男「俺の親父さ、犯罪者なんだ」(252)

幼馴染「え、そんな冗談やめてよ~」

男「いや、マジで。親父が刑務所入ってたから母子家庭だったんだし」

幼馴染「……本当なの、それ?」

男「うん。まぁもう隠すこともないかなと。つっても俺も知ったの最近だし」

幼馴染「そっかー」

それから、幼馴染を俺を避ける様になった

男「おーい幼馴染~」

幼馴染「ごめん今日友達と遊ぶからじゃあね」

男(避けられてる……メールもなかなか返ってこなくなったし)

男「まぁ、しゃあねぇか。親父が犯罪者なんじゃな」

先輩♀「元気が無いな男くん。どうかしたか」

男「元気は確かにないっすね」

先輩♀「高校一年生春うらら、そんなに元気が無くてどうする男子よ」

男「まぁ衝撃的な事実が発覚したもんで、幼馴染に避けられとるんですよ」

先輩♀「まさか! その年で既に子供がっ……」

男「いや、ちゃいます。ただ、何かですねー、俺の親父が犯罪者らしくて」

先輩♀「は?」

男「まぁ俺自身が知ったのも最近の事なんすけどねー」

先輩♀「何だか、えらく落ち着いてるな男子よ」

男「そうっすか? 」

先輩♀「それもう衝撃通り越してメテオインパクトだぞ」

男「はぁ。まぁとにかくそんなもんで、やっぱ犯罪者の子供とは一緒に居たくねーって事なんすよきっと」

先輩♀「本当にそうなのか? 何か気に障ることを別にしたとかじゃないのか?」

男「いや、特に。てか普通なら拒否るっしょ。犯罪者の子供とか。俺が女なら近くに居たくないっすもん」

先輩♀「……そこまで、自分を下にするなって。君は君だ。父親とは別の人間さ」

男「じゃあ俺みたいなのと付き合えたり、結婚出来ます? 」

先輩♀「……出来るよ。だって本人がそうじゃないんだし、何より好きならそんな問題は些細な
事だって」

男「若いっすね先輩。それは若さですよ」

先輩♀「君の方が年下じゃないか」

男「精神年齢的な意味で。だって普通に考えてください。まず家族から拒否られますよ。
犯罪者のガキとお付き合いとか結婚とか、ありえねーって」

先輩♀「説得すれば良いじゃん」

男「出来ます? 」

先輩♀「で、出来るよ」

男「はぁ。じゃあ俺行きますね」

先輩♀「あ、ちょっとおい」

男「はよー」

友達「おっはー」

男「ふるくっせ」

友達「んな事言うなって。今部活で流行ってんだよ。つか、お前さぁ幼馴染ちゃんと
何かあったん? 」

男「何で」

友達「だって普通に避けられてるじゃん。前は普通に話しとかしてたのに、ここ
一週間くらい全然話してないし」

男「別に」

友達「じゃあ俺幼馴染ちゃん狙おっかなー男って言うカレシが消えたみたいだし」

男「別にカレシでもねーよ」

幼馴染「ちょっと男」

男「何?」

幼馴染「さっき、先輩と何話してたの? 」

男「別に」

幼馴染「ふーん」

男(一週間ぶりだなそういやこいつと会話すんの)

友達「幼馴染ちゃーん。男と別れたって話、ホント?」

幼馴染「はぁ? 最初から付き合ってないし。つか、男の父親、あ、違う。ただ、
別にそういうんじゃないってだけ」

男(俺の父親犯罪者って言いかけたな)

男(ま、別にバレても良いけどさ。したら学校辞めるだけだし)

