安藤「生きていると実感したい。」 潤也「え?」 (76)

こんばんは。

1.魔王-JUVENILE REMIX-のSSです。が、原作を知らない方でも大丈夫かと思います。

2.別作品のキャラが多く登場します。

3.キャラ崩壊がすさまじいことになっています。


何か意見があれば、教えてくださると幸いです。

それでは、よろしくお願いします。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1383405706

とある喫茶店にて・・・

安藤「生きていると実感したい。」

潤也「え?」

安藤「最近、生きているって実感することがなくてさ。」

潤也「? ごめん兄貴、兄貴が何を言いたいのかがよく分からない。」

安藤「そうだな、じゃあ順番に説明していこう。俺、10年前に犬養と対決しただろ?」

潤也「グラスホッパー決起集会の時のこと? たしか犬養が、グラスホッパーのメンバーと
猫田市の市民を集めて大規模な演説をしてたよね。政治家になるための前準備のために。」

安藤「ああ、それだ。その当時俺は、犬養に危険な雰囲気を感じてな。実際、犬養は暴力を
利用して自分の気に入らないやつを支配してた。俺は、こいつの好きな通りにさせちゃいけない。
こいつを止めなくちゃいけないって思って、その決起集会に乗り込んだんだ。」

潤也「そうそう。そこで兄貴は犬養を止めるために、犬養の威厳をなくさせる言葉を
言わせたんだよね。」

安藤「巨乳大好きと言わせた。」

潤也「うん、実にえげつないよね。まあ、それがきっかけで犬養は威厳をなくして、
グラスホッパーは壊滅したけど。」

安藤「当時はすごい充実感を感じてた。たとえでたらめでも自分を信じて対決していけば、
世界だって変えられる気がした。だけど、そのあと高校を卒業して大学生活を送るうちに
気付いてしまったんだ。俺の人生のピークは、犬養との対決の時がピークだったんだなって。」

安藤「でも社会にでれば、社会にさえでればなにか変わるかもしれない、変えられるかもしれない
と思った。だけど、何も変えられなかった。結局は毎日同じような仕事をして、家と会社を往復する
日々を送ることしかできなかった。いや違うな、それで精一杯だったんだ。」

潤也「兄貴・・・」

安藤「でも、俺はこのままじゃ嫌なんだ。このままじゃ、ただ生きているだけだ。
死んでいるのと変わりがない。俺は生きていると実感したいんだ!」

潤也「兄貴・・・(涙目)」

安藤「だからその最初の1歩として、俺が持っている、自分の考えていることを相手に話させる能力
   である腹話術を使って、人助けをしたいと思うんだ。人助けをして、その人が喜んでいる姿を
   見れば、生きていると実感できるかもしれないから。」

