アニ(37)

わき水が沸く池の畔
「エレン、あんたの手で私を殺して」
「アニ・・・・」
「記憶が戻ったのねアニ・レオンハート」
「ペトラさん!?」
後ろからの声に振り向くエレン
コクリと肯くアニ
「そんな気がしていた」
「アニ本当に記憶が・・・・」
「ここは私が生まれ育った森にそっくりだよエレン・・」
三者三様の想いを抱きながら対峙する三人
そして疑似親子だった三人・・・
そして話しは少し前に遡る。

「エレンパパァー、ペトラママァ怖いよおー!」
アニの泣き声に聞きつけて来たエレンとペトラに抱き付くアニ
「まあまあアニどうしたの?」
「オルオおじちゃんとミカサおばちゃんが怖い目をしてアニを睨むのー!」
ピイピイ泣くアニを見ながら互いの顔を見るエレンとペトラ
そして何度目になるであろうため息を付く2人
そしてペトラがオルオとミカサを睨み付けて
「オルオ、ミカサ、あれほど言ったでしょうアニを怖い目で睨み付けないでと」
自分が無理難題を2人に言っているのは承知している
だが、今のアニの扱いは慎重でなければならない

「だけどよおー」
苦虫を噛み締め顔のオルオの顔がさらに苦虫を噛み締めた表情に
「ペトラ、あなたは優しすぎる、その優しさがいつかリヴァイ班全員の死を招く」
ペトラは反論の言葉を失う
ミカサの言は正論だからだ
「ミカサいい加減にしろ!」
言葉を失ったペトラの代わりにミカサを叱責したのはエレン
「アニに関しては俺とペトラさんに一任すると決まったことだろう」
「エレン私は」
「ともかくだ!アニに乱暴は認めないぞ!解ったな!」
「・・・わ・かっ・た」
納得しない顔で立ち去るミカサ
「ちっ」
立ち去るオルオ

「さあアニ、何時までも泣いていないでお部屋に戻りましょう」
「うんママ」
ペトラは泣きじゃくるアニの手を取り隠れ家の疑似親子三人部屋に連れて行く
エレンはそれを複雑な表情で見る

《部屋》
「さあアニ、寝台に座って」
「うん」
素直に寝台に座るアニ
「どうして表に1人で出てしまったの?あれほど1人で表に出てはいけないと言ってあったでしょう」
「だって詰まんないんだもん」
「アニ・・・」
「パパとママは畑仕事でいないし、アニ1人で部屋にいたくなかったんだもん」

「だから1人で外に出たのね」
「うん‥」
ペトラの問い掛けに肯くアニ
「ごめんなさいねアニ。でもね。畑仕事もアニの為なの」
「アニの為?」
「そ!一杯麦や野菜を作ってアニに食べて貰うの」
「・・よくわからない・・」
(無理もないか・・・・)
今のアニは推定4歳
ようやく周りの識別が付き始める年代だ!
そのアニに分別した行動を取れと言うのも無理難題と言えた
「とにかく、パパとママが畑仕事をしているのはアニの為なの、それだけはわかってアニ?」
「うん」
また肯くアニ
「・・・ママも畑仕事に戻らないと・・パパ1人に畑仕事を任せる訳にはいかないから」
「・・・・」
「どうしたのアニ?」
「皆アニの事嫌いなのママ・・・」
「!?」

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