ベルトルト「今度こそ故郷に帰る」(488)


※ベルトルトとユミル中心
※ベルユミにはならない
※捏造設定、原作内容と異なる部分多し




「やるんだな!?今…!ここで!」

「あぁ!!勝負は今!!ここで決める!!」


「エレン!!逃げて!!」


僕の意識はここで途切れた。

首にまるでスローモーションのように食い込んでいく冷たいブレード。

斬り進められればられるほど、吹き出る血。

再生能力も間に合わないスピードに―――僕の頭は、胴体から離れた。


必ず故郷に帰ると誓ったのに。

絶対に、絶対に絶対に絶対に絶対絶対絶絶絶―――……



******




ライナー「…ルト、…ベルトルト!」

ベルトルト「!」ハッ

ライナー「大丈夫か?大分うなされていたみたいだが…」

ベルトルト「…え…ライナー…?」

ライナー「まぁ寝付けなくても当然だ。…明日から、とうとう訓練兵だからな」

ベルトルト「え!?…訓練、兵…!?」

ベルトルト(何を言っているんだ!?だって僕たちは、今の今まで壁の上にいて)

ベルトルト(エレンを攫おうとして、ミカサのブレードが…!)




ミカサ『―――ッ!!』


ベルトルト「う゛ッ…!!」

ライナー「ベ、ベルトルト!?どうした!」

ベルトルト「はっ…は…!」

ベルトルト(ライナーの右腕が、ある…!?ミカサに斬り落とされたはずなのに…!)

ベルトルト(どういうことだ…確か僕たちは、ウトガルドで巨人に囲まれて、)

ベルトルト(塔が崩壊する寸前で調査兵団の助けが入ったんだ…)

ベルトルト(ライナーと、あと…コニーと、クリスタと…)ズキッ

ベルトルト(っ…頭痛い…あれ?)

ライナー「お、おい…医務室に行くか?」

ベルトルト(ライナーが…少し若く見える…)



ベルトルト(まさか、そんな…いや、でもそれしか…!)

ベルトルト「ライナー!」

ライナー「お!?」

ベルトルト「今は何年!?」

ライナー「はぁ?お前一体どうしたってんだよ」

ベルトルト「いいから!」

ライナー「今は847年だろうが」

ベルトルト「…っ」

ベルトルト(やっぱりだ、僕は過去に戻ってきたのか!?)

ベルトルト(3年後、僕の人生はミカサによって終わらされる)



ベルトルト(故郷に帰るという目的を果たせないまま)

ベルトルト(どうしてこうなったのかは分からない、もしかしたらただの夢だったのかもしれない)

ベルトルト(でももし、これが本当に起こっていたことだったら…!)

ベルトルト(僕たちが故郷に帰れる確率は格段に上がる!)

ベルトルト「ライナー」

ライナー「あ、あぁ」

ベルトルト「絶対に故郷に帰ろう、絶対にだ」

ライナー「…当然だ」



******



キース「貴様は何者だ!?」

アルミン「シガンシナ区出身!アルミン・アルレルトです!!」

キース「そうか!バカみてぇな名前だな!!親がつけたのか!?」

アルミン「祖父がつけてくれました!」


ベルトルト「…」チラ

ベルトルト(アルミン…あっちには、エレンと、ミカサ…)チラッ

ベルトルト(向こうには、ジャンにマルコ、コニー…やっぱりそうだ、間違いない)

ベルトルト(僕はこれを知っている。一度経験している)

ベルトルト(…と、なると…)チラ




サシャ「ウォール・ローゼ南区ダウパー村出身!!サシャ・ブラウスです!」バッ

キース「サシャ・ブラウス…貴様が右手に持っている物は何だ?」


ベルトルト(やっぱりサシャ…相変わらず芋を食べているのか…)

ベルトルト(ここまで一緒となると、これからの行動も大分変わってくる)

ベルトルト(…)チラ

ライナー「……」

ベルトルト(まずは、ライナーが戦士と兵士の間で揺れ動くことがないように、しっかり見ていなきゃ)

ベルトルト(これは結構重要だ。それから…)チラ

ミカサ「……」

ベルトルト(…最大の脅威は君だ、ミカサ。君は本当に恐ろしい)

ベルトルト(ミカサを排除すればかなり楽になるはずだ。でも、どうしたら…)



ベルトルト(……そうだ、いい方法があるじゃないか)

ベルトルト(エレンに開拓地に行ってもらえばいい。そうすれば、自ずとミカサも着いて行くはずだ)

ベルトルト(待てよ?エレンはやっぱり巨人になれるのだろうか…だとしたら厄介だ)

ベルトルト(エレンが仮に座標だった場合、エレンを無視すれば故郷に帰れる確率が下がる)

ベルトルト(最悪開拓地から攫うか…とにかく今はミカs)

キース「…貴様」

ベルトルト「え?」

ライナー(ばっ、馬鹿ベルトルト!)

ベルトルト「あ…!は、ハッ!!」バッ

キース「余所見をする余裕があるとはな…どうやら貴様は図体だけではなく態度まででかいようだ」

ベルトルト「ハッ!!申し訳ありません!!」



ベルトルト(……そうだ、いい方法があるじゃないか)

ベルトルト(エレンに開拓地に行ってもらえばいい。そうすれば、自ずとミカサも着いて行くはずだ)

ベルトルト(待てよ?エレンはやっぱり巨人になれるのだろうか…だとしたら厄介だ)

ベルトルト(エレンが仮に座標だった場合、エレンを無視すれば故郷に帰れる確率が下がる)

ベルトルト(最悪開拓地から攫うか…とにかく今はミカs)

キース「…貴様」

ベルトルト「え?」

ライナー(ばっ、馬鹿ベルトルト!)

ベルトルト「あ…!は、ハッ!!」バッ

キース「余所見をする余裕があるとはな…どうやら貴様は図体だけではなく態度まででかいようだ」

ベルトルト「ハッ!!申し訳ありません!!」


重複してしまいました、すみません

******


キース「そんな貴様には、芋女と同じく死ぬまで走らせてやろう。光栄に思え」

ベルトルト「ハッ!ありがとうございます!!」

アニ(ベル…アンタ一体何してるんだい…)

ライナー(昨日からおかしいな…何か悪いものでも食ったのか?)

ベルトルト(こんなことで注目されるなんて…!いや、でも方法は思いついた。後で二人に伝えないと…)



******


ベルトルト「ぐっ…ぅ…」ハァハァ

ベルトルト(サシャの目が大分虚ろだ…くそ、多分サシャより走らされるんだろうなぁ…)

サシャ「」フラフラ

ベルトルト(終わりかな?僕もあと少し…)

サシャ「」ガクッ



ベルトルト(あ)

サシャ「」ドサッ

ベルトルト(どうしよう、手を貸した方がいいのかな…)

ベルトルト(……!)


クリスタ「」トトトッ

サシャ「!」ドォッ

クリスタ「きゃあああああ」

サシャ「ハッ… パァン!!」

クリスタ「…それだけしかないけど、取っておいたの…」


ベルトルト(クリスタ… そうか、これがきっかけでサシャとクリスタが仲良くなったのか…)

ベルトルト(前の時ではクリスタはウォール教と関わりがあったはず。どういう関係かは分からないけど)

ベルトルト(…今回は、それが大分重要になるはずだ。注意しておかないと…)



サシャ「神様ですか!?あなたが!?」

クリスタ「し、静かにしないと!」

ユミル「オイ!?」


ベルトルト(!?)


サシャ「神ぃいいいい!!」

ユミル「何やってんだ?」


ベルトルト(え!?誰だ、あの女の子…!)


クリスタ「えっと…この子は今まで走りっぱなしで」

ユミル「芋女じゃない。お前だ、お前何やってんだ」


ベルトルト(あんな子いなかった!どういうことだ?あれは…誰だ?)

ベルトルト(女の子にしては背が高い…あんな子いたら、絶対目についてるはずなのに…)

ベルトルト(この世界は、戻った世界じゃないのか?それともまさか…夢…?)



クリスタ「私が…こうしたかったのは…役に立つ人間だと思われたいから…なのかな…?」

ユミル「は!?知るかよ…」

ユミル「とにかく…芋女をベッドまで運ぶぞ」

クリスタ「え!?」

ユミル「お前じゃこいつを担ぐのはしんどいはずだ」


ベルトルト(いや、夢なわけがない!僕の首は確かに一度…飛んでる…)ゾクッ

ベルトルト(…まさかここは…前の世界じゃ、ない?)

ベルトルト(でも起きていることは前と変わりがない!それに)チラ


ユミル「こいつに貸し作って恩に着せる為だ…こいつの馬鹿さには期待できる」


ベルトルト(この子が今後関わりがあるとは到底思えない、普通の人間みたいだし)

ベルトルト(…エレンみたいに巨人化できる人間がそうそういて堪るか)



クリスタ「あ、待ってよ!」

ユミル「何で待たなきゃいけねぇんだよ… あぁ、そうだ」クル

ベルトルト「!?」

ユミル「そこのアンタ。…今ここで起きたこと、教官方に言おうとか考えるんじゃねぇぞ?」

クリスタ「え?…あ、あなた、入団式で怒られてた…」

ベルトルト「あ…や、やぁ」

クリスタ「あ、あのっ、今のこと黙っててください!」ペコリ

ベルトルト「大丈夫、言わないから」

クリスタ「よかったぁ…」ホッ

ベルトルト(…なるほど。ライナーが絆されたのも分かる。確かにクリスタは可愛い)

ベルトルト(でもライナーがあんなことになった原因の一つは君だ。悪いけど、ライナーには近づけさせないよ)

ユミル「…相手してられっか。先行くぞ」スタスタ

クリスタ「ちょっとぉ!」スタスタ



ベルトルト「……」

ベルトルト(…とりあえず、クリスタは要注意だ。あと、あの女の子も)

ベルトルト(これから起こることがどのくらいズレているのか、しっかり把握しなきゃ…)

ベルトルト(絶対に故郷に帰るんだ)

ベルトルト「…あー…そろそろ部屋戻るかな」

ベルトルト「このくらい走れば、まぁ、人間なら死ぬ寸前だと思うし」



******


アニ「は?…あの、エレン・イェーガーが?」



ベルトルト(就寝の点呼後、僕はあらかじめ声をかけておいたアニと合流した)

ベルトルト(ライナーにも声をかけようとしていたんだけど…彼は卑怯なことが嫌いだから)

ベルトルト(きっとこの作戦にも反対される、だから、アニにだけ伝えることにした)

ベルトルト(エレンを…ミカサを訓練兵から脱落させる方法を)

アニ「…確かにアイツは、夕食の時に大分大きいことを言ってたよ」

アニ「超大型巨人は皮膚が殆ど無くて口がでかかったとか」

アニ「鎧の巨人は普通の巨人みたいだった…とか」

アニ「アンタはヘマやったせいで見てないだろうけどね」

ベルトルト「う…」

アニ「でもそんなに気にするようなヤツかい?…悪いけど、私には弱い人間にしか見えないよ」

ベルトルト「アニ。憎しみは時にとても強い力になる。…僕たちだって身に染みて分かっているだろ?」

アニ「それはそうだけど…」



ベルトルト「危ない芽は早めに摘んでおこう」

アニ「…ま、ベルがそんなこと言うなんて珍しいからね。分かったよ」

アニ「で?どうするんだい?言うからには何か方法があるんだろう?」

ベルトルト「うん。それなんだけど―――」



******



アニ(チッ…ベルのヤツ、なんたってこんなこと…)ガサガサ

アニ(見つかったら説教どころじゃ済まないだろ…)カチャカチャ




ベルトルト『いい?アニ。明日、立体機動の適正試験があるだろ?』

ベルトルト『装備は各人一つ、すでに振り分けられているはずだ』

ベルトルト『腰の横…ロープを接続する所の内側の部品なんだけど、そこを壊してほしい』

ベルトルト『…大丈夫、ちゃんと調べた情報だから、アニは安心して』


アニ(確かにベルは図体がデカいから、こういう密偵みたいなのは苦手だろうね…)

アニ(…別に好きで背が低いわけじゃないんだけど… あ)ガサ

アニ(“イェーガー”…これか。確か、腰の横の、接続部…)カチャカチャ

アニ「ふっ」ガキィッ

アニ(…ま、こんな所だろ。この程度のヒビなら、気付かれないと思うし…)

アニ(でもここが本当に関係あるの?…いや、明日になれば分かるか…)

アニ「…巨人を駆逐してやる、か」ボソッ


書き溜め以上です
ネタ被ってたらすみません
また明日来ます

最後まで書ききることを期待。

面白い


******


キース「全身のベルトで体のバランスを取れ!これが出来ない奴は囮にも使えん!」

キース「開拓地に移ってもらう!」


ベルトルト(これだ…これさえ失敗させてしまえば、エレンは確実に開拓地に行く)

ベルトルト(そしてミカサ、君もだ)

アニ「」チラ

エレン「」プラーン

キース「何をやってるエレン・イェーガー!!上体を起こせ!!」

ベルトルト(よし…あの箇所は整備項目には入っていない)

ベルトルト(そう簡単に気付かれることはないはずだ)

アニ(ベルの言った通りだ…失敗してる…)

アニ(…本当にあんな男が脅威になるの?やっぱり、そうとは思えない…)


クリスタ「…ふぅ…」



ユミル「よぉいい子ちゃん。クリアしちまったのか」

クリスタ「! あなた、昨日の…」

ユミル「クリスタ・レンズだろ?お前」

クリスタ「えっと…」

ユミル「ユミルだ」

クリスタ「…まるで私にクリアしてほしくなかったみたいな言い方だね」

ユミル「あぁ。お前みたいないい子ちゃんは、すぐに巨人の餌になっちまうからな」

クリスタ「……」

ユミル「そんな怖い顔すんなよ。可愛い顔が台無しだぜ?」

クリスタ「…」プイ

ユミル「……ったく、この甘ちゃんは」


******



食堂


ライナー「あのエレン…だったか?昨晩巨人を駆逐してやるって言っていたのは」

ベルトルト「うん。そうらしいね」

ライナー「あの程度のことが出来ないようでは到底無理な話だ」

ジャン「よぉ、ここいいか?」カタッ

ライナー「ああ、構わない。お前は確か、キルシュタインとか言ったか?」

ジャン「ジャンでいいぜ。こっちはマルコだ」

マルコ「やぁ、お邪魔するよ」カタッ

ベルトルト「…やぁ」ペコリ

マルコ「えっと確か…ライナー・ブラウンとベルトルト・フーバーだったね?」

ライナー「そうだ、名前で構わない」

マルコ「じゃあお言葉に甘えて。ライナーはあのテスト、簡単にクリアしてたね」

ライナー「昔から体を動かすのは得意だったからな。あのくらい造作でもない」



ジャン「お前もかなり安定してたよなぁ。手慣れてるって感じだったぜ」

ベルトルト(嫌ってくらい訓練してきたからね。どうやら感覚もある)

ベルトルト(この感覚があるってことは、やっぱり僕は立体機動も経験してるはずだ)

ジャン「それに引き替え…」チラ


アルミン「だから今は悩んでも仕方ないって…」

エレン「情けねぇ…こんなんじゃ奴らを…根絶やしにすることなんか…」


マルコ「でも他にあそこまで…その、ひどい失敗してる人はいなかったよな?」

ジャン「つまりその程度のヤツってことだろ」ムシャムシャ

ライナー(少しは骨のあるヤツだと思っていたんだがな)

ベルトルト「……」


ミカサ「もうそんなこと目指すべきじゃない」


ベルトルト「!!」ピクッ



ミカサ「向いてないなら仕方ない。ようやくできる程度では無駄に死ぬだけ。きっと夢も努力も徒労に終わる」


ベルトルト(来た…!まさかミカサから言い出すとは思わなかったけど、これは好都合だ)

ベルトルト(でもエレンの性格を考えると、むしろ逆効果かもしれない…)

ベルトルト(ミカサには何かと反発してたからなぁ、彼)


エレン「俺は…あの日あの光景を見ちまったんだぞ…?」

ミカサ「…でも、その覚悟の程は関係ない」


ジャン「へっ、いい気味だ」

マルコ「こらジャン!」ペシン

ジャン「痛ぇ!」

ライナー「ははは、お前らは大分仲良くなったみたいだな」

ジャン「別に仲良くなんかねぇよ」ムスッ



ベルトルト(そうだよジャン、例え君がどれだけマルコと仲良くなったって)


コニー『あんなに頑張ったのに…あんなに…やったのに…』

コニー『全部…無駄だったのか…?』


ジャン『俺は…俺は…調査兵団になる』


ベルトルト(マルコは…)ズキッ

カンカンカン

マルコ「あ、点呼の時間だ。早く戻ろうか」ガタッ

ジャン「おーう。じゃあな、ライナーにベルトルト。先に戻ってるぜ」ガタッ

ライナー「あぁ、後でな」

ライナー「…ふぅ。アイツらは確か、憲兵団になりたいとか言っていたな」

ベルトルト「ライナー」

ライナー「ん?」

ベルトルト「…あまり彼らと…いや、同期と関わりを持たない方がいい。僕たちが何の為にここにいるのか分かってるだろう?」



ライナー「だがなベルトルト。…疑われない為には、多少の関わりというものは確実に必要だと思う」

ベルトルト「関わり過ぎないでって言ってるんだよ」

ライナー「何をそんなに心配することがある?俺がアイツらに絆されるとでも思っているのか?」

ベルトルト(実際そうだったから言っているんだろ…)


ユミル「オイ何やってんだサシャ!」

サシャ「ハ、ハイ!」ガタッ


ベルトルト(あの子は…昨夜の…)


ユミル「私とクリスタ分の水汲みやるって言ったよな?」

サシャ「ハ、ハイ、今すぐやります恩人様…ヘヘヘ…」

ユミル「お前の救われた命は軽くないはずだよな」

クリスタ「だ、駄目だってそんなことしちゃ…」



ベルトルト(サシャまで手懐けてる…何なんだ一体…)

ベルトルト「…ねぇ、ライナー」

ライナー「」ポー

ベルトルト「!?」

ベルトルト(ライナーの目がクリスタに釘付けになってる…!まさか、こんな早くから!?それともこの世界ではこうなのか!?)

ベルトルト(とにかくライナーの意識を逸らさないと…!)

ベルトルト「ねぇライナー!あの黒髪の子なんだけど!」

ライナー「黒髪?俺には金髪しか見えないが」

ベルトルト「その金髪の隣にいるだろ!?」



ライナー「お?…あ、あぁ、アイツか」

ベルトルト「彼女、何ていう名前か分かる?」

ライナー「確か…ユミルだったか。ファーストネームは知らん」

ベルトルト「ユミル、か…」

ライナー「…まさかお前…」

ベルトルト「違うって!」

ベルトルト(くそ、最初からこんな状況になるなんて…!まぁいい、今はミカサがここから離れることが重要だ)

ベルトルト(そうすればきっと僕たちの故郷は、グッと近くなる)



******


今夜は以上です
だいぶ長くなりそうですがお付き合いいただけたら嬉しいです

ベルの2週めとは興味深いな
面白いし続き楽しみにしてます

ライナーェ…

この様子だとユミルもクリスタのためにループしてるとか?
なんにせよ続きが気になるので是非最後まで書き切って欲しい


******


コニー「コツだって?悪ぃけど俺…天才だから。“感じろ”といか言えん」

ジャン「俺は逆に教えてほしい。あんな無様な姿晒しておいて正気を保っていられる秘訣とかをよぉ…」



ライナー「うーん…姿勢制御のコツか…」

ベルトルト(まぁ予想はしてたけど)

エレン「頼む!二人もすごく上手いって聞いたぞ」

ベルトルト(やっぱり僕たちにも聞きにきたか…ある意味そこがエレンのいい所と言えばそうなんだけど、)

ベルトルト(…ごめんねエレン。君は、君とミカサは危険すぎるんだ)

ライナー「期待するような助言はできそうにないな…」

エレン「そうか…」

アルミン「明日に懸けるしかない…」

ベルトルト(…待てよ、これはチャンスかもしれない。僕の知っていることとこの世界の食い違っている部分)

ベルトルト(それがあるのならば、今少しでも確認するべきかもしれない)



ベルトルト「二人は…あのシガンシナ区出身だよね?」

アルミン「うん…そうだけど…」

ベルトルト「じゃあ巨人の恐ろしさも知ってるはずだ。なのに…どうして兵士を目指すの?」

アルミン「僕は…直接巨人の脅威を目の当たりにしたんじゃないんだ」


ベルトルト(…アルミンは、前と変わらない理由だ。でもこれだけだと判断材料が少なすぎる)

アルミン「聞いてもいいかな?」

ベルトルト「何?」

アルミン「二人はどこ出身なの?」

ベルトルト「…僕とライナーは、ウォール・マリア南東の山奥の村出身なんだ…」

ベルトルト(エレン。君は巨人の…僕たちの恐ろしさを知っているはずだ)

ベルトルト(悪いようにはしない。だから、もう、諦めてくれよ)

ベルトルト(今度こそ僕たちは…故郷に帰りたいんだ)



ベルトルト「……僕らは馬に乗ってウォール・シーナまで逃げた」

ベルトルト「後は君たちも同じだろ?」

エレン「二年間開拓地に勤めて今に至る…だよな」

ライナー「まったく…お前は何だって突然そんな話すんだよ」

ベルトルト「ご…ごめん…」

ベルトルト(確認の為、なんて言えるわけないじゃないか)


ベルトルト「体動かすの得意だから…憲兵団の特権階級狙いで兵士を選んだ」

ベルトルト「それが駄目だったら全部放棄するかもしれない…」

ベルトルト(憲兵団になって、内部から人類を全滅させる。当初の計画は見事に壊れたけどね)

ベルトルト(今回は何の問題もなく憲兵団に入るのかそれとも…)

ライナー「……」

ベルトルト(…また、君が壊れていく姿を見るのか、分からない)

エレン「俺なんか壁壊される前から調査兵団になりたいとか言って、頭がおかしい奴としか思われなかったからな…おかしいのはこっちだ」

ライナー「ん…?ってことは…巨人と遭遇した後も、その考えは変わらなかったってことか?」


ベルトルト(そうだよライナー。僕たちの最大の脅威で、最大の希望になるんだ)

エレン「殺さなきゃならねぇと思ったよ…奴らを…一匹残らず」

ライナー「……」

ライナー「俺にも…」

ベルトルト「……」

ライナー「俺にもあるぜ、絶対曲がらないものが…」

ベルトルト(…そうだよライナー)

ライナー「帰れなくなった故郷に帰る。俺の中にあるのはこれだけだ…」

ベルトルト(これは最大のチャンスなんだ。きっと、今度こそ帰れる)

ライナー「絶対に…何としてもだ」

ベルトルト(きっとその為に、僕は戻って来たんだ)

ライナー「ベルトの調整から見直してみろ、明日は上手くいく…」

ベルトルト「!!」ギクッ

ベルトルト(何アドバイスしてるんだよ!こんな所で世話焼きスキル発揮しないでよ変に的確だし!!)

ベルトルト(い、いやでもそう簡単に気付かれない…はず、はず…だよね…)ダラダラ


******


アニ「……」

ユミル「よぉ」

アニ「…何か用かい?」

ユミル「変なこと聞くんだな。ここは便所だぜ?偶然顔を合わせたって別におかしくはねぇだろ」

アニ「……アンタ、ユミルだっけ?」

ユミル「覚えててもらえてるとは光栄だな」

アニ「……」クルリ

ユミル「なぁ、アニ」

アニ「…何」

ユミル「昼間の立体機動テストのエレン…見てたよな?」

アニ「」ピクッ

アニ「それが何?」

ユミル「見事なひっくり返りっぷりだったよなぁ。あんなの、後にも先にもアイツだけなんじゃねぇか?」



アニ「悪いけど、他人を小馬鹿にして笑う趣味はないから」

ユミル「おっと悪い悪い。でもさ」

ユミル「何でアイツだけ、あんな状況になったんだろうな?」ヒソッ

アニ「!」

ユミル「他に出来ない奴も確かにひっくり返ったが…地面に頭が付くなんてなかったからさ」

ユミル「ほら、見た感じお前上手かったからさ…意見を聞きたいなと思ってよ」

アニ「……そんなの知るわけないじゃないか。あの女にでも聞けばいいだろ?」

ユミル「…あの女?」

アニ「その、エレン・イェーガーと一緒にいる女だよ」

ユミル「聞いて答えるタマじゃねぇよ、アイツは」

アニ「残念ながら私もさ。用がないなら私は戻る」

ユミル「あぁ、引き留めて悪かったな。おやすみ」



******


立体機動・再試験


ベルトルト(恐らく今日エレンが失敗すれば開拓地行きは決定だ)

ベルトルト(心配なのはライナーの助言通りにベルトを確認していた場合だ)

ベルトルト(でも今のエレンは本当に最初の最初だ。整備項目を見ながら確認するのが精一杯だろう)

ベルトルト(大丈夫、きっと上手く行く)


アニ(昨日のユミルって女…何だったんだ…)

アニ(まるで私を試しているかのようだった。…あんな人間、気持ち悪くて仕方ないよ)

アニ(…ベル、これで本当にいいんだよね?)


キース「エレン・イェーガー。覚悟はいいか?」

キース「出来なければ開拓地に戻ってもらう…いいな?」

エレン「はい!」


エレン(大丈夫だ、ライナーに言われた通り、ベルトの調整と確認はした)キリキリ

エレン(やる!俺は絶対にやる!)キリキリ


アルミン「! おぉ!」

ミカサ「……」

ベルトルト「!!」


エレン「やった、でき……」グルン

エレン「ぐあっ!!」グルン ゴン!!

キース「……」

アルミン「あぁっ…」

ライナー「クッ…」

ベルトルト「……」

ベルトルト(…そんな、あの状態の装備で、一瞬でも体勢を保った?)

ベルトルト(根性だけで出来るはずがない…なんでだ…)

ユミル「……」


キース「ワグナー。イェーガーとベルトの装備を交換しろ」

ベルトルト「!!」

ライナー「……?」チラ

アニ「……」


キース「装備の欠陥だ。貴様が使用していたベルトの金具が破損していた」

キース「正常なら腰まで浮いた状態から反転しても地面に頭をぶつけられる訳がない」

エレン「で、では…適正判断は…」

キース「……問題ない。修練に励め」


ライナー「…何とかなったようだな」

ベルトルト(何とかなられちゃ困るんだよ…)

アルミン「目でどうだ!って言ってるよ」

ミカサ「いや、違う。これで私と離れずにすんだと思って安心してる…」

ベルトルト(これが駄目ならどうしたらいい…最悪この三年間で、ミカサを何とかしなければ…!)

ライナー「……」


今夜はここまでです
原作絡ませて進めると、結構進み遅いですね
おやすみなさい

乙です
原作なぞっててもベル視点だとすごく空気が変わるな
続きが気になる楽しみに待ってます

******



849年・兵舎外れ


ライナー「説明してもらおうか」

ベルトルト(この二年間…僕は、何とかエレンとミカサを訓練兵から脱落させるため行動していた)

ベルトルト(でも結局二人が脱落することはなく、むしろ段々と力を付けているように思える)

ベルトルト(多分前の世界よりも…)

ライナー「お前たち…いや、主にベルトルトが何かをしていたのは気付いていた」

ライナー「二年前の立体機動の試験。…あの時、エレンの金具を壊したのもお前だろ?」

ベルトルト「…気付いていたのか」

ライナー「あの時、お前の様子が何となくおかしかった。何年一緒にいると思っているんだ」

ベルトルト「…あの二人は、今後僕たちの最大の脅威になる。今の内に何とかしようとしたんだ」

アニ「…昔も言ったけど、私にはそう思えない。アイツらはただの人間だよ」



ベルトルト「……ッ」

ライナー「ベルトルト。何か考えがあってやったことだ。これ以上咎めたりしない」

ライナー「が、今後こんな真似はなしだ。…せめてアイツらをちゃんと見極めてからにしよう」

アニ「どういうことだい?」

ライナー「アイツらがもし本当に危険だとしたら、確かに排除しなきゃいけなくなるだろう」

ライナー「…いくら人類を滅ぼすとはいえ、多少でも関わってしまったヤツを殺すのは、な」

ベルトルト(…僕はもう、一つ失敗してしまった)

ベルトルト(ライナーはもうすでに兵士と戦士の間を行き来している)

ベルトルト(接触を避けろなんて…ライナーの性格を考えたら無茶な話だったんだ)

アニ「ライナー、ベル。私に任せてくれないかい?」

ベルトルト「え!?」



アニ「エレンの実力を見てやるって言ってるのさ」

ベルトルト「アニ、本気で言ってるの…?」

アニ「当たり前だろう…ライナー。やり方は任せるから、エレンと接触させてくれるかい?」

ライナー「分かった。実行は来週の対人訓練だ」

アニ「あぁ」

ベルトルト(…ここまで僕が経験してきたことに大きな相違はなく、ここまでの結末も何一つ変わらなかった)

ベルトルト(せめて分かっている、この先起こることを変えていければ…!)



******


対人訓練


ライナー「イテテ…ほら、次はお前がならず者をやる番だ。全く、俺の巨体を投げ飛ばすとは…」

エレン「悪い…力の加減が下手でよ」



ベルトルト「…」チラッ


エレン「実際は…上手く行かずに終わるのがほとんど。ガキの戯れとは違う…」

ライナー「お前の言いたいことは分かった。でもな…それじゃあやっぱり無責任だと思うぞ」

ライナー「俺たちは兵士だろ?」


ベルトルト「!」


ライナー「いくら不利な状況でも逃げてはいけない時がある」

ライナー「守る対象が脅威に晒された時、その間に入って盾にならなければならない」

ライナー「相手が何であろうと、だ。俺たちは大砲でも格闘術でも使いこなして力を付けなきゃならん…」

ライナー「それが…力を持つ兵士としての責任だと思う…俺は…」


ベルトルト(君はそれを本心で言っている。エレンを騙すためじゃなくて、本心から…!)

ベルトルト(…君はライナーであって、ベリックじゃないんだ…)



ベルトルト(きっとベリックのことを言ってるんだろ、君は…)

ベルトルト(身を挺してあの巨人から僕たちを守ってくれた、ベリックのことを)

ベルトルト(でも君は戦士だ!僕とアニと一緒に故郷に帰ると誓った、ライナーだろう!?)

ベルトルト(くそ、今すぐにでも言いたい…君は戦士だって…)

ベルトルト(でも…)チラ

ユミル「余所見するとはいい度胸じゃねぇか」

ベルトルト「…クリスタはどうしたの?」

ユミル「ミカサと組んでるよ。私相手じゃ手抜きされるから嫌なんだと」

ベルトルト「…あ、っそ」


ライナー(さて、と。どうやってアニとエレンを接触させるか…)

ライナー(何かいい理由があればいいんだが…そうだ)

ライナー「ん?オイ…アイツ…」

エレン「ん?アニか…また教官にバレないようにうまいことサボってるな」



ライナー「……」

ライナー(サボり…これは使える)

ライナー「よーしエレン。アニにも短刀の対処を教えてやるぞ」

エレン「は?」

ライナー「あの不真面目なヤツにも説教だ。兵士とはどうあるべきか…教えてやろうじゃないか」


******



ライナー「よぉアニ」

アニ(ライナー…エレンも一緒か)

ライナー「教官の頭突きは嫌か?」

アニ「……」

ライナー「それ以上身長を縮めたくなかったら、ここに来た時を思い出して真面目にやるんだな」



アニ(!? ここに来た時…!?)

アニ(…兵士兵士って言うからおかしいと思ってたら…そういうことか)

アニ(ライナー、アンタは兵士じゃない。ここに来た時を思い出すのは、アンタの方みたいだね)

アニ(ベルの危惧はこういうことか、分かったよ)イラ



ユミル「なぁベルトルさん」

ベルトルト「え?」

ユミル「…アンタは、ライナーやアニと仲が良いみたいだな」

ベルトルト「!?」

ベルトルト(ライナーはまだしも、何でアニまで!?まさか夜話しているのを見られた…!?)

ユミル「っ」ヒュッ

ベルトルト「なっ…!?」パシッ

ユミル「……アンタに、頼みがある」ボソッ

ベルトルト「えっ、頼み…!?」ギリギリ


エレン「んな…何だ…足…蹴られたのか…?」

アニ「もう行っていいかい?」

ライナー「まだだ!短刀を取り上げるまでが訓練だ!」

エレン「……オイ!ちょっと待てよ!!」


ユミル「いや、頼みじゃねぇ、脅迫だ」

ベルトルト「!?」ビクッ


エレン「」ドサッ

ライナー「……!」

アニ「……次は、アンタが私を襲う番だね」

アニ(平和ボケしたアンタに、思い出させてやるよ)

エレン「やれよライナー。兵士としての責任を…教えてやるんだろ?」

アニ「」イラ

ライナー「……あぁ、兵士には引けない状況がある」

アニ(アンタが戦士だってことをさ)



ユミル「クリスタに近づくな」ボソッ

ベルトルト「クリスタ…!?」

ベルトルト「何で、クリスタ…!?君はクリスタと一体どういう関係なんだ…!?」

ユミル「声がでけぇよ。それに、テメェには関係ねぇ」

ユミル「ただ近づくな。それだけだ。もし出来ねぇって言うなら…」グルン

ベルトルト(ぐっ…後ろから首を…!!)

