内田「マコちゃんは私の言うこと聞かないといけないんだから!」(234)

マコちゃん「どうしたんだよ内田…?オレなにかしたか…?」オロオロ

内田「だって…私っていつも千秋や夏奈ちゃんにイジメられてるんだもん!」

マコちゃん「それ…オレは関係ないんじゃ…」

内田「マコト君は私に弱味を握られてるんだから言うこと聞くのが正しいんだよ!」

マコちゃん「ば…ばかっ!ここでその名前で呼んじゃ…」アセアセ

夏奈「おーい内田ー?あんまりこの家ではマコちゃんイジメんなよー?」

内田「私イジメてなんかないもん…」プクー

マコちゃん「春香さんや千秋に聞かれたらどうするんだよぅ」ウルウル

千秋「なんだ大声出して…ん?マコちゃん?さては夏奈がなにか…」ジトー

夏奈「いやいや、私じゃなくて内田だから内田」

千秋「内田?」ジトー

内田「な…なんで私なの!悪いのはマコト……マコちゃんなんだから!」

マコちゃん「わー!わかったから!もうわかったから!!」

千秋「んー…なにかしたのかマコちゃん?」

マコちゃん「えっと…したのかもしれない…です……」

内田「ふんっ…」プンプン

マコちゃん(なんでこうなってるんだ…)

千秋「そっか、早く仲直りしてくれよ」

マコちゃん「はい…」シュン

内田「私はマコちゃんしだいかな?」

マコちゃん「ぐぬぬ…」

夏奈「なんだい、ずいぶん楽しそうなことしてるじゃないか?」

内田「べっつにー?私はちょっと甘やかしすぎた事に気づいちゃったんだよ。ねーマコちゃん?」

マコちゃん「…はい」シュン

夏奈「あー…そっか、マコちゃんちょいとおいで?」チョイチョイ

マコちゃん「なんだよ夏奈…」ドヨーン

夏奈「内田はいったいどうした?妙に生き生きしてるぞ?」

マコちゃん「なんか…いきなりオレの正体バラすとか言われたんだ…」

夏奈「ほう…お前なにかしたのか?」

マコ「夏奈じゃないんだからするわけないだろ?」

バシッ!

マコ「ゴメンナサイ…」

夏奈「で?実際のとこの心当たりは?」

マコちゃん「えっと…いつも夏奈や千秋にイジメられてとか言ってた気がする…」

夏奈「それがどうさっきと繋がるんだ?」

マコちゃん「あと…オレは内田に弱味を握られてるんだから言うこと聞けって…」

夏奈「はは~ん…」ピコーン

マコちゃん「?」

夏奈「さすが私だ…お前は少し私を讃えてもいいんだよ?」

マコちゃん「なんだよ!なにかわかったんなら話してよっ!!」

夏奈「いやね、あいつただたんにチヤホヤされたいんじゃないか?」

マコちゃん「え?どうして…」

夏奈「でも実際そんな事はされたりしない…そこでお前に目をつけたってトコなんだろーね」

マコちゃん「よくわかんないけど…オレはどうしたらいいの…?」

夏奈「お前は内田の言うことでも聞いていればいいさ。お前だって正体はバラされたくないだろ?」

マコちゃん「それはそうだけどさ…」

夏奈「それに相手は内田だ。そんな無茶難題は言わないだろ。まぁ少しメルヘンチックな事はあるかもしれないな」

マコちゃん「メ、メルヘンチック…」ゴクリ

夏奈「おい、今おかしなことを考えてたんじゃないか…?」ジトー

マコちゃん「し、知らないよ!考えてもないよ!」アセアセ

夏奈「子供なのにとんだおませさんだねお前は…」

マコちゃん「あれ?もうこんな時間だ大変だ帰らなくちゃー」アセアセ

夏奈「帰るのか?う~ん…そうだ。内田、お前もマコちゃんと一緒に帰れ」

マコちゃん「か、夏奈!何を…」

内田「う~ん…わかった。

千秋「なんだ、マコちゃん達は帰るのか?」

春香「二人とも気を付けて帰ってね?」

マコ「はい!春香さん!!」

内田「春香ちゃん、夏奈ちゃん、千秋ばいばーい」

夏奈「じゃーなぁ!」

バタンッ

内田「うん、これで話し合えるねマコト君?帰りながらでいいよね?」

マコちゃん「この格好の時はマコちゃんって呼んで…いや、俺はマコトなんだぞ?え?どうしよう内田?」

内田「え?どうしたらいいかな……その前にいちおうは気にしてはいたんだね……」

マコちゃん「当たり前だ!」

内田「てっきり女の子になりたいのかなーって?」

マコちゃん「オ、オレにはほら…あふれだすワイルドさと生まれもったダンディズムが……」

内田「もうそんなのマコちゃんにはないよね…」

マコちゃん「………」ウルウル

内田「ほら、いつまでもドアの前にいたら春香ちゃんや千秋に聞かれちゃうよ?」

マコちゃん「そ、それは困るよ!行こう内田!!」アセアセ

内田「なんでマコト…マコちゃんが私に命令するの!」

マコちゃん「え?」

内田「マコちゃんは私の言うこと聞かないといけないんだから!」

マコちゃん「え!?あれまだやっぱり続いてたの…?」

内田「当然です!だから私に命令したらダメなんだからね?」

──帰宅中──

マコちゃん「結局さ、内田はオレになにをさせたいの?」

内田「え!?させたいこと?させたいこと……」アセアセ

マコちゃん「まぁあんなこと言うぐらいだからきっと何かあるとは思うけどさ?」

内田「と、当然だよ?いっぱいあるんだからね?」アセアセ

内田(どうしよ…咄嗟に言っちゃったなんていえないよ……けど、マコト君は言うこと聞いてくれそうだし…)

マコちゃん「内田?どうしたんだ?」

内田「えっと…じゃあね、いつも私の味方になって…欲しいなぁーって……?」チラッ

マコちゃん「味方?」

内田「うん…」

マコちゃん「う~ん?内田の味方…味方?」

内田「味方!」

マコちゃん「味方…」

内田「私がピンチになってたらマコト君が私を助けるの」

マコちゃん「オレが内田を助ける…」

内田「うん…ダメ…?」

マコちゃん「それなら別にいいぞ?」

内田「え!?マコト君ほんと?」

マコちゃん「オレは男だから約束は守るよ!」

内田「男だから……ねぇ…?」プププ

マコちゃん「失礼だぞ内田!格好はこうだけどさ…」シュン

内田「え?あっ!違うのマコト君ごめんね…?」アセアセ

マコちゃん「いや、いいけど…」

内田「でも…もし約束破ったらマコちゃんの正体バラすんだから!」

マコちゃん「強気なんだか弱気なんだか…」

内田「じゃ…じゃあ…命令しちゃおっかなぁ…?」チラッ

マコちゃん「オレの弱味を握られてる以上仕方ない!」

内田「そ、そうだよ。マコト君は弱味を握られてるんだから」フフン

マコちゃん「はいはい」

内田「いっぱいいっぱい困らせちゃうんだから!」

マコちゃん「ほどほどにお願いします」ペコリ

内田「それじゃ…今日は私を家まで送っていってね?」

マコちゃん「まぁ…危ないし、男らしい仕事だな!」

内田「えへへ」ニコニコ

マコちゃん「そういえば…いっしょに遊んだ後とか途中まで一緒だけどいつも内田を1人で帰らせてたな」

内田「うーん…そうだっけ?」

マコちゃん「こんどから送っていってあげよう!」

内田「あ…うん、ありがと…」テレテレ

マコちゃん「気にするな!これは父親ゆずりのサービス精神だ」

内田(なんだかこうやって気遣われるっていいかも…)

内田「ねぇ、マコト君…明日からもお願いだよ?」

マコちゃん「うん、任せろ!」

内田「じゃあ…今日はここでいいよ?ばいばーい」タタタッ

マコちゃん「あ、おい!気を付けるんだぞー!!」

マコちゃん(味方か…どうしたらいいのか…)

──翌日、マコトの教室──

マコト(内田の味方…つまり味方なんだから内田が不利になった場合、守ってあげたらいいはず…)

マコト(内田が不利…考えたら内田はいつも夏奈に泣かされてた気が……)

マコト(その状態で内田の味方になったら矛先はオレに?……まさかね…?夏奈だってわかってくれるはずだよな…)

内田「マコト君どうしたの?なにか考えてる顔してるよ?」

マコト「内田の味方になる事について考えてたんだ。そしたら1つの壁にぶつかったんだ…」

内田「えっ!そうなんだ?おしえておしえて!!」

マコト「夏奈が重要なんじゃないかって…けどそれで内田の味方になったら夏奈がどう出てくるか…」

内田「もうちょっと詳しく教えてくれたらわかるかも」

マコト「わかった、内田はいままでオレが見てきて夏奈によく泣かされていたんだよ」

内田「うぅ…確かに夏奈ちゃんにはよくイジメられてた気がする…」

マコト「そこでオレが内田の味方になったら夏奈がなにをするか…しかもお前たちはマコちゃんについて知ってる…」

マコト「この場合は無視してもいい?」

内田「え?ヤ、ヤダよマコト君!味方になってくれるんじゃなかったの!?」

マコト「だって…夏奈だし…」

内田「マコト君は言ったもん!守るって言ったもん!!」

マコト「わ、わかったから、ちゃんと守るからもう少し静かに…」アセアセ

内田「それに夏奈ちゃんだけじゃないもん…千秋や冬馬だっているもん…」

マコト「そうなんだ…千秋や冬馬……ん?吉野は違うのか?」

内田「吉野ちゃん?吉野ちゃんは優しいしいい子だよ?」

吉野「私がどうかしたのかな?」ニコニコ

マコト「うわっ!」

内田「あ、吉野ちゃん」

吉野「さっき大きい声出してたけどなにかあったの?」ニコニコ

内田「ううん、大丈夫だよ?ちょっとマコト君が酷いこと言うから…」

吉野「そうなのマコト君?」ニコニコ

マコト「いえ…その……」アセアセ

吉野「私…嫌われるようなことしちゃったかな?」ニコニコ

マコちゃん(うぅ…吉野はマコちゃんの正体に気づいてるきがするんだよな……あとなに考えてるかわかんないから怖いよ…)

内田「マコト君?吉野ちゃんに謝って!」

マコト「え…?あ、ごめん吉野…」

吉野「私は大丈夫だよ?ありがとユカちゃん。」ニコニコ

吉野「でもね…こんな私でも傷ついたりとかしちゃうんだよ…マコト君…?」クスクス

マコト「!?」ゾゾッ

マコト(なんだ…今、吉野からすごいオーラ的なもの感じだけど…)

内田「女の子はとてもデリケートなんだからね」

マコト「はい…」

吉野「ユカちゃん、きっとマコト君なら女の子の気持ちわかってくれてるから今度から大丈夫だよ。ね、マコト君?」ニコニコ

マコト「えっ!?も、もちろん!」

内田「ぷぷっ…女の子の気持ち…ぷふふ……」

マコト「内田、妙に引っ掛かるとこで笑うなよ。俺は男なんだからな?」

内田「そう、マコト君は男の子なんだから約束は守るべきなんです!」

マコト「わかってるよ…もう……」

吉野「なんだか二人とも前より仲が良くなったように見えるね?」ニコニコ

内田「えへへ、実はねマコト君はね……」

マコト「わーっ!あんまり言いふらすなって!!」

内田「もう…うるさいなー…えっとね、マコト君は今度から私の……」

吉野「私の?」ニコニコ

内田(えっと…なんだろ…味方って言うのも変だし…なんて言えば…そうだ!この前マンガで読んだあれだっ!!)

