従姉「おなかすいたー」 男「帰ってください」(263)

 

従姉「じゃあ男くん食べちゃおうかなー」

男「何言ってるんですか」

だれか

従姉「いいの? 本当に帰っちゃうぞー?」

男「どうぞ」

従姉「……」

従姉「きょ、今日はいっぱいお腹がふくれても『安全な日』なんだぞー!」

男「……帰って下さい」

従姉「……」

従姉「お、おなかすいたから……何か、作っちゃおうかな~」

従姉「美味しい手料理♪」ちら

男「……」

従姉「れ、冷蔵庫勝手に空けるね~。……食材、食材……」ガサゴソ

男「……従姉さん、頼むから帰って下さい」

男「もうすぐ女が来るんですよ」

従姉「……え?」

男「今日は女が家に遊びにくるんですから……早く帰って下さい」

従姉「え、え……? お、女って……」

従姉「そ、それにこんな夜遅くに『遊ぶ』って……駄目だよ、そんな……」

男「……従姉さんには関係ないでしょ」

従姉「あ……ある! 関係あるのっ!!」

従姉「男くんのお父さん、お母さんから『男のことよろしくね』って言われてるんだから!」

男「……何年前の話なんですか、それ」

従姉「……」

従姉「何年前でも関係ありません。お姉さん今日は帰りませんよ」

男「いやいやいや! 帰ってよ!?(しかもお姉さん顔し始めたしっ)」

従姉「いや! 帰らない! おなかもすいたっ!!」

従姉「おなかすいたのー!!」

男「じゃあもう力ずくで帰ってもらいます」がしっ

ズルズル

従姉「ちょ、ちょっと、待っ……い、嫌! 」

ズルズルズル

従姉「は、離して男くん、帰らないわよ! 私帰りたくないの!!」

スルズルズル

従姉「いやーーーーー! 離してーーーーーー!」

ガチャ

女「ほーい、男! 来たよ~」

女「ちょっと早かったかn……」

男「……」

従姉「……」

女「……」

男「……違うんだよ、これは」

女「……」

従姉(お決まりの台詞、これは修羅場というやつね……)

女「え……だ、誰? その人?」

従姉「……んもう、あんなに優しくしてって言ったのに……男くんったら♪」

女「……は?」びき

男「ち、ちちち違うぞ女! お前が想像してるようなことじゃ……」

従姉「いくら私が安全日だからって、『やめて』って言ってるのに無理やり出そうとするなんて(家の外に)……」ぽ

男「あばばばばばばば……」

女「……へー、そうなんだ、男」

女「……私にはそんなことしてくれないクセに」ぼそ

女「帰るね」

男「あ……ちょっと待って女! ちょ……」

バタン

従姉「……」

男「……」

従姉「……ねえ、あの娘呼び鈴も鳴らさずに入ってきたんだけど……」

男「うるさい! あんたがいうな!!」

男「ああ、もう……!」ごそごそ

従姉「え、男くん……どこに行くの?」

男「決まってるでしょ!? 女を追いかけるんですよ!」

従姉「で、でもあの娘が自分で『帰る』って言ったんだし……」

男「あんたの所為だろ!」

従姉「で、でもでも外は寒いよ? そんな格好で外出たら風邪ひいちゃうよ?」あせあせ

男「……」

男「従姉さん、お願いですからこれ以上僕をおもちゃにして遊ぶのはやめて下さい」

従姉「え……」

男「従姉さんは昔からそうだ……いつもいつも僕の周りをウロチョロして引っかき回して」

男「おかげで女の子はまだしも、男の友達だってできやしない……」

男「従姉さんは見た目だけはいいですからね……『嫉妬』されてるんだって、僕」

従姉「……そ、そんなこと言われたって……」

従姉「そ、それに私おもちゃになんかしてない……!」

従姉「お、男くんの側にいるのだって、『男くんのことちゃんとお願い』って頼まれたから……」

男「だからもう迷惑なんですってそれが!!」

従姉「……っ」ビクッ

男「……」

男「僕は女を追いかけるんで従姉さんはさっさと帰ってください」

男「カギは……かけなくいいですから、机の上に置いといて下さい」

男「……勝手に作った相鍵もね……じゃ」

従姉「あ……あ……待って男くんごめん、ごめんなさい謝るから……」

バタン!!

