のび太「ドラえもーん! スネ夫がDSを貸してくれないよー!」(98)

ドラ「……」

のび太「あんだけ見せびらかしといてさー、ひどいと思わない?」

ドラ「この前お年玉もらったじゃない。あれで買えば……」

のび太「DSは新品で二万もするんだよ! あれっぽちじゃ買えないよ!」

ドラ「……『フエルミラー』。これでコピーしてきなよ……」

のび太「わー! ありがとうドラえもん!」タタタッ

ドラ「……」

ドラ「……二万か」

ドラ「……はぁ」

公園

のび太「スネ夫ー!」タタタッ

スネ夫「何だよ、のび太には貸さないぞ」

のび太「一瞬! 三十秒だけでいいから!」

スネ夫「三十秒だけ? そこまで言うなら……」

のび太「ありがとう!」コソコソ

スネ夫「?」

のび太「はい、返すよ! じゃあねー!」

スネ夫「何だあいつ?」

野比家

のび太「ドラえもん、DSを手に入れたよ!」

ドラ「……良かったね」

のび太「左右逆だけど、タダで手に入ったんだしまあいいや。さっそく遊ぶぞー!」

ドラ「……のび太、ちょっと僕にも貸してくれない?」

のび太「えー、そんな丸い手でできるの?」

ドラ「『フエルミラー』を貸したのは僕だよ」

のび太「ま、いいけど。はい」

ドラ「……タッチペンで操作……Wi-Fiで通信対戦までできるのか。いいよ、のび太。ありがとう」

のび太「……? よーし、遊ぼう!」

ドラ「……はぁ」

翌日

のび太「ドラえもーん!」

ドラ「なんだい、今日は」

のび太「スネ夫がスマホを見せびらかしてくるよー!」

ドラ「小学生にスマホなんて必要ないだろ」

のび太「でーもー……」

ジャイアン「のーびー太ー!」

のび太「あ、ジャイアン!」

ジャイアン「これからボウリング行くぞ! 来なかったら承知しねーからな!」

のび太「ひえええー! ドラえもん、そんなわけだから行ってくるね!」

ドラ「(……ボウリング)」

ドラ「……図書館にでも行くか」

図書館 インターネットコーナー

ドラ「(……iphoneっと)」カタカタ

ドラ「(タッチ操作、音声操作、豊富なアプリ、音楽・動画プレーヤー……)」

ドラ「(……これだけの機能が一つの端末に集まっているのか)」

ドラ「(……)」

ドラ「(そういえばあんなことがあったっけ……)」

ざわ・・・

~~回想~~

のび太「ドラえも~ん! 手紙が綺麗に書けないよ~」

ドラ「しょうがないな~。『ききがきタイプライター』~」

のび太「何それ?」

ドラ「何でもいい、このマイクに向けて喋ってごらん」

のび太「何でもいいからって言われても……、わっ! 喋った通りに書けた!」

ドラ「これなら字が下手な君でも大丈夫だろ」

のび太「よーし、えー、おばさん、このたびは素敵なプレゼントを……」

玉子「のびちゃん!」

のび太「あっ、間違ってママの声が入っちゃったよ。やり直しやり直し……」

~~回想終~~

ドラ「(といってももう二、三十年前のことだけど)」

ドラ「(一度ミスしたら一から書き直さなければならないタイプライター)」

ドラ「(聞けばこれより性能のいいアプリが今はあるらしいじゃないか)」

ドラ「(今は2012年)」

ドラ「(僕がこの時代に来て四十年が経つ)」

ドラ「(そういえば、今は僕が生まれるちょうど百年前じゃないか)」

ドラ「ははっ……」

ボウリング場

のび太「ああっ、またガーター!」

スネ夫「はは、のび太は下手だなぁ」

静香「のび太さん、落ち着いて、力を抜いて!」

ジャイアン「次は俺の番だ。見てろ~」

スネ夫「わっ、またストライク! さっすがジャイアン!」

のび太「うーん……やっぱり僕はダメだなぁ……」

のび太「(でも最近はあんまり失敗するのが嫌じゃないんだよね……。何でだろう?)」

夜 野比家

玉子「おかえりなさい、のびちゃん」

のび太「ただいまー」

ドラ「七時……ちょっと遅いんじゃない?」

のび太「いいよ、ママだって怒らないし」

ドラ「今日はどこ行ってたの?」

のび太「えっと、まずボウリング行って、その次は駅前のゲーセン! で、そのあとマック行って……」

