東風谷早苗「アクトレイザー」 (521)

東方ProjectとアクトレイザーのクロスSSです
若干、独自の解釈や設定も入れます

少しキャラ崩壊あり

※アクトレイザーとは1990年に発売されたスーファミの神ゲーです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1470899468

なぜかPCから見ると全然スレが上がってないし進んでもいない
だがスマホから見るとちゃんと更新されている…

どうにか探し出してこのURLに辿り着いた
とりあえず再開します

魔理沙「最近、ヒマだな」

霊夢「アンタ、ウチに来るたび同じ事言ってない?」

魔理沙「だってさー!全然異変がおきねーじゃねぇか!」

霊夢「だったらアンタが起こせば?」

魔理沙「その手があったか!」

霊夢「その代わり今ココでぶっ潰すけどね」

魔理沙「なんだよそれ!それじゃ意味ないぜ!」

霊夢「悪い芽は早い内に摘んでおくってね」

魔理沙「つまんねー…ん?」

霊夢「どうしたの?」

魔理沙「おい…何だアレ」

魔理沙の指をさす方向へ目を向ける

霊夢「空飛ぶお城?」

魔理沙「おいおい、空飛ぶ船の次は城ときたか!」

魔理沙「方角的に見て妖怪の山からだな」

霊夢「……さてはまた守矢ね?本当、懲りない奴ら」

魔理沙「とにかく行ってみようぜ!」

霊夢「やれやれ…んじゃ、ぶっ潰しにいきますか」

~守矢神社~

諏訪子「ねぇ早苗。アンタさ彼氏とか作らないの?」

早苗「ブッ!いきなり何ですか!」

諏訪子「いや~アンタも本来なら女子高生な訳だしさ。恋愛とかに興味出てくる年頃なハズだし」

神奈子「跡取りの事を考えるなら結婚の事とかも真剣に考えても良いかもな」

諏訪子「あんたモテそうだし、人里に行って良いの見つけてきなよ」

早苗「もう二人とも!からかわないで下さい!」

神奈子「んじゃどういうのが好みなのさ」

早苗「え…?んーと…」

早苗「真面目で誠実で、知的で優しくて…あと意志が強く、カリスマのあるような人ですかね」

神奈子「むむ、なかなか理想が高いな」

諏訪子「しょうがないな。あとでそれっぽいの人里に行ってあたしが探してくるよ」

早苗「探さなくて良いです!将来の事は…私が決めますから」

神奈子「おや、暗くなってきたね」

早苗「雨でも降られたら困りますから、洗濯物を社の中に入れてきます」

諏訪子「ん?これは雲じゃない…」

早苗「え」

神奈子「なんだあの神々しい建物」

諏訪子「天空のお城?」

早苗「え、まさかラピュタですか!?」

早苗「ちょっと面白そうなので行ってきます!」

諏訪子&神奈子「……」

諏訪子「全く、普段はお堅いのに異変とかになるとまるで子供の様にはしゃぐんだから」

神奈子「とりあえず私達もあとで向かうか…これはただ事ではない」

~~~~~

突如、守矢神社の丁度真上に現れた謎の城
この事態には幻想郷中がパニックなった

が、しかしこの異変事体はあっさりと解決される事になる
その後、宙に浮く城は守矢神社の隣に安置される

そしてこの出来事から一年が経過する

~1年後~

エンジェル「お目覚めですかカミさま」

「……」

エンジェル「魔王サタンとの闘いから数千年以上の時が経ちました」

「数千年…以上…」

エンジェル「文明は滅び、人類は滅亡しました…いまや魔物しかいません」

「……」

エンジェル「遥か大昔、カミ様は魔物たちとの闘いにより傷つき、魔王サタンに力を封じ込まれてしまいました」

「……思い出してきた。そうだ、私は魔王に敗北を喫したのだ」

エンジェル「カミさまが元の力を取り戻すには人々の信仰心が必要なのです」

エンジェル「まずは人間達を住まわせる土地を作るために、魔物との闘いに赴きましょう!」

「わかった。ではさっそく…」

「……」

「エンジェルよ」

エンジェル「はい」

「ここは本当に、私が知っているあの土地、あの世界なのか?」

エンジェル「さすがはカミ様。もう分かってしまいましたか」

エンジェル「ここは私たちの知っている世界ではありません」

エンジェル「ここは…幻想郷です」

「幻想郷?」

エンジェル「はい」

「なぜこんな所に流れ着いてしまったのだ」

エンジェル「カミさまの目覚めをひたすら待っていたら…いつの間に天空城ごとここに、移転されていて」

「つまり理由は分からないと?」

エンジェル「まあ…理屈を述べるなら、我々は人々から忘れ去られた存在だという事です」

「忘れ去られた存在…それが一体この状況と何の関係が」

紫「それは私が説明するわ」ヒョコッ

「っ!何者だ。どこからともなく」

紫「私、八雲紫と申します。この幻想郷の創造に関わり管理している物です」

「……」

紫「この世界に来る方法は二つ。私の能力で境界のスキマを作りこの世界にワープする」

紫「そしてもう1つ、それは忘れ去られる事です」

「忘れ去られる…つまり我々は後者という事か」

紫「はい。人々から忘れられると自然とここへ到達します」

「……」

紫「この天空城を発見したのはかれこれ一年前」

紫「当時、幻想郷中がパニックになっていました」

「なんと…」

紫「そうそう、もう1つある事実を」

「?」

紫「アナタの永い眠りは本来、あと数万年ほど掛かるはずだったの」

「なんだと」

紫「そこで私の境界を操る力を尽くして、アナタの復活の儀式を行いました」

「そうだったのか…なんと礼を言ったらいいのか」

エンジェル「あ、あの」

「どうした?」

エンジェル「大変申し上げにくいのですが。復活の儀式を行ったのは紫様で無く、その、違う方々なのですが…」

「…………」

紫「フフフ、まあまあ。ちょっとしたジョークよジョーク。まあ私ならその気でやれば一瞬でアナタを復活へ導く事も可能なのですが」

「…………」

紫「そんな怪訝な顔をしないで…ね?」ニッコリ

「まあいい。幻想郷というのはつまり、忘れ去られた者たちが集まる終着点みたいな場所なのか?」

紫「いいえ。ここは楽園。神も妖怪も人間もいる、理想郷です」

「……妖怪?」

紫「ああ。そういえばアナタの居た世界では妖怪という概念が存在しないわね」

紫「まあ簡単に言うと、アナタの居た世界でいう魔物といった所かしら」

「なに?人間と魔物が…一緒に…??」

紫「そして私も妖怪です」

「っ!?」ガタッ

紫「まあまあ、そんな怖い顔しないで。妖怪でも色々居るのよ。少なくとも私は無害」

「イマイチ信用し切れん」

紫「それにそんな大きな剣を振るったところで、今のアナタじゃ私には勝てませんわ」

エンジェル「紫様の仰るとおりで、今のカミ様は本来の力を取り戻してはいません」

「……」

紫「アナタが復活する頃だろうと思って見にきたら、どうやらタイミングが良かったようで」

「とりあえずこの世界の説明をしてくれたのは感謝する」

「それで、この私の復活を早めたという人物は一体どこに」

紫「それもいまご紹介しましょう」

紫「コチラへ」

~守矢神社~

「まさか天空城のすぐ隣にこんな立派な建物があるとは」

「八雲紫よ、キミは妖怪でありながらこの社の主と仲がいいのか…んん?八雲紫はがいない」

エンジェル「どうやら何処かに消えてしまったようです」

「………」

エンジェル「あのお方はイマイチ何を考えてるか私にも理解できない所があります。どうかお気になさらず」

「困った物だ」

神奈子「おおついに目が覚めたようだな」

神奈子「私は八坂神奈子。元は風の神だったが、色々あって今は山の神として祀られている」

「そなたがこの社の主か」

諏訪子「私も忘れちゃイヤだよ!」ヒョコッ

「……子供?」

諏訪子「子供じゃない!洩矢諏訪子!こうみえて私もこの守矢神社の裏の神様なんだよ!」

「…………」

諏訪子「あー全然信用してないでしょ?」

神奈子「人を見た目で判断してはならない。私たちは神だ」

「……それもそうだな。この私を復活させてくれた大恩ある方々とは君達でいいんだな?」

神奈子「ああそうだ」

「本来はあと数万年も封印されなければならない所を、救っていただき心から感謝している」

「私は間も無く元の世界に戻り、魔物を駆逐し文明を築き上げねばならない」

「だが必ず恩を返そうと思う」

「もし困った事があるなら何でも言ってくれ」

神奈子「ん?」

諏訪子「今何でもって」

諏訪子&神奈子「……」ニヤァ

「?」

神奈子「計画通り」ボソッ

諏訪子「それじゃさっそく恩を返してもらおうかなっ!」

「え」

神奈子「とりあえずウチにあがってお茶でも飲もうか」

「うむ」

エンジェル(なんだろう。いつにもまして強引な)

「ふむ、変わった内装だ」

神奈子「和の文化になれてないねアンタ」

諏訪子「それじゃさっそく、ウチの可愛い娘を紹介しようか」

早苗「は、初めまして。東風谷早苗です」ペコッ

「うむ。私は…ある世界のカミだ」

早苗「そうですか。私もまだ十代ですが一応、風祝であり現人神でもございます」

「ほう、まだ若いというのに」

早苗「えと…たしかエンジェルさんから聞いたのですが、遥か大昔に魔王サタンと闘ったというのは本当なのですか?」

「ああ。あの時は不覚にも敗北してしまった。その結果、多くの人々を死に追いやる結果を招いてしまった」

「……情けない」グスッ

エンジェル「カミ様…」グスッ

早苗「エンジェルさんの言うとおり真面目なお方なのですね」

諏訪子&神奈子「……」

神奈子「時にカミよ、ソナタから見て早苗はどう思う」チラチラ

「どうって?」

諏訪子「ほらほら!こう…神としてだけでなく、見た目とか中身とか!」チラチラ

「ふむ、今日会ったばかりでの印象ではあるが」

「清楚で生真面目…それと美しい、と言った印象だ」

早苗「///」

諏訪子&神奈子「……」ニヤァ

「神の名に恥じぬ者だとおもう」

エンジェル「うんうん」

神奈子「そうかそうか!早苗の事を気に入ってもらえて良かった!」

諏訪子「それじゃもう決まりだよね!」

「?」

諏訪子「はいホラ貝」

神奈子「はいよ。スーッ…」パシッ

ブオォォォォォ~~…

「??」

バサバサバサッ

文「はいは~い!清く正しい射命丸文でーす!」


文「ってあややや!?もう例のカミ様が復活なされたんですか!」

神奈子「ああ。ついでに婚約もたったいま確定した」

「っ!!?」

エンジェル「」

文「なるほどなるほど…」ニヤリ

諏訪子「明日は婚約記念の宴会をココで開くから、文文。新聞ヨロシクね!」

文「了解でーーす!」ヒュンッ

「」

エンジェル「」

早苗「不束者ですがヨロシクお願いします///」

「ちょ、チョット待ってくれ」

諏訪子&神奈子「ん?」

「私とエンジェルはこれからもとの世界へ戻り、魔物退治に行かなければならないのだ」

「呑気に宴会などしてる暇など無いのだ。大体、結婚を了承した覚えは…」

神奈子「だが早苗の事はさっき散々と褒め称えてたじゃないか」

「いやしかし、あまりに強引で身勝手じゃ…」

諏訪子「ん?でもさっき何でもするって言ったよね?恩を返すためなら何でもするって」

「……」

神奈子「まあいいじゃないか!いますぐ結婚する訳じゃないんだし」

神奈子「あくまでも婚約だよ婚約」

諏訪子「これでこれからの守矢神社は2柱から3柱になる」

「アナタ達の目的はそれか」

神奈子「ああ、この守矢神社を博麗神社に負けないくらい貴重な存在にするためにな」

諏訪子「まあ純粋に早苗の幸せを願っての事もあるけどね」

早苗「///」

神奈子「そういえばそなたには明確な名前とかはあるのか?」

「私は昔からとカミ言われている」

神奈子「そうか。だが幻想郷にも神が大勢いる。婚約を機に新しく名前をつけたらどうだ」

「いやだから婚約は」

諏訪子「私と神奈子、早苗で考えたんだけどさ。アクトレイザーなんてどうかな」

「アクトレイザー…」

神奈子「英語に詳しくは無いが…まあ大体の意味合いでは『創造する者』だな」

早苗「そうです!そして私の苗字も取り付けて東風谷アクトレイザーです!」

「……」

エンジェル「あの、カミ様はこれから魔物の退治をしなければなりません」

エンジェル「婚約の話はまた後で…」

神奈子「ん?あれれ?本当はあと数万年も眠ってなきゃいけない身だったんだよね~?」チラチラッ

諏訪子「せっかく復活を早めてあげたのにな~…しかもさっき何でもするって言ったのに~」チラチラッ

エンジェル「」

「……わかった。恩人のいう通りにしよう」

~次の日の夜・守矢神社~

ワイワイ、ガヤガヤ

神奈子「諸君、今日はよく集まってくれた」

諏訪子「紹介しよう!彼こそが異世界の救世主であり、我ら守矢の新しい神であり、そして早苗の婚約者…東風谷アクトレイザーだ!」

パチパチパチ
ヒュー!ヒュー!

アクトレイザー「……」

早苗「///」

~~~~

アクトレイザー「……」

アクトレイザー(本当に何でもいるな)

萃香「ほらほら吸血鬼のお嬢さん。酒だよ~飲め飲め」

レミリア「あら小鬼の分際で気が利くわね」

小悪魔「あれが守矢の新しい神ですか、カッコいいですね!」

小町「たしかに。羨ましい限りだね早苗も」

アクトレイザー(悪魔や鬼が神と普通に接している)

映姫「カミよ、初めまして。閻魔の四季映姫・ヤマザナドゥです」

アクトレイザー「……」ペコッ

映姫「今回の一件、恩があるとは言え非常に強引と思える。同情しましょう」

映姫「しかし一度結ばれた関係、易々と裏切ってはいけませんよ」

アクトレイザー「肝に銘じておこう」

霊夢「アナタが例のカミね」

アクトレイザー「ああ。キミは…巫女?」

霊夢「博麗霊夢よ。この博麗神社の巫女をやってて、時々この世界に起こる異変を解決しているわ」

アクトレイザー「異変?」

霊夢「異変の意味はあまり深く考えなくていいわ。そのウチわかると思うし」

エンジェル「ひっ…!!霊夢様…」ガクガク

アクトレイザー「何を怯えている」

霊夢「あー…ごめんね。ちょうど去年に、天空城がこの幻想郷に現れて当時パニックになってたのは聞いてるわよね?」

アクトレイザー「ああ」

霊夢「それでね、あの時…」

~回想・天空城にて~

エンジェル「ココは一体…私の知っている世界と違う」

ワイワイ、ガヤガヤ

エンジェル「見物人までぞくぞくと訪問にきている…」

早苗「わぁぁ…なんて荘厳で美しい銅像。それに可愛い天使さんまで」

エンジェル「この銅像は御神体です。私はこの方の復活の時を待っているのです」

早苗「復活の時?封印をされているのですね」

エンジェル「ええ、遥か大昔、サタンによって力を封じ込まれてしまって…」

レミリア「いい場所じゃないココ。別荘にしようかしら」

咲夜「では、ココを占拠するのですね?」

レミリア「ええ。まずはそこの天使に洗礼を浴びせないと」

エンジェル「…!!いけません、ここはカミ様が眠られている場所です!」

レミリア「へえ、じゃあスペルカードのルールを教えてあげるから勝負をしましょう」

ボゴォォォン!!

全員「!!?」

レミリア「ふんぎゃ!」

咲夜「お嬢様!?」

霊夢「こんにちはレミリア。ルールならアンタじゃなくてこの私が教えるから。あんたはそこで寝てなさい」

エンジェル「巫女さん…?」

霊夢「アナタが異変の首謀者ね」

霊夢「とりあえずルールは戦いながら教えるから」

霊夢「覚悟しなさい」

エンジェル「え」

早苗「あの銅像には指一本触れさせません!」

咲夜「ここはお嬢様の別荘にするところよ。退きなさい」

霊夢「……うるさいハエ共ね。覚悟しなさい」

ズドォォン…

~数分後~

霊夢「口ほどにも無いわね」

咲夜「」ドサッ

早苗「」ガクッ

エンジェル「!?」

霊夢「さあ行くわよ、首謀者」

エンジェル「ちょ、待って…」

~回想終わり~

霊夢「っという訳で、あなたが眠っている間に少し暴れさせてもらったわ」

霊夢「それ以来ずっとビビッてるのよ」

エンジェル「」ガクガク

アクトレイザー「……キミは本当に神に仕える巫女なのか?」

神奈子「おう来たな霊夢」

霊夢「神奈子、なんでいきなり早苗に婚約なんてさせたの。気が早すぎるんじゃないの?」

諏訪子「幻想郷は常識に囚われてはならないと連呼する早苗も、恋愛面ではお堅い上に男の理想が高いものでな」

神奈子「だがその早苗が、あの天空城に居た御神体を見てからと言うものの、その銅像に惚れ惚れとしてしまって…」

早苗「エンジェルさんから聞かされた、あの方の武勇伝も私の中で来るものがありました!」

霊夢「うわっ!噂をすれば…」

早苗「あの方こそ私の運命の方なんだと確信しました」

霊夢「それで強引に婚約をむすんだと言うのね」

早苗「ええ、まさに私とあの方は文字通り神夫婦となるのです!」ドヤッ

霊夢「うざ」

チルノ「お前が新参者だな!」

アクトレイザー「む?」

チルノ「あたいと勝負しろ!格の違いをみせつけてやる!」

早苗「こらこら妖精さん。私の夫に手を出してはなりません」

チルノ「こんのー!惚気るな!」

紫「あらいいんじゃない?リハビリに持って来いだと思うけど」

アクトレイザー「しかし、こんな小さな子供に攻撃など私は」

エンジェル「カミさま、彼女を甘く見ないほうが良いですよ」

アクトレイザー「なに?」

霊夢「まあ私にとってはザコだけど。今のアナタにとってはどうなのかは分からないわね」

霊夢「てか弾幕撃てるの?」

アクトレイザー「いや…いまはまだ。そこまで力を取り戻していない」

霊夢「それじゃただの肉弾戦の喧嘩になるわね。この勝負はおススメできないわ」

紫「あら、でも向こうはもうやる気満々よ」

チルノ「凍符・パーフェクトフリーズ!!」

パキィィン…

アクトレイザー「うっ!」

アクトレイザー「なんだこれは…氷魔法!?」

アクトレイザー「うっ…不本意だが、攻撃を…」ブンッ

チルノ「バーカバーカ!当たらないよー」フワッ

アクトレイザー「ぐっ、空を飛べる分、回避が上手い」

早苗「私の夫に何をしてるんですか!秘術・一子相伝の弾幕!」

アクトレイザー「おお…美しい。花火のようだ」

星のように形成した弾幕が、規則正しく動き、美しく空中に散らばっていく

ズドォォン

チルノ「むねん…」ドサッ

早苗「大丈夫ですかアナタ!」ギュゥゥ

アクトレイザー「す、すまぬ」

妖夢「初めましてカミよ。空中移動無しでなら、私と剣術の勝負をしてもらえますか?」

早苗「殺しますよ妖夢さん?」

妖夢「ヒッ!?」

アクトレイザー「剣術勝負か。私としてはありがたいが」

アクトレイザー「キミのような可憐な少女を攻撃する気にはなれない」

霊夢「そいつはそこそこ強いから、寧ろ自分の心配をしたほうが良いわよ」

アクトレイザー「ふむ…そうか。では怪我をさせない程度に」

早苗「アナタ…」

アクトレイザー「心配するな早苗。私とてかつては命がけの闘いをしてきたのだ」

妖夢「では……いざ尋常に」

アクトレイザー「うむ、来い!」

妖夢「勝負」

決闘の合図を口にすると同時に妖夢は疾風と共に姿を消す

アクトレイザー「なっ…消えた…」

ガキィィン!

アクトレイザー「うっ!」

手に持たれていた剣は弾かれ、宙に舞っている
そして魂魄妖夢の刀がカミの喉に剣先を向ける

妖夢「勝負アリですね」

アクトレイザー(やはり衰えが酷い。今のままではサタンどころじゃない。上級の魔物すら倒せるかどうか…)

早苗「妖夢さん。台所から包丁持ってきたので、私と勝負しませんか?」ニッコリ

妖夢「遠慮します。あとごめんなさい」

~宴会終了後~

エンジェル「カミさま、これからどうしましょうか」

アクトレイザー「うむ。あの三人には悪いがしばらく留守をするしかあるまい」

アクトレイザー「あの世界の救済をせねば」

霊夢「あら、もう幻想郷から去るの?」

アクトレイザー「いや。私はすでに守矢神社の御神体のひとつになってしまった」

アクトレイザー「また幻想郷には帰ってくる。だが問題はその移動手段だ」

霊夢「まあそれなら紫に頼めばどうにかなると思うけど…」

霊夢「アナタ、ほんとに行くの?」

アクトレイザー「何か問題でも?」

霊夢「いやだってチルノ如きに負けてるようじゃ…」

霊夢「全盛期のアナタがどれほど強かったのか知らないけど、力を持ったあなたを長年に渡って封印していたサタン?だっけ。そいつを討伐できるの?」

アクトレイザー「力は少しづつ取り戻していくつもりだ」

アクトレイザー「それに苦労するのは覚悟の上」

霊夢「ふーん」

早苗「心配はいりませんよアナタ」

アクトレイザー「早苗…」

早苗「私が助太刀いたします!」

アクトレイザー「なんだと!?」

早苗「夫を救うのは妻の役目として当然です!」

アクトレイザー「いやしかし」

早苗「あと援軍も呼んでいますから」

アクトレイザー「援軍?」

魔理沙「異世界旅行が面白そうだから行く事にしたぜ」

咲夜「魔王サタンの住居を自分の物にしたいと、お嬢様から命令があったので協力します」

霊夢「なるほどね。早苗に加えてその二人が居れば充分な戦力ね」

チルノ「あたいもいるよ!」

霊夢「え、アンタ大丈夫なの?」

チルノ「あたし自身が神だという事を人間どもに教えるのだ!」

早苗「以上が援軍です!」

魔理沙「霊夢も旅行に来るか?」

霊夢「行く訳無いでしょ。めんどくさい」

エンジェル「まさかこんなに援軍がいるとは…ありがたいです早苗様」

アクトレイザー「早苗よ、すまぬな」

早苗「妻の役目を果たしたまでです!」

早苗「だから安心して留守番しててください」

アクトレイザー「え」

エンジェル「どういう意味ですか!?」

早苗「その、悔しい事にアナタはまだ力を取り戻していない」

早苗「今のまま行けばきっと傷だらけになるのは目に見えています」

アクトレイザー「それは覚悟の上だが」

早苗「生傷を増やされては妻の私は心が痛みます!」

早苗「かわりにアナタには幻想郷で修行をしてもらう事にしました」

アクトレイザー「修行?」

妖夢「はい。私が指南役です」

アクトレイザー「キミはさっきの…」

妖夢「カミよ。対サタンに備え、本当の力を取り戻すべく私が力になりましょう」

アクトレイザー「……気持ちはありがたい。だが私だけ幻想郷でのうのうと修行などしていいのだろうか」

霊夢「良いんじゃない?生傷増やしながら闘うよりも、見方が多い方が楽に魔物退治も出来るんだし」

~翌日・天空城にて~

紫「スキマはいつでも開けておくから」

早苗「これでいつでも幻想郷に帰ってこれますね」

咲夜「準備は良いかしら?」

魔理沙「バッチリだぜ」

チルノ「同じくばっちりだぜ!」

早苗「では妖夢さん。私の夫をお願いします」

妖夢「はい」

アクトレイザー「早苗、私は必ず元の力を取り戻してみせる。そっちは頼む」

早苗「はい///」ギュッ

早苗は頬を赤くしながらカミを抱きしめる

アクトレイザー「……っ、人前では止しなさい」ドキッ

霊夢「早く逝きなさいよ」イラッ

魔理沙「漢字が違うぜ霊夢。気持ちは分かるが」

早苗「では行って参ります!」

~異世界にて~

早苗「結構広いんですね!」

エンジェル「はい。この広大な世界の魔物全てを排除します」

エンジェル「魔物を退治したら、その土地に自然と選ばれし人間達が降臨します」

魔理沙「選ばれし人間達って…どういう理屈で人間が生まれるんだよ」

エンジェル「選ばれし者たちなので、お腹の中から生まれた赤ん坊とは違います」

エンジェル「そして長い年月をかけて文明を発展させていきます」

魔理沙「長い年月をかけて文明発展ね…まあそこら辺は早苗の夫の役目なんだろ?」

エンジェル「基本的には人間達に任せますが、どうしようも困った時、我々が救いを起こします」

咲夜「それじゃ手分けして、それぞれの地域の魔物を退治しましょう。そのほうが効率が良いわ」

魔理沙「チルノは迷子になるかも知れんから…エンジェル、お前がちゃんと導いてやれよ」

エンジェル「はい!」

チルノ「むー!そうやって馬鹿にしてー!」

今日はここまで
久しぶりに東方やってたら何故かこのクロスを浮かんだ

アクトレイザーは、かなり古いゲームなので知ってる人がドコまでいるか不安
BGMもカッコいい物が多く、面白いので気が向いたらやってみる事を勧めます

一方、カミと妖夢は

~白玉楼にて~

石像を背負う妖夢と、光り輝くカミの霊魂が宙に浮きながら、ゆっくりと白玉楼に到着する

アクトレイザー「すまんな。私の御神体をこんな遠くまで運んで頂いて」

アクトレイザー「今のように幽体離脱すれば空を飛べるんだが、体がある時だと飛べないのだ」

妖夢「これ位たいしたこと無いです」ゴトッ

そういって妖夢はカミの御神体を置く
そして幽体離脱し宙に漂っていたカミは、御神体の元へと戻っていく

妖夢「さあカミよ、修行を開始しましょう」

アクトレイザー「うむ。よろしく頼む師匠妖夢」

妖夢「スペルカードのルールは聞いてますね?」

アクトレイザー「聞いているが、その時々で微妙に仕様が変わるようだな」

妖夢「そうですね。1つのスペカに厳密な時間が決まってたり決まってなかったり、肉弾中心の闘いになってたり…」

妖夢「ウォーミングアップとしてカミには、私のスペカを幾つか乗り越えてもらいましょう」

アクトレイザー「では頼む」

妖夢「まずは…」

妖夢は静かに眼を瞑ると、妖夢を中心に光を纏った魔方陣のような物が浮かぶ

妖夢「餓王剣・餓鬼十王の報い」

右に左にと素早く往復しつつ、剣先から弾幕を放つ
さらに周囲には花びらの幻影も浮かんでいた

アクトレイザー「うっ!しまった…早速被弾した」

アクトレイザー(凄い量の弾幕だ。上手く避けねばならぬ)

~2時間後~

妖夢「カミよ、私の弾幕は如何でしたか?」

アクトレイザー「なかなか強力だった。それと…美しかった」

妖夢「もったいないお言葉を」

アクトレイザー「さて、では次はどのような修行を」

妖夢「す、少し休憩しましょう…ずっと弾幕を撃ち続けて体力が…」

アクトレイザー「む?そうか」

妖夢(2時間も私のスペカを避け続け、キズだらけになっても、なお鍛錬を止めない不屈の闘志…さすがカミと言うべきか)

アクトレイザー「師匠妖夢よ、そなたから見て私の動きに何か問題はあっただろうか」

妖夢「初めは脆く危なっかしい場面も見られましたが、動きは段々良くなって来ています」

妖夢「上達は早いと言えるでしょう」

妖夢(自力の修行だけでこれだけの上達ぶり。人々の信仰心で力を手にしたら一体どうなる事やら)

幽々子「あら、楽しそうな事やってるわね」

妖夢「幽々子様…」

幽々子「妖夢の手料理を頂く前に、私も少し運動しようかしら」

幽々子「どうカミ様、私と一緒に危険なお遊びしない?」

アクトレイザー「修行に付き合ってくれるのなら、お願いしよう」

幽々子「あら?よく見たら体がキズだらけじゃない」

アクトレイザー「気にするな」

幽々子「その体で長期戦に持ち込むのは不憫ね。その代わり、初めから全力でいくわ」

幽々子「桜符・完全なる墨染の桜 ―開花―」

アクトレイザー「!?」

幽々子の後ろに煌びやかな扇子が浮かび、大きな弾幕と蝶の形をした弾幕が降り注ぐ

アクトレイザー「な、なんだ。あれは…」

アクトレイザー「美しい…」

呆気に取られたカミは棒立ちのまま、光に包まれていく

幽々子「弾幕勝負はただ闇雲に戦えば良い物ではないの。美しい方が勝ちよ」

アクトレイザー「うっ…!」

アクトレイザー「……」

幽々子「あら、ゴメンなさ~い。またキズが増えちゃったわね」

大の字で倒れるカミを、微笑みながら見つめる幽々子と、心配そうに様子をうかがう妖夢

妖夢「今日の修行はココまでにしましょう」

アクトレイザー「いやまだだ…うっ!」ズキッ

幽々子「無理は良く無いわよ?少しずつ前に進みなさい」

幽々子「妖夢の作るゴハンは美味しいのよ?休んでいきなさい」

アクトレイザー「……」

妖夢「では私は厨房へ……あ」

幽々子「どうしたの?」

妖夢「迂闊でした…早苗さんから、夫を傷付けないようにってキツく注意をされてました」

幽々子「生傷が増えない修行なんてあるの?私、修行した事ないからわからないけど」

妖夢「早くキズを癒さないと早苗さんに怒られてしまいます!」

幽々子「大丈夫よ。もし殺されても私と一緒になるだけだから。そろそろ半霊卒業しても良いんじゃない?」

妖夢「まだ半分生きていたいです!」

アクトレイザー「早苗には私が言っておくから心配するな」

~少女&カミ食事中~

幽々子「アナタは確か年月をかけて、封印されていたのよね?」

アクトレイザー「ああ」

幽々子「フフフ、幻想郷ってこの類の話が多いわね」

妖夢「そうですね」

アクトレイザー「ほう」

幽々子「私も以前、ある異変を起こしてね…ある人の復活を願ったんだけど失敗しちゃったの」

アクトレイザー「異変を起こさなければ復活できない物なのか」

幽々子「うん、でも諦めちゃったわ。紫からも二度とするなって言われてるし」

アクトレイザー(異変を心から待ち望んでそうなあの紫が、そこまで…)

幽々子「アナタはこれからも修行に励むのよね?」

アクトレイザー「ああそうだ。私は力を取り戻せねばならぬ」

幽々子「そう。ある程度の力が戻ってきたら、人里の近くにある命蓮寺…それと仙界に行くと良いわ」

アクトレイザー「命蓮寺に仙界…」

幽々子「アナタと似て数奇の運命をたどった、強力な力を持った主がいるわ」

妖夢「聖さんと神子さんが相手なら良い修行になりそうです」

アクトレイザー「たしか聖白蓮に豊聡耳神子という者達だな?宴会の時に軽く挨拶はしたが」

幽々子「相手は立場上、商売敵だから気をつけてね?特に部下は血の気が濃いのが多いって聞くし」

妖夢「変なのもいますしね」

アクトレイザー「なかなか濃い面子が揃っているようだな」

アクトレイザー「……」ギュッ

カミは何かを確かめるように、グッと拳に力を入れる

アクトレイザー(まだ力が戻っていない…という事は信仰心が足りてないという事だな)

アクトレイザー(早苗達は今頃どうしてるだろうか)

~異世界にて・森のエリア・フィルモア~

早苗「えい!」ブンッ

木の化け物「っ!!」

早苗のお祓い棒が刃物のような切れ味で、人の顔をした木の魔物を倒していく

敵を倒し宙に浮くと早苗を待ち構えてたように、鳥やら虫、角の生えた怪物、サルの形をした魔物が、一斉に襲い掛かる

早苗「秘術・グレイソーマタージ(ノーマル)」

お祓い棒で星を描くように振ると、星型に形成した弾幕は鮮やかに散らばっていく

早苗「観念なさい!」

ボォォォン

早苗「アナタ達のような雑魚にはボムを使うまでもありませんね」

魔物達「」

早苗「さてそろそろココの主に会えると思うのですが…」

早苗「あ、いたいた!」

セントール「……」

早苗「槍を持った人馬の騎士…かの有名なケンタウロスですか」

セントール「……っ!!」ダダッ

早苗「おっと私を槍で貫こうなど100年早いですよ!」サッ

早苗は宙に浮きながら、槍の攻撃を回避する

セントール「……!」

ボォォン!ボォォン!

早苗「おっと雷の弾幕ですか。ですが飛距離が足りませんよ」

セントールの周りをグルグルと飛んで回避する

早苗(さて、あまり強い魔物ではないようですが…どう始末しようかしら)

早苗「ん?」

ゴゴゴゴゴ…!!

ふと横を向くと遠くからぶ厚い光がコチラに向かって飛んでくる

早苗「まさか」

ボォォォォン!!!

セントール「」ドサッ

黒こげになったセントールは力無く倒れ、風に吹かれた砂の様に消えていく

魔理沙「いっちょあがりぃ!」

早苗「ちょっと魔理沙さん!私に目がけてマスパは止めてください!」

魔理沙「お前なら避けられると思ったんでな」

早苗「まったく…しかも良く見ると、あちこちの木々が粉々になってるじゃないですか」

魔理沙「弾幕を乱発してたら森林伐採しちまってたようだ」

~その頃、ブラッドプール~

咲夜「赤い湖…その近くにはお城…」

咲夜「まさにこの土地こそお嬢様の別荘地に相応しいわ」

咲夜「……この世界にはスペルカードルールの概念が存在しない」

咲夜「つまり手加減も必要ないし、弾幕も能力も使い放題ね」

石投げ老婆「キヒヒヒ」

剣を扱う魔物「グフフフ」

マンティコア(ライオン似の魔物)「ゴォォォォ!!」

咲夜「さて、とっとと終わらせましょう」

咲夜「幻世『ザ・ワールド』」

~天空城にて~

エンジェル「二人ともお疲れ様です。見事な活躍でした」

早苗「これで人々が住めるようになるんですよね?」

エンジェル「はい。つい先ほど選ばれし人間達が降臨しました」

早苗「そうですか」

エンジェル「それで人間達が要件があるらしく…」

早苗「そうですか!ならば話を聞きに向かいましょう」

エンジェル「え?チョット待って下さい!いま内容を教えるから!」

早苗「いってきまーす!」

エンジェル「いっちゃった…」

魔理沙「早とちりな奴だぜ」

~神殿前にて~

早苗「迷える人々よ、何かお悩みですか?」

男代表「うわぁ!空から少女が舞い降りた!?」

女代表「アナタは一体…?」

早苗「私は東風谷早苗。現人神であり…この御神体の妻です!」

男女代表「」

男代表「それはつまり…カミの奥さんという事になるのですか?」

早苗「いかにも!私はあの方の代行としてこの土地に降臨しました」

女代表「おお!なんと凄いお方が降臨なされたのでしょう…」

男代表「まさかカミに妻が居たとは…」

~~~

エンジェル「良かった…物分りの良い民で」

魔理沙「この世界の民チョロすぎだろ」

早苗「それでどのようなご用件で?」

女代表「実はここフィルモアは樹木が多くて、家が建て辛いのです。雷などで焼き払い道を示して欲しいのですが…」

早苗「良いでしょう。このカミの妻たる東風谷早苗!奇跡の力をお見せいたします!」

そういって両手を挙げて詠唱を始める

早苗(神奈子さまや諏訪子さまから教わった秘術。その成果をいま見せる時です)

早苗「大自然あふれるフィルモアに迷える人間あり。彼らの生活の為、文明発展の為に道を切り開くべく、雷を降らしたまえ!」

男代表「おお…空が曇っていく…」

ポツポツ…ポツポツ…

パラパラと雨が降ると、黒い雲からゴゴゴッと音が響き光を放つ

ボォォン!!ボォォォン!!

女代表「雷が木々を燃やしていく…」

男代表「おおカミの妻サナエよ!ありがたやありがたや…」

早苗「ふっふっふっ!これこそが神の力です!」

~~~~

エンジェル「おお!さすが早苗さま!」

魔理沙「面とむかってあのドヤ顔されたらイラッと来るけどな」

エンジェル「さて、私も仕事に向かいましょう」

魔理沙「え、やることあんのか?」

エンジェル「まだこの地上には魔物の住処が残ってます。私はそこにいる魔物を退治します」

チルノ「あたいも手伝う!」

魔理沙「お前いつの間にいたのか。よし、じゃあアタシも手伝うか」

エンジェル「覚悟しろ!」ピュンッ

ナッパーバッド「グッ!!」

チルノ「青いのはあたい一人で十分だ!」パキィィン

ブルードラゴン「ゴォ!!」

エンジェルの放つ矢と、チルノの氷結魔法が魔物たちを一掃していく

魔理沙「確か木々を燃やしてくれって言ってたよな…」

魔理沙「適当にマスパ打ちまくってれば木も倒せるし、魔物も倒せるな」

八卦炉を取り出してマスタースパークを出し始める

魔理沙「おらおらぁ!!」

ズドォォン!!ズドォォン!!ズドォォン!!

魔理沙「ん?何だこりゃ」

大きな岩を破壊すると、そこから炎の形をした物を発見する

魔理沙「これは…魔法関連のものか?」

早苗「道が出来て、田畑も家も増えてきましたね!」

早苗「でもいつの間にかあんなに人口が…?まだ数日しか経ってないのに」

エンジェル「それは魔物を倒したからですよ。魔物たちも元は人間だったんです」

早苗「魔物から再び人間に転生し直した訳ですね」

魔理沙「順調に町の開発も進んでるし、魔物の巣の封印も始まったな」

チルノ「あたい、そろそろ違う場所に行って魔物退治したい!」

エンジェル「まあまあチルノちゃん。少し待って下さい」

エンジェル「とりあえず一旦、幻想郷に戻りましょう」

魔理沙「幻想郷に戻ってカミに状況報告するのか?」

エンジェル「ええ。それが終わったら私とチルノちゃんは他地域の魔物退治に出かけます」

魔理沙「んじゃ私も報告終わったらどっかの地域へ行こうかな

早苗「ではフィルモアは引き続き、私が担当でよろしいですか?」

エンジェル「はい、お願いします!」

早苗「あ」

魔理沙「どうした?」

早苗「咲夜さんは?」

魔理沙「あ、忘れてた…たしか隣の地域に行くって言ってたから様子見てくるわ」

~沼のエリア・ブラッドプール~

魔理沙「お、いたいた」

咲夜「あらどうしたの?」

魔理沙「状況報告のために一旦、幻想郷に帰るってさ」

咲夜「そう」

魔理沙「一応、魔物は退治したっぽいな」

咲夜「ええ、そしたらいきなり神殿や人間が湧いて出てきて…」

魔理沙「でも町開発はあまり進んでないな」

咲夜「残念ながら私には沼地を干上がらせる能力は無いから」

男代表「あ、咲夜さん。このお方は?」

咲夜「魔女よ」

男代表「!?」

魔理沙「違う。ただの魔法使いだ」

男代表「ビックリさせないで下さいよ…」

咲夜「ふふふ、ごめんなさい」

咲夜「私はちょっと故郷に帰るわ」

女代表「そうですか…私達はどうすればよろしいでしょうか」

咲夜「引き続き祈り続けなさい。そうすればカミより救いの手を差し伸べられるわ」

男女代表「はい」

魔理沙「お前、この土地ではどういう立ち位置なんだ?」

咲夜「ただの魔物ハンターという事にしてるわ」

魔理沙「悪魔の従者がよく言うぜ」

咲夜「私はカミと同盟を組んでるだけ。信者では無いわ」

~幻想郷・白玉楼にて~

妖夢「人符・現世斬!」ダッ

猛スピードで突進し、弾幕を纏った刀を振り下ろす
カミはそれを大剣で受け止める

アクトレイザー「っ!」ガキィィン

アクトレイザー「ふん!!」

妖夢「なっ…!!押し返された!?」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー(体中から力が湧き上がって来る…これは…)

早苗「あなたー!」

アクトレイザー「早苗…!それに同士たちまで」

エンジェル「報告に参りました」

エンジェル「森林の土地フィルモアは、魔理沙さんと早苗さまのご活躍により、魔物を退治。人口も順調に増えています」

アクトレイザー「おお…!道理で体中から力がみなぎって来る訳だ」

エンジェル「人々の信仰心も、早苗様の奇跡の力により安定してます」

魔理沙「隣の土地、ブラッドプールはまだ発展途上だけどな」

アクトレイザー「私もいずれ、力を取り戻したらそちらへ行く」

アクトレイザー「引き続きあの世界を頼む。何かあったらまた連絡に来てくれ」

早苗&エンジェル「はい!」

早苗「ええ」

チルノ「あいよ!」

魔理沙「あ、そうだ。こんな物を見つけたんだが。お前にやるよ」

アクトレイザー「おお…!これは私がかつて所有していた炎の魔法。恩に着る」

炎の形をした品物をもらうと、カミの手の中で光り輝き消えていく

アクトレイザー「これで炎の魔法が扱える」

神奈子「そなたの修行も、早苗たちのカミ代行も順調のようだな」

アクトレイザー「神奈子に諏訪子じゃないか」

諏訪子「今日はアンタが更なる飛躍を遂げる為の、アドバイスをしにきたよ」

アクトレイザー「ほう」

諏訪子「アンタはいま、異世界からの信仰も高まって、徐々に力を取り戻しているようだね」

諏訪子「なら答えは簡単。幻想郷からの信仰を集めるのも1つの手」

アクトレイザー「幻想郷の民からの信仰心か。しかしこの世界には神が大勢いる。新参者の私を果たして受け入れてくれるか…」

諏訪子「私と神奈子で、近いうちにアンタが民達に気に入られる策を考えて置くよ」

アクトレイザー「ふむ、何か良い案があるのか?」

諏訪子「まだ何にも決まってない。これから考えるところ」

諏訪子「ただ、もしかしたら紫あたりがもう手を打ってるかも知れないけど」

アクトレイザー「あの女はいまいち思考が読めんからな…」

諏訪子「最終的に幻想郷の為になる事しかやらないし、心配いらないと思うよ」

神奈子「引き続き妖夢と修行に励んでると良い」

アクトレイザー「うむ」

妖夢「カミよ、これで魔法が使えるようになりましたね」

アクトレイザー「ああ。これを気に私もスペルカードの名前を考えようと思う」

~異世界・天空城にて~

エンジェル「今後の予定について話し合います」

エンジェル「私とチルノちゃんはこれから砂漠の土地、カサンドラへ向かいます」

チルノ「気合入れてくよエンジェル!」

エンジェル「早苗様は引き続き、フィルモアの様子を見守ってもらえますか」

早苗「はい」

魔理沙「ブラッドプールはどうするんだ?」

エンジェル「そうですね…早苗様、少々負担が増えますが掛け持ちしてもらえますか?」

早苗「構いません。現人神としてブラッドプールの方も様子を見させてもらいます!」

咲夜「私もブラッドプールでやり残した事があるわ。もうしばらくあの土地で魔物退治を続けようと思うのだけれど」

エンジェル「もしかしてあの古城ですか?」

咲夜「ええ、あの城を攻略しようと思うわ」

エンジェル「畏まりました。ではブラッドプールは咲夜さんと早苗様が担当で」

魔理沙「私は…適当にあちこちで暴れてるけど良いよな?」

エンジェル「はい。いざとなった時は助けに来てくれるとありがたいです」

魔理沙「運良く私が通りかかったらな」

今日はここまで

カミの信仰集めは異世界と幻想郷の二つから得るという、色々な意味で強引な設定のもとでやっていく方針です

投下します
その前に1レスだけ訂正を

またこれまでの男女代表の名前表記を変更して、男神官と女神官にします

>>48(訂正)

~異世界にて・森のエリア・フィルモア~

早苗「えい!」ブンッ

木の化け物「っ!!」

早苗のお祓い棒が刃物のような切れ味で、人の顔をした木の魔物を倒していく

敵を倒し宙に浮くと早苗を待ち構えてたように、鳥やら虫、角の生えた怪物、サルの形をした魔物が、一斉に襲い掛かる

早苗「秘術・グレイソーマタージ(ノーマル)」

お祓い棒で星を描くように振ると、星型に形成した弾幕は鮮やかに散らばっていく

早苗「観念なさい!」

ボォォォン

早苗「アナタ達のような雑魚にボムを使うのは、少々もったい無い気がしてきました」

魔物達「」

早苗「さてそろそろココの主に会えると思うのですが…」

早苗「あ、いたいた!」

セントール「……」

早苗「槍を持った人馬の騎士…かの有名なケンタウロスですか」

セントール「……っ!!」ダダッ

早苗「おっと私を槍で貫こうなど100年早いですよ!」サッ

早苗は宙に浮きながら、槍の攻撃を回避する

セントール「……!」

ボォォン!ボォォン!

早苗「雷の弾幕ですか。ですが飛距離が足りませんよ」

セントールの周りをグルグルと飛んで回避する

早苗(さて、あまり強い魔物ではないようですが…どう始末しようかしら)

では続きを続き投下します

~フィルモア~

女神官「おおサナエよ!実は大規模な火事が発生しました」

男神官「どうか雨を降らせたまえ…!」

早苗「畏まりました!では奇跡のお力をお見せします!」

ポツ…ポツポツ…ザーーッ

早苗は詠唱をし始めると、雲が出てきて雨を降らす

男神官「おお…さすがカミの妻!!」

女神官「ありがとうございます!!」

早苗「ふっふっふっ!何のこれしき!」ドヤッ

ナッパーバッド「ガオッ!」

ブルードラゴン「ゴォ!」

早苗「むむ、今度は魔物ですね」

早苗「人々の文明を守るのは神の勤め。アナタ達も早く人間に転生し直しなさい!」

魔方陣の様なものを周りに展開すると、早苗のお払い棒やら陣から青白い弾幕が放たれる

ボォォン

ナッパーバッド&ブルードラゴン「」

男女神官「おお!!」

フィルモア民達「さすがサナエ様!」

早苗「では皆様。私は隣の土地を見てきますので、次の魔物の巣の封印をよろしくお願いします!」

フィルモア民達(サナエ様忙しそうだな)

男神官「あの…神の妻サナエよ」

早苗「はい?」

男神官「アナタの夫・カミは今、どうなされてるのでしょうか」

女神官「確かに、あなた1人が全てを背負っているようにも見えますが…」

早苗「……」

早苗(正直に言っておいたほうが良いわよね)

早苗「実は…夫は以前、魔王サタンとの闘いで大きな被害をうけました」

早苗「正直今のままでは、またサタンと闘っても二の舞」

早苗「長い長い療養を終え、今はある場所でリハビリをしているのです」

早苗「私はそんな夫を支える為に代行で、人類救済の手伝いをしてます」

男神官「なんと…そうだったのですか」

早苗「私の他にも強力な力を持った友人達がいます。彼女達に協力をもらい、人類救済を行なっています」

女神官「無粋なことをお聞きして申し訳ございません」

早苗「いえいえ。気になるもの無理はありません」

早苗「いつか必ずわが夫は地上に降臨されます」

早苗「どうかお待ちください」

男女神官「はい!」

早苗「では私はブラッドプールへ行ってきます!」

~ブラッドプール~

男女神官「おお…貴方様が神の妻サナエですね!」

早苗「あれ、私をご存知で?」

男神官「救世主サクヤから先ほど聞きました。間も無くカミの代行人、妻サナエが降臨されると」

早苗「プッ」

男女神官「?」

早苗(悪魔の従者が救世主って…笑っちゃいけないのですが…ぷぷっ)

男神官「あの、なにか変な事を?」

早苗「あ、いえいえ。すいません何でもないです」

早苗「では早速、この土地を住みやすく致しましょう…ここは沼地が多いですし、干上がらせの奇跡をお見せします」

男女神官「おおお、なんと頼もしい!」

早苗「それで詠唱する前にお聞きしたいのですが、咲夜さんは今どこへ?」

男神官「救世主サクヤは先ほど、古城へ向かいました」

早苗「古城…ああそうでしたね。あそこは魔物がいると噂されてる場所でしたね」

女神官「うっ」クラッ

早苗「どうしました?」

女神官「すみません。最近、私とこの人の間に子供を授かりまして」

早苗「まあ!おめでとうございます!!」

男神官「はは、まだまだ自分達の生活で精一杯なのですがね…」

女神官「実は名前も決めていて…テディーというのですが」

早苗「テディーちゃんですか…どうか、お二人の子供が賢く器の大きい人に育つ事をお祈りします!」

~古城~

ウルフ・ツェッペリン「こ、これはどういう事なのだ…!?」

魔王軍の幹部にして、城主のウルフ・ツェッペリンは驚愕していた

やけに静まり返った城内が気になり、城の周りを見渡すと魔物たちが1匹残らず殲滅されていたのだ

ウルフ「カミは遥か大昔に我々の手で重症を負わせた。ならば、だれがこんな…」

咲夜「人間の仕業よ」

ウルフ「っ!!何者だ!!」

咲夜「私は十六夜咲夜。この世界では魔物ハンターとして通っているけど」

咲夜「本当はある吸血鬼の従者。訳合ってこの城を乗っ取りに来たわ」サッ

言葉を言い切ると咲夜はナイフをウルフに目がけて投げる

ウルフ「……」スッ

咲夜「消えた!?」

ウルフ「吸血鬼の従者だと?聞き捨てならぬな」

咲夜「なっ…いつの間にうしろに」

ウルフ「貴様が吸血鬼…もとい悪魔の従者ならば、それは魔王サタン様の部下をも意味するのだが」

咲夜「私の上司にサタンなんて者はいないわ」

ウルフ「ならば貴様の上司とやらは、エセ悪魔という事になるな」

咲夜「この世で本物の悪魔が私の上司である事を、思い知らせてあげるわ。偽悪魔さん」

ウルフ「たわけが!」

ブンッ

ウルフは手から紫色の弾幕を放つと同時に姿を消す
咲夜は驚きながら弾幕を避けていく

咲夜「瞬間移動…霊夢みたいな事を」サッ

ウルフ「ふん!」

ボォォン!ボォォン!ボォォン!

消えては弾幕を放ち、雷を落としてはまた消えるという攻防を繰り返す

咲夜「この世界の魔物は大した事ないと思っていたけれど、なかなかやるわね。血の湖で出会ったライオンとは大違いね」

ウルフ「あれは血ではない。毒で出来ているのだ」

ボォォン!

咲夜「くっ…」パキィィン

咲夜は結界を展開し、ウルフの弾幕から辛うじて被弾せずにすむ

ウルフ「ほう、バリアか」

ウルフ「だがずっと維持出来るわけではあるまい!」

ボォォン!ボォォン!ボォォン!

強烈な雷が咲夜の結界にひび割れを起こす

咲夜(いつまでも守りの体勢ではダメね)

ウルフ「フハハハ!」

嘲笑いながら姿を消すウルフ、そのタイミングに合わせる様に咲夜は結界を解除する
クルッと後ろを振り向くと、そこにはウルフがいた

咲夜「幻象・ルナクロック」

相手のの動きがとまり、同時に魔方陣を展開させる
ウルフの周りに、ナイフや光を帯びた弾幕をばら撒き、退路を完全に塞ぐ

咲夜「解除」

時が動かしたその刹那、血が飛び散り叫び声が城内に響く

大量のナイフに埋もれながらウルフは倒れていた
ふと城内から外を眺めると蒼く透き通った湖が見える

咲夜「あれ?真っ赤な湖だったのに…いつの間にかただの湖に」

咲夜「これじゃお嬢様に喜んでもらえないじゃない。残念だわ」

ウルフ「う、う…ぅぅ…」

咲夜「あら、まだ生きてたの?」

ウルフ「ぅぅ…うお…」

バキ…ミシ…ゴゴゴゴ…!!

咲夜「っ!!?」

血塗れになったその男はゆっくりと立ち上がる
そして呻き声をあげながら、歪な音と共に筋肉を膨張させていく

そして本物の怪物へと変身を遂げる

ウルフ「ゴォォォ!!!」

咲夜「お、狼男…」

ウルフ「ウォォ!!」

狼男が叫ぶとドコからともなく弾幕が飛んでくる

咲夜「あんな姿になっても弾幕を扱うのね…ま、幻想郷にもアナタと似たようなのいっぱい居るけど」サッ

ウルフ「ゴゴォォ!!!」ダッ

ドゴォッ

咲夜「痛っ…」

冷静に弾幕を避けていると、狼男は猛スピードで一気に突進し、咲夜をタックルする
咲夜はそのまま壁に激突する

ウルフ「ゴォォ!!!」

闇雲に突進してくる怪物
咲夜はとっさに立ち上がる

咲夜「もはや知性の欠けらもなくなったバケモノのアナタに、時止め能力を使うまでもないわ」

咲夜「ゴリ押しで勝負よ…奇術・エターナルミーク」

大量の弾幕とナイフを、一直線に敵に目掛けて放つ

~夜が明けて・ブラッドプール~

咲夜「ただいま…」フラッ

早苗「っ!?どうしたんですか、ボロボロじゃないですか!」

咲夜「ちょっと油断してね…でもちゃんと討伐してきたわ」

咲夜「所で湖が青くなってたけど何かしたの?」

早苗「そういえば昨日、私と神官さんたちで、湖の目の前の魔物の巣を封印しましたら、急に湖が青くなったんですよ!」

早苗「これでこの土地に禍々しいが無くなりましたね!」

咲夜「…………はぁぁ」ガクッ

早苗「?」

咲夜「まあいいわ。あの城はお嬢様に献上したいんだけど良いわよね?」

早苗「本当は住民の皆さんに使ってもらいたいけど、昨日まで魔物が住んでいた所を住居にしようなんて物好きもそうそう出てこないし…」

早苗「構いませんが、レミリアさんをこの世界に呼ぶんですか?」

咲夜「いえ、八雲紫に頼んで城ごと幻想郷に持って来るよう頼むわ」

早苗「また随分と大掛かりな転移を」

咲夜「アナタに言われたくないわよ」

男神官「おお!救世主サクヤよ…我々のために、そんなボロボロになってまで」

女神官「本当に感謝しています!!もし良ければこのブラッドプールの女王になって頂きませんか?」

咲夜「お生憎様、私はある館のメイドをやっているの。ハンターとしての活動はもう終わりにするわ」

咲夜「それに私は女王になるほどの器は無いわ。この街の長は別に探しなさい」

女神官「そうですか…残念です」

男神官「アナタ様の功績、ブラッドプールに語り伝えさせて頂きます!」

咲夜は二人の神官の話を聞き、黙ってうなづくとそのまま後ろを振り向いて立ち去る

早苗「おーい咲夜さーん」

咲夜「あら、どうしたの?」

早苗「幻想郷に帰るんですか?」

咲夜「ええ。天空上付近にスキマがあるでしょ?だから帰宅させてもらうわ」

早苗「……やはりここでリタイアするのですか?」

咲夜「元々、私の目的はサタンの住居を奪う事」

咲夜「サタン本人の住居ではないけれど充分な物件だし。ここで手を引かせてもらうわ」

早苗「ふむ…分かりました。ここまで協力してくださった事は感謝します」

咲夜「アナタの夫もそろそろレベルが上がってる頃なんじゃないの?」

早苗「ええ。人口も順調に増え、信仰心を増してますからね」

咲夜「私はリタイアするけど、アナタの夫が力を取り戻しこの世界に降臨するのにそんなに時間は掛からないと思うわ」

咲夜「さて開拓の方だけど…」チラッ

咲夜が目を辺りを見渡すと、沼地だった土地は程よい具合に乾燥し、美しい草原が広がっていた

咲夜「日干しの奇跡は上手くいったみたいね」

早苗「ええ、これからどんどん道を切り開いてお隣のフィルモアに繋げて行く予定です!」

ギャーギャー!ワーワー!

