WA2 予期せぬ来訪者 (47)
「……で、小木曽は何しにきたんだ」
日曜日の午後、学園祭最終日。まだ、後夜祭も残っている時間に雪菜はかずさの家に訪れていた。
「何、って、冬馬さん、今日学園祭こなかったから体調大丈夫なのかなぁって」
かずさに導かれ、リビングまで入ると、ここ座っていいかな、と訊きながら腰かけ、かずさはその正面に陣取った。
「昨日の演奏見てただろ。全く問題ないよ。ただ、今日は行く必要がなかったから行かなかっただけ」
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「ふぅん、そっか、体調バッチリなんだね。春希君の看病のおかげかな?」
春希の名前が出た途端、ビックリしたような、困ったような、この二人が集まったら春希の話題が出ることなんて容易に想像つくだろうに、あからさまに狼狽えていた。
「な、なんでそこでアイツの名前が出てくるんだよ。それに、アイツの看病なんてそんな大したものじゃなかったし」
「でも、そのお陰で一日中春希君の事独占してて、ズルいなぁ。わたし、リハーサル一人で心細かったのに、冬馬さんは春希君と二人っきりだなんて。……わたしも風邪ひいたら春希君、一生懸命看病してくれるかな」
「知るか。それに、まだ後夜祭とか残ってるだろ?そんな事言いにくるくらいだったら、あのバカと一緒に学園祭回れば良かったじゃないか。今から家出てもまだ間に合うんだし、あたしの事ならもう大丈夫だから」
「うん、私、本当にうらやましかったんだよ。それ以上に、心配だったんだけどね。……二人がどうにかなっちゃうんじゃないかな、って」
一言一言噛みしめるように、その言葉はかずさを責めるようで、自分の家にも関わらず、居心地の悪さをかずさに感じさせた。
「だから、アイツとは別にそんなんじゃ……」
「本当に?」
「ッ……あ、ああ、本当」
「嘘。わたし、昨日見ちゃったんだ。――冬馬さんが音楽室でしてたこと」
ワイルドアームズかと思ったわ
同じくワイルドアームズかと
ホワイトアルバムか
構わないんじゃない?俺はホワイトアルバムかなーと思って覗いてみたわけだし
>>8
じゃあ、このまま続けますね。これ、返事なかったらどうしようかとちょっとドキドキしてましたww
―――
「はい、冬馬さん。コーヒー入れてきたよ。砂糖は5杯でいいんだっけ?」
台所から戻ってきた雪菜は、今や本来の家主よりも堂々としていた。
「4、5、っと。それにしても、これだけ甘いものばっかりで、冬馬さんの体一体どうなってるの?……ハァ、わたし、これでも結構気を使ってるのになぁ」
先ほどの雪菜の決定的な一言から、かずさはずっとこわばった表情のままでいる。
「え、えぇと、そうだ。今日の学園祭すっごく大変だったんだからね、昨日のライブのせいで。特に春希君。あのキーボードの子は一体誰なんだ、って。今日は来てないのか、って。ずっと質問攻めだったんだから。一緒に回ろうね、って言ってたのになぁ……今度埋め合わせしてもらわないと」
「……言いたいことがあるならハッキリ言えよ。あたしを責めにきたんだろ?アイツの事なんか興味ないって言ってたのに、裏切られたって思ってるんだろ?ハハッ、ほんと、なんであんなことしちゃったんだろうな。別にあんなの、どこにでも転がってるような奴なのにな」
そういって、自虐的な笑みを浮かべる。
「当たり前だよな。あんなことされて、まだ友達でいようだなんて、そんな都合のいい話、あるわけないよな。……悪いけど、言いたいこと言ったら今日は帰ってくれないか?一人になりたいんだ。ほんと、ごめんな」
「違うよ、冬馬さん。わたし、別にね、冬馬さんを責めにきたわけじゃないんだよ……ちょっと、ううん、かなり怒ってるかもだけど」
「どこが違うんだよ……」
「そうだね、どういったらいいのかな」
そこで一呼吸置き、コーヒーを啜る。かずさはそれっきり黙ってしまい、痛いくらいの静寂の中、雪菜のコーヒーを啜る音と、カップの音だけが辺りに響いていた。