ユミル「―――テメェのうなじ、綺麗に削ぎ落としてやるよ」

ベルトルト「―――っ!?」ゾクッ



******


今夜はここまでです
訓練兵時代はそろそろ終わります
レスくださった方ありがとうございます、とても嬉しいです

すげえ面白いよ
自然と原作の流れになってる

なかなかいい。乙


******


夜・訓練所外れ


アニ「ごめん、ベル」

ベルトルト「ど、どうしたの?」

アニ「今日の訓練中にライナーと話してみて分かったよ。アイツは大分、兵士に毒されていたんだね」

ベルトルト「…うん」

アニ「…ベルが言っていたことが今なら分かるよ。ベルは、これを心配していたんだろ?」

ベルトルト「…うん」

アニ「…今のままだと、ライナーが憲兵団に入るかさえ怪しくなってきたね」

ベルトルト「そのことなんだけどさ、アニ」

アニ「うん?」

ベルトルト「ライナーは、憲兵団に入るつもりだ」

アニ「は…!?計画と違うじゃないか!三人一緒に憲兵団に入るって…!」


ベルトルト「……」

アニ「どうするの…ベル…それは、本当のことなの…?」

ベルトルト「…うん。ライナー本人から聞いたわけじゃないけど、そうなると思う」

アニ「…ねぇ、ベル」

ベルトルト「何…?」

アニ「今日、エレンと話したんだけどさ」

アニ「…何で、壁内のヤツらは、あんなに馬鹿ばかりなんだろうね…」

ベルトルト「……」

アニ「…アイツらを、殺さずに済む方法って、ないのかな…」

ベルトルト「!? アニ、それは…!」

アニ「分かってる。私たちがこんなこと言っちゃいけないって…この世界を壊したのは、私たちなんだから…」

ベルトルト「アニ…」

ベルトルト(エレンのことを伝えれば、多分一時的だけどアニの心は楽になるもしれない)

ベルトルト(でもそれを伝えれば、何故知っているのかと聞かれる)

ベルトルト(…アニは、信じてくれるだろうか…)



アニ「…ごめん、こんなこと言って」

ベルトルト(アニ、僕は、君を救いたい)

ベルトルト「…ねぇ、アニ。もしも“座標”を持つ人間が現れたら、どうする・」

アニ「!! そんな馬鹿な…」

ベルトルト「…僕は、もしかしたらエレンがそうなんじゃないかって思ってる」

アニ「待って、ベルが何を言っているのかよく分からない」

ベルトルト「聞いて、アニ。もしもエレンがそうなら、僕たちは人類を滅ぼさなくてもいいんじゃないかと思う」

アニ「…!」

ベルトルト「ライナーは調査兵団に入る。僕もそうするつもりだ。ライナーを一人には出来ないし、エレンの監視もしたい」

アニ「…私は今、アンタの言葉を信じていいのか悩んでる」

ベルトルト「分かってる。信じてくれとは言わない。でも、僕は本気だ」

アニ「……」

ベルトルト「大丈夫。…僕が絶対、何とかするから」


アニ「ベル…?」

ベルトルト「あまり遅くなると疑われる。もう戻ろう。…あぁ、そうだアニ」

アニ「…何だい?」

ベルトルト「…クリスタとユミルは、仲が良いの?」

アニ「え?…あぁ、ユミルがべったりクリスタにくっついてるよ」

ベルトルト「そっか」

アニ「どうして?」

ベルトルト「あー…前に、クリスタを見張ってたウォール教の教徒がいただろう?」

アニ「…!」

ベルトルト「クリスタといつも一緒にいるから、もしかして関係あるのかなって…」

アニ「…ベル、伝え忘れていたことがある」

ベルトルト「?」

アニ「一昨日、ウォール教だと思われる男の死体が見つかったらしい」

ベルトルト「!? そんな話聞いてないよ!?」

アニ「馬鹿、声が大きい。…私だって教官が話しているのを偶然聞いたんだ。立体機動の訓練に使っている森で、死んでたって」



ベルトルト「…犯人は…」

アニ「ウォール教から騒ぎを大きくするなと言われたらしい。犯人探しはしてないってさ」

ベルトルト「……」

アニ「ベル?」

ベルトルト「…いや、何でもない。戻ろう」

アニ「…あぁ」

ベルトルト(この近くにいたってことは、確実にクリスタが関係してる)

ユミル『クリスタに近づくな』

ベルトルト(…まさか…)

ユミル『もし出来ねぇって言うなら…』

ベルトルト(前の世界には存在していなかったはずの君)

ユミル『―――テメェのうなじ、綺麗に削ぎ落としてやるよ』

ベルトルト(エレンやミカサよりも危険な存在になるかもしれない)

ベルトルト(君は一体、何者なんだ)


******


サシャ「ひやー、ドキドキひまふね!」モシャモシャ

コニー「お前は口の中のモン飲み込んでから喋れよ」

サシャ「うーっ」ゴクンッ

サシャ「とうとう明日、解散式ですよ!」

クリスタ「何か三年間、あっという間だったね」

コニー「しかも明日は上位十番も発表だ!ま、天才のこの俺様が呼ばれないなんてありえねぇけどなっ」

サシャ「私だって負けてませんよ!」

ユミル「ったくうるせぇヤツらだな」

コニー「誰が入るだろうな?俺は間違いないとして、首席はミカサで決まりだろ?それにライナーとベルトルトも!」

サシャ「アニが来て…うーん、エレンとジャン、あとマルコも入ると思いますけど…」



コニー「ま、俺の方が順位は上だろうけどな!」

クリスタ「あはは、あとはユミルもだねっ」

サシャ「うーん…確かにユミルは成績いいですし、かなりあり得ますよね」

ユミル「私は入らねぇよ。入るのはクリスタだ」

クリスタ「えぇ!?そんなわけないじゃない!」

コニー「でもクリスタは馬術がピカイチだからな」

ユミル「そうそう」

クリスタ「でも他は駄目だもん」

ユミル「いいから憲兵団入って内地行け」

クリスタ「もう、ユミルったら!」


******


今夜はここまでです
>>100までにトロスト区奪還終わらせる気でいたのに無理なことに気付いた
相当長くなりそうですが、最後まで書き切りますので
お付き合いいただけたら嬉しいです

乙。


仕事前にミス発見

>>58
ベルトルト「ライナーは、憲兵団に入るつもりだ」


ベルトルト「ライナーは、調査兵団に入るつもりだ」

憲兵団入ったら計画通りじゃないか
多分また夜来ます


******


キース「十番、クリスタ・レンズ!!」


(どうして?ねぇ、どうして私が)


キース「本日は、これにて第104期訓練兵団解散式を終える…以上!」


(どうして私の名前が呼ばれたの?)


******




クリスタ「ユミル!!」

ユミル「んぁ?」

コニー「クリスタ!すげぇじゃねぇか十番なんて!」

ユミル「ハッ、私の言った通りじゃねぇか。良かったなクリスタ」

クリスタ「茶化さないで!」バンッ

サシャ「ク、クリスタ…?」

ユミル「んだよ、女神のご乱心か?」

クリスタ「私が十番以内なんてありえない。…ユミル、あなた一体何をしたの?」

コニー「はぁ?どうしたんだよクリスタ!十番だぜ!?素直に喜んどけって!」

ユミル「お、コニーにしちゃマトモなこと言うじゃねぇか」

クリスタ「っ…」


******


食堂・夜


ジャン「やっとこのクッソ息苦しい最前線の街から脱出出来るからだ!!」

ジャン「内地での安全で快適な暮らしが俺達を待ってっからだろうが!!」

マルコ「なっ…お前…は、恥を知れよ、少なくとも僕は―――!」

ジャン「あーすまん俺が悪かった。お前は優等生だったな」


ベルトルト(明日、僕たちはウォール・ローゼのトロスト区を攻撃する)

ベルトルト(前回も行ったことだけど、今回は違う理由だ)

ベルトルト(エレンが巨人化出来るか、どうか。この重要な事柄だけは確認しなければならない)

ベルトルト(もし出来たのなら、―――壁外調査を待つまでもない、エレンを確保する)

ベルトルト(本当はもっと早く確認したかったけど、念の為同じ状況にしておきたかった)

ベルトルト(でも、一つだけ、違う)



ジャン「だよなぁ…みんな内地に行きたいよな…で、お前らは」

アニ「…私は憲兵団だ。だけど、アンタと一緒だとは思われたくないわ」

ジャン「ハハハッ!ベルトルトも内地か?」

ライナー「あぁ、俺たちは」

ベルトルト「調査兵団にするよ」

アニ「……」

ライナー「は…!?」

ジャン「調査兵団ん!?おまっ…だって憲兵団に入るって言ってたじゃねぇか!」

ベルトルト「気が変わったんだ」

アニ「…意外だね、アンタが調査兵団に行くなんてさ」

ベルトルト「そうかな?あはは…」

ライナー「……!?」



ジャン「いやぁ本当に意外だったぜ!アハハハッ」

エレン「なぁ…内地が快適とか言ったな…この街も五年前まで内地だったんだぞ」

ジャン「!」

エレン「ジャン…内地に行かなくても、お前の脳内は“快適”だと思うぞ?」


ライナー(どういうことだ!?憲兵団に入ると決めていただろう!?)

ライナー(…いや、人類の勝利の為には、やはり調査兵団に…)

ライナー(は?…俺は今、何を考えた?)


コニー「アイツらまたやってるよ…」ズズッ

サシャ「こんな日までやらなきゃいいと思いません?」ヒョイッ

コニー「あっ!お前の分のメシまだあるだろ!?」

クリスタ「あはは…もう、皆気が大きくなっちゃってるのかな?ねぇユミル」

ユミル「……」



クリスタ「…ユミル?」

ユミル「……あぁ、そうだな」

コニー「ったく、アイツら…あ、ミカサ」

サシャ「ミカサが出てくればもう大丈夫ですね!」

コニー「やべぇエレン肩に担がれてる!何だあれ!」ギャハハ

サシャ「知ってますかコニー…ミカサの腹筋はすごいんですよ…」

コニー「今腹筋関係なくね?」

クリスタ「あ、何かおひらきみたいだね…寮戻ろっか」

サシャ「そうですね!あぁ、でもまだ食べたかった…」

コニー「もう食い尽くしただろ…どんな胃袋してるんだよ…」

ユミル「」ガタッ



サシャ「ユミル、どうしました?」

ユミル「ん?あー、便所」

クリスタ「待ってようか?」

ユミル「いいよ、長くなりそうだし」チラ

ベルトルト(明日の確認もあるし…ライナーに声かけなきゃ)


とりあえずここまでです
ペースが早い気がしますが気にしない感じで

これは面白い。支援。


******


ユミル(おかしい、絶対におかしい)スタスタ

ユミル(あの野郎どこ行きやがった…様子見なんてする必要なかった)

ユミル(アイツは危険すぎる。誰よりも、危険だ)

ベルトルト「…」

ユミル「! おい、ベル…」

ライナー「ベルトルト!」

ユミル「っ!?」サッ

ベルトルト「ライナー…」



ユミル(ライナー!?チッ、なんつータイミングで来やがる!)

ライナー「お前、どういうつもりだ!何で調査兵団なんだ!一緒に憲兵団に入るって言っていたじゃないか!」グッ

ベルトルト「ライナー。君に黙ってそう決めたことは謝る。でも、これが最善だと僕は思っている」

ライナー「内地に入るんだろう!?何自分から死に急ぐようなことをしているんだ!」

ベルトルト「声が大きいよ、誰かが聞いてたらどうするんだ」

ライナー「す、すまん…だが、どうしても納得が出来ない。何故調査兵団なんだ…よりにもよって…」

ベルトルト「君は、本当に心の底から憲兵団に入ろうと思っているの?」

ユミル(……)

ライナー「は…?お前、何を言っているんだ…」

ベルトルト「本当に憲兵団に行こうとしてる?少しでも、調査兵団に入ろうと思っていない?」

ライナー「…そんなこと、思っているわけないだろう…」



ベルトルト「君は、戦士なんだよ、ライナー」

ライナー「…っ、分かっている!」

ベルトルト「君が調査兵団に行くなら、僕は止めない。むしろその方がやりすくなる」

ライナー「やりやすくなる…?」

ベルトルト「ライナー。調査兵団に行けば、故郷に帰れる可能性が高くなる…と、思う」

ライナー「はぁ!?いや、お前…何を言っているんだ…」

ベルトルト「ほ、ほら、アニは憲兵団に行って内部からで、僕たちは調査兵団に入って外から攻めよう」

ベルトルト「…明日の計画は覚えているよね?」

ライナー「あ、あぁ…大丈夫だ」



ベルトルト「その時に、もしかしたら想定外のことが起きるかもしれない」

ライナー「どういうことだ」

ベルトルト「今はまだ言えない。でももしそれが起こったら、それはきっと僕たちの希望になる」

ライナー「…ベルトルト、お前…」

ベルトルト「だから僕たちは調査兵団に行こう」

ライナー「…分かった」

ベルトルト「さ、戻ろう。…明日は忙しくなるんだから」

ライナー「なぁベルトルト。…お前、変わったな」

ベルトルト「え?」



ライナー「一人で何も決められなかったお前が…一体何があったんだ?」

ベルトルト「僕は、何も出来なかったから」

ライナー「は…?」

ベルトルト「ほら戻ろうってば。明日一番大変なの僕なんだよ?」

ライナー「…あぁ」


ユミル「……」

ユミル(…へぇ、なるほどね。そういうことか)

ユミル(さてと…どうすっかなぁ)


******


エレン「目標目の前!!超大型巨人!!」

ベルトルト(三年待った。君が巨人化するかもしれない今日を、待っていたよ)

エレン「これはチャンスだ、絶対逃がすな!!」ダッダッ

ベルトルト(エレン…君はこれから人類の希望と呼ばれる)

エレン「壁を壊せるのはこいつだけだ!こいつさえ仕留めれば…!!」

ベルトルト(でも君は僕たちの希望でもあるんだ)


エレン「…よう」

ベルトルト(君が巨人化出来なかったら)

エレン「五年振りだな…」

ベルトルト(君を殺すよ)


******



アニ「こっちだベル!」

ベルトルト「ア、アニ…!」ハァハァ

アニ「予想通り壁内は大パニックだ!この状況なら立体機動を使っても怪しまれない!」

ベルトルト「あ、ありがとう」

アニ「熱ッ…ほら、背中やってやるから、早く装備しな!」カチャカチャ

ベルトルト「っ…」カチャカチャ

アニ「…ベル、本当にこれで分かるのかい?エレンが座標かもしれないって…」

ベルトルト「うん、絶対に、分かる」

アニ「分かった。アンタを信じるよ」

ベルトルト「アニ…」

アニ「出来たなら行くよ。ライナーが誤魔化してはいるけど、いつまで持つか分からないからね」

ベルトルト「う、うん」

ベルトルト(この後補給班が籠城して、巨人化したエレンが現れる…!)

ベルトルト(ここまで上手く行ったんだ、頼むから、頼むから…!!)


******


ジャン「俺達への補給任務を放棄して本部に籠城はねぇだろ…」

ジャン「案の定…巨人が群がってガスを補給しに行けねぇ…」

コニー「だから!イチかバチかあそこにいる巨人を殺るしかねぇだろ!?」


アニ「ライナー…どうする?」

ライナー「まだだ…やるなら集まってからだ」

ベルトルト「……」チラ


アルミン「ッ…ッゥ……!」


ベルトルト(アルミンが一人でいる…ということは…エレンは、巨人に食われた…)

ベルトルト(ここまでも前と同じ、これなら巨人化したエレンが現れるはず…!)



ミカサ「私は…強い…あなた達より強い…すごく強い…」

ミカサ「…ので私は…あそこの巨人共を蹴散らせることが出来る…例えば…一人でも」


ミカサ「出来なければ……死ぬだけ。でも、勝てば生きる…」

ベルトルト(今ならあの時…いや、今君が言っている言葉の意味が理解できるよ)

ミカサ「戦わなければ、勝てない…」

ベルトルト(勝つために、僕たちは君たちと戦うよ)

ベルトルト(僕は必ずあの運命に打ち勝ってみせる)


******


クリスタ「どうして私たちは行っちゃいけないの!?」



ユミル「ガスの補給は出来た、今は壁内に戻ることに集中しろ!」

クリスタ「そんな!中衛部の皆がまだ…!!」

ユミル「いいからお前は壁を登れ!」

クリスタ「嫌!せめて、ガスの補給支援に…!!」

ユミル「いい加減にしろ!!」

クリスタ「ッ!!」ビクッ

ユミル「お前が行って何が出来る!?お前の自分勝手な行動に、人の生死を懸けんじゃねぇ!!」

クリスタ「で、でも…!このままじゃ皆…!!」

ユミル「大丈夫だ、あっちは大丈夫だから!!」

クリスタ「何が大丈夫なの!?エレンも、ミカサもアルミンも死んじゃうかもしれないじゃない!!」

ユミル「大丈夫だから、いいから来い!!」グイッ

クリスタ「―――ッ…!!」


******


ベルトルト(勝った…!!)

ライナー(想定外のこと…ベルトルトが言っていたのはコイツのことか!?)

アニ(ベルは知ってたの…!?こんな巨人がいることを…!)


「アァァアアァァァァ!!!!!!」


コニー「皆!!あの巨人は巨人を殺しまくる奇行種だ!!しかも俺たちには興味がねぇんだってよ!!」

ライナー(何故ベルはコイツの存在を知っていた…!?少なくとも俺はこんなヤツの存在は聞いていない!)

ライナー(まさか壁内の人間は知っているのか…?いや、そんなまさか…)

ライナー「…お前ら、あの巨人についてどこまで知っているんだ?」

コニー「? …助かってからでいいだろ、そんなこと」

ライナー「…そうだな…まずは助かってからだ…」

ライナー(この様子だと少なくともコニーは知らない…だが見たところ、アイツは俺達と同類だ)

ライナー(誰だ?あの巨人の正体は…)


とりあえずここまでです
1レスが長すぎる気がしたので、少なくしてみました
また明日来ます、レスくださった方ありがとうございます

これは面白い
続きが気になるな

ユミルがどうなるのか気になるな…


******


ジャン「弾は本当に散弾でいいのか?そもそもこの鉄砲は…巨人相手に役に立つのか…?」

アルミン「…無いよりはずっとマシだと思う…」

ライナー(うだうだ考えてる場合じゃねぇ。今はここを生き延びることが先だ)

アニ(ここを出てから、あの巨人については考える)

ベルトルト「……」

アルミン「この作戦は一回のみの攻撃に全てを…全員の命を懸けることになる」

アルミン「7人が7体の巨人を一撃で同時に仕留める為の作戦なんだ」

ベルトルト(確か…サシャとコニーが失敗したから、アニとミカサが援護した…あの時は上手く行ったけど、今回もそうなるとは限らない)

アルミン「全員の命を背負わせてしまって…その…ごめん…」



ライナー「問題ないね」

アニ「誰がやっても失敗すれば全員死ぬ。リスクは同じだ」

ベルトルト(…念の為だ)


「リフトの用意が出来たぞ!鉄砲もだ!!全て装填した!!」


ベルトルト「サシャ、コニー」

サシャ「はっ、はいっ?」

コニー「どうしたんだよ、ベルトルト」

ベルトルト「その…サシャはいざって時に左に逸れる癖があるから、少し右を意識した方がいい…と思う」

サシャ「え?」



ベルトルト「コニーは落下スピードが速いから、気持ち速めに切り込んで」

コニー「は!?お、おう…」

ベルトルト(万が一、アニに怪我があっちゃいけない。アニは大事な女の子なんだから)

アニ「……」


******


マルコ「―――用意……撃て!!」


ドドドドドドドド


ベルトルト「―――ッ!!」ザシュッ

ベルトルト(よし…!サシャとコニーは…!?)

コニー「うおりゃぁああ!!」ザシュッ

サシャ「だぁあぁぁ!!」ザシュッ



マルコ「―――作戦成功だ!!」

ベルトルト(やった…!アニッ、ライナー!)クルッ

ライナー「アニ、怪我はねぇか!?」

アニ「あぁ」

ベルトルト(良かった…)ホッ

ジャン「補給作業に移行してくれ!!」


******


ミカサ「!」ヒュンッ

アルミン「ミカサ!?」ヒュンッ

ベルトルト「!」

ベルトルト(まずい!)ヒュンッ

ライナー「お、おいベルトルト!?」




アルミン「共食い…?」

ミカサ「どうにかしてあの巨人の謎を解明できれば…この絶望的な現状を打開するきっかけになるかもしれないと思ったのに…」

ライナー(想定外のことが…希望になる…アイツが本当にそうだとしたら!)

ライナー「同感だ!」

アルミン「!」

ライナー「あの巨人にこびりついてる奴らを俺達で排除して…とりあえずは延命させよう!」

アニ(“エレンが座標か分かる”…って…まさか…!)

ジャン「正気かライナー!やっと…この窮地から脱出出来るんだぞ!」

アニ(あの巨人の正体は…エレン…!?)

アニ「例えばあの巨人が味方になる可能性があったらどう?どんな大砲よりも強力な武器になると思わない?」

ジャン「仲間だと…!?本気で言ってるのか!?」



アルミン「! ア…アイツは…トーマスを食った奇行種…!?」


「!! アアァァァァアアアア!!」ダンッ


ベルトルト(エレンは巨人になれた…)


「アァァァアア!!」ガヴッ


ミカサ「…!!」

ベルトルト(…でも、本当にこれで良かったのか…?)


「ガアアアァァ!!」バキィッ


ベルトルト(巨人を憎むエレンが…本当に味方になるのか…?)

ジャン「…おい」

ベルトルト(僕はどこかで、間違えたんじゃないのか…?)

ジャン「何を助けるって?」




アルミン「あ…!!」
 

ズンッ ズシィィィン


ジャン「さすがに…力尽きたみてぇだな」

ベルトルト(……)

ジャン「もういいだろ…?ずらかるぞ!あんな化け物が味方なわけねぇ」

ジャン「巨人は巨人なんだ」

アニ「……」

ライナー「……」



ジャン「…? …オイ」

ジャン「……? …!!」

アニ(…本当に…エレンが…)

ライナー(俺達の希望が…エレン…?エレンが、巨人?俺たちの仲間?違う、そんなわけ―――)

ベルトルト(結局君を生かしてしまった僕は間違っていなかったと、誰か、言ってくれ)


ミカサ「うわぁぁぁぁん!!」

アルミン「一体…何が……ッ」

ジャン「これをエレンが…やったってことか……?」


******


ライナー「…ベルトルト…」

ベルトルト「…うん」

ライナー「…頼む、落ち着いてからでいい、説明、してくれ…」

ベルトルト「うん…」


コニー「そんで何とかガスが手に入ったんだ…」

クリスタ「…そんなことが…」

クリスタ「ごめんなさい…何度も皆の補給の救援を志願したんだけど…」

ユミル「…コニー、今の話は本当か?」

コニー「何だよこのブス!疑ってんのか!?」

ユミル「別に疑ってなんざいないさ。ただ…コニーその作戦、成功したんだよな?」



コニー「だからそう言ってんだろ…皆一撃で仕留めたんだ。ベルトルトがアドバイスしてくれてな…」

コニー「ま、まぁそんなんなくても余裕だったんだけどな!」

ユミル「へぇ…」

クリスタ「コニー…じゃ、じゃあ今ここにいない人達は全員…」

ユミル「……」

ユミル(…サシャが落ち込んでねぇ…コニーの言ったのは本当ってことか…)

コニー「…あぁ」

ユミル(まさかとは思うが)

ユミル「本当か?あのミカサもか?」

コニー「ん?いや…ミカサはジャン達と一緒に遅れて来たと思ったんだが…ジャン、まさかミカサは負傷でもしたのか?」



ジャン「…俺たちには守秘義務が課せられた…言えない。もっとも、どれ程の効果があるのか分からんが…」

コニー「守秘義務?」

ユミル「……」


ドォォォン


ライナー「砲声!?」

コニー「水門が突破されたのか!?」

マルコ「一番頑丈な箇所だ、ありえない…!榴弾を落としただけだろう!」

コニー「にしても…あの煙の量はなんだ…!?」

マルコ「まさか!?巨人の蒸気!?」

ライナー「……!!」

ライナー(間違いない…エレンが、巨人化した!!)バッ

マルコ「!? ライナー!?」



アニ(人間が巨人になれるっ…その可能性を人類は知ってしまった!)バシュッ

ベルトルト(くそっ、こうなったらいっそ…いっそ今!!)バシュゥッ

コニー「オイ!?お前ら!?」

クリスタ「何…!?何が起こっているの…!?」

ユミル「…クリスタ、コニー、お前らはここにいろ」バシュッ

クリスタ「!? ユミル!」

コニー「お、おい!!」

ユミル(もう間違いない!この世界で一番危険なのはミカサでもエレンでも世界そのものでもねぇ!!)ダンッ

ライナー「……どうなってんだ…これは…!?」

ベルトルト「……!」

ユミル(お前だ、ベルトルト・フーバー…!これ以上メンドくせぇことになる前に…!!)


今日はここまで
レスありがとうございます、女型までまだ大分かかりそうです
おやすみなさい


面白いな
これはユミルも…?

うおおおおお!すげえ!
ベルトルさんの特異な状態にユミルが気づいた!
どうなるか楽しみすぎる…!
乙です

乙!
すごく面白い!続きが気になる。楽しみにしてます。

おつおつ!
ユミルからすればベルトルトがイレギュラー要員なのかな?


ユミルとベルトルトが所謂特異点なのか?



ユミル「…ッ」スタッ

ベルトルト(でも…こんなに兵士がいる中からエレンを連れ去れるのか…!?)

ユミル(…予想外だったよベルトルさん)

ベルトルト(ライナーとアニはまだ混乱してるし…“猿”もまだ出てきてない)

ユミル(悪いがアンタに付き合ってる余裕はねぇんだ)グッ

ベルトルト(今エレンを連れ去るのは得策じゃないってことか…)

ユミル(…悪いな)


『誰がッ!!』


ユミル(!!)



『人なんか殺したいと!!…思うんだ!!』


ユミル(…畜生…)


『頼む…誰か…お願いだ……』


ユミル(何でこんな時に…っ!)


『誰か僕らを見つけてくれ…』


ライナー「! ユミル!?」

ユミル「!!」ハッ



アニ「…見たの…?」

ユミル「あ…あぁ、バッチリとな」

ジャン「だから守秘義務なんざ意味ねぇんだよ…」

ベルトルト(一度ちゃんと相談してから決めないと…それに…)チラ

アニ「…っ…」

ベルトルト(人類を殺したくない…アニの願いを叶えるには、とりあえずあの穴を塞がなくちゃいけない)

ベルトルト(これ以上巨人に入って来られたら、それはきっとアニを悲しませることになる)

ベルトルト(…穴を開けた張本人がそう思うなんて…皮肉だな…)


******


アニ「…ごめんなさい…」

ベルトルト(エレンが穴を塞いでから、もう丸二日)

ベルトルト(…僕らが原因だとは言え…二度も同期の死体を見ることになるなんて…)

アニ「ごめんなさい…」

アニ(私たちの身勝手で、あなた達を殺してしまった)

アニ(私たちは…一体何をしたかったんだ…)

ライナー「謝っても仕方ないぞ。早く弔ってやるんだ…」

ベルトルト「…アニ…」

ベルトルト(お願いだから、そんな顔しないで。アニは何も悪くない)

ベルトルト(壁を壊したのも、こんな計画を立てたのも僕なんだ)

ベルトルト(…アニ)

ライナー「…あんなに訓練したのにな…」


******



ボォオォオオオ


コニー「あんなに頑張ったのに…あんなに…やったのに…」

コニー「全部…無駄だったのか…?」

ベルトルト(結局、何も変わらなかった)

ベルトルト(エレンが巨人になって、トロスト区を奪還して)

ベルトルト(…そして…)

ジャン「……」ギュッ

ベルトルト(何も変わることなく、マルコは、死んだ)

ベルトルト(もしも今回…仮に襲撃計画を行わなかったら、マルコは生きていたのだろうか?)



ベルトルト(そうしたら未来は変わっていたのかもしれない…でも)

ベルトルト(…ウトガルドの後、僕はミカサに殺される。それを阻止できれば…その先に行くことが出来たら…)

ベルトルト(きっと救われるんじゃないかって、思う)

ジャン「おい…お前ら…」

ジャン「所属兵科は何にするか…決めたか?」

ベルトルト「……」

ジャン「俺は決めたぞ。俺は…」

ジャン「俺は……っ……調査兵団になる」

ベルトルト(結局、何も変わらなかった)


******


クリスタ「ひぐっ…ひっく…」

ユミル「……」

クリスタ「ッ…うぅ…」

ユミル「…もう泣くなよ」

クリスタ「…ユミルは、平気なの…?」

ユミル「あ…?」

クリスタ「ついこの前まで一緒に訓練してたんだよ…?なのに…」

クリスタ「…皆、燃えてしまった…」

ユミル「……」

クリスタ「ねぇ…」



ユミル「泣いて、悲しんで、後悔すりゃ…そいつらは生き返るのか?」

クリスタ「!?」

ユミル「だったらいつまででもそうしてろ。だがお前の中に少しでも、これ以上泣きたくないって思いがあるなら」

クリスタ「…ッ…」

ユミル「行動しろ。思うだけじゃ、何も変わらねぇんだ」

クリスタ「…ユミルは強いね」

ユミル「…」

クリスタ「とても強いけど…すごく、残酷な人だね…」

ユミル「…あぁ、自覚してるよ」


******


アニ「いい加減、説明して」

ベルトルト「……」

ライナー「…何故お前は、ああなると分かっていたんだ?誰からそんな情報を得た?」

ベルトルト「…誰からでもない。けど、分かっていたわけでもないんだ」

アニ「どういうことだい?」

ベルトルト「確実にああなるって保障は正直なかった。運が良かったんだ」

アニ「…運だけで片付けられるわけがないだろ?」

ライナー「とりあえずこの件は保留だ。実際起こったことだし、問題はエレンをどうするかだ」

ライナー「それに、噂によると調査兵団が二体の巨人を捕獲したらしい」

アニ「…無知性とはいえ、下手に解剖や研究でもされたら厄介だね」

ライナー「俺達でも知らない弱点でも発見されたら…最悪だ、対処のしようがない」

アニ「だったら処分するしかないだろ?」

ライナー「だが、一体どうする?さすがに立体機動を使わなければ、いくら動けないとはいえ巨人を殺すのに手間がかかる」



アニ「でも…自分のを使うわけにはいかない。クセが出るからすぐにバレるだろうしね」

ベルトルト「…いや、自分のを使って、検査の時にはマルコのを提出しよう」

アニ「マルコの…!?」

ライナー「マルコの立体機動は見つかってないとは聞いてたが…オイオイ…まさかお前…」

ベルトルト「……」

アニ「…嘘だろう…?」

ベルトルト「……兵舎の裏手にある森に、隠してある」

ライナー「…おいベルトルト…何なんだよ一体、何でお前…こうなるって分かってたみたいなことが出来るんだ…」

ベルトルト「今はまだ言えない。…二人を信用してるから、言えないんだ」

アニ「っ…分かった…」

ライナー「アニ…!?」

アニ「ベルを信じる。…実際、トロスト区でもそうだったんだ…信じる価値はある」



ベルトルト「アニ…!」

アニ「でも勘違いしないで。信じるけど、ちゃんと話は聞きたいの」

ベルトルト「…うん」

ライナー「っあー…ったく…分かったよ」ガリガリ

アニ「だとしたら早い方がいい。今夜やろう」

アニ「下手に躊躇うと折角隠してあるダミーが見つかっちまう」

ライナー「そうだな。…俺が行こう」

ベルトルト「いや駄目だ、僕がやる」

ライナー「そんな危険な役をお前らにやらせられるか。もし気付かれたら…命の保障はないんだぞ」

アニ「……私がやる」

ベルトルト(…待ってくれ…前の世界でアニは一体どうなったんだ…?)

ベルトルト(壁外調査でエレン確保に失敗して…その後僕たちは隔離された…)

ベルトルト(どうして隔離されたんだ?恐らくは巨人の仲間がいると思われたからだ、つまり)

ベルトルト(アニが女型だとバレて…エレンが…)



エレン『やった!討伐数1!!』


ベルトルト(…アニが、逆に捕獲された…?いや、気付かれずにこっちに来ていた可能性だってある…)

ベルトルト(そうだ、アニがどうなったのか分からない…!)

ベルトルト「駄目だ、アニはやっちゃ駄目だ!」

アニ「!? は、ハァ…!?」

ベルトルト「そんな危険な役目、駄目だ!僕がやる!」

アニ「前にエレンの立体機動を壊した時だって私がやっただろう!?大体アンタはそういうの無理に決まってるじゃない!」

ライナー「まぁ…ベルトルトはデカいからな…気付かれやすいと言えばそうだろう」

ベルトルト「だ、大丈夫だから!」

アニ「いい加減にしな。私がやる」

ベルトルト「アニ!」

ライナー「ベルトルト。確かに今回はアニが一番適任だと思うぞ」

ベルトルト「ライナーまで何を言ってるんだ!」



アニ「アンタらは調査兵団に行くんだろ?私よりも立体機動を使う場面は多い」

アニ「人に見られる可能性が高いってわけだ」

ベルトルト「…!」

アニ「その点、…はっきり言って憲兵団はクズの集まりだ。そんな所見る物好きはいないだろうさ」

ベルトルト「っ…」

アニ「分かった?一番リスクが低いのは、私なんだ。だったら私がやるのが一番じゃないか」

ベルトルト「で、でも…」

ライナー「アニを信用できないのか?」

ベルトルト「そんなこと…ない、けど…」

アニ「私がやる。文句は言わせない」

ベルトルト「…分かった…」

ベルトルト(壁外調査でエレン確保を必ず成功させる。そうすれば…アニの安全は保障されるんじゃないか…?)

ベルトルト(そうだ、あの時何故失敗したかを思い出せば、きっと…!)


とりあえずここまでです
レスくださった方々、ありがとうございます
バレバレな感じですがお付き合いいただけたら嬉しいです

乙!
この展開、好きだ!

更新きてた!
相変わらず面白い


******




アニ「ッ…」スタッ

ソニー「」

ビーン「」

アニ(……体中に杭が打ち込まれて…雁字搦めだ…)

アニ(もし私たちが巨人だと気付かれたら、同じような扱いを受けるのだろうか?それとも―――)

アニ(―――もっとひどい拷問を受けるに決まっている。人類の仇なんだから)

アニ(でも…)チラッ

ソニー「」

ビーン「」

アニ(…新たな弱点がバレるなんて心配、本当はしていない)

アニ(こいつらだって…本当はただの……)ズキッ



アニ「……っ…めん、なさい…」カチャッ

ベルトルト「アニッ…」スタッ

アニ「!? ベ、ベル!?」ゴシゴシ

アニ「アンタ…何でここに…!?」

ベルトルト「や、やっぱり、その…アニが心配で…」

アニ「…立体機動装置は…」

ベルトルト「この前戦死した兵士のを拝借するよ…念の為に、もう一台隠しておいたから…」

アニ「…ホント、何でもお見通しって感じだね…昔のアンタとは大違いだ」

ベルトルト「二人同時にやった方が時間もかからないから…」カチャッ

アニ「あぁ…そう。じゃあ…」

ベルトルト「ッ…」グッ

アニ(もうこれ以上、苦しい思いをしないで)ザシュッ

ベルトルト「ッ」ザシュッ


******


憲兵団「最後にシャフトを交換したのはいつだ?」

サシャ「六日前の掃討作戦の後です」

憲兵団「全て登録にある。よし、次!お前だ!」

クリスタ「41班所属、クリスタ・レンズです」


コニー「巨人が憎くてしょうがなかったんだろうな…」

アルミン「…うん。でもこれじゃあ巨人に手を貸したようなもんだよ…」

アルミン「その人の復讐心は満たされたかもしれないけど、人類にとっては大打撃だ」

アニ「……」

コニー「俺は馬鹿だからな…分かる気がする」

アルミン「……!」

コニー「もう何も考えられなくなっちまうよ。俺…巨人を見る前は、本気で調査兵団になるつもりだったんだぜ…」

コニー「けど…今はもう巨人なんか見たくねぇって思ってる。今日兵団を決めなきゃいけねぇのに…」



アルミン「……」

コニー「チキショー…あのジャンが調査兵団になるって言ってんのにな…」

アルミン「え!?ジャンが?」

コニー「なぁ…アニ、お前どう思った?アイツがやるって言ってんだぜ?」

アニ「…別にどうも思わないけど?私の意志は変わらないから」

アニ(帰る為に壁を壊して…たくさん人を殺して…もう、後戻りなんて出来ない)

コニー「……なぁアニ。俺も憲兵団にしたほうがいいかな?」

アニ「…アンタさぁ。人に死ねって言われたら、死ぬの?」

コニー「…何だそりゃ。死なねぇよ」

アニ「なら自分に従ったらいいんじゃないの?…アルミン、アンタはどうなの?」

アルミン「僕は…そうしなきゃいけない理由が理解出来たら、死ななきゃいけない時もあると思うよ…嫌だけどさ」

アニ「そう…決めたんだ…」スキッ

アルミン「うん」


アニ(駄目だなんて言えない)

アニ「アンタ弱いくせに根性あるからね」

アニ(内地に行ってほしいなんて、言えない)

アルミン「あ…ありがと」

コニー「マジかよ…アルミン、お前まで」

アルミン「アニってさ…実は結構優しいね」

アニ「……は?」

アルミン「だって僕らに調査兵団に入って欲しくないみたいだし。憲兵団に入るのも何か理由があるんじゃないの?」

アニ(…違う。違う、違う、アンタたちが調査兵団に入ってしまったら)

アニ(私はアンタたちを殺さなきゃいけなくなる日がきっと来る)

アニ(怖い、辛い、そんなの…)

アニ「……いいや、私はただ」

アニ(嫌)

アニ「自分が助かりたいだけだよ」

アニ(これ以上、罪を重ねたくないだけ)


仕事前に少し投下
今夜中に兵団所属まで行けそうです


******


クリスタ「ユミル!」タタッ

サシャ「あ、クリスタ!」

ユミル「おぉ…どした?」

クリスタ「その、二人とも所属兵団はもう決めた?」

サシャ「! わ、私は…まだ…」

ユミル「どこでもいい」

クリスタ「どこでもいいってそんな!」

ユミル「私のことはどうでもいいさ。クリスタ、お前はどうすんだ?」

クリスタ「私は…調査兵団に入ろうと思ってるの」



サシャ「!?ク、クリスタそれ本気なんですか!?」

クリスタ「うん…」

ユミル「…何で憲兵団に行かない?お前の成績なら、行けるだろ」

クリスタ「何度も言うけど…私の成績で十番以内なんてありえない。それに…」

クリスタ「内地に行っても、ユミルがいないもの…」

ユミル「ッ…そうかよ」スタスタ

サシャ「あ、ユミル!…行っちゃいましたね…いいんですか?クリスタ」

クリスタ「…どうして…」


******



ベルトルト「……あ」

ユミル「……」チッ

ベルトルト(ユミル…クリスタは一緒じゃないのか…)

ベルトルト(対人訓練組んだ時以来だな、目が合ったの…)

ユミル「…んだよ。ジロジロ見んな」

ベルトルト「ご、ごめん」

ベルトルト(そうだ…彼女はどこの兵団に所属する気なんだろう?)

