シャーリー「あれぇ?ルッキーニの奴、車にもいないなぁ……」 (75)

ローマ市内

芳佳「さっきまでお店の椅子に座ってましたよね?」

シャーリー「うーん。そのうち戻ってくるとは思うけど、ルッキーニに残りのお金全部渡しちゃったからなぁ」

芳佳「……誘拐されたとかないですよね?」

シャーリー「は?」

芳佳「だ、だって、ルッキーニちゃん可愛いし、その上大金まで持ってたんですよ? 悪い人に狙われてもおかしくないですよ……」

シャーリー「あははは。何言ってるんだよ、宮藤ぃ。並の奴がルッキーニに敵うわけないだろ」

芳佳「でも、ルッキーニちゃんは言ってましたよ? ローマの裏通りは物騒だって。そういう人が大勢でルッキーニちゃんを……とか……」

シャーリー「……心配しすぎだって。ルッキーニなら大丈夫さ」

芳佳「は、早く探しましょう!!」

シャーリー「わかった、わかった。とりあえず宮藤は今買った物を荷台に乗せてくれ。すぐに車出すからさ」

芳佳「は、はい!!」

501基地

ミーナ「シャーリーさんたち大丈夫かしら?」

美緒「心配いらんだろう。シャーリーがついているのだからな」

リーネ「芳佳ちゃん……」

エイラ「そういえば、リーネはなんで急に辞退したんだ?」

リーネ「え? あ、その……シャーリーさんの運転が……」

バルクホルン「――ミーナ、通信室にきてくれ」

ミーナ「どうかしたの?」

バルクホルン「シャーリーから通信が入っている。至急、中佐か少佐に代わって欲しいと言っている」

美緒「何かあったのか……?」

ミーナ「急ぎましょう」

美緒「バルクホルン、何も聞いていないのか?」

バルクホルン「訊いてはみたが珍しく興奮しているようなんだ。まるで要領を得られない」

通信室

ミーナ「シャーリー大尉?」

『ミーナ中佐か?』

ミーナ「何かあったのかしら?」

『聞いてくれよ。ルッキーニが可愛いからさ、店の椅子に座ってたんだけど、ちょっと目を離したら、宮藤が誘拐されたんじゃないかって。笑っちゃうだろ?』

ミーナ「え……?」

美緒「シャーリー? 文脈がおかしいぞ。もう少し整理してから報告してくれ」

『だから、宮藤はルッキーニを店の椅子に座ってて、大金持ってて可愛いから、いなくなったんだよ。で、宮藤が誘拐されたんだ』

ミーナ「宮藤さんが誘拐されたの!?」

バルクホルン「なんだと!?」

『違う違う。宮藤はいるんだ。なぁ、宮藤? ほら、手を振ってるだろ?』

美緒「シャーリー、深呼吸しろ」

『いや、そんな場合じゃないんだ』

美緒「かなり錯乱しているようだが、宮藤かルッキーニがいなくなったのか?」

バルクホルン「何があったのか順序立てて報告しろ、リベリアン!!」

『言ってるだろ。ルッキーニが宮藤と一緒になって荷台に荷物を置いてて、その前に店の椅子に座ってた大金が消えてたんだ』

ミーナ「お金を盗まれたということなの?」

『違うって。もう、なにいってんだよぉ』

美緒「宮藤はいるのか?」

『いるってば』

美緒「ルッキーニはいるのか?」

『ルッキーニはいない。少佐ぁ、ルッキーニがどこ行ったか知らないか? 誘拐されたかもしれないんだけど』

ミーナ「ルッキーニさんがいなくなったのね?」

『そうだ。すぐにエイラを連れてきてほしい』

美緒「分かった。お前たちはルッキーニの捜索をしろ。いいな?」

『なぁ、ルッキーニどこにいったのかな。あいつならまぁ、心配ないだろうけどさ。一応、不安になるだろ? ならないか? あたしはなるんだ』

バルクホルン「落ち着け!! すぐに増援を送る!! 心配するな!!」

『ルッキーニ、どこいったんだろうな。あたしの所為だよ』

リーネ「ルッキーニちゃんが行方不明に……!?」

エイラ「マジかよ」

美緒「ルッキーニの能力を考えれば、誘拐されたとは考えにくいが万が一ということもあり得る。ルッキーニが金を所持していたようだからな」

バルクホルン「エイラには至急、現場に行ってもらいたい」

エイラ「了解。サーニャはどうする?」

サーニャ「できれば、私も行きます」

ペリーヌ「しかし、これ以上人員を動かすわけにもいかないのでは?」

ミーナ「そうね。ネウロイの襲撃がいつあるのかわからないし……」

美緒「ハルトマンを起こしてこい。ハルトマンとエイラを現場に向かわせよう」

バルクホルン「了解」

ペリーヌ「少佐、ルッキーニさんは……」

美緒「心配はいらん。ルッキーニだからな」

ペリーヌ「で、ですわよね……」

美緒「ああ、何も心配することはない」

ローマ市内

芳佳「シャーリーさん!! 積み終わりました!!」

シャーリー「お? できたか? おし、行くか」

芳佳「シャーリーさん?」

シャーリー「どうした?」

芳佳「いえ、いつもと変わらないんだなぁって」

シャーリー「なにが?」

芳佳「ルッキーニちゃんがいなくなっても、落ち着いているというか……」

シャーリー「あははは。あいつがいなくなるぐらいで動揺してたら、心臓がいくつあっても足りないからな」