「わたしが怒ってるのはね、わたしにこんな怖い思いをさせた冬馬さんに対してなの。また、一人になっちゃうんじゃないか、って。また、中学の時みたいになっちゃうのかな、って。――冬馬さんは、三人でいたのは、楽しくなかった?」
「そんな、そんなの……楽しかったに、決まってるだろ。あんなに楽しかったのは、少なくともここに入ってからじゃなかった」
「そうだよね。うん、わたしもそうだったんだよ。本っ当に楽しかったよね。三人で集まれば、出来ないことなんてないんじゃないか、って。入学してからあんなに素でいられたのなんてここだけだし、何より春希君と冬馬さんがいたから……だから、だからね、わたし余計に怖かったの。三人が、二人になっちゃうんじゃないか、って――わたしがいなくなっちゃうんじゃないかって」
「そんなこと……」
「ない、って言える?春希君、優しいから、わたしが三人でいたい、っていったらきっと無理にでも三人でいようとしてくれるよね。だけど、それが辛くないって言える?わたしは我慢できなくなっちゃうなぁ。冬馬さんはどうかな、って聞かなくても多分わたしと一緒だよね。だから昨日春希君にあんなことしちゃったんだろうし」
「……そのことは怒ってなかったんじゃないのかよ。もう、よしてくれよ、そのことでからかうの」
「……むぅ、やっぱり冬馬さん可愛いなぁ。見た目はそんなに格好いいのに、中身はそんなに乙女だなんて、なんかズルイ」
「お、乙女って」
「うん、冬馬さんは可愛いよ……それに比べてわたしは、すごく汚い。自分でも嫌になるくらいに。ねぇ、さっきさ、やり返しちゃおうかな、って思ったって言ったよね。冬馬さんが出て行っちゃった後、わたし春希君の傍にいたの。そこでね、彼の事、奪っちゃおうかな、って」
その言葉を聞いた瞬間、明らかにかずさの顔が歪んだ。
「そんな、別に、アイツはあたしの物じゃないし、そんなことで小木曽の事を汚いだなんて、そんなの、あたしの方がよっぽど汚いじゃないかよ」
「ううん、違うの。わたしはね、自分の気持ちが抑えられなくて、とかそんなんじゃなくて、ただ、わたしの為だけに。三人でいたかったから、春希君を手に入れようとしちゃったの。あの時のわたしは、本当にいやな子だったなぁ。こんなことして春希君を手に入れても絶対よくないことになるって分かってたのに、自分では止められなかった。……わたしが告白したら、彼は断らないだろうなぁ、って思ってたし」
>>13
いえいえ、こちらこそ紛らわしい表示申し訳なかったです。
「そりゃぁ、小木曽みたいなやつから告白されて断らない奴はいないだろうな。……あたしとは違って」
「もう、どうして冬馬さんはそんなに卑屈なのかな。そんなに格好良くて、可愛くて、おまけに胸まで……それこそ、冬馬さんが本気だしたらわたし、敵わないよ。春希君のことだって」
ぺたぺたと自分の胸を触りながら、恨めしそうな視線で、かずさのそれと比較し、小さくため息。そうして、キっとまた、かずさを見つめなおす。
「でも、でもね、冬馬さんがいたから。三人でいたことが、すごく嬉しかったから。冬馬さんに怒ろう、ってそう思えたの。わたしがあの時どんな気持ちだったか、冬馬さんに分かってもらいたかったの。……あはは、正直、このことは話すつもりなかったんだけどなぁ。だって、こんなわたしの事知ったら、冬馬さん、きっとわたしから離れていっちゃうから。こんな汚いわたしの事知ったら、もう三人でいることなんて出来ないんじゃないかって。でも、なんでかなぁ」
「だから、小木曽は汚くなんて」
雪菜は突然立ち上がると、かずさの横に腰かける。
「な、なんだよ、近いよ。そんなに見つめるな」
「ねぇ、冬馬さん」
しばらくジっと見つめた後、大きく一度、深呼吸。
「わたしたち、友達だよね?……ううん、こんな汚いわたしでも、友達でいてくれますか?」
「なんで」
唇をきゅっと噛みしめ、肩がワナワナと震え始めた。
「なんで、小木曽はそんなに優しいんだよ。どこが汚いもんか。誰がどう見ても悪いのはあたしじゃないか。どうしてそんなに自分を責めるんだよ。どうしてまだ、友達でいよう、だなんて言えるんだよ」
