運命のイタズラで、麗しの園・陽之元女子学園に通うことになった[金牡丹]近藤勇。
皆のお姉さまとして慕われる彼女だが、年齢を偽って入学したのがバレて退学処分に!?
果たして彼女の明日はどっちだ!
ハートフル年齢偽装ラブコメディー。
【戦国コレクション】
乙女は局長に恋してる
─牡丹の園のエトワール─↓
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~陽之元女子学園・生徒会室~
勇「退学!? わたしが?」
うさぎ巫女「そうです。近藤勇さん」
勇「ところであなたたち誰だっけ?」
うさぎ巫女「生徒会長ですー」
きつね巫女「副会長です」
ねこ巫女「書記」
勇「あー、そんなのいたんだ知らなかった──ってなんでわたしが退学なのよ!?」
うさぎ巫女「あなたが入学時に提出した書類の年齢がウソだと判明しました」
勇「あれー? 絶対バレないと思ったのに」
きつね巫女「加えて度重なる留年で、当学園が想定している在学年齢の上限を遥かに超えています」
ねこ巫女「なので、生徒会としてあなたに退学を勧告します」
勇「えー、それなら副寮長のトシだって、わたしとそんなに違わないのにー」
うさぎ巫女「今はあなたの話をしてるんですよ、近藤勇さん」
きつね巫女「あなたは滅茶苦茶なんですよ。露出度の高い服でうろついたり」
ねこ巫女「校則に『士道不覚悟は切腹』を追加しろと要求したり、学食の定番メニューにみたらし団子を入れろとデモを起こしたり」
うさぎ巫女「局中ハットとかいうヘンテコな帽子を生徒達に被らせた事もありましたねえ」
勇「だからってそんなの横暴よっ! 生徒会にそんな権利があるの!?」
うさぎ巫女「生徒の自主性が重んじられている陽之元の生徒会の決定は、理事会にも影響力があるんですー。残念ながら」
きつね巫女「退学処分、となると何かと大変なので、今のうちに自主退学をお願いします」
ねこ巫女「今日のところはこちらの意向を伝える事に止めておきます。お疲れ様でした」
勇「……失礼しましたッ!」
バタンッ!
勇「何なのよもうッ! ま、いつも通りラブパワーで解決──」
勇「……あり? ラブパワーが、出ない?」
~深浅寮・総司の部屋~
勇「どうしよう」
総司「大変じゃないですか! 大体、退学なんて何で今更!」
歳三「戦国武将が延々留年してるってのは、学校の外聞も戦国武将への評価も悪くなるから、もういい加減にしろって事だろうな」
勇「不公平よ! 不条理よ! 今回はラブパワーも何故か効かないし!」
総司「どうしたんでしょうね?」
勇「わかんない。わたし以上のラブパワーの持ち主が近くにいて干渉しあってるのかも」
総司「ホントにいるんですかそんな人……」
歳三「とりあえず今できる事をやろう。わたしは校則と過去の退学処分の事例を調べて、参考にならないか考える」
総司「わたしは、近藤さん退学反対の署名を集めます。生徒達の声が大きくなれば学校側も無視できない筈です。」
勇「じゃわたしは新しい局中ハットを──」
総司「おとなしくしてて下さい」
勇「ぶー、つまんない」
コンコン
??「どなたかいらっしゃいますかー?」
総司「誰かしら? どうぞー」
ガチャ
??「あ、皆さんここにいたんですかー」
