まどか「バンドを作りたいと思う」 (58)

※注意 おもいっきりネタバレ
叛逆エンディング後の世界です



マミ「ティロ・フィナーレ!」ズドォーン

魔獣「ウボァー」シュウウウ

さやか「やった!」

なぎさ「どうやら今のが最後の一体だったようなのです」

杏子「よーし。これにて撤収だな」

マミ「それにしても、最近は魔獣の数もずいぶん少なくなったわね」

さやか「それだけ世界が平和になってきてるってことじゃないですかね」

杏子「でも不思議なんだよな。魔獣の奴ら、数が減ってからはいつも同じ時間帯に現れてる気がしてならない」

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マミ「確かに佐倉さんの言うとおりだわ。魔獣が現れるのはいつも決まって夜9時から10時の間だもの」

マミ「もしかすると私達の代わりに魔獣を退治してくれている誰かがいて、」

マミ「その誰かはその時間だけ何かの事情で活動できないのかもしれないわね」

なぎさ「みんな何か思い当たることはないのですか?」

さやか「夜9時から10時といえば、まどかがお風呂に入ってる時間だなあ」

杏子「お前なんで知ってるんだよ気持ち悪い」

さやか「別にまどか本人があたしにそう言ってたんだから知っててもいいでしょ

杏子「じゃあ何か? あたしらの代わりに魔獣を退治してくれてるやつはまどかなのかよ」

さやか「いいや。まどかは魔法少女じゃないし、夜11時過ぎには寝てるそうだからそれはないね」

さやか「もしやその誰かさん、いつもまどかのお風呂を覗いてたりして」

杏子「うげぇ、まさか」

マミ「こら二人とも、なぎさちゃんの前でそんな話しないでくれるかしら」

なぎさ「大丈夫なのです。なぎさのお風呂を覗く悪い子は丸呑みにしてやるのです」

さやか「おおっ頼もしいね~」

――真夜中、丘の上の公園
  ガサガサ

QB「ハァ…ハァ…」

ほむら「うふふ。今日もご苦労様」

QB「ゼェ…ゼェ…」

ほむら「ところであなた、私がまどかの入浴を見守っている間もきちんと働いてくれているのかしら」

QB「…え…も、ち…ろん…です」

ほむら「嘘おっしゃい。さっきも魔法少女達の波動を感じたわ。魔獣を狩ったのはあなたではなく彼女達でしょう」

QB「あ…いや…それは……うわっ」グシャッ

QB「ごふっ…グェ…」ゲロゲロゲロ

ほむら「あら? あなたの鳴き声はそんなに汚らわしかったかしら。ねぇ、インキュベーター」

QB「…きゅ、きゅぅ……」

ほむら「そうよ。いい子ね。これからもたっぷり働いてもらうわよ。私の……いいえ、まどかのためにね」

ほむら「まだだめよ♪ まだだめよ♪」クルクル~

ほむら(美樹さやか、巴マミ、佐倉杏子。彼女達には元気に生きていてもらわないといけない)

ほむら(彼女達が傷ついたとき、まどかは自分を犠牲にしてでも助けようとするはず――)

ほむら(そして百江なぎさ。彼女がいなければ巴マミは精神を弱らせ、まどかに悪影響を及ぼすかもしれない)

ほむら(だからみんな必要なのよ。全てはまどかの平穏な暮らしのために……)

ほむら「ウフフ…アハハ…」クルクル~

QB「」ピクピク

――翌日の夕方、マミホーム

杏子「それでそのときのさやかったらさー」

さやか「ちょっとそれここで言うことじゃないでしょ!」

まどか「WEHIHIHIHI…ほんと仲良いよね二人とも」

  ピンポーン ガチャ
なぎさ「マミお姉ちゃんこんにちはーっ」

マミ「なぎさちゃんいらっしゃい」

まどか「なぎさちゃんHow are you?」

なぎさ「ファインセンキュー!」

まどか「ちーがーうっ、センキューじゃなくてThank youだよ。舌を歯で挟んで」

マミ「うふふ。なぎさちゃんったら、すっかり英語が得意になって先生に褒められたんですって」

なぎさ「そうなのです。まどかちゃんのおかげなのです。センキューなのです」

まどか「だからセンキューじゃなくてー」

杏さや「「ワイワイガヤガヤ」」

マミ(うふふ、本当に賑やかね)

マミ(それにしても、魔法少女としての生き方がこんなにも充実したものになるなんて…)

マミ(契約した頃には思ってもみなかったわ)

マミ(なぎさちゃんが傍にいてくれて、佐倉さんや美樹さんも一人前になって味方に付いてくれて…)

マミ(お父さん、お母さん。今まで寂しくて泣いてばかりいた私だけど)

マミ(今はとっても幸せだよ。だから安心してね…)

マミ(…ところで私、どうやって魔法少女になったんだったかしら)

マミ(そういえば誰かにお願いをして命を助けてもらったような…)

マミ(――まあいっか)

