あかり「ゆるゆるしすたーみっくす」(114)

娯楽部


ちなつ「……」

京子「くかーっ…すぴーっ…」パチッ

京子「んん…」コスコス

ちなつ「おはようございます。京子先輩」

京子「おぉ…ちなつちゃ~ん……」ムクッ

京子「…あれ、あかりは?」

ちなつ「あかりちゃんなら、家で向日葵ちゃんと一緒にドーナツ作ってますよ」

京子「ドーナツ!?」キュピーン

ちなつ「わわっ、いきなり元気になった!」

京子「そんなら、2人であかりん家に行こーよ!!」

ちなつ「ドーナツ目当てでですか~?」

ちなつ「心配しなくても、きっとあの2人なら明日にでも分けてくれますよ」

京子「ま、それもそうだねん」ゴロン

京子「一応、ひまっちゃんにメールでも送っとくか」パカッ

ちなつ(全く、この人は…)

ちなつ「京子先輩の方こそ、結衣先輩はどうしたんですか?」

京子「あぁ、結衣なら今日デートがあるから先に帰るってよ」カチカチ

ちなつ「デデデデデデゥエートォォ!?」ガタッ

ちなつ「相手は!? 相手は一体誰なんですか!!?」

京子「まりちゃんだけど…」ポチッ

ちなつ「紛らわしい言い方すなっ!!!」イラッ

京子「つまり、今日は私とちなつちゃんの2人きりって言うことよ!」ニヤニヤ

ちなつ「あっ、私用事を思い出したので帰ります」スクッ

京子「嘘ぉぉ!?」ガーン

京子「そんなぁ~、私より大事な用事なの…?」

ちなつ「寧ろ京子先輩と比べたら、喉が渇いただけでも帰りますよ」

京子「だったら、その渇いた唇を私のキスで潤して!!」ガバッ

ちなつ「の・ど!!」スッ

京子「うぅぅ…」

京子「じゃあ帰ってもいいから、私もちなつちゃんの家に行っていい!?」

ちなつ「なんでそうなるんですかーーっ!?」

京子「せっかく、結衣もあかりも居ないんだし――!」

京子「私はちなつちゃんと一緒に居たいんだよ!!」

ちなつ「……」

京子「…だめ、かな?」シュン

ちなつ「そこまで言うなら……少しだけですよ?」

京子「うっしゃ~~!!」

ちなつ「はぁ…」

ちなつ(私ってば、どうして断りきれないんだろう)

ちなつ宅


京子「んはぁ~、部屋中ちなつちゃんの匂いで満たされてるよ~」スンスン

ちなつ「ちょっ、嗅がないで下さいよ!!///」

京子「さ、こちらへいらっしゃい。ちなつちゃん」バフッ

ちなつ「そんなに眠いのなら……いいですけど」

京子「ホント!?」キラキラ

ちなつ「1人で、寝てて下さいね♪」ニコッ

京子「ちぇ…」


―――――


ガチャッ

ともこ「ちなつ、ただいま~」

ともこ「…あら?」

ともこ(靴が2つ……お友達が来てるのかしら?)

京子「でも、これはこれで♪」ゴロゴロ

ちなつ「ほんっと、京子先輩は自由ですね」

ガチャッ

ともこ「ちなつ…」

ちなつ「あっ、お姉ちゃん!」

京子「なぬ!? お姉ちゃんとな!!?」ガバッ

ともこ「お姉ちゃん、ドーナツ買って来たから友達と一緒に食べなさい」

ちなつ「は~い」

ともこ「」チラッ

京子「ドーナツ…お姉ちゃん…ドーナツ…お姉ちゃん…」キラキラ

ともこ(あかりちゃんではないのね……初めて見るけど、この子は誰かしら?)

ちなつ「ドーナツ食べるんなら、ベッドからは降りて下さいよ?」

京子「へへへ、分~かってるって! …あれ? あっ! あぁぁ!!」

ちなつ「はぁ…。今度はなんですか?」

京子「これ、デートの時に私が取った《ねこくらげ》!!」ヒョイ

ちなつ「へっ?」

ちなつ「…あっ!!///」ボッ

ちなつ(京子先輩が来るとは思わなかったから、出しっぱなしだった!!)

京子「ちなつちゃん、私のプレゼント大事にとっといてくれたんだぁ~///」

ちなつ「ち、違っ! 先輩がどうとかじゃなくって、単に《ねこくらげ》が!!///」

ともこ(デート…プレゼント……先輩?)

