたら専業主夫なれちゃうんじゃね?」
雪乃「……この男を選ぶと貧乏くじを引くことになりそうね……。世界平和のためにも私が犠牲になるしか……」
結衣「ゆきのん目が怖いし」
雪乃「ヒモガヤくんは私が責任を持って飼育します」
飼育されちゃうのかよ……
平塚「よかったな、比企谷。鶴見たちや雪ノ下のヒモが確定したみたいで」
八幡「いや……ですから、ヒモはちょっと……」
平塚「専業主夫もヒモも似たようなもんだろ」
八幡「専業主婦に謝れ独身アラサー」
平塚「ハァァァ!」
八幡「ぐえっ……」
平塚「次言ったら玉を握り潰す」
怖ぇぇぇぇ
いちご「もう八幡の就職先は私って決まったんだから!」
結衣「決まってはないかな……」
雪乃「不幸になるだけよ?」
いちご「不幸でいいから放っておいて」
蘭「私といちごとあおいが八幡を養うから大丈夫だ。問題ない!」
あおい「あるよっ!?」
蘭「私は正妻で、いちごとあおいは愛人な」
いちご「私が正妻で二人が愛人だよ」
あおい「……私も愛人なんだ……」
いちご「当たり前だよ!八幡なら三人平等に愛してくれるから」
あおい「頼んでないですが……」
蘭「私たちは運命共同体だろ?」
いちご「うん、そうだよ!」
あおい「浮気とか三股とか色々問題ありなんですがそれは」
平塚「お前たち軽く病んでるぞ」
……軽く?
八幡「ちょ……三人は勘弁してください」
蘭「却下」
いちご「八幡は黙ってて」
あおい「穏やかじゃなーい!」
生徒「」
教師「」
雪乃「……帰りましょうか、由比ヶ浜さん」
結衣「うん、そだね」
平塚「解散」
八幡「お疲れ様でした」
いちご「正妻は私!」
蘭「いいや、私だね!」
あおい「なら私は良き友人で」
「「却下!」」
あおい「なんで!?」
その日から俺がヒキタニと呼ばれることはなかった。
かわりについたあだ名は――
女たらし
もうやだ……
平塚「あ、比企谷。これ現実じゃなくて夢の世界だからな」
八幡「はい?」
どこぞの杉下警部のようなイントネーションになってしまった。
いかんいかん
遺憾ながら
平塚「かくかくしかじか」
八幡「いやわかりませんて」
本日の投下は以上です!次回は日曜です!
それじゃまたです!
またsaga忘れてピー入りました……。
ヒキタニピー
…………
平塚「つまり現実世界の君たちは、今ドリームスター?とかいう装置によって強制睡眠の真っ最中だ」
八幡「人体実験じゃないですかそれ」
平塚「だからそう言っている」
八幡「どこか現実味の薄さを感じてはいたんですがね。さすがにそんなSF的な展開になっているとは……」
雪乃「平塚先生、目覚める方法はあるのですよね?」
平塚「私を含めて現在8人のドリーマーがいるわけだが、あー、ドリーマーとは寝てる奴のことだ。私が勝手に名付けた」
八幡「夢見る少女じゃいられない……嘘ですすいません殴らないで」
平塚「……まったく、君は。それで本来、この装置はスタンドアローン形式で互いのドリーマーに直接干渉することはないそうだ。要するに完全に独立した機械なんだな」
八幡「めちゃめちゃ干渉してる気がしますがね俺たち」
雪乃「私は比企谷くんの妄想が生み出した存在なのか、比企谷くんこそが私の妄想が生み出した存在なのか」
八幡「胡蝶の夢か?」
結衣「ゆきのん!あれでしょ?鶏が先か、卵が先かー!ってやつ」
雪乃「……由比ヶ浜さん、それはこの状況では適切ではないのだけれど」
八幡「俺が先か、雪ノ下が先か」
雪乃「ぞっとしない話ね……」
平塚「もう聞けよ、お前ら。各々の性格や思考基準などを脳波から読み取って、それをマシーンが解析し、人物AIとして他ドリーマーの夢に登場させるというのが基本搭載された機能らしい」
八幡「脳波凄いっすね。性格とかどうやってわかるんですか?」
平塚「知るか」
平塚「つまり、私を含む君たち全員がそれぞれ独立した夢を見ていることになる」
八幡「……ルミルミたちは俺の心が創り出した存在で、夢の中の彼女たちの性格は、実際の彼女たちの思考から再現している……こういうことですよね?」
雪乃「比企谷くん、それは誤りね。なぜなら、私は“この私”自身を正真正銘本人であると断言できるのだもの」