歳三「見ない顔だな。新入りか?」
??「いえ、こちらの寮母さんが急用でお休みを取る事になったので、代わりに派遣されてきた者です」
勇「えー? そんな話聞いてないわよ」
??「何しろ急な話だったみたいで……わたしは劉備といいます」
勇「わたしは寮長、じゃなくなるかもしれない近藤勇」
歳三「カッちゃん……副寮長の土方歳三だ」
総司「沖田総司です」
劉備「よろしくお願いします。お取り込み中、でしたか?」
総司「ええ、色々ありまして」
歳三「我々はやる事が出来たから、寮が少し慌ただしくなるかもしれん」
劉備「困りましたね。寮の事を色々教えて頂きたかったんですが……」
勇「わたし手が空いてるから教えてあげるわ」
劉備「ありがとうございます。じゃ近藤さん、お願いします」
勇「寮の規則に背いたら切腹よ」
歳三「寮長と副寮長に背いても切腹だ」
劉備「えー!?」
総司「先輩方っ!!」
(ジェンガが崩れなかったり人生ゲームのルーレットの出目を操作できたりする謎パワーですよ)
~数日後の深浅寮・総司の部屋~
歳三「校則を見直した結果、生徒会の決定を覆す方法を発見した」
勇「さすがトシ! どんなの?」
歳三「『生徒会則付則第三項、生徒会の裁量に関して不服の有る者は申請する事が出来る』」
総司「申請の方法は?」
歳三「代表者一名と賛同者二名が書面にて提出、だそうだ」
勇「ちょうど三人いるわね」
歳三「書面の内容は校内の掲示板に貼り出された後、生徒総会が開かれ、最終的に生徒投票で決定される」
勇「やっぱり生徒の意見が鍵かあ。総司の方はどうなってる?」
総司「署名集めは成功です。近藤さんは皆からお姉さまとして慕われていますから簡単でした」
勇「普段の行いが良いからよね」
総司「現在、近藤さん退学反対の支持率は82パーセントです」
歳三「知事選挙なら当選確実な数字だな」
勇「支持と知事を掛けてるのね。わたし政治家に向いてるかも」
総司「選挙区民のために絶対やめて下さい」
歳三「カッちゃん、ラブパワーはどうだ?」
勇「ダメ。戻らないわ。何が原因かも解らないし困っちゃう」
コンコン
総司「はーいどうぞー」
ガチャ
劉備「スイーツお持ちしましたー」
総司「あら。さっきご飯食べたばかりですよ?」
劉備「え? 朝昼晩の後とおやつ夜食、1日5回スイーツを出すのが深浅寮のルールと近藤さんが」
総司「寮ー長ー。わたし達は一生懸命やってたのに、何してたんですかっ!」
歳三「いいじゃないか。旨いぞこの桃まんじゅう」
総司「副寮長ー!」
~生徒会室~
うさぎ巫女「あら、近藤さんごきげんよう」
勇「ごきげんよう。この間の退学勧告に対して異議申し立てをするわ」
きつね巫女「お姉さま……」
うさぎ巫女「確かにうけたまわりましたー」
勇「失礼いたしましたーっと」
バタン
きつね巫女「なぜ異議申し立て書を受理したんですか?」
うさぎ巫女「だって受け取らないと、あの人達は何するか分からないから……」
ねこ巫女「まあ確かに──では異議申し立て書の掲示と生徒総会の準備を」
うさぎ巫女「でも、ただ総会をやるだけではつまらないですわよね」
きつね巫女「何かお考えが?」
うさぎ巫女「うふふふふ」
~生徒総会当日・校庭特設ステージ~
ワアァァアァ
勇お姉さまだわ──!
お姉さま──!!
