橘純一「みんなにお礼参りをしよう!」(411)
橘「梅原聞いてくれ。今朝のことなんだけど、理不尽な夢を見たんだ」
梅原「へぇ?どんな夢を見たんだ?」
橘「森島先輩がラブリーな企画をしたせいでね、みんなが僕を何回もビンタしてくる……そんな夢なんだ」
橘「もう……それはそれは酷い悪夢さ!」
橘「起きたら寝汗で身体がビショ濡れだったし」
橘「寝起きなのに思わず『世の中はかくも理不尽なものなのか……』とか呟いちゃったじゃないか!どうしてくれんだ!?」
梅原「た、大将!落ち着け!夢の話なんだろ!?」
橘「それでね……僕は決意したんだよ」
橘「夢でやられた分、現実でみんなにお礼参りしてやろうってね!」
梅原「な、なぁ?俺は大将が一番理不尽だと思うぜ……?」
あのスレの>>1?
橘「ぼ、僕が理不尽だって!?復讐なんていつでも理不尽なものだろ!?」
梅原「だから落ち着けよ!何でそこまで夢でやられた分をやり返したいんだ!?」
橘「僕だってわからないよ!ただそんな衝動が身体を駆け巡ってるんだ!」
梅原「そ、そうか……大変なんだな」
橘「というわけでね、早速始めたいと思うんだけど」
橘「最初のターゲットは」
梅原「最初のターゲットは?」
橘「すぐそこで『私は関係ないよー』って涼しげな顔をしてる田中さんだ!」
田中「えええええええええ!?」
田中「わ、私なの!?」
田中「わ、私……なにされちゃうの?」
橘「田中さん?今日は制服の上着の下にセーターを着てるね?」
田中「き、着てるよ?」
橘「脱いでもらえるかな?」
田中「えっ?」
橘「う、上着!上着だけ!そう!上着だけを脱いで欲しいんだ!」
田中「えぇ!?……う、うん」ゴソゴソ
田中「……脱いだよ?」
橘「それでね……このカツラを被って欲しいんだ」
田中「カ、カツラを?うわぁサラサラふわふわな髪質だね!」
田中「……被ったよ?」
橘「いいね!バッチリだ!!」
橘「あ、あとは!」ゴソゴソ
橘「この紙に書いてあることを感情を込めて読み上げて欲しい」スッ
橘「いいかい?棒読みじゃなくて、感情をこめてだよ?」
田中「えーと……うん、この位ならいけると思う」
田中「……」スーッ
田中「ひどいよ!私を裏切ったんだね!?」
田中「……これでいいの?」
橘「うん、ありがとう」
橘「田中さん……キャラ被りって怖いよね」
田中「うん、どっちかが下位互換とかいわれちゃうもんね」
橘「下位互換か……僕としては田中さんの方が上なんだけどなぁ」
田中「……え?何の話?」
橘「今まさに田中さんが、とあるキャラと丸かぶりしてるよって話だよ?」
田中「う、嘘!?そんなのいけないよ!!私は夢見がちな普通少女でいたいの!」
田中「このカツラ?このカツラがいけないの!?こんなのとっちゃえば……」グイッグイッ
田中「と、とれない!?とれないよ!?」
橘「……呪われてるからね、それ」
田中「の、呪われて……?」
橘「というわけでね、田中さんはこれからいつ現れるか分からない、自分と被ってるキャラの影に怯えながら暮せばいいよ」
田中「ひ、ひどいよ!橘君のバカー!!」
ダッ!タタタタタタ……
橘「次は……あの子にお礼参りだ!」
橘「薫?大事な話があるんだ」
棚町「え?なになに?大事な話?」
橘「ぼ、僕としてもかなり思い切ったことを薫に聞こうと思ってるんだ」
橘「笑わないで聞いてくれるか……?」
橘「薫くらいにしかこんなことは聞けないんだ!」
棚町「……相当マジメな話みたいね?わかった、笑わないから話して?」
橘「ほ、本当か?本当に笑わないのか?」
棚町「あたしを信じなさいよ!ほら、話して?」
橘「……あのね?」
橘「わかめ酒って知ってる?」
棚町「は、はぁ!?」
橘「だからさ、わかめ酒って知ってるかって」
棚町「な、何であたしに聞くのよ!?」
橘「薫なら知ってるはず……薫を見てるとそんな気がしてくるんだ!」
棚町「……何かスゴくバカにされてる気がするんだけど」
橘「で、知ってるの!?知らないの!?どっちなの!?」
棚町「な、何で急にその話になったの!?ねぇ!?」