内田「ゴホン…今度からマコト君は私の執事なんだよ!」

マコト「…えっ?」

吉野「そうなんだ?すごいね」ニコニコ

マコト「そ、そんなのオレ聞いてないぞ!!」

内田「執事、それは仕える者。執事、それはかしずく者。執事、それは主の生活全てをサポートするフォーマルな守護者なんだよ?」

マコト「えーと…そうなのか?」

吉野「さぁ?」ニコニコ

内田「今のマコト君にはぴったりなんじゃないかなって?」

マコト「あー…だいたい言いたいことはわかった。それで別に構わないけど…あまり無茶なのはできないぞ?」

内田「そこまでは期待してないから大丈夫だよ?」

マコト「吉野、俺はたった今から執事の一番星を目指すことにしたよ!」

吉野「じゃあもっと紳士にならないとだね」ニコニコ

マコト「むむ…やはりオレから出ているダンディズムでは足りないというわけだな?」

内田「ぷぷっ…ダンディズム…マコト君がダンディズム……ねぇ?」

マコト「なんか内田がやらしい感じだな?」

吉野「でもユカちゃん嬉しそうだよ?」ニコニコ

吉野「その前に二人とも、そろそろ授業が始まっちゃうよ?」

内田「あっ!もう授業始まっちゃうの?準備しなきゃ!後でね吉野ちゃん」

マコト「そうだな、オレは今日当てられそうな気がするから助けを借りなければ」

吉野「うん、また後でね?」ニコニコ

吉野「………」ニコニコ

吉野「ふーん…執事かぁ……なんだか二人とも面白いことしてるね…」

吉野「いいなあ…私だったら…うん、メイドさんが欲しいかなあ……」クスクス

──南家──

千秋「今日はやはり内田だけなんだな」

内田「なんだかあんまり友好的に聞こえない言い方だね?」

夏奈「いつもなら冬馬や吉野も一緒に来るからじゃないの?お前たちはウチのおやつを目的としてるからね?特に内田はね」

内田「わ、私はそれだけじゃないもん!?」

千秋「ん、内田はよく食べ、よく泣くイメージが…あんまりいじめてやるなよ夏奈?」

内田「………」ジトー

夏奈「まるで自分は一切そんなことをしたことないって言わんばかりだね千秋?」

千秋「私は指摘していい方向に導いてやってるのさ。それをイジメに捉えるのはどうかと思うよ」

夏奈「と、ウチの千秋様が言っておられるが実際のとこはどうなんだ内田?」

内田「え?ここで私ですかっ!」

千秋「どうなんだ内田?」ジトー

内田「えっと……そのう…」アタフタ

千秋「………」ジトー

内田「助けて夏奈ちゃん!千秋が見逃してくれなさそうな感じになっちゃった!」グスッ

夏奈「まぁあれだよ千秋?お前は周りはよく見えてるが自分自身が見えてないんだよ。お前の言葉の節々はあれだよ?人の心の中を野球のスパイクで走り回るかのような所業なんだよ。痛いどころかよもやどこが痛いかもわからない状態に……」

ピンポーン

千秋「客人だな。私が出よう」タタタッ

夏奈「あいつ聞いてなかったな絶対」

マコちゃん「こんにちわ!」

夏奈「おぉ!マコちゃんか、元気だねお前?」ヤメテヨカナチャン!

マコちゃん「元気じゃない奴が来てもつまらないだろ?」

夏奈「だそうだぞ千秋?少しはマコちゃんを見習えよ」アハハクスグッチャダメダヨ!

千秋「そうだったのかマコちゃん……?」

マコちゃん「違うよ?全然違うよ?千秋は大丈夫だよ具体的には言えないけど」

内田「そろそろ気づいてくれてもいいんじゃないかな!」ハァハァ

マコちゃん「いや、マウント状態からのくすぐられる斬新な遊びかと?」

内田「そんな遊び聞いたことないもんっ!」

千秋「おい夏奈、この乾燥した季節に埃をあげるような行為は外でやれよ」

内田「ひどいっ!」

内田「それよりマコちゃん!なんですぐに助けてくれなかったのっ!約束したよねっ!」プンプン

千秋「約束?」

夏奈「なんだなんだ?面白そうじゃないか?」ニヤニヤ

マコちゃん「えっ!そのう…」アタフタ

内田「ふんだ…」プンプン

マコちゃん「ごめんな内田?やっぱり怒ってる…?」

内田「そ…そんなに素直に謝られたら怒れないんじゃないかな……」

マコちゃん「あはは、内田は優しいな?」

内田「別に…今日はたまたまなんだからねっ!」

夏奈「なんかあっちから違う空気がでているね千秋?」

千秋「うむ、マコちゃんにかかればどんな女もイチコロだな」

内田「なんだか…今日のマコちゃんからは余裕みたいのを感じるよ……」

マコ「そうかな?でも…内田を守るためだからよく見てあげないとな!」

内田「えっ!あ…うん、ありがとう……」カァァ

夏奈「そっかそっか」ニヤニヤ

千秋「なにをお前は理解してるつもりになっているんだ?」

夏奈「千秋、これはいよいよもっておかしなことが見物できるかもしれないよ?」ニヤニヤ

千秋「おぉ!ついにおかしなこととやらがか?」

内田「おかしなこと?」

マコちゃん「はいはい!2人とも今の夏奈の言ったことは忘れてっ!」

千秋「なんだ、おかしなことは起きないのか?」

マコちゃん「起きないよっ!」

マコちゃん「いや…起きないというか…その、機会があればとは思うけど、なるべくは正式な相手とですね…」カァァ…

千秋「うんうん」

夏奈「でだ内田、おかしなことというのはだね内田?」

内田「はい、先生!」

マコ「はい!しゅーりょー!この話題しゅーりょー!!」

内田「えー?私まだおかしなこと聞いてないよ?」

マコちゃん「聞かなくていいですから!」

千秋「マコちゃんにとっておかしなこととは誰にでもしたいものなのか?」

マコ「えぇっ!?節操のない者ではないと思いますけど……やはり正式な相手がいいです…」カァァ

夏奈「あははははは」

マコちゃん「おい、止めろよ夏奈!」

夏奈「いやいや、こんなに面白い状況を止めるのは野暮ってものじゃないかマコちゃん?」ニヤニヤ

マコ「うわあぁぁぁぁぁぁぁん」ダダダッ…

夏奈「来たばかりなのに出ていっちゃったよ?」

内田「ま、待ってよ!おかしなことを聞かせて貰ってないんだから!」ダダダッ…

夏奈「やれやれ…やはり高学年になれば多感な時期だねぇ…そうだろ千秋?」

千秋「どこの中年オヤジだよバカ野郎。みんないっちまったじゃーねーかバカ野郎」

夏奈「なにっ!」

千秋「お前と一緒にいてもあまり仕方ないから部屋に戻るよ」スタスタ

夏奈「ならばお前とおかしなことを……」ジリジリ…

千秋「ヤメロー!このバカ野郎!!」ダダダッ…

マコちゃん「………」トボトボ

マコちゃん(あまりに気まずくて外に飛び出しちゃったよ…何をやってるんだろうオレ…春香さんにも会わずに……)

マコちゃん(夏奈の奴もオレの事情を知ってるもんだから思いっきり楽しんでるみたいだったし……)

マコちゃん「はぁ……」

マコちゃん(姉ちゃんにバレないように早く家に帰らなくっちゃなぁ…せっかくマコちゃんになったのに……)

ダダダダダダ…

マコちゃん(今日はけっこう可愛くしてきたつもりだったのになぁ…きっと春香さんは褒めてくれてたよね?…えへへ)テレテレ

内田「はぁはぁ…待ってよーマコト君!」ダダダッ

マコちゃん「あぇ?内田??」

内田「なんで私を置いて……はぁはぁ…先に帰っちゃうのっ!」

マコちゃん「ご、ごめん!とりあえず落ち着こう?ちゃんと待つからさ…?」アセアセ

内田「あ、ありがとうマコト君……はぁはぁ…」

マコちゃん「あ、オレなにか飲み物買ってくるからそこのベンチで休んでいたらいいよ?」

内田「え?うん…ありがと」

マコちゃん(きっと…千秋や夏奈と一緒にいたんじゃイジメられると思って出てきちゃったんだろうな)

マコちゃん(気持ちわからないでもないけど内田はまだまだ子供だな!)

──ベンチ──

マコちゃん「お待たせ!はい、ココア買ってきたけど大丈夫だったか?」

内田「うん!マコト君にしてはなかなかだよ?」

マコちゃん「そうだろ?走ってきたみたいだったからきっと汗が冷えて寒くなるのではと予測したんだ!」

内田「ごめん、やっぱりマコト君デリカシーないよ…」

マコちゃん「あれ?なんでだ…?」

内田「はぁ…もういいよ…ココア温かいし…えへへ」

マコ「そっか、じゃあこれは忘れよう」

内田「なんか切り替え早すぎてイヤかも…というか!なんで私を置いて出ていったの!」プンプン

マコちゃん「あれ?なんでだ…」

内田「マコト君、執事が主人を残してどこかに行ったらダメなんだから!ちゃんとエスコートしなきゃ!」プンプン

マコちゃん「だ、だって…千秋や夏奈が……」ウルウル

内田「もう…マコト君ってまだまだ子供なんだね」フフン

マコちゃん「なっ!内田はオレが家に上がったとき泣いてたじゃないか!!」

内田「な、泣いてないもん!マコト君は泣きながら出ていったじゃない!」

マコちゃん「それは…幻覚では?オレは少し外の風を感じたかったんだ。だって大人だからな」

内田「すごく無茶な言い訳だ!でも…そっか、マコト君大人なんだ…大人……」

マコちゃん「主に雰囲気とかが滲みでてるよ?」エヘン

内田「コホン…それでは大人のマコト君にちょっと聞きたいことがあります!」

マコちゃん「おぉ!なんだ?なんでも答えるよ!」

内田「ずばり…おかしなことってなに?」

マコちゃん「え…?いや……その……」カァァ

内田「どうしたのマコト君?たしか大人なんだよね?まさか…知らないの?」ニヤニヤ

マコちゃん「だって…それは……」オロオロ

内田「マコト君、マコト君は私の言うこと聞かないといけないんだよ?私が質問してるんだから答えて!」ニヤニヤ

マコちゃん「その…キスとか……です…」カァァ

内田「えっ!?おかしなことってキスのことなの?」

マコちゃん「……たぶん」カァァ

内田「ふーん、キスかぁ…」

マコちゃん「なんでそんなにリアクション薄いの…?だってキスだぞ!」

内田「TVとか漫画とかでよく見てるからかな?なんか…もっとすごいものなのかなーって思ってて」

マコちゃん「なんか…内田ってすごいんだな……」

内田「そうかな?それじゃ…もう少しすごいこと言っていい?」

マコちゃん「あぁ、どんとこい!もう驚かないぞ?」

内田「じゃあ…言うね?マコト君、私とキスしてみない…?」ドキドキ

マコちゃん「よし、任せろ!……………えぇっ!?」

内田「それじゃ…いくね?……んっ…」

マコちゃん「わわっ!待ってよ!!」

内田「マコト君、任せろって言ったよ?それとも…私とじゃイヤだった……?」グスッ

マコちゃん「えっと…イヤじゃないけど…あまりに急だし…それになんでキス…するの……?」カァァ

内田「だって…気になるんだもん。おかしなこと……」

マコちゃん「気になるって……」

内田「しょうがないじゃん!気になるんだもん…だから解決したくてマコト君に言ってるんだよ…?」

マコちゃん「………」

内田「それに今はマコト君、私の執事だから……」

マコちゃん「それは…そうだけど……」

内田「マコト君…たまにカッコいいところとかあるのに…今はただの女の子みたい…」イジイジ

マコちゃん「だってその……オレには……」シュン

内田「……オレには?」

マコちゃん(だってオレには春香さんが…でもこれは憧れであってオレがどうかしたいとかじゃないんだ……)

マコちゃん(春香さん…オレより大人だからきっとキスとかも普通なんだろうな……だとしたらオレみたいな子供なんか興味なんて……)

内田「もう、聞いてるの?」

マコちゃん「…………」

内田「……おーい?」

マコちゃん「…………」

内田「…………んっ」チュッ

マコちゃん「…………!?!?」

内田「わぁ…こんな感じなんだ……マコト君の唇柔らかかったよ?」ドキドキ

マコちゃん「な!なにしてるんだよ!!」ゴシゴシ!