まどか「でもみんなすごいなあ。魔法少女として町の平和を守ってるなんて」

杏子「別にすごかないさ。こういう生き方をするしかないからしてるってだけで」

マミ「そうよ。憧れてなるようなものじゃないんだから」

まどか「でも、みんながいないとこの町は呪いに染まってしまうんでしょ?」

さやか「ま、今は別の誰かが頑張ってくれてるらしくてあたし達は結構暇なんだけどねー」

まどか「えっ、そうなの?」

なぎさ「そうなのです。だから毎日こうしてマミお姉ちゃんのおうちでお菓子を食べているのです」

さやか「だからまどかが無理して魔法少女にならずとも、人手は足りているわけよ」

まどか「そうなんだ…」シュン

杏子「なにがっかりしてんだよまどか」

まどか「だって私、何の取り柄も無いし。United Statesでも友達に頼ってばかりで…」

まどか「こんな私でも誰かの役に立てるのなら、それはとっても嬉しいなって…」

杏子「だったら別に魔法少女以外にも、やりようなんていくらでもあるじゃねえか」

さやか「そうそう。何も自ら危険な仕事に飛び込むことはないよ」

なぎさ「同意なのです。これは遊びじゃないのです」

マミ「鹿目さん、他に何かやりたいことは思い浮かばないかしら」

マミ「幸い私達も今なら時間に余裕があるし、あなたの望みを叶えるお手伝いをできるかもしれないわ」

さやか「そうそう。言ってごらんよまどか」

まどか「うん……えっと、私ね…」

まどか「Bandを作りたいって思うの」

杏子「バンド? ただ歌手になりたいとかじゃなくって?」

まどか「うん。私ね、みんなとこうしてお友達になってから」

まどか「一緒に一つの物事に熱中できたらいいのにって思ったんだ」

さやか「そっか。それであたし達と同じ魔法少女になりたがってたのね」

まどか「うん。だからみんなで同じBandのmemberとして活動できればいいなって…」

マミ「鹿目さん、楽器を演奏した経験は?」

まどか「いいえ。ただ、歌には少しだけ自信があります」

さやか「音楽のことならあたしに任せて。講師ならすぐ準備できるよ」

杏子「それって上条恭介のことか」

さやか「恭介はまあ…ちょっと付き合いの悪いやつだけどさ、音楽に関してはほんと頼りになるんだよね」

さやか「まあ最初はめちゃくちゃでも、毎日じっくり練習すればきっと上手くなれるよ」

杏子「なんかもはやバンド始める気満々じゃねーか」

杏子「とはいえあたしも最近刺激がないって思ってたんだ。むしろ歓迎だよ」

マミ(私が、バンド…大観衆の声援を浴びながら、激しいパフォーマンスを披露…)

マミ「//」ウットリ

なぎさ(だめだこりゃなのです)

さやか「なぎさはどうする? 親御さんに聞いてからにしようか」

なぎさ「はいです。でもいつでもバンドに入れるように、お稽古だけはしておきたいのです」

杏子「よし、決まりだな。まずはまどかをボーカルに据えた4人態勢で始めようか」

さやか「バンド名はどうする? あたし達いつも放課後マミさんちでお茶してるから、それにちなんで――」

杏子「それだけはマジでヤバイからやめとけ」

まどか「Band nameはleaderに決めてもらおう」

さやか「リーダーといえばマミさんしかいないね」

マミ「えっ…そうね、それじゃあ……」

マミ「ピュエラマギ・ホーリー・カルテットっていうのはどうかしら」

他全員「」

マミ「な…ならもっとシンプルにマギカカルテットというのはどう?」

さやか「いいんだけど、その名前…ガールズバンドってよりももっと恐ろしい集団のように思えるのはなぜだろう」

杏子「まああんまり長く議論してても仕方ないし、それで決定だな」

なぎさ「なぎさが入ったらクインテットにするのですよ」

マミ「はいはい」

さやか「よーし。そうと決まればさっそく機材を調達しますか!」

まどか「みんな……本当にありがとう!」

――一週間後の放課後、見滝原中学校第二音楽室

さやか「まさか魔翌力で音楽の才能を極限まで引き上げるなんて裏ワザがあったとは」

杏子「最近は魔翌力を使う機会もほとんどなかったし、たまにはいいだろ?」

さやか「でもなんかテストでカンニングした気分だよ」

さやか「恭介の指導も必要なかったし」

杏子「けどそのおかげで文化祭までにはいい感じに仕上がりそうじゃん。あとは課題曲を何にするかだ」

さやか「まどかはクラリス好きだし、マミさんは確かカラフィナが好きでしたよね」

杏子「そうそう。こいつ昔からテンション上がると魔法で戦闘BGM流すんだよwwwwwwww」

マミ「もう、それは言わなくてもいいでしょ!」

まどか「カラフィナいいですよね。でも、一人で歌えるかな…」

さやか「そうねー…カラフィナやるならキーボードか、もしくはボーカルがもう一人いた方がいいよね」

まどか(もう一人のボーカル…)

まどか「ごめんみんな。私ちょっと用があるの。カラフィナのどの曲をやるか、先に決めておいてくれないかな」ダッ

さやか「えーっちょっとまどかってばー」

――同時刻、見滝原中学校教室

ほむら(まどかは最近とても幸せそうだわ)

ほむら(巴マミ達とバンドを作るという至って平和な願いを叶えようとしている)

ほむら(ちょっとわがままかもしれないけど、なんてかわいらしい願いなのかしら)

ほむら(最近ろくに会話してない気がするけど私は構わない…あなたが幸せでいてくれればいいのだから)

