千早「Baby’s in Black」 (36)

書き溜めてます。
さっと書いたので色々と不備あるかも・・・

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ガチャ

千早「おはようございます」

P「おお、おはよう千早」

小鳥「おはよう、千早ちゃん。今日は早いのね?」

P「今日の千早の予定は・・・ああ、スタジオでレコーディングだったな」

千早「はい。一応リハーサルだけですが」

小鳥「その後は何かお仕事は?」

千早「確か、今日はそのリハーサルが午前中にあるだけですね」


小鳥「じゃあ、午後からどうするの?」

千早「えっと・・・最近忙しくて行けてなかったので優の墓参りに行こうかと」

P「そうか・・・ピコン!なあ千早、俺も優君のお墓参り行ってもいいか?」

千早「ええっ、プロデューサーもですか?」

P「ああ。今日の千早のリハも俺が付き添う予定だったからさ」

P「スタジオまで車で行くから、そのままお墓まで車で行った方が行きやすいし、なんせ俺自身、また優君の墓参りしたいって気持ちもあるから・・・ダメか?千早」

千早「いえ構いません。プロデューサー・・・ありがとうございます」

小鳥「私もできたら、でもお仕事が・・・ごめんね、千早ちゃん」

千早「大丈夫ですよ、音無さん。お気持ちはちゃんと受け取っておきます」クスッ


P「そうだ千早、リハ終わったら昼前だろうから昼もどこかで食べようか」

千早「ありがとうございます、じゃあお言葉に甘えて・・・」

小鳥「千早ちゃん、良かったわね♪」

千早「ふふっ、そうですね」

小鳥「でも2人きりでお昼食べていくなんて、ちょっとしたデートみたいね?」

千早「で、デートだなんて!」カアァ

P「そうですよ、音無さん!お墓参りに行くのが目的なんですから、ちょっと不謹慎ですよ!」

小鳥「ああ、そうでした・・・ごめん、千早ちゃん!」

千早「それは大丈夫ですけど・・・でも、デート・・・」ブツブツ

P「それに、俺となんか千早もデートしたくないでしょうから・・・なぁ千早?」

千早「・・・そうですね」ジトッ

P「ほら、千早もこんな感じですし・・・」アハハ

小鳥(それ、千早ちゃん別の意味で怒ってると思うんだけど・・・)


P「おっ、そろそろ時間だな。行こうか千早」

千早「はい」

P「よし、じゃあ車出してくるから・・・音無さん、行ってきます!」ガチャ

小鳥「はい、気を付けてくださいね!」

千早「それじゃあ、私も行ってきます」

小鳥「行ってらっしゃい、千早ちゃん!リハーサル、頑張ってね?」

千早「はい、頑張ります!」

バタン


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オツカレサマデシター!

P「おつかれさま、千早。相変わらず見事だったよ」

千早「ありがとうございます」

P「この調子なら本番のレコーディングも完璧にこなせそうだな!」ナデナデ

千早「!・・・あ、ありがとうございます・・・」///

P「よし、今から昼飯食べにでも・・・ってまだ11時半か」

千早「正直、まだお腹は空いてないです」

P「どうする?先にお墓に行ってもいいけど」

P「それかどこか寄りたい所があるなら、そこに行ってもいいぞ?」

千早「そうですね・・・それじゃあ、CDショップに寄りたいです」

P「なら先にCDショップに行こうか」

千早「はい♪」


イラッシャイマセー

P「ところで千早、今日は何のCDを見に来たんだ?」

千早「特にこれといったものを見に来た訳ではないんですけど・・・」

千早「邦楽に洋楽、クラシックあたりを見て気になるものがあったら買おうかと思ってます」

P「そうか。じゃあ各々が見たいものを見るとするか」

千早「そうですね。それぞれ別行動、ということで」


P「・・・おっレディ・ガガが新しいアルバムをまた出したんだな」

P「ここ、けっこう色々と品ぞろえ豊富だな・・・って」

P「マジか、これリマスター版出てたのか・・・最近忙しくて公式サイト確認してなかった」

P「どうしよう、買おっかな・・・」

千早「プロデューサー?」

P「ん?ああ、千早か。何かいいCDでもあったか?」

千早「クラシックの方で何枚か・・・ってプロデューサー、それ、ビートルズですか?」

P「そうそう。どうやら最新のアルバムが出てたみたいでさ」

P「買おうかどうか迷ってるんだよな・・・」アハハ

千早「そうなんですね」クスッ

千早「あとプロデューサー、このCDなんですけど・・・」

P「ん?どれどれ?・・・」

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千早「・・・すみませんプロデューサー、私の分のアルバムまで買っていただいて」

