バードウェイ「今日は鍋がいい」 (31)
上条「鍋かー。何鍋が食べたいの?」
バードウェイ「あれだ。ポン酢つけて食べるやつ。今日はあっさりした味が食べたい」
上条「水炊きか。簡単っちゃ簡単だけど、冷蔵庫にあるものによるなぁ。白菜は確かあったはず…」ガチャッ
上条「お、鳥肉と豆腐みっけ。これなら買い足しもそこまでいらないなー。うん、鍋に決定」
上条「バードウェイ、買い物行くぞー」
バードウェイ「そうか。待っていろ、今から着替える」
上条「いや、近所のスーパー行くだけだっての…」
バードウェイ「誰と会うかも分からんのだ。こんな桃色お子ちゃまジャージで外に出られる訳がないだろう、馬鹿者め」
上条「早くしろよー」
インデックス?誰それ知らね
上条「すっかり冷えてきたなー。もう秋だもんなぁ」
バードウェイ「確かに少し肌寒くはあるが、それ以前にお前の格好がおかしいだろう。なんだそのペラッペラのTシャツにペラッペラのパーカーは。死にたいのかお前は」
上条「まだ洗濯物乾いてなかったんだよ。この程度の寒さにコートってのも流石に大げさだろ?」
バードウェイ「日本の四季を舐めるなよ小僧」
上条「年間通して室内ジャージオンリーのお前に言われたくねぇよ」
バードウェイ「軟弱なお前とは体構造が違うのだよ」
上条「お前この前風邪引いてただろうが」
バードウェイ「おい」
上条「あん?」
バードウェイ「あそこにあるあれは…」
上条「…ああ、サーティワンか。そういえば先週開店したんだっけ。この辺りはほとんど学生寮しかないから、一定の客数は確保できるだろうけど、普通に街の中に作った方が良かったんじゃねぇか?」
バードウェイ「当麻、私はナッツトゥユーが好きだ」
上条「買わねーぞ」
バードウェイ「ベリーベリーストロベリーも好みだ。イチゴ本来の奥深いほろ苦さを味わうことができる」
上条「種類の問題じゃねー。高けーしさみーしめっちゃ並んでるしの三拍子だ。また機会があったら買って来てやるよ」
バードウェイ「…その機会とやらはいつ来るのだろうな」
上条「アイスクリームが美味しい季節になったらかなー」
バードウェイ「秋口のアイスクリームというのも乙なものだ」
上条「置いてくぞー」
スーパー店内
上条「バードウェイ、メモを読み上げてくれ」
バードウェイ「ママレモン」
上条「はいダウト」
バードウェイ「つれないな、少しは乗ってくれてもバチは当たらないだろうに」
上条「もうすぐタイムサービスが始まるから余計なことしてらんないんだよ。早く読み上げてくれないと今日のデザート抜きにするぞ」
バードウェイ「殺すぞ」
上条「やめろ、マジな目で杖を構えるな」
バードウェイ「デザートを…抜きにするだと?このたわけが。うつけ者めが。ふざけるなよ小僧。この私がどういう人間か、他の誰よりも、お前が一番よく分かっているはずだろう」
上条「確かこの前は、部屋に遊びに来た土御門が間違ってバードウェイの羊羹を食べちまって、お前は執拗なまでに土御門のコメカミにローリングソバットをかましてたっけな」
バードウェイ「そういうことだ。見誤るなよ小僧。私がその気になりさえすれば、お前が握っている主導権(財布)なんてものは、いつでも奪えるのだということをな」
上条「せっかくだし、今日のデザートはアイスにするか。何がいい?」
バードウェイ「ピノがいい」
上条「葱と…人参と…んー、次はなんだ?」
バードウェイ「鱈とマロニーちゃん」
上条「おっけ。他にはなんかあったっけ」
バードウェイ「ピノ」
上条「ん、じゃあそれだけ買って帰るか」
バードウェイ「牛乳は?」
上条「あれ?まだ冷蔵庫になかったっけ?」
バードウェイ「昨晩寝る前にココアを作っただろう。あれで最後だったはずだ」
上条「あちゃー、じゃあ二本買ってくか。荷物が少し重くなっちまうけど」
バードウェイ「心配するな。ピノは私が責任を持って預かろう」
上条「はいはい」
バードウェイ「カーラース、なぜなくのー」
上条「カラスはやーまーにー」
バードウェイ「かーわいーい、なーなーつーの」
上条「こがあるかーらーよー」
バードウェイ「見事に意味が分からないな。いや歌詞の意味は理解できるがカラスがどうして鳴くのかその行動原理がさっぱり分からない。なんだこの歌は」
上条「ぶち壊しだなー。いや、童謡なんてそんなものだろ」
上条「ただいまーっと」
バードウェイ「今戻った」
上条「ほら、手洗ってきな。すぐに飯の準備すっから」
