ハルヒ「ねぇ、キョンあなた何か部活してるの？」

キョン「いや、帰宅部だが」

ハルヒ「なら、私たちのSOA団に入らない？」

キョン（SOA団、多少の違いはあるが、この世界でもハルヒは似たようなものを作っているのか）

ハルヒ「本当は誰でも入れるものじゃないけど、あんたなら特別に入れてあげるわ、どう？」

キョン「すまない、文科系の部らしいが俺はそういうのに入るつもりはないからな」

ハルヒ「どうしてよ、かわいい美少女が二人もいるのよ？一人はおっぱいが大きくて、もう一人は小さいけどメガネかけて可愛いのよ」

キョン（朝比奈さんと長門もいるのか）

ハルヒ「…嫌？」

キョン「しばらく考えさせてくれ」

ハルヒ「じゃあ見学に来ない？」

キョン「見学？」

ハルヒ「体験入団よ、私たちがどんな活動をしているか見て欲しいの！」

キョン「活動といっても、平日の放課後は部室でダラダラして、日曜日は宇宙人だのを探しに町を散策するくらいだろ？」

ハルヒ「…すごい、よくわかったわね！」

キョン（大した違いはないみたいだな）

ハルヒ「確かに平日はダラダラ過ごしてるし、日曜日も宇宙人とか未来人とか見つけたことはないわ」

キョン（宇宙人と未来人はとっくに見つけてる事にも気付いてないんだな）

ハルヒ「でも、あんたがSOA団に入ってくれれば変化があると思うの！」

キョン「俺が入っただけで宇宙人が見つかるわけないだろ」

ハルヒ「でも、そんな気がするのよ、いいから来なさい！」

キョン「おっおい！」

ハルヒ「ここよ、文芸部って書いてるのは気にしないで」

ガチャッ

ハルヒ「みんな、連れてきたわ！」

キョン「…はじめまして」

長門「…」

古泉「あなたがキョンさん？」

みくる「いらっしゃい、お茶淹れますね」

キョン（長門に古泉、朝比奈さん…SOS団のメンバーと変わりはないな）

ハルヒ「ここが団長の席よ、そして平団員はそこの長机ね」

古泉「どうぞこちらに」

ハルヒ「有希はいつもあそこで本を読んでるわ」

みくる「お茶どうぞ」

キョン「どうも」

ハルヒ「みくるちゃんがメイド服なのは気にしないで、ここでの彼女の制服はそれなのよ」

キョン「…なぁ、他にメンバーはいないのか？」

ハルヒ「いないわよ、いるとしたらあなたが新しい五人目のメンバーよ！」

キョン（朝倉の奴は、多少の違いはあると言っていたがメンバーはSOS団のままだな、学校のクラスも顔ぶれは変化なかった）

古泉「北高にはもうなれました？」

キョン「え？…ああ、もう慣れたよ」

古泉「実は僕も転校してきたんですよ」

キョン「そうなんだ」

長門「…」

キョン（長門はさっきから俺を観察してきている、こちらの世界の統合思念体からしたら俺はイレギュラーだから当たり前か）

みくる「あの、なんておよびしたらいいでしょうか？」

キョン「キョンでいいですよ、みんなそう呼んでますし」

みくる「じゃあキョンくんって呼びますね、よろしくキョンくん」

キョン「はい」

夜

キョン「ただいま」

朝倉「おかえりなさい」

キョン「お前の言ってる事と違ったぞ、ハルヒはこっちでもSOS団のようなものを立ち上げてSOS団のメンバーを集めて似たような活動をしていたぞ」

