P「女の子とイチャイチャしないと爆発する病気になった」(509)

律子「はぁ?」

P「いや、ホントなんだって。さっき医者に診断されたんだ」

小鳥「プロデューサーさんが嘘をつけない人だってことは知ってますけど……」

P「音無さんは信じてくれますか?」

律子「わ、私だって信じたいですよ! ただ、あまりにも突拍子がないというか」

P「俺もまだ平静とは言いがたいけどな……つまり俺は今、イチャイチャしてくれる相手を探してるんだ」

律子「ちょっと、アイドルに手は出さないでくださいよ?」

P「それは最後の手段だな……」

律子「じゃあ誰に頼むんですか?」

P「………………」ジー

律子「……えっ」

律子「わ、わわわ私ですか!?」

P「プロデューサーなら、多少外でイチャイチャしてても問題ないだろ?」

小鳥「パパラッチの心配も無いですからね」

律子「む、無理ですよ……私、ロクに男の人と付き合ったことも無いですし」

P「そうなのか?」

律子「はい……デートどころか、一緒に何かをした経験すら無いんです……」

P「あ、その辺は大丈夫。デートプランは俺が立てるし、律子は軽い気持ちでイチャついてくれればいいから」

律子「だからそれがハードル高いんですって!」



美希「……ふ~ん。ハニー、そういう病気なんだ……」

律子「そもそも、その病気について詳しく聞いてないんですけど」

P「ああ、忘れてた。ちょっと説明するよ」


P「……まずイチャイチャする期限は、前回にイチャイチャしてから6時間以内」

P「時間経過と共に爪が黒くなって、真っ黒になるのが6時間後。この瞬間、体が爆発四散する」

P「また、一般的に『女の子』と呼んでも良い人間であれば誰でも良い」

P「例えば876の涼くんはアイドル衣装ならOKだが、私服ならNGというわけだ」


小鳥「……ずいぶん細かく分かってる病気なんですね」

P「日本の医療技術も捨てたものじゃないって実感しましたよ」

律子「肝心の『イチャイチャする』の部分が曖昧なんですけど……」

P「そこが、実はよくわかってないらしい。有効なら爪の色が元通りになるからすぐ分かるらしいんだけど」

律子「また厄介な……それで、あと何時間残ってるんです?」

P「さぁ、いつ発病したか分からないからな……ちなみに医者で宣告を受けてから3時間経ってる」

小鳥「そ、それって危なくないですか!?」

律子「最長でも3時間……最短なら1秒後に爆発してもおかしくないじゃないですか!」

P「いやいや。俺の爪見てみろって」

律子「……あ、ホントに少し黒くなってる……これ、黒くなり始めたのはいつ頃なんですか?」

P「それは……4時間くらい前だったかな?」

律子「ということは、発病したのが4時間前と見ていいと思います」

小鳥「残り2時間しかありませんよ!」

P「という訳なんだ! 頼む律子! 俺とイチャイチャしてくれ!」

律子「へぇぇ!? そ、そんな、いきなり言われても……」

P「この通り!」バッ

律子「や、やめてください土下座なんて! 私そんなこと望んでませんから!」

小鳥「プロデューサーさんもそれだけ切羽詰ってるんですよ、律子さん」

律子「う、うう……わ、わかりましたよ!」

P「ホントか!?」

律子「治るまではお付き合いします! その代わり、絶対完治させてくださいね!」

P「ありがとう律子! お前がいて良かったよ」

律子「ふぇっ……な、何を言い出すんですか、もう……」

P「まず、何をしようか」

律子「それはプロデューサー殿が考えてくださいっ」

P「えーと……時間もないし、とりあえず」サッ

律子「……なんですか、この手は」

P「手でも繋いでみようかなって」

律子「い、いきなり、手を……!?」

P「簡単にできるからな。あんまり男の手なんか握りたくないだろうけど」

律子「い、いえっ! プロデューサーなら、気にしません……」


ギュッ

律子「~~~~~っ!」

P「……なんか、ドキドキするな」

律子「く、口に出して言わないでください……」

小鳥(律子さんったら真っ赤になってる。デジカメで撮っておこっと)

