妹「Q・E・D!Q・E・D!」兄「え?」(931)
妹「私のパンツ、知りませんか?」
兄「なんでそんなことを俺に聞くんだ」
妹「お気に入りのしましまパンツだったんですけど……」
兄「ほうほう」
妹「兄さん、縞ぱん好きですよね」
兄「う、うん……まぁかわいいよなあーいうパンツ」
妹「以上、証明終了です。犯人は兄さんです」
兄「むちゃくちゃやがな」
兄「大体、盗まれたって決め付けるのも良くない」
妹「洗濯機の中も、物干し場も探しましたけどみつかりませんでした」
兄「タンスに入ってたんじゃないの?」
妹「無くなったのに気がついたのは今日ですけど」
兄「ふむ」
妹「お風呂で昨日脱いだものなんですよ」
兄「となると、物干し場で盗まれたとか」
妹「兄さんの部屋を確認させて下さい」
兄「やだよ、そんなあらぬ疑いで押し入られるのは」
妹「確認拒否……証明終了です。犯人は兄さんです」
兄「使い方間違ってないか?」
妹「間違ってません」
兄「大体、妹のパンツを盗んで俺が何の得をするんだ」
妹「それは多分、そのパンツを寄り代にして私を慰み者にするためかと」
兄「遠まわしに直接的な表現方法をありがとう。でもな」
妹「はい?」
兄「妹で欲情したりしない。だからお前のパンツを盗んだりはしない」
妹「それを証明できますか?」
兄「証明って言われても」
妹「……これを見てください」ファサ
兄「!?」
妹「イチゴ柄のパンツなんですけど、これもお気に入りなんです」
兄「な、なんでたくしあげて見せるんだよ……」
妹「こ、これを見ても欲情しませんか……?」
兄「しないしない」
妹「どうして前かがみになるんですか?」
兄「もともと猫背だから」
妹「よく見えるようにストッキングも脱ぎますね」スルスル
兄「やめろー!」
妹「膝まででいいですね……さぁ兄さん、よく見てください」
兄「あうぅ」
妹「鼻息も荒く、顔面紅潮を確認。欲情していると判断。兄さんは妹のパンツで興奮してますね」
兄「い、いきなりそんなことされたらちょっとは」
妹「兄さんは妹のパンツで興奮する人間である。そのため私のパンツ盗難に関わっている可能性も否定できません」
兄「いくらなんでも強引杉」
妹「……」ファサ
兄「よせって」
妹「縞ぱんを返してくれたらこっちのパンツを差し上げますから」
兄「だから盗ってないってば!」
妹「強情ですね……困りました」
兄「もういいだろ、俺は忙しいんだ」
妹「忙しいといってもゲームでしょう」
兄「ゲームだって大事な用事なんだ」
妹「兄さんが犯人でないのなら、私のパンツ捜索に付き合ってください」
兄「えー……」
妹「この事件には何か大きな組織の力が関与している可能性があります」
兄「組織ってなんだよ」
妹「それではまず現場検証からはじめたいと思います」
兄「待ってー」
~脱衣所~
妹「私は昨日の夜、ここで服を脱いでお風呂に入りました」
兄「当たり前だろ。ここ以外でどこで脱ぐんだ」
妹「兄さんは部屋で脱いでからお風呂に行くでしょう?」
兄「たまにはそういう時もあるけど……もともと薄着のときとか」
妹「お風呂上りまでには確かにあったんです」
兄「ふーん、洗濯したんだろ」
妹「ブラジャーがあるから、それは無いです」
兄「あ……本当だ」
妹「ところで、このブラジャーをどう思いますか?」
兄「どうって言われても」
妹「しましまでしょう?」
兄「う、うん……」
妹「かわいいと思いませんか?」
兄「えーと、うん。まぁ……」
妹「どうして前かがみになるんですか?」
兄「う、うるさいな」
妹「上下セットだから、下だけなくなると非常に困るんです」
兄「それはなんとなくわからんでもない」
兄「洗濯機の裏とかに落ちてるんじゃないのか?」ゴソゴソ
妹「兄さんの部屋にある可能性のほうが非常に高いです」
兄「まだ言うか」
妹「確かに洗濯籠の中にいれたんですよ」
兄「ふーん……」
妹「そのときの状況を再現すると、こうです」スルスル
兄「ちょ、なんで服を脱ぐんだよっ!」
妹「実況見分の一種です」プチ
兄「こ、こら」
妹「兄さんは妹の胸でなんか欲情しないでしょう?」プルン
兄「あぅぅ……」
妹「そして、パンツはこう脱いで」スルスル
兄「……」
妹「このかごに入れました」ポイ
兄「……」
妹「そして私はお風呂に」ガララ
兄「おい、風呂から上がるまではあったんだからいいだろ。そこまで再現しなくても」
妹「あ……そうですね」
兄「まったく」
妹「でも、せっかくだから一緒に入りませんか?」
兄「な、なんななな」
妹「さぁ、はやくズボンを脱いで下さい」カチャカチャ
兄「何をするんだ!」
妹「いいからはやくー!」ズルル
兄「あーれー」
妹「……むむむ」
兄「な、何すんだよっ」
妹「最悪、兄さんがはいている可能性も考慮したのですが」
兄「お前の兄貴像はどこまで最低なんだよ」
妹「これでQ・E・Dならだいぶ楽だったんですが……」
兄「いいから服を着ろって!」
妹「去年までは一緒にお風呂に入ってたじゃありませんか」
兄「去年は去年、今年は今年だ」
~物干し場~
妹「話をまとめると、昨日の夜から今日の夜にかけて私のパンツはなくなりました」
兄「うむ、期間が長すぎて特定が難しいな」
妹「この家でその間ずっと滞在し、なおかつフリーダムだったのは兄さんだけです」
兄「痛いところをついてくるな」
妹「そしてご覧の通り、物干し場にも私の縞ぱんはありません」
兄「もっとよく探してみろよ……手伝ってやるから」ゴソゴソ
妹「一見協力的な人が実は真犯人はよくあるパターン……これでまた兄さんにフラグが立ちました」
兄「どないせいちゅーねん」
兄「おっ!これは!」
妹「なんですか?」
兄「フッフフ、よくも人を犯人扱いしてくれたな」
妹「?」
兄「これを見ろ」ドーン
妹「縞ぱん!?ど、どこにあったんですか」
兄「いや、これ普通に干してあったから」
妹「よ、よく見せてください」
兄「ほれ」
妹「……」
兄「これでこのばかげた騒ぎも終結だな」
妹「……これはお母さんのです。私のではありません」
兄「げろげろ」
妹「そんなに嫌そうな顔しなくてもいいじゃありませんか」
兄「くぅう、母ちゃんのパンツに触ってしまった」
妹「ちゃんと洗濯してますよ?」
兄「そういう問題じゃない」
妹「私のは洗濯してなくても盗るくせに?」
兄「しつこいなぁ。ていうか盗るのは洗う前じゃないと意味無いだろ」
妹「……今の発言は危険ですね。自分が犯人だと認めたようなものです」
兄「違うってば!一般的にはそうだろ」
妹「まあ、まだ証明終了しないでおきます」
兄「あくまで第一容疑者なんだな、俺は」
妹「でも、私のパンツは触っても平気なんですか?」
兄「うーん、お前のは……平気かな」
妹「ふ、ふーん……どうしてですか?やっぱり妹に欲情する変態だから?」
兄「棘があるなぁ、もう」
妹「最初から言ってくれれば、兄さんにさしあげても良かったのに」
兄「誘導尋問のつもりか」
妹「母さんのパンツじゃだめなんですか?」
兄「俺が犯人じゃないという前提で話すけど、母さんのパンツとか無理。有り得ない。見たくも無い。キモイ」
母「ほほー……あんたいい根性してるわね」ボキバキ
妹「あ、母さん」
兄「ひぎぃ」
兄「いてて……」
妹「災難でしたね」
兄「お前母さんいるの知ってて話したろ……ったく」
妹「ふふ、どうでしょう」
兄「ここはもう実況見分おしまいか?」
妹「あ、これは私のパンツですよ」ヒラヒラ
兄「よせって」
妹「ゴムが少しゆるくなってるんです、ほらほら」ビヨーン
兄「やめろー!」
妹「やはり妹のパンツに過剰な反応を……怪しさは募るばかり、マル」
兄「何書いてるんだ?」
妹「捜査日記です。こうしてデータを蓄積して論理を構築していくのが私のやり方です」
兄「一丁前のことをいいやがる」
兄「で、どうするんだよ。洗濯籠にもない、物干し場にもない」
妹「そこまではスタート時点でわかってたことですから」
兄「カラスがつついて持っていった可能性は?」
妹「推理小説は人が犯人でなくてはなりません。そういう決まりがあるんです」
兄「チンパンジーが犯人の推理小説の名作を知ってるけど」
妹「そ、それはもう古いです」
兄「どの道、鳥が犯人だったらお手上げだけどな」
妹「とりあえず、次は私の部屋ですね」
兄「まだ続くのか……」
~妹の部屋~
兄「なんで風呂場で脱いだパンツをお前の部屋で探すんだ?」
妹「可能性としてはいくつか考えられます」
兄「聞こう」
妹「まず、私の縞ぱんだけ母さんが洗濯し、干せたところでタンスにしまった」
兄「なんでお前のだけ別口で洗うんだよ。そんなに汚れてたのか?」
妹「兄さん、口の利き方に注意して下さい」ゴリッ
兄「足を踏むのはやめてくれ、痛い」
妹「どんなにありえなそうなことでも、他の可能性を排除し、残ったものが真実です」
兄「ホームズの決め台詞だな」
妹「もうひとつは、兄さんがその獣欲をみたした後、何食わぬ顔でタンスにしまいこんだ……」
兄「そこまで露骨に間抜けな犯行を犯す奴がいるだろうか」
妹「いるんですよ、世の中には結構」
妹「じゃあ、タンスの中を見てみます」
兄「ここはまだ確認してないのか?」
妹「はい」
兄「早い段階で探すべきところだろ。もしあったらどうしてくれるんだ」
妹「その時は縞ぱんを兄さんに差しあげます」
兄「いや、いらないから」
妹「そろそろ本当のことをいってもいいんですよ?」
兄「バカなこと言ってないで見てみよう」ガラ
妹「そこは、私の下着がいっぱい入ってます」
兄「そ、そのようだな……」
妹「どうですか?ありますか?」
兄「うーん……」ゴソゴソ
妹「えっちですね。私の下着の山に手を突っ込んで」
兄「そんなこというなら手伝わないぞ」
兄「えーと、ピンクの縞ぱんがあるけど」
妹「それはまた別のですね」
兄「この、黒と白のやつは」
妹「それも違います。無くなったのは水色のですから」
兄「なんでそんなに一杯縞ぱん持ってんだよ」
妹「にいさ……男性が好む下着だと聞いて」
兄「人によると思うけどな」ゴソゴソ
妹「に、兄さん。あんまり引っ掻き回さないでください」
兄「調べてるんだからしかたないだろ……おや」
妹「なんですか?」
兄「トランクスがあるけど、これもお前の?」
妹「ギク」
兄「なんだよ、その露骨に怪しい反応は」
兄「なんか俺が去年なくした奴に似てるけど……」
妹「そ、それは母さんが捨てるっていってたもので」
兄「え?そうなの?」
妹「もったいないから、私が部屋着にしてたんです……けっして兄さんみたいな使い方はしてないです」
兄「俺みたいなってなんだよ」
妹「こう……私の下着で、ごしごししてるんですよね?」シュッシュ
兄「パントマイムは止せ、生々しい」
妹「わ、私は他のところを調べますから!あんまり散らかさないでくださいね」
兄「はいはい」
妹「兄さん兄さん」
兄「なんだよ、タンスにはないぞ」
妹「ここを見てください」
兄「窓枠……なんだよ、これがどうした」
妹「よく見てください。窓枠に少しだけ土がついています」
兄「あ、本当だなぁ……なんだこれは」
妹「これは、賊が外から私の部屋に侵入してきた可能性を示すものです」
兄「そうかなぁ……猫かなんかだと思うけど」
妹「兄さんが昨夜、あるいは今日の昼、ここから侵入し、タンスからパンツを盗んでいった……」
兄「ちょ」
妹「兄さんの靴に土が付着していればQ・E・Dですね……検めさせてもらいますよ」
兄「仮に俺が犯人でも、なんでわざわざ外から入らなくちゃいけないんだよ」
妹「そう思わせることが兄さんの作戦です。靴を持ってきてください、さぁさぁ」
兄「気が済んだか」
妹「うぅ……そんなはずは」
兄「犯人俺説から少し離れたほうがいいんじゃないのか?」
妹「あ、洗ったんです!靴を洗って、何食わぬ顔で持ってきた……」
兄「そもそもここ二階じゃないか。伝って登れるような雨どいも無い」
妹「それはきっと、兄さんが部屋から窓伝いに侵入してきたんです」
兄「それなら、靴を履いてるのは変じゃないか?」
妹「あぅぅ……」
兄「もーいいだろ。新しいのを買ってやるから諦めろ」
妹「まだですッ!兄さんの部屋を確認します」
兄「あーもう、好きにしてくれ」
~兄の部屋~
兄「どこを調べるんだ?」
妹「というか兄さん、散らかってますね」
兄「まぁ、こんなもんだろ」
妹「だめですよ、いくら冬でもウジがわきます、こんな部屋」
兄「そんなに汚くも無いと思うんだが…」
妹「とりあえず兄さんの部屋の掃除もかねて捜索しましょう」
兄「えぇー……いいよ」
妹「駄目です。依然として一番怪しいのは兄さんなんですよ」
兄「はいはい」
妹「いま掃除機を持ってきますから、ちょっと待っててください」
妹「♪」ガーガー
兄「悪いな、部屋の掃除までさせて」
妹「捜査のためですから、気にしないでください」
兄「この本もまとめて捨てるか」
妹「ちゃんと資源ごみにださないと駄目ですからね」
兄「わかってるよ」ペラッ
妹「掃除の最中に古い雑誌を読み返すのは止めましょう」
兄「ついな」
妹「『……らめぇッッ!おにいひゃ……イクよぉっ……』」
兄「音読はやめような」
妹「これは重要な証拠になりますね。裁判の際には提出させていただきます」
兄「たまたまこういう漫画も連載してるってだけだろ!」
妹「ふぅ……一通り片付きましたね」
兄「見つかったか?お前のパンツは」
妹「……見つからないです」
兄「つまり、この部屋にはないってことだ」
妹「お、おかしいです……そんなはずは」
兄「ふーむ……」
妹「やっぱり兄さんが履いてるんです、そうに違いありません」
兄「さっき確認したじゃないか。履いてないし」
妹「この家のどこにも無いのです。パンツが一人で歩き回るはず無いでしょう」
兄「そらま、そうだけど」
妹「たった今、ひとつの仮説を思いつきました」
兄「聞こう」
妹「……女の子のパンツは、非常に面積が小さいです。それはわかりますか?」
兄「言ってる事はわかるけど、意味がわからない」
妹「つまり、その上からボクサーパンツを履けば、見た目はわかりません」
兄「なんという暴論」