潤也「腹話術を使って? どんな人助けをするのさ?」

安藤「簡単に言うと、くっ付きそうでくっ付かない、
   友達以上恋人未満な男女2人組をカップルにするんだ!」

潤也「・・・ん? ごめん兄貴、俺の耳が悪くてよく聞こえなかったからもう一度言ってくれる?」

安藤「だから、くっ付きそうでくっ付かない、
   友達以上恋人未満な男女2人組をカップルにするんだ!」

潤也「・・・兄貴、病院行こっか。」

安藤「え? どうしてだ?」

潤也「兄貴はちょっと疲れてるんだよ。疲れてて正常な判断ができなくなってる。
   大丈夫、俺良い医者知ってるからさ。今から行こうよ。」

安藤「何を言っているんだ潤也。俺はぜんぜん普通だよ。問題ない。」

潤也「・・・全く普通に感じないんだけど。」

安藤「ははっ。潤也は冗談が上手いな。」

潤也「(冗談じゃないんだけど。本気で言ってるんだけど・・・)」

潤也「じゃあさ、兄貴。腹話術を使ってどうやってカップルを成立させるのさ?
   まさかとは思うけど、男か女のどちらかに強制的に告白させるの?」

安藤「ああ。よく分かったな。その通りだ!」

潤也「(駄目だこいつ、早くなんとかしないと・・・)」

安藤「心配するな。ちゃんと空気を読んで、その場にあった適切な言葉を言わせるからさ。」

潤也「うん、兄貴。確実に迷惑だと思うよ。」

安藤「そう言うなって。ほら、あそこにいる男女なんて良さそうじゃないか?」

潤也「ん?」


---

ハルユキ「先輩、このクリームぜんざい、すごくおいしいです!」

黒雪姫「そうか、気に入ってくれて良かった。 
    ・・・ん? ハルユキ君、頬にクリームがついてるぞ。」

ハルユキ「えっ、ホントですか。」

黒雪姫「ああ、ちょっと待っててくれ。」

黒雪姫は自分の人差し指を使って、ハルユキの頬に付いたクリームをふき取った。

黒雪姫「ほら、付いてた(ニコッ」

そしてそのまま、そのクリームを自分の舌に運んだ。

ハルユキ「せ、先輩/// 」

黒雪姫「ん?どうしたハルユキ君、顔が赤くなってるぞ。(笑顔)」

ハルユキ「先輩、結構大胆ですね・・・///」

黒雪姫「そうか? いや、うん・・・そうかもしれない。
    君の前だからこそ、私は大胆になれるのかも知れないな///」

ハルユキ「先輩・・・///」

---

潤也「・・・うん。すごいベタ甘だね。心なしか、あの空間だけピンク色に見えるよ。」

安藤「ああ。でもあの二人は付き合っていないと判断できる。」

潤也「どうして?」

安藤「あの男の子が、女の子の方を先輩って呼んでるからさ。 
   付き合っているカップルは普通、名前で呼び合うだろ。」

潤也「ああ、確かに。それもそうだね。」

安藤「だが、あの雰囲気じゃ、ただの友達って感じでも訳でもなさそうだ。
   あの二人は友達以上、恋人未満の関係に当てはまるな。」

潤也「放っておこうよ兄貴。俺、あの2人ならそんな遠くない未来にカップルになってそうな気がするし。」

安藤「いや、潤也。それは分からない。彼、ハルユキ君からは何かこう・・・
   ライトノベルの主人公のような現象が起こる雰囲気を感じる。」

潤也「? 俺、ライトノベルを読んだことないからよく分からないんだけど、つまりどういう現象なの?」

安藤「まあ、一言で言うと、ある大きな意志の力によってハーレム展開になるため、
   物語が終わるまでにメインヒロインと付き合えるのか分からず、さらに、カップルに
   なれたとしても物語の終わり近くになる現象のことさ。」

