恭介「仁美さんに振られた…」(204)
仁美「………恭介さん、遅いですわね……」
プルルルル プルルルル
仁美「!」
プルルルル ピッ
仁美「もしもし、恭介さんですの?」
恭介『あ、仁美さん?ゴメン、急用が入っちゃって、今日はデートに行けそうにないんだ』
仁美(またですの……?これで5回目ですのよ……)
恭介『仁美さん?』
仁美「貴方は、わたくしよりもヴァイオリンの方が大事ですのね」
恭介『えっ、あ、あの……』
仁美「わたくし、もうあなたとやって行く自信が無くなってしまいましたわ」
恭介『ごっ、ごめん仁美さんっ!でも、ホントに急用で……』
仁美「もういいですわ、ごきげんよう」
恭介『あ、ちょっt」ピッ
仁美「………」
仁美「わたくし……何をしているのでしょう……」
仁美「はぁ………」トボトボ
翌日―――
さやか「……あれ?仁美?」
仁美「あ、さやかさん、まどかさん。おはようございます」
まどか「今朝は一人なんだね、仁美ちゃん?」
さやか「何さ、恭介とケンカでもしたの?」
仁美「あんなヴァイオリンバカのことなんて、もう知りませんわ」プイッ
まどか「えっ」
さやか「えっ」
仁美「さあ、学校へ急ぎましょう」スタスタ
まどか(さ、さやかちゃん、さやかちゃん!仁美ちゃん、すごいご乱心じゃない!?)
さやか「………」
教室―――
恭介「あっ、ひ、仁美さん!」
仁美「……」プイッ スタスタ ストン
まどか(な、なんだか仁美ちゃん、怖い……)
さやか「………」
恭介「あ、あの……」
仁美「なんですの、『上条』さん?」
恭介「!」
まどか(仁美ちゃん、今まで上条くんのこと下の名前で呼んでたのに……)
恭介「い、いやその……」
中沢「なんだよ恭介、彼女とケンカでもしたのか?」
恭介「……」
仁美「用がないのなら、話しかけないでいただけます?」
恭介「……ごめん…」
中沢「ははは、恭介お前振られてやんの!」
恭介「………」ズーン
まどか(い、一体何が……?)
さやか「………」
中沢「おい恭介、お前志筑さんに何したんだ?志筑さん、すごい怒ってるぞ?」
恭介「うん……実は昨日―――」
まどか「さ、さやかちゃん?どうしたの?」
さやか「仁美」
仁美「なんですの、さやかさん?」
さやか「何があったか知らないけどさ……一度、恭介とちゃんと話しあった方がいいんじゃないの?」
仁美「……あなたには、関係ないでしょう?」
さやか「…まぁ、そうだけどさ……」
仁美「これはわたくしと、『上条』さんの二人の問題ですの。放っておいてくれます?」
さやか「………」
中沢「ぶははははは!そりゃお前、怒って当然だろ!!」バンバン
恭介「………」ズーン
昼休み―――
恭介「ひ、仁美さん……」
仁美「………」トントン
恭介「お、お昼……一緒して、いい?」
仁美「まどかさん、さやかさん、お昼、ご一緒してよろしいでしょうか?」
まどか「う、うん、いいよ」
恭介「………」
さやか「はぁ……何突っ立ってんのさ、恭介」
恭介「!」
さやか「ほら、ここに座んなよ」ガタン
恭介「さやか……ありがとう」ストン
仁美「……」ムスッ
恭介「……」ズーン
まどか(さやかちゃん、気まずいよっ!)
さやか「………」
恭介「仁美さん……?」
仁美「なんですの?」
恭介「昨日のこと、なんだけど……」
まどか(仁美ちゃん、上条くんと目を合わせようとしない……)
さやか(こりゃどう考えてもケンカ中……だね)
仁美「それは、教室でするようなお話ですの?『上条』さん」
恭介「そ、それじゃ……えっと、放課後、屋上に来てくれるかな。そこで、落ち着いて話がしたいんだ」
仁美「………」
恭介「……待ってる、から。それじゃ」ガタン スタスタ
さやか「………」
中沢「お前、すっごいみじめに見えるぞ……」
恭介「自覚はあるつもりだよ……」
さやか「仁美?」
仁美「なんですの、さやかさん?」
さやか「放課後、屋上に行ってあげなよ?」
仁美「……わたくしは、『上条』さんの言葉に頷いてはいませんわ」
さやか「………」
仁美「それに、今日はピアノのお稽古事がありますの。行く気はありませんわ」
さやか「っ…!」
仁美「お話はそれだけですの?」
さやか「……」
まどか「え、えと……」オロオロ
さやか「……ごちそうさま」
仁美「ごちそうさまですわ」
まどか「ご、ごちそうさま!」
さやか「仁美、ちょっといい?」
仁美「……」スクッ
さやか「……ん」スタスタ
仁美「……」スタスタ
ガララ
恭介「仁美さん……」ショボン
中沢「まぁまぁ、元気出せよ恭介!」バンバン
面白そうだけど展開次第ではそっとスレを閉じる
ほむら「……まどか?」
まどか「あ、ほむらちゃん……」
ほむら「美樹さやかと志筑さん、何かあったの?」
まどか「うーん……さやかちゃんと仁美ちゃんって言うよりは、仁美ちゃんと上条くんに、じゃないのかな」
ほむら「え?志筑さんと上条恭介?」
まどか「わたしもよくわかんないんだけど……なんかあの二人、喧嘩してるみたいなの」
ほむら(……今までループしてきた世界では、ワルプルギスの夜が来るまでの間では二人の仲は順調だったはず)
ほむら(でも今は、ワルプルギスの夜を乗り越えた後……この後、二人はうまく行かないとでも言うの?)