芳佳「すごいですね、シャーリーさん。私なんてもうルッキーニちゃんのことが心配で、気持ち悪くなっているぐらいです……」

シャーリー「宮藤はメンタル面でも鍛えないと駄目みたいだな」

芳佳「すいません」

シャーリー「ルッキーニがいなくなったぐらいなんだ。特別気にすることじゃないしね」

芳佳「気にしてください!! 一大事かもしれないんですよ!?」

シャーリー「まずはこの広場で聞き込みしてみるか」

芳佳「わかりました!!」

シャーリー「あたしは……」テテテッ


芳佳「――あの!! すいません!! 白い軍服で縞々のズボンをはいた、これぐらいの身長の女の子知りませんか!?」

「わからないねぇ」

芳佳「あ、そうですか。ありがとうございます!」

芳佳「あ、あの!! すいません!! 白い軍服で縞々のズボンをはいた、これぐらいの身長のツインテールの女の子知りませんか!?」

「見てないわねぇ」

芳佳「そうですかぁ……。ありがとうございます」

芳佳「こっちには来てないのかなぁ……?」

芳佳「シャーリーさんは……?」キョロキョロ

シャーリー「すごく可愛い子があたしの傍から消えたんだけど、知らないか?」

「は?」

芳佳「シャーリーさん……」

シャーリー「ルッキーニって名前なんだけど、知らないか?」

「……」

シャーリー「おい。聞こえないのか? ルッキーニだよ、ルッキーニ!」

芳佳「シャーリーさん!! 何してるんですか!?」

シャーリー「聞き込みに決まってるだろ?」

芳佳「それ、犬じゃないですか!!」

シャーリー「バカだなぁ、宮藤。聞き込みは些細な情報も拾っていかないとダメなんだぞ?」

芳佳「でも、犬は喋ってくれませんよ」

シャーリー「そんなのわからないだろ」

芳佳「シャーリーさん、大丈夫ですか?」

シャーリー「なにが?」

芳佳「あの、なんだか、余裕がなくなっているような……」

シャーリー「あたしはいつでも余裕だって」

芳佳「な、なら、いいんですけど」

シャーリー「……」カチッ

シャーリー「こちら、シャーロット・E・イェーガー大尉。坂本少佐かミーナ中佐を出してくれ」

美緒『――見つかったか?』

シャーリー「見つかったら見つかっていうって!!」

美緒『す、すまん』

ミーナ『シャーリーさん、今エイラさんとハルトマンを向かわせたから』

シャーリー「本当ですか!? それでルッキーニは見つかるのか!?」

ミーナ『それはわからないけど……』

シャーリー「……」ガンッ!!!

ミーナ『ひっ』

美緒『シャーリー。不安なのは皆も同じだ。冷静になれ。お前が荒れては宮藤もパニックになるぞ』

シャーリー「……すいません」

美緒『それでいい』

シャーリー「でも、不安なんだ!! 少佐ぁ!! 中佐ぁ!! どうしたらいい!?」

美緒『落ち着けと言っている』

シャーリー「はぁ……」

シャーリー「エイラとハルトマンを待ってられないな。なんとかしてルッキーニを見つけないと……」

芳佳「シャーリーさん!!!」

シャーリー「いたか!?」バッ!!!

芳佳「猫です!!」

猫「ニャー」

シャーリー「……」

芳佳「うふふ、かわいい」

シャーリー「……宮藤?」

芳佳「あ、はい?」

シャーリー「そんなことをして楽しいのか?」

芳佳「え……」

シャーリー「なぁ? あたしを虐めて楽しいのか?」グニーッ

芳佳「いふぁいでふ!! ふぉふぇんふぁふぁい!!!」

シャーリー「私を虐めるなんていい度胸だな、宮藤ぃ?」グニーッ

芳佳「うぅ……シャーリーさんが犬にも聞き込みしてたから、私もそれに倣っただけなのに……」

シャーリー「こうなったら、空から探すか」

芳佳「空からですか!?」

シャーリー「怪しいところは全部、ぶっ壊す」

芳佳「だ、だめですよぉ!!」

シャーリー「なら、どうするんだ!? ルッキーニがいないんだぞ!! おい!!」

芳佳「わ、わかってますけど」

シャーリー「あたしは探すぞ!!」

芳佳「シャーリーさん!! 待ってください!!」

シャーリー「ルッキーニ!! 居たら返事しろー!!」ダダダッ

芳佳「結局、ユニットは使わないんですか!?」

シャーリー「おーい!! ルッキーニぃ!!」

「きゃぁ!?」

シャーリー「お、とと。ああ、ごめん。大丈夫か?」

「大丈夫じゃないわよ!! ちゃんと前を見て――って、あんた501のシャーリー大尉?」

シャーリー「え?」

フェル「噂は聞いてるわ。501のことは竹井大尉からもよく聞くもの」

シャーリー「赤ズボン……? もしかして赤ズボン隊の?」

フェル「私は赤ズボン隊隊長のフェルナンディアよ」

シャーリー「ふぅん。それじゃ、先を急ぐから」

フェル「あ、ちょっと!! こっちは怪我したのよ!? ほら、みなさい!!」

シャーリー「ああ。ホントだな。悪い」

芳佳「あの!! 大丈夫ですか!?」

フェル「え? ああ、まぁ、これぐらは私の魔法で――」

芳佳「今、治しますから!!」パァァ

フェル「な……」

フェル(何、この子……)

