キョン「付き合うなら絶対処女がいいよな」(245)
谷口「でも処女は面倒だよな」
キョン「お前が言うと説得力がないぞ」
谷口「ははは、でもこういうセリフは一度は言ってみたいよな」
キョン「でも処女がいいよ、他人の物になった中古はいらん」
国木田「好きになった人なら何でもいいんじゃないかな」
谷口「でもその人が非処女より処女だった方が良いとは思うだろ?」
国木田「たしかにそうだけど・・・やっぱり処女がいいのかなぁ」
ハルヒ「・・・」
キョン「なんだハルヒ、お前にしてはやけに大人しいじゃないか」
ハルヒ「キョン、あのね・・・ちょっと後で話があるんだけど」
放課後部室
キョン「どうしたんだ?」
ハルヒ「あのね、私・・・中学生のころ大学生の彼氏がいたの」
キョン「え?」
ハルヒ「中学生が年上の人に憧れるってよくあるじゃない?それで・・・」
キョン「そっ・・・そうか」
ハルヒ「それでね・・・私、処女じゃないのよ」
キョン「お・・・おう・・・」
ハルヒ「でもその人だけよ!その人意外とは経験ないのよ!本当に好きだったし」
キョン「それはお前の事であって俺にいう必要ないだろ・・・ははは・・・はは」
ハルヒ「さっきキョンが処女がいいって言ってたから・・・」
キョン「付き合うなら処女がいいって言ったんだよ、お前が処女じゃなくても別におれは構わんぞ」
ハルヒ「・・・そう・・・そうよね、別に私とキョンが付き合ってるわけじゃないのにね・・・はは・・・」
キョン「ハルヒが処女じゃなかったなんて・・・」
みくる「キョンくん、どうしたんですか?」
キョン「ああ、ちょっといろいろありまして・・・」
みくる「悩み事?相談なら乗りますよ?」
キョン「別に相談なんて・・・いえ、やっぱり聞いてください」
みくる「はい」
キョン「ハルヒの奴が処女じゃなかったんですよ」
みくる「そうなんですか、それで?」
キョン「え?処女じゃなかったんですよ?」
みくる「はぁ・・・高校生で経験するなんて今時珍しくないんじゃないですか?」
キョン「ハルヒが経験したのは中学の時だったんですよ」
みくる「中学の時ですか、私が経験したのもそれくらいだったですよ」
キョン「え・・・朝比奈さんも処女じゃないんですか?」
みくる「はぁ・・・そうですけど」
キョン(朝比奈さんが処女じゃなかったなんて・・・)
キョン「SOS団ってビッチばっかりだったんだな・・・まてよ、三年前に生まれた長門なら!」
長門「まず統合思念体は涼宮ハルヒと同じ主である人間の情報を集める事を目的とした」
キョン「えーっと、それはつまり」
長門「人間の生態の学習や遺伝情報などのサンプル採取、それを私が行った」
キョン「サンプル採取って・・・」
長門「人間の皮膚や毛髪や精液など」
キョン「精液?」
長門「それは人間の雄との生殖行動の学習も兼ねて行われた」
キョン「男とセックスしたってことか!?」
長門「そう、回数は93回、人数は53回、年齢や人種は数多くの情報を集めるためにさまざまなパターンを選び出し行われた」
キョン「こ・・・黒人とも?」
長門「ネグロイドは5人そのうち2人とは同時に行った」
キョン(長門が処女じゃないだけじゃなくて、黒人との3Rセックスも経験してたとは・・・)
3R?・・・
完
キョン「はぁ…心なしか、脚が重いな」
佐々木「やあ、キョンじゃないか。やけに思索的な顔つきだね」
キョン「あぁ、佐々木。帰りか?」
佐々木「そうだよ、行きではないな。どうしたんだい、暗い顔で」
キョン「別に何があったという訳じゃないんだが」
佐々木「奥歯に何とやら、だな」
キョン「大したことじゃない。ハルヒと朝比奈さんと長門が処女じゃなかっただけだ。長門まで…」
佐々木「そうなんだ…」
キョン「俺が見てる世界って、ほんとは全然違う姿だったりしてな」
佐々木「……」
キョン「…佐々木?」
佐々木「…この際だから、聞いてほしい。中一のときのことだ」
キョン「え?」
佐々木「あの頃、塾の帰りいつも一緒だっただろう。楽しかったよ、君との取り留めのない話」
キョン「お、俺も楽しかったぞ…」
