クリスタ「あっ、ねえねえアニ！」


アニ「………何」


クリスタ「クルミぽんちおって何か解る？」


アニ「！？」


アニ（多分これ答えたら負けのヤツだ……）


アニ（知らないフリしとこ）


アニ「し……しらない」

クリスタ「本当に？アニでも知らないの？」


アニ「何度も言わせないで」


クリスタ「ごめん……じゃあまたね」


アニ「……」


クリスタ「解ったら教えてあげるねー！」


アニ「来なくていい！」

クリスタ「アニでも知らないか……結構座学は優秀だったはずなんだけど」


クリスタ「あっ、そう言えばミカサも優秀だったっけ……」


クリスタ「ミカサー！ちょっと聞きたいんだけどいい！？」


ミカサ「エレン、ちょっと行って来る」


エレン「いちいち言わなくていいって……」


ミカサ「何？」

クリスタ「クルミぽんちおって何かわかる？」


ミカサ「？」


クリスタ「クルミぽんちお」


ミカサ「……ムシか何か？」


クリスタ「私も知らないの」

ミカサ「……クリスタ」


ミカサ「悪いけれど私は知らない。そしてもう行かなくてはならない。それじゃあ」


クリスタ「うん……またね」


ミカサ「解ったら教えてほしい」


クリスタ「うん！」


クリスタ「ねえ！エレンは知ってる？」


エレン「……」ﾌﾙﾌﾙ


クリスタ「知らないか……」

クリスタ「ライナー！ベルトルトー！ちょっといい？」


ライナー「どうした？」


ベルトルト「何かな？」


クリスタ「クルミぽんちおって知ってる？」


ライナー「な！？」


ライナー（何を言っているんだクリスタ！？下ネタをためらいなく話す女は嫌われるぞ！？）


ベルトルト（知ってるって言ったら幻滅されるパターンかな……？）

ライナー「すまん……俺にはよく解らん」


ベルトルト「僕も……その、ごめん」


クリスタ「二人も知らないんだ……ごめんね！それじゃ！」


ライナー「お、おう」


ベルトルト（二人も？それってまさか……）

クリスタ「サシャ！コニー！ちょっｔ」


コニー「今はそれどころじゃねぇ！！」ﾓｸﾞﾓｸﾞ


サシャ「ほうへふよ！！！」ﾓｸﾞﾓｸﾞ


クリスタ「あっ……」


クリスタ「……」


クリスタ「またね」

クリスタ「あ、ジャンだ」


ジャン「クリスタか……何か用か？」


クリスタ「実は聞きたいことがあるの……」


ジャン「……」


クリスタ「辞典とか見てみたんだけど載って無くて……」


クリスタ「ジャン知ってる？」


ジャン「何をだよ」

クリスタ「クルミぽんちお」


ジャン「……」


ジャン（……面白れぇ、ちょっとからかってやるか）


ジャン「知らねぇけどよ……ちゃんと考えれば案外解るかも知れねぇぞ」


クリスタ「？」


ジャン「例えば最初のクルミ……こりゃそのままだよな？」


クリスタ「うん。私もクルミの一種かなって……」

ジャン「そんでぽんちお……こっちがよく解んねぇな」


クリスタ「もしかして外国語？それじゃ誰も解んないよ……」


ジャン「ぽんちお……もしかしてポンチョと聞き間違えたんじゃないのか？」


クリスタ「あっ！」


ジャン（ん？そこか？そこなのか？）


クリスタ「でもクルミとポンチョ……何か関係あるのかな？」

ジャン「例えばこう言うのはどうだ？女神イズンがクルミに変えられた話」


クリスタ「聞いたことある！」


クリスタ「……でもどんな話だったっけ」


ジャン「……永遠の若さをもたらすリンゴを欲した巨人が居た」


ジャン「巨人は大きな鳥に変身しロキと言う神を空中高くまで持ち上げこう言った」


ジャン「助けて欲しくばイズンと言う女神にリンゴを持って来させろと」


ジャン「ロキは渋々承諾し、イズンを巨人の国へ連れ出した」


ジャン「無邪気でお人好しなイズンはほいほいとロキについて行ってしまった」


クリスタ「なんとなく覚えてるような……覚えてないような？」

ジャン「イズンは美しい神で、彼女を見た巨人はリンゴごとイズンを攫ってしまった」


ジャン「神々はリンゴを食べられなくなり、急速に老い始めた」


ジャン「そして後になってこれはロキのせいだと解った」


ジャン「神々はロキにイズンとリンゴを奪い返すよう命じた」


ジャン「巨人の根城へと潜入したロキはイズンをクルミに変えて奪還、巨人も倒してめでたしめでたしだ」


クリスタ「クルミとはつまり？女神？」

クリスタ「クルミとはつまり？女神？」


ジャン「そうかもしれねぇぞ……なあクリスタ」


クリスタ「何？」


ジャン「お前、影じゃ女神とか天使だとか言われてるの知ってるか？」


クリスタ「えっ」


ジャン「これは深読みのし過ぎかもしれねぇが……クルミってお前の事じゃないのか？」


クリスタ「う～ん……でも美しい神とかじゃないし……」