芳佳「痛くないですか?」

フェル「え、ええ。もう平気よ。それにしてもすごいわね。ああ、貴女がもしかして宮藤ちゃん?」

芳佳「は、はい。そうです。ええと、あなたは?」

フェル「私は赤ズボン隊隊長――」

シャーリー「宮藤、急ぐぞ」

芳佳「あ、はい。すいません。それでは」

フェル「ちょっと、ちょっと」ギュッ

芳佳「な、なんですか?」

フェル「何かあったわけ? 慌ててるみたいだけど」

芳佳「それがルッキーニちゃん……私たちの大事な仲間が行方不明になっちゃって」

フェル「迷子?」

芳佳「わからないんです。少し目を離した隙にいなくなって」

フェル「そうなの……」

シャーリー「宮藤!! なにしてるんだ!!」

芳佳「すいません!! あの、急ぎますんで」

フェル「そう。がんばってね」

芳佳「ありがとうございます!!」

フェル「……宮藤ちゃん。噂以上ね……。それでいて、可愛い……。よし……」テテテッ

ローマ市内 広場

エイラ「ここでいいのか?」

エーリカ「で、宮藤とシャーリーはどこにいるんだ。待っててくれないと合流が面倒だろぉ」

エイラ「まずはルッキーニを探したほうがいいんじゃないか?」

エーリカ「ルッキーニのことだから、アイスでも食べながら散歩してるんじゃないの?」

エイラ「本当にそう思ってるのか、中尉?」

エーリカ「……心配して見つかるなら、いくらでも心配するよ」

エイラ「いくぞ」

エーリカ「はいはい。エイラは中尉になってから偉そうになったね」

エイラ「偉くなったんだから、当然だ」

フェル「いいこと!! 何が何でも探し出すのよ!!! わかった!?」

ルチアナ「でも、隊長。情報がなさ過ぎませんか?」

マルチナ「なんでボクらが探さないといけないのー?」

フェル「即戦力を得るために決まってるでしょ!! まずは迷子相談があったかどうか調べるわよ!!!」

エーリカ「……あれは、赤ズボン隊だっけ。何探してるんだ?」

シャーリー「あぁぁ……もう……ぜんぜん、みつかんねぇー……」

芳佳「色んな人に聞いてみたけど、さっぱりでもうヘトヘトです」

シャーリー「エイラとハルトマンはもうこっちに着いたころかなぁ……」

芳佳「エイラさんとハルトマンさんが来てくれたんですか?」

シャーリー「ルッキーニ……どこだぁ……」

芳佳「……はむっ。ん? シャーリーさん!! このケーキ、美味しいですよ!!」

シャーリー「おまえなぁ……」

芳佳「はい、あーんっ」

シャーリー「あむっ。ん!? おぉ、めちゃくちゃ美味いな、これ!!」

芳佳「でしょう!?」

シャーリー「ああ、すいません!! このケーキ、もう一つ、いや、二つ!!」

芳佳「お願いします!!」

シャーリー「ルッキーニも腹を空かせてるだろうし、このケーキを食べさせてやろう。喜ぶぞ……ルッキーニ……どこだ……」

芳佳「シャ、シャーリーさん!!」

シャーリー「ルッキーニ……どこに……るっきーにぃ……」

芳佳「シャーリーさん、元気だしてください。絶対に見つかりますから」

シャーリー「わかってる。わかってるさ、宮藤。私があいつから目を離したのがいけなかったんだろ? ああ、そうさ。私が悪いんだ」

芳佳「そんなこと言ってませんよぉ」

シャーリー「今頃、ルッキーニは変態たちに……!!」

芳佳「シャーリーさん!! 悪いほうに考えるのはやめましょう!!」

シャーリー「だけど!!! こんなに探してるのに見つからないんだぞ!?」

芳佳「落ちついてください」

シャーリー「落ち着けるかぁ!!」

芳佳「でないと……わたし……わたし……ぐすっ……」

シャーリー「み、宮藤……!?」

芳佳「うわぁぁん……!!」

シャーリー「あぁ……すまん……」

芳佳「ごめんなさい……わたしがルッキーニちゃんを……ルッキーニちゃんをちゃんとみてたらよかったんですぅ……!!」

シャーリー「泣くな、宮藤。お前の所為なわけないだろ? な?」

芳佳「るっきーにちゃぁぁん……かえってきてよぉ……」

エイラ「こっちだ」

エーリカ「ホントか?」

エイラ「ダウジングはそう告げている」

エーリカ「エイラのそれは滅多に当たらないだろ」

エイラ「やめるぞ!!!」

エーリカ「やめたらルッキーニはどうなるんだよぉ!! やめんな!!」

エイラ「やめるとは言ってないダロ!!」

エーリカ「いったじゃん」

「うわぁぁぁん」

エイラ「なんだ?」

エーリカ「誰か泣いてる……?」

シャーリー「宮藤、悪かった。あたしがしっかりしなきゃいけないのに、怒鳴ったりして……。お前だって不安なんだよな?」ギュッ

芳佳「ぐすっ……うぅ……」

シャーリー「本当に悪い。あたし、全然余裕がなかったよ」ナデナデ

エイラ「い、いた。宮藤とシャーリーだ。こんなときにデートしてるゾ。ふざけんなよぉ」

エーリカ「シャーリー、みやふじぃ」

シャーリー「ハルトマン!! エイラ!!」

芳佳「きてくれたんですね!!」

エイラ「お前ら、ルッキーニも探さずにデートかよ。しかも公衆の面前で抱き合って、なにやってんだ」

シャーリー「あのなぁ、こっちはもう3時間以上探し回ってたんだ。少しぐらい休憩してもいいだろ?」

エイラ「そうだったのか。おつかれさま」

エーリカ「その様子じゃ収穫はなかったみたいだな」