友達「へーんじゃあさ今度俺と遊ぼうよ」

幼馴染「いいよ。どこで遊ぶ? 」

友達「まず最初はカラオケっしょ! その後の事はカラオケ中に考える」

幼馴染「オッケー」

友達「男もくる?」

幼馴染「男が来るなら行かない」

友達「へ?」

男「あ、俺は良いや。俺の事抜かして遊び行けよ」

男「頑張って幼馴染ゲットしろよ」ボソボソ

友達「そ、そーいうことか」ボソボソ

友達「んじゃあ俺ら二人だけ遊び行きまっしょい!」

幼馴染「うん♪」

キーンコーンカーンコーン

男「ふぁあああ眠い。授業終わったし帰ろうっと」

先輩♀「ちょっとちょっと待ちなさい」

男「ふぁい、何すか。下級生の教室に出現するなんて」

先輩♀「遊びに行こ」

男「結局先輩とカラオケに来てしまった」

女先輩「ねぇ男子よ」

男「何すか?」

女先輩「朝の話って本当? 」

男「あぁ、俺の父親の事っすね。マジっすよ」

女先輩「その話、幼馴染ちゃん知ってるんだよね?」

男「まぁ言いましたから」

女先輩「その、さぁ、幼馴染ちゃんとあたしって中学ん時に同じ部活だったじゃん?
それでさ、言いにくいんだけど、あの子口がちょっと軽いって言うかさ」

男「あぁ、言いふらされたどうしますかって事っすか? 」

女先輩「……うん、どうするつもりなの? 」

男「そりゃ辞めますよ。面倒くさいことになるの目に見えてますし」

女先輩「え? 辞める? 」

男「えって、そりゃそうするしかないでしょ。大検なり通信制なりも今ありますし
適当にやってきますよ」

女先輩「だめだめ辞めるなんて絶対ダメ」

男「はぁ」

女先輩「私が許しません」

男「まぁでも居づらくなるのは事実ですし」

女先輩「そーなんだろうけど、でもそれって逃げるって事でしょ? 」

男「逃げるって言うか回避って言って欲しいです」

女先輩「どっちにしろ似たようなもんでしょ」

男「何だか、先輩全然変わってないですね。中学のときと」

女先輩「そう? 」

男「全然変わってないです。特にその無駄に面倒見の良い所とか」

女先輩「おせっかいは性分だもーん」

男「はぁ。そんなんじゃ、変な男に引っかかりますよ」

女先輩「……君とか?」

男「またまだご冗談を。あ、トイレ行ってきますね」
ガチャ
友達「お、男じゃーん。どしたん? 俺? 俺は今幼馴染ちゃんと一緒だよーん!」

男「カラオケは今度行くんじゃなかったのか」

友達「幼馴染ちゃんが今日行きたいって言うんだもーん仕方ないじゃん。女のわがままは
聞いてやるのがナイスガイの務め」

幼馴染「先輩と一緒なんだ」

男「何で知ってんの? 」

幼馴染「一緒に入るところ見たし」

男「ふーん」

友達「じゃじゃじゃ、歌いますかー幼馴染ちゃん」

幼馴染「うん」

友達「じゃなー男」

ガチャバタン

男「隣の部屋かよ」

女先輩「おかえりんこ」

男「ただいまん、ハッ! 」

女先輩「気付くなよ」

男「いやいや、何言わせようとしてんですか」

女先輩「そりゃただいま○こって」

男「キャーキャー聞こえナーイ」

女先輩「本当可愛いな男は」

男「ナニモ キコエナーイ」

女先輩「ほら歌うよ。折角来たんだから」

男「ナニモ」

女先輩「耳を塞いでる手を、離せっての!」
ガシガシ

男「あっ、ちょっと」

女先輩「歌いますよー」

男「え? ただいま○こは? 」

女先輩「それはもう終わりました」

女先輩「じゃあたしから入れるから」ピッピッピッ

男「ドリカムのloveloveloveっすか。好きですねそれ」

女先輩「うん。これさぁ、耳が聞こえない男の人が主人公のドラマの主題歌でさ。この
ドラマすごく好きなんだよね。結構前のドラマなんだけど」

女先輩「障害は愛の前ではチンケなものだって事を教えてくれる良いドラマだよ」

男「へー」

女先輩「鼻くそほじるなあほ」

男「結局、8割くらい先輩の歌で終わりましたね」

女先輩「いいじゃない別に」

男「まぁ俺歌うの苦手ですし」

女先輩「私は歌うのが好きなほうだから、良い割合だったと思うよ。うん」

男「それもそうですね」