ベルトルト(情報は多いに越したことはないしね)

ベルトルト「あ、あのさユミル。ユミルは所属兵団ってもう決めた?」

ユミル「…さぁな。クリスタ次第だ」

ベルトルト「え?クリスタ次第…?」

ユミル「アイツが調査兵団に入るなら私もそうだ。駐屯兵団なら当然駐屯兵団」



ユミル「…憲兵団なら、私は兵士を辞める」

ベルトルト「え…!?何で…」

ユミル「私の成績だと憲兵団には入れねぇ。内地に行くには…兵士を辞めるしかない」

ベルトルト「…どうして君は、そんなにクリスタに関わるの!?」

ユミル「関係ないだろ。それに、お前に話す義務も義理もない」

ベルトルト「……ウォール教が関係してるの?」

ユミル「!!」

ベルトルト「半年前…訓練所の側でウォール教の人が殺されてたらしい」

ユミル「……」

ベルトルト「まさか…君なの…?」

ユミル「……はっ、はは」

ベルトルト「君は一体…何者なんだ…」



ユミル「何者ねぇ…さぁ、何者なんだと思う?」

ベルトルト「ふざけるな」

ユミル「お前と私は、三年前に初対面だぜ?たった三年で相手のこと分かりたいなんてどんだけせっかちだよ」

ユミル「60年使ったって分からねぇことだってきっとあるぞ?」

ベルトルト「はぁ…!?何だよそれ…!」

ユミル「物の例えってヤツだ。あぁ、ベルトルさん。ライナーはどっちに行くんだ?」

ベルトルト「え?ライナー…?」

ユミル「そう、ライナー」

ベルトルト「…ライナーなら多分、調査兵団に行くと思うけど…」

ユミル「あっそ。じゃ、ベルトルさんも付いて行くのか」

ベルトルト「まぁそうなると思う…」

ユミル「…相変わらずライナーの腰巾着なんだな、お前」



ベルトルト「相変わらずって…!そこまでライナーの後ろを付いて回ってる覚えは…」

ユミル「そうデカい声出すなよ、耳がいてぇ」

兵士「訓練兵整列!壇上正面に倣え!」

ユミル「ほら…前見ろよベルトルさん。アニばっか見てねぇでよ」ニヤ

ベルトルト「!!」バッ

ユミル「あっはっは。じゃあ…また後でな」ヒラヒラ

ベルトルト「ッ…んだ、一体…!!」



******


エルヴィン「調査兵団は常に人材を求めている。毎回多数の死者が出ることによって慢性的に人員が不足している」

ベルトルト(そうだ、エレンの地下室…巨人の秘密が…)

ベルトルト(…エレンを攫って地下室にも行けば…僕たちの知らないこともきっと沢山分かるんじゃないか?)



エルヴィン「新兵が最初の壁外遠征で死亡する確率は五割といった所か」

ベルトルト(無理矢理ライナーを引っ張って憲兵団に入ることも可能だけど…そっちに行っても帰れる保障はない)

ベルトルト(それならやっぱり、前と同じに調査兵団に入って、壁外調査でエレンを確保する)

エルヴィン「自分に聞いてみてくれ。人類の為に心臓を捧げることが出来るのかを」

ベルトルト(…今度こそ成功出来るのか…?僕たちは…)

エルヴィン「以上だ。他の兵団の志願者は解散したまえ」

ベルトルト(ライナーは…)チラ

ライナー「……」

ベルトルト(動こうとしない。前に調査兵団に入るって決めたからなのか、それとも)

ベルトルト(“兵士”としての君が、違う意志でそう決めてしまったからなのか)



アニ「」スッ

ベルトルト「! ア…」

ベルトルト(アニ…!!)


エルヴィン「君達は…死ねと言われたら死ねるのか?」

「死にたくありません!!」

エルヴィン「そうか…皆…良い表情だ」

エルヴィン「では今!ここにいる者を新たな調査兵団として迎え入れる!」

エルヴィン「これが本物の敬礼だ!心臓を捧げよ!!」

「「ハッ!!」」


ミカサ「……」

アルミン「…皆…」

ジャン「あぁ…クソが…最悪だチクショウ…調査兵なんて…」

サシャ「…う…嫌だよぉ…こわいぃ…村に帰りたい…」



コニー「あぁ…もういいや…どうでもいい」

ライナー「……」

クリスタ「ぅっ…」ブルブル

ユミル「……泣くくらいならよしとけってんだよ」

ベルトルト「……」

ベルトルト(アニ、アニ…)

アニ「……」

ベルトルト(…行かないで…)

エルヴィン「第104期調査兵団は、敬礼をしている総勢21名だな」

エルヴィン「よく恐怖に耐えてくれた…君達は勇敢な兵士だ。心より尊敬する」


今夜はここまでです
ようやく女型だいいケツしたヤツだー
来れたらまた明日の夜に来ます

乙です
ワクワクが止まらない!
この先どうなるのかすごく楽しみだ


******


ネス班長「お前達新兵には一か月間でこの“長距離索敵陣形”を熟知してもらう」


******


ライナー『俺達調査兵団の最初の壁外調査が狙い目だと思う』

ベルトルト『うん』

ライナー『俺の巨人は足が遅いし、お前のは馬鹿に目立ちすぎる。…アニが適任だと、俺は思う』

ベルトルト『…アニを危険な目に合わせたくないけど、その通りだ』

ライナー『エレンのいる場所を一気に叩いて、連れ去る。強引だが一番確実だ』

ベルトルト(失敗した原因…作戦企画紙には“右翼後方”にエレンがいると、僕たちは知らされていた。けど…)

ベルトルト(本当は“中央後方”にエレンはいた。それに気付くのに時間がかかって、アニは巨大樹の森に誘い込まれて…罠にかかった)

ベルトルト(リヴァイ兵長とミカサを止めるのは正直不可能だ。だったら…)

ベルトルト(巨大樹の森に入る前に、勝負を決める!)



ライナー『企画紙にエレンの位置は書いてあるはずだ。それをアニに伝えれば…』

ベルトルト『待ってライナー。…本当にエレンの正確な位置を教えられると思う?』

ライナー『何だと?』

ベルトルト『この調査は多分、兵団の中にいる裏切り者…つまり僕たちを誘い出すためのものだと思う』

ライナー『…!…なるほど。だったら簡単に教えるわけには行かないだろうな』

ライナー『つまり、企画紙に書かれた場所にはエレンは絶対にいないということだ』

ベルトルト『うん。気を付けようライナー。今回失敗してしまったら…アニの命を危険に曝すことになるんだ』

ライナー『あぁ』


******


ベルトルト(やっぱり僕の班は変わらず四列四の伝達…あとは企画紙にエレンの位置が右翼後方と書いてあれば確実だ)

ユミル「…い」



ベルトルト(長かった…)

ユミル「おい、ベルトルさん」

ベルトルト「ッ!?…ユッ…ユミル…!?」

ユミル「んだよ、人を化け物でも見るように見やがって」

ベルトルト「え…同じ班…なの?」

ユミル「隣に座ってんだからそうに決まってんだろうが」

ベルトルト「そ、そうなんだ」

ベルトルト(そうだ、彼女の行動だけはどうなるか分からないんだった…でも)

ユミル「…?」

ベルトルト(クリスタが調査兵団に入ったから、彼女もここにいるだけ…うん、大丈夫)

ユミル「ジロジロ見んな。ほら、企画紙」ペラ

ベルトルト「あ、ありがとう」

ベルトルト(…目的は、シガンシナ区までの補給ルートの確認…)



ベルトルト(カラネス区出発…うん、変わってない…陣形…うん…エレンの位置…)

ベルトルト(…え…?“五列中央”って…後方のことだよね…!?)

ベルトルト「!?」ガタッ

ネス班長「オイ、どうかしたか」

ベルトルト「あっ…い、いえ!申し訳ありません!」ガタ

ベルトルト(エレンが中央後方…!?どういうことだ!?右翼じゃなくて…いや、実際は中央後方だったけど…)

ベルトルト(どうしてここだけ、前と違うんだ!?待て、つまり…エレンは今回中央後方にはいない…?)

ベルトルト(いや、でも確かにエレンはこの位置だ!でも新兵に正確な情報を教えるわけがない…何で…)

ネス班長「企画紙は極秘事項だ!くれぐれも、他の者に漏らすことのないように!」


******


ベルトルト「ユッ、ユミル!!」

ユミル「あ?珍しいな、お前から声かけてくるの」

ベルトルト「あのっ…同じ班、だよね?」

ユミル「あぁ。同班で唯一の同期がベルトルさんとは思わなかったよ」

ベルトルト「その…エレンって…どこにいるって書いてあった?」

ユミル「あー…確か五列中央だったかな?」

ベルトルト「!! 間違いじゃないよね…?」

ユミル「当たり前だろ、班ごとに配布してんだから」

ベルトルト「そ、そうだよね…」



ユミル「…なぁベルトルさん。私は気にしねぇけど、他のヤツにそんなこと聞かない方がいいぞ」

ベルトルト「え?」

ユミル「エレンの位置気にしてるみたいだからさ。巨人側の仲間みたいだって疑われちまうぜ?」

ベルトルト「! …そ、そうだね…ありがとう、ユミル」

ユミル「おう。じゃ、私はクリスタんトコ行くから」スタスタ

ベルトルト「……」

ベルトルト(ユミルの企画紙もそうだったってことは…今回は中央後方じゃないのか…?)

ベルトルト(でも確かに人に聞いて回ったら、それだけで目立ってしまう…どうしたらいいんだ…)



******


ライナー「別の場所だと考えるのが自然だろう」



ライナー「俺の企画紙には右翼後方で、お前のには中央後方。おまけに極秘事項だから他人に漏らすな…決まりだろ」

ベルトルト「だ、だけどエレンは中央後方にいるはずなんだ!」

ライナー「だがお前の企画紙には中央後方と書いてあったんだろ?」

ライナー「お前の仮説を信じるとしたら、それは嘘ということになる」

ベルトルト「そうだけど…」

ライナー「もしもお前のだけがそうなっていたら、お前に対する罠ってことになるが…同班のユミルのもそうだったんだろ?」

ベルトルト「うん…」

ライナー「つまり、お前らの班には中央後方という情報が渡されている。新兵がいる班に真実は伝えないと考えるのが自然だ」

ベルトルト「じゃあ、エレンは一体どこに…」

ライナー「…幸い俺もお前も右翼側の班だ。アニに右翼側から攻め込んでもらおう」

ベルトルト「!? ライナー、それは…!」

ライナー「何とかしてエレンの正確な位置を手に入れて、それをアニに伝える。伝え方は状況に応じて判断する」



ベルトルト「…危険だ…」

ライナー「これ以外に方法があるか?」

ベルトルト「ない、けど…」

ライナー「決まりだ。アニには今夜作戦を伝える手はずになっているから、そう伝えよう」

ライナー「これで俺たちはもう…壁を壊さなくて済むんだ」

ベルトルト「…あのさ、ライナー。アニに伝えてくれないかな?」

ライナー「何だ」

ベルトルト「何があっても、絶対に巨大樹の森には入らないでって」


******

ウォール・シーナ側 夜中


アニ「巨大樹の森?」

ライナー「あぁ、何でも…罠が仕掛けられている可能性が高いらしい」

アニ「まぁ立体機動の特性を考えたら、そこに誘い込むのが一番効率がいいだろうしね」

ライナー「すまないアニ。…こんな危険な役目をお前に…」

アニ「適材適所ってヤツさ。こういうのは、私が一番向いてる」

ライナー「だが」

アニ「馬鹿、こっち見るんじゃないよ」

ライナー「…また、人を殺さなきゃいけないんだぞ…」

アニ「…必要なことなら、やらなきゃいけないことだってある。それがどんなことだって」

アニ「私は戦士なんだから」

ライナー「……」


******


今夜はここまでです
1レスの内容を少なくしたら進みが結構早いですね
レスくださった方、ありがとうございます

ベル視点で書かれたものを読むから本当にアニの心配ばかりしてしまう
俺はミカサ好きなのに、不思議な感覚だわ面白い
そしてエレンの配置も気になるぜ
乙乙!更新楽しみにしてます


******


エルヴィン「いよいよだ!これより人類はまた一歩前進する!」

エルヴィン「お前達の訓練の成果を見せてくれ!」

エルヴィン「開門始め!第57回壁外調査を開始する!!…前進せよ!!」

ライナー(いよいよだ…!)

ベルトルト(いよいよ、この時が来た…!)

ライナー(必ずエレンの位置を探し出す!そして、)

ベルトルト(今度こそ故郷に…!!)


ドドドドドド
オォォォォォ


******


ウォール・シーナ 壁上


アニ(…今日さえ、乗り切ってしまえば…帰れるんだ…)



アニ(右翼側から攻め込んで…ライナーかベルに出会って…エレンを連れ去って…)

アニ(…アイツらの中で、一体何人が生き残るのかな…)

アニ(変なことを考えるな、今はエレンのことだけに集中しないと)

アニ(躊躇うな、私は戦士だ。…邪魔するヤツは…殺す!)カッ


******


ドドドド…


ベルトルト(こんな大人数の中からエレンを探し出せるのか…!?)

ベルトルト(でも見た感じ、やっぱり右翼後方にエレンはいない!)

ベルトルト(ライナーは確か三列四だから…僕の少し前か…)

ベルトルト(早く、早くエレンの位置を見つけ出さないと…アニが危ないのにッ…!)

ユミル「チッ、おいベルトルさん!随分余裕じゃねぇか、余所見するなんてよ!」

ベルトルト「ね、ねぇユミル!エレンはどこにいるのかな…!?」

ユミル「あぁ!?だから、企画紙に書いてあっただろうが!そんなことより今は煙弾に注意しろ!」



ベルトルト「う、うん…!」

調査兵「黒の煙弾だ!!」

ベルトルト「!!」

調査兵「奇行種か…!オイ新兵!!ちゃんと注意しろ!!」

ユミル「ハッ!」

ベルトルト(右翼索敵から…!あれは、アニ…!?)


******



アルミン「違う…奇行種じゃない!ネス班長、教えてください…!」

アルミン「どうすればいいんですかヤツは!?通常種でも…奇行種でもありません…ヤツは!」

アルミン「“知性”がある!“超大型巨人”や“鎧の巨人”とか…エレンと同じです!!」

アルミン「巨人の体を纏った人間です!だっ…誰が!?何で!?何でこんな!!」



アルミン「まずいよ!!どうしよう!?」

アルミン「僕も死ぬ!!僕も殺される!!」

アルミン(馬を二頭連れたままじゃ、絶対に逃げ切れない!!)

アルミン「行けっ!」パッ


アニ(この逃げている兵士は誰?…アイツらの中の誰か…?)

アニ(ライナーやベルじゃない…誰…?)


アルミン「!!」

アルミン(こいつは…いや、こいつらは、何が目的なんだ)

アルミン「!」ズドォォン

アルミン「ぐっ…ぅあ…!!」ゴロゴロ バンッ


アニ(エレン…?違う…ダメ…)ソッ



アルミン「…!? …!?」

アニ(…違う…アルミン…ダメ、殺したく、ない…)

アニ(エレンはここにはいない…早く、早く見つけなきゃ)ゴゴゴゴゴ

ズシンッ

アルミン「……ハァッ、ハァッ…」ドクンドクン

アルミン「殺さない…のか…?何だ今の…?フードをつまんで…」

アルミン「顔…?顔を確認した…?」


ライナー(あれは…アニ!!クソっ、もう来ちまったのか…!)

ライナー(だがもうすぐ巨大樹の森だ!どんな手段でもいい、エレンの位置を…!)

アルミン「」

ライナー(あれは…アルミン!?そうだ、もしかしたらアルミンならエレンの位置が分かるかもしれない!)

ライナー「アルミン!」ドドドッドドドッ

アルミン「ライナー!」



ライナー「おい立てるか!?イヤ…とにかく馬を走らせねぇと壁外じゃ生きてられねぇぞ!急げ!」

アルミン「うん!」バッ

ライナー「奇行種の煙弾を確認したが…あのいいケツしたヤツがそれか?」

アルミン「奇行種じゃない!巨人の体を纏った人間だ!」

ライナー「何だって!?」

ライナー(やっぱりアルミンは他のヤツらと違う…!この一瞬でアニのこと見破りやがった!)

アミン「ちょっと待って、先に煙弾を撃たないと…!!」ガチャガチャ

ライナー(アルミンなら…正確でなくともおおよその位置は分かる…ん?)

ライナー「待て!ジャンが撃ったみたいだ!」

アルミン「ん!?右翼側から上がったのか!?作戦遂行不能な痛手ってことか!?」

ジャン「右翼索敵が一部壊滅したらしい!!巨人がわんさかと来たんだ!何でか知らねぇけど…」

ライナー(アニか…確かに巨人は多い方が混乱させられるが…リスク高すぎるだろ…)

アルミン「あいつが来た方向からだ!まさか…あいつが巨人を率いて来たのか!?」

ジャン「あいつ? …!! 何であんな所に巨人がいるんだよ…奇行種か?」



アルミン「いいや…違うんだアイツは…巨人の体を纏った人間…」

アルミン「エレンと同じことが出来る人間だ」

ライナー(……確信を持って言っている…これがしっかりしていれば、やはり)

ライナー「アルミン、どうしてそう思った?」

アルミン「巨人は人を“食う”ことしかしない。その結果として死なせるのであって、“殺す”行為自体は目的じゃない」

アルミン「しかしあいつは急所を狙われた途端に先輩を“握り潰し”“叩きつけた”」

アルミン「“食う”ためじゃなく“殺す”ために殺したんだよ。他の巨人とはその本質が違う」

ライナー(決まりだ。…アルミンなら…エレンの位置が分かる…)

ライナー(…さすがにそういう理由で殺さなかったわけではないだろうが…)

アルミン「捜しているのはきっと…エレンだ…」

ライナー「エレンだと?エレンのいるリヴァイ班ならアイツが来た右翼側を担当しているはずだが」

アルミン「!」

ジャン「右翼側?俺に配付された作戦企画紙では左翼後方あたりになってたぞ」

ライナー(ジャンも違ったか…!くそ、やはり正確な位置を伝えられている新兵はいなかったか…!)



アルミン「僕の企画紙には右翼前方あたりにいると記されていたけど…そんな前線に置かれるわけがない」

ライナー「じゃあ…エレンはどこにいるってんだ?」

アルミン「この陣形の一番安全な所にいるはず。だとしたら中央の後方あたり…かな」

ライナー(中央後方…!?それはベルトルトの企画紙に書かれていた位置だ、あり得ない!)

ライナー(が…他に思い当たる位置がないのも確かだ…どうする…)

ライナー(何故だ、何でアイツの企画紙にだけ正確な位置が記されていたんだ!?)

ライナー(いや、チャンスと思え…いきなりアニが中央後方に現れていたら、ベルトルトが真っ先に疑われていた…)

ライナー(くそ…何だか嫌な気分だ…まるで誰かの意志に操られているような…!!)


今夜はここまでです
今回原作の内容ほぼまんまですが、お付き合いいただけたら幸いです

>>152
そう言っていただけると嬉しいです
ミカサの出番は少ないですが、この先活躍すると思います

この胸に迫る緊迫感…ッ!
頭のなかで単行本が勝手に再生されるんだけど、セリフがこのスレなんだよな不思議!
続き楽しみにしてる乙乙!

すごいドキドキする
ライナーやベルからみるとこんなにアニが心配になるんだな…
続き期待です

ユミルとベルトルト以外にも居るのかな

出番少ないのに戦況引っ掻き回してるなエレンさん
今後のミカサやエレンの動向気になる


******


調査兵1「右翼索敵がほぼ壊滅だと!?」

調査兵2「さっきの煙弾であった奇行種が原因か…!?クソッ、どうなってやがる!」

ユミル「ッ…!」

調査兵2「新兵!煙弾を撃て!」

ベルトルト「ハッ、はい!!」ガチャガチャ

ベルトルト(くそっ、くそっ…もう時間がないのに…!エレンの位置の検討が付かない…!)ガチャガチャ

調査兵2「しかし…前方からでまだ助かったな…」

調査兵1「あぁ、後方からだったら、リヴァイ班に被害があったかもしれないからな」

調査兵2「しかしここからじゃさすがにどこにいるか分からないな…同じ右翼後方とは言え…」

ユミル「……」



******



ジャン「…つまりだな、この距離ならまだヤツの気を引けるかもしれねぇ」

ジャン「俺達で撤退までの時間を稼いだりできる…かもしれねぇ…」

ライナー(…なるほどな、アニ…お前が巨人を引き連れてきたのはこういうことだったんだな…)

ライナー「お前…本当にジャンなのか?俺の知るジャンは、自分のことしか考えてない男のハズだ」

ジャン「……失礼だな、オイ……」

ライナー(きっと俺でも、ベルトルトでも不可能だろう)

ジャン「……俺はただ」グッ

ジャン「誰の物とも知れねぇ骨の燃えカスに…がっかりされたくないだけだ…」

ライナー(こんな奴ら、自分からは殺せねぇよ)

ジャン「俺は…!俺には今何をすべきかが分かるんだよ!そしてこれが俺達の選んだ仕事だ!力を貸せ!!」

ライナー(…すまない、アニ、ベルトルト)

アルミン「フードを被るんだ!深く!顔がアイツに見えない様に!アイツは僕らが誰か分からない内はヘタに殺せないハズだから!」ズボッ

ジャン「……!」



ライナー「なるほど…エレンかも知れんヤツは殺せないと踏んでか…」

ライナー「気休めにしては上出来。ついでにヤツの目が悪いことにも期待してみようか」ズボッ

ライナー(今だけ、コイツらの助けになってやりたいんだ)

******

アニ(ライナー…ベル…どこにいるんだ…?)

アニ(もうエレンの位置は分かったの?早くしないと、森に入っちまうよ…)

アニ(早くしないと…もっと人が死んじゃう…)

アルミン(うなじの弱点を把握してる…他の巨人とは全くの別物…)

ジャン(仕留めろとは言わん…聞くところ、ヤツは…)

ライナー(アニ…!!気付いてくれ!)

アニ(……!! ライナー…!!)ジロッ

アルミン「ん!?」

アニ(見つけた)ドォッ

アルミン「―――うッ!!」グイッ



アニ(…アルミン…!?ダメ、そっちの方向は巨人が…!!)バチッ

アルミン「―――――ッ!!!」ヒュンッ

ジャン「ッァ…!!」

アルミン「」ドンッ

アルミン「」ズザザザ

アニ(あ…アルミン…!血が、血が、ごめん、ごめんなさい)グググッ

ジャン「アルミン!!」

アニ(この声は…ジャン…!?)

ジャン「うっ!!」

ジャン(コイツ…!!運動精度が…!普通のヤツの比じゃねぇ!!)パシュッ

アニ(殺したくない、死なせたくないんだ、だからっ!!)ググッ

ジャン(クソッ、認識が甘かった…!!)ギュルルル

アニ(どいて!!)ブンッ

ジャン「ウッ!!」


アニ(!! マズイ、うなじが…!)サッ

アルミン「ジャン!!仇を取ってくれ!!」

アニ(アルミン!?)

アルミン「右翼側で本当に死に急いでしまった死に急ぎ野郎の仇だ!!そいつに殺された!!」

アニ(エレンを…私が…!?そんな、そんな馬鹿な!)

アニ(だってエレンは右翼側にはいないって…!!)

アルミン「僕の親友をコイツが踏み潰したんだ!!足の裏にこびりついているのを見た!!」

ライナー(アニっ、安心しろ違う!!エレンは、エレンは右翼側にはいない!!)タンッ

ジャン(ライナー!?うなじを直接狙うのか!?)

ライナー(アニ!!)

アニ(ライナー…!私、私…!)パシッ

アルミン「……ぁっ……」

ジャン「オ…オイ!?」

ライナー(グッ…アニのヤツ、かなり動揺してやがる…!)ググッ

ライナー「クッ…ウウッ…グッ……!」グググッ



アニ(エレンを殺してしまったの?どうしようライナー…!)

ライナー(潰れる、本気で潰れる…!ク、ソ…!!)カチャッ

ライナー(五…中央…)ブシュッ

アニ(!!)

ジャン「お…おい…ライナー…お前……」

ライナー(これで…頼んだぞ、アニ…!!)ビュッ

アルミン「え!?」

ライナー「―――!!」ギュルルル パシュッ

アルミン「……!?」

ライナー「グッ!」トンッ

ライナー「もう時間稼ぎは十分だろう!?急いでコイツから離れるぞ!!」ガシッ

ライナー「人食いじゃなきゃ俺達を追いかけたりしないはずだ!!」ダダダッ



アニ(…五中央…中央後列…?)

アニ(そこにはいないって…でも…そこに行くしかない)

アニ(それに縋るしか、ないんだ)ズシン

アニ(もう少し、あともう少し!)ダッ

アルミン「!? そんな…!!」

アルミン(あっちは中央後方…エレンがいる方向だ…!!)


今回はここまでです
ちょっとずつ種明かし、結構アニの心配していただいて嬉しいです
レスありがとうございます、明日の夜また来ます

すげぇめっちゃ面白い
難しい話だろうによく書けるな

支援


******


ジャン「誰か来たみたいだ…しかも!馬を二頭連れて!」

ドドドッドドドッ

ジャン「あれは…クリスタ!」

クリスタ「みんな!」

ライナー(クリスタ…!そうか、確かクリスタも右翼側だ…!怪我はないのか!?)

クリスタ「早く乗って!右翼側が大変なことに!」

ジャン「ん?俺の馬じゃねぇか!」

クリスタ「その子ひどく怯えてこっちに逃げてきたの…巨人と戦ったの!?」

ライナー(アニには何とかエレンの位置を伝えられた…あとは巨大樹の森の手前で攫えれば完璧だ)

ライナー(…そうか、今回の作戦はユミルと違う班なのか…一人でここまで来たのか)

ライナー(ベルトルトは大丈夫だろうか。確かアイツ、ユミルと同じ班だったな)



クリスタ「よかった…皆…最悪なことにならなくて、本当によかった…」

アルミン(…神様…)

ジャン(女神…)

ライナー(結婚したい…)


******


アニ(クッ…私がやったとはいえ大分陣形が崩れてる…中央、後方…)ズシン ズシン

アニ(!! ここは…!!)


ライナー『アニ…ベルトルトから伝言だ』

ライナー『何があっても、絶対に巨大樹の森だけには入るな…だとよ』

ライナー『俺もその意見には賛成だ。…そこに入っちまったら、俺達の勝利は遠くなる…』

ライナー『…エレンを捕らえることも大事だが、俺達にはお前も大事なんだ。…分かってくれ』



アニ(巨大樹の森…!!)

アニ(…入るなと言われているけど…でも中央列はこの中に入っていった…)

アニ(出てくるのを待つ…?いや、待ってる間に何が起こるか分からない)

アニ(だったら…行くしかない!)ダッ


******


エレン「兵長っ…リヴァイ兵長!」

リヴァイ「…何だ」

エレン「何だって…ここ森ですよ!?中列だけこんなに森の中に入ってたら巨人の接近に気付けません!右から何か来てるみたいですし…」

エレン「どうやって巨人を回避したり、荷馬車班を守ったりするんですか!?」

リヴァイ「分かりきったことをピーピー喚くな。もうそんなことできるわけねぇだろ」

エレン「な!?なぜそんな…」

リヴァイ「周りをよく見ろ。この無駄にクソデカイ木を…立体機動装置の機能を生かすには絶好の環境だ」



アニ(エレン、エレン…エレン!!)

アニ(絶対にっ、絶対に捕まえる!)

アニ(でなきゃ私は…どうして人を殺したのか分からなくなってしまう!!)


リヴァイ「お前ら…剣を抜け」シャッ

リヴァイ「それが姿を現すとしたら…一瞬だ」


******


調査兵2「止まれ!」

ユミル「!」ズザッ

調査兵2「…いいかお前ら!馬を降り、抜剣!!」シャッ

ベルトルト「!」

ベルトルト(まずい、この展開は…!!)

調査兵1「巨大樹の上いて、森に入ろうとする巨人共を食い止めろ!」パシュッ



ユミル「ッ!」パシュッ

ベルトルト(まさかアニは…森に入ってしまったの…?)

ベルトルト(でも森に入ったってことは…エレンは本当に中列にいたのか…!?)

ベルトルト(僕の企画紙に、真実が書かれていた…!?何で、一体どうして…!?)

調査兵2「フーバー、早くしろ!」

ベルトルト「はいっ!」パシュッ

ベルトルト(何で僕のだけ…!?まさか、僕は疑われていた!?何で…そんな素振りを出した覚えはない!)スタッ

ベルトルト(アニ、駄目だ…!森に入っちゃ、駄目だ!!)


******



アニ(――――――いた!!)ドドドッ

エレン「!!」

アニ(エレン、お願いだ、おとなしく捕まって…!)

アニ(私を、助けて!!)

グンタ「クッ…この森の中じゃ事前に回避しようがない!」

エルド「速い!!追い付かれるぞ!!」

ペトラ「兵長!!立体機動に移りましょう!!」

リヴァイ「……」スッ

調査兵「うぉぉぉ!!」ギュルルル

ペトラ「!! 背後より増援!!」

アニ(!!)

調査兵「グッ!」パシュッ

調査兵「!!」ギュルルルルッ

アニ(…また…人が…)



アニ(邪魔を…するな!!)ドンッ

調査兵「」ズリィィィ

アニ(ごめん、なさい…!!)バチュッ

調査兵「」ブチッ

オルオ「兵長!指示を!!やりましょう!アイツは危険です!俺達がやるべきです!!」

エルド「ズタボロにしてやる!」ジャキッ

エレン(馬鹿め!自分から地獄に来やがった…!)

エレン(お前が追っかけてんのは巨人殺しの達人集団だ!!)

リヴァイ「……」

エレン「…!? リヴァイ兵長!?」

オルオ「指示をください!!」

リヴァイ「…」チャッ

リヴァイ「全員耳を塞げ」パシュッ



キィィィィィィィィィィィィンンンン


エレン「……!! 音響弾!?」

アニ(ッ…何!?何の音!?)ビリビリ

リヴァイ「…お前らの仕事は何だ?その時々の感情に身を任せるだけか?そうじゃなかったハズだ……」

リヴァイ「この班の使命は、そこのクソガキに傷一つ付けない様に尽くすことだ」

リヴァイ「命の限り」

アニ(行かないで、行かないでエレン!!)

アニ(これ以上、森の奥に行かないで!!)

エレン「なぜ…リヴァイ班がやらなくて誰がアイツを止められるんですか!」

アニ(無駄にさせないで!!)バチュッ

エレン「!! また死んだ!助けられたかもしれないのに…!!」

ペトラ「エレン!前を向いて走りなさい!」

エレン「戦いから目を背けろと!?仲間を見殺しにして逃げろってことですか!?」



ペトラ「えぇそうよ!兵長の指示に従いなさい!」

エレン「見殺しにする理由が分かりません!それを説明しない理由も分からない!何故です!?」

オルオ「兵長が説明すべきではないと判断したからだ!それが分からないのはお前がまだヒヨッコだからだ!」

オルオ「分かったら黙って従え!」

エレン「……ッ」


ペトラ「エレン。…信じて」


******


ユミル(……これで、とりあえずは一安心だ…)

ユミル(死んじまったヤツらには申し訳ないが…悪いな…)

ユミル(私はもう、失敗するわけにはいかないんだ)グッ


ベルトルト(森の中から悲鳴が聞こえてくる…アニは中に入ってしまったのか…)



ベルトルト(僕がちゃんと…ちゃんと位置を把握していれば…)

ベルトルト(…僕の企画紙だけ…?)


ユミル『あー…確か五列中央だったかな?』


ベルトルト(…!!違う、僕だけじゃない、ユミルのも…!!)

ベルトルト(ユミルの企画紙も、正確な位置が書いてあった…)

ベルトルト(まさか…まさか…!!)


ユミル『ジロジロ見んな。ほら、企画紙』

ユミル『エレンの位置気にしてるみたいだからさ。巨人側の仲間みたいだって疑われちまうぜ?』


ベルトルト(あの企画紙は…ユミルが…!?)

ユミル「……」


今夜はここまでです、明日は来れるか分かりません
レスくださった方、ありがとうございます
今回も原作とほぼ同じですが、お付き合いいただけたら嬉しいです

乙どすぇ

ベルの思惑がどんどん崩れていく…
暗躍するユミルもかっこいい!
続き楽しみにしてます乙!

アニの心情が切ないな…


******


リヴァイ「エレン!!遅い!!さっさと決めろ!!」

エレン「――――進みます!!」

アニ(ごめんなさい)

アニ(ごめんなさい、ごめんなさい)

リヴァイ「走れ!このまま逃げ切る!!」

アニ(エレン!!)