ほむら(ああ、まどかの笑顔…なんて愛らしい)ウットリ

モブ生徒(暁美さん、また一人でニヤニヤしてる…怖いわ。早く帰らなきゃ)ソソクサ…

  シーン…

  ガラッ
まどか「Hey ほむらちゃん!」

ほむら「!(まどか…なぜ私の元に)」ビクッ

まどか「私と契約してBandのmemberになってよ!」

ほむら「!?(お、落ち着くのよ私…久々にまどかの方から声をかけられたからって、動揺してはいけないわ)」

ほむら「どうして。あなたのバンドには既にメンバーが揃っている。私が入る余地なんてないわ」ファサァ

まどか「えっと…急遽ボーカルがもう一人必要になったの。だからほむらちゃんと一緒に歌えたら嬉しいなって」

ほむら(私がまどかとツインボーカル!? いけない。悪魔の体でなければ鼻血を噴射していたところだったわ)

ほむら「ツインボーカルだとしても、なぜ私でなければならないのかしら」ファサァ

まどか「だってほむらちゃん、いつも目つきも顔色も悪くて…まるでcrazyでphychoなDevilみたいで…」

まどか「ああごめん。私アメリカに行ってから、空気を読まずに思ったことを口に出すようになって…」

ほむら「」

まどか「でもほむらちゃんがクラスのみんなに気味悪がられてるのは事実だから…なんとかしてあげたいの」

まどか「だからさ、ほむらちゃんもかわいくなっちゃえばいいんだよ! 萌えあがれーって感じで」ガシッ

ほむら「きゃっ///」

まどか「ごめん、勝手に髪の毛触っちゃうけど、いいよね」あみあみ

ほむら「」ウットリ

――第二音楽室

まどか「というわけで、新メンバーの暁美ほむらちゃんです」

ほむら「よ、よろしくお願いします///」

ほむら(三つ編み眼鏡なんて今更すぎて恥ずかしいわ。悪魔なのに…)

さやか「…ずいぶんと雰囲気が変わったわね」

まどか「眼鏡は元々ほむらちゃんがかけてたものなの。目つきの悪さを眼鏡で隠そうってことになって」

杏子「いいじゃん。イメージは変わったけど、似合ってることには変わりないよ」

マミ「これでなぎさちゃんの加入を前に、マギカクインテットになったわね」

杏子「ほむら、ちょっと歌ってみてよ。あたしら演奏するからさ」

ほむら「え、ええ(どうしましょう)」アセアセ

まどか「WEHIHIHI」

ほむら「子供の頃夢に見てた古の魔法のように♪」クワッ

杏子(すげえ、なんて悪魔的な歌声なんだ)ベベベン♪

マミ(切実に胸に響く…まるで歌詞と彼女の境遇がシンクロしているかのようだわ)ジャンッジャンッ♪

さやか(この曲を選んで正解だったね)ドコドコ♪

まどか「すごいっ…すごいよほむらちゃん!」

ほむら「命を~作るの~は~願いイイイイイイイイイイッ!」

マミ「///」ジャーン ギュイイイイイイーン

杏子「マミ、今盛っただろ」

マミ「ごめんなさい。つい気持ちが入っちゃって」

ほむら(歌声でみんなを虜にしてしまうなんて、私って本当に悪魔ね…)

――そんなこんなで文化祭当日

まどか「みなさんこんにちはーっ、マギカクインテットでーす」

ほむら「そっ…それでは最後まで楽しんで聴いてください///」

まどか「On drums…美樹さやか!!」

さやか「よっしゃあっ」

まどか・ほむら「交わした約束忘れないよ♪――」

観衆「ウオオオオオッ」

仁美「キマシタワアアアアアアッ!」

???「これは…イイ…」

さやか「大成功だったねぇ」

まどか「みんなお疲れ様。それからありがとう」

杏子「礼を言うのはあたしらの方だよ」

マミ「そうね。鹿目さんのおかげで、こんなに素敵な経験をすることができたんですもの。本当にありがとう」

さやか「それにしても、『未来』のマミさんのギターソロ、神がかってましたね」

杏子「まるで魂をあの世に売り払ったみたいにはじけてたな」

マミ「あら、そういう佐倉さんのベースだって何かが取り憑いているようだったわ。特に『and I'm home』」

杏子「ばっ、何言ってんだよ///」

まどか「楽しかったね、ほむらちゃん」

ほむら「ええ…///」

ほむら(私は楽しそうなまどかの顔を間近で見られただけで、十分よ)

???「やあ、君達がマギカクインテットのみんなだね」

マミ「あなたは…?」

???「初めまして。私はシャフプレックスミュージックでプロデューサーをしている岩下です」名刺サッ

まどか「初めまして…でも、どうして私たちのことを?」

岩下「音楽家の上条さんから面白いバンドがいると聞いて、はるばる駆けつけたというわけだよ」

さやか(恭介のお父さんの人脈か!)