まどか「それで、さやかちゃんはそれについて仁美ちゃんと二人でお話をしに行ったんじゃないのかな……?」
ほむら「………男女関係の、複雑な問題ね。わたしたちが首を突っ込んでいいような話ではなさそうね」
まどか「そうだね……」
中庭―――
仁美「それで?何のお話ですの?」
さやか「………ふざけてるの?」
仁美「……」
さやか「あたしの気持ち、知っておきながら恭介と付き合って……それで今度は、ちょっとした仲違いで別れるつもり?」
仁美「わたくし、最初に言ったはずですわ。貴女が先に、自身の気持ちを『上条』さんに打ち明ける権利がある、と」
仁美「そのわたくしがあげた権利を使わなかったのは、誰でもない貴女自身じゃありませんの?」
さやか「それ、は……」
仁美「チャンスを掴もうとすらしない貴女に、わたくしと『上条』さんの仲について口を出される言われはありませんわ」
さやか「っ……じゃあさ、せめて何があったかだけでも教えてよ」
仁美「それも話すつもりはありませんわ」
さやか「………っ」
仁美「お話はそれだけですの?」
さやか「………」
仁美「それじゃ、わたくしはお先に教室に戻りますわ」スタスタ
さやか「……………」グググッ…
放課後、屋上―――
恭介「………」
恭介「仁美さん……」
教室―――
仁美「……」スクッ スタスタ
まどか「ひ、仁美ちゃん?どこに行くの?」
仁美「どこって……お稽古事ですわ。それではまどかさん、さやかさん、ごきげんよう」スタスタ
まどか「あ、仁美ちゃん!……行っちゃった」
ほむら(これは深刻そうね……美樹さやかは大丈夫なのかしら?)
さやか「………」スクッ
まどか「さやか、ちゃん?」
さやか「多分、恭介は馬鹿正直に屋上で待ってると思う。仁美は行く気ないみたいだから、あたしがそれを伝えて来るよ」スタスタ
ほむら(……自棄にならないといいけれど)
屋上―――
恭介「………」ジッ
ギィィィ……
恭介「! 仁美さん!?」
さやか「残念、あたし」
恭介「……さやか」
さやか「仁美を待ってるんでしょ?」
恭介「……うん、そうだよ」
さやか「仁美なら、ここには来ないよ。稽古事あるから、って言って、もう学校出てった」
恭介「……そう、なんだ」
さやか「仁美と何があったのさ?」
恭介「……うん、ちょっとね」
さやか「あの温厚な仁美があそこまで怒るなんて、よっぽどだよ?」
恭介「わかってるよっ……」
さやか「………あたしでよければ、話、聞いたげるよ?」
恭介「さやか……」
さやか「仁美と、仲直りしたいんでしょ?」
恭介「……どうだろ、なんだかよくわかんなくなっちゃったよ」
さやか「仲直りしたいからこそ、こうやって待ってるんじゃないの?」
恭介「仲直り出来ないなら出来ないで、それでも構わないって思ってるのかもしれないね、僕は」
さやか「っ……!」
恭介「ただ……一度、落ち着いて話がしたいだけなのかも」
さやか「……くじなし」
恭介「え?」
さやか「いくじなしっ!!そんなんだから仁美を怒らせるんだよ!!」
それはさやかちゃんが言っていい台詞ではないと思います
恭介「さやか……?」
さやか「何さ!あんた、仁美の事が好きだから付き合ってるんじゃないの!?」
恭介「………」
さやか「なのに、仲直り出来なくっても構わないって……!!」
恭介「それは……」
さやか「どうなのさ!?はっきりと言いなよ!!」
恭介「……僕は……」
さやか「………」
恭介「わからない……わからないんだよ……」
さやか「……!」パァン
恭介「っ……」
恭介「仁美さんに掘られた…」
さやか「……サイテーだよ、恭介…グス」ポロポロ
恭介「さやか……?」
さやか「………っ、ヒック……」ポロポロ
恭介「どうして、キミが泣いてるのさ……?」
さやか「あたしだって……わかんないよ……」ポロポロ
恭介「………さやか、ちょっと時間あるかい?」
さやか「何さ……」ゴシゴシ
恭介「昨日の話……聞いて欲しいんだ」
さやか「……あたしは、大丈夫だよ」
恭介「ありがとう、さやか」
恭介「昨日……仁美さんとデートの約束があったんだ」
さやか「………」
恭介「でも、急用が入って……デートに、行けなくなったんだ」
さやか「まさか……約束、すっぽかしたの?」
恭介「いや、ちゃんと電話を入れたよ。急用が入って、行けなくなった……って」
さやか「どうせ、昨日が初めてだったわけじゃないんでしょ?」
恭介「……うん」
さやか「女の子との約束を断るなんて、しちゃいけないよ。そりゃ、仁美も怒っても無理ないよ」
恭介「………僕、ちょっと浮かれてたのかな。手が急に治って、ヴァイオリンがまた弾けるようになって……」
さやか「はぁ……馬鹿だね、ホントに」
恭介「僕も、悪かったと思ってる。だから、振られても仕方ないって自覚はあるつもり」
さやか「じゃあ、何さ?もう仁美のことは諦めるの?」
恭介「……そこが、わからないんだ」
さやか「……」
恭介「これ以上、無理して仁美さんと付き合ってても、うまく行かないんじゃないかって思うと……」
さやか「うまく行くか行かないかなんて、関係ないよ」
恭介「え?」
さやか「大事なのは、当人同士の気持ちなんじゃないの?」
恭介「………」
さやか「恭介自身はどうなのさ?まだ、仁美と付き合っていたいって思ってるの?」
恭介「……………」
さやか「その様子じゃ、気持ちの整理が出来てないって感じだね」
恭介「はは、情けないな、僕は……」
仁美「上条さんのケツマンコあったかいですわ」パンパン
恭介「ひぎい!」
とかいうスレかと思ったけど支援
さやか「そんじゃさ、一晩、落ち着いて考えてみなよ。自分の気持ちって奴」
恭介「そうだね……そうしてみるよ」
さやか「そんでさ、仁美と一対一で話がしたいって思えたら、あたしがなんとかしてあげる」
恭介「え?」
さやか「何よ、その意外そうな顔は?」
恭介「いや……さやかは、どうしてそこまで僕と仁美さんのことを気にかけてくれるの?」
さやか「そんなの、決まってんじゃん!」
さやか「あたしの友達と、幼馴染のことだよ?気に掛けないわけにいかないじゃん?」
恭介「………」
さやか「いつまでもうじうじしてんなって、恭介!」
恭介「ありがとう、さやか………」
でも恭介と仁美って実際付き合ってもこんな風になりそうだよな
さやかもだけど、さやかの方は仁美よりヴァイオリン馬鹿に耐性あるかな?
