キョン「おい、ハルヒ。金はまだか?」(276)

ハルヒ「……」

キョン「どうした?今月分の友達料、まだ貰って無いんだが……」

ハルヒ「はい……これ」

キョン「毎度。会話しホーダイ、メール送りホーダイ、呼び出ししホーダイのプランで変更はないか?」

ハルヒ「いいわ、それで」

キョン「了解。じゃあ今月も友達よろしくな」

ハルヒ「……こちらこそ」

キョン「あ、おい谷口!今月の友達r…」

ハルヒ(……15000円は高いんじゃ……)


キョン「ふう、これで今月も……」

古泉「おや、どうも」

キョン「お、よう」

古泉「まだあの様な事をされてらっしゃるのですか?」

キョン「……ああ、悪いか?」

古泉「いえ、咎めるつもりなどありませんよ。彼女以外にアレをしていなければ、ね」

キョン「していたら何だ?」

古泉「あまり好ましくはありませんね。どうやら彼女は自分だけがそうであって欲しいと望んでいるようですから」

キョン「ははっ。自分が金払ってる事はどうも思ってないのかよ」

古泉「彼女は望んでいますから。お金を払い続ける限り、貴方との繋がりは消えません」

古泉「ですから彼女は」

ブー、ブー、ブー

キョン「おっとすまん」カチッ

ハルヒ:あんた今日はお弁当?

キョン「……」

古泉「おやおや……」

キョン:いや、今日はパンでも買って食う

ハルヒ:そ、ならたまには一緒に食べましょうよ。あんたの分もちょっと作ってあるから

古泉「おやおやおや」

キョン「覗き見とは趣味わりいな」

古泉「これは失礼」

キョン:良いぜ、どこで食う?

ハルヒ:じゃあ中庭

キョン:了解

キョン「ったく、直接言えば良いのに」

古泉「面と向かっては言い辛いのでしょう」

キョン「何でだ?」

古泉「んっふ、本当はわかってらっしゃるのでしょう」

キョン「うるせえ」

古泉「では、続きを」

キョン「ああ、良いぜ」

古泉「彼女は形の無い繋がりに不安を覚えてしまった。何故ならば貴方の旧友」

キョン「佐々木か」

古泉「ええ、何と言いましても"親友"ですからね。たかだか同じクラスの、同じ部に所属して居るだけでは太刀打ちできない」

キョン「太刀打ちって……」

古泉「ですので、それよりも強い繋がりを求めたのです」

キョン「まあ言い出したのは俺だが」

古泉「彼女がそう望んだんですよ」

キョン「そんな事で金とはね……捻くれた奴だよ」

キョン「にしても15000はちょっと高いからな。もう少し安くしてやろうかと思ってる」

古泉「おや、それはそれは」

キョン「今まで奢らされた分は取り返した様な気もするしな」

古泉「いや、それはまだ取り返せていないかと……」

キョン「……まあいいさ」

キョン「とにかく、何でか下げてやらんと気が済まん。それで良いさ」

古泉「優しい方ですね」

キョン「馬鹿言え、友達料なんぞ貰ってる時点で優しくないだろ」

古泉「彼女がそう望んd」

キョン「良い、聞き飽きた」

古泉「んっふ……では、そろそろ授業が始まりますので、これで」

キョン「そうだな、また」

古泉「ええ、また」

ガラッ

キョン(現国か……寝よう)

ハルヒ「ちょっと、どこ行ってたのよ」

キョン「世界の平和を守りに」

ハルヒ「バッカじゃないの?」

キョン「へいへい馬鹿ですよー」

ハルヒ「ふふっ」

キョン「何笑ってんだよ」

ハルヒ「別に。あんたの顔が面白かっただけよ」

キョン「失礼な奴だな全く」

ハルヒ「ほら、前向きなさい。授業始まるわよ」

キョン「おう」

キリーツ、レー

ハルヒ(……もっと、独占しないと……)

キョン「くぁぁあ……」

ハルヒ「キョン、行くわよ!」

キョン「ん?おお飯か、はいよ」

ハルヒ「あんたいっつも寝てばっかりね。脳味噌腐っちゃうわよ?」

キョン「防腐剤かけてるから大丈夫だ」

ハルヒ「腐ってからかけても意味ないわよ?」

キョン「酷い事言ってくれるな」

ハルヒ(あっ……)

ハルヒ「なんて冗談よ。ごめんね?」

キョン(ハルヒが謝る……だと?!それにこんな他愛も無い事で……!!)

キョン「い、いや、いいさ。ほらこの辺で良いだろ?腹ペコペコだ。食おうぜ」

ハルヒ「そうね、食べましょうか」

ハルヒ「はい、あんたの分」

キョン「おっ、言ってたやつか!って弁当作って来てくれたのか」

ハルヒ「……迷惑だった?」

キョン「いやまさか。嬉しいぜ」

ハルヒ「良かった。ほら開けて見て」

キョン「おう……凄え!めちゃくちゃ綺麗じゃねえか!」

ハルヒ「と、当然よ!あたしが作ったんだから」

キョン「味も最高だ。マイマザーを超えてしまうかもしれん」

ハルヒ「そこまでないわよ!自分の親の料理が一番美味しいはずよ」

キョン「何だ、昔文句言ってたのは嘘だったのか?」

ハルヒ「いや、うちのオフクロは例外」

        /:::::::::l::/:::::/:::::::;ィ::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::::: ヘ::::::ヽ:::ヽ::l::::::::ヽ
      _,ム‐ ¬l/:::::/:::::::/ |:::::::、::::::::::::::::::::::::';::::::::::';::::::::';:::::';ト=ー-ゝ、
     l´  ,.-;ァ'/:::::;'::::::::/  1:::::|ヽ:::::::::::::::::::::::l、:::::::::l::::::_」::::::ト'、   |  ただの人間には興味ありません。
     〉∠/ ,l::::::T::::::7  ';::::| ヽ::::、:::::::::::::::| l_;::::::j´::::::!::::::| ヽ、-.イ

      ,'::::::〈  |:::::::::|:::::;     ヾ:{く三):';、:::::(三シl::::::ハ::::;l::::::::|  ,ン:::|  この中にデカチン・カリ高・逆反り・硬チンがいたら
    ;::::;r' ,ヘ.」::::::::::l::::| 、....__,,,ヾ,,,,,_ 丿、\::::::| l/,,,,ヾ/|::::::::|.ィヘヽ.ヽ