アニ(お願い、私たちを、私を)


エルヴィン「撃て!!」


アニ(―――許して)


ドドドドドドドドッッ



アニ「!?」ドスッドスッ

アニ(罠!?何で、何で気付かなかったんだ!!)

アニ(本当に、ベルの言った通りになっちまった…!)ギギギ

エレン「まさか…あの巨人を、生け捕りに…!?」

ペトラ「……!」

オルオ「ッ…」

グンタ「…っ、どーだエレン、見たか!!あの巨人を捕らえたんだぞ!?」

オルオ「これが調査兵団の力だ!!舐めてんじゃねぇぞこのバカ!どうだ!?分かったか!?」

エレン「―――…!」

ペトラ「」ニッ

エレン「はい!!」


アニ(どうする!?どうしたらいい…!?)

リヴァイ「動きは止まったようだな」

エルヴィン「まだ油断は出来ない。しかしよくこのポイントまで誘導してくれた」



アニ(うなじは何とか庇えたけど…このままだと、正体がバレるのも時間の問題…!!)

リヴァイ「後続の班が命を賭して戦ってくれたお蔭で時間が稼げた。あれが無ければ不可能だった」

エルヴィン「そうか…」

リヴァイ「そうだ…」

アニ(油断した…エレンを追いかけることだけに集中して、罠の存在なんてすっかり忘れてた…!)

アニ(まずい!私だけならともかく、ライナーやベルまで危なくなっちまう…っ…)

リヴァイ「彼らのお蔭で、こいつのうなじの中にいるヤツと会える」

アニ(考えるんだ…ここから脱出する方法を!)

リヴァイ「中で小便漏らしてねぇといいんだが…」


******


ドォォォオオオンンン ドォォォン


ベルトルト「!!」

ライナー「!!」



ベルトルト(あの時と同じ爆発音…!?アニが罠にかかった!?)

ライナー(向こうで何やってんだ…!?大砲を持ってきたようには見えなかったぞ…)

ベルトルト(今すぐにでも助けに行きたい、でも)チラ

ユミル「さっきから後ろがうるせぇな」

ベルトルト(ユミル…)

ユミル「なぁ?ベルトルさん。クリスタがどの辺に行ったか知らない?」

ベルトルト「ごめん…知らない」

ベルトルト(本当に僕の企画紙に細工をしたのがユミルだとしたら…)

ベルトルト(…僕は君を許さない。アニを危険な目に合わせて…!!)



ジャン「あの巨人の存在を知っていたらよ…対応も違ってたはずだ。お前の所の班長達だって…」

アルミン「…! いや、間違ってないよ」


ジャン「は?何が間違ってないって?兵士がどれだけ余計に死んだと思ってんだ?」

アルミン「結果を知った後で選択をするのは誰でも出来る。後で“こうすべきだった”って言うことは簡単だ」



ベルトルト(でもどうしてユミルはエレンの正確な位置が分かったんだ?勘…なわけないよな)

ベルトルト(クソッ、もっと強く森に入るなと言えば良かったんだ…!!)

ベルトルト(そうすればアニが罠にかかることもなかった!)

ユミル「ベルトルさん」

ベルトルト「なっ…何?」

ユミル「…いつにも増して…汗、すげぇな?」

ベルトルト「!!」



アルミン「分からないよ!いつだって分からないことだらけだ!」

アルミン「でも時間だって流れてるし、止まったりしてくれない!結果が分からないのに選択の時間は必ず来る!」




ベルトルト「…下にこんなに巨人がいて、怖くないわけないだろ?」

ユミル「それもそうだ。何だ、私はてっきり仲間の心配でもしてるのかと思ったよ」

ベルトルト「そっ、そんなこと…!!」

ユミル「そんなこと?薄情なヤツだな、同期や兵団の連中が心配じゃねぇのか?」

ベルトルト「ッ…!!」



アルミン「あらゆる展開を想定した結果、仲間の命が危うくなっても…選ばなきゃいけない」

アルミン「100人の仲間の命と、壁の中の人類の命を」

アルミン「団長は選んだ」

アルミン「100人の仲間の命を切り捨てることを選んだ」



ベルトルト(何なんだ一体!?まるで僕が巨人の仲間だって言いたいみたいじゃないか…!?)

ベルトルト(でも知っているはずがない、僕たちが巨人だってことを!)



ベルトルト(大体ユミルは前の世界にはいなかったのに、どうしていきなり現れたんだ…!?)

ユミル「珍しく随分険しい顔してるじゃねぇか」

ベルトルト「……そう、かな」

ユミル「あぁ」



アルミン「大して長くも生きてないけど、確信してることがあるんだ…」

アルミン「何かを変えることの出来る人間がいるとすれば、」

アルミン「その人はきっと…大事なものを捨てることが出来る人だ」



ユミル「この状況を打破したいとか考えてるなら、下の巨人共を蹴散らすしかねぇけどさ」

ベルトルト「……」

ユミル「そんな死に急ぎなんて、エレンぐらいなもんだろう?なぁ?」

ベルトルト「……ッ」

ユミル「ベルトルさん」





アルミン「化け物をも凌ぐ必要に迫られたのなら、人間性をも捨て去ることが出来る人のことだ」

アルミン「何も捨てることが出来ない人には」



ベルトルト(間違いない、ユミルが…コイツが仕組んだんだ!)

ユミル「…ま、もうすぐ終わるだろうさ」

ベルトルト「えっ…」

ユミル「のんびりしてようぜ。…今更足掻いたって、意味ねぇんだからさ」ニィ



アルミン「何も変えることは出来ないだろう」



******




ハンジ「ふん!!」ドォン

アニ(つぅっ…)ドスドスッ

ハンジ「これでどう?もう痒いとこあっても掻けないよ?身じろぎ一つ出来ないよ、多分一生」

ハンジ「傷を塞げば塞ぐほど、関節はより強固に固まっていく仕組みだ」

アニ(こんな道具があったなんて…コイツが変わり者の分隊長ってヤツか…!?)

アニ(クッ…動けない…!)ギギギッ

ハンジ「…しっかし肝心の中身さんはまだ出せないのか?何やってんだよリヴァイとミケは…」

アニ(また来る!!)ビキビキビキッ

リヴァイ「フッ!」ガキンッ

ミケ「ッ!!」ガキンッ

アニ(今はまだなんとか耐えれてるけど、コイツらがどんな手を使ってくるのか分からない…)

アニ(…どうしたらいい…どうしたら…)



リヴァイ「オイ」

アニ(!)

リヴァイ「いい加減出てきてくれないか?こっちはそんなに暇じゃないんだが」

アニ(コイツは…確かリヴァイ、だったっけ…人類最強…)

アニ(並の兵士とは全く比べものにならない…さすがにいるに決まってるか…)

リヴァイ「なぁ?お前はこれからどうなると思う?お前はこの状況から抜け出すことが出来ると思うのか?」

リヴァイ「こっちの迷惑も少し考えてほしいもんだ。お前を引きずり出す方法を考えては試しを繰り返すんだぞ」

アニ(…)

リヴァイ「お前は確か…色々なやり方で俺の部下を殺していたが…あれは楽しかったりするのか?」

アニ(!? な、にを)

リヴァイ「俺は今楽しいぞ。なぁ……?お前もそうだろ?」

アニ(一緒にするな)



リヴァイ「お前なら俺を理解してくれるだろ?」

アニ(誰が)ギギギッ

リヴァイ「……!」

アニ(誰が)

リヴァイ「そうだ…一つ聞きたいことがあった」

リヴァイ「お前の手足は切断しても大丈夫か?また生えてくるんだろ?」

アニ(自分から、好き好んで)スゥゥゥ

リヴァイ「お前自身の本体の方だ。死なれたら困るからな」

アニ(人なんか殺したいと思うんだ!!)カッ



「ギィヤアアアァァァアアァァァァ!!!!!!」


リヴァイ「!!」

エルヴィン「!」



エレン「!?」


アルミン「!!」

ジャン「!?」


ミカサ「!?」

ザシャ「!!」


ライナー「!!」

ベルトルト「!!」

ユミル「……」



リヴァイ「……てめぇ…びっくりしたじゃねぇか」

ミケ「」スンスン

ミケ「! エルヴィン!匂うぞ!!」



エルヴィン「方角は?」

ミケ「全方位から多数!同時に!」

エルヴィン「…!」



******



アルミン「え!?」

ジャン「何だ!?…こいつら、一斉に森の中に!?」


ドドドッ ドドドッ ドドドッ


コニー「……何で急に俺らを無視すんだ!?こいつら全部奇行種だったのかよ!?」

ライナー(間違いない…アニだ!!アイツ、巨人共を呼び寄せてどうする気だ!?)

ライナー(いくら巨人化してるからって危険すぎる!アイツは何を考えてる!?)

ベルトルト(どうしてっ、どうして何も変わらないんだ!!)


ミカサ「……突然、何?」

サシャ「待って!聞いてくださいミカサ!」

ミカサ「!」

サシャ「さっきの悲鳴、聴いたことがあります!私がいた森の中で…!」

ミカサ「サシャの故郷で?」

サシャ「アレと同じなんです…追い詰められた生き物が全てをなげうつ時の声…!」

サシャ「狩りの最後ほど注意が必要だって教えられたんです!」

ミカサ「…?だから…注意しろと?」

サシャ「いつもより百倍してください!森なめたら死にますよあなた!!」

ミカサ「私も山育ちなんだけど…」

サシャ「野菜作ってた子には分からないですよ!」グルルル

ミカサ「……そう」

ミカサ(いや…確かにサシャの勘は結構当たる…それも主に悪い予感の時だけ…)

ミカサ「……」ジッ

ミカサ(アルミンは中央後方にエレンがいそうだって言ってたっけ…)


******


ドドドッ ドドドッ


アニ(ここから脱出出来る方法があって、それが実行できるなら)

エルヴィン「発破用意を急げ!」

ミケ「エルヴィン!先に東から来る、すぐそこだ!」

アニ(躊躇いなんてなく実行するに決まってる)

エルヴィン「荷馬車護衛班!迎え撃て!!」

アニ(それがどれだけ辛いことでも、実行するしかない)

リヴァイ「オイ…てめぇ…さっき何かしやがったな」

アニ(こんな所で終わるわけにはいかない)

エルヴィン(!! 女型の巨人を狙っているのか!!まさか!!)

アニ(私だけの為じゃない、もう引き返せないんだ)

エルヴィン「全員戦闘開始!!女型の巨人を死守せよ!!」ジャキッ

リヴァイ・ミケ「!?」



アニ(進むしか道がないなら、進むしかないじゃないか)

アニ(それがどれだけ悲しくても)

アニ(あぁ、でも……)

アニ(痛いな)


エルヴィン「全員一時退避!!」

リヴァイ「オイ…エルヴィン…!」

エルヴィン「やられたよ」

リヴァイ「……何ってツラだてめぇ…そりゃあ」

エルヴィン「敵には全てを捨て去る覚悟があったということだ。まさか…」

エルヴィン「自分ごと巨人に食わせて…情報を抹殺させてしまうとは……」


二日分進んでたらいいな
レス下さった方ありがとうございます
今回読みにくい個所多い気がします
ようやく三分の一くらいです、どうぞお付き合い下さい

長編歓迎嬉しい!
無理せず更新よろです乙乙!


******


アニ(痛い、痛い)パシュッ

アニ(体中が痛い)ヒュン

アニ(でも…もう引き返せない)タッ

アニ(…ライナー、ベル…)

アニ(ごめんね)パシュッ


******


アルミン「! 煙弾…撤退だ…」

ジャン「何だ…終わったのか…?」

コニー「帰れる!やった!」

ライナー(アニはどうなった…一刻も早くアイツの無事を確かめねぇと…)

ライナー「おい、ベル… !!」



ベルトルト「ッ…」ギリッ

ライナー(何だ、この表情は…ユミルを見て…アニを心配してるっつーよりも…)

ユミル「……」

ライナー(ユミルを憎んでる、みたいだ)


******


アニ(私は違う、殺したくて殺してるわけじゃない)パシュッ

アニ(何かを得る為に何かを犠牲にしなきゃならないのなら)ギュルルルル

グンタ「……」ヒュンッ

アニ「……」ビュンッ

グンタ「ん!リヴァイ兵長…」

アニ「……」ジャギ

グンタ「…イヤ違う…誰だ?」



アニ「―――!」ザシュッ

グンタ「!!」ブシュ

エレン「ん!?…グンタさん!?」

グンタ「」ドゴォッ

エレン「え?ちょっと、どうし―――」

グンタ「」ブラン

エレン「!!」

オルオ「エレン止まるな!進め!!」ガシッ

アニ(何を犠牲にしてでも)

ペトラ「誰だ!!」

エルド「エレンを守れ!!」

アニ(私たちは帰るんだ)ヒュンッ



オルオ「女型の中身か!?それとも複数いるのか!?」

アニ(アイツらの為なら私は―――)スゥッ

エレン「女型が!?そんな…どうして!!」

アニ(何だってしてやる!)カッ

アニ「」ドォッ…

エルド「やはりか!!…来るぞ!!女型の巨人だ!!」


******


クリスタ「ユミル!」パシュッ

ユミル「おぉ、クリスタ。私から離れてどこに行ってたんだ?」

クリスタ「違う班なんだから当然じゃない!大丈夫?怪我とかしてない?」

ユミル「私はいいんだよ。お前は大丈夫なのか?」

クリスタ「ちょっと手を擦りむいちゃっただけ。大丈夫だよ」



ユミル「そりゃ大変だ、見せてみろ」スッ

ユミル「赤くなっちまってるな。舐めて治してやろうか?」

クリスタ「もう、ユミル!今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょ!?」

ユミル「冗談だって」

クリスタ「全く…あれ、ライナー?」

ライナー「! よ、よぉクリスタ。無事だったみたいだな」

クリスタ「ライナーも、無事で良かった」

ライナー「っ」ドキッ

ライナー「そ、そういえば撤退命令が出たな」

クリスタ「うん…森の外に出て、馬の所まで戻らないと…あ…」

ユミル「どうした?」

クリスタ「その…ベルトルト、何かあったの?」

ベルトルト「!」

ライナー「…何でだ?」



クリスタ「だってベルトルト…何だか恐い顔してる」

ベルトルト「そ、そんなことないよ!ね、ライナー!」

ライナー「あぁ、当然だ!」

クリスタ「そっか、なら良いんだけど…」

ユミル「ベルトルさんは巨人に囲まれてたから恐がってたんだよ」

ベルトルト「っ…」

ベルトルト(誰のせいだと思ってるんだ!…いや、待てよ…)

クリスタ「ユミルッ」

ユミル「へいへい、すみませんでしたーっと」

ライナー「お前ら、ここは壁の外なんだからもう少し緊張感を持て!」

クリスタ「ご、ごめんなさいっ」



ベルトルト(…ユミルの弱みがクリスタだとしたら…クリスタを…)

クリスタ「さ、行こう?」

ユミル「あぁ」

ベルトルト(…クリスタを使えば…ユミルを脅すことくらいなら、出来るかもしれない…)

ライナー「…ベルトルト?」

ベルトルト「…あぁ、ライナー。分かってるよ…戻ろう」

ライナー「あ…あぁ…」

ベルトルト(それが駄目なら…最悪…ユミルを―――…)



******


少ないですが今夜はここまで
多分また明日の夜来ます、おやすみなさい

いつも更新ありがとう
今一番楽しみな作品だー乙乙!


******


エレン「我が班の勝利を信じてます!!ご武運を!!」ビュンッ ゴォォォ

アニ(! エレン!)ダンッ

エルド「おぉぉぉぉ!!」ゴォッ

アニ(チッ、邪魔!)ブン

エルド「グッ!」キュルルル

アニ(速い…!)

アニ(今までの奴らと全然違う!さすがエレンの護衛役って所か…!)

ペトラ「ふんっ!」パシュッ

オルオ「グゥ!!」ゴオォォ

エレン「え!?」

アニ「!!」ザシュッ

アニ(目をやられた!?何も見えない!)ドォッ

アニ(とにかくうなじを守らないと…!!)


******


エレン「我が班の勝利を信じてます!!ご武運を!!」ビュンッ ゴォォォ

アニ(! エレン!)ダンッ

エルド「おぉぉぉぉ!!」ゴォッ

アニ(チッ、邪魔!)ブン

エルド「グッ!」キュルルル

アニ(速い…!)

アニ(今までの奴らと全然違う!さすがエレンの護衛役って所か…!)

ペトラ「ふんっ!」パシュッ

オルオ「グゥ!!」ゴオォォ

エレン「え!?」

アニ「!!」ザシュッ

アニ(目をやられた!?何も見えない!)ドォッ

アニ(とにかくうなじを守らないと…!!)



エルド(今殺す!!)

ペトラ(ここで惨めに死ね!!)

オルオ(クソ女型に報いを!!)

アニ(…エレンを捕まえられれば、それで良かった)ザクッ

アニ(穏便になんて無理だって分かってたさ、でも)ブシュッ

アニ(少しくらい、希望を持たせてくれたって、良かったじゃないか)ザンッ

エルド「腕が落ちた!」

アニ(あぁ、もう)

エルド「次は首だ!!」パシュッ

アニ(最悪、だよ)


*****




ベルトルト「……」ヒュンッ

ベルトルト(…正直今なら、殺せる)

ユミル「……」パシュゥッ

ベルトルト(僕に背を向けて、無防備な今なら…)

ベルトルト(ここは壁外だ…誰が死んでも仕方がないんだ)グッ

ベルトルト(彼女の足にでもアンカーを突き刺して下に叩き落とせば…彼女は巨人の餌だ)

ベルトルト(誰も…不思議になんか思わない…)チャキッ



******


エルド「」

アニ(殺らなきゃ、殺られる)ブチッ

ペトラ「エルド!!」

アニ(それがこの世界)

ペトラ「な…何でよ!まだ目が見えるわけがない!!まだ、30秒も経ってない!!」

アニ(そうだろう?)ドッ ドッ

オルオ「ペトラ!早く体勢を直せ!!」

ペトラ「ッ…!!」

オルオ「ペトラ!!早くしろ!!」

アニ(アンタたちだってそうだろう?)ブチュッ

ペトラ「」ズリィッ



オルオ「……オイ」カッ

オルオ「死ね」ギュルルルルル

アニ「……」カンッ ビキビキ

オルオ「…何故だ…刃が通らねぇ…」バギィッ


エレン「こいつを」ギュルルル

アニ(…ねぇ、エレン)

エレン「殺す!!」ガリッ

アニ(アンタが言ってたことだろう?)


ガァァァァァアアア!!!!!!



******


ベルトルト(何者なのかなんてもうどうでもいい、君は)

ベルトルト(君は僕の大事な人を危険にさらしたんだ)

ベルトルト(もしかしたら…今回アニはここで殺されてしまうかもしれない)

ベルトルト(今回も見逃してもらえる保障なんてない)ヒュンッ

ベルトルト(君なんかどうなったって構わない。だって君は本当に三年前に初対面なんだから)

ベルトルト(…僕にしか、出来ないことなんだ…)


******




アニ(相変わらず力任せなんだね)スッ

エレン「オアェ!!」

アニ(私が教えてやったことはなんだったんだい?)

エレン「オアエア!ガァッ、オグアァ!!」

アニ(対人格闘準首席?笑わせるんじゃないよ)

エレン「ガアッ、オ、オオグェッ!ガアァァ!!」

アニ(今のアンタは昔と同じ)

アニ(感情に身を任せてるただのガキだ!!)パチッ

エレン「!!」

アニ「」ガバッ パシッ


******


ユミル(…隠してるつもりだったら大きな間違いだ)チラッ

ベルトルト「……」

ユミル(ここまではっきり殺気を向けられて気付かないほどマヌケだとでも思われてんのかね)ヒュンッ

ユミル(…こんな感情をぶつけられるってことは、確実に気付いたな…)

ユミル(カッ、ハハ…悪かったなベルトルさん。でもまだいいだろ?)

ユミル(ここで女型が死ぬことはねぇんだからさ)

クリスタ「……!!」ギョッ

クリスタ(何で…ユミルは笑っているの…!?)


******




アニ(アンタと私の決定的な違いは、巨人をコントロール出来るかどうか)

エレン「…ア…」

アニ(そして、覚悟の違いってヤツだ)ビュンッ

エレン「!!」ブチブチ

エレン「―――ッ」ズゥウゥンッ

アニ(悪いねエレン)パカッ

アニ(一緒に来てもらうよ)バグッ ブチブチ


ミカサ「―――エレン!!」ゴォォォッ

アニ(! ミカサ…でも一足遅かったね)ズゥンッ

アニ(エレンはもらって行くから)ドドドッ

ミカサ「待って…エレン…行かないで…!!」


あまりに眠いので今日はここまで
レスありがとうございます、頂けるのはとても嬉しいです

うあああああハラハラするうううう乙!
>>1の「ベルユミにはならない」という前提条件のおかげで
甘いご都合主義展開には逃げられないんだなーっていうのが分かってるから緊張感パネェわ


******


クリスタ「あれ…ミカサは…?」キョロキョロ

サシャ「そ、それが…いつの間にかいなくなってて…」

ベルトルト「…」

ベルトルト(エレンを助けに行ったのか…今回も、失敗したのか…)

ベルトルト(…いや、アニに責任はない。悪いのは)

ユミル「まぁミカサのことは心配ねぇだろ。ほっておこうぜ」

コニー「確かにミカサは桁違いに強ぇからなー」

ベルトルト「……」

サシャ「!?」バッ

ライナー「ん?どうかしたのか?」

サシャ「…ッ」ガルルル

アルミン「サシャ?」

ハンジ「全員揃ってるかい!?」ギュルルルッ スタッ



ジャン「分隊長!?」

アルミン「何かあったんですか!?」

ハンジ「まず、女型を取り逃がした!自分の体を巨人に食わせて、脱出したんだ!」

ライナー「!」

ライナー(つまりアニは逃げられたのか…!!良かった…)ホッ

ハンジ「そしてもう一つ…こっちの方が大問題なんだけどね…」

ハンジ「…エレンが女型に連れ去られた」

コニー「何だって!?」

ベルトルト「!!」

アルミン「そんな…どうしてですか!?」

ハンジ「どうやら、リヴァイ班に奇襲をかけたみたいなんだ。エレンも巨人になって応戦したんだけど…」

ハンジ「…女型の方が一枚上手だったよ」

サシャ「あの声は、その時の…!!」

クリスタ「! ミカサは!?」



ベルトルト(そうだ、確かミカサとリヴァイ兵長にアニがやられたんだ…!!)

ベルトルト(ミカサが向かってるってことは、今回もその状況になっているはずだ…)

ベルトルト(…最悪、アニが無事なら…)

ジャン「そ、そうです!ミカサはどうしたんですか!?」

ハンジ「…それが…女型に追いついたミカサとリヴァイが交戦したんだけど…」

ハンジ「取り逃がしてしまったんだ」

ベルトルト「!!」

ライナー「!!」

ユミル「…!?」

ハンジ「リヴァイは足を負傷して、ミカサは気絶してしまっている…まさかここまで追い詰められるなんてね」


******


ミカサ「返せ!!」ゴォォォッ バシュッ

アニ(化け物か猛獣か!?何なんだ、ミカサの勢いは!!)ドドドッドドドッ

アニ(うなじを守りながら逃げるのが精一杯だよ…!)ドンッ

ミカサ「ガァッ!!」グルンッ ブンッ

アニ(!!)キンッ

ミカサ「クッ…何故!?刃が…通らない!!」

アニ(訓練兵だった時よりも強くなってる…いや、エレンがこっちにいるから…!)

ミカサ「……絶対、絶対に…エレンは…生きてる」シャッ

ミカサ「どこにいたってその女殺して…体中かっさばいて、その汚い所から出してあげる」キン

ミカサ「ごめんね、エレン…もう少しだけ待ってて」ヒュッ

アニ(本当に、怖い女だよ…アンタは!!)ブンッ ドォッ

ミカサ「クッ!」ヒュッ


中途半端ですが仕事前に少しだけ投下
そろそろ原作から離れないと
夜来れたら来ます

遂に分岐だと…!
続きが気になって仕方ない、支援



アニ(今の内に!)ドドッ

ミカサ「待て!!」ゴォッ

ミカサ「!?」バシッ

リヴァイ「同じだ。一旦離れろ」

ミカサ「……ッ!!」


アニ(…ミカサが…追ってこない…?いや、間合いを変えずに追って来てる…!)

アニ(厄介だね…いや、次ミカサが仕掛けてきた時が勝負だ…)

アニ(アンタにだけは、手加減も情けもしてやれないよ)

ミカサ「」ギュルィィィッ!!

アニ(来た!!)



リヴァイ「」ヒュンッ

アニ(!? しまった、もう一人…!?ミカサは囮!?)グルン

リヴァイ「ッ」ビュッ ギュルルルルル ビシュッビシュッ

アニ(速すぎる…!ミカサなんて比じゃないくらい…!)

アニ(硬化が間に合わない!!)

リヴァイ「―――!」ブチュッ ズボッ

アニ(!? 両目…潰された…!?傷が深すぎる!!)ヨロ

アニ(これが、人類最強…!!想像以上の強さじゃないか…!! !?)ザシュッ ザシュッ ブヂィッ

アニ(足の腱を切られた!くそ、崩れる…!)ズンッ

アニ(駄目だ、駄目だ…このままじゃ…やられる…!!)ダランッ

ミカサ(うなじが…!!)

アニ(片目と…腕の修復を最優先して…!!

ミカサ(狙える!疲弊してる!きっと動けない…)ドクッ ドクンッ

ミカサ(殺せる)パシュッ



アニ(ミカサ…やっぱり来たね…)ピクッ

リヴァイ「!」タンッ

リヴァイ「よせ!!」ドォッ

ミカサ(元々お前が…お前がちゃんとエレンを守っていれば!!)キッ

ミカサ「!」ゴォッ

アニ「」ボッ

ミカサ「!?」

ミカサ(腕…!?いつの間に修復を!?ダメ、間に合わな―――)

リヴァイ「―――……!!」ガンッ



リヴァイ「…!!」ビキッ

ミカサ「!! 兵ちょ…」

アニ「ッ」ブンッ

ミカサ「アァッ!!」バギィッ

リヴァイ「グッ…!!」ガシッ

アニ(足の修復…間に合って…!!)

リヴァイ(顎の腱を切っちまえば…!!)ビュンッ

アニ(!! 間に合った!!)ダッ

リヴァイ「待て!!」

ミカサ「…ぅ…」ブラン

リヴァイ「…クソッ…!」

******


ジャン「俺達はどうしたらいいですか!?」

ベルトルト(…アニが…成功した…!?よ、し…良し…!)バッ

ライナー「…!」

ライナー(この場を凌いだら、予定していた合流場所へ向かう…!)

ライナー(そうすれば、俺達は帰れるんだ!!)

ユミル「…ッ…」

クリスタ「…ユミル…?」

ハンジ「とりあえず何人か私と一緒に付近の捜索、残りの新兵たちは待機!」

ハンジ「アルミンと…あと、そこの体が大きい二人」

ライナー「俺達ですか?」

ベルトルト(チャンスだ…!隙を見てアニと合流すれば!)

ベルトルト「ハッ!分かりました!」

ハンジ「うん、じゃあ行くよ!」パシュッ

アルミン「はい!」パシュッ


ライナー「…ベルトルト」

ベルトルト「あぁ、行こう、ライナー」

ユミル「……」グッ

サシャ「え…ユミル…?」

ユミル「…悪い、ちょっと腹痛ぇ」パシュッ

クリスタ「ちょっ…!ユミル!待機だよ!?」

ベルトルト「!?」

ベルトルト(あんな慌てた表情のユミルなんて…初めて見た…!)

ベルトルト(…嫌な予感がする…!!)

ベルトルト「…ライナー、悪いんだけど、先に合流地点へ向かって」ボソボソ

ライナー「なっ…!?お前はどうするつもりだ…!?」ボソッ

ベルトルト「僕は…」チラッ

ユミル「」ギュルルルル ヒュンッ

ベルトルト「やらなきゃいけないことがある」


とりえずここまで
予想外に長くなってしまって読みにくくてすみません
また明日の夜に来ます


******


アニ(ハッ…ハァッ…)

アニ(巨大樹の森の南西…ここか…)ドシン

アニ(早く離れないと追手が来る…ライナーとベルはまだ…?)

アニ(さすがにエレンをこのまま咥えたままはちょっと、ね…)

アニ(…これで、帰れるんだ…お父さん…)

アニ(もう少し…もう少しだから…)


ガサッ


アニ(! ライナー?それともベル?)バッ


******


ベルトルト(クソッ!)ヒュンッ

ユミル「」パシュッ ギュルルル

ベルトルト(速い…!この森の中、何でこんなに速く動けるんだ!?)カッ

ベルトルト(ガスを噴かし過ぎているわけじゃない…!樹と樹を上手く利用してるのか…!?)ギュルル

ベルトルト(付いて行くのが精一杯だなんて!訓練でこんな動きしたことなかったのに!!)

ユミル「―――ッ!!」パシュッ

ベルトルト(何でこんな実力があるのに、上位にいないんだ!)

ベルトルト(何で実力を隠して…!何で生き残れる道を選ばないで…!!)イラッ

ユミル「―――おいベルトルさん!!」バシュッ

ベルトルト「!?」

ユミル「付いて来てるのは分かってんだよ!!」ダンッ

ベルトルト「―――ッ…」ギリッ



ベルトルト「君は待機のはずだ!勝手な行動を取らないで戻りなよ!」ヒュンッ

ユミル「お前こそ分隊長と捜索だろ!?」バッ

ベルトルト「僕はいいんだ… !?」

ベルトルト(待て…ユミルはどこに行く気だ…!?)

ベルトルト(兵団からも離れて、誰もいないような所へ向かって…)

ベルトルト(こっちは…南西…!?)

ユミル「ッ…」ビュンッ

ベルトルト「待っ…ユミル、待って!!」

ユミル「―――」ガサッ



*****



アニ「……!!」

ユミル「…ハッ…よぉ…」

ユミウ「いつまでもこんな所にいたら、削がれちまうぜ?」

アニ(ユミル!?何でここに!?)

ベルトルト「待て、ユミル!!」ガサッ

アニ(ベル!!)

ベルトルト(アニ…!無事で良かった、けど…!)

アニ「ッ…」グッ

ユミル「悪いな女型さんよぉ…その口の中のヤツを返してはくんねぇか?」

アニ(エレンがどこにいるか知ってる…!?)

ユミル「別にお前に危害を加えるつもりはねぇ。その死に急ぎ野郎を返してくれりゃいいんだ」



ベルトルト「…ユミル…君は一体何なんだよ…!」

ユミル「……」

ベルトルト「…僕の企画紙をすり替えたのも君だね?」

アニ(企画紙をすり替えた…!?どういうことか良く分からないけど…)

アニ(ユミルは、敵!!)ググッ

ユミル「…」ニヤッ

アニ(!?)

ユミル「」パシュッ ヒュン

ベルトルト(なっ…僕の背後に…!?)バッ

ユミル「動くんじゃねぇ!」チャキッ

ベルトルト「!!」

アニ(ベル!!)

ユミル「一歩でも動いてみろ…コイツの首、斬り落とす」カチャッ



ベルトルト「……ッ…」

アニ(クッ…)ググッ

ユミル「…もう一度言う、エレンを返せ」

ベルトルト「…ユミル、君は何か勘違いをしていないか?どうして僕を殺すことが、エレンを取り戻すことになるの?」

ベルトルト「まるで僕と女型が…仲間みたいじゃないか」

アニ「……」

ユミル「そう言ってんだよ」チャキ

ベルトルト「は…!?」

ベルトルト(当てずっぽう!?いや違う…ユミルのこの表情は本気だ…!!)

ベルトルト(アニ、僕のことはいいから…!だからエレンを連れて、早く…!!)チラッ

アニ「ッ…」

ユミル「なぁ、女型さんよぉ!!別にお前らの正体を兵団に言うつもりはねぇ!エレンを連れ去ったって構わねぇ!」

アニ(何を言ってるんだ!?言ってることが無茶苦茶じゃないか!)



ユミル「でもな…今、今だけは駄目だ…!」ジャギィッ

ベルトルト(刃が、首筋に…!!)ゾクッ

ユミル「今ソイツを連れてかれるわけにはいかねぇんだよ!!」

アニ(エレンを連れて行かなゃ、何のためにここまでしてきたのか分からなくなっちまう…!!)

アニ(でも、でも…!)

ベルトルト「……っ」

ユミル「…返せよ…でなきゃ、」グッ

ユミル「コイツの首…再生出来なくなるまでズタズタにするぞ」

アニ(ベル…!)

ベルトルト(アニ、アニ…!!アニ…!!)タラッ

ユミル「決めろ!その口からエレンを出すか、コイツの首が離れるのを目の前で見るか!」グイッ


今夜はここまで
ユミルさん悪役じゃないですか
また明日の夜来ます


原作から分岐してこれから一体どうなる


原作から分岐してこれから一体どうなる

うおおおおお
興奮するな

ベルトルト目線だとユミル憎いなw
乙でした、明日も期待!

ユミルがかっこいい
乙乙



アニ(ベルを選べばエレンを手放さなきゃならないし…エレンを選べばベルが死ぬ…)

アニ(どうする…ベルの再生能力にかけて、二人とも潰す気で行くか…)

ベルトルト(僕ごと攻撃するのが一番だけど…他の兵士が来るまでに僕が再生しきる自信がない…)

ベルトルト(僕のことはいいから…アニとライナーだけでも…)

ベルトルト(二人だけでも……い、やだ…)

ベルトルト(何のために僕は戻って来たんだ!せっかく前と違う状況になれたのに!)

ベルトルト(三人で帰りたい…!!僕は、僕は…!!)

アニ(…早くしないと…他の兵士が来ちまう…!)

ベルトルト(アニと一緒に帰りたい!!)

ユミル「……」ハァ

ユミル「…埒があかねぇな。この手だけは使いたくなかったが…」ガサゴソ

ユミル「よ…っと!」バシュッ



ベルトルト「なっ…煙弾…!?」

アニ(そんなことしたら、余計に時間がなくなる!おまけに…)

ベルトルト(僕たちが一緒にいる所を見られたら弁解の余地もない!)

ユミル「変なことは考えんなよ…お前が私を蹴り抜くよりも先に、首を落とす」カチャ

ベルトルト「ッ…」

ユミル「もう一度言う。私は別にお前らの正体をバラす気はねぇし、殺したくもない」

ユミル「ただ今…この場でソイツを連れて行くのは止めてくれって言ってんだよ」

アニ(……ッ…)ググッ

ベルトルト「ユ、ユミル…君は…」

ユミル「時間がねぇんだ…なぁ、頼むよ」

ユミル「  」

アニ(!?)パカッ

エレン「」ドロッ



ベルトルト「! エレン!!」

アニ(ごめん、ベル…!でも私、アンタを死なせることなんか出来ない!)

