P「朝起きたら何故か美少女になってた」(972)

 

P「おはようございます」

小鳥「おはよ……って、アイドル志望の方ですか?」

ごめん俺アイマスキャラの名前しかわかんなかった

P「……普段いわゆるアイドルを見慣れている俺から見ても、
  これはちょっと奇跡的な造形だと思える美少女だ」

くるくる

P「14、5歳ぐらいだろうか……
  すらりと伸びたしなやかな四肢、きめ細かな白亜の肌、
  夜を溶かし込んだような黒髪に、満月を浮かべたような瞳、
  桜の花びらのような薄い唇……」

どうぞ続けて

P「そしてなにより……こほん、」


~♪
   ~♪
 ~♪


P「……この声。
  話す声はカナリアがさえずるようだし、
  歌声は春風が草原を吹き抜けて行くような……
  千早も目じゃないぞこれは」

……フニッ

P「……出るべきところも、適度に出ている。うん。適度に」

P「しかし、あれだな、……この子。
  俺はこの子を見たことがある。
  いや、見たことは無いが、確かに知ってる。

  この子は――――」


ジリリリリリッ


P「――――とりあえず、出社しないと。
  しかし、どうやって皆に説明したもんかな……
  まぁ今は考えてても仕方無いか。
  ……服は、……」

P「……ジャージで出て、駅のユニクロかどこかで適当な服を買うか。
  化粧……は、別に要らないな、うん」


がさごそ


P「……俺は行方不明とかって扱いになるのだろうか。
  皆に心配掛けることになるかもしれないな……」

あげ

P「……さぁて、突っ立ってても仕方無い。
  とりあえず事務所の中に入るか」


ポンッ


P「ん?」

社長「やぁ、おはよう!
   早速来てくれたのだね。765プロ一同、君を歓迎するよ!」

P「は、はぁ……」

社長「さぁさぁ、中に入りたまえ!」

P(……どう言うことだ?)

 

社長「……と言うわけで、我が社は常に新しい人材を求めているわけなのだよ」

P「……」

社長「何か、質問はあるかね?」

P「えっと……今765プロのプロデューサーって、一体誰が……?」

社長「あぁ、そうだね。
   そろそろ来ているはずだから、君に紹介しよう。
   ちょっと待っていてくれたまえ」

P(……)

律子「私がプロデューサーの秋月律子よ。
   これからよろしくね」

P「……プロデューサーはりつ……秋月さん一人だけなんですか?」

社長「あぁ……今はそうだね」

律子「私じゃ不安かしら?」

P「いえ……」



P(……なんだろう、この違和感は。
  いや、俺がこんな美少女になってる時点で違和感もなにも無いんだが……)

落とさない

律子「さて、それじゃあ、改めて自己紹介してもらえるかしら」

P「えっと……」





P(しまった、勢いに流されてて何も考えて無かった。
  なんかもう色々まとまってる体で話が進んでるし、弱ったな……

  ……まぁ、社長の手元の履歴書と名前だけ合わせれば、
  あとはなんとかなるか。
  履歴書なんか書いた覚えはないが……)

P「えー、俺、あ、いや、私の名前は赤羽根P子、です。
  特技は……あー、歌とか?
  まだなんにもわかりませんが、一つよろしくお願いします」ペコリ

律子「……ひょっとして緊張してる?」

P「えぇと、まぁ、はい、……多分」

律子「……とりあえず、レッスンスタジオで一通り様子を見せて貰いましょうか」

P「はぁ、わかりました」

社長「それじゃ律子君、あとはよろしく頼むよ」

律子「はい」

社長「P子君も、頑張ってくれたまえ。期待しているよ!」

P「は、はい」

律子「さてと、それじゃあまず歌なんだけど、
   何か得意な曲とか好きな曲はある?」

P「えぇと、……765プロのアイドルの曲なら、大体どれでも歌えます、多分」

律子「ほんとに?
   ……『蒼い鳥』とか、結構難しい曲でも?」

P「あぁ、その辺りなら大丈夫です」





P(千早の練習に散々付き合ったしな……)

P「んっ、んんっ、あー、あーあー。
  らー、らー、まー、まー。
  んー……いけるかな」

律子「……それじゃ、曲流すわね」

P「はい」



~♪
   ~♪
 ~♪



P(……歌うのって、こんなに気持ちいいんだな。
  知らなかった)

~♪……


P「ふぅ。ありがとうございました」ペコリ

律子「……」

P「……ど、どうでした?」

律子「……あっ、ごめんなさい。
   ちょっと放心してたわ。
   あなた……如月千早は好き?
   何というか、相当研究してるみたいだったけど」

P「あ、やっぱりわかります?」

律子「でも、曲としては……ほとんどあなたのオリジナルになってるわね」

P「はぁ。
  えっと、好きに歌わせてもらいましたし……」

律子「……歌は、正直文句ないわ。
   すごい素質があると思う。
   それで、ダンスの方はどうかしら」




P(……どうなんだろう?
  さすがにダンスは勝手がよくわからんな)

P「ちょっと、身体動かしても良いですか?」

律子「えぇ、もちろん。
   柔軟体操なら手伝うわよ?」

P「あー、お願いします」

律子「じゃあ、開脚から」

P「はい。えーと……おおっ?」ぐぐぐぐっ……


……ぺたん。


律子「……私が手伝うまでもなかったわね」

P「は、ははは……」

P(すげぇ、180°開脚から、完全に上体が床に密着してる。
  全然苦しくない。むしろ、身体が伸びて気持ちいいぐらいだ。
  今更気付いたが、この身軽さって、
  単に体重とか体格だけの問題じゃなかったんだな……)

律子「……新体操かバレエの経験は?」

P「え、いや、ありません」ぐぐっぐぐっ

律子「そう……すごいわね」

P「よし、とりあえずこんなもんで」

律子「ダンス経験は無いのよね?」

P「はい……あ、でも振り付けなら覚えてますよ」

律子「振り付け? どの曲の?」

P「……765プロのアイドルの曲なら大体全部?」

律子「……じゃあ、とりあえず『私はアイドル』とかは?」

P「あ、はい、大丈夫ですよ」



P(……多分)

~♪
   ~♪
 ~♪

P(うわっ、すっごい身体が動くぞこれ。
  指先から表情まで全部自分の考えた通りに動いてるみたいだ。
  真とか響はいっつもこんな感じだったのか……
  そりゃ、これだけ動ければダンスが好きになるわけだな。
  飛んでるみたいで、歌も歌えて、すごく楽しい)



律子「……」

P「はぁっ……ふう、こんな感じだったかな?」

律子「……歌まで入れて、その完成度とわね。
   と言うか、ほんとにダンス初心者なの?
   歌はともかく……いや、歌にしてもとても素人ってレベルじゃないけど、
   その身体の動き方はどう考えても素人じゃないわ」

P「えぇと、……どうしてなんでしょうね? あはは……」

律子「……とりあえず、これからのことはまた考えましょう。
   もう着替えて事務所に戻って良いわよ。
   そろそろ何人かはうちの子たちも来てると思うから」

P「あ、はい。わかりました。
  ありがとうございました、り……秋月さん」ペコリ

律子「……律子でいいわよ」

P「え、あ、はい、律子さん」





律子「……」

律子「……と、言うわけで、今日からこの765プロで一緒に活動することになった、
   赤羽根P子ちゃんよ」

P「えぇと、は……はじめまして。
  赤羽根P子です。よろしくお願いします」ペコリ



春香「……」

千早「……」

雪歩「……わぁ……」

美希「……」

やよい「うっうー! すっごく綺麗な人ですー!」

貴音「……まことに……私としたことが、少々言葉を失ってしまいました」

P「そんな大袈裟な……」

律子「……何人か居ない子もいるけど、
   まぁそのうち顔を合わせることになるわね。
   とりあえず、仕事まで今居る子たちとお喋りでもしてて頂戴。

   みんな、仲良くね?」

春香「……えっと……こ、こんにちは?」

千早「あの……」

貴音「……」


P(千早はともかく、春香や貴音まで萎縮するなんてな。
  確かに、俺も今朝は鏡を見て言葉が出なかったが……
  いやいや、このままじゃ仕事に影響が出かねん。
  早いうちに打ち解けないと不味いな。

  ……よし)

P「やよ……じゃなくて、高槻さん!」

やよい「は、はいっ!」

P「はいたーっち!」バッ

やよい「あっ、た、たーっち!」パシッ

P「いぇーい!
  ……あ、いきなりすみません。
  ずっとファンだったので、一回どうしてもやって欲しくて……
  ありがとうございます」ペコリ

やよい「えーっ、ほんとですかーっ!?
    嬉しいですーっ!
    あっ、私のことはやよいって読んでください!!
    あと、敬語じゃなくっていいですよ!」

P「いいんですか?
  じゃあ……やよい、これからよろしくね?」

やよい「うっうー! よろしくおねがいしますー!」



P(……これでどうだ?)

春香「あ、……あはは、すみませんなんか、緊張しちゃって」

P「俺もまだよくわからないことだらけで……」

千早「……俺?」

P「あっ」

やよい「P子さん、自分のことオレって言うんですかー?」

P「あー、いやー、ははは……」

やよい「かっこいいですーっ!」

春香「そ、そうだねっ!
   なんと言うか、……ねぇ千早ちゃん?」

千早「え? そ、そうね、えと……こんな綺麗な人が、ね?」

P「へ、変かなやっぱり」

やよい「そんなことないですよ!」

貴音「……とても、不可思議な雰囲気ですね」

P「あはは……」



P(……良かった、のか?
  まぁ、下手にボロが出るよりはいいか……
  しかし、次からは気を付けないとな)



貴音「……失礼ですが、二三よろしいでしょうか?」

P「え? あぁ、はい、どうぞ」

貴音「以前、どこか他の事務所であいどる活動をされていたことは?」

P「い、いえ、ここが初めてですよ?」

貴音「……そうですか。
   では、らぁめんはお好きですか?」

P「ら、ラーメン?
  えっと……はい、好きですよ」

貴音「それは重畳です。
   今度ぜひご一緒いたしましょう」

P「は、はぁ、喜んで」

P(貴音はなんか……見透かされてるみたいな気分になるな、やっぱり)



春香「あ、私のことも名前で呼んでね!
   敬語も別にいいよ!」

P「そう?
  じゃあ……春香も、今日からよろしくね」

千早「私も別に構わないのだけれど……P子さん、で良いかしら?
   P子さんはいくつなの?」

P「えっと、えと、……15歳、かな」

千早「じゃあ、美希や伊織と同い年ね」

春香「美希もだけど、私より大人っぽく見えるかも……」

貴音「しかし、同時に伊織と同い年と言われても、
   違和感が無いような……」

やよい「ふしぎですー!」

P「じ、自分ではよくわからないかな……あはは」

美希「……すっぴんでそれなら、お化粧次第でガラッと変わると思うな」

P「あ、あぁ、そうかな、なるほど」

美希「普段あんまりお化粧とかしないの?」

P「え? う、うん、まぁ」

美希「……すっごく勿体ないの。
   ちょっとミキがしてみてもいい?」
P「あ、うん、いいよ、おねがいします」ペコリ

美希「同い年なんだから敬語はナシなの。
   えーっと、こっちのと……」

やよい「うっうー! 楽しみですー!」

P「あはは……どうなるやら」





P(ひとまず、ここにいる面子とはある程度打ち解けられたな。
  色々考えなきゃならんことは山積みだが、……

  ……と言うか、これってマジで俺もアイドルやる流れだよな?)