.    l::/ ,/::/,ハ::::::::::';::|  '《_ヾ゚ツヽ、 :  \ヾ,ィ'ヾ゚ツ_,,ゝ〉::::::「ヽ. ';:::',.ヽ 私のところに来なさい。
    |/ /:::;' ,' !::::::::::ト:| ヽ、 `゙'''"´ノ l  l::. ヽ``'''" .ノ 1::::::::h`|l l:::∨
.   |{ /::::l l. |:::::::::::l`   `゙゙゙゙゙"´ , .l  |::.  `゙゙'''''"  ,':::::::::|/::l l::::|
.    l:h':::::| |:`ヽ:::::::::::!         ィ .::   l:::.、    ,.:':;::::::::;!::::::;::'´::l::|        |ヽ |     |_    「 〉
.   l:| l:::ヽ」::::::::';:::::::::::l     / r      _) ヽ   ´ ,::::::::;':::::::;!::::::;1:| _..._r'ニ.ヽ< ⊥ 人_  _|_    |/
    !l. l::::::::::::::::::ヘ::::::::::ト、  /  ``'ー‐'"    \ /:::::::/!:::::/::::::/ リ,ム-、_ヽ、_`)'              O
.     l| ';:::::::::::::::::::ヽ::::::::',ヽ  ,‐-、   : :    _, -、/::::::::/::!:::イヽ:;:' r'ニ、 _  フ '
.    1  ':;::;:-ヘ:::::::ヽ::::::ヘ \ ヽヾミ三三彡',ン´,' :::::::/l ソ;イ::l_'ヘ lノ /  ̄
    ヽ,_-'´ ` ヽ '、:::::\:::ヘ \  ` ー--一'" /l:::,.イ/'イ-<.__`-;' ´

   /    ` ヽ 、 ';ト::::l.\:ヘ  ヽ、      / l:;r' _,∠.....__.ノ´


キョン「ははっ、聞いたら泣くぜ?」

ハルヒ「言わないから良いの」

キョン「おっ、厚焼き卵も良くこんなに綺麗に巻けるな」

ハルヒ「自信作よ。どう?美味しい?」

キョン「最高に美味い!毎日でも食いたいぜ」

ハルヒ「まっ……毎日巻くのは大変よ」

キョン「?顔赤いぞ。何か詰まらせたか?ほら」ポンポン

ハルヒ「ありがと……」

キョン「いやあ、それにしても美味い。やめられない止まらない」

ハルヒ「ふふ。あ、そうだ。昔からしたい事があるの」

キョン「何だ?」

ハルヒ「……はい」

キョン「?」

ハルヒ「口開けて」

キョン「あ」

ハルヒ「あーん」

キョン「!!」

キョン「ちょ、ちょっと待て、心の準備が……」

ハルヒ「だ、ダメ……?プランに無いからダメなの?ならそれも入れて良いから!」

キョン「いや、それは大丈夫だ!よし食べよう!ほら、ハルヒ!」

ハルヒ「良いの?ふふ、はいっあーん」

パクッ

鶴屋さん「わーおデリシャス!!これってハルにゃんが作ったの?!すっげーうまいね!!」

キョン「あっ、鶴屋さん……」

ハルヒ「つる……ちゃん……」

鶴屋さん「あはは、あたしったらお邪魔だったかなっ?ゴメンゴメン、あんまりラブラブしちゃってたからついね!」

キョン「いえ、そんな……」

ハルヒ「……」

鶴屋さん「ハルにゃん?……怒っちった……?」

キョン「お、おいハルヒ」

ハルヒ「……つるちゃんはキョンにお金を払ってるの?」

鶴屋さん「へっ?お金?なんのこt」

ハルヒ「払ってない癖に邪魔したの?!何それ?!あたしの邪魔しないで!!
ほら、早くどっか行きなさいよ!!」

キョン「ハルヒ!!ほ、ほら、鶴屋さん早く」

鶴屋さん「ご、ごめんっ!やっぱり邪魔しちゃってたね!またねお二人さん!」

ハルヒ「……」

キョン「……」

ハルヒ「はい、あーん」

キョン「あ、あーん……」パク

ハルヒ「おいし?」

キョン「お、おう、なんか5割り増しで美味しく感じるぜ……」

ハルヒ「そう?ふふっ言いすぎよキョン」

キョン「はは、ははは……」

キョン「ふう。食った食った。ご馳走さん」

ハルヒ「お粗末さま」

キョン「いやー凄え美味かった。良かったらまた頼むぜ」

ハルヒ「あ、キョン、さっき卵焼き毎日食べたいって言ってたわよね?」

キョン「ん?おお」

ハルヒ「毎日作って来てあげるわ。感謝しなさい!」

キョン「えっ?いや……」

ハルヒ「嫌?これもプランに入ってないから?じゃあ入れて良いわ。
それとも本当は美味しく無かった?嘘ついたの?」

キョン「ち、違う!嬉しすぎてな!はは!ありがとう!毎日食べられるなんて幸せだ!」

ハルヒ「そ、じゃあ毎日作って来るから。昼休み空けときなさいよ」

キョン「おう!勿論だ!」

キョン(なんか……ヤバイぞこれ……)




キョン「……部室に行きたくない……」

キョン「何だあのハルヒは……怖すぎる……」

鶴屋さん「あっ!キョンくん!」

キョン「鶴屋さん……すみません、昼休みは……」

鶴屋さん「いや、いいっていいって。あたしが悪いっさ」

鶴屋さん「あのさ、そんで聞きたい事があるんだけど……」

キョン「はい、何でしょう」

鶴屋さん「あんときハルにゃんが言ってた、お金って何にょろ?」

キョン「ああ……それは……」

キョン(軽蔑されるだろうな。しかし鶴屋さんに嘘はつけんだろう)