ジャン「えっ」

クリスタ「そもそも何でそんな事言われてるの？」


ジャン「お前が誰にでも優しくするからだろうが！まさか自覚ないのか？」


クリスタ「……」


ジャン「無邪気なお人好しが一番ストーカーとかに遭いやすいんだよ……」


ジャン「っていう教訓がさっきの話にもあったりしてな」


クリスタ「うん……気を付ける」


ジャン「しかしポンチョとの関係性が不明だな……」

クリスタ「私にポンチョ着て欲しいとか？」


ジャン「え……」


クリスタ「……」


ジャン「な、なあ？アルミンには聞いたか？」


クリスタ「アルミン？」


ジャン「あいつ本ばっか読んでるから何でも知ってると思うぞ」

クリスタ「そうだよ！何で思いつかなかったんだろ……」


ジャン「じゃあな。解ったら教えてくれ」


クリスタ「うん！待ってて！」


ジャン「………」


ジャン「ぷはっ」


ジャン「笑いをこらえるのがこんなに大変だとは思わなかったぜ……」

クリスタ「アルミーン！ねえねえ聞いてー」


アルミン「どうしたの？」


クリスタ「クルミぽんちおって何？」


アルミン「えっ」


クリスタ「ジャンがアルミンなら絶対教えてくれるって！」


アルミン（クッ……ジャンめ……）

クリスタ「早くジャンに教えてあげないと！」


アルミン「精液の事だよ」


アルミン（何だと……！？それだけはさせない！させないよジャン！）


クリスタ「精………液？」


アルミン（さっきまで自分がどういう意味の言葉を恥ずかしげもなく連呼していたのか）


クリスタ「…………………えっ？えっ？どうしよう……えっ！？」


アルミン（それを知ってショックと恥じらいのあまり口ごもってしまう）


クリスタ「さっきまで私皆にそんな事……！？わーどうしよ！？どうしよう！！」

アルミン（でも約束したものは仕方がないので、真っ赤になりながらボソボソと説明するクリスタ……）


クリスタ「ジャンとかミカサにどう説明したらいいの……！？」


アルミン（そんな極上のご褒美を僕を利用して獲得しようだなんて！絶対にさせない！）


アルミン「クリスｔ」


クリスタ「ありがとうアルミン！！またね！」


アルミン「……？」

ジャン「おいクリスタ！どうだったんだ？教えて貰えたか？」


クリスタ「うぇっ！？おおおおおしおしおし……」


ジャン「は？」


クリスタ「……………」


ジャン「……」


クリスタ「クルミぽんちお……せい……」


ジャン「はあ？」

クリスタ「精液の………事だって……」


ジャン「……」


クリスタ「……」


ジャン「俺とアルミン以外の誰かに聞いたのか？」


クリスタ「アニとユミルとミカサ……」


ジャン「…………」


クリスタ「どうしよう……私こんな事平気で皆に……」


ジャン（俺だって女神がどうとか言ってた事思い出してめちゃめちゃ恥ずかしいんだが……）

ジャン「ま、まあ知らなかったんだしな？」


ジャン（これ悪い事したかな……）


クリスタ「それは……そうだけど……」


ジャン「……決めた。俺が真実を教えてやる」


クリスタ「えっ！？」


ジャン「クルミぽんちおの意味を教えてやるって言ったんだよ……」


ジャン「いいか？アルミンはお前をちょっとからかっただけなんだ」


ジャン「責めないでやってくれ」

クリスタ「う、うん……」


ジャン「……クルミはさっき言った通り女神。つまりお前の事だ」


クリスタ「……」


ジャン「ぽんは『ぽんぽんしたくなる』の略だ」


クリスタ「んむ？？？」


ジャン「ちは『ちいさい』の略、おは『女の子』の略だ」


クリスタ「えっと……女神、ぽんぽんしたくなる小さい女の子……？」


ジャン「……そう言う事だ」


クリスタ「よかった……そ、そういう言葉じゃないんだ……」

ジャン「いや、これも結構際どいけどな……」


クリスタ「教えてくれてありがとう……でもポンポンって何の事？」


ジャン「こう言う事だ」ﾎﾟﾝﾎﾟﾝ






　　　　　　　　男子寮






ライナー「グハァッ！！！」ｶﾞｸｯ


ベルトルト「ライナー！しっかりするんだ！どうしたんだライナー！！？」

ライナー「ただちょっと虫の知らせが……」


ベルトルト「虫の知らせ！？もはや呪いとかそういうレベルじゃないのこれ！？」


ライナー「ﾊｧ……ﾊｧ……グフッ……」


ベルトルト「今日はもう休もう？」


ライナー「ああ……そうする……」

クリスタ「ん～……よくわかんない」


ジャン「……あんまり人に言うなよ」


クリスタ「解った……専門用語みたいなものって言う事でしょ？」


ジャン「まあそうだな」


クリスタ「じゃあねー！」ﾀｯﾀｯﾀｯﾀ


ジャン（これで良かったんだ……迷うな）