美希「できたの。……」

春香「……」

貴音「これは……」

やよい「す、す、すっごいですー!」

美希「……鏡、どうぞなの」

P「あ、ありがとう。
  んん……

  ……お、おぉう……」





P(テレビ局でも、オーディション会場でも、
  ここまでの美少女はなかなか見たこと無いな……)

美希「……なんか美希、ちょっと自信なくしちゃったの」

春香「あはは、……私も……」

貴音「二人とも、そのようなことは言うものではありませんよ。
  ……しかし、これは……『美しすぎる』とでも言いましょうか……」

やよい「ふわぁあー……なんか思わずため息が出ちゃいます……」






P(正直、ちょっと自分でもそう思う)

千早「……P子さんは、歌とかダンスは好き?」

P「え、えと、まぁ、……好き、かな?」

春香「これで歌とダンス出来たら、
   トップアイドル間違い無しなんじゃないかなーって……」

美希「……」

貴音「もしくは演技などでも、ですね」

やよい「P子さん、なにをやってもすっごくかっこよさそうですー!」

P「い、いや、俺なんてまだまだ、うん」

美希「……ミキ、レッスンスタジオ行ってくるね」ガタッ

春香「あ、美希!……あ、あはは、ちょっとごめんね!」

貴音「……」

やよい「美希さんどうしたのかな?」

千早「……気を悪くしないでね?」

P「あ、あぁ、俺は大丈夫、だけど……」





P(不味い気がする)

貴音「……二人が心配ですが、私とやよいはもうここを発たなくてはなりませんね」

やよい「あっ、ほんとですー!」

千早「私は……もう少しここで待機して、雪歩達と入れ違いで出発ね」

P「あ、えっと……気を付けて、行ってらっしゃい」

やよい「うっうー! 行ってきまーす! またお話ししてくださいねー!」

貴音「では、また後ほど」

P「うん、また後で」フリフリ

千早「……」

P「……なんか、俺、美希に悪いことしたかな?」

千早「いいえ。それは無いわ。
   ただ、美希は少し焦ってるだけだと思う」

P「焦る……?」

千早「なかなかBランクから先に進めないことと、……
   あなたみたいな、才能のある人が急に入ってきたことについて」

P「……そんな」

千早「あなたは、何と言うか……
   まるで、アイドルになるために生まれてきたみたい。
   美希も少なからずそうだと思うけどね」

P「……」

千早「まぁでも、私達はまだ全然あなたのことは知らないし、
   これからもっとお互いのことをよく知り合えば、
   良いライバルみたいな関係になれるんじゃないかしら」

P「そう……かな」

千早「別にそんな難しく考えなくても大丈夫よ。
   じゃあ、私もそろそろ行くから。
   すぐに入れ違いで人が来ると思うけど、……
   ……ギョッとされても、まぁ気にしないで」

P「うん……いや、気にはなると思うけど……」

千早「ふふ。
   じゃあ、また」

P「行ってらっしゃい」フリフリ

P「……」



P(……プロデューサーとしては美希の扱い方にも大分慣れてたつもりだったが、
  同じアイドルって立場に立つと、また色々見え方も変わるもんなんだな……)


……ガチャッ、


真「それで伊織のやつ、ボクの鞄に……」

雪歩「えぇー、そうなんだ。……」



P「あ……こんにちは」ペコリ

真「……」

雪歩「……」

P「えっと、今日から765プロでアイドルとして活動することになった、
  赤羽根P子、です。よろしくお願いします」ペコリ

真「……」

雪歩「……私、お茶淹れて来ますぅ……」

真「えっ、あっ、ぼ、ボクもっ!」






P「……ちょっと予想はしてた」ポツーン

真「えっ、と、赤羽根、さん?」

P「あ、もしよかったら、P子でいいですよ」

雪歩「あのあの、熱いから気を付けてくださいですぅ……」カタン、

P「ありがとうございます」ペコリ

雪歩「ひうっ……ど、どういたしましてー……」

P「……敬語じゃない方がいいかな?」

真「あ、……うん、そう思う」

真「それにしても……驚いたよ。
  いきなり事務所にこんな綺麗な人がいるなんて」

雪歩「な、なんだか緊張しちゃいます……」

P「あはは……なんか美希に化粧されちゃって」

真「それにしても……うぅ、可愛い服とか似合いそうで羨ましい……」

雪歩「……わ、私は穴掘って埋まってますぅ」

P「わーっ! 落ち着け!」

P(ひ、久々にみたな、雪歩の発作……)





真「それで、P子はどうしてアイドルに?」

P「どうして……えっと……?」

真「例えば雪歩は、引っ込み思案な自分を変えたくて、
  アイドルを目指したんだってさ」

雪歩「はいぃ……そうなんです……」

真「ボクはまぁ……たくさん可愛い服を着たりとかごにょごにょ……」

真「と、とにかく、何か目標とかあるのかなーって」

P「目標……」



P(正直、何も考えてなかったが……なんだろう。
  何かが引っかかるような……うーん……?)



真「そ、そんな考え込まなくても」

雪歩「でも、……とっても綺麗な表情……」

P「え?」

雪歩「あっ、ごっ、ごめんなさいですぅー!」

真「……確かに、仕草の一つ一つに迫力があると言うか」

P「そ、そうかな?」

雪歩「息するのを忘れちゃいそうですぅ……」

真「うん、なんか……上手く言えないけど、すごい」

雪歩「こんな人が歌ったり踊ったりしたら……」

真「……」

雪歩「……」






P(あ、なんかデジャヴだぞ)

P「あの、雪歩?」

雪歩「ひゃ、ひゃいっ!?」

P「えと、お茶の淹れ方、教えてもらってもいい?」

雪歩「あ、わ、私が、P子さんに、ですか……?」

P「うん。
  ここの勝手がまだよくわからないから」

雪歩「わ、私なんかでよければ……」

真「あはは、ボク達一応先輩だもんね」

雪歩「せん、ぱい……えへへ……」

雪歩「ここの棚にお茶の葉があるんですぅ」ガラッ

P「なるほどー」


P(とりあえず、セーフ、か?
  真もナイスフォローだ。
  しかし、どうも個々人への対応を予め考えとかないと、
  なんか俺がいるだけでえらいプレッシャーになるみたいだな……

  ……とりあえず、今日の所は律子に言って、そろそろ引き上げるか)

……ガチャッ、
バタン


P「……ふぅー、疲れたぁ。
  なんか無意識のうちに美少女キャラってのを作っちゃうんだよなぁ。
  これがいわゆるアイドルってやつなんだろうか……
  しかし、あいつらいつもこんなことやってるのか。
  凄いというか何というか。

  そう言えば、律子にも今後のやりたいことを考えてくれなんて言われたけど……」

P「……冷静に考えて、だ。
  今俺がいわゆるアイドルとして売り出されたら、
  千早はともかく、他のアイドルの仕事を間違い無く食っちまうよな……

  それは、いかにも不味い。
  特に美希とかへのフォローはかなり難しそうだ。
  しかし、かと言って手を抜くわけにも……

  ……待てよ。



  そもそも、俺は今、誰なんだ?」

P「社長に渡した履歴書に問題がなかったってことは、
  戸籍や住所は、赤羽根P子として存在するってことか?
  しかし、この部屋には明らかにプロデューサーとしてのPの生活痕がある。
  にもかかわらず、事務所の誰もPのことを口にしない……

  ……ダメだ。
  さっぱり掴めん。

  ……とりあえず、保険証でも探すか……」ごそごそ

P「……あった。
  保険証。赤羽根P子……
  でも、Pの保険証や免許証は無い。



  ――――消え、てる?



  ……PとPの身分を証明するものは消えて、変わりに今の俺が現れた。
  765プロに所属する新人アイドルとしての赤羽根P子。……」

P「……お前の、いや、俺の目的は、一体何だ?」



~♪
   ~♪
 ~♪



P「うおっ!……なんだ、律子から電話か。
  ……はい、もしもし」

律子『もしもし。
   今、時間大丈夫?』

P「はい、大丈夫ですよ」

律子『そう?
   じゃあ、どうだった? アイドル一日目は』

P「はぁ、何というか……疲れました」

律子『でしょうね。
   でも、やよいはすっかりあなたに懐いてたわよ』

P「美希には、あんまり良くない印象持たれたかなー、と」

律子『まぁ、良い刺激にはなると思うわ。
   ……でも、社長もとんでもない逸材を見付けて来たものね』

P「はぁ」

律子『あなたは、売り出せば間違い無く大ブレイクするわ。
   それは私と社長が保障する。
   容姿、歌唱力、ダンス、どれもずば抜けてるもの』

P「……」

律子『まぁ、これからの話は、またゆっくりしましょう』

P「……あの」

律子『なにかしら?』

P「……いえ、なんでもありません」

律子『そう?
   じゃ、また明日ね』

P「……はい」



……プツッ、ツー、ツー、ツー、……



P「……目先の功を取っては、大局を失う。
  このパターンは覚えてるぞ」

律子「……なんですって?」

P「だから、私はしばらくオーディションを受ける気はありません」

律子「……」

P「律子さんは、他のアイドル……特に、美希を重点的に見てあげてください」

律子「そこまで言うなら、納得の行く理由を説明してもらいましょうか」

P「……それは、……」

P「……」

律子「……言えないの?」

P「今、赤羽根P子を本格的にデビューさせたら」

律子「……」

P「……成長の止まるアイドルが必ず出てくる」

律子「――――」

P「赤羽根P子をデビューさせるだけでは、
  他のアイドルに無用な焦燥感を与えるだけになってしまう」

律子「……なんであなたにそんなことが」

P「わかります。
  とにかく私は、765プロで、皆と一緒に、
  先輩アイドル達と一緒に、頑張りたいんです。
  そのためには、これからの準備期間は必要不可欠です」