P「……あ。爪の色が」

律子「へぇぇ! すごいですね……みるみる元通りの色になっていく……」

小鳥「思ってたより簡単でしたね?」

P「はい、意外と軽めで良かったです。律子、これからも頼んでいいか?」

律子「こ、これからもですか!? ま、まあ……これくらいなら平気かな。これ以上のことを求められたりしない限りは……」

【レッスンスタジオ】


美希「……ってワケなの!」

あずさ「あらあら、大変なことになってたのね~」

響「自分、プロデューサーに爆発して欲しくないぞ……なんとか治らないのか?」

美希「プロデューサーが言ってたけど……自然にほっとくと治るけど、それがいつ頃になるかは人によるんだって」

伊織「また面倒な病気ね……」

真「それにしても、まさか律子が協力するなんてね」

美希「ミキも、それにはびっくりしたの! あの律子、さんが……」

千早「美希はやはり、プロデューサーに協力するのでしょう?」

美希「もっちろんなの!」

貴音「しかし、6時間という制約には厳しいものがあります」

亜美「え? ど→いうこと、お姫ちん」

貴音「わたくし達が協力するとしても、今のままではプロデューサーは爆発されてしまうということです」

真美「??」

貴音「わたくし達はどれほど遅くても9時には事務所を出て帰宅し、次の日の朝9時に出社致します。すると……」

春香「あーっ! 夜9時から朝9時までの12時間、プロデューサーさんがイチャイチャできないよ!」

貴音「その通りです。それこそプロデューサーの家に泊まり込むくらいの覚悟が必要なのです」

美希「みんなはしなくてもいいの! ミキだけで十分なの!」

貴音「インフルエンザで40度の熱がある時でも、プロデューサーの家に泊まるのですか? 病気が移るだけではないでしょうか?」

美希「う…………」

あずさ「気持ちは分かるけど、一人でやろうとするのは良くないと思うわ~」

真「それ以前の問題として、まず協力したいかっていうのがあるよ。例えば、雪歩は男の人が苦手なんだし」

雪「は、はいぃ……」

真「ちょっとアンケートとってみようよ。プロデューサーに協力したい人、したくない人で」



-結果-

協力したい:春香、美希、やよい、伊織、貴音、亜美、あずさ
協力したくない:千早、雪歩、真、響、真美

真「結構割れたね」

美希「雪歩は分かるけど、真くんはなんで協力したくないの?」

真「したくないっていうか、できないと思うんだよね。悲しいけど、僕はほとんど男装アイドルだし……」

春香「確かに、イチャイチャしてる気分にはなれないかも」

あずさ「亜美ちゃんは協力したい方なのに、真美ちゃんは協力したくない方なのね~」

真美「だ、だって……恥ずかしいじゃん……」

貴音「そう考えても無理はありませんね。その年頃ですから……」

伊織「それより、千早と響が協力したくないってどういうことなのよ!」

千早「私、今は歌に集中したいから。他の人が協力するなら、私一人くらいいなくてもいいでしょう?」

響「い、イチャイチャするって……そ、そういうのはもっと仲良くなってからでないとダメだぞ!」

春香「協力したくない人にもそれぞれ理由があるみたいだし……協力したい人だけでプロデューサーさんにお話しに行こっか」

伊織「そうね。あいつ泣いて喜ぶかも! にひひっ」

やよい「うっうー! みんなでプロデューサーを助けましょー!」

亜美「お→!!」

美希「うぅ……ライバルが増えたけど、ミキ負けないの!」

あずさ「大変なことになってきたわね~」

貴音「ある程度予想はできていたことです。ですが、今はプロデューサーの身の安全を最優先と致しましょう」

【午後6時 765プロ事務所】


P「朝11時に発病。昼3時に律子で解消したから、次のリミットは夜9時か」

小鳥「あと3時間。ちょっとお仕事してるとすぐ時間過ぎちゃいますね」

P「本当ですよ。正直、仕事してても時間が気になってしょうがないんです」

律子「……じゃ、じゃあ」

P「ん?」

律子「気になる度に、手を繋げばいいんじゃないですか……」

P「えっ……」

律子「……あ、ああっ! 今のナシ、ナシです! 撤回しますっ!!」

小鳥(律子さんかわいいなぁ)

春香「プロデューサーさん!」

P「おかえり、春香……ってどうしたんだ、揃いも揃って」

春香「実は、かくかくしかじかで……」

P「な、何ィ!? お前たちまで俺を助けてくれるのか!?」

美希「他でもないハニーのためだもん!」

伊織「わ、私は別にあんたのためってわけじゃないわよ。ただプロデューサーが減ると765プロの仕事にも影響が」

あずさ「……とにかく、プロデューサーさんにいなくなってもらっては困ります~」

やよい「勝手に爆発しちゃダメですよー?」

P「みんな……すまない。いや、ありがとう」


律子「……せっかく、私だけだと思ってたのに……」

P「ただ、お前たちが泊まるって話は無しだ」

美希「えー!?」

P「アイドルと一緒に住んでみろ。同棲だって特ダネにされるのがオチだ」

律子「その点、私なら……」

P「律子もダメ。外でイチャイチャできる点は助かるが、自分の家に未成年を連れ込むなんてできるわけないだろ」

小鳥「それじゃあ、どうするんですか?」

P「…………」ジー

小鳥「……えっ?」


小鳥(あれ、このパターンは……)