結衣「あたしもヒッキーの妄想なんかじゃないし」
八幡「俺だって妄想の存在なんかじゃない」
平塚「そうだ、比企谷。雪ノ下や由比ヶ浜の主張は正しい」
結衣「じゃあ、みんな同じ夢を見てるとか!?」
平塚「ああ。現在、全員の夢がリンクしていることが判明しているそうだ。これは我々の……最後に来た私ではないがね、正確には君たちの中の誰かが創り出した世界なのだ」
雪乃「ではその人物が目覚めない限り、私たちは眠り続けることになる……そういう話ですよね?」
平塚「話が早くて助かるよ、雪ノ下」
八幡「それって、この夢の主は俺たちの思考にすら影響を与える存在ってことになりませんか?」
雪乃「あり得る話ね」
平塚「影響を与えるどころかどんどん干渉してくるぞ。私たちは事実上囚われの身なのだからな!」
雪乃「っ……!」
平塚「考えてもみたまえ。あの比企谷がステージに出て歌うようなキャラに見えるかね?」
雪乃「既に私たちの思考は変化しつつある……そういうことですね?」
平塚「自覚はあるんだろう?」
八幡「あの……さっき先生は8人って言いましたよね?」
平塚「ああ」
雪乃「平塚先生。あと一人の正体も、当然話してもらえますよね?」
平塚「……相模だ」
八幡「なっ……」
結衣「あたしたち、さがみんにはまだ会ってないですよ?」
平塚「それはさして問題ではない。この夢のホストが相模の可能性は皆無だからな」
八幡「俺に不都合な世界でもないですからね」
平塚「そうだ。ざっと聞いた夢の展開的には比企谷、君の可能性が一番高いと私は考えている」
八幡「ははは……ご冗談を……」
雪乃「それは逆なのではないでしょうか?……私には比企谷くんの夢にしては前向きすぎると思えるのですが」
結衣「ヒッキーならもっとどよーんとした夢になりそうだよね」
八幡「否定はしない」
平塚「わからんぞ。普段何かと抑圧抑制された比企谷の屈折した精神が、そのままハーレム願望となって顕れた……かもしれん」
結衣「ヒッキー……」
八幡「いやないですってば」
雪乃「私は、この中で一番変化の見られた鶴見留美さんだと思うわ。それとも比企谷くんがハーレムなどというおぞましい願望を持っていたのだとしたら……」
八幡「そこで黙るなよ」
平塚「安心しろ、比企谷。私は君ではないと確信してるよ」
八幡「おい」
平塚「なーにちょっとした冗談じゃないか」
結衣「えっ?これって誰かの夢の中で、あたしたちはその誰かによって登場人物にされてる存在……ってことかな?」
雪乃「よく理解したわね、由比ヶ浜さん。これ以上の説明が省けるみたいで安心したわ」
結衣「ゆきのんそれ失礼だし」
雪乃「あら、悪気はなかったのだけれど。気を悪くしたなら謝るわ。ごめんなさい」
結衣「ゆきのんはやっぱりゆきのんだね」
平塚「それでだな。まずこの一件は君たち3人の胸に留めてくれ」
八幡「ホストに知らせることで俺たちにどんな影響があるかわからないから……そんなとこっすか」
平塚「ああ。自分を中心にした世界などと自覚でもさせたものなら、目覚めること自体を拒絶するかもしれん。あまつさえ夢をこれ以上支配でもされようものなら、こちらとしてはお手上げだ」
雪乃「現実世界のスターライト側から装置を停止させることはできないのですか?」
平塚「……不可能だ。強制的に遮断すれば私たちは目覚めない……脳死状態となる」
八幡「それめちゃめちゃダメじゃないですか。不良品どころか物売るレベルじゃないっすよ」
雪乃「……完全に人体実験のモルモットのようね」
平塚「夢は世界を変えるとか学園長は主張してたがな」
八幡「いやいや俺たち訴えたら勝てますよこれ」
雪乃「許されない暴挙ね」
平塚「君たちが眠ってる間のケアや目覚めた後の事は保証されるそうだぞ。それなりにマネーも出るだろう」
八幡「人生イージーモードですか。理不尽な扱いは遺憾ですが、人間過ちはつきものですからね。許しは大切ですよ、いやほんとにね」
平塚「比企谷……君のその適応力はどこからくるんだね?」