夜、上条宅―――
恭介「……」~♪
恭介「ふぅ……」コトッ
恭介「ダメだ、集中出来ない……」
恭介(……僕の、気持ち、か)
恭介(正直なところ、僕は仁美さんの事をどう思ってるんだろう?)
恭介(退院直後に、仁美さんが僕のことを慕ってくれてるって言われて……)
恭介(悪い気はしなかったのは、間違いない)
恭介(ただ……僕は、本当に仁美さんの事が好きなんだろうか?)
恭介(……………)
告白されて悪い気がしないのは分かるけど、考えずにOKすんな
翌日―――
仁美「まどかさん、さやかさん、暁美さん、おはようございます」
まどか「おはよう、仁美ちゃん」
さやか「……おはよ、仁美」
ほむら「おはよう、志筑さん」
仁美「ふぅ……」
さやか「仁美。一晩経って、少しは頭冷えた?」
仁美「何の話ですの?」
さやか(まだ怒ってるか……)
教室―――
ガララ
恭介「!」
仁美「……」スタスタ
さやか「おはよ、恭介、中沢」
中沢「おう、おはよー美樹、鹿目さん、暁美さん、志筑さん」
恭介「おはよう、さやか、鹿目さん、暁美さん……仁美さん」
仁美「っ…」ストン
さやか(どう、恭介?考え、まとまったの?)ヒソヒソ
恭介(……まぁ、一応は)ヒソヒソ
さやか(それじゃ、二人きりで話せるようにしたげる。昼休み、屋上ね)ヒソヒソ
恭介(うん、ありがとう)ヒソヒソ
仁美「………」
さやか「仁美」
仁美「……昨日から、しつこいですわね、さやかさん」
さやか「まぁまぁ。……まだ、恭介の事、許す気にはなれないの?」
仁美「………」
さやか「もし、さ。少しでも許す気があるんなら、昼休みに屋上行ったげて。恭介、そこで待ってると思うから」
仁美「………」
さやか「返事は?」
仁美「考えておきますわ」
さやか「ん。恭介も、反省してるから。話くらいは、聞いてあげなよ?」
仁美「……考えておきますわ」
さやか「はぁ……世話のやける二人だねぇ」
昼休み―――
恭介「」スクッ スタスタ
ガララ
仁美「………」スクッ スタスタ
ほむら「美樹さやか?」
さやか「ん?何、転校生」
ほむら「上条くんと志筑さんの事……」
さやか「あっはは、いいのいいの。あたしは蚊帳の外だから」
ほむら「………」
さやか「それより、昼ご飯食べよ!」
まどか「う、うん」
ほむら(どうなるのが最善なのかしら……わたしにはわからないわ)
さやほむか…
屋上―――
ギィィ……
恭介「……仁美さん」
仁美「……」
恭介「来てくれて、ありがとう」
仁美「勘違いされては困りますわ。わたくしは、わたくしたちの為に頑張ってくれたさやかさんの顔を立ててあげただけですの」
恭介「それでも、ありがとう」
仁美「……それで、わたくしに何の用ですの?『上条』さん」
恭介「っ……」
恭介「ゴメンっ!」ガバッ
仁美「!」
恭介「僕、仁美さんの気持ちも考えずに、約束を破ったりして……」
恭介「本当に、悪かったって思ってる」
仁美「……今更、そんなことを仰いますの?」
恭介「許してもらえるなんて思ってないけど……それでも、謝りたかったんだ」
恭介「あの日、急用が出来たって言うのは……ヴァイオリンの稽古事が出来たからなんだ」
仁美「………」
恭介「僕にとって、ヴァイオリンは本当に大切なもので、だから、どうしてもそっちを優先しなくっちゃって思って……」
恭介「愛想、尽かしたよね?」
支援
仁美「そうですわね。彼女よりもそちらを優先してしまうようなら、わたくしたち、もううまくやっていけそうにありませんわ」
恭介「……うん」
仁美「わたくしの方から告白しておいて、勝手ではあると思いますけれど……」
仁美「もう、終わりですわね、わたくしたち」
恭介「っ………」
仁美「少しの間だけでも、貴方と過ごせて、楽しかったですわ……っ、グス…」
恭介「………ごめん、仁美さん」
仁美「そうではありませんわ……上条さん」ポロポロ
恭介「え……?」
仁美「志筑、と呼んでくださいな……でなければ、わたくしも踏ん切りがつきませんわ……」ポロポロ
恭介「………。うん……志筑、さん」
仁美「っ……こんなお顔では、教室に戻れませんわ……」ゴシゴシ
恭介「……ごめん」
仁美「もう……謝るのは、無しですわ」
恭介「……」
仁美「上条さんは……少しの間でしたけれど、わたくしと一緒に過ごして楽しかったでしょうか?」
恭介「うん、楽しかったよ。こんな僕を好いてくれる人と一緒だったんだ、楽しくなかったわけ、ない」
仁美「それじゃ……最後に、本当の最後に……」
仁美「わたくしのこと、抱きしめてくれます……?」
恭介「僕に、そんな資格は……ないよ」
仁美「……そう、ですの。ごめんなさい、わがままを言ってしまって」
恭介「ごめん、意気地無しで……」
仁美「いいですわ……ヴァイオリン、頑張ってくださいな」ニコッ
中沢くーん、緑空いたよー?