小鳥「……あの。私、まだ若いつもりでしたけど。さすがにこの子達に比べると『女の子』は無理が……」

P「やってみなきゃ分からないですよ?」

小鳥「えぇ~!?」

美希「でも……ピヨちゃんでホントに爪の色、元通りになるの?」

P「……まず実験しておきたい、っていうのはあるな」

小鳥「ですよねー……あはは」

春香「いざ泊まってリミットギリギリで無理、ってなったら嫌ですもんね!」

小鳥「………………」

P「試しにイチャイチャしてみればいいだけの話です。では、さっきと同様に手を繋いで」

小鳥「……こう、ですか?」

ギュッ

P「そうそう。って、あれ」

小鳥「あ…………」


P「爪の色、黒いままだ……」

小鳥さん早速\(^o^)/

小鳥「ほら……私なんて、もう……」

P「待ってください! もしかして、こういうことじゃ!?」

ギュウッ

小鳥「ぷっ……プロデューサー、さんっ」

春香「ふわぁぁぁ! プロデューサーさんが小鳥さんに抱きついたよぉ~!」

亜美「うっしっし→、いっぱい写真撮るよ→!!」

美希「うぐぐ……!!」

P「音無さん……」

小鳥「だ、だめぇ……わたし、わたしなんかと……」

あずさ「なんて羨ましいのかしら……」

貴音「ええ。それに小鳥嬢も『だめ』と言いつつ恍惚な表情を浮かべておられます」

やよい「…………」ドキドキ

P「ほら、音無さん」

小鳥「ふぇ……あ、爪の色が元に……」

貴音「……なるほど、そういうことでしたか。流石は貴方様です」

亜美「またしてもど→いうことだい、お姫ちん」

貴音「小鳥嬢は大人の恋愛を知っておられます。よって、手を繋ぐ程度では軽すぎて効果が無かったのです」

伊織「大人の恋愛って言っても、耳年増だけどね……」

美希「爪の色が戻ったってことは、ピヨちゃん『女の子』だと思われてるの! 良かったね!」

小鳥「あ、そういうことかぁ……」

亜美「善人だって思われて生き返ったベジ→タとおんなじ?」

律子「なんであんたがそんなの知ってるのよ……」

あー
ピヨちゃんマジで結婚したいわ

P「それで……無茶なお願いだってことは分かってるんですけど」

小鳥「はい……」

P「これから俺の病気が治るまで、一緒に暮らしてくれませんか?」

小鳥「……いいですよ」

P「あ、やっぱダメですよね。困ったなぁ……って、ええぇ!?」

小鳥「もちろん、今日からですよね?」

P「で、できることなら」

小鳥「……長い間泊まるのなら、荷物の準備もしないと」

美希「もー! そろそろ二人とも離れるの! 実験は終わったの!」

P「あ……っ」

小鳥「やだ、私ったら……」

すまん寝る
思いつきで書いてるから全然終わらんかった

おいいおいおいなにを

もっとこう…「ハニーはミキと一日ずっといちゃいちゃしてればいいんじゃないかな!」っていうのでもいいのよ

.            ⌒  ヾ              、ミ川川川彡
     r/ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ、 ヽ             ミ       彡
     /. ノ(  (゚ッ)/  ̄ ̄~ヽ ヾ        三  こ  駄 三

    /  ⌒     ト、.,..    \丶。       三  ら  め 三
   彳、_      |  ∴\    ヽ        三.  え  だ  三
    | ) r‐      /  ノ( \\  |∴     三  る     三
     |           ⌒|⌒ ヽ ヽ  | 。o    三.  ん  ま 三
   ノ(           /    | |  /        三.  だ  だ 三,.
     .⌒      /    ヽ|/゙U       三     書 三
           /     u            三.     く  三
                              三      な 三
                               彡      ミ
                                彡川川川ミ.

どんだけ寝るんだっちゅう話だよほんと

小鳥「じゃ……じゃあ私、今日はもう帰ります。お泊まりの支度しないと」

P「あ、はい。よ、よろしくお願いします」

小鳥「こちらこそ、不束者ですが……」

P「準備できたら連絡してください。迎えに行きますから」

小鳥「はいっ」



美希「むー。ピヨちゃんだけズルいの!」

律子「流石にこればっかりはね。世間体もあるし」

美希「……え?」

春香「『こればっかりは』って……律子さんも、もしかしてプロデューサーさんのこと」

律子(あ……う、うっかり口に出してた!?)