潤也「? 全く意味が分からないんだけど・・・」

安藤「簡単に言うと、このままだとハルユキ君は、相当長い時間が経たないと、
   黒雪姫先輩と付き合えないってことさ。」

潤也「だとしても、兄貴が手を出しちゃいけないと思うんだけど・・・」

安藤「・・・俺は、あの二人を幸せにしたいだけなんだ。
   見てろ潤也、俺が必ず、あの2人を幸せにしてみせる!」

潤也「・・・分かったよ。兄貴がそこまで言うなら俺はもう何も言わない。
   だから、必ず成功させてくれ。」

安藤「ああ、分かってる。約束しよう、賭けてもいい。」

潤也「兄貴・・・」


---

黒雪姫「さて、食べ終わったことだし、そろそろ店を出ようか。」

ハルユキ「そうですね。」

安藤「(今だ!)」

ハルユキ『部屋に行ってセックスをしましょう!』

黒雪姫「!?」

潤也「!?」

安藤「よし!」

潤也「よし!・・・じゃねえよ、馬鹿か! 馬鹿なの兄貴!?どうしてそのセリフをチョイスしたの!?」

黒雪姫「/// ハ、ハルユキ君。 そ、そそ、そういうことはだな。
    もっと段階を踏んでからというか、まだ私達には早すぎるというか・・・///」

ハルユキ「えっ、先輩、何がですか?」

黒雪姫「な、なにがって、いま君が言ったことに決まっているだろう///」

ハルユキ「僕なにか言いまし『あなたと一緒にフィジカル・フル・バーストしたいんです!』

黒雪姫「だ、だだ、駄目なものは駄目なんだああああああああー///」

ハルユキ「あれ? 先輩、どこに行くんですか、黒雪姫先輩ー!!!!!」



---

安藤「・・・・・・・・」

潤也「ねえ、兄貴。何か言うことがあるんじゃない?」

安藤「・・・次こそはッ」

潤也「ごめん兄貴、死んでくれ。(ニコッ」

安藤「ちょっと待て、待ってくれ潤也! 
   頼むから、どこからともなく出してきた拳銃をこっちに向けないでくれ!!!」

潤也「・・・じゃあさ兄貴、どうして中学生くらいの男の子にあのセリフを言わせようと思ったの?」

安藤「・・・一気に大人の階段をのぼらせれば、簡単にカップル成立させられると思って。」

潤也「あ、もしもし。蝉さん、久しぶり。殺しの依頼をしたいんだけどいいかな?」

安藤「ごめん、俺が悪かったから! 頼むからプロの殺し屋に依頼するのはやめて!!」

蝉「呼んだか?」

安藤「うわあああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


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安藤「はあ、はあっ・・・危なかった・・・本気で死ぬところだった・・・」

潤也「良かったじゃないか兄貴、生きていると実感できたろ?」

安藤「(こんな形で実感したくなかったんだが・・・)」

潤也「兄貴は、やっぱり疲れてるんだって。だから変な行動起こしちゃうんだよ。
   それに、最近残業続きだったんだろ?ゆっくり休んだほうがいいよ。」

安藤「・・・いや、まだだ。」

潤也「えっ何? まだやるつもりなの?」

潤也「(俺は早く、普通だったころの兄貴に戻ってほしいんだけど・・・)」

安藤「大丈夫だ。今度はうまく行く。いや必ず成功させてみせる。」

潤也「もし次、さっきみたいな発言をさせたら・・・分かるよね?」

安藤「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・行ってくる。」

潤也「ちょっ、逃げるな兄貴ー!!!」


とある道端にて・・・

恵美「待ちなさい、真奥―!!!」

真奥「うおっ、やめろ恵美! そんな鬼気迫る表情で追いかけてこないでくれ!」

恵美「やめるわけないでしょ! よくも私の誘いを無視してくれたわね!」

真奥「誘いって。まさか、あの手紙のことか!?」

恵美「そうよ!」

真奥「あの手紙、内容が完全に果たし状にしか見えなかったぞ! 怖くて行ける訳ないだろ!」

恵美「な、ななな、なんですってぇー!!!」

恵美「(5時間かけて、真奥を遊びに連れ出す文面を考えたのにぃー!!!)」

真奥「おい、ちょっ、やめろ! なんで聖剣を抜こうとしてる!? 頼むから聖剣だけは勘弁してくれ!!!」


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安藤「分かる・・・俺には分かるぞ。一見仲が悪そうな二人に見えるが、この二人には大きな可能性を感じる・・・。
   そして、彼からはライトノベルの主人公的素質も感じる・・・。」

潤也「兄貴、何が悲しくて、全力疾走しながらあの2人を追いかけなくちゃいけないのさ?
   俺達今、完全にストーカーだよね?」

安藤「細かいことは気にするな。さあ、腹話術を使うぞ・・・」

潤也「(・・・嫌な予感しかしない。)」


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真奥「悪かった、俺が悪かったから! そろそろ許してくれよ!」

恵美「許すもんですか!」

真奥「くそっ・・・どうすれ・・・」

恵美「走るのをやめた・・・ついにあきらめたわね、真奥!」

真奥『ぶつぶつ・・・・(小声)』

恵美「いいわ! いま斬ってあげる!」

真奥『恵美・・・』

恵美「ん?」


真奥『恵美ィイイイ! 大好きだああああああああああああああああああああああああああああああ
   あああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!』

恵美「えっ!? ちょっ、えっ!?」

真奥『世界で一番愛してる! 俺と付き合ってくれえええええええええええええええええええええ
   えええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!』