早苗「っ!?なんの騒ぎですか!」

住民1「フィルモアとの交流を優先すべきだ!」

住民2「なにを言っている!まだ我々は文明を築き上げたばかりだぞ!?もしフィルモアに我らの土地を奪われたりしたらどうする!」

住民1「フィルモアから文明の知恵を教わるのがそんなにいけない事か!!」

住民2「町作りに行き詰まったらカミに祈ればいいだろう!何のための信仰だ!この馬鹿者め!!」

住民1「なにぃぃ!!?」ガシッ

住民2「なんだ貴様!!やるのか!?」ググッ

早苗「ちょ、何やってるんですか!!喧嘩しないで落ち着いて!!」

住民1「…チッ」ギロッ

住民2「フン」ギロッ

男神官「すみませんサナエ様…民も日々の開拓のストレスで、心が荒んでしまっているのです」

女神官「みんな町を良くしようと必死なのですが、どうも心に余裕がない様で」

女神官「日々、争いが耐えません」

男神官「サナエ様がいるから辛うじて内戦には発展しませんが、このままこの状況が続けば、どうなる事やら…」

早苗(困った物わね…)

早苗「わかりました。何か策は考えておきます」

男女神官「申し訳ございません…」

ワーワー!ギャーギャー!

男神官「くっ…また別なところで喧嘩が!」

女神官「お腹の子にこんな怒声を聞かせたく無いわ」サスッ

早苗(この土地の問題は早急に解決しないと大変な事になりそうですね…)

~その頃・火山の地アイトス~

魔理沙「おうおう、色んな魔物がいるな」

天狗「……」

石投げ老婆「ギヒヒヒ」

カラス「ガァァ」

魔理沙「文みたいなのもいるな。とりあえずここは…」

魔理沙「魔符・ミルキーウェイ」

ボォォン…!

魔理沙「よっしゃ、一掃完了。悪天候の中に光り輝く弾幕は、美しさを強調させるぜ」

魔理沙「さっきのは劣化版天狗と言った所か。幻想郷じゃ天狗はかなり強い部類なのにな」

ガイコツ「……」

魔理沙「あの骨はなぜかダメージ通らないな。その代わりに何もしないが目障りだ」

魔理沙「お…あれは!?」

蒼龍「………」ウネウネ

魔理沙「すっげぇぇ…龍だ。美鈴とか華扇にも見せてやりたかったな」

魔理沙「だがお前さんがサタンの部下なら、今ココで始末しないとな」

魔理沙「恋符・ノンディレクショナルレーザー」

蒼龍「……ッ!?」

~フィルモアにて~

早苗「むむむ」

男神官「サナエ様、気難しい表情をなされてますが…何かありましたか?」

早苗「あ、いえ…大丈夫です」

女神官「サナエ様。住民達よりお隣の国の、ブラッドプールとの交流を築こうとの提案があるのですが…」

早苗「……いまはまだダメです。あちらの国はまだ情勢が不安定ですので。もうすこし時期を見計らいましょう」

女神官「そうなのですか…わかりました」

男神官「うっ…!!」ズキッ

早苗「どうしました。頭痛ですか?」

男神官「も、申し訳ございません…昨晩、悪夢を見てしまった為に」

早苗「……悪夢?」

男神官「はい。私にはちょっとした予知能力がありまして…それと関係してるのかも知れませんが」

男神官「昨晩、魔王の部下・ミノタウロスが人々を呪い殺すという…恐ろしい夢を見てしまって」

早苗「なんですって…では、その魔物を狩らねばなりませんね!場所は?」

男神官「南東の大穴から溢れ出てくるのを夢で見ました」

早苗「南東の大穴ですね。わかりました!」

魔理沙「おおーい早苗」

早苗「あ、魔理沙さん」

女神官「おお、たしかアナタは援軍の1人、魔法使いマリサ!」

魔理沙「火山地帯のアイトスの魔物、一掃してきたぜ」

早苗「え、もう!?」

魔理沙「もう人間が住み始めてるし、さっそくカミに救いを求めてるぜ」

早苗「え、え」

エンジェル「早苗様!大変です!」

エンジェル「チルノちゃんが溶けてしまいました!」

チルノだった物「」

魔理沙「ビシャビシャになった青い衣服だけが、原型を留めているな」

早苗「あ…え?ええ?なんで?どうして??」

エンジェル「彼女も途中までは頑張ったのですが道中にて、炎に包まれた魔物の餌食に…」

エンジェル「どうかチルノちゃんを救っていただきませんか!?」

魔理沙「そいつは妖精だから放っておけば、勝手に沸いてくるから心配すんな」

エンジェル「え?」

早苗「」

早苗(えーと…ブラッドプールの民の心を癒す為には…その前にミノタウロスを滅ぼさないと…)

早苗(でも先に未開拓のアイトスへ出張しないと…ああでもそれよりも先に、ミノタウロスを倒さないと神官さんが過労で死んでしまう…)

早苗(あ、チルノさんが溶けちゃったどうにかしないと、あれ、妖精ってどうやって復活させればいいんだっけ…)グルグルグル

魔理沙「おい早苗。お前大丈夫か?顔色悪いぞ」

ドサッ

全員「っ!!?」

早苗「」

魔理沙「おい!しっかりしろ早苗!!」

エンジェル「早苗様!!」

男女神官「あわわ、大変だ!早く医務室へ!!」

早苗「た、助けてアナタ…」グッタリ

早苗「」

~幻想郷にて・守矢神社の境内~

アクトレイザー「スペルカードはとりあえず一枚だけ完成したぞ」

妖夢「ええっと…なになに。『火符・ファイヤーマジック』?」

神奈子「うーん…なーんかセンスがね~」

諏訪子「安直過ぎるっていうか」

アクトレイザー「なにか問題でも?」

妖夢「いえ、これでも決闘は出来ますが…」

神奈子「スペルカードにはその人の、生き様とか思い出、誇示したい力…とにかく表現したい事をしっかり命名するのが大事なんだ」

アクトレイザー「ふむ…表現をより具体的に」

――たすけて、アナタ

アクトレイザー「……っ!?」ビクッ

神奈子・諏訪子「……!」

三人の神の脳内に声が響く

妖夢「どうしました?」

アクトレイザー「いますぐあっちの世界へ行くぞ」

神奈子・諏訪子「ああ。わかってるよ」ガタッ

妖夢「え、えぇぇ!?」

アクトレイザー「声が聞こえた…早苗が追い詰められている…!」

妖夢「こ、声!?」

~フィルモアの神殿・医務室にて~

早苗「」

魔理沙「うーん。やっぱり熱あるな」

エンジェル「早苗様…」

男女神官「あの…サナエ様はどうなってしまうのですか」

魔理沙「寝てれば治るよ。まあ知恵熱って奴だ」

ガチャッ

神奈子・諏訪子「早苗!!」

魔理沙「お、なんだ来たのかお前ら」

男神官「お知り合いで?」

魔理沙「カミの親戚みたいなもんだ」

男女神官「親戚!?」

妖夢「早苗さんは大丈夫ですか?」

エンジェル「知恵熱だそうです」

女神官「彼女は?」

魔理沙「神の師匠」

男女神官「し、師匠!?」

妖夢「あ、いや。そんな偉い立場ではないのでお気になさらず」

アクトレイザー「早苗!!!」ダダッ

魔理沙「んで、コイツに関しては言うまでもないよな?」

男女神官「」

男女神官「あ、あ、あわわわわわわわわわわ」

二人の神官はあまりの事に膝を崩し、体を震わせながら頭を下げる

アクトレイザー「早苗!!」ダキッ

早苗「あ、あなた…」ギュゥゥ

アクトレイザー「すまぬ…こんな苦労を…」

早苗「えへへ///こんな風に抱きしめられると苦労した甲斐が合ったと思えてきます///」

アクトレイザー「……」グスッ

慈愛の涙を静かに流し、その涙は早苗の頬に落ちる

男神官「おお…何たる慈悲深さ…」

女神官「間違いない…本物のカミだわ…」

アクトレイザー「早苗…」

早苗「アナタ…」

魔理沙「あーもう元気になったみたいだし、そろそろ話し合わないか?」イライラ

神奈子「早苗、アンタはちょっと無茶しすぎたんだ。休みな」

早苗「すいません…」

アクトレイザー「南東の大きな穴場にミノタウロスがいるんだな?今回は私が行こう」

早苗「しかしアナタはまだ…」

アクトレイザー「ミノタウロス1匹倒すだけの力は取り戻したハズだ。心配しらん」

早苗「……」

妖夢「早苗さん。師匠として私も行きましょう」

早苗「……それなら心配はありませんね。どうか頼みます」

魔理沙「んじゃアタシとエンジェルは、チルノがどうしたら砂漠のエリアをクリアできるか作戦会議しようか」

エンジェル「え、チルノちゃんにカサンドラを任せても良いんですか?」

魔理沙「アイツがどこまで成り上がれるか興味深いしな」

~フィルモア・ステージ2~

妖夢「気味の悪い魔物がいますね」

芋虫モンスター「……」ウネウネ

針投げゴブリン「……」シュッ

アクトレイザー「フッ!」サッ

ザシュッ!ザシュッ!

魔物が投げてきた針を冷静に避け、的確に剣でなぎ倒していく

アクトレイザー「師匠妖夢よ。どうだ?」

妖夢「無駄な動きも無く、なかなか良い調子だと思います」

アクトレイザー「それはよかった」

妖夢は道中を宙に浮きながら進み、一方でカミは走って進んでいく

アクトレイザー「おっと、ここはジャンプしないと針地獄の餌食に」

妖夢「……」スイーッ

アクトレイザー(私も飛行術があればな…)

妖夢「あ、危ないです!」

アクトレイザー「なっ…!」

骨の魔物「……」ピュンッ

カミがジャンプして針の先にある足場へと移動しようとした時だった
小さな魔物が吐き出した弾幕に被弾し、その衝撃で針地獄の穴へと落ちてしまう

ザシュッ!!

アクトレイザー「うっ!!」

妖夢「っ!?今助けに行きます!!」

~~~~

妖夢「ふう、どうやらこの先にミノタウロスがいるようですね」

アクトレイザー「あ、ああ…」フラフラ

妖夢「……」

妖夢(さっきの針地獄が、体に深刻なダメージを与えたようだ…)

妖夢(むしろこのキズでよくここまで辿り着けた物だ。血だらけじゃないか)

アクトレイザー「さあ行こう、ミノタウロスの討伐へ」フラフラ

ミノタウロス「ふん!!」

ドゴォォン!!

アクトレイザー「ウッ!!」

部屋に到着すると同時に、カミの頭上からミノタウロスが、カミの背中を踏みつけてくる

ミノタウロス「っ!?貴様よくみればカミではないか…なぜここに」

アクトレイザー「ぜぇぜぇ」

ミノタウロス「まあ良い、既に虫の息のようだ」ザッ

ミノタウロスは大きくジャンプして一旦距離を置く
そして斧を投げる構えを取る

ミノタウロス「今度こそ、亡き者にしてくれる…!!」

アクトレイザー(いかん…視界がぼやけて…)クラッ

ズバッ

妖夢「カミを踏み潰すとは不届きですね」

ミノタウロス「なっ…!」

ミノタウロスが後ろを振り向くと、妖夢が立っていた
その華奢なビジュアルに似合わず、血が滴る大刀を手にして

ゴトッ

切断したミノタウロスの片腕が落ちてくる。その腕には斧が握られている

妖夢「私は半人半霊にして、カミの指南役を務めている魂魄妖夢だ」

妖夢「カミが真の力を取り戻すその日まで、カミを導き守る者だ」

そう言い切ると疾風の如く動きで姿を消す
呆気に取られているミノタウロスの、もう片方の腕を切断していく

ミノタウロス「バカな…たかが人間如きが!」

ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ!

閃光に動く妖夢は、ミノタウロスをバラバラに切り裂いていく

妖夢「この私に斬れぬものなど、あんまり無い!」

ミノタウロス「」ドサッ

アクトレイザー「おお…なんと頼もしい…」フラフラ

妖夢「カミよ、しっかりして下さい。肩を貸しましょう」

男神官「皆の者よ、カミと師匠ヨームが帰られたぞ!」

民衆「おおおお!!」パチパチパチ

民1「あ、あれが…カミ…」

民2「そして隣に居るのが師匠ヨームか、まだ若い少女じゃないか」

その場の全員が大地に平伏した

妖夢「あ、あわわわ!?」ビクッ

男神官「神よ…なんと礼を言ったらよいのか。もう少しあの悪夢を見続けていたら、私はきっと帰らぬ人となっていただろう」グスッ

女神官「カミよ。私達はこれからどうにかやって行けそうです。どうか、他の地域の人々もこのフィルモアのように平和で豊かな国にしてもらえますか」

アクトレイザー「勿論だ。そしてかならず諸悪の根源サタンを葬るつもりだ」

~~~~

アクトレイザー「早苗よ、体調はどうだ?」

早苗「はい、もうすっかり良く成りました!」

アクトレイザー「ああ…本当に良かった」ダキッ

早苗「///」ギュゥゥ

魔理沙「あーはいはい。それで?お前さんはどうするのさ」イラッ

アクトレイザー「ふむ、やはり私もこのまま修行を辞めて、闘いにおもむいたほうが良いかと思うが」

魔理沙「だってさ、どうよ。妖夢」

妖夢「……たしかに、闘う事はできるでしょう」

妖夢「ただ今のままだと、本当に生傷耐えない日々になると思います」

アクトレイザー「それは覚悟している」

妖夢「でしょうね。あの巨大な針に串刺しにされても尚、闘う事を辞めなかったんですからね」

早苗「巨大な針!?」

早苗が驚きながらカミの体をジロッと見直すと、体中に拳ほどの大きさの穴が数ヶ所あった

早苗「……」ワナワナ

早苗「アナタ!もっともっと強くなるまで、絶対に闘いに赴いては成りません!」

妖夢「また修行し直しですね」

アクトレイザー「……うむ」

アクトレイザー「では修行に戻る」

早苗「妖夢さん、お願いしますね」

妖夢「はい」

魔理沙「で、神奈子と諏訪子は?」

諏訪子「本当は早苗のサポートしたいの山々なんだけどね~」

神奈子「ここで手を出しちゃ早苗の成長に繋がらない」

魔理沙「そっか」

魔理沙「で、チルノに背負わせたひょうたんは何なんだ?酒でも飲ます気か?」

神奈子「いや酒は入ってない、。カサンドラという地域は乾燥してるみたいだからな」

神奈子「たっぷり水の入った大きめの水筒だ。それで暑さを乗り越えろ」

チルノ「ありがとーー!」

エンジェル「さあチルノちゃん。今度こそカサンドラを攻略しましょう!」

チルノ「おう!今度こそカサンドラをあたいが征服してやる!!」

早苗「あ…そうだアナタ、これを」

アクトレイザー「おお!これは『星屑の魔法』じゃないか」

早苗「やはりアナタの魔法だったのですね!ブラッドプールで拾いました!」

星型の品物を手にすると、光り輝きカミの手の中で消えていく

早苗「流星の魔法ですか、ならばいつか私のスペカもお教えしましょう」

魔理沙「星系の弾幕なら私の得意分野だぜ。私からも教えてやるよ」

アクトレイザー「ありがとう。幻想郷にいる間に、予習として弾幕の張り方を勉強してくる」

~幻想郷・守矢神社にて~

アクトレイザー「星型の弾幕は早苗と魔理沙が得意としてる。特に心配することはないんだが」

アクトレイザー「炎系の弾幕のスペシャリストはいないか?弾幕の張り方を学びたいんだが」

妖夢「だとしたら、竹林に行けば炎系の弾幕が得意の人がいます」

アクトレイザー「ほう、ではそこへ行こうか」

妖夢「ええ…所でカミよ。キズが塞がってますね」

アクトレイザー「あんなキズなど時間が立てば勝手に塞がる物だ」

妖夢「野球ボールくらい大きな穴が幾つもあったのに…」

妖夢「永遠亭にもよろうか考えてましたが、その必要な無くなったようですね」

アクトレイザー「永遠亭?」

妖夢「迷いの竹林の中に、そういう名前の屋敷あるのです。そこには名医がいて、キズを癒してくれると思ったのですが…どうやら杞憂でしたね」

~迷いの竹林にて~

アクトレイザー「キミが炎系の弾幕の達人。藤原妹紅か」

妹紅「達人かどうかはアナタの目で判断して頂戴」

妖夢「どうかカミに、アドバイスをして頂けないでしょうか」

妹紅「まあ私で良ければ教えるけど」

妹紅「その前に永遠亭に来てもらえる?」

妖夢「また姫様と決闘するんですか?」

妹紅「それも良いけど…それよりもカミ様。アナタに協力した人間が入院してるから」

アクトレイザー「なんだと…!?」

妖夢「まさか紅魔館のメイド長の…!?」

妹紅「協力者の見舞いに行くのが筋ってもんでしょう?」

今日はここまで

次回の投下分は恐らく、幻想郷サイド6割、アクト世界4割で話を進めていきます

~永遠亭~

永琳「こんにちは。新参の神・東風谷アクトレイザーね?」

アクトレイザー「その呼び名は未だに慣れぬな」

アクトレイザー「女医八意よ、わが友が入院してると聞いたが」

永琳「ええ。こちらへ」

咲夜「あ」

アクトレイザー「咲夜…いったいどうしたのだ」

咲夜「肋骨を折られてね」

アクトレイザー「誰にやられた」

咲夜「ブラッドプールの古城の主」

アクトレイザー「魔王軍幹部のウルフ・ツェッペリンか…よく奴を倒したな」

咲夜「油断さえしてなければ、こんな怪我せずに済んだのにね」

アクトレイザー「すまぬ…こんな痛い想いをしてまで」グスッ

咲夜「悪魔の従者たるこの私にまで、慈悲の涙を流すとは…さすが神の器は違うわね」

咲夜「だけど残念ながら私はリタイアさせてもらうわ。私の目的は達成したし、これ以上アナタに付き合うメリットは無い」

アクトレイザー「そうか。ご苦労だった。本当に感謝している」

永琳「今晩は泊まっていくと良いわ」

アクトレイザー「む?そうか済まぬ」

妖夢「そうですか。でも私は幽々子様の食事を作らねば成りませんのでここで」

幽々子「その必要は無いわ」

妖夢「」

幽々子「妖夢ったらあのカミに付きっ切りで私、寂しかったのよ?」

幽々子「だから永遠亭に遊びに来てたの。1人で」

アクトレイザー「よく迷わなかったな」

優曇華院「食事作るの手伝って」

妖夢「え?あ、はい」

妹紅「んじゃ、私たちは行こうかカミ様」

アクトレイザー「どこへ」

妹紅「弾幕の張り方のコツ、教えて欲しいんでしょ?」

アクトレイザー「……ああ、そうだった。ヨロシク頼む」

~竹林~

妹紅「まず試しに何か撃ってみて」

アクトレイザー「ああ」

アクトレイザー「火符・ファイヤーマジック」

ボォォォ

妹紅「……何ていうか、ただ火をとばして終わってるね」

妹紅「ばら撒く弾幕の量が少ないし」

アクトレイザー「まだ魔力の量が本来の力を取り戻しきれてないようだ」

妹紅「そうか、なら限られた容量の中で弾幕術を発展させていくしかない」

アクトレイザー「うむ」

妹紅「カミは弾幕を張るときどんなイメージをしてる?」

アクトレイザー「上手く説明するのが難しいが…神経を集中し、火が出るように念じている」

妹紅「それだけじゃダメだね。もっとこう…絵を描くようなイメージで」

アクトレイザー「絵を描くようなイメージ…」

妹紅「スペルカードの名前には意味がある。表現した事を名前に記す」

妹紅「手本を見せるからみてて…」

妹紅「不死・火の鳥-鳳翼天翔-」

スペルカードを宣言すると妹紅の背中に炎の翼が現れ、そのまま宙に浮き始める
そして炎の翼から、炎が降り注がれる

アクトレイザー「おお…」

妹紅「ただ火を落とすだけじゃないよ…それ」シュボッ

アクトレイザー「っ!?火の鳥が…」

妹紅「これがこのスペルカードで一番表現したかった事」

アクトレイザー「なるほど。美しさを求められる理由が分かってきたぞ」

妹紅「持てる魔力も限られてる訳だし、いま出来る事から始めたら?」

妹紅「例えば…私のマネをして、火の鳥を撃ってみるとか」

アクトレイザー「火の鳥の練成か…よしやってみよう」シュボッ

カミは剣を天に振り上げて、意識を集中し始める

アクトレイザー「妹紅直伝・火の鳥-鳳翼天翔-……」シュボッ

詠唱すると、2メートル位の大きさの火の鳥が現れる

妹紅「ほう、初めてにしてはなかなか」

妹紅「でももっと大きく力強い物を撃てなきゃダメね」

アクトレイザー(今の私は魔力の容量が少ない。一発一発に全てを賭けねば)

アクトレイザー「よし。次はもっと…」

~次の日・昼~

ボォォン!ドゴォォン!

妹紅「どうした。もうおわりかい?」

アクトレイザー「ぜぇぜぇ…まだまだ」

妹紅「そうこなくっちゃ」

妖夢「あれ?弾幕の貼り方を学んでたんじゃ」

妹紅「おはよう。ちゃんと教えたよ」

妹紅「もう基礎段階は出来上がってる。あとはもう少し魔力を上げれば、もっと良い弾幕が撃てるようになる」

妖夢「さすがカミよ、飲み込みが早い」

妖夢「で、なんで弾幕勝負が始まってるんですか?」

妹紅「カミの魔力が底を尽きたようだから、いまは弾幕避けの練習」

妖夢「休ませて上げれば良いじゃないですか…魔力の回復が遅くなるような」

アクトレイザー「良いのだ妖夢。私は休んでいられんのだ」

アクトレイザー「妻が過労で倒れているのに、私が怠けてどうする」

妹紅「本当、見上げた根性だよね。おかげで私とカミは一睡もしてないけど」

妖夢「だ、大丈夫なんですか?」

妹紅「私は…案内やってる時以外は暇してる事多いし。カミにおいては言うまでもないし」

咲夜「修行に精が出るわね」

アクトレイザー「おお咲夜よ。大丈夫なのか?」

咲夜「もう完治したみたいだし。紅魔館に帰るわ」

妹紅「早。不死身でもないのに」

アクトレイザー「そうか、館に帰ってゆっくり休むといい」

咲夜「もう充分休んだわ。それに館に帰ったらやる事いっぱいあるし」

咲夜「あなたも給仕に来て」

妖夢「えー…なんで私が。それに私は白玉楼にいったん帰らないと」

幽々子「あ、今日は紫と会う約束してるから良いわよ」

妖夢「」

咲夜「空気読むのが上手いわね」

幽々子「フフフ、何の事かしら?」

フゥゥゥゥゥ…

全員「……?」

突如、竹林に霧が発生し始める。それも辺り一帯の色は白ではなく

アクトレイザー「紅色の霧…」

咲夜「これはお嬢様が作った紅い霧ね」

妹紅「え、何?アイツまた同じ異変を起こしてるの」

咲夜「そうみたいね」

妖夢「でもなぜ今更」

咲夜「さあ?いずれにせよ私は帰るわ。この様子じゃ霊夢が来るのも時間の問題だし」

アクトレイザー「……私も行っても良いか?」

咲夜「まさか異変を解決する気?」

アクトレイザー「ああ」

咲夜「………そう。ならついて来ると良いわ」

アクトレイザー「止めないのか?」

咲夜「どうせ止めても付いてくるんでしょ?あなた、諦めるという言葉を知らなそうだし」

アクトレイザー「良く分かってるではないか」

~紅魔館前~

アクトレイザー「ここが紅魔館…本当に文字通り紅いな」

美鈴「zzz…」

咲夜「まったくこの子は…こんな時まで寝てて」

霊夢「霊符・夢想封印」

ボォォン!

美鈴「ぎゃっ!?」

霊夢「目覚ましよ。感謝しなさい」

美鈴「ゲホゲホ…そんな過激な目覚ましはいりません!」

アクトレイザー「博麗の巫女」

霊夢「あら早苗の夫じゃない。どうしたの?」

アクトレイザー「修行を兼ねた異変解決と言った所だ」

霊夢「ふーん。あ、そう」

霊夢「じゃあ今回は、貴方に任せようかしら」

妖夢「珍しいですね。いつもなら問答無用で喧嘩なのに」

霊夢「アンタに言われたくないわ」

霊夢「まあ今回の紅い霧だけど、前回とは違う理由で異変を起こしてる気がしてるし」

妖夢「え?」

霊夢「どうせ大した理由も無さそうだし。今回は早苗の夫に任せましょう」

霊夢「大丈夫。異変解決失敗したら、あとの始末は私がやるから」

アクトレイザー「失敗しない事を祈っていてくれ。巫女らしくな」

霊夢「ええ、そうするわ」

霊夢「で、どうするの美鈴。まだ続きやるなら、今度はカミが相手になるらしいわよ」

美鈴「え、アナタ様はもしかして…東風谷アクトレイザー様ですか?」

アクトレイザー「やはりその呼び名は違和感を覚えるが…そうだ。異変を解決に参上した」

美鈴「なんとなんと!どうぞどうぞ!ご案内いたします!」

霊夢「」

妖夢「」

咲夜「ねえ、あなた本気で言ってるの?悪魔の従者らしく止めたりしないの?」

美鈴「だって相手はカミですよ!そんな恐れ多い事…」

美鈴「それに咲夜さんだって止めずにここまで案内してきたんですよね?服に傷跡もないし、素直にここまで連れて来たんですよね?」

咲夜「まあ…それを言われたら何も言い返せないわ」

~紅魔館内部~

妖精メイド全員「ようこそカミよ!!」ザッ

妖精メイド全員が道を開ける様にして膝を地に付け、頭を下げる

アクトレイザー「……う、うむ」

妖夢「」

霊夢「」

咲夜「」

小悪魔「おおカミよ!今日はよくぞ、おいでになりました!」

アクトレイザー「」

アクトレイザー「ゴ、ゴホン。キミは見た限り悪魔のようだが」

小悪魔「はい悪魔です!」

アクトレイザー「…………」

美鈴「ではカミよ!お嬢様の所まで案内します…って、こういう役目は咲夜さんの方が良いのかな?」

咲夜「……はいはい。いま案内するわよ」

霊夢「私が異変解決に来た時と対応が全然違うんだけど。何なのこの差」

~居間~

レミリア「ようこそアクトレイザー」

アクトレイザー「レミリア・スカーレット、宴会の時以来だな」

アクトレイザー「それで?なぜ昔起こした異変をまた再現するのだ」

レミリア「異変を解決しにきたのね。分かったわ」

レミリア「」バタッ

全員「!?」

アクトレイザー「な、なにを…どうしたのだ一体」

文「良い倒れっぷりですね~」パシャッ

レミリア「じゃ、あとはお願い」

文「はいはーい!では皆様さらば!」

霊夢「」

アクトレイザー「まるで意味が分からんぞ」

レミリア「そう?なら外を見れば分かるんじゃない」

アクトレイザー「外…?」チラッ

霊夢「ちょっ…紅い霧が消えてる」

レミリア「この異変の解決条件…それは私の館に遊びに来る事」

アクトレイザー「……??」

霊夢「ああ…何となく分かってきたかも」

妖夢「どういう事ですか?」

霊夢「大方、紫に頼まれたんでしょ?この異変を起こすように」

妖夢「は?」

霊夢「そして…アンタが神・アクトレイザーに退治された事を文文。新聞を通して、世間に公表」

霊夢「そうすればカミの信仰心は上がる」

レミリア「ええそうよ。ご名答。さすが霊夢」

アクトレイザー「……なぜそのような回りくどい事を。それに悪魔のキミがその事に協力して何のメリットが」

レミリア「フッフッフッ…もう一度、外をよーく御覧なさい」

アクトレイザー「…?」チラッ

霊夢「……ちょっ、なにあのお城」

レミリア「良くぞ聞いてくれたわ!あの古城こそ咲夜が異世界から奪い取ったお城!」

レミリア「別荘にピッタリだわ」

霊夢「随分と近所に別荘があるのね」

アクトレイザー「つまりあの城は、紫からの交換条件と言う訳か」

レミリア「ええ。私が紫に交渉をした際、異変を起こしてくれとの条件を貰ったの」

レミリア「アナタが民衆からの信仰心を高める為の」

アクトレイザー「……何か釈然としない」

レミリア「よくやったわ咲夜」

咲夜「ありがとうございます」

レミリア「じゃあ、さっそくパーティーを始めましょう。咲夜、そこの半霊も使って準備を」

咲夜「はい」

妖夢「なんで私まで…」

アクトレイザー「気持ちはありがたいが、私はのんびりパーティーに参加してる暇など」

レミリア「フフフ、何を言ってるの?これから貴方はパーティーの余興をやってもらうわ」

アクトレイザー「余興だと?」

レミリア「貴方、元の力を取り戻す為に修行をしてるんですって?」

アクトレイザー「ああ」

レミリア「パチェにフラン。コチラに来なさい」

フラン「こんにちはカミさま」

パチュリー「いらっしゃい」

レミリア「いまから私を含めた三人の相手にしてもらうわ」

アクトレイザー「ほう」

レミリア「霊夢も含めてね」

霊夢「じゃあ2対3?不利だから妖夢もいれなさいよ」

レミリア「彼女は給仕に行ってるわ」

霊夢「全く、強引ね」

レミリア「スペルカードは1人に付き宣言できる枚数は3枚でどう?」

アクトレイザー「3枚か…」

アクトレイザー(まだ魔力が回復し切れてない。ここは避ける事に集中して…)

アクトレイザー「……ん?なんだ」ググッ

霊夢「どうしたの?」

アクトレイザー「急に力がみなぎって来た」ググッ

アクトレイザー(まだ新聞は出来上がってないし、人里に配ってもいない。ならばこれは…)

霊夢「あっちの世界での信仰心が高まったんじゃない?それと…」

レミリア「……どういう訳だか、ウチの部下は貴方のファンが多いのよね」

妖精メイド1「カミさま頑張って!」

妖精メイド2「カミさま応援してるよ!」

小悪魔「ああ、やっぱりカッコイイな…」

アクトレイザー「……」

霊夢「妖精と悪魔からも信仰されてるわね」

アクトレイザー「なにか妙な気分だ」

霊夢「じゃあついでだし、私は巫女らしく祈祷しようかしら」

そういって霊夢はその場で正座し、お払い棒を掲げる

レミリア「あら、これじゃ1対3じゃない」

霊夢「パワーを送ってるから実質、2対3よ」

アクトレイザー「」ビクッ

アクトレイザー(何だこれは…物凄く力が沸いてくる)グググッ

霊夢「一時的なドーピングの様なものよ。これでアイツらと対等」

アクトレイザー「だが祈祷によるドーピングで仮に勝ってもだな」

霊夢「正直言うけど、素の状態なら貴方、ボコボコにされるわよ?」

霊夢「レベルで言うならやっと秋姉妹に勝てるレベルになった段階なんだし」

アクトレイザー「秋姉妹の実力がよく分からないが…まあ実質2対3だと思って闘うとしよう」

レミリア「準備は良い?行くわよ」

レミリア「神槍『スピア・ザ・グングニル』」

フラン「禁忌『フォーオブアカインド』」

パチュリー「月符『サイレントセレナ』」

アクトレイザー「」ゴクリッ

圧倒的な弾幕の数に、おもわず息を呑む

アクトレイザー「なるほど…これは良い修行になりそうだ」ダッ

アクトレイザー「うおおおお!!」

剣を振り上げ大きくジャンプし、三人に果敢に立ち向かう

~その頃、異世界・ブラッドプールにて~

ワーワーギャーギャー!

早苗「いい加減にしなさい!!」

民1「ちっ…今日の所はここまでだ」

民2「うるせえ、そっちこそ覚えてろ」

早苗「……はぁぁ」

男神官「申し訳ございませんサナエ様」

早苗「いえ、私がもっとしっかりしてれば」

女神官「サナエ様がいなければとっくに内戦状態でした。感謝してます」

早苗(気持ちはありがたいけど、早いところ問題解決しないと、信仰にも影響を及ぼすわ)

早苗(……それにココばかり見ていられない)

早苗「私はこれからアイトスに出張してきます」

早苗「お二人には負担をかけてしまいますが、よろしいでしょうか」

男女神官「はい!情勢は不安定ですがお任せを!」

~火山の地・アイトス~

魔理沙「お、やっと来たか」

早苗「すいません遅れて」

魔理沙「民にはお前が来る事は話してある」

魔理沙「私は上空にいる魔物を退治してくるぜ」

早苗「お願いします」

早苗「さて、この土地の開拓を進めつつ、ブラッドプールの問題解決を考えないと」

~砂漠の土地・カサンドラ~

チルノ「あ、あづい…」ダラダラ

全身から滝の様に汗をかくチルノと、エンジェルは砂漠の地にて魔物退治を行なっていた

槍投げモンスター「ゴォォ!」ブンッ

エンジェル「おっと危ない」サッ

エンジェル「私だって幻想郷で一年間過ごしたんです!弾幕ごっこで鍛えた成果を見せます!」

エンジェル「矢符・エンジェルアロー」

天に向かって光の矢を放つ
天まで飛ばした一本の光の矢は、空中で分散し、地上へと降り注がれる

魔物達「グオオオ!?」

エンジェル「よしっ!」

チルノ「あれ~?なんかエンジェル強くなってる?」

エンジェル「信仰心が高まったからですよ」

エンジェル「カミへの信仰心が高まると、カミ様だけでなく、私も強化されていくのです」

チルノ「ふぇ~前まであたいに弾幕ごっこで負けてたクセに」

チルノ「あ、あたいだって負けないもん」

チルノ「あ、暑い…ごくごく」

チルノは背中に背負った水筒を口に付け、水分を補給していく

エンジェル「チルノちゃん、例のアイツが来ましたよ!」

チルノ「うげ」

燃える魔物「……」ゴゴゴ

宙に浮かぶ炎に包まれた魔物が、チルノに近づいてくる

チルノ「あたい、アイツ嫌い!」

燃える魔物2「……」ゴゴゴ

エンジェル「もう一体、現れました!」

チルノ「~~~!!もう、いい加減にしろコイツら!」

チルノ「氷符・アイシクルフォール!」

パキィィン!

魔物だった物「」

チルノ「よーし!リベンジ完了!」

エンジェル「今度は弾幕が上手く貼れましたね!」

チルノ「まったく、この暑さどうにかならないのかな」

蜂の魔物「……」

エンジェル「む、出たな!駆逐してやる!」ピュンッ

蜂の魔物「ッ!!」

緑の触手「……」ウネウネ

チルノ「は、離せー!!」ガシッ

チルノは植物の触手にグルグル巻きにされ捕まる
とっさに手で掴み、触手を冷やしていく

パキィィン

緑の触手「」

チルノ「ざまーみろ!」

燃える魔物3「……」ゴゴゴ

チルノ「お前しつこい!」

ダゴバ「ゴォォ!!」

エンジェル「この砂漠の主…巨大なアリジゴクですか」

チルノ「あ、暑い…もう水が無いよ…」

チルノ「と、溶ける…」ジュワァァ

エンジェル「チルノちゃんもう少しです!」

ダゴバ「グオッ」

エンジェル「しまった…!」

ダゴバの足に絡まり、穴へと落されてしまうエンジェル

チルノ「え、えんじぇるぅぅ!ち、ちぐじょー」

チルノ「おいアリジゴク!いい加減にしろ!お前がこんな所で主をやってるから、ここら一帯暑くてしょうがないんだよ!」

エンジェル「ぐっ…何とか脱出しないと…」

チルノ「待っててエンジェル!いまあたいが勇者の如き振る舞いをみせてやる!」

チルノ「アイシクルソード!」

氷の剣を練成し、石の弾幕を投げつけてくるダゴバへと突進する

チルノ「うおおおお!!」

ズバッズバッ!

ダゴバ「ゴォォ!」

氷の剣で切り刻んでいく

チルノ「トドメだ!氷塊・グレートクラッシャー!!」

巨大な氷塊をダゴバへと、何個も放り投げていく

エンジェル(チルノちゃんの活躍により、どうにかこの土地も攻略完了できました)

男女神官「おお…天使様。どうか我らを導いてください」

エンジェル「わかりました」

エンジェル(とりあえず、早苗様に報告しないと…)

チルノ「……」ジュワァァ

男神官「天使様。この女の子は一体?」

女神官「背中に冷たい羽がありますが」

エンジェル「え?ああ…その子の事は後で教えますので、一先ず日陰に移動させてあげて下さい」

男神官「は、はい…ですが、既に溶けかけていますが」

女神官「彼女は人間では無いですよね?まさか魔物の生き残りなのでは…」

チルノ「ち、ちが…う…」ジュワァァ

男神官「わっ!まだ意識が…」

チルノ「あたいは…チルノ。氷の妖精…じゃなかった」

チルノ「あたいは神だ」

男女神官「え」

チルノ「」ジュワァァ

自らが神だと言い切ると同時に、チルノは完全に蒸発してしまう

エンジェル「」

男女神官「」

男神官「ど、どういう事でしょうか!?」

女神官「たしかカミのお姿は…あの社にある、剣士の石像では!?」

エンジェル(チルノちゃん…なんて事を…どう説明すれば良いんだ)

エンジェル「……………」

エンジェル「その、彼女は…あの石像のカミのご友人。いえ、ご友神です」

男女神官「友神(ゆうじん)?」

エンジェル「ええ、彼女は氷の神チルノ」

エンジェル「カミは多忙によりカサンドラに行けず、変わりに友神たる彼女を派遣したのです」

男女神官「氷の神を派遣…」

エンジェル「彼女はきっと、この灼熱の大地を変えてくれるでしょう」

男女神官「おおお!氷の神チルノ!」

男神官「ですが溶けてしまいましたが…大丈夫なのですか?」

エンジェル「あ、えーと…か、彼女は氷の神と同時に、妖精の神でもあるので、その、あ、後で生き返ります」

女神官「なんと、妖精の神でもあったのですか」

エンジェル「……」

エンジェル(ついとっさの判断で、変な説明をしてしまった…どうしよ…)ガクッ

男神官「よし、さっそく氷の神チルノの石像を彫ってくる!」

女神官「私は捧げものに水を!」

今日はここまで
カサンドラはあの燃え盛る奴と触手に、散々と苦しめられた思い出がある

連休が続いたにも関らず、執筆できない悔しさがあったので、コメ返し(?)的な物を

異変に関してはワザと茶番っぽくした。あまりに下らない内容なので色々と思うことある人もあったと思うけど…
投下直前まで東方心綺楼の内容で異変解決してもらうか悩んだけど、オリジナルストーリーで行くことにした

カミの力について
物語後半戦(これから書く)のボスを異様に強くしてしまっているので、逆にあえて今はカミの力を弱くしてしまっている
少年誌の主人公波に一気に覚醒していきたいから

サタン戦のライフゲージみて変な声出てしまった思い出があるだけに、プロットでもそれをイメージして書いてある


まだ体調よくないけど仕事いってきます

~その頃・アイトス~

早苗「雷を降らしたまえ!」

ドォォン!!ドォォン!!

民1「おおぉぉ…!これがカミの妻の力…!」

民2「ありがとうございます!!」

早苗「ふぅ…だいぶ、スッキリしてきましたね」

早苗「どうかくれぐれも魔物に気をつけて、開拓を進めてください」

民一同「はい!」

早苗「そろそろ、カサンドラの攻略は終わったかな…」

魔理沙「心配か?もう障害物はだいぶ破壊したんだし、見に行ったらどうだ」

早苗「そうですね。私、ちょっとカサンドラに行って来ます!」

魔理沙「あいよー」

女神官「あの…サナエ様は?」

魔理沙「あー…タイミング悪いな。ついさっき違う地域へ出張に行ったぜ」

女神官「そうですか…じつは」

女神官「夫が魔物の巣を封印中に、大怪我をしてしまって…」

魔理沙「な…マジかよ」

女神官「しばらくは私1人で、街開発の指揮をしていこうと思います」

魔理沙「そ、そうか…これからは魔物の巣を封印する時は私も呼べよ」

女神官「はい」

~~~

魔理沙「おう、大丈夫か」

男神官「ぐっ!ぅぅ…」ズキッ

魔理沙「結構、酷い怪我だな…」

男神官「怠けておられぬ…まだこの地域には魔物が大勢いるというのに」ムクッ

魔理沙「何をバカな事言ってんだ。寝てろ!そんな体で行ったら致命傷を負うぜ!」

男神官「……」

~カサンドラ神殿~

チルノ「……」

チルノ「んあ…ふぁ~あ。よく寝た」

チルノ「あれ?」バサッ

チルノは起き上がると同時に何か違和感を覚える
ふと後ろの方を見ると、いつもの青い服の上に白いマントが羽織られていた

チルノ「な、なんじゃこりゃ!?」

男神官「おお!神チルノが目覚められた!」

民全員「氷の神・チルノ万歳!!」

チルノ「うわぁ!なんだお前ら!?」

女神官「その白いマントは私達からの献上品です」

チルノ「ふぁ?献上品?」

女神官「はい。神に相応しい服をご用意いたしました」

チルノ「神…あたいは神…」

チルノ「……………………」

チルノ「そうだ!あたいは神なのだ!!」

民全員「チルノ!チルノ!チルノ!チルノ!チルノ!」

チルノ「わーっははははは!いいぞいいぞ!もっとあたいを称えろ!」

チルノ「それにしてもキレイな布だ。つるっつる」サスッ

チルノ「お空が羽織ってるマントに似てるな」

女神官「気に入ってもらえて光栄です」

チルノ「うん、ありがとう!」

チルノ「……」

チルノ「しっかし、ここは蒸し暑いな~」

男神官「神チルノよ、ここカサンドラは非常に気温が高く、乾燥している地域なのです」

チルノ「む、そういえばあたいはこの暑さに溶かされてたんだ」

チルノ「よっしゃ!ならあたいが涼しくさせてやる!」

民全員「おおお!!」

~上空~

エンジェル「チルノちゃんって雨を降らせることも出来ましたっけ?」

チルノ「そんな器用なことは天才のあたいでも、ちと厳しいかな」

チルノ「でもこの暑さなら…」ススッ

チルノ「いっけー!パーフェクトフリーズ・ルナティック!」

パァァァァァァ…

チルノは天に向かって両手を掲げ、その手のひらから大量の氷の弾幕をばら撒く

エンジェル「おお、その手がありましたか!」

エンジェル「……それにして。前よりも弾幕の密度が濃くなってませんか?」

チルノ「あ、確かに。なんかあたい今日、目が覚めてから異様に力がわいて来るんだよね」

チルノ「もしかしたら今のあたいなら、霊夢も簡単に倒せるかも!」

エンジェル「いや、それは流石に無理でしょう」

チルノ「な、なにおー!」

エンジェル(それにしてもこの成長振りを見ると…やっぱりチルノちゃん。本当の神になってしまったのですね…)

ヒュゥゥゥ…ボトボト

~地上~

民1「ん?なんだこれは」

民2「冷たくて硬い何かが…」

ジュワァァ…

民3「水分に変わった!?」

男神官「それはきっと氷の一種。雹(ひょう)だ」

民全員「氷の一種!?」

民1「こ、これが…氷…」

女神官「この土地じゃ絶対に見られない物を…ああチルノよ!なんと凄いのか!」

早苗「あ、あれ?なんで砂漠の土地に雹が??」

男神官「む、キミは見かけない子だが…」

早苗「あ、私は東風谷早苗です。カミの妻です」

男神官「っ!?!?」

女神官「え、でも神は女の子…ああそうか、もしかしたアナタ様は勇者像の方の…」

早苗「っ??なんの話でしょうか」

女神官「こちらへどうぞ」

~~~~

チルノ銅像「」ババーン

早苗「」

女神官「いま、この天からの恵は紛れもなく神チルノからの贈り物です!」

早苗「え、ええ…確かにチルノさんなら可能ですね」

男神官「おお…あなた様はやはり、神チルノのお知り合いなのですね?」

早苗「え?ええ、まあ…」

男神官「所で勇者像の方の神はいま、多忙とお聞きになりましたが」

早苗「ええ、実は…」

~少女説明中~

早苗「……っと言う訳で」

男神官「そうですか…ではまだリハビリが終わってないのですね」

早苗「はい。私は彼の代行。奇跡の力で雨を降らす事が出来ますが」

女神官「おお!ならばどうか、広範囲に渡って雨を降らせて頂けますか」

早苗「畏まりました!現人神・東風谷早苗が奇跡の力で、カサンドラに雨を降らせましょう!」

~上空~

早苗「お疲れ様です」

エンジェル「早苗様!」

チルノ「おお早苗。やっほー」

早苗「……」ジーッ

チルノ「ん、どうした?」

早苗「白いマントまで羽織って…本当に神にジョブチェンジしたんですね」

チルノ「えへへへ!まあね!あたいったら最強だから!」

早苗「……まあ戦力的な意味合いでは、大きな力にはなりますが」

早苗「あまり私の夫への信仰を奪わないで下さいよ?」

チルノ「えっへへへ。あたいはアイツに負けないもんねー」

早苗「……」ムスッ

エンジェル「まあまあ」

早苗「はぁぁ…とりあえず、私は他の砂漠地帯に雨を降らせてきます」

エンジェル「お願いします!」

チルノ「あいよー」

~その頃・幻想郷の紅魔館にて~

アクトレイザー「……」

カミは、レミリアとフラン、パチュリーとの闘いで満身創痍になり倒れていた

霊夢「うーん…祈祷してあげたけど、所詮はドーピング。いきなり力を与えすぎて上手くパワーのコントロールが出来なかったわね」

アクトレイザー「あ、ああ…やはり私の場合、地道に力を取り戻すしかないようだ」ムクッ

レミリア「フフフ…でもまあ、私たち三人相手によく頑張ったわ」スッ

レミリアがカミに手を差し伸べ、ギュッと手を掴み引く

レミリア「さあ余興は終わり。食事も出来たしパーティー開始よ」

アクトレイザー「フフフ、まさか悪魔に持て成されるとは」

~パーティー終了後~

レミリア「あら、帰っちゃうの?泊まっていけば良いのに」

アクトレイザー「あっちの世界が気になる。状況を確認しに行きたくてな」

レミリア「せっかちねぇ……咲夜」

咲夜「はい。送って参ります」

~紅魔館門前~

咲夜「ではカミよ、お気をつけて」

アクトレイザー「うむ。今日はすまないな」

妖夢「はぁ…なんか疲れた」

霊夢「アナタ達はどうするの?」

妖夢「幽々子様は留守で居ないけど…一応帰ります。カミも白玉楼に泊まりますか?」

アクトレイザー「いや、私はあっちの世界で状況を確認しにいく」

妖夢「そうですか…なら私も、付いていきます」

霊夢「二人とも頑張ってね~私は眠いから帰るわ」フワッ

アクトレイザー「さて、師匠妖夢よ。妖怪の山に向かう前に、一戦交えないか」

妖夢「え、今からですか!?」

アクトレイザー「今日はまだそなたと剣術修行をしていない」

妖夢「熱心ですね。私は一向に構いませんが」

チャキッと音を立てて、二人は剣を構える

アクトレイザー「……」

妖夢「……」

鈴仙「あれ、二人ともこんな所で修行ですか?」

アクトレイザー「キミはたしか永遠亭の」

妖夢「優曇華さんもこんな夜に何を?」

鈴仙「実は二人にお願いが」

鈴仙「私もカミのいた世界の、救済の手伝いをして良いでしょうか?」

アクトレイザー「なんだと」

妖夢「どうしたんですか急に」

鈴仙「実は…」ゴソゴソ

鈴仙・優曇華院・イナバはポケットから、奇妙な道具を取り出す

鈴仙「この武器を使いこなす為の修行をしようと思ってまして」

妖夢「……銃?ラッパ?メガホン?変わった形をした武器ですね」

鈴仙「実戦でどれだけ通用するか…試したいという気持ちもあって」

鈴仙「それに私もカミの様に勇ましくなりたいって思って…」

アクトレイザー「……気持ちはありがたい。だが私は全然ダメで情けない男だ」

アクトレイザー「悪魔軍に力及ばず…私は力を封じ込まれ、天空城に逃げ込む結果になり…」

アクトレイザー「結果、人類を滅亡させて死まった」

鈴仙「でも最後まで闘われたんですよね?力がある限り最後まで」

鈴仙「私は違う。敵前逃亡で…この幻想郷までやってきました」

そういうと鈴仙は夜空に浮かぶ故郷の月を眺める

鈴仙「……私は臆病者です。そのことは以前、閻魔の映姫様にも指摘を受けました」

鈴仙「だから…私もカミの如く、勇者になる為の修行を」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー「師匠妖夢よ、彼女の実力は?」

妖夢「かなり強いです。それこそなぜ臆病なのか疑問に思うくらい」

アクトレイザー「そうか」

アクトレイザー「では付いてくるがいい。永遠亭の勇者よ」

~異世界・天空上にて~

チルノ「あー疲れたー!」

早苗「今日はもう遅いから、ここで休みましょう」

チルノ「うん!カキ氷食べる?」

早苗「ええ、せっかくだからいただきます!」

エンジェル「チルノちゃん私のも!」

アクトレイザー「エンジェル、そして早苗よ」

早苗「っ!!あなた…」ギュゥゥ

アクトレイザー「状況を聞きにきた」ナデナデ

エンジェル「はい!では報告を…チルノちゃんが神にジョブチェンジしました」

鈴仙「っ!!!?」

アクトレイザー「な、なんだと!?」

チルノ「えっへん」ドヤ

アクトレイザー「ま、まあ戦力的に考えるならそれも良いかもな」

アクトレイザー「私からも…あたらしい仲間を紹介する」チラッ

早苗&エンジェル「え?」

鈴仙「…」ペコッ

チルノ「うどんげだ!」

早苗「アナタは永遠亭の…これは咲夜さんが抜けた穴を埋める貴重な戦力が」

鈴仙「私も手伝いに来ました。何かやれる事はありますか?」

早苗「そうですね…」

早苗「最近、魔物退治ばかりに力を注ぎ込みすぎて、なかなか街の開拓や問題解決にじっくりと時間をかけるヒマが無かったんで…」

早苗「一先ず、街開発の手伝いをしてもらいますか?」

鈴仙「え?ええ…」スッ

鈴仙は手に持っている新兵器を眺めながら頷く

鈴仙(一先ず、これの実戦はお預けかな)

~次の日・カサンドラ~

早苗「さあ、今日も雨を沢山降らせましょう!」

チルノ「おう!」

男女神官「よろしくお願いします!」

青年「ね、ねえキミ。ドコからきたの?すっげぇ可愛いね」ドキドキ

鈴仙「は、はあ…??」

臆病者「お、おい…なんか変な耳ついてるぞ。魔物なんじゃないのか?」

鈴仙「はぁぁ!!?」

青年「おいおい!こんな可愛い魔物が居てたまるか!」

臆病者「サ、サキュバスかもしれないだろ!」

鈴仙「」

早苗「こらこら、二人共よしなさい!」

男神官「所でコチラの方は…?」

早苗「鈴仙・優曇華院・イナバさんです。彼女もまたカミの使いの1人です」

青年「!?」

臆病者「!?」

男女神官「おおぉぉ!!」

臆病者&青年「申し訳ございませんでした!!!」

鈴仙「あ、いや…別に気にしてないし…そんなに頭を下げないで」

早苗「では私とチルノさんは雨を降らせてきます。ついでに魔物の駆除もしてきます」

鈴仙「いってらしゃーい」ペコッ

鈴仙「……」

鈴仙(あれ、私は何をすれば良いんだろう)

ポツポツ…ザーザー

民全員「おおお!神の恵み!雨と雹!」

鈴仙(本当だ。雨と雹が混じって降ってきてる)

鈴仙「……」

鈴仙「とりあえず、田植えの手伝いでもしますかね」

~~~~

鈴仙「そういえばこの土地は木々が全く無いですね」

男神官「ええ、何てたってここは砂漠の土地ですから」

鈴仙「砂漠…オアシス位あってもいい気がするわね…よし」

鈴仙「皆さん、雨を降らして植物の成長を待つのも大事ですが」

鈴仙「せっかくなので、植林をしましょう」

民一同「植林??」

鈴仙「私の故郷には美しい竹が生えています」

鈴仙「明日に竹の根を持って来るので、その植林方法を教えます」

~その日の晩~

エンジェル「流石に2日間も雨を降らし続けたから、あちこちに大きな水溜りが出来てますね」

早苗「はい。しばらくは雨を降らさなくても大丈夫でしょう。これ以上は洪水になってしまいますし」

チルノ「明日はカキ氷でも配布してやるかな。何味が良いかな~」

早苗「あ、そういえば鈴仙さんに指示を出してませんでした!すいません!」

鈴仙「これからは気をつけてね?まあそれなりに活動はしたけど」

早苗「どんな事を」

鈴仙「田植えとか畑作業とか」

鈴仙「ああそうそう。明日は植林作業をしようと思います」

早苗「植林ですか…熱き大地にそびえたつ竹林っていうのも良いですね!」

鈴仙「ええ。竹の根を大量に持ち込もうと思うので、一旦、幻想郷に帰ります」

鈴仙「明日の朝までには戻るので」

早苗「分かりました」

~次の日~

チルノ「どうだ!これがカキ氷だ!」

民1「うまい…うますぎる!なんだこれは!?」

民2「神チルノよ、このシロップとはどうやって作るのですか!?」

チルノ「知らない!でも早苗なら知ってるかも」

民2「ならば早速サナエ様に聞かなければ」

民1「だがサナエ様は今朝、隣の国へ出かけて行ったらしいぞ」

鈴仙「おはようございます」

民1「あ、ウドンゲさん」

鈴仙「竹の根を持ってきたわ。さあ、沢山植えましょう」

民一同「はい!」

~一同、植林中…~

鈴仙「ふぅぅ、だいぶ植えましたね」

早苗「あ、鈴仙さん!」

鈴仙「早苗…いままでドコへ?」

早苗「隣の国のアイトスです。様子を見てきたのですが、少し困った事になって」

早苗「神父さんが怪我をして寝込んでしまってて…」

鈴仙「怪我…それなら、私が行きましょう」

鈴仙「師匠ほどじゃないけど、私にだって医療の心得はあります」

早苗「それは助かります!ではエンジェルさんに案内してもらうのでお願いします!」

鈴仙「はい。えーと皆さん、教えた手順通りに引き続き植林作業をお願いします!」

~火山の土地・アイトス~

エンジェル「ここがアイトスです」

鈴仙「へー…竹林が結構生えてるわね。ココから竹の根を他所へ持って行っても良いわね」

魔理沙「おう優曇華。とうとうお前も来たか」

鈴仙「おはよう魔理沙。怪我した神父さんは?」

魔理沙「こっちだ」

~~~~

男神官「うぅぅ…ぐぅ…」

鈴仙「酷い怪我ね。でも骨は折れてないし、今ならまだ間に合う」

鈴仙(カバンの中に…師匠が作った錠剤と塗り薬が)ゴソゴソ

鈴仙「薬を塗るわ。塗り終わった後に、今から私が渡す錠剤を毎日決められた用量で、中身がなくなるまで飲んで」

男神官「あ…ぁぁ…」コクッ

鈴仙「それと絶対安静!守るように!」

男神官「い、いや!しかし!」

鈴仙「ダメ!出て行かないように見張ってますから」

~次の日の早朝・カサンドラ神殿にて~

鈴仙「ふぅ…何とかアイトスの神父さんを説得してきた」

鈴仙「体調も少しよくなってたし、このまま薬飲んで休んでれば問題ないわね」

鈴仙「ん?石像の前に誰か立ってる」

青年「……」

鈴仙(げっ、あの人は一昨日、私の事ナンパしてきた人じゃ…)

青年「おお…神よ…どうかカサンドラを立派な街に」ギュッ

鈴仙「ん??」

軽薄そうな印象が強かったその青年は、ひざまずきながら瞳を閉じ真剣に祈りを捧げていた

鈴仙(へぇ…意外ね)