妹「この事件の真相は……兄さんのパンツ二枚重ねによる犯行の隠匿、これでQ・E・Dです」
兄「ま、待て」
妹「待ちません、いきますよー!」ズルルル
兄「アッー!」
兄「うぅ……」ボロン
妹「あれ……履いてない」
兄「さっきからそう言ってるじゃないか!」
妹「そ、そんな……私の推理が……」
兄「推理と思いつきの違いを学ぼうな」
妹「むっ……!生意気です」
兄「それよりパンツをもとに戻してくれ、寒い」
妹「ふーふー」
兄「息を吹きかけるなっ」
妹「なんか、芋虫みたいです」ジーッ
兄「凝視するなよ」
妹「……くんくん」
兄「においを嗅ぐのも止めてくれ」
妹「とりあえず、兄さんが履いてないことはわかりました」
兄「ご覧の通りだ」
妹「しかし、私のパンツを何らかの事情で使用した可能性は否定できません」
兄「はぁ……なんだか面倒くさくなってきた」
妹「何かしら証拠が挙がる気がしますので、調べさせてもらいます」
兄「は?」
妹「何か、水色の繊維でもみつかれば、重大な証拠になるんですが」サワサワ
兄「うひゃひほうっ!」
妹「へんな声を出さないでください……糸くずひとつでも大事な証拠になるんです」サワサワ
兄「うおぉ……」ムクムク
妹「あ……」
兄「な、なんだよっ!」
妹「おちんちん、大きくなってきました」サワサワ
兄「触られると大きくなるのは自然の摂理だ」
妹「ふぅーん……シワがなくなって調べやすくなりました」ツンツン
兄「つつくな」
妹「……れろっ」ペロ
兄「な、なんで舐めるんだよっ!」
妹「つ、つい……」
妹「なかなか見つからないです……」サワサワ
兄「くぅっ……だから使ってないって……」
妹「兄さん、この毛の中が怪しいです」サワサワ
兄「そんなこといわれても」
妹「んー……顔に棒が当たって邪魔です……」ニギッ
兄「はふぅ!」
妹「ん?兄さん?」ニギニギ
兄「握るのは止めてくれ」
妹「へぇ……どうしてですか?」ニギニギ
兄「ちょっと変な気持ちになるから」
妹「兄さん兄さん」シコシコ
兄「しごくなー!」
妹「あはは、これは面白いです」
妹「本当のことを言ったら、開放してあげますよ」シコシコシコ
兄「ほ、本当のことって……」ビクビク
妹「私の縞ぱん、返してください」シコシコシコ
兄「だ、だから知らないってば」
妹「まだ、そんなことを言うんですか……ぱくっ」カプ
兄「っ!」
妹「パンツなんか盗まなくても、ちゅぱ……言ってくれればいいのに」チュパチュパ
兄「盗んでないっ」
妹「待っふぇくらふぁいね、今脱ぎまふから…」シュル
兄「な、なんでパンツを」
妹「……私のパンツで……こうしたんじゃないんですか?」シコシコシコシコ
兄「アッー!」
妹「さぁ兄さん、いい加減吐いてください」
兄「くぅう……」ビクビク
妹「汚してもいいですよ……洗濯しますから」シコシコシコ
兄「ま、また無くなったらどうするんだよ」ビクン
妹「また無くなったら兄さんと一緒に探します」シコシコシコ
兄「そ、そんなに簡単にパンツがなくなるわけないだろ」ビクン
妹「ふふ、そうですね」シコシコシコ
兄「つまり……最初からそんなものは無かった……と」ビクビクン
妹「えっ…」シコシコシコ
兄「俺の推理では、お前の狂言の線が非常に濃厚だ」
妹「」ギク
妹「そ、そんなはずないです、私は……」シコシコシコ
兄「そもそも、お前のその縞ぱんとやらを、俺は見たことがない」
妹「それが根拠ですか……?買ったばかりかもしれないですよ」シコシコシコ
兄「いつもお前は、買ったばかりのパンツは俺に見せてくるじゃないか……」ビクビクン
妹「縞のブラジャーがありましたけど……それは?」シコシコシコ
兄「上下のアンバランスで萌えを刺激するためのお前の作戦……」
妹「完璧です……兄さん」シコシコシコシコ
兄「こ、これが俺のQ・E・Dだッ!」ドピュピュ
妹「きゃッ!!か、顔に……」
兄「ふぅ……」
第一部完
妹「妹の性感帯ベスト10、すべて当てるまで帰れま10!」
兄「は?」
妹「兄さんにはこれから私の弱点を当てていただきます」
兄「いやいや・・・どういうこと?」
妹「全部当てないと部屋に帰しません」ガチャリ
兄「話を聞けよ」
~数日後~
妹「兄さん兄さん」
兄「ん?どうした」
妹「冷蔵庫にプリンがあったんですけど」
兄「あーあったな」
妹「兄さんプリン好きですよね?」
兄「まぁ好物だな」
妹「あれば食べちゃいませんか?」
兄「ちょっと待って」
妹「犯人は兄さんでQ・E・D!」
兄「またかい」
妹「さぁ、正直に言ってくれれば私だってそんなに怒りませんよ?」
兄「あのさ、こないだもそうだったけど」
妹「なんですか?」
兄「なんで俺が第一容疑者なんだよ。他にも食いそうな奴いるだろう」
妹「居ないです。兄さんが一番怪しいです」
兄「大体あのプリンは俺がお前に買ってきた奴じゃないか」
妹「そうですが」
兄「なんで俺がお前に買ってきた奴を俺が食うんだ?論理的におかしくないか」
妹「自分が買ってきたもの→だから食べてもいい→食べた……以上、証明終了です」
兄「おまえ探偵だけは向いてないな」
妹「むっ、失礼な」
兄「とにかく、俺は食べてないぞ。母さんが食ったんじゃないか?」
妹「まだそんなことをいいますか」
兄「でもなぁ、ホントに知らないんだって」
妹「そこまで言うのであれば、私も後には引けないです」
兄「ど、どうしようっていうんだ」
妹「私のプリン捜索に一緒に付き合ってもらいますよ」
兄「やれやれ……」
妹「さ、行きましょう兄さん。まずは現場検証です」
兄「待ってー」
~キッチン~
妹「ここが犯行現場です」
兄「そんな大げさな」
妹「この冷蔵庫の中に今朝は確かに入ってたんですよ」
兄「それは俺も見た」
妹「最後に見たのはいつですか?」
兄「えーと、朝飯のときかなぁ」
妹「私と一緒ですね。その時どう思いましたか?」
兄「え、別に。プリンがあるなぁって」
妹「食べたいと思いませんでしたか?」
兄「えーと、まぁ……っておい、何書いてんだよ」
妹「兄さんの発言は証拠として記録に残します。つまり食べたいという意思はあった、と」
兄「陰険な警察みたいな真似しやがって」
兄「この間みたいに自作自演なんじゃないのか?」
妹「ち、違いますっ!今度はちゃんとプリンは存在してます」
兄「そうだけど、自分で食べて騒いでるとか」
妹「それは有り得ません。なぜなら私は今一刻も早くプリンを食べたいと願ってますから」
兄「結構マジっぽいな」
妹「私は冷蔵庫の中をもう一度見てみます……兄さんはゴミ箱のなかに空がないか見てみてください」
兄「なんで俺が……」ゴソゴソ
妹「ふぅ……見つからないですね」ゴソゴソ
兄「うわ、くっさいなぁゴミ箱……」ゴソゴソ
妹「後でちゃんと手を洗ってくださいね」
兄「わかってるよ、もう」
妹「んー……無いですね」ポヨン
兄「こら、お前の尻が当たって邪魔だ」
妹「セクハラですね、兄さん」ポヨンポヨン
兄「物探しに集中できないから」
妹「甘いものを食べた後は私のお尻で欲情ですか?いい気なもんですね」ポヨンポヨン
兄「お前わざとやってるだろ!」
妹「冷蔵庫とゴミ箱の位置関係により、この結果は必然です」ポヨンポヨン
兄「くっ、ゴミ箱を向こうに持っていけばいい」ガタタ
妹「あっ兄さん!」
妹「冷蔵庫の中にはありませんでした……」
兄「ゴミ箱にあったこれは?プリンのカラ」
妹「蓋をよく見せてください……あ、これは違いますね」
兄「どうしてそういい切れる」
妹「蓋にはマジックで名前を書いておいたんですよ」
兄「あ、あっそう……」
妹「つまり犯人はキッチンで食べたのではなく、いずこかへプリンを持ち去った可能性が高いです」
兄「まぁここで食ってるのをお前に見つかったら面倒だしな」
妹「さて、どうしましょうか」
兄「新しいのを買ってやるからもういいだろ」
妹「駄目です。あの日あの時兄さんが買ってくれたプリンは世界でただひとつなんです」
兄「おおげさだなぁ」
兄「というか、こういう場合は聞きこみが妥当だろう」
妹「?」
兄「家族全員に聞けばいいだろ。プリン食ったかって」
妹「家族はほぼ出かけています。平日の昼間ですから」
兄「あ、そう……」
妹「兄さん、歯みがきをしたのはいつですか?」
兄「え?朝飯の後だけど」
妹「その後何か飲んだり食べたりしましたか?」
兄「いや、ついさっきのことだし」
妹「ふぅん……私もそうです」
妹「キスしましょう、兄さん」
兄「え?」
妹「だから、私とキスしましょう」
兄「な、なんでえっ!」
妹「兄さんが犯人であれば、口腔内にカラメルやバニラエッセンス等の残渣物があると仮定」
兄「残ってなかったらどうするんだよ」
妹「同時に私がプリンを食べていないという証明にもなりQ・E・Dです」
兄「まて、少し落ち着きたまえ」
妹「私は落ち着いてますよ、兄さん……さ」ギュ
兄「手を繋いでどうするつもりだ」
妹「諦めてキスしましょう……大丈夫、私も初めてですけどカウントしませんから」
兄「わー!」
妹「んっ……ちゅ」チュ
兄「んっ……」
妹「はぁ……兄さん、くひを開けてください……れろっ……」
兄「あ、あーん……」
妹「れるっ……ちゅば……ちゅっ……んっ!ぷはぁ…」クチュクチュ
兄「な、長いんじゃないか」
妹「そんなことないれす……ちゅっ……ちゅっ……もっと舐めないと……わかりません……」チュバチュバ
兄「んむっ」
妹「はぁっ……!兄さん……兄さん……ちゅぱっ……」ギュ
兄「な、なんでしがみついてくるんだよっ」
妹「もっと奥まで……舐めないと……れるっ」クチュクチュ
妹「下を出して下さい、兄さん……」
兄「こ、こうか」
妹「はむっ」カプ
兄「!?」
妹「んっ……変です……甘くない……」レロレロ
兄「だから、食べてないってば……」
妹「私のはどうですか?」チュパチュパ
兄「ん……特に、甘くは無い……」
妹「お互い、犯人では無い、ということですね……」
兄「うん……」
妹「もう一回しましょうか」
兄「えっ」
妹「もしかしたら、奥歯のほうに証拠が残ってるかもしれないです」チュ
兄「んむむむむっ」
妹「兄さん……兄さん」チュパチュパ
兄「ふぅ……」
妹「たくさん探しましたけど、どうも兄さんは犯人では無いですね」
兄「最初からそう言ってるだろ!」
妹「私はどうでしたか?」
兄「いや、プリンっぽい味は無かった」
妹「謎は深まるばかりですね……」
兄「買ってやるって、な。もういいだろ」
妹「二つ買ってくれますか?」
兄「なんでだよっ!無くなったのは一個だろ!」
妹「無くなった分も合わせて、二つ食べたいです」
兄「あーもうわかったよ」
妹「えへへ、兄さん大好きですっ」ギュ
兄「さ、じゃあ買ってくるから」
妹「私も一緒に行っていいですか?」
兄「そこのコンビニにいくだけだぞ」
妹「二人でお出かけしたいですから」
兄「ふぅん……しかし、いいのか?真犯人は」
妹「迷宮入りの事件も多々あるものですよ、世の中には」
兄「もっとちゃんと探せば出てきそうだけどな」
おばあちゃん「お兄ちゃんやー」
兄「あれ、婆ちゃんいたのか」
妹「!?」
おばあちゃん「私は互助会にでかけるから、あとのことは頼むよー」
兄「うん、わかった」
妹「き、気をつけてください、お婆ちゃん」
おばあちゃん「あぁ、妹ちゃん、さっきはプリンありがとうねー」
兄「は?」
妹「」
おばあちゃん「とっても美味しかったよー」
妹「そ、それは良かったです」
兄「おい、どういうことだ」
妹「うぅ、急にお腹が」タタタッ
兄「まてやー」
おばあちゃん「おやおやー」
おばあちゃん「どうしたのかねー」
兄「ったく、また自作自演かよ」
おばあちゃん「ほっほっほ、お兄ちゃんに構って欲しいんじゃないのかねー」
兄「なんだよ、見てたの?」
おばあちゃん「二人でハグハグしてたのは見てたよー」
兄「げげ」
おばあちゃん「ほっほっほ、仲が良くていいねー」
兄「仲がいいというか、えーと」
おばあちゃん「お兄ちゃんが家に帰ってくることになって、喜んでいたからねー」
兄「人の失業を喜ぶなんて、あいつは鬼か」
おばあちゃん「妹ちゃんはねー、お兄ちゃんが大好きだからねー」
兄「そうなの?」
おばあちゃん「いっつも、お兄ちゃんの話ばっかりしてたんだよー」
妹「おばあちゃあああああああんっ!」
兄「トイレから大声が」
おばあちゃん「ほっほっほ、じゃあ出かけようかねー」
兄「いってらっしゃい」
妹「おばあちゃんっ!それ以上話したらここで首吊って自殺しますから!」
兄「もう行ったぞ……」
兄「おーい、もう出てこいよ」
妹「……いやです」
兄「察するにお前は」
妹「なんですか?」
兄「構って欲しかっただけなのか?」
妹「……それが兄さんのQ・E・Dですか?」
兄「うむ」
妹「底の浅い推理ですね」
兄「もう推理ってレベルじゃない気もするけど……」
妹「おばあちゃんが言った事は気にしないでください。アルツハイマーが進んでいるんです」
兄「ひでえこと言うなぁ」
兄「まぁ違うなら違うでいいよ」
妹「いいんですか?」
兄「いいから出て来いよ。行くぞ」
妹「ど、どこにですか」
兄「プリン買うんだろ。婆ちゃんのぶんもあわせて3つ」
妹「……いいんですか?」
兄「しかたないだろ……お前が食べたいっていうんだから」
妹「け、計画通りっ!です」ガチャ
兄「ウンコは流したか?」
妹「してないですっ!」
~2部完~
保守してくれた人ありがとう
ちょっと出かけるから落としてくれていいですよ
これほどまでに下らないものを読ませてしまって申し訳なかったという自覚はある
◆保守時間目安
新・保守時間目安表 (休日用)
00:00-02:00 10分以内
02:00-04:00 20分以内
04:00-09:00 40分以内
09:00-16:00 15分以内
16:00-19:00 10分以内
19:00-00:00 5分以内
新・保守時間目安表 (平日用)
00:00-02:00 15分以内
02:00-04:00 25分以内
04:00-09:00 45分以内
09:00-16:00 25分以内
16:00-19:00 15分以内
19:00-00:00 5分以内
ま・だ・か!ま・だ・か!