従姉「……」

従姉「……」

従姉「……行っちゃった」

従姉「……」

従姉「……あの娘、彼女なのかなやっぱり……」

従姉「……ひどいこと、しちゃったのかな私」

従姉「男くん、あんなに怒ってたもんね……」

従姉「……(おもちゃ……)」

従姉(男くん、そんな風に思ってたんだ……)ズキ

従姉「……」

従姉「……お、おなかすいたぞー」

従姉「何か作って食べよーっと、そんで帰るとしますか! あ、あはは……」

従姉「お、男くんが帰ってきたら食べるかもしれないし、身体が温まるものにしようかな」

従姉「……えーと、何があったっけ……」ガサゴソ

従姉「……う、うぅ……」ポロ

従姉「う……いけないいけない」ごしごし

従姉「なんで泣いてるんだ私! はやく料理つくらなきゃ」

従姉「はやくしないと男くんが帰ってきちゃうぞ」

従姉「『まだいたのか!!』って怒られちゃう……」

従姉「……」

従姉「『しょうがないな、従姉さんは……』」

従姉「『うわ、何これ美味しそう! 食べていい?』」

従姉「『うめええええええ!! 従姉さんこれ美味しいよ!!』」

従姉「『これなら毎日食べたいな? え、女? いやいやあれはただの友達だよ』」

従姉「『……さっきはごめんね従姉さん……』」

従姉「『さっき迷惑って言ったのは……嘘だよ』」

従姉「『従姉さん……ずっと僕の側に……』」どきどき

従姉「……」

従姉「……なーんて……ご飯作っても余計に迷惑がられるだけだよねー」

従姉「……」

従姉「……合い鍵、どこだっけ……返さなきゃ……」ぽろ

従姉「……合い鍵、あいかぎ……」ごそごそ

従姉「……」がさごそ

従姉「……あった」

従姉「……」

従姉「これを返したら、もう男くんの部屋には勝手に入れなくなる……」

従姉「……もしかしてあの娘にそのまま渡したりするのかな……」

従姉「……(やだな)」

従姉「やだよ……」

従姉「ぐすっ、私が離れるのはいいけど……(ホントは嫌だけど)」

従姉「男くんが……他の女の子と一緒になるのは嫌……」

従姉「……嫌、いやいやいや……嫌だよぉ……」ぽろぽろ

従姉「ひっく、嫌ぁ、男くん……返したくないよ……」

従姉「返したくない……合い鍵……」

従姉「ないと……男くんに会えなく……」

従姉「なっちゃ……う……」

従姉「……ぐす」

従姉「……」

従姉「……」

従姉「……すぅ、すぅ……」Zzzzz

寝るなよ

______

従姉「ねえ男くん、部屋に上がるのにいちいちインターホンで呼ぶのがめんどくさい」

男「あのね、みんなそうしてるから」

従姉「みんなはどうかしらないけど……私は男くんの従姉なんだぞ!」

従姉「押しかけ従姉」

男「……だったらなんですか」

従姉「もー、だからなんで押しかけ従姉が旦那の部屋に入るのにいちいち許可がいるの!」

男「……他人だからです(旦那ってなんだ)」

従姉「た、他人……!? 従姉なのに……?」

男「だって、一応は他人でしょ……直接血は繋がってないんだから」

従姉「……」

従姉「……やだ」ぽ

男「……(なんなんだこの人は、昔からよくわからん性格をしてるけど……)」

男「とにかく、そういうわけなんで今日みたいに変な押しかけ方しないで下さい」

男「配達員の真似なんかして……(しかも声マネ上手だったし!)」

従姉「……ちゃんと呼び鈴ならしても男くん入れてくれないんだもん」ぶすっ

男「いつも部屋めちゃめちゃにしてくれますからね、入れませんよ普通は」

従姉「……一応掃除してるんだけど……」しゅん

男「……じゃあ掃除は結構です。自分でやりますから」

従姉「むー……」

従姉「あ、そうだ! 男くんおなかすいてない? 何かつくってあげようか!?」

男「……」


男「……いつもの」

男「いつものやつ、卵の量ちょっと多い目で」

従姉「うん、うん♪ よーし、お姉さん頑張って作っちゃうぞーー!」

従姉「えへへ♪」

男「……掃除は下手なのに料理は上手、か……(やっぱりどこか変だよなこの人)」

従姉「~~♪」ジュー ジュー

男「様になってるな~従姉さんのエプロン姿」

従姉「~~♪」サッサッ

男(……聞こえていない、せっかく褒めたのに……」

従姉「……」ジュー ジュー

従姉(ふ、ふ、ふ……こうやって男くんの好感度ポイントを上げておけば……)

従姉(勝手に合い鍵をつくったことがバレても怒られないのだ!)