P「大丈夫だよ、俺も欲しいのがあったしさ」

P「ちょっとさっきの店に長居し過ぎたな、流石に腹が減ったよ・・・」

千早「そうですね、私もペコペコです」

P「千早、何か食べたいものはあるか?」

千早「何でも構いませんよ、美味しいところであれば」


P「うがっ・・・あはは、お前がそんな冗談言うとはな」

千早「ふふっ。でも、本当にどんなお店でも大丈夫ですよ?」

P「んと、そうだな・・・ティン!・・・よし、この近くに洋食屋があったからそこなんてどうだ?」

千早「あっ、いいですね」

P「よし、そこに行こうか」テクテク

千早「はい」テクテク


P「よし、着いた!」

千早「ずいぶん古いお店ですね。店構えから年季が入ってるというか・・・」

P「そうなんだよ。でも、味は保証するから」

千早「クスッ・・・楽しみにしておきます」

P「それじゃあ、入ろっか」

千早「はいっ」


P「ふぅ、外が寒い分、店の中に入ったら温かいな」

千早「そうですね」

千早「ところでプロデューサー、ここは何がおススメなんですか?」

P「そうだな・・・じゃあオムライスとかどうだ?」

P「いかにも昔ながらって感じのオムライスが出てくるぞ?」

千早「じゃあ、それにします」

P「分かった。すいませーん!注文お願いします!オムライスとナポリタンで!」


千早「・・・このお店、外観もそうでしたけど、中もとても年季が入ってますね」

P「そうだな。あのクーラーなんて、木製の外枠だし・・・あのクーラーでも多分40年近く前からあるはずだぞ?」

P「確か・・・そうそう、向こうに書いてるように1964年に開店したみたいだな」

千早「1964年ですか・・・確か、東京オリンピックの年・・・」

P「それに店内で流してる有線も50~60年代の洋楽だから、一層雰囲気を醸し出してるって感じで・・・」

千早「いわゆる『オールディーズ』っていう音楽のジャンルですね?」

P「そうそう、よく知ってたな千早」

千早「一応音楽関係のことはちゃんと勉強していますからね」ドヤッ

P(ちょっとドヤ顔した・・・かわいい)


千早「そういえば、プロデューサー。さっきもアルバム買ってましたけど、ビートルズ好きなんですか?」

P「ああ!半分青春はビートルズみたいなもんだったからな!」

P「この前だって「お待たせしましたー!」

P「おっ、待ちに待った昼飯が来たぞ。千早、食べよう!」

千早「そうですね。じゃあ・・・」

P千早「「いただきます!!」」

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千早「ごちそうさまでした」

P「どうだった?オムライス」

千早「とっても美味しかったです。チキンライスによくケチャップが利いてて程良い塩梅で、あと上からかけられたデミグラスソースもとても味わい深くて・・・」

千早「あっ・・・」カアァ

P「ははは!初めて会った時のサプリメントで十分とか言ってた千早とは大違いだな!」

千早「もうっ!///・・・最近は春香が私の家に来る時に、一緒にご飯を作ったりするので、そういったせいですかね?」

P「そうかもしれないな。ほんと、最初の頃とは千早も変わったよ」

千早「そう、でしょうか?」

P「ああ、俺はそう思うぞ?」


P「なあ千早、弟君・・・優君のこと、まだ辛いか?」

P「答えたくないのだったら、答えなくてもいい」

千早「大丈夫です、プロデューサー」

千早「765プロのみんなのおかげで、以前よりは辛さは和らぎました」

千早「特に春香には・・・あの時、本当に救われました」

P「確かに、春香は本当に千早のことを・・・すまない、俺は何もできなくて」スッ

千早「いえっ、とんでもないです!プロデューサー!・・・あの時の私は、あんまりにも自分のことばかり考えて、自分で腐心してましたから・・・」


千早「大分、優のこと、家族のことで乗り越えることができるようになりました。時々母と会ってどこかに行ったり、食事にも行ってます」

P「そうか」ニコッ

千早「ですが、時々ふとした時に優のことを思い出して・・・」

P「辛くなる時がまだある、か・・・」

千早「・・・」ペコリ

P(確かに人の死、特に身内の死っていうのは、計り知れないほど大きなものだ)

P(小さい時に千早は弟を・・・更に目の前で・・・)

P(改めて、俺に何ができるだろうか?)