女先輩「でさー、きっとさー、君の障害を、理解してくれる人、居ると思うんだよねー」

男「いきなり何すか」

女先輩「独り言」

男「……」

女先輩「大丈夫だってー居なかったらわたしが理解してあげるからーあーこれも独り言ね」

男「先輩……」

女先輩「だから学校辞めるなんていうなよって事ですよー」

男「もう、大丈夫っすよ、独り言」

女先輩「どっかの誰かさんの心に届いてると良いんだけどね。今の独り言がさ」

男「多分、届いてますよ。受け取り拒否してる可能性もありますけど」

女先輩「そいつはひどいヤツですな。ぶん殴ってやらないと」

男「先輩の拳って痛いからきっと殴られたくないと思ってますよ」

幼馴染「……何あれ」

友達「ん? 男と先輩じゃん。何か良い雰囲気だねー」

友達(俺らはもっと良い雰囲気だけどwwwww)

幼馴染「うっざ……特に先輩……人の男……」ボソ

友達「じゃあ俺らもしっぽり……」

幼馴染「おなか痛いから帰る」

友達「え? うーん、おなか痛いんじゃ仕方ないね」

幼馴染「またね」

友達「う~ん! またね~!」

友達(次会うときはコンドーム必須だな!)

男「おっはー」

友達「うわふるくっせ」

男「お前が流行ってるって言ったんだろうが」

友達「そうだっけ? 」

男「病院を行く事を進める」

友達「そういやそうとお前昨日先輩と一緒だっただろ! 見ちゃったwwwww」

男「えぇ? あぁまぁ」

友達「先輩って二年の中じゃ一番綺麗なんだぜー良く笑うし、お前殺したくなってきた。いや、
ダメだ、俺にはクラスナンバーワンの幼馴染ちゃんと言うスィートハニーが……」

男「へー」

友達「つかあと一歩でセックスまでいけたんだけどさぁ、急におなか痛いってさ」

男「お前は一体何の話をしているんだ」

友達「幼馴染ちゃんと俺の事だけど? 」

男「つーか高一でセックスは早いだろ……」

友達「んな事ねぇって!俺ネットで見たんだよ、童貞が許されるのは小学生までって
だからむしろ俺たちは遅れているんだ!」

男「えぇーただのデマだろそれ」

友達「最近、女は早熟化していると聞く。あながちデマと切り捨てられるものではない」

男「脱童貞と女の早熟化の相関関係は」

友達「何それ」

男「やれやれだぜ」

友達「むつかしいこと言うんじゃねーよ」

男「チミの頭が悪いだけではないかね」

友達「もしかして俺ばかにされてる?かなり直接的に」

男「うん」

友達「ウキッー!ふん、まぁ良いや、とにかく互いに頑張ろうぜ!」

男「は?」

友達「俺は幼馴染ちゃん、お前は先輩を、攻略攻略ぅ」

男「いや、俺は別に先輩の事は……」

友達「はぁ?顔も性格も良い先輩の何が不満なんだ君は」

男「そもそも、先輩はもっと良い男居るだろうし」

友達「卑屈禁止ィー! あんなぁ、そんな事言い出したら、世の中おかしく
なっちまうぞ。卑屈になって踏みとどまるくらいなら前に進めよ。どっちにしろ
時間は過ぎるんだから、有効に使おうぜ」

男「お前たまにすごい良い事言うな」

男(でも、俺は犯罪者の子供……)

男「でもさ、やっぱ俺の存在は先輩にとって迷惑だよ」

友達「先輩はそう思ってねーかもよ?」

友達「つかお前どうせ、『俺みたいなのが先輩と付き合うなんておこがましい』とか言って、
だから好きじゃないとかって言って、予防線張ってんだろ」

男「……予防線、か」

友達「お前さぁ、前からケッコー卑屈野郎だったけど、ここ最近さらに輪かけて卑屈に
なってんぞ? 何があったのか知らんけど、考えすぎるなって」

男「……」

友達「考えるのがワリィーって言わないけどさぁ、もっと自分の気持ちに正直に生きようぜ。
あ、幼馴染ちゃんオッハー!」

幼馴染「おはよう」

友達「何か目すっごいクマ出来てるけど、寝不足? おなかの所為っぽい?」

幼馴染「……うん、ずっと、おなか、痛くて」

友達「じゃあ無理禁止。今から保健室行こう、なっ?」

幼馴染「だいじょぶ、我慢、出来るから」

友達「……そっかー。でも無理はダメね。具合悪くなったら俺にすぐ言って、保健室
つれてくから」

男(それ保健委員の仕事じゃね)

