妹「1000円でキス?」男「あぁ」 (52)

~リビング~

妹「あはは、冗談はその間抜けな顔だけにしてよ」

男「……」

妹「そりゃあさ?お兄ちゃんの事は好きだけどlikeであってLoveじゃないの」

妹「そんな馬鹿な考え思いつくお兄ちゃんってほんと可笑しいよね。そういうとこ好きだよ、飽きないっていうかさ」

母「夕ご飯出来たぞ」

妹「あっ、うん。ほら、行こうよお兄ちゃ

男「500円でいいぞ」

妹「だからぁ、Loveじゃなくてlikeな

男「じゃあ今後そういった素ぶりも見せないしお前との関係も現状維持でいいんだな?」

妹「……」

母「沢山あるからな、遠慮せずに食えよ」

男「母さん、味噌汁おかわり」

母「あまり急いて食うな、馬鹿に見えるぞ」

男「えへへ、ごめんなさい」

妹「……」モグモグ

父「どうしたのぉ?たんまりなんて珍しいわね」パクパク

妹「そうかな?食事中にながら食いはよくないんだよ」

父「そうなの?知らなかったわ」パクパク

男「父さん、そのくちゃ食い、いい加減治そうよ」

母「人の心配が出来るほど大人なのか?」

男「ご、ごめん…」

妹「……(500円かぁ、高いなぁ)」

~妹の部屋~

妹「さっきはいきなりでびっくりしたけど、普通に考えて可笑しいよね」

妹「お兄ちゃんの方が払うなら分かるけどなんで私?どんだけ自意識過剰なんだろ」

妹「そこまでかっこいい訳でも無いのにさぁ、どっちかというとブサメンな部類だと思うけど」

妹「まぁ、お兄ちゃんには昔っからよくしてもらってるけどさぁ……いやぁ、無い無い」

ガチャ

母「明日の支度はすんだか?」

妹「あっ、ママ」

母「あまり夜更かしはするな、体に悪いからな…思春期だ、日が登るまで何かに没頭するのは悪いことではないが…」

母「万全の状態で明日を迎えるに越したことは無いのだからな」

妹「うん。そろそろ寝ようと思ってたの」

母「そうか……では、明日また会おう。可愛い娘よ」バタン

~翌朝~

母「朝ごはんは一日の源、遠慮せずに喰らうのだ」

男「味噌汁美味いなぁ」ズズルァ

妹「……」チラッ

男「この卵焼きも最高だよ」モグモグ

妹「……」モグモグ

父「お母さん、ご飯おかわり」

母「朝からだらしがないぞ。自分でついで身体を動かすのもいいと思うぞ」

父「ふえぇ…」

男「ごっそっさん!」

妹「……ごちそうさま」

~通学路~

妹「……」

男「あっ、歯磨きするの忘れてた…まぁいいか、アクオー噛んでよっと」

妹「ね、ねぇお兄ちゃん」

男「ん?どうした」ハアァ

妹「ミントのいい匂いだね…って、そうじゃなくてさ」

男「ん~?だからどうしたんだよ」

妹「いや、昨日の事なんだけど…」

男「心配すんなよ、現状維持なんだから今までの関係が崩れる訳じゃないんだから」

妹「現状維持ねぇ…」

妹「なんかちょっとムカついたり」

男「俺がブサメンだからか?」

妹「別にお兄ちゃんの事ブスとか思ってないよ。けどなんかこう、一線を作られたのが原辰徳なの」

男「じゃあ1000円だな。1000円さえ払ってくれれば何時でもお前とキスしてやるよ」

妹「別にキスなんてしたくないし、ましてや兄妹でそういうのは論外」

男「まぁお前は可愛いからな、その辺の野郎と暴れん坊将軍なんだろ」

妹「んな訳ないでしょ……ん?」

母「待たれよ」

妹「ど、どしたのママ」

母「忘れ物だ」スッ

男「弁当?弁当ならちゃんと持ってきてるけど」

妹「あっ、私のだ…ごめんねママ」

母「気にするでない。我が子の為だ……では」シュバ

妹「……ねぇお兄ちゃん?ママっていったい何者なの?」

男「何者って、俺達の母さんだろ?」

妹「なんか口調もアレだしさ」

男「けど俺達の事を誰よりも思ってくれてるだろ?俺からしたら自慢の母さんだよ」

妹「まぁ、それはそうだけど」

~教室~

妹「……なーんかムカつく」

妹「お兄ちゃんの分際で私からお金を巻き上げようとするなんてさ、お金が欲しいなら欲しいって言えばいいじゃん!」

妹「そ、そりゃあ私だってあんまりお金は持ってないけどさ」

妹友「妹ち~んって、ふぎゃあ!」ドベチ

妹「あーあ、フルスイングして三振した小笠原みたいな転け方してる……大丈夫?」

妹友「大丈夫大丈夫…それよりさ、1000円で妹ちんのお兄ちゃんとキス出来るんでしょ?!」

妹「……は?」

妹友「とぼけないでよぉ、妹ちんのうなじに超小型の盗聴器付けてたから話はバッチリだよ!」

妹「……人生終わらせてあげようか?」

妹友「あはは、冗談キツいよぉ」

妹友「で、で、で?本当に払えばチューして貰えるの?」