青年「ん?」

鈴仙(あ、気付かれた)

青年「わぁぁ!うどんちゃんだ!」パァァ

鈴仙「あ、ど、どうも」ガクッ

青年「えへへ、今日も可愛いね~」

鈴仙「は、はあ…」

鈴仙(一昨日、私に頭下げたのに結局態度が変わってないわね…)

青年「今日はどこの班に行くの?」

鈴仙「私はアイトスとカサンドラを行き来すると思うので、特に決まった係りはないと思うわ」

青年「そうか、残念だな」

鈴仙「貴方は?」

青年「俺は開拓班兼任で、魔物の巣の封印も手伝ってるから」

青年「これから神官さんたちと、巣に向かうんだ」

鈴仙「魔物の巣ですか…危ないでしょうし、私も同行しましょう」

青年「え、本当!?やったーー!!うどんちゃんと一緒にお出掛けだ!!」

鈴仙「はあぁ…危ない場所に行くんだから、はしゃいでる場合じゃないわよ」

鈴仙(あ…武器、アイトスに置いてきちゃった。まあ無くても闘えるけど)

~6日後・カサンドラ~

―あれから6日が経った
早苗と鈴仙は互いに、アイトスとカサンドラを交代で行き来した

その間さらに早苗は、他の地域の様子も見ていた
フィルモアは安定しているが、ブラッドプールは相変わらず人々の心が荒れていた

早苗(ブラッドプールの問題…どうやって解決しよう。このままだと本当に内戦がおきてしまうわ)

早苗「…………」

早苗(とにかくいまは、カサンドラの開発に尽力を注ぎましょう)

早苗「さあ皆さん!今から鈴仙さんより教わった植林作業を始めましょう!」

植林班「はい!」

チルノ「よーし!開拓班ども、道をつくるぞー!家も作るぞー!」

開拓班「はい!」

~数時間後~

チルノ「あ、あじゅい…じ、じぬぅぅ…」

開拓班員1「よし、今日はこの辺にしようか」

開拓班員2「神チルノが苦しんでおられる!一刻も早く神殿へ向かうぞ!」

青年「……」

開拓班員1「ん、どうした」

青年「先に帰っててくれ」

青年「少し寄り道がしたい」

開拓班員2「おいおい、この砂漠の大地に寄り道は危ないぞ」

青年「大丈夫だ、そんなに遠くにはいかない」

開拓班員2「……気をつけろよ」

チルノ「すぐかえってこいよ~」

青年「……はい」

~~~~~

1人の青年は長い道のりを長い時間をかけて歩き続けた
遠くに薄っすらと見えた奇妙な建物を、間近で見たいが為に、何かにとり憑かれる様に歩き続けた

青年「な、なんだ…この巨大な三角の建物は」

青年「……ココにずっと居ると頭がおかしくなりそうだ」グッ

青年「この建物は多分、邪悪な物なのだろう…早く皆に知らせないと」

青年「……」

青年「あれ、どうやって帰れば良いんだ…」

青年「のど…渇いた…」

~その頃・幻想郷・白玉楼にて~

ガキィィン!キィィン!

妖夢「ぐっ…!!」

アクトレイザー「…っ!!」

妖夢とカミの剣は互いにぶつかり合い、ギリリッと音を立てながら、押し合っている

アクトレイザー「フン!!」グンッ

妖夢が両手首と足腰にグッと力を入れるが、カミは棒立ちの片手のみで妖夢を後ろへと押し退ける

妖夢「…!!」

アクトレイザー「ぜぇぜぇ…」

妖夢「どうやらパワーは、とうとう私を超えたようですね」

アクトレイザー「ああ…だがしかし、私は師匠妖夢の様な瞬発力は無い」

アクトレイザー「全盛期込みで見ても、スピード面ではそなたには敵わないだろう」

妖夢「スピードは私の得意分野ですが…それを言ったら文さんなんかは幻想郷最速だし…霊夢さんに置いては普段は遅いけど、たまに瞬間移動するし」

妖夢「ま、上を見たらキリがないです」

アクトレイザー「ふむ…どうも私は幻想郷の中でも機動力が遅い方な気がしてな」

妖夢「短所ばかり見ても仕方ありません。長所を伸ばすのも手です」

妖夢「カミは防御とスタミナ、パワーを底上げすれば良いと思いますが」

アクトレイザー「防御、スタミナ、パワーか…」

アクトレイザー「確かに長所伸ばしも手だが…やはりスピードは上げたい。それとそなたのように、自由に空も飛んでみたい物だ」

妖夢「空の飛び方は…うーん、理屈で教えるのが難しいです」

神奈子「もっと手っ取り早いパワーアップの仕方を、そなたは知ってるはずだ」

妖夢「アナタ達は守谷の…」

アクトレイザー「神奈子に諏訪子…」

諏訪子「随分と強くなったじゃないか。これも人々の信仰心が高まったお陰だね」

アクトレイザー「信仰心…」

神奈子「前に言ったような?信仰心を上げる為の策を考えておくと」

神奈子「良い策が思いついたんでな、教えに来た」

アクトレイザー「それは本当か!助かる」

妖夢「いったいどの様な策を」

神奈子「実は人里の拡大計画が始まっててな」

アクトレイザー「人里拡大計画?」

諏訪子「八雲紫がさ、訳ありの外来の人間やら、異界の人間をドンドン幻想郷に送ってくるもんだからさ、人口が増えちゃったんだよ」

アクトレイザー「なるほど、それで拡大をする為の開拓業を手伝って欲しいと」

神奈子「ああ。やたら成長の早い竹林とか、大きな岩、沼地とかをどうにかして、人の住める場所に変えようって話だ」

諏訪子「これで信仰心も上がるってもんだね!」

神奈子「だが気をつけろよ?スキマ経緯か、たまたま流れ着いたにせよ…」

神奈子「幻想郷に来る連中ってのはやたらとクセ者が多い。変わり者から信仰心を得るのは大変だぞ」

アクトレイザー「神奈子よ、我々は信仰心を得るために民を救うのではない。神は民を救い導くのは当たり前なのだ。結果は後からついてくる」

神奈子「真面目だねアンタは…まあいい、ついて来な」

~?????~

魔物「た、大変です…サタン様」

サタン「……?」

魔物「この世界から再び人間が生まれ、魔物が減ってしまってます」

サタン「なんだと…しかしカミは我々の手によって封印したのでは」

魔物「なんでも異様な力を持った人間達がいて…次々に文明を築き始めています」

サタン「まるで理解できん」

サタン「……」

サタン(強力な力をもった人間…か)

サタン「まあいい。しばらく泳がせておけ」

魔物「良いのでしょうか?」

サタン「所詮、人間ごときが我々に敵うハズがあるまい」

サタン「希望を与えるだけ与えて…一気に叩きのめすのも、また一興よ」

サタン「カミですら敵わないこの私が、人間ごときに負けるハズが無い」

サタン「そしてそのカミもまた今は封印中。勝敗の行方は言うまでもあるまい」

サタン「せいぜい滅びの時が来るまで、平和と言う甘い幻想を抱いているといい」


サタン「この世に私に勝てる者など、誰一人としていないのだ…!!」

今日はここまで

うどんげが置き忘れたウサ耳メガホン銃は何のフラグなのか……
ってかあれポケットから出したって書いてあったけど、原作立ち絵的にそんなに小さいもんじゃなかった様に思えるんだがw

チルノはマントをもらったけど、特徴である氷の羽はどうなってるのか。被ってたら互いに邪魔しあわないかな

スキマ開けっぱなのは危険だと分かってるだろうに、わざとか?ゆかりん

チルノはカサンドラのメイン神としてやってくつもりなら、幻想郷の妖怪友達との関係はどうするんだろうね?

>>160
今度出るPS4版の深秘録では相当サイズがデカイけど、紺珠伝では割と小さかった記憶があったので、ポケットサイズで良いかなと
あと置き忘れてたのは、さほど大した意味は無いです

>>161
マント姿のチルノだけど、氷の羽がマントを貫通してる感じでイメージ
さきほど画像を漁ってたら、自分の中のイメージに限りなく近い物を見つけたので貼っておきます

http://lohas.nicoseiga.jp/thumb/3428817i?

>>163
色々と強引な設定のSSだけど、これはやっぱ気になるよね
後で『一日に数回ほど開ける時間を設ける』という形に訂正します

>>165
そこら辺は後で語られますが、幻想郷からバイバイはしません

>>30(訂正)

~翌日・天空城にて~

紫「スキマはこの守矢神社付近から、1日に数回ほど開く時間を設けるわ」

早苗「これで幻想郷に帰ってこれますね」

咲夜「準備は良いかしら?」

魔理沙「バッチリだぜ」

チルノ「同じくばっちりだぜ!」

早苗「では妖夢さん。私の夫をお願いします」

妖夢「はい」

アクトレイザー「早苗、私は必ず元の力を取り戻してみせる。そっちは頼む」

早苗「はい///」ギュッ

早苗は頬を赤くしながらカミを抱きしめる

アクトレイザー「……っ、人前では止しなさい」ドキッ

霊夢「早く逝きなさいよ」イラッ

魔理沙「漢字が違うぜ霊夢。気持ちは分かるが」

早苗「では行って参ります!」

~幻想郷・荒地にて~

ガヤガヤ、ワイワイ

神奈子「ついたよ。ここだ」

アクトレイザー「うむ。多くの人間がいるな」

慧音「む、来ましたね。守矢の三柱」

神奈子「ああ。今日から彼が町作りを手伝ってくれる」

慧音「上白沢慧音だ。普段は人里の寺子屋で教師をやっている」

アクトレイザー「東風谷アクトレイザーだ。よろしく。早速作業に取り掛かりたいのだが」

慧音「ああ、見てのとおり岩も竹も樹木もある」

慧音「私も弾幕で破壊していくつもりだ。どうか手伝って欲しい」ペコッ

アクトレイザー「いいだろう」

神奈子「さて、私達も手伝うか」

諏訪子「うーし、破壊と想像を始めますかー!」

アクトレイザー「さて…雷を落とすには一旦、魂の離脱をしないとな」

カミは魂を離脱させ、体は石像に戻る
光り輝く霊魂は詠唱を始める

アクトレイザー「雷符・神なりの道しるべ」

ズドォォォン!!ボゴボゴボゴ!

開拓者達「おおお!!」

神奈子「へぇ、やるじゃないか」

諏訪子「雷弾幕は見事だけど、ネーミングセンスがアンタらしくもないね」

アクトレイザー「……私なりに真剣に考えたつもり何だが」

――それから、弾幕を出せる者はひたすら障害物を破壊していった
破壊した残骸は開拓者が拾い、道を切り開いていく

開拓者1「なんか凄いスピードで開拓が進んでるな」

開拓者2「さすが神だ」

ワイワイ、ガヤガヤ

神奈子「ふふふ。どうやら人間達も感心しているみたいだな」

アクトレイザー「ああ。さっきからすごい勢いでパワーがみなぎって来る」ググッ

諏訪子「効果抜群だね」

アクトレイザー「うむ、ありがたい」


開拓者3「つ、疲れた~」

アクトレイザー「開拓者諸君。無理はよく無い、休憩をしよう」

開拓者達「はい!」

カミは休憩の宣言をすると、再び魂をご神体へと還る

諏訪子「あんたさ、いちいち魂を離脱しないと雷とか雨と降らす事できないの?」

アクトレイザー「ああ。うまく言葉じゃ説明できないが、離脱してる時と石像に入っている時だと、魔法を使う感覚が異なるのだ」

アクトレイザー「私のレベルを全盛期以上までに高めれば、いつでも雷を落とせたり、雨を降らすことも出来るようになるかもしれんが」

諏訪子「ふーん。アタシと神奈子の能力を足した様な力だけど、コントロールが難しいんだね」

アクトレイザー「情けない事に不器用な物でな」

にとり「おっと新参のカミ様じゃないか」

アクトレイザー「キミは…宴会の時にいた河童?という種族でいいのか」

にとり「うん。私は河城にとり。今日は私の自慢のメカを披露しに来たよ」

アクトレイザー「メ、メカ?」

神奈子「あーそうか。そなたはまだ機械とかには詳しくないね」

アクトレイザー「機械?」

諏訪子「早苗とかはそういうの詳しいから後でいっぱい聞くと良いよ」

アクトレイザー「う、うむ」


にとり「さあ神様方…そして開拓者諸君!休憩中にこの私が作ったロボの性能をとくとご覧あれ!」

にとり「まずはバルカン君!樹木や竹林を切り刻んでいけ!!」

コントローラーを持ち操作を始める

バルカン君「了解シマシタ」

ザシュザシュッ!

にとりの作ったロボ、その見た目はカブト被り、鎧をまとった騎士だった
大きな剣を持ち、素早い動きで木々を切り刻んでいく

開拓者達「おお!」

アクトレイザー「あれがメカ…魂の気配を感じられないのに、まるで人間の様に動く」

にとり「ふっふっふ。驚いたかな?」

アクトレイザー「ああ。キミはふしぎな物を作れるのだな」

にとり「外の世界にいったらもっと凄い物があるよ」

アクトレイザー「外の世界…たしか『日本』」だったか?凄い国なのだな」

にとり「うん。まあ私は日本の技術者に負けない位の、技術力を持っている自信があるけどね!」

にとり「それに今、私の工場ではアレよりもっと凄いロボットを開発中だし」

アクトレイザー「あれよりも凄い物が?」

にとり「うん。名前は『ゴッド・デストラクター君』って言うんだけどね」

にとり「なかなかコントロールが難しくて…まだ未完成なんだよね」

にとり「でも規模のデカさはバルカン君の比じゃない。制御さえ出来れば何でもできる万能ロボになる」

アクトレイザー「是非、見てみたい物だ」

にとり「それなら今日の開拓作業を終えたら、ウチを案内するよ」

アクトレイザー「む、そうか。それなら是非行って見たい」

~休憩終了後~

アクトレイザー「さて、そろそろ再開しようか」

開拓者達「はい!」

妖夢「あ」

アクトレイザー「どうしたのだ師匠」

妖夢「霊夢さんがいます」

霊夢「……」

アクトレイザー「博麗の巫女」

霊夢「どうも」

アクトレイザー「一体どうしたの」

霊夢「今日からこの荒地を開拓するみたいじゃない」

霊夢「それでここだけの話なんだけどね…ちょっと紫から頼まれ事が」

アクトレイザー「八雲紫から?」

霊夢「ええ…ここにいる開拓者達は全員、元は異世界や外界にいた人達だってのは知っている?」

アクトレイザー「ああ」

霊夢「クセ者ばかりが揃ってるのも聞いた?」

アクトレイザー「ああ」

霊夢「なら話が早いわ。実はそのクセ者だらけの連中の中でも、よりクセの強い奴がいるらしくて」

霊夢「近い将来、妖怪になり兼ねないブラックリスト集を渡されてね」

霊夢はそういって、メモをカミに見せる

アクトレイザー「……」

妖夢「近い将来…妖怪になりそうな人が…」

霊夢「人数は二人。名前は両者不明。男女1人づつ」

霊夢「んで、恐らく私の勘だけど。あの二人が例の奴なのかなって」

謎の巫女「……」ゴゴゴ

中年男「……」ギラギラ

妖夢「あの二人が?まあ確かに異様なオーラを放ってますが」

慧音「ああ、あの二人か」

霊夢「慧音、あの二人について何か知ってる?」

慧音「どうしたんだ突然」

霊夢「監視よ。まあそうは言ってもあんなのにいつも時間を裂く訳じゃないけど」

霊夢「一先ず、調査と言った所かしら。あの二人が誤った道に進まないように」

慧音「珍しく仕事熱心な」

霊夢「一言余計よ」

霊夢「あの二人、ちゃんと開拓はしてた?」

アクトレイザー「ああ、一応な」

霊夢「カミ様から見て、あの二人はどう?」

アクトレイザー「……こんな事を言いたくはないが、最初見た時から何故か悪寒がした」

アクトレイザー「この世界には、人間のような心を持った悪魔や妖怪がいるが…彼と彼女の場合、逆の物を感じた」

霊夢「悪魔染みた人間…まさにサイコパスね」

アクトレイザー「もっとも、私はそのまま見捨てるつもりなどないが」テクテク

霊夢「え、ちょ…」

アクトレイザー「まずは何事も交流からだ。交流なくして改心などあり得ん」

霊夢「はぁ…」

アクトレイザー「中年の男よ」

中年男「…?」

アクトレイザー「年齢も結構きているというのに、よく参加してくれた。ありがたい」

中年男「……」

アクトレイザー「今日の作業でも終わったら一杯どうだ?」

中年男「場所は?」

アクトレイザー「人里の居酒屋…もしくは妖怪が経営していると言う屋台で」

中年男「ハッ!笑わせるな!」

アクトレイザー「え?」

中年男「前によった事があるがな…あんな安酒飲めるか!!」

中年男「この私を誰だと思っている…元一国の王だぞ…!馬鹿にしおって!」

中年男「私と一杯交わしたければ最高級のワインを用意しろ!それと特上の肉をな!!ウナギなんぞ食えるか!!」

中年男「それと私と交友関係を築きたくば金を貢げ!!私は元王だぞ!!」

アクトレイザー「……」

慧音「こら!カミにむかって何て事を!」ズツキ

ゴンッ

中年男「ぐあ!」

慧音「いつまでも過去の栄光にすがり付くな…全く」

中年男「くっ…」

ブツブツと独り言を言いながら中年の男は立ち去って行った

アクトレイザー「情けない…1人の人間を導く事も出来ないとは」

霊夢「いやアレはしょうがないわよ」

妖夢「どうやら前の世界では一国の王だったみたいですね。なぜ幻想卿に流れ着いたのか…」

慧音「大方、革命にでもあったのだろう。自害寸前にスキマ妖怪に拾ってもらったとか」

霊夢「アイツも変なの拾ってきたわね…」

アクトレイザー「さて、次はあの巫女に」

霊夢「……待って、私がいくわ」

アクトレイザー「そうか。同じ巫女同士の方が気が合うだろうしな」

霊夢「ねえアナタ」

謎の巫女「?」

霊夢「新参者みたいだけど…どっかに社とか構えてるの?」

謎の巫女「これから立てて貰う」

霊夢「どこに?」

謎の巫女「地底の入り口付近にある温泉のあたり。今日ここにいるのは、新しい社を建ててもらう代わりに、人里開拓を手伝ってやってる」

霊夢「げげ、わりと近場じゃない…」

謎の巫女「……」ゴゴゴ

霊夢「ねぇ、神社なんか立てないでさ、ウチで働かない?」

謎の巫女「あぁ?」

霊夢「1日3食昼寝つき。まあ経済事情は良く無いけど…悪くない待遇だと思わない?」

霊夢(これ以上ライバルが増えたらたまったもんじゃないわ)

謎の巫女「……」ゴゴゴ

謎の巫女「ふん!!」ガシッ

霊夢「うっ!?」

全員「!!?」

異様なオーラを放った巫女は、いきなり霊夢の首を掴みかかる
そして胸元から短刀を取り出す

謎の巫女「博麗霊夢…人妖問わず人気あると聞く…異変解決もやっていて名声もある…」

謎の巫女「妬ましい…その人気者ぶりが妬ましい!!」

アクトレイザー「やめろ!!」バッ

霊夢「……」スッ

カミが抑えようとした時だった、霊夢は『大丈夫』と言わんばかりに手を前に出す
そして霊夢は全身に霊力を込めて、謎の巫女が突き出した短刀を迎え撃つ

ガキィィン!!

謎の巫女「なっ…!!刀が弾かれた…」

霊夢「その程度の攻撃で私を倒せるとでも?」

謎の巫女「くっ…」

慧音「何をやっている!!!」

謎の巫女「は、放せ!!!」

慧音「あんな物を見せられて放す訳ないだろ!!」

謎の巫女「妬ましい…お前のその人格者振りが…」

謎の巫女「妬ましい…!開拓者達の前向きな心が…!」

謎の巫女「妬ましい!この美しき幻想郷のすべてが!!あああああああぁぁ!!!!」

霊夢「……っ」ビクッ

慧音「わ、分かった。今日はもう帰りなさい」

謎の巫女「…………」ゴゴゴ

気が狂ったように叫び、帰るように促がされると、巫女は何も言わずに、妙なオーラを放ちながら無表情で帰って行く

アクトレイザー「大丈夫か?」

霊夢「ええ」

アクトレイザー「あれは色々と重症だな…不憫だ」

霊夢「何よアイツ。パルスィみたいに」

パルスィ「アイツと一緒にしないで」

霊夢「わぁ!?いつの間に」

パルスィ「開拓地がどんな所か見に来ただけよ」

霊夢「アイツとはやっぱ知り合いなの?」

パルスィ「前に一度だけ喋った事がある」

パルスィ「正直、アレは私でも引くわ」

霊夢「アンタが引くってよほどすごい嫉妬心を抱えてるのね」

パルスィ「ただ、人間にしてあの気狂いレベルの嫉妬心。実に妬ましいわ」

霊夢「引いてるのか関心してるのか、どっちなのよ」

~開拓1日目終了~

アクトレイザー「では今日の所はこの辺にしようか」

開拓者達「はい!」

妖夢「カミよ、このあとはどうしましょうか」

アクトレイザー「もう今日は遅い。明日は早朝に稽古を付き合ってもらえないか?」

妖夢「わかりました。では今日は帰ります」

神奈子「私達も帰ろうか」

アクトレイザー「あ、その前に寄りたい所が」

神奈子「ん、どこだ」

アクトレイザー「河童が言っていた例の工場とやらにだ。どんな物か見てみたくてな」

神奈子「ああ…なるほど。いいだろう」

~妖怪の山・河童達の工場前~

守矢の三柱は、にとりの案内で妖怪の山にある工場へと連れて行かれる

にとり「見よ!これこそが私たちの工場だ!!」

アクトレイザー「で、でかい…」

諏訪子「あれ?何かしばらく見ない内に随分と増設したね。主に上向きに」

神奈子「まるで高層ビルだな。工場には見えん」

にとり「これこそ!河童の技術力の結晶!」

アクトレイザー「この建物の名前は?」

にとり「えーっと…仮名で『にとりファクトリー』と名づけてるんだけど不評でね」

にとり「なにかいい名前がないか、考え中なんだよ」

河童「にとりさん!これこれ」

にとり「ん?どうしたのその本」

河童「人里の鈴奈庵にいって、借りてきたんですが…この本に書かれてる、ある単語が気になって」

にとり「なになに…バベルの塔?」

河童「はい。これをこの工場に名づけるのは如何でしょうか?」

にとり「バベルの塔……うん!何かよくわからんけど、ネーミングは悪くない!」

にとり「……っと言う訳で神様方!今日からこの工場名は『バベルの塔』だ!!」

アクトレイザー「」ビクッ

にとり「どうしたの?」

アクトレイザー「あ、いや。何でもない」

アクトレイザー(何だ…いま一瞬、物凄い悪寒がしたが気のせいか?)

~数日後・灼熱の大地カサンドラにて~

男神官「サナエ様、氷の神チルノよ…大変な事が」

早苗「どうしました?」

男神官「我々の仲間、ある青年が広大な砂漠に迷い込み、行方不明の状態に…」

チルノ「そういえばアイツ、寄り道するとか言ったきり、見かけていないな」

鈴仙「え…あの彼が!?」

鈴仙(そういえば最近、やけに静かだと思ってたら…)

早苗「それマズイです!早急に探しにいかないと」

女神官「どうかお願いします我々も。手伝いますので」

早苗「アナタ達は可能な範囲で良いです。緑化していない地域まで無理に足を運ぶと、余計に迷ってしまう人が増えてしまいます」

女神官「わかりました…どうか我々を彼の元までお導きください」

短いけど今日はここまで

~ある砂漠のど真ん中~

青年「し、死ぬ…」フラフラ

青年「いつになったら…家に帰れるんだ…」

ブルードラゴン「ガオッ!」ボォォン

青年「うおっ…!」サッ

魔物が瀕死の青年に雷を落とす
フラフラにも関らず、魔物からの攻撃をかわす

青年「馬鹿にするなよ…俺だって魔物の巣を封印出来る位に、魔力だってあるんだ…」

青年「ザコ1匹倒すくらい…ワケないんだよ…!」

青年の両手から光弾が放たれる

ブルードラゴン「ゴォォ!」

退治された魔物は力なく倒れ、霊魂は遠い神殿の方へと飛んでいく

青年「霊魂は…あっちの方角へ向かっていった…」

青年「なら、同じ方角あるって行けば…」フラフラ

青年「」バタッ

青年「……」

青年(ダメだ…もう力が…)

~幻想郷・開拓地にて~

ワイワイ、ガヤガヤ

妖夢「障害物は処理しつくしましたね」

アクトレイザー「うむ。あとは道を作り、建物を建てて行くだけだ」

アクトレイザー(開拓者たちからの信仰心のおかげか、体中に力がみなぎる)

アクトレイザー(まだ全盛期には到達してないが、これだけの力を貰えればもう充分な気もするが)

アクトレイザー(そういえばあっちの世界はどうなっているだろうか…)

アクトレイザー「師匠、いったんあっちの世界の様子を見に行こうと思う」

妖夢「そうですか。では私も」

~天空城にて~

アクトレイザー「久しぶりだな」

エンジェル「カミ様!しばらく会わない内に随分とお力を取り戻されたみたいですね。私からの全身からも力が湧き上がるのを感じます」

アクトレイザー「うむ、幻想郷でも色々な行いをしてきたからな」

エンジェル「それはそうとカミ様、大変な事になりました…」

アクトレイザー「どうした?」

エンジェル「実はカサンドラの若き青年が、砂漠の地にて迷ってしまい、もう何日も帰ってこないようです」

アクトレイザー「なんだと!?この灼熱の大地で…」

エンジェル「いま、皆で探し回っています」

アクトレイザー「……そうか。なら私も行こう」

妖夢「探すという事は、まだ石像から離脱するのですか?」

アクトレイザー「いや。魔力もだいぶ戻ってきている事もあって、ちょっとした物を召喚出来る様になった」

妖夢「?」

アクトレイザー「……」パンッ

カミは両手をパンッと叩くと、足場を担ぐ2匹の白鳥が召喚される
その足場へと乗りかかる

妖夢「おお…!」

アクトレイザー「いくぞ!」

エンジェル「はい!」

~~~

早苗「あ、熱い…一体ドコに…」キョロキョロ

アクトレイザー「早苗!」

早苗「あ、あれ?なんで夫がここに居るのかしら…私、暑さで幻覚でも見えてきたのかな…」

アクトレイザー「幻覚ではない」ポンッ

早苗「え、ええ!?本物!?」

妖夢「早苗さん。今日は熱い抱擁は無しですよ」

早苗「ほえ?あ、はい。わかってます!」

アクトレイザー「一刻も早く、青年を見つけるのだ!」

――それから、懸命の探索がはじまった
太陽はあっと言う間に傾き、夕暮れへと変わっていた

散らばった一同だったが探し回っているうちに、上空にて再び終結した

アクトレイザー「なかなか見付からん」

早苗「そ、そうですね…」

エンジェル「今日はもう諦めましょうか…」

妖夢「これ以上は体に響きますね…」

アクトレイザー「3人は帰ってなさい。私は引き続き探す」

早苗「いえ…もう少し私も頑張ります!」

チルノ「おぉ~い!いたぞー!!」

アクトレイザー「本当か!?」

早苗「てかチルノさんまだ探してたんですか!?よく無事でしたね!」

チルノ「もう何回も溶けたってば!!それよりもこっちこっち!」

~ある砂漠のど真ん中~

青年「」

眼に光を失い、やせ細った1人の青年はぼんやりと、夕焼けに染まった上空を眺める

青年「ぁ…かぁ…ぁぁ…」

青年(声が上手く出ない…のど渇いた…)

青年(もう何日も水…飲んでない…)

青年(最後にうどんちゃんの顔見たかったなぁ…)

青年(カサンドラの発展もまだ途中なのに…情けない…)

ポツ…ポツポツ…

青年「?」

ポツポツ…ポツポツ…サーーー

青年「ぁ…ぁぁ…」

青年(雨だ)

コツン

青年「うっ」

ボトボト…ボトボトボト…

青年(この塊は…雹(ひょう)。雨に混じって雹まで…)

青年(ああ…そうか。サナエ様と氷の神チルノが私を救ってくれたのだ)

青年「おお…これぞ天の恵み…」

天に向かって両手を伸ばし、感謝を込め心から祈りを捧げる青年

青年「は…はは…みふ…みふら…」

青年は口を大きく開け、水分を補給していく
だが体は動く事が出来ずにいた

そんな青年を照らすように、曇り空より僅かな陽の光が差し込む

青年(天気雨…?神秘的だ…まるで何かが舞い降りて来そうだ)

青年(ん?2匹の白鳥に…あの姿、まさか…)

アクトレイザー「青年よ、大変だったな」

カミはジャンプして地に降り、青年の前に立つ

青年「ぉ…ぉぉ…」ボロボロ

青年は感極まって涙を流す
頬に伝う涙は、雨と交じり合いながら流れ落ちていく

青年(まさか…死の寸前で、あの戦士像のカミに会えるとは…だがしかし、あのカミ様は確か…)

からからの咽で、必死に搾り出す様に声をだす

青年「あ、あなた様は…なぜここに…まだリハビリ中だとお聞きしましたが…」

アクトレイザー「そなたがこの広大な砂漠にて迷ったと聞いてな、居ても立ってもいられなかった」

青年「ぉぉ…なんと…」ボロボロ

アクトレイザー「さあ、いま抱えてやろう」

カミは両手で、青年の膝裏と首を持ち、再び足場へと乗る
白鳥達は天へと羽ばたいていく

青年「お…ぉぉ…カミよ。私の様な…いつも女の子ばかり見て、鼻の下伸ばしてる様な煩悩まみれな私を…」

アクトレイザー「そなたはとても信心深く真面目だと聞いている。街の開拓や魔物退治も積極的だったらしいじゃないか」

青年「勿体無いお言葉…」

青年「……」

青年「カ、カミよ…これを…」

青年はポケットからメモを渡す

アクトレイザー「これは…ピラミッド?」

青年「それは…私が…見たもの…ゲホゲホ!」

アクトレイザー「大丈夫か!無理に声を出さなくていい」

青年「お聞きください。三角の建物…邪悪…ゲホゲホ…」

青年「私は…人一倍魔力に敏感で…つい心を奪われてしまって…ですが、ギリギリの所で、内部には潜入せず逃げてきました…」

アクトレイザー「よく誘惑に打ち勝ったな」

カミに抱えられる青年は、上空へ到達する

早苗「大丈夫ですか青年さん!」

チルノ「しっかりしろ!まだ死ぬのは早いぞ!」

妖夢(痩せきってる…)

エンジェル「青年!」

アクトレイザー「青年よ、皆が呼んでいる」

青年「………」コクコク

衰弱しきっている青年は、声が出なくなっていた

鈴仙「青年さん!」

青年「っ」ビクッ

鈴仙が声をかけると、青年は驚いたのか眼を大きく見開く
しかしやはり声は出ない

鈴仙はカミの乗る足場に乗ると、ペタペタと青年の皮膚に触れる

鈴仙(これはマズイ…完全に衰弱しきってる…)

鈴仙(何かカバンの中にないかしら)ゴソゴソ

鈴仙(ダメだ…適切な処置が見付からない)

鈴仙「青年さん…」

青年「……」ボソボソ

アクトレイザー「どうした」

青年「皆に…伝えて…くだ…s…」

青年「か、カサンドラ…の…未来に栄光あれ…」

まるで最後の力を振り絞るように、伝言をその口から伝える

アクトレイザー「青年…」

青年「…………」

青年「……」

青年「…」

青年「」

ふと手首に触れ、脈の確認をとる鈴仙
しかしその脈はもう動いていない

鈴仙「……っ」ツーッ

鈴仙の落ちる涙が、青年の頬に伝う

――その晩、カサンドラの人々は全員、彼の死に涙した

――数日後・ブラッドプールにて
二つの勢力は睨み合い、一触即発の状態にあった

「ここ数日、サナエ様が降臨なされていない」

「我々にもう愛想が尽きたのだ」

「なれば我々の秩序は我々自身で、築いていくべきだ!」

エイエイオー!!

男神官「お前たち何をやっている!!」

女神官「やめなさい!!カミが悲しまれるわ!!」

「我々はもう我慢の限界だ!!」

「話し合っても一向に方針が定まらん!!ならば武力で解決するしかあるまい!!」

「お前ら、覚悟しろ!!!」

「そっちこそ…覚悟出来てるんだろうな!!」

男たちは武器を構え、今まさに内戦が起きようとしていた
その時だった

♪~~♪~~♪~~

全員「!?」

民1「な、なんだ…」

民2「天空から…音楽が…」

プリズムリバー三姉妹「~~♪」

男神官「上空で演奏をしている彼女達は一体…」

早苗「みなさん。戦争なんてやめるのです!!」

全員「さ、サナエ様…!!」

早苗「いま流れている曲…これは隣国、カサンドラにて出来た曲です」

早苗「音楽とは素晴らしい物です。このブラッドプールにも音楽の文化を与えましょう」

全員「…………」

しばらく上空にて演奏する三人の少女の演奏を聞きいる国民たち
やがて人々は手にした武器を落し始め、懺悔と言わんばかりに大地に平伏す

民1「サナエ様…申し訳ございませんでした」

民2「おかげで我々は頭を冷やす事ができました」

民3「街は引き続き、我々の手で地道に発展させていきます…しかし、もし今後機会があるならば、他国の文化も積極的に取り入れていこうと思います」

早苗「そうですね。まずは焦らずじっくりと自国の基盤を作り、その過程で他の地域との交流があるならば、その国との交流を図るのが一番だと思います」

男神官「サナエ様…本当にありがとうございます…」

早苗「いえいえ、コチラこそなかなか問題解決が出来なくて申し訳ない限りです」

女神官「しばらくの間、ブラッドプールは内戦寸前の状態が続いていたせいで、開拓が遅れていましたが、これからまた町作りが進んでいくと思います」

女神官「所で…彼女達は?」

プリズムリバー三姉妹「~~♪」

早苗「ああ、彼女達はプリズムリバー楽団と言って、私の知り合いです」

早苗「ですが曲自体は隣の国、カサンドラからの物です」

~カサンドラ~

チルノ「……」

チルノは腕を組みながら、墓の前に立っていた
墓前には大盛のカキ氷が供えられている

そしてその墓石には今は亡き青年の名が刻まれていた

エンジェル「悲劇の死ではありましたが、彼の死は音楽を生み、隣国の内戦を止めるのに大きく役にたったそうです」

チルノ「……」クルッ

チルノはマントをなびかせながら、墓石から立ち去る

エンジェル「これからどうするんですかチルノちゃん?」

チルノ「あたいがあのピラミッドを潰してくる」

エンジェル「そうですか…では私も」

チルノ「ううん。大丈夫、あたいだってもう神なんだから!」

エンジェル「チルノちゃん…」

チルノ「そういえばカサンドラの住人は、ピラミッドの誘惑に負けてない?」

エンジェル「サナエ様が、いつも周囲に結界を張っていてくれたおかげで、1人もピラミッドに向かっていません」

チルノ「おっし!」フワッ

チルノはガッツポーズをすると同時に、フワッと宙に浮く

チルノ「あたい、行ってくるね!」

~ピラミッド内部~

チルノ「おい!!お前らよく聞け!!氷の神・チルノがお通りだ!!」

魔蛇「シャァァ」ウネウネ

ミイラ「ォォォ…」

チルノ「よくも青年を誘惑したな!!覚悟しろ!!」

そういってチルノは以前よりも強力になった氷の弾幕をばら撒く

パキィィン!

魔物だった物「」

チルノ「ふぅぅ、ここは外と違って涼しいな。闘いやすいし」

青い鳥人「…」ダダッ

チルノ「む、顔が鳥の奴がでてきた」

青い鳥人「…」サッ

チルノ「痛っ!」

青い鳥人はチルノに向かって剣を突き刺す

チルノ「いたたた…何すんだお前!」ガシッ

青い鳥人「…!!」

パキィィン

青い鳥人が持つ剣を掴んで、一瞬にして全身を凍らせていく

チルノ「全く…トリッキーな動きしやがって!」

赤い鳥人「…」シュバッ

チルノ「いっ!?今度は色違いが飛んできた!?」

赤い鳥人は大きくジャンプして、チルノの方へと剣を振りかざす

チルノ「ひっ!」ガシッ

パキィィン

襲い掛かる剣を、白刃取りで受け止める
そのまま先ほど同様に、相手を刀ごと体を凍らせていく

チルノ「変な動き方する奴らばかりだな!」

――しばらく内部を探索していくと、大広間に到達する

チルノ「なんだここ…だだっ広いな」

ゴゴゴ…

チルノ「ん?上から何か来るぞ」

ファラオ「……」ゴゴゴ

チルノ「っ!?な、なんじゃこりゃ!!?」

ファラオ「……」ギロッ

チルノ「ふぁ?」

ズゥゥン

チルノ「ふんぎゃ!!」

呆けているチルノを睨むと、その巨体で容赦なく叩き潰しに掛かる

ファラオ「……」グリグリ

チルノ「なにすんだー!!」グワッ

ファラオ「っ!!」

チルノは信仰による影響でパワーが上がった事もあり、ファラオの巨体を持ち上げ投げ飛ばす

ファラオ「ペッ」ブゥゥン

チルノ「なんだそのヘナチョコ弾幕!」ササッ

ファラオの口から放たれた光弾をサッと避ける
しかしその光弾が壁に当ると、壁は破壊される事もなく、変わりに黄金マスクが練成される

黄金マスク「……」

チルノ「げげげ!このマスク、さっき道中でも見かけたような」

黄金マスク「ペッ」ビュンッ

チルノ「うわぁぁ!」サッ

黄金マスクの口から矢が飛ばされる

チルノ「こいつ道中でも結構厄介な奴だったけ。気をつけないと」

ファラオ「……」ゴゴゴ

チルノ「げっ!?いつの間に真上に!」

ズゥゥン

チルノ「ふんぎゃ!!」

ファラオ「ペッペッ」ブゥゥン

チルノを踏み潰しつつ、口からさらに手下を召喚し続ける

チルノ「いい加減にしろ!!」グワッ

もう一度持ち上げ投げ飛ばす
そして、手から氷の剣を練成する

チルノ「アイシクルソード!」

黄金マスク1「…」ピュンッ

チルノ「当たらないよう~だ!」サッ

黄金マスク2「…」ピュンッ

チルノ「うお!?危ない危ない…」ピュンッ

黄金マスク3「…」ピュンッ

チルノ「痛っ!ちょっ…数多すぎ!」ザシュッ

黄金マスク4「…」ピュンッ

チルノ「だから痛いって!何体手下を召喚してんだお前!!このびびりファラオ!」

チルノ「いや、びびりバカオ!!」

ファラオ「…」イラッ

ファラオ「…」ブンッ

渾身の力を込めて、その巨体を振り下ろすファラオ

ズドォォン!

チルノ「おっと!そう何回もつぶされてたまるか!」サッ

チルノ「オラオラオラ!」ズバッ

ファラオ「っ!!」

ファラオの攻撃をさけると同時に、氷の剣で斬りかかる

チルノ「来いよバカオ!手下なんか召喚しないで掛かって来い!」

フォラオ「……」

チルノは宙に浮き、黄金マスクからの矢の攻撃を回避する
そして煽ってくるチルノを追いかける為、宙に浮き追撃する怒りのファラオ

チルノ「オラオラオラ!!」

ズバッ、ザシュッ!

追撃するファラオから、後退しながら氷の剣で攻撃するチルノ

チルノ「どーした!さっきの勢いがなくなってきているぞバカオ!」

ファラオ「……」イライラ

地道な攻撃は徐々にファラオの体力を削っていく

チルノ「これでトドメだ!」

チルノ「雪符・ダイアモンドブリザード!」

その大広間中に冷気を漂わせ、氷の弾幕をあちこちにばら撒いていく

チルノ「全部凍り付けにしてやる!!」

パキパキパキ…

ファラオ「……っ!?」

~ピラミッド前~

チルノがピラミッド攻略に向かった事を聞いた、カサンドラの人々はピラミッドの前に集う
魔の誘惑に負けないように、鈴仙や早苗、エンジェルが周囲に強力な結界を張って、見守っていた

鈴仙「チルノ大丈夫かしら、私もいくべきだったかな」

早苗「チルノさんはパワーアップしてるし、きっと無事に帰ってきます!」

エンジェル「チルノちゃん…」

ゴゴゴゴゴ…!!!

全員「!!?」

突如、ピラミッドが崩れ始める

民1「な、何だ!?」

民2「ピラミッドが崩れ始めている…!!」

男神官「神チルノ…!」

女神官「どうかご無事で…」

ガラガラガラ…

原型を留める事無く一気に崩れ落ちる
息を呑む住人たちが目に入ったのは、瓦礫とかしたピラミッドの上に、氷の剣を天に掲げる少女の姿がいた

チルノ「あ、あたいの…しょ、勝利だぁ…」

全員「うおおおぉぉ!!」

チルノ「」ドサッ

エンジェル「チルノちゃん!!」

鈴仙と早苗、エンジェルが倒れたチルノの元まで駆け寄る
ファラオとの闘いで体はボロボロだった

そのボロボロの状態で、いきなり暑い日差しを浴びた影響もあって、体が既に溶け始めていた

チルノ「き、聞いてくれ。せーねんの仇はあたいがとったぞー…!」

早苗「ええ、立派ですよチルノさん」

鈴仙「ええっと…彼女の場合、水分補給よね…」

チルノ「み、みなの者、よく聞け!」

チルノ「カサンドラのみらいにえーこうあれ…!!」

ジュワアァァァ…

エンジェル「あ、溶けきっちゃった…」

カサンドラ民全員「うおぉぉぉぉ!!!」

カサンドラの住人が涙を流し、両手を天へ掲げる

鈴仙(……ま、妖精にして一応神だし。後で復活するし、そこまで心配する必要もないか)

カサンドラ民全員「チルノ!チルノ!チルノ!チルノ!チルノ!チルノ!」

男神官「本当にありがとうございます」ペコッ

早苗「いえいえ、この地域で一番の活躍をしたのは間違いなくチルノさんですから。私は大した事は…」

女神官「感謝の印として、神々にコレを献上いたします」

そういって神官は、巻物を渡す

早苗「これは…巻物」

女神官「きっと魔力を上げる為の物でしょう。今はリハビリをされてると言う戦士像のカミに渡してあげて下さい」

女神官「それと…この石版を」

早苗「古い感じの石版ですね…」

女神官「これが何を意味するのか我々には分かりませんが…恐らく、他地域にて役に立つのではないかと思うので、献上致します」

早苗「ありがとうございます!」

男神官「コチラこそ本当に世話になりっ放しで…どうか、他の地域も、カサンドラの様に住みやすい地域にしてあげて下さい」

早苗「はい!」

男女神官「ではサナエ様!レーセンさん!天使様!これからも頑張ってください!神チルノと戦士像のカミにもヨロシクお願いします!」

~~~

カサンドラ民1「さあ!今日も開拓を始めよう!」

カサンドラ民2「俺は今日は畑仕事だ。頑張るぞ!」

カサンドラ民1「うっ…ゲホゲホ!」

カサンドラ民2「おいおい仕事前になんだ…うっ!!ゴホゴホ!!」

カサンドラ民1「お前こそ大丈夫か…ゲホゲホ!」

カサンドラ民2「せっかくこのカサンドラから魔物が消え去ったんだ…頑張らないと、ゲホゲホ!ゴホゴホ!」

完全平和を手にしたカサンドラは、その平和と引き換えるようにして、体調不良を起こす者が徐々に増え始めていた

~火山の土地・アイトス~

魔理沙「お、なんか久々に勢ぞろいしたって感じだな」

早苗「この地域はほとんど、魔理沙さんと鈴仙さんに任せっぱなしでしたが…見事に街の開発が進んでますね!」

男神官「レーセンさんのおかげで、私の壊れかけてた体がすっかりよくなりました」

女神官「マリサさんも日々、魔物の巣から現れる悪魔たちを圧倒的な力で追い払ってくれてます」

魔理沙「正直、弱くて話にならん奴らばっかだけどな。一部のぞいて」

早苗「一部?」

魔理沙「ああ…でっかいガイコツがいてな。あれだけは簡単に倒せなくてさ」

魔理沙「アイツを倒しそこねると大変な事になるんだ」

早苗「大変な事?」

魔理沙「前に苦戦した時があって…そん時、地震を起こしやがった」

鈴仙「ああ、そんな事もあったわね。ここの住人の努力もあって早く復興したけど」

早苗「そうですか。神官さん、ちょっと内々に会議をしたいんで、席を外してもらっても良いですか?」

男女神官「畏まりました!」

~神殿のある一室~

早苗「では会議を始めます」

魔理沙「なんだよ改まって」

早苗「まずはチルノさん、カサンドラでは大活躍でしたね」

チルノ「えへへへ、あたいってば最強だからね!」

魔理沙「へー。やっぱ神格化してからパワーアップしたんだな!」

早苗「私たちはこの世界の半分を、何とか攻略してきました」

早苗「しかし、敵が徐々に強くなって来ている感じがします」

魔理沙「あーそれはあるかもな。弾幕一発じゃ始末できなくなった魔物も増えてきた」

チルノ「変な動きする奴とかも増えてきた!」

早苗「私も正直、はじめは幻想郷の妖怪たちと比べて、なんて力のない連中なのだと、舐めていました」

早苗「ですが徐々に、敵の脅威を感じつつあります。その土地にいるボスクラスの魔物も厄介なのが増えてきました」

チルノ「あのピラミッドのバカオも、イヤらしい攻撃ばかりしてきた!」

鈴仙「私は途中からの参戦だから、実感持てないけど…悪魔たちも私たちを警戒してきてる証拠なのかしら?」

早苗「きっとそうですね」

魔理沙「警戒してるのは下っ端だけで、肝心の親玉サタンは案外、吞気に構えてそうだけどな」

魔理沙「てっとり早くサタンと闘ってみたい物だぜ!あー早く出てこないかな」

チルノ「あたいもサタンをぶっ飛ばしたい!」

鈴仙「そういえば魔王サタンはいったいドコにいるのかしら?」

早苗「う、言われてみれば…この世界には確実にいるはず何だけど…」

早苗「……まあ今はとにかく、目の前の事だけを考えておきましょう」

早苗「今後、魔物退治に出向かう時は、二人以上で行こうと思います」

魔理沙「あーそうか。今までは大体ソロが多かったもんな」

鈴仙「敵が強くなって来てるなら、見方が1人でも多く居た方が良いわね」

~その頃、幻想郷・白玉楼にて~

妖夢「幻想郷での修行を始めてかなり経ちましたが、力の具合はどうでしょうか」

アクトレイザー「まだ全盛期には達してないが、もうあと少しだ」

アクトレイザー「正直、そろそろ私も本格的に参戦してもいい頃だと思うんだが」

妖夢「そうですね…では、そろそろ修行の総仕上げと行きましょうか」

アクトレイザー「総仕上げ…」

妖夢「これから私がカミに幻想郷の強者達を紹介します。その彼女達と戦ってもらいます」

アクトレイザー「ふむ。だが強者といえば守矢神社に戻れば、神奈子や諏訪子もいるしな」

アクトレイザー「二人の真の力は見たことないが…恐らく、私の想像を遥かに上回る物があると思うのだが」

妖夢「カミのいう事も最もですが、ここは手順を踏んで色んな方々と戦うのが良いと思います」

妖夢「一応、最終的には仮想サタンも私の中で考えてますし」

アクトレイザー「仮想サタン…サタンと同等と思える者と決闘するという事か」

妖夢「そうです。ほら…守矢の二柱は神な訳で、あまり悪役に相応しくないと言うか…」

アクトレイザー「力だけでなく、立場も悪役に相応しい相手を呼ぶという事だな」

アクトレイザー「では修行の総仕上げのプラン、師匠にお任せしようか」

妖夢「はい!ではまず…」

妖夢「命蓮寺へいきましょう」

今日はここまで

【命蓮寺正門】

妖夢「こんにちは」

響子「こんにちは。あなたはいつぞやの半霊さんね。今日はどうしたの?」

妖夢「実は聖さんに用がありまして」

響子「聖に?」

妖夢「はい、隣に居るこの方の修行に付き合ってもらいたくて」

アクトレイザー「初めまして。東風谷アクトレイザーだ」

響子「……」ギロッ

妖夢には爽やかな挨拶を交わすのと対照的に、カミに対しては厳しい眼差しで視線を送る響子


響子「貴方はたしか新参者の、あの守矢神社と手を組んでるというカミか」

アクトレイザー「手を組むも何も、今はもう家族同然の仲だが」

響子「スゥーッ……」

響子「ぎゃーーーーーーーてぇぇぇーーーーー!!!!!!」

アクトレイザー「!?」

妖夢「きゃ!?何ですかいきなり大声をだして…」

ドドドドドドド…!!

響子が雄叫びをあげると同時に、地響きが成り始める
その音は物凄い早さで近づいてくる

妖怪1「響子さん!今の叫び声は緊急事態の号令ですね!?」

妖怪2「む、あれはいつぞやの半霊…それと…新参のカミ!?」

妖怪3「異教徒だ!!」

妖怪4「おのれ新参の分際で!ウチを襲撃にきたのか!寺を破壊してまで信仰が欲しいか!!」

アクトレイザー「いや待て。話を聞いてくれ」

響子「さあ皆さん、やっちゃいますよ!!」

妖怪たち「オオオ!!」

妖夢「まったく、紅魔館じゃ歓迎されてたのに…」

アクトレイザー「……」

妖夢とカミは剣を構え、目の前の敵の群集へと飛び出していく

ドォォン!ボゴォォン!!

星「待ちなさい!なんの騒ぎですか!!」

飛び交う弾幕の爆発する音の中から、女性の声が境内に響く

響子「あ、大変です!異教徒が襲撃に参りました!!」

星「なんですって?」

妖夢「あ、いや…これは…」

アクトレイザー「……」

星「半霊さんに…新参のカミですか。一体これはどういう事ですか」

アクトレイザー「ああ、なにやら誤解されているみたいでな」

アクトレイザー「私はただ、修行をしにここへ挨拶に来ただけだ」

星「修行?貴方は守矢神社のご神体だったのでは」

アクトレイザー「寺に帰依するのではない。力をつける為に武者修行にきただけだ」

ぬえ「もう何だって良いじゃない。この惨状が誤解だろうと何だろうと」

ぬえは手に持っている三叉槍で、カミの後ろから刃を向ける

ぬえ「修行したいって事は暴れたい…そうだろ!?カミ様とやら!!」ブンッ

ガキィィン!!

辛うじてぬえの攻撃を剣で防ぐ

アクトレイザー「うっ…!」

ぬえ「ほらほらほら!!どうしたの!?その程度かしら!」

アクトレイザー(動き早い上に、力強い…!)ググッ

聖「やめなさい!!」

全員「っ!!」ビクッ

星「聖…」

聖「状況は大体把握しました。いますぐ攻撃をやめなさい」

ぬえ「ちぇっ…」

聖「白玉楼の半霊さんに、新参の神・アクトレイザーさんね?」

アクトレイザー「ああ」

聖「こちらへどうぞ」

【居間】

聖「……」

星「……」

アクトレイザー「……」

妖夢「あ、えっと…」キョド

妖夢とカミは、正面の正座をしている女性二人と向かい合う

星「初めまして。妖怪にして本尊代理を勤め、聖の信仰を一身に受けていた寅丸星です」ペコッ

聖「初めまして。この命蓮寺の住職を勤めている聖白蓮です」ペコッ

妖夢(よかった…この二人は温厚そうで…)

村紗「……」ジッ

一輪「……」ジッ

妖夢(うっ…あの幽霊と妖怪僧侶は変な目でこっちをみてくる…)

村紗「別に貴方は怯える必要ないわ。半霊さん」チラッ

一輪「ええ、少なくとも貴方はね」チラッ

アクトレイザー「……」

二人は怪しむ視線をカミへ送るが、カミは特に気にせず聖と星へと視線を交わす

星「はぁぁ…全く」ムクッ

ガララッ

星は立ち上がり後ろのふすまを開けると、大勢の妖怪たちが腕を組んで睨みをきかせていた

星「アナタ達、こっちはいいから自分の修行に励みなさい」

妖怪たち「……」ゾロゾロ

妖怪たちは渋々、退散していく
しかし聖と星以外は相変わらず、カミへ厳しい視線を送る

村紗「……」ジッ

一輪「……」ジッ

聖「先ほどは失礼しました」

アクトレイザー「気にしなくいい」

聖「それで…武者修行にきたと仰いましたが」

アクトレイザー「ああ。妖夢師匠から直々に強い力をもった方を紹介すると言われてな」

聖「まあ、照れるわ」

村紗「そうですね。聖は身も心も強いお方です。あなたと違って」ウンウン

一輪「姐さんは偉大なるお方です。あなたと違ってね」ウンウン

アクトレイザー「……」

星「一輪、村紗!いい加減にしなさい!」

村紗・一輪「……」

聖「すみません…先ほどの騒動のせいでかなり警戒しているようで…」

アクトレイザー「いや、いいんだ」

聖「そういえば貴方は、守矢神社の早苗さんとご結婚なされたんですよね?」

アクトレイザー「いや。まだ婚約だ」

聖「そうですか…フフフ、あの血気盛んな子が婚約ね…」

アクトレイザー「血気盛ん?早苗が?」

聖「ちょっと昔を思い出しまして。私が法界からの封印を解いてくれた時のことを」

アクトレイザー「そういえばそなたも少し前まで封印されていたらしいじゃないか」

聖「ええ…私を解放するのに協力してくれたのは、星、村紗・一輪、ナズ…そしてあの3人」

アクトレイザー「あの3人?」

聖「霊夢に魔理沙…そして早苗さんです」

アクトレイザー「ほう…」

―回想・法界にて―

霊夢「私は妖怪に味方する奴は全員倒すつもりよ!場合によっては神様も退治するけど」

魔理沙「妖怪と人間は平等じゃない。人間の方が弱いんだから優遇されるべきだ!」

早苗「神様と妖怪が同じですって?そんな訳有るもんですか!退治させて頂きます!」

―――――

聖「……という事がありまして」

アクトレイザー「異変だと思って動いていたら、偶然そなたを解放してしまったと言う訳か」

聖「ええ。手荒い歓迎を受けましたが感謝はしてます」

ナズーリン「キミの嫁は清楚な面してるけど割と好戦的なんだよ。殺る気満々だったし」

アクトレイザー「それは意外な一面を知ったな」

ナズーリン「大体、守谷の連中は昔から事を強引に進めようとする事で有名だからね…キミもある意味被害者だろ?大変だね~」

アクトレイザー「ナズと言ったな?あの3人の悪口は言わないでくれるか。私はあの3人には心底感謝しているんだ」

ナズーリン「え?あ、そ、そうですか…」ビクッ

星「ナズ!!あなたまで変な事を言わないの!!」

ナズーリン「はいはい」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー「早苗たちは妖怪退治に躍起になっていたのはわかった。だがその程度で早苗を幻滅することはない」

アクトレイザー「退治と言っても…彼女達の言う退治の意味は、懲らしめる程度という意味だろ?」

聖「……何が言いたいのですか?」

星「……」

先ほどまで柔和に接していた聖の声が少し重くなる
星もやや怪訝な表情でカミを見つめ始める

アクトレイザー「私はそんなレベルじゃない。悪と見なした者は文字通り永久に亡き者にするつもりだ」

村紗「とうとう本性を現しましたね」ガタッ

一輪「……っ!」ガタッ

星「待ちなさい二人とも。まだ話は終わってない」

村紗・一輪「……」

聖「貴方は力をつけて、何がしたいのですか?」

アクトレイザー「人々を悪しき存在から守りたい。それだけだ」

聖「……貴方の過去に何があったのか、詳しく聞かせてくれますか?」

アクトレイザー「私は遥か大昔…」

―回想・大昔―

悪魔「ギャオォォ!!」

住民たち「うわあぁぁ!!」

「フン!!」ザシュッ

悪魔「グオォォ…」シュゥゥ

住民たち「おお…カミよ!」

~~~~

サタン「何度も何度も私の邪魔をするな」

ズドォォン!ボォォン!!