八幡「ま、これが夢でも現実と変わらない感覚ですからね。自覚してる分なんか気が楽になりました。俺は楽しく生きますよ、悪意ないAIたちとね」
結衣「後ろ向きにポジティブだ?!」
八幡「AIなら友達になれそうだ。ふっ」
雪乃「たとえプログラムでもあなたに友達なんて到底無理よ。諦めなさい」
八幡「AIにすら否定されちゃうのかよ俺」
雪乃「……比企谷くん、この件は奉仕部で解決します。どうやら腐ったあなたの力が必要不可欠のようよ」
八幡「……はぁ?何すんだよ?」
雪乃「あなたが突き止めるのよ。ここが誰の夢なのかを」
結衣「ヒッキー、ここは夢の中なんだからさ。ヒッキーのしたいように動いてもいいんだよ?私たちにしか迷惑は掛からないし」
八幡「え、何それ。なんか俺が迷惑掛けるために生きてるみたいじゃんやめてよね」
雪乃「違うのかしら?」
八幡「……後悔すんなよ?」
雪乃「では、改めて私が比企谷くんに依頼します。……どうか私たちを目覚めさせて」
八幡「……ぼっちの楽園を自ら放棄しろってか。だが、それが雪ノ下の頼みなら引き受けよう。……貸し一」ボソッ
雪乃「何か言ったかしら?」
八幡「いえ」
雪乃「徹底的にやりなさい。あなたのやり方とやらで」ニコッ
八幡「お、おう」ドキッ
結衣「ヒッキー、あたしも手伝うかんね?だってあたしたち」
八幡「仲間だもんげ」
雪乃「…………」ジロッ
八幡「……何でもないです」
雪乃「私はなにも言っていないのだけれど」
八幡「目で言ってんだよ、目で」
平塚「やっぱり仲いいな、君たち」
比企谷八幡、目障りなやつ。
アイドルに好かれてデレデレしてる気持ちの悪い男。
殺してやりたい。てか死ね。
比企谷にくっついているアイドル。
星宮いちご……うちが嫌いな女だ。
トップアイドル、神崎美月のライバル。
美月は小さな頃から何をしても万能。
美月は褒められ、うちはいつも膝を抱えていた。
成功を掴む美月、美月の栄光に縋るうち。
いつだって二番手の人生。ふざけんな。
神崎美月
彼女はうちの、相模南の妹だった――。
美月「貴女が私の姉なんて恥ね」
妹がうちにだけ見せた黒い感情。
あの日からうちは考えることをやめた。
考えるなんてバカじゃん。
楽しく生きよう。
それがうちの心情。
真っ暗な空間――
相模「なにここ」
光が視界を覆う。
?「……本当に、誰でも救ってしまうのね」
あれは雪ノ下雪乃?
うちに恥をかかせた糞女。
?「普通に考えれば、責任を放棄して逃避した相模さんは許されないはずだった。けれど、戻ってきたときの彼女は心ない言葉によって傷つけられた被害者だったわ。彼女の取り巻きだけでなく葉山くんという証言者までいる、立派な被害者」
?「いやー、比企谷くんは最高だね。みんなから聞いちゃったよ。そのヒールっぷり、わたし、好きだなー。雪乃ちゃんにはもったいないかも」
?「何と言えばいいのかな……。スローガン決めのときといい、相模の一件といい、結果的に君の尽力は大きかったように思う。あれで文実は機能し始めたし、相模のスケープゴートにもなった」
次々と映像が切り替わる。
?「比企谷くん?ここでクイズです!集団をもっとも団結させる存在はなんでしょ~?」
次々と見たくないシーンが再生される。
相模「なんなの……これ……」
走馬灯のように比企谷八幡の人生が流れていく。
相模「なんなのよ!!」
彼の小学生時代
彼の中学生時代
彼の現在
相模「なにこいつマジでキモいんだけど」
同時に比企谷八幡の気持ちが再現されていった。
まるで自分が比企谷八幡になったかのように、彼の人生の追体験は続く。
痛み
悲しみ
孤独
絶望
相模「ありえないし」
相模「どん引きなんですけど」
相模「なんで……」
うち泣いてるの?
裏切られる感覚。
期待されない悲しみ。
相模「……ぼっちのくせに」
彼の嘆き。寂しさ。
そして悟る。
孤独であることを受け入れていく比企谷。
相模「どんだけ不器用なのよ……ありえないっしょ」
鏡に映る比企谷の顔
なんで……
うちの顔なのよ……
なぜか自分が周囲に傷つけられている。
相模はいらない奴。
友達なんて嘘。
本当はみんな独り。
相模「もうやめてよ!!」
見せないで!
