ミーナ「ん~・・・ふぁぁ・・」(53)
朝、目が覚めて一番に思い浮かぶこと
『今日はエレンとのデート』
なんて、まぁ形としては皆が仕掛けくれたこと・・・
私が素直にデートに誘うなんて無理なんだから・・
そもそも、私『なんか』が、エレンをデートに誘えなんかない
特別可愛いわけでもない、特別優れた能力を持っているわけでもない
そう。私は魅力を持ち合わせてないんだミーナ「ん~・・・ふぁぁ・・」
最後のとこバグって入っちゃいました。さーせん
そんな弱気な私に対して、クリスタやアルミンが手を回してくれたの
だから、だからせめて1日だけでも幸せな時間を過ごせれればいい
私はそれで満足なの
所詮、私は物語のメインヒロインになれない。
決して、繋がることはないサブヒロインとしてでもいい
エレンの目に映りたい
これが私。ミーナ・カロライナとしての理想
「どうかな・・・変じゃないよね」と1人鏡に話しかけてみる
そう。いつもと違った髪型をしていくんだ
前髪を残して、後ろ髪は弱ポニテで・・
「どうしたの?」と、少しでもエレンに聞かれたい
少しでも・・少しでもエレンと会話したい
別に妥協をして『少しでも』と言っているんじゃない
私には相応しくない。
そう確信しているからこその言葉なんだ
初めて履く新品の綺麗なスカートに、小さく派手さ抑え目の髪飾りをさして
「今日の私は可愛いのよ!」
これが私の出来る精いっぱいの可愛さ!自分の精神を強気にさせるように心に言い聞かして
私は外の世界へと続く扉を開いた
待ち合わせ場所に向かう途中に、ふと考える
折角、こんな時をもらえたんだ
言う時は今日しかない・・・
でも、私は絶対に言えない
「好き」だなんて・・・
とても恥ずかしい・・
とても目を合わすことも容易ではない・・・
だって、私はエレンが大好きだもん・・
折角設けられた、この機会。
私は言うべきなんだと思う
もう次はないから
でも、言ってフラれたら終了
次の日には、私はエレンの決して知らないどこか遠い国の住人になってるはず
告白なんて、そんなもんさ
告白には絶縁か付き合うの二択しかないもの
だから、人は迷うんだ
特に私なんてエレンにとって料理でいうパセリだと思う
食べる人なんて数少ない。むしろ食す人の方が珍しいくらい
それくらい、私のことを考える人はレアに近い
気にしないほうが普通。常識。当然。当たり前
照れ隠しと心の葛藤
それが私のエレンとのデートへの心持ちである
今夜分は終了
太陽が元気過ぎるくらいに輝いているにも関わらず少し肌寒い
「よっ、遅れちまったか?」と声が聞こえた。
エレンは片手を挙げて私を見ながら、少し小走りで駆け寄ってくる
10分前には着いてた私に対して、エレンは5分前に着いた
10分の余裕が有ると思い、心の準備をしていたけど・・早過ぎだって・・・
「そんな待ってないよ」と、私は緊張で固まってしまった頬を不自然に見えないように、ニコッとさせた
大丈夫・・・昨日の夜に鏡でたくさん笑顔の練習をした
だから絶対に変じゃないはず。と、私は心に言い聞かせた
エレン「いつもと違うよな」
いつもと違う髪型を気にかけてくれた
嬉しい・・・とても嬉しい!天にも昇る気分とは、このことだ
ミーナ「どうかな・・髪型似合ってるかな・・・?」
エレン「違うぞ・・」
やってしまった・・
私は調子に乗ってしまったのか?
正直、自分でも何をしてしまったのか、そして今何を言ったのかも忘れるくらい頭が真っ白になっている
エレン「お前の笑顔がいつもと違うってことだな」
エレンは歯を見せ図鑑に載せたいほど絵になる笑顔を私に見せてくれた
そして私は人生の一番の幸せをここで噛み締めていた。
今までの自分の考えを覆す事態が今起こっている
エレンは私を見ていてくれてた!
私はエレンの笑顔を見れたということよりも、自分がエレンの視野に入っていたということに喜びを感じている
幸福感に包まれクラつく気持ちを抑え、次の言葉を考える
調子に乗ったら、ダメ・・・
でも、言いたい。自分が安心したい。
私は確認したい!