律子「……」

P「もとより社長にスカウトされた身です。
  この条件を呑んでもらえないなら、私は765プロを辞めます」

律子「……アイドルに気圧されるなんて、私もまだまだ半人前ね」

P「……」

律子「わかったわ。
   あなたの言うことにも一理あるし、その自信が慢心じゃないのもわかる。
   しばらくは好きにしなさい」

P「ありがとう、ございます」

律子「……そこまで大見得切ったんだから、
   他の子のことも、よろしく頼んだわよ」

P(……とりあえず、言質は取ったな。

  そうだ、俺は、今はこんな姿でこんな立場だが、
  そもそも俺はあの子達のプロデューサーだ。
  それを忘れなければ、自分を見失うことはない。

  むしろ、今の状況を有効利用しないとな。
  俺は今、トップアイドルの素質を持った、プロデューサーなんだ)

寝て起きたらバイト行ってくる

夜には帰ってくる
落ちたらそれまで
元々見切り発車の乗っ取りだし、そんな大した話にはならんよ

P(さて、美希……は後回しだな。
  まずは外堀を埋めて行くのが得策だろう。
  ともすれば、自力で良い方向に向き直るポテンシャルもある。
  差し当たり、予定の合ったアイドルから順になんとかして行くか。
  自分の能力を生かし切れていないのは美希だけじゃないからな……)



響「あ、あの子か? 噂の後輩は……」

真「う、うん」

響「腕を組んで自分達の予定表を眺めてるぞ……
  自分、ひょっとして何か怒られるんじゃないか……?」

真「そんな気がするよね、なんか……
  多分大丈夫だとは思うけど……」




P「……」ジーッ




響「うぅ……」

真「す、すごい威圧感が……」

P「……よし」



真・響「!」ビクッ

P「えぇと、真と、我那覇、さん?」

響「ひ……響でいいぞ」

P「ありがとう。
  じゃあ、響と真、いきなりなんだけど、
  今からちょっとレッスンスタジオに付き合ってもらってもいい?」

真「レッスンスタジオ?
  ボクは別に構わないけど……」

響「じ、自分も大丈夫だぞ。
  けど、なんで……?」

P「……二人とも、ダンスが凄く好きだって聞いてたから。
  俺も最近になって初めてダンスしてみたんだけど、
  自分ひとりで練習するより、二人と一緒の方が楽しいかなって。
  それに……早く仲良くなりたいし」

真「……そう言うことなら、大歓迎だよ。ねぇ響?」

響「う、うん。
  自分も早く……P子と友達になりたいさー!」

P「よかった。
  じゃあ、今日は一つよろしくお願いします、先輩」ペコリ

響「せ、センパイかぁ……」

真「なんかくすぐったいね」

P(ここまでは良し……問題はここからだ。
  いきなり全力投球したら、二人ともドン引きするのは目に見えてる。
  まずは向こうにペースを作ってもらわないとな)





真「……やっぱり、怖い人じゃなかったね、P子」ヒソヒソ

響「だな。
  自分、P子とはすぐ仲良くなれそうな気がするぞ」コソコソ

真「身体、柔らかいなぁ」グッグッ

響「すごいぞー!」ググーッ

P「そうかな?」ペタン

真「P子はダンスに向いてるかもね」

響「自分も負けてられないぞ!
  真、もっと強く押してくれ!」

真「こう?」グイイーッ

響「痛い痛い! 強すぎっ強すぎっ!」

P「あはは」

真「んじゃあ、何か適当に曲流そうか」

響「765プロの誰かのにする?」

P「んー……せっかくだから、ダンスメインの方がいいかな?」

真「お、チャレンジャーだね、P子。
  じゃあ、……定番のダフトパンクとかにする?」

響「おおー、あれかー! テンション上がってきたぞー!」

P「お手柔らかにお願いするね」ペコリ

~♪
   ~♪
 ~♪


真「じゃあ、まずは軽く身体を動かす感じで」

響「別に振り付けとか気にしなくて良いから、
  リズムに乗っかっていく感じでな?」

P「はーい」

真「いち、にー、よっ、ほっ」キュッキュッ

響「わん、つー、さん、しっ」キュックルッ





P(えぇと、こんな感じか?)キュッダンッ

真「おぉ! いいね、今の!」

響「その調子だぞ!」

P「うん、なんとなくわかった」

真「じゃあ、こんな感じのはどうかなっ」キュッ、キュッ、タットッタッ

P「えっと、」キュッ、キュッ、タットンッダンッ

響「それ格好いいな!」キュッ、キュッタンッタットッタンッ

P「おっとっと」キュッ、キュッタンットタタッタンッ

真「すごいすごい!
  めちゃくちゃセンスあるよ!」

響「自分たちも良いところ見せないとな!
  センパイとして!」

真「だね!」

P「あはは、付いて行けるかな」






~♪
   ~♪
 ~♪

真「はぁっ、はぁっ……」

響「ふぅっ、はぁっ……」

P「はぁー……はぁー……
  ……えぇと、どうだったかな?」

真「どうもこうも……ねぇ?」

響「あぁ……そうだな……」

P「……」

真「P子」

P「は、はい」

真「最高だったよ、時間があったらまた絶対一緒にダンスしよう!」ガシッ

響「じ、自分も混ぜてくれなきゃやだぞー!」ギュッ

P「あ、あはは、うん、こっちこそ、またお願いするよ」






P(……とりあえず、第一関門は突破、と。
  まだまだこれからだな)

真「じゃあ、ボク達はこれから収録があるから、もう行くね」

響「また絶対一緒だからなー!」

P「うん。今日はありがとうね、先輩」ペコリ

真「な、なんかやっぱり照れちゃうな」

響「センパイかー……へへへっ」




……バタン、

P(……あの二人は……今はBランクか。
  やっぱりどちらも、あと一押しって所だな。
  Aランクは充分射程圏内にある。
  その一押しのための、ちょっとした準備さえすれば……)




千早「……考え事してるのかしら?」

春香「かなぁ……いちいち絵になるね」




P(さて、次は……)

P「えっと、千早はこれからちょっと時間ある?」

千早「えぇ、しばらく空いてるわ」

P「春香……は、これからまた撮影だっけ?」

春香「う、うん。何か用事だった?」

P「ちょっと一緒にレッスンスタジオで自主練したくて。
  親睦会って意味も含めて」

春香「あー、いいね、それ。
   今度、時間がある時にまた誘ってほしいなぁ」

P「もちろん。
  お仕事、頑張って来てください、先輩」

春香「や、やだもう、P子ちゃん」テレテレ

千早「良かったわね、春香。可愛い後輩が出来て」

春香「千早ちゃんまで! も、もうっ、行ってきまーす!」

千早「ふふふ……」

P「あはは」





P(……予定通りならそろそろ……)

ガチャッ、


やよい「うっうー! ただいまですー!」

千早「高槻さん、お帰りなさい」

P「お帰り、やよい」

やよい「あっ、千早さんとP子さん!」

P「ちょうど良かった。やよいにも来てもらって良いかな?」

千早「私は当然構わないわよ」

やよい「え? え? なんのお話ですかー?」

小休止

やよい「P子さんと千早さんと歌の自主練ですかー……」

P「嫌、かな?」

やよい「いえいえとんでもないですー!
    ただ、なんと言うかその、私なんかがいていいのかな、って……」

P「……初日にも言ったけど、俺はやよいのファンなんだからな?
  当然やよいの歌も好きなんだ」

やよい「あ、あわわわっ」モジモジ

P「だからこっちから頭下げてお願いしたいんだよ。
  ……お願いします」ペコリ

やよい「あっ、頭をあげてくださいぃー!
    私で良ければ、頑張ってお供しますからっ!」

P「やった。ありがとうございます、先輩」ニコッ

やよい「うううぅ、すっごく嬉しいけどやっぱり緊張する……」

千早「私も高槻さんの歌、素敵だと思うわ。
   とっても可愛くては、元気があって、楽しそうで……」

P「聴いてると自然に歩調が速くなるような、
  笑顔で走りたくなるような歌声だよ」

千早「……P子さん、よくわかってるわね」

P「あはは」

やよい「はっううぅ……恥ずかしいです……」

千早「とにかく、いつも通りでいいのよ」

P「そうそう。自主練なんだからこそ楽しく歌わないと」

やよい「……うっうー、わかりましたー!
    私、頑張りますよーっ!
    でもP子さんの歌も気になります!」

千早「それは私もね。
   すごく魅力的な声だと思うのだけど」

P「あはは……お手柔らかに」

千早「じゃあ、ウォーミングアップしたら、曲を決めましょうか」

やよい「はーいですー!」

P「了解だ。

  んっ、んんっ、あー、あー、あーあー、……」




千早「……」

やよい「……うわぁ……綺麗な声……」




P(ここまではとりあえず上手く行ってる……多分。
  しかし、千早相手には手は抜けない……)

P(しかし、歌で現在の765プロ唯一のAランクアイドルになった千早なら、
  真っ向勝負になっても……いや、真っ向勝負しないと意味がない。
  それに、どうせ遅いか早いかの違いだ)



P「らーらー、らららら……こんなもんかな」

やよい「き、聴きほれちゃいました」

千早「……負けてられないわね」

千早「それじゃあ……とりあえず、それぞれ何か一曲歌ってみようかしら?」

やよい「うっうー! 準備OKですー!」

P「あぁ。
  千早からでいいのか?」

千早「そうね。……『目が合う瞬間』にしようかしら」

やよい「うわぁ!
    楽しみですー!」






P(さすが千早、いきなりぶつけてきたな)

超えなければならない壁だな
いろんな意味で

~♪
   ~♪
 ~♪


やよい「……」

P「……」





P(……思い出すな、この曲も何度も千早と練習したのを。
  あの時よりも、もっと良い歌になってる。
  訴えかけてくるような歌声だ。すごい。

  ――――だが、今一歩。
  千早は、まだ歌手として一歩、アイドルとして三歩は成長できるはずだ)

千早「……ふぅ、今日は調子が良いわ」

やよい「やっぱり千早さん素敵ですー!」パチパチパチ

P「さすがに、……圧倒されるね」

千早「ふふふ。先輩としての意地があるからね」

やよい「わ、私も頑張らないと……!」

P「それじゃ、次は……俺でいいかな?
  今の千早の歌を聴いてたら、これ歌いたくなっちゃったよ」



~♪
   ~♪
 ~♪

千早「……!」

やよい「……『隣に…』かぁ」





P(よし……真っ向勝負だぞ、千早。
  この曲に関しては、俺もまだまだ未知な部分がある。
  そこをどう埋められるか、今の赤羽根P子の実力とセンスを試す意味でも、
  今は絶好のチャンスだ。

  この見切り発車が吉と出るか凶と出るか……)

P子?