教室―――
ガラッ
さやか「!」
仁美「遅くなりましたわ……お昼、ご一緒してもよろしいでしょうか?」
ほむら「ええ、一緒に食べましょう」
仁美「ありがとうございます……」ストン
まどか「仁美ちゃん、目……」
仁美「……」
まどか「…ううん、ごめん、なんでもないよ」
さやか「仁美……恭介は?」
仁美「上条さんなら……多分、まだ屋上にいらっしゃいますわ」
さやか「………」
仁美「行ってあげてくださいな、さやかさん。今、上条さんを励ましてあげられるのは、貴女しかいませんわ」
さやか「仁美、あんた……」
仁美「………」
さやか「……ごめん、まどか、転校生。仁美のこと、お願い」スクッ タッタッタ
ガララ タッタッタ―――
ほむら(………)
仁美「っ……う……」ポロポロ
ほむら「志筑さん……?」
仁美「恋の終わりと言うのは……切ないものですのね」ポロポロ
まどか「仁美ちゃん……」
中沢「で、付き合ってる間にどこまでヤったの? なぁなぁ教えろよー?」
屋上―――
恭介「はぁ……」
ギィィィ……
恭介「………」
さやか「……やっほ、恭介」
恭介「さやか……」
さやか「仁美と、ちゃんと話、出来た?」
恭介「うん……ありがとう、さやか」
さやか「仁美……目、赤かったよ?」
恭介「僕が泣かせたようなものさ……」
さやか「その様子じゃ……仁美と、別れたんだね」
恭介「……うん」
恭介「仁美さんに、振られたんだよ、僕は」
恭介「………ただ、それだけ」
さやか「後悔、してない?」
恭介「………どうだろ、わかんないや」
さやか「昨日から、わからないばっかりだね、恭介は」
恭介「そうだね……でも、仕方ないよ。振られるようなことをしたんだ、僕は」
さやか「ん、そういう自覚があるんなら、少しは成長出来たってことだね」
恭介「僕には……まだ、色恋は早かったってことかな」
さやか「……元気、出しなよ恭介」
恭介「………」
さやか「女の子は何も、仁美だけじゃないよ?」
恭介「………」
さやか「まどかだって、転校生だって、女の子だし」
さやか「あんたの目の前にいる子だって……女の子だし」
さりげなく推し
恭介「女の子(笑)」ブフォ
恭介「優しいね、さやかは」
さやか「あたしは……優しくなんかないよ」
さやか「幼馴染の恋路、うまく行かせられなかったし……」
恭介「それは、僕の自業自得だよ。さやかはよくやってくれたじゃないか」
さやか「………」
恭介「でも……しばらくは、ヴァイオリンに専念、かな」
恭介「恋も趣味も両立出来るほど、僕は大人じゃないみたいだからね」
さやか「そっか。頑張んなよ、恭介。あたしは、応援してるから」
さやか「それで、もし……一人が寂しいって思うんだったら」
さやか「その時は、さ。あんたの幼馴染が、側にいてあげるから」
恭介「そう、だね。僕のそばには、いつもさやかがいてくれたもんね」
さやか「なんかあたし、傷心中の恭介の側にいることが多いような気がするよ」
さやか「入院してた時もそうだし、それ以前にヴァイオリンの腕が伸び悩んでた時もそうだったし……今も、あたしは恭介の側にいるし」
恭介「ははは……それだと、まるで僕にはさやかが側にいないとダメ、みたいに聞こえるじゃないか」
さやか「事実じゃない?」
恭介「どうだろう……でも、さやかが側にいてくれて、ホントに救われてるってことだけは、間違いないかな」
恭介「そう考えると……確かに、さやかが側にいてくれないとダメなのかもしれないね」
さやか「っ……もう、ホントに今あんた、傷心中なの?」
恭介「え?」
さやか「ついさっきまで仁美さん仁美さんだったのに、今はあたしのことを口説いてるように聞こえるよ、それじゃ」
恭介「っ!?い、いやそれは……」
さやか「冗談!真に受けないでよ、もう」
恭介「……さやかは、僕をいじめたいのかい?」
さやか「さあ、どうだろうねぇ?」ニヤニヤ
さやか「そろそろ、休み時間終わるよ?」
恭介「もうそんな時間!?」
さやか「ど、どうしたのさ恭介?」
恭介「僕、まだお昼ご飯食べてないのに!?」
さやか「だろうと思って、パン、持ってきてあげたよ」ガサ
恭介「あ、ありがとう」
さやか「全く……困った幼馴染だね」
恭介「あはは、面目ない」ガサガサ パク モグモグ
恭介「……うん、おいしい……っ」ポロポロ
さやか「きょ、恭介!?」
恭介「あれ、なんでだろっ……緊張の糸が切れたのかな……あ、あはは……」ポロポロ
恭介「っ……くぅ……」ポロポロ
さやか「……もう、泣きながら食べないでよ」
恭介「ごめっ……」ポロポロ
口説いていいのよ?
キーンコーン……
さやか「……予鈴、鳴っちゃったよ?」
恭介「うん……」
さやか「教室……戻らないの?」
恭介「………そんな気分じゃない、かな」
さやか「不良だねぇ、恭介は」
恭介「もう少しだけ……ここで頭を冷やして行こうかな」
さやか「んじゃ、あたしも付き合ったげる」
恭介「え?でも、無理に付き合うことないよ?」
さやか「今恭介を一人にしたら、下手したらここから飛び降りかねないからね」
さやか「放っておけないよ」
恭介「……キミも、人の事を言えないほどの馬鹿だね」
さやか「なんとでも言ってよ」
恭介「それじゃ……付き合ってくれるかな?」
教室―――
ガララ
和子「はーい、楽しい英語の時間ですよー!」
まどか(さやかちゃんと上条くん、帰ってきてない……)
仁美(………)
和子「あれ?美樹さんと上条くんいないね?」
ほむら「二人なら、体調がすぐれないからと保健室に行ってます」
和子「あら、そうなの?」
まどか(ナイスフォローだよ、ほむらちゃん!)