キョン「……というわけです」

鶴屋さん「そんなこと……してたんだね……」

キョン「……はい」

鶴屋さん「それ、さ」

キョン「はい」

鶴屋さん「あたしも良いかい?」

キョン「はい……はい?!」

鶴屋さん「おっ、良いんだね!やった!いくら払えば良いにょろ?」

キョン「いや、ちょっと待って下さいよ!」

鶴屋さん「ん?駄目かなっ?」

キョン「いやあ……駄目と言うか……驚き過ぎて……」

鶴屋さん「なーんだ、駄目じゃないんだね!そんじゃ、友達コースはいいから、恋人コースはどうかな?それやるならいくら?」

キョン「ま、待って下さいよ!良いんですか?寧ろ!」

鶴屋さん「良いから言ってんじゃん!ほらほら、いくら払えばいいっさ?」

キョン「一万……ご、五千円で……」

鶴屋さん「わお、破格だね!あんな事やこんな事するのに!んでも悪いからお姉さんは諭吉さん三人出しちゃお!はいっ!」

キョン「うわっとっと!……ありがとう……ございます……あれ?ってあんな事やこんな事って」

鶴屋さん「おっけー受け取っちゃったから決まりね!にひひ、じゃあ今日活動終わったら連絡よろしく!」

キョン「早速?!わ、わかりました」


ハルヒ「ちょっと!!あんた達何してんのよ!」

キョン「ハルヒ……!」

鶴屋さん「何ってー?ただのお話だけどっ?悪いかい?」

ハルヒ「つるちゃんは友達料払ってないんだから、キョンに気安く話しかけないで。
ねえ?キョン」

キョン「あ……それは……」

鶴屋さん「ふーん、で、ハルにゃんはいくら払ってんの?」

ハルヒ「15000円よ。それが?」

鶴屋さん「そっかあ!あたしは30000払ってんの!さらにこ、い、び、と、コース。
ハルにゃんこそ人の彼氏に気安く話しかけないで欲しいにょろ」

ハルヒ「な、何よそれ!!ちょっとキョン!どう言う事よ!!」

キョン「あ、いやその、それは」

鶴屋さん「予定変更っさ!キョンくん、行くよほらっ!」

キョン「うおっ?!ちょっと鶴屋さん?!」

ハルヒ「何よ、それ、何なのよ……キョン……」

古泉「!!これは……!!」

みくる「ひゃ!ど、どうしたんですかー?」

古泉「失礼、席を外しますよ」

みくる「へ?……何だったのかな?」

長門「大規模な閉鎖空間。危険」

みくる「えー?!どどどどど、どれくらい危ないんですか?!」

長門「かなり。しかし拡大が停止している。原因は天蓋領域によるものと見られる。
何故そんな事をしているのかは不明」

みくる「天蓋領域さんが、止めてくれてるんですね……。何ででしょう?」

長門「わからない」



鶴屋さん「ふう、いやーハルにゃん怖かったね!にゃはは!」

キョン「笑い事じゃありませんよ……。挑発し過ぎですって」

鶴屋さん「ごーめんごめん。あたしとした事がついついカッとなっちゃってさ」

キョン「全く……今後はやめて下さいよ。あんな事」

鶴屋さん「わかったにょろ。さて、そんじゃデートだね!」

キョン「デートですか?」

鶴屋さん「そそ、駄目かなっ?恋人だし放課後デートは定番っさ!」

キョン「まあ……ですね」

ブー、ブー、ブー

鶴屋さん「ゆっくりお話したいから、ファミレスでも行こっか!
あたしドリンクバー大好きなんだよねー。それかあたしんち来る?」

ブー、ブー、ブー

キョン「いやいや!段階踏みましょう!まずはファミレスで!!」

ブー、ブー、ブー

鶴屋さん「そだねっ!んじゃさっそくレッツゴー!」

キョン(……携帯が……)パカッ

着信:26件
未読メール:61件

キョン(……嘘だろ)

ハルヒ:どこいくの?
ハルヒ:あたしはどうするの?何で裏切ったの?
あたしに何も言わないで何やってんの?
ハルヒ:鶴屋と恋人になってなにするつもりよ
ハルヒ:あたしは4万出すから関係切って
ハルヒ:でんわでろ
ハルヒ:鶴屋なんて死ねば良いのよ。殺してやる

キョン「すみません、ちょっとトイレ行って良いですか?」

鶴屋さん「もちおっけー!いってらっしゃーい!」

キョン「はは、それじゃ」

パタン

キョン「……もしもし、ハルヒか」

ハルヒ「キョン!もう、やっと出てくれた」

キョン「……すまん」

ハルヒ「良いのよ?それで、今どこなの?」

キョン「今はな、鶴屋さんとは解散して、トイレに居る。腹の調子が……悪くてな」

ハルヒ「あら、そうなの?解散したのね……良かった。一緒なら探し出…二人とm…殺て…る…た」

キョン「……え?」

ハルヒ「何?どうしたの?」

キョン「いや……何でもない」

ハルヒ「そ。ていうか、お腹痛いって大丈夫?
あたしのお弁当が悪かったのかしら……ごめんね?」

キョン「いやいや、昨日からコレなんだ。ハルヒの弁当は最高だったさ」

ハルヒ「本当?じゃあ明日はお腹に優しいの作って来てあげるから、楽しみにしててね?」

キョン「おう。ありがとな」

ハルヒ「それじゃ。また明日ね!お大事に」

キョン「ああ、また明日」

キョン(なんか思ったより普通だったな。大丈夫、ハルヒもそんなに怒ってなかったみたいだ。
ったく、鶴屋さんを呼び捨てとか殺してやるとか、冗談が過ぎるぜ?)

鶴屋さん「キョンくん、長かったね!」

キョン「すんません、ちょっとお腹痛くて」

鶴屋さん「だいじょぶ?きつかったら言いなよ?」

キョン「スッキリしたんで大丈夫っす!さあガンガンドリンクお代わりしちゃいましょう!」

鶴屋さん「その意気っさ!でも無理しちゃだめにょろよ?」

キョン「わかってますって。じゃ、ちょっとついできます」

鶴屋さん「はーい!」

長門「閉鎖空間が消滅」

みくる「ほっ……よかったあ。古泉くん、大丈夫でしょうか」

長門「大丈夫」

みくる「でもなんで天蓋領域さんが止めてくれたんでしょうかね?」

長門「恐らくこの巨大な閉鎖空間の調査も兼ねて。
今までは統合思念体しか手を出していなかったから。
天蓋領域が止めて居なければ統合思念体が止めていた」

みくる「そうですかあ……よくわかりません」

長門「そう」

キョン「それにしても……何故急に恋人コースを……?」

鶴屋さん「んー、今まではハルにゃんに譲ったげようと思ってたんだけど。
昼休みにあーんなんてしてるのみたらやっぱし嫉妬しちゃってね。
あたしももう我慢できなくなっちゃったからさっ」

キョン「ん……嫉妬って、はは。恋じゃあるまいし」

鶴屋さん「好きだよ」

キョン「へ?」

鶴屋さん「キョンくんのこと好きじゃないなら、こんなことしないっさ」

キョン「あの……」

鶴屋さん「あたしね、もう我慢しないから。
お金でキョンくん独占できるなら幾らでも出すっさ」

キョン「鶴屋さん……」

鶴屋さん「でも今は本当の恋人じゃないから、今みたいに二人でお話くらいしかしないよ。そこは我慢だねっ」

キョン「……」

鶴屋さん「ハルにゃんと同じで良いから、さ。
恋人コースなんて名ばかりだよ。キョンくんも嫌だろうし」

キョン「そんな事……」

鶴屋さん「ま、無料の独占チケット貰えるのがいつなのか誰なのかわかんないけどさっ!
あたしが貰えなくてもそれまでこうして居られたら満足っ!」

キョン「チケット……ですか」

鶴屋さん「うん。もし良かったらあたしの事も考えてね!
さっ、ちょっとお代わりしてくるよ!」

キョン「は、はい」

キョン(鶴屋さんとハルヒ……どっちか選べっていうのか?)