美希「………………」

美希「この際だから聞いておきたいの! みんなは何でハニーに協力しようと思ったの?」

春香「美希は、プロデューサーさんが好きだから?」

美希「トーゼンなの! ハニーにはミキがついてるから大丈夫だって、ミキ思うな!」

春香「……私は、プロデューサーさんにお世話になってるから。たまには恩返ししようと思ったの」

やよい「私も春香さんとおんなじです~。プロデューサー、かわいそう……」

亜美「だって面白そうじゃん! 兄(C)とイチャイチャするの楽しそうだC!」

伊織「さっきも言ったけど、あいつがいないとプロデュース業が律子一人に偏るから……それだけよ!」

あずさ「……運命の人だと思うから」

春香「えっ」

美希「えっ」

あずさ「………………」

貴音「あずさ、それは……」

あずさ「いいのよ、貴音ちゃん。私、ただでさえ押しが弱いから……隠してたら前に進めないような気がするの」

貴音「……そうですか。決意したのであれば何も申しません。成功をお祈り致します」

美希「…………ぜんぜん気付かなかったの。あずさがハニーのこと好きだったなんて」

あずさ「うふふ、黙っててごめんなさい。でも宣言したからには、美希ちゃんには負けないわよ~?」

美希「う……て、手強いの……」

春香「そういう意味なら、律子さんもそうですよね? さっきのもありますし」

律子「……はぁ。今更黙っててもしょうがないかあ」

美希「それってもしかして……」

律子「そうよ。私、ずっと前からプロデューサーが好き。悪い?」

春香「うわ、開き直った!」

亜美「お姫ちんは→?」

貴音「今まで殿方との交流も無かった故、これが良い機会だと考えたのです」

美希「……まさか貴音までハニーが好きとか言わないよね?」

貴音「…………黙秘権を行使致します」

美希「えっ」

やよい「もくひけん?」

あずさ「つまり、話したくないってこと~」

伊織「話したくないって……」

律子「もう、それが答えみたいなものでしょ」

春香「……プロデューサーさん、ハーレムですよ! ハーレム!」

【午後9時 765プロ事務所】

P「ちょっとスケジュールを立ててみたんだけど、こんな感じでどうかな」

春香「この書いてある時間にイチャイチャすればいいってことですよね?」


06:00 起床。小鳥
09:00 出社。事務所にいる誰か
12:00 昼休み。事務所にいる誰か
15:00 仕事中。事務所にいる誰か
18:00 仕事中。事務所にいる誰か
21:00 退勤。事務所にいる誰か
24:00 就寝前。小鳥


あずさ「どうして3時間おきなんでしょう~」

貴音「1秒でも過ぎれば爆発するとの話ですので、余裕を持って見積もっているのでしょう」

P「その通りだ。さすが貴音だな」

貴音「いえ、これしきのこと……」

P「だが、この計画にはいくつか問題がある」

P「まず俺が1人で仕事に行く場合、この計画は破綻する。周りに誰もいないから制限時間がリセットできないんだ」

律子「プロデューサー殿は多忙ですからね。事務所に顔を出さない日もありますし」

P「ああ。しかも出先となると人の目もある。イチャイチャできる相手も限られてくる」

やよい「じゃあ、アイドルじゃない律子さんか小鳥さんですか~?」

P「フ……やよいは賢いな」

やよい「えへへ。プロデューサーに褒められちゃいましたー!」

美希(いいなあ……)

春香「じゃあプロデューサーさんが事務所に来ない日は、どっちかと待ち合わせをしてイチャイチャするってことですか?」

P「その通りだ。ただ二人にも都合があるだろうし、無理強いは」

律子「やります」

小鳥「やります」

P「…………ど、どうも」

P「もう1つ問題がある。寝る時だ」

伊織「……あ。24時から6時に寝るとしたら、それって6時間ちょうどじゃない」

P「つまり寝坊した場合、俺は何も気付かないまま爆発四散している可能性がある」

春香「こ、怖っ! 怖いですよプロデューサーさん!」

P「3時間で1回起きるって手もあるが、俺だけならまだしも、音無さんまで起こすのはしのびない」

あずさ「それに眠気がすごい状態でイチャイチャするなんて、できるでしょうか~」

小鳥「……それについては、何とかなると思います」

P「え? 何かいい案があるんですか」

小鳥「うふふ。それは今晩のお楽しみですよ、プロデューサーさん」

P「では、それは音無さんにお任せします。で、実は今まさに9時なんだが」

貴音「計画表によると、ちょうど触れ合わねばならない時間ですね」

美希「はいはいはいはい!! ミキがやればいいって思うな!!」

P「……じゃあ、ミキに頼む」

美希「はいなのー!」

ギュウ

P「ちょっ、いきなり抱きつくな!」

美希「えへへ……ハニー、あったかいの」

春香「美希、ダイタンすぎるよぉ~」

P「……でも爪の色、黒いままだぞ」

美希「えっ?」

貴音「やはり、爪の色が元通りになるための規則があるのでしょう」

やよい「律子さんと小鳥さんで違ったのも、たぶんそのせいですよね~?」

律子「……あ、もしかして」

亜美「律っちゃん、分かったの→?」

律子「私の時は手を繋ぐだけだったけど、小鳥さんはそれが『イチャイチャしている』とは思わなかった」

亜美「ふむふむ」

律子「でも、それって逆も言えるんじゃないかしら」

伊織「……どういうことよ?」

律子「つまり、その判断は女性だけじゃなくて、男性……プロデューサーにも適用できるってこと」

あずさ「プロデューサーさんが『イチャイチャしている』と考えなければダメってことですか~?」

律子「だと思います」

美希「あ、そっか。ミキ、いつもこれくらいはやってるもん」

P「確かに……」

美希「じゃあ……えいっ!」

チュッ

P「お、おい!」

律子「あ、あんた何やってんの!」

やよい「わぁ……美希さんがプロデューサーのほっぺにチューしちゃいました~!」

あずさ「……ああいう強引さが、私には足りないのかしら~」

貴音「その感情、わたくしにも理解できます。あずさ」

春香「……でも、やっぱり黒いままですよ。プロデューサーさんの爪」

P「あ、ほんとだ」

美希「……な、なんで?」

伊織「じゃあもう、理由は2つしかないじゃない」

亜美「ふたつ?」

伊織「決まってるでしょ。1つは、単にイチャイチャ度が足りない」

律子「……あそこまでして反応なしだから、そうではなさそうだけど」

伊織「もう1つは、そもそもプロデューサーが美希を何とも思ってないってこと」

美希「そ、そんなことないもん! デコちゃんひどいの!」

伊織「あのねぇ……プロデューサーの命がかかってるのよ? もうちょっと冷静に物を見なさいよ」

美希「う、う……」

伊織「もう明らかじゃない。プロデューサーもあんまり嬉しそうじゃないし」

律子「もしそうだとしたら、美希は『イチャイチャする』の対象外ってことになるわね」

美希「……う……うわぁぁぁん!! ひどいのハニー!! ミキのこと、ミキのこと……うわぁぁぁぁん!!」

P「うわっ! な、泣くなよ美希、それほどのことじゃないだろ!?」

律子(いやいや、それほどのことですって)