私はまた自分の出来る精一杯の笑顔を作り
ミーナ「いつも見ていてくれてたんだ」
少し頬を染めつつエレンを見つめて、そう伝えた
ここまで。ということで
エレンは「当たり前だろ」と一言言ってくれた
ありがとう・・・私は幸せ・・
幸せ過ぎて、心がキュウキュウと痛い・・・
顔が火照るのが分かる
顔が熱い・・・
なんて俯いている私の隣でエレンは右足を踏み出し少し前を出て、私を見つめ
エレン「よし、行くか?」
高まった心の動揺を抑えつつ、大きく息を吸い・・
エレンに続けて
ミーナ「うん!」
私は右足を踏み出した
時間は簡単に過ぎ行く・・・
エレンとの時間は、音の速さかと思えるくらい過ぎるのが速い
エレンを見つめているだけで、1時間も2時間も・・・
エレンと話しているだけで、1時間も・・・
そんな幸せな時間も、いつまでも続くわけじゃない・・
でも、その幸せな時間の1秒1分・・・全てを私は大切に思う
だが・・・・人生甘くない・・
溜め息が出てしまう
朝見てきた天気予報では晴れと言っていた
家を出る時は日差しが辺り一面を包んでいた天気だった。
安心していた・・・
けど・・・
私は天気予報に嘘をつかれた
まるで天の神様が私に悪戯でもしているのかのよう・・・
大粒の雨が街を包んでいる
真っ黒の雲が空一面を覆っている
ああ・・・最低だ
今日はただ2人で訓練の備品を買う簡単なこと
買い終わり帰る時のことでした
このまま晴れていたら2人でどこかに寄ろうか。と言える雰囲気だったが
生憎の天気・・・
誰かが「早く帰れ」と私に言っているよう・・・
天の神様を私は嫌いになりそうだ
エレン「雨が降ってきたし、帰るか」
ミーナ「・・・・・うん。そうだね・・」
私のこの悲壮感に打ちひしがれている気持ちなんて気にすることなくエレンは次々と歩みを進めていく
歩幅の合わなく少し先を歩くエレン・・・
当然のように通った道を折り返し、帰るという流れ・・・仕方ない事だ
言葉にできない心の窮屈さ
怒りというより、哀しみが私を包んでいく
他のものによって、私の大切なものが奪われたと思うと・・・辛い・・・・・辛すぎる・・
「そういえば・・」と思い出し、私は鞄に入れていた折りたたみ傘を取り出した
今日は決して使うことのないものと思っていた
もし傘に心があったら、まさかと感じ溜め息の出るようなことだろう
どうでもいい考えをしながら、私が傘を開こうとしたら
「しょうがないから入ってやる」
なんて隣にいるエレンは、ほっぺたをかきながら目線を逸らし私に告げてきた
「・・・・・え・・・・・・・・」
突然のことに私は対応できない・・・色々考え過ぎて頭がショートしそうだ
「一緒に入ろうぜ」
エレンは私をジッと見つめたと思ったら、ニカッと白い歯を見せ、そう私に告げてきた
あっ・・・・
「・・うん・・・・一緒に・・・入ろっか」
「おっ!いつも笑顔になったな」
・・ドクン・・・・ドクン・・・・・
胸が高まる・・何度目のドキドキだろう
「そうかな・・・ありがとう!」
やっぱり・・
私は理解できた
やっぱ大好きなんだ・・
私はその笑顔も、照れ隠すエレンの性格も・・・
全部・・・・全部ぜんぶ大好きなんだ!!
私は恋に落ちる音がした
途中トリ忘れてました
更新遅くて、ごめんなさい
ただただ雨の音を聞きながら兵舎へ足を進める
心臓のどくんどくんという音が頭に響く
雨が落ちる速度みたいに私の心拍数も上がる
右手で持っている折りたたみ傘・・・
2人肩を寄せあわなきゃ濡れてしまう・・
エレンから私に寄ってきてくれてる
エレンに触れているこの右手がとても震えてしまう
こんな緊張しているの気付かれたくない・・
平常心でいられない私が恥ずかしい
エレンはどう思ってるのかな・・・
やっぱ何も思ってないよね・・
だって隣にいるのが私なんかだもん
私なんて真っ白な紙に白の絵の具で塗られたような存在だもの・・・
エレンみたいに太陽のような赤やオレンジのような暖かい色には合わないもの・・
ふいにオドオドと顔を伏せていたら
「どうした?体調でも悪いのか・・・?」
ああ。無駄な心配をかけてしまった・・・
すると・・・
エレン「ちょっと止まってくれ・・・」と言い、エレンの左手が私の前髪を分けて入り、額に手が触れた
ミーナ「わっ・・・」
つい、驚きのあまり声が出てしまう
だって私の思考回路ではこんな突然過ぎる出来事に処理しきれない
エレン「あっ・・・ごめんな。俺の手ちょっとばかし冷たかったか・・・?」
雨が降って気温が落ちたのか、エレンの指先はエレンの言った通り、凍った氷のように、ひんやりとしてた・・・
でも、私の上がり過ぎた体温に対して、それはとても気持ちよかった
ミーナ「だ、大丈夫・・・少し驚いただけ」
大きな手が私の額を12秒ほど触れていた
そして、そんな私をのぞき込むようにエレンは見つめている
エレン「少し熱いかな・・・」
それは仕方ないよ
だって大好きな人が私に触れている
手を伸ばせば届く距離に、エレンはいるのだから・・
こんな近くにいたら、私の血も体温も沸点を超えてしまいそうだよ!