キョン(俺は……最低だ……)

妹「キョン君おかお青いよー?大丈夫ー?」

キョン「ああ、大丈夫だ。ほら歯は磨いたか?寝る準備しなさい」

妹「はーい」

キョン(どうするべきか……やれやれ……)

キョン「ああ、憂鬱だ……」

キョン(俺はハルヒが好きなのか?鶴屋さんが好きなのか?いや、それにしても流石に鶴屋さんは想定外の想定外だった……)

古泉「どうも、お早う御座います」

キョン「ん?……おう」

古泉「いやあ、昨日は大変でしたよ。もう少しで世界そのものが変わってしまう所でした」

キョン「……すまん」

古泉「……他の方にはしない様に、と注意した筈ですが……」

キョン「ああすまん!!すまんすまんすまん!!」

古泉「まあ、過ぎた事はどうしようもありません。
寧ろ彼女にとっては、燃える展開なのかもしれませんよ?」

キョン「何でだ?」

古泉「今現在、閉鎖空間が出現して居ないのが何よりの証拠でしょう。
本来ならばあの様な規模、あの様な膨張速度の閉鎖空間は……天蓋領域、或いは情報統合思念体であっても止められません」

古泉「彼女の心は益々燃えているのかもしれません」

キョン「何でちょっと楽しんでるんだよ」

古泉「安堵して居るのですよ。彼女以外のどなたかがもし貴方と契約してしまうと……取り返しのつかない事になってしまうと思って居ましたから。
未だ、完全に安心できる状況ではありませんがね」

キョン「そうかそうか。良かったな。うん良かったな」

古泉「くれぐれもお気を付けて。それでは」

キョン「おう、じゃあな」

ガラッ

ハルヒ「キョン!遅いじゃない!」

キョン「何を!いつもより早いくらいだろ!
古泉と鉢合わせたのが何よりの証拠だ!」

ハルヒ「……そ、古泉くんとね。それで、お腹の調子はどうなの?」

キョン「ん?ああ、すこぶる良いぞ」

ハルヒ「良かった。安心したわ。頑張って作ったんだからたらふく食べなさいよね!」

キョン「おう、有難く頂くぜ」

キョン(うんうん、古泉君、君の懸念は杞憂だったみたいだぞ。安心したまえ)

ブー、ブー

キョン(ん?)

佐々木:やあ、調子はどうだい?話したい事があるんだが、放課後に少しの時間会って貰っても良いかな?

キョン(佐々木か……二人には上手く言っておこう)

キョン:勿論だ

キョン「っと」ピ

ハルヒ「……」

キョン「なあ、ハルヒ」

ハルヒ「何よ」

キョン「今日は放課後家に帰っても良いか?
お袋が手伝って欲しい事があるんだと」

ハルヒ「……そう、良いわよ」

キョン「ありがとう。埋め合わせはするからさ」

ハルヒ「本当に?約束よ?」

キョン「ああ約束だ」

ハルヒ「ふふ。覚悟してなさいよ!」

1236555534756668477777567345263545263457658769856856

キョン(よし、すまんな、ハルヒ。後は鶴屋さんに……)

キョン:すみません、今日は用事があって余り一緒に居れそうにないです。
また明日にでも、デート行きましょう。

キョン「さて、寝るか」

ハルヒ「……」

キョン「ん?どうした?」

ハルヒ「あんた本当寝るの大好きね」

キョン「頭を使うと直ぐに眠くなるもんでな。数学は特に心地良い子守唄だ」

ハルヒ「寝たらシャーペンで刺すからね」

キョン「やめろ。頼むからやめてくれ」

ハルヒ「冗談よ。その代わり昼休みにうとうとしてたら許さないから」

キョン「大丈夫だって」

ハルヒ「期待しとくわ」

キョン「おう」

ブー、ブー

佐々木:良かった。じゃあいつもの喫茶店で待ち合わせようか。
楽しみにして居るよ。

キョン(まあ、鉢合わせる心配も無いだろう)

キョン:了解

キョン「よっし一日今日も一日の半分が終わった。実に清々しい」

ハルヒ「あんたそんな態度じゃ留年よ。シャキッとしなさい」

キョン「はい先生」

ハルヒ「誰が先生よ……。お弁当今日はここで食べましょっか、移動するのも面倒だし」

キョン「おう。腹減ったぜ」

ハルヒ「はい、あんたの」

キョン「すまんな」

ハルヒ「良いのよ。あたしが好きで作ってるんだから。
ほら、早く開けてみて」

キョン「おう……相変わらずよくこんな綺麗に作れるもんだな」

ハルヒ「料理は見た目が肝心よ。お弁当は形崩さないの大変なんだから」

キョン「うん、味も相変わらず最高だ。良い嫁さんになるな」

ハルヒ「ま、まあね。あたしを嫁に貰える人は超超幸せ者よ」

キョン「尻に敷かれそうだけどな」

ハルヒ「一言余計よ!」

キョン「はは、すまんすまん」

ハルヒ「もう……」


キョン「ふう、ご馳走様。美味かったぜ」

ハルヒ「ありがと。そう言って貰えると作り甲斐あるわ」

キョン「明日は学食にしてみないか?こう連続で作るのも大変だろう」

ハルヒ「……」

キョン「ハルヒ?」

ハルヒ「美味しくなかったのね」

キョン「は?」

ハルヒ「本当はあたしのお弁当美味しくなかったんでしょ。嘘つき」

キョン「待て、そうじゃない。そんな事はない」

ハルヒ「毎日食べたいって言ったじゃない!」

キョン「だから嘘じゃないって!ハルヒ落ち着け!」

ハルヒ「……」

キョン「本当だ、本当に毎日食べたいくらい美味い。
でもな、ハルヒがきついんじゃ無いかと思ったんだ。
負担になってるんじゃないかと」

ハルヒ「……大丈夫よ。苦にならない。だから大丈夫」

キョン「そうか……わかった。ありがとうな」

ハルヒ「ううん、良いわ。気にしないで。
あたしこそごめんね」

キョン「ハルヒが謝る事じゃないさ。……明日も楽しみにしてる」

ハルヒ「うん……」

キョン(ハルヒ……やっぱり最近おかしいぞ……)

キョン「それじゃ、また明日な、ハルヒ」

ハルヒ「ええ、また明日。埋め合わせ忘れちゃダメよ」

キョン「わかってるって。じゃあな」

キョン(待ち合わせは後1時間か……間に合うな)

キョン(佐々木、頼むから橘や藤原が絡んだ話を持って来ないでくれよ……!)