内田「うぅ…そんな一生懸命拭かなくてもいいんじゃないかな……結構ショックかも…」グスッ

マコちゃん「あの…イヤだったわけじゃなくて……その、反射的に…」

内田「ふぅん…イヤじゃなかったんだ?ねぇねぇ、どうだった?」ニヤニヤ

マコちゃん「え?えっと…急だったからわかんないよ…」モジモジ

内田「えー?せっかくのキスなんだからちゃんと感想聞きたかったのにぃ!」

マコちゃん「ごめんなさい……」

内田「これでマコちゃんじゃなくてマコト君の姿ならもっとよかったかも」ニヤニヤ

マコちゃん「なっ…!?」カァァ

内田「あはは、嘘だよマコト君?結構悪くなかったよ?」

マコちゃん「そ、そっか…それならよかったよアハハ……」ドキドキ

マコちゃん(春香さんごめんなさい…オレの初めては春香さんがいいと思っていましたが無理になっちゃいました……)

内田「でも…覚えてないっていうのは傷ついちゃったな…」

マコちゃん「だって……」

内田「ね?今度はマコト君からして?マコト君の意思で私に…」

マコちゃん「!!…それは……」カァァ

内田「ねぇマコト君?」

マコちゃん「………」モジモジ

内田「マコト君?イヤじゃなかったんだよね…?」ギュッ

マコちゃん「うひゃあ!な、なんで抱きついてるんだ!」ドキドキ

内田「それより…マコト君、女の子がここまでしてるんだよ?それでも…ダメ……?」

マコちゃん(どうしよう…すごくドキドキする!内田の顔は近いし、なんか内田の腕が絡んでて軽く引き寄せられるだけで…その………)

内田「マコト…くん…?」

マコちゃん(なんでそんな切なそうな顔してるんだよ…なんか、ボーッとしてきた…オレから内田にキス……?)

内田「いいんだよ…ほら……ん…」

マコちゃん(あぁ…春香さん、ごめんなさい…オレ……)

マコちゃん「……ん…」チュッ

内田「…ふぅ…んっ……」ギュッ…

マコちゃん(すごい…これがキスなんだ…内田の甘い…柔らかい…もっと…もっと……)

マコちゃん「…はぁ…んぅ…ふっ…はぁ……ん」ギュッ

内田「ん…んっ!…ぷはぁ…ちょっと、マコトく…!…んふ…」ギュッ

マコちゃん(気持ちいい…内田ってこんなに可愛かったんだ…もっと…内田ともっとキスしたい…もっと…もっと…もっと……)

内田「やぁ……ん!……ちゅ…ふぅん……」ギュッ

マコちゃん「…はむ……ちゅ…んっ……」ギュッ

内田「…んふっ…んっ……はぁ…ストップ、マコトく……んっ……」スッ…

マコちゃん「んっ…はぁはぁ…内田ぁ……もっとぉ……」トロン

内田「あはは…もうおしまい。マコト君、すっごく気持ち良さそうだったね……」テレテレ

マコちゃん「はぁはぁ…そんなぁ……」シュン

内田「ありがとうマコト君…すっごく可愛かったよ?それで…どうだった?私とのキス……」ドキドキ

マコちゃん「あぅ…一応、男だ……感想は言わなきゃダメなのか…?」チラッ

内田「私は聞きたくてキスしたんだけどなぁ?」ジトー

マコちゃん「うぅ……」カァァ

マコちゃん「えっと…内田の……は………」カァァ

内田「なになに…?」ドキドキ

マコちゃん「その、柔らかくて…甘かった…ぞ……」モジモジ

内田「えっと…ココアのせいかな?そっか…ほかにはもっとないの?」

マコちゃん「うぅ…結構恥ずかしいよ…?」

内田「うーん…聞き足りないけど……うん、わかった。マコト君、ありがとね」ニコッ

マコちゃん「え…いや……オレなんと言えば……」モジモジ

内田「私がキスしてみたかっただけだもん。でも、女の子とキスしただけだもんね」ニヤニヤ

マコちゃん「……男だ」ボソッ…

内田「ん?何か言ったかなマコト君??」

マコちゃん「いいよもう…」シュン

内田「そうなの?じゃあ気にしないね」

マコちゃん「なぁ、こんな簡単にキスして良かったのか?その…内田は…初めて……じゃないのか?」ドキドキ

内田「うん、初めてだったよ?マコト君もでしょ?」

マコちゃん「オレも初めてだよ…って違うよっ!なんでそんなに平気なんだよっ!!なんか変だよ…」

内田「うーん…なんでかなぁ……じゃあマコト君はどうだったらよかったの?」

マコちゃん「なっ!質問を質問で返すのはズルいじゃないか内田!」

内田「あはは、バレちゃったか…うーん…それじゃもう少ししたら教えてあげる。それまで秘密ってことにしよ?」

マコちゃん「なんか腑に落ちないけど…わかった、それまで待つよ…」

内田「ありがとねマコト君。」

マコちゃん「内田がなに考えているのかさっぱりわかんないよ…」

内田「べ、別になにかしようとしてないもん!マコト君は私の執事をしてくれてたらいいのっ!」

マコちゃん「執事はその…キスもしなきゃ…いけないの…?」カァァ…

内田「あれ?もうしたくなっちゃったの?」ニヤニヤ

マコ「そそそんなわけないだろ!オレには春香さんが…」

内田「あー…そうだね、マコト君は春香ちゃんのこと…」

マコちゃん「あ、憧れだから!内田は早とちりだなっ!」アセアセ

内田「………」ジトー

マコちゃん「な、なに…?」

内田「別に…なんでもないもん。それじゃそろそろ帰ろうかな?」

マコちゃん「あれ?内田、お前はぐらかそうとしてないか?」

内田「きっと気のせいだよ。マコト君、今日はエスコートしなくていいよ?」

マコちゃん「おぉ?なんでだ?ちゃんと送ってくよ?」

内田「ううん、今日は大丈夫…ありがとね、マコト君……」ボソッ…

マコちゃん「え?なにか言った?」

内田「ううん…ばいばいマコト君」

マコちゃん「うん、また明日な!」

──マコトの部屋──

マコト「はぁ…」

マコト(今日はなんか…いろいろあった気がするなあ)

マコト(オレ…内田としちゃったんだな……)

マコト(春香さんのこと…気になってるのに…オレ、内田に夢中になって……最低だよな…)ズーン

マコト(なんか布団に入ったらいろいろ考えてしまうな…)

マコト「柔らかかったなぁ…って違うよ!!」

マコト(あぁ…なんかモヤモヤする…なんなんだよこれ!)

マコト(無心だ。無心にして煩悩を払うんだマコト!)

マコト(キスの事が浮かんできてもオレの鉄の意思で振り払うんだマコト!)

マコト(え?……キス…?)

)マコト「うわあああああああ!」ジタバタ

──翌日の教室──

マコト「………」

内田「どうしたのマコト君?すごく辛そうだけど?」

マコト「いや…ちょっと寝つきが悪かったんだ…うん」

内田「ふ~ん、なんでかな?」ニヤニヤ

マコト「知らないよっ!」プイッ

内田「あ、怒らないでよマコト君…ごめんね?」テヘペロ

マコト(落ち着けマコト、弱味を握られてる以上うかつな事はできない…ここは心を寛大にしないと…)

マコト「オコッテナイヨホントダヨ?」

内田「それならいいけど…今日も千秋の家に行くけど…ぷふっ……マコちゃん…も来る?」プルプル

マコト「笑いながら聞くなよ…」

マコト「そうだなあ…春香さんに昨日は会えなかったしなあ…」

内田「………」ジトー

マコト「えっ?…どうしたんだ内田?」アセアセ

内田「なんでもないですっ!それじゃ…私は先に冬馬と吉野ちゃんと行ってるからマコト君は着替えたら急いで来るんだよ?」

吉野「ユカちゃん、今日は用事があって千秋の家に行けないの。ごめんね?」

マコト「わわわっ!吉野!?今の…聞いてたのか……?」アセアセ

吉野「え?今日、千秋の家に行く話しだよね?違ったの??」

内田「ううん、その話しだから大丈夫だよ吉野ちゃん?」

マコト「聞かれてなくてよかった…」ボソッ…

吉野「ん?なにか言ったかなマコト君?」ニコニコ

マコト「なななんでもないです!」アセアセ

吉野「そうだ、先生がユカちゃん呼んでるんだった。職員室に来てって言ってたよ?」ニコニコ

内田「え!?そうなの?ありがと吉野ちゃん。私ちょっと行ってくるね?」タタタ…

マコト「えっ!内田…待ってよ!?」アセアセ

吉野「行っちゃったねユカちゃん…」クスクス

マコト「そ、そうだな…あはは……」

吉野「………」ニコニコ

マコト「うぅ……」

マコト(マズイ…見られてるだけなのにすごく追い込まれてるような錯覚が…なにか話題を出さないと……)

吉野「ねぇマコト君、放課後ってちょっと時間あるかな?」ニコニコ

マコト「えっ!あー…放課後?大丈夫だけど…吉野は今日、用事あるんじゃないのか?」

吉野「そっか…じゃあ学校終わったら校門で待ってて?いい?」ニコニコ

マコト「え?用事は……わ、わかった、行くよ…?」ビクビク

吉野「ふふふ…ありがとマコト君。それじゃ席に戻るね?」クスクス

マコト(なんだ吉野の奴…有無を言わさない感じだったな……何もしてないよなオレ…?)