バードウェイ「待て、まだアイスを冷蔵庫にしまっていないぞ」
上条「じゃあそれしまってからな。あと牛乳も」
バードウェイ「うん」ガチャッ
バードウェイ「……」
バードウェイ「……おい当麻」
上条「おー、どした?」
バードウェイ「…冷凍庫の中にこんなものがあった訳だが」
上条「んー?…あ!?それは恐れ多くもアイスの王様ハーゲンダッツじゃねーか!!なんでそんなもんがウチの冷凍庫なんかに…って……あっ」
バードウェイ「なんだ、心当たりがあるのか?」
上条「そういえばこの前、隣の舞夏がお裾分けにくれたんだっけか。学校で沢山貰ったけど、とても部屋の冷蔵庫に入りきらないからって…」
バードウェイ「随分と気前のいいお裾分けだな。できた娘だ。とてもあの金髪ダサグラ中二坊主の妹とは思えん…いや、そういえば義妹だったか」
上条「まあなんにしても、せっかく頂いた物だし、ありがたく頂戴することにしよう」
バードウェイ「クク、どうやら今日の私はとても運がいいらしい。朝のテレビの根拠のない占いランキングなど、ミルクを飲む片手間にチラ見するにも値しないと思っていたが。なかなかどうして…」
上条「…言っとくけど、ピノとダッツの両方はなしだからな。片方だけな」
バードウェイ「なっ、なんだとぉッッ!!!?」
上条「じゃあまずは白菜洗ってくれ」
バードウェイ「うん」ジャバジャバ
上条「その次は人参な。皮は俺が剥くから」
バードウェイ「分かった」ジャババー
上条「ん、終わったらボウルを二つ出してくれ。そっからは俺がやるから、あっちで休んでていいぞ」
バードウェイ「……おい」
上条「んー?」
バードウェイ「いや、楽をさせてもらってる身分でこんな事を言うのは筋違いかもしれないが……前々から思っていたことだ、今日こそ言わせてもらおう」
上条「なんだよ急に、物々しいな」
バードウェイ「うん、あのな」
バードウェイ「お前は私がここに住み始めてからというもの、頑なに私に包丁を持たせようとしないが、その理由をお聞かせ願おうか」
上条「…あー……そうだっけ?」
バードウェイ「包丁に限った話じゃあない。ホットケーキを食べる時に使うナイフも何故か私だけセラミック製だし、お前が私の飲み物を準備する時は決まってプラスチックのコップを使う。そう、この」
バードウェイ「可愛らしいクマさんの絵柄が入ったコップをな」コンコン
バードウェイ「何故だ、上条当麻」
バードウェイ「何故お前は私に、『硬くて重くて危ない、もしくは割れたら危ない』物を使わせようとしない」
バードウェイ「理由を述べよ。早急にだ」
上条「…いやー……ほら、やっぱ、包丁って…尖ってるじゃん?特に学園都市製の包丁は、指なんか、こう、キレイに、スパーッと切れちゃうくらいに。……ね?」
バードウェイ「続けろ」
上条「鉄製のナイフなんかも同じ理由だし、ガラスのコップとかも、割れたら、それこそ普通の刃物みたいに尖って、危ないじゃん?しかも破片とか踏んだらマジ危ないじゃん?」
バードウェイ「続けろ」
上条「…それに、その……
バードウェイのおてて、ちっちゃくてすべすべで、赤ちゃんみたいに柔らかいじゃん?」
バードウェイ「マーク、今すぐ学園都市の上条当麻の家に遠隔操作式の起爆術式を展開しろ。私はこの馬鹿を縛ってバスタブに放り込んでから部屋を出る。三分後に起爆しろ」
上条「ひでぇ目にあった…」
バードウェイ「冗談に決まっているだろう。第二の我が家であるこの部屋には、そう簡単に消えてしまっては困るからな」
上条「縛ってバスタブに放り込むまでは本気だったんすね…ちくしょう腰がいてえ…」
バードウェイ「おい、そろそろ煮えてきたんじゃないか」ソワソワ
上条「…あー、まだもうちょっと待った方がいいかな。鳥肉はしっかり加熱しないとだから」
バードウェイ「………」ソワソワ
バードウェイ「………」ソワソワ
バードウェイ「……まだ?」
上条「あと少しだっての。ほら、皿貸しな。ポン酢入れてやるから」
バードウェイ「うん」
上条「……うん、そろそろいいだろ」カパッ
バードウェイ「!!」パァァア
上条「お、いい感じ。つけ分けてやろうか?」
バードウェイ「構わん!そのくらい自分でできる!」
上条「はいよ。それでは…」
バードウェイ・上条「「いただきます!」」
完
ありがとうございましたー
また次もバードウェイで書きますね
やっぱ今日はもう寝ます
おやすみなさい
このSSまとめへのコメント
いいなぁ~、このほのぼのとした感じ
またお願いします