佐々木「やあ、久しぶりだね」

キョン「よう、待ったか?」

佐々木「いや全く。今から注文しようと思っていた所さ」

キョン「そうか、良かった」

佐々木「すみません、アイスコーヒーを二つ」

キョン「おっと、有難う」

佐々木「構わないさ。それでね、話なんだけど……」

キョン「ああ、聞かせてくれ」

佐々木「僕も恋人コースとやらをお願いしても良いかな?お金は用意してある」

キョン「……すまん、まずそれを何故知って居るのか聞いても良いか?」

佐々木「九曜さんに聞いたんだよ。先の閉鎖空間を調査した時に、面白い情報を手に入れたってね」

キョン「そんな事が……」

佐々木「閉鎖空間は彼女の心そのもの。それを解析する機を天蓋領域は狙って居たみたいだ。
思いがけない拾い物があったみたいだから、教えて貰ったのさ」

キョン「……」

佐々木「本当はこんな事したく無いんだけどね。居ても立っても居られなくなったんだ」

キョン「何故だ」

佐々木「何故、って?」

キョン「お前、彼氏が出来たんじゃないのか?」

佐々木「何の事かな?」

キョン「言ってたじゃねえか、前に。告白されたとかの……考えてみる事にしたとか」

佐々木「ああ、あれはね。君の気を引こうと思って。つい言ってしまった」

キョン「えっ?」

佐々木「とっくの昔にお断りして居るよ。まあどうやらあの嘘も、君には全くと言って良い程響いて無かったみたいだけれど。
とても残念だったよ。ほんの少しでも君の心が動かせたらと思っていたから」

キョン「そうだったのか……」

佐々木「恋人コースなどと言って居る時点でもうわかりきっていると思うけれど、僕は君が好きだ。
君のフリーパス争奪戦に、僕も参加させて貰えないかな?」

キョン「佐々木」

佐々木「こう言うのもなんだけど、僕は決心してこのお金を用意したんだ。
受け取って貰えないなんて事は絶対に避けたい。
それは僕にとって最大の侮辱だ。お願いだよキョン。受け取って欲しい」




キョン「……わかった」

佐々木「良かった……じゃあ早速」

キョン「だが金は受け取れない」

佐々木「……何故だい?」

キョン「自由に呼び出し、メール、会話ができるのが俺の契約内容だ」

佐々木「……」

キョン「契約しすぎてそれに違反しちまってる。だから金は受け取れない。
二人にも返す」

佐々木「……そうかい、なら、恋人コースは無理なんだね?一日キョンを独占するなら幾らかな?」

キョン「いや、金は良いんだ。それよりも、俺ははっきりさせなければならない」

佐々木「何を?」

キョン「クソみたいな言葉だが、俺は誰を選ぶのか決めなければならない。
逃げ続けるのはもうお終いだ」

キョン「一日、デートをさせてくれ。それで決める」

佐々木「……わかったよ」

キョン「また……連絡するから」

佐々木「うん……待ってるよ」

佐々木(やれやれ、私に望みはあるのかな……)

佐々木(二人は、狡いや。タダで独占出来てたようなものじゃないか)

佐々木(でも勝ち取れば毎日……)

佐々木「よし、負けないよ。頑張ろう」

キョン「もしもし」

鶴屋さん『何かなっ?デートのお誘い?』

キョン「はは、そんなもんです。ちょっとだけ会えませんか?」

鶴屋さん『もちろんっさ!昨日のファミレスでも良いかなっ?』

キョン「はい、お願いします」

鶴屋さん『おっけー!んじゃ、また後で!』

キョン「ええ、また」

鶴屋さん「おっす少年!何杯目?」

キョン「ははっ、見ての通りまだですよ」

鶴屋さん「待っててくれてたのかい。いやあ、お姉さん嬉しいなっ!」

鶴屋さん「ところで、どしたん急に?今日会えないんじゃ無かったっけ?」

キョン「ああ、その事なんですが……」




鶴屋さん「ふうん、一日デートで決めるんかあ……。良いね!じっくり考えてもらえるし!」

キョン「すみません、最低っすよね、俺……」

鶴屋さん「そんなことないにょろ。寧ろこうして考えて貰えるなら、幸せだよっ」

鶴屋さん「なーんも悪くないから、キョンくんは遠慮なしにずばっと決めるっさ!」

キョン「……有難うございます」

鶴屋さん「そんじゃ、当日とびきりおめかししてくるからさ!
楽しみにしてて!んじゃまたねっ」

キョン「は、はい!また!」

キョン(ハルヒは文芸部室か?時間的に……まだ居るか。行こう)

ガチャ

キョン「……おう」

ハルヒ「あれ?キョン?」

長門「……」スッ

キョン「何処か行くのか?」

長門「……コンピ研」

キョン「そうか……またな」

ハルヒ「行ってらっしゃい。なんかされたら直ぐに言うのよ!……キョン、あんた用事は?」

キョン「ああ、その事なんだが……」




ハルヒ「はあまさか嘘ついてたなんてね。信じらんない」

キョン「すまん」

ハルヒ「まあ良いわよ……正直に言ったんだしね。
一日デートでしょ?あたしの魅力を存分に思い知らせてあげるわ。
もうほんっと、いい度胸してるわよキョンのクセに」

キョン「はい、すみませんでした……」

ハルヒ「でも良かったの?お金払うって言い出したのはあたしなのに……」

キョン「良いんだ。寧ろ返さないと気が済まん」

ハルヒ「そう……わかったわ」

ハルヒ「あたし……選ばれなくても恨まないから。
その時は正直に言ってね。嘘をつかれる方がもっと辛い」

キョン「勿論だ」

ハルヒ「それじゃあ、覚悟は出来てるから……今度の三連休でしょ?いつでもいいから……またね」

キョン「ああ、また連絡する。気を付けて帰るんだぞ」

ハルヒ「大丈夫よ。ありがと」

キョン(一時はどうなるかと思ったが、大分前のハルヒに戻ってくれたみたいだ……どれもこれも俺のせいだな)

キョン「……寝るか」

キョン(考えるのは後だ。俺も、皆に答えなければならない)

キョン(連休初日、誰を誘う?)

>>150

キョンの野郎俺より先に寝やがって

変化球で九曜

キョン(九曜九曜……と、ん?何で九曜探してるんだ俺は……そもそも電話帳に無いじゃねえか……)

キョン「よし、>>158だ」

>>150 落差30cmのフォーク投げるとは

キョン「もしもし、鶴屋さん、明日大丈夫ですか?」

鶴屋さん『明日?大丈夫っさ!何時にどこかなっ?』

キョン「じゃあ……11時に駅前で良いですか?」

鶴屋さん『はいよっ!りょーかい!んじゃ、また明日にょろ!』

キョン「はい、お休みなさい」

キョン(緊張する……どうなるんだろうか)

キョン(おっ?早く着き過ぎちまったか?)