さ・む・い!は・や・く!
ほ
妹「兄さん兄さん」
兄「なんだよ一体」
妹「私たちに仕事の依頼が来ました」
兄「は?」
妹「事件です。私の灰色の脳細胞が疼いています」
兄「いや、俺たち探偵じゃないだろ」
妹「探偵には免許も資格もいりませんよ。自分が探偵だと思えば探偵なのです」
兄「何の実績も無いのに……」
妹「私たちはすでに『縞ぱん事件』『消えたプリン事件』を解決したじゃないですか」
兄「どっちもお前の自作自演だったわけだが」
兄「大体、俺は忙しいんだ。そんなことをしている暇はないぞ?」ピコピコ
妹「ぴこぴこはいつでもできますから」ブチ
兄「アッー!セーブしてないのにー!」
妹「さ、依頼人が向こうで待ってます」グイ
兄「ったくしょーがないな……どうなってるんだ」
妹「行きますよ、兄さん」
兄「待ってー」
妹「色々あります」
~リビング~
妹友「こんにちわー」
兄「なんだよ、依頼人とか言ってお前の友達じゃないか」
妹「始めはこうして知り合いの悩みを解決するものです。そのうち口コミで評判が広がるものですよ」
兄「広まっても困るんだけど……」
妹友「むふふ」
妹「今お茶を出しますから、ちょっと待っててください」
妹友「はーい。お兄さん久しぶりー」
兄「あぁ、相変わらず元気そうで何より」
妹友「そうでもないの。もうハートブレイク寸前なの」
兄「そ、そうなんだ」
妹「詳しくお伺いしましょう」カチャ
妹友「ありがとー」
妹「私は大体の事情を知ってますから、兄さんに説明してあげてください」
妹友「んーと、私の彼氏のことなんだけどー」
兄「あ、彼氏いるんだ」
妹友「私たちくらいの年なら、普通いるよー」
兄「へぇ、妹には居ないけどな」
妹「わ、私はどうでもいいです!兄さんだって彼女も居ないし仕事も無いじゃないですか」
兄「どっちも不可抗力だろ」
妹「恋人は努力次第で作ることができます」
兄「見解の相違だな。がんばっても出来ない奴は出来ない」
妹「それを証明できますか?頑張れば付き合えない人はいないです。努力が足りないんです」
兄「それがお前のQ・E・Dか?じゃあ頑張れば芸能人ともサッカー選手ともつきあえるってのか?」
妹「芸能人だろうがスポーツ選手だろうが実の兄だろうが私は付き合えると思います」
兄「最後に変なの混じってなかった?」
妹「混じってません」
妹友「あのー……」
兄「おっとすまん。議論に夢中に」
妹「ごめんなさい。話の続きをどうぞ」
妹友「えーとね、付き合ってる彼氏が最近冷たいって言うか」
兄「ふむ」
妹友「構ってくれないっていうか、会ってても素っ気無いというかー」
兄「なんか普通の恋愛相談みたくなってるけど」
妹「最後まで話を聞きましょう」
兄「はいはい……ちなみに付き合って何ヶ月?」
妹友「3ヶ月っすー」
兄「あー……それは別れの周期だな」
妹「そうなんです?」
兄「よく言うだろ、3の周期で訪れるってやつだ」
来たか?
妹友「これはなんとなく勘だけど、別の女の影を感じるんですよー」
兄「ほほう……ちなみに彼氏はイケメンなの?」
妹友「んー、お兄さんと同じくらいには」
兄「はっはっは、そりゃモテるだろうなー」ドヤッ
妹友「そうなんですよーえへへ」
妹「……」
兄「なんだよ」
妹「別に」
妹友「それで、彼氏の素行調査をお願いしたいんですけどー」
兄「素行調査って……なんか地味だな」
妹「本来探偵とは地味な活動の繰り返しですよ兄さん」
兄「そういうのは警察の仕事じゃないの?探偵は頭を使ってぱぱっと解決するもんだろ」
妹「それは警察の能力が低かった前時代の話です」
兄「俺たちそもそも素人だけど……」
妹「ほんとの探偵さんに頼むと、費用も時間もかかりますからね」
兄「一種の浮気調査みたいなもんかな?」
妹友「浮気してるかわかんないけど、そうだと思いますー」
兄「ふーん、もし浮気してたらどうするの?」
妹友「んー……別れるかなー。私も時間無駄にしたくないし」
兄「浮気してなかったら?」
妹友「最近様子がおかしい理由を突き止めて欲しいですー」
兄「なるほど……」
妹「これは責任重大ですよ兄さん。ひとつのカップルの命運が私たちの手に委ねられてるんです」
兄「まぁ、プリンとかパンツとは一線を画す話ではあるけど」
妹友「じゃ、お兄さんのケータイ教えてもらっていいですかー?」
兄「え?なんでまた」
妹友「えへへー、捜査の状況を逐一知りたいもん。だめかなぁ」
妹「だ、だめですッ!」
妹友「えーなんでー」
兄「駄目だぞ、探偵といったってサービス業なんだ。要望をむげに断るわけにもいかん」ピピ
妹友「ありがとー!」
妹「ちょっと兄さんっ」
妹友「ねーお兄さん、寝れないときとか夜メールしてもいい?」
兄「あ、あぁうんいいよ(かわいいなぁ)」
妹「な、なんですかこの流れは……」
~翌日~
兄「ここがその彼氏の通ってる学校か……」
妹「私たちの隣の地区にある学校ですね」
兄「ていうかどうやって知り合ったんだ?」
妹「妹友ちゃんとは部活で知り合ったらしいですよ」
兄「ふーん……ていうか、学校の中の様子を探れないのは痛いな」
妹「写真は預かってます。この方が出てきたら尾行開始です」
兄「でもさぁ、素行調査なんて一日で結果がでるとは限らないじゃん」
妹「そうですね」
兄「まさか何か起きるまでずっと続けるのか?」
妹「最低でも日々の行動をアルゴリズム化できるまでは続ける必要がありますよね」
兄「最悪だぁ」
妹「兄さんは暇だからいいじゃないですか」
兄「うぅー寒い!寒いよぉ」プルプル
妹「だらしないですよ、兄さん」
兄「もうやだ、帰る。立ってるだけでつまんないし」
妹「こら、駄目ですよ。仕事なんですから」
兄「報酬も無いのに……うぅ寒い」
妹「ほら、手を握ってあげますから」ギュ
兄「あ、ありがとう」
妹「こうして立ってれば、きっとカップルに間違われて怪しさ半減です」
兄「そうかなぁ……」
妹「ついでに腕を組んでもいいですか?」
兄「こ、こら、体を押し付けるな」
キーンコーンカーンコーン
妹「授業が終わったみたいですね」
兄「お前が学校どうしたかは聞くまい」
妹「……」
兄「……」
妹「……来ないですね」
兄「学校でだべってるとか」
妹「その可能性もありますね」
兄「それか部活やってるんだろ?グラウンドか体育館とか」
妹「その可能性もありますね」
兄「もしかして妹友ちゃんと約束あるとか」
妹「だったらすぐ出てくるでしょう。頭を使って下さい」
兄「……」ムカ
妹「寒いからって思考停止してたらだめです……って兄さん!」
兄「なんだ?」
妹「ど、どうしてお尻を触るんですか……んっ……!」
兄「いやぁ頭が上手く働かなくてつい」
はよはよ
妹「に、兄さんっ!」
兄「どうした」モゾモゾ
妹「スカートの中から手を出して下さい。対象があらわれました」
兄「お、本当だ」
妹「さ、尾行を開始しますよ……気が付かれない様に注意して下さい」
兄「面識ないんだから平気だろ、見られても」
妹「いいからこっちです」コソコソ
兄「はいはい」コソコソ
男「……」スタスタ
兄「しかし写真で見たときも思ったけど、スポ根って顔だなぁ」
妹「アニメでいそうな顔です」
兄「あーいう顔が好きなのな?妹友ちゃんは」
妹「なんでも、サッカー部の主将だとか」
兄「ふーん……そりゃモテるだろうな」
妹「そうですね、私はあんまり興味ないですけど」
兄「しかし、どこに行くんだろうなぁ」
妹「歩行速度から推定して、何か目的のあるものと思われます」
兄「繁華街のほうに向かってるけど、家は向こうなのかな」
妹「兄さん、人が多いですけど見失わないようにしましょう。こっちです」
兄「待ってー」
男「……」スタスタ
兄「お、ツタヤに行くみたいだぞ」
妹「何かDVDでも借りるんでしょうか」
兄「さぁなぁ……とりあえず俺たちも入ろう」
妹「そうですね」
店員「いらっしゃいませー」
男「……」キョロキョロ
兄「何か挙動不審だな……」
男「……」スタスタ
兄「邦画コーナーにいくみたいだ」
妹「洋画には『用が』無いんですね」
兄「……」
妹「……」
兄「……」
妹「笑うとか、つまらなければつまらないとか、何かしらリアクションが無いと悲しいです」
兄「すいませーん!暖房効いてないみたいなんですけどっ」
店員「えっ!そんなことないと思うんですけど……」
妹「もうっ!兄さん!!」バシバシ
兄「あはは……悪かったよ」
妹「もうっ!勇気を出して言ったのにっ」
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
バン バンバンバン゙ン バンバン
バン(∩`・ω・) バンバンバンバン゙ン
_/_ミつ/ ̄ ̄ ̄/
\/___/ ̄
バン はよ
バン(∩`・д・) バン はよ
/ ミつ/ ̄ ̄ ̄/
 ̄ ̄\/___/
ドゴォォォォン!!