伊織(鈍すぎでしょ、コイツ……)

律子「となると、プロデューサー殿の気持ちを聞いておく必要がありますね」

P「お、俺の気持ち?」

伊織「あんたが私たちのことをどう思ってるかってこと。それで結果が変わるんだから聞くのは当然でしょ!」

P「いいっ!?」

亜美「ほらほら兄(C)! 白状しちゃいなよ→」

あずさ「さぁ、プロデューサーさん!」

貴音「早く! 早く言うのです!」

P「あ、あずささんと貴音まで、何言ってるんだ! これってつまり……」



P(だ……誰に気があるのか、言えってことじゃないかぁぁぁぁ!!)

律子「一応、協力してくれない子たちの分も含めて、教えてもらえます?」

P「な、なんで!?」

律子「いざって時にお願いできるじゃないですか。ほら、早くしてください」

P「う、うぬぅ……」



P「……まず、協力してくれる子たちについてだが。春香、亜美、やよいに対してそういう気持ちになったことは無い」

春香「ごふぅっ」

律子「は、春香!?」

春香「だ、だいじょうぶです……あ、あはは。正面から言われると、結構……」

あずさ「春香ちゃん、もしかしてあなたも……」

春香「べ、別にいいじゃないですか! 私のことなんて!」

P「美希は、たまにそう思ったこともあったんだが……」

美希「グス……ほ、ほんと……?」

P「ああ。でもある時から、お前のアプローチは単に背伸びしてるだけのように見え始めてさ」

美希「せのび……」

P「一度そう考えたら、何をされても『妹』のようにしか見えなくなってしまったんだ……すまない」


やよい(うう~、プロデューサーは私のお兄ちゃんなのにぃ~)

亜美(あれっ、やよいっちから黒い何かが出てる……)


美希「……そういうことならしょうがない、よね」

P「美希……」

美希「でもミキ、ハニーの妹でもいいよ! それでも、ずっと一緒にいられるもん!」

P「まあ、妹と言うにはいささか成長しすぎてる感はあるけど……」

律子「……どこ見て言ってるんですか、プロデューサー」

亜美「兄(C)、それってセクハラだよ→」

P「ち、違う! そういう意味じゃなくてだな」

美希「ミキ、気にしないよ? ハニーがヘンタイさんでも」

P「変態って……」

美希「あはっ! これからもずっとそばにいてね、お兄ちゃん!」

P「…………っ!!」


貴音「……おや、爪の色が戻りましたね。面妖な……」

律子「そっか、兄妹でイチャイチャするパターンもあるのね。さすが美希、転んでもタダでは起きないわ……」

美希「やった! これでミキもハニーの役に立てるの!」

伊織「……わ、私は……?」

P「伊織は……いいよな。ふだんそっけない感じだけど、実は気を使ってくれてるところとか」

伊織「は……」

亜美「そういえばいおりん、さっきも兄(C)の体のこと気にしてたもんね→」

伊織「べ、別にそんなのじゃ……」

P「でも俺は伊織のそういうとこ、好きだよ」

伊織「すっ……!?」

春香「……また無意識でそういうこと言うんですね。プロデューサーさん、そのうち刺されちゃいますよ」

亜美「嫉妬に狂ったはるるんに?」

春香「……あははー」

P「どうした伊織、顔が赤いぞ? 熱でもあるのか?」

伊織「うるさーい! この変態! 変態! 変態大人!」

P(中国語で罵られてしまった……)

