まもる君「はい、向こうでも頑張りますよ先輩」
一条先輩「じゃあこのアパートで、男二人で飲むこともなくなるんだな。そう考えると、さみしいぜ」
まもる君「先輩らしくないですよ」
一条先輩「バカ言え、俺だって感傷に浸りたい時もあるんだよ」
一条先輩「トイレ借りるぜ」
まもる君「どうぞ」
一条先輩「よっこらせっ……どわっ!」
まもる君「先輩っ!」
一条先輩「いてて…そんなに飲んでないはずなんだけどな、酔いが回るのが早いな」
まもる君「大丈夫ですか先輩」
一条先輩「まもる」
まもる君「なんでしょう」
一条先輩「今日、泊まるわ」
まもる君「えっ?」
一条先輩「この調子じゃ帰るのはちとキツイし、明日は休みだからな」
まもる君「別に、構いませんけど」
一条先輩「センキュッ」
まもる君「こうして先輩と過ごせるのも、あと少しですからね」
一条先輩「嬉しいこといってくれるじゃねーか。と言いたいところだが、いつでも遊びに来ていいんだぜ?」
まもる君「はい、是非」
一条先輩「ははっ、相変わらずまもるは素直だなー」
まもる君「素直なだけが、取り柄ですから」
一条先輩「そんなことないぞ、成績だっていい。仕事もソツなくこなす。俺が無茶した時もフォローしてくれたからな、お前が後輩で、ホントに良かった」
まもる君「僕も、先輩の後輩で良かったと思ってます。いろいろなことを教えてもらいました。でも」
一条先輩「でも?」
まもる君「僕、いつまでも後輩のままじゃ嫌なんです」
一条先輩「ははっ、一丁前にナマ言いやがって」
一条先輩「いや、まぁその、あれだ」
まもる君「?」
一条先輩「こういう話はよそう。マジでお別れみたいだからな。湿っぽいのは苦手なんだ」
まもる君「もしかして、僕が転勤するのが嫌なんですか?」
一条先輩「そ、そんなんじゃないやい」
まもる君「はははっ、やっぱり先輩はわかりやすいですね」
一条先輩「なんだと、この野郎っ!」
まもる君「ちょっ、先輩!また転びますよっ」
一条先輩「どわっ!!」
まもる君「うわっ!!」
まもる君「……うーん…先輩、大丈夫ですか?」
一条先輩「ああ……わりぃ…」
まもる君「あの、重いんでどいてください」
一条先輩「お、おうメンゴメンゴ」
一条先輩「……」
まもる君「先輩?」
一条先輩「……くな…」
まもる君「へ?」
一条先輩「うわーん!まもるー!!行くなー!!」
まもる君「!?」
まもる君「(完全に酔っ払ってる……)」
一条先輩「俺はまもるがいないと駄目なんだ!!ただのナルシストでお調子者なんだ!!」
まもる君「(めんどくさい……)」
一条先輩「超絶イケメンであるにもかかわらず彼女を作らなかったのもお前がいたからだ!!」
まもる君「は、はい!?」
一条先輩「まもるー!!好きだー!!結婚してくれー!!」
まもる君「はぁー!?」
一条先輩「女といても、胸の高鳴りなんて感じたことなかった。でもな、まもる、お前のことを考えるとドキドキするんだ」
まもる君「!?!?」
一条先輩「俺も最初は否定したさ。でも、お前と過ごす毎日が、俺に現実を突きつけるんだ!俺はホモで!まもるが好きだ!!」
まもる君「」
一条先輩「だから転勤なんてするな!!俺の嫁に来い!俺が養う!!」
まもる君「先輩……」
一条先輩「まもる……」
まもる君「馬鹿野郎ぉ!!」
一条先輩「ぐわぁっ!!」
一条先輩「な、なにをするんだまもる!?」
まもる君「僕は…僕は先輩を超えるって言ったんです!!いつまでも後輩じゃいられない、向こうでもっと成長するって!」
一条先輩「…はっ!」
まもる君「先輩は、なんにも分かってない!!」
一条先輩「な、なにぃいい!?」ガビーン
まもる君「それと、遅い!!」
一条先輩「えっ?」
まもる君「先輩はいつでも遅い!」
一条先輩「ど、どういうことだまもる」
まもる君「僕がいつまでも後輩じゃいられないのは、先輩の恋人になりたいと思っていたからです!」
一条先輩「な、なんだとー!?」ガビーン
まもる君「もっと早く告白してくれれば、
今まで悩まずに済んだのに!!」
一条先輩「ちょっ、まっ」
まもる君「大遅刻ですよ!先輩!」
一条先輩「ご、ごめんなしゃい!!」
まもる君「分かればよろしい!」
まもる君「ふぅ…」
一条先輩「……ビックリして酔いが覚めた」
まもる君「寝ます」
一条先輩「ちょっと待ってくれ」
まもる君「なんですか先輩」
一条先輩「俺たち、ずいぶん遠回りしたけど、愛し合ってるんだよな」
まもる君「そのはずですね」
一条先輩「なんか、実感がわかないぞ」
まもる君「じゃ、実感しますか?」
一条先輩「へ?」
まもる君「抱いてください、先輩」
一条先輩「おっふ……」
まもる君「なに、照れてるんですか」
一条先輩「いや、照れてないし」
まもる君「じゃあ、どうぞ」
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