従姉「『はいできました! 従姉特性オムライス!!』」

従姉「『うわ、何これ美味しそう! 食べていい?』」

従姉「『うめええええええ!! 従姉さん、相変わらず美味しいよ!!』」

従姉「『これなら毎日食べたいな。え、合い鍵?』」

従姉「『そんな、言ってくれれば僕がつくりに行ったのに……』」

従姉「『むしろ……ここにずっと居ればいいよ、従姉さん……』」どきどき

従姉「……ぶつぶつ」じゅー じゅー

男「……従姉さん?」

従姉「え、えへへ……」じゅわー じゅわー

男「ちょ、ちょっとそれ焼きすぎじゃない!?」

従姉「えへへへ……」じゅわー じゅわああああああ

男「け、煙が……! ちょ……おい! 従姉さん」ゆさゆさ

従姉「……やあん……」

男「『やあん』じゃないよ、しっかりして! どうしたの従姉さん!?」ゆさゆさ

従姉「……う、ううぅ……?」

従姉(こ、このパターンは……)

従姉「……火事ね!!」がばっ

シーン

従姉「……」

従姉「……夢……か……(わかってたけど)」

従姉「……」ちら

従姉「もう0時すぎ……寝ちゃってたんだね私」

シーン

従姉「……男くん、まだ帰ってきてないんだ……」

従姉「よ、よかった……これで怒られずにすんだぞ危ないあぶない……」

従姉「さて、それではお姉さんは帰りますか」

従姉「……」

コト

従姉「……合い鍵、ちゃんと返します」

従姉「……男くん、ごめんね……ちゃんと仲直りできるといい……ね……」

従姉「お、お邪魔しました」ペコ

従姉「……」

従姉「さようなら……男くん……」

従姉「……」

パ  タン 

仕事の引継ぎで離れなきゃならんん

誰か続き各課落としてくれ

後で時間あったら書く それじゃ

ひゅうううううううう

従姉「……うぅ、寒い……」がたがた

従姉「今夜は一段と冷え込んでるねぇ……」

従姉「……」

従姉「男くん、あんな格好で追いかけて……今頃寒がってないかな……」

カップル女「寒い、寒いー」

従姉「……」

カップル女「ねー寒いよー」ぐいぐい

カップル男「ん……ほら、こうすれば暖かいだろ?」ギュ

カップル女「んー、暖かいねー♪ もっとギュッってして」

従姉「……」

従姉「……大丈夫か、男くんも今頃ああして……」

従姉「……寒い」

従姉「……明日から一人ぼっちかぁ……」

従姉「男くんのバーカ、私だって友達いないんだぞ」

従姉「……ずっと、男くんの側にいたから……」

従姉「……(自業自得だよね)」

従姉「……ぐすん」

____________

従姉部屋の前

従姉「……あれ? あれ?」がちゃがちゃ

従姉「鍵が合わない……」

従姉「……」がちゃがちゃ

従姉「あ……(ま、まさか……)」

従姉(か、鍵間違えて置いてきちゃった……)