佐々木「一度いつもと違う公園のところで別れたことがあったんだ。母親に頼まれた買い物があったのを思い出してね。覚えてるかい?」
キョン「すまない、覚えてない」
佐々木「だろうね。一見何てことない日常だ。覚えてないのが普通だよ、キョン。僕も近道してあの公園を自転車で抜けようとするまでは、普通の一日だと思ってた」
キョン「……」
佐々木「君の時機を見た沈黙も僕には居心地が好いよ」
キョン「…あの」
佐々木「そうだよ。泥だらけの制服で顔にあざのある僕を母親は翌朝病院に連れて行った。ひどい裂傷だったよ。僕が一週間学校を休んだのも覚えてないだろうね」
キョン「それは覚えてる、風邪だと思ってた」
佐々木「僕は…私は自分の迂闊さを恨んだ。まさか、中一の子どもにあんなこと…」
キョン「もうやめろ、佐々木」
佐々木「あれから、違う自分になりたくて自分を僕って呼ぶようになった。気づいてた?キョン」
キョン「」
佐々木「あなたの顔を見るのが辛かった。汚れた自分が嫌だった」ヒック
キョン「佐々木…」
佐々木「それで私は別の高校に入ったの。たまにこうやって待ち伏せするくらいが丁度いい」
キョン「俺、何て」
佐々木「…君には関係ないことだよ、キョン。気にしないで」
キョン「…」
佐々木「ぶちまけるついでに言うと、そのとき産婦人科にもかかるはめになってたんだ。笑えるじゃないか、違うかい。キョン」
キョン「佐々木…」ギュッ
キョン「はぁ…。ん?」
タッタッタッ
あちゃくら「えいっ、覚悟!覚悟!」ポスポス
キョン「朝倉、何やってんだ。刺さってないが」
あちゃ「びっくりしました?このアサシン何とか、ゴム製なんですよ~」
キョン「はいはい、びっくりした、びっくりした」
あちゃ「やりました、100円元取りました」ニパァ
キョン「はぁ…」
あちゃ「どうしたんです?」
キョン「いや、ちょっと…な」
あちゃ「気になりますね~。この姿でもバックアップです。鍵の情報は把握する任務です」
キョン「…という訳だ」
あちゃ「さっき佐々木さんといたみたいですけど。佐々木さんも?」
キョン「佐々木は、何でもない。ただの世間話だ」
あちゃ「そうですかー。で?」
キョン「でってお前。みんな処女じゃないんだぞ?何か世界が違って見える感じだ」
あちゃ「大げさですねー、キョンくん」
キョン「まさか、お前」
あちゃ「私は長門さんのバックアップですよ?トレーサビリティは万全です」
キョン「長門と同じことをしたのか」
あちゃ「長門さんたら、確実な採取のためだってニグロと3ラウンドも。真似した私は、ちょっと裂けちゃいました」
キョン「裂け…」
あちゃ「悪いウイルス持ってる検体もいましたねー」
キョン「ウイ…ルス」
あちゃ「あ、心配しないでください。その頃身体がフルサイズだったし、裂けても再構成でちょちょいです。ウイルスも解析して排出したので問題ありません。むしろ、良いデータ取れて幸いでした」
キョン「一度は感染した訳だな」
あちゃ「一般有機生命体的に言うと、そうなりますね。でも気にしますねー、キョンくん。長門さんのこと好きだったりして」
キョン「そういうことじゃない…帰る…」
鶴屋「やっほー、青少年!元気かい!…って暗いね、どうしたどうしたー?」
キョン「何でもありません。て、後ろから黒塗りの車がついてきてますけど」
鶴屋「いいっさ、気にしない気にしない♪で、どうした?」
キョン「…いきなりですけど、鶴屋さん。経験済みですか…」
鶴屋「どうしたどうしたー?頭ぶつけるとかしたー?暗い顔と私の経験と関係あるのかな、ん?ん?」
キョン「か、顔近いです、鶴屋さん」
鶴屋「んー、話すかな。私、実は晩生でさー」
キョン「晩生…ですか」ニパァ
鶴屋「私さ、許婚がいるんだけどね。二つ上の」
キョン「晩生と関係ないですよね」
鶴屋「まあ聞きなよー。うち女系家族だからさ、代々婿養子が当主になるんさ。でね、私も子どものときに名家の次男坊と許婚になった訳さー」
キョン「はあ」
鶴屋「でね、そいつが泣き虫でさ。いつも苛めてたっさ。ところが」
キョン「はあ」