幼馴染「ありがと、友達」

友達「はい、やーくそーく! 指きりげんまーん」

幼馴染「ごめん、ちょっと」タタタタタッ

友達「ありゃりゃ、トイレかな」

男(つか、幼馴染の調子の悪いのってもしかして俺が居るせいかな。犯罪者の子供と
同じクラスだなんて、そりゃ具合悪くなるよな)

友達「お前もしかしてまた何か卑屈になってね?」

男「何で」

友達「何かそんな顔してるなーって」

男「お前はエスパーか」

友達「女の心は見えずともお前の心は見えるものさ」

男「俺の尻は気持ちよくないぞ……」

友達「べ、別にホモじゃねーよ本気にすんなよアホ」

幼馴染(何か、顔あわせづらいな、男とは)

幼馴染(別に、嫌いになったワケじゃないのに。ただ、親が犯罪者ってなると、お父さんとか
お母さんも反対するだろうし)

幼馴染(友達に、犯罪者の子供と付き合ってるって知れたらって考えたりすると……)

幼馴染(でも、男の事、好きだし……)

女先輩「どうかした、幼馴染ちゃん」

幼馴染「せ、先輩」ビクゥ

女先輩「悩み事なら、相談乗るよ? 」

幼馴染「……別に、ありません」

女先輩「ほんと?」

幼馴染「しつこいです」

女先輩「そっか、なら良いんだけどさ」

幼馴染「それより、昨日男と一緒にいましたよね」

女先輩「え? うん。見てたんだ」

幼馴染「……先輩って男の事好きだったんですね。男女二人きりでカラオケとか」

女先輩「……いや、うん、まぁ、そういう事になるかな」

幼馴染「そういう事って何ですか。否定しないんですね。そもそも先輩男の事何も知らないじゃないですか」

幼馴染「それで好きって、アホなんじゃないですか」

女先輩「そんなに、アホかなー」

幼馴染「アホですよ」

女先輩「……幼馴染ちゃんはさ、何でそんなに男の事、気にするの?」

幼馴染「私は、別に、ただ、何も知らない先輩が勝手に男の事にしゃしゃり出るのって
どうなのかなって思って」

女先輩「……私の知らない男の事って、何かな。例えば」

幼馴染「ち、父親の事とか」

女先輩「……お父さんが、犯罪者って、事?」

幼馴染「っ!? 何でっ……」

幼馴染「が、学校でそんな事言って、他の生徒にばれたら、どうするんですか。お、男は
学校とか辞めるかも」

女先輩「なら、私も一緒に辞める。男と一緒に、辞める」

幼馴染「そ、そんな勢いで物言わないで!そ、そもそも親に反対されるでしょ! 」

女先輩「親なら説得する」

幼馴染「せ、説得できるわけないじゃない!」

女先輩「……出来なかったら、一緒に遠くに行く。どこまでも」

幼馴染「ば、ばっからしい!」

女先輩「馬鹿だから、好きになったらずっとその人しか見えないんだ。わたし」

幼馴染「や、止めてよ、そんなの。先輩でしょ、後輩の男好きになるなんて」

女先輩「たった一つしか違わないじゃない」

幼馴染「き、詭弁は止めて!っ!?」タタタタタッ

女先輩「あっ、ちょっと!」

女先輩(逃げられちゃった)

女先輩(……でも、近くに誰も居なくて良かった)

友達(き、聞いてしまった……)

友達(所どころしか聞こえなかったけど、確か、男の父親が何ちゃらとか)

友達(……きっと、先輩に男の悪いところを話してやって、マイナスイメージを持たせる
つもりだったんだな。そうしておけば、後は評価は上がる一方。何て幼馴染思いの
幼馴染ちゃん!)