恵美「ふぇっ!? こ、ここ、こんな所で告白だなんて/// いきなりそんなこと言われても困るじゃない///」

真奥「・・・へ? 何を言ってるんだ?告白?」

恵美「善は急げというし、早速一緒にデートに出かけるというのも・・・えへへ///」

真奥「お前は一体どうしたん・・」

千穂「真奥さん! 遊佐さん! 今のってどういうことなんですか!!」

真奥「ちーちゃん!」

恵美「ち、千穂ちゃん!」

潤也「兄貴、何かややこしいことになってきたよ・・・」

安藤「しまった! ターゲットのヒロイン攻略中に他のヒロインが絡んでくる可能性を考慮してなかった・・・!」

潤也「どうすんのさ・・・」

千穂「真奥さん、今さっきの告白は冗談ですよね? 冗談だと言ってください!!!」

真奥「ちーちゃん・・・頼むから首を引っ張らないで・・・(というか告白って何のことだ?)」

恵美「千穂ちゃん・・・」

潤也「(完全に修羅場に突入してるんだけど・・・)」

安藤「まずい・・・このままでは千穂ちゃんの気持ちが壊れてしまうだけではなく、
   恵美さんへの告白も台無しになってしまう・・・どうする・・・どうすればいい・・・
   ・・・考えろ・・・考えろ・・・この状況を解決するための最善手は何だ・・・!?」

安藤「全員を幸せにする方法・・・はッ・・・そうだ・・・これしかない!!!」

真奥『俺は・・・ちーちゃんも大好きだああああああああああああああああああああああああああ
   ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!』

千穂「!?」

恵美「!?」

潤也「!?」

真奥『俺が必ず2人とも幸せにして見せる!!! だから2人とも、俺と付き合ってくれええええええ
   えええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!』

潤也「だからなんでよりによって、地獄へと突き進むようなセリフをチョイスするんだよ!!!
   どう考えても、それだけはアウトだって分かるだろおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

千穂「真奥さん・・・見損ないました・・・」

恵美「真奥、そこに座りなさい。その首、掻っ切ってやるわ・・・」

真奥「えっ、ちょ二人とも、目がすごい怖いんだけど・・・」

恵美「問答無用!!!!」

真奥「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」


潤也「兄貴・・・この状況、どうすんのさ・・・」

安藤「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・すまない。」

潤也「あっくそ、猛スピードで逃げやがった! 逃げんな兄貴ィイイイ―!!!!!!!」




すみません。

とりあえずここまでです。続きは今日中には投下したいと思います。



皆さん、だいぶ遅くなってすみません。

再開します。


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安藤「はあ、はあ、はあ・・・よし・・なんとか潤也から逃げきることができたか・・・」

安藤「(・・・まだ・・・まだあきらめるにはいかない・・・
    今度こそ、今度こそは成功させて見せる・・・そして、生きていると心から実感するんだ・・・!)」

安藤「(考えろ・・・どうすれば成功するのかを・・・今までの失敗から考えるんだ・・・)」

安藤「(最初のハルユキ君のケースでは、潤也の意見も考慮すると、
    年齢が低い人間にセックスをしようと発言させたのがまずかった。)」

安藤「(年齢が高く、女性の方が肉体関係を結ぶことを望んでいるカップルには有効な発言なんだがな・・・
    ・・・えっ何故かって? 詳しくは原作小説の方を読んでくれ。)」

安藤「(次の真奥君のケースでは、誰に聞かれるかも分からない場所で発言させたのがまずかった・・・
   ・・・いや、違うな・・・別に赤の他人には聞かれてもいいんだ。
   重要なのは他のヒロインが登場しない場所で発言させることなんだ。)」

安藤「(ここまでの状況から判断すると、年齢が高めの2人組でかつ、
   他のヒロインが登場しないような個室に近い空間を用意できれば成功する・・・!)」

安藤「(だが、これらの条件を満たすことができるのか? ・・・いや、待て、あの方法を使えば・・・)」

安藤「ん? あれは・・・」


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工兵「梢さん、今日は本当にありがとうございました! 
   梢さんのおかげで、なんとかトラブルを解決することができました。」

梢「私が力になれたのは一部だけですよ。桜坂さんが頑張ったから、うまくいったんです。」

工兵「いや、僕なんてまだまだですよ。・・・そうだ。仕事も早く終わったことですし、
   これから一緒に飲みに行きませんか? 今日は僕がおごりますから。」

梢「そんな、悪いですよ。」

工兵「大丈夫です、気にしないでください。まだ手持ちには余裕がありますし。
   ここから少し歩くんですけど、おいしい泡盛をだす、八兵衛っていう居酒屋があるんですよ。
   どうですか? 丁度もうすぐ開店時間なんです。」