従姉「ど、どうしよう……」

従姉「戻って取りに行くしか、ないけど……」

従姉「男くん帰って来てたら……ううん、それはいいけどもしあの娘も一緒だったら……」

従姉「……」

ひゅううううう

従姉「……寒い」がたがたがた

従姉「……しょ、しょうがないよね」くるっ

従姉「取りに戻らなきゃ」

従姉「……(怒られるかな)」

従姉「……ちゃ、ちゃんと呼び鈴押せば大丈夫なはず」

タッ タッ タッ

______________

男部屋の前

従姉「……」ピンポーン

シーン

従姉「……」ピンポーン

シーン

従姉「……」ピポピポピーンポーン

シーン

従姉「……あれ? いないのかな……」ピンポーン

ガチャ

従姉「あれ、鍵はかけずに出たのに……」ガチャガチャ

従姉「……(帰ってる……?)」

従姉「……(人のいる気配は……んー……わかんないや)」

従姉「……」

従姉「合鍵……使っちゃおうかな……」ごくり

従姉「……う、うぅ……」がたがた

従姉「寒い……緊張する……」がたがた

従姉「え、ええいもう! 鍵がないと私が帰れないんだから!」

ガチャ ギィ~

従姉「今晩は~、お、お邪魔しまーす」

従姉「……男くんいますか~」ソロォ

??「ぁ……ぁん……」

従姉「!?」

??「や、だめぇ……そこはまだ……!」

従姉「……!」

??「やぁん、だめ、んっ……は、はぁ……っ!」

従姉「……え? え?」

??「ああっ! そ、そこっ、すごい! すごいよそれぇ!!」

従姉「あ……あ……」

従姉「そ、そんな……」へた

??「いいよぉ、いいよぉ! もっと、もっとぉ……っ!!」

従姉「……」がたがた

従姉「い、嫌……嫌……男くん……」がたがたがた

??「あー、いくっ、いくっ……!」

従姉(聞きたくない聞きたくない……!)がたがたがたがた

??「あああーーーーーーーっ!」
従姉「いやあああああああああああああ」バタン

_________

ひゅうううううううう

従姉「……」とぼとぼ

従姉「……」

従姉「……そっかぁ……男くん、仲直りできたんだね……」ふら ふら

従姉「……」

従姉「うん、うん……良かった、お姉さんも安心だ……」

従姉「……良かったね」ぽろ

従姉「……っ、う、うぅ……よがっだね……」ぽろぽろ

従姉「よがっだ……ひっく、う……う……」

従姉「うえええええええええええええん……」

従姉「わああああああああああああああ……」

カップル女「うわ、あの人……ほらさっきの」

カップル男「ばか、あんま見んなって……」

カップル女「ちょー泣いてんだけど、寒そうだしなんかかわいそー」

カップル男「ほら、いいから行くぞ!」ぐいっ

従姉「……ひっく、ひっく……ぇうう……」

従姉「男くん……」

従姉「もし……もし私が男くんのこと好きってちゃんと告白してたら……」

従姉「男くん、どう言ってたかな……」

『お願いですからこれ以上僕をおもちゃにして遊ぶのはやめて下さい』

従姉「……」

従姉「やっぱ、迷惑……だよね」

従姉「……こ、今度から男くんの世話をするのはあの娘なんだから」

従姉「もう私の出番は終わり! これ以上は考えない!」

従姉「もう男くんに近づかない、迷惑かけない!」

従姉「……うん! それで終わり!!」

従姉(鍵は、明日郵便受けに返しとくね……)

従姉(私は……明日の朝管理会社さんに連絡して入れて貰うとして)

従姉(今日は部屋の前で野宿しますか……)

ひゅうううううう

従姉「………」

従姉「……なぜか全然寒くないぞ」

トボトボ

____________

従姉「……ひっく、ひっく……ぐすっ……」

従姉(いけない、考えないようにって、思えば思うほど……さっきの声が……)

従姉「う、うぅ……(あんなの聞かされるくらいなら、ずっとこうしておけばよかった……)」

従姉「……ぐす」

ガチャ

隣の住人「あのね~キミ、うるさいよ? 今何時だと思ってんの?」

従姉「あ……ご、ごめんなさい」

隣の住人「ごめんなさいじゃないよ~、迷惑なんだけど」

隣の住人「あんたこの部屋の人?」

従姉「そ、そうです……けど、鍵が……なくて……」

隣の住人「頼むよ~静かにしてくれない? 人の『迷惑』ってものを考えてね」

従姉「あ、はい……ごめんなさい……(迷惑……)」じわ

従姉「う……う……うーーーーー!」ぽろぽろ

隣の住人「!? うわ、ちょ、ちょっと……泣くことないじゃない!?」

従姉「うえええええええええええ……」ぽろぽろぽろ

ガチャ

男「……」

男「……何やってるの? 従姉さん」

従姉「……え?」

隣の住人「え?」

男「……帰ってこないと思ってたら、こんなところにいたの」

従姉「……え? お、男くん……?」

隣の住人「(痴話喧嘩かよ……)勘弁してよ~、ったく」バタン

すまんがまた午後の引継ぎがある
>>113を参照で

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