「貴様が人々を襲う限り…私は何度でも立ち向かうつもりだ!!」

~~~~

サタン「どうだ。私の優秀な部下たちは」

「ぜぇぜぇ…」

サタン「カミよ、私とお前の長い闘いもこれで終わりだ」

ボォォン!!

「うっ…!」ガクッ

エンジェル「あ…ぁぁ…カミ様!!」

~~~~

サタン「さあ…邪魔なカミもいなくなった」

サタン「我が忠実なるしもべ達よ」

サタン「この世界の住人全員。1人残らず皆殺しにしろ」

魔物たち「ギャオォォ!!」

住人たち「う、うわぁぁ…」ガクガク

サタン「ク…クク…フフフ…」

サタン「ハハハハハハハハハ!!!」

ギャアアアアアア!!ウワァァァ!!!

サタン「いいぞ!もっと苦しめ…もっと泣き叫べ!!ハハハハハハハハハ!!!」

サタン「カミはもういない!!これからは…悪魔の時代だ!!!!」

―――――

アクトレイザー「……それから私は長きに渡り、封印を余儀なくされた」

聖「……」

星「……」

村紗「……」

一輪「……」

アクトレイザー「いまあの世界にいる悪魔の大半が、死んでいった人間達」

アクトレイザー「元の人間の姿に戻させ、私はもう一度あの世界を復興させたい」

アクトレイザー「そのためには力が必要だ。故に修行をしにきた」

聖「そうですか…とても人事には聞こえませんね」

アクトレイザー「そなたはなぜ封印をされてしまったのだ」

聖「私の場合は…」

―僧侶説明中―

アクトレイザー「……そうか。そなたはか弱き妖怪たちを守る為に」

聖「ええ。元は死ぬのが怖かっただけの自分が…魔力を手に入れて…」

聖「ふと気がついたら妖怪の立場にも同情するようにもなり…」

村紗・一輪「……」

聖「妖怪だって全員が悪とは限りません」

聖「それにもし悪い道を歩んでいる者がいるなら…教えを説き、正すまでです」

アクトレイザー「……」

聖「アクトさん、ついて来てください」

アクトレイザー「修行に付き合ってくれるのか」

聖「ええ。人間の手によって封印された、悪魔の手によって封印を余儀なくされた違いはありますが」

聖「同じ封印されていた者同士のよしみです」

アクトレイザー「心から感謝する」

【縁側にて】

聖「魔王サタン…そういえば法界にいた頃にその名前を聞いた事があります」

アクトレイザー「なんだと!?」

聖「私も詳しくはしりませんが…法界の住人いわく」

聖「『生きとし生ける全ての存在の中で、もっとも邪悪な存在』と聞きました」

アクトレイザー「……」

聖「ただ法界の住人の間でも、魔王サタンは架空上の存在として認知されていたので、信憑性も薄かったのですが」

聖「本当に実在していたとは…」

アクトレイザー「なぜ法界の住人が、サタンを知っていたのだ?」

聖「古い文献が残っているらしくて…その文献も一体どういう経緯で流れ着いたのか謎のままです」

アクトレイザー「……」

聖「ただ法界の住人達の間では、万が一サタンが存在し、何かの手違いで魔界に来るようなことがあるなら」

聖「魔界も法界も全員が総力を挙げて叩きのめすという、という結論には至ってます」

アクトレイザー「封印先の名所たる魔界ですら、サタンの居場所は無しか…心配はいらない。サタンは必ず私が滅ぼす」

聖「そうですか」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー「変な事を聞くようだが」

聖「はい?」

アクトレイザー「そなたがもしも、私の立場ならどうする?」

聖「……そうですね。当事者になってみないと分かりませんが」

聖「今の私の考えで言うなら、退治はするでしょう」

聖「しかし殺しはしません。懲らしめるだけです」

聖「そして教えを説き、説得し続けます」

アクトレイザー「……」

聖「でもこれは現段階で言える私の結論。本当の意味で貴方の立場にならないと分からない事もあるでしょう」

聖「どうかお気になさらず」

アクトレイザー「ああ」

聖「さあ付きました」

アクトレイザー「……大きな境内だ」

妖夢「カミよ。修行の成果をしかと目に焼きつけさせて頂きます」

アクトレイザー「うむ」

星「ではまず、私が参りましょう」

アクトレイザー「奉られる者同士の対決か」

星「深い意味はありませんが、聖と闘う前にまずは私と手を合わせるのが筋かと思います」

アクトレイザー「そうか」

カミが剣を構えと同時に、星もまた槍を構える

一輪「ちょっと待って」

アクトレイザー「?」

村紗「星と聖を相手にする前に…私達の相手をしてもらいましょうか」

アクトレイザー「……」

一輪「先ほどは大変無礼な事を言って申し訳ない。貴方を誤解していた」

村紗「貴方が誠実な方だという事は分かりました。しかし聖と星と闘うという事は、少なくとも彼女達の身に被害が及ぶ」

ナズーリン「私の事もわすれないで欲しいな」

星「ナズ…」

ナズーリン「私はそこの一輪や村紗と違い、キミの境遇とか聞いても別に涙も出ないし興味もない。所詮は他所の世界の話しだ」

ナズーリン「でもね、聖とご主人は私の上司なんだ。私をすっ飛ばして手合わせするなんて生意気だね。新参の癖に」

ぬえ「私もいるからね」ヒョコッ

アクトレイザー「……」

星「こらこらお前達…」

アクトレイザー「そうか、ならば全員倒していこう」

ぬえ「へえ…なかなか言うじゃない」

聖「アクトさん、すいません…」

アクトレイザー「良いんだ。むしろ私としては嬉しい限りだ」

一輪「ではまずは私から…神拳・雲上地獄突き!」

アクトレイザー「ではこちらも…流星・対魔の星くず」

巨大な雲のげん骨と、光輝く流星魔法がぶつかり合う

~その頃・アイトス~

早苗「風が止まってますね…ここは私の得意技で!」ブンッ

早苗が御祓い棒を横に振ると、ほどよい風が起こる

男神官「おお!さすがカミの妻だ!」

女神官「ありがとうございます!」

女神官「お礼と言っては何ですが、丁度さきほど『羊の毛皮』が出来上がりました。お受け取りください」

早苗「わぁぁ…とても暖かそうです!」

女神官「どうか寒い地域の方々に分けてあげて下さい」

魔理沙「早苗!ついさっき最後の魔物の巣を封印したぞ!」

早苗「そうですか。ここの開拓も順調だし、そろそろ違う地域に行きましょうか」

ズドォォォン!!!!

全員「!!?」

突如、大きな轟音が村中に響く

魔理沙「な、なんだ!?」

ドォォン!ドォォン!

チルノ「うわぁ!?火山が噴火してる!!」

鈴仙「まだこの土地に魔物が残っていたのね…」

早苗「危ない!!」スッ

早苗は天井に目がけて、巨大な結界を張る

住民全員「おおお!!」

魔理沙「すげぇぇな。こんな事もできるのか」

早苗「正直、長くは保ってられません…どなたか、闘いに赴いてくれませんか」

魔理沙「んじゃ私がいく。チルノも来るか?」

チルノ「うん行く!」

魔理沙「熱さにやられるなよ」

今日はここまで

~アイトス・火山内部~

チルノ「」ダラダラ

魔理沙「おうおう、火山内部にも魔物が沢山いるな」

雲の魔物「……」

槍投げの魔物「ゴォォ!」シュッ

魔理沙「ま、ルールに縛れる必要も無いし弾幕打ち放題だから良いけど。魔符・スターダストレヴァリエ!」

色彩鮮やかな星型の弾幕がばら撒かれ、一気に撃退していく

魔理沙「うし、先へ進むぜ」

チルノ「」ダラダラ

魔理沙「どうした。さっそくへばってるじゃないか」

チルノ「ここ…カサンドラより暑い…」

魔理沙「ああそうだな。よく体を保ってるな」

チルノ「神になる前のあたいなら、とっくに溶けてたよ…」

魔理沙「んじゃ、神になったんだからその力をもっと見せてくれよ」

チルノ「~~~!!全部氷漬けにしてやる!!」

半ばヤケクソ気味に、全身から冷気を放出する

魔理沙「寒いんだが熱いんだがよくわからん事になってんな」

鎧の魔物「……」ピュンッ

鎧の魔物2「……」ピュンッ

鎧の魔物3「……」ピュンッ

チルノ「お前らも邪魔!!」

パキィィン!

トリッキーな動きで矢を放つ鎧の魔物を一瞬で氷漬けにしていく

魔理沙「へぇ、やるじゃねぇか」

チルノ「ぜぇぜぇ…もうギブ…」

魔理沙「まだ先は長いんだぜ。根性だせ」

チルノ「もう帰りたい…」

~最深部~

魔理沙「お、なんか大広間に到着したぞ」

チルノ「へんな銅像とかも置いてある…そろそろここの主が出てくるのかな」

ヒュンッ!

魔理沙「うお!?熱っ!」

チルノ「わわわ!!あちち!」

燃える何かが接近
魔理沙とチルノは攻撃が掠るも、辛うじて避ける

火炎車「……」ゴゴゴ

チルノ「なんだあの燃える1つ目妖怪!?」

魔理沙「くるぞ!」

火炎車「……!」ゴゴゴ

燃え上がる車輪は、猛スピードで二人に突進を仕掛ける

チルノ「こいつ、素早い上に何処までも追尾してきやがる!」

魔理沙「でもこっちも二人いるから、あっちも闘い辛いだろうよ」

火炎車は二人を闇雲に追いかけるも、魔理沙とチルノが二手に分かれて動き回る為、なかなか攻撃が当たらずにいた

火炎車「……」イライラ

ボォン!ボォン!ボォン!

攻撃が当たらない事に業を煮やしたのか追尾をやめる
そして四方八方に弾幕を仕掛ける

魔理沙「そういうのはお得意分野なんだよ!」サッ

チルノ「同じくお得意だ!」サッ

難なく弾幕を避け切る二人
だがその時、魔理沙の横から何かが接近する

魔理沙「げ、やべ」

ドゴォォ!

魔理沙「痛っ…!」

チルノ「魔理沙!」

火炎車「……」ゴゴゴ

チルノ「あんにゃろー!」

魔理沙「いてて…油断してたぜ。弾幕撃って速攻体当たりかよ…」

魔理沙「チルノ!しばらく様子よけることに集中するぜ!」

チルノ「え!?うんわかった」

火炎車「……」ゴゴコ

~10分後~

魔理沙「……なるほど、大体わかったぜ」


チルノ「え?」

魔理沙「チルノ。私たちはアイツに勝てる」

魔理沙「あいつ、一見どこまでも追尾してくるようで、意外とパターン化した動きが多い」

魔理沙「そのパターンも大体読めた。多分、楽に勝てるぜ」

チルノ「本当!?でも…あたいもう…そろそろタイムリミットかも…」ダラダラ

魔理沙「もうちっとガンバレ」

チルノ「あうぅぅ」

火炎車「~~~~ッ!!」イライラ

チルノ「な、なんかアイツ怒ってる?」

魔理沙「楽に勝てるって言ったからな。プライドが傷ついたんだろ」

魔理沙「だが私にもプライドがある。ちまちまとした戦闘は好きじゃない」

チルノ「あたいも同じく!どうせ闘うなら派手にやりたい!」

魔理沙「よっしゃ!んじゃチルノ、アイツの動きを止めてくれ」

チルノ「あいよ!」

チルノ「熱…あちちち!!!」ガシッ

火炎車「っ!?」

チルノは火炎車を掴む。燃える熱の影響でチルノの全身から凄い蒸気が発生する

チルノ「ま、負けるか!お前も氷着けにしてやる!!」

パキィィン

火炎車「」

チルノ「どうだ!!ってあたいが倒しちゃった」

魔理沙「いや、まだだ」

パリィィン

火炎車「ッ!!!」

チルノ「わわ!?復活が早いって!!」ガシッ

氷結状態を早々に脱する火炎車
接近させまいとチルノは再び火炎車の体を掴む

ガリガリガリガリ!!

チルノ「わわ!!足が摩擦して痛い!!」

チルノ「こんにゃろ止まれ!!」

パキィィン!

火炎車「」

魔理沙「よし!私の背後へ避難しろチルノ!」

チルノ「うん!魔理沙も早くやっちゃえ!」

チルノが即行に魔理沙の背後へ回ると、魔理沙はミニ八卦炉を前に突き出す

魔理沙「よく見てろ。魔力フルパワーで射出するぜ…いままで生きてきた中で一番の弾幕を」ゴゴゴ

火炎車「」ミシミシ

パリィィン!

火炎車「……」ゴゴゴ

氷結を脱した火炎車は、猛スピードで魔理沙の方へと飛んでいく

魔理沙「粉々にしてやるぜ。魔砲・ファイナルマスタースパーク…!!」

~アイトスの街にて~

早苗「ぜぇぜぇ…!」

女神官「サナエ様!どうか最後まで…」

エンジェル「ぜぇぜぇ…私もそろそろ限界です…」

早苗は空から降り注がれ噴火する溶岩を、巨大な結界を張ることで街を守ってきた
しかし巨大すぎる結界を維持するのは簡単なことではなかった

結界維持に協力してきたエンジェルも既に限界達していた

早苗(め、目まいが)フラフラ

鈴仙(マズイ…もう意識がとびかけてるわ…)

鈴仙(私のじゃあんな巨大な物は貼れないし…)

男神官「頼む…間に合ってくれ…」

ドゴォォォォン!!!

全員「!!?」

噴火する火山の方から、極太のレーザーが飛び出してくる

鈴仙「あんな太いレーザーはじめて見たわ…でも恐らく、あの技を使ったのは」

エンジェル「もしかして魔理沙さんですか!?」

大きなレーザーの出現と同時に、黒雲が晴れ噴火が止む

~~~~

早苗「ぜぇぜぇ…どうやら…異変は解決したようですね…」ドサッ

エンジェル「早苗様!」ガシッ

エンジェルは小さな体で、気を失い倒れる早苗を支える

男女神官「サナエ様!」

鈴仙「はぁぁ…異変は解決したけど、まだまだ仕事が山積みになりそうね」

鈴仙「天使さん。いますぐ早苗を医務室まで…」

住民1「ん?なにか落ちてくるぞ」

全員「!?」

エンジェル「あれは…チルノちゃんと魔理沙さん!?」

チルノ「魔理沙…お、重い…もう限界…」

チルノ「」シュゥゥ

魔理沙「」

魔理沙を抱えていたチルノは上空で落ちながら溶け、魔理沙そのまま地へと落ちていく

鈴仙「わわわ!?」ガシッ

エンジェル「ナイスキャッチです!」

鈴仙「魔力を完全に消費し切ってるわね…全くどれだけフルパワーで闘ったのよ。効率を考えなさい」

魔理沙「」グッタリ

~その頃、命蓮寺境内にて~

アクトレイザー「ぜぇぜぇ…」

ぬえ「よく頑張ったよ。ウチの連中3人も倒して。この私をも相手にして」

一輪「頑張ってぬえ!!」

村紗「私たちの仇をうって下さい!」

ナズーリン「ま、カミのスペカは残り僅かっぽいし。勝てるんじゃないかな?」

アクトレイザー「……ッ」

ぬえ「残された体力もスペカもあと僅かみたいね」

ぬえ「ラストスペルを出し渋っているの分かってるよ?表情が焦ってるもん」

アクトレイザー「……」ググッ

ぬえ「む?」

カミは持っている剣を高々と振り上げる
そしてそのままの姿勢を保つ

ぬえ「ついにラスペを使うのかな?私はあと3枚残ってる」

ぬえ(まあ私もだいぶ疲れてきてるんだけどね…神力が込もった攻撃は、妖怪の体に悪いわね…)

アクトレイザー「……」

眼を瞑り、何かを念じるように意識を集中させる

アクトレイザー「……」

ぬえ「…?何もしないならこっちからいくよ!」

ねえ「鵺符・鵺的スネークショー!」

ウネウネした動きをした弾幕がばら撒かれ、地上へと降り注がれる
カミは剣を振り上げたまま、横や後ろにジャンプして避けていく

アクトレイザー「……」

ぬえ「ほらほらどうしたの?攻撃しないの?」

星「疲弊してるから、避ける事でぬえのスペカをクリアしようとしているのでしょうか」

星「今回の勝負には審判もいますしね」

聖「たしかにタイムオーバーの狙いも考えられますけど、何か違う策を考えているようにも見えます」

星「え…」

響子「……」チラッ

審判役を務めていた響子は、時計を見て時間を確認する

響子「ぬえ!のこり10秒ですよ!」

ぬえ「む!いけない…本当に攻略されてしまう。そうなると私のスペルも残り2つ」

ぬえ「避けるだけなんて味っけない。ほら!貴方も攻撃してきなよ!」

アクトレイザー(まだ全盛期には到達してないが、だいぶ力は戻ってきている)

アクトレイザー(数発くらいならだせる)

ブゥゥン

ぬえ「ん?」

妖夢「剣が青白く光った…」

星「剣に弾幕を纏っている…」

アクトレイザー「いくぞ…ふん!」シュッ

ぬえ「なっ…」

カミが剣を振り下ろすと、青白いの刀気が、物凄い速さでぬえまで飛んでいく

ズバッ

ぬえ「ぐえ!」

アクトレイザー「ふっ…!」

ズバッ!ズバッ!ズバッ!

一瞬の怯みを逃さない
何度も剣を上下に振り、刀気をとばしていく

ぬえ「ぐええ!」ドサッ

アクトレイザー「……くっ。いまの私にはコレが限界か」

数発ほど刀気を放ったが、完全に力をコントロールできず、剣から光が消える
同時に、ぬえも地に下りて膝をつく

ぬえ「あーもう疲れた!私の負けで良いわ!」

アクトレイザー「まだ余力があるように見えるが?」

ぬえ「疲れたの!あと神力が込もった攻撃は妖怪にはキツイわ!」

アクトレイザー「そうか」

星「では次は私か」

アクトレイザー「うむ、よろしく頼む」

聖「お待ちなさい。今日はもうこの辺にして置いた方が良いわ」

アクトレイザー「いや、まだ私は…」

聖「気力はあっても、魔力が底を尽きかけてるわ。避けるだけの闘いをしてもあまり良い修行とは言えないわ」

アクトレイザー「……」

聖「今日の所は帰りなさい」

アクトレイザー「うむ。続きはまた明日としよう」

~~~~

妖夢「今日の刀気弾幕は、私の攻撃スタイルを模範した物ですか?」

アクトレイザー「いや。元は使えたのだ」

妖夢「え、そうだったんですか!?」

アクトレイザー「もうあと一歩だ。あの攻撃が持続できるようになれば…」

妖夢「そうですか…」

妖夢(そろそろ追い抜かれちゃうのかな?神様だから仕方ないけど)

妖夢(実際、信仰の影響があったとは言え短期間でよくここまで成長を…)

アクトレイザー「だが刀気の応用技は師匠の方が多い。見習うべき点も沢山ある」

アクトレイザー「私がそなたを越える事はない。そなたは私の師匠だからな」

妖夢「っ!」ギクッ

複雑な表情が顔に出ていた妖夢に、さり気無くフォローを入れるカミ
すると慌てた表情で妖夢はうろたえる

妖夢「あ、いや!べ、べつにそんな…そのようなお世辞は…」

アクトレイザー「お世辞などではない。そなたほど可憐で強き剣士は見たことが無いからな」

妖夢「」ドキッ

その優しくも勇ましい眼差しに、今度は違う意味で心臓が飛び跳ねる

妖夢「もう、からかわないで下さい!」

~次の日・アイトス~

男神官「サナエ様、レーセンさん、神チルノ、天使様…そしてマリサさん。本当にありがとうございます」

女神官「どうか他の地域も、アイトスの様に心休まる土地にしてあげてください」

早苗「はい!お二人もこのアイトスの文明発展を頑張ってください!」

男女神官「はい!」

早苗「さて残るは…ノースウォールと、マラーナですか」

チルノ「今度こそ寒い土地で活動したい!もう熱いのはこりごり!」

鈴仙「では予定通り、二手に分かれますか」

早苗「そうですね。私と鈴仙さん、エンジェルさんはマラーナへ」

チルノ「じゃあ、あたいと魔理沙はノースウォールにだね!」

魔理沙「ま、待ってくれ」

チルノ「ん?」

魔理沙「まだ体が上手く動けないんだよ。少し休んでから行こうぜ」フラフラ

魔理沙は安定しない足取りで歩き、少し歩いただけでヘナヘナと床に両膝をつく

鈴仙「……この疲労振りを見るに、2日や3日じゃ回復しそうに無いわね」

早苗「もう、闘うパターンが分かったなら何でもっと効率よく闘わないのですか」

魔理沙「弾幕はパワーだ。それにボスを目の前に、ちまちました攻撃なんてできるか!」

チルノ「そーだそーだ!」

鈴仙「……はぁぁ。とにかく、ノースウォールに行くのはじっくり休んでからにしてね」

魔理沙「あいよ。そっちも気をつけてな」

女神官「お二人とも。給仕係がシチューを作ったのでどうぞお召し上がりください」

魔理沙・チルノ「いただきまーす!」

~カサンドラ~

男神官「こ、これは一体…」

住民1「」

住民2「ぐあ…ぁあ…」

住民3「ゲホゲホ!く、くるしい…ゴホ!ゴホ!」

住民4「こひゅー…こひゅー…」ガクガク

謎の疫病が流行り始め、人々は次々と倒れていく

男神官「ああ…一体どうすれば良いんだ…」

女神官「……神殿へ行きましょう。今の我々に出来ることはそれしかありません」

~~~~

とある住民(ダメだ…もう体が動かない…)

とある住民(ん?)

霊魂「……」

とある住民「ま、まさか…」

死にかけ住民は、驚いた拍子に一瞬立ち上がるも、すぐに地に倒れ付す

とある住民「」ドサッ

霊魂「……」

とある住民「い、行ってしまった」

とある住民(まさか最後の最後に…)

とある住民「……」

とある住民「」ガクッ

霊魂「……」

その霊魂は住人の死を見届けると、隣の国に向かって飛んでいく

今日はここまで

~熱帯の孤島・マラーナ~

早苗「ここがマラーナ。思いっきりジャングルですね。もっと動きやすい格好で来れば良かったかしら」

エンジェル「幻想郷出身のお二人にはキツイ環境かもしれませんが、頑張りましょう」

鈴仙「うわぁぁ…なにここ。湿気が凄いし、熱いし」

鈴仙「こんな時に、チルノがいれば涼しかったのに…連れて来れば良かったかしら」

早苗「いまさら文句言っても仕方ありません。なるべく沼には落ちないように、飛翔して進みましょう」

前向きに気持ちを切り替え、二人はジャングルを飛行しながら進んでいく

ボトボト

鈴仙「ん?いま私の首に何かが落ちてきた様な…」

毒蛇「シャー」

鈴仙「」

鈴仙「いやああああぁぁぁ!!!!」

気味の悪い赤い蛇は、鈴仙の首に絡みつく

早苗「大げさですね。ほら」ヒョイッ

鈴仙「!?」

早苗「可愛いじゃないですか。よしよし」ナデナデ

毒蛇「シャ~」

鈴仙「よく触れるわね…そんな気味悪いの…」

早苗を気に入ったのか、その蛇もまた早苗の首に絡みつく

鈴仙「うわわ!?ちょ、危ないわよそれ!」

早苗「大丈夫ですって。大げさな」

毒蛇「シャー」

鈴仙「ひぃぃ!貴方の髪にも纏わりついてるわよ!?」

早苗「これは髪飾りです!」

早苗「しかしここは、他のエリアに比べて敵の数が多いですね」

コウモリ「キーキー!」

吹き矢の男「……」ピュンッ

爆弾魔「……」ポイッ

トーテムポール「……」クルクル

鈴仙「いよいよこれを使うときがきたわね」スチャッ

鈴仙の周りに赤い目の様なエフェクトが浮かぶ
そしてウサ耳のついた銃を構え、狙いを定める

早苗「それってメガホンなんですか?それとも銃?」

鈴仙「どっちだっていいじゃない」カチッ

ボォォン!ボォォン!ボォォン!

銃口から放たれたは弾幕は遠くにいる相手を確実にし止めていく

早苗「なんかスナイパーライフルみたいな使い方をしてますね」

鈴仙「だ、だってここ魔物以外にも変な生物いっぱいいるし…前方の邪魔者を排除してからいっき進みましょう…」ビクビク

トーテムポール「……」ピョンピョン

鈴仙「くっ…なにあれ!?硬いわ!」

銅像はクルクルと回転しながら、鈴仙たちに向かってくる

鈴仙「ちょっ…いい加減に…」

早苗「せい!」ビュゥゥ

早苗がお払い棒を横に薙ぎ払うと、大きな風が起こる
衝撃波のような威力はトーテムにダメージを与えつつ吹き飛ばしていく

飛ばされたトーテムは、吹き矢や爆弾で攻撃してくる者たちに激突する

吹き矢の男・爆弾魔「ッ!?」ドゴォォ

早苗「大体一掃できたはずです。いきましょう」

鈴仙「ええ」

吹き矢の男「くっ……」ムクッ

爆弾魔「ォォ……」ムクッ

トーテムポール「……」クルクル

早苗「は!?」

鈴仙「起き上がった…タフな連中ね」

鈴仙「こうなったら…」カッ

鈴仙の紅い瞳がより一層濃くなり光る

吹き矢の男「……?」ピュンッ

爆弾魔「……??」ポイッ

トーテムポール「……!?」スカッ

魔物たちの攻撃が急に当たらなくなる

早苗「なるほど、能力を使ったんですね。便利な能力ですね」

鈴仙「よかった、悪魔相手にも私の能力がきいて」ホッ

鈴仙(……もっとも、これから先の相手にも効き目があるかわからないけど)

~~~~~

その後、鈴仙と早苗はタフな魔物達を一掃すべく、弾幕を乱射し続け前に進んでいった

早苗「ぜぇぜぇ…思えば私、この世界にきてからは町作りをメインに手伝ってたわね…」

早苗「弾幕ごっこも全然やってなかったから体力落ちたわ…」

鈴仙「でも実際、このエリアの敵は相当硬いの多いわ」

デュラハン「……」ダダッ

早苗「ん?」

疲弊しきった二人の前に、赤い体をした顔の無い槍を持った魔物が突進してくる

早苗「また変な動きをした魔物が」

鈴仙「この世界の魔物はいちいち、生理的に嫌悪したくなる動きをする奴らばかりね」

デュラハン「…」ピタッ

早苗(止まった?何もしてこないのかしら)

デュラハン「……」ジーッ

鈴仙「ん??」

ビュンッ!

早苗「きゃ!?」サッ

鈴仙「うっ!?」サッ

デュラハン「……」サッ

槍を持った魔物はヒット&アウェイの動きで、攻撃をしたあとすかさずバックして距離を取る

早苗「もー!いちいちイライラする動きを!」

デュラハン「……」ダダッ

再び接近する魔物。同時に槍を延ばして攻撃仕掛けるが、早苗はジャンプしてよける
宙に浮きながら早苗はお払い棒を振りかざす

早苗「貴方にかまっている暇などありません!」ザシュッ

デュラハン「ッ!!」

地に着地するとそのまま振りかざしていたお払い棒を振り下ろし、攻撃していく

鈴仙「とっとと倒しましょう」カチッ

ボォォン!

早苗「せい!やあ!」

ザシュッ!ザシュッ!

デュラハン「」ドサッ

鈴仙と早苗の挟み撃ちでどうにか槍を持つ魔物を倒す

早苗「だいぶしつこい相手でしたね…」

早苗「……で、あれがこのエリアの主ですか」

ラフレシア「……」

鈴仙「でかい植物ね…」

早苗「とりあえず、お払い棒で薙ぎ払ってみますか」

早苗「えい!やあ!」ザシュッ

鈴仙「じゃあ私も」パァン

ラフレシア「……」

早苗「ダメだ…全然きいてない…」

鈴仙「キャッ!!?」

早苗「どうしました!?」

早苗が後ろを振り向くと、触手に絡まれた鈴仙の姿が目に映った

鈴仙「いやっ…離して!キャッ…!」

触手「」ウネウネ

鈴仙「ちょ…ドコに突っ込んでるの!?イヤ、やめて!!」ジタバタ

早苗「えい!」ブンッ

早苗がお払い棒を横に薙ぎ払うと、そこから青白い弾幕が飛び出る
その弾幕は触手へと向かい攻撃する

ボォォン!ボォォン!

鈴仙「ぜぇぜぇ…あ、ありがとう…」

早苗「もう、見てるこっちが恥ずかしくなる様な格好しない下さい。はしたないですよ」

鈴仙「別に好きでああなった訳じゃないわよ!それよりもアレ、どうする?」

ラフレシア「……」

早苗「全然攻撃がきかないし…なにか効率的な方法はあるのかしら」

ラフレシア「……」ペッ

早苗「ん?何か吐き出しましたね」

ラフレシアが吐いた宙に浮く小さな丸い触手は、早苗の頭上で止まる

丸い触手「」ウネウネ

早苗「キャッ!?」ブンッ

お払い棒で薙ぎ払うと、いとも簡単に破壊する事ができた

早苗「何なんですかアレは…気持ち悪い…」

ラフレシア「……」ペッペッ

再び丸い触手を吐き出すラフレシア

鈴仙(相手は植物で目が無い。おそらく気配で私たちを攻撃している)

鈴仙(気配をどこまで乱せるか…)

鈴仙「……」ギロッ

鈴仙は能力を発動し波長をいじる

早苗「キャッ!」

吐き出された触手は、早苗の頭上で止まる
それをお払い棒で薙ぎ払う

鈴仙「やっぱりダメか…」カチッ

諦めた鈴仙は武器から射出する弾幕で、もう1つ飛んできた小さな触手を破壊する

触手「」ウネウネ

鈴仙「おっと…もうセクハラはごめんよ!」

飛行術で触手からの攻撃を回避する

戦闘開始から数十分が経過したが、いまだに対処法が見付からずにいた

早苗「もう!どうすれば良いんですか!」

早苗(こうなったら幻想郷にもどって、神奈子様や諏訪子様を呼んでこようかしら)

早苗「いやだめだめ!そんな事じゃ私はカミの嫁を名乗る資格が無いわ!」ブンブン

ラフレシア「……」ペッ

早苗「何か…何か弱点は…」

鈴仙「もう!いい加減にセクハラやめてよ!」

触手「」ウネウネ

早苗「何を遊んでるんですか!」

鈴仙「逃げてるのよ!こいつがドコまでも触手を伸ばして追いかけてくるから!」

毒蛇「シャーッ!」ピョンッ

ガブッ

ラフレシア「!?」ビクッ

早苗の首に絡まっていた毒蛇が突然ジャンプして、ラフレシアの青い口元を攻撃し始める

早苗「え…もしかして、それが弱点なんですか」

触手「」ガシッ

毒蛇「ギャッ!!」グシャッ

毒蛇「」

触手に捕らえられた毒蛇は、いとも容易く握りつぶされる

早苗「蛇さん…」

ラフレシア「……」ペッ

早苗「でや!!」ザシュッ

お払い棒でその青い口元を攻撃する
一瞬、その巨体がビクッと体を震わす

早苗「やはりこれが弱点のようです!」

鈴仙「まったく厄介な相手ね…タイミングに合わせて、弾幕を集中砲火させるわよ」

早苗「はい」

ラフレシア「……」ペッ

引っ込んでいた青い口元が再び露出し、丸い触手を吐き出す
それと同時に、鈴仙の赤いレーザーと、早苗は星の形をした弾幕が飛び交う

ボォォン!!ボォォン!

ラフレシア「ッ!!!」ビクビク

早苗「かなりきいてます!」

鈴仙「もう少しよ!」

~マラーナ・神殿前にて~

早苗「ど、どうにか倒しましたね…」

鈴仙「もうやだこのエリア…」

女神官「お二人とも、お着替えをお持ちしました。二人の服はいま洗濯をするので、お風呂に入ってください」

早苗「ありがとうございます!」

鈴仙「うぅ…早くサッパリしたいわ…」

~入浴後~

女神官「それで…この島の問題なのですが」

男神官「マラーナは島自体がせまく、樹木が密集しています。また沼なども多いです」

早苗「ふむ、では樹木を切り倒し、沼を干上がらせれば良いのですね?」

男女神官「はい。どうかこの島を人の住める場所へと導いて下さいませ!」

早苗「はい!この私にお任せください!」

早苗「あ、そういえばこの石版…鳥の形をした絵が書かれているのですが」

鈴仙「たしか移動中にも、似た形をした島を見つけたわね」

男神官「なるほど…マラーナのすぐ隣に鳥の形をした島があり、そこに何かがあると書かれてますね」

男神官「人口が増え次第、調査に赴こうとおもいます」

~その頃・命蓮寺境内~

アクトレイザー「フンッ!」

星「せい!!」

ガキィィン!!!

槍と剣が激しくぶつかり合い、その音が境内中に響き渡る

昨日、殆んどの弟子たちを倒し、とうとう奉られる者同士の対決が始まった
が、しかし寅丸星とカミの闘いは一向に決着がつかない

アクトレイザー(もう少し…もう少しで…あの時の力を…)ググッ

星(何なんだ…闘えば闘うほど、どんどん力が強くなっていくぞ…)

星(一瞬も油断ができない…!!)

アクトレイザー「……」ググッ

再戦を繰り返すこと数十回
結局、この日は勝負が付かずに終わった

~次の日・マラーナにて~

早苗「ふむ…」

鈴仙「何を考え込んでるの?」

早苗「いつも通り、雷を降らせて樹木を燃やすのも良いんですが」

早苗「ちょっと実験がしたくなりまして」

鈴仙「実験?」

早苗「その実験は…まだ人や建物も無い今こそが絶好のチャンスだと思うのです」

早苗はそういうとお払い棒を左右に振って、祈祷を始める

早苗「神官さんたちに、絶対に神殿から出ないように伝えてください。あそこなら倒壊の恐れも無いでしょうし」

鈴仙「え?うん…」

~~~

諏訪子「呼んだかい早苗」

早苗の目の前に、半透明化した諏訪子が出現する

早苗「諏訪子さま。まだ私の力じゃ地震を起こせません」

早苗「どうかお願いします」

諏訪子「それは構わないけど…なんでまた地震なんか?」

早苗「えっと、まだ人もいない内に、手っ取り早く樹木をなぎ倒すには地震が良いかなって」

諏訪子「ははは、なるほど」

諏訪子「よーし。んじゃ思いっきりいこうか」

諏訪子「私の起こす地震はあの天人とは比べ物にならないからね」

諏訪子「そい!」

ドゴォォォン!!!!

ゴゴゴゴゴゴゴ…

男神官「あぁ、ビックリした…」

女神官「樹木が一瞬にして倒れましたね…」

鈴仙「でもそのかわり、海水が大地に入り込んできて、沼地が増えたわ」

早苗「むむむ…盲点でした。樹木は倒せても沼地が…」

早苗「ではこれから、干上がりの奇跡を起こしますので少々お待ちを」

エンジェル「早苗様!隣にあるもう1つの孤島が、マラーナと直結しました!」

早苗「え?本当ですか!」

エンジェル「はい。これで開拓地が増えましたね!しかもあそこには魔物の巣もありました!」

鈴仙「まあ…結果オーライなのかしら?」

エンジェル「では私は、魔物の討伐に向かいます!」

鈴仙「なら私も行くわ」

エンジェル「助かります!」

早苗「では、私は沼地を干上がらせますか…」

鈴仙「あ、おふた方には…神殿近辺に生えてる、この草を採取してもらえますか」

男女神官「この草は一体…?」

鈴仙「これは薬草です。こういう熱帯の地には病とかが流行りやすいんで、採っておくと良いでしょう」

男神官「おお…医療にも長けてるのですね!」

女神官「分かりました。では私たちは神殿付近で取れる薬草を採取いたしましょう」

鈴仙「お願いします」

鈴仙「……」

鈴仙(自分で言っておいてアレだけど…熱帯…熱帯地帯と言えば…)

鈴仙(……まさか、ね。そんな事はそうそう無いわよね)

~その頃・アイトスの神殿・休憩室にて~

チルノ「はい上がり!」

魔理沙「げっ…まさかババ抜きでチルノに負けるとは…」

魔理沙(まあどうせババ抜きなんて運勝負みたいなもんだしな)

チルノ「ねー魔理沙。体の方はどう?」

魔理沙「もう魔力も戻ってるし、問題ないぜ」

魔理沙「ただここの神官が作るご飯が美味すぎてな…」

チルノ「わかる!なんかずっとここに居たくなる」

魔理沙「和食派の私が、洋食系の料理に惚れ込むとは…」

チルノ「もう一晩くらいゆっくりしてく?」

魔理沙「ゆっくりしていくか」

チルノ「なんかここ最近、ずっと闘いばっかりで疲れてたし」

魔理沙「たまにはのんびりしたいよな~」

チルノ「でも引きこもってトランプばっかりてのも…」

魔理沙「んじゃ、山に行って土手すべりでもして来るか」

チルノ「いいね!で、何で滑るの?」

魔理沙「板でいいじゃねぇか。貰ってこようぜ」

チルノ「おっしゃ!いこう!」

魔理沙「んじゃ、この辺でいいか」

チルノ「うん!」

霊魂「……」フワァァ

チルノ「ん?」

魔理沙「お、珍しい。ハッキリと肉眼で見える霊魂だ」

魔理沙「幻想郷ではよく見かけたけど…この世界じゃ見かけたこと無いな」

魔理沙「この感じ…生前はさぞ多くの魔力を保有してたな。肉眼で分かりやすく見える訳だ」

霊魂「……」

チルノ「……」

チルノ「なんか、コイツ見てると懐かしい気持ちになる」

魔理沙「え、懐かしい?」

霊魂「……」

チルノ「え?ついてこい?」

霊魂「……」コクコク

魔理沙「言ってるのことが分かるのか?」

チルノ「うん。なんか…頭の中に意志が届く…」

霊魂「……」スーッ

チルノ「行ってみる?暇だし」

魔理沙「ああそうだな」

~カサンドラ~

魔理沙「暑い…ここはカサンドラじゃねぇか」

チルノ「……」

魔理沙「こ、これは…」

ぐあ…ぁあ…

ゲホゲホ!ゴホ!ゴホ!

こひゅー…こひゅー…

チルノ「おい!大丈夫かお前ら!」

住民1「ああ…神チルノ…」

住民1「最後にあなたに会えてよかった…」ガクッ

チルノ「」

チルノ「な、なんだよこれ…」ガクガク

男神官「おお神チルノよ!大変です!」

チルノ「何があった!」

男神官「実は国中で謎の病が発生して…」

チルノ「病だと!?」

男神官「みんな、バタバタと命を落としていってます…」

チルノ「……」グスッ

チルノ「あたい…何やってんだ…のん気に遊んでて…これじゃ神失格だ…」ボロボロ

魔理沙「……泣いてる場合じゃないぜ。何か手を打てないと」

チルノ「ぅぅ…ううぁぁ…」ボロボロ

住民2「おお…神チルノにマリサさん…」ドサッ

チルノ「ごめんな…もっと早く気付いてやれれば…えーりんをここに呼んだのに…」ボロボロ

住民2「えーりんとは?」

チルノ「凄いやつなんだ!なんでも病気も怪我もなお…なおし…ぅえ…」ボロボロ

チルノは嗚咽で上手く言葉が出てこない

住民2「そうですか…ごほごほ!残念ながら私はここまでのようです」

住民2「ん?その隣の宙に浮いてるのは…」

魔理沙「ああ、こいつが私たちを導いてくれた」

住民2「は、はあ…」

霊魂「……」

薄れゆく視界の中、今にも息絶えそうな住民の目に、ある者が目に映る

住民2「ん!?お前…まさか…」ムクッ

倒れていた住民は驚いて立ち上がる

魔理沙・チルノ「??」

霊魂「……」

住民2「そうか…お前が彼女達を…」

住民2「」ドサッ

霊魂「……」

魔理沙「なんて言ってるんだ?」

チルノ「この霊魂も泣いてて、何言ってるのか上手く分かんない…」

霊魂「……」

チルノ「と、とにかく!病を直すのはあたいの専門外!えーりん呼んでこよう!」ボロボロ

魔理沙「待て、よく見るんだ」

魔理沙「さっきから道端に次々と人間が倒れていくだろ?幻想郷に戻っていくのにも時間がかかる」

魔理沙「時間短縮するには、その弟子を呼んだほうが効率的に良い」

チルノ「うどんげに会いにいくの?」

魔理沙「ああ。アイツなら何か治療法をしってるだろ」

魔理沙「ここからマラーナ…時間は相当かかるだろうな。だが幻想郷に戻って永遠亭にいくよりはマシだ」

~夜が明けて・マラーナ神殿にて~

魔理沙「おい!起きろ!」

チルノ「助けてうどんげ!」ボロボロ

鈴仙「わわ!?こんな朝早くから何よ!」

早苗「あれ…?お二人はノースウォールに行ったんじゃ…」

魔理沙「良いから早く来てくれ!」

チルノ「カ、カサンドラが…みんな病気にかかって大変なんだよ!」ボロボロ

早苗「え…分かりました。すぐにいきましょう」

早苗「エンジェルさん。留守番頼みます」

エンジェル「はい。こっちは任せてください!」

~カサンドラ~

鈴仙「これは…ふむふむ」

鈴仙「カバンの中に薬草を持ってきておいて正解だったわね」

チルノ「そ、それで…治せそう?」

鈴仙「ええ、なんとかね」

チルノ「や…やったー!」

鈴仙「ただ予防接種も含めて、国民全員に治療しなきゃいけないから」

鈴仙「大変だけど…マラーナから薬草を取ってきてくれる?今のままじゃ足りないから」

魔理沙「任せとけ。いくぞチルノ」

チルノ「うん!」

涙で濡れた瞳をグシグシと拭き、鼻水をズルズルと音を立てながらチルノは、魔理沙と共にマラーナへ向かう

早苗「私も何かできないでしょうか」

鈴仙「国民を全員、神殿前に集めて」

鈴仙「それと…薬草の栽培を始めるわ」

~夜・カサンドラにて~

魔理沙「持ってきたぜ!」

チルノ「遅れてごめん!!」

鈴仙「大丈夫よ。丁度さっき薬草のストックが切れたばかりだし」

早苗「これは夜通しで治療が続きそうですね…」

鈴仙「所で…さっきから気になったんだけど…」

鈴仙「この霊魂は何?」

霊魂「……」

チルノ「そいつがあたい達を導いてくれたんだ!」

鈴仙「そ、そう…なんかやけに、私と距離が近いから気になって…」

霊魂「……」

チルノ「えーと…何かね、うどんげの事気に入ってるみたいだよ」

鈴仙「は??」

早苗「……」

魔理沙「おい早苗。あの霊魂について何か知ってんじゃねぇのか」

早苗「……」

早苗「フフフ、さあ?知りませんね~」

魔理沙「それは何かを知ってるって顔だぜ…」

~その頃、命蓮寺にて~

星「法力・至宝の独鈷杵(どっこしょ)」

アクトレイザー「この回る二つのレーザービームは、いつも厄介だ…」

星「さあ、今日も決着付かずに終わるのですか?」

アクトレイザー(今日はせめて寅丸だけには勝たなければ…)

アクトレイザー「うっ!」

二つの回るレーザーがカミを襲う

星「今日はこの辺にしておきましょうか?」

アクトレイザー「……いや。まだだ」ググッ

カミの全身から青白い光が発現する

星「!?」

聖「これは…」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー「ふん!」ブンッ

剣から青白い刀気が放たれる

ズバッ!

星「ぐっ…」

星(バカな…一日中闘っていたのに…まだ魔力が残って…)

星(……いや、魔力が尽きている所か、今朝会った時よりも強まっている)

星(刀気のパワーも速度も跳ね上がっている…こんなの避け切れない…!)

ズバッ!ズバッ!ズバッ!

アクトレイザー「これで終わりだ…せい!」

巨大な刀気を星に目がけて飛ばす
それを槍に魔力を込め、ガードする星

バキィィン!!

星「なっ…ぐぅぅ!」

魔力を纏った槍は、いとも簡単に真っ二つに折れ、そのまま星に被弾する

星「……負けだ。降参しましょう」

アクトレイザー「まだ余力があるようだが?」

星「結果の見える闘いを続けても仕方ありません」

アクトレイザー「……」

星「今日はもう遅いです。聖との闘いは明日にしましょう」

アクトレイザー「ああ、そうさせてもらう」

聖「……」

聖(たった今日一日で、圧倒的な力を手にした風に見えますね)

聖「……これなら、手加減する必要もないですね。全力で戦える」

~帰り道~

アクトレイザー「師匠、どうやら私は全盛期の力を取り戻したようだ」

妖夢「え、本当ですか!?」

アクトレイザー「……これ以上、修行する必要も無い」

妖夢「こ、困ったな…」

アクトレイザー「どうした?」

妖夢「じつは前に言っていた、修行の総仕上げとして最後の相手と交渉してきたんですよ」

アクトレイザー「ああ…『仮想サタン』となる相手か」

妖夢「はい。その方はもうやる気まんまんで…今すぐにでも戦わせて欲しいって言っている程で…」

アクトレイザー「そうか。ならば残念だが断るしかない」

アクトレイザー「明日、私が命蓮寺で修行を終えたことを説明し…さらに『仮想サタン』の相手にも謝罪しておくとしよう」

妖夢「……」

妖夢(果たしてそう上手くいくかな…聖さんはともかく、『彼女』はもうやる気まんまんだったし…)

~翌日・命蓮寺~

アクトレイザー「……という訳だ」

星「そうですか。事情があるなら仕方ありません」

アクトレイザー「大変世話になった」

聖「……」

アクトレイザー「では。私は本来の使命を全うしようと思う」

聖「お待ちなさい」

アクトレイザー「ん?」

聖「全盛期の力を取り戻したと言いましたね?」

アクトレイザー「ああ」

聖「でも、貴方はそれでも大昔。魔王サタンに負けた」

アクトレイザー「何が言いたい?」

聖「全盛期の力を取り戻した程度で、修行を終えたなんて中途半端だと思いませんか?」

聖「それに…私自身、もう闘いたくてウズウズしていた所です」

一輪「おお…あの温厚な姐さんが珍しく好戦的になってる…」

村紗「連日、闘いをお預けにされてきたから、うっぷんが溜まってたんですね」

アクトレイザー「……なら仕方が無い」

アクトレイザー「相手をさせてもらおう」スッ

「ちょっと待ちなよ」

妖夢「あぁぁ…来ちゃった…」

妖夢はまぶたに手を当てる

アクトレイザー「キミは宴会で見たな」

「ああ、そうさ。改めて自己紹介しておこうか」

萃香「鬼の四天王、伊吹萃香。よろしくね」

アクトレイザー「そうか…彼女が『仮想サタン』か」

アクトレイザー(見てくれは幼いが、確かに強者の気配がする)

萃香「悪いけど尼さん。私はもう暴れたくてウズウズしてるんだ」

萃香「今回は諦めてよ」

聖「フフフ、それは私も一緒。闘う事をお預けされて何日もたちます」

聖「それに…彼はこの数日間で圧倒的な力を身に付けました。我慢なんかできません」

萃香「んじゃさ手っ取り早く、勝った方がカミ様と闘えるってことで良くない?」

聖「そうですね。その方がアドレナリンも治まるでしょうし」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー「その、出来れば早めに事を済ませて欲しいのだが…私には使命が」

聖「ええ、分かってます」

萃香「所であんた、本気でくるの?それともお遊び感覚?」

聖「全力です。弾幕ごっこではありますが」

萃香「そうかい。んじゃ私もほ~んの少しだけ、本気だしてやる。弾幕ごっこだけど」

聖「それは本気とは言わないのでは…」

萃香「ここじゃ被害が甚大になる。山の麓にでも移動しようか」

聖「分かりました」

聖「みなさん。私、しばらく留守をするので頼みますよ」

一輪・村紗「!?」

星「聖…ほ、ほどほどに…」

聖「ええ、分かっているわ」ニコッ

アクトレイザー「師匠よ」

妖夢「はい」

アクトレイザー「あの二人の闘い、すぐに終わると思うか?」

妖夢「すぐに終わらない気がします」

アクトレイザー「……」

――それから、聖白蓮と伊吹萃香の決闘は10日以上に続いた

~1週間後・マラーナにて~

早苗「だいぶ、開拓も進んできましたね」

住民1「神チルノ、カキ氷食べたいのですが」

チルノ「はいよ!」

住民1「う~ん、美味い!」

住民2「神チルノはひんやりしてて、一緒にいると助かります!」

チルノ「わっははは!凄いだろ!」

魔理沙「所でカサンドラの流行病の問題は解決したのか?」

チルノ「んとね、うどんげが言うにはもう大詰めだって」

チルノ「あと少しで全員の治療が終わる。死にかけの人間も全員、息を吹き返したって」

魔理沙「そっか。そりゃ良かった」

早苗「薬草の栽培も始まったようですし、ほぼ問題は解決しましたね」

魔理沙「……で、あの謎の霊魂は?」

早苗「同じくカサンドラにいます。鈴仙さんにベッタリで離れようとしませんね」

魔理沙「……」

チルノ「なんでアイツ、あんなにうどんげの事、気に入ってんだろ」

魔理沙(まさか…やっぱりそうなのかな?)

男神官「サナエ様、実はいま開拓と同時進行で寺院を建造しています」

早苗「はあ…寺院ですか。ですがこの狭いマラーナには二つも寺院は必要ないと思いますが」

魔理沙「確かにな、そんな事してる暇があるなら開拓を進めたほうが良いだろ」

女神官「それがどうしても建てたいと言うもので…」

男神官「しかもどういう訳か、既に完成真近で」

魔理沙「は!?」

早苗「ずいぶんと急ピッチですね!?」

魔理沙「まあ開拓も順調だし、問題はないが…早い所、そいつら呼び戻して開拓を進めようぜ」

チルノ「よっしゃ!寺院はあたいの別荘にするぞ!」

今日はここまで

本当は聖に神子、天子も決闘させる予定だったけど、テンポ的に考えてカットしまくる事にしました…
物語も終盤なのでサクサクやっていこうと思います

『状況まとめ』

(アクト世界)
・治療開始から一週間経過。カサンドラの問題ほぼ解決。鈴仙は治療と薬草栽培の指導。
 謎の霊魂はすぐ側にいる

・マラーナの開拓は順調。地震により隣の島と直結する。鳥の島はこれから調査に向かう。
 魔理沙とチルノ、エンジェルは魔物退治。早苗は開拓指導と魔物の巣の封印の手伝い

・ 怪しげな寺院が建造された

(幻想郷)
・カミ、ついに完全に力を取り戻す。しかし強引に決闘の約束をされてしまい、いまだアクト世界に行けずにいる。
 暇なので妖夢と剣術修行してたり、人里で困ってる人を助けたりしている

・山の麓で、聖白蓮と伊吹萃香の決闘は10日以上。まだ終わっていない

――次の日

男神官「困ったな…」

女神官「ええ」

早苗「どうかしましたか?」

男神官「実は…サナエ様と、戦士像である貴方様の夫と、妖精の神チルノを否定し、逆らう者が増えてきました」

早苗「え!?」

チルノ「な、なにおー!けしからん!」

女神官「これは我々の問題なので、自分たちで何とかしますが、一応ご報告だけしておきます」

早苗「は、はあ…」

チルノ「いいや!あたいが直々に説教してやる!」

魔理沙「おいおい落ち着け」ガシッ

チルノ「は、はなせー!ちくしょうめ!」ジタバタ

早苗「……」

――そして次の日

早苗「……」

魔理沙「……」

チルノ「……」

エンジェル「……」

神殿は誰もいない。静まりかえっている

チルノ「ほら!だから言ったじゃないか!あたいが説教した方がいいって!」

エンジェル「ま、まさかあの二人まで反旗を翻すとは…」

早苗「あの寺院を建ててから歯車が狂い始めましたね」

魔理沙「ああ。しかも昨日、寺院の様子を見てたんだけどよ、なぜか新しい寺院にだけ魔物が襲ってこないんだ」

早苗「完全に黒ですね」

魔理沙「んじゃやることは決まりだな」

早苗「ええ。新たな寺院へいきましょう」

~怪しげな寺院にて~

魔理沙「こ、ここか…」

エンジェル「人々が沢山いますね…」

住民一同「…………」ゴゴゴ

早苗「皆さんの目が、完全にイッてしまっている…」

住民1「サナエハ詐欺師ダ。追イ出スベキ」

住民2「ソノ夫ハ、チカラ無キ弱者。使イ物二ナラン」

早苗「な、なんですって!」

エンジェル「酷い…!」

住民3「神チルノハ馬鹿ダ。殺セ」

チルノ「誰が馬鹿だ!」

魔理沙「悪いがそれは否定できないぜ」

魔理沙「んで、今回は三人で襲撃に行くのか?」

早苗「……」

早苗は冷や汗を垂らしながら怪しげな寺院を見つめる

早苗「……ついこの間、これからは二人でダンジョン攻略をしようと話し合いましたが」

早苗「実際、どうでしょうか?」

魔理沙「私が前回、チルノとアイトスの火山に向かった時は…まあそれなりに苦戦もしたが…」

魔理沙「ぶっちゃけ、私かチルノが単体で行っても全く問題なかったな」

チルノ「わっはははは!火炎車のやつ、バカだったもんな!」

早苗「そうですか。私は…鈴仙さんとこのエリアを攻略しましたが」

早苗「道中でも、ボス戦でもかなり苦戦しました」

早苗「けれども、やろうと思えばソロでも攻略は可能だと思う難易度でした」

早苗「でも今回は…」チラッ

魔理沙「言いたい事はわかる。物凄く強力な邪気が漂っているもんな」

エンジェル「……恐らくここの主は、邪神でしょう」

魔理沙「知ってるのか?」

エンジェル「はい。大昔、カミ様がサタンの部下である邪神と闘った事があります」

エンジェル「全盛期のあの方ですら、苦戦を強いられました」

魔理沙、早苗「!!?」

エンジェル「実力は今までの連中とは、一線を画する物があります」

魔理沙「考えてみりゃ…幻想郷でも神の名のつく者の大抵は、強力な連中ばかりだったな」

早苗「しかも、ここではスペルカード戦なんて物は存在しない。ガチの殺し合いです」

魔理沙・早苗「……」

チルノ「大丈夫だ!あたいがいるから心配いらん!」

魔理沙「とりあえず鈴仙を呼ぶか」

チルノ「おい!無視するな!」

早苗「鈴仙さんを呼ぶのは賛成です、。しかし邪神相手に鈴仙の能力が通用するかどうか…」

魔理沙「確かに」

チルノ「そんなに不安ならさ、あいつを呼べば良いじゃん」

エンジェル「アイツとは?」

チルノ「霊夢だよ!アイツは…私の次につよい!」

魔理沙「順番が圧倒的に逆だぜ…まあたしかに、霊夢ならソロで邪神をぶっ潰す事位やりかねない。ルール抜きでも」

早苗「そうですね。霊夢さんは行かないと言ってたけど、土下座くらいすれば、あの人も協力してくれるでしょう」

チルノ「1円玉あげる方が喜ぶんじゃない?」

魔理沙「でもさ…なんか…こう」

早苗「?」

魔理沙「私たちの手でやりたいじゃん?霊夢の手なんか借りないでさ」

魔理沙「本当はさ、私がソロでいきたい位だぜ」

そう言う魔理沙の目は、静かに激しく燃えていた

チルノ「あたいだって霊夢の力なんて頼りたくない!」

エンジェル「そうは言いますが…死んでしまったら元も子もないです」

魔理沙「……」

チルノ「あ、あたいは…あたいは!だ、大丈夫だもん!ふん!」プイッ

早苗「……まあ一応、切り札はありますが」

チルノ「え?」

早苗「強力な力を具現化する。切り札を」スッ

そういうと早苗は二枚のカードをみせる

全員「……」

早苗「もし万が一、皆さんが危なくなったら…使いましょう」

~深夜・カサンドラにて~

鈴仙「え、今回は4人で攻略!?」

早苗「はい」

魔理沙「今回のはマジでヤバそうなのが相手なんだ」

鈴仙「この間の巨大植物だって相当ヤバかったのに!?」

早苗「あんなの比じゃないですよ…」

鈴仙「……」サーッ

鈴仙の顔は見る見る蒼ざめていく

鈴仙(え?じゃあそれよりも強いサタンって一体…)ガクガク

チルノ「全くみんな大げさなんだよ!邪神なんてあたいがぶっつぶしてやるよ!」

魔理沙「お前少しだまってろ」

早苗「霊夢さんを呼ぶ事も考えましたが、今回は四人でいきます」

鈴仙「え、ちょ、待っ…!霊夢を呼ばなきゃダメよ!まだ死にたくない!」ガクガク

早苗「大丈夫です。もしもの時の保険を用意してますから」

鈴仙「ほ、保険?それ信用できるの?」ガクガク

早苗「ええ。大丈夫です」

魔理沙「夜明けと共に出発だ。数時間ほど仮眠とってから行くぞ」

~カサンドラの海岸にて~

夜が明けて、四人はマラーナへ向かう

霊魂「」ピタッ

魔理沙「ん?どうした霊魂」

霊魂「……」

早苗「どうやら『自分はここまで』と嘆いています」

早苗「『足手まといになるし、カサンドラを見守らないと』とも言っています」

鈴仙「……」

霊魂「……」ズーン

チルノ「うどんげに会えなくなるのが死ぬほど辛いってさ」

鈴仙「……フフ、また来るわよ。安心して」

霊魂「……!」パァァァ

~その頃、幻想郷~

聖「た、ただいま~」フラフラ

村紗「聖!!ボロボロじゃないですか!」

一輪「大丈夫ですか姐さん!?」

聖「ふふふ…大丈夫大丈夫…」

聖「十日も留守をしてしまってごめんね…」

星「ま、まあ…無事とは言い切れませんが…一安心です…」

星「で、勝敗は?」

聖「……」チラッ

アクトレイザー「……」

聖は星の隣に居るカミを見て、申し訳なさそうに口を開く

聖「ごめんなさい。負けちゃったわ~」ニッコリ

アクトレイザー「笑顔でそう言い切れるという事は、悔いは無いようだな」

聖「ええ」

アクトレイザー「ご苦労だった。では…」チラッ

カミは聖の後ろに居る、酒をガブガブと飲む小鬼を見つめる

アクトレイザー「飲酒の時間はそろそろ終わりにして貰おうか。伊吹萃香」

萃香「プハッ…まあそう慌てんなって。少しは休憩させてくれ」

萃香「一眠りしたら…そうだな。紅魔館近くの湖で決闘でどうだい?」

アクトレイザー「ああ。よろしく頼む」ペコッ

萃香「へへへ…神の力、見せてもらよ」

アクトレイザー「鬼の四天王の力、見せてもらう」

妖夢「いよいよ修行の総仕上げですね」

アクトレイザー「うむ」

~マラーナ・寺院前~

ゴゴゴ……ザァァァーー…

暗雲立ち込める最中、雷やら雨が降り注ぐ

魔理沙「なんだこの天気は…気味悪い」

チルノ「怖い雰囲気だな」

早苗「ええ、何か嫌な予感がします…」

エンジェル「あ、見てください!神殿前に人々が!」

ガヤガヤ

鈴仙「こんな天気の日に何を…」

悪魔「諸君、よく聞け」

悪魔「我らがカーリア様のために、お前たちは生餌になってもらう。異論は無いな?」

女神官「異論ナシ!大賛成ダ!」

男神官「蛇ノ王、邪神カーリア万歳!!!」

住民一同「万歳!万歳!万歳!」

エンジェル「!!?」

早苗・魔理沙「なっ…」

鈴仙「」

チルノ「何やってんだあのバカ!!」

エンジェル「成敗してやる!」ピュンッ

グサッ

悪魔「ぐあああぁぁ!!」バタッ

光を纏った矢は、悪魔の頭部をつら抜き倒れる

住民一同「」ギロッ

エンジェル「この後も、悪魔たちは人々を惑わすでしょう」

エンジェル「私が人々が生贄にならないように悪魔を討伐します!どうか4人は寺院へ!」

魔理沙「行くか」

早苗「ええ!」

~寺院内部~

チルノ「何ここ…気持ち悪い…」

チルノ「こんな所、別荘なんかするもんか!」

鳥の魔物「ゴォォ!」スッ

チルノ「邪魔だ!」パキィィン

鳥の魔物「」ドサッ

蛇の様な魔物「ジャアァァ!」ドドッ

早苗「あら可愛い」スッ

ドゴォォ!

早苗「きゃっ!」

蛇のような魔物に、早苗がそっと手を差し伸べたが、魔物はそのまま早苗に体当たりをする

鈴仙「……」チャキッ

ピュンッ!

蛇の様な魔物「ゴォォ!?」

鈴仙の銃から放たれたレーザー光線で、魔物を粉々にする

鈴仙「遊んでる場合じゃないでしょう!」

早苗「すみません…」

~~~~

少し進むと大きなエレベータのような場所へ辿り着く
降下していく間、壁に張り付いた魔物が口から矢を飛ばしてくる

魔物「……」ピュンッ

チルノ「あたらないよう~だ!」

魔理沙「ま、こういうのは幻想郷で慣れてるしな」

全員、難なく避けていく

~~~

早苗「気味の悪い銅像がありますね」

銅像「」フワッ

チルノ「な、なんだ!?首が宙に浮いてるぞ!」

魔理沙「赤蛮奇みたいな奴だな」

銅像「ペッ」

銅像は口から弾幕を放つが、やはり全員難なく避けていく
魔理沙は箒に魔力を纏い殴りかかる

ゴォン!

魔理沙「首が取れたなら、とっととくたばれ!!」

銅像「っ!!」ドサッ

~~~~

魔理沙「おっ…あれは死神か」

死神「……」フワッ

魔理沙「うし、ここはマスパで…」

早苗「ちょっとストーーップ!こんなのにマスパを使ったら、もったいないですよ!」

早苗「てい!やあ!」

ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!