恭介「………」
さやか「………」
恭介「………スゥ……」コテン
さやか「っ! 恭、介?」
恭介「スゥ……スゥ……」
さやか「なんだ、寝ちゃっただけか……」
恭介「……さや、か……スゥ……」
さやか「夢でくらい、仁美と幸せに過ごせばいいのに、なんであたしの名前なんか……」
恭介「ありがとう……僕、支えて……スゥ…」
さやか「自業自得で、同情の余地はないとは言え……」
さやか「いくらなんでもお気楽過ぎじゃない?恭介」
恭介「……スゥ……」
さやか「全く、ホントにダメな幼馴染だねぇ……」
>>1君には期待している
恭介「………ん」
さやか「目、覚めた?」
恭介「さやか……?……――!」ガバッ
さやか「ど、どうかした?」
恭介「ご、ごめんさやか!君の肩、枕代わりにしちゃって……」
さやか「気にしなくってもいいって!あたしの肩、寝心地よかった?」
恭介「っ……う、うん」
さやか「なんなら、もっとあたしの肩、貸してあげてもいいんだよ?」
恭介「そ、それはさすがに恥ずかしいよ……」
さやか「あっはは、顔、赤いよ恭介?」
恭介「うう……今の事は忘れてくれよ……」
キーンコーン……
さやか「五時間目、終了のチャイムだね」
恭介「そ、そうだね」
さやか「どうする?教室、戻る?」
恭介「うーん……」
さやか「まだその気になれないって言うんなら、付き合うよ?」
恭介「いや、もう戻ろうか」
さやか「そう?じゃ、戻ろっか」
教室―――
ガラッ
恭介「ふぅ……」
中沢「お、戻って来たか恭介!体調、大丈夫か?」
恭介「え?」
ほむら「『具合が悪いから保健室に行っていたみたい』だけれど、どうなの?」
さやか「!」(転校生……)
恭介(あ、ああ、そういうことか)「うん、もう大丈夫だよ」
中沢「まだ病み上がりで体調が万全じゃねぇみたいだな?」
恭介「そんなことないよ。元気元気!」
仁美「………」
仁美「さやかさん?」
さやか「! 仁美……?」
仁美「上条さん、励ましてくれたんですのね」
さやか「う、うん、まあね。あんなんでも、あたしの幼馴染だし」
仁美「……もう、わたくしのことは気にしなくてもよろしいんですのよ?」
さやか「……」
仁美「まだ、上条さんへの想いはあるのですよね?」
さやか「……仁美と恭介がくっついた時に、一度は諦めたつもりだけど」
仁美「嘘は似合いませんわ、さやかさん」
さやか「う、うるさいなぁ!傷心中の人に取り入ろうなんて、そんな汚い事出来るわけないじゃん!」
仁美「恋に汚いも何もありませんわ。遠慮せずに、積極的に行くとよろしいですわ」ニコッ
さやか「仁美……」
仁美「もう、わたくしと恭介さんは以前のような関係には戻れませんから……」
さやか「! あ、あんた……」
仁美「……失言、でしたわね。上条さん、の間違いでしたわ」
六時間目―――
さやか(仁美はああ行ってるけどさ……)
さやか(言い間違える時点で、仁美もまだ恭介のことが好きってことじゃん)
さやか(それを、横から奪い取るような真似、あたしには出来ないよ)
さやか(あたしは、恭介が立ち直ってくれるまで側に居れればいいだけなんだから)
恭介(な、何を考えてるんだ、僕は……)
恭介(さやかは、僕とは幼馴染だからあそこまで優しくしてくれてるだけなんだぞ?)
恭介(それに、まだ志筑さんと正式に別れて一日も経っていないのに……)
恭介(なんで、さやかのことばっかり頭から離れないんだ……)
マミ「あなた誰なの?」
QB「確かに “この僕” は、三時間ほど前まで君のそばにいたのとは別の個体だよそちらは暁美ほむらに撃ち殺された」
黒い魔法少女。暁美ほむら。あの女だけは、絶対に許さない。
まどか「わたしの願いでマミさんのそばにいた子を蘇生すれば、ほむらちゃんのこと許してあげられませんか?」
こんな感じの旧QB蘇生キュゥマミ魔法少女全員生存ワルプルギス撃破誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって
マミ「今日も紅茶が美味しいわ」
1. 初恋ばれんたいん スペシャル
2. エーベルージュ
3. センチメンタルグラフティ2
4. Canvas 百合奈・瑠璃子先輩のSS
5. ファーランド サーガ1、2
6. MinDeaD BlooD
7. WAR OF GENESIS シヴァンシミター、クリムゾンクルセイド
SS誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって
QBの魔法少女全員陵辱姙娠出産誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって
QB「魔法少女は産む機械」
放課後―――
さやか「そんじゃまどか、転校生!帰ろっか!」
まどか「えっ?で、でも上条くんは……?」
ほむら「……」
さやか「恭介がどうかした?」
まどか「……え、えっと…」
恭介「中沢、帰ろうか」
中沢「おう、恭介!」
さやか「ほら、ね?」
まどか「………」
ほむら(釈然としないわ……美樹さやかは、上条恭介とくっついたと言うわけではないの?)