──放課後──

マコト「学校が終わってしまった…憂鬱なのかもしれない…」

千秋「なんだマコト、その覇気のない顔は?少しはシャキっとしろよ」

マコト「違うよ!今日はたまたまだ!いつもはこうじゃないんだ千秋!」

千秋「吉野は用事があってこれないんだよな?」

吉野「うん、ごめんね千秋?」ニコニコ

マコト「あ、もう聞いてないのか!」

吉野「私は先に帰るね?じゃあね千秋、マコト君」ニコニコ

マコト「うん…ばいばい」

千秋「また明日な吉野?内田、お前急げよ」

内田「ま、待ってよもう少しで帰る準備できるから」アセアセ

千秋「まったく…待ってるから急げよ?冬馬を教室で待たせてるんだから」

内田「わかってるよもう…よしっ、準備できた!行こう千秋?」

千秋「やっと終わったか…それじゃ冬馬のグラスに行くぞ?じゃあなマコト」

マコト「うん、また明日な千秋?」

内田「それじゃ先に行ってるからねマコト君?」コソコソ

マコト「うん、わかった」コソコソ

マコト「ふぅ…」

マコト(よし、オレも行くか…気合い入れないとな…待ってろよ吉野…)

マコト(呼び出しがマコちゃん関連でありませんように……)

──校門──

マコト「ま、待った…かな?」ビクビク

吉野「ううん、そんなことないよ?変なマコト君」クスクス

マコト「は、はははは…」

マコト(ヤバイ…ちょっと緊張して気持ち悪いかも……)

吉野「あ、それより移動しよ?千秋たちに見つかると私たち怪しいよ?」

マコト「そうだな、でもどこに行くんだ?」

吉野「うーん…そうだ、近くの公園にしない?千秋たちにも見つからないと思うし」ニコニコ

マコト「わかった、それじゃ行こう」

吉野「うん」ニコニコ

マコト(がんばれマコト…無事に帰れたら春香さんの手伝いいっぱいするんだオレ……)

──帰り道──

千秋「へー、マコトを執事にしたのか?」

内田「うん、快く引き受けてくれました!」フフン

冬馬「マコトの奴も簡単に引き受けてよかったのだろうか…後から面倒になっても取り返しがつかないのに……」ボソボソ

千秋「おい、それは誰への抗議文なんだいコノ野郎?」

冬馬「べつに?姫に言ったわけじゃないぞ?」

千秋「姫って言うんじゃないよバカ野郎!!」

冬馬「そういや今日は吉野はどうしたんだ?」

千秋「話題を露骨に変えてるんじゃないよ!!」

内田「なんか用事があるみたいで帰っちゃったよ?」

冬馬「まぁそんな日もあるな」

千秋「あ、おまえ面倒だから聞こえないふりしてるな?そうなんだろ!!」

冬馬「別にそうでもないぞ?」

千秋「もういいよ…それよりマコトの奴に執事はどうだろう?執事とは紳士を極めた者のみがなれるものと聞く」

内田「そ、そんなことないもん…」

千秋「私に言わせてもらえばマコトの奴には荷が重すぎる。というかあいつは軟弱だ。とても執事になれるとは思えん」

冬馬「なかなかキツいこと言うなお前…千秋にとって執事の適任はどんな奴なんだ?」

千秋「そうだな…冬馬は少し落ち着きがないな。藤岡はいい線までいってるがもう一歩ってところだ。やはりここはマコちゃんだろう。」

内田・冬馬(マコちゃんの正体知ったら千秋どうなるんだろう?)

千秋「なんだお前らその哀れむような視線は?言葉にしなさいよ!」

冬馬「いや、ただ千秋は以外と鈍感なのかもなって…なぁ?」

内田「うん…でも大丈夫だからね千秋?」

千秋「なにが大丈夫なんだバカ野郎!!まったく…最近のお前達はあれだな、夏奈のバカがうつってしまってるようだ…」

内田「あはは…あんまり夏奈ちゃんの悪口はダメだよ千秋?」

冬馬「千秋だってもう少し可愛げがあってもいいんじゃないか?夏奈にもあるとは言えないけど」

千秋「私は自然体でいたいんだよ。ほら早く春香姉さまが家に帰られるまでに私たちも急ぐぞ?」

内田・冬馬「は~い」

──同時刻、公園──

マコト「………」ダラダラ

吉野「………」ニコニコ

マコト(吉野め…一体何を考えてオレを呼び出したんだ…ついにマコちゃんの正体がオレと突き止めてきたのか?そして…そして……)

マコト「………」ダラダラ

吉野「マコト君?」ニコニコ

マコト「ひゃい!?」

マコト(なんだ!ついにか!?ついに吉野はオレを問い詰めるのか?あぁ…どうしよう……オレは不純な気持ちなんて一切なくマコちゃんになってたのに……)

吉野「結構寒いのにすごい汗だよ?」ニコニコ

マコト「お、お気遣いなく!」ダラダラ

マコト(なるほど、そうやって外側からガードを崩す戦法だな吉野?がんばれマコト!)

吉野「ほら、拭いてあげるから動かないでね?」ニコニコ

マコト「え?あ、ありがとう吉野…」

吉野「うん、大丈夫だよ?」フキフキ

マコト(あれ?優しい…?なんだ、もしかして今までのもオレの勘違いだったのかな?しかしハンカチいい匂いだなぁ…)ドキドキ

吉野「ねぇ、マコト君?」フキフキ

マコト「なんだ吉野?」

吉野「なんでユカちゃんの執事になったの?」ニコニコ

マコト「え?えぇっ!?えっと…」ダラダラ

吉野「ちょっとね、それが聞きたくてマコト君を呼んでみたんだよ?」ニコニコ

マコト(どうしてそんな事を聞きたがるんだろ?いやその前にどうして執事になったかだ…正直には言えないし……)

マコト「その…ほら、内田ってさ、よくみんなにいじられるじゃないか?アイツ…それを気にしててさ?」

吉野「それと執事になんの関係があるのかなマコト君?」ニコニコ

マコト「え?…わかんないけど…わかんないけどオレは内田の執事なんだよ!!」

吉野「ふ~ん」ニコニコ

マコト(あぁ…全部話してしまえたらどんなに楽になれるんだろうか?けど…そしたらきっと吉野のオレを見る目が変わってもっと辛く…)

吉野「そっか…つまり私には話せないってことだねマコト君?私、てっきりユカちゃんに脅されてると思って助けられないかなって?」クスクス

吉野「でもマコト君どーなんだろって思って」ニコニコ

マコト「別に…脅されてるとかはないよ…?ただ、やっぱり内田はオレから見てもよくからかわれたりするから助けてやってもいいかなって…」

吉野「そうやって甘やかしたらユカちゃんがもっとダメな子になっちゃうよ?脅されてないならユカちゃんの執事も必要じゃないよね?」ニコニコ

マコト「それは…」

マコト(さすが吉野…。ほんとは脅されてるけど…そう言えばきっと追及されて正体が…でも話さないと執事の件に矛盾が…どうすればいいんだよーっ!)

マコト「その…理由は話せないけどさ、オレは内田の執事になるって約束したんだ……吉野の心配もわかったから。オレ、なるべく内田甘やかさないようにするから!」

吉野「そっかぁ…どうしてもユカちゃんの執事になるんだねマコト君…?」ニコニコ

マコト「ごめんな吉野?お前が内田のことが心配なのはわかったよ。オレが執事じゃ頼りないもんな…」シュン

吉野「ううん…いいんだよマコト君。私は私でいろいろ動くから…」クスクス

マコト「え?いろいろ動く??つまり…オレのフォローとかしてくれるのか?それは助かるよ吉野!」

吉野「あはは、フォローするかどうかは気分次第ってところかな?」ニコニコ

マコト「いやいや、それだけでも助かるよ?」

吉野「それじゃ私は帰ろうかな?話したいことは話したし」ニコニコ

マコト「そうだな…暗くなる前に帰るとしよう!」

吉野「そうだね、近くに変態がいるかもしれないからね…?」クスクス

マコト「そうだな、最近は物騒な世の中だからな…」ウンウン

吉野「そうだね…マコちゃん…?」ニコニコ

マコト「……え?」

吉野「どうしたの?そんなに怯えた顔して?」クスクス

マコト「え…?だっ…だって……」ゾゾッ…

吉野「あはっ、もしかしてバレてないと思ってたのかな…?」クスクス

マコト「……あぅ…」ガクガク

吉野「あんなのすぐにわかっちゃうよマコト君?普通なら絶対に許さない…けどね、私マコちゃんを気に入っちゃったの…」クスクス

マコト「ごめんなさい……」ガクガク

吉野「どうして謝るのマコト君?私はマコちゃんを気に入ってるんだよ?謝るのはおかしいよ?」ニコニコ

マコト「………」ガクガク

吉野「でも…マコト君はいらないかなぁ…?あ、マコト君でも可愛いんだけど、マコちゃんはもっと可愛いからって意味だよ?」ニコニコ

マコト「お願い…この事は誰にも言わないで…お願いします……」ガクガク

吉野「え~?私、この秘密を誰かに言うつもりないよ?けど…マコト君がそこまで言うなら条件つけよっか?」ニコニコ

マコト「……条件?」ビクビク

吉野「そう、大丈夫だよ?そんなに難しい事じゃないから」ニコニコ

吉野「私がマコちゃんの正体を知ってる事は誰にも言わない事。そして…次から私がマコト君を呼び出した時は…マコちゃんの格好で来ること」ニコニコ

マコト「マコちゃんの格好って…またオレを呼び出したり……するのか…?」ビクビク

吉野「イヤなのかな……?」クスクス

マコト「そ、そんなんじゃないよっ!そんなんじゃないけど……」シュン

吉野「あはっ、よかったぁ…私嫌われちゃったかなぁって思って」ニコニコ

マコト「大丈夫、約束はちゃんと守る…だから……」

吉野「心配性だねマコト君は…大丈夫、もちろんいい子にしてたらね……?」クスクス

マコト「………」

吉野「約束…破っても私は別にいいよ?ただその時は……」クスクス

マコト「………それはっ…」

吉野「じゃあね、かわいいマコちゃん…」ニコニコ

マコト「あっ…」

マコト「………」

マコト(どうしよ…吉野にはバレてるかもって思ってたけど…それを告げられるのがこんなに怖いなんて……)

マコト(大丈夫だよね?吉野はそんなに酷いことしないよな…優しいとこもあったんだから)

マコト(内田のこともあるから大変なことになっちゃったなぁ…さっきまでがとても幸せだったように感じる…)

マコト(とりあえず……どうしよかな…

──南家──

冬馬「いやー、千秋のとこで食べるおやつはおいしいな?」

内田「うんうん、幸せかも」

夏奈「そうでしょうよ、たんとおあがり?」

千秋「おい、甘やかすなよ。こっちの食料事情が…」

春香「大丈夫だよ千秋?みんなが喜んでくれているから私も嬉しいよ?」

千秋「ですが春香姉さま…」

夏奈「春香もそう言ってるんだ、それともお前はウチの食料を独り占めしたい食べ盛りかなにかなのか?」

冬馬・内田「ずるいぞー!」

千秋「わかったよ、お前たちあとで春香姉さまの手伝いしろよ?」

夏奈「悪は去ったな…」

千秋「ムカつくよっ!」

内田「大丈夫だよ千秋?ちゃんとお手伝いするから」

千秋「当たり前だ、こっちは食料を提供してるからな」

冬馬「オレもやらないとだめなのか?正直めんどうだな」

千秋「お前、弟だろ?決まっているだろ」

冬馬「よし、全力で行かせてもらう」ダッ!