; ' ;
\,,(' ⌒`;;)
!!,' (;; (´・:;⌒)/
∧_∧(;. (´⌒` ,;) ) ’
Σ(* ・ω・)((´:,(’ ,; ;'),`
⊂ヽ ⊂ ) / ̄ ̄ ̄/
 ̄ ̄ ̄\/___/ ̄ ̄ ̄
/\
. ∵ ./ ./|
_, ,_゚ ∴\//
(ノ゚Д゚)ノ |/
/ /
ポチポチポチポチポチポチポチポチポチポチ
ポチ ポチポチポチポチポチポチ
ポチ(∩`・ω・) ポチポチポチポチポチ
_/_ミつ/ ̄/_
/_/
兄「えーと……あ、いたぞ」
妹「邦画コーナーでうろちょろしてますね」
兄「あ、あの辺はセクシー映画だな」
妹「セクシー映画とは」
兄「アダルトビデオコーナーに入る勇気が無い人用のコーナーだな」
妹「サッカー部主将のくせに気が小さいですね……」
兄「それは関係ない。それにあれはあれで需要があるんだぞ」
妹「兄さんも借りたことがあるんですか?」
兄「古いにっかつとかは妙にエロイんだよな……」
男「……」カタ
妹「あ、手に取りましたね」
兄「彼には妙に親近感がわくなぁ」
店員「ありがとうございましたー」
妹「帰ったら一緒に観ましょうね」
兄「なんでホラー映画なんだよ」
妹「兄さんがビビるのを見るのが好きなんです」
兄「ちょっと性格悪いんじゃないか?」
妹「兄さんの借りたのは何ですか?」
兄「『ミート・ザ・ペアレンツ』だな」
妹「好きですね、それ……」
男「……」スタスタ
兄「おっと、次だ次」
男「♪~」スタスタ
兄「しかしあれだな、こうして尾行してると」
妹「なんですか?」
兄「いや、人のプライベートを覗き見している感が物凄いな」
妹「仕方ないです、それが仕事ですからね」
兄「しかも、それをちょっと楽しいと感じてる自分がいる」
妹「あ、それはなんとなくわかります」
兄「興信所でバイトしてみようかな」
妹「私もやりたいです」
男「ん?」チラ
兄「おっと……自然に自然に」
妹「手を繋ぎましょう。カップルだと思われるように」
兄「そうだな」ギュ
男「……」スタスタ
兄「しかし、どこに行くんだろうな」
妹「さぁ……」
兄「家に帰るんじゃないっぽいけど」
妹「妹友ちゃんとは約束してないみたいですね。さっきメールで確認しましたから」
兄「ふーん……となると、ホントに浮気とかだったりして……」
妹「それをしっかり確かめましょう」
兄「おう……ってなんか」
妹「何です?」
兄「なんか、幼女の泣き声が」
妹「え……兄さん……」
兄「ひくなひくな!マジだってば!」
妹「幻聴じゃないんですか?」
兄「本当だってば、どこからだろ」
幼女「……ぁーん…わぁーーん……」
男「大丈夫?お母さんはどこかな?」
幼女「……わかんない……」
兄「おや」
男「お兄ちゃんが一緒に探してあげるから、ね?もう泣かないで」
幼女「うん……ありがとう」
男「肩車をして、すいませーーーん!この子のお母さんはいませんかーーーー!」
兄「うぉ、道のど真ん中で叫び始めた」
妹「でも、いい人ですね」
兄「これはプラス査定だな……」
妹「ちょっと兄さん、面接してるんじゃないんですからね」
兄「そ、それはわかってるけど」
妹「誰に優しくしてようが、浮気してたらそのままちゃんと報告するんですからねっ」
兄「わかってるって……つーかまだ疑いがほんのちょっとあるだけなんだろ?」
妹「それはそうですけど……」
お母さん「幼女ちゃーんっ!」
幼女「おかあさーん!このお兄ちゃんがねっ」
兄「……」
~ファミレス~
男「……」
兄「今度は一人ファミレスかぁ」
妹「私たちはこの辺に座りましょうか」
兄「うん」
妹「さ、兄さん、何か食べましょう」
兄「おいおい、尾行中だぞ」
妹「向こうも注文してますし、何も頼まないのもおかしいですよ」
兄「そりゃそうか……じゃ、パスタでも適当に」
妹「カルボナーラとバジリコにしますから、半分こしましょう兄さん」
兄「はいはい」
妹「あと、いちごミルク頼んでいいですか?」
兄「お前普通に食事を楽しむ気まんまんだな」
妹「腹が減っては探偵はできませんから」
兄「でも、妙だなぁ」モグモグ
妹「何がですか?」ズズズ
兄「普通、あの年頃の男の子が一人でファミレスなんてこないだろ」モグモグ
妹「それは世間一般の普通であって、彼の普通はどうだかわかりませんよ」モグモグ
兄「そりゃそうだけど、俺がいいたいのは待ち合わせの可能性が高いなって事」モグモグ
妹「あっ!兄さん!半分以上食べましたね!」
兄「お前だってもう4/5は食ってるじゃないか!何が半分こだよっ」
?「おまたー」
男「よっ」
兄「あ……」
女「遅くなってごめんねー。髪のセットに手間取っちゃってさー」
男「いいよ、そんなに待ってないから」
兄「うは……ビンゴかぁ」
妹「こ、これは……大当たりみたいですね」
兄「女の子の顔、わかるか?お前と同じ制服みたいだけど……」
妹「ちょ、ちょっとここからだとわからないです……」
兄「つーかすげぇ髪型だな……アフロっぽいけど」
妹「きっとブラックミュージックをリスペクトしてるんですね」
兄「あんな髪型のやつ学校にいたらすぐわかるだろ、心当たりはないのか?」
妹「えーと、生徒はたくさんいますから……よくわからないです」
兄「うーむ、まぁ顔が可愛けりゃあの髪型もありなのかなぁ」
兄「ちょっとトイレに行く振りして確認してみてくれよ」
妹「だ、駄目ですよ……もし知り合いだったら気まずいです」
兄「おいおい、そんな消極的な」
妹「とりあえず、カメラで証拠を押さえておきましょう」パシャリ
兄「おっ準備がいいな」
妹「探偵7つ道具の一つです」
兄「あとの6つは?」
妹「えーと……順次登場予定です」
兄「適当なこといってごまかしただろ今」
男「それじゃ行こうか」
女「うんっ!今日はどこつれてってくれるのー?」
兄「出るみたいだな。いくぞっ!」
~映画館~
兄「映画館かぁ、デートって感じだな」
妹「この時点でただの友達って線はなさそうですね」
兄「うん……何観るんだろうな」
男「何が観たい?」
女「えっとねー!アフロ田中がいいなっ」
兄「ぶっ」
妹「どうしたんですか?」
兄「いや、おかしくて思わず噴いてしまった」
妹「私は3丁目の夕日64が観たいですね……」
兄「俺もそっちがいいな、せっかく観るなら」
男「……アフロ田中また今度にして、今日は3丁目の夕日にしない?」
女「うー。いいけどさー」
兄「お、やった」
妹「私たちもチケットを買いましょう」
~シアター内~
『じゅんのすけぇええええええっ』
兄「うぅっ吉岡くんの演技は泣けるわ」
妹「はい、兄さんハンカチですよ」
兄「ありがと」チーン
妹「ふふ、涙もろいんですね」
兄「1と2はトータルで30回は観たからな。思い入れが半端ないんだ」
女「……んもう、だめだってばぁ……こんなところで……」
男「……大丈夫だって、誰も見てないから」
妹「に、兄さんっ……なんか不穏な感じです」
兄「あ、そういや尾行してるんだっけか……」
妹「あれはもう、浮気確定ですね」
兄「ただのセフレかもよ?本命は妹友ちゃんで」
妹「そ、そんなの都合が良すぎますっ!許せないですっ!」
兄「いまはそんなことより映画のほうが大事だ。ちょっと黙っててくれ」
妹「もう……」
兄「昭和っていいよね」
妹「私は平成生まれだからわからないです」
~ゲームセンター~
兄「今度はゲーセンか。もう普通にデートだな、あれは」
妹「間違いありませんね」
兄「何してるんだろ」
妹「あれはUFOキャッチャーですね」
男「大物捕ったどー!」
女「きゃーすごーい」
兄「観察されてるともしらずはしゃいでやがる」
妹「私も撮ります」パシャリ
兄「こんだけ証拠があれば充分だな、きっと」
妹「兄さん兄さん、私たちも少し遊びませんか?」
兄「そうだなぁ……まだあいつらはここにいそうだし」
妹「兄さんと一緒にプリクラが撮りたいです」
兄「了解」
妹「もうっ!なんで歌舞伎みたいな顔して写るんですかっ!!」
兄「いや、普通に撮っても面白くないだろ……」
妹「こういうのは面白くなくてもいいんですっ!」
兄「ほらほら、モタモタしてると置いていかれるぞ」
妹「あっ待ってください」
兄「でも、お前はよく写ってるな」
妹「え……そうですか?」
兄「ケータイに張って置こうかな」ペタ
妹「……」
兄「どした」
妹「な、なんでもないです……行きましょう」
兄「だいぶ、時間も遅くなってきたけど平気か?」
妹「私は大丈夫ですよ」
~ラブホテル街~
男「……」
女「……」
兄「あーあー……よりそうように歩いちゃってまあ」
妹「これはもう言い逃れできませんね」パシャリ
兄「妹友ちゃんにはかわいそうな結果になってしまったな」
妹「仕方ないです……どんなことでも知らないより知ったほうがいいです」
兄「それもホームズのセリフだな」
男「……なぁ……いい?」
女「……うん、私もえっち、したい……」
兄「うぉ、なんて刺激的な……彼女の髪がアフロじゃなければ」
妹「鼻の下伸ばしてないで追いかけますよっ!あそこのホテルですっ!」ダッ
兄「ちょ、ちょっとまって」
~ラブホテル~
兄「なぁ、何もわざわざ俺たちまで中に入らなくても」
妹「駄目ですよ、最後まで真実を追究するんです」
兄「とはいえ、俺たちだけでこの部屋に入ってもしかたないだろ……」
妹「大丈夫です、使われてるのはこの部屋と隣の部屋だけですから」
兄「なんでそんなことがわかるんだ?」
妹「フロントで確認しました」
兄「で、どうするんだこれから」
妹「盗聴を開始します」
兄「へっ」
兄「盗聴器なんてそんなマニアックなもんまで持ってるのか?」
妹「正確に言うと、聴診器ですけど」
兄「ヴィレッジとかで売ってるやつか」
妹「これを壁に当てると、隣の部屋の物音くらいは……」ピト
兄「聞こえるのか?」
妹「よく兄さんの部屋の音はこれで聞いてますけど」
兄「おい、ちょっと聞き捨てならんことを今」
妹「しっ!静かにっ……!」
兄「……」
妹「聞いてみて下さい兄さん。決定的な証拠です」
兄「ど、どれどれ」ゴクリ
隣の部屋『んっ……あっ!んんっ…だめぇっ……!』
兄「おおぅ……これは素晴らしい」
妹「聞こえますか?」
兄「よく聞こえるぞ。なんということでしょう」
妹「これはもう完全にアウトですね」
兄「うむ……うむ……」
隣部屋『あっあっあっ!あーーーーーーっ……!』
兄「や、やべぇ……勃起してきた」ムクムク
妹「に、兄さん……」
兄「不可抗力だ、勘弁してくれ」
妹「……」スリスリ
兄「ちょ」
妹「いいから……兄さんは隣の物音を聞いていてください」カチャカチャ
兄「う、うん」
妹「すっごく、大きくなってます」ポロン
兄「な、なんでかなぁ」
妹「盗聴、興奮してるんですか?」シコシコシコ
兄「さ、さぁ」
妹「ふふ、ほんとにえっちですね兄さん」カプ
兄「!?」
妹「んっ……れろっ……ちゅっ…ぢゅっ……ぷはぁ……」チュパチュパ
兄「うっ……」
隣部屋『やぁああっ……!いっちゃうよぉ……!』
兄「や、やばい……なんだこの状況は」
隣部屋『……あっ…!んぁっ……あっ…』
兄「はぁはぁ……」
妹「ちゅぱっ……じゅるっ……れる……隣はどうですか?」チュバチュバ
兄「ま、まだ盛り上がってるみたいで」
妹「そう……ですか……んっんっ……んっんっ…」シコシコシコ
兄「うぅううっ……ちょっと待って」
妹「どうしてでふか……れるっ……じゅる……れろれろ」シコシコシコ
兄「も、もう出そうだから」
妹「そうなんですか……?いいですよ、口の中に出しても……」シコシコシコ
兄「うっ……うっうああっ!」
妹「んっ……じゅるるるっ……!んっ!!」
兄「い、イクッ!!」ドピュルルル
妹「んん~~ッ!!!」
兄「す、すまん……つい頭を押さえてしまって」
妹「い、いいですけど……けほけほ」
兄「ふぅ……」
妹「ちょっと、疲れてしまいました……」
兄「まだ、時間あるから寝たらいいんじゃないかな」
妹「ごめんなさい……いいですか?」
兄「時間が来たら起こしてやるから」
妹「わかりました、お願いします」コテ
兄「……」
妹「くーくー……」
兄「寝たか……」
兄「あれ、そういやなにしに来たんだっけ……」
~隣部屋~
男「ふぅ……」
女「ねーねー、もう一回しようよ」
男「いや、もう時間ないんじゃないかな」
女「あ、そうだねー」
男「シャワー浴びてきたら?汗かいたでしょ」
女「うん、私が先でいいの?」
男「いいよ、ていうかいつまでそのアフロのかつらかぶってるの?」
女「あ、忘れてた」スポ
男「ププ、結構似合ってたけど」
妹友「そうかなぁ、あー頭痒かった」
男「なんで僕らがこんなことしなきゃいけなかったんだ?」
妹友「んー、お兄ちゃんと尾行の振りしてデートしたいって妹ちゃんが」
男「普通に頼めばいいじゃないか」
妹友「好きなんでしょ、こういうの」
男「変わった子だね」
妹友「ねーねー聞かれてるの知っててするのって興奮するね」
男「はは、また頼もうか」
妹友「それもいいかもー」
~数日後~
妹友「で、どうでしたかー?」
兄「うん、非常にいいづらいんだけど」
妹「気を確かに持って聞いて下さい」
妹友「うんうん、聞くよー」
兄「結果から先に言うと、黒だな」
妹友「あっちゃー、やっぱりね」
妹「妹友ちゃん、気を落とさないでくださいね」
妹友「うんうん、わかってるわかってる」
兄「な、なんか余裕あるな」
妹友「そんなことないですよー」
兄「写真もあるんだ。ほら」
妹友「うっわー、アフロ髪だー」