橘「この前さ、梅原達と話したんだよ。薫って小さい居酒屋やってたら似合いそうだよねってさ」
棚町「……まぁ、いいたいことはわかるわ」
橘「そしたら梅原がさ『名物はわかめ酒ってか!』とか言いだしてね」
橘「そこにいた連中にはかなりウケてたんだけど、僕は何の話か分からなくてさ……疎外感を味わっちゃったんだ」
橘「でね、このことを知らないまま放置するのはいけないと思ってさ」
橘「お酒の本とか読んで調べたんだけど……どこにも載ってないんだよね」
棚町「そりゃそうよ……載ってるわけないわ」
橘「だから薫に聞いてみようって思い立って、今に至るってわけで」
橘「か、薫!僕にわかめ酒の正体を教えてくれよ!」
橘「なんなら飲んでもいい!未成年だけど、頑張って飲むからさ!」
棚町「あ、あんた!?自分が何をいってるか……分からないからこうなってるのよね」
棚町「はぁ……何でこういうのが得意分野のはずの純一が知らないのよ」
棚町「……かなり恥かしいけど教えるわ」
橘「ほ、本当か!?」
棚町「に、二回目はないからね!?」
棚町「わかめ酒っていうのは、お酒の種類ではなくて飲み方だから」
橘「そ、そうなの!?僕はてっきり漁師が飲む幻の銘酒か何かかと思ってたよ」
橘「で、で!どうやるの!?」
棚町「そ、それは……女性の……あ、足の付け根のところにお酒を注いで……」
橘「……大変だ、薫。僕には全く理解できないよ」
棚町「は?何でよ!?」
橘「理解できないものは理解できないんだ……ごめん」
棚町「そう?なら無理に理解しようとしなくても」
橘「じ、実演を……」
棚町「え?」
橘「言葉では分からなくても、実際に目で見たらわかるかもしれない!」
橘「……薫?こんな愚かな僕の為に一肌脱いでくれないか?……頼む、この通りだ」
棚町「……わかったから、頭を下げるのやめて?」
橘「か、薫?それじゃあ……」
棚町「やる……水着でだけど」
橘「え?水着で?」
棚町「な、何!?文字通り一肌脱げっていうの!?」
橘「えぇ!?いや……そういうわけじゃ」
橘「でも、それもアリか……?」
棚町「ナシ!そんなのナシだから!!」
棚町「あ、あたしは制服の中に水着を着てくるから」
棚町「じゅ、純一は人目につかなそうなところでも探しといてよ?」
橘「わかった!任せて!」
~ポンプ小屋~
橘「ここなら人目につかないだろ?」
棚町「確かに……ここなら大丈夫ね」
棚町「す、すぐ始める?」
橘「もしかすると誰かに見つかっちゃうかもしれないから、早いところすませたほうがいいと思う」
棚町「そ、そうよね!じゃあ……」シュルシュル……パサッ
棚町「え~と、何か座れそうなものは……あ、これでいっか」
棚町「純一?あたしの鞄の中にお水入ってるでしょ?取ってもらえる?」
橘「あ、はいはい」スッ
棚町「まぁ、さすがにお酒ってわけにはいかないし」
棚町「い、一回しかやらないからよく見てなさいよ!?」
棚町「わ、わかめ酒ってのはね?ここにこう……っとと!」
棚町「こ、こんな感じで……お酒をついでね、これを……その……男の人が飲むっていう寸法で……/////」
橘「なるほど!そうだったのか!」
橘「でもさ、何でそれがワカメなんだ?」
棚町「そ、それは!……え?本当にわからないの?」
橘「……本当にわからないよ」
棚町「……あのね、こう……女性の下の毛が……」
棚町「……って何を言わせんのよ!?」
橘「……飲んだらわかるかな?」
棚町「……え?」
橘「いや、せっかくだし飲んだらワカメの由来がわかるかなって」
棚町「だ、ダメ!その……汚いし……///////」
棚町「……じゃなくて!」
棚町「……もう付き合ってられるか!このバカ!」
橘「……よし、恥かしいことをさせてやったぞ」
橘「この調子で次に行こう……ふふふ」
橘「……」キョロキョロ
橘「よし、周りには誰もいないな」
橘「…………」スーッ
橘「なっなさきぃぃぃーーーッ!」ギュッ
七咲「あ、先輩……って何を!?」
橘「僕はお前に会いたかったぞーッ!!」ムニュムニュッ!