P「貴音とあずささんには、つい甘えたくなるんだよな……」

あずさ「甘える……ですか~?」

やよい「それ、分かりますー! みんな頼れるお姉ちゃん達ですから!」

亜美「亜美も、お姫ちんやあずさお姉ちゃんにはつい甘えちゃうYO!」

P「職業柄、俺は普段頼られる側だからな。誰かに甘えられるのって、すごくいいんだ……」

貴音「貴方様が望むのであれば、如何様にでも……」

あずさ「あらあら~。抜け駆けはダメよ、貴音ちゃん」

貴音「ふふ……」

あずさ「うふふ~」

春香「見える……二人の間に火花が散ってます」

P「って、なんかあの二人ピリピリしてるな。何かあったのか?」

春香「……ホントに夜道には気をつけた方がいいと思いますよ、プロデューサーさんは」

やよい「でも一番最初にイチャイチャしたのは、律子さんなんですよね?」

P「ああ。律子はいいな」

律子「んなっ!?」

美希「律子……さんって、すごく厳しいよ? ハニーってMなの?」

P「いや、ギャップがね」

美希「ギャップ?」

伊織「……そういえば律子って、仕事以外だと結構優しかったりするのよね」

P「よく分かってるな。そういう、めちゃめちゃ厳しい人がふいに見せた優しさがいいんだよ」

律子「あ、あぅ……な、何言ってるんですか……」

亜美「でも、ずっと優しいピヨちゃんもいいんでしょ→」

P「そうなんだよ。それはそれでまたいいんだ」

伊織「あんた節操なさすぎでしょ……」

亜美「ちょっと律っちゃん、あんなこと言ってるよ→」

律子「……プロデューサーも男性だから。それに、全員が好きってことじゃないんですよね?」

P「当たり前だろ。あくまでも『ちょっと良さそう』って思ってるってだけだよ」

美希「ミキ、負けないもん!」

伊織「負けるとかじゃなくて、プロデューサーを助けるって話でしょ!」

やよい「……プロデューサーの気持ちは分かりましたけど、この後どうするんですかー?」

あずさ「今日は美希ちゃんのおかげでリセットされたから、もう解散かしら~」

律子「とっくに9時過ぎてるし、その方がいいですね。あまり遅くなっても危ないですから」

貴音「ええ。誰がいつプロデューサーのお相手となるかは明日以降でもよろしいかと」

P「よし、分かった。みんなありがとう! 迷惑かけるが、これからよろしく頼む!」

美希「任せてなのー!」

【午後10時 Pのアパート】


小鳥「お邪魔します」

P「散らかってますけど……」

小鳥「お気遣いなく。そのうちパパッと掃除しちゃいますから」

P「い、いやいや! そんなことさせられないですよ!」

小鳥「私が勝手にやるんです。大丈夫、エッチな本は捨てずに机に置いておきますから」

P「それならいっそ捨ててください!」

小鳥「うふふっ。そんな必死にならなくてもいいのに」

P「……遊ばれてる気がする」

小鳥「そういえば夕食は食べました?」

P「いえ、まだですけど」

小鳥「じゃあ作っちゃいますね。キッチンお借りします」

P「だからそんなこと……」

小鳥「せっかく一緒に暮らすんです。同居は持ちつ持たれつが原則ですよ?」

P「……音無さん」

小鳥「なーんて。本当は私も、男の人と付き合ったことないからよく分からないんです」

P「あれっ……そうなんですか? よく男の人がどうって話してるからてっきり」

小鳥「伊織ちゃんが言ってませんでした? 耳年増だって」

P「……そうでしたっけ」

小鳥「いい関係になろうとすると、みんな逃げちゃうんですよね。重いとか、飽きたとか……」

小鳥「だから一緒に暮らそうってプロデューサーさんが言ってくれたとき、私も嬉しかったんですよ?」

P「え……あ、あまり深い意味は無くて」

小鳥「分かってます。でも、お互いを理解するためのきっかけとしては十分ですよね?」

P「………………」

小鳥「美希ちゃんやあずささんみたいに魅力的じゃないけど、私だって負けられないです。崖っぷちですから」

P「音無さん、それって……」

小鳥「あ、オリーブオイル置いてないんですね。プロデューサーさん、悪いんですけど買いに行って貰えますか?」

P「え……は、はい」

小鳥(病気とか、アイドルとか。今は、何も考えずに楽しみたい。この生活を)

小鳥(だって……私も、プロデューサーさんが……)