「好きだから」
間髪いれず、雪菜が答える。
「好きだから。冬馬さんの事。春希君と同じくらい、好きだから。――もう、一人は嫌なんだよ」
「バカ……野郎」
「バカは言い過ぎだと思うけどなぁ」
むぅ、と抗議するような目つきでかずさを見る。そうして、気を取り直して、と言った風に居住まいを正した。
「では、冬馬さん、改めて。わたしと、友達でいてくれますか?」
「そんなの、断れるわけ、ないだろ。あたしも、その、せ……雪菜、の事、好きだから。断るなんて選択肢、最初からないから」
「と、冬馬さん、今雪菜って」
「もしかして嫌だったか?それだったら今まで通り小木曽で」
「ううん、雪菜でいい、雪菜がいい。えへへ、やっと呼んでくれた。じゃ、じゃあその、わたしも……かずさ、でいいかな?」
「そうだな」
悩むようなポーズをとってはいたが、どうやら最初から答えは決まっていたようだ。
「たった一人の友達だし、それくらいは、な」
「かずさぁ」
何かが決壊したかのように、ボロボロと涙がこぼれ落ちてくる。
「ちょ、な、なんでお前が泣くんだよ。あたし、何かしたか、っていや、したけど、でも今の流れでどうして。ほら、大丈夫だから」
「うん、大丈夫、大丈夫だよ。わたし、嬉しくて。だって、かずさと仲直り出来たから。本当はね、今日ここに来るのも怖かった。昨日の事、確かめるのが怖かった。わたしの事、受け入れてくれないんじゃないかって、怖かった。だから、大丈夫。もう、大丈夫だから」
「ああ、もう、嬉しいの分かったから泣くなよ。こういう経験ないから、あたしこういう時どうしたらいいか分からないんだよ」
「じゃあさ、ちょっとだけ胸貸してもらっていい?」
小首をかしげながら聞く雪菜に、かずさは断れるはずもなく、こく、と頷くと、ぎゅ、っとかずさを抱きしめながら、胸に顔をうずめた。
「よく、知らないんだけどさ。こういうのって普通、男相手にやるんじゃないのか」
「いいの、そんなのは。大体、そこらへんの男の子なんて、かずさに比べたら、全然なんてことないんだから」
「……それは、褒められてるのか」
「うん、えへへ、かずさ、かずさぁ。――ごめんね、春希君の事、取ろうとしちゃって。ごめんね、わたしの方が後から入ってきたのに、勝手に三人になって、離れるのが怖いなんてわがまま言って。ごめんね」
そういうと、泣く勢いは収まるどころか、より強くなり、いよいよかずさはどう対応していいかが分からなくなってしまった。
「だから、なんでそのことで雪菜が謝るんだよ。そんなの、後とか先とかないだろ。それにさ、その、雪菜の事、あたし、ちゃんと、好きだからさ。雪菜の傍から離れていったりしないからさ、頼むから泣き止んでくれよ、な」
「あ、春希君と同じこと言ってくれた。じゃあ、じゃあね、わたしもかずさの傍から離れていったりしないからね。もしわたしが春希君の事取って、かずさがわたしの近くにいるのが辛い、って言っても許してあげないんだからね?」
「ああ、もう好きにしてくれ。……それにしても北原の奴、そんなことまで言ってるのか。なんて奴だ」
あからさまに不機嫌な表情になるかずさに対して、雪菜はペロっと舌をだして、じゃあ、今のところはイーブンだね、なんて嬉しそうに言った。
「落ち着いたか?」
「う~ん、なんだか全然落ち着かないや。一回泣いたら今までの分が一気にきちゃったみたいで、全然泣き止みそうにないの」
あはは、と鼻をすすりながら答える。
「ずっと雪菜の事見てたらこっちまで泣きたくなってきたよ」
「じゃあさ、一緒に泣いちゃおうよ。ちょっと親友みたいじゃない、なんて」
「……バカ」
「あ、またバカって言ったぁ。言っておくけどね、かずさはこれから大変なんだからね。絶対一緒に卒業するんだから。ライブではかずさにおんぶにだっこだったけど、勉強だったらわたしや春希君の方が断然出来るんだから」
「……やっぱり、大バカ野郎だよ」
「もう、それでいいよ。二人ともバカ、ってことで、ね」
――――
あー、スッキリした」
「ほんと、何してるんだろうな、二人して」