千秋「うわっ」バタバタ

夏奈「お?やってしまえ冬馬!小生意気千秋に制裁を!」

千秋「やめろー冬馬!覚えてろ内田っ!」ジタバタ

内田「なんでっ!私なにもしてない!」

春香「ふふ…それじゃあ私は食器洗ってくるね?がんばってね千秋」クスクス

千秋「春香姉さま…もしかして楽しんでらっしゃいますか?」

夏奈「ふっふっふっ……この家のボスである春香の許可もでたわけだ…今日こそお前の歪んだ性格を矯正してやるから!」

千秋「上等だバカ野郎ー!」

冬馬「よし、わからないけどやれやれー!」

内田「ちょっと止めてよ冬馬っ!」

ピンポーン

春香「あら、お客さんかな?ちょっと手離せないからお願いしていい?」

内田「あ、みんな聞いてないから私がでるよ?」

ガチャ

内田「はーい、どなたですかー?」

マコちゃん「………」

内田「あ、マコト君?もう、遅かったよ!」

マコちゃん「はは……ごめんな…?」

内田「もう…マコト君は執事さんなんだから…ってどうしたの?」

マコちゃん「えっ!な、なにが?」アセアセ

内田「だって…なにか辛そうだし…風邪?」

マコちゃん「そんなんじゃないよ……」

内田「うーん…とりあえず入ろうよ?外、寒かったでしょほら?」

マコちゃん「………」

内田「マコト君?やっぱ変だよ…」

マコちゃん「ごめん、やっぱ今日帰るよ…それじゃ」タタタッ…

内田「え!マコト君ちょっとっ!!」

冬馬「なにやってるんだよ内田?寒いんだから早くドア閉めろよな」

内田「あ、ごめんね冬馬…」

冬馬「いや、いいけど…だれが来てたんだ?」

内田「マコト君だよ?でも帰っちゃったの…」

冬馬「なんだ?アイツなにしに来たんだよ?」

内田「私にもわかんないよ…」

夏奈「どーしたお前たち?早くこっちにきて私の相手をしなさいよ」

冬馬「千秋はどうしたんだ?」

夏奈「春香のとこに逃げやがったさ。所詮はお子ちゃまだからねえ…ところで誰だったんだ?」

冬馬「マコトが来てたんだって。もう帰ったらしいけど」

夏奈「ほぅ…内田、お前…?」

内田「な、なにもしてない!ほんとだもん!」

内田(マコト君どうしたのかな…学校では普通だった…よね?嫌われたのかな……)

──マコトの部屋──

マコト(卑怯なことをしてしまった…吉野の事で不安になってるからってそれをまぎらわせるためにみんなに会いに行ってさ……自分で解決しないとな……)

マコト(内田…今日、来なかったこと怒ってるかな…)

マコト(なんで急にこんな変なことになったんだろ……)

マコト(内田のこと、吉野のこと…2人ともなにを考えてるんだ?内田は…なんでオレとキスしたんだ……吉野の条件も意味わかんないし……)

マコト(明日からもっと大変になりそうだ…内田と吉野は仲いいし…)

マコト(このままじゃオレがもたないよ……)

──翌日の教室──

千秋「よう、マコト」

マコト「あ…千秋か……」

千秋「なんだお前?そんなんで内田の執事やれんのかよ」

マコト「内田に聞いたの?オレは別に……」

千秋「ん?元気ないな?それぐらいがちょうどいいのかもな。じゃあな」

マコト「ひどいよ千秋……」ズーン

内田「あっ!マコト君!なんで昨日は急に帰っちゃったの!!」

マコト「ちょっ!千秋に聞かれちゃうだろ!確かに…昨日は悪かった。ごめん内田……」

内田「最初から来ないならまだしも急に帰られたら心配しちゃうんだから……なにかあった…よね?」

マコト「……なにもないよ」

内田「うぅ…知らないふりするんだ…」

マコト「だってなにもないんだから説明できないだろっ!」

内田「っ!」ビクッ

吉野「あはは、今日も2人は仲良しだね?」ニコニコ

マコト「吉野…」

内田「………」

吉野「ユカちゃん、あっちでちょっとお話ししようよ?」ニコニコ

内田「え…?うん……」

マコト「………」

吉野「あんまり…ユカちゃんをイジメないでほしいなあ……できるよねマコト君…?」クスクス

マコト「わ、わかったよ…ごめん吉野……」

──放課後──

マコト(ダメだ…すごいプレッシャーで普通にできなかった…)

マコト(これから毎日なんだよな…こんなんで負けたら春香さんに顔向けが…春香さん……)

マコト(内田とキスしてしまったオレでも…春香さんは許してくれるのかな…いや、春香ならきっと……)

内田「あの…マコト君…?」

マコト「わわっ!って…なんだ内田か…ちょっとだけ驚いたよ……」

内田「あ…ごめんねマコト君……今日は用事とかあるかな…?大丈夫ならちょっとお話ししたいかなって……」

マコト(オレも内田の執事のことで話したかったしいい機会だな…)

マコト「別に大丈夫だけど…今日は千秋たちはいいのか?」

内田「うん、大丈夫……それじゃ行こ?」

マコト(なんだ…?内田の奴ちょっと元気ないな…)


──公園──

内田「えっと…ここでいいかな…?」

マコト「え?うん、いいけど…」

マコト(ここか…吉野に脅された時もここだったな……)

内田「………」

マコト「それで、どうしたんだ内田?なんか…元気もないみたいだし……」

内田「もう!せっかちだよマコト君!私のタイミングで話すから…お願い!」

マコト「…わかった。ごめんな内田?」

内田「ふぅ…ねぇマコト君…?」

マコト「ん、なんだ?」

内田「マコト君…私のこと嫌いになっちゃった…?」グスッ

マコト「なっ!どうした内田っ!急に泣いたりして…」オロオロ

内田「だって……急に…ヒッグ…よそよそしいんだもんっ!」

マコト「え…?そ、そうかなあ……」

マコト(やっぱり全然隠せてなかったんだ…オレには無理だったんだ……)

内田「そうだよっ!ねぇ…なんで……私の事、嫌いになっちゃったの…?」

マコト「別に嫌いになったわけじゃ……」

内田「じゃあ私が面倒になっちゃったの…?」

マコト「………」

内田「やっぱり…そうだよね……私、バカだし…迷惑ばっかりみんなにかけて……」

マコト「内田をそんな風に思ったことないよ…」

内田「うそだよっ!じゃあ…なんで!?昨日から変だよマコト君……」

マコト「それは……」

内田「…ヒグッ……グスン…」

マコト「なあ内田…オレたぶん今から内田に酷いこと言うかもしれない…」

内田「え…?や、やだ!そんなの聞きたくないもんっ!!」

マコト「内田っ!頼むから……聞いて…んっ!!??」

内田「……んっ……ちゅ…」ギュッ

マコト「ば、ばかっ…ん……離せよっ!」グイッ

内田「やだっ!マコト君がイヤなこと言うなら…私っ!」ギュッ

マコト「こんなことしても変わらないだろ……な?だから落ち着こう内田?」

内田「好きなの……私、マコト君のことが好きなのっ!マコト君が好きなの……」ギュッ

マコト「内田…オレ、お前の約束守れそうにない……」

内田「いやだ…ごめんなさいっ!あれはただマコト君を独り占めしたかっただけなのっ!気に入らないならしなくていいから…嫌いにならないで!!」ギュッ

マコト「内田…オレは嫌いにならないよ?だからいったん離れよう?」

内田「やだやだっ!離れたら…マコト君きっと行っちゃうもんっ!!」

マコト「内田っ!!!」

内田「きゃっ!」ビクッ

マコト「ふぅ…ごめん、冷静になろ?オレはちゃんといるから……」

内田「……うん」スッ…

マコト「オレ、かなり都合のいいこと言ってるかもしれない。だから内田がマコちゃんの正体をみんなにバラしても仕方ないと思ってる……」

内田「そんなことしないもん…もともとマコト君と一緒にいたくて考えただけだもん……」

マコト「そっか…なんか面と向かって言われると恥ずかしいな……」

内田「でも…迷惑なんだよね…」シュン

マコト「迷惑だなんて……いや、言い訳だな。そうなるんだ……」

内田「…ひぐっ…やっぱり……」

マコト「でもっ!イヤだったわけじゃない。オレも…楽しくやってたとこもあったから……」

内田「それなら続けてもいいんじゃないの?マコト君はイヤじゃないんでしょ!?」

マコト「だからそれは……」

内田「やっぱり春香ちゃんがいいんだねマコト君……」

マコト「………」

内田「あ…ごめんなさい……そだね、こんなイヤな子じゃマコト君も迷惑だね…うん、わかった執事さんはもうおしまい……」

マコト「内田……」

内田「大丈夫、これ以上マコト君にカッコ悪いとこ見せられないもん…私、帰るね?バイバイ……」

マコト「………」

マコト(最低だなオレ…女の子泣かせて自分を守って…ここまでしないといけないことなのか…?)

マコト(いや、やらなくちゃ…オレが勝手な事したら夏奈に迷惑かけちゃう…せっかくみんなと仲良くやれてたのに…それを台無しにするなんてオレには……)

マコト(内田の執事もすぐ辞めちゃって……執事らしいことなんてしてなかったし、お願いされたこともなかったな…)

マコト(内田…こんなオレを好きになってくれたんだよな……)

マコト(また…キスされちゃったな……)

マコト(人に想われるってなんかいいな…こんな状況じゃなかったらきっと……)

マコト(やめよ…きっと今のオレには人を好きになる権利はないよ…)

──翌日の教室──

マコト(内田は休みか…)

マコト(そうだよな…昨日のあれはフッたようなものなんだから……)

マコト「はあ……」

吉野「あはは…なんだか苦労してるって感じだねマコト君?」クスクス

マコト「吉野…別にそんなんじゃないよ……」

吉野「今日…ユカちゃんお休みたい。なんでだろね?」ニコニコ

マコト「………」

吉野「ふふ…ねえ、今日は時間あるかな?一緒に遊ばないかなマコちゃん…?」クスクス

マコト「っ!わかった…」

吉野「ありがと。それじゃ…またあとでね…?」ニコニコ

マコト「………」

──南家──

ピンポーン
夏奈「お?客人か?私が出てみるか…」

ガチャ
夏奈「どなたですかーって…お前たち…?」

吉野「夏奈ちゃん来たよ?」ニコニコ

マコちゃん「………」

夏奈「なんかあれだねえ…珍しい組み合わせだね?」

吉野「あはは…下でたまたま居合わせたから一緒に来たんだよ。ね、マコちゃん?」ニコニコ

マコちゃん「そうだよ…」

夏奈「そーか…まあ中にお入り?寒かったろ?」

吉野「うん、お邪魔しまーす」ニコニコ

マコちゃん「…お邪魔します」

夏奈「なんだ?元気ないぞマコちゃん?」

マコちゃん「な、なに言ってるんだ!いつもどおりだろ?」

夏奈「なあ、お前…まさかだけど吉野にバレたりしてないだろーね?」コソコソ

マコちゃん「まさか、完璧だよ夏奈?」コソコソ

吉野「なにしてるの2人とも?早く行こ?」ニコニコ

夏奈「おー、今いくよ?」

マコちゃん(ごめんね夏奈…許して……)

春香「いらっしゃい。ゆっくりしていってね?」

千秋「今日はバカ野郎が少なくて私が苦労しなくてすみそうだ」

夏奈「少ないということはいるってことか?」

千秋「さあ?」

夏奈「あいつの言うバカ野郎はいったいだれなんだろね吉野?」

吉野「んー、わかんない」ニコニコ

千秋「すくなくとも吉野やマコちゃんではないよバカ野郎」

夏奈「そうかいそうかい、お前の事だから春香は候補にすら上がってないでしょうよ。そんな事を言ってしまう奴には遠慮しないよっ!」

春香「はいはい、そこまで。お客様きたしおやつ作ってくるね?千秋はお手伝いしてくれる?」

千秋「はい、春香姉さま!」

吉野「やったね、マコちゃん?」ニコニコ

マコちゃん「うん…そうだな」

夏奈「ちっ…逃げられた…」

春香「夏奈はお風呂のお掃除。わかった?」

夏奈「なっ!千秋、私と代われよ」

千秋「やだよ。お前、料理できないだろ」

夏奈「ちっ、お恥ずかしい。正論を言われてはなにも言えないでしょーがっ!」

春香「夏奈、早くやりなさいね。2人は待ってて?すぐに用意するからね」

千秋「さあ、行きましょう春香姉さま」

夏奈「ちぇ…さっさと終わらしてくるか…」

吉野「ふふ…みんな行っちゃったねマコちゃん?」ニコニコ

マコちゃん「吉野…お前なに考えてるんだ…?なんでここなんだよ……」

吉野「だって…楽しそうなんだもん…そう思うよねマコちゃん?」クスクス

マコちゃん「そんなわけっ…!」

吉野「ふふふ…今のマコちゃんの顔、すっごくかわいいよ?」クスクス

マコちゃん「…っ!」

吉野「ねぇ…ゲームしよっか?」ニコニコ

マコちゃん「なんだよいきなり……」

吉野「ルールは簡単だよ?声を出したらだめ…いい?」ニコニコ

マコちゃん「オレは逆らえないんだな…」

吉野「それじゃ…スタート…んっ……ちゅぷ……」ギュッ

マコちゃん「んぅ!!…ちゅ…」

マコちゃん(なに?なにこれ…舌が…入ってるの!?)