早苗はお祓い棒で死神を切りかかる
死神はなんなく始末される

魔理沙「あれれ?死神ってこんなもんだったっけ?」

早苗「小町さんならともかく、この程度の死神にマスパなんてあり得ません」

魔理沙「そ、そうか…悪いな。ところでお前のお祓い棒、なんか剣みたいな切れ味だな」

早苗「え、そうですか?」

~~~

鈴仙「ここまでの道中、敵自体は割と強いのもいたけど…」

魔理沙「こんだけ人数いりゃ楽勝だわな」

早苗「問題はここからです」

チルノ「な、なんか緊張してきた……」ゴクリ

4人は大きな扉の前に立つ

早苗「さあ皆さん。いきますよ!!」

魔理沙・チルノ「おう!」

鈴仙「一体どんなのがいるんだろう…」

~大広間~

早苗「さあ出てきなさい!」

チルノ「…」ゴクリッ

魔理沙「来たぞ!」

ゴゴゴゴ…

鈴仙「なにあれ…」

その邪神は台座にあぐらで座りながら、宙に浮きながら現れる

カーリア「……」

腕は6本あり、上段と中段の4本の腕には両手に武器を持ち、下段の腕は膝元に手を添えている

早苗「え、ちょっ…あれ、蛇じゃない…」

鈴仙「いくら貴方の好きな蛇でもアレはアウトよ!」

早苗「……わかってます。人々を惑わす邪神であり悪魔」

早苗「東風谷早苗、神の妻として…貴方を成敗します」

カーリア「愚カ存在ナリ。貴様タチヲ殺シ生贄トシヨウ」

カーリア「邪悪ノ波動ヲ増スタメニ、ソシテ魔王サタンノ為ニ」

早苗「皆さん、構えて!」

チルノ・鈴仙「……」グッ

魔理沙「よし、暴れるぜ!」

今日はここまで
マラーナは二つとも、デスへイム並にきつかった記憶がある

カーリア「愚カ者ドモヨ、死シテソノ身ヲ悪二捧ゲヨ」

カーリアは首を左右に、カクカクと横に小刻みに動かし、手にもたれた独鈷杵(どっこしょ)を振り下ろす

全員「?」

早苗「魔理沙さん!上、上!」

鈴仙「チルノも上危ない!」

魔理沙「は?…って、うお!?」サッ

チルノ「ぎゃああ!?」サッ

チルノと魔理沙の頭上より、下がトゲトゲの台座が落ちてくる
注意された二人は辛うじて避けきる

カーリア「悪ノチカラヲ見ルガイイ」

バチバチ…バチチ…!

ブォォン!

こんどは独鈷杵が光を放ち、そこから光を纏った矢の弾幕が飛んでくる
鋭く早い弾幕だがなんとか全員避け切る

魔理沙「いちいち危ない奴だぜ」

チルノ「こっちも攻撃しかけるぞ!」

魔理沙とチルノは落ちてきた台座の上に乗り、攻撃の態勢を構える

魔理沙「恋符・マスター…」

チルノ「氷符・アイシクル…」

早苗「二人ともすぐに台座から下りて!!」

魔理沙・チルノ「??」

技を決めようとしたときに、二人は注意を促される

鈴仙「上!上!」

チルノ「また上かよ…ってぎゃあああ!!!」

魔理沙「おいおい嘘だろ!?」

ガシッ!!

天井を見上げると、またしても鋭い針が用意されていた
魔理沙とチルノは台座にのったまま、辛うじて針の被害を免れる

針と針の間の隙間に、腕と足を伸ばし、体が刺され潰されないように回避する

魔理沙「か、間一髪だぜ…」

チルノ「た、助けて早苗!うどんげ!」

早苗「あんなところに罠を用意しておくとは…」

鈴仙「来るわよ!」

カーリア「……」カクカク

ブォォン!

早苗「ぐっ…!!」

鈴仙「ぎゃっ…!!」

鋭い速さで飛んでくる光の矢の弾幕は、二人に被弾する

早苗「いたたた…」ガクッ

鈴仙「ぐっ…なんなの!?あの眼に止まらぬ早い弾幕!」

カーリア「……」カクカク

鈴仙「独特の動き…また来るわよ!」

バチ…バチバチ…ブォォン!

早苗「うっ…!!」

鈴仙「きゃあっ!」

カーリア「……」

早苗(ダメだ、速過ぎて回避できない…こうなったら)

カーリア「……」クネクネ

バチ…バチバチ…ブォォン!

早苗「せい!」

バキィィン!

早苗は自分の身を守る為に、目の前に結界を張る

早苗「よし!今度は被弾せずに済んだわ」

鈴仙「なるほど!私も魔法壁を張って…」

~~~~

早苗「アレから、超高速弾幕を被弾しないように、守りに入ってきました…」

ドゴォォン!

鈴仙「くっ…これじゃ、埒があかないわ」

早苗「でも段々、眼が慣れてきました。そろそろ自力で回避できるハズ」

鈴仙「そうね。攻撃に転じましょうか」

ドゴォン!

魔理沙「いつまで私たちはこの体勢で居れば良いんだ…」

チルノ「早く私たちを降ろせ~!!」

カーリア「……」

バチ…バチバチ…ブォォン!

早苗「よっと!もう当たりません!」サッ

早苗「てい!やあ!」

ザシュッ!ザシュ!

お払い棒で、カーリアの体を切り刻んでいく

鈴仙「狂夢・風狂の夢」カチッ

鈴仙は銃口から乱れるようにして放つ弾幕、眼から能力も発動させる

ボォォン!ボォォン!

カーリア「……!!」フラッ

鈴仙「よし、きいてるきいてる」

鈴仙(でもやっぱり、わたしの能力は無効化されてるわね…)

早苗「てい!やあ!」

ザシュッ!ザシュ!

早苗はひたすらお払い棒を、刀のような扱いで攻めていく

カーリア「邪魔ダ」スッ

カーリアが独鈷杵を振り下ろすと、天井に張り付いてた台座はようやく下りてくる

チルノ「うわ!?」

魔理沙「やっと解放されたぜ」

そしてその底がトゲトゲの台座は、早苗を襲うが、なんなく回避していく

早苗「危ない危ない…」サッ

鈴仙「……」ググッ

鈴仙(パワーをしっかり込めて)グッ

鈴仙「解き放つ…!!」チャキッ

ビュンッ!

ボォォン!ボォォン!

鈴仙の銃口から、レーザーが飛び出し、数発ほどカーリアに攻撃をあてる

カーリア「……」

鈴仙「か、硬い…まだあんな余裕な表情を」

魔理沙「ええーいもう!みみっちい攻撃はやめようぜ!派手いこうじゃないか」

魔理沙「弾幕総攻撃でいくぞ!」

魔理沙「魔符・ミルキーウェイ!」

チルノ「あたいも!氷符・アルティメットブリザード!」

早苗「では私も…ヘビにはヘビの弾幕を!蛇符・グリーンスネークカモン!」

鈴仙「幻朧月睨(ルナティックレッドアイズ)…!」

広い大広間を覆いつくすほどの光が、一斉にカーリアへと降り注がれる

ゴゴゴゴ…

魔理沙「やったか!?」

カーリア「…………」

カーリアは余裕の表情で、両手を合わせ、首をクネクネと動かし4人を挑発する

魔理沙「嘘だろ…いつもならさっきの流れで倒せたハズなのに」

早苗「寧ろ、いまの魔理沙さんの発言がイヤな意味でフラグでしたよ…」

魔理沙「ちくしょう!じゃあもう一回弾幕総攻撃だ!」

魔理沙「恋心・ダブルスパーク!」

チルノ「凍符・マイナスK!」

鈴仙「赤眼・望見円月(ルナティックブラスト)!」

早苗「妖怪退治・妖力スポイラー!」

ボォォォォン!!!!

魔理沙「もう流石に…」

カーリア「滑稽ダナ。人間ドモヨ」

全員「!!?」

鈴仙「う、嘘でしょ…」ヘナヘナ

早苗「……!」

チルノ「ちくじょう…」

ドゴォン!

魔理沙「くそ!!馬鹿にしやがって…」

魔理沙は力任せに壁を叩く

魔理沙「もういい!お前ら休んでろ」

早苗「え」

魔理沙「私がどうにかする」

チルノ「魔理沙…」

鈴仙「待ちなさい!少し冷静になりなさい!」

プライドを傷つけられ、完全に頭に血が昇った魔理沙は、もはや周囲の声など耳に入っていない

魔理沙「マスタースパーク!」

ボォォン!

カーリア「……」

魔理沙「覚悟しろあと十発ぶちこんでやる…!!」

ボォォン!ボォォン!ボォォン!

魔理沙「ぜぇぜぇ…」ガクッ

カーリア「モウ終ワリカ?」

魔理沙「どうなってんだよアイツの体は…」

魔理沙(あと一発が限界。どうせなら最後は)

魔理沙「チルノ!どうにかしてアイツの動きを止めてくれ!」

チルノ「あいよ!」

カーリア「フン」

ドゴォォン!

チルノ「ギャッ!!」

カーリアは素早くチルノの真下まで移動して、その巨体で勢いよく踏み潰す

カーリア「……」

パキィィン

カーリア「っ!!」

早苗「っ!!邪神が凍り付けにされていく」

魔理沙「うし!よくやったチルノ!」

チルノ「おらっ!!」グイッ

チルノは凍り付けなったその巨体を持ち上げる

チルノ「踏み潰されるのはファラオの時で懲り懲りだったのに…」

魔理沙「こっちに投げろ!」

チルノ「あいよ!」ポイッ

魔理沙「これで終わりだ!魔砲・ファイナルスパーク!」

ボォォォン!!!

極太のレーザーが氷塊を粉々にしていく

カーリア「…ッ!!」

ボトッ

早苗「見てください!片腕が落ちました!」

カーリアの中段の左腕が無くなる

魔理沙「へへ…ざまぁみろ…」

魔理沙「」ドサッ

魔理沙は力尽きて倒れる

鈴仙「片腕は吹き飛ばしたけど、まだあと5本もある…」

チルノ「魔理沙おつかれ」ファサッ

チルノはそっと、自分の白いマントを魔理沙にかける

カーリア「小癪ナ真似ヲ。腕ヲ一本切リ落トシタ程度デ付ケ上ガルナ」

チルノ「アイシクルソード!」

チルノは氷の剣を練成し、カーリアに襲い掛かる

カーリア「……」スイッ

カーリアはそれを軽やかに避ける

早苗「後ろにも私がいますよ!」

カーリア「……」スイッ

早苗がお払い棒で切りかかるが、それも軽やかに避けていく

カーリア「雑魚メ」

パァン!!

カーリア「グゥゥ!!」

ボトッ

強力な一撃を放つ為にずっと溜め込んでいた鈴仙
レーザーはカーリアの、上段の右腕を吹き飛ばす

鈴仙「ゼェゼェ…私を忘れてるわよ!」

早苗「鈴仙さん、グッジョブです!」

早苗「中段の左腕、上段の右腕…残るは4本です!」

チルノ「残り腕は全部あたいが切り落としてやる!」

カーリア「フン!」

ボォォォン!!ボォォォン!!ボォォォン!!

早苗「きゃっ!」

鈴仙「痛っ…」

チルノ「ぎゃっ!!」

三人はカーリアの高速弾幕に被弾する
その速度は勢いを増していた

カーリア「……」ギロッ

腕の切断部から血を流すカーリア
その表情は怒りに満ちていた

鈴仙「ひっ!」ビクッ

チルノ「こ、怖…」ガクガク

早苗「怯んではいけません!いきますよ!」

まだゴハン食べてないので一旦、中断します
食後に再開します

前回までのあらすじ

カーリアの腕を2本切り落とし、追い詰めるも怒りのままに尚も立ちはだかる
これまでの相手とは訳が違う、その事実に三人は邪神の恐ろしさに肌身で感じていた

チルノ「いくぞ!でやぁ!!」

ザシュッ!

チルノは氷の剣で切り付ける
それに続くようにして早苗も、お払い棒を高く振り上げ攻撃を仕掛ける

カーリア「……」

早苗(チルノさんは上段の左腕に攻撃した…ならば私も!)

早苗「えい!」

ザシュッ!

鈴仙(パワーをしっかり溜めて…)ググッ

鈴仙「上段の左腕に目がけて…狙撃!」

パァァン!

カーリア「グォォ…!」

ボトッと上段の左腕が切れて落ちる

早苗「上段の腕は全て切り落としました!残る腕の数は3本!」

カーリア「図二乗ルナ、愚カナ勇者モドキ共ヨ」

カーリア「フン…!!」ググッ

バキ…ググ!!ゴゴゴゴ…

早苗「なっ…!」

鈴仙「う、嘘でしょう…」ペタッ

三人はカーリアのある異変に驚愕する
そのショックで鈴仙はその場で、ヘナヘナと膝をつく

チルノ「切り落とした腕が…全部再生しやがたった…!!」

カーリア「オ前タチハコレマデ…順調二我ガ眷属達ヲ、退治シテ来タノダロウナ…」

カーリア「ダガ私ハ違ウ。身ヲ持ッテ理解シテイル筈ダ」

カーリア「素直二諦メテ、ソノ命ヲサシ出セ」

鈴仙(だ、ダメだ…相手が悪すぎる…)ガクガク

鈴仙「も、もう逃げた方が良いわ!また一から準備しなおしてからでも…」

チルノ「それじゃあの寺の前に居る住民はどうなるんだよ!アイツら、全員生贄にされちまうぞ!」

鈴仙「あ…そ、そっか…」ガクガク

鈴仙「でも!このままじゃ!私たちが全滅してしまうわ!」

チルノ「そう思っている時点でお前の負け確定だ!やる気が無いなら帰れ!」

鈴仙「…!!べ、別にやる気が無い訳じゃないわよ!」

鈴仙「でも…怖い…」ガクガク

チルノ「あーもう!ビビるな!ここまで来たら命かけてなんぼだ!」

鈴仙「あなたは妖精であり神だから復活もできるけど…私は死ぬのよ!?」

チルノ「うるさい!あたいだって…本当はちょっとビビッてんだぞ!!でも逃げたら外の連中が死んじゃうだろ!」ガクガク

早苗「喧嘩している場合じゃありません!」

チルノ「……」

鈴仙「……」

早苗「いよいよ切り札を出す時がきました」

チルノ「あ…そういえば…」

鈴仙「忘れてたわ。言ってたわね、頼れる切り札があると」

カーリア「……無駄ナ足掻キヲ」

早苗「では…召喚します」

早苗はその場で正座をする
そしてお払い棒を左右に降り始める

早苗「……」

シャッ…シャッ…

カーリア「フン。恐怖ノアマリ、死ヌ前ノ祈祷デモ始メタカ」

早苗「我が親族に、天候を操る神、地を想像する神あり…その二柱、大社を守りし者」

早苗「どうか我を助けたまえ…」

祈祷を終えるとバッと立ち上がり、二枚のカードを放り投げる
そのカードにはカエルの絵と、しめ縄と御柱の絵が描かれていた

早苗「終わりだ!邪神カーリア!己の愚かさを存分に知るがいい!」

カーリア「……誰ダ貴様ラ」

早苗の目の前に、半透明の姿をした二人の人物が現れる

チルノ「あ、お前ら!」

鈴仙「そうか…そういうことか!」

神奈子「呼んだかい早苗」

諏訪子「悪いね分身状態で。直々に出向かいたい所だけど、時間もないから許しておくれ」

早苗「諏訪湖様!神奈子様!そこにいるのは…蛇の王であり邪神の悪魔です」

早苗「ある程度までは追い詰めましたが、切り刻んだ体を再生してきて…あまりにも厄介すぎる相手なのでどうか」

諏訪子「おーけーおーけー!ある程度まで追い詰めてくれたのなら上出来だよ」

神奈子「体を再生したとは言え、体力そのものは奪われている筈だ」

神奈子「実際、今そうとう我慢してるだろ。ヘビの王よ」

カーリア「……」ズキズキ

カーリア「黙レ、タカガ分身如キ二何ガ出来ル」

神奈子「お前さんもどうせ分身なんだろ?サタンとかいうの奴の」

諏訪子「分身形態が私たちと異なるけどね」

神奈子「さて、とっとと潰しますか」

神奈子「……相手がヘビというのがちょっと複雑ではあるがな」

諏訪子「私1人で片付けても良いけど?」

神奈子「いや、せっかく召喚してくれたんだ。私も闘おう」

神奈子「邪神よ。お前は悪魔だ。例えその身がヘビであったとしても…」

神奈子「潰す」

ドゴォォン!!!!

鈴仙・チルノ「!!?」

カーリア「」

突如、どこからともなく飛んできた巨大な御柱
カーリアの頭部に直撃し、壁にめり込み潰してしまう

諏訪子「なんだよ。もう殺っちゃったの?」

神奈子「加減を間違えたか」

ググッ…ドォォン

神奈子「ん?」

バキバキ…ゴキ…ゴゴゴゴ…!!

カーリアは頭部を失いながらも、両手で御柱を引っこ抜く
御柱を床に投げ終えると、奇妙な音を立てながら、頭部の再生を始める

カーリア「……」

神奈子「ほう、邪神と呼ばれるだけの力はあるようだな」

神奈子「だがもう限界なんじゃないか?」

カーリア「ソンナ事ハ無イ」

カーリア「ウッ…」ガクッ

神奈子「強がりめ」

諏訪子「よかったー私の出番もありそうだね!」

諏訪子「っという訳で。ほいさっさっ!」ポイッ

諏訪子が何かを投げるが、速過ぎてカーリアは、上手く視認できなかった

カーリア「?」

ザシュッ

カーリア「!?」

ボトボトッ

カーリアが呆気に取られていたその瞬間だった
ふと自分の体に違和感を覚え、左右を見ると、6本の腕が全てを切り落とされていた

諏訪子「どうだい?神具・洩矢の鉄輪の威力」

カーリア「グ…ググ…ガ…」

神奈子「よし、では仕上げと行こうか」

神奈子の周囲にある4本の御柱が、まるで大砲の様な構えでカーリアへ向ける
そして諏訪子もまた、両手にもった鉄輪から光を纏い、弾幕発射の準備を整える

諏訪子「たまにはカエルがヘビに勝っても良いよね」

神奈子「構わんさ。そもそも奴は蛇と言う名の悪魔。この世の蛇達に対し失礼だ」

神奈子「神の総攻撃だ」

諏訪子「あいよ」

カーリア「……!!」

カーリア「図二乗ルナ!」

カーリアは光の矢の弾幕を乱発し、さらに天井から台座を幾つも落とす

神奈子「なんだこのトゲトゲの台座は。ふん!」バシッ

神奈子は手の甲でトゲトゲの台座をいとも簡単に弾いて、そのままカーリアの頭部に直撃させる

カーリア「ガッ…!!」

諏訪子「まだまだいくぞ!!」

まばゆい光弾が大広間を照らし、轟音が鳴り響く

カーリア「」ガクッ

鈴仙「つ、ついに倒した…」ヘナヘナ

チルノ「すげぇなアイツら」

早苗「さすがお二人です!ありがとうございます!」

ゴゴゴゴゴ…

諏訪子「まずいな、ここの寺院が崩壊するよ」

神奈子「脱出ルートを確保してやろう」ブンッ

ドゴォォォン!!

神奈子が壁に向かって御柱を投げ飛ばすと、壁はいとも簡単に破壊され、大きな穴がいくつも開いていく

神奈子「さあ、脱出するといい」

チルノ「恩に着るぜ!」グイッ

チルノは気絶した魔理沙を背負って、いち早く脱出する

鈴仙「ありがとうございます…は、早く逃げないと!」ダダッ

神奈子「では私たちは退場するとしよう」スッ

諏訪子「またねー」スッ

半透明の分身の神々は瞬く間に姿を消す

早苗「これで…残るは1つのエリアか…」

早苗は最後のダンジョンへの攻略に、大きな不安をいだきつつ、脱出していく

~その頃、幻想郷にて~

神奈子「」ビクッ

神奈子「ふぅ、どうやら私たちの分身があっちの世界でひと暴れしたようだな」

諏訪子「」ビクッ

諏訪子「うん。もう相手は初めから、かなり追い詰められてたけどね」

神奈子「それよりも…今日はアクトの修行の総仕上げの日だ」

諏訪子「ああ、修行の成果を見届けにいこう」

諏訪子「相手はあの小さな鬼さんだよね?最終試験の相手には打ってつけだね」

今日はここまで
予定よりもマラーナ編がずいぶんと長引いた

2つ報告を

・体調不良が続いてるので、十日ほど更新できないかも
 気合で乗り超えれば月曜までには、更新できると思う

・このスレの本編が終わったらオマケ(カミと天使達のその後について)を書きます
 アンケートみたいになってしまうけど、どんな話がみたいでしょうか

①ラブコメ3割、日常7割
(世界を救った後も、幻想郷の異変解決を手伝うカミと天使のお話)

②ラブコメ7割、日常3割
(ほのぼの重視。異変解決を手伝う描写もあり)


※本編の主な内容は『幻想郷の住民と協力して、アクト世界を救う』というのを意識して書いてきました

アンケは期限はとりあえず、月曜日までで

まだ完璧じゃないけど日々、状態はよくなってます
とりあえず出来上がったので投下します

~紅魔館~

レミリア「咲夜、外を御覧なさい」

咲夜「外ですか…ん?あの人だかりは一体」

レミリア「どうやら、小鬼とカミの決闘が行われるみたいよ」

咲夜「なるほど、修行の総仕上げといった所でしょうか」

レミリア「フフフ、楽しみだわ」

咲夜(あの世界の救済活動もとうとう大詰めか)

~紅魔館の近くの湖~

ガヤガヤ、ワイワイ

アクトレイザー「……」

萃香「ん……プハァッ」ゴクゴク

瓢箪に入っている酒を飲むと、萃香はフラフラとした足取りで目の前まで歩く

勇儀「ほら萃香。受け取りな」ポイッ

星熊勇儀は群集の中から、鬼バットを放り投げる
それを酔っ払った萃香が、難なくキャッチする

萃香「おいおい。こんなのいらないのに」

勇儀「相手は剣士だ。持っておいて損はない」

アクトレイザー「……」

妖夢「今回の決闘の審判を務める魂魄妖夢です」ペコッ

萃香「えぇ~!?今回は審判とかいるのかよ!堅っ苦しいなぁ!」

妖夢「今回の決闘においては、通常の攻撃は無制限。スペルカードは一回につき60秒で」

萃香「ほう。スペルカード使うまでは時間制限なしか。そりゃあ良い闘いが出来そうだ」

妖夢「その代わり使用できるスペルカードは3枚まで」

萃香「あらら、少ないねぇ…まあ良いけど」

アクトレイザー「良い勝負が出来ることを期待している」スッ

カミはスッと鞘から剣を抜き、剣を萃香に向ける
それに応じるように萃香も鬼バットを向け、剣とバットの先端をコツンと当てる

萃香「へへへ…」

妖夢「では始め!」

萃香「いっくぜー」

萃香は手首についた鎖を掴み、ジャラジャラと音を立て回転させる

アクトレイザー「?」

妖夢(あの動き、まるで鎖鎌みたいだな…)

萃香「ほいっ」

回した鎖を真上に放り投げる
なぜかその鎖は異様に伸びていた

アクトレイザー(っ!?バカな、あんなに長くなかったハズだ…何かの術でもつかったのか)

萃香「……」ガシッ

萃香「えい」ビュンッ

真上に伸びきった鎖をガシッと手で掴み振り下ろす
するとまっすぐに、鎖と分銅はカミへと飛んでいく

ガキィィン

アクトレイザー「なっ…」

鎖はグルグルと剣に絡みつく
そのまま萃香は鎖を自分の方へと引っ張る

その瞬間、糸も簡単にカミの体は剣ごと引っ張られていく

アクトレイザー「…!!」ガリガリ

カミは萃香の鎖で、目の前まで引っ張られる

萃香「せーの…ほいさ!」

ボゴォォン!!

アクトレイザー「うっ…!!」

腹部に衝撃が走る
萃香の小さな拳が、カミの腹部にめり込んでいた

アクトレイザー(な、なんだこのパワーは…こんなに小さな体をしているのに)ガクッ

萃香「さー続いては?場外ホームランでもかっ飛ばしますかな!」グルングルン

アクトレイザー「っ!!」

萃香「せーの」

カミが膝をついて苦しんでいると、萃香は容赦なく鬼バットを握り、片足をあげて、フルスイングをする

ガゴォォン!!!

萃香「ふっとべー!」

アクトレイザー「うっ!!」

パリィィン!!!

アクトレイザー「ぐっ…ぅぅ…」

カミが起き上がると、そこは赤い内装をした屋内だった
ふと、二人の人物が視界に入る

咲夜「久しぶりね。ずいぶん派手にやられたじゃない」

レミリア「」

衝撃で紅茶をこぼしてしまい、レミリアはビショビショに濡れていた

アクトレイザー「吹き飛ばされた先は紅魔館だったか」

レミリア「……咲夜、紅茶御変わり」

咲夜「畏まりました。でもその前にタオルを」スッ

レミリア「ありがとう、自分で拭くわ」フキフキ

アクトレイザー「すまない…せっかくのティータイムを。火傷はないか?」

レミリア「これくらい大した事ないし、気にしなくて良いわ。窓ガラスの弁償代はあの酔っ払いの鬼に払わせるから」

レミリア「その代わり、存分に暴れてきて頂戴」

アクトレイザー「うむ…ん?」

ゴゴゴ…!

レミリア「あなたの奪われた剣がとんでくるわよ」

アクトレイザー「……っ!!」ガシッ

カミは回転しながら飛んできた剣を難なく掴む

萃香「おおーい!まさかこれで終わりって事ないよね!?はよ降りてこんかーーい!」

レミリア「メチャクチャねあの女」

アクトレイザー「まさに鬼だな」ザッ

カミは破壊された窓ガラスから直接、下へと降りていく

萃香「うっし、ウォーミングアップは完了した」

萃香「疎符・六里霧中」

妖夢「スペルカード発動…カウントダウン開始」ピッ

萃香がスペルカードを宣言すると同時に、妖夢は両腕についた片方のストップウォッチのタイマーを起動する

アクトレイザー「む、なんだ…霧?」

萃香「これも私の能力。霧に変身できる」

アクトレイザー「そうか、ならば私もそれ相応の姿で応戦しよう」

萃香「むむむ!?」

カミの体は石像化し、魂が離脱する
光り輝くカミの魂が、霧状の萃香の前に漂う

アクトレイザー「これが私の本来の姿だ」

萃香「ほう」

アクトレイザー「私は御神体に宿っている時と、魂を離脱させた時では、使える魔法が異なっていた」

萃香「引っかかる言い方だね。過去形になってるよ」

アクトレイザー「そうだ。いまの私ならば、石像に魂が宿っている時も、本来の姿でも…いつでも『天候系の魔法』が使える」

アクトレイザー「本来の姿をキミに見せているのは、単なる礼儀だ」

萃香「そうかい。ではその天候系の魔法とやらを見せておくれ」

アクトレイザー「……雷符・神なりの道しるべ」

ゴゴゴゴゴ…

湖の上空に暗雲が立ち込める
そして激しい閃光が伊吹萃香を襲う

ボゴォォン!

萃香「おっとと…危ない危ない」

ボゴォォン!!ボゴォォン!!ボゴォォン!!

萃香「ぎゃーー!!ちょっ…カミナリ降らしすぎ!ま、待て、痛っ!!」ビリッ

アクトレイザー「どうやら霧になっても攻撃は通るようだな」

萃香「特殊な力が宿っていればダメージを与える事ができる。普通はすり抜けるけどな」

萃香「お前さんだって人事じゃないぞ!」

霧の中から極太の丸い弾幕が、無数に散らばる

ボォォン!!

アクトレイザー「うっ…!!」

光り輝くカミの魂に、特大の弾幕が被弾する

ゴゴゴ…ボゴォォン!!ボゴォォン!!

カミの雷と、萃香の散らばる特大弾幕が、交差し合い、互いの弾幕を相殺させていく

―――時間はあっと言う間に過ぎていき、先に萃香のスペルカードが時間切れとなる
間も無くして、カミの技もタイムアウトになる

妖夢「タイムアウト。カミ、一枚目の技はそこまで」

時間切れとなると同時に、その魂は再び石像へと宿る

萃香「なかなかやるじゃないか」

すでに霧状態を解除し、元の姿に戻った萃香は、さっそく攻撃を仕掛ける

最初に見せた時と同じように、再び腕についた鎖を掴む
そして今度は両腕の鎖を回転させる

萃香「いっくぞー」ジャラジャラ

萃香「ほいさっ」ブンッ

アクトレイザー「二度も同じに手には引っかからんぞ!」サッ

カミが軽やかに鎖攻撃を避けるが

アクトレイザー「なっ!」

避けた反対側からも鎖が飛んでくる

萃香「今度は両方だ。同じじゃない」

ジャラジャラと音を立てながら、その鎖はカミの首に絡みつく

アクトレイザー「うっ…!!?」

萃香「人間にこれやったら死んじゃうかも知れないし、やらないけどさ」

萃香「あんた神様だし…別に良いよね?」

そういうと萃香はグイッと鎖を引く
鎖に首を締め付けられながら、ガリガリと地を引きずられ、萃香の元まで引っ張られる

アクトレイザー「ゲホゲホ!ゲホゲホ!」

萃香「……」ジャラジャラ

もがき苦しむカミを見下ろしつつ、絡まった鎖を萃香が自ら解いていく

アクトレイザー「……?」

萃香「苦しかったろ?」

アクトレイザー(なんのマネだ。なぜ鎖を解いて…)

萃香「お前さん、酸欠で上手く動けないハズだ」

萃香「いまから二枚目のスペカを宣言する…鎖が絡まった状態じゃ逃げる事も出来まい」

萃香「せいぜい頑張って逃げるんだね」

萃香「鬼符・ミッシングパワー」

ゴゴゴゴ…

アクトレイザー(っ!?巨大化した!!)

萃香「さあいくぞー!」ピョンッ

巨大化した萃香は空高くジャンプする
その動きに対応すべく、カミは立ち上がろうとするが、上手く体がいう事をきかない

アクトレイザー「ゲホゲホ…だ、ダメだ…息が苦しい…」

ヒュウゥゥゥゥ

ボォォン!!!

萃香「いっかーーい!」

アクトレイザー「うっ!!」

四つん這いになったカミの背中を、巨大化した萃香が踏みつける
その猛攻は止まる事無く、再び空高くジャンプする

ヒュウゥゥゥゥ…ボォォン!!!

萃香「にかーーい!!」

アクトレイザー「うっ…!!!」

ヒュウゥゥゥゥ…ボォォン!!!

萃香「さんかーい!」

アクトレイザー「……っ」

妖夢(やっぱり鬼の四天王じゃ相手が悪かったかな…もっと別な人を呼ぶべきだったか)

アクトレイザー(なるほど…仮想サタンとして彼女を選んだ理由がわかった気がする)

アクトレイザー「だがこのまま負けるわけにはいかない…!!」ムクッ

妖夢「っ!?立った…」

萃香「お?立ったか!良い根性してるね~」

萃香「そんじゃ今度は、この鬼バットを御見舞いしてやる!」

巨大化した萃香は、巨大な鬼バットを振りかぶりながら地上へ落下していく

萃香「これで終わりだぜぇ~!神・アクトレイザー!」ブンッ

ガキィィィン!!!

アクトレイザー「ぐぐっ…」

全体重がかかった巨大な鬼バットを、剣一本で支えるカミ

萃香「へー。そんな細い剣でよくがんばるね~。で、いつまで支えられるかな?」

アクトレイザー「ぐ…ぐぐ…」

アクトレイザー「私は…神だ…!」

萃香「へへ、私は鬼だ…!」

ブチブチ…ギギギ…

萃香「ん?」

ブチブチ…ギギギ…

カミの体から、妙な音が鳴り響く

萃香(何の音だ…?)

ブチ…ギギ…

アクトレイザー「伊吹萃香。キミがどれだけの強者であろうと」

アクトレイザー「キミを超えなければ…私はあの世界を救えない!」

ブチン!ブチン!ガララン…

カミの着ている服がやぶけ、足と腕に付いている鎧が弾き飛ぶ
その理由は筋肉が肥大化していたからだ

萃香「お?なんだなんだ、急に筋肉モリモリになっちゃって」

アクトレイザー「ぬおおおぉぉぉぉ!!!」

ブチブチ…ブチ…バサッ!

萃香「は!?!?」

妖夢「!!?」

闘う萃香も、審判を務める妖夢も、そして闘いの様子をみる誰もが目を丸くして驚いた

萃香「カミ様…あんた、背中に翼が…」

アクトレイザー「おおおおおぉぉぉぉ!!!」バサバサ

萃香「うわああ!」

驚いて思わず力を抜いてしまった萃香は、カミに力負けして上空へ押しのけられる

アクトレイザー「おおおおおおおお!!!」バサバサ

その白い翼で、空へと飛んでいく

アクトレイザー「うおおおぉぉぉ!!!」

カミは自分が空を飛んでいることなど気付いていなかった
ただ一心不乱に、刀気を萃香に飛ばしていく

ボォォン!ボォォン!ボォォン!

萃香「ちょっ…待てって!落ち着けよ!ぎゃっ、痛いって!」

ボォォン!ボォォン!ボォォン!

萃香「ぎゃああ!!」

妖夢「タイムアウト。伊吹萃香、二枚目のスペルカードはそこまで」

萃香「分かった分かった!いま小さくなるから…」

萃香「おいカミ様!いい加減ちょっと冷静になれ!」

アクトレイザー「ぜぇぜぇ…ん?なぜ、私は空を飛んでいるのだ…」

アクトレイザー「魂は石像から離脱していないのに、空を飛べるはずがない」バサバサ

萃香「自分の背中をみなよ」

アクトレイザー「っ!?なんだこれは」バサバサ

萃香「この闘いの中でレベルアップしたようだね…良いね。こういう展開好きだよ」

萃香「そんじゃ私は惜しむ事無く、ラストスペルを使うよ」

アクトレイザー「っ!!」

萃香「これで一気にアンタを叩きのめす。いくらパワーアップしたからと言って、体力は結構削られてるハズだ」

萃香「ラストスペル…百万鬼夜行」

アクトレイザー「私もスペルカードを宣言しよう」

アクトレイザー「流星・対魔の星くず」

カミが宣言すると、空から星型の弾幕が降り注ぐ
同時に萃香の弾幕も四方八方に飛び交う

アクトレイザー「キミのラストスペルは、純粋に激しい弾幕の嵐だな」

互いの弾幕が相殺し合う中、神と鬼は睨み合う

萃香「折角だ。私もあんたの技をパクらせてもらう」

萃香の鬼バットが赤いオーラに包まれる

萃香「うらぁぁ!!」

鬼バットを振り回すと、刀気の様な形をした赤い弾幕がカミへ飛んでいく

アクトレイザー「私の刀気のマネか」

萃香「そうだ!さあここから本当の弾幕合戦だ!」

萃香「おらおらおら~!」

アクトレイザー「うおぉぉぉ!!」

~~~~

妖夢「はいそこまで!」

弾幕が飛び交う空中戦は、妖夢の合図と共に止める

妖夢「伊吹萃香、3枚のカードを宣言するもカミは倒れず…よって、この勝負はカミの勝利!」

パチパチパチパチ…!

周りで観ていた妖怪やら鬼たちは拍手を送る

空を飛んでいたカミと萃香も地へ下りる
そして互いに握手を交わす

萃香「もう途中から勝敗なんて、どうでも良くなった。楽しかったよ」ギュッ

アクトレイザー「最後に良い勝負が出来た」ギュッ

萃香「まあ欲を言うと、スペルカード無しで本気の殺し合いとかしてみたかったけどさ…」

アクトレイザー「キミがとんでもない大異変でも起こせばそうするが?」

萃香「へへ…まあ。そういうのはしないから安心しな」

萃香「次に闘う時はもうちょっと、宣言できるカードの枚数を増やそうか」

アクトレイザー「ああ、そうだな」

妖夢「カミよ。いよいよあの世界へ行くのですね」

アクトレイザー「ああ」

萃香「悪魔の討伐、頑張りなよ~」

レミリア「あなたも悪魔討伐を頑張りなさい?」ポンッ

萃香「へ?」

レミリア「ウチの紅魔館。あなたがアクトをホームランしたせいで、酷い目に合ったんだけど」

萃香「あー…うん。ごめん」

レミリア「さあ伊吹萃香。いますぐ私と戦いなさい」

萃香「ええ~…私、聖白蓮と十日間も闘って…その後にカミ様と戦ったんだよ?ちょっと休ませてよ~」

レミリア「問答無用よ!」

ワーワー!ギャーギャー!

アクトレイザー「……」

妖夢「あっちは構わなくて良いからいきましょう。まずは香霖堂へ」

アクトレイザー「え?」

~香霖堂~

霖之助「いらっしゃい」

アクトレイザー「師匠よ、なぜお店に?」

妖夢「……カミよ。その格好はあまりにハレンチというか…」カァァ

顔と耳を真っ赤にした妖夢は、両手で顔面をふさぎつつ下を向く

妖夢「……」カァァ

アクトレイザー「む、そういうば…筋肉が肥大化したせいで、半裸になっていたな」

妖夢「私がお金を払うので、何か服を選んでください」ドキドキ

アクトレイザー「すまないな」

アクトレイザー「お、ちょうど以前着ていた、服と鎧に似たものが売っているじゃないか」

霖之助「ああそれね。西洋系の服と鎧が好みなんだね」

アクトレイザー「いつか和服も着こなしたいが…ココの世界の事はまだ知らないことばかりだ」

アクトレイザー「闘いが終わったら早苗とココへ来る。良い和服を用意してくれるかな?」

霖之助「ああ。貴方に似合いそうな和服があったら、取って置いてあげるよ」

~~~

服と鎧を装備し、会計を終える

妖夢「さあ、守矢神社へ向かいましょう」

アクトレイザー「ああ…ん?」

妖夢「どうしました?」

カミは店の中にある、盾に注目する

アクトレイザー(盾か…防御面で大きく役に立ちそうだ…)

妖夢「あ、その盾も買いますか?」

アクトレイザー「いや。流石にこれ以上おごられる訳には」

霖之助「ああその盾ね。あげるよ」

妖夢「え、良いんですか?」

霖之助「そこのカミ様は悪魔退治に行くんだって?それも元いた世界の平和を守るために」

霖之助「タダであげるよ。コレは自分からの捧げ物としてキミに献上する」

アクトレイザー「……すまないな店主よ」

~異世界の土地・マラーナ~

男女神官「本当に申し訳ございませんでした!!!」

住人たち「申し訳ございませんでした!!!」

早苗「い、いや…そんな…」アタフタ

チルノ「お前ら反省しろ!」

魔理沙「お前は少し黙ってろ」スッ

チルノ「むぐっ!むぐぐ!」

男神官「……マラーナの開拓は大変つらいものでした」

女神官「家を建てても魔物の脅威さらされ、毎日が不安でした…あなた方が守ってくれてるにも関らず」

男神官「そんな時に例の寺院の、悪魔教祖よりこんな事を言われました」

男神官「魔物の手下になれば、ラクで楽しい生活ができると…」

女神官「その言葉に我々はすっかり心を奪われてしまいました…」

男神官「今回の一件、我々は人間の弱さと言うものを痛感いたしました」

男女神官「今後、あなた方に逆らうようなマネは絶対にいたしません!」

男神官「どうか他の地域もマラーナのように、安らぎのある土地にしてあげて下さい」

早苗「はい。厳しい環境でしょうが、どうか負けずに頑張ってください」

チルノ「分かれば良いんだ。もう反抗するなムグググググ…!」ジタバタ

魔理沙「だからお前は黙って聞いてろって」

~~~~

エンジェル「残るは土地はノースウォールと言う寒いです」

チルノ「はぁぁ…やっと涼しい場所にいける…」グスッ

魔理沙「お前、なぜか暑い場所ばっかりだったもんなぁ」

男神官「あ、お待ちください。捧げ物があります」

魔理沙「お、なんだなんだ」

女神官「これはカミの魔法です。お受け取り下さい」

早苗「ありがとうございます!これでまた夫がパワーアップできます!」

鈴仙「あの…まずはカサンドラに寄り道しても良いかしら?」

魔理沙「やり残した事でもあったか?」

鈴仙「ええ。カサンドラで治療をしたでしょ?予防接種もしたし…その後の経過を知りたいから」

早苗「分かりました。まずカサンドラへいきましょう」

~カサンドラの神殿にて~

ガヤガヤ、ワイワイ

早苗「わあぁぁ…国民が沢山いる!」

鈴仙「近いうちに、予防摂取後の経過を見に行くとは言っておいたからね」

鈴仙「さあ皆さん!並んで下さい!検診させていただきまーす」

ヒュゥゥゥ…

鈴仙「ん?」

霊魂「~~!!///」

霊魂が物凄いスピードで飛んできて、鈴仙の周りをグルグルを回る

鈴仙「きゃっ!もう、ビックリさせないでよ…」

霊魂「///」

鈴仙(……なんかこの霊魂を見ていると、あの人を思い出すわ)

~~~

神殿の入り口付近では、長蛇の列が出来ていた
鈴仙は人々を検診する一方で、早苗たちは神殿の中で会議をしていた

男神官「そうですか…残りは1つの土地…」

女神官「カサンドラとは真逆の環境です。どうか体調を崩さぬように…」

早苗「はい」

チルノ「あたい的にはラッキーだね!」

魔理沙「今まで大変だったなお前も」

早苗「エンジェルさん。前回闘った邪神は物凄くやっかいでしたが…」

魔理沙「あれと同じ位ヤバイのとか…やっぱいるのか?」

エンジェル「……ええ」

魔理沙・早苗「や、やっぱり…」

エンジェル「フロストワイバーンと言って、邪神と実力は互角でしょうね」

魔理沙「あんなのと互角なのがいるのかよ…」

早苗「ワイバーン…西洋タイプの龍ですか」

チルノ「フロストってなんか、涼しそうな響きだな」

魔理沙「むしろ寒い位だぜ」

チルノ「あたいと似たタイプかな?」

魔理沙「かもな。闘い方を事前によく考えておいた方が良いぜ」

エンジェル「今までと違い、寒い場所での戦いになります。吹雪なんか降られたら視界も悪いでしょう」

魔理沙「確かにな。何となくだが、決戦場は野外戦になりそうな気がする」

早苗「……」

早苗「魔理沙さん。正直、もう一回あの邪神クラスと闘うのは気持ち的にどうでしょうか?」

魔理沙「ラスボスのサタンならともかく…もう一回あのレベルとやりあうのは骨が折れるぜ。でもやるしか無いんだろ?」

早苗「……」

早苗「呼びましょう。霊夢さんを」

エンジェル「え…れ、霊夢様を!?」

早苗「はい」

チルノ「やばくなったら、また神奈子と諏訪子を呼べば良いじゃん」

早苗「次は猛吹雪の中の闘いになるかもしれません」

早苗「もしも二人を召喚する前にやられてしまったら、意味がありません」

魔理沙・チルノ「……」

早苗「呼びましょう、霊夢さんを」

魔理沙「しょうがないな…この際、プライドは捨ててアイツに頭を下げるとしよう」

チルノ「5円玉あげれば喜ぶよ」

男神官「あの…失礼ですがレームとは一体?」

早苗「巫女さんです。私たちが束になっても適わないほど強い人です」

男神官「本当に人間なんですかその巫女は!?」

魔理沙「一応な」

早苗「鈴仙さんが検診を終えたら、さっそく幻想郷に戻って霊夢さんを呼びましょう」

「その必要はない」

突如として、神殿にいるはずのない男の声が響く

魔理沙「誰だ!?」

「私だ」

ドスンッ…

神殿に置いてあるはずの、戦士像が動き、台座から地に降りる

チルノ「あ!お前は…!!」

早苗「あなた…!!」

魔理沙「お前…」

エンジェル「カミ様!!」

アクトレイザー「修行を終えて帰ってきた」

男女神官「」

アクトレイザー「うっ…」ググッ

魔理沙「どうした?」

アクトレイザー「うおぉぉぉ!」

ミチミチ…ブチ、ガキィィン!!バサッ…

肉体はあっと言う間に、筋肉を肥大化させ、白い翼を生やし姿を変える

魔理沙「な、なんだ!?いきなり…服とヨロイが弾けたぞ!?」

チルノ「かっけーー!!すげぇマッチョだ!」キラキラ

早苗「あなた…素敵です///」ダキッ

アクトレイザー「……」ギュッ

早苗からの抱擁に答えるように、カミもまた早苗を抱きしめる

妖夢「カ、カミよ…!その格好で抱き合うのはよろしくないかと思います…///」カァァ

妖夢「ふ、服を渡しますので、お受け取りください///」ドキドキ

魔理沙「お前も来てたのか」

チルノ「あ、妖夢久しぶり!」

アクトレイザー「幻想郷で鍛えていたら、元の力を取り戻す所か、全盛期を超えてしまっていたようだ」ナデナデ

早苗「~~///」ギュゥゥ

魔理沙「ほう、そりゃ頼もしいな」

アクトレイザー「それと話は聞いたぞ。なんでもあのカーリアを倒したらしいな。奴は強かっただろう?」

魔理沙「ああ。なんか奴だけケタ違いだったぜ」

チルノ「アクト!お前も背中に翼が生えたんだな!」

アクトレイザー「ああ。伊吹萃香と決闘していたらいつの間にか生えていた」

魔理沙「萃香と闘ってたのか!?アイツもヤバイくらい強いだろ」

アクトレイザー「ああ。最後の相手として相応しい者だった」

早苗「あ、そういえば…これ、マラーナの人から貰いました!」

アクトレイザー「これはオーラの魔法じゃないか!またこれで強くなれる。ありがとう」ナデナデ

早苗「えへへ///」ギュゥゥ

男女神官「」

男神官「あ、あわ、あわわわわわ」

女神官「カ、カミよ…なんと神々しい…」

アクトレイザー「ああそうだ。後で新しいタイプの銅像を作ってくれるかな?」

男神官「か、かか、畏まりました!そのお姿、しかとこの目に焼き付けさせて頂きます!」

アクトレイザー「うむ。頼んだ」

妖夢「あ…あ、あのカミよ!///頼むから早く着替えてください///」カァァ

アクトレイザー「おっとすまない師匠よ」

男女神官「師匠!?」

妖夢「あ…いや、私は剣術の指南しかしてませんので…」

アクトレイザー「……よし、着替え終えた」

アクトレイザー「そういえば外に人々が集まっているようだが?」

早苗「じつは…」

~少女説明中~

アクトレイザー「……そうか。今まで皆に苦労をかけてしまったな」

早苗「いえ、そんなこと」

アクトレイザー「少し、皆に挨拶をしてくる」コツコツ

男神官「え、え!?」オドオド

女神官「あ、えと…あ、挨拶!!?」オドオド

気が動転している神官二人をよそに、カミは人々が集まっている神殿入り口へと向かう

~神殿入り口前~

チルノ「おう!お前ら良く聞け!」

国民1「お、神チルノだ!」

国民2「どうされましたか神チルノ!」

チルノ「ついにあたいのダチが復活を遂げた!」

国民全員「っ!!?」

早苗「皆さん、紹介しましょう…私の夫です!」

アクトレイザー「…………」

アクトレイザー「カサンドラ民の諸君…今まで苦労かけさせてしまったな」

アクトレイザー「本当にすまない」

国民全員「」

アクトレイザー「いままで私はある土地で、本来の力を取り戻すために修行に明け暮れていた」

アクトレイザー「私の頼もしい友人と、そして妻のおかげで、どうにか文明が発展しているようで一安心している」

アクトレイザー「……私はこれまで、キミ達に何もしてやれなかった」

アクトレイザー「故に私は」

背中からシャキンッと音をたて、鞘から剣を引き抜く
そして剣を高々と天に向けて振り上げる

太陽の光は剣先に当たり、まぶしくカミを照らす

アクトレイザー「ここに誓おう。私は必ずこの手で魔王サタンを倒す」

アクトレイザー「そして君たちが、二度と魔物に怯える事なく平和な暮らしが送れる事を…約束する」

国民全員「……」

国民全員が言葉を発する事無く、黙ったまま両手と両膝を地に付ける
そして頭を地につけ、静かに涙を流した

鈴仙「」ポカーン

鈴仙(あれ?何で修行に行ってたハズのカミ様がここにいるの?全然状況が把握でき無いんだけど)

アクトレイザー「……」

カミは黙って剣を振りあげたまま、民たちの様子を見守る

国民全員「……」

国民たちはひたすら、頭を下げたまま静かに涙を流し続けていた

チルノ「お、おいおい…なんだよ。皆しんみりしちゃってさ…」

チルノ「あたいの事を応援してくれた時みたいにさ、もっとこう…パーッと盛り上がろうよ!なあってば!」

魔理沙「まあ。お前とアイツじゃ、場の盛り上げ方が根本的に違うんだろうよ」

エンジェル「カミ様…私は一生かけて付いていきます…」グスッ

早苗「……」ツーッ

鈴仙(早苗まで涙流しちゃって…ん?)