妹「街中ではかなり目立ってました」
妹友「この女の子と浮気してたの?」
兄「あぁ、ホテルにも行ってたみたい」
妹友「ふーん」
兄「俺の言うことじゃないけど、彼氏とは別れたほうが……」
妹友「うーん、一時の気の迷いなら許してあげる。」
兄「え?」
妹「さすが妹友ちゃん、こころが広いです」
兄「こないだは二股かけられるくらいなら別れるとか言ってなかったっけ」
妹友「やっぱり彼氏大好きだしー、サッカー部だしー主将だしー」
兄「あれま」
兄「最近の女の子は浮気OKなんだ、勉強になった」
妹友「私だけですよー」
妹「私は……殺します」
兄「こわっ!ボソっと言うなよ」
妹友「とにかく、これで調査は終了ですね。ありがとうございましたー」
兄「あ、でも」
妹友「なーに?あ、もしかして私と付き合いたいとか?でもなー」
妹「それはだめですっ!」
兄「い、いや……その彼氏なんだけど次の日もまた、違う子とデートしててさ」
妹友「えっ」
妹「えっ」
兄「なんか妹が急にやる気なくしたから、俺一人で調査してたんだけど」
妹友「ど、どういうことっ」
妹「え……さ、さぁ」
兄「これが次の日の写真。茶髪で結構遊んでそうな感じだった」
妹友「がびーん」
妹「い、妹友ちゃん、しっかり」
兄「で、これが昨日の写真……ラブホ前で撮ったんだけど。また違う子だな」
妹「な、なんて絶倫ですか」
兄「まぁ……妹友ちゃんがいいっていうならこれはこれでおしまいだな」
妹友「う……ぅう……」
妹「い、妹友ちゃん……?」
妹友「うがぁああああああああああああああああっ!!!!!殺す!絶対殺すぅっ!!」
兄「うおおおっ!」ビク
妹友「うひゃっひょおおおおおおっ!!コロスコロスコロスコロ」
妹「お、落ち着いて下さい」
兄「さっきまでと反応が違いすぎる」
妹友「待ってろやぁドグサレチンポがぁあああああっ」ダダダダッ
兄「あ、待って……」
妹「……行っちゃいましたね」
兄「あーあ、マジで殺したりするんじゃないだろうな」
妹「まったくもう、なんであんなことしたんですか」
兄「いや、そういう話だっただろ……」
妹「そ、それはそうなんですけどっ!」
兄「なんにせよ、浮気調査はもうごめんだなぁ。気が滅入るよ」
妹「うぅ、こんなはずではなかったんですが……」
兄「なんだって?」
妹「なんでもないですっ」
という訳で3部おしまい
保守ありがとうございます。いっこうにクオリティがあがらず申し訳ない
続きは思いつくかわからないので落としてくださいな
~番外編~
妹友「妹ちゃん、かえろー」
妹「そうですね」
妹友「むふふ」
妹「なんですか、その笑いは」
妹友「今日さ、デートなんだー」
妹「サッカー部の彼氏とは仲直りしたんですか?」
妹友「な訳無いでしょー……あいつの話はもういいから。思い出すだけで股間が熱くなるわ」
妹「そ、そうですか」
妹「となると、別の人ですか……モテモテですね」
妹友「妹ちゃんももてるのに、全然だよね」
妹「私は別に同級生とかに興味ないです」
妹友「ふーん……あ、それでね、プレゼントもらっちゃってさー」
妹「え、まだ付き合ってないのにですか」
妹友「手紙と一緒にもらったんだー」
妹「はぁ……豪儀な方ですね」
妹友「野球部の男くん、知ってる?」
妹「あ、知ってますよ」
妹友「その男くんにさ、このネックレスを……あれ……あれれ」ゴソゴソ
妹「ネックレスですか……はぁ……いいですね」
妹友「な、無いっ!」
妹「は?」
妹友「な、無いよっ!無いっないいいいいっ」
妹「ちょ、ちょっと落ち着いて下さいっ!」
いいぞもっとやれ
~自宅~
兄「うーん暇だなぁ……」ピコピコ
兄「リオレウスを狩るのももう飽きてしまった」ピコピコ
兄「まだ妹が事件だQ・E・Dだの騒いでるほうが……いやそれは無いわ」
妹「兄さん兄さーんっ!」バァン
兄「うおっ!何事かっ」
妹「事件ですっ!Q・E・Dですっ!」
妹友「こ、こんにちわー」
兄「また君か」
妹「……という訳でして」
妹友「えーんえーん」シクシク
兄「あのさぁ、それは警察に落し物かなんかで届けたほうが」
妹「午後の体育までは身につけてたそうなんですよ」
兄「それで、なんで気がついたのがこの時間なんだ?」
妹友「だってー……貰ったばっかだったから気がつかなかったんだもーん」
兄「そういうもんかねえ」
妹「兄さん、何とかしてあげましょう」
兄「とは言ってもなぁ、鞄とか机をひっくり返したほうが早いと思うぞ?」
妹「私たちだってバカじゃないですから、それくらいはやりました」
兄「ふーん……となると、盗まれたとか」
妹友「げっマジ?」
兄「どこに置いてあったの?」
妹友「えっとー……先生に見つかると怒られるから、制服と一緒に机の上に置いたと思うんだけどー……」
兄「思うんだけど、何?」
妹友「あんまり自信ないや、てへぺろ」
兄「ズコー」
妹「に、兄さんしっかり」
兄「つまりどこに置いたか、はっきりとは自信が無いと」
妹友「そうなの」キリッ
妹「そこは自信たっぷりに言うところじゃないですよ、妹友ちゃん」
妹友「だってー……」
兄「うーん、悪いけどこれは無理だよ」
妹友「ええー!そんなー……」
兄「探すのを止めたときによく見つかるらしいから、それまで待つのがいいんじゃないかな」
妹「確かにこれはちょっと厳しそうですね……」
兄「もう一回探しに行ってもおそらく見つからないと思うし」
妹友「でもー……今日の夜、会う約束してるんですよー……」
兄「やっぱり、無いとまずいの?」
妹「やっぱり、相手はがっかりするんじゃないでしょうか」
妹友「だよねー」
兄「金属アレルギーが出て駄目だったとかは?」
妹友「アレルギーが出にくいネックレスなんですよー」
兄「八方塞がりだな。素直に謝るのが吉とみた」
妹友「でもー……貰ったばっかりのものなくすなんて、サイテーじゃないですかー……」
兄「まぁいい気はしないだろうけど、そんなに致命的なものでもないと思うんだけどな」
妹「ただ兄さん、ひとつだけいい方法があるんです」
兄「聞こう」
妹「妹友ちゃんが貰ったネックレスなんですけど……おんなじ物がまだ売ってるんですよ」
兄「へぇ、そうなんだ」
妹「それで……ちょっと反則気味かもしれないですけど、それを買って身につければ問題ないんじゃないかと思うんです」
兄「名案といえば名案だな。妹友ちゃんが黙ってれば誰も傷つかない」
妹友「それでー……そのー……」
妹「ちょっと見て来たんですけど、値段がその……私たちには手が出なくて」
兄「え?」
妹「……兄さん、節約生活してるから、まだ退職金余ってますよね」
兄「ま、まさか……」
妹「兄さん、妹友ちゃんにお金貸してあげられませんか?」
兄「ええー!」
妹友「この通りですっ!必ず体で返しますからっ!」ドゲザァッ
妹「ちょっと、ドサクサ紛れに何を」
兄「えーと、いくらあればいいのかな」ヒーフーミー
妹「兄さんっ!私というものがありながらっ!」
兄「ちょ……いでで、待てって、落ち着けよ」
妹友「むふふ」
兄「貸すのは構わないけど……」
妹「ちゃんと現金で返してくださいね!」
妹友「大丈夫、絶対正月にはお年玉で返しますー!」
兄「おい、まだ3月なわけだが」
兄「ふぅ……行ったか」
妹「兄さん、ごめんなさい」
兄「んー……いいよ別に。金は天下の回り物ともいうし」
妹「考えたけど、これ以上のQ・E・Dは無かったんです」
兄「Q・E・Dの使い方が未だに微妙だなお前は」
妹「これでとりあえず事件解決ですね」
兄「ま、とりあえず済んだみたいだし一緒にモンハンやろーぜ」
妹「はい、PSPとってきますね」
兄「うーん、平和だなぁ」
~翌日~
妹「おはよう、妹友ちゃん」
妹友「あ、おはよー!昨日はありがとねー」
妹「特に問題なかったですか?そっちは」
妹友「うーん……問題といえば問題あったかなぁ」
妹「え、もしかしてバレましたか……?」
妹友「誘ってんのにさー、手出してこないんだもん。チキンだよねー」
妹「そ、そういう話ですか。まったくもう」
妹友「妹ちゃんだって好きなくせにー」
妹「こほん。置いていきますよ」
妹友「あ、待ってよー!」
~下駄箱~
妹「うわっと……また手紙が入ってます」
妹友「またー?一日何通貰うのよあんた」
妹「平均して4通くらいでしょうか」
妹友「はやく彼氏つくりなよー」
妹「心の中にいるからいいんですっ」
妹友「あー私にも入ってる!」
妹「良かったですね」
その手紙いれたの俺だわ
妹友「ふふーん、久しぶりだなぁ」
妹「随分ふくらみがありますね」
妹友「よっぽど私に伝えたい気持ちがあるんだわ……ん?」
妹「どうしたんですか?」
妹友「なんかおもーい。なんか入ってるよ」ジャラジャラ
妹「お金みたいな音ですね」
妹友「そういう発想は無かったわ……どれどれー」
妹「なんでちょっと嬉しそうなんでしょうか……」
妹友「っっっっ!!!」
妹「?……妹友ちゃん?」
妹友「うっそ……何これ……何なのコレぇっ!」ジャラン
妹「……ネックレス……ですね……」
妹友「ボロボロになってる……何で、何でこんな風になってんの…っ!」
妹「こ、これは……ひどいですっ……」
~自宅~
兄「ちょwwwwオメガ強すぎwwwww」ピコピコ
兄「魔法剣士が有効という話だが、レベルが低すぎるんだなきっと」ピコピコ
兄「ほとんどレベル上げしてこなかったしな……うーんめんどくせ」
兄「……」
兄「……むぅ、なにやら胸騒ぎが」
兄「こういう時は大抵、妹が」
妹「兄さん兄さーーーんっ!」バァンッ
兄「ほらな」
妹友「えーんえーんえーん」シクシク
兄「おい、お前ら学校は」
妹「体調不良ということにして休みました」
兄「昨日の夕方もおんなじことがあったというのに、今日は一体なんなんだよ」
妹「ちょっと、これをみてみて下さい」ジャラン
兄「なんだこれ、ヤンキーが財布に付けるチェーンみたいだな」
妹友「ぐす……えーんえーん」シクシク
妹「兄さんっ!これはネックレスですっ」
兄「えー……全然そういう風に見えないけど」
妹「よく見ると元はちゃんとしたものだというのがわかります」
兄「あ、本当だ……」
兄「え、もしかしてこれ昨日買ったやつ?」
妹「……これは、昨日買ったのではなく、なくしたと思っていたほうです」
兄「随分ボロボロのを貰ったんだな、ひどい男だ」
妹「兄さん兄さん、違います」
兄「え、違うの」
妹「もしそうだったら、妹友ちゃんがこんなに泣く訳ないじゃないですか」
妹友「ひっくっ……ひっく」
兄「と、いうことはつまり……」
妹「誰かがこんな風にしたんです。これは事件です」
兄「な、なんだってー!」
妹友「ひどいよー……こんなのないよー……」シクシク
妹「妹友ちゃん、しっかり……」
兄「うーん、これはひどいなぁ」
妹友「もし見つかったら、いっこは質に入れようと思ってたのにー……」
妹「あうっ……」
兄「余計なことさえ言わなきゃいい子なのにな」
妹友「いけね」
兄「心当たりはあるのか?」
妹友「心当たり?」
兄「こーいうことしそうな奴、周りにいるのかってことだけど」
妹友「それは……なくもないけど」
兄「その、新しい恋人にもらったんだろ?」
妹友「うん……そうです」
妹「怨恨の線が強そうですね」
妹友「そんなー……」
兄「だなぁ……その人はモテるタイプなんだろ、きっと」
妹「結構人気のある男の子ですよ」
兄「ふーん……」
兄「ふーん、野球部ねぇ」
妹友「そうなの」
兄「前はサッカー部だったし、スポーツやってる人が好きなの?」
妹友「運動部系の人って、クラスでも目立つ感じが多いじゃないですかー。力関係とかも」
兄「まぁ、そういう傾向はあるかもしれんな」
妹友「そういうのがなんか好きっていうかー」
兄「なるほど」
妹友「あ、でもお兄さんみたいにそういうのに無頓着な感じの人も好きですよ」
兄「そ、そう。ありがとう」
妹「兄さんは単に友達が少なかっただけですよね」
兄「おいやめろ頼むやめてください」
兄「で、どうすればいいのか」
妹友「犯人を見つけてボコボコにしたいです!」
妹「ちょっと待ってください、それはちょっと」
妹友「だってーだってだって!」
兄「気持ちはわかるけどなぁ……先生にいったほうがいいんじゃない?」
妹友「えー……だってこれ、みようによってはイジメだよね」
兄「うーん、まぁ」
妹友「イジメはかっこ悪いけど、イジメられてるのが周りにばれてもかっこ悪いし」
兄「ふむふむ」
妹「事が公になって、もっとわかりにくいやり方で陰湿なことをされたりしたらもっと困ると思います」
兄「それは一理あるか……」
妹「そういうわけで兄さん、捜査再びですよ」
兄「俺部外者だけど……」
妹「兄さんもうちの学校の卒業生ですから、入るくらいは大丈夫ですよきっと」
兄「うーん……大丈夫かなぁ」
妹友「お兄さん、お願いします……報酬はいつもどおり、私の体で払いますからー」ペコリ
兄「ちょ」
妹「………にいぃいさんっっっ、どういうことですかっ!!!」
兄「待て違う、妹友ちゃんの冗だアッー!」
妹友「むふ」
ちょっと買い物に行ってきますね
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
バン バンバンバン゙ン バンバン
バン(∩`・ω・) バンバンバンバン゙ン
_/_ミつ/ ̄ ̄ ̄/
\/___/ ̄
バン はよ
バン(∩`・д・) バン はよ
/ ミつ/ ̄ ̄ ̄/
 ̄ ̄\/___/
ドゴォォォォン!!