ユミル「よーしいい子だ…そのまま北の方に逃げな」

ベルトルト「北…!?」

ユミル「そっちに行きゃ調査兵団より先にカラネスに戻れる。どうせこの混乱じゃ簡単には戻れねぇしな」

アニ(クソッ…!)ダダッ

ベルトルト「あ…!!」

ユミル「お前はまだ動くな、ベルトルさん。…いくらお前だって、今のままじゃアイツにゃ追いつけねぇだろ?」

ユミル「あぁ…むしろ今の方が追いつけるか?」

ベルトルト「き…君の目的はなんだ…」

ユミル「あ?」

ベルトルト「エレンを取り戻す…それは兵士として間違ってない行動だと思う…けど、」

ベルトルト「どうして女型を逃がしたの…!?」



ユミル「何だ、逃がしてほしくなかったのか?」

ベルトルト「そういうことじゃなくて!」

ユミル「悪いがマトモにやって勝てるとは思わない。これが一番手っ取り早い方法だったんだ」

ベルトルト「…君は、何を知っているの…?」

ユミル「…さぁな、何も分からねぇよ」カチャッ

ベルトルト(ようやく離れた…!今彼女を殺してしまえば…!)グッ

ユミル「止めとけよ。そんなもん使ったら、巨人にやられたって言い訳は出来ないぜ」

ベルトルト「!」

ユミル「エレンはここに置いて行く。なに、心配しなくてもすぐに誰かが見つけてくれる」

ベルトルト「…君は僕の質問に何一つ答えていない」

ユミル「答える必要性を感じない。…ま、どうしてもって言うなら、ヒントをやろう」



ベルトルト「ヒント…?」

ユミル「ベルトルさん。アンタには無理だ」

ベルトルト「無理…!?一体何のことだよ!」

ユミル「戻るぞ。お前は私の前を行け。後ろから斬りかかられたら一溜まりもないからな」

ベルトルト「ッ…僕は君を…絶対に許さない!」パシュッ

ユミル「……」

ユミル「…許さない、ね」

ユミル「その言葉、何度目だったかな」パシュッ



******


アニ(くそっ…くそ!!)ダダダッ

アニ(何であそこにユミルが現れるの!?それどころじゃない、あの口ぶりは…!)

アニ(まるで私とベルの正体を知ってるみたいだった!)

アニ(いや、“みたい”じゃない…!確実に知ってる!)


ユミル『時間がねぇんだ…なぁ、頼むよ』

ユミル『アニ』


アニ(知ってて黙ってたんだ、知ってて逃がしたんだ!!)ドドドッ

アニ(私は何のためにッ…こんなに人を殺したの…!!)


******



ガラガラガラ ドドドッ


エレン「……!!」ハッ

アルミン「エレン!」

エレン「…?は…?」

アルミン「良かった、目を覚ましたんだね…!大丈夫!?意識はしっかりしてる!?」

エレン「あ、あぁ…一体…」

ミカサ「エレン!!」

エレン「ミカサ… 女型は!?」

アルミン「それが…逃がしてしまったんだ…」

エレン「何…で?みんな…一体…作戦は…?」

ミカサ「…失敗した…今は、休んで」

エレン「…これは…?また、お前に助けてもらったのか…?」

ミカサ「…それは違う」

エレン「は?どういうことだよ…」



アルミン「ミカサとリヴァイ兵長がエレンの奪還に一度は失敗してしまったんだ」

ミカア「でも、その後別の場所から信煙弾があがった…らしい」

エレン「らしいって…」

ミカサ「…意識を失っていた…情けないことに…」

アルミン「ミカサは悪くないよ!…それで、その場所に向かってみたら、エレンが倒れていたんだ」

エレン「は!?何だよそれ…訳がわかんねぇよ…!」

ハンジ「誰かが君を助けたみたいなんだ」ヒョコッ

エレン「ハンジさん!?」

ハンジ「私たちが着いた時には、女型の姿も別の人間の姿もなかった…一体誰がどうやって君を助けたかは分からないんだ」

ミカサ「エレン。…もう、壁に着くから…」



クリスタ「もうユミル!本当に心配させないでよね!!」



ユミル「悪かったって言ってんだろ?そうデカい声出すなよ」

クリスタ「ユミルが勝手なことするからでしょ!?」

ユミル「へーへー。すみませんでしたね女神様」

クリスタ「ユミルー!」


ライナー「…お前の言っていることが、本当だとは思えない」

ベルトルト「…でも、彼女がそう言ったのは事実なんだ…」

ライナー「じゃあ一体いつ知られたんだ?」

ベルトルト「そんなの僕にだって分からない…分からないけど…」

ライナ-「…とにかく、今はアイツが心配だ」

ベルトルト「うん…」



ベルトルト(結局、エレンを手に入れることは出来なかった…)

ベルトルト(違う状況になっても、結果は変わらない)

ベルトルト(…この結果の原因を、取り除くしか…ない)

ベルトルト(でもユミルは危険すぎる…実力が全く読めない)

ベルトルト(だったら…)チラ


クリスタ「でも、無事で良かった…」

ユミル「お前を残して死ぬわけねぇだろ?だから帰ったら結婚しような」

クリスタ「もう!」


ベルトルト(クリスタを先に…)


巨大樹の森終了
ベルトルさんの小物感半端ない
レスありがとうございます、また明日の夜に来ます

乙!!!
もしやユミルは何回もループしてるのか
そしてラスボスの中の人なのに小物でビビリでこそベルトルさんだからこれでいいと思うw

仕方ないけれど、自分の命を惜しんだ時点で負けが決まっていた感じがする。
覚悟を持てないベルドルトでは、何も変えられないということなのかな。
覚悟を持つ者が強いということがよくわかる。乙。


*****


翌日・立体機動訓練


ベルトルト(変わらなかったと言うことは…多分明日の朝、僕たちはウォール・ローゼの南に移動させられる…)

ベルトルト(やるなら今日の訓練中だ、クリスタを…殺すのは…)

ベルトルト(引っかかるのはユミルの言葉だ。“今”エレンを連れて行かれるわけにはいかないって…)

ベルトルト(あの時じゃなきゃいいみたいな口ぶりだった。何でだ?)

ベルトルト(あの時…巨大樹の森で連れ去られるのは何かいけない理由でもあったのか?)

ベルトルト(とにかく彼女は敵だ。そして僕たちはもう…ウトガルドを避けられない所まで来てしまった)

クリスタ「…ル、トルト…」

ベルトルト(ウトガルドで生き残った後だ、問題は…ミカサを何としてでも止めないと…)

クリスタ「ベルトルトッ!」

ベルトルト「え、え!?」



クリスタ「もう、どうしたの?どこか具合でも悪いの?」

ベルトルト「え…クリスタ…?」

クリスタ「次、ベルトルトの番だよ?後ろ詰まっちゃってるから、早く行かなきゃ」

ベルトルト「そ、そうだね、ごめん…」

クリスタ「具合悪いなら無理しない方がいいよ?…昨日も、大変だったんだから…」

ベルトルト「え!」

クリスタ「壁外調査の時、どっか行っちゃったユミルを連れて帰ってきてくれたでしょ?」

ベルトルト「あ…」

ベルトルト(そうか、クリスタにはそう見えたのか…ん?待てよ…)

ベルトルト(…これは使えるかもしれない…)

ベルトルト「…ねぇ、クリスタ。言われてみれば少し目が回るような気がするんだ」

ベルトルト「僕ちょっと医務室に行きたいんだけど…上官に言っておいてもらえないかな?」



クリスタ「やっぱり…ねぇ、もし迷惑じゃなかったら付き添おうか?」

ベルトルト「そんな、悪いよ。訓練の方が大事だろう?」

クリスタ「ううん、だって顔色悪いもん…!待ってて、上官方に言ってくるから…」タッ

ベルトルト(…まさかこんなに上手く行くなんて…)

ベルトルト(…ごめんねクリスタ。君に恨みはないんだ…ごめんね…)



******


医務室


クリスタ「大丈夫?ふらついたりしない?」

ベルトルト「大丈夫だよ。ごめんねクリスタ、訓練を中断させちゃって…」

クリスタ「私のことは気にしないで!私なんかより、ベルトルトの方が強いんだから…」

クリスタ「早く良くなって、頑張らなくちゃね!」



ベルトルト「……うん、そうだね」

ベルトルト(そうだよ。僕が頑張らなきゃいけないんだ)

クリスタ「それにしても医務官が出ちゃってるなんて…えっと、何か薬とかあるかな…?」

クリスタ「待ってて、今捜してくるから!」タタタッ

ベルトルト「……」

ベルトルト(何て無防備な背中なんだろう。きっと人を疑うなんてしてこなかったんだろうな…)

ベルトルト(…自分を偽ることもなく、仲間を騙したりしない…)

ベルトルト(ねぇ、どうして君はこんな所に来たの?)

ベルトルト(どうして君にユミルが執着するのかも分からない)

クリスタ「えっと…どこかな…」ガサゴソ

ベルトルト(でもきっと君がいなくなれば)スッ

ベルトルト(ユミルも消えてくれるんじゃないかなって、思うんだよ)カチャッ

ベルトルト(だから―――クリスタ)スゥゥゥ

ベルトルト(死んでくれないか)



ヌッ

ベルトルト「!?」グッ


クリスタ「あった!薬あったよ!」クルッ

クリスタ「え…?あれ…?」

ライナー「よぉ、クリスタ」

ベルトルト「ッ…!?」

クリスタ「ライナー…?一体どうしたの!?もしかしてライナーもどこか悪いの…!?」

ライナー「いや、俺はコイツの様子を見に来たんだ。俺の分の訓練は終わったからな」

クリスタ「そうなんだ…」ホッ

ベルトルト「ラ、ライナー…」

ライナー「あとクリスタ。ユミルが捜してたぞ。ペアが欲しいんだそうだ」

クリスタ「で、でも…」



ライナー「コイツのことは任せてくれ。薬を飲ませるくらいでいいんだろう?」

ベルトルト「…ッ」

クリスタ「…うん、そうね!ライナーがいれば安心だもんね!」ニッコリ

ライナー「あぁ、だからクリスタは訓練に戻れ」

クリスタ「ありがとうライナー。…じゃあベルトルト、お大事にねっ」ニコ

クリスタ「」ガラガラ ピシャン

ライナー「……」

ベルトルト「……」

ライナー「…ベルトルト、お前今、クリスタに何をしようとしていた?」

ベルトルト「…どうして君がここに来たの?」

ライナー「お前がクリスタと医務室に向かっているのが見えた。…お前の雰囲気が明らかにおかしかったから、すまないが後を尾けさせてもらった」

ライナー「覗いてみたらお前がブレードを抜いているのが見えたからな。…何故クリスタを殺そうとした?」

ベルトルト「クリスタがいなくなれば、ユミルだっていなくなると思ったんだ!」



ライナー「クリスタはウォール教に関わりがある!もしエレンが“座標”でなかった場合、確実にクリスタが必要になる!」

ライナー「もしユミルがお前の言う通り企画紙をすり替えたとしよう、だが」

ライナー「アイツはどうやってその情報を得たんだ」

ベルトルト「そんなのっ…分かるわけないじゃないか…」

ライナー「俺たちの正体に気付いていたら、何故それを明かそうとしない?」

ベルトルト「分からないよ!分からないから、怖いんじゃないか!」

ライナー「落ち着けベルトルト!」

ベルトルト「でも絶対にアイツは僕たちの敵だ!アイツだけは殺さなきゃ、殺さなきゃいけないんだ!」

ライナー「…少し頭を冷やせ。今のお前は冷静じゃない」

ベルトルト「どうして僕の話を信じてくれないの!?ユミルがいたら、僕たちは絶対に帰れないんだ!」

ベルトルト「アイツさえ、アイツさえいなければっ…!!」ボロボロ



ライナー「……」

ベルトルト「…ねぇライナー…教えてよ…どうしてクリスタを助けたの…?」

ライナー「……」

ベルトルト「クリスタを助けたのは、戦士の君なの…?それとも…」

ベルトルト「彼女を好きになってしまった、兵士の君なの…?」

ライナー「……俺は先に戻る、落ち着いたら戻ってこい」ガラ

ベルトルト「ねぇ、ライナー…!」

ライナー「ベルトルト。…すまない」ピシャッ

ベルトルト「……っ…ぅ…」

ベルトルト「行かないで…ッ…僕を一人にしないでッ…」

ベルトルト「誰か、誰か…僕を、助けてくれ……」ズルズル


今日はここまで
自分で書いててベルトルさんにひどいことしてる気がする
レスくださった方ありがとうございます、また明日来ます

ピエロみたいになってる。乙。


******


憲兵団兵舎


アニ(……)カサッ

アニ(“数日中に調査兵団が接触してきたら必ず逃げろ”…か)

アニ(これはベルの字だね。わざわざ気にしてくれてたんだ…)

アニ(…ユミルは、私たちのことをバラしたのかな…)

アニ(でももしそうだとしたら、既にベルもライナーも…私も拘束されてるはずだ)

アニ(それがないってことは、本当にユミルは何も言っていないのか…?)

アニ(…本当に、昔から不気味な女だよ…アイツは…)

アニ(そう言えば昔エレンの立体機動装置を壊した時、私に突っかかってきたのはユミルだったっけ…)

アニ(あれはもしかして私を試してたの?だとしたら…)

アニ(ユミルは最初から…私達の正体を知っていたってこと…?)


******



朝・調査兵団兵舎


ナナバ「クリスタ、ユミル、いるかい?」トントン

ユミル「…」ガチャッ

ナナバ「おはよう。起床時間より大分早いけど…ユミルは起きていたの?」

ユミル「おはようございます。偶然、少し前に目が覚めたんですよ」

ナナバ「そう。クリスタはまだ寝ているみたいだね?」

ユミル「アイツ、朝にはかなり弱いんです。起こすの大変なんですから」

ナナバ「ふふっ、可愛くていいじゃないかと言いたい所だけど…起こしてくれないかな?」

ユミル「…理由を聞かせていただきたいのですが」

ナナバ「何、大したことじゃないよ。今日の訓練の内容が変更になっただけさ」

ユミル「…」

ナナバ「と言うより…104期の君たちは、本日は非番となった」

ユミル「…また随分と急ですね」



ナナバ「先日の壁外調査の疲れが残っているんじゃないかって、団長の配慮だよ」

ユミル「で?どこに行くんです?」

ナナバ「ウォール・ローゼの南だ。そこに調査兵団の慰安所がある」

ナナバ「少しエルミハ区から遠いから、早めに出発した方がいいと思ってね」

ユミル「そうですか…分かりました。クリスタを起こしてきます」クルッ

ナナバ「ありがとう。あ、そうだユミル」

ユミル「…何ですか?」

ナナバ「装備はしなくて構わない。私服でいいよ。戦闘服と装置は別途持っていくから」

ユミル「……」

ナナバ「そんな怖い顔しないでよ、これも団長の指示なんだ。今日一日君たちが訓練とか忘れられるようにってね」

ユミル「…分かりました。準備が整い次第、整列します」バタン

ナナバ「…ふぅ。…君たちには悪いけど、これも人類の為なんだ」


******

ライナー「明らかに不自然すぎる」

ベルトルト(これから僕たちはウトガルドへ向かうことになる。そこで…)

ベルトルト(巨人と戦うことになるんだ。でも、考えてみたらおかしすぎる)

ベルトルト(一体誰がローゼを破壊したんだ?普通の巨人は硬化能力なんて使えないはずだし…)

ベルトルト(壁を破ることが出来るのは、僕とライナーだけなのに…)

ライナー「急に非番になるわ、装備は着けるなだとか…おかしいだろ」

ベルトルト(もし昨日クリスタを殺すことに成功していたら、この状況も変わっていたのかな…)

ベルトルト(…ライナーは…)

ライナー「まぁ、上官方の命令は絶対だからな、兵士としては従わざるを得んだろう」

ベルトルト「…ライナー、僕達は戦士だろ?何度言わせるの?」

ライナー「あ…あぁ、すまん」

ベルトルト(きっと昨日僕を止めたのは…兵士のライナーだったんじゃないかなって思う)

ベルトルト(僕達はたくさん人を殺してしまったじゃないか…今更クリスタぐらい…)ズキッ

ベルトルト(あれ…?僕…いつからこんな風に考えるようになってしまったのかな…)


******


ストヘス区


アニ(…エレン達が今日…この区を通る…王都に向かうために…)

アニ(“流されるような弱いヤツでも”…か)

アニ(…人間に思われたかった、の)

アルミン「アニ」ボソッ

アニ「……!」

アニ(今の声は…)クルッ スタスタ

アルミン「……」

アニ「アルミン…」

アルミン「やぁ…もう…すっかり憲兵団だね」

アニ(調査兵団のヤツが接触してきたら…必ず、逃げろ…)

アニ(近い内に来るって覚悟はしてたけど…まさかアルミンとはね)



アニ「」チラッ

アニ(頭の傷はもう癒えたの…?いや、私達とは違うんだ。髪で見えないだけ)

アニ(…でも、生きてて良かった)

アニ(アルミンは…私を捕まえに来たんだろうね)

アルミン「アニ…」

アニ(そんな装備をして…)

アルミン「エレンを逃がすことに協力してくれないかな?」

アニ「!?」

アニ(協力…!?違う、これは罠だ…!)

アニ「……逃がすって?どこに?王政の命令に逆らって…この壁の中の、どこに逃げるの?」

アニ(私を捕まえる為の罠…でもどうしてこんなわざわざ回りくどい真似をするんだ…?)

アルミン「時間を作って、その間に審議会勢力をひっくり返すだけの材料を揃える。…必ず!」

アニ「ひっくり返す材料…?そんなに都合のいい何かがあるの…?根拠は?」



アニ(もしかしてアルミンは…まだ確信を持っていない?)

アニ(ユミルが本当に喋ってなかったら、アルミンは推測でここまで辿り着いたってこと?)

アルミン「…ごめん、言えない…」

アニ「……!」

アニ(時間稼ぎの言い訳…危険すぎる…逃げなきゃ…)

アニ「悪いけど…話にならないよ…」

アニ(一刻も早く、ここから逃げないと…!)

アニ「黙っといてやるから勝手に頑張んな」ザッ

アルミン「アニ!お願いだ、このままじゃ…エレンは殺される!」

アニ(…あぁ、私の気のせいかな…)

アルミン「説得力が無いことは分かってる…でも…」

アルミン「それでも…もう大きな賭けをするしか…無いんだ…ッ」

アニ(…ベルみたい。説明できないことを、分かってもらおうとしていたベルに…)


アニ(アイツは一体何を隠していたんだろうね…きっと私達にも話せないことだったのかな…)

アニ(…ねぇ、ベル)

アニ「あんたさ…私がそんな良い人に見えるの?」

アニ(アンタは一体、何を見ていたの?)

アルミン「良い人か…それは…その言い方は僕はあまり好きじゃないんだ。だってそれって」

アルミン「自分にとって都合の良い人のことを、そう呼んでいるだけのような気がするから」

アニ「……」

アルミン「全ての人にとって都合の良い人なんていないと思う。誰かの役に立っても、他の誰かにとっては悪い人になるかもしれないし…」

アニ(私達は、誰の役に立っているのかな)

アニ(誰の役にも立っていなかったら…)


アルミン「だから…アニがこの話に乗ってくれなかったら」

アニ(私は何のために…こんな世界を生きてきたのかな)

アルミン「アニは僕にとって悪い人になるね」

アニ「……」

アルミン「……」

アニ(最近のベルは、アンタみたいな目をするよ)

アニ(誰かを信じているように見えて、本当は疑っている目)

アニ「いいよ」

アニ(アンタの覚悟を、受け入れる)

アニ「…乗った」スッ


******


ウォール・ローゼ南


ナナバ「本当に、あの子達の中に…アニ・レオンハートの共謀者が…?」

ミケ「さぁ…どうだろうな。だが、無視出来る確率ではない」


クリスタ「ビショップをこっちに動かした方がいいんじゃないかな?」

ライナー「だがそうしたらキングががら空きになってしまうぞ」

クリスタ「それならルークをこう動かせば…」コトッ

コニー「ワケ分かんねぇ…何でお前らこんなの出来るんだよ」

ユミル「お前が馬鹿すぎるんだよ」

コニー「うっせぇよブス!そういうお前は知ってんのかよ!?」

ユミル「ハッ」フゥ

コニー「ムカつくなオイ!」

ベルトルト「……」カタッ



ライナー「うお、そこに来たか…どうするかな…」

サシャ「お腹が空きました…」

ユミル「お前は朝かなり食ってただろうが。もう少し我慢しろ」

サシャ「うぅぅ…」グゥゥゥ

クリスタ「ど、どうしようライナー…」

ライナー「これは難しいな…」

ベルトルト「もう降参したらどうかな」

ライナー「いや、まだだ!」ウウン

コニー「あーあ。…こっからだと俺の村が近いんだぜ」

サシャ「私の故郷も近いですねー」

コニー「ウォール・ローゼの南区まで来てんのに、なーんで帰っちゃ駄目なんだよ…」

クリスタ「こういうのはやっぱりアルミンが得意なんだろうね…」ムムム

ライナー「あぁ、アイツは頭いいからな」



ユミル「……」

ベルトルト「……」

コニー「だから村に帰って見返してやんのさ。ちょっとだけでいい…俺が生きている内に」

ライナー「」ズキッ

ライナー「コニー。お前が本気なら協力するぞ」

コニー「え?」

ユミル「……」スッ

ベルトルト「え、ちょっと…!」

ユミル「簡単じゃねぇか、こんなの」カタッ

ユミル「がら空きのクイーンをポーンが攻撃して」カタンッ

ベルトルト「!?」

ベルトルト(がら空きのクイーン…!?)

ユミル「ルークがキングに届く。なぁ、ベルトルさん」



ライナー「みんなワケが分からなくて困惑してる。呑気にくつろいでんのはお前らだけだよ」

ユミル「これで、チェックメイトだ」

ベルトルト「……ッ」ギリッ

ライナー「いっそ抜け出して上官の反応でも伺いたい気分だ」

サシャ「ん…?」ピクッ ペタン

サシャ「!! あれ!?」ガバッ

ユミル「!」

ベルトルト「!!」

サシャ「足音みたいな地鳴りが聞こえます!!」

ベルトルト(来た…来てしまった…!)

ライナー「何言ってんだサシャ…ここに巨人がいるって言いたいんなら、そりゃ…ウォール・ローゼが破壊されたってことだぞ?」

ライナー(俺達がここにいるのに…一体どういうことなんだ…!?)

サシャ「本当です!確かに足音が!」



ナナバ「」ガンッ

ナナバ「全員いるか?」ガチャッ

クリスタ「ナナバさん!?」

ナナバ「500m南方より巨人が多数接近。こっちに向かって歩いて来てる」

ナナバ「君たちに戦闘服を着せてるヒマは無い。ただちに馬に乗り…付近の民家や集落を走り回って避難させなさい。いいね?」

コニー「南方…から?」

サシャ「…あ…」

ライナー「壁が…壊されたってことなのか…?」

ベルトルト(この謎だけは、予測さえも出来ない…僕達以外に壁を壊すことが出来る巨人がいたのか?)

ベルトルト(でもそうしたら、そいつは知性を持っているってことになるけど…)

ベルトルト(…もし、壁が壊されていなかったら…)



ナナバ「さぁ!動いて!!ぼけっとしてられるのも生きてる間だけだよ!」


ガタッ ドタバタドタドタッ


ベルトルト「……」チラッ

ベルトルト(兵士が女王を追い詰めて…塔が、王を取る…)

ベルトルト(こうなったのは運命なの?それとも…まさか君は…)

ユミル「……」バタバタッ

ベルトルト(…僕と同じで…この先を知っているの…!?)


ネットがあまりに不安定なので今夜はここまで
チェスの描写は適当です、間違っていたらすみません
レスありがとうございます、とても嬉しいです

遂に気がついた。けど最早、未来を変えられないことを暗示しているのかな。乙。

結末を知ってるのに変えられないって、まどマギのほむらみたいだな

これってタイムパラドックス的な、人がどうあがこうが運命の流れは変えられない、みたいな話なのかな
絶望の未来を知っていて、必死に抵抗するのになす術もなく同じ流れを辿るとか心が折れそうだ
既に半ば折れかけてるベルトルトがここからどうなるのかすごくハラハラする

展開は変えられてなくても巨人組視点で見るだけで新鮮だし面白い


******



アニ(信じたかった自分がいたのかもしれない)

アニ「全く…傷付くよ。一体いつから…アルミン、アンタは私をそんな目で見るようになったの?」

アルミン「アニ…何で、マルコの立体機動装置を持ってたの?」

アニ(あぁ…そうか。アルミンはずっと気付いていたんだね…)

アニ(私があの巨人を殺したって、分かってたんだ)

アニ(でも、良かった。気付いたのがアルミンで。…気付いたのが、私に対してだけで)

アルミン「…でも…アニだってあの時…僕を殺さなかったから、今…こんなことになっているじゃないか」

アニ「……あぁ、心底思うよ。まさかアンタにここまで追い詰められるなんてね」

アニ(嘘)

アニ「あの時…何で…だろうね」



アニ(殺さなかったんじゃなくて、殺せなかったって分かってるくせに)

アニ(たった三年一緒に生活して来てただけじゃないか。こんな…こんな人間を…)

アニ(仲間だと、少しでも思ってしまったから…)

アニ(私があの時、故郷よりも情に流されてしまったから…ごめん、ライナー、ベル…)

アニ「私は…戦士に成り損ねた」

アニ(きっと私は、誰かに止めてほしかったんだ。いけないことだって言ってほしくて)

アニ(自分で止めることの出来ない…流されるだけしか出来なかった子供だったから…)

ミカサ「もういい」バサ

ミカサ「これ以上聞いてられない。不毛…」シャッ



アニ(ようやく)

ミカサ「もう一度ズタズタに削いでやる。女型の巨人」

アニ(私を助けてくれるんだね)ニィッ

アニ「アルミン…私がアンタの…良い人で良かったね。ひとまずアンタは賭けに勝った…」

アニ「…でも、私が賭けたのはここからだから」


******


ミケ「誰か…この地域に詳しい者はいるか!?」

サシャ「は…はい!北の森に故郷があります!その辺りの地形は知ってます!」

サシャ「あとコニーも…!!」

コニー「……ッ…」

サシャ「コニー!?」

コニー「南に俺の村があります…巨人が…来た方向に…」

コニー「近くの村を案内出来ます、その後…俺の村に行かせてください…」



ライナー「……っ」

ベルトルト(確かコニーの村には、“動けない巨人”がいた…)

ベルトルト(もし前と同じで壁が壊されていないんだったら、多分ラガコ村の人たちが…)

コニー「そりゃ…もう行った所でもう、無駄でしょうけど…けど…」

コニー「行かなきゃいけないんです…」

ミケ「分かった…南班の案内は任せたぞ」

ライナー「コニー、俺も行く」

コニー「! 多分…南が一番危険だ。巨人がいっぱいいる…」

ライナー「何言ってんだ、さっき抜け出しに加担すると言っただろ」



ベルトルト(…やっぱり君は…)

ライナー「お前はどうする?ベルトルト」

ベルトルト「……」

ライナー「強いてるわけじゃない…だが、人数が必要だ」

ベルトルト(戦士と兵士の境が曖昧になって来ている。訓練兵の時よりもずっと…)

ベルトルト(もう、監視するとかいう状況じゃないのかな…)

ベルトルト「もちろん、僕も行くよ」



******



西班


ドドドッ ドドドッ


ユミル「……」チラッ

クリスタ「……」

ユミル(クソ、このままじゃまたあのクソみてぇな城に行っちまう…)

ユミル(巨人共を倒すだけならなんとかなるが…今回はワケが違う)

ユミル(ベルトルさんがどう行動するか読めねぇ…それに、どうしても腑に落ちない部分がある)

ユミル(私を敵視するのは仕方がない。訓練兵の時からアイツに違和感を持って接してたからな)

ユミル(だが、どうしてアイツは私の正体について何も言わない?もし本当に私と同じなら、知らないハズがない)

ユミル(ワケ分かんねぇ…!!いや、変なことは考えるな、今は…)

ナナバ「よし、このまま南下しよう」



ユミル「…私とクリスタは戦闘装備が無いんですよ?これより南には巨人がうじゃうじゃいるはず…」

ユミル「私達は奴らのおやつになる可能性が高い」

ユミル「私とクリスタを前線から一旦引かせてください」

ユミル(ま、無理だろうが…運よく引かせてもらえたら、クリスタだけでも逃がせれば…)

クリスタ「…!ユミル!?」

ナナバ「ダメだ」

ユミル(ほらな)

ナナバ「何が起きるか分からないんだ。連絡要員は一人でも確保しておきたい」

ナナバ「兵士を選んだ以上は覚悟してくれ。この初期対応に全てが懸かっている」

クリスタ「ユミル…私はここで最善を尽くしたい。だって、私は自分で調査兵団を選んだんだから…」

ユミル「……」



クリスタ「でも…あなたはそうじゃないでしょ?あの時…調査兵団を選んだのは、私が…」

ユミル「私が!?はっ!?私の為にとでも言いたいのか!?」

ユミル(やめてくれクリスタ)

クリスタ「じゃあ何で今ここにいるの?理由がないなら今すぐ逃げてよ…」

ユミル(そんな顔で私を見ないでくれ、話せるわけがないじゃないか)

ユミル(きっとそれを知ったら、お前は全力で私を止めるじゃないか)

ユミル(…なぁ…私は、私は…)

クリスタ「何で…私にそこまでするの…?」

ユミル「……」

クリスタ「私の…生まれた家と関係ある?」

ユミル「あぁ、ある」

クリスタ「……」



ユミル「クリスタ…安心してくれよ」

ユミル(お前に何一つ真実を言えない私だけど)

ユミル「私がここにいるのは、全て自分の為なんだ」

ユミル(これだけは本当だから)

クリスタ「……そっか」

ユミル(―――あぁ)

クリスタ「良かった…」

ユミル(お前の笑顔が見たいのに、それを壊すのはいつも私なんだ)

ユミル(今度こそ、今度こそお前を守るから…だから、)

ユミル(お前だけは笑っていてくれ―――ヒストリア)


今夜はここまで
色んな推測をしていただけて嬉しいです
そろそろ完結に向けて行きます、まだ当分先ですが
レスが励みになります、ありがとうございます

疑心暗鬼な状態になってる。それが、繰り返しに繋がっているのかな。


******


南班・ラガコ村


コニー「嘘だろ…誰か…!?誰かいないか!?」

コニー「俺だ!コニーだ!!帰って来たぞ!!」


シーン


コニー「俺の家…!」ドドドッ

コニー「父ちゃん…母ちゃん…サニー…マーティン…!!」

ライナー「…!!巨人が、コニーの家に…!?」

コニー「……!?」

ライナー「コニー、下がれ!!」ガシッ

コニー「お、俺の…俺の家だ…俺の…」



ゲルガー「お前らは下がってろ!」ドドドッ

リーネ「周囲を警戒しろ!」ドドドッ

ゲルガー「…!?待て、コイツ…動けないのか!?」

リーネ「あの手足では…無理だろう!」

ライナー「……」

コニー「……」

ゲルガー「じゃ、じゃあ…コイツ、どうやってここまで来たんだ!?」


ベルトルト(恐らくあの巨人は…コニーの家の誰かがなってしまった姿だ…)

ベルトルト(あの手足で動けないから調査兵団に殺されずに済んだのか…)

ライナー「コニー!生存者はいたか!?」タッタッタ

コニー「……いない」

ベルトルト(…巨人の姿でも生きているだけマシと思うか、…思えるはずがない)



コニー「いねぇよ…もう、おしまいだ…どこにも……ねぇんだよ」

コニー「俺の故郷はもうどこにも…なくなっちまった…」

ライナー「……」

ベルトルト「…」ピクッ

ライナー「」ガシッ

ベルトルト「……」

ベルトルト(君は罪悪感を感じているの?…それとも、純粋に慰めようとしているの?)

ベルトルト(ライナー…君は、兵士でいる時間が大分増えたんだね)

ベルトルト(同情して、一体どうなるっていうの…?僕達がしてしまったことが、消えるわけじゃないのに)

ゲルガー「オイ…何か妙だぞ。誰か、死体を見たか?」

コニー「……」

ライナー「…いいえ」

ベルトルト「見てません」



ゲルガー「そんなことがあるのか?巨人が一滴の血も残さずに集落を壊滅させるなんてことが…」

リーネ「全員逃げたんだよ!巨人に食われて一切痕跡が残らないなんてありえないよ!

リーネ「誰も食われてないってことだ…家族も、村の人も…きっと巨人を発見したのが早かったんだ!」

コニー「…! そうか…そう、ですよね!?」

リーネ「あぁ…だから皆何時間も前にここを出たんだよ。既にウォール・シーナの内側にいるんじゃないかな?」チラ

ゲルガー「……」

ベルトルト(馬に乗らないで逃げても、助かる可能性なんて低い…分かってるのに)

ベルトルト(…優しい人たちなんだな…)

ゲルガー「松明はもう揃ったな。これより壁の破壊箇所を特定しに行く。出発するぞ」

コニー「……はい」タタッ カッ


「オ…アエリ…」




コニー「!」ドクンッ

コニー「……」ドクンッ

コニー「……っ!」ドクンッ

コニー「…は…今…」ドクン

ライナー「!! オイ、コニー!急げ、ゲルガー達に遅れちまうぞ!」ドンッ

コニー「ライナー…聞いたか!?今アイツが―――」

ライナー「俺には何も聞こえてない!とにかく喋ってないで今は…任務に集中しろ!!」

コニー「なんか…なんか…アイツさぁ…ありえないんだけど…」

コニー「なんか、母ちゃんに…」

ライナー「コニー!お前は今がどんな状況か分かってんのか!?今の俺達の働きが何十万人もの命に直接影響してんだぞ!!」

ライナー「それともそんなあり得ない妄想でもしてる方が大事なのか!?」

コニー「…!」

ライナー「考えるなら今避難してるお前の家族のことだろ!!兵士なら今最善を尽くせ!!」

ベルトルト「……!」




コニー「!」ドクンッ

コニー「……」ドクンッ

コニー「……っ!」ドクンッ

コニー「…は…今…」ドクン

ライナー「!! オイ、コニー!急げ、ゲルガー達に遅れちまうぞ!」ドンッ

コニー「ライナー…聞いたか!?今アイツが―――」

ライナー「俺には何も聞こえてない!とにかく喋ってないで今は…任務に集中しろ!!」

コニー「なんか…なんか…アイツさぁ…ありえないんだけど…」

コニー「なんか、母ちゃんに…」

ライナー「コニー!お前は今がどんな状況か分かってんのか!?今の俺達の働きが何十万人もの命に直接影響してんだぞ!!」

ライナー「それともそんなあり得ない妄想でもしてる方が大事なのか!?」

コニー「…!」

ライナー「考えるなら今避難してるお前の家族のことだろ!!兵士なら今最善を尽くせ!!」

ベルトルト「……!」



コニー「……あぁ……そうだ…その通りだ!」ダダッ

ライナー「……」

ベルトルト(君は本当に、すごいと思う)

ベルトルト(コニーにわざと冷たい言葉をかけて、気を逸らせようとしていた)

ベルトルト(…ねぇ、ライナー…“兵士”の君にとっては、僕はどうでもいいのかな…)

ベルトルト(君は兵士じゃなくて戦士じゃないか。…僕の、大切な仲間じゃないか…)ギュッ

ベルトルト(…僕はまたおかしくなってしまった君を見る為に、戻ってきたわけじゃないのに…)


******


夜・ウトガルド城


ゲルガー「まさか、お互いに穴を見てねぇとはな…」

ナナバ「うん…とにかく、それは明日だよ。今は」チラッ

ゲルガー「お前達新兵はしっかり休んでおけよ…」



ゲルガー「日が沈んで結構経ってるからもう動ける巨人はいないと思うが…我々が交代で見張りをする。出発するのは日の出の四時間前からだ」

クリスタ「あの…もし、本当に壁が壊されていないとするなら…巨人は、どこから侵入してきているのでしょうか…?」

ゲルガー「それを突き止めるのは明日の仕事だ。今は体を休めることに努めろ」

クリスタ「…もしかしたら、当初想定した程のことにはなってないんじゃ…ないでしょうか…何と言うか…その…」

ゲルガー「あぁ…確かに巨人が少ないようだ。壁が本当に壊されたにしちゃあな」

ナナバ「私達が巨人を見たのは、最初に発見した時だけだ」

ユミル(…と、すると…今回発生した巨人共の正体は…)

ユミル「コニー…お前の村はどうだった」

コニー「壊滅した。巨人に…踏み潰された後だった…」

ユミル(…やっぱり、か…チクショウ…)

コニー「でも誰も食われてない。皆上手く逃げたみたいで、それだけは…良かったんだけど」

ユミル「村は壊滅したって言わなかったか?」

ユミル(壊滅…壊滅って言っていいんだろうな…どうやら、あの厄介なヤツがいるみたいだな…)



ユミル(コニーの村の連中を巨人にしたってことか…ったく趣味悪ぃ…)

コニー「そんでよぉ…ソイツが何だか…母ちゃんに似てたんだ…ありゃ一体さ」

ライナー「コニー…まだ言ってんのか。お前は―――」

ユミル「バッカじゃねーの」

ベルトルト「!」

ライナー「!」

ユミル「ダハハハハ…お前の母ちゃん巨人だったのかよコニー!?じゃあ…何でお前はチビなんだよ!?オイ!?」

ベルトルト(え、ユミル…!?)