友達(しかし、男の父親がなんちゃらってのは、気になるな。確かあいつ母子家庭だったはず)
キーンコーン

友達「なぁ男」

男「何だ」

友達「お前の父さんって何してた人なの」

男「ぶほっ!? 突然、何だよ。し、知らないよ。前にも言っただろ。気がついたら
母さんしか居なかったって」

友達「ふーん」

男「き、急にどうしたんだよ」

友達「いや何となく」

男(まさか、バレてる?)

友達(聞き間違いか何かだったんかな)

男「も、もう帰ろうぜ! なぁ」

友達「あぁ、うん」

友達(しかしそれにしてはおかしい挙動だな男。もしかして、何か、隠してる?)

ごめん
寝る
眠いよ
トリだけつけとくからスレ残ってたら再開しまうす

休みの日はついつい寝過ごすもの
朝メシ食ってくる

幼馴染「…・・・」

男(何かすっげー機嫌悪そうだな幼馴染)

男(やっぱり俺が原因だよな)

友達「おなか大丈夫かな幼馴染ちゃん」

男「多分腹の所為じゃないと思うけど」

友達「チッチッチッ、お前は何も分かってねーな。多分あの日なんだよ」

男「あの日って何だよ……」

友達「あれ、それを俺の口から言わせちゃう? ヘンタイッ」

男「もうヘンタイで良いや」

友達「何だかリアクション薄いなー。もしかして、親父さんの事考えてる?」

男「き、急になんだよ」ビクッ

男(こいつもしかして全部知ってんのかな。そういや昨日幼馴染と遊んでたしな)

友達(こりゃ何かあるな)

男「あ、授業始まる」
キーンコーンカーンコーン

友達「さて、授業も終わったことだし、今日は俺と遊ぼうぜ」

男「いや、止めとくわ」

友達「何でだよー。幼馴染ちゃんは調子悪そうだしぃお前しかいないんだよー」

男「お前他にも友達居るだろ……つか部活どうしたんだよ」

友達「どうせ弱小野球部だから練習なんてしてもしなくても同じだ」

男「じゃあお前が頑張って甲子園にでも連れて行ってやれ」

友達「ダメだって俺センス×でサボリくせもあるから」

男「パワプロと現実一緒にすんなよ……」

女先輩「男くん居るー?」
ガラガラガラ

女先輩「今日も遊びいこー」

友達「あ、ダメっすよ、今日俺と先約あるんすから」

女先輩「私も予約してたんだけど」

男「俺のために争わないでぇ~」

友達「き、きめーから止めろそれ」

女先輩「ほらほら行くよ」

友達「いやいや」

女先輩「友達くん。男との約束と女との約束、どっちが大切だと思う?」

友達「そ、そりゃあ女との」

女先輩「じゃあ良いよね」ニコッ

友達「あ、でも今日だけは男同士の約束の方が優先っすよ」

友達(何とかして男から聞き出さないと、ずっとのらりくらりされるからな)

女先輩「だめだめじゃあ行くよ」ガシィ

男「あっ」

男(そもそもどっちとも約束した覚えはないんだけど)

男(でも、友達は何か勘付いてるってぽいし、あんまり話したくないな。どっかでボロ出たら嫌だし)

女先輩「なに、嫌だった?」

男「いえ、助かりました」

女先輩「? 何が?」

男「いえ、まぁその結果的に」

女先輩「まぁ良いや。どっか行きたいところとかある?」

男「その台詞は男側の俺が言うもんっすよ」

女先輩「え?そう?別に良いじゃん」

友達「うーむ。行ってしまった」

幼馴染「……」

幼馴染(何あれ。死ねば良いのに。先輩、死ねば良いのに)

幼馴染(人の男とっておいて、罪悪感すらないとか)

幼馴染(絶対、渡さないから)