鶴屋さん「キョンくん!こっちっさ!」

キョン「あっ、鶴屋さん!すみません、お待たせしました」

鶴屋さん「いやあ全く、待ちくたびれたにょろ」

キョン(ショートパンツにTシャツ、うっすらと汗をかいた首元……正直、たまりません)

鶴屋さん「今日はね、ちょっと遠出するよっ!」

キョン「遠出?」

鶴屋さん「なんと日帰り温泉旅行っさ!折角駅前集合だからね!さ、はりきっていこー!」

キョン「え、ちょ、マジですか!」

鶴屋さん「マジも大マジ!値段なら大丈夫、案外安いもんだからさ!ほら行くにょろ!」

キョン「は、はい!」

鶴屋さん「キョンくん、駅弁何買ったん?」

キョン「俺はこれです」

鶴屋さん「わーお牛飯かあ!男の子って感じだね!」

キョン「鶴屋さんのは……」

鶴屋さん「いやあ偶然にも、同じ牛飯にょろ!」

キョン「はは、お揃いですね」

鶴屋さん「本当だね!はい、あーん」

キョン「へ、あ」

鶴屋さん「美味しい?」

キョン「めちゃくちゃ美味しいです」

鶴屋さん「あたしも食べたいな?」

キョン「あ、はい……あーん」

鶴屋さん「ん。おおーめがっさうんまいね!お茶がすすむっさ!」

キョン「はは、節約しないとお茶無くなりますよ?」

鶴屋さん「大丈夫大丈夫!心配ないよ!あっ!外みて!すっげーでっかい河!」

キョン「うわ本当っすね……横何mあるんだ……」

鶴屋さん「残念ながら鶴は居ないねっ。鴨しかいないっぽいね」

キョン「鶴はそうそう居ませんって」

鶴屋さん「たまには居ても良いと思うんだけどね~。あ、降りないと!ここだよここ!」


キョン「へっ?あ、わかりました!」

鶴屋さん「おおー!到着到着!」

キョン「さっきの河の近くだったのか……」

鶴屋さん「あれすごかったねー、さ、入ろ入ろ」

キョン「ほう、案外安いもんなんですね」

鶴屋さん「言ったっしょ?何も旅館じゃないんだからさっ!ちょんと浸かるだけだからねっ」

キョン「そんじゃ、また後ほど」

鶴屋さん「うん、あがったらここで!」

キョン「はい」


キョン(慌しいけど……時間が経つのを忘れるな。鶴屋さんと居ると)

キョン「おお……露天風呂広すぎだろ……」

キョン「ふい~……たまには良いな、こうやってゆっくりするのも」

キョン「ハルヒのやつもたまにはこんなイベント設けてくれれば……古泉に言ってみるか」

キョン「いやあ、実にリラックスできるな。眠っちまいそうだ」

キョン「のぼせる前に上がっとくか」



キョン(鶴屋さんは……まだか)

キョン(そりゃあの長い髪、洗うだけで大変だろう)

キョン(水吸ったらとんでもない重さになりそうだが……乾かすのも一苦労だろうな)

鶴屋さん「おーい?キョンくん?」

キョン「ん?おわっ!早いですね」

鶴屋さん「そう?だいたいこんなもんだと思うけどなー。さ、ほら、風呂上がりといったらアレっしょ?」

キョン「俺はフルーツ牛乳派です」

鶴屋さん「おやっ珍しいね!あたしはフルーツ牛乳派だよ!」

キョン「一緒じゃないですか!」

鶴屋さん「ちっちっち、一緒にしたのさっ」

キョン「ははっ、嬉しいですね」

鶴屋さん「前から興味あったんだよねー。どんなんかな?うわおっ、あんま!でもけっこーイケるね!」

キョン「でしょ?なかなか美味しいんですよ」

鶴屋さん「コレも良いもんだね!家に常備しときたいにょろ」

鶴屋さん「さって、卓球してからかえろっかあ!」

キョン「良いっすね。受けて立ちますよ」

鶴屋さん「言っとくけどあたしけっこー強いよ?」

キョン「俺はかなり弱いですよ」

鶴屋さん「にゃはは!そんじゃいっちょいってみよー!」



キョン「……強過ぎません?」

鶴屋さん「ラケットは友達にょろ」

キョン「ピンポン球ではないんですね」

鶴屋さん「残念ながら……。さっパパっと帰ろっ!」

キョン「ですね、もうこんな時間だ」

鶴屋さん「電車も丁度いいくらいの時間につくっさ、忘れ物ない?」

キョン「大丈夫です」

鶴屋さん「そんじゃいこっか!」

キョン「はい!」


鶴屋さん「なんかちょっと暗くなると、窓の外全然見えなくなっちゃうよねー」

キョン「街を離れると、一面真っ暗ですね」

鶴屋さん「ねえ、キョンくんさ」

キョン「何でしょう?」

鶴屋さん「あたしのこと思い浮かべた時って、周りの景色どんなの?」

キョン「景色……?そうですね……晴れてて、夏っぽいような……」

鶴屋さん「……そっかあ」

キョン「そうです」

鶴屋さん「嬉しいにょろ」

キョン「……良かったです」

鶴屋さん「あたしは今日そう言って貰えただけで十分かな。
今更四の五の言ってもしょーがないし!」

鶴屋さん「さ、ほら着いたっさ!行こう」

キョン「……はい」

鶴屋さん「そんじゃ、また今度ね!二人とのデートもめいっぱい楽しむんだよっ!」

キョン「めちゃくちゃ楽しかったです。また、今度……また、行きましょうね」

鶴屋さん「そうだねっ。今度は皆で行くにょろ!
次の合宿は温泉地だねっ!そんじゃ、お休み!」

キョン「はい、お休みなさい。お気を付けて!」

キョン(……楽しいだろうな。付き合ったら)

キョン(新鮮な事ばかりで、飽きなんて無い毎日なんだろう)

キョン(ゆっくり、考えよう……)

キョン「もしもし、佐々木今大丈夫か?」

佐々木「勿論だよ。明日かな?」

キョン「ああ」

佐々木「そうかい。なら明日の14時に、いつもの喫茶店で」

キョン「わかった。有難う」

佐々木「また明日……お休み」

キョン「お休み、佐々木」




キョン「よう、また待たせちまったな」

佐々木「構わないよ。僕はこの待つと言う時間が好きでね。
何時間でも大丈夫さ」

キョン「はは、何時間でもは流石に言い過ぎだろ?あ、アイスコーヒーを二つ」

佐々木「おや、有難う。ところでね、今日のプランなんだけど」

キョン「ん?ああ」

佐々木「僕はここだけだ」

佐々木「ここで君とゆっくり話す。ただそれだけで良い。
キョンはそれでも良いかい?」

キョン「ああ、全く構わん。寧ろお前らしくて良い」

佐々木「そう言ってくれると助かる。生憎遊ぶ場所なんて余り知らないものでね」

キョン「良いさ。外は暑いし、動き回るのも難だ」

佐々木「くっくっ、君らしいね。君が君で良かったよ」

キョン「良い意味として受け取っておこう」

佐々木「それでよろしく頼むよ。……キョンは正直、僕の事をどう思っている?」

キョン「どうって……親友……かな」

佐々木「そうか。嬉しいよ。だけれど哀しくもある」

キョン「何故だ?」

佐々木「世間一般では男女間の友情は無いと言われて居るね。
無論僕もそう考えている」

キョン「いや、ケースバイケースなんじゃないのか?俺はあると思うが」

佐々木「そうだね、その通りだ。でも僕らにもその世間一般の常識は当てはまるみたいだよ」

キョン「……」

佐々木「現に僕は君を男として、恋愛対象として見ている。そうなると友情では無くなるんだ」

キョン「それは……」

佐々木「ならば、涼宮さんの事はどう思う?」

キョン「あいつは……」

キョン(友達?クラスメイト?同じ部活の仲間?……どれもしっくりこないな……)