岩下「それで君達には折り入って頼みがある。来週、近くのライブハウスで単独ライブをしてもらいたいんだ」

さやか「えっ、それってつまり…」

岩下「そのライブの反響次第で、うちの事務所から正式にメジャーデビューしてもらうことになるかもしれないね」

杏子「マジかよ!」

マミ「でも、そうなると魔獣退治は…」

ほむら「それなら大丈夫です」

マミ「えっ…暁美さん?」

ほむら「魔獣を狩る者は、きちんと活動していますから」

マミ「あなた…魔法少女だったの?」

マミ(そんな波動は感じなかったけど…)

ほむら「いいえ、狩っているのは私ではありません。でも、わかるんです」

ほむら(なぜなら私は魔なる者…宇宙人をこき使ってこの世の呪いを集めて回る悪魔だから…)

ほむら(でも全校生徒の前で歌えてちょっと嬉しかったなんて言えない…)

さやか「……」

――そしてライブ当日

杏子「やべえよ。なんか濃いキャラの客がいっぱいじゃねえか」

マミ「いったい私達の評判はどこから広まっているのかしら」

さやか「なんにせよ、やるしかないね」

まどか「さあ、みんな行くよ」


おまえら「「「ウオオオオオオッッ」」」

おまえら「まどっちー!」

おまえら「ほむほむーっ!」

おまえら「マミさああああん」

おまえら「あんあん、あんこちゃーん!」

おまえら「さやかああああああああああああ」柵ガシー

ほむら(魔獣…じゃないわよね…)

まどか「今日は来てくれてどうもありがとう! おもいっきり楽しんでね!」

おまえら「「「ウオオッーーーまどかアアッーーーー(結婚したい)」」」

ほむら(…こいつらにまどかは指一本触れさせない)

ほむら(ていうか、私はそのために悪魔になったというのに)

ほむら「交わした約束忘れないよ♪」

ほむら(ああ――なにやってんのかしら私。こんなにハシャイジャッテ)

まどか「どんなに大きな壁があっても越えてみせるからきっと♪」チラッ

ほむら(あっ///今まどかが私にウインクしたわ///)

ほむら(次はギターソロから始まるセッションを経て『未来』ね)

マミ「体が軽い…もう何も怖くない」ギュイーンピロピロピロピロピロテレレテレレテレレ♪

ほむら(速い…しかもメロディアス…心が惹きつけられる…目の前でいろんなものが激しく縦揺れしてるわ)

ほむら(巴マミ…私はあなたを見くびっていた。絶好調のあなたがこれ程にまですごいなんて――)

ほむら(そしてリズム隊も負けずに着いてきている――)

ほむら(美樹さやか…魔女形態で指揮者をやってしまうだけあって、元来音楽的な素養のある子なのね)

ほむら(意外なのは佐倉杏子…魔法で才能を引き上げているとしても、なんてしなやかな指づかいなのかしら)

ほむら(あっよく見たら指の数がおびただしく増えてる。これが噂のロッソファンタズマね)

ほむら(秘蔵の大技をこんな状況で使うなんて何を考えているのかしら)

ほむら(もしかしてみんな本気でバンドに熱中しちゃってるの?)

ほむら(…まあそれも当然かもね。なにせこのバンドはまどかの発案で始まったんだもの)

ほむら(さすが私のまどかだわ)ウットリ

ほむら「夢~を~かなえて~♪」チラッ

ほむら「!?」

マミ「♪~」ブンッブンッ

ほむら(ヘドバンしてる…)

ほむら(あなたこの曲大好きなら知ってるはずでしょ。そういう曲じゃないわよこれ)

――ライブ後

岩下「いやあ、大成功だったね」

マミ「あ、ありがとうございます…」

マミ(ちょっとはしゃぎすぎちゃったかしら。でも、すっごく気持ちいいわ)ウットリ

杏子(それにしてもなんだよ会場のあの異臭は…鼻の奥に未だに残ってやがる)

さやか(アイドルも声優もすごいんだな…尊敬するわ)

岩下「さて、さっきうちの上層部と連絡を取った結果…」

岩下「君達の次の公演が決まりました」

ほむら(次の公演って…そんなにあっさり決まるものなの?)

ほむら(もはやバンドの行く末はメンバーの私達ですら把握できないわけね)

岩下「次のライブ会場となるのは見滝原アリーナだ」

岩下「しかもこのライブは新宿ブルト9・梅田ボルク7他全国120館以上の映画館でライブビューイングとして生中継される」

ほむら(嘘…私達がそんな大きな会場でライブをして、しかも全国に生中継だなんて…)

杏子「おい…いよいよすごいことになってきたな」

さやか「ついにさやかちゃんの時代の到来ですかー?」

まどか「一緒にがんばろうね、ほむらちゃん!」

ほむら「ええ…///」

ほむら(こうなったらやるしかないわ)

ほむら(今更抜けるなんて言ってまどかを悲しませるわけにはいかないもの…)

――後日、シャフプレックスミュージック

岩下「では紹介しよう。まずは今度の君達のライブの全てを取り仕切る総監督の旧房さん」

旧房「やあ。よろしくね」

岩下「そしてライブのプランを練ってくれる実淵さんと、ビジョンの映像を作ってくれる赤樹さんだ」

実淵・赤樹「「よろしくお願いします」」

五人「「「「「よろしくお願いします」」」」」

ほむら(なんてかしこまった場なのかしら。漂う空気が尋常じゃないわ)

ほむら(特にあの実淵って人、只者じゃないわね。なにも強面だからって意味ではなく)

ほむら(それから真ん中の旧房って人、彼もやばそうね。だいたい旧房って名前が既にアレだわ)