シャーリー「ああ。聞き込みしまくったけど、それらしい子を見たって証言は得られなくてね」

エーリカ「そう……」

芳佳「あ、あの、エイラさんの占いでなんとかなりませんか?」

エイラ「さっきからやってるけど「もうすぐ会える」としかでない」

芳佳「わぁーい!! それなら会えるってことですよね!! シャーリーさん!! これでもう安心ですよぉ!!」

シャーリー「よっしゃー!! ルッキーニ!! でてこーい!!!」

エイラ「……無事に会えるかどうかはわからないけどな」

シャーリー「……どういう意味だ、エイラ?」

エイラ「ふぁっふぃーふぃふぁ、ふぉんはふぉーふぁいふぇふぁは、ふぁふぁんふぁい」

シャーリー「きちんと説明しろよ」グニッグニッ

エーリカ「だから、ルッキーニとは会える。でも、そのルッキーニが五体満足なのかどうかわからないってことだ」

芳佳「そ、そんな……!! ルッキーニちゃん……!!」

エーリカ「手遅れになる前に探し出すんだ、宮藤」

芳佳「は、はい!!」

シャーリー「でも、どっから探す? 手がかりがまだゼロなんだ」

エイラ「店で訊いたか? ルッキーニがどこで何をしていたのかって」

芳佳「お店では椅子に座っていたはずですけど」

エイラ「違う違う。その居なくなる直前、ルッキーニがどうしていたのか店員に訊いたのかってことだ。お前たちが見ていなくても店員が見ていたかもしれないだろ?」

芳佳「えーと……。どうでしたか?」

シャーリー「さぁ……。そんなこと考えられなかったからなぁ」

エーリカ「初歩の聞き込みをしてないってことだな? よし、まずは店に行こうよ」

エイラ「そうだな。案内しろ、宮藤」

芳佳「はい!! こっちです!!」

501基地

バルクホルン「うーん……」ウロウロ

ミーナ「トゥルーデ、コーヒーでも飲む?」

バルクホルン「いや。いい」

ミーナ「そう……」

サーニャ「バルクホルンさん、苛立ってるみたい」

リーネ「焦っているようにもみえるけど」

ペリーヌ「ルッキーニさん失踪からはや4時間。未だに進展がないんですもの。誰だって、ああなりますわ」

美緒「――ミーナ。通信がはいった」

ミーナ「シャーリーさんから!?」

バルクホルン「見つかったのか!?」

美緒「いや、違う。第504統合戦闘航空団の竹井大尉からだ」

ミーナ「竹井大尉? ネウロイが出現したの?」

美緒「とにかく来てくれ」

ミーナ「え、ええ」

通信室

醇子『――ルッキーニ少尉が失踪した件について、私も報告を受けました』

ミーナ「そうですか。それで、なにか有益な情報が?」

醇子『フェルナンディア中尉によれば、ルッキーニ少尉らしき人物はローマ市内にて男性二名を負傷させ、女性を連れてその場から去っていったそうです』

ミーナ「な、なんですって!?」

美緒「醇子、何かの間違いではないのか?」

醇子『それがルッキーニ少尉なのかどうか確証はないけど……』

ミーナ「もしルッキーニさんなら……」

美緒「何らかの事件に巻き込まれている可能性が高いな」

ミーナ「……」

美緒「醇子、助かった」

醇子『美緒、どうするつもり?』

美緒「これから考える。醇子は?」

醇子『引き続き、ルッキーニ少尉の捜索を続けるわ。そのほうがいいでしょ?』

美緒「すまないな」

バルクホルン「504まで動いているのか!?」

リーネ「それって……本当に危ないんじゃ……!!」

サーニャ「ルッキーニちゃんはどうなったんですか?」

ミーナ「それはまだ何もわかっていないわ」

ペリーヌ「ルッキーニさんが男性を負傷させ、その場から去っていったということは、その女性が襲われていたということでしょうか?」

美緒「そういうことになるのだろう。昔のルッキーニならともかく、今のあいつが無闇に暴力を振るうとは到底思えないからな」

バルクホルン「仮に、仮にだ。ルッキーニがその女性を助けたことで、複数人のグループに狙われている状態だとしたら、たとえルッキーニでも危ういぞ」

美緒「多勢に無勢だからな」

ペリーヌ「少佐!! わたくしたちもローマに向かいましょう」

リーネ「そ、そうです!! みんなで探しましょう!!」

美緒「基地を空にするわけにはいかない」

サーニャ「で、でも……」

バルクホルン「私がストライカーユニットでローマに向かおう。それならば一瞬だ」

ミーナ「ダメよ。そんなこと許可できないわ。他に方法がないか考えましょう」

リーネ「ルッキーニちゃん……無事で居て……」

ローマ市内

シャーリー「おーい。ルッキーニ?」パカッ

エーリカ「ポリバケツにはいないだろ」

シャーリー「ルッキーニはこういうところに平気で隠れるんだよ。あたしが何度ルッキーニのかくれんぼに付き合ったと思ってるんだ?」

エーリカ「そうだったの」

シャーリー「ルッキーニを見つけることに関してはあたしの右に出るものはいないね」

エーリカ「……」

シャーリー「ああ、そうさ!! 今は見つけられないよ!! 悪いか!?」

エーリカ「よしよし」ナデナデ

シャーリー「くそぉ……!!」

エイラ「おーい!!」

芳佳「シャーリーさーん!! ルッキーニちゃんらしき人を見たって情報がありましたー!!」

シャーリー「でかした!!! サイコーだ!! みやふじぃ!! エイラぁ!!」