ともこ「」ピコーン

ともこ(分かったわ! この子がちなつの好きな『結衣先輩』なのね!!)

ともこ「ちょっと、いいかしら?」

京子「ほぇ?」

ともこ「『結衣ちゃん』はちなつのこと、どう思ってるの?」

京子「結衣~?」

京子「さぁ? (おでこに)キスするくらいだし、好きなんじゃないですか?」プイッ

ちなつ「ですよねーーっ!!」キラキラ

ともこ(まぁ! 2人は両想いなのね!?)

京子「……」ブスー

ともこ(じゃあ、私から最後の一押ししてあげなきゃ!)

ともこ「聞いて、ちなつもね。『あなたのこと』大好きだって、私に言うのよ♪」

ちなつ「な゛っ!?///」

京子「えぇぇ!?」キュピーン

京子「ちなつちゃん、それ本当!?///」パァァ

ちなつ「そんな訳ないでしょ!? お姉ちゃん、適当なこと言わないでよ!!」

ともこ「うふふ、ちなつったら照れ隠しなんかしちゃって♪」ニコニコ

ちなつ「違ーーうっ!!」ガーン

京子「私もちなつちゃんのことが好きだよ!!///」グイグイ

ちなつ「私は先輩のことなんて、なんとも思ってませんってば!!」ドンッ

京子「あふん」コテン

ともこ「こらっ、ちなつ!」

ちなつ「いつものことだし、いいんだよ。お姉ちゃん」

ともこ「(そんなことばかりしてると、いつか本当に嫌われちゃうわよ!!)」

ちなつ「(え…?)」ドキッ

ともこ「(そろそろ、自分の気持ちに素直になってもいいんじゃない? ねっ♪)」

ちなつ「(自分の気持ちに素直に…?)」

京子「ちなちゅったら、いけずぅ~」サスサス

ちなつ「……」

ちなつ「あ、あの……無闇に突き飛ばしてしまって、ごめんなさい!」ペコッ

京子「えっ?」キョトン

ちなつ「京子先輩のこと、なんとも思ってないなんて言うのは嘘です!!」

京子「それじゃあ!?」パァァ

ちなつ「…けど、京子先輩を受け入れたら結衣先輩への気持ちが嘘になりそうで」

ちなつ「怖いんです」

京子「ちなつちゃん…」

ともこ「……」

ともこ「…あら?」

ともこ(『京子先輩』を受け入れたらって……まさか!!)

京子「今までいっぱい困らせちゃってごめんね! ちなつちゃん!!」ガバッ

ちなつ「京子…先輩……?///」ドキドキ

京子「いいよ! 私はちなつちゃんが答えを出すまで、ずっと待ち続けるから!!」

ちなつ「…はい!///」ニコッ

ともこ「」ダクダク

ともこ「ち、ちなつ! お姉ちゃん、またドーナツ買いに行ってくるわね!!」

パタン

―――――

七森デパート


ともこ「……」トボトボ

ともこ(…なんてことなの)

ともこ(私の勘違いで、ちなつを本命じゃない子とくっつけてしまったわ!!)

ともこ(あぁ…私ったら、姉失格よね……)

ともこ(赤座さんだったらこんな時、一体どうするのかしら?)

トテテ

結衣「まりちゃん。このお店はすっごく大きいから、迷子になっちゃ駄目だよ」

まり「うにー♪」

ともこ(あの子達も姉妹かしら? …うふふ、微笑ましいわね)

シスタードーナツ


イラッシャイマセー

ともこ(1日に2回も入ると、無類のドーナツ好きみたいで恥ずかしいわね///)

ともこ(…あら? ガラスケースに女の子が張り付いてるわ)