ほむら(この二人にタッグを組ませるのは危険ね。宇宙に新たな神と悪魔が生み出されそうだわ)

ほむら(そしてそんなヤバイのと普通に組んでるこの赤樹って人がもしかすると最強なのかもしれない)

旧房「君達はクラリスとカラフィナのコピーをしているんだったね」

マミ「はい」

旧房「だったらやっぱり、もう一ピース欲しいところだな」

実淵「キーボードがいれば音も豊かになりますし」

旧房「そうそう。君達、知り合いにキーボードの弾ける子いないの?」

赤樹「できればみんなに負けないくらいかわいい子だったら嬉しいな」

岩下「中学生五人組でしっくり来ているところでの追加だから、もう一人は年齢の離れた子――」

岩下「例えば小学生とかだと意外性があっていいね」

マミ「ああ、それなら――」

――後日、見滝原ショッピングモール。ファストフード店

さやか「そーれ景気づけの絶品チーズバーガー特盛だ。たんとお食べ」

なぎさ「ふふふ。満を持してのなぎさの登場なのです」モグモグ

さやか「頑張ってよー。大舞台なんだからね」

なぎさ「おまかせなのです。なぎさカンタービレの始まりなのです」ムシャムシャ

ほむら「…美樹さん。まどかや巴さん達は一緒じゃなかったの?」

さやか「あー、あの三人なら…新しいギターとベースを買いにいくって言ってたよ」

ほむら「あら、そう…」

さやか「おやおやほ~むらちゃん。愛しのまどか姫がいなくて寂しくって死んじゃいそうってか?」

ほむら(耐えるのよ私…記憶の消えたこいつがこんな感じで絡んでくることくらい織り込み済みだったはずよ)

なぎさ「さやか、おかわりなのです」ペロリ

――翌日、シャフプレックスミュージック。スタジオ

旧房「なんて素晴らしいハーモニーだ。こちらからは何も言うことはないよ」

まどか「ウェヒヒ。ありがとうございます」

旧房「それじゃあ今日の練習はここでお開きにしよう。お疲れ様」

六人「「「「「「お疲れ様でした」」」」」」

さやか「よーし、この分だとライブも成功間違いなしだね」

まどか「そうだね。私達の集大成、最高のライブにしようね」

旧房「ところでマミちゃん、杏子ちゃん。演奏はよかったんだけど、体調は大丈夫かい?」

旧房「まるで魂を半分どこかに置いてきたみたいな顔してたけど」

杏子「…あー、気のせいっすよ。多分ちょっと気分転換したら治ると思うんで」

さやか「あんたの気分転換って、ゲーセンか食べ物くらいしかないじゃない」

杏子「うるせーっ、ちょっとくらいいいじゃねえか。付き合えよ」

さやか「仕方ないなあ」

旧房「マミちゃんの方はどうだい?」

マミ「…そうですね。私も気分転換に、お菓子や紅茶でも楽しんでみることにします」

まどか「まだ本番まで時間もあるし、空いてる時間はどんどん好きなことに使ってくださいね」

マミ「ええ。鹿目さんの心遣い、ありがたく受け取るわ」

ほむら「……」

まどか「ほむらちゃんどうしたの?」

ほむら「ううん…なんでもないわ」

ほむら(確かに二人とも疲れた様子だわ。別の仕事をかけ持ちしてるわけでもないはずなのに)

ほむら(いいえ、これは疲れているというよりもむしろ…)

なぎさ「マミお姉ちゃん、一緒にチーズケーキを作るのです」

マミ「いいわよ。たっくさん作って、たっくさん食べましょうね」

なぎさ「わーい♪」

――そしてライブ当日

まどか「みなさんこんばんはーっ! マギカセクステットのライブにようこそ!」

おまえら「「「「ウオオオオオオ」」」」

おまえら「まどかちゃーん! 愛してるよー!」

おまえら「ほむらちゃーん! ホアーッ! ホアアーッ!!」

おまえら「マミさーん!! あなたのハートにティロ・フィナーレッ!」

おまえら「杏子ちゃんマジ聖女! あんあん!!」

おまえら「なぎさちゃーん! チーズあげるからお嫁さんになってー!」

おまえら「さやかあああああああああああああああ」柵ガシー

ほむら(慣れないわ。この感じ)

まどか「それじゃあいくよ! 『ルミナス』!!」

おまえら「「「「ヒュウウウウウウウウウッ」」」」

  ぎゅっ

まどか「さあほむらちゃん、一緒に」

ほむら「ええ///」

まどか「伝え合った心の温度をそっと♪」

ほむら「大事そうに抱え歩いてた♪」

ほむら(ほんとに…ここまで夢中になって取り組んできた甲斐があったわ)

ほむら(私とまどかが手をつなぐ姿を、大観衆に見せつけられるなんて)

ほむら(フフフ…とくと味わうがいいわ)

ほむら(私とまどかの至極の愛のメロディを)ドヤァ

まどか・ほむら「夢~を~かなえて~♪」

ほむら(そういえば以前より音が重厚になった気がする)

ほむら(これはキーボードが加入したことだけが理由ではないわね)チラッ

ももいろギター・あかいろギター「♪~」

ほむら(なるほど。ギターにサポートメンバーが二人いたのね)