; ' ;
\,,(' ⌒`;;)
!!,' (;; (´・:;⌒)/
∧_∧(;. (´⌒` ,;) ) ’
Σ(* ・ω・)((´:,(’ ,; ;'),`
⊂ヽ ⊂ ) / ̄ ̄ ̄/
 ̄ ̄ ̄\/___/ ̄ ̄ ̄
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(ノ゚Д゚)ノ |/
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ポチポチポチポチポチポチポチポチポチポチ
ポチ ポチポチポチポチポチポチ
ポチ(∩`・ω・) ポチポチポチポチポチ
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/_/
ほ
~翌日・放課後~
兄「何か懐かしいな」
妹「久しぶりの母校はどうですか?」
兄「なんというか、胸のこの辺りがキュンとなるな」
妹「……キモイです。置いていきますよ」
兄「一応、職員室とかに挨拶に行ったほうがいいのかな?」
妹「そうですね。私と一緒にいればそう怪しまれることも無いでしょう」
兄「だな」
妹「通りすがりがてら玄関も見ていきましょう」
兄「はーい」
~玄関~
兄「この下駄箱に入ってたのか?」
妹「そうですよ。ここが妹友ちゃんの靴箱です」
兄「警察が科学捜査すれば一発だろうけどな」
妹「手袋をしていれば証拠なんて残らないですよ」
兄「ま、そうだけど……こっちがお前の?」
妹「そうです」
兄「なんか入ってるぞ、まさか」ガチャ
妹「またですか……今朝も回収したばっかりなのに」ドサササ
兄「げっ……ラブレター?」
妹「今日はちょっと多いですね」
兄「ちょっとってレベルじゃねーぞ」
兄「お前モテるんだな……」
妹「ふふ、もしかして危機感を感じてますか?」
兄「な、んなわけないし」
妹「ふーん、じゃあこの中の誰かと……」
兄「おいこら、ちょっと待ちなさい」
妹「ふふふ、冗談ですよっ」
兄「ったく……あ、妹友ちゃんのほうにも何か入ってるな」
妹「妹友ちゃんも結構貰うみたいです」
兄「ふーん……かわいいしなぁ」
妹「そうですね……」
兄「……」
妹「……」
兄「あからさまに怪しいな……」
妹「そうですね……」
兄「開けてみようか」
妹「い、いいんでしょうか」
兄「多少、プライベートな部分にも手を突っ込まないと解決しないよ」
妹「そ、そうですよね……もし普通のラブレターだったらどうしますか?」
兄「そんときは普通にもどそう。閉じてるところを慎重に剥がしてくれよ」
妹「2通ありますね。はい、こっちは兄さんで」
兄「あいよ」
妹「慎重に……慎重に……」ビリビリ
兄「へくしっ!!!」ビリャリャリャッ
妹「に、兄さんっ!何してるんですか!」
兄「不可抗力だ!仕方ないだろっ!」
妹「まったくもう、気をつけてくださいよ」
兄「悪かったってば」
妹「……こっちは普通のラブレターですね。『君が好きさ、大好きさ。』と書き出しが」
兄「頭悪そうな文章だなおい」
妹「これくらいストレートなほうがいいかもしれませんよ」
兄「そんなもんかねぇ……こっちはどうかな」
妹「どうですか?」
兄「うわ……ビンゴだな」
妹「見せてください」
『別れろ別れろ別れろ別れろ別れろ別れろ別れろ別れろ別れろ別れろ別れろ別れろ』
兄「なんかこえぇええええッ!」
妹「こ、これはちょっと背筋が寒くなりますね……」
兄「これでもう確定だな。誰か知らないけど妹友ちゃんに悪意を持って」
妹「こ、この手紙どうしますか?」
兄「見せないほうがいいだろうな。またショック受けるだけだ」
妹「そうですね……」
兄「もう一回見せて」
妹「ご丁寧にPCでプリントアウトしてますね」
兄「男か女かもわからないな……」
妹「便箋は昨日と同じです」
兄「ってことは、複数に悪く思われてる可能性は下がったかな……」
~グラウンド~
兄「ふぅ、まさか昔の担任の先生に捕まって30分も話し込んでしまうとは」
妹「兄さんが無職なせいで説教までされましたね」
兄「俺だって好きで働いてないわけじゃないぞっ」
妹「でも、ぐうたらしてるのもまんざらではない、と」
兄「そうそう……ってこら」
妹「まぁ私はいつでも兄さんと遊べるからいいですけど」
兄「そいつは良かった」
妹「ところで、どうしてグラウンドなんですか?」
兄「あー、その彼氏って野球部なんだろ?ちょっと見ておこうかと思って」
妹「ネックレスの件に関係ありますかね?」
兄「そう決め付けてるわけじゃないけど、何か閃くかもと思ってさ」
妹「さすが兄さんです」
~グラウンド・野球部~
兄「頑張ってるなー」
妹「兄さんも野球でもはじめたらどうですか?」
兄「何のためにだよ」
妹「健康のためにです」
部員「バッチコーイ」
部員「しゃーこいやおらー」
オタ「バッチwコーイwwでごwざwるwww」
兄「な、なんか変なのも混じってるな……」
妹「あ、あれでもちゃんとした部員なんですよ」
兄「そうは見えんが。太ってるし」
妹「趣味はフィギュア製作らしいですが、ギャップ萌えのために野球部に入ったとかなんとか」
兄「あいつが犯人だったら楽そうだけどな……バカそうだし」
おい、お前らが居るぞ
>>648
俺サッカー派だから
兄「どれが妹友ちゃんの彼氏なのかなぁ」
妹「えーっと、あそこのブルペンで投げてる人ですね」
兄「おぉ、エースって奴か」
妹「エースは隣の人ですね。例えるならダルビッシュとメガネッシュさんでしょうか」
兄「ふーん、……その近くにいる女の子は?」
妹「マネージャーさんですね。あの……兄さんちょっと耳を」
兄「なになに」
妹「個人的には、今回あの人が一番怪しいと思ってるんです」ヒソヒソ
兄「ほうほう、聞かせてくれ」
妹「その……彼女とは同学年なんですが」
兄「うん」
妹「妹友ちゃんの彼氏と昔から仲が良くて、好きなんじゃないかって前からうわさになってたんです」ヒソヒソ
兄「ほー……」
兄「わかった、ありがとう。心に留めておこう」
妹「はい。でも、実際怪しいんですよ」
兄「どうして?」
妹「体育は、彼女のクラスと合同なんです」
兄「……なる」
妹「彼女なら、盗る機会があったと思うんです」
兄「うーん、そうか……ちょっと話がしてみたいけど」
妹「え、でも……」
兄「難しいよなぁ、やっぱり」
先生「ん……お前は久しぶりだのう」
兄「ギョギョ」
妹「こんにちわ、先生」
先生「うむ。そこに居るのは兄じゃないか。ヒョットコみたいな顔してても騙されんぞ」
兄「いやーあははは。先生もお変わりなく」
先生「こんなところでどうしたんだ。卒業したくせに野球に興味あるのか」
兄「いや、妹の迎えに来て通りすがっただけです」
先生「そうか、ところでお前は今なにしとるんだ」
兄「えーと……」
先生「まさかニートではあるまいな……」
兄「いやそのあの」
先生「貴様っ!あれほど在学中に口を酸っぱくして指導したにもかかわらずっ!ちょっと来いっ!」
兄「あーれー」
妹「に、兄さん、私は先に行ってますから……」
兄「待ってー」
兄「くそおおおひどい目に遭った……」
妹「お疲れ様でした、兄さん」
兄「二時間も説教するなんて尋常じゃないぞ」
妹「野球部のコーチのはずなんですけどね」
兄「職務放棄じゃないのか?まったく……」
妹「進展の無いまますっかり日が暮れてしまいましたね、兄さんのせいで」
兄「颯爽と逃げたくせに何を言うかお前は」
妹「野球部の練習も終わったみたいです……」
兄「仕方ない、今日のところは帰るか……」
妹「お腹が空きましたね」
兄「俺はなんかストレスで下痢気味だわ」グルルル
妹「ちょっと兄さん、いくら兄さんでも漏らしたらヒきますから!」
兄「そこまでではないけど、用を足したいな」
妹「トイレ、近くには無いですよ」
兄「学校は閉まったかな?」
妹「多分、駄目ですね」
兄「この建物は?」
妹「ここは女子寮ですよ。向こうが男子寮。」
兄「新しいな。最近できたのか」
妹「遠方からの生徒が増えましたからね」
兄「ふーん……いてて」グギュルル
マネ「あれ、妹ちゃん」
妹「あっ……マネージャーさん、こんばんわ」
マネ「珍しいわね、こんなところで」
妹「え、えとー、そうですね、えへへへ……」
マネ「その男の人は?もしかして彼氏?」
兄「兄です……」グギュルルル
マネ「ど、どうしてお腹を押さえてるんですか?お兄さん」
妹「ちょっと緩くなってるみたいです」
マネ「あら、それは大変ね」
兄「よ、良ければトイレをかして貰えると嬉しいんだけど……」
妹「兄さん、どうしてマネージャーさんがここに住んでるの知ってるんですか?」
兄「別に……ちょっとイントネーションがこっちの人と違うから、勘で言ってみただけだよ」グギュルル
マネ「わぁ、何か探偵さんみたいですねお兄さん」
兄「はは……で、貸してもらえるかな?」
マネ「うーん、女子寮は男子禁制なんだけど……」
兄「や、やっぱりそういう落ちか……」グルルル
マネ「妹ちゃんのお兄さんということだから、いいですよ。悪い人じゃなさそうだし」
兄「助かったー」
妹「良かったですね、兄さん」
おかしいな おまけの番外編なのに一番長くなってしまう
~女子寮~
兄「アッー!アッー!」←排泄中
マネ「な、なんで声をだすのっ」
妹「兄さんっ!恥ずかしい真似はやめてくださいっ!!」
兄「そんなこと言われても……アッーー!!」
マネ「い、今ほどワンルームを悲しんだことはないわ……」
妹「ごめんなさいぃい……」
マネ「ププ、でも楽しいお兄さんね」
妹「楽しいは楽しいんですけど……これはちょっと」
兄「アッー!」
マネ「ぷっ……あははははっ」
妹「にーーーいーーーさーーーんっっっ!!」
兄「ふぅ……君は命の恩人だ、ありがとう」スッ
マネ「あ、あの……握手はいいんですけど手は洗いましたか……?」
兄「ふう、人心地ついた」
妹「まったく、サイテーです」
兄「そんなに怒るなよ」
マネ「はい、下痢した後水分を取らないと脱水になりますから」コト
兄「あ、ありがとう」
妹「いいんですか?お茶までいただいて」
マネ「いいわよ別に。どうせ私一人だし」
兄「おい、いい子じゃないか……」ヒソヒソ
妹「べ、別に私は最初から悪いひとだなんて言ってないですよ……」ヒソヒソ
マネ「?」
兄「しかし、綺麗にしてるなぁ。俺の部屋とは大違いだ」
マネ「もともと私物が少ないですから」
兄「さすが女の子の部屋ってところだな」
妹「むっ!私の部屋だって綺麗ですよ」
兄「わかってるってば……」
マネ「ホントに少ないんですよ……部屋はベッドと勉強机があるくらいですし」
兄「ここって、築何年だろ」
マネ「去年、建てたらしいですけど……」
兄「どおりで綺麗なはずだな」
妹「そんなこと聞いてどうするんですか?住みたいんですか?」ジト
兄「いちいち突っかかってくるなよ、うっとおしいな」
妹「な、なんですってー!」
マネ「仲良しなのねぇ、お兄さんと」
兄「他にもいっぱい住んでるの?」
マネ「残念ながら、空き部屋はないですよお兄さん」
妹「……」ツンツン
兄「ふーん……あ、もうひとつお願いがあるんだけど……」
マネ「なんですか?」
兄「さっき急いでズボンを脱いだら、ベルトのバックルが壊れちゃってさ、ペンチとかはさみとか貸してもらえないかな」
妹「どんだけ我慢してたんですか!」
兄「俺は二時間も我慢してたんだぞお前」
妹「トイレに行かせてくださいって言えばよかったでしょう?」
兄「あいつにそんなこといえるわけ無いだろうに……」
マネ「ごめんなさい、私持ってないです。爪切りくらいしか」
兄「それでいいや」
妹「そういうことは家に帰ってからやってください」
マネ「あ、ごめんなさい……そろそろ食事の時間なんです」
兄「皆で食べるの?」
マネ「そうですね、食堂で寮生があつまって食べます」
兄「ここでは料理しないんだ」
マネ「キッチンないですから」
兄「あ、本当だ」
妹「ほらほら兄さん、そろそろ行きますよ」
兄「はいはい……それじゃ、おじゃましました」
マネ「くすっ……何のお構いもできませんで」
妹「ちょっと可愛いとすぐこうなるんだからっ!ほら兄さんっ!」
~自宅~
妹「兄さんはほんっとーにどすけべですっ!」
兄「開口一番それかい」
妹「きっと私がいなかったら電話番号からスリーサイズまで根掘り葉掘り聞いたに違いないです」