朝倉「あらそう」

キョン「あらそう、じゃないだろ、お前はこっちの世界に来る前に多少の変化があると言ってたよな？」

朝倉「そのはずなんだけど…多少の変化というのはあなたがいない事くらい？」

キョン「お前でもよくわかってないのか」

朝倉「本当はもっと変化があってもおかしくないはずなのよね、異世界っていうのはそういうものよ、完全に同じものはありえないわ」

キョン「学校の自販機の位置とかは確かに違ってたな」

朝倉「でしょ？」

キョン「しかし、SOS団メンバーがそのまま集まってるとは驚いたな、こっちの世界のハルヒも力を持ってるんじゃないのか？」

朝倉「SOS団メンバーと会ったの？もしかして、必要以上に接触してないでしょうね？」

キョン「体験入団という形になっている」

朝倉「…もしかして、涼宮ハルヒと必要以上に接触しただけではなく、SOS団部室にまで行ったの？」

キョン「SOA団という名前だったがな、中身はSOS団のとまったく同じだった」

朝倉「ダメじゃない、必要以上に接触しちゃダメって言ったでしょ？」

キョン「仕方ないだろ、一方的にハルヒが連れていったんだからな」

朝倉「あなた、こっちの世界の涼宮さんにまで好かれてるのね」

キョン「転校生だから興味を持っただけだろ」

朝倉「はぁ…もういいわ、あとは適当な理由をつけて涼宮さんとSOS団との接触を避けて学校生活を送って」

キョン「お前はどうするんだ？」

朝倉「もう少ししたら私も北高に行くわよ…もしかして、すでに私がいるってことはないわよね？」

キョン「大丈夫だ、お前はいなかった」

朝倉「そう…とにかく正体を上手く隠して北高に入学しないと、長門さんの目を上手く欺かないとね」

キョン「大丈夫なのか？」

朝倉「大丈夫よ、今の私はバックアップ以上の力を持っているわ、それにこうして念入りに時間をかけてるから長門さんでも気付かないはずよ」

キョン「その慢心があの大惨事を起こしたんだぞ」

朝倉「だからこそ慎重にやってるのよ」

翌日

キョン（必要以上に接触するなと言われてもな）

ハルヒ「キョンおはよう！」

キョン「あっああ」

ハルヒ「今日も絶対に部室にきてよね、昨晩いろんなアイディがあふれてきてやりたい事がたくさんあるのよ」

キョン「そのことだが、今日はちょっと都合が悪いんだ」

ハルヒ「え…どうしたの？」

キョン「この学校、いやこの町に引っ越してきていろいろとやることがあるんだ」

ハルヒ「引っ越しの荷物整理とか？勉強とか？」

キョン「まぁそんな感じだな」

ハルヒ「なら私にまかせて、引っ越しの荷物整理とかはSOA団みんなでやるし、勉強なら私が教えてあげるわ！」

キョン「いや、それは…」

キョン「ただいま」

朝倉「おかえりなさい」

ハルヒ「おじゃましまーす！」

古泉「手伝いにきました」

朝倉「え？」

キョン「すまん」

ハルヒ「あなたがお姉さん？はじめまして、キョンくんと同じクラスの涼宮ハルヒと言います。今日は
　　　　　引っ越し後の荷物整理とかキョンくんの勉強とかを手伝いにきたんです」