中沢「そんで?ぶっちゃけたとこ、美樹とはどこまで行ったんだよ?」
恭介「っ!? な、何の話!?」
中沢「とぼけんなって!暁美さんは二人とも保健室行ったって言ってたけど、違うんだろ?」
恭介「そ、それはええっと……」
中沢「それにしても、お前は女に不自由しないねぇ」
恭介「き、聞こえの悪い言い方をしないでくれよ!」
中沢「もう志筑さんとは別れたってことか?んん?」
恭介「あ、あんまり突っ込まないでほしいよ、その辺りには……」
中沢「青春時代の傷跡ってか?青い、青いぞ恭介!」
恭介「一人で盛り上がりすぎだろ、中沢……」
早乙女先生がクラス内恋愛禁止令を出すレベル
中沢「んじゃ、美樹とはなんでもないってことか?」
恭介「そ、そうだよ。さやかとは、ただの幼馴染だよ」
中沢「幼馴染がいるってだけで既にステータスだろうが!爆発しろ!」
恭介「嫌な事を言わないでくれ!」
中沢「お前、ただの幼馴染があそこまで気にかけてくれるって本当に思ってんのか?」
恭介「え」
中沢「いや、確証はないけどさ……俺の勘では、美樹の奴、多分お前のこと好きだぞ?」
恭介「!?」
中沢「それに気付いてやれないお前も罪作りな奴だよなぁ……」
恭介「じょ、冗談言わないでくれよ!」
中沢「ま、冗談と思いたきゃ思えばいいさ」
恭介(さやかが僕のことを好きだって?)モンモン
恭介(いやいやまさかそんなことがあるはずない)モンモン
恭介(だって入院中は僕もさやかに酷い事言っちゃったしそれにさやかだって幼馴染だから一緒にいてくれるって言ってたし)モンモン
中沢「おーい、恭介ー?」
恭介「いやいや待て待てまさかそんなことが……」
中沢(ダメだこいつ)
恭介「ほ、ホントに?さやか、僕の事好きだって?」
中沢「だから確証はねぇって……」
恭介「そんな都合のいい話が本当にあるのか?」
中沢「都合いいって……お前、志筑さんのことはどうするつもりだよ?」
恭介「志筑さんとはもうなんでもない!僕は……」
中沢「?」
恭介「ひ、仁美さんに……」ズーン
中沢(迷ってみたり落ち込んでみたり忙しい奴だな……それに名字で呼ぶのか名前で呼ぶのかはっきりしろよ)
夕方―――
恭介「じゃあ、また明日……」ブツブツ
中沢(なんだあいつ……幸せ野郎め、やっぱ爆発しろ)
恭介「うう……僕は節操無しなのか……?」トボトボ
恭介「困った……」
仁美「……あ」
恭介「? あ……志筑、さん……」
仁美「……こんにちは、上条さん」ニコッ
恭介「う、うん」
仁美「少しだけ、お時間、よろしいでしょうか?」
恭介「うん……大丈夫だよ」
公園、ベンチ―――
恭介「志筑さんは、習い事の帰り?」
仁美「はい、そうですわ」
恭介「そうだったんだ、お疲れ様」
仁美「ええ。……昼休み、屋上で何かありましたの?」
恭介「えっ?」
仁美「わたくしが教室に戻った後、さやかさんが屋上に行ったはずですけれど……」
恭介「あ、ああ。うん、さやか、来てくれたよ。僕のこと、励ましてくれたんだ」
仁美「………それだけ、ですの?」
恭介「それだけだよ」
仁美「………五時間目の授業の時も、一緒に…?」
恭介「う、うん……」
仁美「……」
恭介「あはは、軽蔑するならしてくれても構わないよ。君と別れたすぐ後に、他の女の子と一緒に授業をサボるような奴だからさ、僕は」
仁美「でも、それは幼馴染だから、ではありません?」
恭介「……どうだろ。僕はそうだと思っているけど……さやかの気持ちまでは、僕にはわからないよ」
仁美「わたくしの時のような後悔だけは、しないでくださいね?」
恭介「っ……」
仁美「って、これじゃわたくし、ただの自惚れですわね。わたくしと別れたことで、上条さんが後悔している、だなんて」
恭介「いや……志筑さんの言うとおりだよ」
恭介「志筑さんみたいな綺麗な人と別れて、後悔しない人なんていないわけないよ」
仁美「……ありがとうございますわ、恭介さん。お世辞でも、嬉しいですわ」
恭介「そうだね。後悔は、しないようにしなくっちゃ」
仁美「一緒に居てくれる人がいると言うのは、嬉しいものですわ」
仁美「頑張ってくださいな、上条さん。わたくしは、影ながら応援させていただきますので」
恭介「ま、まださやかとそういう関係になるって決まったわけじゃないけどねっ?」
仁美「お二人なら、うまく行きますわよ」ニコッ
恭介「志筑さん……」
仁美「っ…それじゃ、わたくしは、もう帰りますわね」スクッ タッタッタ
恭介(志筑さん……泣いてた……?)
恭介宅
恭介「さやか…さやか…」シコシコ
恭介「うっ」ドピュッシー
恭介「ふぅ…僕ってやつは…うぅ!」
恭介「しまった…さやニーのし過ぎで手が動かない…もうバイオリンもできない…」
翌日―――
さやか「おっはよう、まどか、仁美!」
まどか「おはよう、さやかちゃん!」
仁美「おはようございますわ、さやかさん」
さやか「また、これが日常になっちゃったねぇ」
仁美「ふふ、お友達と一緒に登校も楽しいですわよ?」
さやか「……仁美、もう大丈夫?」
仁美「え?」
さやか「いや……。……なんでもない」
仁美「ああ……そう言えば、さやかさんにはまだ、謝っていませんでしたわね」
さやか「え、あたしなんか謝られるようなことされたっけ?」
仁美「わたくしの勝手で、さやかさんには本当に迷惑をかけてしまいましたもの」
さやか「あー……いや、それはあたしのただのお節介だしさ、気にすることないよ?」
仁美「そういうわけには行きませんわ」
さやか「まぁ、それで仁美の気が済むってんなら別にいいんだけど……」
仁美「本当に、ごめんなさい、さやかさん」
さやか「な、なんかこう、面と向かって謝られると気恥ずかしいね」
仁美「そういう正直なところも、さやかさんのいいところですわよ」ニコッ
さやか「馬鹿正直って言われてるみたいで複雑な気分だね……」
まどか(うーん……わたし、すっかり蚊帳の外みたいだよ)
みたい っていうか蚊帳の外です
教室―――
ガララ
恭介「!」
さやか「おはよう、恭介、中沢!」
恭介「お、おはようさやか」
中沢(おい恭介、お前ちょっとキョドってるぞ?)