数十分経ってようやく泣き止んだ二人は、我に返ったかのように、二人で数瞬見つめあうと、今度は笑いあう。それが収まったころ、再び雪菜が口を開いた。
「じゃあ、そうだな、親友になれた記念ということで、かずさに言いたいことがあります」
「なに?改まって」
コホン、と一度大きく咳払いをする。
「わたし、小木曽雪菜は、北原春希君が好きです。大好きです。……かずさの好きな人は?」
「え、こ、このタイミングでそれ言うか?」
「ううん、このタイミング“しか”、ないんだよ」
うっ、と困ったような表情で、しきりに眼を動かし始める。
「あ、あたしは、その」
「うん、かずさの好きな人は」
「あたしも……ああ、もう、あたしは、あのバカが、す、……これって本当に言わなきゃだめなのか?」
「だーめ。今日という今日は、絶対逃がさないんだから。それにね、わたし、一度こういうのやってみたかったんだぁ」
「やっぱり、あたし雪菜の事、少し苦手だ。……大体、こんなの言ったところで何も変わらないだろ。それに、その、あたしが誰が好きだなんて、もう分かってるだろ」
「なんていうのかなぁ、ほら、やっぱり言葉で言わないと伝わらないことってあるでしょ?それにね、わたし、かずさとは正面から付き合っていたいから。ずっと友達でいたいから。それに、さっきわたしの事は好きって言えたでしょ。本人目の前にして言えるんだから、今いない人の事を言うのなんて、簡単、簡単」
「う、いや、さっき、その、雪菜の事をそういう風に言ったのは、勢いがあったからで、あんなの素に戻ったら言えないよ」
「ああ、もう、いいからいいから、早く言っちゃおう?そうしたらさ、絶対わたし抜け駆けしないから。正々堂々と春希君の事奪っちゃうんだから」
「大した自信だな。ま、そういうところも雪菜らしいけどさ」
その言葉をきいて、もうどうとでもなれ、と言った風に大きくため息をつき、やがて決心したように自分の気持ちを言葉に乗せた。
「その、あ、あたしは、冬馬かずさは、北原の事が……好きだ」
「よし、よく言えました。これで、親友兼ライバルだね」
うんうん、と満面の笑みを浮かべながら頷く。
「じゃあね、ライバルになった記念ということで、一つだけ条件、いいかな」
「……なんでライバルになった、ていうのにそんな嬉しそうなんだよ。相変わらずよく分からない奴だな」
やれやれ、という風に頭を横に振りながら、その表情はとても穏やかなものであった。
「それで、その条件っていうのはなんなんだ?ハナから選択権なんてあたしにないんだし、さっさと言っちゃってくれよ。……それに、断ったらアイツに何言うか分からないしな」
「むぅ、そんな事しないよぉ。そこまで性格悪く……ない、と思うよ、うん。精々ちょっといじめるくらいだよ」
「それを性格悪いって言うんじゃないのか」
「ほら、話が逸れちゃってるよ。じゃあね、わたしからの条件っていうのは――」
――――
「あ、春希君。かずさどこにいる?」
「ああ、冬馬なら……って、かずさ?」
かずさ、だって?雪菜達、いつの間にそんな仲になったんだ。それにあの冬馬が名前を呼ぶのを許可するだなんて、何があったんだか。
「うん、かずさ。今日一緒に勉強する、って約束してたんだけど」
「あいつならさっさと鞄もって帰っちゃったぞ」
「もう、かずさの家で勉強するとは言ってたけど、普通一緒に帰るよね。今からなら走れば間に合うかな……じゃあね、春希君。また明日」
「冬馬と勉強か。なら俺も手伝おうか?」
「だーめ。今日は女の子二人で色々秘密の話もするんだから。その当事者がきちゃったら何もならないでしょ?春希君はまた今度、よろしくね。頑張ってかずさと一緒に卒業するんだから。そしたら、三人で遊びに行こうね」
「あ、ああ。そうか。じゃあまた明日」
バイバイ、というや否や、走っていってしまった。一体なんなんだ。
「……女の子って、分かんねぇよなぁ」
いつの間にか、俺の傍に立っていた武也がそんなことを言う。
「お前がそれを言うか……確かによく分からないけどさ」