勇「うわあ! 何このでっかい舞台!? 生徒はすっごい盛り上がってるし!」
歳三「生徒総会の会場が講堂から校庭に変更された、と聞いたらこれは……」
うさぎ巫女「ごきげんよう皆さん」
総司「ちょっと! この舞台は何なんですか!? こちらと生徒会の主張の後、生徒投票の流れでしょう?」
うさぎ巫女「それだと面白くないので、勝負で決める事にしました」
きつね巫女「そちら3人と我々3人の団体戦で試合をして、先に2勝した方の主張が採択されます」
総司「そんな勝手な!」
きつね巫女「ここで逃げれば非を認めた事になりますよ」
ねこ巫女「近藤さんを支持した生徒達はがっかりするでしょうね」
うさぎ巫女「そうしたら今度こそ学園に居場所は無くなりますよー」
歳三「カッちゃん、これは罠だ」
勇「んー、でも面白そうじゃない。いいわ。受けて立ちましょ!」
うさぎ巫女「さすがは近藤さんですー」
きつね巫女「勝負の方法はそちらに有利な方法を選びました」
ねこ巫女「正々堂々と戦いましょう」
勇「わたしに手向かいしたら容赦無く討ち果たすわよっ!」
~第1ラウンド・総司VSねこ巫女~
ねこ巫女「わたし達の勝負はゲーム対決です」
総司「どんなゲームでも負ける気がしませんね!」
ねこ巫女「使用するのは『ダンスダンスレボリューション』です」
総司「病弱なわたしにそれは勝てる気がしませんね……」
ねこ巫女「曲はjubeatとリンクした『back in to my world』、難易度は、HARDくらいなら大丈夫でしょう」
総司「この曲、知ってます。やるしかない!」
うさぎ巫女「あーあーマイクテスマイクテス。それでは第1ラウンド、ダンス対決です! レディゴー!」
総司「ふう……せいっ!」
勇「総司ってばなかなかやるじゃない」
歳三「体力作りでたまにプレイしているみたいだぞ」
ねこ巫女「ふふふんふふんふんふーん♪」
うさぎ巫女「でも、わたし達は日々のレッスンと、家康様のバックダンサーで鍛えてますからね」
きつね巫女「そろそろサビの連打ゾーンです」
総司「ここで決める! はっ!!」
歳三「総司……あ、あの技は!」
勇「知っているのトシ!?」
歳三「伝説の三段ステップ──1歩ステップを踏む間に実は3回ステップを繰り出している禁断の技!」
きつね巫女「沖田さんが凄い勢いでコンボボーナスを叩き出しています!」
歳三「しかしあの技は体力も3倍消耗する。総司では長くは……」
総司「うっ、けほけほっ」ぐらっ
勇「総司っ!」
ドサッ
勇「総司! 大丈夫っ?」
総司「し、勝負は……?」
勇「……よくやったわよ、総司」
総司「すみません、わたしにねこさんは倒せませんでした……ごほっごほっ」
勇「この服に付いてる赤いのは、血? ……総司! 総司──ッ!」
つかつか
歳三「ちょっと待ってカッちゃん、これは」
ペロッ
歳三「……いちご大福」
勇「はあ? あらホント、甘い匂い」
総司「終わった後に食べようと思って懐に入れといたんですが、倒れた拍子に潰れちゃったみたいですね……けほけほ」
勇「じゃあなんで倒れたのよ? その咳は?」
総司「これは激しく動いたので酸欠で……ふー、落ち着いてきました」
勇「なんだ。びっくりさせないでよ」
総司「はい、すみません」
うさぎ巫女「わたし達がまず1勝ですねー」
ねこ巫女「ぶい」
~第2ラウンド・歳三VSきつね巫女~
きつね巫女「わたし達の勝負はお料理対決です」
歳三「ふっ、刃物の扱いには慣れている」
きつね巫女「制限時間1時間の内に完成させて審査員に食べて貰い、どちらが美味しかったかで勝負を決めます」
歳三「審査員は勝負を公平に判断できる人物なんだろうな?」
きつね巫女「もちろん。今日たまたま学校に来ていたこの方にお願いしました」
義光「こ、こんにちは。最上義光って言います。わたし今日は学校見学に来ただけなんだけど……良いのかな」もじもじ
歳三「ふむ。では始めようか」
総司「あちらはバターに小麦粉に牛乳、魚、野菜類にパンを取りました。何が出来るんでしょうね?」
義光「バターと小麦粉を炒めて牛乳と調味料を加えた……ホワイトソース?」
うさぎ巫女「あの子はアレを作るつもりね」