キョン「わからん……」

佐々木「そうか。ならばそこに友情は無いのかもしれない。
もっとも、愛情はあるのだろうけどね」

キョン「愛情って」

佐々木「君が僕の事を親友とそう呼べるのなら、僕はもう友人として取り返しのつかない所まで来てしまったんだ」

佐々木「そこから恋愛に覆る事はそうそう無い」

佐々木「僕が涼宮さんに対抗したくて言った"親友"とは違うんだと……そう思う」

キョン「佐々木……」

佐々木「僕の事を選んでくれとは言わない。でも一つだけ」

キョン「何だ?」

佐々木「僕が選ばれなかったとしても、このまま、親友で居させてくれ」

キョン「そりゃ……勿論だ」

佐々木「安心したよ。……僕は卑怯だね。予防線を張るなんて」

キョン「……」

佐々木「君と涼宮さん程月と太陽みたいな人は居ない。相性抜群だ。
とても近づけそうに無いよ……こう言ってしまうと、もう一人の女性にも悪いがね」

佐々木「さあ、僕はもう良い言いたい事は全て言ったつもりだ。
とてもデートと言える様なものでは無かったけれど、許して欲しい」

キョン「良いさ。佐々木の気持ちが聞けて良かった」

佐々木「それじゃあまた、連絡待っているよ」

キョン「ああ……またな」

キョン(佐々木……お前は……わかってたんだな)

キョン(すまん、そんな気持ちにさせて)

キョン「……ハルヒ、明日、大丈夫か?」

ハルヒ「いつでも空けてるって言ったでしょ?じゃ、駅前に11時!遅刻は罰金!わかった?」

キョン「おう、わかってる」

ハルヒ「じゃあね。寝坊すんじゃないわよ!」

キョン「へいへい、わかりましたよ」

キョン(……夜は俺が皆を照らすんだろう。ハルヒの力を借りて。
佐々木の言っている意味の半分くらちは理解出来て居るつもりだ)

ハルヒ「遅い!罰金!」

キョン「早いなお前……一時間前だぞ……」

ハルヒ「あんたの考えなんてお見通しよ!残念だったわね!」

キョン「はあ……喫茶店でいいか?」

ハルヒ「ううん、ポップコーンとコーラよ」

キョン「ん?その組み合わせは……」

ハルヒ「そう、映画を見に行くの。話題のSF映画よ」

キョン「SFね……なんともハルヒらしい」

ハルヒ「ほら、シャキシャキ歩く!」

キョン「はいはい」

ハルヒ「はいは一回!」

キョン「はーーい」

キョン(すっかり元のハルヒだ。こっちの方がしっくりくるぜ)

ハルヒ「席はここね。中央の席だなんて運が良いわ」

キョン「ハルヒパワー」

ハルヒ「なに?」

キョン「いや、何でも無い」

ハルヒ「あっそ、あ、始まるわよ」

キョン(ポニーテールにしてることは突っ込まなくて良いだろうか?
何と言ったら良いのかわからんが、女はこういうの気にするみたいだしな)

キョン「ハルヒ」

ハルヒ「何よ」

キョン「髪型似合ってるぞ。魅力度倍増だ」

ハルヒ「……上映中なんだから静かにしてよ」

キョン(……ハルヒの口角がピクピクしているのは怒りからだろうか)

キョン(いや……それにしても何故こう映画館と言うのは眠気を……)

キョン「zzz」

ハルヒ「ったくもう……ふふ」

ハルヒ「こら、起きなさいよ」

キョン「んおっ!……今何時だ?」

ハルヒ「……ヨダレすごいわよ」

キョン「おお、有難う」

ハルヒ「はあ……折角見に来たのに寝る何てバッカじゃない?
お金を捨てたような物よ?
まああたしは集中して見れたから良いんだけど」

キョン「すまん」

ハルヒ「まあ良いわ、ご飯食べに行くわよ」

キョン「おう、丁度腹減って来てたんだ」

キョン「どこに行くんだ?」

ハルヒ「上の洋食屋さん。昔パ……親父とよく言ってたんだけど、オムライスが美味しいのよ」

キョン「オムライスか……やべ、さらに腹減って来た」

ハルヒ「じゃあ早速行くわよ」

キョン「おう」

キョン「おい、ふわとろじゃねえか」

ハルヒ「ふわとろよ」

キョン「冗談だろ。お前はこんな上等な物を幼少期に食していたのか」

ハルヒ「大袈裟ねえ、あたしだって作れるわよこんくらい」

キョン「興味深いがちょっとお口チャックだ。
睨まれてるぞ」

ハルヒ「ふんっ知ったこっちゃないわよ」

キョン「ケチャップついてるぞ」フキフキ

ハルヒ「ん……ありがと」

キョン「どういたしまして」

ハルヒ「ふう。ご馳走様」

キョン「ご馳走様でした」

ハルヒ「最後に一つだけ、行きたい所あるんだけどいい?」

キョン「ああ、良いぜ」

ハルヒ「ありがと、じゃ着いてきて」

キョン「おう」

ハルヒ「ふう、ここよ」

キョン「ここは……」

キョン(ハルヒの……)

ハルヒ「東中。ちょっとした思い出があるのよ。ほら、ここ登って」

キョン「侵入したらセコム来るぞ」

ハルヒ「来ないわよそんなもん。いいからほら!」

キョン「おう……」

ハルヒ「懐かしい、この校庭」

キョン「お前がでっかい絵文字書いたってとこか?」

ハルヒ「そうよ」

キョン「……」

ハルヒ「……」

ハルヒ「ねえ、キョン」

キョン「何だ?」

ハルヒ「宇宙人って居ると思う」

キョン「長門だろ?」

ハルヒ「じゃあ未来人は?」

キョン「朝比奈さん」

ハルヒ「超能力者は?」

キョン「古泉だな」

ハルヒ「まだそれ言ってんのね、あんた」

キョン「本当の事だからな」

ハルヒ「……じゃあ異世界人は?」

キョン「……余ってる俺かね?」

ハルヒ「でしょうね」

キョン「ははっ」

ハルヒ「……あたしね、ずっと特別な存在になりたかったの」

キョン「……」

ハルヒ「SOS団立ち上げた目的も、特別な存在と遊べる特別な存在になりたかったから」

ハルヒ「最初は普通の事なんて嫌だと思ってたんだけど、普通の事が楽しくて仕方なくなってた」

ハルヒ「それで気付いたら精神病だと思ってた恋も普通にしてたわ」

ハルヒ「あんたともずっと普通に過ごして行ければ良いと思ってたんだけど、何時の間にかあんたにとって特別な存在になりたいと思ってた」

ハルヒ「キョン、好きよ」

キョン「……」

ハルヒ「あたしと付き合って欲しい」

キョン「……喜んで」

ハルヒ「……いいの?」

キョン「俺もやっぱり、ハルヒじゃなきゃ駄目みたいだ」

キョン「鶴屋さんと、佐々木と一緒に居てもハルヒの事ばかり……ハルヒだったら、ハルヒもこんな事を、そんな風に考えちまってた」

キョン「俺は阿保だな。ホンモンのクソッタレだ。
恋なんて馬鹿らしい。俺にそんな事があるわけ無い。
そうやって、誰かに気持ちを向けられても鈍感な振りしてフラフラ逃げ道を探してたんだ」