七咲「わ、私に会いたかったのわかりましたから!」
七咲「出合い頭で揉むのやめて下さい!」
橘「え?いけなかった?」ムニュムニュッ
七咲「ひ、非常識にもほどがありますよ!?」
七咲「挨拶がわりにお腹を揉むなんて!」
橘「だってさ?七咲のお腹、最近ふかふかになってきただろ?」
橘「この脇腹の触り心地とか、素晴らしいね!」
七咲「……今なんて?」
橘「いやー、だからねお腹の触り心地がいいって」
七咲「ど、どう素晴らしいんですか!?」
橘「え?こう……ふかふかで」
七咲「いやぁぁぁぁぁぁぁ!」
橘「ど、どうした!?七咲!?」
七咲「私は太ってなんかない!太ってなんかないもん!」
七咲「た、確かに最近食べる量が増えたかもしれないけど、それは部活での運動量が増えたからで!」
七咲「だから何も問題なんて……」
橘「だけど実際にこう……隠しきれないものが」ムニュムニュ
七咲「お、お肉を揉まないで下さい!」
七咲「とにかく!私は太ってなんかいませんから!」
橘「え?で、でも、確かに僕の手は……七咲のふかふかしたお腹を」
七咲「それは錯覚です!」
橘「さ、錯覚!?」
七咲「普段からエッチなことばかり考えてるから、ありもしないものを掴んでしまうんです!」
橘「そ、そんなバカな!?僕にはそんな能力があったのか!!」
七咲「橘先輩は選び抜かれた変態ですからね」
橘「何てことだ……僕は妄想を具現化できるのか」
七咲「先輩?悪用厳禁ですよ?」
橘「困ったな、悪用しか思いつかないよ……」
橘「……とまぁ、バカな話はここまでにして」
橘「間違いなく太ったよね?」
七咲「ですから、太ってません」
橘「……そうか。では、七咲逢よ!」
橘「お前は自信を持って水着姿を僕に見せることができるか!?」
七咲「な、何で先輩に水着姿を見せなきゃいけないんですか!?」
橘「身体は嘘をつかない!」
七咲「!?」
橘「真のアスリートであれば、己の身体に恥じる部分などないはずだ!!」
橘「むしろアスリートであれば己の鍛え抜かれた身体を世間に誇示したい!そう!!潜在的な見せたがり!!!」
橘「僕は七咲は日々水泳に没頭するスポーツ少女だと思ってたけど、これは買い被りだったかな?」
七咲「……わかりましたよ!脱げばいいんですね!脱げば!!」
七咲「……先輩のお望み通り水着になってやりましたけど」
七咲「ふふん!どうですか!?この身体が太ってるように見えますか!?」
橘「う~ん、こうしてマジマジと七咲の水着姿を見ることって実はあんまりなかった気がするなぁ」
橘「……ちょっと触ってもいい?」
七咲「え?み、見るだけなんじゃ?」
橘「触って初めてわかることも、ね」サワサワ
七咲「……んっ」
橘「う~ん、やっぱりこの脇腹から腰の辺りにかけてのラインが」スーッ
七咲「……ひゃっ、くすぐったいですよ」
橘「う~ん、この辺りとかなぁ」ムニュッ
七咲「あっ……先輩……そこはどちらかといえばお腹じゃなくてお尻です」
橘「七咲、ありがとう。よくわかったよ」
橘「結論から言えば、やっぱり太ってるね」
七咲「……ですよね。本当はわかってました」
七咲「……こんな身体を先輩に見せてしまって恥かしいです」
七咲「この身体は出来損ないだ、見てられないよ……って言われても仕方ないですね」
橘「ぼ、僕はそこまでは」
七咲「……なので!先輩、一ヶ月後にここにきて下さい!」
七咲「本当のアスリートの身体を見せて差し上げますよ、ふふふっ」
橘「な、七咲?」
七咲「……私は早速自主トレーニングしてきますから」
七咲「先輩、失礼します!」
橘「……う~ん、何かやる気ださせちゃったぞ」
橘「気を取り直して次にいこう!」
橘(次は中多さんに復讐をしようと思ってるんだけれど)
橘(あの悪夢では、中多さんからの理不尽なビンタを受けてないんだよなぁ)
橘(……むしろ僕が人としてアウトなことをしてしまったような気がするよ)
橘「そうだね、ここはソフトにやってみよう!」
橘「中多さ~ん!」
中多「あ、しぇんぱい……な、何か御用ですか?」