止まらない。
悪意だけが延々と渦巻く世界。
相模「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
周囲の悪意
悪意悪意悪意悪意
うちが蔑んだ目でこちらを見ている。
無価値な男と格付けし、心の底から憐れんでる視線。
覚えがある。
相模「……そんな目で見ないで……やめてよ……」
相模?「は?なに言っちゃってんの?うちがいつもしてることじゃん」クスクス
相模「……してない」
相模?「あんた人を見下すの大好きよね。そうやってそのちっぽけなプライド守ってるわけだしぃ?」クスクス
相模「知らないってば!!」
相模?「は?言い逃れとかマジで?だってうちはあんたなんだよぉ?」クスクス
相模「知らないって言ってんでしょ!?うるさいのよあんた!」
相模?「あはは!図星なんだぁ~。だってもうわかってるもんねぇ?見に覚えありすぎでしょ」クスクス
相模「消えてよ……」
相模?「出たぁぁ。いつもの現実逃避ぃ。困ったら知らなーい!うちは被害者ー!悲劇のヒロイーン!周りはどう思ってるか知んないけどねー!あ、構ってちゃんか!構ってもらえてよかったね!あははははは」
相模「……ちが……」
相模?「あれぇぇ?聞こえなーい」クスクス
相模「…………そう……よ……うち……あたしは……最低だった……」
相模?「あらら、逃げないのぉ?」
相模「だって……仕方ないじゃん……。自覚……しちゃったらさ……」
相模?「すーなおー」パチパチ
相模「……なにが目的なのよ?」ギロッ
相模?「目的?ないけど?」
相模「……は?」
相模?「そうね、強いて挙げるならあんたが嫌いだから?」
相模「意味わかんない」
相模?「後悔しろ。悔やめ。そして苦しめ」
いちご「八幡と向き合えたかな?」
あおい「ステージでは向き合えてたよ、いちごは」
蘭「ああ」
いちご「八幡にも私と同じ光を見せたかった」
蘭「あの腐った目でも、きっと私たちと同じ想いを感じたはずさ」
あおい「熱い心……」
いちご「八幡の顔を見て思ったんだ。これは付き合ってほしいとかそんな単純な想いじゃないって。私はただ幸せになってほしいのかもしれない」
蘭「幸せだろ?こんな美少女3人に好かれてんだ」
あおい「そうね」
いちご「あおい否定しないんだ?」
あおい「二人ともしつこいから、もう否定するのも面倒」
蘭「ぼっちのくせに不思議な奴だよ、八幡は」
いちご「ぼっちって言うな」
俺、比企谷八幡
雪ノ下雪乃
由比ヶ浜結衣
平塚静
星宮いちご
紫吹蘭
霧矢あおい
相模南
これで全員。
俺と雪ノ下、由比ヶ浜、平塚先生は除外してもいいだろう。
一人だけ存在が変わったかのようなルミルミ。
そして彼女を支える仲間たち。
考えるまでもない。答えは最初から決まっていたんだ。
幻想から本物のアイドルを創る。なら簡単だ。
中心にいなければならないのはアイドルを装ってる奴。
他の7人に影響を与えるほどにアイドルに憧れた人物。
ルミルミ、あおい、蘭。
3人の中でいつも中心にいるのはルミルミだ。
ルミルミはきっと、アイドルになって自分の周囲を見返したいと思ったのかもしれない。
動機は理解できる。
セカイを見限り、見捨てたはずでも、ルミルミはまだ若い。
それでもという希望は俺にもあった。中学時代までな。これ八幡的豆チ。
どうでもいいですねはい。
周囲を見返す一番手っ取り早い方法は有名になること。
あいつすげーと思わせればいい。
付加価値。ブランド。タグ。
有名というだけで人間としての価値が生まれるのが普遍の社会だ。
悪い意味で有名だと困るだけだが。
そうして彼女は自分の世界を求めた。
蘭やあおいが中心の世界と仮定するより、俺にはしっくりくる。
蘭にはメリットがない。
俺とは初対面。
いちごが好きな百合のつくアッチの方なら理解もできなくはない。
あおいが主ならそれこそ最悪だ。
彼女はこの世界の中心から一歩引いた位置にいる傍観者といっていい。
人間観察、百合百合なアッチの方、メインポジションを避けるアイドル、アイドルが好きな控えめアイドル。
どれが正解でもきっと俺には理解できない。
当面の目標はルミルミだ。
彼女を目覚めさせるのは酷かもしれない。
俺も人のことは言えないが。
雪ノ下め。ぼっちの楽園万歳。
俺は着々と、ルミルミおはよう計画を立てていった。
ちょっと出掛けるので今日はここまでで
またね
年..暦と精霊属性!!!!!!
2008年(平成20年) 太陽の年 SUNNY.YEAR
2009年(平成21年) 星の年 STARYEAR
2010年(平成22年) 月の年 MOONYEAR
2011年(平成23年) 星の年 STARYEAR
2012年(平成24年) 月の年 MOONYEAR
2013年(平成25年) 太陽の年 SUNNY.YEAR
2014年(平成26年) 太陽の年 SUNNY.YEAR
2015年(平成27年) 星の年 STARYEAR
でーーーーす。!!!!!!!!!!!!!!!!
年..暦と精霊属性!!!!!!
2008年(平成20年) 太陽の年 SUNNY.YEAR
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アイカツ!
スターライト学園
星宮いちご
第一属性=星属性
霧矢あおい
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紫吹蘭
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有栖川おとめ
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藤堂ユリカ
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北大路さくら
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一ノ瀬かえで
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氷室朝美
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ドリームアカデミー
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アイカツ!
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