友達「あ、幼馴染ちゃーん。調子どぅ?」

幼馴染「えっ、あ、うん、ちょっと良くなってきたかも」

友達「そっかーそんでさー聞きたいことあるんだけど」

幼馴染「き、急に何?」

友達「男の親父さんって、どんな人? 幼馴染ちゃん小さい頃から男と一緒っしょ?
何か分からない?」

幼馴染「え、し、しら、知らないよ。何も」

幼馴染(ば、ばれたら、男は学校辞めるかも。それは、嫌)

友達「そっかー、俺、幼馴染ちゃんと女先輩の話立ち聞きしちゃってさー」

友達(カマかけてみるか)

幼馴染「えっ!? き、聞いてたの!? 」

幼馴染(だ、誰も居ないと思ってたのに……)

友達「うん、だからさ、隠すことないんだよ」

幼馴染「……」

友達「だから、俺、知ってる。男の親父さん、」

友達(さぁ、引っかかるかな)

幼馴染「犯罪者だって事、聞いちゃったんだ……」

友達「は?」

幼馴染「え?」

友達「え、あぁ、いや、そう、そうなんだよな」

幼馴染「う、うん」

友達(マジかよ……)

友達「じ、じゃあ俺行くから。身体に気ぃつけろよ」タタタタタッ

友達(や、やばすぎるだろ……)

女先輩「しっかし今日も元気がないなー男子よ」

男「まぁ」

女先輩「何かあったのかい」

男「何だか、俺の親父の事、周囲にバレはじめてる気がして」

女先輩「……気にしなさんな。何かあれば、少なくとも私は助けてあげるから」

男「女に助けられるって何だか、情けない話っすね」

女先輩「世の中はいまや男女平等なんだよ。女が男を守ってもなーにも不思議じゃないよ」

男「でもやっぱ、逆ですよ」

女先輩「古臭い頭はどの頭ですかーこの頭ですかー」グリグリグリ

男「い、痛ひ」

女先輩「……あのさ、学校、辞めたくなったら、辞めても良いよ」

男「え、辞めるなって昨日言いませんでした」

女先輩「うん、でも、つらかったらさ、無理に続けろってやっぱ言えないよ。私も一緒に辞めてあげるから」

男「えぇ!? 先輩まで辞めることないっすよ」

男「それに、そこまで肩入れされたら、俺、先輩に惚れちゃうかも知れませんよ」

女先輩「いいよーどんどん惚れちゃって」

男「……お言葉だけ、ありがたく貰っておきます」

男(多分、本気なんだろうな。無駄に人情派だからな先輩)

男(辞めるときは、何も言わないで辞めよう……)

女先輩「ちなみに、私の言わないで辞めるとか、無しだから」

男「えっ」

女先輩「何となく君そんな事考えてそーだなと」

男「いえ、そんな事全然考えてねーっすよ」

女先輩(考えてたな)

男「さ、それよりどこ行きますか」

女先輩「じゃあ雑貨見に行こー。何かペアルックなもん買いに行こう」

男「そういうのは彼氏と買いに行って下さい」

女先輩「わざと言ってる?」

友達「しっかし、どうしたもんかこのネタ」

友達「大きすぎて俺の手に余る」

友達「他人に言うワケにも行かんしなー」

野球部員「何を他人に言うワケに行かないんだ」

友達「男の親父が犯罪者って事だよ」

野球部員「は、マジで?」

友達「うん? って、あ、お、お、お前いつから」

野球部員「いやいやそれよりも、今のマジかよ」

友達「いやいや、嘘、ただの冗談だから、忘れろ」ドガッ

野球部員「いて、いて、やめろ!」

友達「何故気絶しない……」

野球部員「マンガじゃねーんだから手刀で気絶なんてするわけねーだろ」

次の日

男(クラスが、ざわざわしている)

クラスメイト男「何かさー男の親父って人殺したらしいぜー」ヒソヒソ

クラスメイト男2「俺はカルトの教祖やっててテロしたとか聞いた」ヒソヒソ

クラスメイト女「マジヤバクなーい」ヒソヒソ

男(な、何だこの空気は)

男(俺を見ながら、ヒソヒソ何かの話をしている)

男(まさか、って、多分そのまさかだよなぁ……)