【午後10時半 スーパー】


P「結構歩いてしまった……こんな時間に開いてるスーパー、ここしか無いからな」

千早「……プロデューサー?」

P「千早! なんでこんな時間に」

千早「家で新譜のメロディを確認していたら、つい遅くなってしまって」

P「つい、って……危ないだろ、女の子1人で」

千早「大丈夫です。誰も私に興味なんて持ちません」

P「そういう問題じゃない。ったく、買い物終わったら待ってろ。送っていくから」

千早「…………はい」

【午後11時 帰宅中】


千早「すみませんプロデューサー。荷物まで持ってもらって」

P「大したことないよ、これくらい」

千早「……ご病気の方はどうなんですか?」

P「みんなの協力のお陰でなんとかなりそうだ。治る方法はまだ分からないけどな」

千早「私……プロデューサーより歌の方を優先してしまって。申し訳ありません……」

P「それでいい。俺なんかに気を使って歌に影響が出る方がまずいよ。その辺、千早はよく分かってるよ」

千早「……ありがとうございます」

P「ああ……ん、あと1時間か」

千早「1時間? 何がですか?」

P「次にイチャイチャするまでの時間。3時間おきって決めてるんだよ」

千早「………………」

千早「私、これくらいしかできませんが……」

グイッ

P「……ち、千早?」

千早「ドラマで見たことがあります。仲の良い男女は、こうやって腕を組むんですよね?」

P「そ、そうだが。まさか千早が、こんなことをするとは」

千早「どうです? 少しは、そういう気分になりましたか?」

P「……ああ。ほら」

千早「……爪? 爪がなにか……」

P「俺が満足すると、爪の色が黒から元通りになるらしい。たった今、普通の状態に戻ったってこと」

千早「……そうですか。良かった」

P「それにしても、意外と千早も興味あるんだな。こういうの嫌いじゃなかったのか?」

千早「ええ。でも、不思議とイヤな気は……あ、ウソです! 私、変態じゃ……」

【午後11時半 Pのアパート】


P「ただいま~……ただいまなんて言うのも久しぶりだな」

小鳥「おかえりなさい。ご飯にします? お風呂にします?」

P「そりゃあご飯です。お風呂はまだ沸かしてないですよ」

小鳥「いえ、沸いてますよ」

P「えっ」

小鳥「たぶん遠くのスーパーまで行くだろうと思ったので、空き時間でお風呂を掃除して、沸かしておきました」

P「あ……そ、そうですか……」

小鳥「あと簡単にですけど、床が散らかってたので片付けて、テーブルや棚も拭いて……」

P「………………」

小鳥「……引きました?」

P「い、いえっ! 全然!」

小鳥「本当ですか? 私、こんなものじゃないですよ?」

P「……だ、大丈夫です」

小鳥「プロデューサーさんの知らない間に、プロデューサーさんの持ち物が整理されてたり」

小鳥「スーツから香水の匂いがしたら、誰と一緒にいたのか問い詰めたり」

小鳥「そんなこと、平気でやりますよ?」

P「そ……それでも、ギリギリセーフ!」

小鳥「……ふふっ。ありがとうございます、プロデューサーさん」

小鳥「それじゃ、オリーブオイルお借りしますね」

P「あっ、はい」

小鳥「ここに入れて炒めてっと」

ジュウウウウ

小鳥「じゃあねなんて言わないで~♪ またねって言って~♪」

P「……いい匂いがしてきた」

小鳥「そうでしょう? あと5分くらいでできますから、もう少し待ってくださいね」

P「はーい」

小鳥「私のものにならなくていい~♪ そばにいるだけでいい~♪」

小鳥「はい、できあがり。少し遅めの夕食になっちゃいましたね」

P「お、おぉ……あの冷蔵庫の数少ない食材から、よくもここまで」

小鳥「これとこれ、テーブルに運んでもらえます?」

P「了解です。これは美味そうだな……」

小鳥「まだ食べちゃダメですからねー」

P「はーい」

小鳥「もう……さっきからプロデューサーさん、子供みたいですよ?」

P「男はいつでも子供の心を忘れないものなんです」

小鳥「それってそういう意味じゃないですよっ」

P「細かいことはいいじゃないですか。手作りの料理を久しぶりに食べられるから、ちょっとテンション上がってて」

小鳥「プロデューサーさんも、ずっとお独りなんでしたっけ。これからは私が作るから大丈夫です!」

P「それは、ぜひお願いしたいです。男一人は、正直寂しいんで……」

P「いただきますっ」

小鳥「いただきます」

P「うん……うまい! このニラレバが……あれ、レバーとかあったっけ」

小鳥「ここに来る時に持ってきたんです。ウチの冷蔵庫にあったんですけど、どうせしばらくはウチに帰りませんし」

P「そういえば、結構荷物多かったですよね。じゃあこのニンニクやレンコンやトロロやチーズも……」

小鳥「はい。持ってきました」

P「ええっ!? お、重かったんじゃ……」

小鳥「だいじょうぶです、私よりは重くないですから!」

P「………………」

小鳥「………………」

P「……わぁー、これもおいしいなあ」

小鳥(あちゃあ、やっちゃった……)