P(……よし、歌える。歌えるぞ。
  やっぱり、この身体は……赤羽根P子のポテンシャルは、
  最初から針が振り切れてる。

  それに……何より、歌うのも踊るのも、こんなに楽しい)



千早「……」

やよい「……」



P(……まぁ、そう言うリアクションになるのはわかってたけどさ)

P「はい、やよい、ハンカチ」

やよい「……あっ、わっ、私、知らない間に泣いちゃいましたー……」

P「大丈夫?」

やよい「す、すみませーん……私、感動しちゃって……」

P「あはは、ありがと」




千早「……」




P(さて……)

P「……千早、どうだったかな?」

千早「……心臓を直接掴まれて、揺らされたみたい。
   ドキドキするわ」

やよい「私もそんな感じでした!
    心が、きゅーってなっちゃいました!」

P「この歌、良い歌だからね」

千早「いえ……その良い歌を歌ったのは、間違い無くP子さんよ」

P「……」

千早「認めるわ。
   今の私には、……足りないものを、あなたは持っている」グッ

やよい「千早さん……」

ちーたん病んじゃう

千早「けど……なんでかしら。
   不思議と、悔しくはないわ。
   あなたと一緒に頑張れば、私も、もっともっと前に進める気がする」

P「……また一緒に、歌ってくれる?」

千早「えぇ、是非お願いするわ。
   私……あなたのファンになっちゃったのかも。ふふっ」

やよい「わ、私もですよーっ!」

P「あはは、これからもよろしくね?」






P(千早……さすが、千早だ。
  俺はなにより、お前のその姿勢が嬉しいぞ。
  ……次は、やよいだ)

やよい「うっうー!
    私、千早さんやP子さんみたいに歌は上手くないけど、
    元気なら負けませんよー!」


~♪
   ~♪
 ~♪


P「おおっ、『Go My Way』か」

千早「やよい、頑張って」

やよい「はーいっ!!」

やよい「千早さんの胸を借りる気持ちで頑張りますー!」

だから胸の話はいいだろ!

バストの話はいいだろ!
いい加減にしろ!

P(うん、やっぱり全くブレないやよいらしさがある。
  真っ直ぐで、暖かさと楽しさが目の前まで届いてくるような歌声。
  千早とは違って、この曲、この歌は既にやよいの中で完成してるな。
  後は、やよい自身の気持ちの伸びの問題だ。

  むしろ、やよいのアイドルとしての伸び白は、……

  ……いや、今はよそう。
  今は、やよいのこの歌を、とにかく楽しみたい)




千早「……」




P(千早も、笑顔で聴いてるしな。
  多分、俺もだが)

http://i.imgur.com/Kfa18.jpg

そりゃ響のモノは響にしかついてないだろ
まったく…

やよい「うっうー! ありがとうございましたーっ!!」

P「やっぱりやよいの歌はうきうきしてくるなー」

千早「ほんとにね。
   私は高槻さんにもかなわないわ」

やよい「そんなことないですよ!
    私、千早さんみたいになってみたいって、素直に思いますもん!!」

千早「……高槻さん」

やよい「だから……あの、えっと……うぅー……」

千早「……?」



P「千早も一緒に歌わないか?
  せっかくだし、三人でさ」



~♪
   ~♪
 ~♪

千早「えっ? で、でも、この曲……」

P「千早、ほら」

やよい「……」

千早「……わかったわ。ふふっ」

やよい「うっうー! いっきまっすよーっ!!」



「「「フレーフレー頑張れ!!さぁ行こう♪
   フレーフレー頑張れ!!最高♪」」」






P(実は、千早がこっそりこの歌の練習してたの知ってたりして。
  それにしても……良い顔で歌うな。
  やよいも、さっきより更に完成度が高くなってる。

  まぁ難しい話は抜きにしても、やっぱり歌はこうでなきゃな。

  楽しい。とにかく、楽しいもんだ)

やよい「おつかれさまでしたーっ!」

千早「おつかれさま」

P「今日は付き合ってもらってありがとう、二人とも」ペコリ

やよい「とーーーっても楽しかったですー!
    またぜったい誘ってくださいね!!」

千早「私からもお願いするわ。
   歌って、こんなにすっきりしたのも久し振りだもの」

P「うん、約束する。
  また三人で歌おう」

やよい「うっうー! 今から楽しみですーっ!」

千早「私もよ」






P(……パーフェクトコミュニケーション、なんてな。
  この二人はやっぱり一緒にして正解だった。
  明日からの二人の成長が楽しみだ。

  さてと、今日は……もう帰るか。
  あまり詰めても仕方無いしな)

……ガチャッ、


P「ただいまー、と……」


ドサッ


P「……しかし、家に帰って来て、こうして自分のスーツを見ると、
  なんとも言えない気分になるよな。

  俺はいつ元に戻れるんだろう……と言うか、元に戻れるのだろうか?

  まぁ、……考えも仕方無いのはわかってるが。
  とにかく、今日は上々だった。
  個人的にも、大いに楽しかったしな。うん。
  この調子で明日も――――」



~♪
   ~♪
 ~♪



P「――――律子か。
  はい、もしもし?」

律子『真と響、それから千早にやよい』

P「……」

律子『どんな魔法をかけたのかしら?
   四人とも、調子が良すぎて怖いぐらいよ』

P「まぁ……一緒に楽しく、歌って踊っただけですよ」

律子『……そう。
   いえ、確かにやよいは最近登り調子だったけど、
   千早はテンションにむらがあったり、
   響と真も結構なかなかAランク入り出来ないのを気にしてたりしたから、
   私もちょっと心配してたんだけど……』

P「……そうですか」

律子『でも、良かったわ。
   この分なら次のオーディションも大丈夫ね』

P「えぇ、私も、そう思います」

律子『……それじゃ、あんまり長電話しても悪いから。
   おやすみなさい』

P「おやすみなさい、律子さん」

――――プツッ
ツー、ツー、ツー、





P「……美希はどうしたんだよ、美希は」





ツー、ツー、ツー、 ツー、  ツー、……

朝まで保守すればいいんだな?

朝には美少女が再開を待ちわびてるってわけか

誰か保守時間表はってくれ

新・保守時間目安表 (休日用)
00:00-02:00 10分以内
02:00-04:00 20分以内
04:00-09:00 40分以内
09:00-16:00 15分以内
16:00-19:00 10分以内
19:00-00:00 5分以内

新・保守時間の目安 (平日用)
00:00-02:00 15分以内
02:00-04:00 25分以内
04:00-09:00 45分以内
09:00-16:00 25分以内
16:00-19:00 15分以内
19:00-00:00 5分以内

P(……ともあれ、俺の方もまだまだ準備不足だ。
  まだ一度も顔を合わせていないアイドルも居るし、……
  それに、試してみたいこともある。
  今日は少し能動的に動いてみるか……

  ……いや、まだ時期尚早だな。
  それに予定の合うアイドルも何人か居る。
  ここはぐっと堪えて、様子見に徹しよう。

  すると、今日の午前中は……)


くるっ


春香「!」ビクッ

雪歩「ひうっ……」



P(……この二人だな。
  雪歩はともかく、春香までこれだからな……
  しかし……どうにも、一筋縄じゃ行かなさそうだ)

  ( ゚д゚ ) ガタッ
  .r   ヾ
__|_| / ̄ ̄ ̄/_
  \/    /

P「二人とも、今から時間あったりする?」

春香「え、えっと……」

雪歩「その……」

P「あ、ひょっとして先に何か約束があったかな?」

春香「あの、今から私と雪歩で、今度の劇の練習しようかなー、なんて……」

P「……なるほど」

雪歩「ひいっ! ごめんなさいごめんなさいぃっ!」ビクビク

P「いやいやいや、別に気にしてないってば。
  その練習はレッスンスタジオで?」

春香「うぅん、ここでやろうかな、って。でも……」

雪歩「わ、私達、邪魔ですよね……」

P「まさか。
  むしろ、俺の方こそ、ここに居ていいのかな?」

春香「それは……私は構わないけど……」

雪歩「うぅ……緊張しますぅ……」

春香「……あ、ところで、さっきはなんで私達に声を掛けたの?」

P「あぁ、そうそう。
  実はちょうど、二人に演技について話を聞きたかったんだよ」

春香「えっ! わ、私達に?」

P「雪歩と春香は、もう何回か舞台の経験があるみたいだから、
  ちょっと参考にしたくて……
  でも、二人がここで練習してくれるって言うなら話が早いよ」

雪歩「そんな、参考になんてならないですよぅ……」

P「そんなことはないよ。
  俺は、雪歩の演技も春香の演技も好きなんだ」

春香「えっ、前の舞台、観に来てくれたの?」

P「そりゃもう、何回も。
  もうセリフも覚えたぐらい」

雪歩「ほ、ほんとですかぁ……?」





P(客席からも舞台袖からもレッスンスタジオでも、
  何回観たかわからないからな、うん)

P「と、言うわけで、一つよろしくおねがいしたいんだけど……」

春香「す、すごく嬉しいんだけど……」

雪歩「なんかどんどんハードルが上がってる気がしますぅ……」

P「いやぁ、気楽にやってもらえたら、あはは」

春香「じゃあ……セリフ合わせから始める?」

雪歩「は、はいぃ」ガサゴソ

P「……」

春香「――――、――――」

雪歩「……――――。――――、――――」

春香「――――っ!」

雪歩「――――……」





P(……見事にスイッチを切り替えたな。
  さすがやるときはやる二人だ。
  春香は素直にキャラクターに入り込もうとしているし、
  そのアプローチもおよそ間違えてはいない。

  雪歩の方は、意識してるのか無意識なのか、
  役に、セリフ毎に、多分意図されたものは微妙に違うアレンジと言うか、
  ニュアンスを感じさせる演技をしてるな。
  これは好みが分かれそうだが、役が前に出てる春香に対して、
  良い意味で役者が前に出てる雪歩か……面白い。

  やっぱり、ちゃんと成長してるんだな)