ドラ「空き地は行かなかったのかい?」

のび太「空き地? 何のこと?」

ドラ「昔よく遊んだろ」

のび太「ああ、あそこのこと? あそこなら随分前にパチンコ屋に変わったじゃない」

ドラ「……そうだっけ。野球はしなかったの?」

のび太「野球場にもショッピングモールが建ったじゃないか。でも野球と違ってボウリングはヘマしてもどやされないから助かるよ~」

ドラ「……それは良かった」

翌日

ドラ「やあ、懐かしいものが出てきたよ」

のび太「何だい、それ。古びたアルバム」

ドラ「君が昔集めてた切手だよ」

のび太「切手?」

ドラ「ほら」

のび太「あー、そんなの集めてた気も……」

ドラ「いやぁ、立派じゃないか。あの飽きっぽいのび太がよくぞここまで」

のび太「ん」

ドラ「いやに感慨が薄いじゃないか」

のび太「昔の僕も変わってたよね。何で切手なんか集めてたんだろ」

ドラ「え?」

のび太「最近じゃ手紙出すこともあんまりないのにね」フアッ

ドラ「……」



のび太「ただいまー」

ドラ「……」

のび太「熱心に何をやってるの?」

ドラ「プラモでジオラマを作っているんだよ」

のび太「プラモ? ジオラマ?」

ドラ「何だい、君も昔よくやったろ?」

のび太「そうだっけ。ドラえもんってガンダム好きだったんだね」

ドラ「……」

翌日

「……た……びた……」

のび太「う……ん」

ドラ「のび太、起きろ」

のび太「ドラえもん? もう朝……って、まだ外は真っ暗じゃないか。もっかい寝よ」

ドラ「のび太、起きてくれ。大事な話があるんだ」

のび太「大事な話?」

ドラ「ちょっと、裏山まで散歩をしないか」

のび太「……ふぁっ」

裏山

ドラ「『夢風鈴』。これで他の三人もこっちに来る」

のび太「で、こんな時間に大事な話って何さ。それも裏山で」

ドラ「……この裏山も変わったね」

のび太「そうね。だいぶ小さくなった」

ドラ「のび太は裏山が好きなんだよね」

のび太「うん。つらいことがあるといつもここに来るんだ。鳥や木たちが優しく迎えてくれる」

ドラ「……皆来たようだ」

ジャイアン「むにゃ……」

スネ夫「ふが……」

静香「すーすー……」

ドラ「皆、起きてくれ」

ジャイアン「んご……おわっ!? 俺は部屋にいたはずなのに!?」

スネ夫「あれ、ここどこ?」

静香「ドラちゃん」

のび太「ドラえもん、何を始めるつもりなんだい?」

ドラえもん「少し長くなるかもしれない。でも大事なことだ。聞いてほしい」

のび太「……」

ドラえもん「1969年」

のび太「ドラえもん、何が始まるんです?」

ドラえもん将軍「第三次対戦だ!」

ドラ「僕が初めてここに来たのはその年だった」

のび太「そうだっけ。もうそんなになるのかー」

ドラ「憶えているかい、あれはお正月だったね」

のび太「確か僕が首つりになったり、空から落ちたりしたっけ」

ドラ「あれから実に色々なことがあった」

スネ夫「タイムマシンで恐竜の時代を冒険したこともあったね」

ジャイアン「遠い星を冒険したり」

静香「アフリカの奥地を冒険したりもしたわ」

>>41
死ね

>>42

ドラ「僕らの間でも色々なことがあった。海底人と会ったり、魔法の世界を旅したり、宇宙戦争に巻き込まれたり、ロボットの惑星からの襲撃を受けたり」

のび太「懐かしいなぁ」

ドラ「だけど、世の中でも色々なことがあった」

ドラ「沖縄県返還、ベトナム戦争、オイルショック、ベルリンの壁崩壊、湾岸戦争、ソ連の解体」

ジャイアン「そんなこと言われてもよく分かんねえよ」

ドラ「政治だけじゃない。僕らの生活も変わってきた」

ドラ「ゲームウォッチの発売、ポケベル・PHSの登場、コンビニエンスストアの台頭」

ドラ「そして今、君たちはDSだのスマホだのを手にしている」

ドラ「僕らは止まった時を生きている。だけど時代は動いている」

ドラえもん「昔は君たちは空き地の土管に腰をかけていたんだ」

ジャイアン「そういえば……」

ドラえもん「遊びといえば草野球だった」

スネ夫「よくジャイアンに殴られたっけ」

ドラえもん「切手を集め、ジオラマを作った」