橘「う、うん!あのね!中多さん!」
橘「ぼ、僕さ!最近守備範囲を広めてみようかなと思ってね!」
中多「しゅ、しゅびはんい……?」
橘「BLのオススメを教えてよ!!」
中多「ぇ……?」
橘「BLだよ!BL!ボーイズラブ!」
橘「私知りません!なんて言わせないぞ!!」
中多「ぇぇぇぇぇ……」
橘「さぁ!早く教えてよ!あ、でも最初はソフトなヤツでお願いね!」
中多「BLですと……や、やはり……最初は版権ものの……あ、アンソロジーが入りやすいと思います」
中多「ひょ、表紙が……比較的買いやすいですから」
中多「あ、余談ですが……あ、アンソロジーにはいやらしい意味は……ないですよ?」
橘「そ、そうだったのか……僕、今日この日まで勘違いしていたよ……」
中多「そ、それでですね……私の好みの……話なんですが」
中多「わ、私としては……あまりに耽美すぎるものより……す、少し荒々しい方が好きです」
橘「あ、荒々しい?」
中多「ご、誤解されると困るので……や、やらないか?とかそういうのでは……ないです」
橘「うん……あれは別物だよね」
中多「しぇ、しぇんぱい?あの……やはり口では伝えきれないので……」
中多「ほ、本屋さんに……行きませんか?」
橘「えっ」
~本屋~
中多「こ、ここが……BLのコーナーですね」
橘「は、初めて足を踏み入れたけど……何か独特の雰囲気だね」
中多「さ、最近発売された中では……これが……純愛でよかったです」
橘「え~と、『筆箱の中の快楽園~Hな鉛筆×上手く消せない消しゴム~』……?」
橘「何てことだ……一応は擬人化されてるけど、人間ですらないじゃないか!」
橘「こんな歪な掛け算が世の中にあったなんて!僕の知らないところで世界はどこへ向かってるんだ!」
橘「……でも、これは物凄く中身が気になるよね」
中多「わ、私も……これはジャケ買いしみゃいました」
中多「え、エッチな鉛筆さんが……男気を魅せてくれますよ……」
橘「お、男気!そんなのもあるのか!」
中多「そ、それと……私のランキング一位なんですが……」
中多「こ、これです!」
橘「なになに?『変態紳士と寿司屋のせがれ』……?」
橘「な、何でだろう……これには凄く親近感が湧くな!」
中多「こ、この本は……変態紳士が過去を語る形式なんですが」
中多「と、ときには……しっとりとした関係を優しく語り」
中多「また、ときには……強引なアプローチを雄弁に語り……」
中多「……気付いたら、変態紳士の恋の行方を応援してしまう自分がいました」
中多「で、でも……二人の恋は……」グスン
橘「な、中多さん……泣いてるの?」
中多「すみません……ま、まだ読んでない人にネタバレしてしまうところでした……」
中多「と、とにかく……これはオススメです」
店員「ありがとうございましたー!」
橘「……中多さんにオススメされたの全部買っちゃったよ」
橘「……ゴクリ」
中多「しぇ、しぇんぱい……あの」
中多「よかったら……か、感想を聞かせて下さいね?」
中多「……次に……オススメする本の……さ、参考にしますから!」
橘「う、うん。今日はありがとうね?」
中多「い、いえ!……では、私はあっちなんで……失礼します」
橘「何てことだ……気付いたら中多さんと本屋でデートしてただけだったなんて!」
橘「で、でも!この本は収穫だったかな!」
橘「次!次こそは華麗にお礼する!」
橘「絢辻さん?今ちょっといいかな?」
絢辻「ええ、どうしたの?」
橘「次の数学って小テストだったよね?」
絢辻「そうだったと思うけど」
橘「あのね、僕とテストの点数で勝負して欲しいんだ」
絢辻「は?勝負?」
橘「うん、こう……負けた方は買った方のいうことを何でも聞くって罰ゲームつけてさ!」
絢辻「……橘君?そんなに私に命令されたいの?」
橘「ま、待ってよ!僕だって最近真面目に勉強してるんだ!範囲の狭い小テストなら勝負になるかもしれないだろ!?」
絢辻「ふ~ん?……いいわ!その勝負、受けてあげる!!」
絢辻「何でも、なんて言い出したことを後悔させてあげる」