ユミル「えぇ?コニー…!?お前そりゃあ…辻褄が合わねぇじゃねぇか!!お前馬鹿だって知ってたけど…」



ユミル「こりゃあ逆に天才なんじゃねぇか!?なぁ!?ダッハハハハハ!!」

ライナー(コイツ、わざとか…!)

コニー「あぁ…もううるせぇな…馬鹿らしくなってきた…」ガシガシ

ユミル「つまりその説が正しければお前の父ちゃんも巨人なんじゃねぇの?じゃねぇと…ほら?できねぇだろ?」

コニー「うるせぇぇ!!クソ女、もう寝ろ!!」

ベルトルト(分かってて、誤魔化した…何でそんなことをしたんだ…?)

ベルトルト(そんなことするような人に見えないのに…)


******


ユミル「……」モゾッ

ユミル(…皆、寝てるな…)カタッ

ユミル(ゲルガーが持ってた酒…あれには壁内にはない言葉が使われていた…)

ユミル(とすると、恐らく他の所にもあるはずだ…)カツン カツン

ライナー「……」

ライナー「……」モゾッ

ベルトルト「…ライナー…」ボソッ

ライナー「…俺が様子を見てくる。お前ほど敵視はされてないからな…」

ベルトルト「うん……」





ユミル(チッ…蝋燭だけじゃ暗くてよく見えないな…)ガサゴソ

ライナー「ユミル…何してんだ?」コツッ

ユミル「何だよライナー…夜這いか?驚いたな…女の方に興味があるようには見えなかったんだが…」

ライナー「あぁ…お前も男の方に興味があるようには見えんな」

ユミル「ハッ…」

ライナー(ベルトルトの言葉を信じるなら、ユミルは俺達の正体を知っている)

ライナー(だが…何だこの落ち着きようは…巨人が身近に潜んでいたってことだぞ?)

ライナー(全く気にしていないどころか、関係ないとでも言うようだ)

ユミル「…オイ、閉めろよ。灯りが漏れるだろ?」

ライナー「あ、あぁ」バタン

ユミル「……」ガサゴソ

ライナー(俺達の正体を知ってて、何故こんな対応が取れるんだ…)



ライナー(…もし、全部がこんな人間ばかりだったら…)

ライナー(…馬鹿馬鹿しい。何を考えているんだ俺は)

ユミル「用がねぇなら戻れよ」

ライナー「お前は何をしているんだ?」

ユミル「…私はこうやって、腹の足しになりそうなもんを漁ってんのさ。多分これが最後の晩餐になるぜ」

ライナー「…コニーの村の件だが…お前、わざとはぐらかしたよな?」

ユミル「…」

ライナー「出来ればその調子で続けてほしい…アイツが、家族のことで余計な心配をしねぇように…」

ユミル「何の話かは知らねぇが…なぁライナー。お前、後悔してることってあるか?」

ライナー「は?」

ユミル「悔やんでも悔やみきれねぇってもの、何かあるか」

ライナー「…あぁ」

ユミル「私にもある」



ライナー「珍しいな。お前がそんな話をするなんて」

ユミル「お前にしか頼めないんだ」

ライナー「……?」

ユミル「お前の側にいるヤツから、決して目を離すな」

ライナー「!? 俺の側…ベルトルトのことか!?」

ユミル「さぁな。人気者のライナーさんの周りには色んなヤツらがいるからな」

ライナー「オイ…ユミル、どういうことだ」

ユミル「おっ…こりゃいけそうだ」

ライナー「話をはぐらかすな!」

ユミル「鰊は好みじゃねぇが…」

ライナー(“にしん”…?)

ユミル「……!」

ユミル(待て、何で鰊がここに…それにこの文字、さっきのヤツと同じじゃねぇか…!)



ライナー「…他にもあるか?見せてくれ」

ユミル(…巨人であるライナーに…この文字は読めるのか…?試してみるか)

ユミル「……ほらよ」

ライナー「こりゃ缶詰か?……!!」

ユミル「……」ゴソゴソ

ライナー「…何だ?この文字は?俺には読めない」

ライナー「“にしん”って書いてあるのか…?お前…よく、この文字が読めたな…ユミル…」

ユミル(……どうやらその反応は、読めるが知らないって感じだな……)

ライナー(この文字は…いや、まさかそんな…そんなハズは…!!)


リーネ「全員起きろ!!」

ユミル「!」

ライナー「!?」

リーネ「屋上に来てくれ!全員すぐにだ!!」


今夜はここまでです
近い内にまた分岐します
レスありがとうございます、ベルトルさんがかなり情緒不安定です

少しずつ謎が明かされていく部分と逆に新たな謎が出てくる感じがすごく良いね
毎回ドキドキしてるよ
続き期待!乙!

期待。引き込まれていくな。文章の書き方がうまいと思う。乙。




クリスタ「ユミル!!」

ユミル「クリスタ!無事か!?」タタッ

クリスタ「う、うん…でも、巨人が…!!」

リーネ「月明かりが出てきて…気付いたら…!」

ゲルガー「何でだよ!?何でまだ動いてんだ!?日没からかなり時間が経ってるのに!?」

クリスタ「どうなって…いるの…?」

ユミル(ラガコ村の連中か…無理矢理巨人にさせられたからか…歪な姿のヤツが多いな…)

ユミル(チッ…あの猿野郎…)

コニー「オイ…!あれを見ろ!!」

ライナー「…!」

コニー「でけぇ…何だ…アイツは…」

ベルトルト「…!?」



ベルトルト(何だ、あの猿みたいな巨人は…!?)

ベルトルト(ユミル以来初めてだ…、前の世界にいない存在に出会ったのは…!!)

ベルトルト(…待てよ…まさかあの巨人…故郷の皆が言ってた…!!)

コニー「巨人…?って言うか…何かありゃあ獣じぇねぇか…なぁ?」

ユミル「……」

ライナー(アイツは…アイツの元へエレンを連れて行けば…!)

ベルトルト(何でここで現れたんだ…?…まさか…)

コニー「……あ……」

ベルトルト(このウトガルドで…前の世界と違うことが起こるって言うのか…?)

コニー「あいつ、壁の方に…」

ドォォオオンッ

クリスタ「きゃあっ!!」ズルッ

ユミル「クリスタ!」ガシッ

リーネ「うッ…!!」ビリビリ




ゲルガー「オイ!?オイオイ…オイオイオイオイ…何、入って来てんだよ…ふざけんじゃ…ねぇ…!!」

ゲルガー「ふざけんじゃねぇぞ!!酒も飲めねぇじゃねぇか俺は!!てめぇらの為によぉ!!」シャッ

リーネ「ゲルガー!」

ナナバ「新兵、下がっているんだよ。ここからは…立体機動装置の出番だ」シャッ

ゲルガー「行くぞ!!」バッ


******


コニー「クソッ…クソ!!」

ライナー「落ち着けコニー、今は慌てても仕方が無いだろう!」

コニー「分かってる…分かってる、そんなことッ…!!」

リーネ「…!!」ヒュンッ

リーネ「遅かった…扉が、もう壊された!!」

クリスタ「! そ、そんな!」

リーネ「巨人が塔に入って来てる!急いで中に入ってバリケードを作って!急いで!!」



リーネ「屋内では立体機動装置が使い物にならない、防げなかった時は…最悪、この屋上まで逃げてきて!」

リーネ「でも、それも必ず助けてやれるってことじゃないからね?私達も生きているか分からないから…」

ベルトルト「……」

リーネ「まだ何体いるか…ガスや刃が保つかどうか…先が見えない。でもやることはいつもと同じさ」

リーネ「生きてる内に最善を尽くせ!いいね!?」

「了解!!」ダッ


ライナー「巨人がどこまで来てるか見てくる!」ガコッ

ライナー「お前らは板でも棒でも何でもいい!かき集めて持ってきてくれ!!」ダダダッ

ベルトルト(! まずい!!)

クリスタ「ライナー!」

コニー「オ、オイ…!!」

ベルトルト「待てよライナー!!待つんだ!!」ダダッ

コニー「!」



ライナー(俺が行かねぇと、コイツらに危険が及んじまう!!)バタンッ

コニー「ライナー…!訓練でも本番でも変わらねぇのかよ…」

ベルトルト(違う、今のライナーは明らかに“兵士”だ!このままじゃ、ライナーが危険だ!!)

コニー「真っ先に一番危険な役回りを引き受けやがって…アイツには敵わねぇな…」

ベルトルト「…あぁ…悪いクセだ…!!」

ベルトルト(誰か身近な人に危険が迫ると兵士になる…それが同期なら尚更だ…)

ベルトルト(僕に危険が迫っても、ライナーは絶対に僕を守ろうとする。でもそれは…)

ベルトルト(戦士としてだと信じていいんだよね!?ライナー…!!)


ライナー(まだ下か…?)

ライナー(施錠したとは言え、こんな古い木の扉なんて簡単に破られるだろうな…)

ライナー(クソ…どうやって巨人を防げばいいんだ…)



ライナー(最悪俺とベルトルトだけなら、巨人になっちまえば簡単に逃げられる、だがそういうわけにもいかないしな…)

ライナー(…アイツらを、死なせたくねぇんだ)ガコンッ

ライナー(せめてここで巨人を食い止めねぇと…)ギィィィ

巨人「」ニタァァ

ライナー「!!」バンッ

ライナー「クソッ!」ガコンッ ドォォンッ

ライナー「うおッ…!!」ビリビリ

ライナー(分かっちゃいるが、なんつー力だ…!!)

ライナー「ここだぁぁ!!何でもいいから持って来い!!」バキィッ

ライナー「…!?腕が、扉を貫通しやがった…!!うそだろ…!?」

ライナー(これじゃあ全然保たねぇ…!)ドクンッ バキバギィッ

ライナー(このままじゃ…俺はここで…ここか?俺の最後はここなのか…?)

ライナー(俺が人間としていられるのは…ここまでなのか…!?)




『ライナー!!逃げろ!!』

『!?』ドンッ

『早く!!』

『―――ベリック!!』


ライナー(いいや…違うだろ…!!ここじゃねぇだろ…!?)

ライナー「フンッ!!」バッ

巨人「」バキバギィッ

ベルトルト「ライナー!!」

ライナー(絶対に…帰るんだ)

ベルトルト「ぁぁぁあア!!」ブンッ

ライナー(俺達の、故郷に…!!)



ベルトルト「ッ!!」ドスッ

ライナー「ベルトルト!」ガシッ

ベルトルト「ライナー、無事か!?」グググッ

ライナー「あぁ…」

ライナー(そうだ、俺は…俺はあの時誓ったんだ…!!)

ライナー(どんなことをしても、絶対に!!)

ライナー「ベルトルト…」

ベルトルト「!」

ライナー「生き延びて帰るぞ…絶対に、俺達の故郷にな!」

ベルトルト(! ライナー、君は…今の君は戦士なんだね…!)

ベルトルト「あ…あぁ…!帰ろう!!」

ベルトルト(僕はその為に戻って来たんだ!君と、アニと一緒に故郷に帰る為に!)

コニー「ライナー!ベルトルト!!」ガラガラ

ライナー・ベルトルト「!?」



ライナー「オイ…それ…大砲じゃねぇか…火薬は!?…砲弾は!?」

ユミル「そんなもんねぇよ!!これごとくれてやる!!」

コニー「そこをどけ!!」

ライナー「クッ!」バッ

ベルトルト(何を…まさか!!)バッ

ユミル・コニー「ウォラぁ!!」バンッ ガラガラガラ


ガラガラ バギィッ
ドォォォン


ベルトルト(大砲で巨人を押し潰すなんて…!何て無茶をするんだ…!!

ライナー「上手く…言ったみてぇだな…奇跡的に…」



ユミル「あぁ…ありゃ起き上がれねぇだろ。アイツのサイズじゃな」

コニー「…どうする?こんなナイフしかねぇけど…うなじ削いでみるか?」

ライナー「やめとけ。掴まれただけでも重傷だ」

ベルトルト(…巨人の侵攻がやけに早い気がする…どうしてだ…?)

ベルトルト(前はもう少し遅かったはずだ…やっぱり、今回のウトガルドは何かが違う…)

ベルトルト(この…先に進んでしまったらもう、元には戻れないような…そんな嫌な空気だ…)

ベルトルト(でも、進むしかないんだ…この先に何が待っていたとしても…)

ベルトルト(…僕はもう、取り返しのつかないことをしてしまったのだから)


>>334
誤 ライナー「上手く…言ったみてぇだな…奇跡的に…」
正 ライナー「上手く…いったみてぇだな…奇跡的に…」

昨日も重複投稿してましたが気付きませんでした
いつもレスくださってありがとうございます、レス頂ける度ドキドキしています
あと文字だけで戦闘シーンって難しい、また明日来ます

浮き沈みが激しすぎるぞ。ベルドルト。



クリスタ「と、とりあえず上の階まで撤退しよう!入ってきたのが一体だけとは限らないし…」

ユミル「そうだな…確か貯蔵庫に木の板があったはずだ。それで扉を塞げば何とかなるだろ」

コニー「良し、そうと決まったら早くしねぇと…」パキッ

コニー「!?」バッ

巨人「」グアッ

ライナー「コニー!!」バッ ドンッ

ベルトルト「ラッ…!!」

ライナー「グゥッ!!」ガブッ

ベルトルト「ライナー!!」

クリスタ「ラ…!!」ダッ

ユミル「お前は行くな!!」バッ

ライナー(ッ、腕が…!!)パキッ

ライナー「う、おおおぉぉぉおおお!!」ガバッ



ユミル「オ、オイ!?」

ライナー「っ…」ダン ダン

ユミル「ライナー、お前まさか…ソイツごと飛び降りる気か!?」

ライナー「これしか無ぇだろ!」バッ

コニー「待て!!」ドスッ

コニー「コイツの顎の筋肉を切っちまえば…!!」ググ

巨人「」パカッ

コニー「放した…!!」

ライナー「……っ」バッ

ユミル「くそっ!」ダダッ

ベルトルト「っ」ダダッ

巨人「」ムクッ

ユミル「お…ちやがれこの野郎!!」ドガッ

ベルトルト「ッ!」グイッ



巨人「」ヒュルルルル

ベルトルト「ライナー!大丈夫か!?」バッ

ライナー「あ、あぁ…何とかな…」

ユミル「ぼさっとすんな!クリスタ、ライナーのこと見ててやれ!」

クリスタ「う、うん!」

ユミル「コニーとベルトルさんは板取りに行くぞ!早くしろ!!」ダダッ

コニー「わ、分かってるっつうの!!」ダダッ

ベルトルト「ライナー、動いちゃダメだからね!」ダダッ

ユミル「……」チラッ

ユミル(おかしい…もしベルトルさんが本当にこれを体験してるなら、ライナーがこんな傷を負うことはなかったはずだ…)

ユミル(どうやら今回のウトガルドは…ベルトルさんにとってもおかしい状況みたいだな…)

ユミル(クソッ…このままだとまずい…!)


******

トントントンッ


コニー「次入ってきたらどうする?もう…あんな都合よく勝てたりしねぇぞ…」

ベルトルト「あぁ。…僕もそう思う」チラ


クリスタ「お酒があって良かった…」キュポン

クリスタ「少し沁みると思うけど」トポトポ

ライナー「うッ」

クリスタ「ごめん!…ごめんね」

ライナー「だ、大丈夫だ」

クリスタ「多分…骨折してるよね?」

ライナー「あぁ…ついてねぇことにな」

クリスタ「あとは添え木と包帯が…そうだ…」スッ ビリビリ

ライナー「クリスタ、それはお前のスカートじゃないか…!破って良かったのか…?」

クリスタ「他に見当たらないし、こんな汚い布しか無くてごめん…」



ライナー(自分を犠牲にしてまで俺を…なんていい子なんだ…)

ライナー「イヤ…助かる…」

ライナー(結婚しよ)

コニー「大丈夫か?ライナー…」

ライナー「あぁ…まぁな」

ユミル「……あのさクリスタ。私も手を擦りむいちゃってさ」

コニー「は?そんくらいツバつけとけ」

ユミル(このクソチビ)

コニー「ライナー、さっきはすまなかった。俺…お前に助けられてばっかだな…いつか借り返さねぇと…」

ライナー「……」

ライナー「別に…そりゃあ普通のことだろ…兵士なんだからよ…」

ベルトルト「……」

コニー「どうかな…あんな迷いなく自分の命を懸けたりするのって…ちょっと俺には自信ねぇぞ…」

ベルトルト「……」



コニー「なぁ、ベルトルト。ライナーって昔っからこうなのか?」

ベルトルト「……」

ベルトルト(あぁ)

ベルトルト「イイヤ。昔のライナーは…戦士だった。今は違う」

ライナー「……」

ライナー「何だそりゃ?戦士ってなんのことだよ?」

ベルトルト(君は、もう兵士じゃないか)

ユミル「……」

ユミル「とりあえず…使えそうなものは集めようぜ。死ぬ時に後悔しなくていいようにな」

ユミル「まぁ私らの命の大半は―――よっと」ガッ

ユミル「上官方の腕っぷしに懸かっているんだがな…おぉ…」

ユミル「さすが調査兵団。他の兵士とはワケが違うってことか」

ユミル(ま、それでも…あの猿野郎には敵わないんだろうけどな…)チラッ



ユミル(! あの野郎、また…!!)

ユミル「全員下がれ!!」バッ

クリスタ「きゃぁっ!」

ベルトルト「なっ…!!」


ヒュルルルル ドォォン


ナナバ「リーネ!!ヘニング!!」


クリスタ「なっ…何!?今のは!?」

コニー「何か飛んできやがった!!」

ユミル(チッ…随分好き放題やってくれるじゃねぇか…!!)

ライナー「とにかく屋上へ向かうぞ!」ダッ

コニー「おい、無茶すんなライナー!!」ダダッ

クリスタ「ユ、ユミル、私たちも…!」タッ

ユミル「……」



クリスタ「早く!」タタタッ

ユミル「あぁ、今行っ…」ガッ

ユミル「!? …オイ、何のつもりだ?」

ベルトルト「…ユミル…君はあの巨人を知ってるの?」

ユミル「……」

ベルトルト「答えろよ」

ユミル「今はそれどころじゃねぇだろ。装備もない、…お前の親友のライナーも大怪我だ」

ユミル「先走んねぇよう見張ってた方がいいんじゃねぇの…かっ」バシッ

ベルトルト「ッ…ユミル!君は…!!」

ユミル「早く行くぞ、急げ!」ダダダッ

ベルトルト「君は、…君は、僕と同じなの…?」


******




コニー「今のは!?」タッタッタ

ゲルガー「駄目だ…二人とも、即死だ」

ナナバ「……」

ゲルガー「気を付けろ…壁の方角から岩が飛んできて、そいつにやられた」

クリスタ「そんな…壁の方…?」

コニー「アイツだ!」ダッ

コニー「一体だけ壁の方に歩いていった…あの獣の巨人の仕業に―――うぉ!!」

コニー「巨人多数接近…!さっきの倍以上の数は…!!」

ゲルガー「何だと…!?」

ナナバ「巨人が作戦行動でも取ってるみたいなタイミングだね…」

ナナバ「まるで最初から…遊ばれてるような気分だ…」



******


コニー「何でコイツら…夜なのに動けるんだよ…!」

クリスタ「どこも壁なんか壊されてなかったのに…何で…どこから入ってきたの…?」

ユミル「今はそんなこと考えても仕方ないだろ…とにかく今は、生き延びることだけを考えろ」

クリスタ「そんな…」

ベルトルト「ライナー…傷はどうだ?」

ライナー「あぁ、最悪だが…何てことはない」

ベルトルト(多分、ゲルガーさんとナナバさんもここで殺されてしまうはずだ)

ベルトルト(でもすぐに調査兵団が助けに来る…そうしたら)チラッ

ライナー「…」

ベルトルト(ライナーもあの猿の巨人のことは知っているはずだ。アイツの所にエレンを連れて行けば…)

ベルトルト(今回はユミルの妨害もないと思うし…“今じゃなければいい”って、ユミルは言ってた)

ユミル「……」



ベルトルト(もし君が僕と同じ…ここに戻ってきた存在だとしたら、君は一体どこから戻って来たんだ?)

ベルトルト(僕の前の世界にユミルという存在はいなかった。もしあの猿の巨人が、)

ベルトルト(君が現れたことによって出てきたとすれば…君も必要な存在ってことなのか?)ドォォンッ

ベルトルト「!」

クリスタ「ナナバさんっ!!」

コニー「やべぇ、ゲルガーさんも…捕まった!!」

ライナー「ッ…!」

クリスタ「うっ…こんな、こんな…!」ガシッ

クリスタ「ッ!!」ブンッ

ユミル「よせクリスタ」ガッ

ユミル「もう塔が崩れそうなんだ。落ちてしまうぞ」

クリスタ「で…でも…私たちの身代わりに…ナナバさんが…ゲルガーさんが…」

コニー「あぁ…クソが…なぁ、このままここで塔が崩されてただ食われるのを待つしかねぇのか…?」



ベルトルト(…おかしい…)

コニー「…ねぇのか…もう何も…もう…」

ベルトルト(そろそろ調査兵団が来たっておかしくないはずだ…何で来ない…!?)

コニー「何か!!やることはねぇのかよ!?クソッ!クソッ!クソッ!!」ガンッ

ベルトルト(…まさか…来ないのか…?…そうだ、この世界では前と違うことがずっと起こって来たじゃないか…!)

ベルトルト(どうして来るなんて思ってしまったんだ…!?)

コニー「せめて…何かこう、意味が欲しかったよな…任務も中途半端なまんま、全滅なんて…」

ベルトルト(…どうにかして、ここを生き延びないと…何か、何かないか!?)キョロキョロ

クリスタ「私も…戦いたい。何か、武器があればいいのに…」

ベルトルト(武器!?そ、そうだ…確か!!)バッ

クリスタ「そしたら一緒に戦って死ねるのに…」

ベルトルト「っ」ダッ

ライナー「ベル…!?」



ユミル「クリスタ…お前、まだそんなこと言ってんのかよ?」

クリスタ「え…?」

ユミル「彼らの死を利用するな。あの上官方はお前の自殺の口実になるために死んだんじゃねぇよ」

クリスタ「…! そんな…そんなつもりは…」

ユミル「お前はコニーや上官方とは違うだろ!」

ユミル「本気で死にたくないって思ってない…いつも、どうやって死んだら褒めてもらえるのかばっかり考えてただろ?」

クリスタ「そ…そんなこと…」

ユミル「クリスタ」ガシッ

ユミル(もうどうすることも出来ない)

ユミル(こうするしか…ない)

ユミル「ッ…多分、これが最後になるから…」

ユミル(お前が私を“人間”として見てくれる、のは)



ユミル「…クリスタ。私は…お前をずっと、ずっと…」

クリスタ「…ユミル…?」

ユミル「……ッ」グッ

クリスタ「ユミル…ねぇ…ユミル…?」

ライナー「…陽が、出て来たな…」

コニー「最後に…陽を拝めるとはなぁ…」

ユミル「ッ…コニー!」バッ

クリスタ「!」

コニー「うわっ…何だよ…?」

ユミル「ナイフを貸してくれ」

コニー「? ほらよ」スッ

ユミル「あんがとよ」ペチ


コニー「…何に使うんだよ、それ…」

ユミル「まぁ…そりゃ、これで戦うんだよ」

ライナー「オイ…ユミル、何するつもりだ…?」

ユミル「さぁな。自分でもよく分からん」

クリスタ「……ユ…」

ユミル「クリスタ…お前の生き方に口出しする権利は私に無い」

ユミル「だからこれはただの…私の願望なんだがな」

ユミル「お前、胸張って生きろよ」

クリスタ「え…」



ベルトルト「待って!!」



ユミル「!?」

クリスタ「!!」

コニー「ベ、ベルトルト…」

ライナー「お前…その格好…何で、立体機動装置を…」

ユミル(まさか…!)バッ

ユミル(やっぱり!ヘニングの装置か!!)

ベルトルト「…僕がやる」

ライナー「お前…何を言っているんだ!こんな中に飛び込んで行って無事で済むと思っているのか!?」ガシッ

ベルトルト「思うわけないじゃないか!!」

ライナー「ッ!」

ベルトルト「じゃあどうやってここから生き延びるの!?他に方法があるって言うのか!?」

コニー「にしても無茶だ!最後まで助けを待つってことって出来るだろ!?」

ユミル「…それは絶望的だ。だいぶ衝撃を受けてるからな…そんなに長く保たねぇよ…」



クリスタ「で、でもベルトルトも…死んじゃうかもしれない…っ」

ベルトルト「…時間稼ぎくらいには、なるかもしれないだろ…」

ライナー「お前一人で行かせるわけにはいかん!俺も…」

ベルトルト「その腕で何言ってんだよ…!ダメだよライナー…約束したじゃないか…」

ベルトルト「生きて故郷に帰るって…」

ライナー「ベルトルト…お前も一緒にって言葉が、抜けてんじゃねぇか…!」

コニー「そ、そうだぜ…お前だけ犠牲になんて、出来るわけねぇだろ!」

ベルトルト「ホント…僕も何やってるんだろうって、本気で思うよ…」

ベルトルト「こんな、こんなことするつもり…無かったのに…」

ユミル「だったらしなきゃいい」

ベルトルト「!?」

コニー「ユミル…!?」

ユミル「自分から死に急ぐような真似すんじゃねぇ、エレンじゃあるまいし」

ライナー「ユミル、お前…ッ!」グッ



ユミル「なぁベルトルさん…お前、何の為にここにいるんだ?」

ベルトルト「え…?」

ユミル「こんな所で巨人のエサになる為か?良いカッコして華々しく散る為か?違うだろ」

ユミル「生きて、お前の言う“故郷”とやらに帰る為じゃなかったのか?」

ベルトルト「っ…」

ユミル「どんな無様でもいい。どんな汚い手を使ったっていい。誰に軽蔑されたっていい」

ユミル「でなきゃ何の為にここに来たのか…分かんねぇだろ」

ベルトルト「! ユミル、やっぱり君は…!!」

ユミル「生きろよ、ベルトルさん」ダッ

クリスタ「ユミル!?待って!!」バッ

ユミル「ッ…」ダッダッダッ

ベルトルト「ユミル!!」



ユミル「」バッ

ユミル(私は自分の為に、お前を助けようとしてきた)

ユミル(何度も何度も何度も何度も)

ユミル(お前がいたから、私はここまでやってこれた―――だが)

ユミル(アイツは違う、アイツの周りに本当の“味方”はいなかった)

ユミル(孤独だっただろ、辛かっただろ)

ユミル(―――それだけで、終わらせたくねぇんだよ)カッ

ユミル「ギャァァァァアアアア!!!!!!」バッ

クリスタ「!?」

コニー「なっ…」

ライナー「…!!」

ベルトルト「ッ!?」



グイッ ブチィィッ
アァァァ!! ガブッ ビリィィ


コニー「ウソだろ…ユミルまで…巨人に…」

クリスタ「ユミル……」

ライナー「…あ…」

ベルトルト(嘘だ)

ライナー「あの巨人は…」

ベルトルト(君が、あの巨人だったなんて)

ライナー「あの時の……」

ベルトルト(誰か、嘘だって言ってくれ)


今夜はここまで、12巻と最新話が衝撃的過ぎてヤバいです
あの描き下ろしはどう捉えたらいいんだ
また明日来ます、ベルトルさんが浮き沈み激しいのは仕様です
いつもレスくださってありがとうございます

どうなるかたのしみ。乙。

このシーン好きだわ
今日は新刊といいこの作品といい胸がしくしくするね
続き期待!乙乙!

超乙!
おおむね原作と同じ流れを辿りつつもキャラの心情がちょっとずつ違って来てるんだな

描き下ろしは…あれ、ユミルの中で「危なっかしくてつい面倒見ちゃう」カテゴリに入れられたっぽいなーと思った
クリスタが覚醒した分、色々とギリギリなベルさんの方がほっとけずについ行ってしまった的な
このSSのベルさんも浮き沈み激しいし余裕ないけど、ヘタレたままでも必死になってるから目が離せないわ



コニー「ア、アイツ…巨人相手に…戦ってやがるのか…?」

クリスタ「そ、んな…」ドォォンッ

コニー「うおっ!!」グラ

クリスタ「あっ!」グラッ

コニー「ク、クリスタ!!」

ライナー「」ガシッ

クリスタ「あ…ありがとう、ライナー…」

ライナー「……」ググッ

クリスタ「いっ!いたた!ライナー、足っ…!」

コニー「ライナー!?もう良いって!放せよ足!オイ!?」

ライナー「ハッ!」バッ

ライナー「すまん…」

クリスタ「ううん、助かった…」



ライナー「…クリスタ…お前は知ってたのか?ユミルが…巨人だったって…」

ベルトルト(どうしてユミルは…このウトガルド城に来たんだ?)

ベルトルト(彼女の頭なら、ここを回避することだって出来たんじゃないのか…?)

ベルトルト(これじゃまるで…自ら正体を現すために、ここに来たみたいじゃないか…)

ベルトルト(こんな、こんなこと…ないよ…)

クリスタ「知らなかった…いつも近くにいたのに…こんな…こんなことって…」


ギィィァァアア バシュッ


クリスタ「……」

クリスタ「信じられないよ…三年間ずっと一緒にいたのに、何なの一体…あれが…ユミルだって言うの…?」

クリスタ「嘘だ…」

クリスタ「―――嫌だ…」

ライナー「…つまりアイツは、この世界の謎の一端を知ってたんだな」



ライナー(ベリックを食った巨人が…こんな近くにいただなんて…)

ライナー(どうして俺はベルトルトの言葉を軽視してしまったんだ、ベルトルトがユミルを疑った時に)

ライナー(あの時に…殺しておけば…)

ライナー「全く…気が付かなかったよ…」

ベルトルト(じゃあ…彼女は知っていたのか…?彼女がベリックを食ったってことを…)

ベルトルト(僕達の仲間のベリックを、食ったって…)

ベルトルト(知ってて…知っていたくせに、ずっと僕達の邪魔をしていたの…?)

ベルトルト「なん…で…」ギリッ

コニー「でもさぁ、アイツ…巨人の力を知ってた風だったぞ?エレンとは違って…」

コニー「アイツは…どっちなんだ…」

クリスタ「!? どっちって?ユミルが人類の敵かもしれないって言うの?」

ベルトルト(大体、何でユミルは戻って来たんだ!?何か理由があったって言うのか!?)

ベルトルト(いつも飄々として、人を馬鹿にして、邪魔ばかりしてきて…)



コニー「あぁ…考えてみりゃ、アイツはどんな状況でも我関せずって涼しい顔してたぜ」

コニー「そりゃあこんな力を隠し持っていたんだもんな」

コニー「何考えてんのか分かったもんじゃねぇよ…」

クリスタ「……」

ベルトルト(どうしてユミルは…世界をやり直しているんだ…?)

ベルトルト「…一体…ユミルの目的は何なんだ…」

クリスタ「……ッ…」


ビシュッ ダンッ
アァァアアア ブチブチィッ ガッ


ユミル「!」

クリスタ「あ…!」

ライナー「! ユミルが引きずり降ろされた…!」

クリスタ「!! …ユミル!」


ググッ ガブッ バリィィ
ブチブチッ ガシッ グググッ…


コニー「塔にしがみ付いて何とかなってるけど…数が多すぎる…」

ユミル「ッ…」ズズズッ ピキッ

クリスタ「……!」

ユミル(クリスタ…チクショウ、何度見ても、その目だけは慣れねぇなぁ…)

ユミル(私が怖いか?化け物だと罵られても構わない)

ユミル(私はどうなったって構わない―――だから)パッ

クリスタ「な!?」

コニー「ア…アイツ…手を放した!?」

コニー「何だ…!?まさか…塔の損傷を気にしてるのか!?」

ベルトルト「!」

ベルトルト(まさか、君は…)

クリスタ「…そうだよ」

クリスタ「巨人の力を自分一人で逃げる為に使うことも出来たはず…」



クリスタ「あの体の大きさじゃ、ここの巨人全てを倒すことなんて出来ないよ…なのに…今ここでユミルが戦っているのは…」

ベルトルト(クリスタを守る為だけに、戻って来たっていうのか…!?)

クリスタ「私達を…命懸けで守ろうとしてるから」

ライナー「あ…!?まずいぞアイツ!このままじゃ…!」

ベルトルト(君の今までの行動全ては、クリスタを守る為だけにやってきたというのか…!?)

クリスタ「何でよ…ユミル…ッ」バッ

クリスタ「死ぬなユミル!!こんな所で死ぬな!!」

ユミル「!!」

クリスタ「何いい人ぶってんだよ!!そんなにかっこよく死にたいのかバカ!!」

コニー「オイ!」ガシッ

クリスタ「性根が腐り切ってるのに今更天国に行けるとでも思ってるのか、このアホ!!」

ユミル(…ったく…あの甘ちゃんは…)

クリスタ「自分の為に生きろよ!!こんな塔を守って死ぬくらいなら…」



ユミル(自分のことは棚に上げやがって…いい根性してやがるよ、本当に)

クリスタ「もう、こんなもんぶっ壊せ!!」

ユミル(だからこそ私は…お前を必ず守り抜くって決めたんだけどな!!)ガッ

クリスタ「!」

ユミル(女神様のご神託だ…ありがたくぶっ壊させてもらうぜ!!)バコッ ブンッ バキィィッ

ライナー「オ…オイ!アイツ…本当に壊しやがった!?」ゴゴゴゴゴ

クリスタ「いいぞユミル!!」

ベルトルト(無茶苦茶だ…!僕やライナーはともかく、クリスタとコニーが危険すぎる!!)