ほむら(でもそんな話一言も聞いてないわ)

ほむら(メンバーに黙って勝手にサポメンを入れるなんて、監督たちは何を考えているのかしら)

ほむら(まあ巴マミとは息が合っているみたいだから別にいいけど…)

ほむら(それにしてもあのサポメン、まどかと杏子にそっくりね。コスプレかしら)

なぎさ「ふふふ…みんなチーズになっちゃえなのです」

おまえら「「「なぎさちゃーーーーーーーん(結婚しよ)」」」

ほむら(ピアノインストからのなぎさソロ曲…ロリコンが次々に気絶していくわ)

ほむら(あなたたち、どうしてまどかだと平気なのよ。心が狂ってるとしか思えないわ)←

なぎさ「Käse♪ Käse♪ wo ist die Käse♪」

赤樹「ほむらちゃん、衣装チェンジお願いね」

ほむら「はい。今行きます」

……

ほむら「何これ。一部の客席にお菓子の魔女ぬいぐるみが置かれているのはどうして」

さやか「あー、演奏中のなぎさにわいせつな発言をしたお客がつまみ出されちゃったのよ」

なぎさ「ゲプ…どいつもこいつも脂っこくて体に悪そうだったのです」ポンッ

ほむら(この世からつまみ出してるじゃない)

ほむら(次は杏子のベースソロね)

杏子「いくぜおまえらーっ!!」ベレッレレレレレレレッレレ♪

ほむら(馬に乗りながらの演奏なんて斬新すぎるわ。よく間違えず弾けるわね)

杏子「♪~」

ほむら(やけに目立つベースね。ラルクがまどマギの主題歌担当したらこんな感じだったのかしら)

杏子「食うかい?」つバナナ

ほむら「そこまで真似しなくていい」

おまえら「「まどっちー!」」

ほむら(これが最後のMC…まどかが観客の心を鷲掴みして、いよいよグランドフィナーレよ)

まどか「私達は今まで、みんなに希望を運びたいと願い、生きてきました」

まどか「そんな風に誰かのために生きたいと願う心は、なにも特別なことではないと思います」

まどか「でも人間の感情は不思議なもので、誰かに希望を運ぶたびに、心には穢れが溜まってしまうものです」

まどか「誰かのためになりたい。その思いが強ければ強いほど、いつしか自分の心を呪いに染めてしまう…」

まどか「でも、そんなの間違ってる。希望を願った心が呪われて壊れる結末なんて私は受け入れたくない」

まどか「だからそれを変えられるのなら、自分の存在が人の次元を超えてしまったってかまわない」

まどか「そう考えていました」

まどか「でもその結果、人としての私を誰よりも愛してくれていた子の心を…」

まどか「呪いよりもおぞましい色に染めてしまいました」

ほむら(何を言ってるの…まどか…?)

まどか「でも私は、私が起こした行動が間違っていたとは思いません」

まどか「そしてその子が私を思って起こした行動を、責めるつもりもありません」

まどか「ですが、これだけは言えます」

まどか「私は、その子のことをもう一度救いたい」

まどか「例えその子が望んでいなくても、私のために頑張ってくれたその子の心を労いたい」

まどか「私の前で、懐かしい笑顔を見せてほしい」

まどか「…今はその子を救いたいという同じ思いのもと、多くの仲間が私に手を貸してくれています」

まどか「私はそんな仲間達と共に、最後まで信念を貫き通したい」

まどか「かつてその子がそうしたように――」

まどか「それでは最後の曲を聞いてください。『misterioso』」

  ジャ~ン♪

さやか「彼方へ~君の手を取り♪」

マミ「心だけが知ってる場所へ~♪」

杏子「misterioso~舞い上がるよ♪」

なぎさ「この星が見た夢のように~♪」

まどか「輝く~空~♪」

ほむら(……何、これは……!)

まどか「言ったでしょ。何があってもほむらちゃんはほむらちゃんだって」

まどか「だから私は諦めないよ、ほむらちゃん」

まどか「――やっと」



まどか「捕まえた」

ほむら「まどか……いいえ、円環の理。いつからこの世界に?」

まどか「ウェヒヒ。やっぱり気づいてなかったんだ」

まどか「私の英語、途中から普通の日本人と変わらない発音になってたでしょ」

まどか「ほら、なぎさちゃんがバンドに加入した辺りからだよ」

ほむら「…どうやってこの世界に具現化できたの」

マミ「それは私達が説明するわ」

ほむら「!?」

杏子「まず、あたしとマミのソウルジェムは、」

杏子「この間のライブハウスでのパフォーマンスのせいで限界ギリギリまで濁りきっていたんだ」

マミ「神がかり的なパフォーマンスは、魔翌力を使いすぎたからこそ実現できたものだったのよ」

ほむら「ちょっと待って…苦難の半生を乗り越えてもなお濁らなかったあなた達のソウルジェムが」

ほむら「たかがライブパフォーマンスごときで濁りきるってどういうことよ」

マミ「そうね。恥ずかしながら私達も予想してなかったわ」ドヤッ

ほむら(褒めてない)