ねこ巫女「わたし達の得意料理」
きつね巫女「ふふふんふふんふんふーん♪」
勇「トシは食材をまだ選んでるわね」
歳三「……」
【残り時間30分】
総司「土方さんは鯛を選んだ後、ずっと冷凍コンテナの中を覗いてます。どうしちゃったんでしょう?」
勇「トシにはトシの考えがあるのよ」
歳三「これは不純物が……こっちは硬さが」
きつね巫女「うん、そろそろかな」
うさぎ巫女「魚と野菜を炒めてホワイトソースで煮込んでいる、手順は完璧ですー」
義光「ホワイトソースと野菜の甘い香りがする。シチューの匂いは体が温まる良い匂いよね!」
ねこ巫女「仕上げはここから」
総司「あっ、パンを──揚げ始めた!?」
【残り時間10分前】
総司「丸いパンが揚がったら、上部をカットして中身をくり抜いた……?」
義光「その穴にシチューをいっぱいに詰めてる」
うさぎ巫女「詰め終わったら、さっきカットしたパンの上部を蓋代わりにして出来上がりですー」
ねこ巫女「これぞ得意料理!」
きつね巫女「お待たせしました! 『揚げパンシチュー』完成ですっ!!」
総司「マズイですよ。向こうはもう完成したのに、土方さんはやっと氷の塊を選び終わった所です」
勇「マイペースねー。トシ」
総司「かき氷でも作るんでしょうか──いや違う、刀を抜いた!」
歳三「見切った!」
名 刀
和 泉 守 兼 定
義光「すごい……柱の様な氷の塊が、一瞬で花びらみたいに薄く細かく!」
総司「あ! 今度は鯛を──?」
名 刀
和 泉 守
兼 定 !
勇「あっと言う間に刺身になったわ。トシったら派手ねー」
うさぎ巫女「その鯛の刺身を氷水で洗って」
ねこ巫女「薄く細かくなった氷を敷き詰めた皿の上に刺身を並べた!」
きつね巫女「あれは──」
歳三「待たせたな。『鯛の洗い』完成だ」
【試食中】
うさぎ巫女「では審査タイムスタート! 先に出来上がったきつね巫女副会長の料理からー」
義光「一見ポットパイみたい」
うさぎ巫女「わたし達の分もありますので食べましょう」
ねこ巫女「うん。いつ食べても揚げパンシチューうまいよー」もぐもぐ
総司「シチュー自体はシンプルだけど美味しいですね」もぐもぐ
勇「揚げたからか、パン生地もシチューもアツアツだわ」ごくごく
義光「最初からポットパイ用のパンを使うのではなくて、わざわざ揚げる事で程よい歯ごたえに仕上げてあるのね!」
きつね巫女「シチューと一緒に食べた時によりコクが出るようにしました」
義光「それに鮭が入ってる! わたし鮭大好きー!」
うさぎ巫女「揚げパンシチュー、審査員の好みをガッチリキャッチしています!」
総司「サケマス類とシチューの相性は抜群です。やられましたね」
歳三「ふむ……」
うさぎ巫女「では続きまして、土方さんの鯛の洗いですー」
義光「綺麗だけど、普通の魚の洗いよね……?」
総司「大丈夫なんですか土方さーん。向こうは高評価ですよ」
歳三「まあとりあえず食べてみて欲しい」
もぐもぐ……
義光&勇&総司&うさぎ&きつね&ねこ「──こ、これはッ」
義光「チリチリに弾けそうなくらい冷えてる身が、甘くてシャキシャキとした快い歯ざわり!」
総司「これは洗いでなければ味わえない食感ですよ!」
歳三「鯛は天然物。血抜きをした活け締めのものを、兼定の刃をいっぱいに使って繊維に沿って引いたんだ」
勇「味が良いのは丁寧に引いたからなのね」
歳三「氷も、不純物が少なくて硬く締まった氷を使った。硬い氷は溶け出しにくいんだ」
義光「だから素早く冷えても水っぽくならないんだ」
ねこ巫女「そこまでこだわっていたなんて……」
うさぎ巫女「──では最上さん、そろそろジャッジをお願いします!」
義光「うーん、シチューも美味しかったんだけど、洗いの作り方にびっくりしちゃった。なので鯛の洗いの勝ち!」
総司「やったぁ────!」
きつね巫女「か、完敗だわ……」
総司「やりましたねっ土方さん! こちらも1勝です!」
歳三「ふっ、勝利できたのはめでたいな」
勇「トシー! どこであんな料理覚えたのよ?」
歳三「この間、授業中に暇で読んだ料理漫画に描いてあった」
総司「土方さーん? 近藤さんの二の舞になっちゃいますよ?」