兄「何を根拠にそんな」
妹「そんなにあそこが気に入ったんですか?」
兄「まぁ、女子寮って言葉はかなり魅かれるものがある」
妹「女子寮の管理人とか就職すればいいんじゃないですか?」
兄「昔そーいうエロゲーもあったな」
兄「しかし、あんまり情報取れなかったな……」
妹「何がですか」
兄「とりあえず、あの部屋で壊したんじゃないのはわかったけど……うーん……」
妹「な、何の話ですか?」
兄「ネックレスだけど……あの子じゃないとなると一体」
妹「ど、どうしてです?」
兄「お前がもし人様のものをパクってぶっ壊してやろうと思ったら、どこでする」
妹「それは……河原とか?」
兄「そんなオープンな環境で誰かに見つかる可能性があってもか?」
妹「えーと、家ですかね」
兄「やっぱそうだよなぁ……」
兄「で、この壊れたネックレスは、相当ひどいよな」ジャラ
妹「改めて見ると、そうですね」
兄「これはちょっとそこらのハサミとか爪切りじゃ無理だろうけど、あそこは包丁もないみたいだし」
妹「何かにぶつけて壊したんじゃないですか?」
兄「壁も床もテーブルも傷ひとつないし、部屋の外でやるわけにもいかないだろ。もちろん風呂トイレも確認したけど」
妹「に、兄さん……いつトイレとお風呂を」
兄「大声を出して悟られないように頑張って漁ってみた。ユニットだったから手間が省けた」
妹「……」
兄「破片らしきものもないし、まぁあの子はシロでいいんじゃない」
妹「兄さんっ」ダキッ
兄「うおぉうっ!」ドタ
妹「さすが兄さんですーっ……」ギュ
兄「大したことは何もしてないんだけど……」
妹「そんなことないです……やっぱり私の助手なだけはあります」
兄「え?俺のほうが助手なの?」
妹「そうですけど。不満ですか?」
兄「いや別に……まぁいいか」
妹「ご褒美に今日は一緒に寝てあげます」
兄「結局まだ何もわかってないんだけど」
妹「明日からの捜査に期待ですね」
兄「もう諦めるという選択肢はないの」
妹「そんなものはないです」
兄「うーん、多少決めうちでいくしかないのか……?」
~翌日・学校図書室~
兄「学校で生徒が使えるPCはここだけなんだな」
妹「あとは、情報処理室ですけど……授業以外は鍵が掛かってます」
兄「そっちはプリンタは?」
妹「無いです。基本的にプリントアウトすることが無いので」
兄「ふーん、そりゃ好都合だな」
妹「どうしてですか?」
兄「あの子の部屋PC無かったし、もしあの子だったらここであの怪奇レターを書いたのかもと思って」
妹「な、なるほど……でも、友達の家とか」
兄「その可能性もあるけどな。まずは試してみよう」
妹「何をするんです?」
兄「同じものを作ってみるんだよ。何かわかるかもしれないし」
妹「どのPCでも同じじゃないですか?そんなの」
兄「まぁみてろって」カタカタ
兄「別れろ別れろ別れろ……と」カタカタ
妹「なんでメモ帳なんですか?」
兄「それ、ワードじゃなくてメモ帳で書いてるじゃん」
妹「ど、どうしてわかるんですか」
兄「プリントアウトした時にワードとメモ帳じゃちょっと違うんだよ。よしおk」
妹「あ、出てきました」ウィーン
兄「司書さんに、インク交換したのはいつか聞いてきてくれ」
妹「むっ!なんか私が助手みたいです」
兄「ちょ、大事なとこなんだからごねんなよ」
妹「ちゃんと私に分かるように説明してくださーい!じゃなきゃ行きませんっ」
兄「二つを見比べてみたら分かるだろ、最初の手紙はインクが薄くなってる」
妹「……言われて見れば微妙にそうですね」
兄「学校とかは補充のインクも常備してるだろ。多分」
妹「まぁそうだと思いますけど」
兄「何百人もいるんだからすぐ気がついて交換するはずだ」
妹「ふむふむ」
兄「この手紙を書いた後、インクを交換したなら振り出しだ。もしここ最近交換して無いなら」
妹「……ここでプリントアウトした可能性は極めて低いということですね」
兄「新しいのはばっちり印刷されてるからな」
妹「ふ、ふんっ!私だってそれくらい気がついてましたからっ!」
兄「嘘くさいな、もう」
妹「と、とりあえず今回は大人しく聞いてきてあげます」
兄「頼むぞー」
妹「聞いてきましたけど、最近インクの交換はしてないそうです」
兄「やっぱりかぁ。ありがとう」
妹「つまり、家にPCとプリンタがある人があの手紙を書いたわけですね。マネージャーさんはシロなんですね」
兄「あくまで可能性が低くなったってことだけど。他に怪しい人もいないのがちょっとなぁ」
妹「なんだか犯人に近づいてきた気がしますね」
兄「100メートル先のゴールに、2メートルくらいは近づいたかな……」
妹「それでもある程度は絞り込めるような気がします」
兄「うーん……もうちょっと聞き込みしていかないと」
妹友「ぉにいさーん!妹ちゃーん!」タタタタ
兄「お、妹友ちゃんが走ってくる」
妹友「これから、野球部の練習見に行こうと思ってたんですよー」
兄「あぁ、例の彼氏の」
妹「私たちもちょうど行こうと思ってたんです」
妹友「ほんと?じゃ、一緒にいこー」
妹「はい」
兄「元気そうで良かった」
妹友「むふ、ラブレターもらっちゃったしー」
兄「あ、あぁそうなんだ……」
妹友「なんかバカっぽい文章だったけど、やっぱ嬉しいよねこういうの」
兄「おそらく昨日のやつだろうな」ヒソヒソ
妹「でしょうね」ヒソヒソ
妹友「しかもね、封綴じた後に一回開けたみたいでね、それがまた可愛いっていうかーくすぐられるっていうかー」
妹「すみません……それ私です……」ボソ
妹友「なんかいったー?」
妹「……な、何も」ブンブン
妹友「ま、私には彼氏がいるからあれなんだけどー」
妹「そうですよ」
妹友「ドゥフフ、みてみて」バッ
兄「フェイスタオル?」
妹友「これでね、投球練習で流した汗を拭いてあげようと思ってるの」
妹「わぁ……意外と少女ちっくですね」
妹友「喜んでくれるかなー……」
妹「私はいいと思います」
兄「衆人環視の中でそんなことするなんてどんな羞恥プレイだよ……」
~野球部・グラウンド~
妹友「それじゃ私、ちょっと行ってくるから」
妹「行ってらっしゃい」
兄「はいよ」
部員「バッチコーイ」
部員「しゃーおらー」
オタ「大wリーグwボールww3号wwwww」
部員「てめーはスパイク磨いとけボケー」
兄「あいつ明らかに浮いてるけど」
妹「本人気にしてないみたいだしいいんじゃないでしょうか……」
兄「昨日のマネージャーさんもいるみたいだな」
妹「そりゃマネージャーですし」
兄「んー……なんかもめてないか?あそこ」
妹「え?」
マネ「だからぁ、こーいうのは困るの」
妹友「ちょっとだけだし、いいじゃん」
マネ「練習の邪魔になるの!そんなこともわかんないの?」
妹友「そんなー……だって私たち」
マネ「付き合ってるからとか、関係ないからね!」
兄「やっほー」
妹「に、兄さん」
兄「喧嘩は良くないと思って」
マネ「……別に喧嘩してるわけじゃないです。ただこの子が」
妹友「何よー!前は別に良かったじゃない。私のほかにもおんなじことしてるひといたよー」
マネ「前は前、今は今!もうすぐ選抜があるんだから、時間を無駄にできないの!わかったら行ってちょうだい」
兄「うわ……」
妹「けんけんがくがくですね……」
兄「まあ、マネージャーの気持ちもわかるけどさ」
マネ「分かってるなら向こうに行って下さい」
妹友「こいつむかつくー」
兄「好きな人にタオルの差し入れくらい、いいんじゃないかな……監督もいないみたいだし」
妹「に、兄さん……」
兄「ちょっとユルい考えかもしれないけど、それも青春の1ページってことでさ」
妹友「そーだそーだ」
マネ「……駄目です」
兄「えっ」
マネ「お話は聞きましたけど。とにかく許可しません。お引取りください」
妹友「えー……厳しすぎ……」
兄「むむむ」
妹「と、とにかく一度向こうに行きましょう……ほら」
妹「まったくもう、兄さんまで」
兄「悪い悪い」
妹友「あーあーつまんないのー……」
兄「昨日話したときは、もう少し話の分かる子だと思ったんだけど」
妹「確かに、ちょっと厳しすぎるような気もしましたけど」
妹友「あーあー、もうお兄さんにあげる。このタオル」
兄「こんなもん貰ってどうしろと」
妹友「それ、顔も拭けるし、体も拭けるし、いざという時はお腹にかけて寝たり最後は雑巾にもできちゃう万能タオルだよー」
兄「それを世間ではフェイスタオルというんだ」
妹友「むふ、ばれた。じゃーねー!」
兄「さってと、どうするかな……」
妹「どうしますか?」
兄「一度帰って、考えを整理しようかな」
妹「兄さんがそういうなら」
兄「じゃ、行くか……」
部員「おーい!伏せろー!」
妹「え?」
兄「ファ、ファールボールが……危ないぞっ!!」
妹「きゃーーーっ!!」
兄「ひでぶっ!!!」
~保健室~
兄「うーーーん……」
妹「兄さん兄さん、大丈夫ですか……?」ユサユサ
兄「お、ここは……」
妹「大丈夫ですか?吐き気とかは無いですか?」
兄「あれ、一体俺はどうしたんだっけ」
妹「兄さんは私をかばって、頭にボールが当たって……」
兄「あらら……お前は平気だったのか?」
妹「もうっ!今は兄さんの話をしてるんですよっ!」
兄「ご、ごめん」
妹「うぅう……良かったですぅ……ぐすっ……」
兄「そんな大げさな」
妹「大げさじゃないです!硬球が当たったんですよっ!」
兄「お前にあたらなくて良かったなぁ」
妹「兄さんがかばってくれたからです……」
兄「かっこいいだろ」
妹「はい……じゃなくてっ!まずはヨダレを拭いてからそういう事を言ってくださいっ!」
兄「フッフフ……タオル貰っといて良かった」ゴシゴシ
先生「気がついたか」ガララ
兄「どーも」
先生「念のためにCTくらい撮っておいたほうがいいかも知れんなぁ」
兄「そんな大げさな」
妹「明日にでも無理やり引っ張って行きます」
兄「げ……」
先生「頭の怪我は用心しすぎてしすぎるということはない。悪いことは言わんから病院にいっておけ」
兄「はーい……」
先生「一応、打球を打った選手も連れてきたからな。謝罪したいそうだ」
兄「え……いいっすよ別にそんな」
先生「いいぞ、入って来い」
オタ「グププwwwwどうも申し訳ありませんwwでwごwざwるww」ガララ
兄「お前かい」
オタ「このたびはww大変ご迷惑をかけたでごwざwるw」
兄「あーもういいもういい。頭が痛くなる」
先生「そもそもお前はスパイクを磨けといっておいただろうが!」
オタ「しかし大佐www拙者もww部員のはしくれww」
先生「ワシまで頭が痛くなってきた」
兄「かえろっかなぁ、もう」
オタ「お詫びにwwwこれを持っていくでござるwww」
兄「色紙?」
オタ「拙者のサインでごwざwるwww」
兄「滅茶苦茶いらねぇ」
兄「なんだよこの大リーグボール3号って」
オタ「グププwwそれを説明するとなると24時間では足らんでござるwwそもそもの成り立ちはww」
兄「あーもういいもういい……?」
妹「帰りましょう兄さん。私も頭痛を引き起こしそうです」
兄「なぁ、サインに余白が多いからさ、もう少し書いてくれ」
オタ「ラジャーwwwでござるww」
兄「えーとな……『栄冠を君に』じゃなくて『栄冠が君に』」
オタ「いい言葉でござるwwよりアクティブにでござるwww」サラサラ
兄「あとは……『めざせ、珍プレー好プレー』」
オタ「うはwwwwプロを目指せとwwwww」サラサラ
兄「おk、これくらいでいいかな」
先生「物好きもいたもんだのー」
妹「何してるんですか、もう……」
~自宅~
兄「うー……腫れてきたな……」
妹「明日は病院に行かなきゃ駄目ですよ」
兄「わかってるよ」ガサ
妹「何を見てるんですか?」
兄「ラブレター」
妹「なんななななな、なんですってー!!」
兄「お、俺のじゃないって!妹友ちゃんのタオルに挟まってたんだよ」
妹「あ、そーいうことですか」
兄「ちょっとオタ君の色紙とって」
妹「えー……触りたくも無いんですけど」
兄「まぁまぁ、俺はあんまり動いちゃ駄目っていわれてるし」
妹「はい、どうぞ」ポイ
兄「投げるなよ」
兄「やっぱり似てるよなぁ。ラブレターの字と」
妹「何がですか?」
兄「この字なんだけど、ほら」
妹「んー……きったない字です。読みにくいです」