妹「さぁね、それにあんなブサメンにお金払ってまでキスしてもらいたいとか絶対に無いから」

妹友「ブサメンって言い方酷いねぇ。イケメーン!って感じじゃないだけで優しい人じゃん」

妹「そうかねぇ、私にはわかんない」

妹友「いよっし!さっそく行ってみる!」

妹「はぁ?ど、どこによ」

妹友「妹ちんのお兄ちゃんのとこ!2年生だから3階だよね、じゃあいてきまーす!」タッタッタ

妹「あっ!ちょっと待ちなさいってば!」

友「なぁ知ってる?幼馴染の奴、通学中に車に跳ねられたんだってよ」

男「えげつねぇな」

妹友「あのぉ」

男「ん?君は確か妹の…どうしたのかな」

妹友「その、出来れば二人でお話が」ボソボソ

男「……?ど、どうして?」

友「空気キャラは空気を読む事に徹するべし」スタスタ

男「あっ、また後でな」

妹友「あのですね、1000円で先輩とチュー出来るって妹ちんから聞いて」

妹「はぁっはぁ…い、言ってないっつーの!」

男「……いいよ。それに1000円じゃなくて500円でいいからね」

妹友「リィーズナブル!」

妹「はぁ?!」

男「?どうしてお前が怒ってるんだよ」

妹友「あの、どうぞ」コイーン

男「ありがと……んっ」

妹「!!」

妹友「あぁ~、口じゃ無いんですかぁ」

男「あっ、唇の方が良かったの?ごめん、じゃあもういち

妹友「あ、明日またお願いします!今日はもう充分先輩パゥワをドレインしたので!」

男「あっ…う、うん」

妹友「よーっし!今日はおじいちゃんの肩を粉砕する勢いで叩いてお小遣い稼ぐぞー!」タッタッタ

妹「……最低だよね」

男「なにがだよ」

妹「何がって、全部が」

男「ははは、もしかして妬いてるのか?」

妹「んな訳無いじゃん」

男「ふ~ん、じゃあ俺は教室に戻るからな」

妹「……誰とでもなんだ」

男「俺みたいな不細工にお金払ってくれる子ならな」

妹「なにが俺みたいな不細工によ……」

妹「気持ち悪いのよ!死ねっ!」タッタッタ

男「……」

友「終わりましたかね」スッ

男「ん?うん、で、幼馴染の奴大丈夫なの?」

友「ダンプカーに跳ねられたみたいだからヤバいかもな」

~放課後、通学路にて~

妹「……」スタスタ

男「おーい、一緒に帰ろうぜ我が妹よ」

妹「……っ」タッタッタ

男「あっ…」

妹「……」ピタ

男「??お、おい」

妹「追い掛けないんだ」

男「は、はい?」

妹「……もういい」

男「お、おい!」

妹「うっさい馬鹿!ついてくんな!」タッタッタ

男「……(ついて来るなって、帰り道同じだろうが)」

~リビング~

男「ん?」

母「う、うぬぅ…」ワナワナ

男「ど、どうしたの母さん」

母「む、娘が弁当に手をつけておらぬのだ…嫌いな物など入れた覚えは無いのだが」

男「ダイエットとかじゃないのかな?母さんが落ち込む事なんかないよ。美味しかったよ、母さんの弁当」

母「うぬぅ…」

男「……(あいつ弁当食ってないのかよ、ちょっと一言いわないとな)」

母「う~む、やはりオムレツに人参を入れたのが間違いであったか…明日からは入れないでおこう」

~妹の部屋~

ガチャ

男「おい」

妹「……勝手に入ってこないでよ」

男「じゃあ鍵くらい掛けてろよ…じゃなくてだな、なんで弁当食べてないんだ?母さん落ち込んでたぞ」

妹「お兄ちゃんには関係無い」

男「関係無いことないだろ」

妹「かん、けい、ない!話はそれだけ?じゃあ出てってよ」

男「な、なんだよ機嫌悪いな…生理か?」

妹「うるさい!早く出てけ!」

男「………あぁ、ノックせずに入って悪かったよ。何か困った事があったら相談しろよ?お前の兄貴なんだから力になるからな」

バタン

妹「……あぁもう、なによ最後の…はぁ」

妹「全部お兄ちゃんのせいじゃん…他人と平気でキスするし」

妹「それも私の親友とか……なんかムカつく」

妹「親友からお金を取った事がむかつく、親友とキスした事がむかつく、私の目の前でキスした事がむかつく」

妹「………はあぁ、なにやってんだろ私。生理なのかな」

妹「何が現状維持よ…じゃあお金払ったら一線超えるのかっつーの」

妹「不細工の癖に!ちょっとだけ優しいだけの癖に!」

妹「……駄目だ駄目だ、今はお兄ちゃんのこと考えちゃう駄目だ」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年03月29日 (火) 20:42:50   ID: R8-Dy9kE

お母さんとお父さんの性別変わってるw

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