歳三「まあまあ。勝ちに免じて水に洗い流してくれ」
~第3ラウンド・勇VSうさぎ巫女~
うさぎ巫女「とうとう最終ラウンドになっちゃいましたー」
勇「で、わたし達は何で勝負するの? プロポーション対決? それともセクシー対決?」
うさぎ巫女「それも考えましたが、陽之元の生徒としてはふさわしくないかとー」
勇「じゃどうするの?」
うさぎ巫女「真剣勝負の斬り合いで決着をつけましょう」
勇「えーっと、忘れられてるかもしれないけど、わたし強いのよ?」
うさぎ巫女「もちろん判ってますよー。ですから代わりにこの方に戦っていただきます」
勇「劉備ちゃん!?」
劉備「あはは、近藤さんと戦えば、特別ボーナスを出してくれるって言われて」
うさぎ巫女「今1勝1敗ですから、近藤さんが勝てば今後一切退学の話は無しにします」
勇「ええ」
うさぎ巫女「但し、勝てなければ負・即・退学ですー」
勇「良いわよ。わたしが勝てば解決するんだし」
うさぎ巫女「では最終ラウンド! いざ尋常に、勝負ー!」
勇「ねえ劉備ちゃん。わたしこの勝負に勝たないと退学になっちゃうのよ」
劉備「みたいですね」
勇「だからわざと負けてくれないかなー」
劉備「え、それは」
勇「立ち合いは強く当たって後は流れでお願いします」
劉備「お断りします!」ブンッ
ガキイィィィイン!
勇「っ! 早い!」
劉備「──わたし、負けられません!」
勇「えー!? どうして駄目なのー?」
ギリギリギリギリ
劉備「わたしが勝てば特別ボーナス、負けたら1日分の危険手当てしか出ないんですっ!」
勇「せちがらいなあ……でも、わたしは女子高生ライフが掛かってるから負けられないっ!」
劉備「行きますよっ!」
総司「素早い動きと二本の剣から次々に繰り出される斬撃に隙が無い! 近藤さんが押されてる!?」
歳三「あれは道場で鍛えた剣ではないな。幾多の死線を潜った戦場の剣だ」
勇「やるじゃない……恐るべしマネーパワー!」
劉備「……ごめんなさい、こんな事になって」
勇「劉備ちゃんは何故ボーナスにこだわるの?」
劉備「……こっちの世界に飛ばされた時、義兄弟逹と離ればなれになってしまったんです」
勇「あら」
劉備「探したけどみつからなくって……だから人を頼んで探したいんですがお金が」
勇「情報もタダじゃないからねえ」
劉備「お金儲けと戦争しか考えない人逹、他人を傷付けても平気な人逹から皆を守る為に一緒に戦った義兄弟を……」
グオォォォオ
歳三「あの技は──破滅の気龍!」
劉備「見つける為に! 推して参ります!」
ドオオォォンッ
勇「はあ、はあ……やるじゃん、劉備ちゃん」
劉備「皆が笑って暮らせる国を一緒に作った、かけがえのない義兄弟の為ですから」
勇「それが劉備ちゃんのエネルギーなんだね」フラッ
総司「近藤さんっ……」
勇「……わたし逹はね、乱れた天下を正したくて、誰よりも武士らしく戦ってた」
劉備「あなたも、仲間と一緒に人々の為に立ち上がったんですか……」
勇「自慢の仲間よ。面白くて頼りになるトシと、強くて可愛い妹みたいな総司」
劉備「深浅寮の皆さん……」
勇「劉備ちゃんには悪いけど負けられないんだよね。わたしを想って戦ってくれた仲間の為にもさ」
劉備「……」
勇「誇りを高く持って自分を磨き、仲間と協力して人の為に活かす──それが士道。士道を貫くのがわたし逹の掟なの」
劉備「士道……そんなに大事なものだったなんて」
勇「士道は命のエネルギー、そして士道を貫き通す熱い感情……それが──ラブパワーよ!」
パアァァァ
劉備「この力は!?」
勇「わたしは新撰組局長、近藤勇! 士道を貫き明日をひらく!」
劉備「ならばわたしは義兄弟と共に、みんなが笑って暮らせる世の為に! 行きます!」
バキイィィイィィン──
総司「近藤さ──んっ!」
歳三「決まったか!?」
そういえば
劉備と勇の中の人はおとぼくのお姉さまと生徒会長だったね
>>27
総司はお姉さまの妹だったりもしますね
ラブパワーなんてまんま主題歌だし
劉備「……ごめん……か……う、……ょう……」
ドサッ
うさぎ巫女「……勝者、近藤……勇っ!」
ウワアアァァァァ──!!!