吉野「…じゅ……ちゅぷ……んふ…ちゅる……」ギュッ

マコちゃん(あ…すごい……これ、キスよりなんかより全然すごい……)

マコ「……ふぁ…ちゅ……んぅ……」キュッ…

マコちゃん(なにこれ…オレ、こんなの知らない…気持ちいいよう…)

吉野「んっ…はい、マコちゃんの負け。ふふふ」クスクス

マコちゃん「はぁはぁ…あぁ…ふぅ……」トロン

吉野「いいよ…とってもかわいいよマコちゃん…もっと見せて……はむっ…」ギュッ

マコちゃん「ひゃう!?なんで首筋…んぅ!汚いよう…」

吉野「負けたんだから罰ゲームは当たり前だよ?それにマコちゃんは私に逆らっちゃだめだよ?」クスクス

マコちゃん「はぅ……でも…んっ!こんなのおかしいよ…もうやめようよ吉野…?ねぇ……」

吉野「うるさいよマコちゃん…ちゅ……れるっ…んっ…」

マコちゃん「まって…んっ……ちゅ……ふぅん…」

マコちゃん(こんなの間違ってる…なんでオレの気持ちを無視してこんなこと…)

マコちゃん「あっ……だっ……めぇ…ちゅぷ…んっ……ふっ…」トロン

マコちゃん(だめだ…もうなにも考えられない……気持ちいいよう…もっとして欲しいよう……)

吉野「んっ…ちゅ……あはっ、マコちゃんも楽しんでるね?ふふふ…私に任せたらもっとよくしてあげるよ…?」クスクス

マコちゃん「はぁ…もっと……吉野ぉ……お願い…」トロン

吉野「もう…マコちゃんは可愛いんだから…それじゃ私がんばるね?」ニコニコ

マコちゃん(オレ…カッコ悪すぎるよ…だめなんだろ?なのに吉野に期待してるオレがいる……)

吉野「ふふふ。あっ…マコちゃん、服、早く整えて?じゃないと大変なことになるよ?」

千秋「ん、ちゃんといるな?」

吉野「どうしたの千秋?」

千秋「いや、あまりに静かだったから…おい、どうしたんだマコちゃん!?」

マコちゃん「はぁはぁ……ふぇ…?なんでもないよ……んっ…」トロン

千秋「おぉ?マコちゃんがなんか…なんかあれ?」

春香「千秋ー?ちょっと味見してくれるー??」

千秋「すぐ行きます春香姉さま。マコちゃんが…なんか……うーん?」スタスタ

吉野「ふふふ…ドキドキしたねマコちゃん…すっかり可愛い顔になってる…女の子だね?」クスクス

マコちゃん「ふっ…んぅ……」トロン

マコちゃん(体が火照って思考が…落ち着け……まずは吉野から離れないと……)

吉野「こういうの…すごくいいと思うんだ。背徳感を刺激されて…すごく……わかる?マコちゃん…」クスクス

マコちゃん「……っ!」ゾクッ

吉野「邪魔が入っちゃったね…続きする?あはっ、マコちゃんに選択する権利なんてなかったね…?」クスクス

マコちゃん「や…やだ!」ガクガク

吉野「ふうん…そんな態度とっちゃうんだ…さっきまであんなに悦んだ顔してたのに…」クスクス

マコちゃん「こんなのおかしいよ…ねえ吉野、やめようよ…?」ガクガク

吉野「もう…だからね、そんな顔されるとすごく堪らないの……それともわざとなのかなあ…?」ゾクゾク

マコ「…ひぃっ!」ガクガク

吉野「ふふ…来て?もっとすごい事、教えてあげるよ?さっきのなんて忘れちゃうぐらい…だから……ね…?」クスクス

マコちゃん「うぅ…ご、ごめんっ!」ダダダッ

吉野「あっ!待って!!」

マコちゃん「みんな!オレ…用事できたから帰るよ!それじゃ…」
ガチャ…バタンッ!

夏奈「おっ?なんだ?マコちゃん帰ったのか?」

吉野「………うん、用事できたんだって…」

夏奈「ふーん、そっか…なぁ吉野、やっぱりお前……」

吉野「なぁに?」ニコニコ

夏奈「いや、やっぱりなんでもない…私は持ち場に戻るよ」

吉野「がんばれ夏奈ちゃん!」ニコニコ

吉野「……ふぅ」

吉野「あーあ…もっとマコちゃんと遊びたかったなあ……」クスクス

マコちゃん「………」テクテク

マコちゃん(オレ…逃げちゃったな…もう終わりだろうな…)

マコちゃん(いろいろ大変だったけど…楽しかったなぁ……もう…みんなに会えないな…)

マコちゃん(きっと…バレたらオレ、すごく嫌われるよな…そうだよな……)

マコちゃん(夏奈になんて謝ればいいんだろ…いっぱい迷惑かけるだろうな……)

マコちゃん「ぐすっ…やだよう…こんなの……ひぐっ…」

マコちゃん(オレ…みんなともっと一緒にいたかった……そんな資格ないかもしれけどオレは……)