静香「のび太さんたち、よくやってたわね」

ドラえもん「時代は変わった」

ドラえもん「僕はね、2112年の9月3日に生まれたんだ。今から百年後だよ」

のび太「そうなんだ」

ドラえもん「今や技術は僕の時代に追いつこうとしている。すでに実現されている秘密道具もいくつかある」

ドラえもん「僕は未来から来た」

ドラえもん「僕はこの星の未来を知っている」

ドラえもん「間もなく恐るべきスピードで、君たちの文明が僕らの文明に追いつくことを知っている」

ドラえもん「その時……その時どうする?」

ドラえもん「SFという言葉の意味を知っているかい?」

スネ夫「サイエンス・フィクションだろ」

ドラえもん「そうとも言う。だけど僕らにとっては『すこし不思議な物語』なんだ」

のび太「なんだそりゃ」

静香「ある有名なSF漫画化がそう言ったんだよ」

ジャイアン「へー」

ドラえもん「今の子供たちに『あべこべ』という言葉の意味がわかるかい? 外を歩けば友達に会える世界なんて想像がつくのかい?」

ドラえもん「だから僕らは変わるしかなかった」

ドラえもん「僕らは携帯電話を手にし、最新のゲーム機器で遊ぶようになった」

ドラえもん「一方で当然のように空き地に集まり、草野球をしている」

ドラえもん「何たるカオス」

ドラえもん「これはもはや『すこし不思議な物語』でも何でもない」

ドラえもん「そういえばこんな話を知っているかい?」

ドラえもん「『ドラえもんのうた』の歌詞が改変された」

のび太「そんなことがあったの?」

ドラえもん「おもちゃの兵隊だ♪ の後。『それ、突撃』が『皆がんばれ』へと」

スネ夫「わりとどうでもいい」

ドラえもん「最近では飲み薬の形をした道具もNGらしい」

静香「そういえば最近見ないわね」

ドラえもん「……長くなったけど、僕が伝えたいことはこれだけだ」

ドラえもん「『ドラえもん』は、永遠に続けられる世界じゃない」

ドラえもん「2112年はいつか来る」

ドラえもん「その時、僕は」

ドラえもん「その時、僕は……」

ドラえもん「消えるしかない」

ドラえもん「『メビウスの輪』。裏と表が繋がっているんだ」

ドラえもん「今、これを切ろう」

ドラえもん「時代は進みだす」

ドラえもん「当然、僕はここにはいられない」

ドラえもん「先に帰らせてもらうよ。『タイムベルト』」

のび太「ドラえもん……?」

ドラえもん「大丈夫、君の未来は変わった。実は、僕の役目はもうとっくに終わっていたんだ」

のび太「行っちゃやだよ、ドラえもん。ドラえもん!」

ドラえもん「さようなら、のび太。僕は2112年の未来へ、君は2012年の今へ」

のび太「ドラえも~~~ん!!!!!」

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2012年 1月

ノビスケ「ただいま~」

静香「まあ、ノビスケったらこんなに酔っぱらって!」

のび太「まぁまぁ。ノビスケだってもう大学生だ。それくらい多めに見てあげよう」

ノビスケ「へろへろ~」

静香「はい。水」

ノビスケ「ありがとぉ~」

のび太「で、ガールフレンドはいつ紹介してくれるんだい?」

ノビスケ「今度ね、今度」

のび太「僕が静香と付き合い始めたのも大学生の時だったよ。懐かしいな」

ノビスケ「ふーん」

ノビスケ「ねえ、親父」

のび太「ん?」

ノビスケ「久しぶりにあのロボットの話してよ」

のび太「ん、ああ」

ノビスケ「名前はなって言ったっけ……確か……」

のび太「ドラえもん」

END

ざっと読み返したけど話的にはイミフだなwww

まあSSが書きたかったというよりは現在のドラえもんの在り方を改めて考えてみようと思っただけなんだ
やはりドラえもんは昭和の作品であり、その世界観の中で生きているのだと思う
平成、それもテクノロジーが急速に進歩している現代にドラえもんという作品をどうやって残していくのか
別にわさびドラ批判じゃないから勘ぐらないでね

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