梢「泡盛・・・いいですね! それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらってもいいですか?」

工兵「もちろんです! では行きましょう。」

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安藤「20代前半くらいの男女か・・・年齢が高いという訳じゃないが低いという訳でもない。
   ・・・一応、一つめの条件としては及第点だろう。それにどちらか一方に少しでも
   気がないと、社会人が男女2人で飲みにはいかないだろうし・・・」

安藤「よし・・・やるか・・・!」

安藤は携帯電話に手をかける。

安藤「もしもし。久しぶり、健太郎。大至急頼みたいことがあるんだ。金ならいくらでも出す。」

居酒屋八兵衛の入口にて・・・

工兵「あれ、開店したばかりなのにすごい混んでますね。」

梢「そうみたいですね。」

工兵「入れるかな? すみませーん。2人入れますか?」

店員「はい、大丈夫ですよー! ご案内致します、こちらへどうぞー!」

工兵「入れるみたいです。じゃあ行きましょうか。」

梢「はい!」

居酒屋八兵衛の客間にて・・・

工兵・梢「かんぱーい!!!」

工兵「ああ、仕事が終わったあとの一杯は最高においしいですね!」

梢「ほんとですよね! あっ、桜坂さん、串カツどうぞ。」

工兵「すみません、ありがとうございます。」

工兵・梢がいる客間から少し離れた場所にて・・・

店員(健太郎)「安藤さん、こういう感じで進めていけばいいんだよね?」

安藤「ああ、これでいい。ありがとう、約束の金は例の口座に振り込んでおくよ。」

健太郎「にしても、どうして劇団を使おうと思ったの?あの2人、普通の人だよね?」

安藤「別に物騒なことはしないさ。ただ幸せになってもらうだけ。
   健太郎にはその手伝いをしてほしかったんだ。」

健太郎「ふーん。よく分からないけど、とにかくこの店に新たな客を入れなきゃいいんだよね?」

安藤「ああ、よろしく頼む。」

安藤「(・・・最初に言っておこう。この居酒屋には、俺と工兵君、
    そして梢さん以外は劇団のメンバーしかいない。)」

安藤「(劇団というのは、金さえ払えばどんな役でも完璧に演じてくれる人達のことだ。
    親友、上司、恋人、教師、後輩などなど、好きな役を演じきってくれる。)」

安藤「(今回は、居酒屋の客と店員になりきってもらった。
    さっきここにいた健太郎は、店員という名の客払いとして行動してもらっている。)」

安藤「(もとからいた店員さん達は、金を払って追い払った。
    劇団には、そういう交渉が上手い人もいて助かる。
    そういう訳で、この居酒屋を今日一日だけ貸切状態にできた。)」

安藤「(よってつまり、今日ここで起こることは、
    この居酒屋にいる人達以外には誰にも知られることはない。)」

安藤「これで安心して腹話術を使える。 ・・・さて、始めるか。」


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工兵「でも本当に今日は助かりましたよ。この場をおごるだけじゃ足りないくらいです。」

梢「もう気にしなくても大丈夫ですって。それにフィアンセ・・・じゃなくて仲間、
いや、同志を助けるのは当然のことですし!」

工兵「ん?  何か今一瞬、とてつもなく恐ろしい発言が聞こえたような・・・」

梢「えっ? なんのことですか?」

工兵「あれ? すいません。僕の勘違いだったみたいです。」

梢「(勘違いじゃないですけどね・・・うふふふ)」

工兵「あっ、そういえば、いきなり話題は変わるんですけど・・・」

梢「なんですか?」

工兵「業平産ぎ『部屋に行ってセックスをしましょう!!!』

梢「・・・・・・・・・嬉しい・・・その言葉を待っていたんです。(涙目)」

工兵「あれ? 梢さん、どうして涙目になっているんですか?」

梢「桜坂さん、肉体関係を結ぶという事はつまり、恋人、いや、結婚して夫婦になるということ、
  そういうことですよね! そうですよね! そうに決まってますよね!!!」