エーリカ「店員からきいたのか?」

エイラ「いや。店員は何も見てなかったらしい。でも、そこから少し離れた場所で見たってやつがいたんだ。なんでも女の子と一緒で、ずぶ濡れのまま歩いていたらしいんだ」

エーリカ「ずぶ濡れ?」

シャーリー「な、なんでそんなことになってるんだよ!? っていうか、女の子と一緒ってなんだ!?」

エイラ「そこまでは……」

芳佳「やっぱり何かあったんですよ……ルッキーニちゃんに……」

エーリカ「なんで濡れてるんだ? 雨も降ってないのにさぁ」

芳佳「ルッキーニちゃん、その女の子を助けようとして濡れちゃったのかも」

シャーリー「考えられるな。その女の子が誰かに襲われていて、ルッキーニが助けた」

エーリカ「それで今は逃亡中ってことか?」

エイラ「それならなんでシャーリーや宮藤と合流しようとしないんだ?」

エーリカ「それだけ切羽詰っているってことかもね」

シャーリー「……あたしは路地裏を探してみる」

芳佳「あ、わ、私もいきます!!」

エーリカ「エイラ、私たちはもう一度聞き込みだ。濡れたってことは服を買って着替えたかもしれないから、服を売ってる店を重点的にまわろう」

エイラ「わかった!」

エーリカ「いくぞっ」

錦「こういう人を探しているんです」

「見てません」

錦「ご協力感謝します」

天姫「中島さーん!!」タタタッ

錦「天姫、走るとあぶな――」

天姫「きゃっ」

錦「っと!! ――そっちはどうだ?」ギュッ

天姫「あ、ありがとうございます……。目ぼしいことはわかりませんでした」

錦「そうか……」

醇子「二人とも! ここにいたのね」

天姫「あ、竹井大尉。すいません、まだ有力な情報はなにも……」

醇子「いいのよ。二人ともありがとう」

錦「いえ。ウィッチを誘拐するような輩を放ってはおけませんから」

天姫「右に同じですっ」

醇子「504総出でも見つけられないなんて……。困ったわね。早く、見つけてあげないと……。美緒だって心配しているし……」

フェル「どうなの?」

ルチアナ「だめです。やっぱり、情報がなさすぎますよぉ」

マルチナ「これじゃあ、砂漠に落ちた針を探すようなもんだしね」

フェル「何言ってるのよ。居なくなったのはあのフランチェスカ・ルッキーニ少尉なのよ。特徴ありすぎるでしょう」

ルチアナ「そうですが……」

マルチナ「男に蹴りを入れたあとの足取りは全然わかんないしぃ」

フェル「これじゃあ、宮藤ちゃんを引き入れることができないじゃない」

ルチアナ「あの、隊長。ルッキーニさんの心配もしてあげたほうが……。同じロマーニャ出身なんですから」

フェル「してるわよ!! 失礼しちゃうわね!!」

マルチナ「一緒だったっていう女性っていうのも謎だらけだよねー。何のために一緒にいるんだか」

フェル「ともかくもう一度聞き込みよ、聞き込み!! 504の、いえ、赤ズボン隊の威信にかけてもルッキーニ少尉を見つけ出すのよ!!」

ルチアナ「は、はい」

マルチナ「よぉーし!! 次はむこうにいこー!!」

ルチアナ「マルチナー、まってくださーい」

フェル「これだけ動いていて、殆ど情報が出てこないってどうして……? 探し方が間違っているの? それとも……」

芳佳「ルッキーニちゃーん」

シャーリー「……くそっ!!」

芳佳「なっ……」

シャーリー「宮藤、一度車に戻るぞ」

芳佳「え? でも……」

シャーリー「中佐と連絡を取る。何か情報が入っているかもしれないからな」

芳佳「そ、そうですね」

シャーリー「ルッキーニ……くそっ……」

芳佳「シャーリーさん、本当につらそう……」

マルチナ「いけいけー!!!」

ルチアナ「ひとりでいかないでくださーい」

シャーリー「お前ら……」

マルチナ「ありゃ、ルッキーニは見つかったの? って、その顔じゃ見つかってなさそうだねぇ」

シャーリー「はぁ? なんで……?」

ルチアナ「私たちも、その探していているんです」

芳佳「探してくれているんですか!?」

ルチアナ「はい。やっぱり、同じウィッチとして心配ですから」

シャーリー「……」

マルチナ「ボクは隊長命令で動いてるだけ」

ルチアナ「マルチナ。嘘をつくならもっと上手くつかないと」

マルチナ「嘘じゃないってぇ!!」

シャーリー「何か情報はあるか? あたしたちは女の子と一緒にずぶ濡れの状態で歩いていたっていうのは聞いたんだ」

ルチアナ「えっと、私たちが入手したのは、男性二名を蹴り、その場にいた女性を連れて去っていったというものですけど」

芳佳「そ、それ、どこでですか!?」

マルチナ「たしか、あの店の前だったよね」

シャーリー「あの店って……。あの店か!?」

ルチアナ「はい、そうですよ」

シャーリー「あたしたちが買い物をしていた店じゃないか……」

芳佳「や、やっぱり事件に巻き込まれて……!!!」

マルチナ「ずぶ濡れなら絶対に目立つよね。なのに情報が出てこないってことは、着替えちゃったのかなぁ?」

エイラ「いたいた!! シャーリー!! ルッキーニらしきやつを見かけたって奴がいたぞ!!」

シャーリー「ほ、本当か!?」

マルチナ「なんだってぇー!!?」

エイラ「お前、誰だ?」

ルチアナ「504のものです。あの、それでルッキーニさんは?」