ベルトルト(これが…これが君の覚悟だって言うの!?)

ユミル「」ゴォッ

クリスタ「……!」

ユミル「イキタカ ツカアレ」



クリスタ「…ッ、ユミル!」ガシッ

コニー「どうなってんだよチクショォ!!」ガシッ

ライナー(今はこうする以外に生き延びる方法はない!)ガシッ

ベルトルト(ユミル、君は…!)ガシッ


ゴゴゴゴゴゴ
ドドドォォォォン……



******


コニー「…信じらんねぇ…巨人共を塔の下敷きにしようだなんて…何っつーこと考えんだよ…」

ライナー「グッ…」

ベルトルト「ゴホッ…ライナー、大丈夫…!?」

ライナー「あ、あぁ…生きてるよ…」



クリスタ「けほっ…」

ユミル「……」

クリスタ「ユミル…!」

ベルトルト(何とか助かった…さすがにもう、調査兵団も来るだろ…)

ベルトルト(そうしたら、エレンを…エレンとユミルを…)ゴゴゴゴゴ

ベルトルト「!?」

クリスタ「え…!?」

巨人「」ボコッ

巨人「」ガラガラ

コニー「巨人が…起き上がってくるぞオイ!」

クリスタ「そんな…」

ユミル「」ダッ

コニー「オイ!ブス!!早くとどめ刺せよ!」

ユミル(お前に言われなくても…!!)ガブッ ブチブチ



巨人「」ガシッ

ユミル「!」ブンッ

ユミル(や、べぇ)ガンッ

コニー「オイ…オイ…まずいぞ…」

巨人「」バリバリィッ

巨人「」ガブッ

ユミル(クソッ…動けねぇ…!!痛ぇ…チクショウ…!!)

ベルトルト(このままだと、ユミルが食われる…!どうしたらいい…!?)

コニー「ユミルが…食い尽くされる…!」

クリスタ「あぁっ…そんな…そんな…!!」

ベルトルト(今マトモに攻撃出来るのは僕だけだ、行かなきゃ…!助けに行かないと…!!)

ベルトルト(……え)

クリスタ「ユミル!!」ダダッ

コニー「クリスタ!」



ベルトルト(何で今…僕は、ユミルを助けるなんて思ってしまったんだ…?)

クリスタ「待ってよ…ユミル…!まだ、話したいことあるから…!」

ユミル(頭がぼんやりしてきやがった…あぁ、クソったれ…)ブチブチッ

クリスタ「まだ!」

ユミル(泣くな…クリスタ…大丈夫だから…)

クリスタ「私の本当の名前!!教えてないでしょ!!」

巨人「」ヌッ

ライナー「! クリスタ!」

クリスタ「……っあ」

巨人「」ヌ

クリスタ「待ってよ、まだ…」




ギュルルルッ ザクッ


ミカサ「ッ」タンッ

クリスタ「……!」

クリスタ「ミカサ!?」

コニー「お…お前、何で…!?」

ベルトルト(どうして、どうしてだよ…どうして…!)

ミカサ「クリスタ…皆も下がって」

ミカサ「後は私達に任せて」

ベルトルト(どうして!!)



******





アルミン「まさか…ユミルが!?」


ライナー「ベルトルト」ボソッ

ベルトルト「…分かってる、ライナー。今が勝負所だ」ボソッ

ベルトルト「…ねぇ、ライナー」

ライナー「分かっている。…ユミルのことだろう?」


クリスタ「ユミル…」

ユミル(…ほらな…大丈夫だっただろ…?ちょっと体中痛いけどな…)

ユミル(本当にお前は…優しいな…)

クリスタ「私の名前…ヒストリアって言うの…」

ユミル(―――あぁ)

ユミル(知ってたよ。ずっとずっと、昔から)スゥッ


ベルトルト「あぁ。…彼女も、連れて行く」


今夜はここまで
次か次の次くらいで分岐します、多分
レスありがとうございます。皆必死に生きてます
また明日来ます。>>500>>600までには終わると思います

どう分岐するのか楽しみ。揺れ動いてるな。ベルドルトの心。乙。



ベルトルト(ただ問題は一つ…ミカサだ)

ベルトルト(前の世界―――僕はここで死んだ、ミカサに首を斬り落とされて)ブルッ

ベルトルト(前みたいに馬鹿正直に言ったら、恐らく二の舞だ。僕はまた、死ぬ)

ベルトルト(僕は…僕は、この先に進めるのだろうか…)

ベルトルト(恐い。エレンを連れ去るのが…この先へ進むのが恐い)


クリスタ「ユミルは我々人類の味方です!ユミルを良く知る私に言わせれば、彼女は見た目よりずっと単純なんです!」

ハンジ「そうか…あぁ、もちろん彼女とは友好な関係を築きたいよ」


ベルトルト(やらなくちゃいけないことなのに…この為に僕はずっと前に進んできたのに)

ベルトルト(…恐い、恐い、恐い…)チラ




ハンジ「ユミルはどう?」

モブリット「依然昏睡したままです。出血が止まって、傷口から蒸気のようなものが出ていますが…」

ユミル「」スゥ


ベルトルト(ユミル…君はどうして先へ進めたの?)

ベルトルト(死ぬかもしれないあの状況で…どうして巨人になれたの?)

ベルトルト(クリスタを守る為なら君は、自分さえも犠牲に出来るというの?)

ベルトルト(分からない…分からないよ、ユミル…)


ライナー「ッ…イテテ…」

エレン「大丈夫かライナー?」

ライナー「大丈夫じゃねぇな。巨人に腕を噛み砕かれたんだ…本当にまいった…」

ライナー「もうダメかと…」

エレン「……」

ベルトルト(……ん?)



エレン「お前程強くても…そうなっちまうんだな…」

ライナー「何言ってんだ…こんなのもう二回目だぞ。なぁ?アルミン」

アルミン「え?」

ベルトルト(何だ、今のは…)

ライナー「一度は巨人の手の中にすっぽり収まっちまったこともあるんだ」

アルミン「あぁ…あの時…」

ライナー「既にもう二回も死にかけた。このペースじゃあの世まであっという間だ」

ベルトルト(エレンの態度が、一瞬だけどおかしかったような気がする…何だ…?)

ライナー「自分で選んだ道だが、兵士をやるってのはどうも…」

ベルトルト(…そうだよ、どうして前の時…ミカサはあんなに反応が早かったんだ…!?)

ベルトルト(いくらミカサだからって、あの動きは前もって僕達の正体を知ってなきゃ出来ないはずだ…)

ベルトルト(……まさか!)

ライナー「体より先に心が削られるみてぇだ…」



ベルトルト(今のライナーは兵士の状態だ、このままじゃ、)

ライナー「まぁ…壁を塞がねぇことには…しんどいだのと言ってる暇もねぇか」

エレン「あぁ…お前達二人の故郷も遠退いちまうばかりだからな…」

ベルトルト(彼らにこれ以上の確信を与えてしまうかもしれない!)

エレン「何とかここで踏みとどまらねぇと…」

ベルトルト「そうだよ…ライナー!」

ライナー「!」

ベルトルト「故郷だ!帰ろう!」

ベルトルト(多少大げさでもいい、今はライナーを戦士に戻さないと…!)

ベルトルト「もう帰れるじゃないか…今まで苦労してきたことに比べれば、後少しのことだよ」

ライナー「…そうか…!後もう一息の所まで来ているんだったな」

エレン「は?何言ってんだ、お前ら」

ハンジ「皆いるかい?…ユミルの件はひとまず後だ。壁の修復作戦を再開しよう」



ハンジ「しかし…現場はもっと巨人だらけだと思ってたんだが…」

ミカサ「! あれは…ハンネスさん」

ハンジ「駐屯兵団先遣隊だ。穴の位置を知らせに来たんだ」


ベルトルト「ライナー…この騒ぎに乗じてエレンを連れ去ろう」

ライナー「何だと?」

ベルトルト「いきなり巨人化して、そのまま連れて行くんだ」

ライナー「…そんな闇討ちみたいな真似…」

ベルトルト「もうここまで来てしまったんだ…!後には戻れない、それに」チラッ

ライナー「…?」

ベルトルト「…多分、僕達の正体に気付いている、と思う」

ライナー「な…!?…何故そう言える」

ベルトルト「確信は持てないよ。でも、さっきエレンが君を見る目が、明らかにおかしかったような気がするんだ」

ライナー「……なら、尚更だ」ダッ

ベルトルト「ちょ…!待ってライナー…!」




エレン「穴が開いてなかった…?何だよ一体…」

アルミン「どういうことだろう…」

ライナー「エレン」

エレン「?」

アルミン「この五年間に無かったことが、こんなに一度に起こるなんて…」

ベルトルト(待ってくれ…この流れはマズい!!)

ベルトルト「ライ…」

ライナー「話があるんだが」

エレン「…?何だよ」

ベルトルト(駄目だ、これじゃ…これじゃ前と何も変わらないじゃないか!)

ベルトルト(せめて…!せめてミカサから離れておかないと…!!)

ベルトルト「エ、エレン…ちょっと、来てもらってもいいかな?」

エレン「……あぁ」

ミカサ「……」



エレン「…オイ、何だよ話って」

ベルトルト「……エレン、その…ね」

ライナー「俺達は五年前…壁を破壊して、人類への攻撃を始めた」

ベルトルト(待ってライナーいきなりすぎる!)

ライナー「俺が鎧の巨人で、コイツが超大型巨人ってヤツだ」

ベルトルト(まずい!ミカサは…!)チラ

ベルトルト「!!」ゾクッ

ミカサ「」ジッ

ベルトルト(や、っぱり、見てる)

ベルトルト(気付かれていたんだ、やっぱり…!どうして、何で…!?)

エレン「は…?何言ってんだお前…」

ベルトルト「な……何を言っているんだライナー」

ベルトルト(見てる、ミカサが、こっちを)

ベルトルト(このままじゃ…殺され、る…!)



ライナー「俺達の目的は、この人類全てに消えてもらうことだったんだ。だが…そうする必要はなくなった」

ベルトルト(ヘニングさんのブレードの残りは…!)チラ

ベルトルト(…嘘、だろ…あと一枚…?)

ライナー「エレン…お前が俺達と一緒に来てくれるなら、俺達はもう壁を壊したりしなくていいんだ。分かるだろ?」

エレン「は!?」

ベルトルト(初撃は防げるかもしれない、でも、その次は…!?)

ベルトルト(ライナーを庇って…ブレードが保つのか!?ミカサの斬撃に…!?)

エレン「イヤ待て!全然分かんねぇぞ!」

ライナー「だから俺達と一緒に来てくれって言ってんだよ。急な話しですまんが今からだ」

ベルトルト(無理だ…すぐに消耗するのが関の山だ…!)

エレン「今から!?どこに行くんだよ!?」

ライナー「そりゃ言えん…だが、まぁ…俺達の故郷ってヤツだな」



ベルトルト(君が卑怯なことを嫌うのは知ってた、知ってたよ、だけど!)

ベルトルト(どうして嫌でも出来ないんだよ君は!)

ライナー「で?どうなんだよエレン」

エレン「え?」

ライナー「悪い話じゃないだろ?一先ず危機が去るんだからな」

エレン「うーん…どうだろうな…」チラッ

ミカサ「……」

ベルトルト(!! 今、ミカサに目線を合わせた…!)

ベルトルト(どうする!?ここから生き延びて、エレンを連れて行く方法…何か、何かないか!?)

アルミン「おーい、行くよー?」ブンブン

ベルトルト(駄目だ考えがまとまらない!一旦引きたい…!これじゃ殺される以外に何も先がない!)

エレン「お前さぁ…疲れてんだよ。なぁ?ベルトルトこうなってもおかしくねぇくらい大変だったんだろ?」



ベルトルト「…!?」

ベルトルト(これはチャンスだ!ここで一旦引いて、考え直せれば…!)

ベルトルト「あ……あぁ、そうだよ!ライナーは疲れてるんだ!」

ベルトルト(よし、これで少しは時間が……)

ベルトルト(……いいの?これで…)

エレン「大体なぁ、お前が人類を殺しまくった“鎧の巨人”なら、何でそんな相談を俺にしなくちゃなんねぇんだ」

エレン「そんなこと言われて、俺がはい行きますって頷くわけがねぇだろ」

ベルトルト(これで一体何が変わるって言うんだ)

ベルトルト(僕は…何の為に戻って来たんだ…)


ユミル『なぁベルトルさん…お前、何の為にここにいるんだ?』



ユミル『こんな所で巨人のエサになる為か?良いカッコして華々しく散る為か?違うだろ』


ベルトルト(…そうだよ…)

ベルトルト「」チラ


ユミル『生きて、お前の言う“故郷”とやらに帰る為じゃなかったのか?』


ライナー「そうか…その通りだよな…何を、考えているんだ俺は…本当におかしくなっちまったか?」

ベルトルト(大丈夫、ライナー…君はおかしくなんかなっていない)

エレン「とにかく街へ行くぞ」ザッ

ライナー「きっと…ここに長く居過ぎてしまったんだな。馬鹿な奴らに囲まれて…三年も暮らしたせいだ」

ベルトルト(あぁ、そうだ。僕達は、彼らに肩入れしすぎてしまっていたんだ)

ベルトルト(…皆といる時だけは…僕は、“人間”でいられたのかな…)

ライナー「俺達はガキで…何一つ知らなかったんだよ。こんな奴らがいるなんて知らずにいれば…」

ライナー「俺は…こんな半端なクソ野郎にならずに済んだのに…」



ユミル『どんな無様でもいい。どんな汚い手を使ったっていい。誰に軽蔑されたっていい』


ベルトルト(…あぁ、そうだ、そうだね…)

ライナー「もう俺には…何が正しいことなのか分からん…」シュル

ベルトルト(ユミル、君はとても残酷で)

ライナー「ただ…俺がすべきことは自分のした行いや選択した結果に対し」シュル

ベルトルト(とても、強いね)スッ

ライナー「戦士として…最後まで責任を果たすことだ…」シュゥゥゥウウ

エレン「……!」

ベルトルト「エレン」トンッ

エレン「なっ…!」グラッ

ベルトルト「ごめん」

シャッ
ザクッ


ユミル『でなきゃ何の為にここに来たのか…分かんねぇだろ』




ライナー「!?」

ミカサ「! エレン!!」ダッ

エレン「ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァアアア゙ア゙!?」ブシュゥッ

ライナー(エレンの両腕を…斬り落とした…!?)

ミカサ「―――お前らぁッ!!」ドォッ シャッ

エレン「グゥッ…!ミ、カサ…!!」ズル

ライナー「!!」グッ

ライナー「―――!」ザグゥッ

ベルトルト(ライナーの右腕が…!!まずい、僕もガードしないとっ…!)バッ

ミカサ「ッ!!」ヒュンッ ブンッ

ベルトルト「っ、ぁあ!」ザグッ

ベルトルト(首にっ…ブレードが…!)ブシュッ

ベルトルト(こんな、こんなこんな!!)

ベルトルト(エレンの腕を落とせたのに!!せっかく、せっかく上手く行ったのに!!)



ライナー「うッ…あ!!」ボドッ

ベルトルト「あぁ!?あぁぁぁぁあ!!」ビュッ

ベルトルト(殺される!!また―――また!!)

ベルトルト「わぁぁあああああ!!」

ライナー(! ベルトルト…!ベルトルト!!)ダッ

エレン「ッ、グウゥッ…!」シュゥゥゥ

ミカサ「エレン!!逃げて!!」

ベルトルト(死ぬ、殺される、また、また僕は、ここで)

ベルトルト(嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ、もう死ぬのは嫌だ、僕は、僕は僕は僕は)




ライナー「―――オラァッ!!」ドッ



ミカサ「なっ…!?」グラッ

ベルトルト「!?」

ライナー「ベルトルト!!」

ベルトルト(な、何で…前は…ライナーは、助けに来なかったのに…)

ベルトルト(僕は…生きている…?)

ベルトルト(そうだよ、まだ、死ねないんだ…)グラッ

ベルトルト(まだ僕は…死ねない!)

ベルトルト「ライナー…やるんだな…!?今…ここで!!」グッ

ライナー「あぁ!!勝負は今!!ここで決める!!」グッ

ベルトルト(そうだ、僕達は今度こそ…故郷へ帰るんだ!!)


カッ!!


今夜はここまで
分かりにくいと思うので、簡単に言い訳を

ベルトルさんがエレンを押して、その反動で浮いた両腕をブレードで斬り落とした

って感じです。無理矢理ですみません、また明日来ます。
いつもレスくださってありがとうございます、ずっと読んでくださっているっていうのがとても嬉しいです

乙!
続き楽しみに待ってるよ!

乙。なんか切なさを感じる。

ベルトルト視点で読んでるとどうしてもコイツらに肩入れしたくなるな、乙



調査兵「なっ、何だ今の衝撃―――わぁぁぁああ!!」

アルミン「超大型巨人に…鎧の巨人…!!やっぱり…!!」

ミカサ「クッ…!衝撃が…!」ググッ

クリスタ「うっ、うぅっ…!!」ググッ

ベルトルト(さすがにこの短期間では回復しきってないか…!上半身作るだけでやっとだ…!)

エレン「ぐっ…クソ…!!やっぱり、お前ら…!!」シュウゥゥ

ベルトルト(僕の考えが正しければ、多分エレンは…)

ベルトルト(―――ユミル!!)バッ

ユミル「」ガシィッ

クリスタ「!! ユミル!!」



ライナー(悪いなエレン!)グイッ

エレン「!!」ガッ

アルミン「なッ…エレン!!」

ハンジ「まずい、エレンが鎧に捕まった!!」

ライナー(このまま一緒に来てもらうぜ!!)ズザザザザザ

エレン「くそっ…本当に…本当にお前らが…!!」シュウゥゥゥ

エレン(あの三年間は、全部嘘だったって言うのか!?)

エレン(お前らが楽しそうに笑ってたのも…あの時見た、湖のことも…)

エレン(全部…全部…!!)シュウゥゥゥ

ベルトルト『エレン…ごめん』

エレン(お前のその“ごめん”は、俺の腕を斬り落としたことに対してだけなのか…!?)

エレン「ライナー…!ベルトルト…!」

エレン「このッ…裏切りもんがあぁぁああああ!!!!」グッ




エレン(―――な)

ミカサ「!! 何故…!」

アルミン「エレンが、巨人になれない…!?」

ベルトルト「……」

エレン「なっ…んでだよ!!クソッ…何でだ!?」グッ グッ

ハンジ「巨人になるには強い目的意識が必要なはずだ…!」

ミカサ「まさか、アニの時みたいに躊躇っている…!?」

アルミン「いや違う!今のエレンは目的意識がはっきりしているはずだ!」

ライナー(…ベルトルトがエレンの腕を落としたのは…こういうことか…)チラッ

エレン「どうして…!今、今俺がコイツらをやらなくちゃなんねぇのに…!!」

ベルトルト(ライナー!)

ライナー(すまねぇなエレン。…これが、俺達とお前の違いだ)パカッ



エレン「なっ…!!」

ライナー(しばらく、おとなしくしててもらうぞ!)バグッ

エレン「!!」

ミカサ「エレン!!…ライナァァァァア!!」パシュッ ギュンッ

アルミン「待ってミカサ!迂闊に行動したら駄目だ!!」

ミカサ(待っててエレン…!!今すぐその汚い所から出してあげるから!!)ギュルルルル ブンッ

ライナー「」キンッ

ミカサ「くっ…刃が通らない…!!」

ミカサ(あのチビみたいに光速で削ろうとしても…コイツは全身が鎧…!!)

ミカサ(アニの時の手は使えない…っ…)


調査兵「全員一気に超大型へ斬りかかれ!!」パシュッ

調査兵「人類の仇そのものだ!!躊躇うな!!」パシュッ



ベルトルト(くっ…やっぱり速い…!)

ベルトルト(でもここまで来たんだ…!こんな所で、やられるわけにはいかない!!)

ベルトルト「」バカッ

クリスタ「あッ―――…!!」

ベルトルト「」バグゥッ

クリスタ「ユミルが…食べられた……!!」

クリスタ「嫌ッ…なんで、どうして、ベルトルト!!」

ハンジ「今だ!!全員で削り取れ!!」

ベルトルト「―――ッ!!」ボッ ゴォォォォォオ

クリスタ「え!?」

ハンジ「総員一旦引け!!」

調査兵「熱っ!」

ベルトルト(はぁっ…はぁ…!!くそ、やっぱり体力使う…!)

ベルトルト(ライナー…!早くこっちに来てくれ!)



調査兵「水持って来い!」

ハンジ「また消えるつもりか!?」

アルミン「いえ!様子が変です!以前なら一瞬で消えましたが、今は骨格を保ったままロウソクのように熱を発し続けています」

アルミン「このままあの蒸気で身を守られたら…立体機動の攻撃が出来ません!」

アルミン「鎧の巨人の方も、ミカサや兵士たちが攻撃を続けていますが…傷一つ、まだ…!ど、どうすれば…!」

ハンジ「…どうもしない、待つんだ」

ハンジ「いつまで体を燃やし続けていられるのか見物だが、いずれ彼は出てくる」

ハンジ「待ち構えてそこを狙うまでだ」

ハンジ「私は鎧の巨人の所へ向かう!アルミンも一緒に!!」バッ

アルミン「は、はい!!」バッ


ミカサ(エレンを助けなきゃいけないのに…!!硬い!!)キンッ



調査兵「何故コイツは俺達に攻撃をしかけてこない!?ただ防御しているだけじゃないか!」

ミカサ「ライナー…」

ミカサ(どうして私はあの時、二人の首を刎ねられなかったの…?)

ミカサ(…情なんて…そんなの…)

ミカサ(エレンを守る。その為なら私は、誰であろうと倒す!)パシュッ

調査兵「アッカーマン!先走るな!!」

ミカサ「はぁぁッ!!」ギュルルル

ライナー(ミカサ…お前は相変わらず怖い女だ)

ライナー(正直エレンを連れて行く為の一番の障害はお前だ)

ライナー(だから、俺達は考えた。お前の行動を塞ぐ方法を)ダッ

調査兵「なっ…鎧が逃げる!?」

ミカサ「待て!!」パシュッ ギュルルル



アルミン「! ハンジ分隊長!!」

ハンジ「鎧の巨人が…自らこっちに向かって来ている…!?」

ハンジ(こちらに攻撃も仕掛けず、一体何をするつもりだ!?)

ベルトルト「」ピクッ

クリスタ「え…!?」

ベルトルト「」グラッ

クリスタ「…そ、そんな…まさか…!!」

ベルトルト「」バキバキバキ

クリスタ「ベルトルトが…落ちる…!」

ベルトルト「」ヒュゥゥゥ

ハンジ「待て、あれは…ミカサ!?」

アルミン「鎧の巨人を追撃してるのか!?」



コニー「―――上だ!!避けろぉぉぉおお!!!」



アルミン「!?」

ハンジ「!!」

ミカサ「!?」

ベルトルト「」ドンッ


ジュゥゥゥゥ
ゴオォォォォォォ


アルミン「うわぁぁぁあ!!」グンッ

ミカサ「―――!!」ゴォッ

ハンジ「な―――!!」ドォッ

ベルトルト(よし…上手く行った…!!)

ライナー(馬鹿みてぇに熱い…!が、これしか方法がないんだ!!)

ベルトルト(僕の蒸気に耐えられるのはライナーだけだ…生身の人間じゃ、衝撃で飛ばされる!)

ベルトルト(しばらく動けないはずだ!この隙に…!)グッ

ベルトルト「…グ、はぁっ!」グイッ



ベルトルト「ハッ…ユミル…」

ユミル「……」

ベルトルト「…悪いけど、君にも一緒に来てもらう。君には聞きたいことが山ほどあるんだ」パシュッ

ライナー「」ザクッ

ライナー(行くぞ、ベルトルト)クイ

ベルトルト「あぁ、分かってるよライナー」グッ

ライナー「」ダダッ

ベルトルト(もう少し、もう少しだ…!)

ユミル「……」スッ

ユミル(…やっぱり、こうなっちまったか…)

ユミル(もう―――終わりだな)



******



小規模な巨大樹の森


ライナー「ガッ…ハァ…はぁ…」

ベルトルト「ライナー…大丈夫…?」

ライナー「あぁ、とりあえずはな…」

エレン「うっ…」

ライナー「…アイツ、散々口の中蹴りまくってくれたからよ…まだ変な感じがするぜ…」

ベルトルト「今はまだ気を失っているけど、起きたらどうなるのかな…」

ライナー「その時になってみなきゃ分からん。…ベルトルト」

ベルトルト「何?」

ライナー「エレンの腕を斬り落としたのは…巨人化させない為だったんだな」



ベルトルト「…うん。エレンが巨人になってからまだそんなに経ってない」

ベルトルト「両腕の欠損っていう大幅な修復が必要になれば、自ずとエネルギーはそれを優先させる」

ベルトルト「巨人化までエネルギーが回らない…って思って」

ライナー「万が一巨人化しても、力は落ちてるだろうしな…俺もミカサに右手落とされた時は、どうなることかと思ったが…」

ライナー「…経験の差ってやつか。あんま素直には喜べんな」

ベルトルト「そうだね…」

ライナー「…一つ聞きたい。お前は、ユミルの正体を知っていたのか?」

ベルトルト「…ううん、知らなかった。ウトガルドで初めて知った」

ライナー「じゃあ何故お前はユミルを敵視していた?」

ベルトルト「それは、壁外調査の時ユミルに邪魔をされたから…それがなければ、こんな追い込まれることはなかったんだ…」

ライナー「…だが俺には分からん。何故、ユミルは企画紙をすり替えることが出来たんだ?」

ベルトルト「それは…!」



ライナー「それは?」

ベルトルト「それ、は」

ベルトルト(信じてもらえるわけがない。…この世界をやり直しているからだ、なんて)

ライナー「おい、ベルトルト」

ユミル「よせよライナー」

ライナー「!?」

ベルトルト「ユミル…!?」

ユミル「あー、何か体ベタベタする気がする。何か拭くもんとか持ってないか?」

ライナー「…あるわけがないだろう」

ユミル「だよなぁ」

ベルトルト「…君は、この状況に驚いてないんだね」

ユミル「この状況?私の片手片足が無い上にいつの間に森にいてしかもお前らとエレンしかいなくてエレンが気絶しちまってるこの状況か?」



ベルトルト「…丁寧な説明をありがとう」

ユミル「どういたしまして。さてライナー、本題だ。種明かししてやるよ」

ライナー「っ…お前、よくそんな態度が取れるな!?」

ユミル「元々こんな態度だ。…ベルトルさん」

ベルトルト「!」

ユミル「エレンをライナーの所へ持って行け。で…お前だけこっちに来い」

ベルトルト「……!」

ライナー「何だと…!?そんなこと出来るはずないだろ!」

ユミル「悪いなライナー、お前にはまだ早い。おとなしくエレンに子守唄でも歌ってやれよ」

ライナー「貴様…!」

ベルトルト「…分かったユミル、言う通りにしよう」

ライナー「ベルトルト!?」



ベルトルト「ライナー。…僕は、彼女の話を聞かなきゃいけないんだ」

ベルトルト「その為に僕は…彼女を連れてきた」

ユミル「……」

ライナー「ベルトルト…お前…」

ベルトルト「頼むライナー…僕は知りたいんだ」

ベルトルト「ユミルは一体、何者なのかって」

ライナー「…分かった。だが、決して無茶はするな」

ライナー「油断するな。アイツは…俺達の敵だ」

ユミル「……」

ベルトルト「……あぁ」


今夜はここまでです
そろそろ終わりに向かいます、分岐してるようでしてない気がする
レスありがとうございます、また明日来ます

乙!続き来てるかなーと見に来たらリアルタイム投下に遭遇できてラッキーだったw
大筋は原作の流れと同じだけど、ちょっとした変化が積み重なった結果
いろんなところが地味に違って来てるのが面白い
こつこつ立ってきた細かいフラグが一気に回収されたとき、一体どうなるのか楽しみ

乙。原作だと失敗するけど、どうなるのか。続き待ってます。

夜まで待てない…!


******


ベルトルト「ユミル。君の言う通り、エレンは移動させた」

ライナー「……」

ユミル「あぁ、これでいい。…ライナーが睨んでくるのがちょっと気になるがな」

ベルトルト「それは我慢してほしい」

ユミル「分かってるよ。―――さぁ、ベルトルさん。本題だ」

ユミル「お前は、一体何を知りたいんだ?」

ユミル「ただし全部ってのは無しだ。自分で何も考えず、ただ相手の言葉を待つだけなんてガキにだって出来る」

ベルトルト「…あぁ、分かっている」

ベルトルト「ユミル…君は、この世界をやり直しているの?」



ユミル「…あぁ」

ベルトルト「……やっぱり、そうだったのか」

ユミル「……」

ベルトルト「一度目?」

ユミル「いいや、違う」

ベルトルト「…君は、一体どれだけ繰り返してきたの?」

ユミル「…さぁ。もう覚えてねぇな。何十回、何百回…ま、そんなのどうだっていいじゃねぇか」

ベルトルト「…一つ、聞いてもいい?」

ユミル「何だ」

ベルトルト「繰り返してきた世界に、人類が勝利した世界はあった?」



ユミル「…」

ユミル「たった、一度だけ」

ベルトルト「!」

ユミル「勝利っつーか…和解した世界なら、あったよ」

ベルトルト「! 和解…!?じゃ、じゃあもしかしてその世界では…!」

ユミル「あぁ。その世界ではお前ら巨人は生き残って、人類も巨人に怯えなくて済むようになった」

ベルトルト(その世界は、きっと僕が望んでいた世界だ…!)

ベルトルト(三人で故郷に帰る、一番欲しかった世界…!)

ベルトルト(…いや、ちょっと待って…だったら、何で…)

ベルトルト「…どうして君は、その世界を捨てたの?」

ユミル「…多分、その世界は今まで経験してきた中じゃ最もハッピーエンドに近くて」

ユミル「最もクソみてぇな世界だった」ギリッ



ベルトルト「え…!?」

ユミル「人類にとっても巨人にとっても最良だったその世界には―――」

ユミル「クリスタだけがいなかった」

ベルトルト「! 何、で」

ユミル「全ては、巨大樹の森が原因だった」

ベルトルト(巨大樹の森…壁外調査の時か)

ユミル「あそこで人類はまんまとエレンを連れ去られた。が…お前らはエレンが座標っていう確信を、その時は持てなかったんだ」

ベルトルト(じゃああの時、ユミルに邪魔をされていなかったら…僕たちは帰れていたの…?)

ベルトルト(もしも成功していたら…僕たちは…)

ユミル「そこで目を付けたのが、クリスタだ。アイツは壁の秘密を喋ることの出来る人間だったからな」

ベルトルト「ま、待って…!だからって、僕たちがクリスタを殺すはずがないじゃないか!」



ユミル「……お前が、それを言うのか?」キッ

ベルトルト「…!」

ユミル「訓練の時…アイツを連れ出してどうしようとしてたんだ?えぇ?オイ」

ベルトルト「そ、れは…!」

ユミル「とっさにライナーを嗾けなかったらと思うと…ゾッとするよ」

ベルトルト(やっぱりあの時ライナーが来たのも、偶然じゃなかったのか…!)

ベルトルト(ユミルは一体、どこまで分かって、知って、行動してるっていうんだ!)