P「……実際、そろそろ考えないといけないんですけどね」

小鳥「え?」

P「誰かと付き合うってことですよ。今のままだとずっと独り身でしょうけど、俺は基本的に寂しがり屋なんです」

小鳥「プロデューサーさん……」

P「音無さんは自分のこと重いって言いますけど……1人ぼっちが嫌いな俺からすれば、これくらいむしろ大歓迎ですよ」

小鳥「……お世辞がお上手なんですから」

P「割と本気ですけど」

小鳥「………………」

P「でも、病気にでもならなかったら……音無さんみたいないい人と、一緒に暮らす機会なんてあったかどうか」

小鳥「そんな。プロデューサーさんなら……あら?」

P「? どうしました?」



小鳥「爪の色……なんで、元通りになってるんですか……?」

P「!?」

小鳥「9時から放置してる割には黒ずんでないですよね?」

P「そ、そうですね」

小鳥「日付が変わるくらいに私とイチャイチャするって話でしたよね?」

P「そ、そうですね」

小鳥「これってイチャイチャしないと元通りにならないんですよね?」

P「そ、そうですね」

小鳥「さっきからそうですねしか言いませんけど聞いてますよね?」

P「はい聞いてます!」

小鳥「じゃあ、誰ですか?」

P「えっ」

小鳥「タイミングとしてはさっきスーパーに行った時ですよね。誰とイチャイチャしたんですか?」

P「ち……」

小鳥「ち?」

P「ち、千早と、たまたま会って……千早が、自分にはこれくらいしかできないからって」

小鳥「千早ちゃんから? あの子、非協力の方でしたけど」

P「どうやら、俺より歌を選んだことに引け目があったみたいです。腕を組んだだけで、それ以上のことは何も」

小鳥「ふ~ん……それって、明日千早ちゃんに確認してもいいですか?」

P「い、いいですよ! 嘘じゃないです!」

小鳥「……そこまでするつもりは無いですけど。プロデューサーさんは嘘をつけない性格の人ですし」

P「信じてくれました?」

小鳥「信じてますよ、最初から。何があったのかなって、ちょっと気になっただけです」

小鳥「……恋人気取りで、ウザいですか?」

P「いえっ、全然!」

小鳥「そう言ってくれると思ってました。ふふっ」

P「ご、ご飯の続きを頂きましょう」

小鳥「そうですね! 自分で作っておいて何ですけど、今日は自信作ですから」

P「そうなんですか。道理で何食べてもおいしいわけだ」

小鳥「うふふ……ご飯の後はお風呂ですねっ」

P「おいしいご飯にぽかぽかお風呂か。一人だと考えられないな……」

小鳥「いいでしょう、同棲って」

P「……同棲?」

小鳥「あ、ああっ! 間違えました、同居です、同居!」

深夜0時半―――


小鳥「プロデューサーさん、お風呂先にいただきました~」

P「じゃあ次は俺が…………っ」

小鳥「……どうかしました? プロデューサーさん」

P「いえ……ひよこのパジャマ、似合ってるなって」

小鳥「そ、そうですか? 子供っぽくないですか?」

P「子供っぽくても似合ってればいいんです。かわいいですよ、音無さん」

小鳥「え、えへへ……そうかなぁ」

P「ふぅ。今日は色々大変な日だったな」

P「もう12時回ってるし、音無さんと……なんかやって、リセットしてから寝ないと」

P「あ……そういえば睡眠中に時間制限が来るかも、って問題があったんだっけ」

P「音無さんが『それについては、何とかなると思います』って言ったような覚えがあるぞ」

P「具体的に何をする気なんだろう……風呂を出たら聞いてみるか」

P「まさか音無さん、寝てないよな……」

ガラガラッ

P「ふー。上がりましたー」

小鳥「あっ、プロデューサーさん。ちょうど準備が終わったところですよ」

P「準備?」

小鳥「寝る準備です。お布団のシーツ汚れてたから予備のと取り替えておきました」

P「……何から何まですみません。家政婦さんみたいなことさせちゃって」

小鳥「好きでやってることですから。さあ、早く歯磨きして寝ましょう。明日も早いんですよ?」

P「……ティッシュが枕元にあるのは偶然ですよね?」

小鳥「あ、いえ。私花粉症なので、もしかしたら夜中に必要になるかもって」

P「ですよねー」

小鳥「……ですよ?」

P「で、ちょっと聞きたいんですけど」

小鳥「はい?」

P「布団は1つなわけで、俺はどこで寝ればいいんでしょうか?」

小鳥「プロデューサーさんのおウチですから、遠慮無くお布団で寝ればいいんですよ?」

P「じゃあ音無さんはどこで寝るんですか?」

小鳥「まだ寒い時期ですから、私もお布団で寝ますよ?」

P「どういうことです?」

小鳥「言わなきゃダメですか?」

P「…………よく見たら音無さん。顔真っ赤ですね」

小鳥「うぐ……そういうことは言わないでください! 私だって緊張してるんですよっ」

P「……もしかして、寝てる間の問題を解決する方法って」

小鳥「やっと気付いたんですか。もう……」

10分後―――


P「…………布団に入る前はアレでしたけど。入ってみると、結構平常心でいられますね」

小鳥「……どこがですか」

P「えっ」

小鳥「私なんて……まだ背中合わせなのに、心臓がばくばく言ってるのが止まりませんよぉ……」

P「…………」

ギュッ

小鳥「ふわぁっ!? きゅ、急に抱きつかないで……」

P「かわいいなぁ、音無さん」

小鳥「やだぁ……年上をからかわないでください……」

P「からかってなんかないです。ほら、爪もずっと綺麗なまま」

小鳥「……プロデューサーさんも、満足してるってこと、ですか……?」

P「この爪がなによりの証拠じゃないですか」

小鳥「……私、男の人と同じ布団で眠るの……ちょっと憧れてたんです」

P「………………」

小鳥「だから、さっきもちょっとはしゃいじゃいました。でもいざやってみると、この体たらく……」

P「頑張りすぎです。焦らなくても、これから毎日一緒に寝られるんですよ」

小鳥「そう、ですね……」

P「音無さん。こっち向いてください」

小鳥「え…………は、はい……」

ゴソゴソ...

P(うっ……か、顔が近い!)

小鳥「……プロデューサーさんをこんなに近くで見たの、初めてです……」

P「きょ、今日はこの状態で寝ませんか? その方がイチャイチャしてる感がありますし」

小鳥「じゃあ……ずっと、ぎゅってしててくださいね」

P「……分かりました。おやすみなさい、音無さん」

小鳥「おやすみなさい……プロデューサーさん」

第一部完。たくさん支援&保守ありがとう。続きはまた今度スレ立ててやるよー

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