工兵「へ? 梢さんいきなりなに『もちろんさ。さあ、婚姻届を出す準備をしよう!!』

梢「大丈夫です! ここに用意してあります!!!」

工兵「え? 何で婚姻届をテーブルに広げているんですか? 
   あれ何故だろう、とんでもなくやばいことになっている気が・・・」

梢「でも・・・今からじゃあ、役所が開いてないですね・・・」

工兵「だから、何故やくし『大丈夫! 文京区役所の婚姻届の窓口は24時間開設されている!!!』

梢「素敵!!!」

工兵「へ? 梢さん、どうして立ち上がるんですか? 
   どうしてジリジリ近づいてくるんですか? 目がとっても怖いんですけど・・・」

梢「大丈夫です、桜坂さん・・・あとは私に任せてください・・・うふふふふふ」

工兵「梢さん、ちょっと待っ・・・ぎゃああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

梢「文京区役所の婚姻届の窓口は24時間開設ぅううううううううううううううううう!!!!!!!!!!!」

客役1「・・・あの女の人、男を担いで走って行ったぞ。」

客役2「あの男、終わったな・・・」



安藤「(あれ?何故だろう・・・成功したには成功したんだが、
    なんだか取り返しがつかないくらいヤバいことをしてしまったような気がする・・・)」

安藤「・・・・・・・」

安藤「・・・まあ・・・いいか。梢さんは幸せそうだったし・・・・家に帰ろう。」

安藤が家に帰ってから15分後・・・

潤也は健太郎に電話をかけていた。

潤也「もしもし。健太郎、そっちに兄貴がいるだろう? 電話を代わってくれ。」

健太郎「潤也さん、いきなり何ですか? ここに安藤さんはいませんよ。」

潤也「健太郎、誤魔化さなくてもいい。
   兄貴と健太郎が、居酒屋八兵衛にいるのは分かってる。桃さんと、槿さんにも裏を取った。」

健太郎「そうですか・・・じゃあ誤魔化しても仕方がないですね。そうです。
    僕と安藤さんは居酒屋にいます。いや、正確にはいました、ですね。
    安藤さんは少し前に家に帰りましたし。」

潤也「くそっ! 遅かったか・・・」

潤也「(兄貴・・・次に変な発言をさせたらどういうことになるか言ったよね・・・このままじゃ済まさないよ・・・!)」

それから約3週間後・・・

安藤は、潤也と潤也の妻である詩織とボウリング場にいた。

安藤「いやーまさか潤也と詩織ちゃんがボウリングに誘ってくれるとは思わなかったよ。」

潤也「そう? 結構前に兄貴ボウリングしたいって言ってたじゃん。
   男2人でボウリングするのもアレだから、詩織に付き合ってもらおうと思って。」

詩織「私、ボウリング大好きなんです! 
   ・・・でもボウリング球を投げると、大抵はガーターばっかりになっちゃうんですけどね。」

潤也「詩織は投げる時に体全体が曲がっちゃうから、ガーターになりやすいんだよ。
   今日は俺がサポートするから、高得点を目指そうぜ!」

詩織「うん!」

安藤「そうか、潤也はボウリングうまかったもんな。」

潤也「何言ってるんだよ、兄貴。兄貴だってうまいだろ。トータルの勝率だと、兄貴に負けてるんだぜ俺。」

安藤「そうだったっけ。じゃあ、今日は負けないように頑張らないとな。」

安藤「(・・・あれから約3週間、潤也からどんなことをされるか、恐怖を感じながら生活していた。
    なので今日呼び出された時は、ついに来たかと身構えたが、いざ来てみればボウリングをしようということだった。)」

安藤「(潤也は、もう怒ってないのか? 
    ・・・でもまあ、怒っていたとしても詩織ちゃんの前でおかしな行動は起こさないだろう・・・)」

潤也「あっそうだ、兄貴。プレイする前に、何か飲み物と軽い食べ物を買ってくるよ。
   詩織、ついてきてくれるか?」

詩織「うん、いいよ!」

潤也「というわけだから兄貴、先にレーン席で待っていてくれ。すぐに俺達も行くから。」

安藤「ああ、分かった。行ってらっしゃい。」

潤也「・・・行ってくる。行こう、詩織。」


---

詩織「あれ? 潤也君、どうして建物から出るの? 建物内に自動販売機あるよ?」

潤也「あはは、いや、実はさ、ここから少しだけ歩いたところに
   珍しい飲み物が置いてある自動販売機があるって話を聞いてさ。いい機会だから行ってみようと思うんだ。」