内田「あれ?マコト君だよね?」

マコちゃん「……うぅ…ふぇぇ……」

内田「あの…どうしたのマコト君…?」

マコちゃん「ぐすっ……ふぇ?内田…?わわっ!」アタフタ

内田「泣いてる…の?」オドオド

マコちゃん「泣いてなんか…ぐすっ…」

内田「あはは…わかった。そういう事にしといてあげる」クスクス

マコちゃん「……うん」

内田「それじゃ…私、行くね?ばいばい…」

マコちゃん「ま、待って内田っ!」

内田「えっ?なあにマコト君?」

マコちゃん「その…ちょっと話さないか?いやなら別にいいけど…」モジモジ

内田「うん、よろこんで」クスクス

──公園──

内田「ここ…あんまり好きじゃないなあ…」

マコちゃん「え?あ…昨日の今日だもんな…ごめんな?場所、変える?」

内田「ううん、マコト君がいるから大丈夫だよ?」

マコちゃん「そ、そっか…うん…なんか照れるよ…」テレテレ

内田「これでも傷ついて学校休んじゃうくらいなんだよ?」

マコちゃん「お前…原因はオレだけどさ…学校はサボっちゃマズいだろ?」

内田「えへへ…でも、泣いてるマコト君を見つけれたから良かったなって…」

マコちゃん「……うん」

内田「なにかあったの?マコト君がその…あんなに辛そうにしてるの初めてだから…心配になって……」

マコちゃん「それは…」

内田「大丈夫だよ?マコト君のタイミングで…辛いなら話さなくていいよ?」

マコちゃん「内田…うん、ありがと…でも、もう隠す必要もないと思うから…」

マコちゃん「実はな、マコちゃんの正体、吉野にバレちゃってさ…それを秘密にして貰う代わりにいろいろと約束したんだ……」

内田「そうだったんだ…約束ってなにしたの?」

マコちゃん「うん…吉野に呼ばれたらマコちゃんの格好する事と…吉野がマコちゃんの正体を知ってるってことを誰にも言わないこと……」

内田「ちょっと!マコト君!!吉野ちゃんとの約束破ってるよっ!」

マコちゃん「さっき言っただろ?もう守らなくていいんだよ…」

マコちゃん「今日…初めて吉野に呼ばれてさ…まあいろいろと…耐えられなくてさ…ぐすっ……オレ…自分が情けなくって……うっ…」

内田「…うん」

マコちゃん「イヤだったんだ、ほんとに……けどもっとして欲しくって…逆らえなくて……」

マコちゃん「なんのために…マコちゃんの事を秘密にしたいのかもわからなくなっちゃって……」

マコちゃん「もう…楽になりたくて…オレ……疲れちゃったよ…」

内田「マコト君は…それでいいの…?なんだかマコト君らしくないよ……」

マコちゃん「そんなわけないだろ!オレ…こんな事いうの間違ってると思うけど…みんなといるのすごく楽しかったんだ……できるなら戻りたい……」

内田「それが…マコト君の正直な気持ちなの?」

マコちゃん「うん…間違ってるのはわかってる…みんなを騙してるだけだから……」

内田「大丈夫だよ?私は責めたりしないよ…」ギュッ…

マコちゃん「内田…?内田は…優しいんだな…こんなオレなのに……」ギュッ…

内田「そんな…自分を責めちゃだめだよマコト君…ただ私はマコト君の辛い顔がイヤなだけだよ……」

マコちゃん「昨日…あんなに酷いことしたのに…あれも自分を守るためにした事なのに……なんでそんなに優しくできるんだよっ!」

内田「だって…私はマコト君が好きだから…好きな人が辛い顔してるのは耐えられないよ……」

マコちゃん「内田…」

内田「大丈夫だよ?きっとなんとかなるよ?だから…一緒に考えようよ…ね…?」ギュッ…

マコちゃん「ふふ…まさか内田に元気づけられるなんて思わなかったな…」ギュッ…

内田「もう…マコト君、それってひどいかも!」プンプン

マコちゃん「ははは…ありがとな内田…すごく感謝してる…」

内田「マコト君……」

マコちゃん「内田……ちゅ……んふっ…」

内田「んん…ふぅ…マコトく…んっ…」

マコちゃん「んっふ……ちゅる…ふっ…」

内田「んっ…んっ……ふぁっ…はぁ…」

マコちゃん「ちゅぷ……はぁ…はぁ…」

内田「ふぅん…んっ…はぁ…はぁ…」トロン

マコちゃん「なあ、内田…ちょっと聞いていいか?」

内田「えぇ?なあに?もっとしようよ…?」トロン

マコちゃん「オレ、今さら内田のこと好きみたいだ…うん…」

内田「え?えへへ…そうなんだ?ふふふ……んちゅ…」ギュッ

マコちゃん「んっ…やっぱりズルいかな…?」ギュッ

内田「そんなことないよ?こういうのは気持ちの問題なんだよ?私の事、好きだって思ってくれたんだよね?」

マコちゃん「そうだけどさ…改めて思うと恥ずかしいな…」テレテレ

内田「私はとっても幸せだよマコト君?マコト君……大好きだよっ!」

マコちゃん「わわっ!よせってまったくもう……」テレテレ

マコちゃん「やっぱり覚悟しないといけないかもな……」

内田「え?なにが?」ギュッ

マコちゃん「とりあえず離れようよ内田?」

内田「やっ!」ダキッ

マコちゃん「あー…わかった、続ける。とりあえず明日…吉野と話し合ってみる」

内田「マコト君…大丈夫なの?」

マコちゃん「わからない…けどやらないといけないだろ?」

内田「うん…」

マコちゃん「それに…オレには内田もいるからな…みんなに嫌われても怖くないよ?」

内田「マコト君…」

マコちゃん「あはは…」テレテレ

内田「大丈夫だよ、吉野ちゃんはそんなことしないよ…」

マコちゃん「そうお願いしたいよ…」

内田「ねぇ…明日、吉野ちゃんと話すんだよね?私も…いっしょにいてもいいかな?」

マコちゃん「え?いいけど…そんなに信用ないのかなオレ…」ズーン

内田「ちっ、違うよ?そうじゃなくて…私たちのことも言うんでしょ?だったら都合もいいかなって?」

マコちゃん「そっか…そうだな、なんか恥ずかしいけど…うん、なんか全て上手く行く気がしてきたよ内田!」ニコニコ

マコちゃん「しかしあれだ、ここ何日でこんな風になるなんて思わなかったな?」

内田「私はそうなるようにしてたんだけどなー?」ジトー

マコちゃん「いっぱい泣かせちゃったな……」

内田「マコト君も泣いてたよ?」
マコちゃん「それは見なかったことに…」

内田「えへへ…それじゃ私そろそろ帰ることにします!」

マコちゃん「そっか。じゃ送って行くよ、行こ?」

内田「ううん、ひとりで歩きながらその…幸せを噛み締めたいと言うか…その、えへへ…帰りたい感じなの」

マコちゃん「そっか…普通はいっしょに居たいものだと思ってたけど…それなら仕方ないな?じゃ…明日はちゃんと学校こいよな?」

内田「うん、マコト君も明日はがんばろ?」

マコちゃん「おう、任せろ!」

内田「それじゃ…行くね?」

マコちゃん「明日…な?」

内田「あ…忘れてた…んちゅ……えへへ…ばいばい」

マコちゃん「んっ…またな?」

マコちゃん(内田…すっごく嬉しそうな顔してたな…)

マコちゃん(内田のためにも明日はがんばらなくちゃ…きっと、また大変なことになるかもしれないけど…)

マコちゃん(いや、そうならないようにオレががんばるんだ…)

マコちゃん(これから先のためにここでがんばるんだ…もっともっと楽しい事がきっとあるんだ…)

マコちゃん(そこには吉野だっていないとだめなんだ…みんなと楽しくしたいんだ…)

マコちゃん(オレが…こんなこと言える資格はないかもしれない…だけど…やっぱりそんなの我慢できないよ!)

マコちゃん(大丈夫…吉野はわかってくれる…大丈夫……)

──翌日、教室──

マコト(ついに来てしまった…いざ迎えるとやっぱり怖いよ…)

マコト(吉野…見つけたら謝って…それから放課後に…)

吉野「おはようマコト君?」ニコニコ

マコト「おっおはようございます吉野!」ビクッ

吉野「うん、おはよう」ニコニコ

マコト「そ、その…昨日はごめん…」シュン

吉野「うん、絶対許さないよ?」ニコニコ

マコト「…あっ……」ビクッ

マコト(やっぱり…そう簡単には許してくれないよな…くそ、言葉が続かない…)

マコト「………」

吉野「それじゃ、行くね?」ニコニコ

マコト「まって!」

吉野「なあに?マコト君?」ニコニコ

マコト「放課後…教室に残ってほしい…」

吉野「えー?なんで私がマコト君のお願い事を聞かないといけないのかな?マコト君は昨日、約束破ったのになあ…」クスクス

マコト「それは…ごめん、言い訳できないよ…だからこれはオレの我が儘なのもわかる…けどお願い、放課後に残ってほしい…」

吉野「どうしようかなあ…」クスクス

マコト「おねがい…吉野、このとおりだっ!」

吉野「ふふ…わかった、そんな顔されたら断れないよ?放課後でいいんだよね?それじゃ…」クスクス

マコト「ありがとう吉野……」

マコト(よし、なんとかなりそうだ…あとは内田にも伝えておくか……)

マコト「内田、ちょっといい?」

内田「マコト君!う、うん…いいよ…?」

マコト「なんだ?なんか変だぞ…?」

内田「ちょ、ちょっとだけその…緊張してます…」

マコト「え?お前…今まであんなに積極的だったのに?」

内田「冷静になるとその…意識しちゃうよやっぱり…」

マコト「まあいいよ、それより内田、吉野にちゃんと伝えたよ?」

内田「そっか…マコト君、吉野ちゃんに言ったんだ…」

マコト「あぁ、だから内田…放課後は教室に残ってくれないか?」

内田「うん、もちろんだよ?」

マコト「ありがと、頼んだぞ?」スタスタ

内田「きっと大丈夫……だよね…?」

──放課後──

吉野「……ふふ…みんな帰っちゃったよ?」ニコニコ

マコト「………」

内田「……うぅ」

吉野「ユカちゃんも一緒なんだね?マコト君はなにがしたいのかな?」ニコニコ

マコト「吉野…その……オレ、もう吉野の約束守れないよ…」

吉野「ふーん…そんな話か……マコト君は言いふらされても…別にいいんだ…?」クスクス

マコト「そんなの…イヤに決まってるだろっ!けど…もういろいろ耐えられなくなって……偽るのも…隠すことも……」

マコト「だけどみんなと一緒にいるのが…すごく楽しくて、嬉しくて……」

吉野「………」ニコニコ

マコト「吉野がオレを軽蔑してるのは知ってる…怒るのも仕方ないと思ってる……」

マコト「だって…ずっとみんなを騙してきたもんな…だから、マコちゃんの正体をみんなに話しても……仕方ないと思ってる…」

マコト「それでも…オレはマコちゃんになりたい、マコちゃんでいたいんだっ!みんなと一緒にまだいたいんだ……」

吉野「一方的に自分の都合だけ押し付けて…それで納得してくれると思う?それに、みんなってだれかな?友達をダシに使ってお涙頂戴、みたいにしたかったのかなマコト君?」クスクス

マコト「違う…いや、そうやって自分に少し酔ってたのは認める…でも吉野との関係を終わりにしたい事ができたんだ…」

吉野「ふーん…聞いてあげてもいいよ?」ニコニコ

マコト「オレ…好きな人ができたんだ……」

吉野「………」チラッ

内田「……ひゃっ!」

吉野「ふふ…続けてくれるかな?」ニコニコ

マコト「最初はさ…その面倒だったし、大変だった。けどなんだろ、すごく一生懸命でさ?今までだってそいつのサボートがあったからきっと今もオレはやれたんだと思う…」

内田「……マコト君」

マコト「すごく前向きでひた向きでまっすぐで…そこにオレ、気づいてから…好きになっちゃったんだよな……」

マコト「酷いこと言ったし…自分でも都合がいいってのも知ってる……」

マコト「オレ…内田のことが好きだ…とっても。たった数日前から始まったことだけど…オレ…内田の色んなとこを見て…いつのまにか…」

吉野「それってユカちゃんの執事になってからかな?春香ちゃんは?マコト君は女の子ならだれでもいーんだ?」クスクス

マコト「春香さんは…オレの憧れの人だよ、それは今も変わらない……」

内田「……うぅ…」

吉野「あはっ、聞いたユカちゃん?マコト君、開き直っちゃったよ?」クスクス

マコト「うるさいっ!!」

内田「……っ!」ビクッ

吉野「はーい、続けて?」クスクス

マコト「内田は言ってくれたんだ…こういうのは気持ちの問題なんだって。オレ、内田がすごく好きだっ!ウソなんかじゃないよ!」

内田「マコト君…ありがとう……私も好きだよマコト君っ!」

マコト「……内田」

吉野「ふう…もう飽きちゃったなあ……」クスクス

俺の吉野はそんな女じゃない!

                  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\

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           ,r'''! |i!       ii |  | |`i  i: :// ',   ヽ.,.r"/.    i:::::::i
    i、     /  !       ,,,,.i! l-ー|--i!、 .i:/ ./ :'i,'.,.,,,.r'" /    .i:::::::i
\   i \  /i     ,,..r''"  i! i.   !  i! l .i  ./:: ;;ir''"  /ヽ  .   i::::/
  \ !  .\/ .:i.              |   i ヾ、./:r''"    /  ヽ.   i/
   `'    / .::/             .!|,,.rヾ、,,ノ       /ヽ.   ヽ、
.      〈 .::::i  i  |    ,,..-‐ ''"|i   i       /  ヽ、   .ヽ、
       ヾ;::ヽ、i  !            /      /,,,,..... --''' "´

 ―-―――ヾ;::::i   !   !|i        !|/ヾ;― ==
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>>186

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        /|  □|  二      / .| ^   ^ | / -─  ,     |   ヽ      ヽ l /l /
          |    亅  口 つ.    ヽ_ | .>ノ(、_, )ヽ、|/ ヽ_.  ヽ__.ヽ/   '    _ノ.|/ |/
/ミミ三三ミ'ー‐-- 、、_:::::::|:::::::::::::::::::::::j.__! ! -=ニ=- ノ!__

{ミミミ三三、     、ー=、`'┴―― ''''=、r'"~ ヽ`ニニ´/i,, `ヽr''"`ヽ、ヽ、     (  ´・ω) 
、ミミミミミ三シ  . . . . `―' l ,r'"´ ノ"   )=、 ̄ ̄,,..ィ'"´i       ヽ、   γ/  γ⌒ヽ (´;ω;`) ウッ…
//う{ミミミミf'"   _,,.,,/ ̄ ̄ ̄\  ノ  ´ ̄ `Y"´            i  / |   、  イ(⌒    ⌒ヽ 
l V }ミミミミ    ',ィ/   ⌒  ⌒ ヽ.        レ      _,,,,、       j、、.l |    l   } )ヽ 、_、_, \ \
'i l ,ノヾミミ'    /   ( ●)(●) |       J   ,,.ィ'"~  `'ヲ''ー-、ノ、 ヽ{  |  -――-  ヽ-'巛(  / /、  
ヽヽへ}ミミ    .|    (__人__) }       ,,l、        ノt   ) `ヽヽ  /        ヽ‐‐'^ (、_ノ
.ヽ二ノミ'    ./、.    ` ⌒´  ヽ、      人       ,,イ/ ̄ ̄\    i .| ノ  ー    | //  /
-fソ!'ミ     ./            |ー--;::-ニ"_,ゝ=---''" ./   ヽ_   \ t、 |(.) (.)   |
,/(/ {i,r/ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ、       | / 、 f"   `i´ ̄` Y (●)(● )     |    |  (      |
    /. ノ(  (;'。)/  ̄ ̄~ヽ ,| ノ ミi / ̄ ̄ ̄ ̄\  (__人__)     |  ftヽ O    人