鶴屋「中学に入ったら急に背丈が伸びてね、そいつ。男らしくなっちゃって、急に迫ってくるようになって。親公認だから、誰も助けに来ないっさ」
キョン「晩生と関係ないですよね」
鶴屋「まあ聞きなよー。でね、私こう見えても、そういうの苦手でさ」
キョン「はい」ニパァ
鶴屋「ずっと拒否してたっさ」
キョン「してた?」
鶴屋「そう、拒否し続けてた。今年の夏休みまで」
キョン「」
鶴屋「向こうはもう大学生だからね。もう我慢できないって」
キョン「」
鶴屋「他の女とするぞって。でさ、私もそいつが嫌いな訳じゃないから、覚悟を決めたんさ」
キョン「」
鶴屋「でね、そいつ本当に童貞だったんさ。律儀で笑えるっさ。処女と童貞ええ話や、ってね」
キョン「じゃあ、もう」
鶴屋「そう。まあ、中学入った頃からペッティングはしてたんだけどね。にょろ~んて。ぺろ~んて」
キョン「はは…」
キョン「ようやく駅だ…今日は下りも長い道程だったな。さ、帰ろ帰ろ、チャリチャリっと」
キョン「あれ、俺の自転車のとこに阪中?男といる?」
キョン「何だ、お~い阪中ぁ…っ!」
キョン「キスしてる」
キョン「胸を?」
キョン「スカートの裾から手を」
キョン「……」
キョン「何か俺、悪いことしたかな。今日」
キョン「俺、世界にひとりきりかも知れんな」
キョン「うわぁ…」
キョン「よりによって俺のチャリのとこかよ…」
キョン「どうしたもんだろう」
キョン「………歩いて帰ろ…」
キョン「今朝の占い、悪くなかったんだがな。ん、髪の毛が歩いて…る?」トボトボ
九曜「」
キョン「ど、ども。長門の友達と言うか、同業他社と言うか、だよな」
九曜「」クイクイ
キョン「ジェスチャー?たわし…」
キョン「は置いといて、やっぱり持ってきて、鼻?あ、わたしな」
キョン「私も…狼煙?あ、ぼわーって火な。私も火…」
キョン「酸っぱい…じゃなくてしょっぱい、あ!塩」
キョン「私も火塩…塩をもいっこ、火塩塩…に点々。びしおしお……美少女」
キョン「じゃなくて、塩に点々、じお。最初から?わたしもひしおじお…」
キョン「コマネチ?じゃなくて、ここ?」
キョン「私も、非、処女」
キョン「知るか!」
九曜「○」
キョン「ん」
九曜「○、○」
橘京子「んん、もうっ!九曜さん、堂々と鍵と接触しては駄目なのです!秘密裡が組織の方針なのです!」
キョン「鍵って何だ?」
橘「話しかけないでください」
キョン「…何をカリカリしてるんだ」
橘「いやらしい目で見ないでください」
キョン「見てない。今日はもう何も見たくない」
橘「失礼です。見る価値ないとか、失礼です。ど、童貞野郎めっ!ぷいっ」
キョン「俺が童貞だとなぜ決めつける」
橘「決めつけてません」
九曜「○――」
橘「余計なことは言わないでください、九曜さん」
九曜「――」
橘「彼に監視員を配置しているのは機密なのです!あっ」
キョン「何の話だ」
橘「知りません。帰りましょう、九曜さん。ぷいっ」ツカツカ
キョン「……」
キョン「一刻も早く帰ろう。カリカリして口でぷいって何だ、あいつは」キョン「…橘は処女…だな。ちょっと安心した」
古泉「おやおや」
キョン「やれやれ、今見たい顔じゃないな」
古泉「お言葉ですね、ふんもっふ。それに、あなたともあろうお方が、値踏みを誤るとは」
キョン「何だ」
古泉「橘京子は藤原さんの玩具です」
キョン「……」
古泉「あの少女っぽさは藤原さんの嗜好です。昨夜なんて…おっと僕としたことが。口が滑らか過ぎました」
キョン「…監視…してるのか」
古泉「目には目を、ですね」
キョン「まあいい。本題は何だ」
古泉「そうですね。まあ、お乗りください」
キョン「ところで、何で運転席にいるんだ。機関は治外法権なのか」
古泉「必要とあらば、ある程度は。免許は容易な部類です」サスリサスリ
キョン「おい、俺の膝は治外法権じゃないぞ」
古泉「おっと。あなたの膝でしたか、てっきりシフトレバーかと」
キョン「本題だ、早くしろ」
古泉「ええ、他でもありません。閉鎖空間です」サスリサスリ
キョン「またか。ハルヒの奴、最近おとなしいと思ってたんだが」ペシペシ
古泉「問題は涼宮さんだけじゃないってことです」