P「・・・ピコン!」

P「なあ千早、ちょっとこの歌聞いてみてくれ」

千早「はい、分かりました」

P「じゃあ始めるぞ・・・」ピッ

千早「あっ、この歌声・・・」

 Oh dear, what can I do? ♪
 Baby’s in black and I’m feelin’ blue, ♪
 Tell me, oh what can I do? ♪


千早「この歌・・・ビートルズですか?」

P「そう。『ベイビーズ・イン・ブラック』っていう、初期の曲だよ」

P「歌の意味、分かるか?」

千早「えっと・・・すみません、分かりません。まず、タイトルの『in Black』ってところからですけど・・・」

P「この『in Black』っていうのは黒い服、つまり、喪服のこと」

P「この歌のタイトルは直訳したら、『喪服を着た娘』ってことなんだ」

千早「そう、なんですか・・・」


P「この歌の内容はな、女の子に対して想いを寄せる男の子がいるんだけど、その女の子は亡くなった別の男の子に対して思慕するっていう、2人にとって報われない恋を歌った曲なんだ」

千早「・・・」

P「この前この歌聴いてたらさ、何だか昔のみんなの関係に似てるような感じがしてさ」

P「この女の子が千早で、想いを寄せてる男の子がアイドルや俺たちみたいだなって」

P「歌に固執していく千早と、どうにかして振り向かせようとするみんなの関係みたいで」

千早「それで・・・プロデューサーは何が言いたいんですか?」ジッ

P「ああ、すまない。この歌はな、スチュワート・サトクリフっていうビートルズの元メンバーのことを歌ったんだ」

P「スチュワートは元々の夢だった絵描きになるためにビートルズを辞めたんだけど、その後しばらくして脳腫瘍で若くして亡くなるんだよ」

千早「!」

P「この歌は、そのスチュワートとその恋人のことを歌ったんだ」

千早「・・・」

P「こんな話なんだけど、大丈夫か?」

千早「大丈夫です、まだ続きがあるのでしたら、続けてください」


P「ああ、分かった」

P「この曲を作ったジョン・レノンとポール・マッカートニーは、ちょうど中学生ぐらいの時に母親を亡くしてるんだ」

千早「!」

P「それに、ジョンとスチュワートはとても仲が良かったんだけど、スチュワートが亡くなったってことをジョンが聞いたときにさ」

P「『泣いたって、彼は帰ってこない!』って笑い飛ばしたんだ」

千早「・・・」

P「千早、人の死・・・特に大切な人の死っていうのは、人を強くするんだ」

千早「!」

P「そうやって、大切な人の死っていうのを乗り越えたからこそ、彼らはこの曲を作ることが出来たんだと思う」

千早「・・・大切な人の死、ですか」ポツリ


P「・・・あぁでも、すまない千早。こんな話位じゃ辛い過去はどうにもならないよな」

千早「・・・いえ、プロデューサーの伝えたいことはちゃんと伝りましたよ」

千早「少しはその辛さも、和らいだと思います」

P「そっか・・・」

千早「・・・本当のことを言うと、かなり和らいだ気がしますけどね」クスッ

千早「ありがとうございます」ペコリ

P「そうか・・・それなら良かった」ニコッ


千早「・・・でもプロデューサーはビートルズが本当に好きなんですね」

P「ああ、さっきも言った通り、俺の青春時代の半分をつぎ込んだみたいなもんだからな」

P「学生時代の時は携帯の待ち受けとか何でもかんでもビートルズだったし、今年のリンゴとポールのライブも仕事必死に終わらせて行って来たし・・・」

千早「ホントにお好きなんですね」クスッ

P「まあな、昔はポールに会えたらその次の日に死んでもいい!とか思ってたけど」

千早「あら、最近は違うんですね?」ニッ

P「みんなをトップアイドルにするまでは死んでも死にきれないからな」アハハ

千早「!」

P「それに千早、お前みたいな困ったさんがいたら、なおさら・・・な?」ニッ

千早「!・・・」///


P「そうだ千早、コーヒー飲むか?外は寒いだろうから先に体を温めておこう」

P「それに、ここはコーヒーも美味いんだ」

千早「それじゃあ頂きます」ニコッ