友達「よ、よぉ男」

男「あぁおはよう」

友達「お、俺はいつまでもお前の友達だからな」

男「ん? あ、あぁ」

友達(俺の所為で広まったとか口が裂けても言えない)

ガラガラガラー
先生「ほら授業始めるぞー。あ、そうだ、男、お前は後で職員室来い」

男「はぁ、何の用すか」

先生「まぁ、その、な」

キーンコーンカーンコーン
ガラガラガラー

男「しゃっす」

先生「きたか」

男「んで、何の様すか」

先生「いや、そのな、校内でお前の事が噂になっててな。正確には、その、お前の親父さんの
事なんだが」

男「親父が犯罪者って事すか」

先生「あ、あぁ。それは、本当なのか」

男「まぁ、本当っす」

先生「!? い、いや、良いんだ。お前と親父さんは違う。やさぐれたり、悪の道に
入ったりするんじゃないぞ」

先生「……それに、言いづらい事を、良く、言ってくれた。その勇気は、一生の宝物だと先生は思うぞ」

男(何か上手い具合にいいこと言おうとしてる)

男(まぁでもこりゃもう学校居れないな)

男「先生、すんませんけど、退学届け貰えないっすか」

先生「っ!? だ、ダメだ! 今言ったばかりじゃないか! そうやって悪の道に
入ることの手助けを先生は出来ない」

男「いや、だってこのままじゃ学校居づらいですし」

先生「ちょっとだけ、昔話させてくれ。先生な、何で先生になったかって言うと……」

男(何か長そうな話が始まりそうだ……)

先生「……と言う事なんだ。先生はな、お前みたいに、どうしようも無く、しかし純粋に
生きたいと願う子供たちを導いてやりたいと思ってだな……」

男(もう一時間も話してる。超長ぇ)

男「あーあのー」

先生「何だ」

男「俺別にやさぐれたりするために退学するワケじゃないっす」

先生「嘘を付くな」

男「いや、大検とか通信制とか通って、適当に生きていきますから、お構いなく」

先生「普通高校出てないと、社会からつまはじきにされるぞ?」

男「もうされてるんで」

先生「だから、そうやって腐るなと」

教頭「良いじゃないですか」

先生「へ?」

教頭「思うところがあって決めたのでしょう」

先生「し、しかし」

教頭「このまま学校に居ても、好奇の目にさらされ続ける事にしかなりません。それこそ、
先生の望むやさぐれた道に進むかも知れません。今私たちに出来ること、彼の言う所の
大検や通信制などを調べてあげて、協力してあげることではないですか」

先生「しかしですね」

教頭「教師としての面子よりも生徒の未来が大事だと本当に思うのならば、無理に留めることだけが
正解では無いと理解するべきではないですか」

先生「……」

教頭「私も、君と似たような事情でね、定時制の出身なんですよ。まぁ、今と違って、そういった
事情も珍しくはない時代でもありましたが」

望むじゃねぇ望まないの間違いだ

先生「……分かりました」

教頭「もうそろそろ暗くなってきます。君は帰りなさい」

男「あ、はい」ガラガラピシャン

教頭「さ、調べますか」

先生「……私はもう帰ります」

教頭「そうですか? ではお気をつけて」


女先輩「やほ」

男「うぃーっす」

女先輩「何時間待たせたと思ってんの」

男「いや、先生に呼ばれて。てか、待っててくださいって言った覚えありませんけど」

女先輩「別に好きで待ってるだけだし。てか、何か悪い事でもした?」

男「……いえ、何かそのありがとうございます」

女先輩「いきなり、な、何?」

男「薄々分かってて、わざと話題からはずしてくれましたよね。今」

女先輩「……」

男「……そんで、すんませんけど、今日は一人で帰り」

女先輩「一緒に帰ろ」

男「……ちょっと考えたい事がありまして……」

女先輩「……そっか」

男「じゃあ」テクテクテク

女先輩「……」テクテクテク

男「……」テクテク

女先輩「……」テクテク

男「な、何で付いて来るんですか」

女先輩「え、別に。ただ帰る方向が一緒なだけ」

女先輩「それに、何か、君いきなり居なくなっちゃいそうで」

ごめんちょっと出かけてくる

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