総司「やった──! ふええぇーんっ近藤さーんっ!」
勇「ふぅ、やったわ!」
うさぎ巫女「さすがですね近藤さん」
勇「約束よ。これで退学は無しよね」
うさぎ巫女「はい。二言はありません」
きつね巫女「おめでとうございます。良い勝負でしたよ」
ねこ巫女「でも早く卒業して下さいね」
勇「そうするわ。こんな事二度とゴメンだしね」
うさぎ巫女「それにしても見事に負けちゃいましたねー」
きつね巫女「負けた負けたー」
ねこ巫女「もう一回、幼稚園からやり直そうか……」
劉備「近藤さん」
勇「劉備ちゃん……」
劉備「何かもっと義兄弟に会いたくなっちゃいました」
総司「劉備さん……」
劉備「一日でも早く再会できる様に、自分の力で切りひらきますねっ!」
勇「うん! 早く会える事を祈ってる」
歳三「カッちゃーん、鯛食べるかー?」
勇「うん。貰うー!」
総司「まだ食べるんですか……」
~エピローグ 後日・陽之元女子学園中庭~
劉備「お世話するつもりがすっかりお世話になっちゃいましたね」
総司「あの試合を見た生徒逹から、劉備さんへのボーナス支給嘆願署名が集まりましたしね!」
劉備「おかげで無事貰えました! 助かります!」
歳三「義兄弟の消息は掴め次第、監察方から報告させる」
劉備「何から何まで感謝です」
勇「じゃあ元気でね」
劉備「はい! 皆さんもお達者で!」
勇「ねえ、わたし来年は卒業しようと思うの」
歳三「ま、潮時だろうな」
総司「やっっっとその気になりましたか……」
勇「三人揃って大学進学したいから──総司」
歳三「頼りにしてるぞ」
総司「もうー……本気になったならビシビシいきますからねっ!」
勇「あはは。ラブパワーも戻って本調子になったし、自力でも頑張るわよ」
総司「結局ラブパワー喪失の原因はなんだったんでしょうね?」
歳三「さてな……ま、いつの間にか戻ってたし、終わり良ければ全て良しとも言うから良いんじゃないか?」
総司「では三人揃ってサクラサクを目指して、今日から猛勉強ですっ!」
勇「桜ねぇ……わたしの二つ名の牡丹じゃダメかな?」
総司「牡丹の開花は四月中旬以降ですからちょっと遅いですよ」
勇「良いじゃない。散々留年したんだし、今更ちょっとくらい遅れたって」
歳三「だな。むしろ相応しいかもしれん」
総司「じゃあ……3人で一緒に大輪の花を咲かせましょうね!」
勇「おーっ! 目指せ! ボタンサクー!」
──[金牡丹]近藤勇、[黒桔梗]土方歳三、[白蓮]沖田総司。
この三人が揃って陽之元女子大学に進学するのは、翌年の春の事であった──。
乙女は局長に恋してる
─牡丹の園のエトワール─
~Fin~
戦コレ新撰組SS、ひとまずこれで完結です
閲覧、支援、ありがとうございました
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