キョン「佐々木…か」
古泉「いえ、彼女の閉鎖空間は急激に光を失って、バイパスも切断されました。一時間ほど前のことです。完全に外部を遮断した状態で、あちらの組織の要員も侵入できないようです」
キョン「不穏に聞こえるが」
古泉「文字通りの完全閉鎖空間になって、そのまま凍結状態です。外観はこちらでも確認できますから」
キョン「ふむ。じゃあ一体、ハルヒ以外ってのは誰なんだ」
古泉「意外な人物ですよ」
古泉「森さんです」
キョン「何だと」
古泉「僕も驚きました。経緯は、こうです。藤原は佐々木さんを実験台にした。しかし、思うような結果を得られない。そこで、手当たり次第に次のモルモットを組織挙げて探したようです」
キョン「その結論が森さんだったのか」
古泉「そのようです。彼女は限定的能力者としては二流です。しかし、常人ではない。彼女は僕とは違う次元での感応体質だった訳です」
キョン「つまり、核になる側だな」
古泉「理解が早くて助かります」
キョン「藤原の奴、佐々木の次に森さんにもハルヒの変態パワーを移植しやがったのか」
キョン「しかし、腑に落ちないのは藤原だ。奴は時間断層の向こう側に閉じ込められたんじゃないのか」
古泉「あの彼はそうです。しかし、狡猾な彼は周到でもあった。自分のバックアップとしてパラレルの自分と連絡を取っていたようです」
キョン「よくわからんが」
古泉「例えるなら、オーロラの彼方に、ですよ」
キョン「物理的に行き来できないが、時空を超えて重なるレイヤーと無線通信、だな」
古泉「この場合の通信機は周防九曜です。第二次時間断層をかいくぐったパラレルから、連絡を受けた藤原さんのバックアップが現れた。時間的な切れ目なくです」
キョン「じゃあ、橘は気付いてないんだな。藤原二号だということに」
古泉「そうです。そして、その二号は橘京子を食い物にした。何がいいのか、ちっともわかりませんが」
キョン「しかし、森さんが応じた訳ではないだろ」
古泉「推測ですが、周防九曜だと思います。彼女は、より悪質な長門さんですからね。別に長門さんが悪質だとは言ってませんよ」
キョン「何でもありだな、あいつらは」
古泉「誘拐少女二人と藤原一号が森さんをさらって処置して、周防九曜が情報操作で記憶を消した。そして、観察していた」
キョン「気になるんだが、一時間前だと言ったな。森さんの閉鎖空間が現れたのは」
古泉「ええ。何か心当たりでも?」
キョン「いや、そうじゃないんだが」
古泉「今、機関が森さんの閉鎖空間の特異点を検索しています。今夜には見つかるでしょう」
キョン「入り口のことか」
古泉「ええ。そこで、お願いがあります」
キョン「真顔が近い。キモい」
古泉「森さんの閉鎖空間に同行願いたいのですが」
キョン「何で俺が行かなきゃならんのだ」
古泉「経験則から言って、あなたは護符です。いろんな意味で特別な存在です」
キョン「キショいんだが」
古泉「いえ、涼宮さんの周辺の問題に関してです。特別です、僕から見て」
キョン「キショい」
古泉「…とにかく、お願いします。場合によっては時空が大規模に放散します。これも機関の推測ですが」
キョン「わかった。行くしかないんだろ、行く。でも、手は放せ」
古泉「ありがとうございます」ギューッ
………
……
…
キョン「で、いつまで車で待機なんだ?」
古泉「しばらくお待ちを」
キョン「密室はキモいんだが」
携帯新川「古泉、特異点がみつかったぞ」
古泉「どこです?」
携帯新川「機関宿舎のお前の部屋だ」
古泉「え?僕の部屋ですか。あ、はい。わかりました、向かいます」
キョン「お前の部屋?」
古泉「ええ、聞いての通りです。飛ばしますよ」
………
……
…
キョン「機関宿舎って、このコンビニか?嘘だろ」
古泉「擬装です。店舗の地下はちょっとした街ですよ」
パラリララリラ、ララリリラー♪
店員「シャアセェ」
古泉「トイレ借ります」
店員「シャアセェ」
古泉「行きましょう」
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