櫻子「ジュルリ…ドーナッチュ……」

ともこ「あなた、前に並んでる……訳では、ないわよね?」

櫻子「えっ、あっ、はい」クルッ

ともこ「ドーナツが食べたいの?」

櫻子「はい! 朝からも~、ずーっと食べたかったんです!!」

ともこ「そ、そう…」

櫻子「」キラキラ

ともこ「うっ…。えっと……じゃあ、買ったら少し分けてあげるわね?」

櫻子「やったぁ~~!!」バンザーイ

櫻子「えへへ、あんま~い♪」ムシャムシャ

ともこ「あらあら、そんなに美味しそうに食べると…」

櫻子「ほぇ?」

店長「お嬢ちゃん、ドーナツもう1個サービスしちゃうわよ」ヌッ

櫻子「うわっ、シェフ来た!!」ビクッ

ともこ「うふふ、このお店はね。妹を連れて入ると、オマケしてくれるのよ♪」

櫻子「そうなんだぁ! それじゃ、これで貸し借り0ですね!!」キリッ

ともこ「そ…そうね……」

撫子「そんな訳ないでしょ!」カツン

櫻子「った……あっ、ねーちゃん!」

撫子「1人で勝手にどっか行っちゃわないの。…探したんだから」

ともこ「あらあら――あなた、この子のお姉さん?」

撫子「はい、ウチの馬鹿が迷惑かけてスミマセン」ペコッ

ともこ「いえいえ、私が好きでやったことですから♪」ニコッ

撫子「……」

撫子「あの……なにかお礼がしたいので、ウチに寄って行きませんか?」

ともこ「へっ? そんな! お礼なんて、別にいいのよ!?」

撫子「いやでも、言葉だけで済ますのもなんですし…」

撫子「増してや、『お金で解決』だなんて気分悪いでしょ?」

ともこ「うっ…」グサッ

ともこ「そ、そうね……何事もお金で解決なんて、いけないことよね」ドキドキ

櫻子「ドーナツ美味い♪」モシャモシャ

撫子「ですから、ウチでなにかお礼させて下さいよ」

ともこ「いえいえ、そんなの悪いわよ…」

撫子「遠慮しないで」

ともこ「でも…」

撫子「お願いします。お礼させて下さい」ゲザァ

ともこ「顔をあげて!!?」ガーン

ともこ「分かったわ。じゃあ、少しだけお邪魔させてもらうわね♪」ニコッ

撫子「……」

櫻子「…ねーちゃん?」

撫子「ほら、もう行くよ。手洗っといで」

櫻子「家に帰ってから洗っても、同じなのになぁ…」スタスタ

パタン

櫻子「……」ジャー

櫻子「…あれ? なんか、忘れてるような」

櫻子「ま、いっか♪」

―――――


まり「う~…おねーちゃん……」グスッ

花子「あ~、もう! 大丈夫だから、泣くなし!!」

まり「…ほんと? ほんとに大丈夫なの?」

花子「はぁ…。櫻子どこったし!? お姉ちゃんもどこまで探しに行ったし!?」

まり「はぅ…おねーちゃんも迷子なの?」

花子「花子は迷子じゃないし! 迷子された方だし!」

まり「おねーちゃん…」

ギュッ

花子「!?」ドキッ

花子「い、いきなりなんだし!?///」

まり「まりが居るから大丈夫だし!」

花子「真似すんなし!!」イラッ

タタタッ

結衣「はぁ…はぁ……。まりちゃん、こんなことに居たのか」

まり「あっ、おねーちゃんだし!」トテテ

結衣「えっ、なにその語尾…?」チラッ

花子「」ビクッ

結衣「あなたがまりちゃんを保護してくれたんだね? ふふ、ありがとう」ニコッ

花子「…イ、イケメンだし!!///」

あかり宅


向日葵「……」

向日葵「…赤座さんがトイレに入った今がチャンスですわよね?」パカッ


Ω:歳納先輩
件:ひまっちゃん知ってるー?
――――――――――
あかりのねーちゃんって、中高生徒会長だったんだよ~。
だからさ、この機会に髪の毛の1本でも御守りに拾っとけば?

… E N D …
――――――――――


向日葵「効果の程は期待してませんが、これを聞いて見逃す手はありませんわ!」

向日葵「確実に赤座さんのお姉さまの髪の毛が手に入る場所と言えば…」タッタッタ

《おねえちゃんのへや》

向日葵「ありましたわ! …えっ?」

《立入禁止》

向日葵「……」

向日葵「…わたくしとしたことが――」

向日葵「人のプライベートに立ち入ろうだなんて、どうかしてましたわね」

向日葵「諦めて、台所に戻りましょうか……あら?」

向日葵「なにやら、扉に挟まって…」スッ

向日葵「……」

向日葵「///」ボッ

向日葵「なんですの、これ!? パ、パンツ!?///」

ギィィ…

向日葵「あっ、扉が……えっ」

バッ!!(※1カメ)

ババッ!!(※2カメ)