春香「……とりあえず、この辺で一回区切ろっか」

雪歩「うん……」

P「二人とも、おつかれさま。
  やっぱりすごくよかったよ」パチパチパチ

春香「え、えへへ……」

雪歩「本番より緊張したかもですぅ……」

P「いやいや、さすがだった。
  次の舞台も楽しみだなぁ、って、素直にそう思うよ」

春香「……P子ちゃんは、演劇に興味があるの?」

P「んー、うん、そうなるかな」

雪歩「すごく『女優』さんって感じがしますぅ」

P「どうだろう、自分じゃよくわからないけど」

春香「ねぇねぇ、もしよかったら、ちょっとだけセリフ読んでみない?」

P「俺が? ……うん、やってみたい」

雪歩「わぁ、見てみたいですぅ」

春香「じゃあ、今だけ雪歩のところと交代してやってみよっか。
   いい? 雪歩」

雪歩「はい、どーぞ、私のセリフはここからですぅ」ペラッ

P「ありがとう。
  えぇと……うん、いつでもいいよ」






P(俺がプロデューサーだったときに、脚本は一通り読んであるからな。
  とりあえずのキャラクター設定はわかるし……雪歩の演技が本当にいい参考になる)

春香「――――、――――」

P「……――――。――――、――――」

春香「――――っ!」

P「――――……」





P(……演技まで出来るときたか、赤羽根P子。
  予想はしてたが……我ながら、これは確かに、
  雪歩の言うとおり『女優』のそれだ。

  自分がキャラクターになると言うか、キャラクターが自分になると言うか、
  ……セリフ毎に、どんどん海の深いところに沈んで行くみたいに、
  話の中に入り込んで行けるようだ。

  ……それに、その相乗効果と言うか、春香も――――)



春香「――――、――――っ、――――……!」



P(――――だいぶ、乗ってきてるな)

P「……ここら辺までかな?」

春香「うん。……」

雪歩「……」





P(……ここは、畳み掛ける)





P「……次は、春香のセリフを読んでみても良い?」

春香「え? う、うん、読んで読んでっ」

P「ありがとう。
  じゃあ、雪歩、お願いします」ペコリ

雪歩「……はい」





P(……この沈黙は、……)

P「――――、――――」

雪歩「……――――。――――、――――」

P「――――っ!」

雪歩「――――……」





P(やっぱり、吸収して来たな。
  俺が参考にした雪歩の演技を更に参考にしてりわけだから、
  雪歩本人に馴染まないわけがない。
  さっきまでとは演技の説得力が段違いだ。

  ……しかも、春香の役にも、春香の演じる春香の役にも、
  既に対応してきてる。
  これはもう、立派な才能だな。

  ――――で、やっぱり、演じるのも、すごく楽しい。
  全身の細胞が新しくなるみたいな感覚だ)

P「……ここまでか」

雪歩「すごい……すごいよP子ちゃん」

春香「ほんと……私、思わず見入っちゃった……」



P(と、ここですかさず)



P「じゃあ、もう一回、今の所を二人でやってみてくれる?」

春香「あ、う、うん! 雪歩!」

雪歩「……うん、やろう。
   今なら、すごく上手く出来る気がする」



春香「――――、――――」

雪歩「……――――。――――、――――」

春香「――――っ!」

雪歩「――――……」

P(もはや何も言うまい。
  息もぴったりだ。
  本当に、呼吸するように演じられてる。

  ……うん。しばらく、二人にしておこう)スッ




春香「――――!……」

雪歩「――――、……」

P(さて、……あそこに貴音あたりを放り込んでみるのも面白いが、
  ……今は収録中か。残念。

  すると、今日はもう事務所で都合良く接触出来そうなアイドルは居ないな。

  じゃあ、ちょうど良い。
  今日の午後はちょっと小道具を仕入れてこよう。
  幸い、貯金通帳も名義が変わっただけで中身はそのままだったしな……)

アリガトウゴザイマシター



P(……ふむ。
  これもやはり予想通りと言えばそうだが……
  もうここまで来たら、笑うしかないな。
  さて、後は……)



響「あれ? P子?」

P「お、……響か。
  どうしてここに?」

響「今日は早上がりだから、イヌ美達のご飯を買いに来たんだぞ。
  で、P子は……それ、買ったのか?」

P「まぁ、そんなところ。
  明日事務所に持って行こうと思って」

響「へぇー! 楽しみだなぁ」

P「響はもう帰るところ?」

響「んー、そうだな。
  みんなお腹すかせてるだろうし」

P「そうか。じゃあ、また明日」

響「うん、また明日ー!
  自分、楽しみにしてるからなー!」フリフリ





P(あはは。
  よし、帰ったらいっちょ下準備を頑張るか)

P(……んん、とりあえずはこんなもんか。
  しかし、ここ数日で俺もずいぶん多趣味になったもんだな。
  こうやることが多いと……楽しくて仕方無い。

  とりあえず、明日の出来次第だが、
  当面はこの現状を楽しむのもありかもしれないな。

  ……とは言え、当座の問題を解決するまではうかうか出来ない、か。

  ここらでもう一度、気を引き締めよう)

P(さて、今日は……お、昼頃には千早と竜宮小町の三人が事務所にいるな。
  ちょっと遅れて真美と美希も来る。
  これは実にお誂え向きなタイミングだ。
  ありがたい)



やよい「うっうー! おはようございます、P子さん!」

P「おぉ、おはようやよい。
  今日も早いな」

やよい「えへへ、最近お仕事増えてきて嬉しいですー!
    ……あ、それって、もしかしてP子さんのですか?!」

P「ん? あぁ、そうだぞ」

やよい「えぇーっ! すごいすごい!!」キラキラ





P(……やよいで予行演習するのも悪くないな。
  まだちょっと時間もあるようだし)

P「なぁ、やよい。
  今からちょっとだけ、歌ってくれないか?」ガサゴソ

やよい「えっ、わ、私がですか?」

P「あぁ、どの曲でもいいぞ」

やよい「じゃあ……『Do-Dai』とか?」

P「お、やよいのDo-Daiか。面白いな。
  チューニングするからちょっと待ってくれ」キュッ、キュッ、……ポーン

やよい「P子さん、……ミュージシャンみたいです!!
    ギターかっこいいですー!!」

P「あはは、そう?
  んー、よし、じゃあやりますか」ジャラーン

やよい「はいっ!」

P「最初はアカペラだな。
  よーし、ワン、ツー、さんはいっ」

P(お、おぉー、これはまた……

  やよいが歌ってくれると、ひとりで弾くよりぐっと楽しくなるな。
  アレンジした部分も迷わず歌ってくれるし。
  実家でほこりを被ってるアコギが泣くな、こりゃ。
  しかし、これだと『まっすぐ』なんかはもっと合いそうだ。

  ギター一本あれば色々出来るな、やっぱり)

……ジャカジャカジャカジャカ、ジャーンッ


P「やよい、はいたーっち!」

やよい「たーっち! いぇーい!!」

P「今度はやよいにタンバリン持ってもらおうかな?」

やよい「うっうー! 初めてギターの生演奏で歌いましたけど、
    楽しすぎてびっくりしちゃいました!」

P「やよいは元気に歌ってくれるから、俺も嬉しかったよ。
  また頼む」

やよい「はぁい! 今度はタンバリンもやりますねー!」





P(うむ、反応は上々だ。
  これは使えるな)

P(しかし……昼まで誰も居ないと、退屈だな。
  小鳥さんもほとんどずっと出払ってるみたいだし……
  プロデューサーが律子一人だと、
  やっぱり社長や小鳥さんにも負担が掛かるのか。

  どうしたもんかな……こればっかりは、現状だとどうしようもないか。
  何か策を講じるにしても、他の問題の方が先決だな。

  ……)





P「……弾き語りでもやって、時間潰すか」

P「あー、うん、あー、あー……
  アイドルの曲じゃないのにするかな」



ジャーン…




P「あー、……君が、泣くわけが、花粉症じゃないなら……」




~♪
   ~♪
 ~♪

真美「あれー、みんなどうしたの?
   なんで事務所入んないの?」

亜美「しーっ、今すごいんだよ、ほらっ!」

あずさ「綺麗な子ねぇ……」

伊織「それに良い曲ね……」

千早「……暖かいメロディーだわ」

真美「あの人が、噂の新入りくん?
   ……ほんとに、すごいね。
   はるるん達の言ってたとおりみたい……」





P(この曲が終わったら、扉開けるか。
  なんか恥ずかしくなってきたし……)

P「……ふぅ。
  どうも、ご静聴ありがとうございました」ペコリ


ガチャッ、


あずさ「あらあら……気付かれてたみたいね」

真美「姉ちゃんが最近話題の赤羽根P子さんかなー?」

P「そうだよ。えぇと、初めまして」

亜美「ギターめっちゃ上手いねー!」

千早「弾き語りまで出来るなんてね。
   私もギターには前から少し興味があったんだけど……」

伊織「うちのアドレスは誰も普段楽器はやらないからね。
   何だか新鮮だわ」

真美「ねぇねぇ、他の曲も弾けちゃうの?」

P「765プロのアイドルの曲なら、大体弾けるかな」

お前、もう、休め
アドレスって…アドレスって…

亜美「マジっすか! じゃあじゃあ、例えば『ポジティブ!』は?」

P「もちろん。
  はい、ワン、ツー、さんはいっ」ジャカジャーン

亜美・真美「「おおおぉー!!」」





P(期してせず、掴みはOKだな。
  あとは、どのタイミングで……か)





亜美「亜美、歌っちゃうよー!」

真美「真美も!真美も!」

千早「私も混ざろうかしら」

伊織「えっ、千早そんなキャラだったっけ?!」

あずさ「楽しそうねー」

>>617
寝るわ
他の誤字脱字も脳内補完しといてくれ

ほっ ID:ky5RV43nO様他に作品書いてるなら読みたい

ジャカジャンッ


あずさ「かっこいいわねー」パチパチパチ

真美「ほんと、姉ちゃんなんでも弾けるね!」

亜美「ちゃんと亜美達のこともリサーチ済みとは、感心ですなぁ」

P「まぁ、ずっと前からファンだったしな。
  早く仲良くなりたかったし」

伊織「何人かから噂は聞いてるわよ。
   こちらこそよろしくね」

真美「あれー? いおりん、いつになく素直ですなー?」

亜美「でも、なんかわかる気もするけどねー。
   素直に仲良くなりたいし、なれそうな気がする!って感じ?」

P「だと良いんだけどな。
  雪歩なんかは慣れてくれるまで結構掛かりそうだ」

真美「ゆきぴょんは仕方無いかなぁ」

千早「あら、でも今朝ちょっと喋ったときは早く友達になりたいって言ってたわよ」

亜美「おぉっ、あのゆきぴょんを早速落とすとは、なかなかやりますなぁー」

P「そうなのか?
  それはありがたいな」

伊織「P子が居たら、雪歩の引っ込み思案も直るかもね」

千早「ふふ、かもしれないわね」




P(……よし、行くか)