霊魂「……」

つい先ほどまで、鈴仙の周りを落ち着き無くウロウロしていた霊魂は、国民たちと同じく体を地に着け頭を下げていた

霊魂「……」

チルノ「なんだよ、霊魂まで大泣きしちゃって…」

鈴仙「わかるの?」

チルノ「うん。さっきまで落ち着きなかったのに、変な奴」

――こうしてカミは改めて、再び地上に舞い降りた

今日はここまで

現在のカミの姿

・服装はアクト1の状態
・筋肉と装備はアクト2。背中に白い翼も生えている

サタンもパワーアップする予定。方法はかなり地味でグロいけど

今回の投下分で、オリキャラっぽいのが出てくるけど、オリキャラではありません

――カミが地上に降臨してより数日が経過
カサンドラの全ての国民の健康診断を終え、最後の土地へ赴くために、一同は準備を整える

アクトレイザー「さあ友よ、準備はできたかな?」

チルノ「いつでもオッケーだ!」

魔理沙「同じく」

早苗「みなさん暖かい格好に着替え終えましたか?」

妖夢「ばっちりです」

鈴仙「ここで冬物の上着を羽織るのは、キツイけどね…早くいきましょう」

魔理沙「ところで妖夢は、幽々子のお守りしなくて良いのか?」

妖夢「しばらく紫様の所にいるから思う存分、修行してきなさいって言われました」

魔理沙「アイツも自由人だな」

鈴仙「じゃあね。霊魂さん…ここで本当にお別れだね」ナデナデ

霊魂「……」シュン

アクトレイザー「じゃあ、また後でな」

霊魂「……!」コクッ

鈴仙(ん?神様は霊魂さんとまた会うのかな…)

アクトレイザー「さて、エンジェル。キミには別な任務を与えたい」

エンジェル「はい!何でしょうか」

アクトレイザー「これまで開拓してきた土地の全て見てきてくれてないか?どういう状況なのか気になるしな」

エンジェル「かしこまりました!いって参ります!」

早苗「そっか…他の土地の様子、最近見てなかったです。迂闊でした」

~極寒の地・ノースウォール~

魔理沙「おお…なんかこう…落ち着くな」

チルノ「うひょおおおぉぉ!涼しくて最高!!」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー「この土地も、すっかり何も無くなってしまったな」

早苗「さあアナタ。奪われた物を取り返しにいきましょう」

アクトレイザー「ああ。この土地の魔物を全て倒し、文明を復活させよう」

~~~

魔理沙「魔物自体はフィルモアの頃と比べて、強化された奴ばかりだが…」

鈴仙「これだけ人数が揃ってれば、特に苦労する事もないわね」

斧を持った魔物「グゥゥ!」ガクッ

石像の魔物「グォォ!?」

神の軍団の放つ弾幕が、魔物たちを難なくと倒していく

アクトレイザー「フン!」

鳥の魔物「ギャッ!!」スパッ

カミが放つ刀気が、鳥の魔物を切り裂く

アクトレイザー「もうすぐ洞窟の最深部に到達するだろう」

~~~~

マーマンフライ「なっ!?貴様!蘇ったのか!?」

アクトレイザー「ああそうだ」

マーマンフライ「おのれ…サタン様には会わせんぞ!」

空飛ぶ人魚は、両手から緑色の弾幕を放つ

魔理沙「おいおい何だよこのヘナちょこ弾幕はよ…」サッ

チルノ「まだファラオと火炎車の方が厄介だったぞ!」サッ

早苗「マラーナのラフレシアはあんなに強かったのに」サッ

鈴仙「まあこれだけの人数に囲まれたら、実力とか関係無しに勝ち目はないでしょうけど」サッ

マーマンフライ「!?」

マーマンフライ(な、なんだコイツら…)

アクトレイザー「覚悟するんだな。マーマンフライ」

マーマンフライ「くそ!援軍など呼びおって…かつてサタン様が、6人の強力な部下を召喚したが、その真似でもしたつもりか!」

妖夢「無駄口叩いてる場合ですか?」

マーマンフライ「なっ…しまった!」

アクトレイザー・妖夢「せい!!」ビュン

ズバッ!!

マーマンフライは、カミと妖夢が放つ刀気で真っ二つにされる

~天空城~

アクトレイザー「これでこの土地も、人々が住める場所になった」

チルノ「なあ、神殿に挨拶にいかないのか?」

アクトレイザー「本来、神と人は直接関る事はない。遠くから見守りつつ、人々の願いを聞き入れるのが古来からの慣わしだ」

早苗「そうですね。これこそが本来の神と人間の関係であり、信仰のあり方ですね」

魔理沙「やり方は地味だけど、まあしゃあないわな」

チルノ「……」ウズウズ

チルノ「おい早苗!幻想郷は常識に囚われないんじゃないのかよ!」

早苗「ここは別世界ですよ?」

チルノ「知るか!あたいは直接地上に降りて、人間たちの願いを聞いてくる!」ダダッ

魔理沙「あ!おい待てよ!」

妖夢「まったく…これだから妖精は…」

早苗「どうしますアナタ?」

アクトレイザー「…………」

アクトレイザー「まあこれまで、私が不在の間はそうやって人々との関係を深めてきた訳だ」

アクトレイザー「ここは常識に囚われず、直接関わっていこうじゃないか」

早苗「わかりました!では地上へ降りましょう!」

鈴仙「結局、こうなるのね…」

アクトレイザー「二人とも、これから大変だろうけどヨロシク頼む」

男神官「」

女神官「」

男女神官「あわ、あわわわわわわ」

早苗「そんなに深々と頭を下げなくても…」

男神官「カミ様の他にも…その友人たち妖精の神に、さらにカミの妻たる女神サナエ様…」ガタガタ

女神官「なんと凄い方々が揃っているのかしら…」ガタガタ

アクトレイザー「それで、まずはどんな事がお望みだ?」

男神官「あ、えとあの、その…あの…」

アクトレイザー「む…よく考えれば愚問だったか。この土地は雪におおわれている」

早苗「ならばやるべき事は1つですね」

アクトレイザー「うむ。これから私と早苗で、奇跡の力を使い雪を溶かしていく」

アクトレイザー「私の友たちも、雪かきを手伝ってくれるはずだ。道を切り開いていきなさい」

男女神官「は、ははは…はい!」

~~~

魔理沙「いくぜ!マスタースパークだ!!」

ボォォン!!!

ノースウォール民一同「おおお!」

魔理沙「やっぱ雪かきはマスパに限るぜ」

鈴仙「じゃあ私も…ルナティックレッドアイズ」

妖夢「私もいきます。六道剣・一念無量劫」

ノースウォール民1「すごいな…これが神の軍団の力…」

ノースウォール民2「開拓も凄い勢いで進んでいる。ノースウォールの未来は明るいな」

チルノ「……」

チルノ「あたい…温度が熱い弾幕打てない…」ザクザクッ

チルノ「あ~…スコップの雪かきは辛いな~」ザクザクッ

――数日後

ノースウォール民1「いや~この間までは雪だらけだったのに…あっと言う間に緑の大地が見えてきた」

ノースウォール民2「あとは早く農作物が育ってくれれば、なお良しだな」

チルノ「なんだお前たち、腹減ってるのか?」

ノースウォール民1「あ、神チルノじゃないですか」

ノースウォール民2「ずいぶんと汗をかかれてる様ですが大丈夫ですか?」

チルノ「ずっとスコップで雪かきやってたからだよ!まったくもう!」

チルノ「まあいいや。カキ氷やるよ」パンッ

チルノが両手を叩くと小さな煙と共に、地に一本のシロップが現れ、両手にカキ氷がはいった器を二つ取り出す

チルノ「これな、甘くて美味しいぞ~」

チルノ「ほらシロップかけた、くえ!」

ノースウォール民1「うん…確かに甘くて美味しいですけど…寒いです」シャリシャリ

ノースウォール民2「こういうのは…もうちょっと暖かい日になら…」シャリシャリ

チルノ「あ?なんだよ…折角、腹減ったと言うもんだから気をきかせてやったのによぉ~」

男神官「みなさん、我らの神々からご報告があります」

ノースウォール民一同「なんだなんだ?」

早苗「見てください。これはアイトスから頂いた厚い上着です」

ノースウォール民一同「おおお!何て温かそうなんだ!」

アクトレイザー「これは獣の皮を剝いで作った物だ。当然この服を得るには狩りの技術が必要だ」

アクトレイザー「今はまだこの土地は文明も発展途上で、さらに魔物も住み着いてるが故に、迂闊に山には近づけないが」

アクトレイザー「もう少し発展を遂げたら、山へ行って、このすばらしき資源を得るといい」

ノースウォール民一同「はい!かしこまりました!素晴らしい技術を教え頂き感謝します!!」

全員、冷たい大地にひれ伏す

アクトレイザー「キミたち、ありがたいがこの冷たい大地で膝を崩す必要は無い」

チルノ「ぐぬぬぬ…なによこの扱いの差!」

~次の日・洞窟~

チルノは、かつて魔物が占拠していた氷の洞窟でひっそりと、体をやすめていた

チルノ「……」

アクトレイザー「わが友よ。どうしたこんな所で」

チルノ「ここはあたいの別荘にする事にしたんだ」

アクトレイザー「そうか。氷の妖精には打って付けの場所だな」

チルノ「なあアクト」プクッ

アクトレイザー「どうした。やさぐれた目をして」

チルノ「……ここの連中みんな冷たい。まるで氷みたいに」

チルノ「カサンドラとマラーナは暑苦しかったけど、みんな心が温かかった」

~回想・カサンドラ~

神チルノ万歳!!

万歳――!!

我らの偉大なる救いの神!万歳――!!!

チルノ「わっはははは!いいぞ!みんなあたいを称えろ!」

~回想・マラーナ~

神チルノ可愛い!!

ひんやりして気持ち良いです!

私にも抱き着かせて~!

チルノ「おいおい、お前らくすぐったいって!わははは!」

神チルノ!カキ氷食べたいです!

チルノ「しょうがないな!特別に沢山つくってやる!」

やったー!神チルノ愛してるー!!

チルノ「わっはははははは!!」

~回想おわり~

チルノ「ノースウォールの奴ら、全然あたいに感謝してくれない…」プクッ

チルノ「アイトスの人間も、おいしい物いっぱい食べさせてくれて…みんな良い人だったのに…」

チルノ「何なんだよ…ここの奴ら」グスッ

チルノは冷たい涙を流し、頬を膨らませる

アクトレイザー「……」ワシャワシャ

チルノ「ぅぅ……」ボロボロ

泣き崩れるチルノをなだめる様に、カミはチルノの水色の髪をなでる

アクトレイザー「キミはことの成り行きで妖精から神へと昇格した訳だが…」

アクトレイザー「キミはなぜ神になりたかったんだ?」

チルノ「そりゃ偉くなりたいからだ」

アクトレイザー「そうか」

アクトレイザー「それじゃ、偉くなってキミは何がしたかったんだ?」

チルノ「え?そんなの…あたいが一番の存在だって知ってもらいたくて」

アクトレイザー「キミはなぜ一番になる事にこだわるんだ?」

チルノ「はぁ?そんなの…えと…」

チルノ「うーーん…一番偉いのが最強だから?」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー「私は古来から神としての役割を務めてきたが」

アクトレイザー「偉くなりたいなど思ったことは一度もない」

チルノ「え?じゃあ何で神やってんだよ」

アクトレイザー「人々が笑顔で平和に暮らせる事…私が古来から想い続けてきた理念だ」

アクトレイザー「その想いが結果的に、民からの信仰を得ることにも繋がっていた」

チルノ「……」

アクトレイザー「我らは信仰があって成り立つ存在…人間という存在そのものに、心から感謝しなければならない」

アクトレイザー「感謝の想いがより一層、人々に尽くそうと思う気持ちを強くさせるのだ」

チルノ「……」

チルノ「カサンドラでお前が演説しただけで、あの国の人間全員が涙を流してたけど」

チルノ「お前が慕われる理由、ちょっとだけ分かった」

アクトレイザー「神チルノよ、一先ずキミがやらなければ成らない事は」ナデナデ

チルノを片手で髪を撫で回しながら、もう片方の手で指を洞窟の外へ指をさす

アクトレイザー「人々を魔物の手から救うことだ」

アクトレイザー「まだこの土地には魔物が大勢いる」

チルノ「……」

チルノ「おう!やってやんよ!誰にも感謝されずともな!」

チルノ「あたいは妖精であり、神だからな!感謝の言葉なんざ無くても人間救ってやんよ!」ダダッ

~次の日~

エンジェル「カミ様!ただいま戻りました!」

アクトレイザー「うむ、ご苦労だったな」

エンジェル「開拓が凄い速度で進んでますね」

アクトレイザー「ああ。みんなの協力があったおかげでな」

アクトレイザー「それでどうだった?他の国の住民たちは」

エンジェル「ええ。問題なく一層、街を発展させていました」

エンジェル「ただ…1つだけ、頼まれごとがありまして」

アクトレイザー「頼まれごと?」

エンジェル「実はフィルモアの神官が、どうしても合わせたい人物がいると言ってまして」

早苗「フィルモア…懐かしいですね」

魔理沙「フィルモアの神官といえば、魔物の呪いにむしばまれ危うく死に掛けた神官がいたな」

アクトレイザー「では早速、フィルモアに行くとしよう」

アクトレイザー「エンジェルと我が友チルノ、留守番を頼む」

チルノ「がってん承知の助だ!人間に感謝なんかされなくてもやってやるよ!」

エンジェル「チルノちゃん??なんかしばらく見ないうちに随分とやさぐれた様な気が…?」

チルノ「気のせいよ!」

~フィルモアの神殿にて~

アクトレイザー「しばらくぶりだな」

男神官「お…おお!!我らの永遠のカミよ…!!」

女神官「ついに地上に、正式に戻られたのですね…!!」

アクトレイザー「ああ。ノースウォールの開拓も順調だ」

アクトレイザー「サタンとの決戦の日も近い」

男神官「そうですか…やはり、そういうことなのですね」

アクトレイザー「ん?」

男神官「ごほごほ、げほごほ!!」ガクッ

アクトレイザー「おい大丈夫か!」

早苗「また体調が悪くなっている…!?」

男神官「ええ…じつはまた最近、悪夢を見るようになりまして…」

早苗「さては魔物の仕業…でもこの土地にはもう魔物は存在しない…」

アクトレイザー「サタンがこの者に悪夢を見させている可能性もある」

男神官「いいえ。それはありません…それにサタンはまだ貴方様が復活した事に気づいていません」

男神官「私の『一番弟子』がそう言ってました」

アクトレイザー「一番弟子…?」

男神官「はい…私は今回。その『一番弟子』にあわせたくて…」

男神官「弟子いわく、私と彼がいま、体調を崩しているのは魔物の呪いではなく…」

男神官「超能力で『未来』を見てしまい…その惨状があまりに酷い物で、その反動で体を壊してしまっているようです」

アクトレイザー「つまり、キミの『一番弟子』とやらも悪夢と超能力の反動で、体を壊してしまっているのか」

男神官「はい…しかも彼は、私以上に体がボロボロになってしまい…」

男神官「彼曰く、もう長くないと悟っています」

男神官「一番弟子は…私なんか足元にも及ばない程の才能を持ち…」

男神官「恐らく、私以上に『見てはいけない未来』をたくさん見てしまったのでしょう」

魔理沙「さっきから気になったんだが、その『恐ろしい未来』ってのは、なんなんだ?」

男神官「それが…曖昧な表現になってしまいますが…」

男神官「世界中が炎に包まれる夢です」

妖夢「…!?!?でも世界はいま良い方向に向かっているんですよ!?」

男神官「どういう経緯で世界が炎に包まれてしまっているのか分かりませんが…」

男神官「近い将来に、恐ろしい出来事が起こるのは確かです」

アクトレイザー「……」

男神官「それでも貴方様が、きっと世界を救ってくれることを…我々は信じています」

男神官「お願いですカミ様…どうか余命いくばくも無い我が一番弟子と会ってください」

男神官「彼は…『せめて死ぬ前に、一目で良いから永遠の神に会いたい』と言っていました」

アクトレイザー「わかった、ではその一番弟子とやらの家まで…」

女神官「はい。ただいまお送りします」

聖者殿!無理はいけません!

家で安静にしてないと!

鈴仙「ん、外が騒がしいわね?」

男神官「来たか…家で待っていろとあれほど言ったのに…」

魔理沙「来たのか?一番弟子やらが」

男神官「はい。弟子の本名は○○○○と言いますが…」

男神官「皆から尊敬の念を込めて『聖者』と呼ばれています」

魔理沙「『せいじゃ』か…幻想郷にもいるけど、中身は真逆っぽそうだな」

女神官「彼はこれまで、町の発展のため、信仰のため、治安維持のために…ありとあらゆる努力をしてきました」

女神官「最近では、内戦寸前だった隣のブラッドプールの混乱に乗じて、戦争を仕掛けようとした不良集団を改心させ…全員を神官見習いへと導いた功績があります」

早苗「そんな危うい自体が起きかけてたんですか!?」

女神官「はい。彼は50人以上もの武装した不良集団相手に1人で勝利し、若者達を更生へと導きました」

ゴンゴン

男神官「○○○○だな?入りなさい。もう来ているぞ」

ドアを開けた瞬間、まばゆい光が隙間から差し込む
水色の長い髪をなびかせつつ、カミを真っ直ぐな目で見つめる

魔理沙「な、なんだあの光は…」

妖夢「ご、後光…??」

アクトレイザー「……」

聖者「……」ボロボロ

聖者と呼ばれた若者は神を拝見すると、涙を流しながら膝を崩し、両手と頭を地につける
それを見習って、後ろの弟子達も同じ行動を取る

聖者「あぁぁ…私のために…本当に…」ボロボロ

アクトレイザー「キミが○○○○…『聖者』と呼ばれている者か」

聖者「はい…」

聖者「ゲホゲホ!ゴボォォ!」

ビチャビチャと音をたてながら、口から血を吐く

全員「!!?」

早苗「吐血!?大丈夫ですか!?」ダダッ

早苗は小走りで聖者の前へと走る

聖者「だ、大丈夫です…ごぼぉ…!」

早苗「あれ?貴方は…フィルモアを開拓してた頃に…」

聖者「はい。サナエ様ともよく、魔物の封印にいきましたね」

魔理沙「なんだ知り合いだったのか」

早苗「はい。彼とはよく魔物の討伐関連で…」

早苗「しばらく見ないうちに、後光をさす能力に目覚めたんですね…」

聖者「これはその…いつの頃からか、体から勝手に発するようになっていて…」

弟子1「聖者殿!安静にしなければ!」

弟子2「聖者殿!ハンカチを!」

聖者「ありがとうございます…げほ!ごぼぉ!」

口に抑えたハンカチは、見る見る真っ赤に染まっていく

聖者「まだ帰るわけにいきません…」

聖者「大切な遺言を残さなければなりません」

アクトレイザー「大切な遺言…?」

聖者「我らが永遠のカミよ、お聞きください」

聖者「私の師匠から既に話は聞いてると思いますが…近いウチに、世界中に恐ろしい事が起こります」

聖者「世界は炎につつまれ…そして何故か、倒したはずの魔物が再び各地方に現れるでしょう」

アクトレイザー「なんだと…!?」

聖者「どうか、人々を守って欲しいのです」

アクトレイザー「そうか。それは重要な事を聞いた。感謝する!」

聖者「もったいないお言葉を…」

聖者「それと、もうひとつ遺言が」

アクトレイザー「うむ」

聖者「アイトスの少年神官が、恐らく私と似た夢を見ているでしょう」

聖者「彼に風を起こす力を与えてくださいませ」

早苗「風を起こす力…」

聖者「あの少年なら。3日もあればマスターするでしょう」

聖者「げほげほ!ごぼぉ!」

ビチャビチャ

吐血により、床が真っ赤に染まっていく

弟子1「聖者殿!」

聖者「」

弟子2「まずい!早く家に送っていこう!」

弟子一同「カミよ…ご多忙の中、我々に会いに来て頂き…本当にありがとうございます!!!!」

聖者の後ろに居た弟子達は、神に深々と一礼し、感謝の言葉を述べると、聖者を担いですぐに去って言った

早苗「行ってしまいましたね…」

魔理沙「なんか凄い奴だったな…」

アクトレイザー「ん?本と剣が落ちてるが…」

その本にはアルファベット文字が大量に書かれていた

早苗(これって何語に近いんだろ。全然わかんない。まるで暗号みたい)

弟子3「ああ…カミよ!申し訳ございません!」

弟子3「それは聖者殿の剣と本です!」

アクトレイザー「そうか。彼に渡しておいてくれ」

弟子3「はい!本日はありがとうございます!!」

アクトレイザー「……」

男神官「……いま、聖者の後ろに居た大勢の弟子達は」

男神官「さっき言いました『元不良集団たち』でした」

全員「!!?」

男神官「げほげほ…今日はご多忙の中、ありがとうございます」

男神官「これで我が一番弟子も…悔いなくいつでもあの世へいけるでしょう」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー「早苗よ。頼みがある」

早苗「はい…アイトスへ行って。少年神官に風起こしを覚えさせるのですね?」

アクトレイザー「ああそうだ。頼む」

早苗「わかりました!」

~アイトスの神殿にて~

早苗「お久しぶりです!」

男神官「おお!サナエ様…お久しぶりです!」

女神官「今日はどうなさいましたか?先日、エンジェル様も訪問されましたが…」

早苗「はい、実は…」

少年「サナエ様は、私に用があると思われます」

男神官「おいお前…まだ体調悪いんだろ?寝てなきゃダメじゃないか」

少年「げほげほ…!」

少年「怪我しても無理して仕事をしていた師匠の背中を見て育った物で…お許しください」

男神官「そんな事言われたら、何も言い返せないじゃないか…」

少年「お久しぶりですサナエ様。ごほごほ…」

早苗「ええ、お久しぶりです」

少年「では、さっそくですがお話を聞かせてもらいます」

早苗「その様子だと、だいぶ分かってるようですが」

少年「最近、悪夢ばかり見てましたが、昨日は久々に違う夢を見ました」

少年「あなた様が、私を探している夢です」

早苗「ええ。実は…」

~少女説明中~

少年「なるほど。事情は把握しました」

少年「げほげほ!!」

早苗「大丈夫ですか?随分つらそうですが」

少年「少し咳が出る程度です。少なくともフィルモアにいる聖者と呼ばれている男ほど、酷くはありません」

少年「サナエ様、改めてお願いします。どうか私に風を起こす術を教えてください」

早苗「ではまずは手本をお見せます」

早苗「せい!」

ビュウォォォ…!!

少年「……」

少年神官は、オレンジ色の長い髪をなびかせながら、風車小屋を見つめる

少年「お見事です。今日は無風だったのに」

早苗「……?」ジッ

少年「どうされました?」

早苗「前から気になってましたがその水晶玉は?」

少年「これは私の武器です」

早苗「ぶ、武器!?」

少年「はい」

早苗「そ、そうですか…かわった武器ですね」

早苗「では、まず風を起こすコツですが…」

少年「……」コクッ

~3日後・ノースウォール~

早苗「あなた!ただいま戻りました!」ダキッ

アクトレイザー「任務ご苦労だったな」ギュッ

アクトレイザー「少年神官はどうだ?」

早苗「風を起こすという点だけみれば…私よりも凄い才能もっているかも知れません」

早苗「実質、2日でマスターしてましたよ!」

アクトレイザー「それは凄いな!これで聖者の遺言を無駄にする事はなくなったな」

エンジェル「お帰りなさいませ早苗様!」

早苗「はい、ただいま帰りました!」

エンジェル「さっそくですが、お二人にご報告したい事があります」

アクトレイザー「どうした」

エンジェル「ついにこの土地にも漁業が始まりました」

アクトレイザー「おお、そうか。魔物の巣はどうした?」

エンジェル「残るは1つだけになりました」

早苗「ここの開拓は、一番早いペースで進んでますね!」

エンジェル「それで、お二人に漁業を行われている場所まで来て頂きたいのですが」

~ノースウォール・港~

ワイワイ、ガヤガヤ

早苗「こんな寒い土地で…皆さん本当に凄いです」

早苗(そういえば海を見るのも久しぶりね…)

早苗「そして」チラッ

早苗が後ろを振り返ると、見たことも無いほど大きな巨木がたっていた

アクトレイザー「本当に昔からでかい木だ」

早苗「あなたは知ってるんですか?」

アクトレイザー「古来からこの世界を見てきたからな」

アクトレイザー「それこそ、この木がまだ小さかった頃からだ」

早苗「まあ」

アクトレイザー「……」

早苗「あれ、なんか文字が書かれてますよ?」

アクトレイザー「む、何かのイニシャルだな」

エンジェル「そのイニシャルですが…」

アクトレイザー「何か知ってるのか?」

エンジェル「実は男女の神官二人がですね、このイニシャルを見かけた時」

エンジェル「懐かしい感情にとりつかれたと言ってました」

エンジェル「僕は思うのですが…あの二人は昔、この場所に住んでいた恋人同士で、魔物に殺された魂が巡りに巡って…」

エンジェル「あの二人はまた再会したのではと…予想をしてます」

アクトレイザー「その話が本当なら、二人に記憶が無いとは言え、素晴らしい話だな」

エンジェル「ええ」

早苗「フフフ、良いこと思いつきました」

アクトレイザー「ん?」

早苗「えい」

ガリガリ…ガリガリ…

早苗はお払い棒で、木に三角の絵を描く
さらに、その三角の真ん中に一本の線を描く

アクトレイザー「早苗、この絵は一体?」

早苗「これは相合傘といいます」

アクトレイザー「あいあいがさ?」

早苗「この絵に込められた意味はその時々で、結構変わってきます」

早苗「私が学校に通っていた頃は大抵、からかいの目的として使われる事が多くありました」

早苗「ですが今から書くことは、決しておふざけ目的なんかではありません」

早苗「相合傘…それは、二人の愛を確固たるものとする為の…その証です」

アクトレイザー「なるほど」ガシッ

カミは早苗が持っているお払い棒を一緒に持つ

早苗「さあ、二人のイニシャルを…この相合傘に刻みましょう」

ガリガリ…ガリガリ…

アクトレイザー「出来たな」

早苗「ええ出来ました」

アクトレイザー「……」

早苗「……」

降りしきる雪の中、相合傘に二人のイニシャルを刻み終えると、二人はそっと抱き合う

早苗「ずっと一緒です。あなた」ギュゥゥ

アクトレイザー「ああ。ずっと一緒だ」

今日はここまで
物語の都合上、若干のオリジナル展開はあるけど、基本的には原作通りすすめていきます

そして二人の正体については、たぶん分かる人には分かると思う

~2週間後~

アクトレイザー「だいぶ街も発展してきたな」

早苗「ええ。工場も出来てます」

男神官「カミよ、ご報告があります」

アクトレイザー「うむ。どうした」

男神官「先日、最後の魔物の巣を封印してから…巨木に、魔物たちが現れ始めました」

女神官「おかげ我々は、漁業も出来なくなってしまいました…」

アクトレイザー「……ついに来たか」

早苗「あなた、いきましょう!」

アクトレイザー「ああ。皆を呼ぼう」

~~~

魔理沙「とうとうラストダンジョンか」

アクトレイザー「敵はいままで以上に強くなっている。油断はしない様に」

魔理沙「そりゃそうだけど…これだけ人数が揃ってればな…」

鈴仙「皆さん、ホットコーヒーです」

早苗「ありがとうございます」

アクトレイザー「ありがとう。場所が場所だからな。体が温まる」

チルノ「あたいにはアイスコーヒーが良かったなぁ」ズズッ

魔理沙「お前は寒さに強いんだから丁度良いんじゃないのか?ハンデだよハンデ。汗かきながら闘え」

~ノースウォール・巨木にて~

アクトレイザー「ふんっ!」ズバッ

魔物「ウオッ!」ガクッ

鈴仙「さすがラストダンジョン。ここの敵はいままで以上に強い」

魔理沙「だけどそれ以上に、ここの魔物は地の利を完全に活かして闘ってやがる」

早苗「完全にこちらの動きを想定して、邪魔しに掛かってきてますね」

目玉の魔物「……」

盾を持つ魔物「……」

鳥の魔物「ギャォ!」

チルノ「ええい!小ざかしいマネばかりしやがって!」

チルノは氷の剣で、次々と魔物を倒していく

チルノ「しかし巨木の中って結構、グロイんだな」

チルノ「ここもあたいの秘密基地にしようと思ってたのに」

魔理沙「こんだけデカけりゃ、もはや秘密とは言えないけどな」

~~~~

チルノ「お、なんだこのシャボン玉!」

魔理沙「へ~!なかなか面白いな!」

早苗「不思議ですね。人一人を持ち上げるなんて」

アクトレイザー「全員、足元に気をつけるんだ」

パァァン!

魔理沙「うお!?」

重みでシャボン玉が割れ、同時に魔理沙はとっさに違うシャボン玉に移る

魔理沙「ま、さすがにずっと支え続けるのは不可能か」

早苗「っていうか私たち全員、一応飛べるんですけどね…」

アクトレイザー「さあ、もうすぐ頂上だ」

チルノ「お、吹雪だな」

神の軍団全員が巨木の頂上に到着する

早苗「想定はしてましたが、やはり悪天候ですね」

魔理沙「視界が悪いぜ…こんな状況の中、あのカーリアと同等の奴と戦うのか」

アクトレイザー「……!来るぞ!」

全員「!!」

カミの合図と同時に、空から氷の弾幕が全員を襲う
それをギリギリで交わしていく

魔理沙「なかなか鋭い弾幕だ」

アクトレイザー「魔理沙、後ろからくるぞ!」

魔理沙「え?」クルッ

フロストワイヴァーン「ギャオォォ!!」

ガキィィン!!

魔理沙「うおぉぉ!!」

魔理沙は魔力をまとったホウキで、フロストワイヴァーンからの蹴りをガードする

魔理沙「危ねぇな、全然きがつかなかったぜ」

フロストワイヴァーン「……」バサバサッ

魔理沙「だがスピードじゃ負けないぜ」

フロストワイヴァーンは左右に動きながら、魔理沙の出方をみる
魔理沙もまたフロストワイヴァーンの素早い動きに、合わせるように左右に動く

アクトレイザー「彼女は凄いな。フロストワイヴァーンとほぼ同等の速さで対応している」

フロストワイヴァーン「ギャオォ!!!」

魔理沙「うお!?」スッ

僅かに氷の弾幕が、魔理沙の頬をかする
頬が僅かに切れる

魔理沙「おお怖い怖い」グシッ

血を腕で拭いて、ポケットからミニ八卦炉を取り出し構える

魔理沙「くたばれ!マスタースパークだ!!」

ボォォン!!

フロストワイヴァーン「……」サッ

魔理沙「ちっ!避けられたか…さすがラスボス一歩手前の敵だ」

チルノ「おい!!あたいも忘れるなよ!」ポイッ

ゴォォン!!

フロストワイヴァーン「!!?」ガクッ

チルノ「わははは!どうだ!」

フロストワイヴァーン「……」バサバサ

巨大な氷塊をフロストワイヴァーンの頭部に叩き落す
一瞬、態勢を崩すもすぐに氷の翼を羽ばたかせ、吹雪の中に消えていく

早苗「これだけ視界が悪いと、どこに奴がいるのか分かり辛いです…」

鈴仙「……」

鈴仙はウサギの耳をピーンと立たせ、気配を察知する

鈴仙「丁度、巨木の真ん中の真上にいるわ!」

チルノ「なんだよ、もっと遠くまで逃げてるのかと思ったよ」

アクトレイザー「……全員。結界やら魔法壁を張ってガードをするんだ」

カミはそういうと、1人だけ巨木のど真ん中まで移動する

早苗「あなた!?危ないですよ!」

アクトレイザー「大丈夫だ」スッ

カミは天に目がけて、剣を振り上げる
それと同時に、空からフロストワイヴァーンの氷の弾幕が降り注がれる

魔理沙「うおぉ!?来たな!!」

早苗「凄い猛攻ね…!」

パキィィン!パキィィン!パキィィン!

チルノ「フフフ。あたいは平気だがな!」

魔理沙「お前、剣で攻撃してこいよ!」

チルノ「だってあの氷の龍さ、動き早いんだもん。それにアクトが何か仕掛けようとしてるし…」

アクトレイザー「……いくぞ、フロストワイヴァーン」

アクトレイザー「光符・天空城の光」

ゴゴゴゴ…

全員「!?」

カミが詠唱すると神の頭上から、ぶ厚い光の柱が発生する
その柱の光は一気に拡散して消えていく

ボォォォン!!!

魔理沙「す、すげぇぇ」

鈴仙「神々しいわ…」

ドサッ…!

フロストワイヴァーン「ギャオオオ!!」

吹雪の中、ボロボロになったフロストワイヴァーンが落ちてくる

アクトレイザー「いまだ。全員、総攻撃だ!」

鈴仙「散符・インビジブルフルムーン」

魔理沙「恋心・ダブルスパーク!」

妖夢「空観剣・六根清浄斬」

早苗「秘術・グレイソーマタージ」

チルノ「うし、じゃああたいは…巨大な氷塊でも喰らっとけ!」

神の軍団の弾幕総攻撃が、フロストワイヴァーンを襲う

フロストワイヴァーン「」

魔理沙「お、倒せたかな?」

フロストワイヴァーン「……」ググッ

早苗「まだ息があります!」

チルノ「おーし、あたいの氷の剣で」ダダッ

チルノ「いくぞ!!」ブンッ

フロストワイヴァーン「……」ザシュッ

ガキィィン!!

チルノ「うわああ!?」

チルノが剣を振り下ろすと同時に、フロストワイヴァーンが足蹴りし、チルノを吹き飛ばす

チルノ「す、凄い脚力だなお前!」

フロストワイヴァーン「ギャオオオオ!!」

フロストワイヴァーンは叫びながら、再び雲の中へと消えていく
そして再び、空から氷の弾幕が降り注がれる

早苗「いままで闘ってきたボスの中で一番、回避能力のある敵ですね…」

鈴仙「ああやって距離を取れると攻撃がし辛いわ…そうじゃなくて悪天候なのに」

妖夢「我々も飛行して応戦しましょうか?」

アクトレイザー「大丈夫だ。飛行して余計な体力を使わない方が良い」

妖夢「しかしここまで、距離を取られると…」

アクトレイザー「見方は今ここにいる者だけではない」

妖夢「え?」

フロストワイヴァーン「…………」

ズバッ!!

フロストワイヴァーン「ッ!?!?」

光輝く矢がフロストワイヴァーンの背中を射抜く

エンジェル「皆さん!お待たせしました!」

早苗「エンジェルさん!」

エンジェル「上空にも魔物たちがいて、なかなか援護できませんでした」

エンジェル「さあフロストワイヴァーン…僕だって人々の信仰の影響で、パワーアップしている」

エンジェル「神の使いとしてお前を成敗する!」

吹雪の中、無数の光の矢を放つ

フロストワイヴァーン「ギャオオオ!!」

フロストワイヴァーンは矢の攻撃を幾つか受けながらも、必死に回避していく
そして視界の悪さを利用しながら、上空から氷の弾幕を放つ

アクトレイザー「早苗、後ろから来るぞ!」

早苗「はい!」サッ

フロストワイヴァーン「ギャオオオ!!」

早苗「当たらないわよ…えい!」ザシュッ

早苗が後ろを振り返ると、既に目の前までフロストワイヴァーンは襲い掛かってきていた
早苗はバックステップしながら攻撃を回避し、さらにお払い棒で攻撃をする

フロストワイヴァーン「ッ!!」

チルノ「おらぁぁ!槍投げだ!」

ザシュッ!

フロストワイヴァーン「……ッ」ガクッ

フロストワイヴァーンの額に氷の剣が貫く
しかし、いまだに倒れずバサバサと翼をはためく

早苗「もうだいぶ弱ってますね…もう少しです!」

アクトレイザー「……ここで藤原妹紅から教わった技を使うとしよう」

カミの剣がシュボッと音を立て燃え上がる

アクトレイザー「いくぞ…妹紅直伝」

アクトレイザー「不死・火の鳥-鳳翼天翔-」

剣を振り下ろすと同時に、火の粉が舞い、大きな火の鳥が現れる

フロストワイヴァーン「ッ!!?」

アクトレイザー「炎と共に消えろ…!」

フロストワイヴァーン「ギャオオオォォォ!!!」

フロストワイヴァーンは、炎の鳥に体を包み込まれると、その大きな体は激しく燃えながら溶けて消えていく

~神殿にて~

男女神官「ありがとうございますカミさま!」

アクトレイザー「うむ」

男神官「これでノースウォールは平和な土地になりましたが…」

アクトレイザー「ああ。いよいよサタンとの最終決戦だ」

女神官「われわれに出来ることは祈る事しかできませんが…どうかご武運を」

魔理沙「しかしまあカーリアと同格の敵相手に…しかもあの悪天候の中…思ってたよりも楽に戦えたな」

鈴仙「やはり神クラスがいると心強いわ」

早苗「はい。ですがサタンはこれまでの相手とは更に、規格外の強さになるでしょう」

チルノ「おうよ!気合いれてくぞ!」

妖夢「ところでカミよ…その、サタンの根城は一体どこに」

アクトレイザー「北東の海、デスヘイムという島がある」

魔理沙「そんな島あったっけか?」

エンジェル「普段は海の底に沈んでいます。ですが、地上の魔物を全て倒してしまったので…」

アクトレイザー「ああ。間も無くデスヘイムが浮上するだろう」

早苗「しかし気がかりなのは…あのフィルモアの神官さん達が言っていた『未来の恐ろしい出来事』です」

アクトレイザー「……多分、全員勘付いていると思うが、サタンはこのあと何か仕出かすだろう」

全員「……」

アクトレイザー「念のためデスヘイムへ行く前に、人々の安全を確保しよう」

早苗「そうですね。まずはそれが最優先ですね」

魔理沙「んじゃ、いったん各地に散らばるか?」

アクトレイザー「ああそうだな…そして最悪、私が単身でサタンを倒しにいこう」

魔理沙「いや、何人かは連れて行ったほうが良いと思うぜ」

早苗「そうですね…いくらアナタがパワーアップしてると言っても、念には念を…」

アクトレイザー「……そうか。ではこれから、誰がどの役割を担うか話し合うか」

早苗「ええ」

妖夢「では全員、会議室へ…」

ゴゴゴ…

アクトレイザー「む!」

鈴仙「じ、地震?」

アクトレイザー「しまった…想像以上に早くデスヘイムの浮上が始まったな…」

カミは北東の方を見つめる

魔理沙「そうか、この揺れこそがデスヘイム浮上の証拠って訳か」

ゴゴゴ…

エンジェル「いよいよサタンとの対面ですね」

アクトレイザー「ああ。一体いつ振りになるのだろうな…」

ドゴォォォォン!!!!!

全員「!!?」

ゆるやかな揺れは突如、激しい揺れへと変わる

ドゴォォォォン!!!!!

魔理沙「う、うわあああ!?」

早苗「きゃああああ!!」

ゴゴゴゴゴ…!!!!!

チルノ「なんだこの揺れ!こんなの初めてだぞ!!」

ゴゴゴゴゴ…!!!!!

アクトレイザー(これは様子がおかしい…!いくらデスヘイムの浮上と言えど…度が過ぎる!!)

ミシミシミシ…!!ビキビキビキ…!!!

地面に大きな亀裂が走る

~数分後~

妖夢「な、なんとか治まりましたね…」

男神官「そ、外は無事だろうか…」

ガチャッ

男女神官「!?!?」

男女神官が扉を開けると、外は炎に包まれていた

全員「!!?」

魔理沙「な、なんだ…これ…」

ゴゴゴゴゴゴゴ…

早苗「町中が燃えてる…」

ヒュゥゥゥゥゥゥ…

鈴仙「何か落ちてくるわ!!」

ヒュゥゥゥゥ…ボォォン!

鈴仙「きゃっ!!」

街の一角に大きな赤黒い塊が落ちてくる

魔理沙「これ…マグマじゃねぇか!!」

ヒュゥゥゥゥ…ボォォン!

エンジェル「カミ様…これは…」

アクトレイザー「ああ」

アクトレイザー「サタンが激怒している…!」

早苗「サタンが激怒…」

アクトレイザー「奴はようやく、私が復活したことを知ったのだろう」

アクトレイザー「サタンの怒りをこれ程までに感じるのは初めてだ」

全員「……」

アクトレイザー「幸い、この土地は寒い。すぐに炎も自然消火するだろう」

アクトレイザー「二人の神官よ、人々の安全の確保を」

男女神官「はい!!」

アクトレイザー「我々は…まず目の前の敵を倒すとしよう」

魔理沙「あ!おまえ…何で生き返ってんだ!」

マーマンフライ「サタン様に復活させてもらったのだ…しかも力を強化されてな」

チルノ「力を強化されたってお前、この人数で勝てると思ってんのか!」

マーマンフライ「黙れ、お前たちは絶対サタン様の所まで到達させんぞ!」

アクトレイザー「皆よ、早く目の前の敵を倒し」

アクトレイザー「いったん、各地へ散らばろう!」

――デスヘイムが浮上する少し前

サタン「そうか。とうとうフロストワイヴァーンまでも倒したか」

魔物1「はい」

サタン「良いだろう。デスヘイムを浮上させよう」

魔物1「例の人間たちを迎え撃つのですね」

サタン「ああ。久しぶりの決闘…楽しみだ」

ゴゴゴ…

海底に沈んでいたデスヘイムはゆっくりと浮上していく

サタン「自らが強いと思い上がった人間共を、絶望に叩き落とすのが楽しみだ」

サタン(だが…さっきから妙な胸騒ぎがする。一体何なんだろうか…)

魔物2「大変ですサタン様!」

サタン「どうした。そんなに慌てて」

魔物2「その…フロストワイヴァーン様が倒されて…」

サタン「それはもう聞いた」

魔物2「それで…その…」

サタン「ん?」

魔物2「あの…その…何故か…あの場所に…」

魔物2「例の人間たちと共に…封印されたハズのカミがいました!!」

魔物1「お前…そんなのありえんだろ!!」

魔物2「お前こそなぜ気がつかなかった!」

魔物1「俺は…怖くて、誰よりも早く逃げていた…そしたらフロストワイヴァーン様が燃え盛りながら消えていくのを遠くで見えて…」

魔物1「そんな事よりもだ!カミが復活などありえん!復活が早すぎる…!!」

魔物2「俺にも事情は知らん。だが自分以外にもカミを見たとの報告が多数あるのは事実だ」

サタン「…………」

魔物1「サタン様…これは由々しき事態です…」

魔物2「サタン様…我々はどうすれば」

ブチンッ

魔物1・2「!!?」

ポタポタ…

サタンの額の血管が切れて、血が流れる

サタン「すまん。私も歳をとった。恐らく聞き間違いだとは思うんだが…」

サタン「もう一度言ってくれ」

魔物2「あの…その…」

魔物2「例の人間たちと共に…封印されたハズのカミがいました…」

ブチンッ

魔物1・2「」ビクッ

ブチンッ、ブチンッ
ポタポタ…

サタンの額の血管が更に切れ、額が血まみれになって行く
その流れる血はサタンの目に入り、血涙を流すように流れていく

サタン「…………」

サタン「」プルプル

ワナワナと体を震わせ、殺気が全身から溢れる

サタン「ん…んん…!!」

サタン「ふざけるな!!!!!!!!!!!!!!!!」

ドゴォォォォォン!!!

激しい揺れと衝撃波が世界中を襲う
ゆるやかに浮上していたデスヘイムは、物凄い速度で一気に地上へと浮上していく

サタン「ゼー…ゼー…フゥゥ…フゥゥ…」

怒り満ちたサタンは激情を抑えるために息を整える

サタン「なぜ奴が復活している!?ありえん!!」

サタン「おのれカミめ…!!舐めたマネを…!!!」

サタン「部下の人間達を引き連れて私に復讐だと!?その昔、6匹の部下を召喚したが、その真似をしたのか!!?」

サタン「ゼー…ゼー…今度は確実に殺す!!封印なぞ生ぬるい!!」

サタン「お前達」

魔物1・2「は、はい!」

サタン「我が眷属を全員召集させよ」

魔物1・2「はい!!」

サタン「死んでしまった同士も私の力で復活させる…会議を始めるぞ」

~~~~

サタン「各地に復活させた眷族を一体ずつ派遣する」

魔物1「一体だけでよろしいのですか?」

サタン「ああ。強力な奴を送るからな…そして我が分身はこのデスヘイムで待機だ」

サタン「元々の予定は迎え撃つだけだったが…」

サタン「………」ワナワナ

サタン「それじゃ怒りが治まらん」

サタン「いまこの島から火山噴火を起こし、マグマで世界中を火の海にしている所だ」

サタン「カミも人間も皆殺しにしてやる」

魔物1「我々は何をすればよろしいですか?」

サタン「諸君達に選択肢を与える」

サタン「各地に散らばって人間どもを殺しつつ、カミに立ち向かうか?」

サタン「それとも、胃袋の中で私の糧となるか?」

サタン「好きなほうを選べ」

魔物全員「……」

魔物1「我らは弱小の身です」

魔物2「人間は襲えてもカミに負ける姿が想像できます」

魔物3「我ら無数の大軍は、貴方の糧になる決意は出来てます」

サタン「そうか。事を終えたら復活させてやる。それまで私の胃袋の中でゆっくり眠り、糧となれ」

サタン「お前達6匹はカミを直接迎え撃つのだ」

ミノタウロス「……」

ウルフ・ツェッペリン「……」

ファラオ「……」

火炎車「……」

カーリア「……」

フロストワイヴァーン「……」

サタン「今度こそカミを殺すぞ」

今日はここまで

チルノ「へん、強化された意味全然無いよ!」

マーマンフライ「」ガクッ

アクトレイザー「ノースウォールには大きな洞窟もあるし、神殿もある…さらに巨木もある」

アクトレイザー「避難所に困る事はない。それに雪原地帯だ。火災もじきに治まる」

アクトレイザー「ノースウォール以外の土地へ行こう」

アクトレイザー「部隊の編制だが…」

魔理沙「アクト、お前は先にデスへイムへ行ってこい」

アクトレイザー「しかし、それでは人々が」

魔理沙「私は後からデスヘイムに行く。お前はサタン討伐に集中しろ」

アクトレイザー「……わかった。では各地の守るべき担当地域での問題を終えたら、デスへイムへ来てくれ」

エンジェル「僕は始まりの地、フィルモアへいきます!」

魔理沙「了解だ。私はブラッドプールへ行く」

チルノ「あたいはカサンドラ!」

妖夢「では私はアイトスへ」

鈴仙「私はマラーナへ向かうわ」

早苗「えっとそれじゃ、私は…」

アクトレイザー「早苗よ、私と一緒に来てくれるか」

アクトレイザー「デスヘイムへ」

早苗「……っ!はい!!」

アクトレイザー「では諸君、各地の問題解決が見込めたらデスヘイムへ集合だ!」

~始まりの地・フィルモア~

エンジェル「さあ来たのは良いけど」

ゴゴゴゴゴ…!

エンジェル「やっぱり樹木が多いだけあって、火災による被害は甚大だ…!!」

エンジェル「早く人間たちを救わないと!」

セントール「ギャアアォォォ!!」

エンジェル「!?」

セントール「」ドサッ

エンジェル「魔物が…倒れた…」

聖者「ぜぇぜぇ…」ボタボタ

ノドを剣で串刺しにされたセントール
セントールを倒したのは村の若い神官の1人、聖者と呼ばれる者だった

その姿は血まみれでボロボロだった

エンジェル「だ…大丈夫ですかアナタ!?血まみれじゃないですか!!」

聖者「あぁぁ…アナタ様は…天使様…またお会いできて光栄です」

聖者「流石に上級の魔物相手は…私には荷が重過ぎるようです…」

聖者「ゴホゴホ!」

咳と共に、ドバッと血を吐く

エンジェル「っ!?」

聖者「気にしないで下さい…元より私は、もう長生きできない身でした」

聖者「どうか世界のために…カミが向かっているであろう北東の邪悪な島へ、闘いへ赴いて下さいませ」

聖者「国の者達はすでに避難は完了してます」

エンジェル「……!!わかりました。お勤めご苦労でした」

エンジェル「私はデスヘイムへ向かいます…若い勇者よ!ありがとう!」

聖者「…………」

聖者(私の役目は終わった…)

聖者(最後に…恐れ多いが、この世界の未来を超能力で観て見よう)

聖者「呪文を詠唱する…」

聖者「MFCL SYMC FJSD」

聖者「………………」

聖者「何も見えなかった。それだけ熾烈な闘いになるという事ですね」

聖者「ですが私は信じています…アナタ様が必ず世界を救う事を…」

聖者「」

~ブラッドプール~

魔理沙「うわぁぁ…すげぇぇ燃え上がってるぜ…」

ゴゴゴゴゴ…

魔理沙「しかし何だ。魔物自体は全然いないな…ノースウォールにも1体だけしか出てこなかった」

魔理沙「この降りそそぐマグマと、強力な魔物一体だけで、世界を滅ぼすっ事か?」

ブラッドプール民達「に、逃げろぉぉ!マグマと…魔物が襲い掛かってくるぞ!!」

魔理沙「おう!来たぜ!」

ブラッドプール民達「おお!英雄マリサ!」

魔理沙「ここは私に任せろ。お前達は…そうだ、湖の近くのどうくつに隠れてろ」

ブラッドプール民達「はい!!」

マンティコア「ゴォォ!!」

魔理沙「お、ライオンみたいな魔物を発見」

魔理沙「んじゃ、とっとと倒しますかな…」

「その必要は無いわ」

ザクザクザク!!

マンティコア「ゴォォォォ!!?」

ドサッ

魔理沙「うおぉぉ!?な、なんだ…ナイフの串刺し!?」

「何やら大変な事になってるわね」

魔理沙「あれ?お前…帰ったんじゃなかったのか?」

魔理沙「咲夜」

咲夜「お嬢様の命令でね。そろそろあのカミが世界を救う頃だろうから」

咲夜「『せっかくだからカミに恩を売っておきなさい』と言われて」

魔理沙「へ、恩着せがましい奴だな」

咲夜「人間達の避難誘導と、街の消化活動の方は私がやっておく」

魔理沙「そりゃ助かる。時間を止める奴はこういう時も便利だな」

咲夜「アナタは…サタンの所へいきなさい」

魔理沙「おう!行って来るぜ」

魔理沙「あ、もしも後でデスヘイムに来るなら方角を教えといてやる」

魔理沙「北東の小さな島だ」

咲夜「分かった。余裕があったらそっちにも行くわ」

~カサンドラ~

チルノ「あれれ…誰もいない…」

チルノ「まさか皆死んじゃった!?いや、そんなハズない…」

チルノ「おぉーい!みんな!ドコにいるんだよ!」

カサンドラ民1「おお、神チルノ!」

チルノ「お前ら!一体ドコに隠れてたんだ!?」

カサンドラ民2「我々は事前に、神殿の地下やら、民家の地下深く…他にも各施設に防空壕を作ってました」

チルノ「そうか。なんにしても無事でよかった!」

男神官「神チルノ!ご無事でしたか…」

チルノ「おうよ!それにしてもお前達、やけに準備が良いな」

女神官「ええ。前々から我々を含めた国民全員…妙な声が聞こえましてね…」

チルノ「こえ?」

男神官「はい。それが不思議な話で…かつてこのカサンドラで若くして神官を務めていた…」

男神官「今は亡き青年の声が…忠告が聞こえてきて…」

男神官「『我らのカミは近いうちにサタンとの決戦を迎える。その時に何か悪いことが起きるかも知れないから、避難所を作ってくれ』と」

チルノ「え……?」

霊魂「……」ヒョコッ

チルノ「あ、霊魂」

霊魂「……」

チルノ「そうか。奇跡的にこの国にはまだ死者が出てないのか!」

チルノ「よかったよかった…おっしゃ!あたいが町中の火を消してやるぜ!」

ドゴォォォォン!!!!

全員「!!?」

チルノ「うおぉぉ!?な、なんだ!また地震か!?」

ダゴバ「ゴォォォォ!!!」

チルノ「げげげ!?またアリジゴクじゃないか!!」

チルノ「しかも前よりも、さらに巨大化してやがる…」

ダゴバ「ゴォォォォォォ!!!!」

チルノ「」ビクッ

チルノ「び、ビビッて何かないぞ!!覚悟しろ!!」

チルノ「アイシクルソード!」

チルノは両手に氷の剣を練成する

チルノ「うおおおぉぉぉ!!」

ザシュッ!!ザシュッ!!

ダゴバ「ゴォォォォォォ!!!!」

アリジゴクは以前よりも更に強力な勢いで、石の弾幕を広範囲に渡って投げつける

ドゴォォン!ドゴォォン!ドゴォォン!

カサンドラ民「うわあああ!!?」

チルノ「お前ら危ないぞ!ここから離れろ!こんなバケモノが出てきた以上、民家の防空壕だって安全じゃない!」

ダゴバ「ゴォォォォォォ!!!!」

チルノ「ああもうウルセーな!強化したのはお前だけじゃないんだぞ!あたいだって強くなったんだ!」

ドゴォォン!

チルノ「ギャッ!!くそ…この岩石弾幕は地味に痛ぇな…」フラフラ

ヒュゥゥゥゥ…ドゴォォォン!!

チルノ「あちちち!溶岩あつい!」

チルノ「チクショー!避けるべき弾幕が多すぎる!」

「苦戦してるようねチルノ」

チルノ「え?あ…あれ?あれれ!??」

カサンドラ民1「なんだあの空飛ぶ少女は…?」

「でもよく頑張ってるじゃない。これだけの悪条件の最中…」

「てかあんた本当にチルノ?妙に神々しいけど」

チルノ「なんでお前がここに…」

「別に望んで来た訳じゃないわ。お茶飲んで昼寝してたら…」

「変な女に『皆も頑張ってるんだから、修行してきなさい』と言われ、無理矢理この世界に投げ飛ばされたのよ」

「でもまあ…来て正解かもね」

「こんな惨状を目の当たりにしたら、放っておけない」

「チルノ、あとは私に任せなさい」

「アナタはこの国の消化活動を」

チルノ「お、おう!消化が終わったらあたいはデスレイムに行くけど」

「あぁ!?誰がデスレイムですって!」

チルノ「あ、間違えた…デスヘイムだ!北東にある小さな島だよ!」

「ええ分かったわ。私も事を終えたら行くわ」

カサンドラ民1「神チルノ!あの巫女だけに任せてよろしいのでしょうか」

チルノ「ああ大丈夫だ!」

ダゴバ「ゴォォォォ!!!!」

「……」ググッ

空飛ぶ少女は、両手から巨大な白黒のボールを練成する

ダゴバ「ガアアアアア!!」グワッ

カサンドラ民1「まずい!丸呑みにされてしまう!逃げろ巫女さん!!」

「……」ポイッ

巨大な白黒のボールを、巨大アリジゴクの口内へと放り投げる

ダゴバ「ッ!!…!!?、!?!?」ジタバタ

巨大な怪物は口に入った白黒ボールに、咽を詰まらせ、もがき苦しむ

「アンタはもう死んでいる」

シャンシャン

お払い棒を左右に振ると突如、巨大アリジゴクを囲むようにして、大量の御札が出現する

カサンドラ民2「なんだアレ…四角い紙?」

少女がお払い棒を立てに振ると、その大量の御札は一斉に、アリジゴクを襲う

ボォォォォォォォン!!!!

