勇者「召喚されて勇者やってるけど二次元物がなくて発狂しそう」 (14)

勇者「もうやだ」

盗賊「どうしたんだよ勇者」

勇者「元の世界に帰りたい」

盗賊「またその話かよ……」

勇者「またってなんだよまたって!! 俺には大事なことなんだよ! わかってんのかあぁ!?」

盗賊「わ、わかった! わかったから落ち着けって!」

勇者「落ち着いてられるかよ! なんで魔王たおしたのに帰れねーんだよ!」

盗賊「気の毒だけど、仕方ねーだろ……呼び出す事は出来るけど、送り返す魔法はないんだから」

勇者「それがおかしいんだよ! 返す方法ないのになんで召喚するんだよ! アフターサービスしっかりしろよオラァ!」

盗賊「まぁ、帰還を望んだ勇者ってお前が初めてらしいからなぁ……」

勇者「は? なんだそれ?」

盗賊「そのまんまの意味だよ。召喚された勇者達で、帰還を望んだのはお前が初めてらしいぜ」

勇者「意味わかんねぇ。普通帰りたがるだろ」

盗賊「いや、先代の勇者達はハーレムを作ったからこの世界でずっと暮らしたい。と言ったらしい」

勇者「うわっ、引くわ……三次のハーレムって大惨事じゃねぇか……」

盗賊「それにほら、家のパーティーって勇者と俺以外は女だっただろ?」

勇者「あぁ、女戦士に僧侶に女魔法使い……確かに女だな」

盗賊「それ、王が勇者のハーレムの為に用意したらしいぜ」

勇者「大きなお世話にも程がある」

盗賊「いや、お前も先代勇者達と同じでハーレム作ると思ったんだろ? まぁ違ったわけだが」

勇者「おう、俺は三次なんざに興味ねぇ。二次元こそ理想にして最高」

盗賊「そのわりには、エルフに会ったとき大はしゃぎしてたじゃねぇか」

勇者「あれは……」






僧侶「確か……この辺にエルフの里があるとか」

女魔法使い「本当にこの道であってるんですかぁ……?」(ゼェゼェ)

女戦士「ま、違ったらそん時はそん時だ」

勇者「うおぉぉぉぉぉぉ! エルフ! エルフ! エ・ル・フ!」

盗賊「落ち着け勇者」

勇者「バッキャロウ! これが落ち着いてられるか! エルフだぞエルフ!」

僧侶「ゆ、勇者さんテンション高いですね……」

女魔法使い「そんなにエルフが珍しいんですか?」

盗賊「あぁ、勇者の世界だと、エルフっていうのはおとぎ話にしか出てこない伝説の存在らしいからな」

僧侶「へぇー」

女戦士「お! あれじゃないのか?」

盗賊「……どうやら、それっぽいな」

勇者「いぃぃぃぃやっほぉぉぉぉい!」ピューン!

盗賊「あ、おい! 一人で先走るな!」

エルフ「ようこそ、エルフの里へ……この神々しい聖気。貴方が勇者様……ですね?」

勇者「はい! 俺が勇者……で……す……?」

エルフ「? どうかしましたか?」

勇者「……」ジッー

エルフ「あ、あの……」

勇者「……いや、ないわー……」

エルフ「え?」

勇者「確かに美人だけど、耳とがってるだけじゃん……うわぁ、三次のエルフ耳とか全然萌えねぇ……」

エルフ「え? あの、その……」

勇者「……宿どこ? 早く休みたいんだけど」

エルフ「や、宿はあちらですが……あの、その前に村長に……」

勇者「はぁ……やっぱり三次ってクソだわ」スタスタ

エルフ「」

勇者「最初はエルフって聞いてwktkしただけだ。リアルで見たらイラネ」

盗賊「wktk……? いや、それよりあの後大変だったんだからな。俺達が門の前についたらあの娘泣いてたし」

勇者「知らん。俺には関係ない」

盗賊「お前本当に勇者か」

勇者「呼び出される前はヒキニートですがなにか?」

盗賊「ヒキニートってなんだ?」

勇者「24時間年中無休で家を守る仕事だ」

盗賊「すごいなお前」

勇者「とにかくだ、俺は元の世界に帰りたい」

盗賊「……そんなツライ仕事がある世界にわざわざ帰りたいのか、お前は」

勇者「あぁ、辛いこと(親の小言も)あるが、何度も(壁ドンで)乗り越えて来たんだ。だから帰りたい。そして二次元に浸りたい」

盗賊「……本当、すごいなお前……そういえばひとつ聞いていいか?」

勇者「ん? なんだ?」

盗賊「いやさ、お前が度々言ってる二次元ってなんなんだ? すんげー気になるんだけど」

勇者「……ほほう。あ、聞いちゃう? それ聞いちゃう? 語っちゃうよ? 俺語っちゃうよ?」

盗賊(うわっ、ウゼェ)

勇者「二次元はそう。俺達が手を伸ばしても絶対に届かない素晴らしい世界だ」

勇者「そこにはなんでもある。俺達の夢、理想、ロマン……陳腐な言葉を使うが、全てがそこにある。それが二次元だ」(キリッ

盗賊「えー……っと、悪い、簡単にまとめてくれ」

勇者
「二次元最高
最高。
三次は大惨事」

盗賊「……うーん……」

勇者「ま、二次元知らないお前にはわからないよな、うんうん」ポンポン

盗賊(うわっ、こいつ殴りてぇ)

盗賊「つーかさ、そんなにその二次元? が好きなんだったらこっちの世界で作りゃ良いじゃん。勇者であるお前が「二次元を作りたい。手伝ってくれ」って一声かけたら手伝ってくれる奴は何人かいるだろ」

勇者「素人が作れるもんじゃねぇんだよ! このにわか!」クワッ!

盗賊「じゃあどうするよ」

勇者「元の世界に帰りたい」

盗賊「方法がないじゃん」

勇者「……いや、あてならある」

盗賊「なに? 本当か?」

勇者「あぁ、俺達が倒した魔王いるじゃん?」

盗賊「あぁ、それがどうした?」

勇者「あいつの戦い方って覚えてる?」

盗賊「忘れるわけねぇだろ。次元の壁とやらをぶち破ってどっからでも現れるあれだろ? 本当、あん時は死ぬかと思った」

勇者「まぁ、倒せたから結果オーライだ。んで、召喚魔法の原理は知ってるか?」

盗賊「……確か、魔力で無理矢理次元の壁をぶち破って、人間を呼び寄せる……だったか?」

勇者「そーそー。この二つってスッゲー似てない?」

盗賊「……! まさかお前!」

勇者「あぁ、魔王が使ってたあの技を覚えたら帰るんじゃねぇかなと」

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