エレン「もう1回・・・確かめていいか?」
ミーナ「う、うん・・・」
私は隣にエレンがいるだけで、体温38度は余裕で超えることだろう
今だって、きっとそうだ・・・
エレン「ちょっと目を閉じてくれ」
ミーナ「うん・・・?」
なんで目を閉じなきゃいけないの?
エレンは私に見られるの嫌なのかな・・・
ぴとっ・・・と、また私の額に人の肌が触れるのを感じた
・・・・・違う・・・さっきと違う・・
手の独特の柔らかさ・・・そして、さっきのひんやりした温度が感じられない
そっと目を開くと・・・
エレンの目が2センチ先にあった
顔を少しでも動かしたら鼻が触れてしまいそう
エレン「あっ・・・悪いな。俺の手は冷えきっちまって、あんましどれくらいか分からないんだ」
ミーナ「そうなんだ・・・」
神様、仏様・・・お願いします!
どうか時間を止めてください・・
いつまでもこうしていたい!
近くて下手したらキスという事故が起こってしまいそうな距離・・・
・・言葉に出来ないくらいに幸せすぎる・・・
嬉しくて・・・嬉しくて!!泣きそう・・・
生殺しだよ。照れすぎて死んでしまいそう
エレン「ミーナ・・・やっぱり熱があるな」
ミーナ「だ、大丈夫だって・・・」
別の意味でもう私は大丈夫じゃない・・
エレン「ほら、少し汗をかいてるし・・・」
エレンはそう言いながら冷たい左手が私の頬を撫でるように掴む
触れられて私は少し身体が反応しピクっとなる・・・
そして、そのまま素手でエレンは私の汗を拭った
ミーナ「・・・ごめんね。汚いよね・・・・」
エレン「気にすんなって。汚くなんかねえよ」
ミーナ「・・・・・」
また俯く私・・・
私、エレンに迷惑かけてばっか・・
心配かけてばっか・・・
エレン「さっ、行こうぜ。もうそろそろ兵舎に着くし・・」
ミーナ「あのさ・・・」
エレン「どうしたんだ?」
ミーナ「私って、迷惑だよね・・・」
エレン「そうだな・・」
そっか・・・やっぱ私って
「なんて・・・嘘だよ」
ミーナ「えっ・・・」
エレン「熱が出るくらいなんだって言うんだよ。男は寧ろ頼りにされるほうが嬉しいんだからな」
これは今日で何度目のエレンの笑顔だろうか
ダメだ・・・
泣きそう・・
いや!もう泣く・・・涙腺がもう耐えきれない・・・
エレン「お、おい・・・どうした。やっぱ俺じゃ嫌か?」
ミーナ「ち、違うの!つい嬉しくて・・・」
ほら・・・やっぱ無意識にまたエレンを心配させちゃう
エレンが困った顔をしてる・・
でも涙は今降っている雨のように止まる気配はない
もう頭の中は、エレンでいっぱいだよ
エレンを抱き締めたい・・・
うぅん・・・抱き締めてほしい
エレン「もう兵舎に着くからな!早く医務室行こうぜ」
ミーナ「うん・・・」
でも、やっぱり言えないや
私はこのままでもいいや・・・
今日、それが実感できたから
そう・・・それに、
抱き合うなんてこと・・・告白なんてこと・・・・
まだまだ私には早かったかな?
でもまあ、私がただヘタレだったってことか、この距離に満足してるかっていうことなんだよね・・・
でも1度くらいはエレンの温もりは感じてみたいな
なんてね
「じゃあ、また明日一緒に訓練しような」
「うん!またね」
おわり
このSSまとめへのコメント
メルトだね
ミーナ可愛い!
これは、もっと評価されるべき!
エレンぼっちの作者のなんでしょ?
やっぱ前作からおもしろいな
書き方がうまい
1»ですね!ミーナ・カロライナ可愛い!脇役的なミーナこそ可愛い! 2»そうだそうだ!もっと!評価!される!べき!なんだぁぁぁ!
イイハナシダナァー