ドーン!!!(※3カメ)

向日葵「ここここれは…一体……?」

向日葵「部屋中が…部屋中が赤座さんでいっぱいで……!?」

向日葵「ハッ!!」

向日葵「このパンツ、もしかして!!!」チラッ

《あかざあかり》

向日葵「」サーッ

向日葵「…わたくしは、一体どうすればいいんですの?」

タッ…タッ…タッ…

向日葵「足跡が、近付いてきますわ。…赤座さんがわたくしを探しに来たのね?」

ヌッ

向日葵「赤座さん、大変なんですの!!あなたのお姉さまのお部屋が!!!」バッ

あかね「あらあら、私の部屋が何かしら?」ニコニコ

向日葵「」

向日葵「―あ、赤座さんの…お姉さま……ですの…?」カタカタ

あかね「そうね、私はあかりの姉だけど」ニコニコ

向日葵「どどどどうも、お邪魔していますっっ!!!」ペコッ

あかね「あら、礼儀正しくていい子ね♪」ニコニコ

向日葵「おほほほめにあずかって光栄ですわっっ!!!」

向日葵「で、で、では!! 赤座さんが待っていますので、これでっっ!!!」

あかね「」ニコニコ

向日葵「えっ…」

あかね「」ニコニコニコニコ

向日葵「あ、あの…」

あかね「」ニコニコニコニコニコニコニコニコ

向日葵「きゃぁ……むぐっ!?」グイッ

向日葵「んむぅぅぅ、んむぅぅぅぅぅ!!!」ズルズル


パタン

それから


ちなつ「京子先輩…。お茶が入りました……」スッ

京子「ありがとう、ちなつちゃん!」ソッ

ピトッ

ちなつ「あっ…///」ポッ

ちなつ「もう! ワザとそういうことするの止めて下さいよ!!///」プンプン

京子「あはは、ごめんごめん♪」

ちなつ「っ///」カァァ

ちなつ「…これで、また返事はお預けですね!!」プイッ

京子「そんなぁ~」ガーン

ちなつ「あっ、そういえば。やっぱり、2人共ドーナツ分けてくれましたよ!」

京子「ありゃ、偶然。こっちも結衣がドーナツくれたんだよ!」

ちなつ「えっ、私はこんなに食べられませんよ!?」

京子「大丈夫だよ、私が3人分食べるから!!」

ちなつ「…ぷっ、ふふ。頼りにしてますよ、京子先輩♪///」ニコッ

ともこ「…今、何時くらいかしら?」ムクッ

撫子「さぁ? どこの学校も終わってる時間だとは思いますけど」

ともこ「私はこれで、妹に償えたのかしらね?」

撫子「…なんの話をしてるんですか?」

ともこ「いえ、私のせいで妹の人生を狂わせちゃったみたいなのよ」

撫子「はぁ、そうですか」

撫子「…まぁ、あなたの為ならいくらでも胸を貸しますよ」

ともこ「撫子ちゃん…」

撫子「今度はともこから」

ともこ「えぇ…」


櫻子「向日葵の作ったドーナツも美味い♪」モシャモシャ

ピンポーン

結衣「…京子?」

花子「花子だし!」ピョンピョン

結衣「はは、花子ちゃんか」ガチャッ

花子「お邪魔します!!」トテテ

結衣「今、お茶入れるからね。あと、昨日のドーナツの残りも…」

花子「は、花子も手伝うし!!///」

結衣「へぇ、花子ちゃんお茶入れられるんだ。偉いね」ニコッ

花子「///」ズキューン

結衣(ふふふ、花子ちゃんはちっちゃいのに頑張りやで可愛いな)※子供好き

花子(花子が16の時に、結衣お姉さまは24! …余裕だし!!)※ガチ

楓「……」

向日葵「」ソワソワ

楓「…お姉ちゃん、どうしたの?」

向日葵「!!」ドキッ

向日葵「な、ななななんでもありませんわよ!?」

楓「?」

楓「…それじゃ、楓は先にお風呂入って来るねっ!」トテテ

パタン

向日葵「……」

ガチャッ

向日葵「…うふふ、これが無いと癒やされませんのよね♪」パパーンツ

向日葵「さて、楓がお風呂から上がるまで《お姉ちゃん大好き》を読みましょうか!」

向日葵「―はぁ…。妹最高ですわ……楓、大好きよ♪///」


お わ り !

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