恒一「寝ている間にキスされたらしい」(152)
屋上
恒一「Zzz…」
「榊原くん?」
恒一「Zzz…」
「…」キョロキョロ
「…」
ストン
「…」ジー
恒一「Zzz…」
「……んっ」チュッ
恒一「…Zzz」
「……っ、はぁ……榊原くん」ドキドキ
恒一「Zzz…」
「…」ポー
バタン
「!」バッ
「…見られた?」
(先客がいたのか)
(まったく、彼が寝ているのをいいことに…。やってくれるね)
~翌日~
千曳「榊原くん、ちょっといいかい?」
恒一「え、ああ、はい、大丈夫ですよ」
――――――
恒一(なんてことだ)
恒一(ぼくが寝ている間にそんなことが起こっていたただなんて…)
恒一(なんて……もったいないことを)ガクッ
鳴「どうしたの?」
恒一「えっ、見崎」
鳴「さっきから、ずっと面白い顔してるよ」
恒一「お、面白い?」
鳴「うん」
恒一「そんなに?」
赤沢「そんなに、よ」
恒一「あっ、赤沢さん」
赤沢「難しい顔してると思ったらいきなりニヤけて、その後すぐに落ち込んだり…」
鳴「そう。ずっとそんな調子だったから、何かあったのかなって」
恒一(顔に出てたのか)
恒一「そ、そっか。二人ともよく見てたね」
赤沢「えっ? いやっ、別にそういうわけじゃ…」
鳴「…」
恒一「けど、何でもないよ。ぼくは大丈夫だから」
赤沢「……ふうん」ズイッ
恒一「っ、えっと…なに? (ち、近いっ…)」
赤沢「本当に?」ジトッ
恒一「う、うん…」
赤沢「…」ジー
鳴「…」ジー
恒一「あ、うう…」
赤沢「言いなさい」
恒一「――はい」
――――――
アッー!じゃないことを祈る
千曳「君はあのクラスに馴染むのが早いというか、
随分とクラスメイトと仲良くなったというか……」
恒一「はい?」
千曳「まあ、君たちくらいの年齢ならば、そういうことに大きな関心を持つだろう」
恒一「あの…」
千曳「しかし、もちろん君たちも自覚があるのだろう? あまり世間では歓迎されないだろう、と」
千曳「まだ中学生なのに…ね」
恒一「あのっ、千曳さん――」
千曳「ああ、勘違いしないでくれ。別に私は君たちのことを別れさせようとかそういうのではないんだ」
千曳「そういう感情はどうしようもないだろうからね。君たちのそれを否定するつもりはない」
千曳「ただ、もう少し人目を気にしてほしいんだ。
特に学校では誰かに見られてしまう可能性が非常に高い。――今回のようにね」
千曳「だから私が言いたいのは、今後ああいうのは少し控えてくれ、ということだけだ」
千曳「分かってもらえるね?」
恒一「……千曳さん」
千曳「うん?」
恒一「今更で、少し申し訳ないのですが…」
千曳「ああ、何だい?」
恒一「いったい――何の話なんですか?」
千曳「え……ああ、そういえば言ってなかったな。
まあ、実は今ので察してくれることを期待していたんだが…」
恒一「はあ…」
千曳「実は……見てしまったんだよ。昨日の昼休み」
恒一「昨日の昼休み?」
千曳「君は屋上にいたね」
恒一「えっと…はい、昼食をとったあと、ですけど」
千曳「ああ、そのくらいの時間だろう。私もその時間に屋上へ上ったんだけどね、その…」
恒一「?」
千曳「いや、もうはっきり言ってしまおう」
千曳「――昨日の昼休み、屋上で君たちがキスをしているところを見てしまったんだよ」
恒一「……え?」
千曳「だから今後、校内でそういうことは控えるように。いいね?」
恒一「…………」
千曳「…榊原くん?」
恒一「ぼく…」
恒一「――ぼく、昨日の昼休みは弁当を食べ終わった後、屋上へ行きました」
恒一「天気が良かったから、仰向けになってぼうっと空を見ていて…」
恒一「そうしていたら、だんだん眠くなってしまって――」
千曳「…」
恒一「昼休み終了のチャイムで、目が覚めました」
千曳「何だって?」
恒一「だから、ぼくには千曳さんの言ったようなことをした憶えは、ありません」