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ブロロ・・・ キキッ

P「よしっ、着いたぞ」

千早「それじゃあ行きましょうか」

P「ああ」

P「千早、花は持ったか?」

千早「あっ、ちょっと待ってください」ガサゴソ

千早「・・・はい、大丈夫です」


P「・・・ここだな」

千早「はい」

P「ここに来るのは、2回目だな」

千早「以前は765プロのみんなでお墓参りに来てくれて・・・」

P「それだけ、みんなが優君のこと、そして千早のことを想っていたってことだよ」

千早「そうですね・・・ありがとうございます」


千早「あれっ・・・まだこの花、そんなに枯れてない」

P「ん?ああ、お墓に供えられているお花か」

P「・・・多分、千早のお母さんがこまめに来てるんじゃないのか?」

千早「そうなんでしょうね・・・お母さん・・・」

P「千早、今度はお母さんと一緒にお墓参りしたらどうだ?」

千早「お母さんと・・・そうですね、今度は母と来ようと思います」

P「ああ、そっちの方が優君も喜ぶよ」


P「じゃあ、お参りしようか」

千早「はい」

P「・・・」スッ

千早「・・・」スッ

千早「優、私はみんなのために頑張るわ。見守っていてね」

P「優君、君のお姉ちゃんのことは何があっても守るから、安心して見守っていてください」

千早「!・・・」///

P「・・・」

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P「・・・お墓って小高い丘に建ってあるから、こうやって見ると街が一望できるよな」スタスタ

千早「クスッ・・・そうですね」テクテク

千早「あの、プロデューサー。さっき優の墓前で・・・」

P「ん?俺、何て言ってたっけ?その時に心に思った事を呟いたから、よく覚えてないんだよ」アハハ

千早「・・・そうなんですか」ムスッ

P「えっ、まさか俺、何か良くないこと言ってたか?」オロオロ

千早「いえ、そういうわけではないですけど」プイッ

P「?」

千早「・・・」///


ガチャ バタン

P「シートベルト締めたか?」

千早「はい、大丈夫です」カチャ

P「それじゃあ事務所に戻ろう」ブオォン

千早「あの、プロデューサー」

P「どうした?」


千早「さっきお昼を食べたところで、『ベイビーズ・イン・ブラック』の話をしましたけど」

P「ああ、確かにしたな。歌の登場人物の関係が俺たちと似てるとか、そんな感じだったけど・・・それがどうかしたか?」

千早「その関係ですけど、今はどちらかというと私とプロデューサーの関係は逆になってるかもしれませんね」

P「えっ、どういうことだ?」

千早「そのままの意味ですよ」ニコッ

P「んー?まぁ確かに俺ケガしたりしてみんなに心配させたけど・・・別に俺は今何かに固執してるわけじゃ・・・ああでも、みんなをトップにさせるって意味ではそういうことにも・・・」ブツブツ

千早「・・・」クスッ

千早(あなたが教えてくれた歌の意味としての関係ですけどね)

千早(私や・・・他のみんなも、あなたに対して想いを寄せているわけですから)

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コツコツ

「・・・ふぅ」

「大分寒くなったわね・・・」

「あれっ、この前私が供えた花とは違う」

「それに、線香も・・・」

「・・・!」

「ふふっ、お姉ちゃんが来てくれたの?良かったわね、優」

「千早・・・あなたもありがとう」


おわり



サッと書いたので歌と千早との関係の検証がおかしいかもしれませんがご容赦ください。




ポールが来日公演したのが嬉しくてたまりません。
「Baby’s in Black」は1964年リリースのアルバム、「Beatles for Sale」の一曲。
66年の来日公演でも歌われた曲です。
今回ポールは歌うことはなかったですけど・・・

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