橘「……やっぱりなし!なんて言わせないからね?」
絢辻「ふふっ、それはこっちのセリフよ?」
買った方って何だよ
勝った方ですね
~採点後~
絢辻「勝負の約束忘れてないわよね?」
橘「忘れるわけないよ!今日は僕が初めて絢辻さんを屈服させる日だ!」
絢辻「……その様子だとかなり自信があるようね」
絢辻「それで?何点だったの?」
絢辻「私はね、ちょっと計算間違えちゃって97点だったけど」
橘「じ、自分でもびっくりなんだけどさ!」
橘「100点だよ、100点!」
絢辻「……はぁ、私の負けかぁ」
橘「あれ?もっと大きいリアクションとってくれると思ったんだけど」
絢辻「あなたじゃないんだから……そんな恥かしいことできないってば」
絢辻「……それで?負けた私は何をすればいいの?」
橘「えーっとね……」
橘「コスプレ撮影」
絢辻「コ、コスプレ!?」
橘「うん!一度やって見たかったんだ!コスプレ撮影!!」
絢辻「バッカじゃないの!?頼むにしても他にあるでしょ!?」
橘「いや!これしかない!!他に何も見えないよ!!!」
絢辻「!?」
橘「僕は絢辻さんにコスプレしてもらう為だけに睡眠時間やお宝本鑑賞タイムを削り、必死に勉強してきたんだ!」
橘「僕のパッションが弾けた結果が……この通りさ!」
絢辻「はぁ……随分と不純な情熱ね」
絢辻「でも、私じゃ橘君の期待に添えないかもよ?」
絢辻「コスプレなんてやったことないから勝手がわからないし」
絢辻「そ、それに根本的な問題として肝心の衣装がないわよね?」
橘「あ、衣装は大丈夫なんだ」
橘「絢辻さんに着せたい衣装はもう準備してあるんだ」
絢辻「……は?」
橘「まずはこのボンテージ!」
橘「サディスティックさに定評のある絢辻さんにはきっと似合うと思うんだ!」
橘「思わず踏まれたくなっちゃいそうだよね!」
橘「次にコスプレの定番といえばこれ!メイド服!」
橘「ハードなイメージから一転して、物腰柔らかそうな、デキるメイドさんに!」
橘「これは思わず萌え萌えキュン!だ!」
橘「そ、そして!……極め付けは!」
絢辻「ちょ、ちょっと待って!な、何でそんなのあるの!?」
橘「え?貯金崩して買っただけだよ?」
絢辻「そ、そういうことじゃなくて!」
絢辻「……無粋な質問だったわね。続けて?」
橘「う、うん」
橘「そして極め付け付けはこれ!!」
橘「ご存知リクルートスーツ!」
橘「え?ただのスーツだろ?……と侮るがなかれ!」
橘「確かに存在としては地味かもしれない……でもね、そのタイトなシルエットから漂うエロスは素晴らしいものがあると思うんだ!」
橘「勿論メガネもセットだよ!そこは抜かりない!!」
橘「と、まぁね。こんな感じかな」
絢辻「これ……全部着るの?」
橘「うん、着て欲しいな。その為に色々な店を駆け回って準備してきたし」
絢辻「……あなたのその行動力、他に生かすべきよ。絶対に」
絢辻「コスプレの部分はわかったわ」
絢辻「撮影はどこでするの?」
橘「え?学校でやる予定だったけど……」
絢辻「は、はぁ!?学校で!?みんなに見られちゃうじゃない!?」
橘「え?コスプレって見せる為のものでしょ?」
絢辻「そ、その通りだけどさ!時と場所も考慮しろって話よ!!」
絢辻「最悪の場合、私とあなたの高校生活に終止符を打たれるわよ!?」
橘「うーん……写真部の撮影だとは思われないかな?」
絢辻「関係のない写真部に迷惑をかけるのはやめなさい!」
橘「協議の結果、やはり僕の部屋で撮影だろうということになりました」
絢辻「こんな形で橘君の部屋には来たくなかったわ」
絢辻(……私の貴重な初めてなのに)
橘「よし!美也が帰ってくると面倒臭そうだから、ちゃっちゃと撮影しちゃおう!」
絢辻「そう?なら着替えるから出てって?」
橘「さ、最初は何を着てくれるの?」
絢辻「ふふっ、見てからのお楽しみってことでね」
絢辻「ほら、さっさと出てった!出てった!」
橘「わ、わかっから!そんな押さないでよ!」
ごめん超眠い
塚原先輩はァ!!