恭介(中沢が昨日変な事を言うからだろっ?)
中沢(うはは、美樹のこと意識してんのか?)
恭介(うるさいなっ!放っておいてくれ!)
中沢(ほれ、そんなに気になるんだったらコンタクト取って来い!)
恭介(特に用もないのに話しかけると不自然に思われるだろっ?)
さやかを異性であると意識した恭介の可愛さは異常
なんだかんだあって恭介がまどかに惚れる展開か
中沢「んなのは適当でいいんだよ!好きな女には積極的にだな……」クドクド
恭介(……でも、確かにさやかと話、したいな……)
中沢「ぅおいこら!聞いてんのか、恭介?」
恭介「え?いや聞いてないけど」
中沢「もう俺のことなんてどうでもいいってのか!」
恭介「なんだよその恋人同士みたいなセリフは……」
中沢「一度行ってみたかった!それだけだ!」
恭介「お前、そんな性格だったっけ……?」
中沢「親友のことを忘れるとは酷い奴だな」
恭介「親友?誰が?」
中沢「お前……夜道には気をつけろよ」
早乙女「同じクラス内で二人の女の子と付き合うような男性をどう思いますか? はい、中沢君!」
中沢「あーもう!そんなに気になるんなら行って来い!」ドンッ
恭介「うわっ!」ヨロヨロ
さやか「? あれ、恭介。どうかした?」
恭介「あ、い、いや……ちょっと、さやかと話したいなと思っただけだよ、あ、あはははは……」
中沢(もっとだ!もっとアプローチを仕掛けろ!)ニヤニヤ
恭介(中沢っ……お前、覚えてろよっ……!)
さやか「あ、あたしとっ?」
ほむら(ほむ、なかなかいい流れね)
恭介「と、とりあえずさ!お昼、一緒に食べよっか!」
さやか「う、うん……いい、けど……」
恭介「うう……」ヨロヨロ
中沢「合格!なかなか笑える光景だったぞ!」グッ
恭介「もうお前にどうこう言う元気もないよ……」
中沢「あの美樹の反応を見る限り、やはり間違いない!美樹はお前に惚れてる!」
恭介「自信満々に言いきるな……」
中沢「コーヒー牛乳くらいなら賭けれるぞ?」
恭介「あ、そうでもなかった」
中沢「お前っ!コーヒー牛乳を馬鹿にしてるのか!?」
恭介「そのコーヒー牛乳への信頼はどこから来てるんだよ……」
さやか「恭介、どういうつもりだろ……?」
ほむら「期待、期待が膨らむわ」
さやか「え?」
ほむら「頑張りなさい、美樹さやか。うまくやれば、彼と……うふふ」
さやか「意味深な笑いだねぇ……」
期待よりも胸が膨らめばいいのにね
昼休み―――
恭介「それじゃ、さやか。行こうか」
さやか「う、うん……」
恭介「ごめんね、鹿目さんに暁美さん。さやか、ちょっと借りていくよ」
ほむら「ええ、好きにしなさい」
恭介「す、好きに……って……」
ほむら「言葉通りの意味よ」
恭介「っ……い、行こう、さやかっ!」グイッ
さやか「ちょっ、引っ張んないでよ!」
中沢(青春だねぇ……やっぱり爆発しろ恭介め)モグモグ
中沢一人でメシ食ってるの? それともまどかやほむらと一緒なの?
屋上―――
さやか(どういうつもり、恭介……?)モグモグ
恭介(わ、話題、話題を何か振らないと……!)
さやか「ねぇ、恭介?」
恭介(話題、話題……何かないか、何か……!)
さやか「……恭介?」
恭介「っ! な、なななななに、さやかっ?」
さやか「教室でみんなと一緒に食べればいいのに、なんでわざわざ屋上になんか……?」
恭介「い、いやその……」(なんて答えればいいんだよ!)
恭介「た、たまには幼馴染水入らずってのもいいよね?」
さやか「……」
恭介「ねっ?」ズイッ
さやか(ち、近い近いっ!)
さやか「ま、まぁ、別にあたしはどっちでも構わないんだけどさ……」
恭介「だ、だよねっ!僕たち、お、幼馴染だしね!二人きりも、悪くないよね!」
さやか(なんか必死だなぁ恭介……)
恭介(そうだよな……今まで考えたこともなかったけど、幼馴染とは言えさやかも女の子なんだよな……)
さやか「はぁ……あんまりこうして二人きりでいると、周囲にあらぬ誤解をされる原因になるよ?」
恭介「……え?」
さやか「いや、だから……」
恭介「そ、それは困る!」
さやか「そんなにはっきり言わなくっても……」
恭介「それだと、まるで僕がさやかの事を好きだって周囲に言ってるようなもんじゃないか!」
さやか「え?」
恭介「……………あ」
さやか「恭介、今なんて……?」
恭介「い、いやその、ええっと……」(く、口が滑った……っ!?)
さやか「恭介が、あたしのことを好きだって……言った、の……?」
恭介「う、ううぅ……」
さやか「………」カァァァ
恭介(き、気まずい!気まずいぞっ……!くそっ、それもこれも全て中沢のせいだ……!)