「………」

カサンドラ民1「すげぇぇ…巨大怪物を跡形もなく消し去ってる…」

カサンドラ民2「なんだあの巫女さんは…」

~~~~

チルノ「お、もう倒したのか!さすが早いな」

「今からこれ以上、火山弾は来ないように結界を張るわ」

「24時間は耐えられる結界を張る。この国は大きそうだし…結界の完成まで時間がかかるけど」

チルノ「わかった。んじゃとっとと雪でも降らせて消化する!」

「お願いね」

「この砂漠の土地に結界を張り終えたら…次は他の土地にも結界を張らないと」

~アイトス~

妖夢「この国はデスヘイムからのマグマだけでなく、地元の火山までもが爆発してる…」

ゴゴゴゴゴゴゴ…!!!

妖夢「マグマによる被害はここが一番酷い…はやく皆を避難させないと」

蒼龍「」ドサッ

妖夢「っ!?なんだ…空から龍が降って来た…」

少年「」ドサッ

蒼龍の亡骸と共に空から、血まみれの少年神官がドサッと音をたて落ちてくる

妖夢「あ、あなた…まさかこの魔物を倒したんですか!?」

少年「」コクコク

妖夢「酷い傷…いま手当てをしますね!」

少年「私は…前々から…体を壊してました…」

少年「そして魔物との闘いで…傷尽き…私はもう完全に手遅れでしょう…」

妖夢「そんな…」

少年「私の使命は…この国を守る事」

少年「先日、サナエ様から風の操り方を教わりました」

少年は両手を天に掲げる
一方、数百メートル先には炎の竜巻が起こっていた

妖夢「な、なんだ…あの炎の竜巻…」

ゴゴゴゴゴゴゴ

少年「私があの竜巻を吹き飛ばしましょう」

少年「そして…アイトス中に燃え広がっている炎を、私の風で消し去って見せます」

妖夢「わかりました!人々はもう避難に向かってるんですか!?」

少年「はい。全員、前から作っていた避難所へ向かってます」

少年「うおぉぉぉ!!!」

ゴゥゥゥゥ…!!

力強い風が炎の竜巻を散らす
同時にその強い風は、アイトス中の炎を消していく

少年「アナタ、神の軍団のお方ですね?」

妖夢「はい!」

少年「まだ逃げ遅れてる住民も多くいるはずです。どうか助けてあげて下さい」

少年「そして、そのあとは北東の島へ向かって下さい…ここは、私がどうにかします」

妖夢「分かりました!」

~数時間後・マラーナ~

鈴仙「ぜぇぜぇ…やっと倒した…やっぱり強いな…」ガクッ

ラフレシア「」

鈴仙「でも初見じゃなくて良かった…ある程度対策もとれたし」

鈴仙「……っていうかココジャングルだし。こんな所にまでマグマを落としてたせいで、部下のラフレシアも弱ってたじゃない」

鈴仙「サタンも頭に血がのぼり過ぎて、そこまで計算出来なかったのかしら?まあこっちとしては好都合だけど」

「あら、ボロボロね。大丈夫?」

鈴仙「え!?なんでアナタがここに!」

「…………」フイッ

鈴仙の前に現れた巫女は、あからさまにゲンナリした表情をみせる

鈴仙「ああ……なんかもう、全部察しがついたわ」

「……ただ、ここの世界に来て正解かもね」

「さっき色んな土地に行って、結界を張ってきたわ」

「巨大な結界を張るのに時間がかかるから、アナタも先に『デスヘイム』とやらに行ってきなさい」

鈴仙「ありがとう…もう自分の治療なんかしてるヒマはないわね」

~デスヘイム~

早苗「」

早苗(なにこれ…邪悪な銅像が…)

早苗(まるで圧迫面接みたい)

アクトレイザー「ここから順番に闘っていく事となる」

早苗「最終ステージはボスラッシュですか…」

アクトレイザー「さあ、覚悟はいいか?」

早苗「はい!」

アクトレイザー「いくぞ!」

ボォォォン!

光と共に二人は戦地へとワープしていく

~デスヘイム~

ミノタウロス「ば、バカな…強化されたハズのこの俺が…」

ミノタウロス「前回、会ったときは俺に苦戦してたじゃないか…!!」

アクトレイザー「それ以上に私のほうが強くなったという事だ」シャキン

早苗とカミは圧倒的な力で、強化されたミノタウロスをいとも簡単に追い詰める

早苗「さあ覚悟しなさい!ミノタウロス!」

ミノタウロス「クソォォォォ!!」

~~~~

ウルフ・ツェッペリン「前回、闘ったメイドとは違う相手…」

ウルフ「だが強化された私を簡単に倒せると思うな」

ビュン!ビュン!

ウルフは瞬間移動を多用しながら、弾幕を投げつけたり、雷を落とす

ボォォン!ボォォン!ボォォン!

早苗「つ、強い…咲夜さんはこんなのに勝ったんですか!?」

ウルフ「フハハハ、私はあの時よりも強くなっている。覚悟しろ小娘!」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー「フンッ!」

ウルフ「なっ!!」

ボォォン!!

瞬間移動を多用し、相手を惑わすウルフ
その消えた姿が現れる瞬間を狙って、カミは相手にめがけ刀気をとばす

ウルフ「ぐあああ!!」

ボォォン!ボォォン!ボォォン!

カミは容赦なく刀気をとばす

アクトレイザー「相手は1人ではないぞ」

ウルフ「おのれ…カミめぇぇ!!!」

ウルフ「ゴォォォォォ!!!!」

メキメキ…!!

早苗「獣に変身した!?」

アクトレイザー「恐れる事はない早苗。ここからの奴の戦法は力任せの物だ」

アクトレイザー「パワーに全振りしてるが、油断しなければ大した事は無い」

~~~~

早苗「な、なんとかあの瞬間移動する魔物も倒しましたね…」

ゴゴゴゴ…

ファラオ「……」

早苗「デ、デカい…コレが、チルノさんの言ってたファラオ…」

早苗(みんな凄い怪物と闘ってきたんですね…)

アクトレイザー「早苗、来るぞ!」

早苗「はい!」

今日はここまで
名前は一応伏せたけど、チルノを助けた少女の正体はみんな分かったと思う

その後カミと早苗はファラオを倒し、後続する火炎車、カーリアを倒す

アクトレイザー「ゼェゼェ…」

アクトレイザー「流石に強化されたカーリアは、二人でも苦戦したな…」

早苗「はい…」

フロストワイヴァーン「ギャオォォォ!!!」

アクトレイザー「来たな…お前も強化されてるようだが」

早苗「前と違って吹雪じゃないですね」チラッ

早苗が空を見上げると、暗闇と皆既日食が目に映る

アクトレイザー「ああ視界は良好だ…いくぞ!フンッ!」

フロストワイヴァーン「……」サッ

カミが刀気を放つが、フロストワイヴァーンはそれを避ける

早苗「えっ!?」

アクトレイザー「元々回避能力は高かったが、更に洗練されているな」

バサバサッ

カミは翼をはためかせ宙に浮く
それに続くようにして早苗も飛行する

早苗「今回は空中戦になりそうですね」

アクトレイザー「ああ」バサバサッ

フロストワイヴァーン「ギャオォォォ!!」

フロストワイヴァーンの口から氷の弾幕が放たれる
それは以前よりも更に強力な勢いになっていた

カミと早苗はそれをギリギリで避けていく

早苗「弾幕の速度も上がってる…!」

アクトレイザー「避けてばかりではダメだ。行くぞ!」

シュッ!シュッ!

カミは刀気をとばし、早苗もカミの弾幕を模範した刀気の様な弾幕を撃っていく

アクトレイザー「強化されてるだけあって、体力もケタ違いだな」

フロストワイヴァーン「ギャオオオォォ!!」

早苗「あと一歩でサタンの所までいけるのに…!」

アクトレイザー(サタン戦まで魔力を温存したかったが…ここは止む得ない)

アクトレイザー(なにか魔法を使おう)

魔理沙「おう待たせたな!」

エンジェル「カミ様!ただいま参上いたしました!」

アクトレイザー「魔理沙!エンジェル!」

チルノ「あたいも来たよ!」

妖夢「遅れました!」

鈴仙「同じく遅れてごめん!」

早苗「皆さん…もう他の土地は大丈夫なんですか!?」

鈴仙「ええ。思わぬ助っ人が現れてね」

魔理沙「こっちにも助っ人が来てた!」

チルノ「こっちもだよ!」

早苗「……??」

アクトレイザー「……そうか。誰なのか気になるが、一先ず今は」

アクトレイザー「目の前の敵を倒すことに集中しよう」

フロストワイヴァーン「ギャオオオォォ!!」

――その後、フロストワイヴァーンを倒した神の軍団は、再び邪悪な銅像の前に移動する

魔理沙「しかし凄い絵面だなこれは」

チルノ「すげーおっかない顔してるね」

早苗「残るはサタン1人…」

アクトレイザー「さあ、準備は良いか?」

カミが全員の顔を見ると、既に覚悟を決めた表情でいた

アクトレイザー「さあ行こう我が戦友達よ…」

アクトレイザー「サタン!残るは貴様だけだ!」

アクトレイザー「今行くぞ!!」

ボォォォン!

光が全員を包み、戦地へとワープする

(BGM)
https://www.youtube.com/watch?v=4m209mxvJ5Q

アクトレイザー「………」

魔理沙「ここがサタンのいる場所か…すげぇ場所だな」

早苗「宇宙空間…?」

妖夢「ずいぶんと歪な場所ですね」

早苗「こんな邪悪な気配は初めてです」

鈴仙「」ブルッ

チルノ「どうした、ビビッてるの?」

鈴仙「そりゃビビるでしょ…この空気」

チルノ「情けないな…って言いたいけど、たしかに凄い場所だよな」

魔理沙「んで、その肝心のサタンはドコにいるんだ?」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー「来る」

ドゥン、ドゥン、ドゥン、ドゥン

全員「っ!!」

宇宙とも思える歪か空間で、いきなり天井から青色の弾幕が降り注ぐ
弾幕慣れしている神の軍団はいとも簡単に避ける

魔理沙「いきなり弾幕ごっことは過激な挨拶だな」

サタン「…………」スッ

全員「!!?」

ドコからともなくいきなり、目の前にサタンが現れる

サタン「………」

ブゥゥン!!

驚愕する一同を追い詰めるように、サタンの口から上下に交差する高速弾幕が放たれる

魔理沙「熱ちち!」

チルノ「ギャッ!」

アクトレイザー「大丈夫か!」

魔理沙「ああ、なんとか…それよりもビックリしたぜ」

チルノ「不意打ちとは卑怯だぞ!」

サタン「……」

アクトレイザー「サタン…お前を成敗しにきた!」

サタン「貴様、よくもなめた真似を」

サタン「なぜお前が復活しているのか…そしてこれだけの戦力をどこで手に入れたのか…気になって仕方がないが」

サタン「今はともかく、お前たちを抹殺する事だけに集中しよう」

アクトレイザー「抹殺されるのはお前だ」

サタン「」ブチッ

サタン「黙れ!!お前たち全員…皆殺しにしてやる!!!」

サタン「いくぞ人間ども!そしてカミ!」

スゥゥ

魔理沙「なっ!消えやがった!」

早苗「瞬間移動を使えるのですか…厄介ですね」

ドゥン、ドゥン、ドゥン、ドゥン

再び頭上から弾幕の嵐が降り注がれる

アクトレイザー「みんな聞いて欲しい」

アクトレイザー「奴はしばらくは弾幕を打ち続けるだろう」


アクトレイザー「そして弾幕の嵐が止んだ瞬間がチャンスだ」

カミのアドバイスを聞くと全員は黙って頷き、弾幕を避けていく

~~~~

アクトレイザー「弾幕が止んだ」

魔理沙「よし、いまだ!!」

サタン「……」スッ

早苗「皆さん、総攻撃です!」

魔理沙「いくぜ!!恋心・ダブルスパーク!!」

チルノ「凍符・パーフェクトフリーズ!」

鈴仙「散符・インビジブルフルムーン!」

早苗「蛇符・神代大蛇!」

エンジェル「矢符・エンジェルアロー!」

サタン「!!?」

サタンに目がけて、無数の弾幕が押しよせる

ボォォォォン!!!

サタン「グォォォ!!!」

魔理沙「どうだ!人間の力を思い知ったか!」

サタン「……っ」

サタンは再び姿を消す

早苗「あ!また姿を消して…」

アクトレイザー「次で確実にしとめよう」

サタン(……たしかに、実力のある人間たちのようだ)

ドゥン、ドゥン、ドゥン、ドゥン

チルノ「へへ、なんだよ…どんな強いのが来るのかと思えば…大したことないじゃない!」

サタン「舐めるな!!」

ブゥゥン!!

サタンの口から上下に交差する高速弾幕が放たれる
しかし既に攻撃パターンを見切ったのか、全員軽々と避ける

アクトレイザー「いくぞ師匠。そして早苗」

早苗・妖夢「はい!」

シュッ!

カミと妖夢の振り上げた剣に青白い光が纏う。早苗のお祓い棒にも光はじめる
三人が武器を振り下ろすと同時に、光の刃がサタンに目がけて飛んでいく

ボォォン!

サタン「ぐぅぅ!!」

アクトレイザー「攻撃をやめるな!一気に攻めるぞ!」

シュッ…ボォォン!ボォォン!ボォォン!

刀気がサタンを追い詰めていく

サタン「グオッ!グオォォォォ…」ガクッ

サタンは雄叫びをあげると同時に、体が爆発していく

チルノ「あれ?もう終わり?」

魔理沙「え?弱っ…」

アクトレイザー「いや、まだ終わっていない」

サタン「さすがだな…よく覚えてるじゃないか」

ゴゴゴゴゴ……ゴォン!ゴォン!

全員「!?」

アクトレイザー「……」

爆煙の中、現れたのは別な形態に姿を変えたサタンだった
顔は色白く、コウモリの様な様相

また背中の骨格には、もう1つの頭が不気味に張り付いていた

サタンの背中「ギャオォォォォ!!!」

早苗「何ですかあの姿…」

魔理沙「まるでケルベロスだな」

サタン「さあ…ココからが本番だ」

サタンの手から、上下から攻めてくる弾幕が放たれる

魔理沙「だがこんな弾幕は屁でもないぜ」サッ

魔理沙(しかし闘ってて思ったが…サタンの攻撃パターンって)

魔理沙(思いっきり弾幕ごっこそのものじゃないか。弾幕の張り方も、この世界の奴にしては巧みだし)

魔理沙(意外と幻想郷向けの闘い方をしてるんだな)

サタン「ゴォォ!!」

サタンは口からトゲトゲの弾幕を上下に放つ

早苗「なんですかあの弾幕…奇妙な動きをしますね」

妖夢「じわじわと近づいてきます」

魔理沙「金平糖?」

チルノ「ねえ、なんかじわじわと近づいて来てるよ」

鈴仙「げっ…あれもしかしてホーミング弾幕じゃ」

全員「!?」

サタン「ゴォォ!!」

サタンはさらに追尾式の弾幕をばらまく

アクトレイザー「恐れる事はない。あの弾幕は簡単に打ち消せる」

アクトレイザー「フン!」ブンッ

ボゴォン!

カミが刀気を放つと、じわじわと近づいてくる弾幕は、いとも簡単に破壊できた

チルノ「あ、本当だ。なーんだ簡単に処理出来るんだな」

早苗「みなさん!こんなのスペカ使う必要もありません。通常弾幕で対応しましょう!」

全員から放たれる弾幕は、サタンのホーミング弾幕を破壊していく

サタン「……」

チルノ「よーし!こんどはサタンに攻撃だ!」

アクトレイザー「っ!!待てチルノ!危ないぞ!!」

チルノ「えい!やあ!」

サタン「……」

チルノは氷の剣でサタンに切りかかるが、サタンには全くダメージが通らず無表情でいた

チルノ「ちくしょう!なんだこいつ…やせ我慢してるのか?」

妖夢「よし!ならば私も!」

妖夢は物凄いスピードでサタンに切りかかる
しかしやはりサタンは表情を一切変えない

サタン「……」

妖夢「どうなっているんだ…まるでダメージが通っている気がしない」

アクトレイザー「あの骨格に攻撃しても意味がない」

アクトレイザー「奴の本体はあの青い核だ」

サタン「フン、本当によく覚えているな」

チルノ「っ!!これか!!」

ザシュッ

サタン「ぐっ!」

妖夢「効いた…良し、くらえ!!」

ザシュッ、ザシュッ!

サタン「ぐぅぅ…!!」

チルノと妖夢は一心不乱に、サタンの本体を切り掛かる

アクトレイザー「まずい…そろそろ引くんだな二人とも!!」

チルノ・妖夢「……??」

サタン「……」

サタン(昔通りに闘ってもダメだな。奴から完全にパターンを読まれている)

サタン(ここは少し泳がせよう)

アクトレイザー「早く!距離を置くんだ!」

妖夢「…?ひとまず一旦、引きましょうチルノさん」

チルノ「え?お、おう」

アクトレイザー「全員、バリアを張るんだ!」

早苗「はい!」

早苗が小さな結界を張ると、全員も見習って魔法壁やらバリアを張る

チルノ「何をあんなに焦ってるんだアクトの奴?」

魔理沙「何かとんでもないのがくるんじゃないか?」

サタン「……」

サタン「ゴォォ!」

全員がサタンを警戒する中、サタンは口から追尾式の弾幕がばら撒かれる

魔理沙「あ、あれれ??」ガクッ

アクトレイザー「なっ…」

エンジェル「っ!?」

チルノ「おいおい!どんな攻撃が来るのかと思ったら、またホーミング金平糖かよ!」

チルノ「驚かすなよ!」

ザシュッ、ザシュッ

チルノは文句を言いながら、氷の剣で追尾弾幕を破壊していく

アクトレイザー「私の記憶違い…?」

エンジェル「そんなハズはありません…私にも違和感があります」

サタン「……」

エンジェル「明らかに前とパターンを変えてる気がします」

アクトレイザー「……うむ、奴は何かを企んでいる」

アクトレイザー「全員、気を緩めるな!」

早苗・妖夢・鈴仙「はい!」

魔理沙「緩めるなと言われてもなあ…」

チルノ「楽勝じゃんコイツ」

しばらくサタンは同じパターンを繰り返す
カミはその戦闘に大きな違和感を残しながらも、仲間たちと共にサタンにダメージを与えていった

チルノ「よし!だいぶダメージを与えたぞ!」

サタン「ぜぇ…ぜぇ…」

エンジェル「チルノちゃんの言うとおり、サタンはだいぶ追い詰められてます。あと少しで息の根も止められるでしょう。でも何か嫌な予感が…」

アクトレイザー「ああ、妙な胸騒ぎがする…」

アクトレイザ(奴はなぜあの技を使わない…記憶が間違っているハズもない。あの技には散々と苦しめられたハズ)

サタン「ゼェ…ゼェ…ガフッ!!」

サタンは口からドバッと血を吐く

チルノ「へへーん!ざまぁみろ!」

早苗「あなた!あと少しですね!」

アクトレイザー「……」

早苗「あなた…?」

アクトレイザー「早苗、私の後ろにいなさい」

早苗「え?」

アクトレイザー「奴は何か企んでいるぞ。昔と明らかにパターンを変えて闘っている」

アクトレイザー「それに…見るんだ。奴の本体を」

早苗「本体って…あの青いコアですか?」

早苗がサタンの青い核、本体に目をやると、その青い光が不気味に増していた

アクトレイザー「何をする気だ」

サタン「ぜぇぜぇ……」

サタン(だいぶダメージが大きい…だが、ここまで耐えたかいがあった)

サタン(このときを待っていた)

サタン(この流れの中で…偶然にも、奴らの陣形は直列になった)

サタン「……」ゴゴゴゴゴ

アクトレイザー「っ!!全員、バリアを張るんだ!今すぐにだ!!」

チルノ「…??何をまたそんな焦って」

アクトレイザー「早く!!!」

チルノ「わ、分かったよ!そんな怒鳴るなよ…」

カミはその戦闘に大きな違和感を残しながらも、仲間たちと共にサタンにダメージを与えていった

チルノ「よし!だいぶダメージを与えたぞ!」

サタン「ぜぇ…ぜぇ…」

エンジェル「チルノちゃんの言うとおり、サタンはだいぶ追い詰められてます。あと少しで息の根も止められるでしょう。でも何か嫌な予感が…」

アクトレイザー「ああ、妙な胸騒ぎがする…」

アクトレイザ(奴はなぜあの技を使わない…記憶が間違っているハズもない。あの技には散々と苦しめられたハズ)

サタン「ゼェ…ゼェ…ガフッ!!」

サタンは口からドバッと血を吐く

チルノ「へへーん!ざまぁみろ!」

早苗「あなた!あと少しですね!」

アクトレイザー「……」

早苗「あなた…?」

アクトレイザー「早苗、私の後ろにいなさい」

早苗「え?」

アクトレイザー「奴は何か企んでいるぞ。昔と明らかにパターンを変えて闘っている」

アクトレイザー「それに…見るんだ。奴の本体を」

早苗「本体って…あの青いコアですか?」

早苗がサタンの青い核、本体に目をやると、その青い光が不気味に増していた

アクトレイザー「何をする気だ」

サタン「ぜぇぜぇ……」

サタン(だいぶダメージが大きい…だが、ここまで耐えたかいがあった)

サタン(このときを待っていた)

サタン(この流れの中で…偶然にも、奴らの陣形は直列になった)

サタン「……」ゴゴゴゴゴ

アクトレイザー「っ!!全員、バリアを張るんだ!今すぐにだ!!」

チルノ「…??何をまたそんな焦って」

アクトレイザー「奴は何か企んでいるぞ。昔と明らかにパターンを変えて闘っている」

アクトレイザー「それに…見るんだ。奴の本体を」

早苗「本体って…あの青いコアですか?」

アクトレイザー「早く!!!」

チルノ「わ、分かったよ!そんな怒鳴るなよ…」

(陣形の図式)

チルノ・魔理沙・妖夢・アクト・早苗・エンジェル・鈴仙

寝落ちしてしまったorz
続き投下します

寝ぼけて>>424>>423が内容的にほぼ同じものを投下してしまった
>>424のは無視してください

サタン「さすがカミ。勘が鈍っている訳ではない様だな」

サタン「だが避けようもない運命は、受け入れるべきだ」

シュンッ

全員「!!?」

サタンは全員の目の前から姿を消す

エンジェル「瞬間移動!?」

アクトレイザー「バカな!あの形態でそんな技は使わなかったハズだ…!!」

早苗「サタンは一体ドコに!?」

サタン「……」スッ

チルノ「うわぁあ!?ビックリした!」

サタン「いくぞ…まとめて吹き飛ばしてくれる!!」

サタン「ウオオオォォ!!!」

ボゴォォン!!

サタンの青い核から鋭い弾幕が射出される

チルノ「何だよ。どんな凄い技が来るかと思ったら、たった一発のなんの変哲もない弾幕かよ…」

バキィィン!ビキビキ…

チルノ「え?」

チルノが目の前に張っていた、厚い氷のバリアを簡単に破壊していく

ボゴォォン!!

チルノ「え、ちょっ…」パァァァ

アクトレイザー「チルノォォォ!!」

弾幕に直撃した瞬間、チルノは粉々になり、辺り一面に氷の結晶が散らばる
サタンが放った弾幕は真っ直ぐに、魔理沙の方へと向かう

魔理沙「うおお!?こっちきた!」

魔理沙は両手を前にだして、練成した魔法壁を強化させる

バキィィン!ビキビキ…

魔理沙(な!?ひび割れが…!)

ボゴォォン!!

魔理沙「ぐふっ!」

魔理沙の魔法壁は簡単に破壊され、凶弾に直撃し、体が宙に舞う
そして後ろにいる妖夢へ、凶悪な弾幕は飛んでいく

妖夢「くっ…!!」

バキィィィン!!!

妖夢「ごふっ!!」

霊力をまとった両手の剣でガードするが、簡単に押し切られる
妖夢が持っていた両手の刀と、妖夢の体は宙に舞う

アクトレイザー「まずい…全員、避けろ!!!」ガシッ

早苗「きゃっ…」

カミは早苗をかばうように、抱きしめながら避ける
それに続くようにエンジェルと鈴仙も、間一髪の所で避け切る

凶悪な弾幕はそのまま加速しながら、遠く先の見えない彼方へと飛んでいく

アクトレイザー「大丈夫か早苗!」

早苗「はい…貴方のおかげで…」

鈴仙「な、なんだったのいまの…一瞬で皆、やられちゃった…」

エンジェル「あれがサタンのもっとも凶悪な攻撃手段です…なかなか出さないから怪しいとは思っていましたが…」

アクトレイザー「おのれサタン…」

ドゴォォォォン!!!!!

全員「!!?」

後ろからとてつもない爆発音が轟く
全員が後ろを振り向くとそこには大きな雲が出来上がっていた

鈴仙「なに…あれ…」ガクガク

早苗「キノコ雲!?嘘でしょ…!?」

大きなキノコ雲が、その場にいる者達に恐怖を与える

サタン「クク…フフフ…」

サタン「ハハハハハハ!!ハハハハハハハハハハ!!!」

アクトレイザー「これは…サタンもまた昔よりパワーアップしている…」

アクトレイザー「あんな爆発力は昔には無かった」

アクトレイザー「わが友、チルノ…」

キラキラと輝く氷の結晶が辺りに漂う
カミは粉々になったチルノの白いマントと、リボンを拾う

エンジェル「チルノちゃんは妖精です。また生き返りますが…」

アクトレイザー「事実上、リタイアだな」

早苗「妖夢さん!しっかり!」

妖夢「」

アクトレイザー「師匠は生きているか!?」

早苗「辛うじて脈は残ってますが…」

妖夢の周りに血だまりが出来ていた
その血だまりはどんどん広がっていく

早苗「かなり危険な状態かと」

鈴仙「魔理沙…」

魔理沙「」

早苗「魔理沙さんの容態は!?」

鈴仙「……」

早苗「え…なんで。なんで何も答えないんですか」

鈴仙「……」

早苗「うそでしょ…魔理沙さん…」ガクッ

アクトレイザー「何という事だ…私がもっと彼女に注意を促していれば…」グスッ

エンジェル「そんな魔理沙さん!」ボロボロ

魔理沙「」

鈴仙「……」

鈴仙「まだ助かる見込みはあるわ」

全員「っ!!」

鈴仙「だけどその為には」チラッ

サタン「クク…ハハハハ…!」

鈴仙「サタンを早急に始末しないと、完全に手遅れになってしまうわ」

サタン「さあ…『溜め込んだ力』を今こそ解放する」

サタン「ゴォォ!」

サタンは周囲にホーミング弾幕をばら撒く
そして、その直後に瞬間移動をする

鈴仙「また消えた!」

早苗「ホーミング弾幕をばら撒いといて消えると…」

アクトレイザー「鈴仙よ、ひとまず妖夢師匠と魔理沙の応急処置をしてもらえないか?」

アクトレイザー「サタンの方は……早苗とエンジェル、私で倒す」

鈴仙「カミ様…」

アクトレイザー「頼む」

鈴仙「わかりました!」

サタン「おっと、そうはさせない」スッ

全員「!?」

鈴仙「あっ…」ガクガク

鈴仙の目の前にサタンが突如現る
そして既に青い核は、今にも凶弾を放とうとしていた

鈴仙は恐怖のあまり、腰がくだけて動けずにいた

サタン「死ぬがいい」

鈴仙「いや…やだ…」ボロボロ

サタン「フンッ!!」

アクトレイザー「くっ…間に合え…!」バサッ

ボゴォォン!!!

アクトレイザー「うっ!」

早苗・エンジェル「鈴仙さん!!」

鈴仙「キャッ!」

早苗「え?」ガシッ

爆煙の中、とくにダメージを負っていない鈴仙が飛んできて、それを早苗が受け止める

早苗「え、鈴仙さんどうして…」

鈴仙「カミ様が目の前に立って、私を守ってくれたの…」

サタン「ハハハハハハハハハ!!!」

サタン「カミよ…せっかくの装備が粉々になってしまったな!」

アクトレイザー「くっ…」

エンジェル「カミ様が持っていた盾が…サタンの弾幕に破壊されてしまったみたいです…」

早苗・鈴仙「っ!?」

鈴仙(カミ様の盾を粉々って…カミ様だって盾に魔力をまとってたハズ…)

鈴仙(なんなのあの殺人弾幕は…)

アクトレイザー「ぐふっ…うっ…」ガクッ

早苗「あなた!」

サタン「クク…どうだ。久しぶりだろ、私のあの技を喰らうのは」

アクトレイザー「ああ…思い出していた所だ。がふっ…まさか盾まで破壊するとは思わなかったが」

アクトレイザー「以前よりも破壊力を増したな…」

サタン「さあ、もう一度いくぞ!」

アクトレイザー「っ!!全員、気を緩めるな!」

サタン「ウオォォ…」ググッ

サタンの本体たる青い核は再び光を増す

ザクザク!!

サタン「ぐぅぅ!!」ガクッ

全員「!?」

突如、サタンの青い核に針が数本刺さる

「ずいぶん凄い場所ねココ」

早苗「え…霊夢さん!?」

エンジェル「霊夢さま!?」

アクトレイザー「博麗の巫女!なぜココに!?」

霊夢「……察してよ。説明するのもめんどいし。私としても不本意だったわよ」

霊夢「でもこの世界に来て正解だったわ」ギロッ

サタン「……巫女?」

霊夢「あんな邪悪そうなのは初めてよ。さっさと倒してこの世界の異変を解決しましょう」

霊夢「ん?これはチルノのリボン?」

アクトレイザー「ああ…」

霊夢「そう。レベルアップしてたっぽいから期待してたけど、それ以上にあの悪魔の方がやばい様ね」

妖夢「」

霊夢「妖夢まで…アンタなら最後まで立っていると思ってたのに。生きてるの?」

早苗「ええなんとか」

霊夢「ほっ…てか魔理沙まで。だらしないわね」

魔理沙「」

霊夢「ちょっと魔理沙。起きなさい。さっさと倒して幻想郷に帰るわよ」ペチペチ

鈴仙「あ…霊夢…いまは…」

霊夢「……」ペチペチ

霊夢「ん?魔理沙…」ガシッ

霊夢「」

霊夢「え…う、うそ…」

霊夢「……」ガクガク

鈴仙「聞いて霊夢!いま魔理沙は仮死状態なの」

鈴仙「逆を言えば、まだ死んだ事が確定してる訳じゃない。早急にサタンを始末してしかるべき治療を…」

霊夢「……」

鈴仙は必死に魔理沙の容態を説明する
しかし霊夢にはその言葉が届いていなかった

霊夢は今だかつて、感じた事のない感情におそわれていた

サタン「どうした、体が震えているぞ」

霊夢「」ガクガク

サタン「恐怖のあまり声も出なくなったか?」

サタン「それとも知り合いが死んでしまって、悲しんでいるのか?ハハハハ!!!」

鈴仙「っ!!だからまだ確定した訳じゃ…」

霊夢「……」

霊夢「まったくバカよね。こんな世界にきたせいで…カミさまに任せれば良かったのに…ただの自殺行為じゃない」

早苗「ちょっと霊夢さん!!そんな言い方は無いじゃないですか!!」

アクトレイザー「……」

サタン「なんだ。あまり悲しんでる様子には見えないな」

霊夢「生憎、私はそういう性分じゃないの。冷たいから」

サタン「ずいぶんと悪魔的な心の持ち主だな」

霊夢「私は人間よ。今も昔も、これからも」

霊夢「サタンといったわね?」

サタン「ああそうだ」

霊夢「今日、私と会った事を後悔させてやるわ」

霊夢「……いや。後悔すら出来ないか。今から私に処刑されるんだし」

サタン「ほう」

霊夢「鈴仙、エンジェル、早苗…そしてアクトさん」

霊夢「アナタ達は下がってなさい。こいつは私1人で始末する」

全員「!?」

早苗「ダメです霊夢さん!危険すぎます!」

霊夢「……」テクテク

アクトレイザー「やめるんだ博麗の巫女!」

早苗「待って霊夢さん!」ダダッ

霊夢「……」グッ

早苗は霊夢の真後ろまで来る
すると霊夢は後ろに振り返り、早苗の胸ぐらを掴む

早苗「ひっ…!?」

早苗(霊夢さんが本気で怒ってる…)

霊夢「……」バッ

無言の威圧で早苗をにらみ、バッと早苗を突き放す
突き放された早苗をカミが受け止める

アクトレイザー「早苗…」ガシッ

早苗「私は大丈夫です…でも霊夢さんが」

霊夢「アクトさん、修行の苦労を無駄にするようで悪いわね」

霊夢「でも私いま、虫の居所がとても悪いの」

霊夢「何をしでかすか分からないから、離れていた方が良いわよ」ギロッ

そういうと霊夢はサタンを睨みつつ、ポケットからスペルカードを取り出し、高々と振り上げる

霊夢「そういえばこの世界ってスペカのルールとか無かったわよね。宣言するまでもないか」パッ

霊夢は後ろにポイッとカードを投げ捨てる
そのカードはヒラヒラと早苗の手に治まる

早苗「え…!?このスペカ、まさか…!!」

アクトレイザー「そのスペルカードがどうしたんだ」

早苗「噂では聞いてたけど、まさか本当に使えるなんて…」

アクトレイザー「そんなに凄い技なのか」

早苗「色々と反則レベルの技です」


霊夢「処刑、始めるわ」

霊夢の周りに、7つの陰陽玉が周囲に展開される
その陰陽玉はグルグルと霊夢の周囲で回転する

サタン「……」ゴゴゴゴゴ

サタンの青い核もまた光を増す

霊夢「この技つかうのも随分久しぶりね」

霊夢「発動までに時間がかかるのが、難点なんだけどね」

サタン「ウオォォォ!!!」

ボゴォォン!!!

サタンの凶弾が霊夢に向かって放たれる

霊夢「なによ…このスピードだけのヘナチョコな弾幕…」

早苗「霊夢さん逃げて!!!」

アクトレイザー「よけろ!!!」

霊夢「どうして私がこの悪魔から逃げなきゃ行けないのよ」

霊夢「それにこんな弾幕、結界を張って対応すれば」スッ

バキィィン!!ビキビキ…

霊夢「え」

ボゴォォン!!!!

結界を破壊し、霊夢がいた場所に大きなキノコ雲が現れる

早苗「そんな…霊夢さんまで…」

アクトレイザー「サタン!!きさまぁぁ!!」

サタン「ハハハハハハ!!ハハハハハハハハハ!!!」

ゴゴゴゴゴ…

霊夢「」ユラッ

全員「!!?」

サタン「なっ!?バカな!!」

霊夢「」ユラユラ

血だらけなった霊夢はフラフラとした足取りで、サタンに立ち向かう
その目は虚ろな物で、意識があるとは思えない

サタン(なんだコイツ、なぜ生きている。少なくとも意識は無いはずだ)

サタン(ありえん…あの技を喰らっていて生きてるなど。普通なら体がバラバラになってもおかしくないというのに)

霊夢「かえしなさいよ…」シュッ

霊夢は無意識ながらもサタンに、針を投げつける
しかし正常な状態でない霊夢はコントロールが定まらず、サタンには当たらない

霊夢「……」シュッ

霊夢「かえしなさいよ…まりさ…」ギロッ

サタン「」

霊夢「かえしなさい…かえしなさい…」シュッ

尚もサタンに針を投げつける霊夢
しかしやはり針はサタンに当たらない

サタン「」

霊夢の執念がサタンの心を揺れ動かしたのか
このときサタンは生まれて初めて『恐怖』という感情を覚えた

霊夢「」ドサッ

やがて霊夢は力なく倒れる

サタン(なんだ…なぜ震えているのだ私は…この私が人間ごときに恐怖しているだと…!?)

早苗「霊夢さん!!」

エンジェル「霊夢さま!!」

霊夢「……」

ドクン…ドクン…

鈴仙「息はあるようね…ほっ。でも早急に手当しないと」

アクトレイザー「……」

サタン「」ガクガク

アクトレイザー「サタンが震えている」

早苗「え?」

アクトレイザー「鈴仙は治療に専念してくれ」

アクトレイザー「いまがチャンスだ。サタンを倒すぞ」

アクトレイザー「フンッ!!」ブンッ

ボゴォォン!!

サタン「ぐおぉぉ!?」

サタンの青い核に、カミの刀気が被弾する

早苗「わたしも!」ブンッ

早苗のお祓い棒から、星型の弾幕が飛び出す

ボゴォォン!!

サタン「ぐぅぅ!!」

エンジェル「ぼくも行くぞ!」ピュンッ

ボォォン!

サタン「ぐおぉ!!」

サタン「ぜぇぜぇ、おのれ…私は負けんぞぉ!!!」

今日はここまで。次回決着

あと少しで倒せそうになってた時、例のため技でHPをごっそり削られ、やり直しになったのは良い思い出

投下します
今回の投下分は『決着~幻想郷へ帰還』

割と長めです

神の軍団からの猛攻は続く

ボォォン!

サタン「ぐああ!!」

ボォォン!!

サタン(くそ…何なんだ…人間などか弱い生き物ではないか…)

サタン(なぜこの私が恐怖を覚えなければならんのだ…!)

サタン「うおぉぉぉ!!!」

ボゴォォン!!!

アクトレイザー「うっ!!」

早苗「きゃっ!」

サタンは凶弾を、真下に目がけて撃ちつける
大きなキノコ雲と共に衝撃波が起きて、カミたちを吹き飛ばす

アクトレイザー「直撃でない分、ダメージはそこまでではないが…」

早苗「衝撃波で飛ばされて、サタンと距離を取られてしまいましたね…!」

サタン「ゴォォ!!」

サタンの口からホーミング弾幕が射出される

エンジェル「っ!!またホーミング弾」

早苗「とっとと破壊しちゃいましょう」

アクトレイザー「うむ」

サタン「おっと、そうはさせない」スッ

アクトレイザー「なっ!?」サッ

サタンが瞬間移動し、カミの前に現れる
そしてその青い核から、凶弾が放たれる

ボゴォォォン!!!

アクトレイザー「うっ…!!」ガクッ

早苗「あなた…!」

アクトレイザー「くっ…何て破壊力なのだ…がふっ」

サタン「ハハハハ…カミよ、お前はあと何発この凶弾に耐えられるかな?」

サタン「まだまだいくぞ」

早苗・アクトレイザー「っ!!」

ザクザクザク!!

サタン「ぐわぁぁ!!」

サタンが、青い核に力をチャージしていた時だった
突如、青い核に大量のナイフが刺さる

咲夜「待たせたわね」

早苗「咲夜さん!?」

アクトレイザー「また来てくれたのか!」

咲夜「ええ。人々の避難に手間取ってて遅くなったわ」

咲夜「それにしても…」

妖夢「」

魔理沙「」

霊夢「」

咲夜「いかに激しい闘いだったのか。倒れている三人を見ただけで分かるわね」

サタン「貴様…いま私に何をした!!?」

ザクザク!!

サタン「ぐぅぅ…!!」ガクッ

咲夜「……」

再び大量のナイフがサタンの青い核を襲う

鈴仙「カミ様、ひとまず全員の応急処置が完了しました」

鈴仙「わたしも戦闘に参加します…ルナティックレッドアイズ!」

ボォォォン!!!

サタンのホーミング弾を一掃していく

サタン「ぜぇぜぇ…どいつもこいつも…何なのだ…」

サタン「人間如きが!粋がるな!!」

アクトレイザー「光球・聖なるオーラ」

オーラの魔法をスペカさせた技を、青い核に撃ちつける

ボォォン!!

サタン「ぐわぁぁぁぁ!!」ガクッ

多大なダメージを背負ったサタンは、とうとう体を地に着ける

サタン「ぜぇぜぇ…まだだ!!まだ終わってないぞ…!!」ググッ

目にも止まらぬスピードで、凶弾が3発ほど放たれる

ボゴォォン!!!ボゴォォン!!!ボゴォォン!!!

アクトレイザー「うっ…!!」

カミは多大なダメージを背負いながらも、膝を落とす事無く、仁王立ちしたままサタンをにらむ

しかし体力は徐々に限界に近づいてきている

アクトレイザー「ぜぇ…ぜぇ…」

早苗「あの殺人弾幕を何発も…大丈夫ですかあなた!」

アクトレイザー「正直、大丈夫ではないな…」

アクトレイザー(思えば蘇生した魔物との連戦だったからな。体力もそろそろマズイ…)

サタン「いい加減にくたばれ!!」

霊夢「……」ムクッ

霊夢「霊符・夢想封印」

七色の光が青い核を包む

ボォォォン!!!

サタン「ぐああああぁぁぁぁ!!!」

鈴仙「え、霊夢!?嘘でしょ!?」

早苗「意識を取り戻したんですね!」

咲夜「あなた、もう人間やめてるでしょ?」

霊夢「ぜぇぜぇ…私は一生人間よ」

エンジェル「さすが霊夢様です!」

霊夢「どうも…ってか、私の事は『さま』じゃなくて『さん』で良いわよ。位はあなたの方が上でしょ」

サタン「ぜぇ…ぜぇ…」

サタンは激しく息を切らしながら、グッタリと倒れている

アクトレイザー「フン!!」ブン

カミの刀気が青い核へ飛ばされる

ボォォン!!

サタン「ぐっ!!」

更に容赦なく刀気を放つ

ボォォン!!

サタン「ぐぅぅぅ!!!」

アクトレイザー「……」

サタン「こひゅー…こひゅー…」

霊夢「既に虫の息ね…ぅぅ!」ガクッ

早苗「霊夢さん、無理しちゃダメです」ガシッ

霊夢「ごめん」

血だらけの霊夢は、早苗に体を支えてもらう

サタン「こひゅー…こひゅー…」

アクトレイザー「……」

カミは黙って、瀕死のサタンをジッと見る

エンジェル「カミさま…とうとう我らの悲願が達成される時が来たようですね」

アクトレイザー「ああ。長かった。有史以前からの闘いだったからな」

カミは最後の一撃を与えるために、大きく剣を振りかぶる

アクトレイザー「……」グッ

アクトレイザー「……」

サタン「こひゅー…こひゅー…」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー「……」

霊夢「カミ様…げほげほ!あのね…色々と感極まるだろうけど」

霊夢「早いところ始末しましょ」

霊夢「……葬式の準備しないと。魔理沙の」

鈴仙「あの…魔理沙は仮死状態であって、まだ息を吹き返せる可能性があるんだけど」

霊夢「え!?何よもう…それ早く言ってよ!」

鈴仙「貴方が人の話を聞いてなかっただけでしょ?」

魔理沙「」

魔理沙「げほっ…げほっ…」

全員「!!」

霊夢「魔理沙!息を吹き返したのね!」

アクトレイザー「ほっ…蘇生したか。一安心だ」

早苗「魔理沙さん…」グスッ

鈴仙「良かった…想像してたよりも、ずっと早く蘇生したわ」

魔理沙「……」

鈴仙「まだ気を失ってる状態だけど」

咲夜「って言うかあなた、バッグに輸血パックを入れてたの?」

鈴仙「当たり前じゃない。相手は強敵だし念には念よ」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー「……」

霊夢「ちょっとアクトさん…どうしたの?」

早苗「あなた…?」

アクトレイザー(本当に良いのか?)

アクトレイザー(このまま悪を完全に滅ぼし、サタンを永久に亡き者にする事が…)

アクトレイザー(それが本当の正義?)

何かが引っかかっていて、最後の一撃を与える事ができない
カミの頭の中にある記憶が蘇る

~回想・紫との出会い~

アクトレイザー「幻想郷というのは忘れ去られた者たちが集う、終着点みたいな場所なのか?」

紫「いいえ。ここは楽園。神も妖怪も人間もいる…全てを受け入れる理想郷です」

アクトレイザー「……妖怪?」

紫「そういえばアナタの居た世界では、妖怪という概念が存在しないわね」

紫「簡単に言うと、アナタの居た世界でいう魔物といった所かしら」

アクトレイザー「なに?人間と魔物が…一緒に…??」

紫「そして私も妖怪です」

~回想・命蓮寺での修行にて~

アクトレイザー「変な事を聞くようだが」

アクトレイザー「そなたがもしも、私の立場ならどうする?」

聖「当事者になってみないと分かりませんが」

聖「今の私の考えで言うなら、そのサタンを退治はするでしょう」

聖「しかし殺しはしません。懲らしめるだけです」

聖「そして教えを説き、改心するように説得し続けます」

アクトレイザー「……」

ビキ…ミシミシ…パリィィン

早苗「あ…空間にひび割れが…」

歪な空間が割れ始める
その割れた隙間より、太陽の光がカミとサタンを照らす

ミシミシ…ミシミシ…ビキッ

霊夢「この歪な空間は、サタンの生命力を顕現してるものね」

鈴仙「じゃあ、サタンもいよいよ終わりって事なのね」

霊夢「そうだけど…ゲホゲホ!なかなかアクトさんがトドメを刺さないわね…」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー「……」チャキン

サタン「……?」

カミは静かに剣を鞘に収める

全員「!?」

早苗「貴方…何を…?」

アクトレイザー「サタンよ。お前は絶対に許されない存在だ」

アクトレイザー「コレまでの数々の悪事。忘れる事もない」

アクトレイザー「お前はこの世界にいてはならない。この世界に住む権利も無い。私が絶対に許さない」

アクトレイザー「……しかしお前の様な、どうしようもない悪党でも受け入れてくれる世界を私は知っている」

アクトレイザー「全てを受け入れる世界だ」

アクトレイザー「私はその世界で封印と解いてもらい、リハビリを行い力をつけた」

アクトレイザー「サタン。すでに虫の息のお前を…今ココで殺すのは実に容易い」

アクトレイザー「しかし…あの世界を知っている身としては、お前を殺すのが惜しくなる」

アクトレイザー「私の手を取れサタン」

アクトレイザー「これまでの悪事を深く深く反省し…もう二度と悪さをしないと私に誓え」

アクトレイザー「そして共生し合おう。幻想郷で」

エンジェル「おぉぉ…カミよ…」

早苗「あなた…」グスッ

鈴仙「全てを受け入れる…か」

咲夜「また1人、厄介なのが増えるのね」

霊夢「………………」

霊夢(考えが甘すぎる気もするけど)

霊夢(魔理沙も生き返ったし…ま、いっか)

霊夢「言っておくけど。異変を起こしたら真っ先に倒しに行くから。覚悟しなさい」

エンジェル「サタンを…幻想郷につれて帰るのですか」

アクトレイザー「サタンをこの世界に置いておくのは、私が絶対に許さない」

アクトレイザー「だが幻想郷なら話は別だ。あそこは全てを受け入れる」

アクトレイザー「さあ、私の手を握るんだ」

慈悲の想いを込め手を差し伸べる

しかしサタンの表情は、ひどく歪んだものだった

サタン「……」ゴゴゴゴ

ボゴォォン!!!

アクトレイザー「うっ!!!」

サタン「……」

サタンの凶弾がカミの腹部を襲う
大きな爆発が起こるが、威力は先ほどよりも落ちている

アクトレイザー「うっ…」ガクッ

早苗「サタン…なんて事を!!」

エンジェル「カミのご厚意をよくも!!」

霊夢「こんなクズ初めてだわ!」

咲夜「真の悪魔はやはり…レミリアお嬢様だけで充分ね」

鈴仙「……こんな奴、受け入れるべきでは無いわ」

エンジェル「皆さん…総攻撃です」

霊夢「霊符・夢想封印」

早苗「秘術・グレイソーマタージ!」

咲夜「奇術・エターナルミーク」

鈴仙「散符・インビジブルフルムーン」

無数の弾幕がサタンを襲う

サタン「グオォォォ…!!!」

サタン「こひゅー…こひゅー…」

アクトレイザー「……」

カミは鞘から剣を引き抜く

サタン「こひゅー…こひゅー…」

アクトレイザー「残念だ」

アクトレイザー「やはり私とお前は、相容れぬ関係と言うわけか」

サタン「こひゅー…こひゅー…」

アクトレイザー「お前にも幻想郷を見せてやりたかった…」

アクトレイザー「本当に素晴らしい場所だと言うのに」

サタン「…………」

アクトレイザー「さらばだ、サタン」

カミの光をまとった剣が振り下ろされる

ゴゴゴゴ…ビキ…ビキビキ…

エンジェル「サタンの歪な固有結界が崩れていく…」

パリィン…パリィン…ガラガラ…

ガラスが割れる様な音が、あちこちで響く
そして光が一気に差し込んでくる

鈴仙「ここは…海食崖?」

全員の目に映ったのは断崖絶壁から一望できる、綺麗な海が広がっていた

早苗「キレイ…」

ピシピシ…ミシミシ…

霊夢「げっ、地面にも地割れが広がってきてるわ!」

アクトレイザー「大丈夫だ」

一番先頭に立っていたカミは、全員の不安をなぎ払う
そしてカミの目の前に倒れている、黒い塊と化したサタンの遺体を見つめる

アクトレイザー「……」

サタン「」

ピシピシ!!ガラララララ…ドボォォォン

サタンの所だけの地面が垂直に崩れる
そのままサタンは、岩石と共に海水へ落ちていく

早苗「サタンが…海へ落ちていく…」

アクトレイザー「……」

しばらく全員、その美しい海辺に見惚れていた

アクトレイザー「さあ、幻想郷に帰ろう」

霊夢「そうね…疲れた」

アクトレイザー「私とエンジェルは少し寄り道をする。先に幻想郷に帰っていてくれ」

早苗「寄り道?」

アクトレイザー「早苗よ、魔理沙と妖夢師匠の側にいてあげてくれ」

早苗「はい!わかりました」

咲夜「あれ?でもいまの時間帯って、スキマは開いてたかしら」

早苗「あ…まだ早いかも」

霊夢「たしかスキマが開く時間って決まってるんだっけ?めんどくさ…」

クパァァァ…

全員「!!?」

突如、全員の目の前にスキマ空間が現れる
そして同時に、手紙が飛び出てくる

『みんなお疲れ様。byゆかり。追伸:行き先は永遠亭と繋がってます』

咲夜「このタイミングの良さ…」

霊夢「あいつ、絶対どこかで見てたでしょ」

鈴仙「魔理沙も妖夢もまだ応急処置しかしてなし、早く戻りましょう」

早苗「あなた!先に戻ってます!」

アクトレイザー「うむ」

アクトレイザー「さあエンジェル。行こうか」

エンジェル「はい!!」

アクトレイザー「ああ、そうだ早苗」

早苗「はい?」

アクトレイザー「行く前にもう1つ頼みが…」

~カサンドラ~

民1「あれ、結界が解除された…」

民2「曇り空もなくなり、陽の光が…」

民3「マグマも降ってこなくなった」

男神官「ん?」

女神官「どうしました?」

男神官「神殿の前に…剣が刺さっている」

女神官「これは…まさか!」

男神官「間違いない!カミ様のものだ!」

民全員「おおおぉぉぉ…!!」

フワッ…バサッ

空から白いマントが落ちてくる
それはカミの剣の上に、フワリと白いマントが被さる

男神官「そしてこの白いマントは…神チルノの物だ!」

民1「神チルノ…」

民2「剣の隣にある、キレイな木の棒は何でしょうか?」

女神官「これは…カミの妻・女神サナエ様が使われていた神器です!」

男神官「……」

男神官「状況を察するに、魔王との闘いが終わった事を知らせているのではないかと思います」

民一同「……!!!」

民1「じゃあ…もうこの世界からは完全に魔物がいなくなった…」

民一同「……」

男神官「皆さん。神々からもらったメッセージの品物は、神殿にてお納めします」

女神官「感謝をしに神殿の中へ。中に入れない者はこの場で祈りを捧げましょう」

民一同「……」バッ

一人…また一人と、その場で大地にひれ伏し、涙を流しながら神々に感謝をし始める

――この日、カサンドラだけでなく世界中の人々が感謝の祈りを捧げる

~翌日・幻想郷・永遠亭にて~

サタンとの決戦から夜が明ける
時刻は午後を回っていた

アクトレイザー「早苗、ただいま」

早苗「あなた!」

アクトレイザー「魔理沙と師匠の容態は?」

早苗「まだ意識が戻ってません…」

アクトレイザー「そうか…早く目を覚ましてくれると良いが」

魔理沙「……」

妖夢「……」

アクトレイザー「博麗の巫女も入院することになったのか?」

霊夢「zzz……」

早苗「はい。幻想郷に帰還して、妖夢さんと魔理沙さんの入院期間だけ聞き終えると、安心しきった表情で…その場で倒れて」

早苗「そのままずっと寝てます。霊夢さんも怪我が酷いので入院確定してます」

早苗「これで全部終わったんですね」

アクトレイザー「ああ。悪魔との闘いはな」

早苗「本当にお疲れ様です」

アクトレイザー「ああ。キミには本当に感謝している」

紫「失礼するわ」

早苗「あ!お久しぶりです紫さん!」

突如、スキマを明けて現れる八雲紫

紫「お疲れのところ悪いけど、しばらくアクトを借りるわね」

早苗「え!?か、借りるって…?」

アクトレイザー「早苗よ…私もいつまでも、八雲紫のスキマ能力に頼っている訳にはいかんのだ」

アクトレイザー「3ヶ月ほど、修行に出かける」

早苗「しゅ、修行!?」

紫「彼がね、ワープ能力を覚えたいと言って来たの」

紫「私の様にあらゆる『境界を操る』能力を手にするには、もの凄く苦労するし10年以上かかるけど」

紫「ワープ能力程度なら、3ヶ月もあればマスターできるわ。あなたの夫ならね」

紫「他の弟子たちはもっと時間がかかりそうだけど…」

早苗(他の弟子たち…?)