ノ:::::::;:::::;':::∧ノ::/::::ノ"リ:::::ノ:::::|:::(::::\:::::li::::il ),
';:(:::/:::,'::ノ:///|::::ノ il:::/ ';::::';:',:::::::::::):ノ::ノリ i
',ヘ::l:::::::::_ノ彡jt从 'ヘソリ=ムミヘ\:::::ソ://
)) !::::l::从 r┬ミ、` ィ==t i::::ゝ/:::川、
,彳ノ::::::川人゙乂::ノ′ `ゞ=イ´//:リ::::::ソヾヽ、
ノ/::::::::巛::::li , , , ! , , , ノリ:i::l::::::::::ミ\i、
/::::::/(:l:::::/:::::::へ __ __, (:::::::'l、`‐":::::,:::`i'ゞ
!, (::'., 人:::::::::_-‐心 、 ∠!ー一',>li::::::l:::::l ))
弋ノ::::',',:::;::,\、',| > - < |、 ∠":::|ノノ从ノ7′
,ー久´))))/::::::ノ \ , />:::/::ノノ^リ:::く、
/ ノ .人ヽ`ミ、 \ ///(( ゝ川 !l ヽ
/ : : : : )ノ! ゙ミ>'、 ,/リ ) ))'、 `^ ヽ
/ : : i/ ゙ミ ∨/,彡 ヽ
/ : :/ : . ゙ミ、l! ,彡 ', .: / ',
/ : : :/: : ゙ミ彡 ';:| : . / ',
/ . : : : :λ: : : : : : : :| : :/ . . ',
i ',: : :∧_::,;,;,:,;_ . : : : . : :| :/ . ',
il. '; :ノ彡_,. -一 ̄ ̄`` ‐、.:ヽ: . : :|/ : : : ',
l 、_:_:_:l_|_ -‐ "´ ̄人`ヽ、, \ヽ : . . . . : : :i| : : : : : 'i,
ノ ` 、 . : : : /: : ! : :_匕、 \ヽ ゝ: : : : ,ヘ : : : : 'i、
l . \. : : : :/ : :ノ ̄ヘ: :||\ \ヽ ゝ〈 `ヽ、: : 'i、
il : : . : : |. : : :/_,ノ´ : : . ヘ || \ \: : . `i `彳 . . : : . ヽ、
il : . : : : : :_| : : :l´ `ヽ、._ ヘ|| \ ヽ: :.| 卜: : : : : : ヽ
\ . :_ -‐ " ',: :/l  ̄`^ヽ, : : :\、 ',:'i ,)} - ー 〉
 ̄ ';/ノ ', : i:i\、, ',〈 _ノ' ノ
/ '、 , : : ゙``弋 /: : /
,/ ヽ、 ' : : ,' . : :|´: /
ノ\ , ヽ、 . : : :'l : . /´
/ヽ ヽ >ーヘ, | : : . . :/
/ ,' ヽ `ヽ、 __ノ " `', l. : : :/
わぉっ!
ほ
橘「立ち話をしようか」
絢辻「橘死?」
橘「ぼくは絢辻さんのパンツの中を観るまで死ねないね!」
絢辻「じゃあ貴方は人類が滅びる日まで生き続けているといいわ」
橘「絢辻!!」
絢辻「…なによ」
橘「好きだよっ!!」
絢辻「あ、そう。ありがと」
橘「……好きだよ?」
絢辻「私もよ橘くん」
橘「だからパンツ見せてくださいませんか?」
絢辻「お墓は別々に入りましょうか」
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