さやか「そして円環の理にいた頃の記憶を残していたあたしが、二人にまどかとあたし達の真実を説明し――」

なぎさ「導かれる直前の二人に、あるおつかいを頼んだのです」

さやか「円環の理から、魔法少女としてのまどかの記録を連れてきてほしいってね」

ほむら「バカな…そんな理屈が通るわけないわ」

ほむら「魔法少女としてのまどかは奇跡を叶えた瞬間一つ上の次元に還元され、円環の理となったはず…」

ほむら「だから魔法少女としてのまどかを引き剥がしたら、その時点で円環の理は機能を失うはずよ」

さやか「ところがそうじゃなかったんだな」

さやか「ねぇほむら。あんたが魔女になってまどかを結界に招き入れたとき、まどかはどういう状態だった?」

ほむら「!」

さやか「そう。神としての役割を見失い、通常の魔法少女となっていた」

さやか「さらに、そのときのまどかは別に円環の理から引き剥がされたわけでもなかった」

さやか「だからあのときのあんたを参考に、あたし達は一か八かの賭けに出たんだ」

さやか「円環の理から魔法少女まどかを引き剥がさず、あくまで『連れてくる』ことはできないかとね」

さやか「だけどこれは本当に危険な賭けだったんだよ。一歩間違えば、円環の理が崩壊しかねない」

さやか「そしてそれを実行するには、今まさにこの世から導かれようとしている魔法少女の存在が不可欠だった」

さやか「しかも最低でも二人以上のね」

杏子「そんなわけで、あたしとマミがその役に選ばれたわけだ」

マミ「私と佐倉さんが少しだけ時間をずらして導かれることで」

マミ「綱引き、あるいはバケツリレーの要領で魔法少女としての鹿目さんをこの世へ運んだの」

さやか「作戦を成功させるには、杏子とマミさんに再びこの世に戻ってきてもらわなければならなかった」

さやか「でなければ、魔法少女のまどかを人間鹿目まどかに受け取らせることができないからね」

なぎさ「そこで、一度導かれたにもかかわらず悪魔の力で再びこの世に舞い戻った私達の出番なのです」

さやか「そう。この作戦を実行できたのも、悪魔になったあんたがあたしとなぎさに植え付けた――」

さやか「消え去ったはずの魂をこの世に繋ぎとめる力のおかげなんだよ」

杏子「あたしとマミは、さやかとなぎさから少しずつその力を分けてもらったから帰ってこれたんだ」

さやか「魔法少女まどかが人間鹿目まどかと女神アルティメットまどかを繋ぐ架け橋になったことで」

さやか「今ようやくまどかの存在は一つにまとまることができた」

さやか「これからは元の形を取り戻した円環の理が、再び全ての魔法少女を絶望から救済する」

ほむら「……なぜよ」

ほむら「どうしてそこまでして、まどかを円環の理として機能させようとするの」

ほむら「まどかの人としての記録を剥ぎ取った私が不完全にな部分を補い、この世の呪いを集めて回る――」

ほむら「それで今まで全て上手くいっていた」

ほむら「なのになぜそれを変えようとするの」

ほむら「どうしてまどかをただの人間として生かせてあげようと思わないの」

ほむら「何が仲間よ。何が友達よ――冗談じゃない。そんなの身勝手すぎるわ」

ほむら「まどかが強い力を持つのをいいことに、彼女に責任を押し付けようとしているだけじゃない」

ほむら「鹿目まどかは元は人間だったのよ。神である前に、普通の人生を全うする権利があるわ」

ほむら「私はまどかを守るためなら、どんな罪だって背負える。だから悪魔にすらなれた」

ほむら「なら今回も同じことよ。まどかを守るためなら、私は手段を選ばない」

さやか「ねぇ…まどかはさ、あんたにそこまで言わせておいて放っておくようなやつじゃないでしょ」

ほむら「!」

さやか「だからあたしは、そういうまどかの思いを尊重してあげられたらいいなって思っただけだよ」

さやか「まどかの考えそうなことくらいわかるよ。友達なんだから」

ほむら「…それでもダメよ。だってまどかは、私のために自らを犠牲にすることだっていとわない」

ほむら「それが許せないのよ。私のせいで、まどかを…まどかの人生をまた…」

ほむら(まどか…あなたは本当にどうしようもないくらい、優しすぎて、強すぎる)

ほむら(でも私は、そんなあなたのことが――)