P「えぇと、ちょっとごめんね」ガタン

亜美「あ、姉ちゃん、このギター触っててもいい?」

P「もちろん」

伊織「壊さないでよ。それ結構良いやつなんだから」

真美「えー、そうなの? おいくら万円ぐらい?」

P「……内緒」

亜美「さ、触るの怖くなってきたよー!」

P「あはは」

ガチャッ、
……バタン。



美希「……」

P「おはよう、美希」

美希「……おはようなの」

P「どうしてこんな所に?」

美希「……なんでだろうね。
   ミキもわかんないや」

P「そっか」

美希「うん、ごめんね、なんか」

P「全然。
  ただ、……出来たら、
  俺のギターで美希に『ふるふるフューチャー』歌ってみて欲しいかな」

美希「ミキに?……多分、千早さんでも歌ってくれるよ?」

P「それはそうかも知れない。
  けど、美希に頼みたいんだよ」

美希「……」

P「結構自信あるんだ。
  好きな曲だったから、色々アレンジしてみたりさ」

美希「……今のミキには、P子のギターは勿体ないの」

P「なんでそう思うんだ?」

美希「P子は太陽みたいにキラキラしてるから。
   今のミキなんか、霞んで見えなくなっちゃうよ」

P「……」

美希「……」

P「仮に、」

美希「うん」

P「仮に、俺が太陽で、美希が星だとしよう」

美希「……うん」

P「昼間の星って、光ってないと思う?」

美希「……?」

P「空にはさ、昼間でも星は輝いてるんだよ。
  遠いから見えないだけで」

美希「……」

P「太陽の何百倍もあるような、めちゃくちゃでっかい星でもな。
  離れてたら、見えない。

  ……今は、そう言う意味で、
  まだみんな美希のことを近くで見たことがないんじゃないかな」

美希「……ミキも、ほんとは太陽みたいにキラキラしてる、ってこと?」

P「太陽なんか目じゃないな。
  もっと、すっごいやつだ」

P「俺はもともと、765プロのみんなのファンだった。
  いや、大ファンだった。
  それでも……色々、当たり前だけど、立場とかもあって、
  どんなにアイドル達に近付こうとしても、限界があった。

  けど、今は響も真も、千早もやよいも、春香も雪歩も、
  みんなが間近で輝くのを見ることが出来る。
  俺は、それが嬉しくてしょうがないんだ。

  だから、美希のことも、もっと近くで見てみたいんだ。
  ……それに、みんなにも、美希をもっと近くで見てほしい」

美希「……」

P「あはは、なんか結構むちゃくちゃなこと言ってるな。
  いきなりごめん」





美希「……行こっか」

P「え?」

美希「P子がギター、弾いてくれるんだよね?」

P「……あぁ、弾きたい」

美希「ミキ、P子のギターで歌ってみたいの」

P「――――よしきた。
  星井美希ミニライブ開催決定だ」

美希「うんっ」





ガチャッ、……

P(……そろそろ帰るか。
  みんな、改めて美希の魅力に気付いたみたいだな。
  美希自身も含めて。
  これからはまた一足飛びで先を目指せるようになるだろう)





美希『ミキね、これからは、もっと自分を近くでみんなに見せたいの。
   それに、ミキもみんなのことも近くで見たいって思った!
   もちろん、P子のことも。……あらためて、これからよろしくなの』





P(……ここまでこっちの真意を読みとれるあたり、
  雪歩とか美希は特に底知れないものを感じるな、うん)

P「……で、そろそろ時間のはずなんだが……」ペラッ



《今夜19:00、駅前の広場でお待ちしております。
 一緒にらぁめんでもいただきましょう

 四条貴音》



P「……今夜は月が綺麗だ」

昼飯+ちょっと作業

>>685
P「伊織がヤンデレ化して怖い…」の響の方
P「皆が俺のことをハニーと呼んでくるぞ!?」
美希「ハニー大好きなの」

最近のアイマスだとそのへん。
保守の間の暇つぶしにでも。

保守

>>723
sayの過去形ってsayedだっけ?


  /: :///: : : : : : : : : : : : : : : \
                 /r-、//イ: :_:_:__: : : : : : : : : : : : : : ヽ
               /: : {//イ: : : :ヽ/::::::::> 、: : : : : : : : : : : : :.
                 /: ィ/,}/: : : : :_ -       `ヽ、: : : : : : : : : : :.
             /:<///: : : :, -             `ヽ、: : : : : : : ::.
              |: :l//: : :/             _ \: : : : : : :.
              |: :Ⅵ!: : :イ  /  ̄ `     , ´ ` ヽ: : : : : :!
              |: :.Ⅵ: :/イ   , --- 、             ,Ⅵ: : :.j!
              |: : :Ⅵ: : :{  イi ム心       __, /: :|: : :j!
              |: : : :イミ、:i    弋zソ         ´ ̄` /: : j: : j!
              |: : : :i{(`ヽ            '       /}: :/: :./     >>729 saidよ
    r‐ 、      /: : : : ∨、        ___     {': :/: :./
    `ヽ、 \    ,: : : :l: : : ',: :ー':、    (     ア   人: : : :{
      \ \  ,: : : :,.- 、: : 、: : : :ゝ、   ` ー ´  イ: : : : : :|
        { `ヽ \: :/ ,.ィ: : : :',: : :/、| >   _,. ィ: : : |: : : : : :.|:.
   ,ィ`ヽ/`ヽ、 ヽ  ´  /: : : : : :.}´///\     ∧: :.:.:.|: : : : : :.|: .
   ヽマー'`ヽ、 \〉   {`ヽ: : : :/、//////\   {/∧、: :,: : : : : :{: : .
     \   ` ー'    |//∧ ´  \////// ヽ. ///∧`|: : : : : :|: : : :.
      ヽ      /////}    \//////介// ̄`ヽ、:_: : :.!: : : :.
      /\   ´ {\///!     }\///| O|イ 、 ___ノ: : : 、: : ::.
      /: : : }     |  ∨/     |////´| O{/!  /  ∨:/⌒ヽ、:.
      ,: : : : :|     |   Ⅳ       ∨///j O{/ハ  {    /  ,、   `ヽ、

>>731
いおりん頭が…
まあ知ってたよ
IDがそんな感じだったから

>>732
やってしまった・・・orz
おとなしくRomってる

                         ,────ヽ
                         ∞      ∞ )
                        / 凵凵凵凵 .| /
                        | | の  の | | |
  /: :///: : : : : : : : : : : : : : : \   ノ (  ワ   レ′し
                 /r-、//イ: :_:_:__: : : : : : : : : : : : : : ヽ
               /: : {//イ: : : :ヽ/::::::::> 、: : : : : : : : : : : : :.
                 /: ィ/,}/: : : : :_ -       `ヽ、: : : : : : : : : : :.
             /:<///: : : :, -             `ヽ、: : : : : : : ::.
              |: :l//: : :/             _ \: : : : : : :.
              |: :Ⅵ!: : :イ  /  ̄ `     , ´ ` ヽ: : : : : :!
              |: :.Ⅵ: :/イ   , --- 、             ,Ⅵ: : :.j!
              |: : :Ⅵ: : :{  イi ム心       __, /: :|: : :j!
              |: : : :イミ、:i    弋zソ         ´ ̄` /: : j: : j!
              |: : : :i{(`ヽ            '       /}: :/: :./
    r‐ 、      /: : : : ∨、        ___     {': :/: :./
    `ヽ、 \    ,: : : :l: : : ',: :ー':、    (     ア   人: : : :{
      \ \  ,: : : :,.- 、: : 、: : : :ゝ、   ` ー ´  イ: : : : : :|
        { `ヽ \: :/ ,.ィ: : : :',: : :/、| >   _,. ィ: : : |: : : : : :.|:.
   ,ィ`ヽ/`ヽ、 ヽ  ´  /: : : : : :.}´///\     ∧: :.:.:.|: : : : : :.|: .
   ヽマー'`ヽ、 \〉   {`ヽ: : : :/、//////\   {/∧、: :,: : : : : :{: : .
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      ヽ      /////}    \//////介// ̄`ヽ、:_: : :.!: : : :.
      /\   ´ {\///!     }\///| O|イ 、 ___ノ: : : 、: : ::.
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      ,: : : : :|     |   Ⅳ       ∨///j O{/ハ  {    /  ,、   `ヽ、

貴音「……お待たせいたしました」

P「ん、あぁ、貴音。お疲れさま」

貴音「月を見ていたのですか?」

P「まぁ、うん。
  ボーッとしてたようなもんだけど」

貴音「……少し場所を変えましょう。
   人目を引きすぎたようですから」



ザワザワ……
ザワザワ……



P「……しまった。
  あの後また美希に化粧されたの忘れてた」

|               |
|         J( 'ー`)し.|

|            ( )  .|          (; 'A`)
|       幸    | |   |       辛  ノ( ヘヘ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

|               |
|        J( 'ー`)し .|

|         o一o    |          (; 'A`)
|       辛  〈 〈    |       辛   ノ( ヘヘ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

|               |
|               | 'ー,`)し

|               |o一o       (; 'A`)
|       辛       | U     辛   ノ( ヘヘ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

|               |
|         J(; 'ー`)し |

|           ( )  | ミ       Σ ('A` )
|       辛   | レ  |       幸  ノ( ヘヘ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

|               |

|       ガンバルノヨ   |         ヽ(゚∀゚)ノ
|         J(; 'ー`) し|            ( )
|       辛 ノ( ヘヘ   |       幸    | |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

|               |

|       シネヨゴミクズ  |        
|         J(; 'ー`) し|             (; 'A`)
|       辛 ノ( ヘヘ   |       辛    ノ( ヘヘ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