詩織「そうなんだ。どんな飲み物なんだろう・・・楽しみだね!」

潤也「・・・ああ、本当に楽しみだ・・・。」

詩織「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ? 潤也君、雨が降ってきたよ。」

潤也「ホントだ・・・。今日は天気予報だとずっと晴れだって言ってたんだけど・・・」

詩織「大丈夫! こんなこともあろうかと、バッグの中に折り畳み傘を入れといたんだー。一緒に使えば濡れないよ!」

潤也「ありがとう詩織、助かる。(ニコッ」

詩織「どういたしまして///」


---

安藤「(潤也と詩織ちゃん、遅いな。どこまで買い出しに行ったんだ?)」

安藤がそう考えていたとき、後ろから声をかけられた。

??「すみません、安藤さんですか?」

安藤は振り返りながら答える。

安藤「はい、そうで・・

真奥「よお、久しぶりだな。」

安藤「!?」

真奥「という訳で、[ピーーー]やぁああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」

安藤「ちょっ、まっ、ぐふうぅううううううううううううううううううううううう!!!!!!!!!!!!!」

真奥の会心の右ストレートが安藤の顔面に入り、安藤は吹っ飛んだ。

安藤「ぐふっ、な、なんで真奥君がこんな所に・・・」

ハルユキ「潤也さんから教えてもらったんです。」

工兵「あんたを好きに殴らせてくれるって聞いてね。」

安藤「ハルユキ君、工兵君・・・」

工兵「安藤さん、あんたが僕達にしたことを忘れたわけじゃないだろ?」

真奥「俺はあの時、恵美に首を吹っ飛ばされかけたんだ・・・恨みを晴らさせてもらうぜ。」

工兵「僕なんて・・・あのあとすぐに気を失って、目を覚ましたら、梢さんの両親が目の前にいたんだぞ! 
   そのあと、どんなことになったのか、あんたに分かるか!?」

安藤「・・・ハッピーエンド?」

工兵「ふざけるな! 僕の本命であり、心の女神はカモメさんだけなんだよ!!!
   カモメさんが俺のサンクチュアリなんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」

安藤「(何言ってるんだ、この人?)」

ハルユキ「(何を言っているんだろう?)」

真奥「(かわいそうに・・・よほど怖い目にあったに違いないな。正常な精神を保ててない・・・)」

真奥「ハルユキ君も何か言ってやったらどうだ? 君も大変な目にあったと聞いたぞ。」

ハルユキ「いえ、僕は・・・」

真奥「そうか・・・ハルユキ君は大人なんだな・・・(いや、それとも優しすぎるのか・・・)」

真奥「という訳で各自いろいろ思うところがあるんで。安藤さん、あんたをブッ飛ばす!!! 五体満足のまま帰れると思うなよ!!!」

工兵「ブッ[ピーーー]、ブッ[ピーーー]、ブッ[ピーーー]、ブッ[ピーーー]、ブッ[ピーーー]、ブッ[ピーーー]、ブッ[ピーーー]、ブッ[ピーーー]、ブッ[ピーーー]、ブッ[ピーーー]、ブッ[ピーーー]、ブッ[ピーーー]、ブッ[ピーーー]、ブッ[ピーーー]、ブッ[ピーーー]、・・・・・・」

安藤「・・・君達にしたことは、大変申し訳なく思っている。だが、俺もここで死ぬわけにはいかない。それに君達、こんな公共の場所で暴れたらまずいと思わないのか?」


???「バッカジャナイノー!」

安藤「!?・・・その声は、まさか・・・孝次郎!?」

孝次郎「うん、そうだよ。久しぶり、安藤さん。」

安藤「じゃあ、まさか、・・・ここにいるのは・・・」

健太郎「そうだよ、安藤さん。このボウリング場にいる客や店員は全員劇団だ。あなた達を除いてね。」

安藤「健太郎・・・!」

健太郎「だから、助けを求めても無駄だよ。
    今日、ここで起こったことは、他の誰にも知られることはないんだから。誰にもね・・・」

真奥「・・・さて、舞台も整えてもらったことだし、覚悟はいいか?」

安藤「・・・分かった。状況はよく分かった。いいさ、やってやる。
   10年前もマスターと命がけで戦い、そして勝ったんだ。
   怖くなんかない。だてに歳は取っていないことを教えてやる!!!」