キョン「これからも改めてよろしく頼む。これまですまん。
一生かけてハルヒを大切にするから」

ハルヒ「……クサイこと言ってんじゃないわよ……アホキョン」

キョン「ハルヒ……ポニーテール、最高に似合ってるぞ」

ハルヒ「えっ?んっ……いきなりなにすんのよこのバカキョン!!」

キョン「あいたっ!!おい何もビンタする事は無いだろ!!」

ハルヒ「こういうのはムードってもんが大事なのよ!初めてなのに、こんないきなりされてよく覚えて無かったらどうすんのよ!」

キョン「完璧にそのムードだっただろうが!じゃあいつすりゃ良いんだ?わからん!全くわからん!」

ハルヒ「もうっ!良いわよ!とにかく、明日から毎朝あたしの家に迎えに来る事!良いわね?」

キョン「毎朝?!それはちょっ……」

ハルヒ「なに?嫌なの?」

キョン「いえ、喜んで」

ハルヒ「じゃあ決まりね!来ないとお弁当抜きだから」

キョン「はい……」

ハルヒ「また明日!マジで来るのよ!」

キョン「わーかったって!また明日な!」

キョン(なんか実感わかんが……これからだな)



谷口「おいキョン、お前のお仲間がお呼びだぞ」

キョン「ん?おお古泉か」

谷口「ッチ、ほらさっさと言って来いよ!」

国木田「谷口、何でそんなに気が立ってんのさ」

谷口「良いんだよ。こんぐらいしてやんねーとあの幸せもんには響かねえ。
どうせ心の中では俺らの事見下してんだ……」

国木田「そんなわけないじゃん。卑屈過ぎだって」

谷口「ああ、友達料、払わなくて良かったぜ」

古泉「どうも、おめでとうございます」

キョン「相変わらず情報が早いな。まだ誰にも言った覚えはないんだが」

古泉「細かい事はお気になさらず。ともあれ。丸く収まり私達は万万歳ですよ」

古泉「途中の涼宮さんの暴走ですが、どうやら発端は友達料の件の様ですね。
まあ、そんな事は火を見るより明らかですが」

キョン「……そりゃそうだろうな」

古泉「恐らく、形のある繋がりを持った事で、完全に貴方を独占出来ると考えていらっしゃったのでしょう。
そこに邪魔が入った事でタガが外れてしまったと……」

古泉「押さえ込んで居た気持ちが一気に爆発。そんな所ですかね。
ほら、バネだって抑える程良く飛ぶでしょう。
ですが一度飛んでしまえば、徐々に収まって行きますから。途中迄は冷や汗物でしたがね」

キョン「そうかい、相変わらず解説が好きな奴だな。要件はそれだけか?」

古泉「何よりも、御礼が言いたかったのです。
狂ってしまいそうだった世界を、貴方が正しく導いて下さった。
有難う御座いました。途中迄は」

キョン「冷や汗もんだったんだろ?」

古泉「ええ、その通りです」

キョン「まあ、今回の結果が全て正しかったのかはどうか知らんが、心配かけてすまなかったな。
今後は安心してくれ。俺が何とかする」

古泉「それは心強い。是非お願いしますよ」

古泉「それでは、また放課後部室で」

キョン「ああ、また後でな」

ハルヒ「キョン、あんた古泉くんと何話してたの?」

キョン「何でも。ボードゲームがなんたらって話しくらいだ」

ハルヒ「ふーん、あんた達よく飽きないわね」

キョン「普通だろ?」

ハルヒ「普通飽きるのよ」

キョン「そういうもんかね」

ハルヒ「そういうもん。あ、あと今日ミーティングあるから。
あたしも掃除終わらせたらすぐ行くわ」

キョン「そうか、わかった」

みくる「長門さん、聞きました?キョンくんと涼宮さん。
わたしほっとしましたあ。
未来と通信が取れにくくなってて、どうしようって思ってたらそんな事になってたなんて」

長門「そう」

みくる「あの、前から思ってたんですけど……わたしとお話するの嫌ですか、」

長門「そんな事はない」

みくる「良かったあ……うふふ、今日はほっとする事ばっかりです。
あ、長門さん、お茶どうぞ」

長門「……」コク

コンコン

みくる「はあーい」

キョン「ちゃーす」

みくる「あ、キョンくん!おめでとうございますう。
あたし嬉しくて、飛び跳ねちゃいましたあ」

キョン「はは、そんなにですか?」

みくる「もちろんです!長門さんも喜んでましたよ?」

キョン「長門が?」

みくる「はい!……多分」

長門「……頑張って」

キョン「ありがとな、長門」

長門「……」コク

コンコン

古泉「おや、お揃いで」

ハルヒ「皆居るわね!早速ミーティング始めるわよ!」

みくる「ミーティングですか?」

長門「……」

キョン「そういや何の話をするんだ?全く聞いてないんだが」

古泉「涼宮さん、どうぞ」

ハルヒ「おっほん!今度の不思議探索では、温泉に行きたいと思います!
不思議を探しながら、存分に日頃の疲れを癒すが良いわ!」

みくる「わあー。素敵ですー」

ハルヒ「でしょ?癒しの中にこそ、不思議は隠れていると思うのよね。
早速計画を立てるわよ!」

キョン「……良いな、温泉」

古泉「おや、つい最近行かれたばかりでは?」

キョン「お前は一体どこまで知ってるんだよ」

古泉「んっふ、禁則事項です」

キョン「視界から消えろ」

古泉「これは手厳しい」

これから俺は、とある二人に伝えなければならない。
それぞれに、正直な気持ちと報告を。
二人が居なければ、きっと今の俺は居ないだろう。
こんな俺に心を寄せてくれた事を、本当に感謝している。

ハルヒ「ちょっとキョン、聞いてるの?」

キョン「ん、ああ。勿論だ」

ハルヒ「じゃあついさっきあたしが言った言葉を復唱してみなさい」

キョン「ちょっとキョン、聞いてるの?」

ハルヒ「はい失格。罰金」

キョン「すみませんでした」

だからこそ、格好悪い所は見せたく無いんだがな。
そう上手くはいかないもんだ。


おわり

支援保守サルよけありがとうございました!
いつもは鶴屋さんのssばっかりだったのでハルヒでいきました
でもやっぱり鶴屋さんが一番好きです

長時間オナニーすみませんでした

目が・・・

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