ユミル「…話を元に戻そう。ま、さすがにお前らはクリスタを犠牲にすることは躊躇っていたが…」

ユミル「皮肉にも、クリスタ自身がそれを望んじまった」

ユミル「私と引き換えにエレンを返して」

ユミル「そして、これ以上壁を攻撃しないで」

ユミル「…随分幼稚で、お粗末な発想だ。だがお前らは、その条件を飲んだ」



ベルトルト「っ…」

ユミル「そこから先は知らん。アイツは私の制止を振り切って、お前らの所へ行った」

ユミル「私があの世界で最後に見たのは…アイツが壁から飛び降りる姿だったよ」

ベルトルト「そんな…だから君は…あの時、エレンを連れ去られるわけにはいかなかったのか…!」

ユミル「あぁ」

ベルトルト「僕の企画紙に細工をしたのも…」

ユミル「私だ」

ベルトルト「そん…な…じゃ、じゃあどうして“エレンの正しい配置”をそれに書いたんだ!」

ユミル「少しは自分で考えたのか?」

ベルトルト「考えたよ!でも、分からなかった…!正確な情報を教える必要なんてないじゃないか!」



ユミル「お前、馬鹿だろ?」

ベルトルト「な!」

ユミル「お前が世界をやり直しているなら、お前は確実にエレンの正確な位置を知っているはずだ」

ユミル「おそらく、前の世界のアニにでも聞いてな」

ベルトルト「…!」

ユミル「つまりお前の頭の中には、“エレンの位置は中央後列”という情報が既に出来上がっている」

ユミル「そして、企画紙には“偽りの情報”が記載されていると、知っていた」

ユミル「その状況で不意に正確な情報を渡されたら、どうだ?」

ベルトルト「…その情報を、信じていいのか分からなくなる…」

ユミル「人間ってのは面白いもんでな。嘘を吐かれると思っている時に、正しいと分かっている情報を渡されても、素直に信じられねぇもんなんだ」

ユミル「この情報は正確なのだろうか―――まさか自分は、嵌められているんじゃないか…ってな」ニィ



ベルトルト「…それを余計に信じ込ませるのが…君の発言ってわけか」

ユミル「さーて…どうかな?」

ベルトルト「もし君の企画紙に僕と違う情報が書いてあれば、僕は渡された情報を正確なものだと思っていたはずだ」

ベルトルト「エレンの正確な位置を知ってる一般兵は、僕だけのはずだから」

ベルトルト「…君は本当に、恐い」

ベルトルト「“他の人に聞かない方がいい、巨人の仲間だって疑われる”」

ベルトルト「…そう言って、君は僕が他の人に聞くのを止めたんだ」

ベルトルト「疑われたくない僕の心理を利用して」

ユミル「…やっぱ頭いいな、ベルトルさん。さすが三位様だ」

ベルトルト「君はいつから、僕のことに気付いていたんだ!?」

ユミル「最初から」

ベルトルト「は…?…え…最初から…?」

ユミル「最初から、おかしいとは思っていたさ。その時はまだ確信は持てなかったけどな」


短いですが今夜はここまで
分かりづらくてすみません
優しいレスに嬉しい反面プレッシャー感じるのは気のせいだろうか
そして明日は来れません、日曜の日付変わったくらいに多分来ます

乙。

乙。クリスタ以外は、どうなってもいいという考え方なんだな。ユミルは。


ユミルはあれだな、なんかの歌の歌詞でもあったけど
「愛するひと一人と他全人類、どちらか一つ救うとしたらどっち?」に
迷わず「クリスタ!!!!」と答えて来た結果の無限ループなんだな
それが今回に限って(?)、しかもクリスタ謀殺未遂を知っていながら
ベルトルトにやや同情してしまっている
これが分岐の鍵になるのかなーとワクワクしながら続き楽しみにしてる



ベルトルト「何で…そんな、疑われるようなことなんて…」

ユミル「入団式の日、お前…教官に走らされたろ?」

ベルトルト「う、うん…」

ユミル「その時にな―――あれ、って思ったんだよ」

ユミル「極力目立つことを避けてたコイツが、どうして今回に限ってこんなことになってるんだ、ってな」

ユミル「その時は正直ただの疑問だったさ。だが、エレンの装備が壊れた時にも同じことを思った」

ユミル「…私が経験してきた世界の中で、エレンの装備が壊れたのは、今回を含めて二回あった」

ベルトルト「二回…!?…まさか、僕以外にエレンの装備を壊した人がいるって言うの…!?」

ユミル「あの位置は整備項目にも乗ってねぇ。…あの位置に目を付けるってことは、よっぽど勘がいいか」

ユミル「装備を熟知しているかだ。どこを壊せば最小限に的確にジャンク品になるか良く分かってる」

ベルトルト「ま、まさか…一度目は…君が…!?」

ユミル「いいや。…まぁ、おおよその見当は付いてるけどな」

ユミル(エレンが開拓地に行って得をする人物…全く、恐い女だよ、本当に)



ユミル「そうして調査兵団へ入団するって…お前は自分から言い出した」

ベルトルト「……」

ユミル「今まで自分の意志を見せなかったお前が、今回に限って」

ユミル「あの時のライナーの反応は、寝首をかかれたみたいだったよ。ま、見てて面白かったけどな」

ユミル「アニの調査兵団行きに着いて行かず、こっちに来た理由―――それは一つしかねぇ」チラ

ライナー「……」

ユミル「ライナーの監視―――そして、エレンの監視だ」

ライナー「…オイ、何でこっちを見ている」

ユミル「ちゃんと寝かし付けてるか見てたんだよ、いいからこっち見んな」

ベルトルト「で、でもそれだけじゃ確信なんて持てるわけないじゃないか!」

ベルトルト「僕は君に疑われるような行動を取った覚えはない!」

ユミル「大声出すんじゃねぇよ、うるせぇな」

ユミル「いいかベルトルさん―――お前は何度、先を変えようとした?」


ベルトルト「え…?」

ユミル「お前はトロスト区の時、サシャとコニーにアドバイスをしたらしいな?」

ベルトルト「…あ、あぁ…」

ユミル「それだよ、確信に変わったのは」

ベルトルト「!?」

ユミル「アイツらがその作戦を実行した時な…失敗しなかったことがなかったんだよ」

ベルトルト「! そんな…!」

ユミル「その度にミカサとアニに助けられて来た…だがな、ベルトルさん」

ユミル「そんな事をしなくたって、アニはこれまでヘマをして正体がバレたことなんざ一度もない」

ベルトルト「っ…今までがそうでも、今回は分からないだろ!?」

ベルトルト「僕は…僕は少しでも、アニに危険が及んで欲しくなかったんだ!」

ユミル「だったらエレンの装備を壊したのは誰だ?」

ベルトルト「それはッ…!」

ユミル「クリスタを尾けてたウォール教の連中に気付いたのは誰だ?」

ベルトルト「……ッ…」



ユミル「壁外調査でエレンを連れ去ろうとしたのは誰だ!?」

ベルトルト「や、めろ」

ユミル「アニも、ライナーも信じることが出来なかったのは誰だ!?」

ベルトルト「ち、違う!僕は…!」

ユミル「なぁ、言ってみろよ…お前はこの世界で…自分が手を汚したことがあったか?」

ベルトルト「ッ…君に何が分かるんだ!?僕は、シガンシナの壁を壊した!!」

ベルトルト「僕のせいで何万もの人が死んだ!!エレンのお母さんだって…僕が…!!」

ベルトルト「僕が、殺した…!」

ユミル「間接的には」

ベルトルト「は…!?」

ユミル「あの時死んだヤツは、九割九分巨人に食わたのが原因だ。エレンの母親だって…食われて死んだ」

ベルトルト「ッ」

ユミル「直接手を汚したことがあるかって聞いてんだよ、私は」

ベルトルト「それは…!」



ユミル「先を変えなきゃ、僕がやらなきゃ。僕にしか出来ない、あぁ立派な考えだよ」

ユミル「だがな、お前は結局覚悟なんざしてなかったんだ」

ユミル「私がアニに、エレンとお前の命のどっちか迫ったことがあったな」

ベルトルト「あぁ」

ユミル「どうして、自分を犠牲にするって考えには至らなかったんだ?」

ベルトルト「そんなことっ…出来るわけないじゃないか!」

ベルトルト「僕達は三人で故郷に帰るって約束してたんだ!だ、だから…だから僕は…!」

ユミル「アニに死ぬかもしれない役割をやらせたのにか?」

ベルトルト「じゃあ他にどうすれば良かったんだよ!?」

ユミル「お前はそれを考えたのか?」

ベルトルト「え?」

ユミル「壁外調査までにエレンを連れ去る方法だってあったはずだ。なのにお前は何故、壁外調査まで待った?」

ユミル「答えは簡単だ。お前の過ごした世界が、そうだったからだ」

ベルトルト「!」



ユミル「お前は世界を変えるとか言っておきながら、結局変える為の行動を取ってこなかった」

ベルトルト「そんな、そんなことない!僕は何度も変えようとした!壁外調査の時はっ…君が企画紙をすり替えたりしなければ!」

ユミル「私のせいだって言いたいのか?」

ベルトルト「そうだよ!」

ユミル「…だから私は…お前のことが大っ嫌いだったんだよ…!」ギリッ

ベルトルト「は!?」

ユミル「いい加減にしやがれこの馬鹿野郎が!」グッ

ベルトルト「ぐっ…放せよ、何をするんだ!?」

ライナー「ベルトルト!」グッ

ユミル「テメェは来んなっつってんだろ!」

ライナー「そうは行くか!」

ベルトルト「ライナーっ…僕は大丈夫だからそっちにいて…!」

ライナー「だが!」

ベルトルト「いいから!」


ユミル「アイツを助ける為に、私はどんなことでもしてきた!どれだけ汚い手でも、軽蔑される手段でも…!」

ユミル「私を軽蔑するのが、クリスタであってもだ!!」

ベルトルト「…ッ」

ユミル「それでも私はやった!それがアイツの―――私の為になるならと、どんなことでもしてきた!」

ユミル「結果を後悔しても、過程を後悔したことなんざねぇ!それが最良だと信じていたからだ!」グッ

ユミル「ああすりゃ良かった、こうすりゃ良かった、そんなのいくらだって言える、でもな!」

ユミル「言った所で…結果は変わらねぇんだよ…っ」

ユミル「…私は自分を信じている。自分の行動に覚悟を持っている」

ユミル「こんな命、どうなったって構わない。でもクリスタは駄目だ」

ベルトルト「どう、して…」

ユミル「クリスタは…アイツは、私を見つけてくれた」

ユミル「私が巨人であっても、アイツは私を信じてくれた」

ユミル「私はそれに応えたい。アイツの為に、私の為に」

ユミル「だがお前は何だ?どうしてお前自身さえ信じなかった?」



ベルトルト「そんなこと、ない…!」

ユミル「胸張って、自信持ってそう言えんのか?」

ベルトルト「ッ…」

ユミル「お前はお前を信じられなかった、アニが右翼から攻めてきたのが良い証拠だ!」

ユミル「覚悟のねぇヤツに…クリスタは殺させない。あった所でそうはさせないけどな…」

ベルトルト「覚悟…僕は…!」

ユミル「ライナーやアニの言葉や状況で一喜一憂してたのは誰だ?ライナーよりも精神不安定だったのはどこのどいつだ?」

ユミル「自分も信じられず、他人も信じない…そんなお前に、世界を変えるなんて出来るわけがない…」

ユミル「…お前は所詮、ナイトにはなれないと思っていたんだよ…」

ベルトルト「…ナイト…?」

ユミル「がら空きのクイーンをポーンが攻撃して、ルークがキングに届く」

ベルトルト「あの時の…チェス…?」

ユミル「お前はあれを防ぐ手段があった。…チェックメイトと思わされていたのは、お前だ」



ベルトルト「そんな方法、なかったハズだ!」

ユミル「…お前、どうやら相当視野が狭いらしいな。精神的にも物理的にも」

ユミル「どうして、ナイトを使わなかった?」

ベルトルト「ナイト…!?」

ユミル「ポーンがクイーンを取るのは避けられなかったが、キングだけは違う」

ユミル「次の手でルークとキングの間に、ナイトが置けたはずだ」

ユミル「ナイトを犠牲にすら、キングだけは守れたんだ」

ユミル「なのにどうしてそれをしなかったか、答えは簡単だ」

ユミル「…お前には、ナイトを犠牲にする度胸がなかったんだ。何だかんだ使い勝手のいい駒だからな」

ベルトルト「詭弁だしっ…自分勝手だ…!」

ユミル「そうだよ」

ベルトルト「!?」

ユミル「詭弁だし自分勝手だし最低な手段しか使わないさ。でも、それが一番の選択だと信じている」

ユミル「言っただろ?誰に軽蔑されても構わないってな」


ベルトルト「……じゃあ、君がウトガルドで正体を見せたのも、君の覚悟ってこと?」

ユミル「……」

ベルトルト「君は知っていたんだろ!?君が巨人になった後、クリスタがどういう反応を見せるのかも、」

ベルトルト「ベリックを食ったのが君自身であるってことも!」

ユミル「…あぁ、知ってた」

ベルトルト「先は見えてたんだろ…ッ、だったら何で、それを避けようとしなかった…!」

ベルトルト「君ならウトガルドでの戦闘を回避することだって出来たんじゃないのか!?」

ユミル「……」

ベルトルト「答えろよ!」

ユミル「…一つ、教えてやるよ。もしそれを避けてたら、お前は今ここにいない」

ベルトルト「!?」

ユミル「あそこからウトガルドを避けることは出来なかったし、巨人が迫ってくるのを止めることも出来ない」

ユミル「唯一出来たとすれば…クリスタを連れて逃げることぐらいだった」

ベルトルト(それって…まさか…)

ベルトルト「まさか君は…僕達を救うために巨人になった、とでも言う気…!?」


あまりに眠くて支離滅裂になってきたのでここまで
レスありがとうございます、このままだとユミルがひどい女になってしまいそう
明日また来ます、おやすみなさい

乙。ベルドルトの情けなさが際立っているな。ベルドルトのほうが酷い男にみえてしまう
ユミルも間違っているかもしれないけど、覚悟を持つ者が強く、魅了されるのかな。

乙。ベルトルトにも覚悟がなかった訳ではないとは思うんだけど、このユミルとぶつかったら仕方ないか

実際のところ、ループするのも初めてだし、いきなり自分が知ってる展開から全く変えてしまうのはリスクが高い
前回の知識を活かすなら、基本的には前回を踏襲しつつ、確認の意味も込めて何度か小さく変更を入れて
ここぞという場面で一気に確実な勝負に出るのは悪くない手段だと思うよ、と擁護してみる

意思の強い人と意志の弱い人
相容れない二人がぶつかると、本当にドラマになるな、いいよいいよ



ユミル「……さぁな」

ベルトルト「は…?何だよ、それ…何だよ…」

ベルトルト「わざわざ僕達を助けたって言うのか!?どうしてだよ…!?」

ユミル「……」

ベルトルト「僕達を助けなければ、今この瞬間君はクリスタの所にいれただろ!?」

ベルトルト「あそこで僕達を殺してしまえば…それで済んだじゃないか…」

ユミル「…さぁな、私にもよく分からねぇよ」

ユミル「ただあの時…お前が、初めて自分から行動したように見えてな」

ベルトルト「!?」

ユミル「ヘニングの装備を身に着けて、今にも死にそうな顔して…」

ユミル「泣き出したいのも、逃げ出したいのも全部我慢したような顔して」

ユミル「真っ直ぐこっちを見てたお前を…何でだろうな、死なせたくないって思っちまったんだよ」



ベルトルト「え…?」

ユミル「コイツはこの世界で独りぼっちだったんだと思っちまったんだ…ガラでもねぇ」ガシガシ

ユミル「…私がクリスタの為以外に行動するのは、今回が最後だ」

ベルトルト「ユミル、君は…」

ユミル「長話は終わりだ、ベルトルさん」スクッ

ベルトルト「! ま、待って…!まだ聞きたいことがあるんだ!」

ユミル「何だよ、時間ねぇんだ」

ベルトルト「どうしたら世界をやり直せる!?どうしたら…僕は君になれるんだ!?」

ユミル「……」

ユミル「……私になろうとなんてするんじゃねぇよ」

ベルトルト「っ…」



ユミル「世界をやり直すなんて考えるな。次があるなんて思うな」

ユミル「その瞬間は誰にでも平等に訪れて、誰にも同じく過ぎていく」

ユミル「覚悟を決めて、その瞬間を必死に生きたヤツにだけ次があるんだ」

ベルトルト「……ッそんなの…」

ユミル「…ヒントだけやる。強い意志を持って、アイツに殺されろ」

ベルトルト「アイツ…?」

ユミル「アイツの腕の刻印は…呪術、ってヤツなのかな。良く分からねぇが」

ベルトルト「え、アイツって…ミカサのこと!?」

ユミル「アイツに自覚はねぇし、アイツ自身は世界をやり直したりはしてねぇ、が…今まで私は、アイツに殺され続けてきた」

ベルトルト(確かに僕もミカサに殺された…でも、そんなことが…そんなおとぎ話みたいなことが…)

ベルトルト(ミカサに殺されれば世界をやり直せる?まさかエレンが座標だったのは…ミカサに関係があったって言うのか…?)

ユミル「…あぁ、そうだ。ずっと気になってたことがあるんだ」



ユミル「どうしてお前は、私の正体を知らなかったんだ?」

ベルトルト「それは…僕の前の世界に…君が、いなかったから…」

ユミル「! …そうか…」

ベルトルト「君には…この世界で、出会ったんだ…」

ユミル(私がいない世界、か…はっ、皮肉なもんだな)

ユミル「……私は、お前らの故郷の正確な位置を知らねぇ、だから、聞き流してくれて構わない」

ユミル「ここを出たら、すぐに故郷へ帰るか、ストヘス区へ向かえ」

ベルトルト「ストヘス区…!?」

ユミル「そこの地下に…アニがいるはずだ」

ベルトルト「アニが!?まさか…捕まったのか…!?」

ユミル「多分な。ストヘス区の地下収容所に、アニが結晶化して…お前らを待ってる」

ベルトルト「そ、そんな…っ、アニが…!」



ユミル「アニを助けに行くかはお前ら次第だ。…オイ、ライナー!」

ベルトルト「ユ、ユミル!?」

ライナー「何だ、いきなり!」

ユミル「今すぐ出発しろ!エレンが目を覚ましたらお前らは逃げられなくなる!」

ベルトルト「な…!?それってどういうことだ!」

ライナー「説明しろ、ユミル!」

ユミル「んな時間ねぇんだよ!あっちを見やがれ!」

ライナー「あ…あれは、信煙弾!?調査兵団か!?」

ベルトルト「嘘だろ…こんな、早く…!?」

ユミル「お前らは故郷とやらに帰るんだろ…!?それでいいんだ」クル

ライナー「待て、お前はどうするつもりだ!?」

ユミル「さぁな、お前らには関係ねぇだろ」



ベルトルト「待ってユミル!まさか…君は!」

ユミル「私が言ったことを信じるかどうかはお前次第だ。でも、私は言ったぜ」

ベルトルト「え…」

ユミル「…じゃあなベルトルさん。お別れだ」トンッ

ベルトルト「な―――!?」

ライナー「ベルトルト!」

ベルトルト「ぐっ…!」パシュッ ギュルルル

ユミル「とっとと行けよ、逃げられなくなる前に」

ライナー「待てユミル!」

ユミル「あんま大声出すとエレンが起きちまうぜ!図体のデカいガキなんだからよ、ソイツは!」

ライナー「―――ッ、クソ!」パシュッ ギュルルルル

ベルトルト「ライナー、待って!まだ、まだユミルが!」

ライナー「今は調査兵団から逃げ切るのが先だ!最悪エレンがいれば、俺達は帰れるんだぞ!」



ベルトルト「分かってる!そんなこと分かってる―――でも!」

ユミル「……」

ベルトルト「ユミル!!」

ユミル「振り返るな、ベルトルさん。お前は――繰り返すな」

ユミル「こんな最低で、残酷で、救いのねぇ世界なんて」

ライナー「ベルトルト!」グッ

ベルトルト「! 離してくれライナー!僕はッ…僕はまだやらなきゃいけないことが…!!」

ライナー「いい加減にしろ!俺達は何のためにここまでやってきたんだ!?」

ライナー「ここで立ち止まるわけにはいかないだろう!」キュルルルル

ベルトルト「離してくれ、ユミル!ユミル!!」

ベルトルト(信煙弾と―――ユミルがだんだんと遠ざかっていく)

ベルトルト(僕達に背を向けたユミルが、振り向くことはなかった)

ベルトルト(少しだけ見えた彼女の横顔は、相変わらず僕の大嫌いな不敵な笑みを浮かべていて、)

ベルトルト(彼女はこれからも孤独な世界を生きるのかと思うと―――少しだけ、苦しくなった)





ユミル「…あーあ、ようやく行ったか」

ユミル「ったく、私もヤキが回っちまったかな」

ユミル「えー…っと…おー、随分な大人数じゃねぇか、ミカサに、アルミンに、ジャンにコニー…」

ユミル「…それに、ヒストリア、か」

ユミル「ヒストリア攫って逃げちまうかなぁ。二人きりで、ヒストリア守って、壁の外で生きてもいいかな」

ユミル「…それだと満足な生活させてやれねぇな、駄目だ。アイツらの故郷なんて行っちまったら、私は殺されちまうしな」

ユミル「ヒストリアを一人ぼっちには…させたくないしな」フッ

ユミル「私のいない世界…か…もしかしたらそれこそが、」

ユミル「……まぁ、いい。そんなこと考えたって仕方ねぇさ」

ユミル「…無事に故郷に帰れるといいな、ベルトルさん」

ユミル「…さぁ、時間だ。行くとするか」スッ




ダダダッ ダダダッ

クリスタ「ユミルー!!」

アルミン「先走っちゃ駄目だクリスタ!」

ジャン「あの死に急ぎ野郎はどこだ!?」

コニー「! オイ、ユミル!無事か!?」

ミカサ「エレンは!?」

ユミル(とうとうこの時が来ちまったか…まぁ、仕方ねぇ)

ミカサ「ユミル…エレンはどこ…!?」

ユミル(ヒストリアに最悪なものを見せちまうことになるが…ごめんなヒストリア、どうやら私は…随分弱いらしい)

ユミル「エレンなら、あの二人と一緒に行っちまったよ」

アルミン「何だって…!?」

クリスタ「ユミルは、ユミルは二人から逃げて来たんでしょ!?」

ユミル(お前が死ぬのを見るくらいなら…私は、この選択肢を選ぶ)スッ

ユミル「いいや違う。私は――お前らを足止めする為にここにいるんだ」



コニー「は…?…オイ、ユミル…お前、まさか…」

ミカサ「……ユミルは、私達の、敵?」

クリスタ「な、何を言ってるのミカサ!ユミル!違うよね!?あなたは、敵なんかじゃないよね!?」

ユミル「いいや、クリスタ。その通りだよ」

クリスタ「!そん、な…」

ユミル(ごめんな、クリスタ。お前を守りきれなかった私を、許してくれ)

ジャン「つまんねぇ冗談言ってんじゃねぇよ!」

ユミル(次は―――次こそ、お前を守り抜いてみせるから)グッ

アルミン「!! 止めるんだ、ユミル!」

ユミル(だから少しだけ…さよならだ、ヒストリア)ガリッ カッ!!

コニー「ウワァッ!」

アルミン「これが…ユミルの巨人の姿…!?」

ジャン「ホントに…お前まで巨人だったのかよ…」



ミカサ「…貴方を殺さなきゃ、エレンに辿り着かないってことで、いいの?」チャキッ

クリスタ「ま、待ってミカサ!やめて!!」

ミカサ「さっき私は躊躇ってしまった。情に流されて…あの二人を仕留めきれなかった。だから、エレンは連れて行かれた」

クリスタ「止めて!!きっと何かわけがあるんでしょ!?ねぇ、ユミル!!」

ユミル「」グッ

ジャン「…話し合う余地は、ねぇってことかよ…クソが…!!」

ミカサ「…今度は躊躇わない。例え…貴方であっても」パシュッ ギュルルルル

クリスタ「待って、ミカサ!!止めて、お願い…!!」

ミカサ「私は、必ずエレンを取り戻す!!」ブンッ

クリスタ「止めてぇぇぇえええええ!!!!」

ユミル(お前にばっか辛い思いさせて…ごめんな、ヒストリア…)

ユミル(今度こそ…お前を……)


今夜はここまでです、年末は思うように書けない
次か次の次の投下で終わりの予定です
明日来れたら来ます、いつもレスくださってありがとうございます
あと少しですので、もう少しだけお付き合い下さい

繋がりがすごいな…
ユミル切ない

乙。もう終盤とは寂しい…
ユミル切ないな(´;ω;`)

続き楽しみ。乙。


******


エレン「ん……」ゴソ

ライナー「…起きたか、エレン」

エレン「!? テメェ…!ここは、どこだ!?」

ベルトルト「…今、僕達の故郷に向かっている所だ」

エレン「なっ!?ふざけんな!ミカサやアルミン…皆はどうした!?」

ライナー「アイツらは…今頃躍起になって俺達を捜しているだろう」

エレン「チクショウッ…!くそ、この縄を解け!!」ジタバタ

ライナー「それは出来ない、お前に暴れられたら厄介だからな」

エレン「ライナー…!ベルトルト…!お前ら、ずっと俺達のこと騙してたのか!?なぁ、オイ!」



ベルトルト「…エレン。すまなかった」

エレン「は…!?何だよ、それ…お前、それ本気で言ってるのか…?」

ベルトルト「…あぁ。僕達が帰る為には、エレン。君が必要だったんだ」

エレン「俺が必要!?ワケ分かんねぇよ!離せ、離せってば!」

ライナー「ば、馬鹿暴れるな!!落ちたらどうする!?」

エレン「ここはどこだ!?」

ベルトルト「壁外だ。…もう随分壁からは離れてるけどね」

エレン「な…!」

ライナー「ここでお前を離しても…正直壁には帰れないだろう。途中で巨人共の餌になって終わりだ」

エレン「ッ…それでも俺は帰らなきゃならないんだ!アイツらの所に!!」



ベルトルト「…ねぇ、エレン。アニはどうしたの?」

エレン「は!?」

ベルトルト「アニは…君達に捕まったの?」

エレン「…あぁ、そうだ!でも結晶みたいのなのに引きこもっちまったよ…!」

ベルトルト「…そうか、良かった」

エレン「は?良かったって…」

ベルトルト「アニは生きているんだろう?なら、良かった」

ベルトルト(ユミルの言ったことは本当だったんだ…本当に、良かった…)

ベルトルト(…本当にこれで、良かったのかな…)

ベルトルト(! そう言えば…)

ベルトルト「ねぇ、ライナー…どうしてあの時、僕を助けられたの?」



ライナー「は?あの時?」

ベルトルト「…ミカサに殺されそうになった時だよ」

ライナー「…あぁ、あれは……忠告されてたんだ、アイツに」

ベルトルト「忠告?アイツって?」

ライナー「俺の傍にいるヤツから…目を離すなって」

ベルトルト「!?」

ライナー「アイツは最悪なことをしたが…その忠告のおかげで、お前を殺されずに済んだ」

ライナー「それだけは…礼を言いたいと思うさ」

ベルトルト(まさか…ユミルが、こうなることまで見越して…)

ベルトルト(…世界を繰り返して、その経験で…)

エレン「何の話だよ!お前らの故郷に付いて行く理由が俺にはねぇ!」

ライナー「用が済んだら…帰してやることは出来ないかもしれないが、悪いようにはしない」

エレン「だったら今ここで解放しろ!」




ユミル『……私になろうとなんてするんじゃねぇよ』


ベルトルト(彼女は…またこの世界をやり直すのだろうか)

ベルトルト(この残酷で、救いのない世界を)

ライナー「それは出来ない。悪いがこのまま一緒に来てもらうぞ」

エレン「ふざけんなっ…!両腕が回復したら、絶対にここから逃げ切ってやる!」

エレン「お前らの思い通りになんかさせねぇ…!俺は、俺は必ず巨人共を駆逐してやる!」


ユミル『世界をやり直すなんて考えるな。次があるなんて思うな』


エレン「お前らを…俺は絶対に許さねぇ!!」


ユミル『その瞬間は誰にでも平等に訪れて、誰にも同じく過ぎていく』


ベルトルト「…別に、許してもらおうなんて思ってないよ」



エレン「!」

ベルトルト「どんなに最低でも、卑怯でも、姑息でも…それが最善だと思ったらやり遂げる」

ベルトルト「そうしなきゃ、この世界を生きてなんかいけない」

ライナー「ベルトルト…」

エレン「何だよそれ…そんなの、お前の都合じゃねぇか!」

ベルトルト「そうだよ!」

ライナー「!?」

ベルトルト「誰もが他人の為に生きるなんて出来ないんだ!結局自分の為に生きて、自分の為に死んで行くんだ!」

ベルトルト「彼女だって…!」

エレン「彼女…?」

ライナー「ベルトルト、お前まさか…アイツのことを言っているのか?」



ベルトルト「僕は、覚悟ってものを知った」

ベルトルト「僕は必ず故郷に帰る。そう誓って、ここに来た」

ライナー「……」

ベルトルト「僕の邪魔をした最低な人がいた!でもその人は…僕のことを信じてくれたかもしれないんだ!」

ベルトルト「絶対に故郷に帰れ、彼女は…僕を、助けてくれたのかもしれないんだ…」

エレン「彼女って…誰だよ…?」

ベルトルト「僕は…彼女にとって邪魔かもしれない、僕にとっても彼女は邪魔だ!でも、それでも僕は!」


ユミル『覚悟を決めて、その瞬間を必死に生きたヤツにだけ次があるんだ』


ライナー「!? ベルトルト、お前…!」

ベルトルト「…ライナー、ごめん」タンッ

エレン「!?」



ライナー「オ、オイ待て!ベルトルト!!」

ベルトルト「僕はまだ、故郷には帰れない」

ライナー「何を言っているんだ!?せっかくここまで来たのに…!!」

ベルトルト「…彼女は、僕を見つけてくれた。誰も見つけてくれなかった、僕を」

ベルトルト「今度は僕が、見つける番だ」

ライナー「ふざけるな!一緒に帰るって、約束したじゃないか!」

ベルトルト「…あぁ、でもそれはきっと、今じゃない」

ライナー「ベルトルト!!」

ベルトルト「行って、ライナー。…僕がここで調査兵団を足止めするから」

ライナー「俺も一緒に…!」

ベルトルト「駄目だ!それじゃ何の為に多くの犠牲を出したか分からないじゃないか!!」



ライナー「!」

ベルトルト「大丈夫。…今度は必ず、一緒に帰るから」チャキッ

ライナー「ベル…トルト…!!」

ベルトルト「もう信煙弾がそこまで来てる!!…行ってくれ、ライナー!!」

ライナー「ッ…くそがぁぁぁ!!」パシュッ ギュルルルル

エレン「離せッ…ミカサ!アルミンー!!」


ベルトルト「…ありがとう、ライナー。…ベリックによろしくね」

ベルトルト「…さぁ、覚悟は出来たよ。分かってる、どれだけ辛い選択をしたかって」

ベルトルト「でも過程を後悔したりはしない。…やらなきゃ良かったなんて、思わない」



ベルトルト「アニを助けたい、ライナーを守りたい。…三人で故郷に帰りたい」

ベルトルト「今度こそ見つけてみせる。どれだけ残酷な選択をしたって」

ベルトルト「僕はもう―――逃げない」

ベルトルト「…さぁ、ミカサ…僕を殺してくれ」

ベルトルト「でなきゃ何の為にここに来たか…分からなくなってしまう」




******

****

**

*





キース「貴様は何者だ!?」

アルミン「シガンシナ区出身、アルミン・アルレルトです!!」


ユミル(またここからか…まぁ、仕方ねぇな)

ユミル(もう何度やり直しても…この光景だけは変わらないな)

ユミル(ジャンが頭突きされて、コニーが持ち上げられて、サシャが走らされる…)

ユミル(―――あぁ、でも前だけはちょっと違ったな)

ユミル(ベルトルさんが走らされてたっけ…ベルトルト・フーバーか…)

ユミル(アイツ、ちゃんと故郷とやらに帰れたかな…それならそれでいい)

ユミル(こんな世界、好き好んで繰り返したくねぇしな)

ユミル(…待ってろ、ヒストリア…今度こそお前を救ってみせる)



ユミル(お前を攫ってでも、他の誰を犠牲にしても…今度こそ、必ず)

ユミル(もうお前を泣かせたりしねぇから…って、何度目だろうな、こう思ったの)


サシャ「それは…何故人は芋を食べるのか?…という話でしょうか?」


ユミル(あーあ、本当に学習しねぇなアイツ。…ま、無理な話か)

ユミル(…また、繰り返すのか…私は…)チラ

クリスタ「……」

ユミル(…巨人だった60年に比べたら、まだマシだ)



キース「余所見をする余裕があるとはな…どうやら貴様は図体だけではなく態度まででかいようだ」

ベルトルト「ハッ!!申し訳ありません!!」


ユミル「!?」ドクンッ

ユミル(ハ…え…今の、は…)




キース「そんな貴様には、芋女と同じく死ぬまで走らせてやろう。光栄に思え」

ベルトルト「ハッ!ありがとうございます!!」


ユミル(…そんな…まさか…)

ユミル「…嘘だろ…?」

クリスタ「え…!?」

キース「オイ、そこのそばかす女!!」

ユミル(!! ヤベェ!!)

ユミル「ハッ!私のことでありましょうか!!」バッ

キース「あぁそうだ…貴様だ。貴様、何故今言葉を発した…?」



ユミル「…ハッ、理由は特にありません」

キース「そのふてぶてしいツラを、死ぬ寸前まで走って歪めて来い。夕食があると思うなよ」

ユミル「ハッ!」バッ

ユミル(…何でだよ…何で…)チラ

ベルトルト「……」



******



ユミル「はっ…は…チクショウ、最悪だ…!!」タッタッタッ

サシャ「」ゼーゼー

ユミル「…オイ芋女。お前もう死にそうじゃねぇか。あっちの端行ってぶっ倒れてこい」

サシャ「は…はいぃぃ…」フラフラ



ユミル(もう少ししたら女神が助けに来てくれるからよ)

ベルトルト「……」タッタッタッ

ユミル「!?」

ユミル(いきなり併走し始めやがった!?クソ、相変わらずデケェ…!!)

ユミル「…何だよ、デカいお兄さん。そういやお前も教官にどやされてたな?」

ベルトルト「……」

ユミル「お前ももう兵舎に戻ったらどうだ?あの芋女は…」チラ


サシャ「神ぃぃぃぃいい!!」


ユミル「あの世間知らずそうなお嬢様にお恵みをもらってるぜ?」

ベルトルト「…そうだね」



ユミル「…私に近寄るんじゃねぇよ、走りにくいんだよ、デカブツ」

ベルトルト「ベルトルト」

ユミル「は…?」

ベルトルト「僕の名前。ベルトルト・フーバーだ」

ユミル「…へぇ、そのベルトルさんは私に用事でもあるって言うのか?悪いが女なら他を漁ってくれ」

ベルトルト「大丈夫。僕が心に決めてるのは昔からたった一人だから」

ユミル「そういう情熱的なセリフはその女に吐いてやれ」

ベルトルト「…僕はね、君に言いたいことがあるんだ、ユミル」

ユミル「…奇遇だな。私もだ」



ベルトルト「どんな卑怯で最悪で姑息でも、僕はもう躊躇わない」

ユミル「今度は助けてやると思うなよ」

ベルトルト「僕は覚悟を決めて、ここに戻ってきた」

ユミル「私はアイツを守る。誰に憎まれようが構わない」

ベルトルト「次はないと思っている。必死に生きて、次なんて行かない」

ユミル「お前のことを利用するし、また邪魔してやる。それがアイツの未来への妨げになるなら」

ベルトルト「邪魔するなら、君であろうとそのうなじを削ぎ落す」

ユミル「やってみろ。邪魔するなら、お前であってもそのうなじ削ぎ落としてやる」


ベルトルト「僕は今度こそ必ず、故郷に帰る」



以上です、伏線っていうかばら撒いたものは回収したはず
一か月以上お付き合い下さってありがとうございました


今まで書いたやつ晒します、
気が向いたら読んでいただけたら嬉しいです

ベルトルト「僕は本当に君が嫌いだ」

アルミン「君と僕との」アニ「境界線」

クリスタ「ユミルを泣かせたい」ベルトルト「え?」

ライナー「俺がアイツで」ユミル「アイツが私で」

ユミル「私はお前を助けてやれない」

以上です
ありがとうございました

>>1 お疲れ様!
凄く良かった!!

>>1乙!すごい大作だったよ!!

乙!
面白かったー!

セフレベルユミの人だったんだね、過去作全部読んでるのに言われるまでわからなかった。

乙。良かった。覚悟を持つということが人を強く成長させるんだな。ベルドルトもピエロから勇者になったね。

乙!!
「僕は本当に君が嫌いだ」 もそうだけど、
ベルトルトとユミルの殺伐とした距離感が好きだ。素晴らしかった!

あくまでも「ベルトルトとユミル」な距離感、すごく良かった
1のユミル様は漢前かつ包容力があって惚れてまう
過去作も全部読んでたw 乙!!

面白かった。毎回引き込まれて読んでいたよ。乙

乙。やっぱりあの作品達の人か
1のベルトルトとユミルの距離感が凄く好きだ

なんというか、>>1氏の作品はキャラ愛と原作愛の両方が感じられて好きだよ乙乙!!

すごく良かったです!!

大雑把なくくりだけど、ベルトルトの成長のお話ってことでいいのかな?
きっとこの先なんども出会い、衝突を繰り返すふたりだろうけど、その度にベルトルさんは成長していくのだろうな
と、なんとなく思った。

そんで、いつかふたりが最高のハッピーエンドを手に入れられますように。

こんな良い意味での「俺達の戦いはこれからだ」エンド進撃で初めて読んだかも。

しかもループネタなのに手垢がついた感じがしないのが凄い。読後感が爽快で気持ちいい。

ベルトルト「僕は本当に……」からしてリアルタイムで更新しまくっていた奴です
やっぱりこの二人はいい、揃うと素敵

あの世界のライナー達はどうなったんだろう。少し気になる。

過去作品みんな好きで心に残る作品ばかりだわ
次も期待してるよ~乙でした!

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