P「それで、どうしてわざわざメモに伝言を?」

貴音「特に理由があるわけではありませんよ。
   ただ……今夜は月が綺麗だと思ったので」

P「なるほど。確かにそうだ」

貴音「……あなたは、月もよく似合いますね」

P「貴音ほどじゃないと思うけどな」

貴音「小さな花も囀る鳥も、吹き抜ける風も、
   あなたに似合わないものは無いのではないかと思ってしまいます」

P「あはは、なんか口説かれてるみたいだな」





貴音「あなたは、誰なのですか?」





P「――――……」

貴音「……」

P「……自分は誰か、と聞かれて、
  自分の名前以外に答えられる人はなかなか居ないと思うけどな」

貴音「そう、ですね」

P「自分は誰か、か」

貴音「……私が思うに、自分が誰か、と言うのは、
   自分が何をなすべきか、と同義だと思うのです」

P「うん」

貴音「私や、他のあいどるは皆、その意味で『自分になるための自分』であると、
   私はそう考えています。
   私は誰か? 私は四条貴音になるための私なのだ、と」

P「……」

貴音「では、あなたは、一体誰なのでしょうか?」

P「……誰、なんだろうな。
  自分が一番わかってない気がするよ」

貴音「見たところ、あなたには群を抜いた才能がある。
   その才能を適切に運用する才能も持っている。
   それだけに留まらず、他のあいどる達の手を取って、
   ずっと高みへ引っ張る力さえ、具有している。
   ……しかし、どこかあなたは客観的に見えるです。

   まるで、自分が誰なのかわからないよう」

P「……」

貴音「……気を悪くしたのなら謝ります。
   少々、出過ぎたことを言ってしまいましたね。
   無粋でした、こんなに月の綺麗な夜に」

P「……いや、気にしてないよ。
  むしろ、心配してくれてありがとう」

貴音「……こちらこそ、本当は皆であなたに礼を言わねばなりません。
   最近、どこからともなく事務所にたゆたっていた停滞感も、
   ここ数日で霧が晴れるように解消されました。
   それがあなたのお陰であることは、皆が知っています」

P「そう、かな。
  だったら、嬉しいな」

貴音「皆を代表して、感謝の意を表させていただきます。
   ありがとうございました」

P「そんなに畏まらなくても……役に立てたなら、それでよかったよ」

貴音「皆、あなたともっと親しくなりたいと思っているはずです。
   ……あなたのこれからの活躍を、楽しみにしていますよ」

P「あぁ……ありがとう」

貴音「――――さて、もうじき着きますよ」

P「ラーメン屋に?」

貴音「はい。私の行き着けです」

P「それは楽しみだ」

ガチャッ、
…バタン。


P「ただいま……うっぷ、ちょっと食べ過ぎたな……」


ドサッ、


P「……俺は、誰なんだろう。
  なんでこんな姿に……いや、

  なんでここにいるんだろう。

  それこそ、考えてどうこうなる問題でもないが、
  貴音が言ってたとおりだ。
  俺には、まずこの能力、才能があって、それから俺が居た。
  今の俺になるための俺じゃなくて、今の俺になった俺が居た。
  だから、必然的に自分を客観視してしまう。

  ……俺は、一体誰なんだろう。
  この姿は一体、誰の――――」



~♪
   ~♪
 ~♪

P「――――はい、もしもし」

律子『こんばんは。
   今日も大活躍だったそうね。話は聞いたわ』

P「……そう、ですか」

律子『みんな、あなたをべた褒めしてたわよ。
   すごい、かっこいい、憧れるって』

P「私としては、むしろみんなに憧れてるぐらいなんですけどね。
  ちょっとした小道具でしたけど、喜んで貰えたなら良かったです」

律子『でも、私はちょっと困っちゃってね』

P「と、言うと?」





律子『みんなに、早く赤羽根P子をデビューさせろ、
   早く一緒にお仕事がしたい、ってせっつかれて』





P「……」

律子『約束した手前、私はどうこう言うつもりはないけど、
   そろそろ考える用意はしておいてね。
   さすがにいつまでもこのままってわけには行かないわ。
   私はあなたをプロデュースしないと行けないんだから』

P「……わかりました。
  考えておきます」

律子『よろしくね。
   じゃあ、おやすみなさい。また明日』

P「おやすみなさい。……」





――――プツッ、
ツー、ツー、ツー、……

……ズキッ





P「……頭が、痛い。
  もう、寝よう」

P(あれから1ヶ月、事務所のみんなとも随分打ち解けられた。
  プライベートでも何回か遊びに行ったり、色々と相談を受けたり……

  ……目下の懸案事項は、その相談の内容だ。



  最近、律子の様子が少しおかしいと、みんなが口を揃えて言う――――



  ――――理由は明白だな。
  アイドル全員がほとんど絶好調になったことで急増した仕事量、
  これはどう考えても、律子にとってはオーバーワークだ)

P(あの停滞気味だった時でさえ、かなりギリギリの線だったのだから、
  全員がAランクに向かって突き進んでる今、
  その危ういバランスが崩れるのは目に見えてる。

  しかし……どうも、原因は単なるオーバーワークだけとも思えない。

  とにかく、日に日にやつれて行く律子をこれ以上見てられん。
  何か早急に手を打たないと――――)



~♪
   ~♪
 ~♪



P「……もしもし、やよい?
  どうしたんだ? 今は収録中のはずじゃ……」

P「――――本当に、申し訳ありませんでした。
  現在、うちの者も先方へ謝罪に向かっているので、
  後ほどあらためてこちらで頭を下げさせて頂きます。
  今後、二度とこのような事が無いように、細心の注意を……
  えぇ、はい、ありがとうございます。
  何卒、これからも765プロをよろしくお願いいたします」ペコリ




P(まさかダブルブッキングとはな。
  取材はキャンセル、収録の方に遅刻か……
  俺も何回かやらかしそうになったことはあるが、
  その時は音無さんのフォローもあったからなぁ……
  しかし、比較的穏便に済んだのは、やはり赤羽根P子の力か?)




  「CM入りまーす!」

P「やよい、お疲れさま。
  でもまだ表情がちょっと堅いな」

やよい「ううぅー……来てくれてありがとうございます、P子さん……」

P「ほら、笑顔笑顔。
  ここのスタッフさんも、もうそんなに怒ってないからさ。
  いつも通りやりなよ。もうすぐ律子さんも来るし」ナデナデ

やよい「P子さぁん……私、私、律子さんにも連絡付かなくなっちゃって、
    それで、それで、すっごく怖くて……」

P「それで俺の方に電話してきたのか。
  まぁ俺も全然気にしてないから……お、もうCM明けるぞ。
  行っといで」ポンポン

やよい「……うっうー、行ってきます!」

P「よし、その意気だ」

P(……他のアイドル達のスケジュールも一回洗い直した方が良いな。

  とは言え、俺が組んだやつならまだしも、
  律子が組んだスケジュールの調整をまともに出来るとは思えない。
  それに、今の俺は――――プロデューサーじゃあ、ない。

  さて、どうしたもんか……)

律子「やよい、遅くなって本当にごめんなさい。
   あなたは今からすぐ次の現場に行って。
   私も後から行くわ」

やよい「わ、わかりましたー……」

P「大丈夫、やよいならひとりでもこなせるさ。
  心配しなくてもへっちゃらだ」ナデナデ

やよい「……私、頑張ります」

P「うん。もし万一、また何か困ったことがあったら、
  律子さんに連絡するんだぞ」

やよい「はい」

P「じゃあ、気を付けて行ってこい!」

やよい「行ってきまーす!」





律子「……それで、どうしてあなたがここに?」

P「……えぇとですね……」

律子「……なるほどね」

P「まぁやよいも気が動転してたんだとは思うんですけど……」

律子「いいえ、適切な判断だったと思うわよ?
   実際、現場は丸く収まったし、やよいの動揺も少なくて済んだ」

P「……」

律子「はぁ……私、プロデューサー失格ね。
   全部、私がやらなきゃ行けないことなのに」

P「律子さん……」

律子「……でも、もう大丈夫。
   もうこんなことにはならないわ」

P「……と、言うと?」

律子「これはまだ正式には決まってないし、みんなには秘密なんだけどね……

   新しいプロデューサーが、765プロに入ってくれるのよ」






P「――――」






……ズキッ

律子「例によって社長のスカウトらしいんだけど、
   なんでもほんとに有能な人らしいのよ。
   だから竜宮小町はともかく、
   他のアイドル達は様子を見ながらその人に――――」





ズキッ

ズキッ





P(あ……頭が、痛い……

  し、知……ってる、この展開は、……知……)






ズキッ

律子「――――と言うわけなんだけど……大丈夫?
   顔色が真っ青よ?」

P「……大丈夫、です。
  ちょっと、頭痛が……しただけです」

律子「そう?
   じゃあ、今日はもう帰りなさい。
   ……頼りないプロデューサーたけど、何かあったら私に連絡するのよ?」

P「……はい」





P(……)

ガチャッ、…
…バタン。……



P「……新しいプロデューサーが来る。
  だから、律子は焦ってたんだ。
  俺を、赤羽根P子を売り出して、実績を作りたかった。
  でないと、……765プロに、自分の居場所が無くなるから」



ズキッ



P「……それは俺も……赤羽根P子も一緒。
  律子は他のアイドルへの時間を、赤羽根P子に割きすぎて、……
  結局赤羽根P子も、765プロでの居場所を失ってしまう」