まどか「ねえほむらちゃん…ほむらちゃんはあのとき、私のことを愛してるって言ってくれたよね」

まどか「私を救うために背負った痛みさえ愛おしいって、そう言ってくれたよね」

ほむら「……」

まどか「だったらさ、私がほむらちゃんを思うこの気持ちも、受け入れてもらえないかな…」

まどか「私だって、ほむらちゃんにこれ程にまで愛されているのに…」

まどか「そこまでしてくれるほむらちゃんの心を救えないことが…」

まどか「どれ程辛くてもどかしかったか……」

ほむら「……」フルフル

まどか「でもね、それでもあなたを救いたいと願って、こうしてみんなの力を借りてここまで来れたんだよ」

まどか「私はそれくらい、ほむらちゃんのことが大切なの」

まどか「そっちがその気なら、私はどんな神様よりも強くなってみせる」

まどか「いっぱいいっぱい仲間を増やして、あなたのことを救ってみせる」

まどか「だからそろそろ、この気持ちを受け取って欲しいの」

まどか「希望さえも超越し、絶望すらも打ち砕く」

まどか「私の愛を――」

ほむら「…まどか」フルフル

  ぐっ

まどか「ほむらちゃん…」

ほむら「ううっ…まどかぁぁぁっ」ダキッ

  カッ

まどか「ありがとうほむらちゃん…私も、ほむらちゃんの気持ち、受け取るよ」

まどか「ほむらちゃんは悪魔になってまで、私をこの世に繋ぎとめてくれたんだもん」

まどか「その気持ちも、私は絶対に無駄にしたりしない」

ほむら「ごめんなさい…私、意気地なしだった…」

ほむら「あなたを愛することばかり考えて、あなたに愛される喜びから逃げていた…」

ほむら「あなたの思いを受け入れたせいであなたが壊れてしまうのなら、いっそ愛されなくてもかまわない…」

ほむら「そう思ってた――でもそのせいで、あなたにまで辛い思いをさせていたなんて」

まどか「さあ行こう、ほむらちゃん。これからはずっと一緒だよ」

まどか「もう二度と、あなたを放さない。ひとりぼっちにしない」

ほむら「私も同じ。神でも人間でも…何があってもまどかはまどかよ」

  ピシッピシッ


さやか「どっひゃーっお熱いねーお二人さん……ん?」

  ぎゅっ

杏子「なぁさやか…まだ頭がこんがらがってるんだよ。あたしとあんたは、この後も一緒にいられるんだよな」

杏子「この世だろうがあの世だろうが、離れたりしないんだよな」

さやか「へっへーん。あったりまえでしょ。あの二人の力、みくびってもらっちゃ困るよ」

なぎさ「見るのです。ダークオーブが希望よりも神々しい色に…あっ」目隠し

マミ「うふふ。子供はまだ見ちゃダメよ」

ほむら「あっ///ああっ…まどか…私が裂けちゃうッッ」

まどか「ウェヒヒ。だってほむらちゃんが悪魔になっちゃうからいけないんだよ」

まどか「私は神様だから、いつかほむらちゃんが魔界に行っちゃったら、会えなくなるんだもん」

まどか「そんなの嫌に決まってるじゃない」

  パリーン

まどか「お帰りほむらちゃん。あなたの人としての存在を、悪魔の概念から剥ぎ取りましたよ~」

ほむら「は、はぅぅ///」

まどか「これでおあいこだね」

ほむら「はぃ…からめひゃん…」

  ゴゴゴゴゴ…

さやか「おおっ、世界が書き換えられていく!」

杏子「マジで? あたしらそんな現場に立ち会ってるのかよ」

マミ「なんというのかしら…あらゆる言葉による形容が陳腐になるほど荘厳な光景だわ」ウットリ

なぎさ「この間のときとはえらい違いなのです」

さやか「――というわけで」

杏子「みんなフツーに見滝原に戻ってきたな」

マミ「ソウルジェムも元通り、みんな魔法少女としてこの世に舞い戻ったのね」

まどか「でもマミさん、見てください。私とほむらちゃんの指――」

マミ「あら」

ほむら「///」

杏子「それ、ソウルジェムじゃない…よな」

さやか「ちょっとちょっと、まさか二人して世界征服なんて――」

まどか「ウェヒヒ。これはただのおそろいの、形だけの指輪だよ」

ほむら「能力の方は、全て概念の方に置いてきてしまったようです」

杏子「するとどういうことになるんだ?」

まどか「私はみんなの魂を繋ぎとめる悪魔の概念をそのままに、人としてのほむらちゃんだけを引き剥がした」

ほむら「私は魔法少女を癒し救済する力はそのままに、人としてのまどかを円環の理から引き剥がしました」

まどか「こうして二人のわがままがちょうど釣り合ったことで、世界の均衡は保たれているわけです」

ほむら「現に私の使い魔たちがこの世界からいなくなっているでしょう?」

さやか「あー確かに」

なぎさ「でもなぎさの使い魔ちゃんたちはいるのですよ」

さやか「それはあんたが向こうに返しに行かないからでしょうが」

まどか「まあそんなわけで、私とほむらちゃんはただの人間になりました」

さやか「神や悪魔になっておいて今更ただの人間ってのも、なんだかなー」

ほむら「改めまして…よ、よろしくお願いします」

マミ「魔獣の気配も全くしないし、本当に平和な世界になったのかしら」

さやか「おやおや、これもお二人さんの愛の力のおかげってわけですかー?」

まどか「もう、さやかちゃんったらー///」

マミ「そうだわ。これからみんなで、うちでパーティをしましょうよ」

さやか「世界の平穏に乾杯、そして二人の新しい門出に乾杯ってわけですね」

杏子「いいじゃねえか。いっちょ派手にいこうぜ」

なぎさ「はいはーい。なぎさはチーズケーキがほしいのです」

さやか「あんたはいつもそればっかりじゃない」

なぎさ「むーっ、好きなものだからいいのです!」

  ワイワイ ガヤガヤ

  ガサガサ

QB「ハァ…ハァ…」

ほむら「!」クワッ

QB「あべしっ」グッシャアッ

まどか「ほむらちゃん、どうかしたの?」

ほむら「え…ううん。なんでもないの。さあ、行きましょう。私もケーキたくさん食べたいな」

まどか「ウェヒヒヒ」


QB「」プルプル


おしまい

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