千曳「――そうか……そうだったか」
恒一「…」
千曳「しかし…これは困ったな」
恒一「千曳さん」
千曳「榊原くん、私はどうやら余計な事を話してしまったみたいだね」
恒一「ああ、いえっ」
千曳「すまなかったね。これは君に云うべきではなかったのかもしれない」
千曳「気にしないでくれ――というのは今さら無理な話だろうが…」
千曳「どうか気に病まないようにしてほしい」
恒一「はい…」
千曳「はあ、以上で私の話は終わりだ。余計なことを云ってすまなかった」
恒一「……あの、千曳さん」
千曳「…」
恒一「誰なんですか? ぼくに、その……」
千曳「知らない方が良いだろう。君の為にも」
恒一「それは確かに、その人との関係は拗れちゃうかもしれないですけど――」
千曳「すまない。やはり私からは……」
千曳「…」
恒一「……そう、ですか」
――――――
赤沢「なによそれ!?」
恒一「こ、声が大きいよっ」アセアセ
鳴「……そんな」
恒一「ぼくだって他人に知られるのは恥ずかしいんだから、少しトーンを落として」
赤沢「う、うん…」
恒一「まあ、そんなわけだからさ、ちょっと引っかかってるというか、気持ち悪いというか…」
赤沢「くっ、なんてこと」
鳴「……榊原くんは、どう思うの?」
恒一「え、どうって?」
赤沢「眠っている間にキスされて、よ。――悲しいとか、悔しいとか…」
恒一「え、っと(悔しい?)」
恒一「その……」
鳴&赤沢「「うん…」」
恒一「可愛い子だったら嬉しいかなぁ、って――」
赤沢「ぁあ?」ギロッ
恒一「ひぃっ」ビクゥ
鳴「赤沢さん、落ち着いて」
赤沢「ぐぬぬ……。はあ、すっかり誑かされてしまったみたいね」
恒一「いや、そんなことは」
赤沢「こうなったら魔女狩りよ、犯人を見つけだして火あぶりにしてくれるわ!」
鳴「……」
恒一「はは…。どこかの女子高へ行っても、そういうことはしないでね」
――――――
多々良ちゃんにキスして欲しい
赤沢「というわけで、捜査本部設置ね」
恒一(なんだか大事になってきたなあ)
赤沢「時間は、恒一くんが昼食を食べ終わってから昼休みが終わるまでだから…」
鳴「その間、2、30分だね。場所は屋上」
赤沢「この学校の生徒なら誰でも出入りできる場所で、誰でも出入りできる時間だった…」
鳴「つまり、多くの生徒が犯行可能だったんだね」
赤沢「恒一くんは昼休みに『屋上で昼寝してくる』って、誰かに云ったの?」
恒一「ううん、云ってないよ」
恒一「――それに、元々ぼくは寝るつもりはなかったんだ。結果的に寝ちゃっただけで…」
赤沢「つまり犯人は、屋上へ行ったら偶然眠っている恒一くんを見つけた。
そしてそのまま犯行に及んだ、と考えられる」
赤沢「うーん、範囲が広すぎるわね。全校生徒から話を訊くわけにもいかないし…」
赤沢「恒一くん、何か憶えてないの?」
恒一「そんなこといわれても…」
恒一「ぼくはずっと寝ていたわけだし、覚えている限り屋上には誰もこなかったよ」
赤沢「そう…」
――随分とクラスメイトと仲良くなったというか……。
恒一「……あ」
鳴「どうしたの?」
恒一「そういえば千曳さんが、『随分クラスメイトと仲良くなったね』って」
鳴「えっ、じゃあ」
恒一「たぶん、この三年三組の誰かってことなんじゃないかな?」
赤沢「このクラスか……。
考えてみれば、恒一くんと面識のない人がいきなりキスするなんて考えにくいわね」
恒一「ぼくはこの春に転校してきたばかりだからね。他学年の生徒ってことはないと思うよ」
鳴「…一気に絞られちゃったね」
恒一(このクラスの誰かか。――よしっ)グッ
鳴「…」
赤沢「そうと分かれば聞き込みね」
赤沢「昨日の昼休みに何をしていたか、女子全員に訊いてくるわ」
恒一「あの、ぼくの件については、ちょっと恥ずかしいから言わないでね?」