朝倉「そっそう…

みくる「こっちの段ボールが食器ですね？食器棚に移しますね」

長門「…」

朝倉（長門さん…）

長門「本棚の整理は任せて欲しい」

ハルヒ「さぁみんなさっさと終わらせるわよ！」

朝倉「…お姉さんってどういうこと？」

キョン「そう説明するしかなかったんだ」

朝倉「ああもう…これじゃ同じクラスになれないじゃない」

キョン「すまん、もっと複雑な家庭の事情とやらをでっちあげればよかったんだろうが、思い浮かばなかったんだ」

朝倉「それだけじゃないわ、長門さん連れてきちゃったらもうどうしようもないわ…すぐにバレるだろうし…」

キョン「長門とは話を付ける必要があるな」

ハルヒ「キョン！お姉さん！あなた達が指示を出さないとはかどらないじゃない！」

キョン「わっわかった！」

ハルヒ「終わったわね、やっぱり大勢でやったらすぐ終わるじゃない」

キョン「みんな今日はありがとう」

ハルヒ「それじゃ次はキョンの勉強ね」

キョン「そっそれはいいんだ、ほら今日はお前も疲れてるだろうし」

ハルヒ「そう？じゃあ明日から私が勉強を教えに来てあげるから」

キョン「だからそれはだな…」

長門「…」

朝倉（もう私が対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェースだってことバレてるみたいね）

長門「…」

ハルヒ「それじゃおじゃましました！」

古泉「また明日よろしくお願いします」

みくる「キョンくんがSOA団に入ってくれて私嬉しいんです、これからもよろしくね」

長門「…」

キョン「長門ちょっとまってくれ」

ハルヒ「どうしたの？」

朝倉「ちょっと長門さんに聞きたい事あるのよ、本の事詳しいでしょ？」

ハルヒ「有希いいの？」

長門「かまわない」

ハルヒ「それじゃ私たちは帰るから、有希も暗くなる前に帰るのよ」

長門「わかった」

キョン「帰ったな」

朝倉「ええ」

長門「先ほどの話だけれど」

キョン「お前が気付いている通り、俺たちはこの世界の人間じゃない」

朝倉「私が対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェースって事はもうわかってるわね？」

長門「…」

キョン「実は、とある理由でこの世界に来なければならなくなったんだ、俺たちの世界にもハルヒやお前たちがいてだな」

朝倉「ようするに異次元なのよ、とてもよく似た世界、わかるわよね？」

長門「わかる」

キョン「お前や統合思念体からみたら、俺たちは突然現れたイレギュラーかもしれないが、害はないんだ」

朝倉「だから私たちを消去とかしないでもらいたいの、情報は好きなだけ提供するわ」

長門「…SFの設定？」

キョン「SFじゃなくて、お前や統合思念体に対してお願いをしてるんだよ」

長門「私にそのような力はない、統合思念体が何かもわからない」

キョン・朝倉「！？」

長門「SF小説もたまには読むけれど、あなた達が話してる本は読んだことはない」

朝倉「…」

キョン「本の話じゃないんだ」

朝倉「まって、この長門さんって本当にただの人間なんじゃないの？」

キョン「何？」

長門「…」

朝倉「とぼけてる感じもしないし、本当にただの人間みたいよ」

キョン「普通の女の子なのか？」

朝倉「それだけじゃないわ、もしかしたらこの世界に統合思念体は存在しないのかもしれない」

長門「…」

翌日

キョン「今日からお前も登校するのか」

朝倉「そうよ、長門さんがただの人間だとわかった今、警戒する必要もないし」

キョン「長門以外に対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェースが存在する可能性はないのか？」

朝倉「それもないわ、長門さんが人間だとわかったあと結構踏み込んで調べてみたんだけど、そのような痕跡がまったくないの」

キョン「そうか、じゃあ朝倉の能力をフルに使用しても問題ないわけだな」

朝倉「人前じゃ朝倉って呼ぶのは止めてよね」

キョン「どうしてだ？」

朝倉「あなたのせいであなたの姉って事で転校するはめになったのよ、だから私を呼ぶときは涼子かお姉ちゃんにして」

キョン「どちらも照れくさいな」

朝倉「私だって照れくさいわよ」

キョン「お姉ちゃん」

朝倉「なぁに？」

キョン「これはダメだな」

朝倉「ちょっと悪い気はしなかったけどね」

キョン「涼子」

朝倉「はい！」

キョン「涼子さん」

朝倉「なぁにキョンくん」

ハルヒ「おはよう！」

キョン「うわっ！」

朝倉「！？」

ハルヒ「姉弟仲良いわね、お姉さんもうちの学校の生徒だったのね」

朝倉「きょっ今日から転校することになったのよ」

ハルヒ「そうなの？お姉さんも転校生なんですか、よかったらSOA団に入りませんか？」

朝倉「ははっ考えておくわ」