エーリカ「なんでも大勢の子どもと一緒に帽子を買っていったらしい」

シャーリー「大勢の子ども!?」

芳佳「あぁ、ルッキーニちゃん、なにしてるんだろう……。もうわかんないよぉ……」

マルチナ「そっか。二人じゃなくて大勢になっているから、見つからなかったのか」

ルチアナ「でも、最初の怪しい二名男性のことを考えると……」

エイラ「ああ、その男って人身売買組織の一員じゃないかって思う。しかも、子どもを狙うような最低最悪の部類だ」

芳佳「じ、人身売買!?」

シャーリー「おいおい……。だったら、ルッキーニなんてめちゃくちゃ危ないじゃないか!!! あんなに可愛いのにぃ!!!」

エーリカ「うん。まずいよ。本当に」

ルチアナ「大規模な犯罪組織が絡んでいるなら、大変です。マルチナ、一度本部に戻って竹井大尉に報告しましょう」

マルチナ「よし!! それじゃ、またあとでー!!」

シャーリー「ルッキーニが高値で売られる……ルッキーニがぁ……」

芳佳「シャーリーさん!! まだそうと決まったわけじゃないですよ!!」

シャーリー「だ、だけど……」

エーリカ「落ち着けって、シャーリー」

シャーリー「無理だ……。こんなときに冷静でいられるほど、あたしは人間ができてない」

エーリカ「それは困るね」

シャーリー「なに?」

エーリカ「せめて、シャーリーぐらいはどっしり構えてくれないと、私たちはどうしていいのかわからなくなるよ」

シャーリー「でも……」

エイラ「ルッキーニを信じろって。もしかしたら、あいつ一人で犯罪組織を潰しているかもしれないしな」

シャーリー「……」

エーリカ「そんな危ないことしてるならさ、叱ってやらないとダメだろ? そのときにそんな顔してたら、ルッキーニになめられるぞ?」

シャーリー「……ああ。そうだな。ルッキーニのやつ、こんなに心配させるなんてな。あたしがしっかりと叱らないと」

芳佳「シャーリーさん……!! 行きましょう!!! きっとルッキーニちゃんもシャーリーさんのこと待っているはずです!!」

501基地

醇子『――以上よ』

美緒「人身売買だと……」

バルクホルン「少佐!! これはもうシャーリーたちだけに任せていい事案ではなくなった!! 私たちも行くぞ!!」

美緒「醇子。その話は間違いないな?」

醇子『ルッキーニ少尉が男性から女性を助けたこと、その後濡れたままで二人が目撃されていること、そして服装を変え大人数の子どもと歩いているのが目撃されたこと』

醇子『情報を複合的に考えてれば、その可能性も否定できないわ』

美緒「……わかった」

醇子『既にフェルナンディア中尉からとある提案も出してもらっているから、それを実行してみるわ。どれだけの効果があるかはわからないけど』

美緒「頼む、醇子」

醇子『任せて』

美緒「バルクホルン」

バルクホルン「なんだ?」

美緒「全員に通達だ。501はルッキーニ救出に向かう!!」

バルクホルン「了解!!」

ローマ市内

フェル「さぁさぁ!! 配りなさい!!! 一生懸命!! ビラを配りなさい!!!」

マルチナ「わーっはっはっはっは!! ごーがい!! ごーがい!!」バッバッ

ルチアナ「そんな適当に……!!」

錦「これは……?」

天姫「情報求む、フランチェスカ・ルッキーニ少尉。誘拐事件に巻き込まれた可能性大。有力情報提供者には……ひぇぇ!? こんなに懸賞金が!?」

錦「これ、払うんですか?」

フェル「背に腹はかえられないってね」

マルチナ「おらー!! ぐみんどもー!! このビラにハエのようにたかれー!!」

ルチアナ「な、なんてこというんですかぁ!!」

エーリカ「うわ。なんかすごい大事になってるなぁ」

エイラ「いいのか? これを見た犯人グループが逃げるかもしれないのに」

醇子「――その心配はないわ。町の出入り口は検問を強化したから、空か地中から逃げない限りは絶対に見つかるはず」

芳佳「あ、ありがとうございます!! ええと、竹井さん!!」

醇子「貴女たちは貴女たちのやりかたで探してみて。私たちも協力は惜しむつもりはないから」

シャーリー「助かる」

フェル「いいこと? ここまでやってあげたんだか、絶対に見つけ出すこと。そして、私にルッキーニちゃんを紹介して」

シャーリー「分かった。いくぞ、みんな!」

芳佳「はい!!」

エーリカ「サンキュ」

マルチナ「がんばれ! ボクたちもがんばるから!!」

エイラ「うれしいぞ」

ルチアナ「いえ。同じウィッチじゃないですか」

フェル「宮藤ちゃん、この一件が終わったら話したいことがあるから」

芳佳「はい!!」

「あの、すいません」

エーリカ「なに?」

「この子、向こうの塔で見かけたけど……」

シャーリー「塔だって!?」

エイラ「急ごう!」

空中

ミーナ「リーネさん、大丈夫?」

リーネ「問題ありません!!」

ペリーヌ「無理だけはしないように」

リーネ「はい!!」

美緒「ペリーヌ、それはお前も一緒だ」

ペリーヌ「は、はい」

バルクホルン「ふっ……」

サーニャ「――ネウロイが接近しています」

美緒「なに? 奴ら、ここまで南下しているのか」

サーニャ「接触まで3分ほどです」

バルクホルン「少佐たちは先に行ってくれ。ネウロイなど私だけで十分だ」ジャキン!!