赤沢「そう? わかった。適当に理由をでっちあげて訊いてくる」
鳴「けど、仮に犯人に当たったとしても、素直に答えてくれないでしょうね」
赤沢「そう…よね。――ああ、やっぱりストレートに訊けないというのは痛いかも…」
鳴「追い詰めるの難しくなりそう」
赤沢「とにかく訊いてみるわ。そこから何かわかるかもしれないし」
赤沢「恒一くんは、男子に話を聞いてきてくれる?」
恒一「えっ、いいけど、どうして?」
赤沢「私が聞いてくる女子の話と、どこか食い違うところが出てくるかもしれないじゃない?」
恒一「ああ、そうか、教室に誰がいたかを訊いてくればいいんだね」
赤沢「そういうこと」
恒一「わかった。――じゃあ行ってくるよ」
赤沢「うん、お願いね」
鳴「私は赤沢さんと手分けして女子の話、きいてくるね」
恒一「うん、それじゃあまた後で」
赤沢「マッチは理科室にあったかしら…」ブツブツ…
恒一(……本気じゃないよね?)
――――――
風見「昨日の昼休みなら教室で本を読んでたよ」
恒一「ずっと?」
風見「うん、昼休みが終わるまでだけど」
恒一「じゃあ、訊きたいことがあるんだけど」
恒一「――昨日の昼休みに、教室にいた女子って憶えてる?」
風見「女子? さあ…」
風見「あの時は本に集中してたし、この通りぼくの席は一番前だからね」
恒一「あ、そうか」
風見「なにかあったの?」
恒一「いや、大したことじゃないよ。ちょっと…ね」
風見「そう?」
――――――
勅使河原「飯食った後、体育館行って遊んでたなあ」
恒一「そうか、じゃあ教室にいなかったんだ」
勅使河原「ああ、昼休みはずっと体育館にいた」
恒一「それならいいや、じゃ」
勅使河原「ん、おう。…なんかあったのか?」
恒一「いや、べつに(こいつに話すと面倒なことになる気がする…)」
勅使河原「ふうん…」
――――――
…………。
恒一(結局、有力な情報は得られないまま…)
恒一「望月」
恒一(――こいつで最後だ)
望月「うん? どうしたの」
恒一「昨日の昼休みって何してた?」
望月「えっ、昨日?」
望月「えぇっと……あぁ、部室で、描きかけの絵に手を加えてたなぁ」
恒一「部室って美術部の? お昼食べた後すぐ?」
望月「んー、五分くらい教室にいたかな。行ったのはそれからだね。
あとはずっと部室にいたよ。昼休みは人が来ないから静かで集中できるんだ」
恒一「へえぇ?」
望月「昨日もずっと一人だったし。あ、完成したら榊原くんも見てよ」
恒一「うん、是非――。じゃあ、昼休みは教室にいなかったのか」
望月「そうだよ」
恒一「――そうか…」
赤沢「どんな調子?」ポンッ
恒一「ん? 赤沢さん」
恒一「聴いてたんだ」
恒一「まあ、たしかにこいつは頼りないけど、役には立つよ。今回は役立たずだけど」
望月「ええっ、そんなぁ…」
恒一「あはは、ごめんごめん。冗談だよ」
赤沢「それで、どう? 全員に話は聞けたの」
恒一「うん、一応は。――赤沢さんは?」
赤沢「こっちも終わった」
望月「何の話なの?」
赤沢「望月くんが気にするようなことじゃないわよ」
望月「うぅ…」
恒一「とにかく、大したことじゃないから心配しなくていいよ」
望月「そうなんだ…」
鳴「終わったよ」
恒一「あ、見崎。お疲れ」
赤沢「それじゃあ、昼休みにでも話をまとめましょうか」
恒一「そうだね」
――――――
~昼休み~
…………。
赤沢「結局、屋上へ行ったと言う人はいなかったわ」
恒一「そして昼休み中、教室にいたと考えられる女子はこの6人か」カサリ
鳴「松井さん、金木さん、杉浦さん、綾野さん、小椋さん、有田さん」
赤沢「とりあえず、彼女たちは容疑者から外れるわね」
鳴「あとは部活の集まりに行っていたり、他のクラスに行っていたり…」
恒一「バラバラだねえ」
赤沢「その辺の確認はまた取らないと」
恒一「うん、そうだね」
まだ多々良ちゃんの可能性はある!