ズキッ



P「新しいプロデューサーが来た頃には――――私と、律子は765プロには居ない」

P「……もう、あまり、時間が無い。
  このままだと、やっぱり――――……」



ズキッ

ズキッ



ズキッ





P「……」

P「……」

やよい「おはようございますー……えっと、P子さん?」

P「……あっ、やよいか。
  ごめんこめん、おはよう」

やよい「どうしたんですか?
    えと……なんだか、しんどそうです……」

P「……ちょっとだけ風邪気味なんだ。
  ちょっとだけ」

やよい「えっ、そうなんですかっ?
    お家で寝てなくて平気なんですか……?」

P「大丈夫大丈夫。
  それに、今日は律子さんに大事な話もあるからな」

やよい「大事な話?」

P「そう。
  そろそろ赤羽根P子も、デビューしようと思ってさ」

やよい「えぇーっ!!
    ほんとですか!? やったぁー!!
    これで一緒にお仕事できるんですね!」

P「まぁ、上手く行けば、だけどな」

やよい「P子ならすぐにトップアイドルにもなれますよー!
    こんなに綺麗で可愛くてかっこいい人なんだから!」

P「て、照れるなぁ、あはは」


ガチャッ、


千早「朝から賑やかね」

響「どうしたんだ? やよい」

やよい「うっうー! 聞いてください!
    大ニュースですー!!」

春香「そっかぁ、ついにP子ちゃんもデビューするんだね」

雪歩「私達も、もっと頑張らないとですぅ」

真「そうだね。気を抜いてたらあっと言う間に追い越されちゃうよ」

響「間違い無いぞ!
  でも自分、負けないからなー!」

千早「楽しみね、アイドル赤羽根P子」

やよい「ほんとですー! 私はもうすっかりP子さんのファンですけど!」

亜美「これはライバル出現ですなぁ、いおりん?」

真美「ライバルと言うかラスボスじゃないかなぁ」

伊織「なによそれ。
   まぁ確かに、気にはなるし期待もしてるけどね」

あずさ「きっとすごい人気になるわねー」

美希「次のライブが楽しみなの!」

貴音「えぇ、まことに」

P「あはは、みんなありがとう。
  で、肝心の律子さんはそろそろ来るかな……?」

……ガチャッ、


律子「今日は全員集合ね。
   みんなおはよう」

亜美「ねぇねぇ、りっちゃん!
   なんか姉ちゃんが大事な話があるらしいよ?」

P「あ、あはは……」

律子「――――およそ察しはつくわ。
   ちょっとこっちの部屋にいらっしゃい。
   他の子は予定表をよく見て、遅刻しないように各自動くのよ」

P「……」

律子「……ちゃんと予定表の組み直しと確認はしたわよ」ポソッ

P「そう、ですか」

律子「……さて、話って言うのは?」

P「私のデビューのことです」

律子「まぁ、その話よね。
   ……でも、ごめんなさい。
   その話はちょっと待って欲しいの」

P「……」

律子「待って欲しいと言うか……私には、その話は聞けないわ」

P「……どう言うことですか?」

律子「あなたのデビューも、……竜宮小町も、新しいプロデューサーに任せたいの」

P「――――」

律子「少し、会ってきたんだけどね。
   ……ちょっと頼りない気もするけど、
   あの人になら任せても大丈夫って思える人だったわ」

P「……律子さんは、どうするんですか?」

律子「私? 私は……」

P「『765プロを辞める』……ですか?」

律子「……私がいるより、あなたや、新しいプロデューサーの方が、
   あの子達を輝かせることが出来るのよ」

P「……」

律子「……」

P「……」

律子「……」

P「……」

律子「……じゃあ、私は引き継ぎの資料とかも作らなくちゃいけないから」

P「……」

律子「……」



ガチャッ、
……バタン。



P「……それじゃ、意味が無いんだよ、律子」




ズキッ……!

P「赤羽根P子は――――俺だ。
  ……赤羽根P子は、私だった。

  アイドルとして、唯一無二の才能を持ち、
  その才能をどこまでも広げられる無限の可能性を持った、
  おそらく史上最大のアイドルの卵。

  そして、私には……仲間がいた。
  それぞれが違った形の凄まじいポテンシャルを秘めた、
  765プロの仲間。かけがえのない、私の友達。

  ……もちろん、律子もそうだ。
  絶対に、律子の居ない765プロなんて考えられない」



ズキッ



P「……でも、私は失敗した。
  765プロに、私の居場所は無くなった。
  律子も、居なくなった。
  誰かが悪いんじゃない。ただ……どうしようもなかった。

  私達と一緒に悩んでくれた人が、もう一人でもいれば――――」

P「――――765プロを辞めて、何も考えられなくなって、
  どこか知らない道をふらふら歩いてた私は、赤信号に気付かなくて――――」



ズキッ……

ズキッ…

ズキッ!



P「――――目が覚めたら、あの部屋に居た。
  765プロプロデューサー、赤羽根P。
  ちょっと頼りないけど、でも、みんなと一緒に悩んで、
  みんなと一緒に喜んで、みんなと一緒に考えて、
  みんなと一緒に笑い合えて、みんなと一緒に成長して行ける……

  ……私の、理想のプロデューサー。

  眼鏡を掛けた、あのプロデューサーは……私だったんだ」

P「でも私は、赤羽根Pの中に残った。
  私は消えなかった。
  赤羽根Pの『理想のアイドル』……
  765プロのみんなの、一番良いところを合わせたような、
  無欠の存在……本当に、ただの理想そのものになって。

  私は――――俺は、みんなに赤羽根P子の、自分の理想の、
  更にその先まで行って欲しかった。

  だから、あんなにがむしゃらに頑張って……舞台の奈落に落ちて――――」



ズキッ!

ズキッ!



……ズキッ……!




P「……やり直しだ。
  私は、こんな結末は認めない。
  プロデューサーでも、アイドルでも、俺は、必ずみんなを、
  私を、私達を、トップアイドルに、理想の更にその先に、……

  ……連れて行ってみせる」

つまり鼻が良くてよく迷子になりどこでも眠れてあざとくて72でデコが広くて地属性で大食漢のアイドルか

……ガチャッ、



やよい「あ、……P子さん、お話、終わりましたか?」

P「……うん。みんなは?」

やよい「みんなはもうそれぞれのお仕事に出発しましたよ」

P「そう、か」ナデナデ

やよい「ん、な、なんですか? どうしたんですか?」

P「……やよい、また一緒に、歌おうな」ギュッ…

やよい「? は、はい、もちろんですよ。
    ……どうしたんですか? P子さん、ほんとに大丈夫ですか?」

P「なんでもない。……なんでもないんだ」





     G A M E O V E R


     → REST@RT?

最初から伏線張っといてこれは・・・

初代(?)P子
→プロデューサーとしての行き詰まりと、
 新任Pの入社に焦りを感じた律子が集中的にプロデュースしたため、
 ほったらかしにされた他のアイドルとの関係が悪化し、律子共々失敗


→P子の時の記憶はほとんど引き継がずにREST@RT。
 しかし志半ばにて事故により失敗

二代目P子
→P時代の記憶を引き継いでREST@RT。
 しかし本文参照



初代P子も、実はそれ以前に失敗したPの理想像の具現化だって設定もあったが
(だからすでに他のアイドルや律子に対する愛着があった)、まぁ省略。

そんな感じ。

この後どうなるん?
それだけ訊きたい

>>901
無双アイドルの記憶を引き継いだPの無双プロデュースもよし、
こんどこそ完全無欠のスーパーアイドルP子の他のアイドルとのいちゃラブもよし

お好きな方を

P子「俺はP子・・・赤羽根P子ってもんだよろしくなー」

じゃあなんだ
修羅場トリオに放りこんでもいいのか

P「朝起きたら美少女になってた…」

P「視界が低い」

P「声も可愛い☆」

P「どういうことなの…」

P「と、とりあえず社長に相談するべきか?わけわからんぞ」

765プロ

P「やっと着いた…同じ道でも身体が違うだけでこうも具合が変わるものか」キョロキョロ

P「しかし今の容姿で事務所に来て大丈夫なのか俺?」

律子「あのー、どなた?」

P「ひゃう!?」ドキーン

律子「!?」

律子(可愛い…!)

思いつきの一発ネタだからすぐ終わる


P「あ、あの…わたし…」

律子「アイドル希望かしら?」

P「え、いや…」

律子「ここじゃなんだし、中で話をしましょう」

P「ちょっ待っ」

バタバタ

真「律子オハヨー」

律子「真おはよう、早いのね」

P「あの…」

真「あれ?そっちの子は?」

P「わたっ私は…!」

律子「さっき外で会ったの。アイドル志望らしいわ」

P「そんなこと一言も…!」

真「へぇ!君もアイドル志望なんだね」

真「ボクは菊池真!765プロ所属のかけだしアイドルなんだ。ヨロシク!」

P「よ、よろしく」

P(なんだ…真が凄く格好いい…!)

P(りりしい女の子だなとは思ってたけど…女になった途端こんな風に見えるなんて…!)

真「どうしたの?」

P「えっ?しょのっ」

真「あはは!なんだか可愛いなぁ!」

P「可愛い!?」ドキーン

律子「お待たせー社長が会ってくれるそうよ」

P「なんと」

-社長室-

社長「ティンと来た!君には菊地君とデュオで活動してもらおう!」

P「えっ」

律子「じゃあ早速真にも報告ね」

P「ちょ」

真「ボクと組んで活動?」

真「ってことはボクも本格的に活動スタートってことですね!やーりぃ!」

P「まこと…ちゃん?その…」

真「これからよろしくね、Pちゃん!」

P「わ、私はPでいいよ。でも私なんかと…いいの?」

P「急にこんなことになって…色々足を引っ張りそうだけど」

真「勿論オッケーさ!」グッ

真「二人三脚で頑張っていこうね!」

性同一性障害のカップルみたいに言うなや!


日に日に女として生活していくことに抵抗が無くなっていったPは
次第に言動もどんどん自然に女らしくなっていったのであった

真「なんかさー最近一層Pは可愛くなったよね?」

P「そ、そうかな?///」

真「そうだよ。容姿可愛いのは勿論だけど振る舞いもなんていうか…」

真「ほんと…惚れ惚れするくらいに可愛いなって」

P「ちょっと真ちゃん!麺と向かって真顔でそんなこと言わないでよ!」

P「は…はずかしいでしょ…///」

真「ご、ゴメン!」

真「でもこれは本音だよ!Pはボクの理想の女の子像みたいで…」

真「なんていうか…ずっと一緒にいたいな…って」

P「えっ…?」

真「な、なんてね!あはは!」

真「それよりボクにも教えてよ!どうしたらそんなに可愛くなれるのかな?」

P「…」

P「真ちゃん」

真「うん?」

P「よく言うでしょ?」

P「恋をすると女は変わるって」

真「えっ…それって…」

P「…」

真「う、羨ましいなぁ!Pにそんな風に思われるなんてどんな幸せ者なんだろう」

P「真ちゃん…」ギュッ

真「え?P?」

P「私が好きなのは…真ちゃんなんだよ?」

真「えぅ…Pったら何言って…」

P「わかってる…不自然な形だっていうのは…」

P「でも私…真ちゃん以外の人は考えられらないの」

P「男の人でも、女の人でも」

真「P…」

P「応えて真ちゃん」

P「真ちゃんは私とそういう関係になってくれる?」

真「>>948

アンクと映司みたいな関係かな

真「アンクと映司みたいな関係かな」

P「なにそれ」

真「えっ、見てないの?仮面ライダーオーズ」

P「う、うん」

P「私仮面ライダーよくわからないんだ

真「オーズ見てない人とは無理だなぁ」

P「え」

真「ゴメン!」

P「…」

P「お、おう…」


完!

これはこれで個人的には好きな感じにまとまったが、
P美少女化はまた違う形で書いてもいいかもな。

>>965
期待してる

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