美緒「バルクホルン、単機など許可できないぞ」

サーニャ「私も残ります。みなさんは早くルッキーニちゃんの救出に向かってください」

ミーナ「……分かったわ。でも、少しでも危険を感じたらすぐに私たちを呼び戻してね。約束よ」

ローマ市内

シャーリー「宮藤!! ルッキーニはいたか!?」

芳佳「いえ!! 居ません!! 聞き込みしてきます!!」

シャーリー「移動しちゃったのか……それともガセだったのか……」

エイラ「警報が鳴ったし、ネウロイがこっちにくるんじゃないか?」

エーリカ「そっちも問題だね。どうする?」

シャーリー「ネウロイは肉眼で確認できたか?」

エイラ「うーん……遠くにいるな」

エーリカ「ネウロイは私とエイラで叩くよ。シャーリーと宮藤はルッキーニの捜索を続行したら?」

シャーリー「任せていいか?」

エイラ「シャーリーと宮藤の手を借りるまでもないな。ルッキーニはまかせた」

シャーリー「ありがとう」

芳佳「あの!! すいません!!」

「は、はい?」

芳佳「この子!! 見かけませんでしたか!? このビラをよくみてください!! 探してるんです!!」

マリア「これはルッキーニさん?」

芳佳「はい!! ここに居たって聞いて!!」

マリア「はい。今しがたまで居ましたよ」

芳佳「ほ、本当ですか!?」

マリア「警報が出た直後、ここから下に降りてしまって」

芳佳「ここから……」

マリア「あの、ルッキーニさんのお友達ですか?」

芳佳「はい、そうです!!」

マリア「私はマリアというものです。ルッキーニさんには色々と教わりました」

芳佳「あ、そうですか」

マリア「一緒にいるときもシャーリーさんと宮藤さんの話はよく出てきました。とてもいい人なのだと」

芳佳「そんなことはないですよぉ」

マリア「ルッキーニさんはネウロイと戦うために貴方たちと合流しなければいけないと言っていました。今頃、必死になって探しているかもしれません」

芳佳「わかりました! 探してみます!! ありがとうございました!!」

マリア「いえ。お気をつけて」

広場

醇子「ネウロイ……!!」

フェル「行くわよ!!」

マルチナ「おぉー!!」

醇子「ちょっと待って。もう、大丈夫みたい」

天姫「え……?」

錦「本当だ。ネウロイが消滅した……。でも、一体、誰が……」

美緒「――501だ」

錦「なっ……!?」

醇子「美緒。来ていたのね」

美緒「ルッキーニが気がかりでな」

ルチアナ「隊長、隊長。坂本少佐ですよ」

フェル「見たらわかるわよ。いいところ、持って行かれたわね」

マルチナ「ざんねん。さてと、それじゃビラ配りを再開させるかぁー。はいこれー、情報提供を――」サッ

ルッキーニ「うにゃ?」

フェル「お? おぉ?」

ルッキーニ「なにこれ? あたし? あ、懸賞金ついてる」

マルチナ「うんうん……うんうん……」

ルッキーニ「にゃに?」

ルチアナ「もっとよく顔を見せてください」

ルッキーニ「うにゃぁぁ」

フェル「あなた、お名前は?」

ルッキーニ「ルッキーニだよ?」

フェル「フランチェスカ・ルッキーニ?」

ルッキーニ「うんっ」

フェル「……確保ぉ!!!」

マルチナ「みつけたぁぁ!!!」

ルッキーニ「なになに!?」

醇子「ルッキーニ少尉!?」

美緒「ルッキーニ!!! 無事だったのか!!」

フェル「やったわ!!! これが赤ズボン隊の実力よぉ!!!」ギュゥゥ

マルチナ「はっはっはっは!! まぁ、当然だよねぇ!!」ギュゥゥ

ルチアナ「よかったですぅ。無事で……」ギュゥゥ

ルッキーニ「く、くるしぃ……」

美緒「ルッキーニ、怪我はないのか?」

ルッキーニ「少佐? うん、ないけど?」

美緒「……全く。今は怒る気にもならん」

醇子「はぁぁ……」