兄「この汚さが最初ひっかかったんだけど、『大』の字だけ似てるくらいならそんなに気にしなかったんだよ」
妹「といいますと」
兄「『君』『が』『大』『好』『さ』全部おんなじだろ、ほら」
妹「あ……本当ですね」
兄「『き』は『さ』とほとんど同じ字体だから省いたけど、それにしてもこれは似すぎだなぁ」
妹「こ、これを確かめるために書かせたんですか?」
兄「うん」
妹「よくそこまで頭が回りましたね……すごいですっ!」
兄「ラブレターが無記名なのもなんかおかしい気もしてたし」
妹「つまり、どういうことになるんでしょう」
兄「わかんない」
妹「えっ」
兄「なんか繋がりそうなんだけど……いまいち決め手にかけるんだよな」
妹「今回のネックレスとオタ君のラブレターに関係があるんでしょうか……」
兄「なんにせよ明日だな、ちょっとカマかけてみれば簡単にボロを出すかもしれない」
妹「午前中は病院に行きますからね!」
兄「分かってるってば」
眠い……なぜこんなに長くなったのか
~翌日~
妹「何も異常がなくて良かったですね」
兄「日ごろの行いがいいからな」
妹「普段はゲームしてるだけな気がしますけど」
兄「なにおう」
妹「さ、それより学校に行きましょう」
兄「おし、行くか……」
妹「今日はそろそろ解決したいですね」
兄「また野球のボールが飛んできても困るしな」
妹「今度は私が兄さんを庇ってあげます」
兄「今から行けば、ちょうど放課後かな……」
~学校~
兄「着いたな」
妹「なんか学校休んだのに学校に来るって窮屈な感じがします」
兄「なんだそれ」
妹「なんとなく身の置き所がないというか」
兄「わかるわかる」
妹「またグラウンドでいいんですか?」
兄「うん、話してみないとわかんないしな」
妹「何か作戦でもあるんですか?」
兄「や、何も考えてないけど。なるようになるだろ」
妹「ええー!昨日偉そうに話しかけないでとかいったくせに!」
兄「頭が痛かっただけだってば」
妹「うぅ、不安になってきました……」
~グラウンド~
部員「バッチコーイ」
部員「しゃーおらー」
オタ「ヒーローでwござるwwH2でござるwww」
兄「相変わらずだな」
妹「オタ君に用があるんですか?」
兄「だなー。おーいおーい」
オタ「グププww拙者のふぁんでござるなwww」
兄「ちょっと借りてもいいですか?」
部員「バッチコーイどうぞー」
部員「しゃーおらーいつまででも」
オタ「wwwwwww」
兄「メンタル強すぎだろこいつ……」
妹「取り柄といえば取り柄ですよね」
オタ「今日はなんでござるかwwwまたサインでござるかwww」
兄「それはまぁ、あとでいいんだけど」
オタ「親戚のお子さんのぶんも書くでござるww」
兄「人気者なんだろうなぁ」
オタ「ござるよww選抜出場でござるからww」
兄「彼女とかいるの?」
妹「いるわけ無いです……」
オタ「二次元にはwwwたくさんいるでござるがwww」
兄「そ、そうなんだ……でも、二次元だと触れないじゃないか」
オタ「wwwフィギュアなら愛でることができるでござるwww」
妹「う、うわあ……」
兄「ひ、ひくなひくな」
兄「そっか、フィギュアねぇ」
オタ「興味あるでござるかwwww」
兄「まあ少しはあるかな」
妹「兄さん!キモイです」
兄「いいから静かに」
妹「全然関係ないじゃない話じゃないですか……」
兄「なんかあーいうのって、自作したりするのもアリなんだよな」
オタ「うはwwwでござるwww魔改造でござるよww」
兄「君もやるの?」
オタ「当然でござるwwww」
兄「ふむふむ……」
妹「理解できない世界です」
オタ「自作に興味あるでござるか?www」
兄「ちょっとネットで見たけど、本格的にやろうと思ったら大変そうでさ」
オタ「wwwww」
兄「道具とかも揃えないといけないみたいだし」
オタ「肯定wwwでござるwww」
兄「ナイフとか、やすりとかで削ったりするんだろ?俺、手先器用じゃないし」
オタ「慣れでござるよwww慣れればスパスパいけるでござるww」
兄「ネックレスくらいならスパスパいけちゃう?」
オタ「」ビク
妹「あ……」
兄「こう、やすりで削ってさ。新品のネックレスとかをボロボロにするくらいは」
オタ「な、なんなななななんでござるかwwwww?ネックwwレwスww訳不明www」
妹「日本語が怪しくなってます……」
兄「はは、冗談だよ。まさかそんなことするわけないよな。意味ないし」
オタ「wwwwwwwwwwww」
妹「笑ってごまかそうとしてるのか、地なのか判別不能ですね」
オタ「話がwww見えないwwww」
兄「フィギュアの話はもういいや、別の話にしよう」
オタ「把握wwww」
兄「最近は名前なしラブレターって流行ってんのかな?」
オタ「」ビク
妹「か、完璧黒ですこの人……っ!」
兄「限りなく黒に近いグレーってところかな……」
マネ「さっきから何の騒ぎですか?」
兄「あ、マネージャーさん」
オタ「wwwwww」
マネ「何してるの、はやく練習に戻って」
オタ「了解でござるwwww」タタタタ
妹「あ、待ってくださいっ!」
兄「いや、あいつはもういいや」
妹「どうしてですか!あからさまに怪しかったです!」
マネ「まったくもー……二日続けてなんなのよ」
兄「悪かった。ちょっとフィギュアとネックレスについて話を」
マネ「ふーん。何でもいいけど練習の邪魔しちゃだめですよ」
兄「そーいや昨日はでしゃばって悪かった、ごめん」
マネ「べ、別にいいけど……次から気をつけてくれれば」
兄「妹友ちゃんもさ、悪気はなかったんだよ」
マネ「……それはわかりますけど」
兄「彼氏に貰ったプレゼントなくしちゃったみたいでさ、あー見えて落ち込んでるらしい」
マネ「彼女、うっかりさんですからね。ネックレスなんて失くさないでしょ普通」
兄「ネックレスとは一言も言ってないけど」
マネ「え…?」
妹「むむむ」
兄「プレゼントがネックレスだって知ってた?」
マネ「えーと、さっきの話の流れで……」
兄「フィギュアとネックレスの話をしたとは言ったけどね」
マネ「あ、この前話してたの聞いたの……失くしたって大騒ぎしてたもん」
妹「私は初耳ですけど」
マネ「妹ちゃんが学校休んでる時にっ!!」
兄「ま、妹友ちゃんなら友達相手にそうやって騒ぐのもありうる話だよな」
マネ「で、でしょ!」
兄「でもさ、なくなってないんだ。本当は」
マネ「ふーん、よ、良かったじゃない……」
兄「借りてきたんだけど見る?綺麗だよな、これ」ジャラ
マネ「う、嘘……っ!!!」
兄「嘘、とは?」
マネ「くぅううう……!」
兄「本当のところをいうと、これは妹友ちゃんが自分で買ってきたやつなんだけどね」
マネ「な、なにそれっ!インチキじゃないっ!!」
兄「なくなったその日のうちに買ったんだ。失くしたのは皆に内緒にしてな」
妹「兄さんがお金だしてあげたんですよー」
マネ「え……」
兄「だから、学校の友達にネックレスがなくなったなんて言ったりしない。さっき君はなんていったっけ」
マネ「う……うぅ……」
兄「さっきのは嘘だと思う。君がそういう嘘をつかなくちゃいけなかった理由は多分」
マネ「うわあああああああああああああっ」ダッ
妹「に、逃げたっ」
兄「こ、このタイミングで逃げるか!?」
妹「追いかけましょう」タタタ
兄「待ってー」
妹「何してるんですか兄さんっ!」タタタタ
兄「き、昨日の後遺症でフラフラする……」フラフラ
妹「一番肝心なときにーー!!」タタタタ
兄「さらに日ごろの運動不足が追い討ちを」ドタドタ
妹「冷静に解説しなくてもいいですっ!走って下さいっ!!」
妹友「…………てめぇだったのかぁあああああああっ」ドゴッ
マネ「ぎゃふんッ!!!」
兄「うお」
妹「妹友ちゃんっ」
妹友「うっすうっすー」
~校舎裏~
マネ「うぅーーん……」
兄「お、気がついたかな」
妹「みたいですね」
妹友「じゃあもう一回眠らせてあげないとね」バキボキ
兄「なんでこんな好戦的なのこの子」
妹「昔からこうですよ」
妹友「二人とも草食系すぎー。そんなんじゃこれからの世の中生きていけないですよー」
マネ「ここは……」
兄「一応目立たないところにと思って、ここ先生も生徒も来ない穴場だし」
妹「さすが卒業生ですね」
妹友「てめぇ~……不運と踊っちまいてぇのか?」
マネ「ひ、ひぃいいいい」
妹友「てめーの手下が全部吐いたぞコラ?」
マネ「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいいいいいっ!!」
妹友「スットロいこといってんじゃねーぞゴラッ!謝ってすむなら警察も探偵もいらねーんだよッ」
兄「待って待って、それじゃ話もできないじゃないか……」
妹「一応理由くらいは聞いてもいいと思いますよ?」
妹友「ケッ……」
兄「あのオタ君にいろいろ手伝ってもらったみたいだけど」
妹「今後、卒業まで朝倉南さんの物まねで接する約束って相当きつかったと思います」
兄「そりゃかえって失敗に終わってよかったんじゃないかな……」
マネ「うぅ……はい……」
兄「で、大体理由は想像ついてるんだけど……話してくれる?」
マネ「……」
妹「理由を話せばもしかすると、全殺しが半殺しになる可能性もあります」
妹友「笑えねー理由だったら分かってるんだろうなオイ」
兄「いや、笑いとかいらないから」
妹「いいにくいなら私から言ってあげますけど」
妹友「つーか理由なんてひとつでしょ。私と男くんが付き合うのが気に入らないんだから」
兄「やっぱそうなの?」
マネ「……」コク
妹友「ほらね」
妹「こんなことするくらい好きだったんですか」
マネ「うぅ……うん、ずっと前から」
兄「告白すればよかったのに」
妹友「そーだそーだ。卑怯なことしないで正面からこいっての」
兄「入学当初から好きだったの?」
マネ「……」コク
妹「ずっとうわさになってましたからね」
兄「ま、想いが深いぶんなかなか言い出せないってこともあるんだろう」
マネ「は、はい……」
兄「そっか」
妹友「何よーこの同情の流れはー!あんなことされたってのにさー」
妹「まぁ、恋をすると人は冷静じゃいられなくなるという良い典型ですね」
兄「綺麗にまとめたな」
兄「じゃ、帰るか……」
妹「今回も無事にQ・E・Dですね」
妹友「じゃーね、ばいばいきーん」
マネ「うん……あ、待って」
妹友「あん?まだ文句あんの」
マネ「そうじゃなくて……あの」
兄「you、喋っちゃいなyo」
妹「キモイです、兄さん」
マネ「私、好きなんです……」
妹友「わ、分かったってばそれは……私にはとめる権利ないし、言うだけ言ってみればっ」
兄「まぁまぁ」
マネ「だから、好きなんです、妹友ちゃんのことっ!」
妹「えっ」
兄「えっ」
妹友「えっ」
マネ「入学式のときからずっと、可愛いなって思ってて……」
兄「はー……」
妹「こ、これはなんとも」
妹友「こ、このひともしかして……ビアンなの……?」
兄「これは人類♂にとって大きな損失」
マネ「す、好きです……だから、付き合ってくださいっ!」
妹友「はいいいいいいいいっ?」
兄「正面から真っ向勝負だな」
妹「こ、これは……厳しいですね」
妹友「待って、無理だよー!」
兄「野球部の彼が好きなんじゃないの?」
マネ「え、別に……いい友達だと思うけど」
妹「仲良かったみたいですけど」
マネ「ただそれだけなの」
妹友「私がタオル持ってったら冷たくあしらったのは?」
マネ「妹友ちゃんの幸せそうな顔みると嫉妬に狂いそうで」
兄「なるほど、筋は通るけど」
妹「証明終了ですね」
妹友「ちょっと、何納得してるんですかー」
マネ「お願いっ!私ネコも立ちも両方いけますからっ!」ヒシ
妹「ネコと立ちって何ですか?」ヒソヒソ
兄「受けと攻めの事だろうな……」ヒソヒソ
兄「……じゃ、そろそろホントに帰ろう」
妹「そうですね」
妹友「ちょっとー!」
兄「あとは二人で話し合って解決してくれ」
妹「私はそういう形もありだと思いますよ」
妹友「ま、待ってー!」
マネ「お、お願いーーーっ!行かないでっ!」
妹友「アッー」
番外編も終わり
次は4部でお会いしましょう(ウソ)
そういや二つしか出てこなかったな
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