「いやいや、分からないことだらけですよ。そんなことよりさ、春希、俺も勉強見てもらえないかなぁって。ほら、今回はライブで忙しかったからマトモにノートも取れてないしさ。ぜひ貸してもらえるとありがたい」
「ったく、お前はライブで、じゃなくていつもだろう。それに、今回は俺もあまりあてにできないぞ?それに日頃の積み重ねがあったらだな……」
「説教はいいからさ、な、冬馬とか雪菜ちゃんの事ばっかりじゃなくて、たまには親友水入らず、ってな」
「……そうだな。たまには、そうするか。だけど最後は結局自分がやるかやらないかだからな」
「よし、そうと決まったら早速。よかったぁ、これで真希ちゃんの約束にも紗江ちゃんの約束にも穴をあけないで済むよ。持つべきものは良き友だな」
「……やっぱ、お前一人で勉強しろ。俺はもう知らん」
「あ、ちょ、春希冗談だってば、今日晩飯おごるからさ、な」
そんな風に馬鹿なやり取りをしながら、たまには気の置けない親友と二人でいるのも悪くないな、とそんな風に思っていた。
もうすぐ、WHITE ALBUMの季節がやってくる。今年の冬は、いつもより、少しだけ楽しみだ。
「おい、春希、何ぼーっとしてるんだよ。早くいこうぜ」
ああ、と返事をし、武也の方に向かいながら、俺は再び考える。この冬があけた時、俺たちは一体どうなっているんだろう。……いや、それは今考えることじゃないな。それこそ思い上がり、ってもんだ。だから俺は、とりあえずは、今のこの心地よい空気に身を任せるだけで。
エピローグ
「おはよ」
「ああ、おは、って雪菜!?」
寝ぼけた目をこすりながら、おはようの声に導かれるように目を開けると、息がかかるくらいの距離に雪菜がいた。
「げ、もうこんな暗くなってるのか。大分寝ちゃってたな」
「そうだね。わたしが来てからでも、30分以上」
「起こしてくれよ」
「え~、だって、春希君の寝顔すっごく幸せそうだったし、わたし、それ見てたら起こすなんて出来ないよ」
「そんなに気持ちよさそうだったか?」
「うん、すっごく。いい夢でも見てたの?」
「……ああ。そうかもな」
そうだ。内容はもうおぼろげだけど、何だかとても幸せな夢を見ていた。でも、所詮夢は夢だ。そんなことを夢想する暇があったら、今のこの状況を何とかしないと。夜の教室に雪菜と二人っきりという、この、夢に負けず劣らずの幸せシチュを。
「さて、じゃあ帰るか。家まで送るよ、っと。このコート雪菜のか?悪いな。普通は男の役目だろうに」
「ううん、大丈夫だよ。ねえ、そんなことよりさ、春希君わたしね……」
とりあえず、ここで終了です。読んでくれた方、ありがとうございました。
ss初投稿どころか、そもそも物語自体書いたのが初めてだったので、割と緊張しました(笑)
では、設定なんかを……とはいっても、基本は原作準拠です。雪菜の言葉なんかはかなり自分の雪菜像で
書いていますが。今更ですが、アニメ組の人には少しネタバレありでしたね……失敗しました。
で、ですね、お察しの通り文化祭直後です。本来春希がくるところを、雪菜が来ています。
WA2がホワイトアルバムになってしまった一番の原因であろう、文化祭。そこから考えないと
ハッピーエンドにはならないよなぁ、なんて思いでここから書きました。まあ、そしたら
そもそもホワイトアルバム、なんてタイトルは似つかわしくなかったりしますが。基本皆
ハッピーが好きなので、どうにかして救済してやれないもんか、と。
ここからは個人的な意見なのですが、WA2では誰かが相手の事を責めるなり怒るなり
してあげる優しさがあればあそこまでもつれることはなかったと思ってるんですよね。
だから今回、雪菜にかずさを怒ってもらいました。きっとかずさに直接言うのはものすごく
辛いんだろうなぁ、と思いつつ書きましたが、小春ちゃん派の俺に死角はなかった。
ということで、お付き合いありがとうございました。もしかしたらまた何かで投稿するかも
しれないので、縁がありましたらそこでまたよろしくお願いします。
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