錦「あれがルッキーニ少尉か。本当に子どもだな」

天姫「かわいいですぅ」

ミーナ「美緒!! ルッキーニさんは!?」

美緒「こっちだ」

リーネ「ルッキーニちゃん!!」

ペリーヌ「ルッキーニさん!!! 6時間47分も音信不通だなんて!!! 非常識ですわよ!!!」

ルッキーニ「ごめぇん……」

バルクホルン「増援を呼んだ覚えはなかったがな」

エーリカ「うれしかったくせにぃ」

エイラ「サーニャ、怪我はないか?」

サーニャ「大丈夫よ」

ペリーヌ「大尉!! ルッキーニさんが……!! ルッキーニさんが見つかりましたわ!!!」

バルクホルン「なに!?」

エーリカ「やっとみつかったかぁー」

ルッキーニ「あにょ……」

バルクホルン「ルッキーニ!! 心配したんだぞ!!!」

エイラ「お前、なにしてたんだよ」

ルッキーニ「……ごめんなさい」

サーニャ「怪我もなさそう……。よかったぁ」

エーリカ「ルッキーニぃ、心配したんだぞぉ?」スリスリ

ルッキーニ「シャーリーは?」

エイラ「あれ? まだ会ってないのか? 多分、すぐにくると思うぞ」

美緒「それにしてもこのビラは……」

フェル「ふふーん。これだけ撒けば情報は向こうからやってくるでしょう?」

マルチナ「いい作戦だと思うんだ」

美緒「よくやってくれたな。感謝する」

「あっちだ、あっち」

芳佳「ありがとうございます!!」

リーネ「あ、芳佳ちゃん!!」

芳佳「リーネちゃん!! ルッキーニちゃんは!?」

リーネ「こっちだよ!」

ルッキーニ「あ、よしゅか」

芳佳「ルッキーニちゃ――」

シャーリー「ルゥッキーニぃ!!!!」

ルッキーニ「うにゃぁ!?」

シャーリー「お前!!! 今までどこで何をしていたんだよ!!!」

ルッキーニ「ごめんなさい!! ごめんなさい!!!」

シャーリー「何で急にいなくなるんだ!!!」

ルッキーニ「シャーリー……だって……」

シャーリー「バカ……」

ルッキーニ「うじゅ……」

シャーリー「怖い目にあったか?」

ルッキーニ「ううん」

シャーリー「怪我はないな?」

ルッキーニ「うん。なんともないよ」

シャーリー「よかった……はぁ……うっ……くっ……」ギュッ

ルッキーニ「シャーリー……ごめんね……」

シャーリー「もういい……。怒鳴って悪かったな」

ルッキーニ「ううん……」

シャーリー「ハラへっただろ? すげー美味いケーキ見つけたんだ。買ってあるからあとで食べような?」

ルッキーニ「うんっ!!」

シャーリー「はぁ……本当によかった……無事でよかった……」ギュッ

バルクホルン「シャーリー。それでは甘いぞ」

シャーリー「うるさい。これでいいんだよ。あたしは十分に怒った」

バルクホルン「……今は無事であったことを喜ぶか」

シャーリー「ルッキーニ……ルッキーニ……」スリスリ

ルッキーニ「くすぐったいよ、シャーリー」

芳佳「ルッキーニちゃん!! 心配したんだよぉ!!」

ルッキーニ「ごめんね」

リーネ「はぁ……。あ、でも、ルッキーニちゃんを連れ去ろうとしていた人身売買組織はどうなるの?」

ペリーヌ「その問題が残っておりますわ。ルッキーニさん、貴女の身柄を付け狙っていたという男性は今、どこにいますの?」

ルッキーニ「へ?」

フェル「そーよ。そっちも教えてもらわないと」

ルッキーニ「どういうこと?」

芳佳「ルッキーニちゃんは誘拐されそうになっている人を助けるために、逃げていたんでしょ?」

シャーリー「そうだ。顔を覚えているなら今、ここで言ってくれ。ルッキーニを高値で売ろうとするなんて絶対に許せないからな」

ルッキーニ「な、なに言ってるの?」

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