恭介「……げ、幻滅した、よね……?」
さやか「……ぇ?」
恭介「昨日の今日で、こんなこと言っちゃって、さ……」
さやか「あ、あの、それじゃつまり……?」
恭介「………う、うん。どうやら、その……そういうこと、らしい」
さやか「っ………」
恭介「色んな人に背中を押されて、さ……僕も、色々と考えて、その……最終的な結論が、これだった」
さやか「………」カァァァァァ
恭介「志筑さんに振られて、傷心中にさやかに優しくされて、心が動いたとか、そういうわけじゃないって思うんだけど……」
恭介「ただ、昨日の昼休みにさやかと一緒に授業をサボって、屋上に二人でいた時から……気付いたら、頭の中がさやかの事でいっぱいになってたりするんだ」
恭介「節操無しだなって、僕自身思うよ。ヴァイオリンに専念するって、昨日宣言したばっかりなのに、さ……」
さやか「……たしも……」
恭介「え?」
さやか「あたしも……だよ」
恭介「………」
さやか「いつだって、恭介のことばっかり考えてた」
恭介「さや、か?」
さやか「恭介が事故で入院した時だって、恭介の腕が治った時だって……」
さやか「恭介が仁美と付き合い始めた時だって……ずっと、ずっとだよ?」
さやか「仁美と付き合い始めたって知った時は、あたしもすごい落ち込んだりしたけどさ……」
さやか「でも、恭介と仁美が幸せになってくれるんならいいかなって、思うことにした」
恭介「………っ」
さやか「恭介と仁美が仲違いした時、あたしは、二人がまた元通りになるといいなって思ってた」
さやか「それが、恭介の幸せだって、本当に思ってたから」
恭介「それ、は……」
さやか「……結局二人の恋は終わっちゃって。二人がそれで納得してるんならいいやって思うことにして」
さやか「そして、恭介が落ち込んでるのなら、幼馴染として励まそうって……」
恭介「………」
さやか「あ、あれ、あたし何言ってるんだろうね、あ、あはは!」
恭介「……それじゃ、ええっと……僕たち……?」
さやか「……あたしは、恭介のこと……好き、だよ」
さやか「恭介のこと、ずっとずっと心配してた。幼馴染だから、ってだけじゃない」
さやか「あたしの……好きな人の、ことだから」
恭介「っ!」
さやか「だから、後は恭介の返事だけ、だよ?」
恭介「僕は……」
さやか「仁美の事は、今は考えないで、恭介の素直な気持ち、言って欲しい……」
恭介「僕も……さやかの、ことが……」
恭介「す、好き……ですっ……」
さやか「………」
恭介「中沢や志筑さんに、感謝、しないとね……」
さやか「……え?」
恭介「二人に背中を押してもらったからこそ、僕はこうして自分の本当の気持ちを知ることが出来たんだもん」
さやか「中沢と……仁美?」
恭介「うん。特に、志筑さん。僕の自惚れじゃなければ、彼女はまだ僕の事を好いてくれてると思うんだ」
恭介「その気持ちを押し殺して、僕の事、応援してくれたんだよ」
さやか「……仁美……」ジワァ
恭介「え!?さやか!?」
さやか「っ……もう、なんでこう、あたしの周りには馬鹿な人ばっかりなんだろうね」グスグス
恭介「あっはは……」
さやか「こんなんじゃ、恭介の事しか考えてなかったあたしが馬鹿みたいじゃん……」
恭介「そうだね。周りの人たちも馬鹿だし、僕も馬鹿だし、さやかも馬鹿だ」
恭介「でも、そんな馬鹿ばっかりだからこそ、こうしてお互いの気持ちを知りあうことが出来たんだよ?」
さやk「うん……そう、だね」
恭介「それじゃ、その……」ゴニョゴニョ
さやか「?」
恭介「この前話した通り、僕は女の子との約束を破るような、最低な男だ」
恭介「だから、もしかしたらさやかも、僕に愛想を尽かす日が来るかもしれない」
恭介「それでも……ずっと、僕の事を、好きでいてくれる?」
さやか「……ちょっと、自信、ないかな」
恭介「………」
さやか「だから、恭介には一刻も早く、恋と趣味の両立を出来るようになってもらわないとね」
恭介「!」
さやか「だって、両思いだって知ることが出来たのに付き合わないなんて、そんな話にはならないでしょ?」
恭介「さやか……」
さやか「どう?出来る自信、ある?」
恭介「……うん、頑張るよ」
さやか「それじゃ、あたしと恭介は今から恋人ってことで!」
恭介「ああ……ありがとう、さやか」ギュッ
さやか「っ!」
恭介「僕、頑張るよ。ヴァイオリンも、さやかとの恋も」
さやか「……うん、頑張れ、恭介。あたしは、恭介の側で、恭介を支えるから」
恭介「ありがとう……」グイッ
さやか「え……?」グラリ
チュッ
さやか「っ!!??」
恭介「……ン……」ソッ
さやか「恭…介……」
恭介「これは、僕からの誓い」
恭介「絶対に、両立できるようになるよ」
さやか「……うん!」
終わり
おまけ―――
さやか「遅い……」イライラ
プルルルル プルルルル
さやか「!」
プルルルル ピッ
さやか「こら、恭介!」
恭介「は、はいっ!」
さやか「遅刻だぞ!」
恭介「え、ええとその……じ、実は……」
さやか「はぁ……また?」
恭介「は、はい……」
さやか「……これだもん、仁美が愛想尽かすわけだ……」
恭介『ごめんなさい、ごめんなさい!』
さやか「謝るなら守れもしない約束をするなぁー!」
恭介『ホンットすみません!この埋め合わせは必ずしますのでっ!』
さやか「次のデートでは恭介のおごりだからねっ!?」
恭介『はい、約束しますっ!』ピッ
さやか「全くもう……」スタスタ
仁美「あら?さやかさん……?」
さやか「あれ、仁美?稽古事の帰り?」
仁美「ええ、そうですわ。さやかさんの方は?」
さやか「あたしは、約束をぶっちされたとこ!」
仁美「あら、そうでしたの……彼、相変わらずですのね」
さやか「ホントにねー。困ったもんだわ」
仁美「それなら、今さやかさんはお暇なのですね」
さやか「まぁそうだねぇ」
仁美「ちょっと、お茶して行きません?」
さやか「おっ、いいねぇ!」
仁美「彼の愚痴なら、わたしが一番聞き役になれると思いますわ」ニコッ
さやか「愚痴ることはいっぱいあるぞ~?」
仁美「構いませんわ。お二人の話、聞いてて楽しいですもの♪」
ホントに終わり
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