鳴「けど――」
鳴「この教室から屋上ってそんなに離れてないよね。
キスだけなら、すぐに終わらせることができるわけだから…」
赤沢「…そうか」
赤沢「例えば、教室からトイレへ行ったついでに屋上へ上っても
キスだけをして戻ってきたなら、時間はそんなにかからない」
恒一「それじゃあ、この人たちが絶対に違うってわけじゃないのかな?」
鳴「より詳細な行動を訊く必要がでてきたね」
赤沢「はあ、もう一度か…。これ、思ったより時間がかかりそうね」
鳴「もうこの辺りでやめておく?」
赤沢「いえ、絶対見つけだすわ」
鳴「…そっか」
恒一「ぼくからも一ついいかな」
恒一「――犯人?が屋上でぼくを見つけたのは偶然なんだよね?
だったら、犯人には犯人の、屋上へ上った理由があったはずだよ」
赤沢「そういえばそうね。恒一くんを見つけたのが偶然だったなら…」
恒一「うん。まあ、あんな何もない屋上へ行く理由なんて
のんびりしたいとか、気分転換くらいのものだと思うけど」
鳴「そう考えると、犯人はそれなりに時間にゆとりがあった人、ってことなるのかな?」
恒一「たぶんね。部の集まりとかに出ていた人に、そんな余裕はなかったんじゃない?」
赤沢「そうなると、部活関係で教室にいなかった人は除外していいのかしら…。
もちろん、それにちゃんと参加していたのか、他の部員からの証言は必要だけど」
恒一「そうだね――。じゃあとりあえず、教室に居たっていう6人に詳しい話を訊いてこようか」
鳴「うん…」
赤沢「ああもうっ、どうして最初にこういう話し合いができなかったのかしら。全然効率的じゃないわ」
恒一「ははは…、仕方ないよ(赤沢さん取り乱してたし…)」
アッー!
恒一「――そういえば、二人は昨日の昼休み何してたの?」
赤沢「ん、私は図書室にいたわ。第一の方ね。だから教室に誰がいたかなんて分からない」
恒一「図書室か…。――見崎は?」
鳴「私は……美術部の部室で、一人で絵を描いてた」
恒一「ふうん、見崎も教室にいなかったわけか」
鳴「うん」
恒一「…」
赤沢「…」
恒一&赤沢「「……ん?」」
柿沼「‼」ガタッ
恒一「み、見崎、昨日の昼休みは部室にいたんだよね?」
鳴「今そう言ったけど」
赤沢「休み時間中ずっと?」
鳴「ずっと」
恒一「一人で?」
鳴「一人で」
恒一「…」
赤沢「…」
鳴「? どうしたの」
赤沢「――マヌケは見つかったようね」ニヤリ
鳴「え…?」
赤沢「恒一くん」
恒一「う、うん」
鳴「?」
恒一「見崎、ぼくが男子に話を聞きに行っていたのは知ってるよね。そのとき、望月にも話を訊いたんだけどさ」
恒一「――あいつ、昨日の昼休みは、ずっと部室にいたらしくて…」
鳴「…えっ」
赤沢「どういうことかしらねぇ」
赤沢「見崎さん、さっき『部室で一人で絵を描いてた』って言ってたけど?」
次で決まるか…⁈
鳴「……そういえば、望月くんもいたっけ」
恒一「あいつは『一人だった』って言ってたけど」
鳴「望月くんが…気付かなかったのかも」
赤沢「そんなことがありえるのかしら――。
昼休みの部室は、『人が来ないから静か』らしいじゃない?