   /  ⌒     ト、.,..     \丶 /;;::       ::;ヽ  ヽ`⌒´  ,,ト、,, ,,ィ ,ィ >ー-― ´   ̄ ̄\
  彳、_   ____|__ ∴\    ヽ |;;:: ィ●ァ  ィ●ァ::;;|,/  { _,,-;" '' ゛''" ゛';_./ / ̄ ̄ ̄ヽ     |
   | ) r‐  /     \ \\  | |;;::        ::;;|   .ヽ/""゛゛''`';, ノr´)(/〈 〈 〈 ,  |  .|   |
   |,   /   ⌒  ⌒ \ ヽ ヽ  | .|;;:(~) c{ っ  ::;;|  .,;'゛/__   _ "iヽ;ミ `-' ̄ ̄  .| /  /
  ノ( /    (●)  (●) \| |  /。γ´⌒`ヽ_   ::;;;|  ,,'"|( d  /oノ ド゛ `ミ      |  |/  /
 ノ   |   、" ゙)(__人__)"  )|/゙U {i:i:i:i:i:i:i:i:i:}-  :;;/ r ";,| ▼    ド゛ `ミ      |  ト /
    \      。` ⌒/ ̄ ̄ヽ j゙~~( ´・ω・) :;;/  (`ヽ';ヽ_人__ノ  /  ,,ミ゛、    ヽ__/
 _)(/       / (●) ..(● |__|(:::::::::::::);:: ::;;|    ヽ、 '';,i⌒⌒  /   リ  ヽ、
 | | /   ,        |   'ー=‐' i nll| ̄ヽJヽJ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/` ィ'r`''''""´  ,,ミ゛    |.      |
 | | /  ./       >      く( ニ|      ,,,,_      |\ .| ゛r、ノ,,トリ'"  i    |       .|
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  ̄ \__、("二) ̄¨ヽ、_/~ヽ、__)¨|     `ー-‐`      | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/   ノ ̄ ̄ ̄ ̄
             .l二二l二二二lニ|___ARAMAKI.___|         ,-ー´  ,/
                       |___________| 

吉野「結局はマコト君、私がいなくなればいいんだよね?だったら最初からそう言えばいいのに…?」クスクス

マコト「そんな…悲しいこと言うなよっ!確かに前まではマコちゃんの事で吉野には後ろめたさはあったけど……」

マコト「今は隠すこともないだろ?オレ、もっと吉野とは仲良くなれると思ってるんだ!」

マコト「吉野がいなくなって解決なんて寂しいよ……それならオレがいなくなる方が筋じゃないか…」

吉野「マコト君はぜんぶ私に我慢させて今までの楽しい日を過ごしたいだけだもんね?…ズルいよねユカちゃん…?」クスクス

内田「……それは…」

吉野「ユカちゃん、おもしろいお話し…してあげよっか?」クスクス

吉野「私、マコト君といっぱいキス…したよ?」クスクス

マコト「よ、吉野それはっ…」

吉野「あはっ、やっぱり言ってなかったんだマコト君?ほんとに卑怯者だねマコト君…」クスクス

内田「わ、私もいっぱい…マコト君とキスしたもんっ!」

吉野「ふふ…健気で可愛い彼女さんだねマコト君?」クスクス

マコト「………っ!」

吉野「私がキスしたとき…マコト君、すごく悦んでくれたんだよ?私も一生懸命、大人のキスして楽しんで貰おうってがんばったんだよユカちゃん?」ニコニコ

マコト「……や…め……よ…」

吉野「ユカちゃん…マコト君のあの顔見たことあるかな?すごく可愛くて、愛おしいんだよ?」ニコニコ

マコト「………やめてよ」

吉野「わかるかな?怖くて顔、ひきつってるのに気持ちよくって堕落したあの顔…想像できる?私…すっごく興奮したんだよお?」ニコニコ

マコト「やめてよおっ!!」

吉野「ふふっ…」クスクス

マコト「やめてよ…ひっく……ごめんなさい……もう内田に…嫌われる事言わないでよ……ぐすっ……許してよお……」

吉野「………んっ…」ゾクゾク

内田「大丈夫だよマコト君、私の気持ちは変わらないよ?大丈夫……」ギュッ…

マコト「……うん…」ギュッ…

吉野「見せ付けてくれるね?マコト君、あんなに自分からも求めたくせに…そうやって逃げちゃうの?」

マコト「うぁ……あ……」ガクガク

吉野「そうだ、いいもの見せてあげる」クスクス

マコト「…な……に…?」ガクガク

吉野「ユカちゃん……来て?」クスクス

内田「………」

マコト「内田……?いやっ!行かないでっ!!」

内田「ごめんね?マコト君…」テクテク

吉野「ふふ…いい子だねユカちゃん…」ニコニコ

マコト「あっ…あぁ……」ガクガク

吉野「だめだよマコト君、見てて?……んっ…ちゅぶ……」ギュッ…

内田「吉野ちゃ……ふぁ…ちゅ……」ギュウ

マコト「やだ…なんで……なんで…?」ガクガク

吉野「……ちゅぴっ……ちゅう…ふっ……ちゅっ…」ギュッ

内田「ひっ……あ…んぅ……!」ギュッ…

マコト(なんで…?なんでキスしてるの…?)

吉野「んふ…ユカちゃんかわいいよ…ねぇ、マコト君が私たちを見てるよ…?」クスクス

内田「え…?うぅ…恥ずかしいよう…」

吉野「もっと見せてあげようよ?…ユカちゃん……んっ…」ギュウ

内田「やんっ!吉野ちゃん…いつもより……んっ!…はぅ……」ギュッ…

マコト(なんだ…?なにが起きてるの?なんで2人が…うちだはおれのことが…なんで……?)

吉野「マコト君がいるからかな…?ユカちゃんも楽しんでるよね…?」クスクス

内田「そんなこと……やあ…んんっ…ちゅる……」

マコト(なんで…なんで…なんで…なんで…)

内田「あん…もっと……もっとぉ…」ギュッ

マコト「なんでなんでなんでなんでなんで………」ブツブツ

吉野「教えてあげよっか?」ニコニコ

マコト「………」

吉野「どちらが先にマコト君を物にできるか競争してたんだよ?今まで…」クスクス

内田「物扱いなんてひどーい!私、マコト君のこと好きだよ?」

吉野「ごめんねユカちゃん、私もマコト君のこと好きだよ?」ニコニコ

内田「吉野ちゃんはマコト君の怯える顔が好きなんだもんね?」

吉野「うん、ユカちゃんにそんなことできないもん」ニコニコ

内田「吉野ちゃん…ありがとう……んっ…」

吉野「んっ…もう、ユカちゃんはキスが好きだね?」ニコニコ

内田「えへへ」ニコニコ

吉野「ほんとはね、こんなに早く話すはずじゃなかったんだよ?けど…マコト君がユカちゃんに話すから…」クスクス

マコト「………」

吉野「私もゆっくり壊したかった…けど仕方ないよね?私も…堪らなかったんだもん…いいよね?」ゾクゾク

マコト(そっか…おれがわるいからこうなっちゃったんだ)

吉野「けど…ユカちゃんに負けるなんて思わなかったなあ?男の子は気持ちよければなんでもいいと思ってたのに」ニコニコ

マコト(ぜんぶおれがわるかったんだ)

内田「吉野ちゃん、心も大切なんだよ?吉野ちゃんの気持ちは少しだけ激しいんだよ」

マコト(なんだかかんがえるのつかれたなあ)

吉野「ふふ…いいかなそろそろ?」クスクス

マコト「……うっ…うぅ……?」

内田「……マコト君?」

吉野「ユカちゃん、マコト君の側にいてあげて?」ニコニコ

内田「うん、わかった。大丈夫だよマコト君、よしよし…かわいいなあ…」クスクス

マコト「……うー?」

吉野「私はマコちゃんの方が好きだよユカちゃん?」ニコニコ

内田「残念、正解はどちらもかわいいでした、えへへ…」

吉野「けど、けっこう簡単に堕ちちゃったね?」

内田「こうなっちゃうくらいみんなのこと…私たちのこと考えてくれてたんだよ。そうだよね?マコト君…」

吉野「そうだね…だから叩き壊したくなっちゃうんだよ。綺麗なもの全部…」クスクス

内田「私たち幸せだよね?こんなに思われて…大好きだよマコト君…大好き…」ギュゥ…

吉野「ふふ…1番思われていたのはユカちゃんだものね?私もマコト君のこと好きだったよ…もう戻せないかもしれないけど…」クスクス

内田「大丈夫、これから私たちが側にいてあげるんだから…」

吉野「うん、みんなで一緒にいるもの…」

内田「そうだね…そうだよね?マコト君…ちゅっ」ギュッ

マコト「………?」

──数ヶ月後──

千秋「おはよう」

マコト「おはようっ!千秋」

千秋「うるせーよマコト」

マコト「なっ!酷いよっ!!」

吉野「おはよ、千秋?」ニコニコ

内田「おはよー」

千秋「おう、おはよー。そこのバカ野郎の相手を頼むよ内田」

マコト「なんだよっ!前まで優しかったのに……」シュン

千秋「あれは、そのなんだ。たまたまだ…」

吉野「仕方ないよ?あの状態のマコト君はほっとけないよ?」ニコニコ

内田「まるで赤ちゃんみたいだったもんね?可愛かったなぁ…あのマコト君…」

マコト「その頃の記憶があんまりないからよくわからないよ!」

吉野「でも元気になってよかったよ」ニコニコ

千秋「まあそうだな、だからそこで1人で遊んでろよマコト」

マコト「扱いが酷いよ!」

千秋「めんどうなヤツだ…私は行くから…」テクテク

マコト「あぁ、千秋…」

吉野「マコト君、ちょっといいかな?」

マコト「はい、なんでしょうか?」

吉野「今日、実行するから放課後お願いできるかな?」

マコト「わかりました。任せておいてください」

内田「すごいよね?吉野ちゃんに任せたら本物の執事さんだよ?」

吉野「違うよユカちゃん…あれは……」ニコニコ

──放課後──

冬馬「なんなんだろうなマコトのヤツ…教室に待ってろなんて……」

冬馬「きっと春香のことについてなんだろうけど…でもあいつ、最近、春香のことあんまり話さないよな…」

ガラッ

冬馬「来たか?遅いぞマコト…ってお前!?」

マコちゃん「お待たせしてすみませんでした冬馬さま」

冬馬「いや…お前、学校でなんて格好を……」

マコちゃん「これですか?メイド服はあまりお気に召しませんか?困りました…」

冬馬「話し方もなんか…どうしたんだよ…?」

マコちゃん「淑女が乱暴な言葉使いはよくありませんよ?私は…いえ、なんでもありません」

冬馬「なんだよお前…なんか悩みでもあるのか?」オドオド

マコちゃん「いえ、そういったことはありませんが…そうですね、冬馬さまには落ち着いて貰いたいと思ってます」

冬馬「落ち着けるかっ!!」

マコちゃん「きゃっ…!」

冬馬「なっ!はぁ…なんか調子狂うな…で?要件ってなんだよ?」

マコちゃん「はい、ある方に会って貰いたと思いお願いしに参りました」

冬馬「なんだそれ?まあいいや、とっととそいつに会って千秋の家に行こうぜ?」

マコちゃん「はい、冬馬さま。ではこちらに…」テクテク

冬馬「なあマコト、お前は恥ずかしくないのか?」テクテク

マコちゃん「なにがですか冬馬さま?」テクテク

冬馬「さまって…そのメイド服だよ。そういうのは個人の自由だと思うけど…」テクテク

マコちゃん「はい、よく似合ってると褒められますので…着きました冬馬さま、こちらです」

冬馬「なんだ?お前の教室じゃん?」
ガラッ

吉野「ごくろうさま、マコト君…あ、マコちゃんだった。ありがとう」ニコニコ

内田「えへへ」

冬馬「なっ!吉野お前、マコトのこと知って……」

マコちゃん「それでは私はこれで…」

冬馬「おいっ!どこ行くんだっ!説明しろよ!!」

マコちゃん「存分に楽しみ、存分に堕ちていって下さいませ」ニコッ

end

スレタイって大切なんだね疲れたねおやすみ

みなみけSSは内容が濃くて完成度高いのが多い。
>>1乙んこ。

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