真奥「来い!!!」

工兵「ブッ殺してやる!!!」

安藤「マンホール系男子をなめんなよおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
   おおおおおおおおおあおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」

ハルユキ「(・・・マンホール系男子ってなんだろう?)」


その後、約6分間の死闘の末、安藤は半殺し状態にされていた。

安藤「こ・・これはこれで楽しかった・・・生きていると実感できた・・・ごふっ」

真奥「さてと、じゃあ帰るか!(スッキリ」

ハルユキ「そ・・・そうですね・・・(少し引き気味」

工兵「ああ、お疲れー!(超スッキリ」

健太郎「(・・・潤也さん。真奥さん達、全然普通じゃなかったですよ・・・)」

健太郎「(潤也さんに、安藤さんと真奥さん達が戦って、もし真奥さん達の分が悪かったら、
     加勢するように言われてたけど・・・そんな必要まったくなかったな・・・)」

孝次郎「(・・・このあと(安藤さんを)どうしよう・・・)」

客役1「(・・・仕事終わってないけど、もう見送りでいい・・・帰ろう。
     ・・・CDショップに寄って、ミュージックでも聴くか・・・)」

そのすぐ後、健太郎から安藤の惨状を聞いた潤也は、
ボウリング場には戻らず、詩織を連れてショッピングモールへと出かけた。


おわり。


おまけ


安藤達がボウリング場に行く18日ほど前、ハルユキの家に黒雪姫がやってきていた・・・

ハルユキ「先輩? 僕の家に遊びに来てくださったのは嬉しいんですが、
     どうして僕のベッドの上で布団をかぶっているんです?」

黒雪姫「・・・この前、君が言っていただろう。一緒にセッ・・・じゃない、寝たいと。」

ハルユキ「へっ?」

ちなみに、ハルユキはこの時点ではまだ潤也と面会していない。
そのため、安藤が腹話術を使ってハルユキに言わせた発言のことを知らなかった。

黒雪姫「だから・・・その・・・一緒に寝ることはできないが、添い寝はしてやろうと思って・・・///」

ハルユキ「??? すみません、先輩。先輩の言っていることがいまいち理解できないんですが・・・
     ・・・それに、一緒に寝るのと添い寝ってほとんど同じ意味じゃ・・・」

黒雪姫「お、おお、同じな訳がないだろう! 君は一体何を言っているんだ!?」

ハルユキ「す、すみません。(あれ?僕、変なこと言ったかな・・・)」

黒雪姫「~~~/// もういい、早くこっちに来い!!!」

ハルユキ「そ、それじゃあお邪魔します・・・」

ハルユキはそう言って、黒雪姫がいるベッドに潜りこんだ。

ハルユキ「・・・先輩。」

黒雪姫「・・・何だ?」

ハルユキ「あったかいですね。」

黒雪姫「ばかっ///」


本当におわり。


以上でおわりです。

読んでくださった方、ありがとうございました!

以前に書いたSS、恵美「あいつらと一緒に映画を観に行くですって!」
にも、魔王JRが登場しますので、もしお時間があればそちらも読んでいただけると嬉しいです。

それでは、ありがとうございました。


皆さん、感想や質問ありがとうございます。

魔王JR以外で、このSSに登場した作品を並べていくと、

1.アクセルワールド

2.はたらく魔王さま!

3.なれる!SE

4.死神の精度

と、なっています。

最後にちょっとだけ登場した死神は、ターゲットの人物を調査し、その人物の生死を選定する仕事をしています。
「可」なら死に、「見送り」なら生き延びるということになっています。

今回は「見送り」でしたので、安藤はなんとか生き延びました。ので、ご安心ください。


魔王JRが完結してから4年くらい経ちますが、
いまだに反応してくださる方が多くて嬉しかったです。アニメ化もしくは映画化しないかなー。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年07月02日 (水) 21:27:43   ID: BTYYeB4h

乙!なれるSEは読んでないから分からなかったけど、なかなか面白かったw

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