人ひとりが立てる物音に気付かないって、ちょっと考えにくいと思うけど」
鳴「それは…」
赤沢「なんだったら、ここに望月くん呼んできましょうか?」
恒一「見崎…」
柿沼「チッ」
鳴「……」
恒一「まさか、見崎がぼくに、その…」
鳴「……」
赤沢「見崎さん、いつまでも俯いてないで答えなさい」
鳴「……」
恒一「見崎」
鳴「……」
恒一「…見崎?」ヒョコ
恒一「――ぅわ」
鳴「~~~っ」カァァ
恒一「見崎っ、顔――」
タンッ
恒一「あ、逃げた」
神確定
赤沢「待ちなさい!」ダッ
恒一「え、赤沢さんっ」ダッ
赤沢「恒一くんは燈油とマッチの用意をっ!」
恒一「ぇっ、ええっ! 本気だったの!?」ピタッ
タッタッタッタッ…
恒一「…行っちゃった」
恒一「……」
恒一(そうか、見崎だったのか)
恒一「見崎か……。ははっ、見崎がねぇ」ニヤニヤ
恒一(さて――戻ってきたらどうしようかなあ)
恒一「いや、その前にぼくのこの顔をどうにかしないと」バシバシ
「あの、榊原先輩?」
恒一「えっ?」クルッ
「あ、あの、私…」
恒一「……あっ、ああ、たしか、美術部の二年生」
後輩「はい、そうです!」
恒一(あぁびっくりした…)
恒一「ごめんね、なかなか思い出せなくて」
後輩「いえいえ、一度会っただけですし」
恒一「それはそうなんだけど……」
恒一(我ながら気持ち悪い顔になってたと思うけど、見られてないよな?)
恒一「――あ、あのとき描いてた絵はどうなったのかな?」
後輩「えっ、ああ、あの絵ですか。実はさっきまで、その絵の続きを描いてたんです」
恒一「へえぇ、昼休みも使ってたんだ」
後輩「はい、私ちょっと遅れてて…。ここ一週間は昼休み返上で描いてるんです」
恒一「そうだったんだ。頑張り屋さんなんだね」
後輩「い、いえっ、そんな…」
恒一「ははっ――」
恒一(…)
恒一(……?)
恒一「今…さ、ここ一週間は昼休みも使って描いてる――って言ったっけ?」
後輩「あ、はい、そうです」
恒一「ええっと…それは美術部の部室で描いてるの?」
後輩「はい。昼休みの部室は静かなので、すごく集中できるんです」ニコッ
恒一「……そう、だってね」
恒一(うん――。少し前にも、そう聞いた…)
恒一「じゃあ、昨日の昼も部室に?」
後輩「はいっ」
恒一「そうなんだ……」
――しかし、もちろん君たちも自覚があるのだろう? あまり世間では歓迎されないだろう、と。
恒一「ひ、一人で?」
後輩「ええ、昨日は一人でした」
――そういう感情はどうしようもないだろうからね。君たちのそれを否定するつもりはない。
恒一「ず、ずっと? 誰か途中から一緒にいた人とかは?」
後輩「い、いえ、ずっと一人でしたよ?」
――知らない方が良いだろう。君の為にも。
恒一「……」
後輩「あのぉ…榊原先輩?」
恒一(……まさか)
恒一(まさか、千曳さんが見たのって――)
「あれ? はじめて見る組み合わせだね」
恒一「っ!」
後輩「あ、先輩っ」
「榊原くん、この子と知り合いだったんだ。――取り込み中だったかな?」
恒一「……望月」
後輩「い、いえ、私はこれで」
望月「そう? じゃあ、また放課後ね」
後輩「はい、失礼します」
スタスタ…
望月「ふぅ――。あ、そうだ榊原くん、今から一緒に屋上いかない?」
恒一「おくじょう…?」
望月「ほら、すごく良い天気じゃない?」
望月「昨日は見崎さんに先を越されちゃったけど…」ボソッ
恒一「え?」
望月「――だから、ね」ニコッ
恒一「」
おしり
庇ってガラスで怪我した恒一を介抱する綾野さん
なんてどうよ
乙しり
>>145
なにそれ読みたい
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