アクトレイザー「早苗、すまないな…また寂しい想いをさせて」

早苗「いえ…あなたの言うとおり。いつまでも紫さん頼みではいけませんし」

アクトレイザー「それで…三ヵ月後の帰還の日に、宴会を開く事になった」

早苗「宴会ですか!随分ひさしぶりですね」

アクトレイザー「本当はすぐにでも開きたいのだが…」チラッ

アクトレイザー「我が戦友たちの体がボロボロでな、とても酒を飲める状態ではない」

早苗「そうですね…とても、宴会なんか開ける状態ではないですね」

アクトレイザー「……早苗よ。3ヶ月後の宴会は、普通の宴会とは違う物にしたい」

早苗「え?」

アクトレイザー「キミと私の関係は、あくまで婚約であって、まだ正式な夫婦ではない」

アクトレイザー「……3ヵ月後の宴会の日。結婚しよう」

早苗「……っ!!」ボロボロ

両手を押さえて、涙を流す

アクトレイザー「婚約を申し込んだのはキミの方だった」

アクトレイザー「だが正式なプロポーズは私から言いたかった」

早苗「はい…喜んで!」

アクトレイザー「早苗…」

早苗「あなた…」

互いの肩を優しくつかみ見つめ合う
そして、互いの顔をゆっくりと近づける

早苗・アクトレイザー「……」スッ

紫「あらあら、お熱いこと」ニヤニヤ

早苗・アクトレイザー「ハッ!」

アクトレイザー「……続きはまた今度にしよう」

早苗「そ、そうですね///」

アクトレイザー「ああ…そうだ。もう1つ伝えておかねば」

早苗「はい?」

アクトレイザー「その…我が友人・チルノがまだ幻想郷に帰ってきてないみたいだが…」

早苗「はい…もしかしてまだあっちの世界に?」

アクトレイザー「それが…」チラッ

カミは紫の方に視線を送る

紫「私の式神に時間を見つけては、あの世界に派遣して探索をさせてるんだけど…」

紫「全然見付からないのよ」

早苗「!?」

紫「でもね…時々、彼女の『気配』を一瞬だけ感じる時があるらしいの」

早苗「……?という事はまだあの世界に残っているという事ですか」

紫「そういう事になるわね」

アクトレイザー「だが実体化しない上、気配を読み取れるのも一瞬…どうすれば良いのか我々も困っている」

早苗「でもチルノさんは、妖精であり、いまじゃ神様の一人…すぐに復活するハズじゃ」

アクトレイザー「……私が思うに、サタンから受けたダメージがあまりにも大きすぎて、後遺症で蘇生しきれてないのではと思っている」

紫「妖精さんのことは私の式神に、引き続き探索をしてもらうわ。心配しないで」

早苗「ありがとうございます」

アクトレイザー「そういえば守矢神社には帰ったのか?」

早苗「いえ、まだです」

アクトレイザー「そうか。神奈子と諏訪子が会いたがっていた」

早苗「ええ。もう少し看病したら一度、守矢神社へ帰ります」

アクトレイザー「チルノの4人の友人たちが、神社で夜通しで祈願をしていた」

アクトレイザー「彼女が無事に帰ってくるように…っと」

早苗「そうですか。なら私も祈祷しないと」チラッ

霊夢「zzz……」

魔理沙「……」

妖夢「……」

早苗「私、お酒は得意じゃないけど…飲むなら、皆で飲みたいです」

アクトレイザー「ああ、そうだな」

アクトレイザー「私が修行している間は、神奈子や諏訪子が変わりに、あの世界の様子を見てくれる」

早苗「そうですか…私も手伝わないと」

紫「フフフ。霊夢たちの看病や、あの世界での見まわり、妖精さんの探索と…幻想郷に帰ってきてからも忙しくなりそうね」

早苗「ええ、全然心が休まりません」

アクトレイザー「早苗よ。結婚したら…旅行にでもいくか」

早苗「はい。二人でどこかゆっくり出来るところへ…」

アクトレイザー「では…行ってくる」

早苗「いってらっしゃい…」

今日はここまで

次回はエピローグ的なお話。事実上の最終回
その後は少しオマケ回を書きます

忘れ去れたフラグとかもちゃんと回収します

~サタンとの決闘から1週間後~

妖夢「……ん」

妖夢「あれ…ここは?」

幽々子「……」ダキッ

妖夢「……っ?」

ようやく意識を取り戻した妖夢
布団から起き上がると同時に、主君から抱擁をうける

幽々子「良かった…私、心配で心配で…」ボロボロ

妖夢「ゆ、幽々子さま…」

幽々子「あなたはまだ、私の様になるのは早いわ…」グスッ

霊夢「やっと目が覚めたのね」

妖夢「霊夢さん?」

妖夢「あれ…私はたしかカミと共に闘いに赴いてたのに…全部夢だったの…?」

妖夢「あいたたたた!お、おなかが…」

霊夢「夢じゃない。現実よ」

妖夢「……そっか。私はサタンの攻撃で気を失って」

妖夢「……!!そうだ、あの後はどうなったんだ…!!?」

霊夢「勝ったわよ」

妖夢「え、本当ですか!!」

霊夢「ええ。あんたは気絶してたから知らないでしょうけど、あのあと私や咲夜も参戦したのよ」

妖夢「そ、そうだったんですか」

妖夢「それで、いまカミは…」

霊夢「えっとね…」

~少女説明中~

霊夢「……っというわけよ」

妖夢「そうですか。三ヶ月ほど修行を…その後はカミと早苗さんの結婚式とその披露宴…」

霊夢「ええ、そして…」チラッ

魔理沙「……」

霊夢「魔理沙は…いまだ昏睡状態。チルノは行方不明」


~二ヵ月後~

魔理沙「……ん」

全員「!!」

アリス「魔理沙…」

サニー・ルナ・スター「魔理沙さん!!」

小鈴「魔理沙さん…やっと…」

鈴仙「師匠!魔理沙が…」

永琳「ええ」

魔理沙「あれ…なんだここ…永遠亭?」

魔理沙「……懐かしい顔ぶれが沢山いるじゃないか」

霊夢「……」

魔理沙「霊夢…」

霊夢は魔理沙の意識を回復を確認すると、立ち上がって後ろを降り向き歩き出す

霊夢「……」テクテク

魔理沙「おい…ま、待てよ…私、全然状況が飲み込めないんだが」

霊夢「詳しい話は早苗から聞いて」

霊夢「それと…1ヵ月後に宴会があるから」

魔理沙「……??なんだよあいつ…」

霊夢「私は顔を洗ってくるわ」

早苗「それが良いですね。霊夢さん今にもなきだしs」

霊夢「こら、余計な事を言うのはやめなさい」

早苗「はいはい」

華扇「まったく…心配かけて」

魔理沙「華扇…久しぶりだな。元気だったか?」

華扇「あなたがずっと昏睡状態だったから、あまり元気ではなかったわ」

魔理沙「え、昏睡状態?私が?」

魔理沙「……ああ!!そうだ!!サタンはどうなったんだ!?」

早苗「ちゃんと討伐しましたよ」

魔理沙「そ、そっか…悪いな、あんな油断さえしなけりゃ」

華扇「今度、困った事があったら私にも相談してね」

魔理沙「ああ…あの時は、華扇の力なんて借りなくても私たちだけでやれると思ってたからな…」

華扇「よほどの強敵だったようね」

魔理沙「ああ…イマイチ実感わかないが、私をこん睡状態にさせる位、厄介な相手だったようだ」

魔理沙「ああそうだ!たしか龍の写真とったんだ。あとでみるか?」

華扇「え!?異世界の龍の!?」

魔理沙「ああ。サタンの部下のだけどな」

霊夢「あんたいつの間に…どっか天狗見たいな事を」

~????~

「ああ…ふわふわする…」

「あれからどうなったんだろう…あたいはサタンに負けちゃったけど…」

神チルノよ!どうか雨を降らせてください!

「これは…カサンドラの住民の声?」

「よっしゃ、雨なんて言わないで大サービスに雪をふらせてやる」

パァァァ…

おおお!この灼熱の大地に雪が!

ありがとうございます!神チルノばんざい!

「へへへ、これくらいお安い御用だ」

「……」

わー!コレが雪…すごい!!

「えへへ、カサンドラの子供らも喜んでるな」

「………あたいにもあんな風にはしゃいでた頃があったっけ」

「ルーミア、ミスチー、リグル、大ちゃん…みんなどうしてるだろ」

「またみんなに会いたいな」

「また…みんなに…」

チルノー!!

チルノちゃーーん!!

「あれ?なんだろ、みんなの声が聞こえる」

「み、みんな…」

「あたいもみんなに会いたい」

パァァァァ…

~守矢神社~

大妖精「チルノちゃん…帰って来てよぉ…」ボロボロ

ミスティア「また一緒に遊びましょうよ!」

ルーミア「うおおおチルノ!かえってきてよ!」

リグル「またいっしょにイタズラしようよ!」

神奈子「今日も来てるな」

諏訪子「わざわざここまで参詣してるのにな…力になってやりたいが」

早苗「チルノさん…」

ヒュウゥゥゥ…

突如、寒風が吹き乱れ、青白い空間がが現れる

チルノ「よー!みんな、呼んだ?」

全員「!?」

早苗「え!?ち、チルノさん!?!?」

神奈子「おまえ…どうやって幻想郷に帰ってきたんだ」

チルノ「え?なんかね…みんなの声が急に聞こえてきて…」

チルノ「『幻想郷に帰りたい』って念じてみたら…いつの間にか…」

諏訪子「ふむ…もしかすると、それは一種のワープ能力って奴かもね」

早苗「わ、ワープ能力…凄いじゃないですか!チルノさん!」

チルノ「え、あたいってそんなに凄い?最強?」

神奈子「ああ。最強はともかくすごい能力だ。ちょうどお前の友達もワープ能力を得る為に修行中だ」

チルノ「友達…えと…アクト?」

諏訪子「ああそうだ」

チルノ「……」

チルノ「あーーー!!!そうだ!!サタンはどうなったんだ!?たおしたの!?」

早苗「ええ、ちゃんと討伐は完了しましたよ」

チルノ「そ、そっか…よかった…」ヘナヘナ

チルノ「ごめん早苗…あたい。全然役に立たなかったね」

早苗「いえ、そんな事ありません」ニコッ

チルノ「で、でも…」

大妖精「チルノちゃん!!」ギュッ

ルーミア「あいたかったのだー!」ギュッ

ミスティア「やっと帰ってきたのね!」ギュッ

リグル「また遊ぼう!!」ギュッ

チルノ「み、みんな…」グスッ

チルノを四方から囲み抱きつく友人たち
チルノも懐かしさに思わず涙がこぼれる

チルノ「ありがとう。でもあたい神になっちゃったから…これからは、遊ぶ回数が限られてきちゃう。それで良いなら」

大妖精「え、チルノちゃん神様になっちゃったの??」

リグル「すごーい!」

ミスティア「友達が大物になって帰ってきた!」

ルーミア「でも今日くらいは私達に付き合ってよ」

チルノ「勿論だ!んじゃさっそく湖に行って遊びに行こう!」

早苗「やれやれ…これで一安心ですね」

神奈子「小さな神よ。遊びに行く前にちょっと話がある」

チルノ「ん?」

神奈子「おまえも一端の神になった訳だ。どうだ?ウチの守矢系列の傘下に入らないか?」

チルノ「さんかって何だ?」

諏訪子「まあ要するに友達関係って意味だよ」

チルノ「なーんだ。そういう事なら良いよ!」

早苗(お二人とも。『傘下』の本当の意味をちゃんと教えないと…!)コソコソ

諏訪子(だって下の立場にあるなんて言ったら、アイツ絶対怒るだろ?)ヒソヒソ

神奈小(形は何だっていい。ウチの系列に入ってくれればそれでいいじゃないか)ヒソヒソ

早苗「ぐぬぬぬ……」

神奈子「あとで分社も立てるけど良いよな?」

チルノ「分社?よく分からんけど良いぞ!」

~三ヵ月後・守矢神社にて~

神奈子「ついにこの日が来たか」

諏訪子「早苗…結婚、おめでとう!」グスッ

早苗「神奈子様…諏訪子様…ありがとうございます!」

霊夢「あーあ…早苗に先を越されちゃったか…」

早苗「霊夢さんだってすぐにいい人みつかりますよ!」

諏訪子「そうだよ。大体、博麗神社にはいつも色んなのがいるだろ?」

霊夢「妖怪にモテても嬉しくないし…っていうか同性ばっかりじゃない」

魔理沙「んで、新郎はいつくるんだ?」

紫「もう間も無く来るわよ」スッ

魔理沙「うわぁぁ!?いきなり現れんな!」

紫「早苗、結婚おめでとう」

早苗「ありがとうございます!……それで、旦那の修行の方は?」

紫「ええ。『ワープ能力』はしっかりマスターしたわ。もう私が手助けする必要もなさそうね」

パァァァ…

全員「!?」

早苗「え、なにこの光は…」

早苗たちが雑談をしていると、突如大きな光が辺りを照らす
そしてその光の中から、カミが現れる

アクトレイザー「待たせたな諸君。そして早苗」

早苗「あなた…!」ダキッ

早苗はカミに抱き尽き、カミもまた早苗を温かく抱擁する

アクトレイザー「ずいぶんと集まったな」ギュッ

早苗「はい!参加者も前回の宴会よりも大勢します」

~~~~

霊夢「それにしても…紫のスキマ空間と随分異なるわね」

魔理沙「紫のはもっと不気味だもんな」

アクトレイザー「ああ…なぜかは知らんが、紫が展開するスキマ空間と、私のスキマ空間は異なるようだ」

紫「私のは目玉が浮き出てるけど、彼のは眩しい光が現れる」

紫「どうやら本人の気質や性格で、スキマ空間に違いが出るようね」

アクトレイザー「わが親愛なる友よ。本当に無事でよかった…」

妖夢「カミよ…情けない結果で申し訳ない限りです」

魔理沙「最後の最後で死にかけたが…まあ、楽しかったよ」

アクトレイザー「二人がいて本当に助かった」

アクトレイザー「そして友神チルノ、キミも幻想郷に帰ってこれたのだな」

チルノ「ああ。悪かったな…まさか最強のあたいが負けるだなんて」

チルノ「次は悪魔野郎なんかあたい1人で全滅できる位…強くなる!」

チルノ「これからもよろしくな!アクト!」

アクトレイザー「ああ!」

レミリア「あら、聞き捨てならない台詞を吐いてるわね。喧嘩する?」

チルノ「良いよ!目に物をみせてやる!」

美鈴「まあまあ。今日は大切な披露宴。だんまくごっこはまた後にしましょう?」

レミリア「覚えてなさい、成り上がりの神もどぎ」

チルノ「おうよ!喧嘩はまた今度だ!」

アクトレイザー「早苗…これを」

カミは早苗の指に、そっと指輪を入れる

早苗「あっ…」

アクトレイザー「これからはずっと一緒だ」

早苗「はい…!!」

カミと早苗は抱き合い、お互いの顔をそっと近づける

ヒューヒュー!

霊夢「///」

魔理沙「///」

咲夜「……」ドキドキ

妖夢「はわわわわわわわわ///」

鈴仙「す、すごい光景をみてしまったわ…///」ドキドキ

早苗「フフフ、私を幸せにしてくださいね///」

アクトレイザー「ああ勿論だ」

アクトレイザー「さて諸君、今日は私と早苗の披露宴に参加していただき、心から感謝する」

アクトレイザー「ここで改めて私の直属の部下と、守矢神社の関係者を紹介したい」

アクトレイザー「まずは…わたしの嫁である早苗だ」

早苗「今日はありがとうございます!」ペコッ

アクトレイザー「次に友人の…八坂神奈子に洩矢諏訪子」

諏訪子「今日は披露宴に来てくれてありがとう」

神奈子「これからも守矢神社をよろしく」

アクトレイザー「傘下としてウチの系列に入った…妖精の神・チルノだ」

チルノ「えへへへ、いえーい!」

アクトレイザー「続いては…私の直属の部下たちだ」

そういうとカミは、鞘から剣を引き抜き、横に薙ぎ払う
光のスキマ空間が出現すると、そこには4人の人物がたっていた

アクトレイザー「まずは…古来から、苦楽を共にした最高の部下であり、友人であり英雄である…エンジェルだ」

エンジェル「皆さん、こんばんは。今日はありがとうございます!」

魔理沙「おっ!エンジェル久々だな!」

エンジェル「魔理沙さんも、無事に退院できたようで何よりです」グスッ

霊夢「残り三人は誰かしら?見たことないけど…」

アクトレイザー「さて…残り三人は私の新しい部下だ」

アクトレイザー「彼らは元人間。それぞれが国を救った英雄たちである」

鈴仙「元人間で…英雄…?」

アクトレイザー「私は彼らに力を授けた。今では上級クラスの実力者とも対等に張り合える頼もしい部下だ」

アクトレイザー「この幻想郷で異変が起きたとき…どうか彼らを頼ってほしい」

魔理沙「まーた新しい勢力ができたのか。あとで弾幕ごっこを申し込もうかな」

アクトレイザー「紹介しよう。彼らの名前は…前世の人間時代では…」

アクトレイザー「○○○○と××××、△△△△と呼ばれていた」

アクトレイザー「あだ名では、聖者…もう一人は少年とよばれ…」

アクトレイザー「さらにもう一人は青年と呼ばれていた」

魔理沙「!!?」

チルノ「え!?あー…そういう事ね」

鈴仙「え…え?えええ!?せ、青年くん!?」

早苗「ふふふ、やっと気がついたようですね鈴仙さん」

早苗「あのカサンドラにいた霊魂も、その正体は青年くんの魂だったんですよ?」

鈴仙「う、嘘でしょ!?あ…でも言われてれば…思い当たる節がいくつも…」

アクトレイザー「彼らにはそれぞれ称号を与えている」

アクトレイザー「その称号を新しい名前にするようだ。さあ三人とも挨拶を」

聖者「始めまして。フィルモア出身の○○○○です。前世では聖者と呼ばれていました」

聖者「天使見習いにして…謎解きに特化した『パスワード』の称号を授かりました。故にこの名を新しい名として行こうと思います」

パスワード「よろしく」

少年「私は××××呼ばれていたものです。出身地はアイトス。称号は情報処理に特化した『イベント』」

イベント「これからはこの名前で天使見習いとしての活動をしていきます。よろしく」

パチパチパチパチ…

温かい拍手が彼らを包む

青年「あ…えと、私は…カサンドラ出身の△△△△です。なぜかよく『青年』って呼ばれてました」

青年「私も…一応前世では未成年にして神官でしたが…」

青年「趣味は可愛い女の子を口説くことで…なぜ私のような馬鹿者が天使見習いになれたのか…」

青年「そして何故か戦闘に特化した『バトル』の称号を与えられました…なぜ私が選ばれた非常に謎ですが…」

バトル「あ、これからは『バトル』と名乗るのでヨロシクです」

パチパチパチパチ…

鈴仙「」

バトル「あ、うどんちゃん…お久しぶり…青年と呼ばれてた△△△△だよ。あの時の霊魂の正体も私だったんだ」

鈴仙「」

アクトレイザー「以上。私の愛する妻と、頼もしい友人と部下たちだ」

霊夢「天使見習い…って事は、まだ正式な天使じゃないのね」

魔理沙「またすごい面子がそろったな」

――カミの演説が終わると、各自が好きに酒を飲み始める

魔理沙「いや~まさかお前が天使になるとはな!」

バトル「いや~本当に、世の中よくわかんないっすよね~魔理沙ねえさん」

バトル「でもまだ見習いですから。半分幽霊で半分天使の半端モンっすよ」

妖夢「半霊半天…なんか私と種族的に近いですね」

バトル「いずれは正式な天使になるから…それまでは妖夢ねえさんと近い存在っすね」

チルノ「えへへへ、また会えたな青年!」

バトル「おっす神チルノ!またあなた様に会えて光栄の極みです」

咲夜「あなたがカサンドラとブラッドプールを救った英雄?」

バトル「」

咲夜「はじめまして、一時離脱もしたけど共に闘った十六夜咲夜です」

バトル「」

沙夜「??」

バトル「こ…この世の物とは思えない美人さんが…いま、私の目の前に…」

咲夜「はあ?」

鈴仙「ちょっと!」グイッ

天使見習いバトルが鼻の下を伸ばしていると、横から鈴仙がバトルの頬をつよく掴む

バトル「っ!?痛い痛い!は、はなしてくれ~」

鈴仙「もう!アナタは美人だと思う相手なら誰にでも口説くのね!」

バトル「う、うどんちゃん…」

鈴仙「……」

鈴仙「色々とお話もしたいし…二人っきりで飲もう?」

バトル「……!!うん飲む!うどんちゃんと朝まで飲む!」

チルノ「よっしゃーミスチー!カラオケ歌うぞ!」

ミスティア「オッケー!んじゃ曲は『あの桜はアルカリ』で!」

バトル「神チルノ!私もうたいます!!」

チルノ「おっしゃこい!」

鈴仙「ちょ、ちょっと!二人っきりで話すって言ったじゃない!」

バトル「そんなの歌い終わってからもできるじゃん!」

バトル「さあうどんちゃん!今宵は永遠の神・アクト様の披露宴!盛大に盛り上げていこう!」

バトル「うどんちゃんも我々と共に一緒に歌うぞー!!」ギュッ

鈴仙「え、ちょ、待っ…キャ!いきなり体を持ち上げないでよ…」

天使見習いバトルは、鈴仙をお姫様だっこして歌い始める

チルノ・ミスティア「ワハハハハハハハ!!!」

バトル「ワハハハハハハハ!!!」

鈴仙「もう…ばか…」

魔理沙「あいつ、もうすっかり幻想郷に馴染んでるな」

霊夢「あなたち…どうしたの?顔色悪いけど」

パスワード「すまない…酒は今まで飲んだことなくて…ウッ!」

イベント「どうも我ら二人は酒があまり得意じゃないようで…ウッ!」

霊夢「ちょっとちょっと!吐くなら森の中か、便所でしてよね!」

バトル「神チルノ!カラオケ終わったら飲みくらべ勝負しましょー!!!」

チルノ「望むところだーー!!!」

萃香「わたしも参戦するぜ!!!」

鈴仙「ちょっと!私との雑談はいつになるのよ!」

――その後、鬼の萃香と天使見習いバトルの、飲み比べ勝負は引き分けに終わった

~深夜~

アクトレイザー「楽しい飲み会だったな」

早苗「ええ」

アクトレイザー「あまり酒は強くないのだろ?大丈夫か」

早苗「はい、ちゃんと量は抑えたので」

アクトレイザー「パスワードとイベントは大丈夫か?」

パスワード・イベント「う~ん…」グッタリ

早苗「かなり…うなされてます」

アクトレイザー「まさか二人が酒が苦手だとは…」

萃香「ワハハハハハハ!お前気に入ったよ!また一緒に飲もう!」

バトル「うっす!萃香ねえさん!」

早苗「あの方は異常なほどお酒に強いですが…」

アクトレイザー「ハハハ、彼は全てにおいて豪快な男だからな」

バトル「いやーゴメンゴメンうどんちゃん」

鈴仙「もー…散々と人を待たせて」

バトル「とりあえず、この赤ワインでも飲みながら、積もりに積もった話をしよっか?」

鈴仙「まだ飲むの!?もう…」

バトル「……ドコから話そっか」

鈴仙「え?そうね…」

アクトレイザー「……二人の邪魔をしてはならない。私たちは宴会の片づけをしよう」

早苗「はい」

――すでに帰宅した者や、宴会場で酔いつぶれてしまった者、寝てしまった者がいる中、早苗とカミは、散らかったゴミの山を片付ける

霊夢「ちょっと…新郎新婦が何も律儀に片付けなくても…部下にやらせれば良いじゃない」フラフラ

アクトレイザー「部下二人は顔色が悪いし、もう一人は…その邪魔しては悪いしな」

霊夢「エンジェルは?」フラフラ

アクトレイザー「神チルノに連れてかれた。ミスティアと呼ばれる妖怪少女が経営してる屋台で飲みにいくと言ってたな」

霊夢「そう…早苗、私も眠いから泊まって行っても良い?」

早苗「はい。好きな所で布団敷いて休んでください」

霊夢「悪いわね」フラフラ

アクトレイザー「……」

早苗「……」

アクトレイザー「早苗」

早苗「はい」

アクトレイザー「幻想郷は本当に良い場所だ」

早苗「ええ、そうですね」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー「だからこそ…残念でならない」

アクトレイザー「サタンにもこの世界にきて…和解し、共に酒を飲み合いたかった」

早苗「あなた…」

アクトレイザー「……」

~~~~~

霊夢「んじゃおやすみ…」

霊夢「……」

霊夢「そういえば。招待状おくってやったのに結局こなかったわね…」

霊夢「フレアとかいう妬み巫女…」

~数日後・デスヘイム跡地にて~

紫「……」

八雲紫は断崖絶壁の前に立つ

藍(らん)「素晴らしい景色ですね…」

紫「ええ。やっぱり海って良いわね」

橙(ちぇん)「わぁぁ…泳ぎたいな…!」

藍「ふふふ、そうだな」ナデナデ

紫「……」

藍「それで…我らをこの世界に呼んだ用件とは?」

紫「用ってほどじゃないけど…まあ、あれよ」

紫「これで全部終わりだし…一緒に感傷に浸って欲しいというか」

藍「はぁぁ……まあ確かに、見事なまでに美しい世界に生まれ変わりましたね」

藍「紫様はスキマをあけて時々、様子は見てましたしね…寂しくなる気持ちがあるのは分かります」

紫「何を勘違いしてるの藍」

藍「え?」

紫「私は…魔王サタンが欲しかった」

藍「は、はあぁぁ!?」

紫「私はね、きっとアクトが最後は彼に情けをみせる事を確信してたわ」

紫「そして見事にアクトは私の想像通り、サタンに救いの手を差し伸べた」

紫「それなのに…サタンったら。あんな意地を張って」

紫「想像以上に頭が固い男だったわね…サタン」

藍「ちょ、ちょちょちょ!待ってください!あそこまで邪悪すぎる存在…大昔の鬼でも妖怪でもいませんでしたよ!」

藍「あんなキチガイを幻想郷に連れて帰るって…私には理解できません」

紫「幻想郷は全てを受け入れるわ」

藍「……っ」

紫「近年、妖怪も鬼も、みーんな性格がすっかり丸くなっちゃったじゃない?」

紫「まるで人間みたいにふるまったり…」

紫「こんな事じゃ、人々にとって妖怪は『恐怖の対象』では無くなってしまう」

紫「妖怪は人間に恐れられ、人間は妖怪を退治する…そうする事で、幻想郷のバランスは保たれる」

紫「でも近頃、妖怪はどうも舐められてる気がするのよ」

紫「そうじゃなくても命蓮寺や神霊廟といった…『正義』の力を持った勢力が増えすぎてるのに」

紫「守矢神社もいまでは、幻想郷でもトップクラスの『正義の勢力』になりつつある」

藍「正義と悪のバランスが崩れかけてる…という事ですか?」

紫「そこまで自体は深刻じゃないけど…」

紫「いずれにせよ私はサタンを『利用』して意図的に異変を起こし…霊夢に退治させるつもりだった」

紫「そして天狗の新聞を利用して、あることない事を書かせて…改めて妖怪の恐ろしさを里の住民に知らせるつもりだった」

藍「……」

紫「妖怪とは精神的な生き物。常に人々から恐れられなければならない」

紫「アクトはまだ…幻想郷の本質を理解してないわ」

紫「はぁあ~…ゆかりんガッカリ…」

藍「……しかし、さすがにあのダメージを背負ってはもう復活することは無いでしょう」

紫「わかってるわよ…」

ガツン、ガツン、ガツン

橙「ん?」

藍「どうした?チェン」

ガツン、ガツン、ガツン

橙「なにか音がする」

ガツン、ガツン、ガツン

藍「本当だ…」

紫「?」

爪で何かを引っ掻くような、乱暴な音が聞こえる

ガツン!ガツン!ガツン!

その音はどんどん大きくなっていく

橙「あ、見て藍さま!崖から何かが這い上がってくるよ!」

藍「ん、どれどれ…」

藍「うっ…!!なんだあのグロテスクな物体は…!?」

モゾモゾと蠢く、黒く不気味な塊は、鋭いツメで這い上がってくる

ガツン!ガツン!ガツン!

紫「……」

ガツン!ガツン!ガツン!

藍「チェン!さがってなさい…!」

橙「なにあれ怖いよ…藍さまぁ」ガクガク

ガツン!ガツン!ググッ…

海草やら深海魚に嚙まれた黒い塊は、モゾモゾと動きながら地上に到着する

藍「何なんだ…この生き物は…」

紫「……」

紫「サタン?」


藍・橙「え!?」

サタン「ぐぐ…ぎぎぎ…がぁぁ…」ガクガク

藍「う、嘘だろ…もう三ヶ月以上たってるんだぞ!?なんで生きてるんだ!!」

サタン「ゼェゼェ…」

サタン「ウガァァアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!」

藍・橙「…ッ!?」

紫「……」

サタンが大声で叫ぶと、周りから衝撃波が放たれる
海水は大地とは真逆の方向に津波が発生する

藍「な、なんだこの力は…」

サタン「ゼェゼェ…」

サタン「この世に『背徳』の二文字が存在するかぎり…私は何度でも蘇る…」

サタン「どこにいるのだカミ!!!出て来い!!!」

サタン「まだ終わってないぞ!?もう一度勝負しろ!!!」

サタン「ん!?」チラッ

サタンが空を見上げると、そこには天空城が目に映る

藍「あれは天空城…」

サタン「ククク…そこか…」

サタン「ん、なんだあの光は…」

天空城の前に大きな光が差し込む
カミが展開した光のスキマ空間だった

サタン「なっ…!天空城が消えていく…」

サタン「行かせるかて…」ギリギリ

サタン「待たぬかぁぁ!!!」シュバッ

藍「なっ…飛行しただと!?」

サタンは猛スピードで飛んでいき、スキマの中へと消えていく

藍「と、とんでもないことになった…」

紫「橙に藍、幻想郷へ急ぎましょう」

橙・藍「はい!」

~天空城~

アクトレイザー「ん?」チラッ

早苗「どうされましたアナタ?」

アクトレイザー「いま…サタンの気配を感じたような」

早苗「え!?」

アクトレイザー「…………」

アクトレイザー「いや、気のせいだ」

早苗「もう、おどろいたじゃ無いですか」

アクトレイザー「すまない」

アクトレイザー(もうサタンはこの世にいない)

アクトレイザー(……いるはずがないのだ)

~幻想郷・妖怪の山~

ヒュゥゥゥゥ…ドゴォォン!

サタン「ぐおぉぉ!?」

サタンは幻想郷に到着した瞬間、力尽きる
あと少しで天空城に辿り着く、一歩前だった

サタンはうめき声を上げながら、天空を飛行する城へと手を伸ばす

サタン「ぅぅ…ぐぅぅぅ…!!」

サタン「お、おのれ…カミめぇ…」

橙「……」

藍「……」

紫「……」

サタン「あと少し…あと少しだったというのに…」

サタン「こひゅー…こひゅー…」

藍「……」

式神の八雲藍は、サタンに向かいそっと手の平を向ける

藍「正直、惨くてみていられない」

藍「私が介錯します」

紫「……」

紫「待って藍」

藍「え?」

紫「……」

サタン「ぅぅ…そこにいるのは誰だ…」

サタン「悪魔に近いが、それとは違う妙な気配…何者だ…」

紫「初めまして魔王サタン。私、八雲紫と申しますわ」

サタン「ヤクモ…ユカリ…?」

紫「魔王サタン…アナタがうけた傷を一週間かけて癒してあげましょう」

サタン「なんだと?」

橙・藍「!?」

紫「その代わり…いくつかの条件を飲んでほしいのだけれど…」

サタン「何でもいい!さっさと早く私のキズを癒せ!!」

紫「フフフ…」

紫「ようこそ魔王サタン。幻想郷へ」

第一章・完(第二章へ続く)

ここまで見てくれて本当にありがとうございます
第一章はこれで終わり

第二章は別スレを立てて書きます

なお、おまけ回を書くのでまだ第二章にはいきませんし、終わるまでスレもまだ立てません
(おまけ回は、一章と二章の間の話)

第二章はだいぶ話のノリが変わると思います
前半は東方的(茨歌仙や鈴奈庵といった書籍版)なノリで、後半は再びアクトレイザーのノリが強くなります

とりあえず次回はオマケ回という事で


三人の天使(このSSでは見習い)ですが、あれはアクトレイザー2にも出てきます

(二つほど報告を)
 
①オマケ回は近いうちに書きます
内容も短めなので、遅くとも来年の初め頃までには第二章(次スレ)に行くかと

第二章の話の量は、第一章の半分いくか、いかないか位だと思う
理由はクリエイションモードが無いから…
前半は日常回(異変の前触れ)がメインで、バトル回は後半から


②ちょっと気が早いけど、新作候補を発表しておきます
第二章が終わったら投下を考えてます(以下の三つの作品です↓)

・ 霊夢「暁美ほむら…貴方を退治するわ」ほむら「っ!?」
(まどマギ×東方)

[あらすじ]
「同じ事をずっと繰り返している」…ある時、霊夢は気付く
八雲紫もまたその違和感を覚えていた
霊夢は手始めに、咲夜と輝夜を退治するが、結局彼女達は犯人ではなかった
問題は外にある事に感づいた紫は、霊夢に外の世界へ調査する事を命ずる
そして見滝原中学校へ編入する


・霊夢「天神小学校…」菫子「ここが噂の!」
(コープスパーティー×東方)

[あらすじ]
ある時から幻想郷で行方不明者が続出
時を同じくして、外の世界のある「おまじない」が流行していた
霊夢は「おまじない」を行ない、好奇心旺盛の霧雨魔理沙、オカルト好きの宇佐見菫子(すみれこ)と共に調査に向かう


・霊夢「素敵な指輪ね」ガンダルフ「バカな!?」フロド「捨てたはずなのに!」
(ロードオブザ・リング×東方)

[あらすじ]
過酷な使命を終えたフロド。長い年月が経過する
心身の傷を癒していたフロドは、ガンダルフの提案で幻想郷へ旅行しに行く
幻想郷での生活が気に入った二人は、長期滞在を決意
そんなある日、火山噴火が起こる
幸い被害は大きくなかったが、空から光る指輪が落ちてくる…

おまけ回投下します
大体18レスくらいです

『おまけ』

~~~~~~~~

サタン討伐し、その三ヵ月後に神アクトレイザーと早苗は正式に結婚
それから数ヶ月の間、二つの異変があった

都市伝説といったオカルト関連の騒ぎ、そして月の民による幻想郷の浄化作戦

幻想郷の人間たちは異変解決に向かうが…

~~~~~~~~~

アクトレイザー「……」テクテク

カミは守矢神社の境内にて腕組みをしながら、落ち着きなく右往左往していた

諏訪子「なんだよ落ち着きがないな」

神奈子「神ならもっとどっしりと構えてないとダメだぞ」

アクトレイザー「諏訪子に神奈子よ…私はもう我慢の限界だ」

アクトレイザー「私自身が今回の異変を解決しよう」

神奈子「ダメだ。何度言わせれば分かるんだ」

アクトレイザー「……」

諏訪子「異変解決ってのは人間がやるって相場で決まってるんだよ」

アクトレイザー「そんな事だれが決めたんだ?曖昧な言い回しだな。私はいく」

神奈子「お前は困っている者を自分の手で守らなければ気が済まないようだが」

神奈子「言い換えれば『過保護』だ」

諏訪子「アクトがいた世界の人間はともかく、幻想郷には強い力をもった人間がいる」

諏訪子「異変解決は修行にもなる。私たちがすべきことは見守る事」

神奈子「我々が動くのは人間だけでは、どうにもならない時だけで良い。それまでは見守る事だけに専念するべきだ」

諏訪子「大体、アンタの部下だって派遣しただろ?えーと…かつて青年と呼ばれたバトル天使が」

諏訪子「それに加えて…霊夢に魔理沙、永遠亭のウサギも出動してるんだ…戦力としては充分だろ」

アクトレイザー「……何を言っても無駄だ。私の意志は変わらない」

神奈子「……」

諏訪子「……」

神奈子「1つ聞くが、前の『オカルト異変』の時はなぜ積極的に出動しなかった?」

アクトレイザー「あ、あの時は…人里の人間に危害が及ばないよう…警護を勤めていて…」

アクトレイザー「それに『あの世界』の町の復興とその見守りも忙しくてだな…」

神奈子「理由はそれだけか?」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー「さ…早苗が…特に目立った動きをしてなかった物でな…」

神奈子「はぁぁ…」

アクトレイザー「ため息をつかなくても良いじゃないか…前回での異変は解決するために動き出した者達も大勢いた」

アクトレイザー「それを悟ってか、早苗も動かなかったし…」

諏訪子「あんた結局の所、早苗がただ心配なだけだろ!」

アクトレイザー「当たり前ではないか!!いまもこうしている間に…早苗は危険に晒されているのだぞ!?」

諏訪子「あんたね、気がついてるとは思うけど…早苗はあの世界での経験を得て、そうとう強くなったんだよ?」

神奈子「まだ未熟な点も多いが…近い将来、博麗霊夢と同等の実力者になる日も近い」

必死にカミを説得しようとする守矢の二柱
しかしカミは意志を変えず、背中に背負った剣を引き抜く

アクトレイザー「……神奈子よ。そういえば今日はまだ『稽古』をしてないな」

神奈子「そうだね。あんたは力が衰えないように我々と1日1戦を交え、修行を欠かさなかった」

諏訪子「でもアクトって…私達に勝てた事ある?」

アクトレイザー「ない。毎日1戦を交えてるが、そなた達二人には勝てた試しがない」

アクトレイザー「そなた達は途方もなく強い。尊敬してる」

諏訪子「そりゃどうも。でもそれじゃ…あんたの本懐は達成されないんじゃ?」

神奈子「言っておくが全力で阻止させてもらう。いつもみたいに一対一じゃない」

神奈子「二体一だ。早苗の所へいきたければ我々を同時に倒せ」

アクトレイザー「望むところだ…いくぞ!!」

~その頃、道中~

魔理沙「おお、まさかお前が派遣されるとはな」

バトル「ちっす。青年とよく呼ばれてたバトル天使です」

魔理沙「他の二人はどうしたんだ?」

バトル「イベント天使はあっちの世界の見守り、パスワード天使は人里の警護やってます」

バトル「アクト様も行きたがってたんですがね…あのお二人に引き止めれてしまい。仕方なく私を派遣したようですが…」

バトル「私の想像だと、まだ本心じゃ諦めてないような気もします」

魔理沙「ま、今回の異変もサクッと解決できるだろ」

早苗「……」

魔理沙「どうした早苗。元気ないが」

早苗「え?そ、そんなことないですけど…」ソワソワ

魔理沙「ふーん。ま、チャッチャと終わらせようぜ」

早苗「……はい」

バトル「うどんちゃん!僕が全力でキミを守るからね!」

鈴仙「そ、そんなに心配しなくても…保険として『紺珠の薬』も持って来てるし」

魔理沙「あれ、結局の永琳の作った薬飲んでなかったのか」

鈴仙「うん。その…青年君が飲まなくて言いっていうから」

バトル「薬に頼らずともこの私がいれば問題ない!うどんちゃんは私が守るからな!」

鈴仙「そういえば気になってたんだけど」

バトル「ん?」

鈴仙「青年くんはまだ正式な天使じゃなくて、見習いなんだよね?」

バトル「うん。まだ完全に天使になるには早いって言われて」

魔理沙「そもそもお前ら三人はどういう経緯で『天使見習い』になったんだ?」

バトル「あれは…アクト様が、魔王サタンを滅ぼしたあとの話なんですが…」

バトル「我らは霊魂の状態で、カミに別世界へと導かれ…四季映姫さまに会ってきました」

~回想~

小町「映姫さま、客人です」

小町「いやー!高潔な魂をもった者たちだったおかげで、あっと言う間に辿りつきましたよ」

映姫「これはこれはわざわざココまで…」ペコッ

アクトレイザー「忙しいところ悪いな」ペコッ

アクトレイザー「察しはついてると思うが、彼らは幻想郷の民ではない」

アクトレイザー「私がいた世界の…英雄たちだ」

アクトレイザー「どうか彼らを裁く前に、お願いがある」

アクトレイザー「この3人の英雄を…彼らを…私の部下にしたい」

映姫「元人間から天使へと昇格させたいと」

アクトレイザー「そうだ」

映姫「たしかに彼らは天使の称号を得られるだけの器はありますね」

映姫「1人だけ、欲の深そうな者もいますが…まあその器の大きさと、善に対し情熱的なのは認めましょう」

映姫「私としては構いません」

アクトレイザー「感謝する」

映姫「しかし…彼ら三人とも、前世は悪魔でしたね?」

霊魂三人「……」

アクトレイザー「ああそうだ。前々世にて悪魔達に殺され…魔物に変えられた経緯がある」

アクトレイザー「そして、悪魔に変えられた後は…言うまでもない」

霊魂三人「……」

映姫「不本意とは言え悪魔に変えられた後は…殺戮の限りを尽くした。そういう事ですね?」

霊魂三人「……」

映姫「結論を言うとアナタ達三人は地獄には落ちません」

映姫「むしろ生前の功績を称え…今生まれかわったら、幸福なる未来が待っているでしょう」

映姫「しかし人から天使になるというのは…それまで関ってきた友人や知人、家族との縁が切れてしまいます」

映姫「ひたすらカミの使いとして、永遠に人々を救済し続ける事を意味します」

映姫「三人の英雄たちは、そのことは理解してるのですか?」

アクトレイザー「三人にはすでに説明した。本人たちも迷うこと無く納得している」

霊魂三人「……」

映姫「……どうやら、三人の英雄たちも本気で決意しているようですね」

映姫「良いでしょう。私は彼らを裁きません」

映姫「ただし、私から1つ忠告をしておきたい」

アクトレイザー「なんだ?」

映姫「何事にも順序、下積みは大事です」

映姫「魔物だったころの悪行の反省も兼ねて…まずは天使の見習いから初めてはいかがでしょうか」

アクトレイザー「見習い…か。わかった」

アクトレイザー「聞きたまえ英雄たちよ…君たちは数十年ほど見習い期間を設ける」

アクトレイザー「そして悪しき存在とも闘えるように…私から力を授けよう」

アクトレイザー「長い付き合いになる。共に平和を守ろう…英雄たちよ」

映姫「そうそう。1つだけ忠告を」

アクトレイザー「む?」

映姫「この三人の中で、どうしようもない女好きの英雄がいますが」

映姫「『英雄色を好む』という言葉もありますが、そんな物は通用しません」

映姫「あまり女好きがすぎると『堕天使』に陥るでしょう」

映姫「恋愛自体は構いませんが1人にしぼりなさい」

映姫「アナタがかつて夢見た…『国の最高神官となり、世界一の美人と結婚し、さらに側室を数人設ける』は諦めなさい」

小町「なかなかの野望の持ち主だったんだなお前さん」

アクトレイザー「……気を付けたまえカサンドラの英雄よ」

霊魂「……」コクコク

~回想終了~

魔理沙「なるほどな。そんな経緯があったとは…」

バトル「映姫様は厳しいお方だと聞いてたけど、意外とあっさり認めてくれたんスよ」

バトル「親族や友人たちと会えなくなるのは寂しいが…カミ様から直々にお願いされるほど光栄な話はない。断る理由もない」

鈴仙「……っていうか。青年くんの生前の将来の夢って…あれ、本当なの?」

バトル「うん。国の最高神官となって人々を導き…」

バトル「その後、世界一の美女と結婚し、とびっきりの美女の側室を設けるのが夢だった」

鈴仙「呆れて返す言葉がないわ…」

早苗「皆さん。前方に何者かが現れました…!」

清蘭「こちら清蘭、好戦的な地上人と接触。浄化活動にはいる」

清蘭「……ってあれ鈴仙じゃん。ひさしぶりー!元気?」

鈴仙「久しぶり。さっき思いっきり攻撃を仕掛けれけどね」

清蘭「これも仕事なの、判るでしょう?」

魔理沙「知り合い?」

鈴仙「ええ。月の都に住んでた頃の」

バトル「うどんちゃんと同じウサ耳…」

バトル「キミ可愛いね!」

清蘭「は、はぁ?」

魔理沙「おまえいい加減に懲りろよ!」

バトル「だ、だって!あんなに…あんなに可愛い子が…」

鈴仙「もう!いまは異変解決してる最中でしょ!」

バトル「あ、ご、ごめんうどんちゃん!」

清蘭「貴方は何者なの?」

バトル「永遠の神アクトレイザー様に仕える、天使見習いだ!前世の名前は△△△△!今はバトルと名乗っているバトル天使だ!」

清蘭「て、天使の見習いって…たしかに背中には翼はあるけど、あまり天使っぽくないわね」

清蘭「んで、やけに仲良さげだけど…どういう関係なの?」

鈴仙「えっと…彼とは友達」

清蘭「ふーん」

バトル「……」

バトル(私とうどんちゃんの関係…か)

バトル「うどんちゃん」

鈴仙「ん?」

バトル「好きです。付き合ってください」

全員「!!?」

鈴仙「」

清蘭(いきなり何を言い出してんだコイツ)

バトル「ずっと忙しくてなかなか会えなかったし。このまま友達だけの関係で終わるのもイヤだ」

早苗「な、なにも今言わなくても…」

バトル「映姫様の忠告を考えると…私はもう白黒はっきりしたいんだ」

バトル「ただ、ここでどんな答えが返ってこようと、私はキミを守り続ける。天使見習いだから」

鈴仙「はぁぁ…本当に、バカなんだから」

鈴仙「知ってるわよ。私を好いてること位」

バトル「ええ!?なんで!?」

鈴仙「毎週のように近況報告の手紙は届くし…て言うか前にナンパされた時点で勘付くし」

鈴仙「……」

鈴仙「もう二度と、他の女の人を口説かないと誓うなら、付き合ってもいいよ」

全員「!!?」

バトル「え、本当!?やったーー!!」

魔理沙「な、なんて軽いノリなんだ…」

鈴仙「その…私だけを見てね」モジモジ

バトル「もちろんだ!」

バトル「っという訳で、うどんちゃんとの関係はいまから恋人同士だ」

清蘭「……」

清蘭「メーデーメーデー!緊急事態発生!むかし地上に逃亡した鈴仙が、自称天使と名乗る変な男と付き合うことになった!」

鈴仙「ちょ、テレパシー使って月のみんなに報告しないで!」


清蘭「変な茶番を見せられたけど…とにかく決闘よ!」

バトル「良いだろう!私が受けて立つ!」

清蘭「いや、あなたじゃなくて鈴仙に言ってるんだけど…」

バトル「私は天使見習いだ!アクト様から命をうけた以上…幻想郷に害をなすキミを排除する」

バトル「そして愛する彼女に傷など付けさせてたまるか!」

バトル「いくぞ!私のラストスペル…」

鈴仙「ちょ、いきなりラスぺは早すぎるわ!」

バトル「じわじわとやるのは性に合わない。一気にケリをつけよう」

バトル「迷符・飢えと渇きと孤独の数日間」

早苗「なにこれ…急に妙な空間に…」

魔理沙「これは固有結界…」

鈴仙「灼熱の砂漠の大地…遠くに見えるピラミッド…」

清蘭「え、なにこの空間。ものすごく暑いんだけど…」ダラダラ

バトル「私がかつて味わった地獄…それをいまから弾幕で表現しよう」

バトル「さあ覚悟しろ。飢えと渇きと孤独に苦しんだあの灼熱地獄の体験ツアーだ!」

バトル「耐久スペルだ。どこまで耐えられるかな」

清蘭「」

それから幻想郷の人間たちと天使見習いは、順調に勝ち進み、真の黒幕の元まで辿り着く

一方、神アクトレイザーもまた二柱との決着がつく

~~~~

神奈子「ぜぇぜぇ…う、嘘だろ…」ガクッ

諏訪子「いままで私達に勝てなかったのに…」ガクッ

アクトレイザー「悪く思うな」

神奈子「負けてしまった以上、もうそなたの意志を尊重しようではないか」

神奈子「だがいま早苗がドコにいるのか…わかるのか?」

諏訪子「もうずいぶん時間が経っちゃったよ?」

アクトレイザー「問題ない」

アクトレイザー「こうやって…まぶたを閉じれば、早苗がいまどこにいるのか。私には分かる」

瞳を閉じて精神統一するカミ
そして剣を縦に振ると、空間が裂けはじめる

アクトレイザー「早苗の居場所…わかったぞ。かなり特殊な場所だ」

アクトレイザー「ではいってくる!」

諏訪子「あーあ…いっちゃった…」

神奈子「早苗関連のことになるとアクトは、別人染みた強さを誇るな」

諏訪子「っていうかアクトも段々、幻想郷の住民っぽくたってきたよね。初めて会ったときは絵に描いたような優等生気質だったのに」

神奈子「ああ。良くも悪くも幻想郷にすっかり馴染んでしまった」

~~

魔理沙「それにしても侵略してきた月の民が、まさか別の誰かに月を侵略されていたとはな」

鈴仙「相手は恐ろしく強いわね…あの神霊」

早苗「ぜぇぜぇ…」

純狐「あら、そろそろ限界のようね」

魔理沙「早苗、もうボロボロじゃないか!降参して私と変われ!」

早苗「いえ…まだ闘えます」

バトル「」

鈴仙「まだ青年君の意識が戻らないわね…いまのうち手当てしておこうっと」

魔理沙「しかし純狐とかいう奴は何なんだ…あのデタラメ地味た強さ…」

純狐「さあ、次いくわよ?」

純狐「殺意の百合」

早苗「ぜぇぜぇ…」

早苗(螺旋状のビームが沢山…あんなの避けられない…)

早苗(もうダメだわ…意識が…)

純狐「終わりよ。自称現人神」

ボォォォン!!!!

魔理沙(あーこりゃダメそうだな)

魔理沙「なあ、次は私がいっていいか?」

鈴仙「いや、私がいくわ」

魔理沙「故郷の問題だもんな…しょうがない。ゆずってやる」

アクトレイザー「いや、私が倒す」

全員「!!?」

爆煙の中から現れたのは傷ついた早苗でなく、体を張って早苗を守ったカミだった

早苗「あ、あなた…」

アクトレイザー「早苗…なんて酷い傷なんだ」ギュゥゥ

早苗「……」ギュゥゥ

純狐「……だれ?」

アクトレイザー「この子の夫だ」

純狐「あら結婚していたの?まだ若いのに」

アクトレイザー「異変の首謀者か?」

アクトレイザー「……貴様、神の1人だな?」

純狐「ご名答。そういうあなたも神ね」

アクトレイザー「なぜ神と言う立場でありながらこんな事をした」

純狐「はぁぁ…説明するのも面倒だし」

純狐「今は深い事は考えず闘いを楽しみましょう…純粋に」

アクトレイザー「神でありながら人々を困らせるとは…呆れてものが言えぬ」

アクトレイザー「……説教はあまり得意ではない。闘いと言う形で説教をさせてもらう」

純狐「肉体言語…ふふ、判りやすくて良いわ」

純狐「それにしても…『夫婦』か…」

純狐「なかなか良い夫を持ったわね。あなたも」

早苗「ええ。この世でもっとも愛してる人ですから」

純狐「……私もあなたの夫みたいな素晴らしい殿方と結婚してれば…息子を失わずにすんだかもね」

早苗「え?」

純狐「私は最低最悪な夫と結婚をした。でも貴方は気高く最高の夫と結ばれた」

純狐「じつに妬ましいわ…私の純化する能力が、憎しみと嫉妬の炎を燃やす」

純狐「さあ、いつまでも私に夫婦愛を見せ付けてないで、かかってきなさい」

アクトレイザー「早苗、キミはもう休んでいなさい」

早苗「はい。アナタ、どうかご無事で…」

アクトレイザー「……」

純狐「フフフ…」

アクトレイザー(私には分かる。この女は只者ではない)

アクトレイザー(正直、勝てるかどうか…だがそんな事言ってられぬ)

カミの額から冷や汗が流れる

霊夢「ごほごほ…待ちなさい」

霊夢「着替えるのも面倒だったのよ…ごほごほ」

アクトレイザー「博麗の巫女!?どうした、マスクをして…それに寝巻き姿で…」

魔理沙「霊夢の奴、体調悪いのに無理してここまで来やがったんだ。勿論、私たちは止めたんだが言う事きかなくて」

鈴仙「しかも、ここまで一発も被弾せずに来たのよ?デタラメ染みてるとしか言いようがないわ」

霊夢「幻想郷の異変は博麗の巫女が解決する…昔から相場で決まってることよ。本来アクトさんは出る幕じゃない」

霊夢「……とは言え。私も体調悪くてね」

霊夢「あの純狐とか言うの。一緒に倒しましょ」

アクトレイザー「キミが仲間と言うのは心強い。だが決して無茶はするな」

霊夢「分かってる」

アクトレイザー「さあいくぞ!!」

純狐「いくわよ…『純粋なる狂気』」

――その後、死闘の末に純狐に勝利する
しかし異変は依然として続いていた

首を傾げていた所、稀神サグメからまだ異変が終わっていない事、他にも純狐と手を組んでいる者がいる事を知らされる

霊夢と魔理沙、鈴仙、そして早苗とアクトレイザーは闘いに赴く
そしてへカーティア・ラピスラズリと名乗る地獄の女神と闘う事となる
激しい死闘の末、辛うじて勝利する

そしてその後、幻想郷にて宴会が開かれる

~博麗神社にて~

早苗「博麗神社で宴会って、なんか久々ですね」

霊夢「なぜか最近は守矢神社での宴会が多かったからね」

魔理沙「あれ?鈴仙は」

霊夢「縁側で、彼氏と仲良く飲んでるわ」

魔理沙「何だかんだ言って上手くやってるんだな」

アクトレイザー「さあ早苗よ、我々も一杯しよう」

早苗「はい!では乾杯」

~~~

早苗「あなた!私が作って来たお弁当です!」

早苗は卵焼きを箸で掴み、そっとカミの口元へ運ぶ

早苗「はい、あーん」

アクトレイザー「んん…ふぅ、素晴らしい。美味すぎる」

アクトレイザー「では私からも…」スッ

カミは肉じゃがを箸で掴み、早苗の口元へ運ぶ

早苗「ん…あなたの愛のおかげで美味しさが増しました///」

アクトレイザー「……」

早苗「……」

チュッ

早苗「フフフ…」

アクトレイザー「ハハハ…」

霊夢「なんかもう見てるこっちが恥ずかしくなるわ…」

魔理沙「なんかアクトも段々、人目をはばからなくなって来たよな。色んな意味で」

神奈子・諏訪子「分かる」

霊夢「元はと言えばあんたらにも原因があるでしょ…」

神奈子「そりゃそうだけどさ…なんかもう毎日毎日、あんな光景をみせられたれねぇ…」

諏訪子「正直、まさかあそこまでバカップルになるとは思ってなかったからさ…」

妖夢「……」

妖夢「はぁぁ…」

魔理沙「ん?何を落ち込んでるんだ妖夢」

妖夢「え?いや…べつに」

魔理沙「……」

魔理沙「おまえ、アクトに惚れてたな?」

妖夢「っ!?!?な、ななな///ち、ちが、違う!!」

霊夢・魔理沙(反応わかりやす)

妖夢「いきなり変な事を言わないでください!大体わたしとあの方がつりあうはずもあるまい!!///」

魔理沙「はいはい」

早苗「フフフ」

アクトレイザー「ハハハ」

純狐「相変わらず仲が良いのね」

早苗「アナタ達は…」

ヘカーティア「ふふふ、お呼ばれされちゃったから来たわ」

アクトレイザー「君たちには言い事は山ほどあるが折角の宴会の席だ」

アクトレイザー「一先ず過去の事は水に流す事にしよう」

へカーティア「フフフ。器が大きいのね。そうじゃないと神は勤まらないけど…」

ヘカーティア「あなたの言いたい事はわかるわ。『神としてありえない行動だ』とかどうせそういうのでしょ?」

アクトレイザー「平たく言えばな」

へカーティア「アナタはちょっと真面目すぎるのよ。もう少しふんぞり返ってもいいと思うわよ?」

純狐「そうよ。神なんだから」

アクトレイザー「……返す言葉もない」

早苗「ちょっと!私の夫に変な事を言わないで!私は真面目な夫が好きなの!」ギュゥゥ

アクトレイザー「早苗…私も生真面目なキミが好きだ」ギュゥゥ

純狐「……良いわね。本当素敵な夫で。羨ましいわ」

~~~

へカーティア「へぇ~そのサタンってのと、ずっと闘い続けてたのね」

純狐「私の元夫や嫦娥よりも、凶悪な存在がこの世にいたなんてね…」

アクトレイザー「幻想郷の頼もしい仲間と、愛する妻がいたおかげで、私自身もそしてあの世界も救われた」

アクトレイザー「だからこそ私もこの世界を守りたい」

早苗「あなたと私がいれば、どんな異変だって解決できます!」

純狐「これが愛の力…か」

純狐「……」

へカーティア「純狐、そろそろ本題に移らない?」

純狐「ええ、そうね」

アクトレイザー「ん?なにか話したいことでもあるのか」

へカーティア「神アクトレイザー…私と純狐と結婚しない?」

アクトレイザー「」

早苗「はぁぁ!!?」

アクトレイザー「すまん。言っている意味が判らない」

へカーティア「だーかーらー、私と純狐と結婚して、私たちの夫になってほしいのよん」

アクトレイザー「」

純狐「あなたとなら昔のような悲劇なんて絶対起きないと思うの」

純狐「だってアナタほどの素敵な殿方、見たことないもの」

へカーティア「わたしもね、純狐と同じくアナタに興味が沸いたの」

早苗「おい変なTシャツ野郎!あんた何いってんのよ!?」

へカーティア「あらあら、言葉使いが荒くなってるわよん?」

早苗「夫は私だけのお方です!譲る気はないです!」

へカーティア「だーかーら、奪う気なんてないから」

純狐「あなたの幸せを分けて欲しい…それだけよ」

早苗「絶対いやです!そんなのダメ!」

アクトレイザー「ひ、一先ず逃げよう」

早苗「そうですね。なんかあの二人しつこそうだし…」

早苗「霊夢さん!ごめんなさい…私ちょっと席を外します」

アクトレイザー「同じく。すまないな博麗の巫女」

霊夢「勝手にしなさいよ…」

へカーティア「あー、待ってよぉ~ん」

純狐「自分ばっかりずるいわ。私にも幸せを分けるべきよ」

ワーワー!ギャーギャー!

魔理沙「しかし幻想郷には変な奴らがどんどん集まるな…」

霊夢「はぁぁ、私も素敵な彼氏ほしいなぁ」

アクトレイザー「さあ早苗よ、愛の逃避行だ」

早苗「はい!」

~オマケ終わり~

以上です
ここまで読んでくれてありがとう

霊夢が体調悪かったのは、第二章の話の中で原因が明らかに
今年中に第二章かけるか判らないけど、準備ができたらURLを貼って投下します

次スレです

東風谷早苗「アクトレイザー2」博麗霊夢「沈黙への聖戦」
東風谷早苗「アクトレイザー2」博麗霊夢「沈黙への聖戦」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1483320750/)

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