勇者(10)「あ、あの!勇者なんですけど!」(10)

戦士「へぇ、へぇ~お嬢ちゃんがかい?」(まだ年がふた桁になったかなってくらいじゃないか)

勇者「だからさっきからそう言ってるじゃないですか!」ムスー

戦士「こんな重そうな服着たりして・・・全く、ほらお金あげるから好きな服買ってきなよ」

勇者「いりません!」バシッ

勇者「こんな小銭・・・・・さっきトロール倒したら1万落としましたよ。首と一緒に」

戦士「えっ」

勇者「ちなみにいっきに5対程殺りました!」ニコッ

戦士「えっ」

戦士(き、きっと妄想癖がある子なんだ・・・このあたりのトロールって言ったら)

爺「皆、聞くのじゃ!最近ここらで暴れていたトロールの群れがなんと!」

爺「死体となって発見されたらしいのじゃ!」

爺「これはまだ調査にいった兵士とワシしか知らんのじゃよ!」

ザワザワ ナンダッテー ザワザワ

戦士「えっ、えっ、ま、マジ?」(そ、そういえばこの子いま・・)チラッ

勇者「んしょ、んしょ」ガサゴソ

戦士(なんだ・・・微笑ましいただの幼女だ。うん)

爺「そういえばトロールの死体。一体だけ頭がないと言っておったなぁ」


勇者「はい!これがしょーこです!」スッ

トロール生首「」オッス

戦士「」

戦士「ぎゃああああああああ!!!!!」

勇者「ぎゃーす。ぎゃーす。うへへっ」ペチペチ

トロール生首「」

戦士「と、ととととと取り敢えずその首隠して!」

爺「ン?なんかあったのか若造」

戦士「へ?あ、いやなんでも・・!へへっ」

爺「ハッ!急に騒ぎおって、そんなんだから周りにひょろひょろ戦士って言われるんじゃ!」

      ドッ! ワハハハ キンニクガネーセンシダナ! ガハハハ ナンデセンシニナッタンダヨ ウハハハ

戦士「~~~~ッ!」カァァ

勇者「?」

戦士「い、行くよ。お嬢ちゃん!」

_酒場_

勇者「オレンジジュースおいしいのです!おいしいのです!」ゴクゴク

戦士「ほ、本当にそのトロールは君がやったのかい?」

勇者「これですか?」スッ

トロール生首「」ドロッ

戦士「ヒッ!?だ、ださんでよろしい!なんか出てきてるし!」

勇者「む~結構可愛いのに。パパはトロール好きなのに」

戦士「ぱ、パパ・・・?」

勇者「はい!パパは元勇者なんです!」

戦士「勇者っていってもここらじゃ自称・勇者なんて肩書きは何人もいるしなぁ・・」

勇者「わ、私はホンモノです!」

戦士「えっと、元ってことはその勇者は退職されたのかな」

戦士「あ、あははっ。まだ退職なんて言葉しらないよね。ごm」

勇者「はい。魔王の城直前でビビって逃げてきちゃったんです。ママには愛想はつかされ、職をやめ、

   ギャンブルで一時期金を稼ぐも破産。今では男で一つで私を支えてくれる商人になりました!」

勇者「でも最近店の評判が良くないんです。だから私がこっそりこうやってモンスター殺しまくって

   大金を稼ぎ、パパの銀行口座にこっそり振り込んであげてるんです」


戦士「うん・・・うん・・・ん?」

勇者「パパはママに愛想つかされたショックで記憶が今でもあやふやなのでお金が増えててもバレないのです!」

勇者「勇者な理由は・・・ん~っとぉ・・」

勇者「んごくごく・・・・ぷはぁっ」

勇者「私はパパに『お前は俺の娘だ!だから勇者だ!二代目勇者!ガハハハ!ガハ・・・ハハッ・・』と言われてきました」

勇者「だから私は勇者なんです」

勇者「そして今日もパパを安心させるために仲間がいると伝えたいのです」グッ

戦士「う、うん。そっか」

戦士「そっか・・・」

戦士「それで僕を仲間に勧誘・・・か」

勇者「はいなのです!」

戦士「えっとさ、さっきも見てたよね・・僕が色々言われてたところ・・・」

戦士「僕ってこのとおり戦士向きじゃない体なんし・・」

戦士「だから僕を仲間に入れるのは特じゃないと思うんだ」

戦士「そこにいる屈強な体つきをした戦士さんを仲間にしたら・・・」

勇者「パパが言っていました!」

勇者「『仲間は己の勘で決めろ』って」

戦士「・・・・それで僕を選んだのかい?」(ちょっと嬉しいな・・・僕なんかが)

勇者「いえ、最初に目に映ったのがあなただったので」

戦士「で、でもすごいよね。君!」(じょ、冗談じゃないぞ!子供遊びに付き合ってたまるか!)ムカッ

戦士「それが本当なら君は一人でトロールを五体も倒したんだ!」(そのトロールの生首だって人形に決まってる!)

勇者「こんなの朝飯前ですし?」エッヘン(あ、お、お昼後だった・・)

戦士「君が勇者だと言うなら本当に凄いよ!一人でトロール五体なんて聞いたことがない!」

勇者「ま、まぁ。武器も使ってませんし?」

戦士「しかもその体で、だ!」(ウソでも褒めて欲しいのだろう。褒め殺しでその場をやり過ごして帰ろう)

勇者「お、おっぱいだってあるし?」

戦士「いやそれはないけどw」

勇者「えっ」

勇者「うっ、うっ、うっ」メソメソ

戦士「え、あ、いや」アタフタ(ま、まずいぞ!これはまずい!)

ザワザワ アイツヨウジョナカシテンゾ ザワザワ ヒデェナ カワイソウニ

戦士「き、君って何歳?」

勇者「じゅっさい・・・ひくっ」

戦士「え、あ、じゃあ来年あたりにはバインバインさ!」

勇者「え・・?」ピクッ

戦士「こ、こーーーんなに大きくなるって!今はまだ成長途中なだけだ!」

勇者「ほんと・・・?」

戦士「ああ!」

勇者「え、えへへっ!ぱふぱふです!」

戦士「う、うん!ぱふぱふもできるっ!」(クソッ!ここで逃げておくべきだった・・・!)

戦士(でもやっぱり泣いてる子を見過ごせないよな・・・)

勇者「アップルパイうまいのです!美味なのです!」モグモグ

戦士「あ、でも仲間ってことで君のお父さんに挨拶すればいいだけなのかな?」

勇者「へ?あ、はい。多分見せれば満足してくれると思います」

勇者「でも私は旅に出てみたいな~~」

戦士「・・・・・」

勇者「い、いけない!私はパパを救ってあげなきゃだもん!めっ!」ツネッ

勇者「あ、食べ終わりました!行きましょう!」

戦士「・・・え?あ、うん」

勇者「一時的に仲間になってくれました!わーい!」ピョンピョン

戦士「ほらほら、そんなにはしゃぐことじゃないって。周りに迷惑だよ」

戦士「さて、道案内してくれるかな?お嬢ちゃ・・ではなくて勇者ちゃんの家まで」

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